JP2006517407A - ハイスループットスクリーニングを可能とする骨疾患のモデル - Google Patents

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Abstract

骨の疾患または障害を治療するための薬剤および遺伝的サプレッサーを、特にゼブラフィッシュで、スクリーニングするための魚モデル、およびその使用。生きているゼブラフィッシュでの疾患状態の誘発ならびに骨格の可視化。in vivoでの骨格の可視化によって、骨の疾患の治療に用いることのできる化合物のスクリーニング、または疾患の表現型をレスキューもしくは抑制する遺伝的突然変異のスクリーニングが容易に行える。

Description

本発明は、骨粗鬆症ならびにその他の骨および関節の疾患または障害を改善する治療薬を、骨粗鬆症を誘発する作用物質に暴露されたゼブラフィッシュの胚期および幼生期の骨格の可視化によって、ハイスループット方式でスクリーニングするための新規な方法に関する。
骨粗鬆症およびその他の骨の喪失を伴う疾患は公衆衛生上大きな問題であり、世界中でこの疾患の発症の危険性を有する人々は1億人と見積もられている。骨粗鬆症は骨格が損なわれるところまで骨量が次第に減少して、骨がもろくなり骨折しやすくなることを特徴とする。ビスホスフォネートは骨粗鬆症の治療に広く用いられており、骨再吸収を阻害することによって作用する。しかし、顕著な骨の喪失を有する患者において骨形成を促進または増加させるための、または骨折の治癒のための薬剤はほとんどない。最近、スタチン系薬剤がin vitroで骨芽細胞の分化と骨形成を増大させる薬剤として提案されているが、スタチン系薬剤のin vivoでの骨粗鬆症の治療における有効性に関しては相反するデータがある。
本発明者らは、本明細書中で、ヒトでの骨粗鬆症状態と病理学的、生物学的、および臨床的な関連性を示す、骨粗鬆症(OP)のゼブラフィッシュモデルについて説明する。さらに、生体中での骨格の迅速な可視化を可能とする技法を用いて、このモデルが、新しい抗再吸収および同化促進治療薬をハイスループット方式でスクリーニングするのに適しており、また、変形性関節症(OA)および骨折の治癒にも応用しうることをここに実証する。
さらに別の臨床上の大きな問題は、ステロイド投与の副作用である。ステロイドは多くのヒトの炎症性疾患の治療に非常に有効である。しかし、多数の炎症性疾患が慢性のものであり、ステロイドの長期間にわたる使用に伴う副作用は臨床上大きな問題となっている。特に、ステロイドの使用は骨粗鬆症を誘発するとされている(GulkoおよびMulloy, 1996)。ステロイドを服用している患者は、一般的にはビスホスフォネートも同時に処方されているが、その有効性は部分的なものにすぎない(Weinsteinら, 2002)。
グルココルチコイドでの治療は、骨芽細胞生成を抑制することによって骨形成の減少を生じさせるとともに、破骨細胞の生存を延長させることによって骨再吸収を増加させる(Weinsteinら, 1998; Weinsteinら, 2002)。従って、グルココルチコイドでの処置はヒト骨粗鬆症の両側面を要約するものであるので、骨粗鬆症の優れた実験モデルである。適切な胚齢の胚期のゼブラフィッシュが入っている胚用培養液に、グルココルチコイドを適当量で適切な期間にわたり添加することによって、骨粗鬆症がもたらされるが、その骨粗鬆症は詳細な組織学的分析によって確認される。
本発明者らは、ゼブラフィッシュの幼生にOPを誘発させるためにグルココルチコイド処置を用いることができることを見出し、そこで観察された骨の喪失が骨格の脱石灰化および破骨細胞数の増加と相関していることを明らかにした。
さらに、本発明者らは骨格の石灰化の変化を可視化および定量化することができるので、このモデルはOPの新規の治療法を同定するためのハイスループットスクリーニングを可能にする。
また、本発明者らは、骨同化作用を直接的にアッセイする方法も見いだした。
ある疾患の遺伝的サプレッサーをスクリーニングするためには、野生型の胚に対して時間的に制御された様式でその疾患状態を誘発することができることが望ましい。本発明はそれを可能にする。その疾患の表現型を迅速にスクリーニングできることも重要である。本発明は、骨を標識する特定の蛍光染料を胚用培養液に添加することによって、このことを達成している。特に、頭部および体幹骨格の骨が、測定結果をヒトの疾患状態に関連付けるためにアッセイされる。
この系はまた、治療用化合物のハイスループットスクリーニングを可能とする。動物体がアッセイされるので、数種の可能性のある抗骨粗鬆症薬の最適な組み合わせを一緒にスクリーニングすることができる。
本発明では魚の疾患モデルが提供され、そのモデルは基本的な疾患を示すのみならず、その後のスクリーニングで使用するのに特に適している。ひいては、ヒトまたはその他の動物用の治療薬の同定を可能にする。
本発明は、魚の幼生期で、および成体の時点で、該モデルに骨疾患を誘発させることを包含する。
本発明は、魚の幼生期で、および成体の時点で、同化促進薬をスクリーニングすることを包含する。
本発明は種々の疾患および障害に一般的に適用可能であり、そのような例の範囲を本明細書で具体的に説明する。
本発明の1態様では、魚の骨および骨格を可視化しうるので、骨疾患および関節疾患を研究するための種々のモデルが、下記のパラグラフで述べるとおり、本発明によって提供される。これらのモデルの各々は、そのような疾患を治療する(すなわち、少なくともその疾患の症状を改善する)化合物および/または遺伝的サプレッサーをスクリーニングするための方法に適用することができる。
脊柱後彎症 − 本発明者らは、老化したゼブラフィッシュがヒトの脊椎後側彎症に近い骨の変形を発症することを観察した。これらの変化は主としてメスのゼブラフィッシュで観察され、そのことはそれらがホルモンによってもたらされた結果であることを示している。従って、これは高齢者における骨の変形の強力なモデルを提供する。
変形性関節症(OA) − 本発明者らは、ゼブラフィッシュとヒトの関節に類似性があることを見出し、関節の副成分(subcomponent)を可視化しうることを実証する。従って、これは、変形性関節症の疾患状態に適用可能な肋軟骨下骨生物学および軟骨ターンオーバーの修飾因子をスクリーニングするための方法を提供する。
さらに、我々は軟骨性骨および膜性骨に対する異化促進性および同化促進性化合物の示差的効果を観察した。発達途上の骨格では、骨は2つの作用機序のうちの1つ、すなわち軟骨性骨化または膜性骨化、によって形成される。軟骨性骨化の過程では、軟骨の鋳型が最初に軟骨芽細胞によって形成され、その後骨芽細胞がその鋳型内で発達するにつれて骨化するようになる。膜性骨化の過程では、骨は間充組織内で骨芽細胞から直接的に形成される。我々は異化促進性および同化促進性薬剤によって影響を受けた骨に相違があることを観察した。OPをグルココルチコイドで誘発すると、主として膜性骨が影響を受けるようである。これに対して、同化促進剤は軟骨性骨の発達を選択的に促進することが見出された。この後者の観察結果は、軟骨芽細胞と骨芽細胞のバランスが正常な関節の維持にきわめて重要であるので、OAに対する化合物を開発する上で重要でありうる。in vivoでの軟骨芽細胞と骨芽細胞の活性と産生量(output)を調べることによって、関節疾患の病因についての理解および可能な治療法を見出すことができる。例えば、OAでは、骨形成(特に、軟骨性骨)に対して同化作用を有する化合物は、有害となる可能性がある。従って、我々の骨アッセイで同化作用を有する(すなわち、軟骨を減らして骨を形成する)ある種の受容体のアゴニストを同定すれば、それは軟骨形成を促進し、OAの治療のための適切な標的となるであろう。
固定化 − ゼブラフィッシュの動きを制限することによって骨形成速度は低減する。動きを強制的に制限すること、すなわち固定化は、骨生物学に対する環境的影響をモデル化するためのさらなる方法を提供する。
卵巣摘出 − 骨粗鬆症の標準的なげっ歯類モデルは卵巣摘出を含む。適切な化合物、例えば抗エストロゲン剤などを投与することによって、類似したモデルを化学的卵巣摘出によりゼブラフィッシュに作ることができる。
骨強度の評価 − ゼブラフィッシュの骨強度に関する機能的データはマイクロゲージ(microgauge)を使用することによって得ることができる。
生化学的評価 − 骨の分解産物の生化学的測定は、骨生物学およびOPを評価するためのさらなる方法を提供する。測定するためのサンプルは魚の住んでいる水または魚の抽出物から好都合に採取することができる。
ひれの破損 − 骨折の修復を加速する化合物には潜在的には巨大な市場があるが、そのような化合物のスクリーニングは、実験動物に与える不快さの程度が激しく大規模なスクリーニングは行い得ないと考えられ、げっ歯類での研究に限定されてきた。ゼブラフィッシュのひれの破損と修復は哺乳類の骨折の修復と類似したものであり、このモデルは修復過程を加速する因子の探索に有用でありうる。ゼブラフィッシュのひれは近位部の軟骨性の鰭条(ray)と遠位部の骨性の鰭条からなっており、各鰭条は結合組織によって隣の鰭条と隔てられている。骨性の鰭条の各々には動脈および神経があり、免疫組織学的分析では、骨片母細胞(scleroblast)(骨芽細胞様細胞)および破骨細胞がこれらの骨部材と密接に結合していることが見出されている。
