JP2006510344A - 甲状腺の腫瘍及び新生物の新規な核酸配列及びタンパク質 - Google Patents

甲状腺の腫瘍及び新生物の新規な核酸配列及びタンパク質 Download PDF

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Abstract

【解決手段】本発明は、甲状腺の腫瘍及び新生物の核酸及びタンパク質に関する。前記核酸は、配列番号1、3、4、9及び配列番号11〜16からなる群から選択される核酸配列を有する。また本発明は、甲状腺の腫瘍及び新生物に見られる融合タンパク質にも関する。前記融合タンパク質は、配列番号2、配列番号5〜8、10或いは17に従ったアミノ酸配列を含む。

Description

本発明は、過形成及び/又は腫瘍により発現が変化する核酸、ヒト遺伝子DRIP(THADA(甲状腺腺腫関連:Thyroid Adenoma Associated)の類語として示すこともある)をコードする核酸、腫瘍に特異的な新規なこれらの組合せであって特にその相同体、これらを含むベクターや細胞、これらによってコードされるポリペプチド、これらに対する抗体、腫瘍治療剤として好適な化合物を決定する方法、甲状腺腫瘍の形成に関与する遺伝子を決定する方法、更にはこれら核酸の使用に関する。
体の成長や発達をコントロールするホルモンを産生する甲状腺の重要性は、少なくともある一部の症例においてこの腺の機能障害がもたらす注目すべき変化と共に、この語の真の意味である「盾」という意義において、医学の分野では古くから知られている。
甲状腺腫或いは甲状腺腫瘍の病因については、一般に、包括的な説明を特に分子レベルで与えるには未だ至っていない。
現在、2種の考え方があり、第一の考え方では、組織の過形成は刺激ホルモンによる慢性的刺激の結果であり究極的にはポリクローナル結節の成長をもたらす、としている。これは、非新生物エンドクリン過形成(non-neoplastic endocrine hyperplasia;NNEH)と称される考え方である。他の考え方は、結節は真正なクローン性の腫瘍であるということに基づいている。
甲状腺の場合、他の腺に適用可能な非新生物エンドクリン過形成という単純な概念は適用できないことが判明した。この分野における現在の考え方については、スチューダーH.(Studer, H.)(1995)の「エンドクリン・レビューズ(Endocrine Reviews)」、Vol.16、No.4、411−426ページ、及びダワールM(Derwahl M)スチューダーH.(Studer, H.)(2002)の「Trends Endocrinol.Metab.」Vol.13、No.1、23−8ページに記載されている。
よって、甲状腺腫や甲状腺腫瘍の治療には、適切な治療コンセプトが採用できるよう早期の診断が必要である。
本発明の目的は、甲状腺機能障害、甲状腺過形成及び甲状腺腫瘍を診断し、治療するための手段を分子レベルで提供することであって、特に病原性をもたらすメカニズムに関与する核酸配列であると共にこのメカニズムを研究するために好適な核酸配列を提供すること、及びこの病原性をもたらすメカニズムに作用する或いはこれに影響を与えることができる核酸配列を提供することである。
加えて、前記核酸配列に基づく薬剤、及び広く医薬組成物をも提供する。
更には、甲状腺機能障害、甲状腺過形成、及び甲状腺腫瘍の診断及び/又は治療のためのキット、並びにこれらを検出するための方法をも提供する。
本発明においては、この課題を、過形成及び/又は腫瘍によって発現が変る核酸であって、配列番号1、3、4、9、11〜16及びこれら配列の一部或いは断片からなる群から選択される核酸配列を含む核酸により解決する。(ここで、配列番号11〜16とは、配列番号11から配列番号16までの全ての配列、即ち配列番号11、配列番号12、配列番号13〜配列番号16を意味する。)本発明においては、本発明の核酸はエクソン或いは2個のエクソン間の移行領域を含む核酸も含む。移行領域の長さは、該領域の特定の検出が可能である限りにおいて、特に診断用途の場合にそうであるように非常に短いものであってもよい。
