JP2006518203A - トランスポゾンに基づく標的化システム - Google Patents

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Abstract

本発明は、(a)目的のポリヌクレオチドを含む、機能的トランスポザーゼをコードするポリヌクレオチドを欠くトランスポゾン、ならびに(b)(ba)トランスポザーゼまたはトランスポザーゼ機能を有するその断片もしくは誘導体と、(bb)DNA標的化ドメイン、もしくは(bc)DNA標的化ドメインを含む細胞性のもしくは操作された(ポリ)ペプチドに結合する(ポリ)ペプチド結合ドメイン、もしくは(bd)(bb)のDNA標的化ドメインもしくは(bc)の(ポリ)ペプチド結合ドメインを含む(ポリ)ペプチドとを含む融合タンパク質、または(c)(b)の融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドを、好ましくは異なる成分として含んでなる標的化システムであって、かつ、(ba)の前記トランスポザーゼまたはトランスポザーゼ機能を有するその断片もしくは誘導体が、(bb)の前記ドメイン、または(bc)の前記ドメイン、または(bd)の前記(ポリ)ペプチドに、リンカーによって連結されている前記標的化システムに関する。

Description

本発明は、(a)目的のポリヌクレオチドを含む、機能的トランスポザーゼをコードするポリヌクレオチドを欠くトランスポゾン、ならびに(b)(ba)トランスポザーゼまたはトランスポザーゼ機能を有するその断片もしくは誘導体と、(bb)DNA標的化ドメイン、もしくは(bc)DNA標的化ドメインを含む細胞性のもしくは操作された(ポリ)ペプチドに結合する(ポリ)ペプチド結合ドメイン、もしくは(bd)(bb)のDNA標的化ドメインもしくは(bc)の(ポリ)ペプチド結合ドメインを含む(ポリ)ペプチドとを含む融合タンパク質、または(c)(b)の融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドを、好ましくは異なる成分として含んでなる標的化システムであって、かつ、(ba)の前記トランスポザーゼまたはトランスポザーゼ機能を有するその断片もしくは誘導体が、(bb)の前記ドメイン、または(bc)の前記ドメイン、または(bd)の前記(ポリ)ペプチドに、リンカーによって連結されている前記標的化システムに関する。
本明細書中には、多数の文書が引用されている。製造業者のマニュアルを含むこれらの文書の開示内容を参照により本明細書に組み入れることとする。
DNA転位はトランスポゾンシステムの2つの主たる機能的成分(すなわち、トランスポザーゼタンパク質、およびトランスポゾンの末端逆方向反復配列内のトランスポザーゼ結合部位)を必要とする。スリーピング・ビューティー(Sleeping Beauty)(SB)を含む多くの転位因子の転位はゲノム内の多くの部位で生じうるが、標的の選択は主としてトランスポザーゼにより媒介されると考えられている。部位特異的組込みのための要件は、特異的DNA-タンパク質相互作用により転位複合体を特定の染色体領域または部位へ導くことである。トランスポゾンシステムは2つの主たる機能的成分(すなわち、トランスポゾンDNAおよびトランスポザーゼタンパク質)からなることから、該転位複合体は、これらの2つの成分のいずれかとの相互作用により、ゲノム内の所与の部位につなぎ留められるものと思われる。
遺伝子治療目的でDNAを配列特異的に挿入するためにトランスポゾンに基づくメカニズムを利用する方法について、当技術分野で検討されている。例えば、Kaminskiらは、部位選択的組込みに宿主DNA結合因子が潜在的に要求されることを回避するために、トランスポザーゼ部分と宿主DNA結合ドメインとよりなるキメラトランスポザーゼを使用するモデルを案出した(Kaminiskiら, FASEB J. 16 (2002), 1242-1247)。しかし、Kaminskiのグループによりなされた示唆に従うことは、有用な結果をもたらさないであろう。なぜなら、Kaminskiらにより考察されているモデル系は、尚もトランスポゾンの一部であるトランスポザーゼコード化遺伝子に依存するからである。このアプローチの欠点は、標的化挿入が生じたとしても(実際には生じない;後記を参照されたい)、組込まれたトランスポゾン内のトランスポザーゼコード化遺伝子の存在は、遅かれ早かれ、異なる染色体部位内への該転位因子の転位を招くであろう。さらに、宿主DNA結合ドメインへのトランスポザーゼの直接的な融合はトランスポザーゼ活性を破壊して、所望の標的化挿入を不可能にする(参考例1を参照されたい)。しかし、これは遺伝子治療アプローチには不適当な出発点である。したがって、本発明の根底にある技術的課題は、遺伝子治療において同様に有用でありうる選択されたDNA配列内への所望のポリヌクレオチドの部位特異的標的化のための、トランスポゾンに基づく標的化システムを設計することであった。この技術的課題の解決は、特許請求の範囲において特徴づけられている実施形態を提供することにより達成される。
したがって、本発明は、(a)目的のポリヌクレオチドを含む、機能的トランスポザーゼをコードするポリヌクレオチドを欠くトランスポゾン、ならびに(b)(ba)トランスポザーゼまたはトランスポザーゼ機能を有するその断片もしくは誘導体と、(bb)DNA標的化ドメイン、もしくは(bc)DNA標的化ドメインを含む細胞性のもしくは操作された(ポリ)ペプチドに結合する(ポリ)ペプチド結合ドメイン、もしくは(bd)(bb)のDNA標的化ドメインもしくは(bc)の(ポリ)ペプチド結合ドメインを含む(ポリ)ペプチドとを含む融合タンパク質、または(c)(b)の融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドを含んでなる標的化システムであって、かつ、(ba)の前記トランスポザーゼまたはトランスポザーゼ機能を有するその断片もしくは誘導体が、(bb)の前記ドメイン、または(bc)の前記ドメイン、または(bd)の前記(ポリ)ペプチドに、リンカーによって連結されている前記標的化システムに関する。
「標的化システム」なる語は、本発明においては、標的化DNA配列内への前記で規定したトランスポゾンの非ランダム標的化組込みを媒介する(異なる)DNA分子または(ポリ)ペプチドから構成されるシステムを意味する。このシステムは、少なくとも、好ましくは、前記(a)、(ba)/(bb)/(bc)/(bd)、および(c)に記載の3つの異なる分子を含む。これらの分子は互いに及び標的DNA配列と機能的に相互作用し、それにより、標的DNA配列内へのトランスポゾンの組込みが達成される。本発明の根底にあるこの原理は、後記で更に詳しく説明される。
