JP2006511494A - 抗ムスカリン剤としてのキヌクリジニウム誘導体 - Google Patents

抗ムスカリン剤としてのキヌクリジニウム誘導体 Download PDF

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Abstract

本発明は、ここで記載された、化学式(I)の第四級アンモニウム化合物、ならびに、喘息、慢性閉塞性肺疾患、アレルギー性鼻炎、および感染性鼻炎の治療のためのそれらの使用、を特徴としている。

Description

本発明は、新規なクラスの第四級アンモニウム化合物、それを含有する医薬組成物、医薬品として使用するための該化合物、および該化合物の特定の医薬品を製造するための使用、に関連している。本発明は、また、該化合物の投与を含む治療方法に関する。該新規化合物は抗ムスカリン剤としても有用である。特に、該新規化合物は、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)と名づけられた呼吸障害の一グループ、アレルギー性鼻炎、および感染性鼻炎の治療のために有用である。
「喘息」は、気道周囲の筋肉の炎症(腫脹)および硬直化による気管支収縮(気道の狭搾)を引き起こす慢性肺疾患を意味する。該炎症は、また、粘液産生の増加をもたらし、長期間続きうる咳を引き起こす。喘息は、一般に、増悪と名づけられる、息切れ、喘鳴、咳、および胸苦しさの繰り返し発作によって特徴付けられる。増悪の重症度は、穏やかなものから生命の危険にさらされるものまで、広い範囲にわたる。この増悪は、例えば、呼吸器感染、埃、カビ、花粉、冷気、運動、ストレス、煙草の煙、および空気中の汚染物への曝露の結果でもありうる。
「COPD」は慢性閉塞性肺疾患を意味し、主として、過去および現在の喫煙と関連している。主に気腫および慢性気管支炎と関連した、気流の閉塞をもたらす。気腫は、肺内で肺胞を脆弱化および破壊によって、不可逆的な肺の損傷を引き起こす。慢性気管支炎は、気道中の粘液および気管支中の細菌感染を増加させ、気流の閉塞をもたらす炎症性疾患である。
「アレルギー性鼻炎」は、枯草熱を含む、急性鼻炎または鼻性鼻炎(nasal rhinitis)を意味する。花粉または埃のようなアレルゲンにより引き起こされる。これにより、くしゃみ、鬱血、鼻水、ならびに鼻、喉、目、および耳内の痒みをもたらすことがある。
「感染性鼻炎」は、感染が原因する急性鼻炎または鼻性鼻炎を意味する。感染性のリノウイルス、コロナウイルス、インフルエンザウイルス、パラインフルエンザウイルス、呼吸器合胞体ウイルス、アデノウイルス、コクサッキーウイルス、エコーウイルス、またはAβ型溶血性連鎖球菌による上気道感染により引き起こされ、一般的には普通の風邪とも呼ばれる。これにより、くしゃみ、鬱血、鼻水、ならびに鼻、喉、目、および耳内の痒みをもたらすことがある。
一つの局面において、本発明は化学式(I)の第四級アンモニウム化合物、
Figure 2006511494
(式中、
1は、C1−C6アルキル、−CH2−(C1−C4アルケニル)、および−CH2−(C1
−C6アルキニル)であって、それぞれ場合によっては、フェニル、C1−C4アルコキシ、およびヒドロキシから選ばれた基によって置換されているものから選ばれ;ならびに、
Xは、薬学的に受容可能な酸の陰イオンである。)
および、その全ての立体異性体を特徴とするものである。
本発明のこの局面における実施態様としては、1個またはそれ以上の下記のものを含むことができる。Xが、下記の酸の陰イオンからなるグループから選ばれている:酒石酸、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、リン酸、硝酸、クエン酸、メタンスルホン酸、CH3−(CH2n−COOH(nは0〜4)、HOOC−(CH2n−COOH(nは1〜4)、HOOC−CH=CH−COOH、および安息香酸。Xが、ヨウダイド、ブロマイドおよびクロライドからなるグループから選ばれている。
