JP2006516035A - アレルギー治療におけるtff2、またはtff2誘導剤の使用 - Google Patents
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Abstract
トレフォイル因子2(TFF2)発現を制御することによってアレルギー応答を緩和するための組成物および方法。TFF2はまた、アレルギー患者の状態を評価するため、例えば、喘息患者の肺の炎症および/または組織修復をモニターするためのマーカーとして開示する。TFF2の制御は、アレルギー性肺炎症およびその他のアレルゲン誘導性状態の病理発生に関与し、例えば、TFF2を上方制御すると、酸分泌の減少および/または上皮細胞増殖を増大させ治癒を促進することによって防御効果を発揮することができる。
Description
NIHが後援した認可番号R01 A142242-05およびR01 A145898-03の条項によって規定されるように、米国政府はこの発明における一括払いライセンスと、限定的な状況で妥当な条件で他者にライセンスすることを特許所有者に要求する権利とを有する。
本出願は、係属中の、全体を参照として援用することを明示した2003年1月17日出願米国特許仮出願第60/440934号の優先権を主張する。
本発明は、喘息などのアレルギー応答に関連したトレフォイルファミリー因子2ペプチドの発現を制御する組成物および方法に関する。
喘息は、複合慢性炎症性肺疾患である。徹底的に研究されているにもかかわらず、喘息の発生率は上昇しており、その診断は小児科病院への入院の主な原因となる。
喘息に関する研究は、ヒトを含めた感作動物においてアレルゲン曝露によって誘発される細胞経路および分子経路の分析が主に注目されてきた。研究によって、喘息性応答におけるIgE産生の上昇、粘液の過剰分泌、気道閉塞、炎症および収縮因子に対する肺反応性の上昇が確認された。臨床的および実験的研究によって、CD4+Tヘルパー2リンパ球(Th2細胞)の存在と疾患重症度との間に強い相関があることが示され、喘息の病態生理におけるこれらの細胞の役割が示唆された。Th2細胞は、炎症および常在性エフェクター経路を直接的および間接的に活性化する様々なサイトカイン(IL-4、-5、-6、-9、-10、-13、-25)を分泌することによって喘息を誘発するものと考えられる。IL-4およびIL-13は喘息肺では高濃度に産生され、顕著な特徴の多くを左右する重要な制御因子であると考えられる。
最近は、慢性的な気道炎症の場合の気道再構築(気道リモデリング)の病理発生に注意が向けられている。Th2サイトカインによって誘導される間充織細胞の情報伝達は、慢性傷害およびアレルゲンがきっかけとなる炎症に応答した修復過程において積極的に役割を果たす。したがって、おそらく複数の治療薬が特定の炎症経路を妨害し、喘息表現型の発症には、多数の他の遺伝子およびそれらの多型変種の複雑な相互作用が関係するようである。
米国特許仮出願第60/440934号
したがって、このような機構によって喘息を緩和する組成物および方法が望まれている。
本発明の一実施形態は、トレフォイル因子2(TFF2)の発現を制御することによって、患者のアレルギー応答を減少させる方法を対象とする。これによって、気道、肺、気管および/または肺液(気管支肺胞洗浄液)における喘息症状を緩和するか、または皮膚、目、鼻および/または消化管におけるアレルギー症状を緩和することが可能である。
本発明の他の実施形態は、TFF2をコードするDNA、TFF2をコードするmRNAおよび/または産生したTFF2蛋白質を制御するために十分な製剤および量でTFF2発現のエフェクターを含有する医薬品組成物である。該エフェクターは、STAT6の阻害剤および/またはTh2サイトカインの阻害剤、例えば、インターロイキン(IL)-4またはIL-13であってよい。該阻害剤は、小分子阻害剤、アンチセンス阻害剤、および/または転写阻害剤であってよい。
本発明の他の実施形態は、患者のTFF2濃度を測定して、それによって該患者の肺の状態を評価する生理学的評価方法である。TFF2は、肺液、肺生検、喀痰、粘液、鼻内洗浄液および/または血液で測定することが可能である。該標本を分析して、TFF2DNA、mRNAおよび/または蛋白質を測定する。一例として、生検についてサザン、ノザンまたはウェスタンブロットを実施し、それぞれ、DNA、RNAおよび蛋白質を測定するプローブで処理することが可能である。他の例として、組織を適切に染色し、顕微鏡によって調べることができる。TFF2濃度の増加は、炎症過程および/または慢性修復過程を示唆する。
