JP2006510903A - 流動流中を移動する荷電分子を捕捉するための方法および装置 - Google Patents
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Abstract
本発明は、電気非伝導性流路を通過する電解質流動流の中を移動する目的とする荷電分子を捕捉するための方法であって、導電性のイオン選択的な半透過性膜によって前記流路から個々に隔てられるが前記流動流とは電気的に接触する、少なくとも1つの陽極と、少なくとも1つの陰極とを含む方法に関する。前記膜は、そのそれぞれの電極に向かうイオンの通常の循環を妨げ、電場強度が異なる少なくとも2つの帯域を生じさせる。流体力学的な力と電気的な力の間のバランスは特定のイオンを流動流中に捕捉する。本発明はかかる方法を行うための装置にも関する。
Description
バイオテク企業およびバイオテク研究室は、その生産性、すなわち、効率を増大させ、かつ、そのコストを低下させることが強いられている。作業のほとんどは、広範囲の様々な器具および方法(例えば、ピペット、遠心分離機、乾燥器、ボルテックス、クロマトグラフィー手法および電気泳動装置)を使用する液体の取り扱いを伴うので、これらの工程のすべてを1つの分析プラットホームに完全に一体化することは、低コストかつ高処理能の分析に対する試験的な手段となっている。
分析システムの小型化による一体化の考えは、多数の電気的プロセスを行うために複数のエレクトロニクス装置をセンチメートル規模の構造体に一体化することに成功したマイクロスケールエレクトロニクス産業から生じている。そのような装置はより高速であり、より安価であり、また、工業的規模での製造のために容易に組み立てられる。この分野から、マイクロ流路、マイクロ流体工学およびマイクロポンプなどの用語が、異なる様々な分析アッセイおよび方法を1つの形式に一体化するための解決策として現れている。高処理能および低コストに加えて、小型化は、サンプル、サンプル損失および試薬消費の削減、ならびに廃棄物産生の削減をもたらす。
理想的な完全に一体化されたマイクロ流体工学的装置は、サンプル導入(サンプルの貯蔵および注入)から、前処理(サンプルの清浄化、緩衝液交換、濃縮、混合、希釈および誘導体化)を介して、最終的な分析(例えば、DNAおよびタンパク質の配列分析、質量分析)までの完全な分析を可能にしなければならない。著しい進歩がこの分野では達成されている(例えば、サンプルの操作および注入のための電気浸透流の使用、DNA、タンパク質およびペプチドを分離するためのキャピラリー電気泳動(CE)の組み込み)が、システムは、広範囲の様々な機能を行うためにはほど遠いものである。下記において、本発明者らは、解決されなければならない重要な問題をいくつか検討している。
・マイクロリアクター
様々な酵素反応が、臨床診断、工業的応用および学術研究において広く行われている。反応の小型化は、従来のスキームに関連していくつかの利点をもたらす(例えば、より少ない試薬を使用するより早い反応、単位面積あたりより多くのアッセイを行う可能性、および、反応をオンライン分離と組み合わせる潜在的可能性など)。マイクロリアクターが現在の技術に関連して好都合である重要な分野は薬物発見においてである。新しい薬物のためのスクリーニングは、通常、特定の酵素についての非常に多数の阻害アッセイまたは活性化アッセイを伴うので、酵素反応の小型化は処理能を増大させ、反応物の量を低下させ、従って、アッセイの全体的なコストを低下させる。
様々な酵素反応が、臨床診断、工業的応用および学術研究において広く行われている。反応の小型化は、従来のスキームに関連していくつかの利点をもたらす(例えば、より少ない試薬を使用するより早い反応、単位面積あたりより多くのアッセイを行う可能性、および、反応をオンライン分離と組み合わせる潜在的可能性など)。マイクロリアクターが現在の技術に関連して好都合である重要な分野は薬物発見においてである。新しい薬物のためのスクリーニングは、通常、特定の酵素についての非常に多数の阻害アッセイまたは活性化アッセイを伴うので、酵素反応の小型化は処理能を増大させ、反応物の量を低下させ、従って、アッセイの全体的なコストを低下させる。
酵素反応をマイクロメートル規模の構造体に組み込むことに関連した問題は、主に、2つ以上の溶液(試薬および基質)を混合するための困難さであり、そして、インキュベーションチャンバーの構築である。反応時間が、マイクロ流路に沿った分析物の拡散を許容可能なレベルで保つために数分以下である場合、1段階反応を行うことができる。多段階反応である場合、多くの場合、ナノリットル流路における混合問題を生じさせる試薬の除去または緩衝液の交換が要求されるので、状況はより複雑になる。
別の方法は固体担体への酵素の固定化である。後で説明されるように、いくつかの技術的問題がそのような方法に関して生じている。また、固体担体を使用することの別の欠点は、汚染および酵素分解の可能性があるために、固定化工程を、装置が使用されるかなり以前に行うことができないということである。現在の技術の実用上の短所および欠点のために、そのような方法を、完全に一体化されたマイクロ流体工学的装置に組み込むことは考えられない。
・サンプル前処理
サンプル前処理をマイクロチップ形式に組み込むための問題は、ほとんどの方法が固体の定常相に基づいているという事実に関連する。目的とする分子は、固体担体に対するその親和性によって捕捉され、そして、サンプルが保持されると、別の溶液が、塩および他の望ましくない化合物を洗い流すために用いられ、その後、捕捉された分子が、さらなる分析のために好適な緩衝液の中に放出させられる。分子はサンプル負荷時およびサンプル洗浄時に固体担体に対して保持されるので、著しい予備濃縮効果が一般には得られる。しかしながら、固体担体は、フリットを使用して機械的に詰めなければならないか、またはそうでなければ、流路の壁に化学的に結合させなければならないので、この技術をマイクロメートルサイズの流路形式に取り込むためには問題がある。これらの方法はともに、大規模な製造において適用することは困難である。別の制限は、目的とする生体分子を保持するために用いられる特異的な物理的相互作用である。サイズ、極性および他の分子特性(例えば、DNA、タンパク質、ペプチド)の幅広い分布のために、異なる固体担体が、異なる分析状況では使用される必要がある。このことは、異なるチップを、新しいタイプの成分が処理される毎に製造する必要があるので、明らかに不都合である。最後に、実際のサンプルにおける混入物および小さい微粒子による固体担体の汚れにより、その使用、および再使用のためのその能力が制限される。
サンプル前処理をマイクロチップ形式に組み込むための問題は、ほとんどの方法が固体の定常相に基づいているという事実に関連する。目的とする分子は、固体担体に対するその親和性によって捕捉され、そして、サンプルが保持されると、別の溶液が、塩および他の望ましくない化合物を洗い流すために用いられ、その後、捕捉された分子が、さらなる分析のために好適な緩衝液の中に放出させられる。分子はサンプル負荷時およびサンプル洗浄時に固体担体に対して保持されるので、著しい予備濃縮効果が一般には得られる。しかしながら、固体担体は、フリットを使用して機械的に詰めなければならないか、またはそうでなければ、流路の壁に化学的に結合させなければならないので、この技術をマイクロメートルサイズの流路形式に取り込むためには問題がある。これらの方法はともに、大規模な製造において適用することは困難である。別の制限は、目的とする生体分子を保持するために用いられる特異的な物理的相互作用である。サイズ、極性および他の分子特性(例えば、DNA、タンパク質、ペプチド)の幅広い分布のために、異なる固体担体が、異なる分析状況では使用される必要がある。このことは、異なるチップを、新しいタイプの成分が処理される毎に製造する必要があるので、明らかに不都合である。最後に、実際のサンプルにおける混入物および小さい微粒子による固体担体の汚れにより、その使用、および再使用のためのその能力が制限される。
キャピラリー電気泳動(CE)は、マイクロチップ形式における使用について大きな潜在的可能性を有する分離法である。しかし、その完全な潜在的可能性に到達するためにはサンプル調製の組み込みを必要とする。DNAおよびタンパク質を分離するための電気泳動の使用は、現代の生物学科学の目覚ましい成果のためには不可欠であった。従来のスラブゲル電気泳動は依然として非常に有用であり、広く使用されているが、CEは今や、DNA配列分析のための最も強力なツールである。一般に、CEの利点には、スラブゲル技術と比べて速度がより大きいこと、分離効率がより大きいこと、試薬体積が少ないこと、および、自動化がより容易であることが挙げられる。
次の工程はチップ形式へのCEの組み込みである。電気泳動のための数個の並行流路を、サンプルリザーバー、緩衝液リザーバーおよび廃液リザーバーを含めて数センチメートル以内に組み立てることができる。実際に、Agilent Technologiesにより、DNAサイズ分画、RNA分析およびタンパク質分離のための「Labchip」が販売されている。この微細加工された装置は、市場において、DNA、RNAおよびタンパク質を分析するための最も簡便な自動化されたシステムである。しかしながら、このシステムはサンプル調製能力を有していない。脱塩、ならびに、残ったヌクレオチドおよびテンプレートの除去が、DNAの十分な注入および分離のためには必要である。この工程は、ある程度、高処理能のDNA配列決定またはDNA分析における障害であり、最終的には、チップシステムに組み込むために必要な機能である。
また、小口径キャピラリーの使用は、注入することができるサンプル体積を1nL〜10nLに制限し、また、光学検出システムのために利用可能な行路長が短いことに加えて、適切な検出のために予備濃縮工程を含むことが多くの場合には必要である。DNAは増幅可能であるが、タンパク質は増幅することができないので、予備濃縮工程が、多くの場合、CEによる分析のためには必要とされる。
まとめると、実際の分析での一体化の場合、マイクロ流体工学的方法では、サンプル調製および微量反応を行うためのより良好な方法を見出さなければならない。これらの方法を組み込むことにより、多くの分野に対する適用性が大きく増大し、従って、市場占有率が増大する。様々な技術的問題のために、現在の技術は適切な解決策を提供していない。本明細書に記載される発明により、現行技術を上回る利点がいくつか提供される。
本発明は、微量流動流中の荷電分子を捕捉するための方法、および、膜に基づく積層化装置に関する。
本明細書に記載される装置は、固体担体または化学的な結合の助けを用いることなく、流動流中においてスポット状領域内に荷電分子を捕捉する。異なる溶液を、サンプルの清浄化または緩衝液交換のために装置に続けて注入することができる。さらに、本発明のシステムは、試薬(荷電試薬または非荷電試薬)を、それ以外の試薬(荷電試薬)が捕捉されている間に注入することによって微量反応チャンバーとして使用することができる。
荷電分子の捕捉は、電気泳動的積層化効果および流体力学的掃引効果の組合せによって達成される。本発明の詳細な理論的記載および実験的記載が下記の節に示される。
図面の簡単な記述
図1はイオン濃度が異なる領域を電気泳動流路中に生じさせるための仮想的な装置の概略図を示す。イオン選択性膜(6)が電極(4、5)と電気泳動流路(1)との間に置かれる。前記膜は、それらのそれぞれの電極に向かう特定イオンの通常の循環を許さず、イオン濃度が異なる帯域を生じさせる。図1Aにおいて、電気泳動流路の端部はカチオン選択性膜でシールされ、閉じた流路の形態で電解質リザーバー(7)の中に入れられる。図1Bは、緩衝液リザーバー(9)における溶液を電気泳動流路において自由に循環させることができ、しかし、図1Aの場合と同じ電気的特性を有する開放型流路設計を例示する。
図2は積層化帯域を流動流中に生じさせるための仮想的な装置の概略図を示す。流体力学的な流れが電気泳動流路(1)に加えられ、電気泳動流路(1)において、イオン強度および電場が異なる2つの帯域が生じる。図2Aは、電気泳動流路を横断するイオンの動きを例示する。図2Bは、電場強度が異なる生じた帯域の位置を例示する。