それぞれの長さは当業者に知られている。移行領域は、1個の遺伝子内の2個のエクソン間の移行領域とすることができるだけでなく、本明細書に記載の融合遺伝子(本明細書では融合転写産物と同義)等、異なる2個の遺伝子の2個のエクソン間の移行領域とすることができる。これら遺伝子や融合遺伝子と同様、特に、本明細書に記載のブレークポイント領域に存在する領域或いはエクソンは、本明細書に記載の甲状腺の腫瘍或いは新生物の存在の診断に好適に用いることができる。
一実施形態では、腫瘍が、染色体バンド2p内に何らかの変化を有する各種上皮腫瘍及び染色体バンド2p21−22内に何らかの変化を有する各種腫瘍からなる群から選択される。
別の実施形態では、過形成が甲状腺の各種過形成からなる群から選択される。
更に別の実施形態においては、配列番号11は、DRIP、特にヒトDRIP又はその一部をコードする。
更に別の実施形態においては、配列番号12は、DRIP、特にヒトDRIP又はその一部をコードする。
更に別の実施形態においては、配列番号16は、DRIP、特にヒトDRIP又はその一部をコードする。
更に別の実施形態においては、配列番号1は、本発明の融合タンパク質又はその一部をコードする。
本発明の融合タンパク質は、本明細書においてはDRIP−FUS Ibとして示すこともある。
更に別の実施形態においては、配列番号9は、本発明の融合タンパク質又はその一部をコードする。
本発明の融合タンパク質は、本明細書においてはDRIP−FUS IIaとして示すこともある。
更に別の実施形態においては、配列番号13は、本発明の融合タンパク質又はその一部をコードする。
本発明の融合タンパク質は、本明細書においてはDRIP−FUS Iとして示すこともある。
更に別の実施形態においては、配列番号14は、本発明の融合タンパク質又はその一部をコードする。
本発明の融合タンパク質は、本明細書においてはDRIP−FUS Iaとして示すこともある。
更に別の実施形態においては、配列番号15は、本発明の融合タンパク質又はその一部をコードする。
本発明の融合タンパク質は、本明細書においてはDRIP−FUS IIとして示すこともある。
更に別の実施形態においては、配列番号3は、FUS I、特にヒトFUS I又はその一部をコードする。
更に別の実施形態においては、配列番号4は、FUS II、特にヒトFUS II又はその一部をコードする。
更に別の様相においては、本発明の課題は、遺伝子コードの縮重がなければ本発明の核酸の内の一核酸と同じアミノ酸配列をコードする核酸配列を含む核酸により解決される。
更に別の様相においては、本発明の課題は、本発明の核酸の内の一核酸と、特に、ストリンジェントな条件下で、ハイブリダイズする核酸により解決する。
更に別の様相においては、本発明の課題は、本発明の核酸の内の一核酸を含むベクターにより解決する。
一実施形態においては、ベクターは、プロモーター、ターミネーター及びエンハンサーからなる群から選択される少なくとも一種の要素を更に含む。
更に別の実施形態においては、ベクターが発現ベクターである。
更に別の実施形態においては、少なくとも一個のプロモーターが、ポリペプチドをコードする本発明の核酸の少なくとも一部分と共にin−frameで存在する。
更に別の様相においては、本発明の課題は、本発明の核酸の内の一核酸がコードするポリペプチドにより解決する。
更に別の様相においては、本発明の課題は、配列番号2、5〜8、10及び17に記載の配列の内の一配列を有するアミノ酸を有するポリペプチドにより解決する。
一実施形態においては、ポリペプチドは改変されている。
更に別の様相においては、本発明の課題は、本発明のベクターを含む細胞、特に単離された細胞により解決する。
更に別の様相においては、本発明の課題は、本発明のポリペプチドに対する抗体により解決する。
一実施形態においては、抗体は、本発明の核酸の内の一核酸に対するものである。