本発明の他の実施形態は、肺に薬剤として許容される組成物に入れたTFF2を提供することによる予防方法または治療方法である。該方法によって、肺pHを低下させ、肺炎症を治療し、かつ/または肺の上皮細胞修復を促進して肺炎症を治療することができる。
本発明の他の実施形態は、薬剤として許容される製剤中においてTFF2発現を上方制御する量でTFF2制御因子を投与することによって炎症を起こした肺組織の修復を促進する方法である。TFF2発現を促進ことによって、酸分泌を減少させ、かつ/または上皮細胞の増殖を高め、いずれも炎症を起こした組織の修復を促進する。
本発明の他の実施形態は、アレルギー患者の治療方法である。該患者に、患者のアレルゲン誘導性遺伝子を差次的に制御することができる少なくとも1種の化合物を含有する医薬組成物の量および製剤を投与する。該化合物は、アンチセンス化合物、小分子阻害剤、または転写阻害剤としてSTAT6に影響を及ぼすことができる。
これらの利点およびその他の利点は、以下の図面および詳細な説明を照らし合わせると明らかになるだろう。
トレフォイルペプチドは、3個の保存されたシステインジスルフィド結合によって形成された特徴的な3個のループ構造からなる小さな(7〜12kDa)プロテアーゼ耐性蛋白質である。これは、系統特異的に胃腸粘膜によって分泌される。トレフォイル因子は、主に上皮回復、傷害後存在する上皮細胞の迅速な拡散および移動を促進する能力によって、胃腸傷害に対する応答に大いに関与する。
トレフォイル因子ファミリーペプチド2(TFF2)は、アレルギー性肺疾患に関連した修復応答に関与する。鎮痙ポリペプチドとしても公知のTFF2は胃内で発現し、ならびに十二指腸近位部および胆管ではより少ない程度発現する。その他のファミリー構成要素、TFF1およびTFF3は、胃小窩細胞および腸の杯状細胞それぞれで優先的に発現し、分泌される。
TFF2は、胃頸部粘液細胞で優先的に発現し分泌されるが、潰瘍、炎症性腸疾患、ヘリコバクターピロリ(helicobacter pylori)感染を含めた胃腸管の様々な病的状態および非ステロイド抗炎症薬によって促進される傷害では上方制御される。これらの状態では、TFF2は酸の産生を制御し、ムチン蛋白質と直接相互作用することによってムチンゲル層を安定化し、治癒を促進するものと考えられる。
例えば、アレルギー、喘息などで生じる肺炎症におけるTFF2の発現および制御を開示する。TFF2は、アレルギー性肺疾患に関連した再構築(リモデリング)および修復応答に関与した。さらに、TFF2はムチン蛋白質、喘息肺で過剰産生される分子と直接に相互関係したので、それらがアレルギー性肺応答に関係することが決定された。
転写発現特性において示されたように、実験的に誘導された喘息では、TFF2はオボアルブミン(OVA)またはAspergillus fumigatus(ASP)のいずれかのアレルゲンに曝露された動物の肺組織において上方制御されていた。TFF2はまた、インターロイキン-4(IL-4)およびIL-13によって特異的に制御された。さらに、STAT6はOVAおよびIL-13によるTFF2誘導に必要であったが、STAT6はASPまたはIL-4によるTFF2誘導には必要なかった。
動物(野生型BALB/cおよびSTAT6欠損BALB/cマウス)にOVAを腹腔内(i.p.)注射によって投与し、次に鼻腔内にASP抗原を投与した。あるいは、動物にIL-13を投与した。
遺伝子は特定の実験計画に特異的ではないことが分析されたので、2種類の独立した喘息モデルを使用した。これら2種類の独立したモデルで重複するアレルゲン誘導性遺伝子は全体的転写特性分析を使用して分析した。しかし、どちらの喘息モデルも、好酸性炎症、粘液産生および気道過敏性(AHR)に関連するTh2を含めた同様の表現型を有していた。
1モデルでは、14日間隔で2回に分けてアルミニウムアジュバントの存在下でアレルゲンOVAを腹腔内注射することによってマウスを感作した。その後、マウスを鼻腔内でOVAまたは対照生理食塩水に3日間隔で2回に分けて曝露した。アレルゲンに最後に曝露してから18時間後に、RNA分析用に肺を摘出した。他のモデルでは、Aspergillus fumigatus抗原、一般的な遍在性空中アレルゲンによって実験的に喘息を誘導した。このモデルは、OVAモデルと比較して、特有の粘膜感作経路(鼻腔内)を必要とした。肺RNAは、Aspergillus fumigatus抗原または生理食塩水を鼻腔内に9回投与して曝露を行ってから18時間後に採取した。