図3はマイクロ流体工学的電気捕捉装置の概略図を示す。この装置は、図2と同じ特長を有する。バルブ(10)により、マイクロ流体工学装置が、流体力学的流れをもたらすシリンジポンプと接続される。電解質リザーバー(7)の中に置かれた電極(8)は、電源により加えられる電気的電位の極性に依存して陰極または陽極として作用する。
図4は流速に対する捕捉装置の電流を示す。カチオン選択性膜の間での10mM Tris−HCl(pH8.0)の溶液、および300V(187V/cm)を使用して、0μl/分〜5μl/分の間の流速で15分の運転の後に電流が測定された。
図5は異なる流動条件のもとでの捕捉装置の電気的挙動の概略図を示す。静止時(A)、適度な流速(B)および高流速(C)における電気的挙動。黒球および白球はアニオンおよびカチオンをそれぞれ表す。本文において詳しく説明されるように、Nafionのカチオン選択的性質により形成されるイオン欠乏帯域は、低流速での電流挙動を担う、膜に基づく積層化効果を生じさせる。
図6は捕捉装置を運転しているときの下流側の陰極接合部の像を示す。0.5mg/mlのウマ筋肉ミオグロビン、0.25mg/mlのヒトヘモグロビンA、および0.4mg/mlのウシ血清アルブミンの10mM Tris−HCl(pH8.0)における溶液をシステムに注入し、0.4μl/分の流速およびギャップ間での300V(187V/cm)で捕捉した。捕捉電圧を加えた数秒後に、濃縮されたタンパク質のバンドを認めることができた。
図7は運転時における捕捉装置の電流および捕捉・放出のプロフィルを示す。2.3節に記載される装置が、HindIII制限酵素で消化されたλDNAを捕捉するために使用された。0.8μg/μLのλDNA/HindIII消化物の溶液(53.5mM Tris−HCl、5mM MgCl2、1.25mM NaCl、および0.1mM EDTA、pH8.0)が、検出器を通過するDNAの一定したレベルをもたらす0.3μL/分で連続して装置に注入された。電圧(153V/cm)を加えた後において、シグナルの低下は、DNAがシステムによって捕捉されていることを示す。電圧を止めた直後に、捕捉DNAの1つだけのピークが検出器で観測された。
図8は従来の重力流体力学的な流れ注入法を使用するCEシステム(A)および本発明の捕捉装置(B)で分離されたモデルタンパク質から得られる電気泳動図を示す。両方の実験のために、3μg/mlの次の各タンパク質が10mMのTris−HCl(pH8.0)に溶解された:(1)ウシカルボニックアンヒドラーゼ、(2)α−ラクトアルブミン、(3)β−ラクトグロブリンA、(4)β−ラクトグロブリンB、および(*)Tris緩衝剤ピーク。流体力学的注入の場合(A)、サンプルバイアルが、8秒間、陰極バイアルの14cm上方に上げられた。捕捉装置での予備濃縮(B)が0.3μl/分および187V/cmで60分間行われた。
図9は50mMリン酸塩緩衝液および40mM NaClを含有するミオグロビンのトリプシン消化物(0.1pmol/μL)のMALDI−TOFスペクトルを示す。(A)脱塩していない未精製サンプル、および(B)マイクロ流体工学的電気捕捉装置を使用して脱塩されたサンプル。M+Na+は、ナトリウムイオンが混入したペプチドピークを示している。矢印は、本発明による装置を使用した脱塩の後においてそのようなピークが存在しないことを示す。
図10は1回の微量反応(A)および多段階の微量反応(C)のMALDI−TOFスペクトルを示す。(A)では、1pmolのミオグロビンが捕捉され、続いて、10pmolのトリプシンの注入および捕捉が行われた。タンパク質は50%アセトニトリルにおける30mM Tris緩衝液(pH8.0)に溶解された。30分のインキュベーション時間の後、電源を切り、生成物をMALDIプレートに直接スポットし、分析した。(A)ミオグロビンの成功した捕捉および消化(0.3μL/分の流速および190V/cmを使用した)。(B)ブランク実験(同じ実験条件を使用するが電圧を加えなかった)。(C)では、ジチオスレイトールを用いたジスルフィド結合の還元、その後のヨードアセトアミドを用いたカルボアミドメチル化、および続くトリプシンを用いたタンパク質分解的消化が示される。
図11は本発明による装置の平面設計を例示する。溝が平面構造体に作製される。流体工学的流路を組み立てるために、溝は第2の平面構造体で覆われる。入口孔(2)および出口孔(3)が上部の平面構造体に作製される。上部の平面構造体材料における一部の領域がイオン選択性材料(6)で置き換えられる。
図12は接合後の図11に示される平面設計を例示する。図12Aは装置の前面断面図を示す。図12Bは、電解質リザーバー(7)、イオン選択性膜および流体工学的流路(1)に沿った側面断面図を示す。
図13は作動中の電極(4、5)を有する平面設計を例示する。この構成(上流側陰極(4)、およびカチオン選択性膜であるイオン選択性膜(6))のもとで、黒球は捕捉アニオンを表す。
図14は本発明による装置の異なる平面設計を例示する。電極(8)、入口(2)、出口(3)、イオン選択性膜(6)および電解質リザーバー(7)が示される。
図15は本発明による装置の異なる平面設計を例示する。流路(1)が、2つの平面構造体の間の中間層に作製される。入口(2)、出口(3)、イオン選択性膜(6)、電解質リザーバー(7)、電極(8)および流体工学的流路(1)が示される。
図16は本発明による装置の異なる平面設計を例示する。流路(1)、および緩衝液リザーバーの底部が平面構造体の中に組み立てられる。イオン選択性材料(6)が、電解質リザーバー(7’)を伴う流路を物理的に隔てる方法で配置される。もう一方の平面構造体には、接合後、電解質リザーバー(7)、入口(2)および出口(3)を形成する孔がある。
図17は本発明による装置の異なる平面設計を例示する。3つの平面構造体により、装置が形成される(図17A)。第1の構造体には、電解質リザーバー(7)、入口(2)および出口(3)を形成する孔がある。中間の平面構造体は、電解質リザーバーのための孔(7’)と、流体工学的流路の壁を形成する溝(1’)とを含有する。孔および溝はこの平面構造体の全厚さを貫通している。最後に、流体工学的流路の底部を形成する構造体は、接合後、電解質リザーバーと流体工学的流路との間での電気的接点となるイオン選択性材料をその表面に有する(図17B)。中間構造体は、流体工学的流路の適切なシールを可能にするためのくぼみを溝と電解質リザーバーとの間に有することに留意すること。
図18は本発明による装置の多流路設計を例示する。この設計は、本発明による方法を並行して行うことができる数本の流路を有する点で、図11とは異なる。
図19は多数のイオン選択性膜の形態を例示する。
図20は1対の副流路を有する、多数のイオン選択性膜の形態を例示する。
図21は本発明による装置の異なる平面設計を例示する。図21Aは装置の上面図を示す。図21Bは、電解質リザーバー(7)に沿った側面断面図を示す。イオン選択性膜(6)、流体工学的流路(1)および電解質リザーバー(7)を認めることができる。
荷電分子の捕捉は、電気泳動的積層化効果および流体力学的掃引効果の組合せによって達成される。本発明の詳細な理論的記載および実験的記載が下記の節に示される。
図面の簡単な記述
図1はイオン濃度が異なる領域を電気泳動流路中に生じさせるための仮想的な装置の概略図を示す。イオン選択性膜(6)が電極(4、5)と電気泳動流路(1)との間に置かれる。前記膜は、それらのそれぞれの電極に向かう特定イオンの通常の循環を許さず、イオン濃度が異なる帯域を生じさせる。図1Aにおいて、電気泳動流路の端部はカチオン選択性膜でシールされ、閉じた流路の形態で電解質リザーバー(7)の中に入れられる。図1Bは、緩衝液リザーバー(9)における溶液を電気泳動流路において自由に循環させることができ、しかし、図1Aの場合と同じ電気的特性を有する開放型流路設計を例示する。
図2は積層化帯域を流動流中に生じさせるための仮想的な装置の概略図を示す。流体力学的な流れが電気泳動流路(1)に加えられ、電気泳動流路(1)において、イオン強度および電場が異なる2つの帯域が生じる。図2Aは、電気泳動流路を横断するイオンの動きを例示する。図2Bは、電場強度が異なる生じた帯域の位置を例示する。
図3はマイクロ流体工学的電気捕捉装置の概略図を示す。この装置は、図2と同じ特長を有する。バルブ(10)により、マイクロ流体工学装置が、流体力学的流れをもたらすシリンジポンプと接続される。電解質リザーバー(7)の中に置かれた電極(8)は、電源により加えられる電気的電位の極性に依存して陰極または陽極として作用する。
図4は流速に対する捕捉装置の電流を示す。カチオン選択性膜の間での10mM Tris−HCl(pH8.0)の溶液、および300V(187V/cm)を使用して、0μl/分〜5μl/分の間の流速で15分の運転の後に電流が測定された。
図5は異なる流動条件のもとでの捕捉装置の電気的挙動の概略図を示す。静止時(A)、適度な流速(B)および高流速(C)における電気的挙動。黒球および白球はアニオンおよびカチオンをそれぞれ表す。本文において詳しく説明されるように、Nafionのカチオン選択的性質により形成されるイオン欠乏帯域は、低流速での電流挙動を担う、膜に基づく積層化効果を生じさせる。
図6は捕捉装置を運転しているときの下流側の陰極接合部の像を示す。0.5mg/mlのウマ筋肉ミオグロビン、0.25mg/mlのヒトヘモグロビンA、および0.4mg/mlのウシ血清アルブミンの10mM Tris−HCl(pH8.0)における溶液をシステムに注入し、0.4μl/分の流速およびギャップ間での300V(187V/cm)で捕捉した。捕捉電圧を加えた数秒後に、濃縮されたタンパク質のバンドを認めることができた。
図7は運転時における捕捉装置の電流および捕捉・放出のプロフィルを示す。2.3節に記載される装置が、HindIII制限酵素で消化されたλDNAを捕捉するために使用された。0.8μg/μLのλDNA/HindIII消化物の溶液(53.5mM Tris−HCl、5mM MgCl2、1.25mM NaCl、および0.1mM EDTA、pH8.0)が、検出器を通過するDNAの一定したレベルをもたらす0.3μL/分で連続して装置に注入された。電圧(153V/cm)を加えた後において、シグナルの低下は、DNAがシステムによって捕捉されていることを示す。電圧を止めた直後に、捕捉DNAの1つだけのピークが検出器で観測された。
図8は従来の重力流体力学的な流れ注入法を使用するCEシステム(A)および本発明の捕捉装置(B)で分離されたモデルタンパク質から得られる電気泳動図を示す。両方の実験のために、3μg/mlの次の各タンパク質が10mMのTris−HCl(pH8.0)に溶解された:(1)ウシカルボニックアンヒドラーゼ、(2)α−ラクトアルブミン、(3)β−ラクトグロブリンA、(4)β−ラクトグロブリンB、および(*)Tris緩衝剤ピーク。流体力学的注入の場合(A)、サンプルバイアルが、8秒間、陰極バイアルの14cm上方に上げられた。捕捉装置での予備濃縮(B)が0.3μl/分および187V/cmで60分間行われた。
図9は50mMリン酸塩緩衝液および40mM NaClを含有するミオグロビンのトリプシン消化物(0.1pmol/μL)のMALDI−TOFスペクトルを示す。(A)脱塩していない未精製サンプル、および(B)マイクロ流体工学的電気捕捉装置を使用して脱塩されたサンプル。M+Na+は、ナトリウムイオンが混入したペプチドピークを示している。矢印は、本発明による装置を使用した脱塩の後においてそのようなピークが存在しないことを示す。
図10は1回の微量反応(A)および多段階の微量反応(C)のMALDI−TOFスペクトルを示す。(A)では、1pmolのミオグロビンが捕捉され、続いて、10pmolのトリプシンの注入および捕捉が行われた。タンパク質は50%アセトニトリルにおける30mM Tris緩衝液(pH8.0)に溶解された。30分のインキュベーション時間の後、電源を切り、生成物をMALDIプレートに直接スポットし、分析した。(A)ミオグロビンの成功した捕捉および消化(0.3μL/分の流速および190V/cmを使用した)。(B)ブランク実験(同じ実験条件を使用するが電圧を加えなかった)。(C)では、ジチオスレイトールを用いたジスルフィド結合の還元、その後のヨードアセトアミドを用いたカルボアミドメチル化、および続くトリプシンを用いたタンパク質分解的消化が示される。