成分(a)、および(ba)/(bb)/(bc)/(bd)、および(c)は、好ましくは、異なる成分として標的化システム内に存在する。いくつかの場合には、少なくともトランスポゾンが、異なる成分として保有されていることが、更に好ましい。「異なる成分として」なる語は、本発明の標的化システムにおいて挙げられている成分、すなわち、トランスポゾン、ポリヌクレオチドおよび/または(ポリ)ペプチドが、物理的に別個の分子実体であることを意味する。例えば、(a)に挙げられているトランスポゾンならびに(c)に挙げられているポリヌクレオチドは、本発明の標的化システムにおいては、1つの単一ポリヌクレオチドを形成していなくてもよく、場合によっては、別々に増幅される2つの異なるポリヌクレオチドとして存在する。本発明では、(ba)の前記トランスポザーゼまたはその断片もしくは誘導体は、前記融合タンパク質(b)中の(bb)の前記ドメイン、または(bc)の前記(ポリ)ペプチドドメイン、または(bd)の前記(ポリ)ペプチドのいずれかに連結されているものと理解される。
「機能的トランスポザーゼをコードするポリヌクレオチドを欠くトランスポゾン」なる語は、機能的な(好ましくは天然に存在する)トランスポザーゼをコードする完全配列を、もはや含まない、トランスポゾンに基づくDNA分子を意味する。好ましくは、機能的な(好ましくは天然に存在する)トランスポザーゼをコードする完全配列またはその一部がトランスポゾンから欠失している。あるいは、天然に存在するトランスポザーゼ、またはトランスポザーゼの機能(すなわち、DNA標的部位内へのトランスポゾンの挿入を媒介する機能)を有するその断片もしくは誘導体が、もはや含有されないよう、トランスポザーゼをコードする遺伝子が突然変異している。あるいは、その活性が有意に低下しており、例えば少なくとも50%、好ましくは少なくとも80%、90%、95%または99%に低下している。前記の突然変異には、“Molecular Biology of the Gene” (Watsonら編) 4th edition, The Benjamin/Cummings Publishing Company, Inc., Menlo Park, CA, 1987のような分子生物学の標準的な教科書に記載されている置換、重複、逆位、欠失などが含まれる。
トランスポゾンは、トランスで与えられるトランスポザーゼによる可動化(mobilization)に必要な配列を保有しなければならない。これらは、トランスポザーゼへの結合部位を含有する末端逆方向反復配列である。トランスポゾンは細菌または真核生物トランスポゾンに由来しうるが、後者が好ましい。さらに、トランスポゾンはクラスIまたはクラスIIトランスポゾンに由来しうる。遺伝子導入用途には、クラスIIまたはDNA媒介性転位因子が好ましい。なぜなら、これら転写因子の転位は、望ましくない突然変異をトランスジーン内に導入する可能性のある(クラスIまたはレトロエレメント(retroelement)の転位に伴う)逆転写過程を伴わないからである(Miller, A.D. (1997). Development and applications of retroviral vectors. in Retroviruses (Coffin, J.M., Hughes, S.H. & Varmus, H.E.編) 843 pp. (Cold Spring Harbor Laboratory Press, New York,); Verma, I.M.およびSomia, N. (1997). Gene therapy ? promises, problems and prospects. Nature 389, 239-242)。
本発明における「ポリヌクレオチド」なる語は、RNA、DNAもしくはPNAまたはそれらの修飾体を含む任意のタイプのポリヌクレオチドを意味する。この用語がDNA分子を意味するのが、本発明では好ましい。
「結合する」なる語は、本発明においては、(ポリ)ペプチド結合ドメインが、生理的条件下(例えば、細胞内に存在する条件下)で、細胞内の、特定のDNA配列のみを認識しそれに結合するが、望ましくないかまたは本質的に望ましくないDNA配列に対しては認識も結合もしないことを意味する。特異的結合/認識は、例えば、当技術分野でよく知られている競合結合アッセイを用いることにより評価することが可能である(本明細書に後述する「(ポリ)ペプチド結合ドメイン」の定義も参照されたい)。標的化事象とは、細胞内で、好ましくは特定のDNA配列のみが標的化され、望ましくないかまたは本質的に望ましくないDNA配列は標的化されないことを意味する。例えば、ヒトゲノムにおいては、15ヌクレオチド、好ましくは18ヌクレオチド以上の鎖(ストレッチ)は、通常、対応配列が唯一のもの(unique)であることを保証するであろう。そのようなユニーク配列は、ヒトゲノムの知見に基づき、適当なコンピュータープログラムを使用して、特に問題なく当業者により同定されうる。
「トランスポザーゼ機能を有する」トランスポザーゼの「断片もしくは誘導体」なる語は、好ましくは天然に存在するトランスポザーゼ中のアミノ酸を欠くがDNA挿入を尚も媒介する、天然トランスポザーゼに由来する断片を意味する。あるいは、この用語は、1以上のアミノ酸が置換、欠失、付加された、あるいはそれほどは好ましくはないが逆位または重複が生じている天然に存在するトランスポザーゼ又は天然に存在するトランスポザーゼを含む融合タンパク質のような、天然トランスポザーゼの誘導体を意味する。そのような改変は、好ましくは、組換えDNA技術によりもたらす。トランスポザーゼタンパク質に化学的改変を施すことにより、さらなる改変を生じさせてもよい。前記タンパク質(およびその断片または誘導体)は組換え的に製造されうるが、天然に存在するタンパク質と同一または実質的に同一の特徴を保有しうる。
「(ポリ)ペプチド」なる語は、ペプチドまたはポリペプチドのいずれかを意味する。ペプチドは、通常は、30個以下のアミノ酸を有するアミノ酸配列であり、一方、ポリペプチド(「タンパク質」とも称される)は一つながり(ストレッチ)の少なくとも31個のアミノ酸を含む。
「(ポリ)ペプチド結合ドメイン」なる語は、本発明においては、第2の(ポリ)ペプチドに特異的に結合しうる(ポリ)ペプチドのドメインを意味する。タンパク質-タンパク質相互作用は当技術分野で幅広く理解されている。それは、抗体とそれに適合する抗原との間、ビオチンとアビジンとの間、または酵素と基質との間で生じるような「鍵と鍵穴(key-and-lock)」相互作用として生じうる。タンパク質-タンパク質相互作用の他の例には、シグナル伝達カスケードのようなタンパク質カスケードのメンバーの結合が含まれる。タンパク質-タンパク質相互作用は、例えば、FieldsおよびSongによって最初に確立されたツーハイブリッドまたはスリーハイブリッド系(A novel genetic system to detect protein-protein interactions. Nature. 1989 Jul 20;340(6230):245-6。TopcuおよびBorden, Pharm. Res. 17 (2000), 1049-1055, Zhangら, Meth. Enzymol. 306 (1999), 93-113, FieldsおよびSternglanz, Trends Genet. 10 (1994), 286-292も参照されたい)を使用して評価することが可能である。この一般的知見に基づき、(ポリ)ペプチド結合ドメインを選択または案出し、ついで本発明の標的化システムにおいて使用することが可能である。