本発明は他の局面において、化学式(I)の第四級アンモニウム化合物の治療上有効量を含んでいる医薬組成物を特徴とするものである。該医薬組成物は適切な製剤用担体を含むことができる。
本発明は他の局面において、また、医薬品としての使用する化学式(I)の第四級アンモニウム化合物を提供するものである。本発明はまた、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、アレルギー性鼻炎、および感染性鼻炎の治療用医薬品の製造のための、化学式(I)の第四級アンモニウム化合物の使用も含んでいる。
さらに他の局面で、本発明は、ヒトを含む哺乳類の、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、アレルギー性鼻炎、または感染性鼻炎を治療するために、化学式(I)の第四級アンモニウム化合物の治療上有効量を、該治療を必要としている該哺乳類に投与することを含む治療方法を提供する。
化学式(I)の第四級アンモニウム化合物は、有利なことには第三級アミン、例えば第四級化していない形態の化合物と比較した場合、予期しなかった、抗ムスカリン剤としての持続する効果を示した。
好ましい実施態様を記載するにあたって、明確にするためにいくつかの専門用語が用いられる。そうした専門用語は、列挙した実施態様と同時に、同様の目的のために同様の方法で同様の結果を達成するために操作する全ての均等物をも包含することを意図している。開示またはクレームされた全ての薬学的な活性化合物の範囲内で、インビボで生成される全ての活性代謝物を含むことを明白に意図しており、および、該化合物がその光学異性体、異性体、または互変異性体の形態で存在できる場合は、全ての光学異性体、異性体、または互変異性体を含むことを明白に意図している。全ての立体異性体は有用な活性を有する可能性がある。それゆえに、本発明はそれぞれの個別の立体異性体と同時にそれらの混合物も含んでいる。
化学式(I)の化合物は当業者によって製造できる。化学式(I)の第四級アンモニウム化合物は、第三級アミンおよびハロゲン化アルキルから第四級アンモニウム化合物を製造するための当業者に周知の方法により、製造できる。例えば、化学式(I)の第四級アンモニウム化合物は、欧州特許公報0801067A1(その内容は参照により本願に組み込まれる)の第三級アミンを用いて、キヌクリジン第三級窒素をアルキル化することにより、および、他の公知の化合物を出発物質として製造することができる。
一般的な用語「第四級アンモニウム化合物」は、水酸化アンモニウムまたはアンモニウム塩から、NH4イオンの4個の全ての水素原子を有機基で置換することによって誘導体化されたとみなすことのできる、全ての化合物を意味する。特定の化合物は、命名上の理
由(例えば、Chemical Abstractsを参照のこと)により「アミニウム」化合物と名づけられるが、該名称中で用語「アンモニウム」を用いることもできる。例えば、臭化(3R)−3−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−N,N−ジイソプロピル−N−メチル−3−フェニルプロパンアミニウムはまたアンモニウム化合物として:臭化(3R)−〔3−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−3−フェニルプロピル〕ジイソプロピルメチルアンモニウム、と名づけることもできる。
例として、欧州特許公報0801067A1による第三級アミン、またはその塩を、適切な溶媒に溶かす。この第三級アミンは有機基質、例えば有機ハロゲン化物と反応させることができる。この基質は、場合によってはフェニルで置換されたC1−C6アルキル、好ましくはC1−C3アルキル、および脱離基を含む。この脱離基の同一性は特に重要ではないが、この脱離基は、ヨウ化物または臭化物のようなハロゲン化物であることが好ましい。従って、例示される基質は、ヨウ化メチル、臭化メチル、ヨウ化エチル、ヨウ化プロピル、臭化ベンジルまたはヨウ化ベンジルを含む。結果として得られる反応生成物は、第四級アンモニウム化合物であり、これは当業者に知られた適切な溶媒中で容易に結晶化される。このようにして生成された結晶は第四級アンモニウム塩である。それらの同一性は、融点測定、核磁気共鳴(NMR)および質量分析法のような、標準的な方法によって確認することができる。