図11は本発明による装置の平面設計を例示する。溝が平面構造体に作製される。流体工学的流路を組み立てるために、溝は第2の平面構造体で覆われる。入口孔(2)および出口孔(3)が上部の平面構造体に作製される。上部の平面構造体材料における一部の領域がイオン選択性材料(6)で置き換えられる。
図12は接合後の図11に示される平面設計を例示する。図12Aは装置の前面断面図を示す。図12Bは、電解質リザーバー(7)、イオン選択性膜および流体工学的流路(1)に沿った側面断面図を示す。
図13は作動中の電極(4、5)を有する平面設計を例示する。この構成(上流側陰極(4)、およびカチオン選択性膜であるイオン選択性膜(6))のもとで、黒球は捕捉アニオンを表す。
図14は本発明による装置の異なる平面設計を例示する。電極(8)、入口(2)、出口(3)、イオン選択性膜(6)および電解質リザーバー(7)が示される。
図15は本発明による装置の異なる平面設計を例示する。流路(1)が、2つの平面構造体の間の中間層に作製される。入口(2)、出口(3)、イオン選択性膜(6)、電解質リザーバー(7)、電極(8)および流体工学的流路(1)が示される。
図16は本発明による装置の異なる平面設計を例示する。流路(1)、および緩衝液リザーバーの底部が平面構造体の中に組み立てられる。イオン選択性材料(6)が、電解質リザーバー(7’)を伴う流路を物理的に隔てる方法で配置される。もう一方の平面構造体には、接合後、電解質リザーバー(7)、入口(2)および出口(3)を形成する孔がある。
図17は本発明による装置の異なる平面設計を例示する。3つの平面構造体により、装置が形成される(図17A)。第1の構造体には、電解質リザーバー(7)、入口(2)および出口(3)を形成する孔がある。中間の平面構造体は、電解質リザーバーのための孔(7’)と、流体工学的流路の壁を形成する溝(1’)とを含有する。孔および溝はこの平面構造体の全厚さを貫通している。最後に、流体工学的流路の底部を形成する構造体は、接合後、電解質リザーバーと流体工学的流路との間での電気的接点となるイオン選択性材料をその表面に有する(図17B)。中間構造体は、流体工学的流路の適切なシールを可能にするためのくぼみを溝と電解質リザーバーとの間に有することに留意すること。
図18は本発明による装置の多流路設計を例示する。この設計は、本発明による方法を並行して行うことができる数本の流路を有する点で、図11とは異なる。
図19は多数のイオン選択性膜の形態を例示する。
図20は1対の副流路を有する、多数のイオン選択性膜の形態を例示する。
図21は本発明による装置の異なる平面設計を例示する。図21Aは装置の上面図を示す。図21Bは、電解質リザーバー(7)に沿った側面断面図を示す。イオン選択性膜(6)、流体工学的流路(1)および電解質リザーバー(7)を認めることができる。
背景
本発明は、特定のイオンが積層化効果および流体力学的効果によって捕捉される、異なる局所的電場を有する帯域を生じさせることによって、電気非伝導性流路を通過する電解質流動流の中を移動する目的とする荷電分子を捕捉するための方法に関する。
本発明は、特定のイオンが積層化効果および流体力学的効果によって捕捉される、異なる局所的電場を有する帯域を生じさせることによって、電気非伝導性流路を通過する電解質流動流の中を移動する目的とする荷電分子を捕捉するための方法に関する。
電気泳動において、「積層化」は、バンドを鋭くするために分析物の電気泳動速度を操作する一群の予備濃縮法を示す。通常の電気泳動では、流路、電極チャンバーおよびサンプル自体における電解質溶液は、本質的には同じ特性を有しており、このため、特定の分析物のイオンのすべてが同じ速度で一様に移動させられる。対照的に、積層化技術では、注入されたサンプルを収束および濃縮するという目的で、電気的性質および/または化学的性質が異なる不連続な緩衝液が使用される。
電気泳動時において、ある特定のイオンの電気泳動速度(cm/s)は、その特定の電気泳動移動度(cm2V−1s−1)および電場強度に関係づけられる(式1)。
式1 νe=μ×E νe=電気泳動速度
μ=電気泳動移動度
E=電場
式1 νe=μ×E νe=電気泳動速度
μ=電気泳動移動度
E=電場
Eは、流路または他の分離経路に沿った単位距離(センチメートル)あたりの電位差(V、ボルト単位)として定義され、Vは電流および抵抗に比例する(式2)ので、Rの低下はEを減少させ、従って、電場中を移動するイオンの速度を低下させる。
式2 V=i×R V=電位差
i=電流
R=抵抗
式2 V=i×R V=電位差
i=電流
R=抵抗
Rは電気伝導率に反比例する(式3)ので、同じ長さおよび面積を有する電気素子における電気伝導率の低下は抵抗およびEの増大を生じさせ、これにより、電場中に存在するイオンの電気泳動速度の増大をもたらす。
式3 R=L/(δ×A) R=抵抗 L=長さ
δ=比電気伝導率 A=面積
式3 R=L/(δ×A) R=抵抗 L=長さ
δ=比電気伝導率 A=面積
Eは電気伝導率(δ)に反比例する(式2および式3)ので、電気泳動速度は、電気伝導率が異なる溶液の中を所与のイオンが移動することによって変化させることができる。
δは、通常、電解質溶液におけるイオンの濃度に正比例するので、イオン強度の低下はδを低下させ、Rを増大させ(式3)、従って、Eを増大させる(式2)。例えば、所与のイオンが、特定のδ値を有する溶液の中を移動して、より大きいイオン強度を有する領域に到達するならば、その電気泳動速度は、より大きいδ値、および、従って、より低いE値のために低下する。積層化法では、この現象が、異なる電気伝導率またはイオン強度を有する不連続な電解質溶液を使用することによってイオンを濃縮するために用いられる。
例えば、積層化は、サンプルが電気泳動緩衝液よりも低いイオン強度の溶液に溶解されているときに生じる。この場合、電気泳動緩衝液の物理化学的性質が中断され、これにより、イオンが異なる速度で電極に向かって移動する電場強度の局所的な差が生じる。局所的な電場強度が、サンプル帯域において、電気泳動流路のその他の部分よりも大きくなると、サンプルのイオンは、その電気泳動速度を低下させる強度がより低い電場を受ける電気泳動緩衝液境界と出会うまで、対応する電極に向かって迅速に移動する。このようにして、サンプル帯域が、サンプル帯域と電気泳動緩衝液との間の境界に集中または濃縮される。
収束するためには、イオンが異なる速度で移動する不連続な領域が要求されるので、電気的性質および/または化学的性質が異なる溶液の注入が不可欠である。
本明細書に記載される装置および方法は、連続した流動緩衝液において不連続な帯域を生じさせることができ、これにより、積層化による予備濃縮における機構とは異なる機構によって荷電分子の保持または捕捉を可能にする。
方法
一般的記載
電気泳動では、アニオンおよびカチオンがそれらのそれぞれの電極(4、5)に移動するので、理論的には、イオン選択性膜(6)を電気泳動流路(1)と電極(4、5)との間で使用することによって1つのタイプ(カチオンまたはアニオン)を蓄積することが可能である。このような様式において、装置がカチオン選択性膜を有する場合、アニオン(これは膜を通過することができない)は陽極膜の近くに蓄積することになり、その一方で、カチオンは、流路と電極チャンバーとの間を自由に循環する。このことが図1Aに示される。このようにして、イオン強度が異なる2つの帯域が生じる。この流路の中へのサンプル注入を可能にするために、この設計は、システム特性を改変することなく変化させることができる(図1B)。電極緩衝液チャンバー(7)が電極(4、5)のところに配置される。
一般的記載
電気泳動では、アニオンおよびカチオンがそれらのそれぞれの電極(4、5)に移動するので、理論的には、イオン選択性膜(6)を電気泳動流路(1)と電極(4、5)との間で使用することによって1つのタイプ(カチオンまたはアニオン)を蓄積することが可能である。このような様式において、装置がカチオン選択性膜を有する場合、アニオン(これは膜を通過することができない)は陽極膜の近くに蓄積することになり、その一方で、カチオンは、流路と電極チャンバーとの間を自由に循環する。このことが図1Aに示される。このようにして、イオン強度が異なる2つの帯域が生じる。この流路の中へのサンプル注入を可能にするために、この設計は、システム特性を改変することなく変化させることができる(図1B)。電極緩衝液チャンバー(7)が電極(4、5)のところに配置される。
装置がカチオン選択性膜(6)を伴って組み立てられる場合、積層化帯域が下記のように生じる。流体力学的な流動流が、高イオン強度帯域が低イオン強度帯域の上流側に位置するような様式で電気泳動流路(1)において加えられる(図2A)。陽極が上流側に配置され、陰極が下流側に配置される。この形態のもとでは、アニオンに加わる流体力学的力と電気力は逆方向である。イオン濃縮帯域に存在する特定のアニオンは、電気力よりも大きな大きさの流体力学的力を受け、その結果、電場がより高い帯域に向かって下流側に移動する。そのようなアニオンが高電場帯域に入ると、電気力が大きくなる。これらのイオンについて、電気力の大きさは流体力学的力よりも大きくなり、従って、イオンは流れに逆らって上流側に押される。
前記イオンが再び低電場帯域(イオン濃縮帯域)に入ると、加わる電気力が低下する。この領域では、電気力が流体力学的力よりも弱いので、前記イオンは流体力学的力によって下流側に押される。このプロセスが繰り返される。この機構によって、遅いアニオンが流動流中において狭いバンドに積層化または捕捉され得る(図2B)。
上記の場合において、高電場領域が低電場強度領域の下流側に存在する。この機構を裏付ける経験的データ(表1)、上記で説明された構成を使用する例および応用が、実施例およびさらなるデータの節における実施例1、実施例2および実施例3に示される。異なる構成では、電極の極性を反転させることができ、すなわち、陰極を上流側に配置し、陽極を下流側に配置し、それにより、そのような帯域の位置を変化させることができる。この場合、低電場強度帯域が高電場強度帯域の下流側に存在する。この様式のもとでは、カチオンがアニオン選択性膜を通過することができず、流体力学的流れよりも強い電気力で押され続け、流路に面する膜の表面に保持されることになる。カチオン選択性膜を通過することができないカチオンの例には、ペプチドおよびタンパク質(それらのカチオン性状態において)があり、これらは、その分子サイズが大きすぎて、膜の細孔を通過することができない。
同じ理論的モデルを、装置がアニオン選択性膜を有する場合に適用することができる。この場合、イオン濃縮帯域と低電場強度領域が上流側および下流側にそれぞれ存在する(陰極が上流側に、陽極が下流側に存在する)とき、遅いカチオンがイオン濃縮帯域と低電場強度領域との間に捕捉される。他方で、アニオン性高分子は、その分子サイズが大きすぎて、膜を通過することができないので、膜の内側表面に保持されることになる。そのような分子の例には、DNAおよびタンパク質またはペプチド(それらのアニオン性状態において)があり、これは高電場強度帯域および低電場強度帯域が上流側および下流側にそれぞれ存在する(陰極が下流側に、陽極が上流側に存在する)ときである。
方法の詳細な説明
本発明は、電気非伝導性流路を通過する電解質流動流の中を移動する目的とする荷電分子を捕捉するための方法であって、導電性のイオン選択的な半透過性膜によって前記流路から個々に隔てられるが前記流動流とは電気的に接触する、少なくとも1つの陽極と、少なくとも1つの陰極とを含む方法に関する。前記膜は、負の荷電イオン(アニオン選択性膜)または正の荷電イオン(カチオン選択性膜)のいずれかの選択的な通過を可能にする。このような選択的通過は、そのそれぞれの電極に向かうイオンの通常の循環を妨げ、それにより、イオン選択性膜を通過することができないイオンを流路の内部に蓄積させ、また、この手段により、イオン強度、電気伝導率および局所的な電場強度が異なる少なくとも2つの帯域を生じさせ、それにより、イオン選択性膜(カチオン選択的またはアニオン選択的)の選択性、ならびに/あるいは、陽極および陰極の位置(上流側または下流側)を変化させたとき、