更に別の様相においては、本発明の課題は、本発明の核酸の内の一核酸に対するリボザイムにより解決する。
一実施形態においては、リボザイムは、本発明の核酸の内の一核酸又はこれと実質的に相補的な核酸の少なくとも一部分を含む。
更に別の様相においては、本発明の課題は、本発明の各種核酸配列の内の一配列と全体又は一部が実質的に対応する配列を含む、又は本発明の各種核酸配列の内の一配列と実質的に相補的な配列を含むアンチセンス核酸により解決する。本明細書では、「実質的」という用語は、使用されている文とは独立して、相同性が少なくとも70%、好ましくは少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%であることを示す。
更に別の様相では、本発明の課題は、請求項1〜8のいずれか一項に記載の核酸の内の一核酸又はその一部と実質的に相補的又はこれと実質的に同一である配列を含む干渉RNA(本明細書ではRNAiともいう)、好ましくは小さな干渉RNAにより解決する。好ましくは、このRNAiは、実質的に相補的又は実質的に同一である領域の長さが21〜23個のヌクレオチドである領域を含む。
更に別の様相では、本発明の課題は、本発明の核酸の内の一核酸又はその一部と実質的に相補的又はこれと実質的に同一である核酸を含むプライマー又は核酸プローブにより解決される。このプライマー及び/又は核酸プローブは、長さがヌクレオチド12〜32個、好ましくはヌクレオチド14〜28個、好ましくはヌクレオチド20〜28個である。
更に別の様相においては、本発明の課題は、先の請求項の内の一項に記載の本発明の核酸の翻訳産物の作用に影響を及ぼす化合物、特に前記作用を阻害する化合物を決定するプロセスであって、次の各段階、
・翻訳産物と化合物を調製する段階と、
・翻訳産物の作用を体現する系において、翻訳産物と化合物とを接触させる段階と、
・化合物の影響下において翻訳産物の作用に何らかの変化が生じたか否かを決定する段階とを含むプロセスにより解決する。
一実施形態においては、化合物は癌又は腫瘍のための剤である。
更に別の様相においては、本発明の課題は、本発明の核酸の内の一核酸の転写産物の作用に影響を及ぼす化合物、特に前記作用を阻害する化合物を決定するプロセスであって、次の各段階、
・転写産物と化合物を調製する段階と、
・転写産物の作用を体現する系において、転写産物と化合物とを接触させる段階と、
・化合物の影響下において転写産物の作用に何らかの変化が生じたか否かを決定する段階とを含むプロセスにより解決する。
一実施形態においては、化合物は癌又は腫瘍のための手段である。
一実施形態においては、系が、細胞発現系、無細胞発現系、化合物と翻訳産物の間の相互作用を測定するアッセイ及び化合物と転写産物の間の相互作用を測定するアッセイからなる群から選択される。
更に別の様相においては、本発明の課題は、過形成及び腫瘍の発生、特に甲状腺の過形成及び腫瘍の形成を担う遺伝子を決定するプロセスであって、次の各段階、
・過形成及び腫瘍の染色体転座部におけるブレークポイントを決定する段階と、
・ブレークポイント領域の両側の約400kbp、好ましくは約320kbp、好ましくは約150kbpの領域内にある遺伝子を決定する段階と、
・過形成細胞又は腫瘍細胞におけるこの遺伝子の翻訳/転写が、過形成でない細胞又は腫瘍でない細胞と比べて変化しているか否かを決定する段階と
を含むプロセスにより解決する。
更に別の様相においては、本発明の課題は、本発明の核酸、本発明のリボザイム、本発明のアンチセンス核酸、本発明のRNAi、及び/又は本発明の核酸プローブの内の一の、甲状腺機能障害及び/又は甲状腺過形成及び/又は各種腫瘍、特に甲状腺腫瘍の診断、特にin vitroにおける診断及び/又は治療のための使用により解決する。
更に別の様相においては、本発明の課題は、本発明の核酸、本発明のリボザイム、本発明のアンチセンス核酸、本発明のRNAi、及び/又は本発明の核酸プローブの内の一の、医薬を製造するため、特に、甲状腺機能障害及び/又は甲状腺過形成及び/又は各種腫瘍、特に甲状腺腫瘍を治療及び/又は予防するための医薬を製造するための使用により解決する。