マイクロアレイデータを分析したところ、OVAまたはASPのいずれかによって誘導された喘息では、TFF2発現は増加するが、TFF1またはTFF3は増加しないことが示された。ノザンブロット分析によって、TFF2は正常な条件下では肺で発現しないが、アレルゲン曝露によって著しく発現が誘導されることが明らかになった。このTTF2上方制御は、OVA曝露マウスではSTAT6に左右されたが、ASP曝露マウスでは左右されなかった。さらに、TTF2はIL-13曝露マウスでは、蛋白質STAT6に左右される経路によって、蛋白質STAT6と独立した経路によってもまた上方制御された。
全肺RNAは、DNAマイクロアレイハイブリダイゼーションによって分析した。RNAは、トリゾール(Invitrogen、Carlsbad CA)試薬を使用して製造者の指示に従って抽出した。トリゾール精製後、RNAはフェノール-クロロホルム抽出およびエタノール沈殿によって再精製した。
マイクロアレイハイブリダイゼーションは、シンシナティ子供病院メディカルセンターのAffymetrix Gene Chip Core施設によって行われた。簡単に説明すると、まず、Agilentバイオアナライザー(Agilent Technologies、Palo Alto CA)を使用してRNAの特性を評価し、28S/18S比が1.3から2の間の試料のみをその後使用した。RNAは、cDNA合成用Superscript choice(Invitrogen、Carlsbad CA)でcDNAに変換し、その後Enzo High Yield RNA転写標識キット(Enzo Diagnostics、Farmingdale NY)でビオチン化cRNAに変換した。マウスU74Av2 GeneChip(Affymetrix、Santa Clara CA)にハイブリダイズさせた後、Fluidicsシステムを使用して該遺伝子チップを自動的に洗浄し、ストレプトアビジン-フィコエリトリンで染色した。該チップをHewlett Packardの遺伝子アレイスキャナで読み取った。この分析は、1チップ当たり1マウスで実施した(各アレルゲン曝露条件についてn≧3、各生理食塩水曝露条件についてn≧2)。
ノザンブロット分析用に、本明細書に参考として全体を明白に援用したRankin他、Proc.Natl.Acad.Sci USA 93:7821-5(1996)に記載されたように、RNAを野生型Balb/cマウス、IL-4クララ細胞10肺トランスジェニックマウスの肺から抽出した。該マウスは、STAT6遺伝子の野生型または欠損コピーを含有していた。RNAはまた、いずれも本明細書に全体を参考として明白に援用したPope他、J.Allergy Clin.Immunol.108:594-601(2001)およびZimmermann他、J.Immunol.165:5839-46(2000)に記載されたように、生理食塩水またはマウス組換えIL-13で処理したマウスの肺から抽出した。ハイブリダイゼーションは、American Type Culture Collection、Rochville MDから入手した、配列が確認されたマウスTFF2(I.M.A.G.E.438574)またはTFF3(I.M.A.G.E.1166710)をコードする32P-標識cDNAで実施した。
データ画像ファイルから、Microarray Analysis Suiteバージョン4ソフトウェア(Affymetrix)のアルゴリズムを使用して遺伝子転写濃度を測定した。チップ毎の遺伝子を比較するためにグローバルスケーリング(Global scaling)を実施し、各チップは任意値(1500)に正規化した。各遺伝子は一般的に16個から20個のプローブ対のプローブセットによって表される。各プローブ対は、パーフェクトマッチオリゴヌクレオチドおよび中心位置に1個の塩基ミスマッチを含有するミスマッチオリゴヌクレオチドから構成される。2種類の遺伝子発現測定値、アブソリュートコール(absolute call)およびアベレージディファレンス(average difference)を使用した。アブソリュートコールとは、RNAのプローブセットに対するハイブリダイゼーションに基づいて各遺伝子にプレゼント(発現がある)、マージナル(かろうじて発現がある)、またはアビセント(発現がない)の呼び名を割り付けた定性的測定値である。アベレージディファレンスとは、すべてのプローブ対のミスマッチとパーフェクトマッチとの間の差を調べ、全体のプローブセットの差を平均化することよって算出した遺伝子発現濃度の定量的測定値である。