「DNA標的化ドメイン」なる語は、本発明においては、DNA領域(核内の反復領域のような高次構造の染色体領域を含む)に特異的に結合することができ、該DNA領域内へのトランスポゾンの組込みの媒介に直接的または間接的に関与する、(ポリ)ペプチドのドメインを意味する。該DNA領域は、好ましくは、それぞれのゲノム内で特有(ユニーク)なヌクレオチド配列により定められるであろう。
「操作された(ポリ)ペプチド」なる語は、前記機能を有する非天然(ポリ)ペプチドを意味する。その(ポリ)ペプチドは、天然(ポリ)ペプチドに基づいているが(DNA標的化の実際の目的に応じて)DNA結合においてより高い又はより低い特異性、細胞環境中でより長い又は短い半減期などを示すように、操作されたものでありうる。それは組換え生産の手法に関する利点をも有しうる。例えば、それは、その天然の対応物よりも低いコストで製造されうる。また、該(ポリ)ペプチドは、一緒になって前記機能を果たす、異なるタンパク質のモジュールから構成されうる。
「細胞性(ポリ)ペプチド」は、細胞内に見出され、天然タンパク質と同じでありうる(ポリ)ペプチドである。ある実施形態においては、それは細胞内で組換え的に産生されるか、または細胞内に導入されうる。
「リンカー」は、本明細書においては、それ自体は細胞内で生物学的機能を果たさない、場合によっては1つまたは異なる2つの種類のアミノ酸のみからなる、好ましくは少なくとも5または6個のアミノ酸のタンパク質性アミノ酸鎖(ストレッチ)として定義される。リンカーの機能は、2つの異なる(ポリ)ペプチドまたは(ポリ)ペプチドのドメインを連結して、それにより、これらの(ポリ)ペプチドが、該リンカーに結合されていない場合に発揮するのと同じ生物学的機能(例えば、DNAへのまたは異なる(ポリ)ペプチドへの結合)を発揮するのを可能にすることである。
本発明においては、脊椎動物細胞のような宿主細胞内でのトランスポゾンの標的化転位を達成するために、前記のような本発明の一般的原理にすべてが当てはまる以下の独特な実験ストラテジーを、案出した。このストラテジーを図1に図示する。1)標的化融合タンパク質の設計。この場合、一方の融合相手はトランスポザーゼまたはトランスポザーゼ機能を有するその断片もしくは誘導体であり、もう一方の相手は標的(染色体)DNAと結合する(図1A)。2)標的化融合タンパク質の設計。この場合、一方の融合相手はトランスポザーゼまたはトランスポザーゼ機能を有するその断片もしくは誘導体であり、もう一方の相手は、タンパク質-タンパク質相互作用により(内因性のまたは操作された)DNA標的化タンパク質と接触する(図1B)。トランスポザーゼまたはトランスポザーゼ機能を有するその断片もしくは誘導体の融合相手は、例えばより大きなポリペプチドから得られる、いずれかのドメインであってよいし、またはそのようなドメインを含むポリペプチドであってもよい。本発明の標的化システムに必要な要件は、前記リンカーにより、トランスポザーゼまたはトランスポザーゼ機能を有するその断片もしくは誘導体、および、ドメイン(bb)もしくは(bc)、または(bd)の(ポリ)ペプチドが、独立したフォールディング単位を形成できるようにすることである。第3の選択肢は、前記タイプの構築物のいずれかが、本明細書中に定義されている高次構造の染色体領域(例えば、核内の反復領域)に結合することである(図1C)。
本発明においては、選択したDNA領域または部位を成功裏に標的化するために、種々の組合せの化合物を使用することも可能である。これらの化合物を組合せた後で細胞内へ挿入したり、あるいは分子ごとに細胞内へ挿入することが可能である。本発明はまた、該標的化システムの成分の少なくとも1つが細胞内に既に挿入されており、該成分の残りのものは尚も挿入する必要がある実施形態を含む。本発明の標的化システムにより与えられる成分の選択は、トランスポゾンに基づく系中の目的のポリヌクレオチドの、選択したDNA配列、組成物または領域内への信頼性のある標的化挿入を、初めて可能にする。該DNA領域は、例えば、染色体外エレメント上の領域、または染色体上の部位(例えば、染色体遺伝子)でありうる。融合タンパク質の設計は、一方では、融合タンパク質中に含有されるトランスポザーゼによる直接的な結合によりトランスポゾン上につなぎ留めることを可能にし、そして、融合タンパク質中に含有されるDNA標的化ドメインにより又はそうでなければDNA標的化ドメインを含有する介在性タンパク質を介して、選択したDNA領域を標的化することを可能にする。融合タンパク質中の必須成分(一方はトランスポザーゼ部分、他方は(bb)、(bc)または(bd)のいずれかに記載の部分である)間のリンカーを介した連結は、トランスポザーゼ部分の望ましい機能の発揮を可能にする。これは、そのようなリンカーについて認識していなかったKaminskiらにより記載されているモデル系よりもかなり優れた利点を構成する。結果としては、彼らの提唱したモデルは実現できなかった(参考例1を参照)。
本発明の標的化システムの種々の成分は、(ポリ)ペプチドとして又は該(ポリ)ペプチドをコードする核酸分子として、細胞内に導入されうる。細胞内への(ポリ)ペプチドの導入は遺伝子治療アプローチにおいて利点を有しうる。例えば、ヒトゲノム内へのトランスポザーゼ遺伝子の安定な挿入は、更なる無制御な転位事象のリスクを引き起こし、これは、必須遺伝子の挿入による不活性化、または癌を引き起こす原癌遺伝子の異所性発現を招く可能性があるであろう。
タンパク質性またはポリヌクレオチド性のものとしての該標的化システムの実際の組成には無関係に、前記(ポリ)ペプチドまたはドメインをコードするポリヌクレオチドはそれぞれの宿主細胞または宿主において実際に発現されることが必要である。
本発明の標的化システムの好ましい実施形態においては、(c)のポリヌクレオチドはさらに、DNA標的化ドメインを含む細胞性のもしくは操作された(ポリ)ペプチドをコードする。
本発明のこの実施形態においては、そのDNA標的化ドメインを介してDNAと接触する介在性または「架橋性」(ポリ)ペプチドも、該融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドによりコードされる。例えば、該融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドは、該介在性または「架橋性」(ポリ)ペプチドが発現されるもう1つの発現カセットを含有しうる。あるいは、この/これらの(ポリ)ペプチドを生じるmRNAは、例えば、当技術分野でよく知られている停止/再開メカニズムを用いて、該融合タンパク質のmRNAと同じプロモーターから転写されうる。トランスポゾンを、融合タンパク質または架橋性ポリペプチド(これらの任意の組合せ)をコードするポリヌクレオチドと組合せることが可能である。あるいは、転位因子は、独立したポリヌクレオチド分子として維持され、増幅され、送達されうる。
介在性または「架橋性」(ポリ)ペプチドを使用する場合、そしてその(ポリ)ペプチドが前記ポリヌクレオチドのいずれにもコードされない場合には、本発明のもう1つの好ましい実施形態においては、上記標的化システムは更に、
(da)上記の、DNA標的化ドメインを含む細胞性の又は操作された(ポリ)ペプチド、または
(db)(da)の(ポリ)ペプチドをコードするポリヌクレオチド、