更に別の様相においては、本発明の課題は、本発明のポリペプチドの内の一の、甲状腺機能障害及び/又は甲状腺過形成及び/又は各種腫瘍、特に甲状腺腫瘍の診断、特にin vitroにおける診断及び/又は治療のための使用により解決する。
更に別の様相においては、本発明の課題は、本発明のポリペプチドの内の一の、医薬製造のための使用により解決する。
更に別の様相においては、本発明の課題は、本発明の抗体の内の一の、甲状腺機能障害及び/又は甲状腺過形成及び/又は各種腫瘍、特に甲状腺腫瘍の診断、特にin vitroにおける診断及び/又は治療のための使用により解決する。
更に別の様相においては、本発明の課題は、本発明の抗体の内の一の、医薬の製造、特に、甲状腺機能障害及び/又は甲状腺過形成及び/又は各種腫瘍、特に甲状腺腫瘍を治療及び/又は予防するための医薬を製造するための使用により解決する。
更に別の様相においては、本発明の課題は、甲状腺機能障害及び/又は甲状腺過形成及び/又は甲状腺腫瘍の診断のためのキットであって、該キットが、それぞれ先の請求項のいずれか一項に記載の核酸、ベクター、ポリペプチド、細胞、抗体、リボザイム、アンチセンス核酸、RNAi、プライマー及び/又は核酸プローブからなる群から選択される少なくとも一種の要素を含むことを特徴とするキットにより解決する。
更に別の様相においては、本発明の課題は、甲状腺機能障害及び/又は甲状腺過形成及び/又は甲状腺腫瘍を検出するためのプロセスであって、次の各段階、
甲状腺材料を、それぞれ本発明に係る核酸、ベクター、ポリペプチド、抗体、リボザイム及び細胞からなる群から選択される剤に接触させる段階と、甲状腺機能障害及び/又は甲状腺過形成及び/又は甲状腺腫瘍が存在するか否かを決定する段階と
を含むプロセスにより解決する。
一実施形態においては、甲状腺材料が生体外に存在する。
一実施形態においては、甲状腺材料が細胞学的調製物の一部である。
更に別の様相においては、本発明の課題は、本発明の核酸の内の一核酸又はその一部の、プライマー及び/又はプローブとしての使用により解決する。
更に別の様相においては、本発明の課題は、本発明の核酸を提示する及び/又はスクリーニングする及び/又は検出するためのプライマーにより解決するが、このプライマー或いはプローブは、本発明の核酸配列の内の一核酸配列の一部分に実質的に相補的である或いは実質的に同一である。
更に別の様相においては、本発明の課題は、甲状腺腫瘍又は甲状腺腫において検出され得る配列を含む核酸を提示するプロセスであって、破壊ポイントを有する転座が染色体バンド2p21−22に存在し、前記配列が染色体バンド2p21−22内にあり、
該プロセスが次の各段階、
・PCRを実施するための本発明のプライマーを調製する段階と、
・ヒト染色体2のバンド2p21−22から採取した核酸配列、又は本発明の核酸の内の一核酸を調製する段階と、
・核酸配列又は核酸をプライマーと混合する段階と、
・PCRを実施する段階と
を含むプロセスにより解決する。
更に別の様相においては、本発明の課題は、医薬組成物であって、
それぞれ先の請求項の一項に記載の核酸、ベクター、ポリペプチド、細胞、抗体、アンチセンス核酸、RNAi、プライマー及び/又は核酸プローブ、及び/又はリボザイム、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも一種の剤と、医薬的に許容される少なくとも一種の担体とを含む医薬組成物により解決する。
更に別の様相においては、本発明の課題は、腫瘍及び過形成を治療及び/又は予防するためのプロセスであって、本発明の核酸の内の一核酸の変化した発現の作用を阻害する化合物が患者、特に腫瘍の患者、特に甲状腺腫瘍又は過形成の患者に投与されるプロセスにより解決する。
この場合、変化とは、発現上昇と発現低下の両方とすることができる。
更に別の様相においては、本発明の課題は、本発明の核酸の内の一核酸の発現変化の作用を阻害する化合物の、医薬を製造するための使用により解決する。