生理食塩水とアレルゲン処理マウスとの間の差はまた、GeneSpringソフトウェア(Silicon Genetics、Redwood City CA)を使用して測定した。データは、生理食塩水処理マウスの平均に正規化した。(ハイブリダイゼーションシグナルに基づいてプレゼントコールを受けた遺伝子を使用して)p<0.05および>2倍変化した遺伝子を含有する遺伝子リストを作製した。
Balb/cマウスは、National Cancer Institute(Frederick MD)から入手し、STAT6欠損マウス(Balb/c)はJackson Laboratory(Bar Harbor ME)から入手した。マウスはすべて、特定の病原体を含まない条件下で飼育した。
喘息モデルは、本明細書に全体を参考として明白に援用したMishra他、J.Biol.Chem.276:8453(2001)に記載されたように誘導した。簡単に説明すると、オボアルブミン誘導性喘息は、OVAおよび水酸化アルミニウム(alum)1mgを別々に2週間間隔で腹腔内注射し、その後OVAまたは生理食塩水を2週間後に2回鼻腔内(i.n.)投与することによって曝露し誘導した。Aspergillus fumigatus抗原誘導性喘息は、抗原を鼻腔内に繰り返し接種することによって3週間かけて誘導した。
生理食塩水およびアレルゲン曝露マウスから得られたRNAについて、12423個の遺伝子要素を表すオリゴヌクレオチドプローブセット、市販されている特徴付けられたマウス遺伝子の最大収集物の1つを含有するAffymetrixチップU74Av2を使用してマイクロアレイ分析を行った。アレルゲン曝露マウス(OVAまたはAspergillus)をそれぞれの生理食塩水対照マウス(各実験群についてマウスn=3〜6)と比較し、アレルゲン曝露後少なくとも2倍統計学的に有意な増加(p<0.05)を示した遺伝子を同定した。
生理食塩水曝露マウスと比較して、OVA曝露マウスでは496個の遺伝子が誘導されており、Aspergillus fumigatus曝露マウスでは527個の遺伝子が誘導されていた。誘導された転写物の大部分(OVAの59%およびAspergillusの55%)が2種類の喘息実験モデルの間で重複していた。
DNAマイクロアレイ分析によって、実験的喘息におけるアレルゲン誘導性遺伝子としてTFF2を同定した。図1A〜Cは、マイクロアレイ分析による実験的喘息誘導中のTFF2発現を示す。図1Aは、Aspergillus fumigatus(ASP)に曝露されたマウスにおけるTFF2の発現を示す。図1Bおよび1Cは、オボアルブミン(OVA)に曝露されたマウスにおけるTFF2の発現を示す。データは定量的マイクロアレイ分析からのものであり、生理食塩水およびアレルゲンに曝露した後のハイブリダイゼーションシグナルのアベレージディファレンス(average difference)を示した。値は平均を表し、エラーバーは標準偏差を表す。統計学的有意差を示す。
特定のアレルゲンまたは疾患誘発の機作に特有であるというよりも、一般的に疾患の病理発生に関係のある291遺伝子群を確認した。新規経路の定義を可能にしたこれらの「喘息サイン」遺伝子は、喘息肺においてTFF2転写物が高濃度であることを含めた解明すべきアレルギー性気道炎症の病理発生に関与した。
OVAに最初に曝露した後の速度論的分析の結果を図1Cに示す。TFF2は最初のアレルゲン誘導18時間後に検出することができたが、3時間後ではできなかった。マイクロアレイ分析によって、その他のTFFと比較してTFF2の非常に特異的な制御異常が明らかになった。例えば、TFF1のハイブリダイゼーションシグナルは、生理食塩水およびアレルゲンに曝露された肺ではバックグラウンド未満で、TFF3mRNAシグナルは存在したが、アレルゲン曝露に対する応答は変化しないままであった(データは示さず)。
図2A〜Cは、アレルゲン曝露後のTFF2発現を示すノザンブロットおよび臭化エチジウム染色ゲルを示す。Aspergillus fumigatusに曝露されたマウスは、生理食塩水に曝露されたマウスと比較してTFF2発現が著しかった。図2Aは、Aspergillus fumigatusを鼻腔内投与した後のTFF2発現を、オートラジオグラフ曝露時間を72時間にして示したものである。さらに、OVAで誘導した実験的喘息の進行中のTFF2の時間依存性および用量依存性誘導を示した。図2Bは、OVA曝露後のTFF2発現を示す。アレルゲン1回曝露後3時間および18時間ならびに2回曝露後18時間の時点を含める。TFF2は、1回目のアレルゲン曝露後18時間して誘導され、2回のアレルゲン曝露後はさらに高い程度まで誘導された。図2Cに示したように、その後の速度論的分析によって、TFF2発現は2回目の曝露の10時間後に最大になり、この濃度は120時間維持されることが明らかになった。TFF3mRNAは、同じ実験的喘息肺試料のノザンブロット分析では検出することはできなかったが、胃腸組織RNAから作製したノザンブロットでは検出された(データは示さず)。