を含む。
本発明の標的化システムのもう1つの好ましい実施形態においては、(a)のトランスポゾンおよび/または(c)のポリヌクレオチドおよび/または(bd)のポリヌクレオチドが1以上のベクター内に含まれる(あるいは、該トランスポゾンは、ベクター配列を伴わずに、例えば環化形態として与えられうる)。
前記ポリヌクレオチドのいずれかに使用するベクターは、本発明においては、発現ベクター、遺伝子導入ベクターまたは遺伝子標的化ベクターでありうる。発現ベクターは当業者によく知られており、広く入手可能である。Ausubelら, 前掲を参照されたい。本発明のベクターのこのより好ましい実施形態においては、該ポリヌクレオチドは、原核もしくは真核細胞またはその単離された画分における発現を可能にする発現制御配列に機能しうる形で連結されている。該ポリヌクレオチドの発現は、好ましくは翻訳可能なmRNAへの、該ポリヌクレオチドの転写を含む。真核細胞(好ましくは、哺乳類細胞)内での発現を保証する調節エレメントは当業者によく知られている。それは、通常、転写開始を保証する調節配列と、場合によっては、転写の終結および転写産物の安定化を保証するポリAシグナルとを含む。追加的な調節エレメントは、転写および翻訳エンハンサーを含みうる。原核宿主細胞内での発現を可能にする考えられうる調節エレメントは、例えば、大腸菌(E. coli)におけるlac、trpまたはtacプロモーターを含む。真核宿主細胞内での発現を可能にする調節エレメントの例としては、酵母におけるAOX1またはGAL1プロモーター、あるいは哺乳類および他の動物細胞におけるCMV-、SV40-、RSV-プロモーター(ラウス肉腫ウイルス)、CMV-エンハンサー、SV40-エンハンサーまたはグロビンイントロンが挙げられる。転写の開始を引き起こすエレメントのほかに、そのような調節エレメントは、該ポリヌクレオチドの下流に、SV40-ポリA部位またはtk-ポリA部位のような転写終結シグナルをも含みうる。この場合、適当な発現ベクターは当技術分野で公知であり、例えば、Okayama-Berg cDNA発現ベクターpcDV1(Pharmacia)、pCDM8、pRc/CMV、pcDNA1、pcDNA3(In-vitrogene)、pSPORT1(GIBCO BRL)が挙げられる。
ex vivoまたはin vivo技術による細胞内への治療用遺伝子の導入に基づく遺伝子治療は、遺伝子導入の最も重要な用途の1つである。in vitroまたはin vivo遺伝子治療のための適当なベクター、方法または遺伝子送達系は文献に記載されており、当業者に公知である。例えば、Giordano, Nature Medicine 2 (1996), 534-539; Schaper, Circ. Res. 79 (1996), 911-919; Anderson, Science 256 (1992), 808-813, Isner, Lancet 348 (1996), 370-374; Muhlhauser, Circ. Res. 77 (1995), 1077-1086; Onodua, Blood 91 (1998), 30-36; Verzeletti, Hum. Gene Ther. 9 (1998), 2243-2251; Verma, Nature 389 (1997), 239-242; Anderson, Nature 392 (Supp. 1998), 25-30; Wang, Gene Therapy 4 (1997), 393-400; Wang, Nature Medicine 2 (1996), 714-716; WO 94/29469; WO 97/00957; 米国特許第5,580,859号; 米国特許第5,589,466号; 米国特許第4,394,448号またはSchaper, Current Opinion in Biotechnology 7 (1996), 635-640、およびそれらにおいて引用されている参考文献を参照されたい。特に、該ベクターおよび/または遺伝子送達系は、例えば神経組織/細胞における(とりわけ、Bloemer, J. Virology 71 (1997) 6641-6649を参照されたい)または視床下部(とりわけ、Geddes, Front Neuroendocrinol. 20 (1999), 296-316またはGeddes, Nat. Med. 3 (1997), 1402-1404を参照されたい)における遺伝子治療アプローチにおいても記載されている。神経細胞/組織において使用するための他の適当な遺伝子治療構築物も当技術分野で公知である(例えば、Meier (1999), J. Neuropathol. Exp. Neurol. 58, 1099-1110)。本発明において使用するベクターは、直接的な導入用に、またはリポソームもしくはウイルスベクター(例えば、アデノウイルス、レトロウイルス)を介した導入用に、またはエレクトロポレーション、衝撃法(例えば、遺伝子銃)または細胞内への他の送達系用に設計することができる。また、本発明の核酸分子用の真核発現系として、バキュロウイルス系を使用することが可能である。好ましくは、該導入および遺伝子治療アプローチは、機能性分子(好ましくは、治療的に活性な分子)の発現を引き起こすはずであり、それにより発現された分子は、遺伝子治療アプローチにより改善、予防または治療されうる任意の疾患の治療、改善および/または予防において特に有用である。
特に好ましい実施形態においては、該ベクターの少なくとも1つはプラスミドである。プラスミドは当技術分野でよく知られており、組換え目的に関して、例えばSambrookら, “Molecular Cloning, A Laboratory Manual”, 2nd edition, CSH Press, Cold Spring Harbor, 1989; Ausubelら, “Current Protocols In Molecular Biology” (2001), John Wiley & Sons; N.Y.に記載されている。それは、自律的に複製する、通常は環状二本鎖の、小さな染色体外DNA分子として特徴づけられる。それは原核生物および真核生物において天然に存在し、通常、少なくとも1つの複製起点および少数の遺伝子を含む。
目的のポリヌクレオチドは種々の性質のものでありうる。例えば、それが非コード性のものであって、したがって、過剰発現されると疾患の病因に関与する遺伝子の標的化破壊において有用なものであってもよい。もう1つの例においては、トランスポゾンは、そのトランスポゾンが内因性遺伝子に十分に近接して挿入される場合に遺伝子発現を活性化するプロモーター配列を含有しうるであろう。さらに、特定の標的内への挿入を同定するために適当な選択方法(例えば、改変された細胞表現型に基づくもの)が利用可能な場合には、トランスポゾンは、転位に必要とされる配列に加えて、いずれかの配列を欠損していてもよい。あるいは、該ポリヌクレオチドは、所望の標的の発現に関してRNAiを媒介するmRNA分子に転写されうる。更なる指針としては、Elbashirら, Nature 411 (2001), 494-498, Bernsteinら, RNA 7 (2001), 1509-1521, Boutlaら, Curr. Biol. 11 (2001), 1776-1780を参照されたい。もう1つの別態様においては、目的のポリヌクレオチドは、トランスポゾン挿入を同定するために後で利用されうる配列タグとして機能する。本発明は、別の好ましい実施形態においては、目的のポリヌクレオチドが(ポリ)ペプチドをコードする標的化システムに関する。目的の遺伝子は、マーカー、例えばin vivoモニターのためのグリーン蛍光タンパク質、およびレポーター、例えばルシフェラーゼ、または抗生物質耐性遺伝子をコードしうる。