i)電場強度がより低い帯域が、電場強度がより高い帯域の上流側に存在し、そして、局所的な電場強度がより低い帯域に存在する目的とする荷電分子に対して生じる電気力よりも大きく、かつ、そのような電気力とは逆向きであり、従って、目的とする荷電分子を、電場強度がより高い帯域に向かって下流側に押し動かす流体力学的な力、および、電場強度がより高い帯域に対して生じる電気力よりも小さく、かつ、そのような電気力とは逆向きであり、従って、目的とする荷電分子を、電場強度がより低い帯域に向かって上流側に再び押し戻す流体力学的な力が、上流側に置かれた電極によって引き寄せられたイオンに加えられる。このプロセスが繰り返され、それにより、イオンが、電場強度が異なる帯域の間に積層化される;
ii)電場強度がより高い帯域が、電場強度がより低い帯域の上流側に存在する。この場合、荷電分子は、上流側の電極によって引き寄せられ、流動流の流体力学的な力よりも大きい電気力で引っ張られ、イオン選択性膜を通過することができないので、膜の表面で保持される。
本発明は、電気非伝導性流路を通過する電解質流動流の中を移動する目的とする荷電分子を捕捉するための方法であって、導電性のイオン選択的な半透過性膜によって前記流路から個々に隔てられるが前記流動流とは電気的に接触する、少なくとも1つの陽極と、少なくとも1つの陰極とを含む方法に関する。前記膜は、負の荷電イオン(アニオン選択性膜)または正の荷電イオン(カチオン選択性膜)のいずれかの選択的な通過を可能にする。このような選択的通過は、そのそれぞれの電極に向かうイオンの通常の循環を妨げ、それにより、イオン選択性膜を通過することができないイオンを流路の内部に蓄積させ、また、この手段により、イオン強度、電気伝導率および局所的な電場強度が異なる少なくとも2つの帯域を生じさせ、それにより、イオン選択性膜(カチオン選択的またはアニオン選択的)の選択性、ならびに/あるいは、陽極および陰極の位置(上流側または下流側)を変化させたとき、
i)電場強度がより低い帯域が、電場強度がより高い帯域の上流側に存在し、そして、局所的な電場強度がより低い帯域に存在する目的とする荷電分子に対して生じる電気力よりも大きく、かつ、そのような電気力とは逆向きであり、従って、目的とする荷電分子を、電場強度がより高い帯域に向かって下流側に押し動かす流体力学的な力、および、電場強度がより高い帯域に対して生じる電気力よりも小さく、かつ、そのような電気力とは逆向きであり、従って、目的とする荷電分子を、電場強度がより低い帯域に向かって上流側に再び押し戻す流体力学的な力が、上流側に置かれた電極によって引き寄せられたイオンに加えられる。このプロセスが繰り返され、それにより、イオンが、電場強度が異なる帯域の間に積層化される;
ii)電場強度がより高い帯域が、電場強度がより低い帯域の上流側に存在する。この場合、荷電分子は、上流側の電極によって引き寄せられ、流動流の流体力学的な力よりも大きい電気力で引っ張られ、イオン選択性膜を通過することができないので、膜の表面で保持される。
このような様式において、前記膜が、アニオンに対してではなく、カチオンに対して透過性であり、従って、そのそれぞれの電極に向かうアニオンの通常の循環を妨げるが、カチオンの通常の循環を妨げず、それにより、前記膜を通過することができないアニオンを流路の内側に蓄積させるカチオン選択性膜であり、イオン強度、電気伝導率および局所的な電場強度が異なる少なくとも2つの帯域を生じさせることになる場合、
i)陽極が陰極の上流側に存在し、それにより、イオン強度がより高く、かつ、電場強度がより低い帯域が、イオン強度がより低く、かつ、電場強度がより高い帯域の上流側に存在し、そして、局所的な電場強度がより低い帯域に存在する目的とする負の荷電分子に対して生じる電気力よりも大きく、かつ、そのような電気力とは逆向きであり、従って、前記分子を、電場強度がより高い帯域に向かって下流側に押し動かす流体力学的な力、および、電場強度がより高い帯域における目的とする負の荷電分子に対して生じる電気力よりも小さく、かつ、そのような電気力とは逆向きであり、従って、前記分子を、電場強度がより低い帯域に向かって上流側に再び押し戻す流体力学的な力が加えられる。このプロセスが繰り返され、それにより、前記分子が、電場強度が異なる帯域の間に積層化される;
ii)陰極が陽極の上流側に存在し、それにより、イオン強度がより高く、かつ、電場強度がより低い帯域が、イオン強度がより低く、かつ、電場強度がより高い帯域の下流側に存在する。この場合、目的とする正の荷電分子は、流動流の流体力学的な力よりも大きい電気力で引っ張られ、イオン選択性膜を通過することができないので、膜の表面で保持される。
i)陽極が陰極の上流側に存在し、それにより、イオン強度がより高く、かつ、電場強度がより低い帯域が、イオン強度がより低く、かつ、電場強度がより高い帯域の上流側に存在し、そして、局所的な電場強度がより低い帯域に存在する目的とする負の荷電分子に対して生じる電気力よりも大きく、かつ、そのような電気力とは逆向きであり、従って、前記分子を、電場強度がより高い帯域に向かって下流側に押し動かす流体力学的な力、および、電場強度がより高い帯域における目的とする負の荷電分子に対して生じる電気力よりも小さく、かつ、そのような電気力とは逆向きであり、従って、前記分子を、電場強度がより低い帯域に向かって上流側に再び押し戻す流体力学的な力が加えられる。このプロセスが繰り返され、それにより、前記分子が、電場強度が異なる帯域の間に積層化される;
ii)陰極が陽極の上流側に存在し、それにより、イオン強度がより高く、かつ、電場強度がより低い帯域が、イオン強度がより低く、かつ、電場強度がより高い帯域の下流側に存在する。この場合、目的とする正の荷電分子は、流動流の流体力学的な力よりも大きい電気力で引っ張られ、イオン選択性膜を通過することができないので、膜の表面で保持される。
他方で、前記膜が、カチオンに対してではなく、アニオンに対して透過性であり、従って、そのそれぞれの電極に向かうカチオンの通常の循環を妨げるが、アニオンの通常の循環を妨げず、それにより、前記膜を通過することができないカチオンを流路の内側に蓄積させるアニオン選択性膜であり、イオン強度、電気伝導率および局所的な電場強度が異なる少なくとも2つの帯域を生じさせることになる場合、
i)陰極が陽極の上流側に存在し、それにより、イオン強度がより高く、かつ、電場強度がより低い帯域が、イオン強度がより低く、かつ、電場強度がより高い帯域の上流側に存在し、そして、局所的な電場強度がより低い帯域に存在する目的とする正の荷電分子に対して生じる電気力よりも大きく、かつ、そのような電気力とは逆向きであり、従って、前記分子を、電場強度がより高い帯域に向かって下流側に押し動かす流体力学的な力、および、電場強度がより高い帯域における目的とする正の荷電分子に対して生じる電気力よりも小さく、かつ、そのような電気力とは逆向きであり、従って、前記分子を、電場強度がより低い帯域に向かって上流側に再び押し戻す流体力学的な力が加えられる。このプロセスが繰り返され、それにより、前記分子が、電場強度が異なる帯域の間に積層化される;
ii)陽極が陰極の上流側に存在し、それにより、イオン強度がより高く、かつ、電場強度がより低い帯域が、イオン強度がより低く、かつ、電場強度がより高い帯域の下流側に存在する。この場合、目的とする負の荷電分子は、上流側の電極によって引き寄せられ、流動流の流体力学的な力よりも大きい電気力で引っ張られ、イオン選択性膜を通過することができないので、膜の表面に保持される。捕捉後、捕捉された分子は、加えられている流速および/または電場を変化させることによって、かつ/あるいは、電解質媒体を、異なるイオン強度、pHまたは電気伝導率を有する媒体に変えることによって放出させることができる。
i)陰極が陽極の上流側に存在し、それにより、イオン強度がより高く、かつ、電場強度がより低い帯域が、イオン強度がより低く、かつ、電場強度がより高い帯域の上流側に存在し、そして、局所的な電場強度がより低い帯域に存在する目的とする正の荷電分子に対して生じる電気力よりも大きく、かつ、そのような電気力とは逆向きであり、従って、前記分子を、電場強度がより高い帯域に向かって下流側に押し動かす流体力学的な力、および、電場強度がより高い帯域における目的とする正の荷電分子に対して生じる電気力よりも小さく、かつ、そのような電気力とは逆向きであり、従って、前記分子を、電場強度がより低い帯域に向かって上流側に再び押し戻す流体力学的な力が加えられる。このプロセスが繰り返され、それにより、前記分子が、電場強度が異なる帯域の間に積層化される;
ii)陽極が陰極の上流側に存在し、それにより、イオン強度がより高く、かつ、電場強度がより低い帯域が、イオン強度がより低く、かつ、電場強度がより高い帯域の下流側に存在する。この場合、目的とする負の荷電分子は、上流側の電極によって引き寄せられ、流動流の流体力学的な力よりも大きい電気力で引っ張られ、イオン選択性膜を通過することができないので、膜の表面に保持される。捕捉後、捕捉された分子は、加えられている流速および/または電場を変化させることによって、かつ/あるいは、電解質媒体を、異なるイオン強度、pHまたは電気伝導率を有する媒体に変えることによって放出させることができる。
分子が捕獲される元の溶液は、システムに注入される別の溶液に交換することができる。新しい溶液は、次の分析工程のために、より好適であるように選択することができ、または、捕捉されている荷電分子と反応して、捕捉されている荷電分子をさらなる分析および検出のために好適にする分子を含有することができる。
システムは、流動流中において電場の中を通過する荷電分子を捕捉するので、数マイクロリットルのサンプルをシステムに連続して注入することができ、そして、さらなる操作および分析のために数ナノリットルの体積の濃縮されたバンドとして放出させることができる。
また、イオンは異なる移動度を有するので、加えられた流速および/または電圧を変化させることによって一部のイオンをシステムにおいて選択的に保持することが可能である。電気的移動度が大きい生体分子の場合、電気力は流れの抵抗力を上回り、生体分子が捕捉される。電気的移動度が小さい生体分子の場合、抵抗力が電気力を上回り、生体分子はシステムから流し出される。このように、本発明の捕捉装置は分離装置として作用する。
数個の電極および対応するイオン選択性膜を流路において使用することによって、異なる電場を電極間に加えることができ、これにより、局所的な電場強度が異なる数個の帯域が生じ、その結果、電気的移動度が異なる目的とする異なる荷電分子が、流体工学的流路に沿って異なる帯域において捕捉される。
電場の差は、その後、1対の電極の間で次々と、またはすべての電極の間で同時に除かれ、それにより、流体工学的流路に沿って異なる帯域において捕捉された前記分子が、逐次的または同時に、それぞれ放出させられる。
従って、数個のイオン選択性膜およびそれらのそれぞれの電極を、図19に描かれるように、流路に沿って連続して設置し、つなぐことができる。低い電位を、上流側から番号が付けられたとき、第1のイオン選択性膜(6’)と第2のイオン選択性膜(6”)との間に加えることによって、比較的大きい電気泳動移動度を有する生体分子が捕捉される。第2のイオン選択性膜(6”)と第3のイオン選択性膜(6’’’)との間には、わずかに大きい電圧が加えられ、比較的より小さい電気泳動移動度を有する生体分子が捕捉される。数個のイオン選択性膜を加えることによって、異なる電気泳動移動度を有する生体分子が流路に沿って異なる場所において捕捉される。電圧差がイオン選択性膜の対の間で除かれるに従って、それらの間で捕獲されている生体分子を順次、放出させることができる。このことは、最も下流側に配置された電極から電場を除き、その後、より上流側に存在する他の電極から電場を順次、除くことによって、より好ましく実行することができる。
流路は、1つまたは複数の電極および対応するイオン選択性膜をそれぞれが含む1つまたは複数の副流路に分割することができる(図20)。流路において積層化および放出される分子は、その後、イオン選択性膜の間の電場を変化させることによって1つまたは複数の副流路に沿って誘導される。捕獲されている分子が放出されるとき、分子は、イオン選択性膜の間での電圧差を操作することだけによって、交差部において異なる枝分かれに沿って誘導することができる。