本発明の第四級アンモニウム化合物は、薬学的に受容可能な酸との塩として、好ましく投与することができる。好ましい薬学的に受容可能な塩には下記の酸の塩が含まれる:酒石酸、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、リン酸、硝酸、クエン酸、メタンスルホン酸、CH3−(CH2n−COOH(nは0〜4)、HOOC−(CH2n−COOH(nは1〜4)、HOOC−CH=CH−COOH、および安息香酸。他の許容しうる塩に関しては、Int. J. Pharm, 33巻, 201-217頁 (1986年) を参照されたい。特に好ましい塩は、塩化物、ヨウ化物および臭化物であり、とりわけ臭化物およびヨウ化物が好ましい。従って、Xは薬学的に許容しうる酸の陰イオンを表す。好ましくは、Xは以下の陰イオンから選ばれる:酒石酸、塩化物、臭化物、ヨウ化物、硫酸、リン酸、硝酸、クエン酸、メタンスルホン酸、2から6個の炭素原子を含むカルボン酸、2から6個の炭素原子を含むジカルボン酸、マレイン酸、フマル酸、および安息香酸。好ましくは、Xは、塩化物、ヨウ化物、または臭化物、より好ましくは、ヨウ化物、または臭化物を表す。
置換基R1は、場合によっては1〜2個のフェニルもしくはヒドロキシ、またはその両方で置換されている、直鎖または分枝鎖のC1−C6アルキルを含むグループから選択される。従って、R1は、独立して、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、ペンチル、イソペンチル、ヘキシル、またはイソヘキシルであって、場合によっては1〜2個のフェニルもしくはヒドロキシ、またはその両方で置換されたものである。特に好ましいR1は、メチルまたはエチル、好ましくはメチルを表す。
本発明の化合物は抗ムスカリン剤である。「抗ムスカリン剤」とは、ムスカリン受容体拮抗剤を意味する。公知の抗ムスカリン剤の例には、トルテロジン、ヒドロキシトルテロジン、2−(ジイソプロピルアミノ)エチル−1−フェニルシクロペンタンカルボキシレート、プロピベリン、オキシブチニン、トロスピウム、テミベリン、およびイプラトロピウムが含まれる。
プロピベリンは、1−メチル−4−ピペリジル1,1−ジフェニル−1−(n−プロポキシ)アセテートであり、東独特許公報106,643およびCAS82−155841s(1975年)に開示されている。トロスピウムは、3I−ヒドロキシスピロ〔1IH,5IH−ノルトロパン8,1’ピロリジニウム〕クロライドベンジレート。テミベリンは、3Sベンゼン酢酸、1−シクロヘキシル−1−ヒドロキシ−、4−(ジエチルアミノ)−1,1−ジメチル−2−ブチニルエステルであり、米国特許第5,036,098で開示されている。イプラトロピウムは、8−イソプロピルノルアトロピンメトブロマイドであって、米国特許第3,505,337で開示されている。
化学式(I)の化合物は、抗コリン作動剤の性質を有し、予期していなかった持続効果を肺で表す。従って、化学式(I)の化合物はアセチルコリンが介在する疾患の治療に有用である。特に、該化合物は、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、アレルギー性鼻炎、および感染性鼻炎の治療に有用である。