特に好ましいのは、該(ポリ)ペプチドが、治療的に活性な(ポリ)ペプチドである標的化システムである。この実施形態においては、治療的に重要な(ポリ)ペプチドを、そのような(ポリ)ペプチドを要する細胞内に標的化することが可能である。組織特異的発現の望まれる場合には、組織特異的プロモーターが該(ポリ)ペプチドの発現を駆動しうる。治療的に活性な(ポリ)ペプチドは、疾患の発症または進行を妨げる任意のペプチドまたはタンパク質でありうる。それは直接的または間接的に該開始または進行を妨げうる。治療的に活性な(ポリ)ペプチドには、増殖因子または分化因子のクラスのもの、例えばGCSF、GM-CSF、ならびにインターロイキンおよびインターフェロン、または体内の有害な化合物に結合するscFvのような操作された抗体誘導体が含まれる。該トランスポゾン標的化システムは、血友病のような単一遺伝子疾患に対する遺伝子治療用のベクターとして使用することが可能であろう。血液凝固因子であるVIII因子またはIX因子をコードする、適当な転写調節配列を伴うcDNAを、該転位因子ベクター内に組込むことが可能であろう。トランスポザーゼは染色体内への治療用遺伝子の安定な組込みを媒介し、長期的な遺伝子発現および血清中のトランスジーン産物の増加を保証する。その標的化特性を利用して、トランスポゾン挿入を、遺伝子に関連しない染色体位置へ方向付けて、該挿入が内因性遺伝子機能を破壊しないようにすることが可能であろう。
好ましくは、上記リンカーは、柔軟なリンカーである。
リンカー中、好ましくは、柔軟な(flexible)リンカー中に含有されるアミノ酸の数は、典型的には、5〜20個である(Crasto, C.J.およびFeng, J. LINKER: a program to generate linker sequences for fusion proteins. Protein Engineering, Vol. 13, No. 5, 309-312, 2000)。
本発明の標的化システムの、より好ましい実施形態においては、該リンカーはグリシンリンカーまたはセリン-グリシンリンカーである(Chou PY, Fasman GD. Prediction of protein conformation. Biochemistry. 1974 Jan 15;13(2):222-45.; Ladurner AG, Fersht AR. Glutamine, alanine or glycine repeats inserted into the loop of a protein have minimal effects on stability and folding rates. J Mol Biol. 1997 Oct 17;273(1):330-7)。
本発明の別の好適な実施形態において、標的化システムは、DNA標的化ドメイン、またはDNA標的化ドメインを含む(ポリ)ペプチドと相互作用するドメイン、またはそのいずれかのドメインを含む(ポリ)ペプチドが、トランスポザーゼまたはトランスポザーゼ機能を有するその断片もしくは誘導体のN末端に融合していることを必要とする。
その融合はトランスポザーゼ等のN末端にあるが、本発明において、トランスポザーゼ等は、上述した通りリンカーを介して上記ドメインまたは(ポリ)ペプチドに融合されることは理解されよう。
本発明のさらに別の好適な実施形態において、標的化システムは、DNA標的化ドメイン、またはDNA標的化ドメインを含む(ポリ)ペプチドと相互作用するドメイン、またはそのいずれかのドメインを含む(ポリ)ペプチドが、トランスポザーゼまたはトランスポザーゼ機能を有するその断片もしくは誘導体のC末端に融合していることを必要とする。
同様に、その融合がトランスポザーゼ等のC末端にあるが、本発明において、トランスポザーゼ等は、上述した通りリンカーを介して上記ドメインまたは(ポリ)ペプチドに融合されることは理解されよう。
上記DNA標的化ドメインは、細胞内に含有される任意のDNA配列または領域を標的化しうる。そのような領域または配列は、細胞内に天然に存在するものであることが可能であり、あるいは、例えばトランスジーンまたは細胞外保持DNA分子(プラスミドなど)として、人工的に導入されたものでありうる。好ましいのは、該DNA標的化ドメインが染色体DNA標的化ドメインである標的化システムである。
本発明においては、染色体DNA標的化ドメインがユニーク染色体DNA配列、染色体DNA組成物、または染色体領域であることが、特に好ましい。「ユニーク染色体DNA配列」なる語は、真核生物においてハプロイドゲノム当たり1回のみ見出されるDNA配列である。そのようなユニーク配列の具体例としては、ヒトゲノムのようなゲノム内に1回のみ見出される遺伝子または遺伝子内配列が挙げられる。「染色体DNA組成物」なる語は、本発明においては、存在する塩基の比率により特徴づけられる組成物を意味する。そのような組成物の一例としては、A/Tリッチ領域が挙げられる。もう1つの例としては、G/Cリッチ領域が挙げられる。「染色体領域」なる語は、場合によっては高次構造により特徴づけられる染色体の所定領域を意味する。染色体領域の一例としては、反復遺伝子を含有する核小体が挙げられる。もう1つの例はミトコンドリアである。本発明においては、その根底にある技術的課題は、組込み部位が前記配列/組成物/領域内に直接的に存在せずそれらの近傍に存在する場合(例えば、500〜1000bpまたは更にそれ以上の塩基対だけ離れている場合)にも、解決されていると理解されるべきである。これは、標的部位がユニーク配列である場合に特に当てはまる。