一実施形態においては、医薬は、腫瘍、特に甲状腺腫瘍及び/又は過形成を治療及び/又は予防するためのものである或いは治療及び/又は予防に用いられる。
更に別の様相においては、本発明の課題は、配列番号1、3、4、9及び配列番号11〜16からなる群から選択される配列を有する核酸又はこれらの誘導体、及び/又はこれらにコードされるポリペプチド又はこれらの誘導体の、医薬(特に甲状腺機能障害及び/又は甲状腺過形成及び/又は甲状腺腫瘍を治療するための医薬)を製造するための及び/又は診断剤(特に甲状腺機能障害及び/又は甲状腺過形成及び/又は甲状腺腫瘍の診断のための診断剤)を製造するための使用により解決する。
一実施形態においては、ポリペプチドは、配列番号2、配列番号5〜8、10或いは17に従ったアミノ酸配列を有する。
一実施形態においては、核酸は、遺伝子コードの縮重がなければ、配列番号1、3、4、9及び配列番号11〜16の内の一配列に係る核酸とハイブリダイズする。
更に別の様相においては、本発明の課題は、配列番号2、配列番号5〜8、10及び17からなる群から選択される配列を有するポリペプチド又はこれらの誘導体の、医薬(特に甲状腺機能障害及び/又は甲状腺過形成及び/又は甲状腺腫瘍を治療するための医薬)を製造するための及び/又は診断剤(特に甲状腺機能障害及び/又は甲状腺過形成及び/又は甲状腺腫瘍の診断のための診断剤)を製造するための使用により解決する。
更に別の様相においては、本発明の課題は、甲状腺機能障害及び/又は甲状腺過形成及び/又は各種腫瘍、特に甲状腺腫瘍を治療するための剤、及び/又は甲状腺機能障害及び/又は甲状腺過形成及び/又は各種腫瘍、特に甲状腺腫瘍を診断するための手段をスクリーニングするためのプロセスであって、次の各段階、
・候補化合物を調製する段階と、
・発現系及び/又は活性系を調製する段階と、
・候補化合物を発現系及び/又は活性系と接触させる段階と、
・候補化合物の影響下において、配列番号1、3、4、9及び配列番号11〜16からなる群から選択される配列を有する核酸又はこれらの誘導体、及び/又はこれらにコードされるポリペプチド、及び/又は配列番号2、配列番号5〜8、10或いは17に従った配列を有するポリペプチド又はこれらの誘導体の発現及び/又は活性が変化しているか否かを決定する段階と
を含むプロセスにより解決する。
一実施形態においては、候補化合物は化合物ライブラリーに含まれる。
一実施形態においては、候補化合物はペプチド、タンパク質、抗体、アンチカリン、機能的核酸及び小分子からなる化合物群から選択される。
一実施形態においては、機能的核酸は、アプタマー、アプタザイム、リボザイム、スピゲルマー、アンチセンスオリゴヌクレオチド及びRNAiからなる群から選択される。
更に別の様相においては、本発明の課題は、配列番号1、3、4、9及び配列番号11〜16からなる群から選択される配列を有する核酸又はこれらの誘導体、及び/又はこれらにコードされるポリペプチド又はこれらの誘導体、及び/又は配列番号2、配列番号5〜8、10或いは17に従った配列を有するポリペプチド又はこれらの誘導体、及び/又は、特に、配列番号1、3、4、9及び配列番号11〜16からなる群から選択される配列を有する核酸の天然相互作用パートナー又はこれらの誘導体、及び/又はこれらにコードされるポリペプチド又はこれらの誘導体、及び/又はこれらをコードする核酸、及び/又は配列番号2、配列番号5〜8、10或いは17に従った配列を有するポリペプチドの相互作用パートナー又はこれらの誘導体の、甲状腺機能障害及び/又は甲状腺過形成及び/又は甲状腺腫瘍を診断するための診断手段を開発及び/又は製造するためのターゲット分子としての、及び/又は甲状腺機能障害及び/又は甲状腺過形成及び/又は各種腫瘍、特に甲状腺腫瘍を予防及び/又は治療するための医薬を開発及び/又は製造するためのターゲット分子としての使用により解決する。
一実施形態においては、医薬又は診断剤は、抗体、ペプチド、アンチカリン、小分子、アンチセンス分子、アプタマー、スピゲルマー及びRNAi分子からなる群から選択される剤を含む。