喘息はTh2関連過程なので、特に肺におけるIL-4の過剰発現がTFF2の誘導に十分であるかどうかを測定した。(クララ細胞10プロモーター制御下において)肺上皮でIL-4導入遺伝子を過剰発現するマウスは、好酸球リッチな炎症細胞浸潤、粘液産生および基準気道音の変化を含めたいくつかの喘息特性を有する。
IL-4の過剰発現はin vivoにおいて肺TFF2を強く誘導した。図3A〜Cは、インターロイキン(IL)-4および-13およびSTAT6によるTFF2制御を示すノザンブロットおよび臭化エチジウム染色RNAゲルを示す。各列は、別々の動物を示す。
図3Aは、STAT6の野生型(+/+)または遺伝子欠損(-/-)コピーを有するIL-4肺トランスジェニック(Tg)マウスまたは野生型(WT)マウスにおけるTFF2mRNA発現を示す。図に示したように、TFF2mRNAは、IL-4導入遺伝子によって誘導された。
肺TFF2のIL-4およびIL-13誘導は、STAT6に異なって左右された。IL-4およびIL-13は、同様の情報伝達必要条件、例えば、IL-4Rα鎖の利用およびヤヌスキナーゼ1の誘導およびSTAT6を共有する。それらの応答のサブセットは、STAT6依存性であることが示された。
in vivoのTFF2誘導におけるSTAT6の役割を測定するために、STAT6の野生型または遺伝子標的欠損を含有するIL-4トランスジェニックマウスの肺を調べた。これらのマウスは、本発明に参考として全体を明白に援用したZimmermann他、J.Immunol.165:5839〜46(2000)に記載されたように、IL-4肺トランスジェニックマウスをSTAT6欠損マウスと交配することによって作製した。結果はまた、図3Aに示す。
IL-4誘導性TFF2mRNA発現は、STAT6の損失によって抑制されなかったが、その他のIL-4誘導性肺遺伝子はSTAT6依存性であることが報告された(Zimmermann他、J.Immunol.165:5839〜46(2000))。証明するために、これらのマウスにおけるエオタキシン-1の発現を評価した。図3Aに示したように、IL-4誘導性エオタキシンmRNA発現は完全にSTAT6に左右された。図3Cは、IL-4または生理食塩水を野生型(+/+)マウスまたはSTAT6欠損(-/-)マウスに導入したときのTFF2nRNA発現を示す。
図3Bは、IL-13または生理食塩水を野生型(+/+)マウスまたはSTAT6欠損(-/-)マウスに投与したときのTFF2mRNA発現を示す。IL-13は、好酸球性炎症、ケモカイン誘導、粘液産生およびAHRを含めた実験的喘息のいくつかの特徴の発症に関与するサイトカインである。肺TFF2がまた、IL-13によって誘導されるかどうかを測定するために、IL-13を麻酔したマウスに繰り返し鼻腔内から適用して投与した。図3Bに示したように、IL-13投与によって、生理食塩水処理対照マウスと比較して肺TFF2mRNA濃度が著しく誘導された。IL-13がTFF2を誘導する能力に対するSTAT6の依存度を評価した。IL-13を、野生型およびSTAT6欠損マウスに投与した。図3Bに示したように、IL-13は、STAT6がないとTFF2を誘導しなかった。
総合的に、これらの結果によって、IL-13によって誘導されるが、IL-4導入遺伝子によっては誘導されないTFF2誘導は、STAT6に依存した機構によって生じることが示された。
アレルゲン誘導性TFF2発現のSTAT6による制御は異なっていた。図4A〜Bは、ノザンブロットおよび臭化エチジウム染色RNAゲルを示しており、OVA(図4A、4C)またはAspergillus fumigatus(図4B)のいずれかによって誘導されたTTF2の制御はSTAT6依存性であることを示す。野生型(+/+)マウスまたはSTAT6遺伝子欠損(-/-)マウスにおいて実験的喘息を誘導した。
アレルゲン誘導性TFF2発現に対するSTAT6の依存度は、アレルゲン誘導性TFF2が主にIL-13情報伝達の下流であるかどうかを決定するために役立つだろう。図4Aに示したように、STAT6を欠損したマウスでは、OVA曝露後の肺TFF2の減少が示され、対照として、野生型マウスでは容易に検出可能な肺TFF2が示された。対照的に、STAT6必要性をAspergillus fumigatus誘導による実験的喘息モデルで調べたとき、STAT6がなくてもTFF2が強力に誘導された。例えば、図4Bを参照すると、TFF2mRNAの濃度は、Aspergillus fumigatus処理後では野生型マウスとSTAT6マウスでは同等であった。