ユニーク配列内への転位の標的化は、任意の18bpのDNA配列に特異的に結合するよう選択されうる人工的ジンクフィンガーペプチドにより行うことが可能であろう(Beerli RR, Barbas CF 3rd. Engineering polydactyl zinc-finger transcription factors. Nat Biotechnol. 2002 Feb;20(2):135-41)。18bpの配列は、ヒトまたは他の複雑な脊椎動物ゲノムにおいて、おそらくユニークな部位であろう。ある種のタンパク質は、A/TリッチなDNAに対して高いアフィニティを有することが公知である。これらとしては、SATB1(Dickinson LA, Joh T, Kohwi Y, Kohwi-Shigematsu T. A tissue-specific MAR/SAR DNA-binding protein with unusual binding site recognition. Cell. 1992 Aug 21;70(4):631-45)、およびSAF-A(Kipp M, Gohring F, Ostendorp T, van Drunen CM, van Driel R, Przybylski M, Fackelmayer FO. SAF-Box, a conserved protein domain that specifically recognizes scaffold attachment region DNA. Mol Cell Biol. 2000 Oct;20(20):7480-9)(これらは共に、核マトリックスと相互作用する)が挙げられる。したがって、標的化融合タンパク質中にこれらのタンパク質のDNA結合ドメインが含まれていれば、A/Tリッチな(A/Tに富む)DNA内への優先的なトランスポゾン挿入が生じると予想される。核小体はリボソームRNA遺伝子の反復領域を含有する。したがって、この領域内へのトランスポゾン挿入は細胞に有害ではないと予想される。転位複合体を核小体内へ導く標的化ペプチドを使用することが可能であろう。核小体局在化シグナルが公知であり(Newmeyer DD. The nuclear pore complex and nucleocytoplasmic transport. Curr Opin Cell Biol. 1993 Jun;5(3):395-407)、他のタンパク質に融合されうる。
トランスポゾン、およびそれに由来するトランスポザーゼは、細菌由来でありうる。しかし、本発明の標的化システムのもう1つの好ましい実施形態においては、トランスポザーゼ、またはトランスポザーゼ機能を有するその断片もしくは誘導体は、真核生物トランスポザーゼ、または真核生物トランスポザーゼの断片もしくはそれに由来する断片である。トランスポザーゼはクラスIまたはクラスIIトランスポゾンに由来しうる。前記のとおり、トランスポゾンは、好ましくは、クラスIIエレメントである。
本発明において特に好ましいのは、トランスポザーゼがスリーピング・ビューティー(Sleeping Beauty)トランスポザーゼまたはフロッグ・プリンス(Frog Prince)トランスポザーゼであるか又はそれらに由来することである。スリーピング・ビューティー(Sleeping Beauty)トランスポゾンおよびトランスポザーゼは、例えばIzsvakら, J. Mol. Biol. 302 (2000), 93-102に記載されている。フロッグ・プリンス(Frog Prince)トランスポゾンおよびトランスポザーゼはドイツ国特許出願102 24 242.9およびMiskey et al. (2003), Nucleic Acids Res. 31:6873-6881に記載されている。
本発明においてさらに好ましいのは、上記融合タンパク質が天然トランスポザーゼの全てのドメインを含むことである。
本発明のもう1つの好ましい実施形態においては、該標的化システムは、核局在化シグナル(NLS)を更に含む融合タンパク質を含む。NLSは当技術分野で広く知られており、後記実施例において言及されているNLSを含む。NLSは、融合タンパク質を標的細胞の核内へ導くのに特に有用である。あるいは、融合タンパク質は更に、それを核小体(核小体局在化シグナル)のような染色体領域内へ又はミトコンドリアへ導くシグナルを含みうる。NLSは、好ましくは、リンカーに隣接する融合タンパク質の2つの融合相手を連結するリンカー領域内に位置するであろう。
本発明は、もう1つの好ましい実施形態において、DNA標的化ドメインを含む(ポリ)ペプチドが二量体化ドメインを含む標的化システムに関する。天然に存在する多数のDNA結合/標的化タンパク質は二量体化ドメインを含む。二量体化ドメインの保有は結合/標的化事象の効率/忠実度を増加させると予想される。後記実施例も参照されたい。
本発明はまた、本発明の標的化システムを含有する宿主細胞に関する。本発明の宿主細胞は原核細胞でありうるが、好ましくは、真核細胞、例えば昆虫細胞、例えばスポドプテラ・フルジペルダ(Spodoptera frugiperda)細胞、酵母細胞、例えばサッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)またはピチア・パストリス(Pichia pastoris)細胞、真菌細胞、例えばアスペルギルス(Aspergillus)細胞または脊椎動物細胞である。最後者の場合には、細胞は哺乳類細胞、例えばヒト細胞であることが好ましい。細胞は細胞系の一部でありうる。
また、本発明は、本発明の宿主細胞を含んでなる宿主生物に関する。該宿主は原核生物または真核生物宿主であってよく、好ましくは、真核生物宿主、例えば昆虫、酵母、真菌、脊椎動物、好ましくは、哺乳類、例えばヒトである。哺乳類は、好ましくは、非ヒト哺乳類である。
また、本発明は、本発明の標的化システムを含んでなる組成物に関する。該組成物は、例えば診断用組成物または医薬組成物でありうる。該組成物の種々の成分を1以上の容器、例えば1以上のバイアル内にパッケージングしてもよい。バイアルは、該成分に加えて、保存用のバッファーまたは保存剤を含みうる。
好ましくは、該組成物は医薬組成物である。医薬組成物は固体、液体または気体形態であることが可能であり、とりわけ、散剤、錠剤、液剤またはエアゾール剤の形態でありうる。該組成物は、本発明の前記の異なる成分を、少なくとも2つ、好ましくは3つ、より好ましくは4つ、最も好ましくは5つの組み合わせで、含みうる。
医薬組成物は、場合によっては、製薬上許容される担体および/または希釈剤を含むことが好ましい。本明細書中に開示されている医薬組成物は、遺伝子治療により予防、改善または治癒されうる任意の疾患の治療に特に有用でありうる。該疾患には、血友病、αアンチトリプシン欠損、家族性高コレステロール血症、筋ジストロフィー、嚢胞性線維症、癌、重症複合免疫不全症、糖尿病、遺伝性チロシン血症1型および接合部性表皮水疱症が含まれるが、これらに限定されるものではない。
適当な医薬担体、賦形剤および/または希釈剤の具体例は当技術分野でよく知られており、それらには、リン酸緩衝食塩水、水、エマルション、例えば油/水エマルション、種々のタイプの湿潤剤、無菌溶液などが含まれる。そのような担体を含む組成物は、よく知られた通常の方法により製剤化することが可能である。これらの医薬組成物は、適当な用量で対象に投与することが可能である。適当な組成物の投与は、種々の方法、例えば静脈内、腹腔内、皮下、筋肉内、局所、皮内、鼻腔内または気管支内投与により行うことが可能である。筋肉、肝臓、肺、膵臓または固形腫瘍における部位への注射および/または送達により投与を行うことが特に好ましい。本発明の組成物は、標的部位へ直接的に、例えば、外部または内部標的部位(例えば、脳)へのバイオリスチック(biolistic)送達により投与することが可能である。投与計画は担当医師により臨床的要因に応じて決定される。医学分野ではよく知られているとおり、いずれかの1人の患者に対する投与は、患者のサイズ、体表面積、年齢、投与する個々の化合物、性別、投与の時間および経路、全身健康状態、ならびに現在投与されている他の薬物を含む多数の要因に左右される。タンパク質性の薬学的に活性な物質は1ng〜10mg/kg体重/用量の量で存在しうるが、この典型的範囲より多い又は少ない用量が、特に前記要因を考慮して、予想される。該計画が連続的注入である場合には、それは1μg〜10mg単位/キログラム体重/分の範囲であるべきである。DNAの投与のための好ましい投与量はDNA分子106〜1012コピーである。