ゼブラフィッシュのひれは、切断後、これらの構成成分の全てを再生することができる(Akimenkoら, 2003)。
さらに、尾びれの切片の切断は非常に軽微な方法であると考えられ、遺伝子型分析のためにDNAを採取する方法として一般的に用いられている。尾びれの規定された部分を切断すると、定量しうる修復が常に行われ、それによって骨の修復を加速する薬剤(例えば、同化促進剤)のスクリーニングが可能となる。
従って、本発明は、骨、軟骨および/または関節の喪失、その他の骨、関節および軟骨の障害、変形性関節症、骨折の治癒、脊椎後側彎症、ならびにその他の加齢に関連した骨の変化に影響を及ぼす化合物および/または突然変異のスクリーニング法を提供する。
本発明はまた、エストロゲンおよび抗エストロゲン、骨への影響のより少ない次世代のステロイド、ならびに同化促進剤のスクリーニング法をも提供する。
頭部骨格の分析
骨形成の第3の作用機序は硬骨魚類に認められる−それは無細胞性の骨形成である。この過程では、類骨マトリックスが細胞によって表面上に敷き詰められ、外に向かって分泌される。発育が進むにつれて、このマトリックスには骨芽細胞と破骨細胞が住み着くようになると考えられている。我々は脊柱が無細胞性の骨形成の過程で生じることを実証しており(Flemingら, 2004)、従って脊柱はヒトの骨粗鬆症と関連性のある骨の特徴を有していないので、幼生期のゼブラフィッシュでの同化促進剤または骨粗鬆症の研究用として適切な組織でない。しかし、頭部骨格は軟骨性骨化および膜性骨化の過程で形成され、我々は幼生期に骨芽細胞、骨細胞、および破骨細胞が存在することを実証した。従って、ゼブラフィッシュの頭部骨格は、ヒトにおけるOPおよび骨形成と関連性のある特徴を多数有しているので、OPおよび同化促進効果を研究するためのモデルとしては理想的である。
本発明は、本明細書で特許請求し開示している手段、特に魚モデル、および本明細書で特許請求し開示している方法を提供する。
ゼブラフィッシュは哺乳類と無脊椎動物のモデル系の多数の利点を併せもつ生物である。ゼブラフィッシュは脊椎動物であり、従ってショウジョウバエまたはその他の無脊椎動物よりもヒト疾患のモデルとしてより関連性のあるものであるが、他の脊椎動物のモデルとは異なり、ゼブラフィッシュは遺伝的スクリーニングを行うために用いることができる。
学術的審査を経たいくつかの論文は、ヒトの障害のモデルとするための生物種としてゼブラフィッシュを用いていることを強調し、その意義を確認している(DooleyおよびZon (2000)、BarutおよびZon (2000);Fishman (2001))。
脊椎動物の使用は、疾患に関連した遺伝子および過程を同定するための高性能な分析を行う機会を提供する。
本発明者らは、無脊椎動物のスケーラビリティ(scalability)と脊椎動物のモデル化能のユニークな組み合わせを有するものとしてゼブラフィッシュを高く評価してきた。ゼブラフィッシュは発育が早く、受精後24時間以内に基本的な体の仕組みが既にできている。さらに、ゼブラフィッシュの子宮外発育が透明な莢膜内で行われるので、解剖用顕微鏡によって内部器官をin vivoで容易に可視化することができる。生命の最初の1週間、その時期では胚は長さが数mmにすぎず、100μLの液体中で生存することができるが、その期間内に多数の疾患状態をモデル化することができる。このことによってマルチチャンネルのフォーマット、例えば96ウェルプレートのフォーマットで、個々の胚の分析が可能となる。このことは、多数の化学物質が96ウェルプレートのフォーマットで配置される薬物スクリーニングに特に有用である。
あるいはまた、ペトリ皿もしくはタンク中に魚の集団を入れて用いることができる。魚の集団は、例えば1種以上の試験物質またはその組み合わせを水中に添加することで、一緒に処理することができ、一緒に試験することができる。
ゼブラフィッシュは成熟までの期間が2〜3ヶ月間と短く、非常に多産で1対の成魚から1週間あたり100〜200匹の子を産むことができる。胚と成体はともに小さく、長さは胚で数mm、成体で2〜3cmである。ゼブラフィッシュは安価で、飼育も簡単である。小さな場所で多数の子を産むことができるのでスケーラビリティを高くしうる。
ゼブラフィッシュの他に、フグ、金魚、メダカ、およびジャイアントレリオ(giant rerio)などの他の魚も、本明細書で開示しているとおり、本発明の態様および実施形態での操作、突然変異および研究、ならびに使用に適している。
さらに別の態様においては、本発明は、本明細書で開示した魚モデルを作製する方法を提供し、このモデルは本明細書で開示し下記でさらに述べるスクリーニングに有用であり、また、そのようなスクリーニングに用いることができる。
魚を突然変異させて、その突然変異が疾患の表現型に及ぼす影響を調べるためには、いくつかのアプローチを取ることができる。
そのような方法は、ある疾患遺伝子のコード配列が魚の体内で所望の誘導能および/または組織特異性を有するプロモーターと機能的に連結されている遺伝子構築物を提供し、該遺伝子構築物を魚の胚中に導入し、該遺伝子構築物が魚の胚のゲノム中に組み込まれるようにし、その魚の胚を生きた魚に生育させることを含んでなる。
生存能と生殖能のある魚を1匹以上の他の魚と交配させて、該プロモーターと機能的に連結されて該プロモーターの制御下にある該疾患遺伝子を含んでなる遺伝子構築物を導入された魚、例えばゼブラフィッシュの系統を樹立することができる。このような魚、例えばゼブラフィッシュの系統は、ここで開示しているとおり、スクリーニングに有用である。
遺伝子を魚の胚、例えばゼブラフィッシュの胚に導入するためには、遺伝子構築物を当業者に利用可能な技法を用いて作製する。該構築物は、制限酵素による消化によってベクターから遊離させ、ゲルで精製し、例えば1xTE(pH8.0)で溶出させて、実験で用いる濃度50〜100μg/mL KCl(その中にテトラメチルローダミンデキストラン(0.125%)などのマーカー色素を含有させておく)に希釈することができる。典型的には、この溶液1〜3nLを単細胞のゼブラフィッシュ胚中に注入する。数千個の胚に注入することができる。
注入された胚を生育させ、互いに交配させるか、または非トランスジェニック野生型魚と交配させる。トランスジーンの次世代以降への伝達は通常はモザイクとなり、2%から90%の範囲である。典型的には、始祖となる魚がトランスジーンを有しているかを確定するために少なくとも100匹の子を分析する。
所望の表現型および/または遺伝子型を示している魚を生育させて、野生型の魚と交配させることができる。親と子をマッチさせて、その子の表現型および/または遺伝子型を同様にして調べることができる。特定の表現型を有し、それゆえに組み込まれた疾患遺伝子構築物の生殖細胞系への伝達がなされたと考えられる子を選択的に繁殖させることができる。一部の子はより詳細な分析のために、例えば、該疾患の性質を確認するために、犠牲にする。この分析には以下のものが含まれる:魚の細胞内での該構築物の発現を調べるための、導入された遺伝子に対するセンスおよびアンチセンスプローブを用いたin situハイブリダイゼーション研究;組織または細胞に及ぼす影響を調べるためのプラスチックの切片を用いた評価などの解剖学的評価;および細胞のアポトーシスによる細胞死を調べるためのターミナルデオキシウリジンヌクレオチド末端ラベリング(TUNEL)。
適切な性質を有する魚が由来したもとのファミリーを次世代以降にわたって維持することができる。このような維持によって、この新たな突然変異体の系統を本発明のさらに別の態様に従って第2のスクリーニングにかけることができる。
本発明の態様および実施形態で用いられる疾患遺伝子配列(例えば、ゼブラフィッシュなどの魚に対して異種)などの遺伝子としては、野生型遺伝子、または突然変異型、変異型もしくは派生型配列を用いることができる。該配列は、示した配列の1個以上のヌクレオチドの付加、挿入、欠失および置換による変化によって野生型とは異なるものとすることができる。ヌクレオチド配列の変化はタンパク質レベルでアミノ酸の変化をもたらす可能性があり、そうでないこともあるが、それは遺伝暗号によって決定される。
本発明のいくつかの態様は、誘導された表現型の遺伝的レスキューに関するものである。ゼブラフィッシュなどの魚は特に遺伝的レスキュー実験を行ないやすい。
エチルニトロソ尿素(ENU)などの突然変異原を用いて、F1-3世代(優性)またはF3世代(劣性)のいずれかにおいて、レスキュースクリーニング用の突然変異型系統を作出することができる。(劣性の突然変異を繁殖させてホモ接合体とすることができるのは第3世代までである。)ENUは高効率で点突然変異を導入するが、表現型は大部分が劣性となる。レトロウイルスベクターを突然変異誘発に用いることができ、レトロウイルスベクターはENUと比較するとその効率が1桁低いが、変異した遺伝子の迅速なクローニングが行えるという利点がある(例えば、Gollingら(2002), Nat. Genet. 31, 135-140)。Mariner/Tcファミリー転位性因子がゼブラフィッシュのゲノム中に成功裏に動員されており、これを突然変異誘発剤として用いることができる(Razら, (1998) Curr. Biol. 8, 82-8)。ENUは現在のところ依然として最も効率的で容易な方法であり、今のところ好んで用いられている。