本発明の化合物は、ヒトおよびウマを含む哺乳類の治療に用いられる。好ましくはこの哺乳類はヒトである。本発明の化合物は、遊離の塩基もしくは薬学的に受容可能な酸との塩の形態で、またはその溶液で、適切な投与形態にすることができ、例えばそれは、経口、直腸内、経皮、非経口、鼻腔内、または経肺の経路を介して、一般に認められた薬学的方法に従って投与できる組成物である。特に、この組成物は、吸入法(inhalation)または吹込法(insufflation)で投与することができる。本発明のそうした医薬組成物は、本発明の化合物と適合可能で薬学的に受容可能な、当業者が周知の担体物質、または希釈剤と組み合わせた本発明の化合物を含有する。この担体は、投与に適切な、有機または無機の、いかなる不活性物質であってもよく、例を挙げれば:水、ゼラチン、アラビアゴム、乳糖、微結晶セルロース、スターチ、スターチグリコレートナトリウム、リン酸水素カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、滑石粉、コロイド状二酸化シリコン、およびそれらに類したものである。そうした組成物はまた、他の薬学的に活性な薬剤、ならびに、安定剤、湿潤剤、乳化剤、矯味矯臭剤、緩衝剤、結合剤、崩壊剤、潤滑剤、滑剤、癒着防止剤、推進剤、およびそれらに類したものである従来からある添加剤を含んでいても良い。この担体は、例えば、不活性成分であり、活性医薬成分が非常に良く溶解するようなpHを有する(無菌の)水でありうる。好ましいpHは7またはその付近である。代わりのそして好ましいものとしては、この不活性担体物質は、適切にpHを調整した生理食塩水であり得よう。
本発明の新規な化合物は、どのような適切な方法でも投与することができる。本発明の化合物は、固体または液体の形態に成型することができ、例えば、錠剤、カプセル剤、粉剤、シロップ剤、エリキシール剤およびそれに類したもの、エアゾール、無菌溶液、懸濁液、または乳濁液、およびそれに類したものである。この化合物は、吸入法または吹込法により、都合よく投与することができる。投与形態が吸入法または吹込法である場合、化合物は好ましくはエアゾールまたは粉剤のいずれかの形態である。
「有効量」という用語は、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、アレルギー性鼻炎、または感染性鼻炎を治療するための治療上有効量を意味する。「治療」および「治療上」という用語は、予防も含む全ての種類の治療を包含する。特に、「治療上有効」は抗コリン作動剤治療のために有効であることを意味している。
説明のために、投与量は、例えば製品のAtrovent Inhalation Aerosol(Boehringer Ingelheim)のような、エアゾール溶液の吸入法に基づいて記述される。吸入投与以外の様式による投与のための投与量の調節は、当業者に周知である。
一般に、治療上有効な抗ムスカリン剤の用量は、約1μgから約1,000μg、例えば、約10μgから約1,000μg、または、約100μgから約1,000μgである。しかしながら、本発明の特定の化合物の正確な用量は、その活性の強さ、投与の様式、患者の年齢および体重、ならびに治療すべき症状の重篤度に依存して変えられるだろう。一日投与量は、例えばそれぞれ約1μgから約1,000μgの投与量で、単回または複数回の投与して、体重1kg当り約0.01μgから10μgの範囲とすることができる。化学式(I)の化合物は、一日当り1回から4回、例えば、一日に1回または2回投与することができる。
吸入法の投与形態はエアゾールとすることができる。エアゾール送達の最小用量は約0.2mLであり、最大のエアゾール送達用量は約5mLである。本発明の化合物の濃度は、噴霧送達の総用量が約0.2mLから約5mLの範囲内であって、かつ、化学式(I)の化合物の治療上有効量を送達するかぎり、変更してもいい。もし濃度が高い場合は、同じ有効量を送達するためにより少ない用量を与えることは、当業者にとって周知のことである。