副流路は1つまたは複数の入口および出口をさらに含むことができ、その結果、流路において積層化および放出された分子を、加えられている流速および/または電場を変化させることによって、かつ/あるいは、電気泳動媒体を、イオン強度または電気伝導率が異なる媒体に変えることによって1つまたは複数の副流路に沿って誘導することができる。
目的とする荷電分子が本発明に従って捕捉されている間に、電解質媒体は、別の流体媒体を流体力学的流路に注入することにより第2の媒体に置き換えることができる。これは、より少ない塩を含有する第2の媒体を使用することによって目的とする荷電分子から脱塩するために使用することができる(「具体的な非限定的適用」の節における適用番号3を参照のこと)。
反応を行うこと、そして、目的とする荷電分子と接触させられ、相互作用および/または反応する分子を含有する第2の媒体を使用することもまた可能である。
下記の分子対は、本発明による方法を使用して相互作用させることができる:抗原(抗体)、抗体(抗原)、ホルモン(ホルモン受容体)、ホルモン受容体(ホルモン)、ポリヌクレオチド(相補的ポリヌクレオチド)、アビジン/ストレプトアビジン(ビオチン)、ビオチン(アビジン/ストレプトアビジン)、酵素(酵素基質)、酵素基質(酵素)、酵素(酵素阻害剤)、酵素阻害剤(酵素)、レクチン(炭水化物)、炭水化物(レクチン)、脂質(脂質結合タンパク質)、脂質結合タンパク質(脂質)、脂質(膜結合型タンパク質)、膜結合型タンパク質(脂質)、ポリヌクレオチド(ポリヌクレオチド結合タンパク質)、ポリヌクレオチド結合タンパク質(ポリヌクレオチド)、受容体(伝達物質)、伝達物質(受容体)、薬物(標的)、標的(薬物)、タンパク質(タンパク質)、タンパク質(ポリヌクレオチド)、ポリヌクレオチド(タンパク質)、DNA(DNA)、DNA(RNA)およびRNA(DNA)。
これらの分子は合成反応または分解反応において反応させることができる。反応は、例えば、タンパク質のタンパク質分解的消化、または、タンパク質もしくはペプチドの任意の構造的修飾、または、DNAもしくはRNAの任意の構造的修飾であり得る。そのような反応はまた、DNA合成、RNA合成、タンパク質合成およびペプチド合成であり得る。
装置
詳細な説明
本発明はまた、電解質媒体の流体力学的な流動流の中を移動する目的とする荷電分子を捕捉するための装置に関する。この装置は、
電気非伝導性材料の中に組み立てられた少なくとも1つの流路(1)と、
前記媒体の注入および排出のための前記流路(1)における少なくとも1つの入口(2)および1つの出口(3)と、前記流路内への前記媒体の連続した流れを提供するシステムと、
少なくとも1つの陽極電極(4)および少なくとも1つの陰極電極(5)とを含み、
この場合、前記電極(4、5)は個々に前記流路(1)から隔てられるが、それぞれが導電性膜(6)によって前記電解質媒体と電気的に接触しており、
この装置は、前記膜(6)が、特定の荷電イオンまたは荷電分子の選択的な通過を可能にし、かつ、他のイオンまたは分子の遮断を可能にするイオン選択性膜であることを特徴とする。
詳細な説明
本発明はまた、電解質媒体の流体力学的な流動流の中を移動する目的とする荷電分子を捕捉するための装置に関する。この装置は、
電気非伝導性材料の中に組み立てられた少なくとも1つの流路(1)と、
前記媒体の注入および排出のための前記流路(1)における少なくとも1つの入口(2)および1つの出口(3)と、前記流路内への前記媒体の連続した流れを提供するシステムと、
少なくとも1つの陽極電極(4)および少なくとも1つの陰極電極(5)とを含み、
この場合、前記電極(4、5)は個々に前記流路(1)から隔てられるが、それぞれが導電性膜(6)によって前記電解質媒体と電気的に接触しており、
この装置は、前記膜(6)が、特定の荷電イオンまたは荷電分子の選択的な通過を可能にし、かつ、他のイオンまたは分子の遮断を可能にするイオン選択性膜であることを特徴とする。
イオン選択性膜はカチオン選択的またはアニオン選択的であり得る。流路は任意の形態を有することができ、また、任意の方向で配置することができる。従って、流路は、実質的に垂直な円柱などの実質的に垂直であり得る。流路はまた、実質的に水平であり得る。1つまたは複数の流路を存在させることができる。従って、1つまたは複数の流路を実質的に平面の装置において配置することができる。
本発明による装置は、イオンを少なくとも1つのサンプルプラグで少なくとも1つの帯域において蓄積させるマイクロ流体工学システムを含む。本発明の装置は、高イオン強度領域および低イオン強度領域を生じさせることができ、そのような帯域において、流体力学的な逆方向の力の助けを借りて、イオンが捕獲される。
本発明に従って使用される半透過性膜は、特定の荷電イオンまたは荷電分子の選択的な通過を可能にし、かつ、他のイオンまたは分子の遮断を可能にする任意の種類の膜であり得る。このような膜の良好な例には、イオン選択性の半透過性膜がある。前記膜は、1つのタイプのイオンに対して、すなわち、正の荷電イオンに対して選択的であり(カチオン選択性の半透過性膜)、または、負の荷電イオンに対して選択的である(アニオン選択性の半透過性膜)。
本発明では、その高い選択性および良好な電気伝導率のために、イオン選択性の半透過性膜を使用することが好まれるが、1つまたは複数の特定のイオンに対して選択的であり、かつ、他のイオンを遮断する任意の種類の膜または物質が検討されるべきである。
本発明において使用され得るイオン透過性膜は、本質的には、イオン交換樹脂のシートである。そのようなシートはまた、通常、機械的強度および柔軟性を改善するために他のポリマーを含有する。カチオン交換膜の樹脂成分は、ポリマー鎖(例えば、スチレン/ジビニルベンゼン共重合体)に化学的に結合している負の荷電基(例えば、−SO3 −)を有する。固定された電荷とは逆の電荷を有するイオン(対イオン)はこれらの部位において自由に交換される。対イオン(例えば、Na+)の濃度は比較的大きい。従って、対イオンは、膜を通過する電流のほとんどを運搬する。ポリマー鎖に結合している固定された電荷は、同じ電荷のイオン(共イオン)を反発させる(この場合にはアニオンを反発させる)。膜におけるそれらの濃度は比較的低いので、アニオンは、カチオン透過性膜を通過する電流のほんの小さい割合のみを運搬するにすぎない。そのような膜の例には、Nafion(E.I.DuPont de Nemours(Wilmington、Del.、米国)の商標)、Tokuyama Soda Neosepta(商標)CMX、CM−1およびCM−2、Asahi Glass Selemion(商標)CMVおよびCSV、ならびに、Raipore R−4010およびR−1010(RAI Research Corporation(Hauppauge、N.Y.、米国)の商標)がある。他方で、正の固定された電荷(例えば、−NR3 +またはC5H5N+R[式中、一般に、R=CH3])をポリマー鎖に結合することにより、アニオン透過性膜が形成され、この膜は、固定されている−NR3 +基が陽イオンを反発するので、陰イオンの輸送に対して選択的である。そのような膜の例には、種々のポリマー基質にR−(CH3)3N+基を有するRALEX AMEおよびRALEX AM(MEGA a.s.(チェコ共和国)の商標)がある。
あるいは、本発明に従って使用される半透過性領域は、化学的エッチング(例えば、湿式化学的エッチングおよび/または乾式化学的エッチングを伴う標準的なフォトリソグラフィー法)、電解エッチングにより、または、他の物理化学的方法(例えば、イオン衝撃または剥離法またはレーザー剥離)により多孔性部分を非導電性流路に沿って構築することによって生じさせることができる。多孔性部分は、特定の荷電イオンまたは荷電分子の選択的な通過、および他の荷電イオンまたは荷電分子の遮断を可能にしなければならない。作製された多孔性領域はまた、電荷を有する化学基をその構造に取り込むこと(例えば、イオン選択性の半透過性ポリマーを用いて前記領域を(共有結合的または非共有結合的に)注型すること、または、負の荷電基もしくは正の荷電基を共有結合的に結合すること)によってこれらの特性を達成するために処理することができる。
上記で説明されたように、数個の電極および対応するイオン選択性の半透過性膜を流路内に備えることができる。さらに、数個の流路を同じ電気非伝導性材料において配置することができる。
流体工学的流路を、1つまたは数個の並行する溝および/または非並行の溝を組み立て、第2の電気非伝導性の平坦な担体を上部で接合することによって、電気非伝導性の平坦な担体に存在させることができる。そのような装置において、流体工学的流路を構造化する電気非伝導性の平坦な担体の壁は、少なくとも1つの陰極および1つの陽極と電気的に接触しているイオン選択性膜帯域の部分によって中断されることがあり、そして、これらの手段によって、電解質流動流との電気的接触をなすことができる。
記載されている発明は、2つの基本的なマイクロ流体工学プラットホーム(すなわち、キャピラリー様式および平面構造体)に容易に組み込むことができる。
キャピラリー様式
本発明の装置は、非導電性材料(例えば、ガラス、溶融シリカ、または任意の非導電性ポリマー)のキャピラリー(直径がマイクロメートルのサイズ範囲のチューブ)に組み込むことができる。製造では、非導電性材料がイオン伝導性材料によって置き換えられる2つ以上の帯域を組み込むことが含まれる。この様式の例が図3に示され、実施例1、実施例2および実施例3において使用される。イオン選択性領域を、切り込みを作製するか、または、キャピラリーに沿って種々の部分においてすき間を作製し、その後、開口部をイオン選択性の導電性材料でシールすることによって作製することができる。シールは、イオン選択性材料の膜を使用すること(キャピラリーをチューブ固着するか、または、平坦な膜を接着すること)によって達成することができる。本発明の装置はまた、イオン選択性材料を含有する揮発性溶液をすき間に滴下することによって組み立てることができる。溶媒が蒸発した後、イオン選択性材料の薄膜がすき間を覆う。イオン伝導性材料を非導電性材料での2つ以上の帯域に組み込むための他の手段はどれも、同じ目的を達成するために問題なく使用される。キャピラリーは、その後、液体またはゲルで満たされ得るリザーバーチャンバーの中に入れられる。電極がリザーバーに設置され、電源に接続される。
本発明の装置は、非導電性材料(例えば、ガラス、溶融シリカ、または任意の非導電性ポリマー)のキャピラリー(直径がマイクロメートルのサイズ範囲のチューブ)に組み込むことができる。製造では、非導電性材料がイオン伝導性材料によって置き換えられる2つ以上の帯域を組み込むことが含まれる。この様式の例が図3に示され、実施例1、実施例2および実施例3において使用される。イオン選択性領域を、切り込みを作製するか、または、キャピラリーに沿って種々の部分においてすき間を作製し、その後、開口部をイオン選択性の導電性材料でシールすることによって作製することができる。シールは、イオン選択性材料の膜を使用すること(キャピラリーをチューブ固着するか、または、平坦な膜を接着すること)によって達成することができる。本発明の装置はまた、イオン選択性材料を含有する揮発性溶液をすき間に滴下することによって組み立てることができる。溶媒が蒸発した後、イオン選択性材料の薄膜がすき間を覆う。イオン伝導性材料を非導電性材料での2つ以上の帯域に組み込むための他の手段はどれも、同じ目的を達成するために問題なく使用される。キャピラリーは、その後、液体またはゲルで満たされ得るリザーバーチャンバーの中に入れられる。電極がリザーバーに設置され、電源に接続される。
平面構造体
この方法では、様々なマイクロ流体工学的構造体(例えば、流路および流体工学的接続部)および電気的接点を非導電性の平坦な担体(例えば、ガラス、石英、シリコン、酸化シリコン、溶融シリカおよびポリマー基質(例えば、アクリル樹脂))において製造することを伴う。流路(1)が平坦な表面にエッチングされるか、または成形されるか、または剥離されるか、または刻印される。2つの構造体を、同じ材料から、または非導電性材料の組合せから作製することができる。イオン選択性領域(6)を、同じ構造体に、または別の平面構造体に組み込むことができる(図11)。流体工学的流路を作製するために、溝または流路(1)を有する平坦な表面は、別の平坦な表面に接合することによってシールすることができる。1つ(または両方)の平面構造体は、流体工学的接続を可能にするための適切な構造体を含有することができる。得られる装置が図12に描かれる。図11および図12の平面構造体において、(1)は溝または流路であり、(2)は入口穴であり、(3)は出口穴であり、(6)は半透過性の選択的な領域または膜である。