次いでレスキュー系統が作出され、基礎となる遺伝子がマッピングされる。
変異型遺伝子のマッピングは比較的容易である。例えば、ゼブラフィッシュをよく用いるようになったのが比較的最近であるにもかかわらず、魚の遺伝マップ上のマーカーの密度は、マウスのマップの該密度よりも既にかなり大きい。ゼブラフィッシュに関するハーバードのウェブサイトを開けて"zebrafish"および"harvard"の用語を用いて利用可能な何らかのブラウザを用いて見つけることができ、現在(2002年11月28日および2004年1月22日)、(http://zebrafish.mgh.harvard.edu/mapping/ssr_map_index.html)で見つけることができる。サンガーセンター(Sanger Center)はゼブラフィッシュゲノムの配列を決定しつつあり、現在のところ(2002年11月28日および2004年1月22日)それはwww.ensemble.org/Danio_rerio/で公表されている。このサイトは"danio rerio"および"Sanger"または"ENSEMBL"の用語を用いて任意のウェブブラウザで見つけることができる。約70,000のESTが同定されており、放射線ハイブリッドマップ上にマッピングされつつある。
本発明に従って行動または生理的状態の面に対する影響を導入するための別の戦略は、ある遺伝子の機能または活性を、例えば遺伝子サイレンシングまたはアンチセンス技法(例えば、RNA干渉もしくはモルホリノ(morpholino)など)を用いて、ダウンレギュレートすることである。これらは、候補遺伝子を標的としてもよいし、または系統的なスクリーニングの一部として遺伝子のアレイに対して作成されてもよい。ゼブラフィッシュの胚を含めて、魚の胚が子宮外で発育する場合には、RNA、DNA、化学物質、モルホリノ、または蛍光マーカーを胚に注入することは比較的容易である。
モルホリノ(morpholino)は、分解から防護して安定性を高めるモルホリン環に連結させたA、C、G、またはTを含有する修飾オリゴヌクレオチドである。アンチセンス・モルホリノはRNAに結合してRNAを不活化するが、ゼブラフィッシュでは特によく作用するように思われる。このアプローチにはいくつかの難点があるが、例えば、推測によって遺伝子配列を知る必要があること、化学物質を初期胚に注入する必要があること、毒性の副作用が起こる可能性があること、および作用の持続時間が比較的短いことである。さらに、アンチセンス・モルホリノは遺伝子の機能をノックダウンさせるので、点突然変異と同じレパートリーの対立遺伝子変化を提供しない。
in vivoスクリーニングの一部として遺伝子またはタンパク質の機能に変化を与えるためのさらに別の戦略は、本明細書に開示したスクリーニング戦略の他の種々の成分のいずれかと組み合わせて、タンパク質アプタマーを発現するトランスジェニック系統を作製し、それらを疾患のある系統と交配させるかまたは他の手段で疾患を誘発させ、次いで疾患状態に変化があるかをアッセイすることである。タンパク質アプタマーは創薬の別のルートを提供するが(Colas, 1996)、本発明でのタンパク質アプタマーの有効性をin vivoでアッセイする能力は、in vitroスクリーニング法を越えてそれらの有用性を顕著に増大させるものである。
特定のプロモーターの制御下にある疾患遺伝子についてトランスジェニックであり、かつ魚の行動または生理的状態の面に対する該疾患遺伝子の活性または影響を低減させるサプレッサー遺伝子内に突然変異を有する突然変異型の魚、例えば突然変異型ゼブラフィッシュは、それ自体が、該サプレッサー遺伝子の抑制効果をモジュレートするかまたは影響を及ぼす(好ましくは、増強するかまたは増大させる)ことのできる試験物質についてのさらに別のアッセイにおいて有用である。ある遺伝子内の突然変異が第2の遺伝子の活性を増強または増大させることが確認される場合には、同じことが当てはまることは明らかである。
当然のことながら、当業者であれば、試験アッセイで得られた結果と比較するための適切な対照実験をデザインするであろう。
さらに別の種々の態様において、本発明は、対象の疾患遺伝子に影響を与えるかまたは対象の疾患遺伝子の抑制に影響を与えることが見出された、サプレッサー遺伝子もしくはその他の遺伝子、または遺伝子産物もしくは物質を含んでなる医薬組成物、医薬品、薬物、またはその他の組成物、そのような物質の医学的治療法における使用、そのような物質を例えば医学的状態の治療(それには予防的治療が含まれる)のために患者に投与することを含む方法、疾患の治療などの目的で投与するための組成物、医薬品または薬物の製造におけるそのような物質の使用、ならびにそのような物質を製薬上許容される添加剤、ビヒクルもしくは担体、および任意でその他の成分と混合することを含んでなる医薬組成物の調製方法を提供する。
本発明の手段によって同定されるかまたは得られる1種以上の小分子が治療薬として好ましいであろう。しかし、本発明は、抗体介在療法、遺伝子ターゲティングもしくはタンパク質ターゲティングが介在する療法、またはRNAi、アンチセンスおよびモルホリノを含む種々の遺伝子サイレンシング法のいずれかのための適切な標的を同定するために用いることができる。
あるいはまた、遺伝的突然変異の誘導を介して表現型をレスキューしようとの試みに替わって、またはその試みとともに、試験物質(例えば、1種以上の化学物質)の適用を介してレスキューを行うことができる。この状況においては、上述の方法の全てでレスキューのための突然変異ステップが必要というわけではない(しかし、突然変異ステップが疾患状態を誘発させるための方法の一部であるならば、該ステップは必要となろう)。
本発明のさらに別の態様においては、疾患状態の発生に影響を及ぼすことのできる物質をスクリーニングするために、疾患状態の1以上の症状が誘発されているか、またはモデル化されている魚を、試験物質で処理することができる。その試験物質の効果を評価するには、処理された魚の行動または生理的状態を未処理の魚の行動または生理的状態と比較して、処理された魚のうち未処理の魚と比較して行動または生理的状態の変化したものを同定し、それによって該疾患状態の発生に影響を及ぼす試験物質を同定する。
本発明は、投与された際に疾患状態の症状を改善する試験物質をスクリーニングする方法に用いるための手段、特に魚モデルを提供する。
試験物質による魚の処理は多数の方法で行うことができる。例えば、魚を試験物質と接触させることができ、その試験物質を魚の表面に触れさせたり、こすりつけたり、または魚の体内に注射してもよい。
魚、特にゼブラフィッシュのさらに別の利点は、水の中に住んでいるという点である。このことは、試験物質を魚のいる水の中に添加すればよいので、試験物質の投与を容易にする。また、ゼブラフィッシュやその他の魚は化学物質を容易に吸収する。水中の化学物質の有効濃度は哺乳類での有効血漿中濃度と同等であることが多い。
マルチウェルプレート、例えば96ウェルプレートの各ウェルに異なる試験物質を添加して、有益なまたは有害な作用を示す試験物質を同定することができる。各ウェル中に1匹以上の魚を入れて、試験物質に暴露してもよい。
さらに、本発明者らは、ゼブラフィッシュがDMSO(ジメチルスルホキシド)に耐性があることも発見した。このことは、DMSOが多数の薬剤を溶解するための溶剤として用いられるので、重要である。本発明者らは、ゼブラフィッシュが1%のDMSOに耐性であることを確認した。従って、候補薬剤またはその他の試験物質をDMSO中に溶解して、魚のいる水にDMSOの最終濃度が最高1%となるように添加することによってゼブラフィッシュに投与することができる。このことは本発明の様々な好ましい態様および実施形態において採用される。
試験物質は疾患の表現型の出現に先立って添加することができ、または疾患の表現型の出現と同時に添加することもできる。好ましくは試験物質は疾患の表現型出現の後に添加される。
同一の試験物質を異なるウェル中に異なる濃度で添加することができる。例えば、試験物質1をウェルA1に1mMの濃度で添加し、ウェルA2に100μMの濃度で、ウェルA3に10μMの濃度で、ウェルA4に1μMの濃度で、ウェルA5に0.1μMの濃度で添加することができる。次いで試験物質2をウェルB1に添加するなど、同様に行う。一群の試験物質は既知の薬剤であっても、新しい化学物質であってもよい。
さらに、試験物質は組み合わせて添加することができる。例えば、ウェルA2には試験物質1および2を添加し、ウェルA3には試験物質1および3、ウェルB2には試験物質2および3を添加することができる。あるいはまた、全てのウェルに試験物質xを含有させ、その個々のウェルに追加の試験物質を含有させることができる。