吸入のための投与形態は、鼻腔内噴霧を介することも可能である。エアゾール送達の最小量は鼻孔当り約0.02mLであり、エアゾール送達の最大量は鼻孔当り約0.2mLである。本発明の化合物の濃度は、噴霧送達の総量が鼻孔当り約0.02mLから鼻孔当り約0.2mLの範囲内であって、例えば、鼻孔当り約0.05mLから鼻孔当り約0.08mLの範囲内であって、かつ、化学式(I)の化合物の治療上有効量を送達するかぎり、変更してもいい。
種々の薬剤の吸入のためのエアゾールは、喘息を治療するための多くのエアゾールも含めて、当業者には周知である。エアゾールは噴霧器で作られる。典型的には、噴霧器には、担体溶液、および、抗ムスカリン化合物の治療上有効量を効果的に送達するために十分な量の化学式(I)の化合物が充填される。例えば、噴霧器およびその操作条件に応じて、約1μgから約1,000μg、例えば、約10μgから約1,000μg、または、約50μgから約500μgの化学式(I)の化合物を送達するために、噴霧器には抗ムスカリン化合物が数百mg充填されうる。
吸入の投与形態は粉末状であってもいい。種々の薬剤の吸入のための粉剤は、喘息を治療するための多くの粉剤も含めて、当業者には周知である。投与形態が粉剤である場合、本発明の化合物は純粋な形態で、または不活性担体で希釈して投与することができる。不活性担体を用いた場合、本発明の化合物は送達される粉剤の総量が、本発明の化合物を「有効量」で送達できるように混合される。活性化合物の実際の濃度は変更できる。本発明の活性化合物の有効量を送達するためには、もし濃度が低い場合は、より多くの粉剤を送達しなければならないし;もし濃度が高い場合は、より少ない物質を投与しなければならない。
薬学的に受容可能とは、患者にとって薬理学的/化学的な見地から、ならびに、製造する薬化学者にとって、組成、剤形、安定性、患者の受容性および生物的利用性に関する物理的/化学的な見地から、受容可能である性質および/または物質を意味する。
さらに詳しい記述がなくても、当業者は、上記の記載により、本発明をその最大限まで実施することができる。下記の詳細な実施例は、種々の化合物をいかに製造するか、および/または、本発明の種々の工程をいかに実施するかについて記載しており、これは単に説明のためと解釈されるべきであり、いかなる見地からも上記の開示を限定するものではない。当業者は、反応物ならびに反応条件および技術に関するいずれの工程からも適切な変更ができることを、容易に理解するであろう。
全ての温度は摂氏で記載されている。エーテルはジエチルエーテルを意味する。生理食塩水は0.9%の塩化ナトリウム水溶液を意味する。溶媒対(solvent pairs)が用いられた場合は、用いた溶媒の割合は容量/容量(v/v)である。溶媒中の固体の溶解度が用いられる場合は、溶媒に対する固体の割合は質量/容量(wt/v)である。
実施例1: 3−メチル−3−キヌクリジニル1−フェニル−2−イソインドリンカルボキシレートの製造
3−キヌクリジニル1−フェニル−2−イソインドリンカルボキシレート(1)は、欧州特許公報0801067A1に記載された方法により製造される。トルエン中の化合物(1)の遊離塩基に、ヨウ化メチル(1mL)を加えた。アセトニトリル(5mL)を混合液に加え、20〜25℃で終夜攪拌した。溶媒を、乾燥窒素を吹き付けて除いた。アセトン(1mL)およびヘキサン(2mL)を加え、つぎに混合物を20〜25℃で濾過し標題の化合物を得た。化合物の同一性は、さらに、NMR分析、質量分析および融点測定により確認した。
実施例2:Balb/cマウスにおける吸入した第四級アンモニウム塩の気管支拡張効果
体重が19〜22gの範囲の雌性BALB/cマウスを、チャールズリバー・ラボラトリーズ(Kingston, NC)から入手した。動物には食餌と水を自由に摂取させた。これらの実験の全ての操作は、動物保護法規則(Animal Welfare Act Regulation)、9CFP、Parts 1および2、NIH発行物85−23、1985年、に従って実施した。
エアゾール投与用の化合物はダルベッコの(Dulbecco's)リン酸緩衝生理食塩水中で調製した。マウスは回転ラック型の鼻のみ露出するチャンバーに置かれ、ICN SPAG−2噴霧器を用いて、5分間、エアゾールを吸入させられた。この噴霧器は、約0.25mL/分の速度で、平均1.3ミクロンの粒子径のエアゾールを生成した。