定期的な評価により進行をモニターすることが可能である。本発明の組成物は、局所または全身に投与することが可能である。非経口投与用の製剤には、無菌の水性または非水性の溶液、懸濁剤および乳剤が含まれる。非水性溶媒の例としては、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、植物油、例えばオリーブ油、および注射可能な有機エステル、例えばオレイン酸エチルが挙げられる。水性担体としては、水、アルコール性/水性溶液、エマルション、懸濁液、例えば食塩水および緩衝化媒体が挙げられる。非経口ビヒクルには、塩化ナトリウム溶液、リンゲルデキストロース、デキストロースおよび塩化ナトリウム、乳酸加リンゲル液または不揮発性油が含まれる。静脈内ビヒクルには、流体および栄養補充物、電解質補充物(例えば、リンゲルデキストロースに基づくもの)などが含まれる。保存剤および他の添加剤、例えば抗微生物剤、抗酸化剤、キレート化剤および不活性ガスなども存在してもよい。さらに、本発明の医薬組成物は、該医薬組成物の意図される用途に応じてさらなる物質を含みうる。該医薬組成物が免疫増強剤などのような他の物質を含むことが特に好ましい。
本発明はまた、本発明の標的化システムを宿主細胞内に導入することを含んでなる、染色体位置を特異的に標的化するための方法に関する。
好ましくは、該導入は、トランスフェクション、インジェクション(注入)、リポフェクション、ウイルストランスフェクションまたはエレクトロポレーションにより行う。すべてのこれらの導入技術は当技術分野で広く記載されており(前記で引用した文献を参照されたい)、特に問題なく当業者により個々の必要性に適合されうる。
単離された細胞(例えば、細胞培養したもの)または哺乳類のような生物から取り出した組織の細胞を本発明の標的化システムで処理する場合には、本発明の方法のさらなる好ましい実施形態においては、該方法は更に、該宿主細胞を宿主内に導入することを含む。該宿主細胞の導入は、輸液もしくは注入または当業者によく知られた他の手段により行うことが可能である。
本発明の方法においては、該宿主細胞が宿主の一部であることも好ましい。この場合、本発明の標的化システムの導入はin vivoで行う。in vivo DNA送達は、DNA構築物の(局所的または全身的な)注射により達成することが可能であろう。DNA構築物は裸DNA、リポソーム、PEIまたは他の凝縮剤(condensing agent)と複合体化したDNAの形態であってもよいし、あるいは感染性粒子(ウイルスまたはウイルス様粒子)内に組み込んでもよい。遺伝子送達などのDNA送達は、エレクトロポレーションまたは遺伝子銃またはエアゾールを使用することによっても行うことが可能である。同様に、前記のとおり、本発明の標的化システムを宿主細胞または宿主内に導入する場合には、該成分のいくつかは宿主細胞または宿主内に既に含まれていてもよく、その宿主細胞または宿主は、該システムの機能完成のために欠けている成分を導入する際にはトランスジェニック宿主細胞または宿主とみなされるであろう(その成分は染色体外に保有されるかもしれないが)。
図面の内容は後述する。
以下、実施例により本発明を説明する。
参考例1:ヒスチジンタグでのSBトランスポザーゼのタグ付け
ヒスチジンタグを組換え手段によりスリーピング・ビューティー(Sleeping Beauty)トランスポザーゼのN末端およびC末端に融合させた。N末端融合は転位活性を完全に喪失させた。一方、C末端タグはin vivoで転位活性を約5〜10%減少させた。SBトランスポザーゼはこれらの付加を許容しないようであった。これはおそらく、タンパク質のフォールディングに対する影響によるものであろう。SBトランスポザーゼのN末端領域は、トランスポゾン逆方向反復配列へのトランスポザーゼの特異的結合を引き起こす2つのへリックス-ターン-へリックス(HTH)ドメインを含有する。C末端の機能は未知であるが、該タンパク質のこの領域は、らせん構造を有すると推定される。種々のリコンビナーゼ中にはC末端タンパク質会合決定基が存在する。例えば、二量体として作用するTn5トランスポザーゼの結晶構造は、主要二量体化表面がC末端により提供されることを示している。レトロウイルスインテグラーゼのC末端領域も多量体化機能をコードしていることが判明した。総合すると、タンパク質タグは、DNA結合および二量体化を含むトランスポザーゼの特定の機能を損なうことにより、転位を妨げるものと思われる。
実施例1:キメラSBトランスポザーゼを用いたシステムの実施
トランスポザーゼ融合タンパク質の潜在的機能性を、転位と、融合相手によって付与される配列特異的DNA結合との両方について調べるために、テトラサイクリンリプレッサー、グリシン架橋およびスリーピング・ビューティートランスポザーゼを含有する融合タンパク質を作製した(図2A、TetR/SB)。グリシン架橋は連続した10個のグリシン残基からなり、その機能は、2つの機能性フォールディング単位の間の柔軟なリンカーを形成することである。2つの異なる試験を行った。その一方は、前記融合タンパク質がテトラサイクリンオペレーター配列に結合する能力を測定するものであり、他方は、前記融合タンパク質が転位を触媒する能力を測定するものである。
テトラサイクリン応答エレメント(TRE。7単位のテトラサイクリンオペレーターを含む)の制御下に安定的に組み込まれたGFP遺伝子を含有するHeLa細胞に由来するヒト細胞系を、TetR/SBの不在下または存在下でテトラサイクリントランスアクチベーターを発現するプラスミドを用いてトランスフェクトし、そしてGFP発現細胞の数を計測した(図2B)。TetR/SBの存在はGFP陽性細胞の数を劇的に減少させたが、このことは、それがTRE領域でのプロモーター活性化を妨げること、そしてそれはおそらくTetR/SBの存在がテトラサイクリントランスアクチベータータンパク質のオペレーターへの結合を阻害するためであることを示している。
次いで、Tet/SBが転位を触媒する能力を、トランスポソン供与プラスミド(T/neo。転位後の抗生物質G418による選択を可能にする)と、SBトランスポザーゼ(陽性対照)またはβ-ガラクトシダーゼ(陰性対照)またはTetR/SBのいずれかとをトランスフェクトしたHeLa細胞において試験した(図2C)。形質転換細胞の抗生物質選択を行った後、コロニーを計数した。SBトランスポゼーゼは、プラスミドから細胞の染色体へのneoマーカーの活発な転位により、耐性細胞の数を約30〜50倍増加させる。TetR/SB融合は、耐性コロニーの数を約2〜2.5倍に増加させた。この結果は、融合タンパク質が転位において活発に機能するが、その活性はSBトランスポザーゼの活性よりも低いことを示す。
まとめると、本結果は、連結相手両方の機能性を保持した、SBトランスポザーゼおよび他の配列特異的DNA結合タンパク質を含有する融合タンパク質を作製できることを示している。