他の選択肢として、ペトリ皿またはタンク中の魚の集団を用いて、その集団を、例えば水中に1種以上の試験物質またはそれらの組み合わせを添加して、一緒に処理することができる。
このように、ゼブラフィッシュは脊椎動物の生物学的経路の全体をハイスループット方式でスクリーニングすることを可能とする。
特定の態様および実施形態において本発明は、別の物質との相乗的な組み合わせを提供する物質のスクリーニング法(好ましくは、その物質の同定および取得方法)、または一緒になって相加的もしくは相乗的な組み合わせを提供する2種以上の物質のスクリーニング法(好ましくは、それらの物質の同定および取得方法)を提供する。臨床上の有益性は薬物の相乗的組み合わせから生じることが多い。本発明に従うin vivo系を使用することによって、そのような相乗的組み合わせの同定が可能となる。
このように、特定の実施形態においては、本発明は、上述のとおり魚を2種以上の物質(それらのうち少なくとも1種は試験物質)で処理し、行動または生理学的状態に対しての最適な効果を確認するために、2種以上の物質を(同時にまたは順次適用して)組み合わせた場合の効果を、2種以上の物質のいずれかまたは双方を個別にまたは単独で適用した場合の効果と比較することを含んでいる。適用された物質の全て(または双方)が各々試験物質であってもよく、またはそれらの物質のうちの1種が該モデルの対象となっている疾患に有益な効果を有することが知られているか、または少なくとも処理された魚モデルにおいて効果を有することが知られている薬物であってもよい。
従って、本発明は、既知の薬物に対して相加的効果を提供するか、または既知の薬物とともに相乗的効果を提供する物質のスクリーニング法(好ましくは、その物質の同定および取得方法)を提供する。本発明はまた、2種以上の物質を個々にまたは単独で用いた場合の効果と比較して、相乗的効果を提供する2種以上の物質の組み合わせのスクリーニング法(好ましくは、その物質の同定および取得方法)を提供する。
現在使われている薬剤を患者から取り去って新薬と置き換えるような臨床試験を行うことは困難であるので、付加療法(add-on therapy)が有用である。患者は、少なくともある程度の立証済みの効力があり、かつ副作用のプロファイルにある程度の信頼性のあるような薬剤を奪われることとなる。さらに、その患者は、現在用いている薬剤を取り去って試験薬剤の量を徐々に上げている期間は疾患からの攻撃を受けやすくなろう。
試験物質に加えて、魚を野生型の魚ではなく突然変異させた魚とすることができる。その後、その突然変異に試験物質が付加された場合の相互作用的な効果(有益な相乗効果または有害作用)をアッセイすることができる。あるいはまた、そのような分析を既知の治療剤と遺伝的突然変異について行って、既知の薬剤との組み合わせで有益な新薬標的、またはどの患者が既知の薬剤の処方から利益を得る(または利益を得ない)可能性が大きいかを予測する際に使用する遺伝的マーカーを発見することができる。
別の実施形態においては、候補薬剤の組み合わせを、ある疾患の1以上の症状を有している魚(本明細書で開示しているとおりに作製することができる)に投与し、その組み合わせが個々の薬剤よりも有効であるか否かを評価する。
例えば、臨床試験中であるかまたは現在処方されている薬剤が種々存在する。その例のために、試験される薬剤が11種類あると仮定する。これらの種々の薬剤は生物学的経路の異なる苦境の時点で作用し、思慮深い同時処方によって、いずれの薬剤の単独投与よりも良好で、しかも副作用のプロファイルが悪化しない最適な組み合わせを見出すことが可能であると考えられる。最適な組み合わせを決定するための臨床試験(実際には哺乳類での研究)を行なうことは非常に困難である。本発明はこのことを可能とするものである。
本発明はまた、活性物質、例えば治療上の活性物質の1以上の副作用を改善する物質のスクリーニング法(好ましくは、その物質の同定または取得方法)を提供する。臨床試験段階で中止されたり、販売されているものの処方されることが稀である薬剤は多数あり、それは治療上効果がなかったためではなく、副作用のプロファイルによって制限されるためである。副作用は比較的良性なものもあり、または腎障害(例えば、シクロスポリン)などのような患者にとって重大なものもありうる。そのような有益な効果が証明されている薬剤の投与が、副作用のプロファイルを改善する付加的薬剤の同時投与によって、可能となることが望ましい。
本発明では、活性物質の投与が副作用を誘発するかまたは副作用を反映もしくは示す他の表現型を誘発するような薬剤が魚を用いてスクリーニングされる。従って、本発明の実施形態においては、ある疾患の1以上の症状を有する魚に活性薬剤を投与して、1種以上の試験物質を与えた場合にその魚に現れる副作用またはその他の表現型を評価する。これには同時投与される薬剤の作用についての知識は必要としない。別の実施形態においては、所望の治療効果を副作用の低減を伴って達成する薬剤は、疾患の表現型および副作用の表現型を評価することによって、スクリーニングする(好ましくは同定または取得する)ことができる。本発明の他の態様および実施形態と同様に、このことには、主たる化合物を一連の候補物質とともに、または無作為に誘発させた遺伝的突然変異とともに、同時に施すことが含まれる。後者のアプローチ、すなわち突然変異を用いるアプローチでは、改善的効果を提供する突然変異を有する魚を同定した後に、適切な共治療薬を同定するための後続のステップが必要である。
薬剤様化合物の広範なライブラリー、例えばLOPACライブラリー(Sigma)を用いることができ、またはChembridge PHARMACOphoreの広範なコンビナトリアルライブラリーを用いることができる。特定の標的クラスを標的とする他のライブラリー、例えばイオンチャンネルライブラリーまたはGタンパク質ライブラリーなどを用いてもよい。
本発明ではまたさらに、治療薬に対する応答性と関連した突然変異、遺伝子型、対立遺伝子変異、ハプロタイプ、および遺伝的プロファイルを同定する方法を提供する。標的を定めて処方することへの動きは拡大しつつあり、そのような動きによって、治療薬の選択は患者の遺伝子型判定によって影響を受ける。ある化合物の治療上の有効性および特定の副作用が起こる可能性の双方を予測するために、特定の多型が見出されている。このような合理的な処方は費用効率が高い。また、そのような処方のやり方は臨床試験を行いやすくするが、それは有望なレスポンダーを標的として選ぶことができ、従って、統計的有意差を得るためのサンプルのサイズをより小さくすることができるからである。しかし、現在のところは、既に処方されているものまたは開発中のものの双方の大多数の薬剤は適切な試験法を有していない。
本発明は、無作為な遺伝的突然変異と組み合わせて種々の医薬品の有効性を評価して、治療上の有効性を増強または低減させかつ/または副作用のプロファイルを変える突然変異を同定する方法を提供する。これによって、ある薬剤またはその他の治療法に対する特定の応答と関連した遺伝子、多型、突然変異、対立遺伝子、およびハプロタイプの同定が可能となり、合理的な処方を行うための、ヒトにおける適切な遺伝的アッセイ法の開発が可能となる。
例えば化学的突然変異誘発を用いて、ゼブラフィッシュのゲノム中に無作為な突然変異を導入することができる(Solnica-Krezelら, Genetics 1994, 136(4):1401-20)。また、外来性遺伝子を持つトランスジェニック魚を作製することも可能である。
さらに別の実施形態においては、有益な薬剤を処方することや既に有益であることが知られている薬剤の有効性を改善することを標的とするのではなく、本発明は薬剤(ネガティブな副作用プロファイルのために副作用が低減されなければ処方されない薬剤)の副作用を低減させるために用いることができる。このような状況下で、有害な副作用がアッセイされ、その際、この有害な副作用の改善は追加的な化学物質または相互作用遺伝子の結果を通して試験される。
新薬の同定に至る製薬学の研究には、膨大な数の候補物質のスクリーニングが含まれ、それはあるリード化合物が見つけ出される前、およびその後にすらも行われる。このことが、製薬研究を巨額な費用を要し時間のかかるものにしている1つの要因である。スクリーニング法を支援する手段があれば、それはかなりの商業的重要性と有用性を有するものとなりうる。ある障害または疾患の治療または予防に有用でありうる物質をスクリーニングするためのそのような手段は、本発明に従う魚によって提供される。本発明を用いて同定されるエンハンサーまたはサプレッサー遺伝子などの修飾因子遺伝子、およびそのサプレッサー遺伝子の活性に影響を与える物質は、疾患に対する戦いへの前進に相当するが、それは、治療薬の活性または効果に影響を及ぼすことができる試験物質や、魚における疾患遺伝子の発現の活性または効果に影響を及ぼす物質がそうであるように、それらがin vivoで用いるための治療薬のデザインおよび研究の基礎を提供するからてらある。
本発明は、さらに別の種々の態様において、スクリーニングおよびアッセイの方法と手段、ならびにそれによって同定される物質に関する。