IL-13遺伝子標的マウスにおけるOVA誘導実験的喘息もまた評価した。図4Cに示したように、IL-13遺伝子標的マウスは、OVA誘導TFF2発現が減少していた。OVA誘導性TFF2は、IL-13およびSTAT6情報伝達の下流に生じた。
これらの結果によって、アレルゲンによって誘導されるTFF2誘導の機構は、実験様式が異なると変化することが示された。OVA誘導モデルは、Th2関連STAT6経路によって制御された。Aspergillus fumigatusモデルは、主にSTAT6と独立した経路によってTFF2を誘導した。
喘息の病理発生に関与する複雑な機構を理解するために、転写物発現特性分析を使用して一連の「喘息サイン」遺伝子を定義した。喘息関連遺伝子としてのTFF2の発見は、この分子が喘息応答に潜在的に重要な特性を有することを示した。TFF2は、今までは喘息の病理発生に結びつけられていなかった。
異なったアレルゲンおよび疾患誘発様式が引き金となるアレルギー性肺炎症は、肺におけるTFF2の著しく特異的かつ異所的発現に関連していたが、TFF1およびTFF3には関連していなかった。このことは、TFF、特にTFF2の発現が主に胃腸管に制限されることを発見した以前の研究とは対照的である。
Th2サイトカインIL-4およびIL-13は、肺におけるTFF2の潜在的誘導因子である。したがって、アレルゲン誘導性TFF2は、少なくとも部分的に、IL-4およびIL-13によって媒介された。IL-4およびIL-13は、同様の情報伝達機構(例えば、共通の受容体サブユニット(IL-4Rα鎖)の利用およびSTAT6の活性化)を共有する関連サイトカインである。これらのサイトカインはいずれも、喘息において役割を担うことが知られているが、それらが喘息応答の様々な要素(例えば、AHR、粘膜産生および気道再構築)を誘導する機構は部分的にしかわかっていなかった。本発明は、IL-4/IL-13関連アレルギー性肺応答の病理発生が少なくとも部分的にTFF2によって媒介されることを示す。傷害関連上皮過形成および上皮分化(例えば、粘膜細胞異形成)、胃腸管においてTFF2によって制御されることが知られている過程はまた、肺においてTFF2によって媒介される可能性がある。TFF2はまた、粘膜産生を阻害した。
TFF2はIL-4とIL-13の両方によって誘導されたが、STAT6はTFF2誘導に不可欠というわけではなかった。例えば、TFF2のAspergillus fumigatusおよびIL-4による誘導は、STAT6欠損マウスおよび野生型マウスで類似した程度で生じた。しかし、対照的に、IL-13およびOVAによって誘導されるTFF2は、STAT6欠損マウスでは減少した。これらのデータは、実験的喘息におけるIL-4およびIL-13の関与は異なっているが重複した機構であることを示した研究(Wills-Karp,M.、J.Allergy Clin.Immunol.107:9〜18(2001))と一致する。さらに、OVAおよびAspergillusはいずれも実験的喘息を誘導するが、Aspergillusはアジュバントと独立したTh2応答を誘導することができた。このことは、両アレルゲンが喘息誘発に対して異なる機構を使用することを示した。
Th2サイトカイン媒介TFF2誘導は、おそらく間接的な機構によって生じる。間接的な機構と一致して、TFF2プロモーターがSTAT結合部位を含有することはわかっていない。GATA6、心臓および胃腸管で通常発現する転写因子は、TFF2誘導に使用され、肺におけるTFF2発現において役割を有する可能性がある。
健康な状態では、TFF2は胃内で優位に発現し、十二指腸近位部および胆管ではより少ない程度で発現する。胃内では、TFF2は胃頸部粘液細胞で発現し、ムチン蛋白質に関連した粘膜表面で分泌される。TFF2は、ヘリコバクターピロリ(Helicobacter pylori)感染、非ステロイド抗炎症薬の使用およびクローン病に関連した潰瘍形成を含めた胃腸管における様々な障害に関連した病的状態では上方制御される。これらの状態ではいずれも、TFF2発現は粘膜の増殖領域に関係しているようで、TFF2は傷害に応答した上皮増殖の制御に関連し得ることが示唆された。喘息肺の特徴は、上皮増殖の著しい増加である。