この方法では、様々なマイクロ流体工学的構造体(例えば、流路および流体工学的接続部)および電気的接点を非導電性の平坦な担体(例えば、ガラス、石英、シリコン、酸化シリコン、溶融シリカおよびポリマー基質(例えば、アクリル樹脂))において製造することを伴う。流路(1)が平坦な表面にエッチングされるか、または成形されるか、または剥離されるか、または刻印される。2つの構造体を、同じ材料から、または非導電性材料の組合せから作製することができる。イオン選択性領域(6)を、同じ構造体に、または別の平面構造体に組み込むことができる(図11)。流体工学的流路を作製するために、溝または流路(1)を有する平坦な表面は、別の平坦な表面に接合することによってシールすることができる。1つ(または両方)の平面構造体は、流体工学的接続を可能にするための適切な構造体を含有することができる。得られる装置が図12に描かれる。図11および図12の平面構造体において、(1)は溝または流路であり、(2)は入口穴であり、(3)は出口穴であり、(6)は半透過性の選択的な領域または膜である。
図13は、平面構造体の中に組み立てられた捕捉装置の概略図を示す。この捕捉装置では、イオン選択性材料(6)が構造体の1つにおいて組み立てられ、流体工学的流路(1)と接触している。電解質リザーバー(7)が、電極(4、5)と流体工学的流路(1)との間での正しい電気的接触を可能にする同じ構造体に取り付けられている。
下記には、さらなる設計が詳しく記載される。
非導電性平面構造体の1つは、その構造において、入口(2)、出口(3)およびリザーバー(7)を有する。それ以外の構造体は流路(1)を含有する。イオン選択性材料のシート(6)が平面構造体の間に(例えば、上部ウエハーにおけるくぼみに)置かれ、これにより、流体工学的流路が、電解質を含有するリザーバーから分離される(図14)。
別の方法は、流路(1)を、上部ウエハーと底部ウエハーとの間の、例えば、プラスチックから作製された中間層において構造化することである(図15)。
さらに別の設計では、電極用の流路(1)および緩衝液リザーバー(7)(後者は示されず)を底部ウエハーにおいて構造化することができる(図16)。この形態では、イオン選択性層が、流路内の液体をリザーバー内の液体から分離する膜として作用する。
また、イオン選択性材料(6)を平面構造体の底部に置き、成形することができ、この場合、流路(1)および緩衝液リザーバー(7)が互いの上部において2つの他の平面構造体に構造化される(図17A)。図17Bは、図17Aの電解質リザーバー(7)の断面図を示す。この設計の利点は、イオン選択性材料が、ウエハー穴から構造的に独立しており、また、フォトリソグラフィーまたは乾式エッチングによって改変され得るということである。
さらに別の設計(図21)において、流路が、溝(1)を平面構造体上に作製し、その上部で第2の平面構造体を接合することによって組み立てられる。第2の平面構造体は、イオン選択性材料によって覆われ、かつシールされる穴を有する。電気的接合部を囲むことにより、電解質リザーバーを構築することができる。
イオン選択性材料(例えば、Nafion)は、薄い膜(例えば、Nafion膜)として接合または接着することができ、あるいは、液体溶液(例えば、液体のNafion)としてパターン化することができる。
平坦な表面を使用する捕捉装置の構築は、数個の流路を並行して有することを可能にし、これにより、同じマイクロチップを使用して異なるサンプルを並行して処理する可能性が開かれる。マイクロチップは、流路に対する別個の導電性領域による並列された捕捉装置の個々の操作を可能にするような様式で構築することができる。
あるいは、すべての流路に広がる1つだけの導電性細片による単一モードの操作もまた構築することができる(図18)。
本発明によるマイクロ流体工学装置において加えられる流体力学的な流動流は、ポンプ(例えば、シリンジポンプ、蠕動ポンプ、浸透圧ポンプ、ダイヤフラムポンプ、ソレノイドポンプ、圧電ポンプまたはピストンポンプ)、重力による流れ、ガス圧または空気圧(陰圧または陽圧を使用する)、遠心力によって、あるいは電気浸透によってもたらされ得る。これらの方法が好まれるが、低い流速(μL/分、nL/分またはpL/分)を与える任意の他の方法を本発明において使用することができる。
捕捉装置において処理されるサンプルがさらなる分析のために回収され得ること、または、サンプルが流路の内部においてオンラインでモニターされ得ることに留意することは重要である。後者の場合、平坦な表面における並列流路法は、例えば、CCDカメラまたは蛍光検出のための共焦点走査を使用する多チャンネル検出のために非常に好適である。
利点
流動流中の荷電した生体分子を捕捉するための本発明によるマイクロ流体工学的方法は下記の主要な利点を有する。
流動流中の荷電した生体分子を捕捉するための本発明によるマイクロ流体工学的方法は下記の主要な利点を有する。
第1に、本発明の装置は、電気的に連続した緩衝液において異なる電気伝導率を有する領域を生じさせることができ、このことは、積層化を達成するために異なる物理化学的性質を有する溶液を注入する必要性を排除する。この積層化は、流動流中を移動する目的とする特定の分子を捕捉するために使用される。固体担体または化学的な結合はこの目的のために必要とされない。
第2に、本発明の装置は、2つのイオン選択性接合部を流路上に作製することによって簡便に構築することができ、このことは大規模な製造への組み込みのために注目される。
第3に、荷電分子の捕捉を、システムの物理的な変化を必要とすることなく、電圧および/または流速を調節することによって達成することができる。例えば、適切なpH条件のもとでは、DNA、タンパク質およびペプチドは荷電しており、電圧および/または流速の変化により、(これらの分子の正味の荷電および物理化学的性質が多様であるとしても)十分な保持を可能にすることができる。
第4に、積層化領域を、特定のイオンを予備的な様式で捕捉するために使用することができ、また、ミキサー、インキュベーターまたは反応チャンバーとしてさらに使用することができる。
第5に、電極が流路の外側に配置されるので、電気分解により生じる気泡または他の生成物(例えば、酸素、OH−イオンまたはH+イオン、あるいは、酸化反応または還元反応から生じる生成物)は電極緩衝液リザーバーにおいて生じるが、流路の内部では生じない。気泡による電流の乱れ、pHの変化、または、電極との直接的な接触によるサンプルの改変が回避される。
具体的な非限定的適用
1.本発明による装置は、キャピラリー電気泳動(CE)によるDNA配列決定のためのオンラインでのサンプル脱塩のために使用することができる。本発明の装置は、流動流中のDNAフラグメントを捕捉するために使用することができ、これにより、DNA配列分析のためのレーザー誘導蛍光検出によるCE装置(CE−LIF)へのその後のオンライン注入のために、PCR産物を濃縮し、脱塩し、そして残留物を除去することができる。CE−LIFに接続されたオンライン装置は、DNA配列分析において感度および分解能を改善することができる。DNA捕捉の一例が実施例3に示される。
1.本発明による装置は、キャピラリー電気泳動(CE)によるDNA配列決定のためのオンラインでのサンプル脱塩のために使用することができる。本発明の装置は、流動流中のDNAフラグメントを捕捉するために使用することができ、これにより、DNA配列分析のためのレーザー誘導蛍光検出によるCE装置(CE−LIF)へのその後のオンライン注入のために、PCR産物を濃縮し、脱塩し、そして残留物を除去することができる。CE−LIFに接続されたオンライン装置は、DNA配列分析において感度および分解能を改善することができる。DNA捕捉の一例が実施例3に示される。
2.本発明による装置は、タンパク質のキャピリラリー電気泳動分析のための流体工学的な予備濃縮器装置として使用することができる。このシステムは、CEの前にオフラインでの予備濃縮のためにタンパク質を捕捉することができる。種々のタンパク質が試験されており、これにより、異なる電荷および分子量を有するタンパク質を含有する溶液の数マイクロリットルを数ナノリットルに濃縮することができ、続いてシステムに注入することができる。40までの予備濃縮率が達成されている(図8)。
3.本発明による装置は、マトリックス支援レーザー脱離/イオン化質量分析法(MALDI−MS)によるペプチド分析のためのサンプル清浄化のために使用することができる。MALDI−MSは、混入物に対する比較的大きい許容性を有するが、サンプルの精製が、最大感度を達成するために、また、正確な質量測定および効率的なデータベース検索のための高品質のスペクトルを達成するためには必要である。塩、界面活性剤および他の妨害分子の存在は、付加物ピーク(例えば、アルカリ金属の付加物)を持ち込むために、全体的なシグナル強度を低下させ、また、スペクトルの複雑性を増大させる。前記装置は、脱塩、予備濃縮および界面活性剤除去(例えば、CHAPS)のために、流動流中のペプチド(トリプシン処理フラグメント)およびタンパク質を捕捉するために使用することができ、それにより、トリプシン処理ペプチドの質量マッピングおよびタンパク質同定のための高品質のMALDI−MSスペクトルを得ることができる(図9)。
4.本発明による装置は、単一段階または多段階の微量反応を行うための反応チャンバーとして使用することができる。この方法は、固体担体を使用することなく多様な分子を操作し、1つだけの流体工学的流路においてオンラインでの反応を行うための新しい方策を開拓する。標的タンパク質が捕捉され、その後、別の媒体がシステムに注入される。第2の媒体により、酵素および/または他の試薬が運ばれ、標的タンパク質との接触および反応が行われる。反応は2つの様式で行うことができる;反応物を、標的タンパク質と同じスポット状領域において同時に捕捉し、反応させることができ(例えば、第2の媒体が酵素(例えば、トリプシン)を含有する場合)、または、反応物を、捕捉帯域を通過させ、電気固定化されたタンパク質との分子衝突によって反応させることができる(例えば、第2の媒体が、捕捉分析物とは異なる電気泳動的挙動を有する分子(例えば、ジチオスレイトールまたはヨードアセトアミド)を含有する場合)。実験により、タンパク質を最初に捕捉し、その後、基質タンパク質と同じスポット状領域において捕捉される酵素を注入することが可能であることが明らかにされる。標的タンパク質および酵素は密に接触するので、本発明は、体積が数ナノリットルのマイクロ流体工学的な消化チャンバーとして役立つ。インキュベーション後、タンパク質分解生成物が放出され、例えば、MALDI−MSによって分析される。
実験データは、標的タンパク質(例えば、ウシ血清アルブミンまたはミオグロビン)を捕捉し、その後、タンパク質分解酵素(トリプシン)の注入および同時捕捉を行うことが可能であることを示している。30分のインキュベーションの後、消化生成物をMALDI−MS分析のために回収することに成功した。このことは、オンラインでの微量反応のためにこのシステムを使用することが実現可能であることを明らかにしている(図10Aおよび図10B)。その上、実験データは、オンラインでのタンパク質の還元、アルキル化およびトリプシン消化のような多段階反応を行うことが可能であることを示している(図10C)。
次に、本発明は下記の非限定的な実施例または証拠によって例示される。
(実施例1)膜に基づく積層化原理に対する実験的証拠
理論的原理の妥当性を確認するために、理論の部において概略された望ましい特性のすべてを含有する装置を組み立て、試験した。
理論的原理の妥当性を確認するために、理論の部において概略された望ましい特性のすべてを含有する装置を組み立て、試験した。