トランスポザーゼ融合タンパク質を使用した、トランスポゾン標的化のための実験ストラテジー。該標的化システムの成分は、トランスポザーゼ結合部位(矢じり)を含有する末端逆方向反復配列を少なくとも含有する転位因子を含み、適当なプロモーターを備えた目的遺伝子を含有しうる。標的化は、標的化ドメインをトランスポザーゼと融合させることによって、達成される。転位を生じさせるためには、その融合がトランスポザーゼの活性を妨げてはならない。(A)この融合タンパク質においては、標的DNAへの結合を担う特異的DNA標的化タンパク質ドメインがトランスポザーゼに融合しており、それにより、新規かつ配列特異的なDNA標的化機能が付与されている。(B)この融合タンパク質においては、タンパク質ドメインが、内因性の又は操作されたDNA標的化タンパク質と相互作用する。(C)この融合タンパク質においては、核小体局在化シグナルが、転位複合体を、反復リボソームRNA遺伝子から構成される核小体内へ方向付ける。 SBトランスポザーゼとテトラサイクリンリプレッサーとから構成される融合タンパク質は、両方の連結相手の機能性を保持する。(A) テトラサイクリンリプレッサー(TetR)、グリシン架橋、およびSBトランスポザーゼからなる融合タンパク質の概略図。(B) TetR/SBの存在下および不在下でのGFP陽性細胞の数。TRE-GFPリポーターを含む細胞系を、テトラサイクリン・トランスアクチベーターとβ-ガラクトシダーゼまたはTetR/SBのいずれかとでトランスフェクトした。TetR/SBの存在は、おそらくTREプロモーター領域への結合における上記トランスアクチベーターとの競合によって、GFP陽性細胞の数を減少させる。(c) TetR/SB融合タンパク質は、転位において活性を有する。HeLa細胞を、T/neoトランスポゾンマーカー、およびSBトランスポザーゼまたはTetR/SBを用いて、トランスフェクトした。G418耐性コロニーを計数した。

Claims (27)

  1. (a)目的のポリヌクレオチドを含む、機能的トランスポザーゼをコードするポリヌクレオチドを欠くトランスポゾン、ならびに
    (b)(ba)トランスポザーゼまたはトランスポザーゼ機能を有するその断片もしくは誘導体と、
    (bb)DNA標的化ドメイン、もしくは
    (bc)DNA標的化ドメインを含む細胞性のもしくは操作された(ポリ)ペプチドに結合する(ポリ)ペプチド結合ドメイン、もしくは
    (bd)(bb)のDNA標的化ドメインもしくは(bc)の(ポリ)ペプチド結合ドメインを含む(ポリ)ペプチドと、
    を含む融合タンパク質、または
    (c)(b)の融合タンパク質をコードするポリヌクレオチド、
    を含んでなる標的化システムであって、
    かつ、(ba)のトランスポザーゼまたはトランスポザーゼ機能を有するその断片もしくは誘導体が、(bb)の前記ドメイン、または(bc)の前記ドメイン、または(bd)の前記(ポリ)ペプチドに、リンカーによって連結されている、前記標的化システム。
  2. (c)の(ポリ)ヌクレオチドが更に、DNA標的化ドメインを含む細胞性のまたは操作された(ポリ)ペプチドをコードする、請求項1記載の標的化システム。
  3. (da)前記のDNA標的化ドメインを含む細胞性のまたは操作された(ポリ)ペプチド、または
    (db)(da)の(ポリ)ペプチドをコードするポリヌクレオチド、
    を更に含む、請求項1記載の標的化システム。
  4. (a)のトランスポゾンおよび/または(c)のポリヌクレオチドおよび/または(bd)の(ポリ)ヌクレオチドが少なくとも1つのベクター内に含まれる、請求項1〜3のいずれか1項記載の標的化システム。
  5. 前記の少なくとも1つのベクターがプラスミドである、請求項4記載の標的化システム。
  6. 目的のポリヌクレオチドが(ポリ)ペプチドをコードする、請求項1〜5のいずれか1項記載の標的化システム。
  7. 目的の(ポリ)ペプチドが、治療的に活性な(ポリ)ペプチドである、請求項6記載の標的化システム。
  8. リンカーが、柔軟なリンカーである、請求項1〜7のいずれか1項記載の標的化システム。
  9. リンカーがグリシンリンカーまたはセリン-グリシンリンカーである、請求項1〜8のいずれか1項記載の標的化システム。
  10. DNA標的化ドメイン(bb)、またはDNA標的化ドメインを含む(ポリ)ペプチドと相互作用する前記ドメイン(bc)、またはそのいずれかのドメインを含む前記(ポリ)ペプチド(bd)が、トランスポザーゼまたはトランスポザーゼ機能を有するその断片もしくは誘導体のN末端に融合している、請求項1〜9のいずれか1項記載の標的化システム。
  11. DNA標的化ドメイン(bb)、またはDNA標的化ドメインを含む(ポリ)ペプチドと相互作用する前記ドメイン(bc)、またはそのいずれかのドメインを含む前記(ポリ)ペプチド(bd)が、トランスポザーゼまたはトランスポザーゼ機能を有するその断片もしくは誘導体のC末端に融合している、請求項1〜10のいずれか1項記載の標的化システム。
  12. DNA標的化ドメインが染色体DNA標的化ドメインである、請求項1〜11のいずれか1項記載の標的化システム。
  13. 染色体DNA標的化ドメインがユニーク染色体DNA配列、染色体DNA組成物または染色体領域である、請求項12記載の標的化システム。
  14. トランスポザーゼまたはトランスポザーゼ機能を有するその断片もしくは誘導体が、真核生物トランスポザーゼである、請求項1〜13のいずれか1項記載の標的化システム。
  15. トランスポザーゼが、スリーピング・ビューティー(Sleeping Beauty)トランスポザーゼもしくはフロッグ・プリンス(Frog Prince)トランスポザーゼであるか、またはそれらに由来する、請求項14記載の標的化システム。
  16. 融合タンパク質が、天然トランスポザーゼの全てのドメインを含む、請求項1〜15のいずれか1項記載の標的化システム。
  17. 融合タンパク質が更に、核局在化シグナル(NSL)を含む、請求項1〜16のいずれか1項記載の標的化システム。
  18. 前記のDNA標的化ドメインを含む(ポリ)ペプチドが、二量体化ドメインを含む、請求項1〜17のいずれか1項記載の標的化システム。
  19. 請求項1〜18のいずれか1項記載の標的化システムを含有する宿主細胞。
  20. 請求項19記載の宿主細胞を含んでなる宿主生物。
  21. 哺乳動物である、請求項20記載の宿主生物。
  22. 請求項1〜18のいずれか1項記載の標的化システムを含んでなる組成物。
  23. 医薬組成物である、請求項22記載の組成物。
  24. 請求項1〜18のいずれか1項記載の標的化システムを宿主細胞内に導入することを含んでなる、染色体位置を特異的に標的化するための方法。
  25. トランスフェクション、インジェクション、リポフェクション、ウイルストランスフェクションまたはエレクトロポレーションにより導入を行う、請求項24記載の方法。
  26. 宿主内に該宿主細胞を導入することを更に含む、請求項24または25記載の方法。
  27. 宿主細胞が宿主の一部である、請求項24または25記載の方法。
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