TFF2は、胃内での酸産生の阻害に関連づけられてきた。喘息性気道の特徴は、気道炎症と強く相関する過程である亜硝酸塩から酸化窒素への酸化に関係すると思われる酸性環境である。TFF2の役割は、酸分泌の阻害および上皮増殖の刺激を通じて粘膜治癒を促進することである。アレルゲン誘導性TFF2は、気道の酸性化および上皮増殖を含めた喘息の病理発生に関連したいくつかの特徴を制御するときに役割を担う可能性がある。これらの結果によって、TFF2欠損マウスに実験的喘息を誘導する重要性が生じる。
TFF2は、喘息肺におけるアレルゲン誘導性遺伝子である。Th2サイトカインIL-4およびIL-13は、TFF2を誘導した。TFF2誘導は、STAT6依存性(IL-13およびOVAの場合)および非依存性(IL-4およびAspergillus fumigatusの場合)機構によって生じた。したがって、TFF2は、喘息の病理発生に関係した。TFF2関与には、上皮増殖および酸産生を含めた胃腸管でTFF2によって制御されることが知られている過程が含まれた。アレルギー性肺応答は、胃腸管における疾患過程と共に発病機構を共用した。
組成物は、TFF2の薬剤として許容される製剤またはTFF2などのトレフォイルペプチドの発現を実行する化合物であってよい。該組成物中のそれらの濃度は、約0.01mg/体重kgから約100mg/体重kgの範囲の用量で調製してよい。該組成物における化合物の量は、製剤の種類に応じて変化させてよい。
TFF2に影響を及ぼす組成物は、小分子阻害剤、アンチセンス阻害剤、および/またはSTAT6の転写阻害剤またはTh2サイトカイン阻害剤であってよい。組成物は、ヒトなどの哺乳類に、予防的に、または特定状態または疾患に応じて投与してよい。例えば、該組成物は、喘息症状および/またはアレルギー症状の患者に投与してよい。該組成物は、吸入、エアロゾル、滴剤などによって非全身的に、固体または液体の形状(錠剤(咀嚼型、溶解型など)、カプセル剤(硬および軟ゲル)、丸剤、シロップ剤、エリキシール剤、エマルジョン、懸濁剤など)で、静脈内注射、皮下注射、筋肉内注射、腹腔内注射、経口投与を含めるがそれだけに限定されない腸管または非経口的経路によって全身的に投与してよい。当業者であれば公知なように、該組成物は、薬剤として許容される緩衝液、乳化剤、界面活性剤、塩化ナトリウムなどの電解質を含むがそれだけに限定されない医薬品添加物を含有することが可能で、腸管用製剤には、揺変剤、矯臭剤、および感覚刺激特性を高めるその他の成分を含めることが可能である。
異なる投与経路を使用してよい。例として、静脈内投与は連続的または不連続的であってよく、注射は毎日、毎週、毎月など便利な間隔で投与してよく、腸管用製剤は、1日に1回、1日に2回などのように投与してよい。投与の指示は、定められた投与計画に従うか、または「必要に応じて」行うことが可能である。
異なる体の部分が、アレルゲンによって影響を受ける可能性がある。したがって、TTF2濃度の評価、およびTTF2発現の制御は、様々な器官で行うことが可能である。一例として、喘息の場合、気道、肺、気管、呼吸管組織、呼吸液、咽頭、粘液、鼻内洗浄液および/または肺液(気管支肺胞洗浄液)が標的とされよう。他の例として、アレルギー症状は皮膚(蕁麻疹(hives)、発疹、蕁麻疹(urticaria))、目(炎症)、鼻(鼻炎)および/または消化管において現れる可能性があった。
TFF2の診断力もまた開示する。TFF2の定性的および定量的測定は、炎症過程のマーカーである。したがって、TFF2測定を使用して患者の臨床状態、表現型、遺伝子型、薬剤応答、および/または予後を評価し、一塩基多型を測定することができる。生検部位から得られた肺組織におけるTFF2濃度の増加は、炎症過程および/または慢性修復過程を示唆する。TFF2は、肺液、肺生検標本、喀痰、粘液、鼻内洗浄液および/または血液において測定することができる。標本を分析し、したがってTFF2DNA、mRNAおよび/または蛋白質を測定する。一例として、生検標本についてサザン、ノザンまたはウェスタンブロットを実施し、DNA、RNAおよび蛋白質それぞれを測定するためにプローブで処理することが可能である。他の例として、例えば、適切な染色および顕微鏡検査によって組織の組織学的評価を行うことができる。このような方法は、当業者には公知である。
肺にTFF2を提供することによって、肺pHを減少させ、肺炎症を治療することが可能で、かつ/または肺の上皮修復を増強して肺炎症を治療することが可能である。
本発明のその他の変更または実施形態はまた、当業者であれば、本明細書に全体を参考として明白に援用したAm.J.Respir.Cell.Mol.Biol.29:458、(2003)に記載されたものを含めた前記説明から明らかであろう。したがって、前記実施形態は、本発明の範囲を限定するものではない。