本発明の医学的治療法で用いられる物質が何であれ、その投与は好ましくは「予防上有効な量」または「治療上有効な量」で行われ(場合によっては、予防が治療と見なされることもあるが)、それは個体に有益性を示すのに十分な量である。実際の投与量、ならびに投与の回数と時間経過は、治療しようとするものの性質と重症度によって変わる。治療の処方、例えば投与量の決定などは、一般医およびその他の医師の責任の範囲内である。
本発明の医薬組成物、および本発明に従って使用される医薬組成物は、有効成分の他に製薬上許容される添加剤、担体、バッファー、安定化剤、またはその他の当業者にはよく知られた物質を含むことができる。そのような物質は無毒なものでなければならず、有効成分の効力を妨害するものであってはならない。担体またはその他の物質の正確な性質は、投与経路によって変わり、投与経路としては、経口、または例えば、皮内、皮下、もしくは静脈内などの注射によるものでありうる。
経口投与用の医薬組成物は、錠剤、カプセル剤、粉末剤、または液剤の形態とすることができる。錠剤には、ゼラチンなどの固体の担体、またはアジュバントを含有させることができる。液状の医薬組成物は、通常は水、石油、動物性または植物性の油、鉱物油、または合成油などの液状の担体を含んでいる。生理食塩液、ブドウ糖もしくはその他の糖溶液、またはエチレングリコール、プロピレングリコール、もしくはポリエチレングリコールなどのグリコールを含有させることができる。
静脈内、皮内、もしくは皮下注射、または患部への注射には、有効成分を非経口的投与で許容される水性溶液の形態とし、その溶液は発熱性物質不含で適切なpH、等張性、および安定性を有するものとする。当業者であれば、例えば塩化ナトリウム注射液、リンゲル注射液、乳酸リンゲル注射液などの等張性ビヒクルを用いて適切な溶液を調製することは十分に可能である。必要に応じて、保存剤、安定化剤、緩衝化剤、抗酸化剤、および/またはその他の添加剤を含有させることができる。
上述の技法とプロトコールの例はRemington's Pharmaceutical Sciences, 第16版, Osol, A.編, 1980中に見出すことができる。
ウイルスベクターなとのベクターは核酸を多様な標的細胞中に導入するために先行技術で用いられてきた。典型的には、トランスフェクションが所望のペプチドの発現から有用な治療的または予防的効果を提供するのに十分な比率の細胞に起こるように、ベクターを標的細胞に暴露させる。トランスフェクトされた核酸は標的細胞の各々のゲノム中に永久に組み入れられて長期間にわたって効果を示すか、あるいはまた、トランスフェクション処理を定期的に反復する必要がある。
ウイルスベクターおよびプラスミドベクターの多様なベクターが当業界では知られており、それらについては米国特許第5,252,479号およびWO 93/07282を参照のこと。とりわけ、多数のウイルスが遺伝子導入ベクターとして用いられており、それらにはパポバウイルス、例えばSV40、ワクシニアウイルス、HSVおよびEBVを含むヘルペスウイルス、ならびにレトロウイルスが含まれる。先行技術の遺伝子治療プロトコールの多くでは、病原性を失わせたマウス・レトロウイルスが用いられてきた。
遺伝子治療でのウイルスベクターの使用に替わるものとして、細胞中に核酸を導入する他の公知の方法があり、そのような方法としては、機械的技法、例えばマイクロインジェクション、リポソーム介在遺伝子導入、および受容体介在DNA導入があり、また、例えば筋肉内への単純な投与(例えば、プラスミドなどの核酸の注入)による裸のDNAもしくはRNAの投与が挙げられる。
試験物質の適用は本発明の実施形態に従って下記のように行うことができる:
1. 試験物質を、疾患状態が出現する前、疾患状態の誘発時点、または疾患状態の誘発後のいずれかに、魚に添加する。最初の2つの場合は予防的効果を有する化学物質を同定できる可能性が高く、後者は疾患状態を正常へと戻す薬剤を同定できるであろう。試験物質は1種の化学物質であってもよいし、96ウェルプレート中の魚にハイスループット方式で投与される無作為な化学物質であってもよく、またはペトリ皿中の一度に孵った魚の集団に投与される選択された化学物質であってもよい。
2. 次いで、初期の疾患状態からの変化について前記魚をスクリーニングする。
スクリーニングにおいては次の過程を追加することが非常に望ましく、本発明の好ましい実施形態においては、それらが採用される:
単一の化学物質を添加するのではなく、化学物質の組み合わせを添加する。例えば、既知の治療用薬剤を、さらに有益な効果がまだ検出されると予想される用量で全ての魚に投与することができる。次いで無作為な化学物質ライブラリーをその魚に添加して、増強効果をスクリーニングする。
さらに別の実施形態は、特定の突然変異を介する特定の薬剤の増強の検出を下記のように可能にする:
1. 上述のいずれかを用いて遺伝的突然変異を誘発させる。
2. 疾患状態を誘発させる。
3. 試験化学物質を投与する。
4. 上記の突然変異と化学物質の組み合わせがそれぞれの単独よりも優れているかを評価する。
5. 上述のとおり、その突然変異させた遺伝子を有益な標的として用いる。
本発明のさらに別の実施形態は、ある患者に対する特定の治療用薬剤の適切性を調べるのに役立つ遺伝的因子の同定を可能にする。その突然変異が該薬剤の効果を増強する場合には、ヒト相同体においてその突然変異を探索する。この突然変異を有する患者はその薬剤を優先的に処方されるべきである。その突然変異が有害作用をもたらしたり、効果の消失をもたらすような場合には、患者はその薬剤を避けるべきである。
本発明のさらに別の実施形態では、通常ならば毒性を示す薬剤の副作用を防止するのに役立つ遺伝的または化学的因子を同定することができる。下記は説明のための1実施形態であり、他の疾患の他の状況に適用することもできる:
1. 薬剤Xは疾患Yに対して有益な効果を有するが、副作用Zを生じさせる。
2. 薬剤Xを用いた治療に応答するが、副作用Zも併発するゼブラフィッシュモデルを作製する。
3. 処理された魚を化学物質のパネルで同時処理する(あるいはまた、薬剤標的への経路として突然変異を起こさせる)。
4. 副作用を示さなくなったが、有益な効果を依然として示している魚を選別する。次いで該化学物質を患者に併用薬剤として用いて薬剤Xのより安全な投与を可能にする(あるいはまた、突然変異を起こした遺伝子をマッピングして、併用薬剤の開発に用いる)。
本発明のさらに別の実施形態は、当初の表現型の改変を、化学的手段による遺伝的突然変異を介してではなく、タンパク質アプタマーを介して行おうとする試みに関する。例えば、1つの方法は下記に従って行うことができる:
1. 所望のアプタマーをコードする構築物(またはランダムアプタマーのランダム構築物)を胚に注入して、そのアプタマーを発現する系統を作製する。
2. 次いでそれらの系統を、疾患を発現している系統と交配させるか、またはその疾患状態をそれらの系統において誘発させる。
3. 次いでその系統を、予想される表現型または当初の表現型からの変化について試験する。
4. 変化が起こっていれば、該アプタマーがin vivoで作用していることの証拠であり、治療用薬剤を創出するために用いられる。
疾患の表現型に対してレスキューを与える突然変異を有する魚が同定されたら、下記のステップを行うことができる:
1. ゼブラフィッシュのレスキュー遺伝子のヒト相同体をクローン化する。
2. そのヒト相同体に同じタイプの突然変異を導入する。
3. 野生型および変異型の構築物を胚に注入する。
4. 疾患状態を誘発させて評価する。
5. 野生型遺伝子がレスキューを妨げるが、変異型遺伝子がレスキュー能を保持する場合には、その突然変異が有益であるとの証拠がさらに得られることとなる。しかし、結果がネガティブであっても、必ずしも有益性がないことにはならない。
6. ヒト相同体によってコードされるタンパク質は、in vitroでの直接的な薬物スクリーニングまたは方向づけられたin vivoスクリーニングに用いられる。
下記は、疾患を誘発させて、その後可視化させるための好ましい方法の説明である:
プレドニゾロンを用いた骨粗鬆症の誘発
ストック溶液
プレドニゾロンストック(Sigma M0639)は、胚用培養液中の50μg/mLのストックとなるように調製する。
このストックを最長2ヶ月間4℃で保存する。
毒性
E3M中の5μg/mLのプレドニゾロンは8〜10 d.p.f.で軽度の疾患表現型をもたらす。胚は10 d.p.f.を過ぎても生存する。
E3M中の10μg/mLのプレドニゾロンは8〜10 d.p.f.で容易に評価できる表現型をもたらす。胚は10 d.p.f.を過ぎても生存する。E3M中の20μg/mLのプレドニゾロンは、8〜10 d.p.f.で強い表現型をもたらすが、レスキュー用薬剤との併用で毒性である。化合物のスクリーニングには、10μg/mLの用量のプレドニゾロンを用いることができるが、その他の用量および暴露期間を用いてもよい。
スクリーニングのプロトコール
1) ゼブラフィッシュの幼生を3 d.p.f.から、10μg/mLのプレドニゾロンを含有する胚用培養液に入れる。
2) 骨形成のin vivo検査のためには、
a) ddH2O中にアリザリンレッドS(Sigma A5533)の飽和ストック−室温で最長12ヶ月間保存。