システムは、PEEK配管材から作製されたマイクロメートルサイズの流動用流路からなり、流路は、カチオン選択性の導電性膜により覆われた2つのすき間接合部を有する。接合部帯域が別個の電極緩衝液チャンバーの中に置かれる。PEEK配管材は電気泳動流路として役立ち、カチオン選択性の導電性膜は緩衝液チャンバーと流体工学的流路との間でのアニオンの交換を禁じる。流路に接続されたシリンジポンプにより、流動流がもたらされる(図3)。理論的には、陽極を上流側の接合部において有する場合、負の荷電分子が上流側の電極に向かって引き寄せられ、捕捉装置によってそこで捕獲される。
電気的接合部はNafion配管材から作製される。Nafionは、スルホン酸基およびカルボン酸基を含有するポリ(テトラフルオロエチレン)ポリマーである。従って、このポリマーは非常に負に荷電しており、その細孔構造は、その膜をカチオン選択性バリアとして使用することを可能にしている。実際、その膜は、小さいカチオン(例えば、ナトリウムまたはプロトン)に対して透過性を示すだけであり、膜の小さい細孔サイズ(約10オングストローム)は、大きい分子(例えば、DNA、タンパク質およびペプチド)が電極チャンバーの中に通過して行くことを妨げる。
電場強度が異なる2つの帯域の存在が、上流側領域および下流側領域におけるその値の直接的な測定によって確認された。表1において認められるように、電場がより低い帯域が上流側に存在し、電場がより高い帯域が下流側に存在する。
表1.異なる流速のもとでの上流側領域および下流側領域の電場値。上流側領域および下流側領域の電場を測定するために、捕捉装置の設計が変更された。システムは今回、5つの電気的接合部を有しており、この場合、電場が第1の接合部と第5の接合部との間に加えられる。第1の接合部と第5の接合部との間に存在する電気的接合部は電気的に浮動しており、流体工学的流路に沿って電場を測定するために利用される。5つの開口部が、相互に0.5cmの距離で、PEEK配管材(125μm内径、512μm外径)に対して、カミソリ刃を用いて作製された。それぞれのすき間が個々のNafion配管材片(360μm内径、510μm外径)で覆われ、エポキシ樹脂で所定位置に接着されている、0.5mLのプラスチック製微量遠心チューブから作製された別個の電極チャンバーの中に置かれた。電極チャンバーは100mMのTris−HCl(pH8.0)で満たされた。装置に接続されたシリンジポンプにより、50mMのTris−HCl緩衝液(pH8.0)の連続注入がもたらされる。陽極が上流側に存在し、陰極が下流側に存在するような様式で、400Vの電位が第1の接合部と第5の接合部との間に加えられた。(1)第1の電気的接合部(陽極すき間)と、0.5cm下流側に存在する隣りとの間での電場値。(2)最後の電気的接合部(陰極すき間)と、0.5cm上流側に存在する電気的接合部との間での電場値。
式1、および、0.2μL/分の流速での電場値(表1)を使用することによって、下記のように結論づけることができる。本発明の装置において、0.2μL/分の流速は、0.026cm/sの線速度を有する流動流をもたらす。従って、流動流中を移動する分子を捕捉するためには、電場によって生じる得られる電気泳動速度はこの流れの速度に対抗しなければならない。従って、電気泳動速度は流動流の線速度以上の値(および逆方向)でなければならない。従って、流動流の線速度よりも小さい電気泳動速度を有するイオンはシステムから流し出される。式1を使用することによって、任意の所与の電場値および流速値における捕捉条件を満たすために十分に大きい電気泳動速度をもたらすために分子が有しなければならない電気泳動移動度の最小値(μmin)を計算することができる:
式4 μmin=νh/E νh=流れの線速度
μmin=最小電気泳動移動度
E=電場強度
式4 μmin=νh/E νh=流れの線速度
μmin=最小電気泳動移動度
E=電場強度
表1において認められるように、0.2μL/分の流速(0.026cm/sの流動流の線速度)では、上流側の電場は32V/cmである。式4を使用することによって、この電場のもとでは、8.1×10−4cm2V−1s−1よりも大きいμ値を有する分子のみが、流れの速度に対抗するために十分に高い電気泳動速度をもたらすことが明らかにされ得る。従って、上流側領域では、8.1×10−4cm2V−1s−1よりも小さいμ値を有する分子が、電場がより高い下流側領域に向かって流される。他方で、同じ流速において、下流側の電場は276V/cmである。上記と同じ推論および式4を使用することによって、下流側領域では、捕捉されるために分子が有さなければならない最小μ値は9.42×10−5cm2V−1s−1であることが明らかにされ得る。従って、同じ領域において、9.42×10−5cm2V−1s−1よりも大きいμ値を有する分子は上流側に移動し、それよりも小さいμ値を有する分子はシステムから流し出される。上流側領域および下流側領域のμmin値を考慮して、8.1×10−4cm2V−1s−1よりも小さく、9.42×10−5cm2V−1s−1よりも大きいμ値を有する分子が、これらの領域の間に捕捉または「捕獲」される。これは、下流側領域におけるそれらの電気泳動速度が、そのような分子を上流側に移動させるためには十分に大きく、しかし、それらを上流側領域の中に進入させるためには十分ではないからである。
同様な推論を、0.5μL/分、0.4μL/分、0.3μL/分および0.1μL/分の流速について行うことができる。表1において認められるように、上流側領域と下流側領域との間での電場値の違いは、0.5μL/分よりも大きい流速において消滅した。この効果は、これらの流速では、流動流の速度が、流体工学的流路に存在する何らかのイオンを捕捉するためには大きすぎるからであり、従って、均一な電場を生じさせるためである。この効果が図5Cに表される。
示された実験では、濃度がより大きく、かつ、高イオン強度領域を生じさせることに関係するアニオンは塩化物イオン(Cl−)であることに留意しなければならない。捕捉において、塩化物イオンは、流動流の線速度と同じ電気泳動速度を有するので(νe=νh)、これらのイオンが存在する場所における電場強度は、式1を整理することから計算することができる。従って、捕捉時に、塩化物イオンは、下記の式によって与えられる電場(ECl −)の影響下にある:
式5 ECl −=νh/μCl − νh=流れ速度
μ=電気泳動移動度
ECl −=塩化物イオンが存在する場合の電場強度
式5 ECl −=νh/μCl − νh=流れ速度
μ=電気泳動移動度
ECl −=塩化物イオンが存在する場合の電場強度
塩化物イオンに対するμの値は7.91×10−4cm2V−1s−1である。塩化物イオンが流体力学的な流れと平衡している場所における電場強度に対する理論値が表1に示される。表1から、塩化物の帯域が上流側領域に存在すると結論することができる。これは、この理論的な電場値が、0.7μL/分よりも小さい流速に対する実験値と一致するからである。また、0.1μL/分と0.5μL/分との間での、流れの線速度と、対応する上流側の電場強度との比率が、塩化物イオンのμ値(7.91×10−4cm2V−1s−1)と類似している。このことは、塩化物イオンが上流側領域における低い電場に関係しているという結論を裏付けている。
この事実から、下記のように結論することができる。
第1に、式5から、移動度がより大きいイオンは、上流側領域において、より低い電場をもたらし、従って、本発明によって捕捉され得る分子の範囲を増大させると結論づけることができる。
第2に、異なるμ値を有するイオンが流動流中に存在し、本発明によって捕捉される場合、そのようなイオンは、(塩化物イオンについて記載されたように)得られる電場に従って流路に沿って異なる位置に置かれる(または、流動流中で捕捉される)。この場合、常に、より大きいμ値を有するイオンが、より小さいμ値を有するイオンの上流側に存在する。これらのイオンは、それ自身のvh/μ比に関係した局所的な電場のもとに置かれる。
第3に、異なるμ値を有する捕捉された分子が、流れの線速度とそれらの特定のμ値との比率によって生じる電場に従って、異なる場所の流体工学的流路に沿って存在するとしても、異なるμ値を有する2つの分子を、流動流の線速度が流体工学的流路の他の部分よりも低い帯域を生じさせることによって、同じ位置に存在させることができる。より低い流れ速度を有するこの帯域は、電場がより低い領域の下流側に存在させなければならない。このことは、イオン強度が高く、電場が低い領域を、より大きい流れ速度を有する流路部分に存在させなければならないことを意味する。従って、低い電場のために、流れ速度が高い帯域に進入することができないが、流れ速度が高い帯域に向かって上流側に移動するために、流れ速度が低い領域において十分に大きい電気泳動速度を有するイオンのすべてが、前記領域の間の境界部に存在することになる。
電流はシステムにおけるイオンの全体的な挙動を反映するので、電流対流速のプロットが分析され、理論的モデルと比較され、そして、視覚的な観察がなされた。
図4および図6に示される実験データから、下記のように結論することができる:
流体力学的な流れがない場合、システムは大きい電気抵抗を発生し、加えられた電圧の大きさに関係なく、電流をほぼゼロに低下させる(図4)。電極緩衝液チャンバーにおける電解質溶液はこの現象に関与することができないので(電解質溶液は連続した溶液であるので)、生じた大きい電気抵抗は、マイクロ流体工学的装置の内部で起こる何らかの現象に関係しなければならない。膜は良好な伝導率特性を有し、また、イオンのみが電荷輸送(電流)に関係しているので、変化した抵抗はシステム内部におけるイオンの挙動に関係づけられるに違いない。
流体力学的な流れがない場合、システムは大きい電気抵抗を発生し、加えられた電圧の大きさに関係なく、電流をほぼゼロに低下させる(図4)。電極緩衝液チャンバーにおける電解質溶液はこの現象に関与することができないので(電解質溶液は連続した溶液であるので)、生じた大きい電気抵抗は、マイクロ流体工学的装置の内部で起こる何らかの現象に関係しなければならない。膜は良好な伝導率特性を有し、また、イオンのみが電荷輸送(電流)に関係しているので、変化した抵抗はシステム内部におけるイオンの挙動に関係づけられるに違いない。
Nafion膜のカチオン選択的な特性のために、アニオンはシステムにおいて蓄積し続け、これにより、不連続な帯域を緩衝液中に生じさせると仮定することができる。陽極が上流側接合部に存在するので、高濃度アニオン帯域が陽極膜の近くに存在し、その一方で、低濃度イオン帯域が陰極に向かうどこかに存在することが予想され得る。この状況では、流路を出て、陰極緩衝液チャンバーの中に進入するよりも少ないカチオンが膜を通過し、陽極緩衝液チャンバーから流路の中に進入し続ける。この現象は、陰極すき間の近くに存在するカチオンが、陽極すき間におけるよりも大きい電場の影響下にあるという事実に寄与し得る。このことは、流体工学的流路からの陰極緩衝液チャンバーへのカチオンの流束が、陽極緩衝液チャンバーからの流体工学的流路内へのカチオンの流束よりも早いことを意味する。カチオン流出がその流入よりも大きいという事実のために、流体工学的流路はカチオンが迅速になくなり(図5A)、そして、カチオンのみが流体工学的流路と電極緩衝液チャンバーとの間での電荷輸送(電流)に関係するので、上記で説明された現象により、このシステムによって発生した大きい電気抵抗が説明されるはずである。
このことはまた、流体力学的な流れがない場合における、時間に対する全体的な電流のプロットと一致している。この場合、大きいピーク電流値が操作の最初の数秒間にわたって観測され、その後、ゼロに近い値に達する電流の急激な低下が観測される。電流ピークは、高濃度アニオン帯域が生じるまで、流路内および流路からのカチオンの移動に対応する。この後、カチオンの流出と流入との間での不均衡が欠乏帯域を生じさせ、そして、この欠乏帯域が電流値をほとんどゼロに低下させる。
低流速(0.1μL/分〜0.5μL/分)のもとでは、電流値は、0.5μL/分での最大値まで増大し始め、その後、値は、2μL/分よりも大きい流速での一定した電流まで低下する(図4)。流速が増大するに従い、アニオン高濃度帯域が陰極接合部すき間に向かって下流側に流され、低伝導率領域の長さを減少させ、従って、システムの全体的な抵抗を低下させ、これにより、システムは電流を増大させる(図5B)。