Claims (31)
- トレフォイル因子2(TFF2)の発現を増加させ、それによって患者におけるアレルギー応答を緩和することを含む患者のアレルギー応答の緩和方法。
- 前記緩和には、粘液産生の変更、細胞過形成の促進およびそれらの組合せが含まれる請求項1に記載の方法。
- 気道、肺、気管、呼吸管、または気管支肺胞洗浄液で発現を増加させる請求項1に記載の方法。
- アレルギーによって影響を受ける体の部分で発現を増加させる請求項1に記載の方法。
- 前記体の部分が皮膚、目、鼻、咽頭、消化管およびそれらの組合せからなる群から選択される請求項4に記載の方法。
- 制御化合物の医薬品組成物を全身的に投与する請求項1に記載の方法。
- 投与は、静脈内、鼻腔内、気管内、皮下、筋肉内、経口的、腹腔内およびそれらの組合せからなる群から選択される経路によって行われる請求項1に記載の方法。
- インターロイキン-4(IL-4)またはインターロイキン-13(IL-13)の少なくとも1つによって発現を増加させる請求項1に記載の方法。
- 前記アレルギー応答が、アレルギー性鼻炎、喘息、湿疹およびそれらの組合せからなる群から選択される請求項1に記載の方法。
- Il-13ならびに転写のシグナル伝達および活性化因子(STAT)6をさらに含む請求項8に記載の方法。
- 薬剤として許容される製剤中において、トレフォイル因子2(TFF2)をコードするDNA、TFF2をコードするmRNA、TFF2蛋白質またはそれらの組合せの量を増大させるのに十分な量でTFF2発現のエフェクターを含む医薬品組成物。
- STAT6の活性化因子、Th2サイトカインの活性化因子またはそれらの組合せを含む請求項11に記載の組成物。
- 小分子活性化因子、オリゴヌクレオチド活性化因子、転写活性化因子およびそれらの組合せからなる群から選択される活性化因子を含む請求項12に記載の組成物。
- アレルギー患者に投与するための製剤中における請求項11に記載の組成物。
- 喘息患者に投与するための製剤中における請求項11に記載の組成物。
- 臨床状態、表現型、遺伝子型、薬剤応答、予後、一塩基多型の決定およびそれらの組合せからなる群から選択される患者の状態を評価するために患者のトレフォイル因子2(TFF2)の濃度を測定することを含む生理学的肺評価法。
- TFF2を肺液、肺生検、喀痰、粘液、鼻内洗浄液、呼吸管組織、呼吸管液、血液およびそれらの組合せにおいて測定する請求項16に記載の方法。
- TFF2DNA、mRNA、蛋白質またはそれらの組合せを測定する請求項16に記載の方法。
- TFF2濃度の増加が炎症過程を示す請求項16に記載の方法。
- TFF2濃度の増加が慢性修復過程を示す請求項16に記載の方法。
- 前記患者はアレルギーまたは喘息の少なくとも1つである請求項16に記載の方法。
- 薬剤として許容される組成物に入れたトレフォイル因子2(TFF2)を肺の酸性度の減少、または肺上皮細胞修復の増強の少なくとも1つを引き起こし、それによって肺炎症を治療するために十分な量で患者の肺に提供することを含む患者の予防または治療方法。
- アレルギー患者に、患者のアレルゲン誘導性遺伝子を差次的に制御することができる少なくとも1種の化合物を含有する医薬品組成物の量および製剤を提供することを含む治療方法。
- 前記アレルゲン誘導性遺伝子がトレフォイル因子2をコードする請求項23に記載の方法。
- 薬剤として許容される製剤に入れてトレフォイル因子2(TFF2)発現を上方制御するために十分な量でTFF2発現の制御因子を含む組成物を患者に投与して、炎症組織の修復を増強するために酸分泌の減少または上皮細胞増殖の増強の少なくとも1つをもたらすことを含む、アレルギー誘導性炎症組織の修復を増強させる方法。
- TFF2発現の制御因子はTh2サイトカインである請求項25に記載の方法。
- TFF2発現の制御因子はIL-4またはIL-13の少なくとも1つである請求項25に記載の方法。
- TFF2発現の制御因子は、転写因子STAT6または転写因子GATA6の少なくとも1つをさらに含む請求項25に記載の方法。
- 前記制御因子は、STAT6の小分子活性化因子、STAT6オリゴヌクレオチドまたはSTAT6転写の活性化因子の少なくとも1つである請求項28に記載の方法。
- 前記炎症組織は、気道、肺、気管、気管支肺胞洗浄液、皮膚、目、咽頭または鼻の少なくとも1つである請求項25に記載の方法。
- 前記患者はアレルギーまたは喘息である請求項25に記載の方法。
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