b) 10mLのE3M中に入れたOPを誘発させた胚に、50μLの飽和アリザリンレッドを添加する(すなわち、0.5%のアリザリンレッド)。胚は最短でも3時間染色する(最長48時間まで)。
c) in vivo検査は8〜10 d.p.f.から行うことができる。化合物ライブラリーのスクリーニングでは、観察を10 d.p.f.に行うべきである。
d) 麻酔した胚を蛍光顕微鏡下でローダミンフィルターを用いて見ることによって染色を観察する。
3) 骨形成のホールマウント(wholemount)組織学的検査のためには、
a) 10 d.p.f.の胚を0.2mg/mLの3-アミノ安息香酸エチルエステル(MS222)(Sigma)中に浸漬することにより麻酔する。
b) 胚をガラス製バイアルに移す。培養液を全て除去し、PBS中の4%パラホルムアルデヒド(Sigma 44,124-4)と交換する。
c) 室温で4〜24時間固定する。染色は下記のとおり行う。
d) サンプルを解剖用明視野顕微鏡上で見て染色を観察する。
プレドニゾロンに暴露した後の表現型は頭部骨格および脊椎骨での染色が低減している。
このモデルの妥当性は、ヒトIBDをレスキューすることが知られている薬剤ビスホスフォネートを用いると疾患の表現型がレスキューされることによって実証される。
骨粗鬆症のビスホスフォネートによるレスキュー
プロトコール:
1) 骨粗鬆症は上述のとおりプレドニゾロンを用いて誘発させた。
2) エチドロン酸(Sigma H6773)を胚用培養液中に10μg/mLのストックとして調製した。このストックは最長2ヶ月間4℃で保存した。
3) エチドロン酸とプレドニゾロンの同時投与を3 d.p.f.から10 d.p.f.まで行うことによって骨粗鬆症をレスキューした。
4) エチドロン酸の毒性:
5μg/mLのエチドロン酸 − 10μg/mLのプレドニゾロンと同時投与すると、幼生は10 d.p.f.を過ぎても生存可能。
10μg/mLのエチドロン酸 − 10μg/mLのプレドニゾロンと同時投与すると、幼生は10 d.p.f.を過ぎても生存可能。
ホールマウント骨格染色
ストック溶液
酸/アルコール中に0.1% アルシアングリーン(Sigma A1182)
酸/アルコール−100mLの70% EtOH、1mLの37% HCl
トリプシン−濃度
dH2O中の1% KOH (Sigma P6310)
1% KOH中の3% H2O2 (Sigma H1009)−毎週調製し、通気可能な蓋の付いた容器中に入れて4℃で保存
アリザリンレッドS (Sigma A5533)−dH2O中の飽和溶液
グリセロール(Sigma G7893)
軟骨のアルシアングリーン染色
染色プロトコール:
1) PBS中の4%PFA(Sigma 44,124-4)中で最短で2時間(最長で24時間)室温にて固定する
2) dH2O中で3回、各10分ずつ洗浄する
3) 0.1% アルシアングリーン中で最短で2時間(最長で一晩)染色する
4) 酸/アルコール中で30分間(小幼生)から24時間(成体)分化させる
5) dH2O中で再水和する、液量の半分を一度に交換する(3回の交換、各10分)
6) dH2O中で10分間洗浄する
7) トリプシンを用いて消化する−室温で10分間(幼生)、37℃で一晩(成体)−消化時間は肉眼で判断する
8) 0.5% KOH中に3% H2O2を含む液で全ての色素が脱色されるまで脱色する
9) 0.5% KOH中で洗う
10) KOHを徐々にグリセロールで置換する−胚が沈めば平衡化される
11) チモールを含む100% グリセロール中で保存する。
結果
軟骨−青色、その他の組織は無色
軟骨および骨のアルシアングリーンおよびアリザリンレッドでの染色
染色プロトコール:
1) PBS中の4%PFA(Sigma 44,124-4)中で最短で2時間(最長で24時間)室温で固定する
2) dH2O中で3回、各10分ずつ洗浄する
3) 0.1% アルシアングリーン中で最短で2時間(最長で一晩)染色する
4) 酸/アルコール中で30分間(小幼生)から24時間(成体)分化させる
(注) 酸への暴露が長くなると脱石灰化を起こす−暴露時間を最小限に止める
5) dH2O中で再水和する、液量の半分を一度に交換する(3回の交換、各10分)
6) dH2O中で10分間洗浄する
7) トリプシンを用いて消化する−室温で10分間(幼生)、37℃で一晩(成体)−消化時間は肉眼で判断する
8) 1% KOH中に3% H2O2を含む液で全ての色素が脱色されるまで脱色する
9) 1% KOH中で洗う−3回の洗浄、各10分間
10) 1% KOH中に十分量のアリザリンレッドストックを添加して染色し、溶液を暗紫色に変える(幼生では2時間、成体では8〜24時間)
11) 0.5%〜1.0% KOH中で分化させる
(注) KOHへの暴露が長くなると脱石灰化を起こす−暴露時間を最小限に止める
12) KOHを徐々にグリセロールで置換する−胚が沈めば平衡化される
13) チモールを加えた100% グリセロール中で保存する。
結果
軟骨−青色、骨−赤色、その他の組織は無色
骨のアリザリンレッド染色
染色プロトコール:
1) PBS中の4%PFA(Sigma 44,124-4)中で最短で2時間(最長で24時間)室温にて固定する
2) dH2O中で3回、各10分ずつ洗浄する
3) トリプシンを用いて消化する−室温で10分間(幼生)、37℃で一晩(成体)−消化時間は肉眼で判断する
4) 1% KOH中に3% H2O2を含む液で全ての色素が脱色されるまで脱色する
5) 1% KOH中で洗う−3回の洗浄、各10分間
6) 1% KOH中に十分量のアリザリンレッドストックを添加して染色し、溶液を暗紫色に変える(幼生では2時間、成体では8〜24時間)
7) 0.5%〜1.0% KOH中で分化させる
(注) KOHへの暴露が長くなると脱石灰化を起こす−暴露時間を最小限に止める
8) KOHを徐々にグリセロールで置換する−胚が沈めば平衡化される
9) チモールを加えた100% グリセロール中で保存する。
結果
骨−赤色、その他の組織は無色
骨のin vivo染色
染色プロトコール:
1) 頭蓋と顔の骨は3 d.p.f.から検出することができ、5 d.p.f.までには良好に染色されるようになる。脊椎骨は7 d.p.f.から検出することができ、10 d.p.f.までには良好に染色されるようになる
2) 標識化剤をE3M中の生きた幼生に添加する−最短の染色−2時間、最長の染色−数週間
3) 下記の発蛍光団のいずれかを用いることができる:
アリザリンレッド(Sigma A5533)−50μLの飽和ストックを10mLのE3Mに添加−ローダミンフィルター
クエルセチン(Sigma Q0125)−鉗子でひとつまみを10mLのE3Mに添加(溶解しない)−FITCフィルター
カルセイン(Sigma C0875)−DAPI/FITCフィルター
テトラサイクリン(Sigma T3258)−DAPI/FITCフィルター
または石灰化したもしくは骨のマトリックスと結合する他の発蛍光団
4) 胚を麻酔し、解剖用蛍光顕微鏡に適切なフィルターを用いて観察する。
材料および方法
ストックの維持および胚の収集
魚を標準的な条件下で育てた(Westerfield, 1995)。胚を自然産卵から集め、既に確立されている基準(Kimmelら, 1995)に従ってステージ分けを行い、胚用培養液(5mM NaCl、0.17mM KCl, 0.33mM CaCl2、0.33mM Mg2SO4, 10-5% メチレンブルー)中で育てた。
骨粗鬆症の誘発
胚用培養液中に50μg/mLの6-αメチルプレドニゾロン(Sigma)を含むストック溶液を骨粗鬆症の誘発に用いた。そのストック溶液は4℃で最長2ヶ月間保存した。ゼブラフィッシュの幼生を受精後3日目(d.p.f.:days post-fertilization)から10μg/mLの6-αメチルプレドニゾロン(プレドニゾロン)を含む胚用培養液中に浸漬してOPを誘発させた。9 d.p.f.に幼生を、骨格の石灰化を示すためにin vivoで標識するか、または固定してホールマウント骨格染色のための処理を行った。
エチドロン酸による骨粗鬆症のレスキュー
胚用培養液中にエチドロン酸(Sigma)10mg/mLを含むストック溶液を、全てのプレドニゾロンレスキュー実験に用いた。この溶液のpHはNaOHを用いてpH 7.5に調整した。このストック溶液を4℃で最長2ヶ月間保存した。このストック溶液を-20℃で最長2ヶ月間保存した。幼生を10μg/mLのプレドニゾロンに3 d.p.f.から6 d.p.f.まで暴露することによってOPを誘発させた。6 d.p.f.に10μg/mLのプレドニゾロンを含有する培養液を除去し、10μg/mLのプレドニゾロンをエチドロン酸とともに含む培養液と交換した。エチドロン酸は、最も有効なレスキュー用量を見出すために、ある範囲の濃度(1〜15μg/mL)で試験した。9 d.p.f.に、幼生を、骨格の石灰化を示すためにin vivoで標識するか、または固定してホールマウント骨格染色のための処理を行った。
骨同化促進剤のスクリーニング