36時間と10分後、マウスを全身用プレチスモグラフ(plethysmograph)チャンバーに移した。80mg/mLのメタコリン(MC)エアゾールをプレチスモグラフチャンバー中に、5分間、吹き込むことにより、マウスに気管支収縮を誘発した。マウスは、80mg/mLのメタコリンのエアゾールを吸入させられた後、DPBS媒体(ダルベッコのリン酸緩衝生理食塩水)の吸入処置を受けるか、または、80mg/mLのメタコリンの後、実施例1の標題の化合物1.29mg/mLの吸入処置を受けた。気道の抵抗性に対応する平均エンハンスドポーズ(enhanced pause; Penh、肺抵抗性)を測定し、クルスカル−バリス(Kruskal-Wallis)ワンウエイANOVA法を用いて統計学的に解析した。ベースラインを定めるために、生理食塩水エアゾール(メタコリン不含有)もまた別にマウスに投与した。

Claims (14)

  1. 式(I):
    Figure 2006511494

    〔式中、
    1は、フェニル、C1−C4アルコキシ、およびヒドロキシルから選ばれた基によって場合によりそれぞれ置換される、C1−C6アルキル、−CH2−(C1−C4アルケニル)、および−CH2−(C1−C6アルキニル)から選ばれ;そして、
    Xは、薬学的に受容可能な酸の陰イオンである〕の第四級アンモニウム化合物、およびその全ての立体異性体。
  2. Xが,以下の酸−酒石酸、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、リン酸、硝酸、クエン酸、メタンスルホン酸、CH3−(CH2n−COOH(nは0〜4)、HOOC−(CH2n−COOH(nは1〜4)、HOOC−CH=CH−COOH、および安息香酸−の陰イオンから成るグループから選ばれる、請求項1の化合物。
  3. Xが、ヨウ化物、臭化物、および塩化物から成るグループから選ばれる、請求項1の化合物。
  4. Xがヨウ化物である、請求項1の化合物。
  5. Xが臭化物である、請求項1の化合物。
  6. Xが塩化物である、請求項1の化合物。
  7. 1がメチルである、請求項1の化合物。
  8. 式(I):
    Figure 2006511494

    〔式中、
    1は、フェニル、C1−C4アルコキシ、およびヒドロキシルから選ばれた基によって場合によりそれぞれ置換される、C1−C6アルキル、−CH2−(C1−C4アルケニル)、および−CH2−(C1−C6アルキニル)から選ばれ;そして、
    Xは、薬学的に受容可能な酸の陰イオンである〕の第四級アンモニウム化合物、およびその全ての立体異性体の治療上有効量を含む医薬組成物。
  9. 医薬組成物がさらに適切な製剤用担体を含む、請求項8の医薬組成物。
  10. 下記の構造:
    Figure 2006511494

    〔式中、
    1は、フェニル、C1−C4アルコキシ、およびヒドロキシルから選ばれた基によって場合によりそれぞれ置換される、C1−C6アルキル、−CH2−(C1−C4アルケニル)、および−CH2−(C1−C6アルキニル)から選ばれ;そして、
    Xは、薬学的に受容可能な酸の陰イオンである〕を有する式Iの第四級アンモニウム化合物、およびその全ての立体異性体の医薬品製造のための使用。
  11. 医薬品が喘息を治療するために使用される、請求項10の使用。
  12. 医薬品が慢性閉塞性肺疾患を治療するために使用される、請求項10の使用。
  13. 医薬品がアレルギー性鼻炎を治療するために使用される、請求項10の使用。
  14. 医薬品が感染性鼻炎を治療するために使用される、請求項10の使用。
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