(実施例2)タンパク質の捕捉
視覚的観察によって遅いアニオンの動きを理論的モデルと比較するために、有色タンパク質(例えば、ミオグロビンおよびヘモグロビンなど)を装置で捕捉した(図6)。
視覚的観察によって遅いアニオンの動きを理論的モデルと比較するために、有色タンパク質(例えば、ミオグロビンおよびヘモグロビンなど)を装置で捕捉した(図6)。
タンパク質バンドは、電圧または流速を変化させることによって流路に沿って移動し得る。所与の電圧について、流速が低下する(全体的な電流値が低くなる)場合、タンパク質バンドはより上流側に位置し、その一方で、流速が増大し、これにより、より大きな全体的な電流値が生じる場合、バンドは下流側に流される。タンパク質バンドがもはや捕捉されないときの最大流速は、187V/cmの電場については0.4μL/分であることが見出された(図6)。これは、0.5μL/分における最大電流値と一般に一致している(図4)。これらのデータから、0.4μL/分では、積層化効果をもたらす低伝導性の帯域が、捕捉効果を依然として達成するためには短かすぎ、そして、より大きい流速では、バンドがシステムから流し出されると仮定することができる。この時点以降、高伝導率の帯域は全体が(0.5μL/分において)低伝導率の帯域に取って代わり、これにより、最大の電流値がもたらされる(図4)。このレベルを超える流速の増大は、高伝導率の領域の長さを減少させ、このことは、高伝導率の領域がシステムから完全に流し出されるまで電流値を低下させる。これらの条件のもとでは、高速度のアニオンさえもシステムにおいて捕捉することができず(>2μL/分)、これにより、流速に関係なく、定常状態の電流がシステムにおいてもたらされる(図5C)。
提案された理論的モデルおよび示された経験的データを用いて、流動流中における荷電分子(例えば、DNA、タンパク質およびペプチドなど)の積層化および保持を可能にする、連続した緩衝液における不連続な帯域を生じさせる装置を組み立てることが可能であると結論される。
(実施例3)DNAの捕捉
電圧値および流速の値を最適化するために、DNAの溶液を装置に連続的に注入した。UV吸光度検出器が装置の出口に置かれた。この形態のもとで、吸光度値の低下は、DNAが捕捉されていることを表す。最適化のために、種々の値の電圧を、一定した流速を使用して調べた。DNAの成功した捕捉を図7において認めることができる。検出器におけるUV吸収の低下は、DNAが捕捉されていることを示している。電場が切られるとすぐに、放出されたDNAの鋭いバンドが観測される。
電圧値および流速の値を最適化するために、DNAの溶液を装置に連続的に注入した。UV吸光度検出器が装置の出口に置かれた。この形態のもとで、吸光度値の低下は、DNAが捕捉されていることを表す。最適化のために、種々の値の電圧を、一定した流速を使用して調べた。DNAの成功した捕捉を図7において認めることができる。検出器におけるUV吸収の低下は、DNAが捕捉されていることを示している。電場が切られるとすぐに、放出されたDNAの鋭いバンドが観測される。
Claims (24)
- 電気非伝導性流路を通過する電解質流動流の中を移動する目的とする荷電分子を捕捉するための方法であって、
導電性の半透過性膜によって前記流路から個々に隔てられるが前記流動流とは電気的に接触する、少なくとも1つの陽極と、少なくとも1つの陰極とを含む場合において、
前記膜は、特定の荷電イオンまたは分子の選択的な通過を可能にし、かつ、他の荷電イオンまたは分子の遮断を可能にし、
このような選択的通過は、1つまたは複数の電極に向かうイオンの通常の循環を妨げ、それにより、半透過性膜を通過することができないイオンを流路の内部に蓄積させるが、それぞれの対応する電極によって引き寄せられるイオンを蓄積させず、また、この手段により、イオン強度、電気伝導率および局所的な電場強度が異なる少なくとも2つの帯域を生じさせ、
i)電場強度がより低い帯域が、電場強度がより高い帯域の上流側に存在し、そして、
流体力学的な力が流路に加えられ、この力は
局所的な電場強度がより低い帯域に存在する目的とする荷電分子に対して生じる電気力よりも大きく、かつ、そのような電気力とは逆向きであり、従って、目的とする荷電分子を、電場強度がより高い帯域に向かって下流側に押し動かし、および、
電場強度がより高い帯域に生じる電気力よりも小さく、かつ、そのような電気力とは逆向きであり、従って、目的とする荷電分子は、電場強度がより低い帯域に向かって上流側に再び押し戻され、
このプロセスが繰り返され、それにより、イオンが、電場強度が異なる帯域の間に積層化される;
ii)電場強度がより高い帯域が、電場強度がより低い帯域の上流側に存在し、
この場合、上流側の電極によって引き寄せられる荷電分子は、流動流の流体力学的な力よりも大きい電気力で引っ張られ、イオン選択性膜を通過することができず、膜の表面で保持されることを特徴とする方法。 - 電気非伝導性流路が、流動流の速度が前記流路の残りより低い帯域を含み、
前記帯域が電場強度がより低い帯域の下流に存在し、そして、
電場強度がより高い帯域が、流動流の速度がより低い領域に存在し、それにより
流動流の速度がより低い帯域とより高い帯域の境界で目的とする分子を捕捉し、ここで前記目的とする分子は、もしこれらの分子が流動流の速度がより低い(かつ電場強度がより高い)領域に存在するなら上流に動くことができるが、流動流の速度がより高い(かつ電場強度がより低い)領域には侵入することができない
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。 - 目的とする荷電分子が、加えられている流速および/または電場を変化させることによって、かつ/あるいは、電解質媒体を、異なるイオン強度、pHまたは電気伝導率を有する媒体に変えることによって放出されることを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
- 異なる移動度を有する分子が、加えられている流速および/または電場を変化させることによって、かつ/あるいは、電解質媒体を、異なるイオン強度、pHまたは電気伝導率を有する媒体に変えることによって分離されることを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
- 数個の電極および対応するイオン選択性膜が流路に存在すること、および異なる電場が電極間に加えられ、これにより、局所的な電場強度が異なる数個の帯域が生じ、その結果、電気的移動度が異なる目的とする異なる荷電分子が、流体工学的流路に沿って異なる帯域において捕捉され、その後、
前記電場の差は、1対の電極の間で次々と、またはすべての電極の間で同時に除かれ、それにより、
流体工学的流路に沿って異なる帯域において捕捉された前記分子が、逐次的または同時に、それぞれ放出させられることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。 - 流路が、1つまたは複数の電極および対応するイオン選択性膜をそれぞれが含む1つまたは複数の副流路に分割されていること、および分子が流路において積層化および放出され、かつイオン選択性膜の間の電場を変化させることによって1つまたは複数の副流路に沿って誘導されることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
- 副流路が1つまたは複数の入口および出口をさらに含むこと、および分子が流路において積層化および放出され、加えられている流速および/または電場を変化させることによって、かつ/あるいは、電解質媒体を、イオン強度または電気伝導率が異なる媒体に変えることによって1つまたは複数の副流路に沿って誘導されることを特徴とする請求項6に記載の方法。
- 目的とする荷電分子が捕捉されている間に、電解質媒体が、別の流体媒体を流体力学的流路に注入することにより第2の媒体に置き換えられることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
- 第2の媒体がより少ない塩を含有し、目的とする荷電分子の脱塩を可能にすることを特徴とする請求項8に記載の方法。
- 第2の媒体が、目的とする荷電分子と接触させられる分子であって、相互作用および/または反応する分子を含有することを特徴とする請求項8に記載の方法。
- 目的とする他の分子が捕捉され、最初に捕捉された目的とする荷電分子と接触させられることを特徴とする請求項8に記載の方法。
- 接触させられる分子が以下の分子対であることを特徴とする請求項10または11に記載の方法:抗原(抗体)、抗体(抗原)、ホルモン(ホルモン受容体)、ホルモン受容体(ホルモン)、ポリヌクレオチド(相補的ポリヌクレオチド)、アビジン/ストレプトアビジン(ビオチン)、ビオチン(アビジン/ストレプトアビジン)、酵素(酵素基質)、酵素基質(酵素)、酵素(酵素阻害剤)、酵素阻害剤(酵素)、レクチン(炭水化物)、炭水化物(レクチン)、脂質(脂質結合タンパク質)、脂質結合タンパク質(脂質)、脂質(膜結合型タンパク質)、膜結合型タンパク質(脂質)、ポリヌクレオチド(ポリヌクレオチド結合タンパク質)、ポリヌクレオチド結合タンパク質(ポリヌクレオチド)、受容体(神経伝達物質)、神経伝達物質(受容体)、薬物(標的)、標的(薬物)、タンパク質(タンパク質)、タンパク質(ポリヌクレオチド)、ポリヌクレオチド(タンパク質)、DNA(DNA)、DNA(RNA)、RNA(DNA)、DNA(タンパク質)、タンパク質(DNA)、RNA(タンパク質)、およびタンパク質(RNA)。
- 分子が合成反応または分解反応において反応することを特徴とする請求項10または11に記載の方法。
- 反応がタンパク質のタンパク質分解的消化であることを特徴とする請求項10または11に記載の方法。
- 反応がタンパク質もしくはペプチドの任意の構造的修飾であることを特徴とする請求項10または11に記載の方法。
- 反応がDNAもしくはRNAの任意の構造的修飾であることを特徴とする請求項10または11に記載の方法。
- 反応がDNA合成、RNA合成、タンパク質合成またはペプチド合成であることを特徴とする請求項10または11に記載の方法。
- 反応がDNA配列決定、RNA配列決定、タンパク質配列決定またはペプチド配列決定であることを特徴とする請求項10または11に記載の方法。
- 請求項8〜18のいずれか一項による数段階および/または多段階に基づく相互作用および/または反応および/または媒体置換を行うために、様々な媒体が流体工学的流路に連続的に注入されることを特徴とする方法。
- サンプルの清浄化、還元、アルキル化およびタンパク質分解的消化がオンラインで行われることを特徴とする請求項19に記載の方法。
- 電解質媒体の流体力学的な流動流の中を移動する目的とする荷電分子を捕捉するための装置であって、
電気非伝導性材料の中に組み立てられた少なくとも1つの流路(1)と、
前記媒体の注入および排出のための前記流路(1)における少なくとも1つの入口(2)および1つの出口(3)と、前記流路内への前記媒体の連続した流れを提供するシステムと、
少なくとも1つの陽極電極(4)および少なくとも1つの陰極電極(5)とを含み、
この場合、前記電極(4、5)は個々に前記流路(1)から隔てられるが、導電性膜(6)によって前記電解質媒体と電気的に接触しているものにおいて、
前記膜(6)が、特定の荷電イオンまたは荷電分子の選択的な通過を可能にし、かつ、他のイオンまたは分子の遮断を可能にする半透過性またはイオン選択性半透過性膜であることを特徴とする装置。 - イオン選択性半透過性膜(6)がカチオン選択的半透過性膜またはアニオン選択的半透過性膜であることを特徴とする請求項21に記載の装置。
- 多数の電極および対応するイオン選択性膜(6’,6”,6’’’,6’’’’および6’’’’’)が流路に与えられていることを特徴とすることを特徴とする請求項21または22に記載の装置。
- 数個の流路が同じ電気非伝導性材料中に存在することを特徴とする請求項21〜23のいずれか一項に記載の装置。
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