20mM NaH2PO4および2.13g/L マンニトール中に1mg/mLの副甲状腺ホルモン(PTH)(Sigma)を含有するストック溶液を調製した。dH2O中に100mg/mLのコレカルシフェロール(ビタミンD)(Sigma)を含むストック溶液を調製した。化合物は全て、最も有効な同化促進量を見出すために、ある濃度範囲(PTHは2ng/mLから500ng/mL;コレカルシフェロールは10ng/mLから1μg/mL)で試験した。幼生を3 d.p.f.から8 d.p.f.まで、骨同化促進効果があると予想される化合物中で育て、次いで上述のとおり骨格の染色のために処理した。
骨格の染色
胚と幼生を4%パラホルムアルデヒド(PFA)中で固定した後、本明細書に記載のとおりアリザリンレッドで標識した。in vivoでの標識は、胚用培養液中に0.05%のアリザリンレッドを含む液中で魚を育てることによって行った。
骨の石灰化の定量
染色した幼生を凹面スライド上に置いて、BX51顕微鏡(Olympus)で蛍光顕微鏡検査によって可視化し、像はColorViewカメラとAnalySisソフトウェア(Olympus)で捕らえた。アリザリンレッド蛍光の強度と面積は、各処理群について、1群あたり少なくとも5つのサンプルで、AnalySis(Olympus)のカラー閾値と面積測定を用いて定量した。平均値と標準偏差はExcelソフトウェア(Microsoft Office)を用いて計算した。
抗体の標識付け
アリザリンレッド中で育てておいた10 d.p.f.の幼生を4% PFA中で固定し、既に報告されている方法(Westerfield, 1995)にわずかな改変を加えてホールマウントで染色した。骨芽細胞のマーカーとしてはzns5モノクローナル抗体(University of Oregon)を用いた(1:200希釈);破骨細胞のマーカーとしてはTRAPCおよびカテプシンK(Novocastra)を用いた(それぞれ1:600および1:40希釈)。二次抗体としてはAlexafluor 488(Molecular Probes)を用いた。抗体で染色された幼生をホールマウントとして、または切片化して観察した。幼生をO.C.T(Sakura)中に包埋し、凍結切片を切断し、DAPI(Vector)を含有しているVectamountを用いて対比染色した。切片はLeica TCS-NT共焦点顕微鏡で観察した。アルカリホスファターゼ染色は、ELP97細胞学的標識キットを製造業者(Molecular Probes)の説明のとおりに用いて凍結切片上で行い、Axioplan 2 顕微鏡(Zeiss)を用いて蛍光顕微鏡検査によって可視化した。DAPIフィルターをセットすると、陽性シグナルは緑色に見える。
結果
骨粗鬆症のゼブラフィッシュモデル
ゼブラフィッシュはその視覚的な透明性(optical clarity)、発育の早さ、および多産性のゆえに発生生物学の研究のための脊椎動物モデルとしてよく使われるようになっており、最近では疾患の過程を研究するための動物モデルとしても使われている。この視覚的な透明性によって、個別の組織を標識するために蛍光染料を用いて、生きた動物体内および死後の動物での研究において疾患の変化の観察ができるようになった(例えば、Flemingら, 2004が報告しているような骨の標識)。
本発明者らは、ゼブラフィッシュを発育モデル系としてのみならず、ヒトの骨疾患および関節疾患をモデル化するための基礎としても用いることができることを発見した。
骨格のin vivo可視化は胚用培養液に蛍光染料を添加することによって行われる。石灰化したマトリックスに結合する染料を、骨格全体を標識するために用いることができる(Duら, 2001;Flemingら, 2004)。このことは骨格を迅速に評価する方法を提供するのみならず、蛍光標識された面積の測定、または特定のエレメントの蛍光強度の測定をも可能にし、それらの測定はその後骨のサイズと密度を定量するために用いることができる。蛍光染料は飲み込まれるので、標識は腸管にも認められる。ホールマウント骨格染色はまた固定化した組織でも行うことができ、薬剤処理後の骨格の変化を永久に残しうる記録を作成するために用いることができる。
ゼブラフィッシュの幼生での骨格分析のための染色プロトコールが最適化されたので、我々はグルココルチコイド(プレドニゾロン)の投与によってゼブラフィッシュの幼生に骨粗鬆症を誘発させてそれを検出しうるかを調べた。9 d.p.f.での対照サンプルでは、頭部骨格の骨のエレメントの発育は良好であった。3 d.p.f.から9 d.p.f.まで10μg/mLのプレドニゾロンに暴露させると、頭部骨格の染色は顕著に減少した。DIC opticsを用いて分析すると、プレドニゾロンで処理されたサンプル中に骨がまだ存在していることは明らかであったので、染色の減少はその骨が発育できなかったのではなく脱石灰化されたことを示している。デジタルイメージ分析を用いて、我々は染色された石灰化組織の量を測定し、ある用量範囲でのプレドニゾロンのOP誘発効果を定量した。サンプルをアリザリンレッドで染色し、染色された組織の面積をAnalySisソフトウェアで定量した。染色面積の平均は各濃度で5つのサンプルから計算した。プレドニゾロンの投与量を増加させると染色された組織の面積は減少し、このことは骨の喪失の程度を定量化しうることを示している。その後の研究ではプレドニゾロンは10μg/mLの濃度で用いた。
骨芽細胞と破骨細胞の同定
我々が魚の成体ではなく幼生を用いたことに関連した、このモデルの1つの自明性の欠如は、プレドニゾロンの作用が骨の喪失を誘発するのではなく骨形成を妨げているのではないか、ということであった。我々は、骨がまず形成され、プレドニゾロンへの暴露後に骨が喪失することを確認するためにin vivo骨格染色を毎日行ったが、その結果はプレドニゾロンでの処理が骨の発育を阻害するのではなく骨の再吸収を増加させることを示唆するものであった。このモデルの妥当性をさらに示すために、対照サンプルとOPサンプル中の骨芽細胞と破骨細胞の相対数を定量することができる。我々はこれらの細胞タイプの同定に用いることのできる適切な染色と抗体をいくつか確認した:骨芽細胞と破骨細胞の酵素的マーカーとしての、それぞれアルカリホスファターゼと酒石酸抵抗性アルカリホスファターゼ;骨芽細胞をマークする抗体としてのzns-5(JohnsonおよびWeston, 1994;Flemingら, 2004);破骨細胞をマークする抗体としてのカテプシンK。デジタルイメージ分析を用いて、対照サンプルとOPサンプル中の染色された細胞の数を測定することができ、それによって骨芽細胞と破骨細胞の細胞数を定量することができる。
以前の研究ではゼブラフィッシュの骨格中には20 d.p.f.になるまでは破骨細胞は検出されないと報告されているが(Wittenら, 2001)、それとは異なり、我々は少なくとも5 d.p.f.という早期から破骨細胞が存在することを実証しており、9 d.p.f.にOPサンプルでは対照サンプルと比べてより多数の破骨細胞が存在している。
骨芽細胞特異的なマーカーであるアルカリホスファターゼの酵素的検出は10 d.p.f.に頭部骨格に認められた(10μmの凍結切片中)。また、破骨細胞特異的なマーカーである酒石酸抵抗性アルカリホスファターゼ(TRAP)のホールマウント抗体染色も行った。これは頭部骨格では容易に検出された。石灰化したマトリックスをアリザリンレッドで対比染色したところ、破骨細胞が骨の表面上にあることが認められた。骨芽細胞をマークするモノクローナル抗体であるzns-5は、頭部を横切る傍矢状切片の共焦点像中に観察された。石灰化したマトリックスをアリザリンレッドで対比染色したので、zns5と石灰化したマトリックスの共局在を観察することができた。骨芽細胞特異的マーカーであるカテプシンKのホールマウント抗体検出はまた頭部骨格に認められた。個々の破骨細胞が骨の表面上に検出された。
エチドロン酸によるレスキュー
ゼブラフィッシュの幼生をプレドニゾロンに暴露させると、OPを有するヒトで見られる変化に相当する生物学的および病理学的変化がもたらされることが確立されたので、我々は対照の魚およびプレドニゾロンに暴露された魚を、ヒトのOPの治療に一般的に用いられる弱いビスホスフォネートであるエチドロン酸で処理して、このモデルの臨床的な関連性についてさらに調べた。用量/反応アッセイをプレドニゾロンの存在下でエチドロン酸について行い、その効果をin vivoで染色された骨の蛍光強度を測定することによって定量した。エチドロン酸の投与量の増加とOPからの回復は相関していた。このレスキューは、エチドロン酸10μg/mLで処理した後のホールマウント骨格標本で容易に観察される。この知見は、OPを防いだり逆行させる化合物のハイスループットスクリーニングを行うために、このような染色を用いることができることの確かな証拠を提供するものである。
用量/反応研究を、プレドニゾロン(10μg/mL)の存在下で種々の投与量のエチドロン酸に3 d.p.f.から9 d.p.f.まで暴露させた幼生を用いて行った。サンプルをアリザリンレッドで染色し、染色された組織の面積をAnalySisソフトウェアを用いて定量した。染色された面積の平均は各濃度で5つのサンプルから計算し、石灰化指数としてプロットした。
対照のサンプルは胚用の培養液のみで育てた。エチドロン酸の投与量の増加とOP表現型のレスキューの間には明確な相関性が認められた。石灰化した骨格を可視化させるために、幼生をアリザリンレッドで染色した。9 d.p.f.での対照サンプルでは、頭部骨格の多くの部分が標識されていた。プレドニゾロン10μg/mLに3 d.p.f.から9 d.p.f.まで暴露させた場合は、染色された石灰化組織の量は著しく減少した。プレドニゾロン10μg/mLとエチドロン酸10μg/mLの双方に暴露した場合には、染色量の明らかな増加が認められたので、OP表現型のレスキューが示された。
骨同化促進剤のスクリーニング
骨粗鬆症のレスキューについてのスクリーニングに加えて、我々は骨同化促進効果も検出しうることを見出した。我々は、同化促進効果を見つけるために、化合物を9 d.p.f.ではなく3 d.p.f.から8 d.p.f.までの期間で試験するように我々のスクリーニングを適応させたが、それは骨形成の増加が若い動物ではより容易に検出されるからである。コレカルシフェロール(ビタミンD)および副甲状腺ホルモン(PTH)に同化促進効果があるかを試験し、骨の増加に関して明らかな用量/反応相関が見出された。これらの知見は、同化促進効果のある化合物をスクリーニングするためのこのモデルの使用の妥当性を示すものである。
選択された化合物のスクリーニング
骨量に及ぼすPTHの作用の研究からは相反する結果が得られている(Hruskaら, 1991に総説されている)。PTHが単回の高用量で投与された場合には同化促進効果またはOPレスキュー効果を示すが、より低い用量でより長い期間投与すると異化促進効果を有することが示された(Frolikら, 2003)。我々のモデルにおけるPTHの役割を、同化促進剤として単独で、およびプレドニゾロンと同時投与して調べた。連続的に3 d.p.f.から9 d.p.f.まで投与した場合、投与量が100 ng/mLまでは同化促進効果が観察されたが、200 ng/mLでは異化促進効果が観察された。しかし、6〜8時間投与した後培養液から除去すると、200 ng/mLで同化促進効果が観察された(表1)。これらの知見はげっ歯類での研究結果に匹敵するものである。単回の短時間投与による同化促進剤のスクリーニングの最適化は、骨折の修復を加速する化合物のスクリーニングに有用であろう。ひれの部分的な切断またはひれの破損と修復の速度は、骨折の修復を加速する化合物のアッセイとして用いることができる。
考察
OPのゼブラフィッシュモデルの開発
OPのげっ歯類の卵巣摘出モデルはOP研究の優れたモデル系を提供するが、このモデルは比較的発育が遅く、この生きた動物での疾患の存在または重症度の測定は容易ではない。我々はOPのゼブラフィッシュモデルを開発し、そのモデルでは、OPが1週間以内に明らかとなり、我々が生きた動物および固定した組織の双方で骨格を可視化しうる迅速な染色プロトコールを開発したのでハイスループット方式で骨の面積または骨量の増加についてスクリーニングすることができる。さらに、疾患の誘発率および疾患の重症度は、アッセイを行っている間、およびアッセイとアッセイの間の双方とも一定となる。なぜなら、プレドニゾロンが胚用培養液に添加され、反復投与をすることなく同じ用量に全ての胚を同等に暴露させることが確保されるからである。
我々の疾患モデルにおいて、病理学的変化、測定可能で定量しうる骨の喪失、および生物学的変化、破骨細胞数の増加を観察したが、これらはヒトでのOPで見られるものと高度な関連性がある。さらに、我々は、ヒトでOPを治療するために現在行われている治療法を用いて我々のモデルの妥当性を確かめた。我々はビスホスフォネートによるOPのレスキューを実証した。さらに、我々は、そのような化合物の効果は我々のアッセイで容易に定量されるので、化合物をその有効性についてランク付けすることができることを示した。
同化促進効果−発育系での骨形成の加速
骨の同化促進剤によるOPの防止についての我々の観察中に、そのような薬剤が正常な対照を上回って骨形成を促進することが観察された。我々のアッセイは発育途上の幼生を用いており、その幼生では正常な発育速度は最大となっており、それ以上加速することはできないと考えていたので、この結果は全く予期せざることであった。我々の知見は、骨形成を、5日間の処理期間内で顕著な増加をもたらすように加速しうることを示唆している。このことは、部分的には、我々のアッセイ系の感度によるものである;我々は小さな骨を測定しており、極めてわずかな増加が重大なものとなるからである。
さらに別の適用例−副作用のプロファイリング
OPは、現在広く用いられている、グルココルチコイドおよび抗エストロゲン療法を含めて、多くの治療法の望ましくない副作用である。骨格に及ぼす影響を迅速に調べるためのスクリーニングのツールとしてゼブラフィッシュの幼生を用いれば、次世代のステロイドおよびSERMを試験して、骨格の石灰化における変化を定量することでそれらの化合物の骨に与える作用のプロファイルをランク付けすることができる。さらに我々は、新規の抗炎症療法をスクリーニングするための定量可能なゼブラフィッシュアッセイを開発した。そのような抗炎症療法のスクリーニングをOPという副作用を生じさせることに関するランク付けと組み合わせることによって、次世代グルココルチコイドのためのスクリーニングにおいて、抗炎症作用とOPを生じさせる作用とを分離させるための強力なツールが提供されることとなる。
表1
副甲状腺ホルモン(PTH)の濃度を増加させたときの同化促進効果の要約
PTHは、アッセイ期間中、低用量(40 ng/mL)を投与した場合、同化促進効果を示す。100 ng/mL以上の用量では、PTHの効果は、連続的に投与した場合には異化促進的である。しかし、200 ng/mLのPTHを1日間のみ短期間投与した場合には、8 d.p.f.でアッセイしたとき、骨形成の増加をもたらした。
Figure 2006517407
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Claims (17)

  1. 胚期の魚に骨の喪失を誘発させるために、その胚期の魚の入っている培養液中にグルココルチコイドが添加されている、骨疾患のための魚モデル。
  2. グルココルチコイドがプレドニゾロンである、請求項1に記載の魚モデル。
  3. 前記培養液に蛍光染料が添加されており、該染料による染色の後に該魚の骨の可視化を可能にする、請求項1または2に記載の魚モデル。
  4. 胚期の魚の入っている培養液に蛍光染料が添加されており、該染料による染色の後に該魚の骨、軟骨および/または関節の可視化を可能にする、疾患の表現型をスクリーニングするための魚モデル。
  5. 前記魚がゼブラフィッシュである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の魚モデル。
  6. 骨、軟骨および/または関節の疾患または障害の治療に用いるための化合物をスクリーニングする方法であって、
    請求項1〜5のいずれか1項に記載の魚モデルを化合物で処理し、
    該疾患または障害を治療する化合物を同定する、
    ことを含む方法。
  7. 前記魚モデルにおいて骨の喪失を治療する化合物を同定することを含む、骨疾患の治療に用いるための化合物をスクリーニングする、請求項6に記載の方法。
  8. ハイスループットスクリーニングを含む、請求項6または7に記載の方法。
  9. 可能性のある抗骨粗鬆症薬の最適な組み合わせをスクリーニングすることを含む、請求項6、7または8に記載の方法。
  10. 骨、軟骨および/または関節の疾患または障害の遺伝的サプレッサーをスクリーニングする方法であって、
    該疾患を抑制する遺伝的サプレッサーを、請求項1〜5のいずれか1項に記載の魚モデルにおいて同定する、
    ことを含む方法。
  11. 前記魚において骨の喪失の遺伝的サプレッサーを同定することを含む、骨を喪失する疾患の遺伝的サプレッサーをスクリーニングする、請求項10に記載の方法。
  12. 骨、軟骨および/または関節を、X線により、または魚の住んでいる水もしくは魚の抽出物からのサンプルの生化学的測定により、評価することを含む、請求項6〜11のいずれか1項に記載の方法。
  13. 胚期の魚の入っている培養液にグルココルチコイドを添加して、該魚において骨の喪失を誘発させることを含む、骨疾患のための魚モデルの作製方法。
  14. グルココルチコイドがプレドニゾロンである、請求項13に記載の方法。
  15. 前記培養液に蛍光染料を添加して、該染料による染色の後に該魚の骨の可視化を可能にする、請求項13または14に記載の方法。
  16. 胚期の魚の入っている培養液に蛍光染料を添加して、該染料による染色の後に該魚の骨、軟骨および/または関節の可視化を可能にすることを含む、疾患の表現型をスクリーニングするための魚モデルの作製方法。
  17. 前記魚がゼブラフィッシュである、請求項11〜14のいずれか1項に記載の方法。
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