一実施形態においては、剤は、配列番号1、3、4、9及び配列番号11〜16からなる群から選択される配列を有する核酸又はこれらの誘導体と相互作用する、及び/又は特に、天然相互作用パートナーをコードする核酸と、特にmRNA、ゲノム核酸又はcDNAと相互作用する。
更に別の様相においては、本発明の課題は、配列番号1、3、4、9及び配列番号11〜16からなる群から選択される配列を有する核酸によりコードされるペプチド又はこれらの誘導体と相互作用する、及び/又は配列番号2、配列番号5〜8、10或いは17に従ったポリペプチドと相互作用する、及び/又は特にこれらの天然相互作用パートナーと相互作用するポリペプチドの、甲状腺機能障害及び/又は甲状腺過形成及び/又は甲状腺腫瘍を診断するための診断手段を開発又は製造するための、及び/又は甲状腺機能障害及び/又は甲状腺過形成及び/又は各種腫瘍、特に甲状腺腫瘍を予防及び/又は治療するための医薬を開発又は製造するための使用により解決する。
一実施形態においては、ポリペプチドは、抗体及び結合ポリペプチドからなる群から選択される。
更に別の様相においては、本発明の課題は、配列番号1、3、4、9及び配列番号11〜16からなる群から選択される配列を有する核酸によりコードされるポリペプチド又はこれらの誘導体と相互作用する、及び/又は配列番号2、配列番号5〜8、10或いは17に従ったポリペプチドと相互作用する、及び/又はこれらの天然相互作用パートナーと相互作用する核酸の、特に、甲状腺機能障害及び/又は甲状腺過形成及び/又は甲状腺腫瘍を診断するための診断手段を開発又は製造するための、及び/又は甲状腺機能障害及び/又は甲状腺過形成及び/又は各種腫瘍、特に甲状腺腫瘍を予防及び/又は治療するための医薬を開発又は製造するための使用により解決する。
一実施形態においては、核酸は、アプタマー及びスピゲルマーからなる群から選択される。
更に別の様相においては、本発明の課題は、配列番号1、3、4、9及び配列番号11〜16からなる群から選択される配列を有する第二の核酸又はこれらの誘導体と相互作用する、及び/又は配列番号2、配列番号5〜8、10或いは17に従った配列を有するポリペプチドの相互作用パートナーをコードする核酸と相互作用する第一の核酸の、甲状腺機能障害及び/又は甲状腺過形成及び/又は各種腫瘍、特に甲状腺腫瘍を予防及び/又は治療するための医薬を開発又は製造するための使用により解決する。
一実施形態においては、相互作用する第一の核酸は、アンチセンスオリゴヌクレオチド、リボザイム及び/又はRNAiである。
上述の最後の二様相に係る一実施形態においては、第二の核酸は対応するcDNA又はmRNAである。
更に別の様相においては、本発明の課題は、本発明の各使用に係る群から選択される少なくとも一種の剤と、医薬的に許容される少なくとも一種類の担体とを含む、特に、甲状腺機能障害及び/又は甲状腺過形成及び/又は各種腫瘍、特に甲状腺腫瘍を予防及び/又は治療するための医薬組成物により解決する。
更に別の様相においては、本発明の課題は、本発明の各使用に係る少なくとも一種の剤を含む、甲状腺の状態を特徴付けるためのキットにより解決する。
更に別の様相においては、本発明の課題は、配列番号2、配列番号5〜8、10或いは17に従ったアミノ酸配列又はその機能的断片を含むポリペプチドにより解決する。
更に別の様相においては、本発明の課題は、本発明の使用の内の一に従った、本発明のポリペプチドの使用により解決する。
本発明の更に別の様相及び実施形態は各請求項から得られる。
本発明は、正常な組織とは異なる発現をする一連の遺伝子又は核酸配列が存在し、その発現が腫瘍や過形成の発生と関連付けられ且つそれらが因果関係にあると考えられるという、驚くべき知見に基づいている。
本発明において、或る種の過形成や腫瘍の場合には、或る種の遺伝子或いは配列の発現において何らかの変化が起こることが確認された。この場合の変化とは、特に、発現上昇や発現低下をいう。また、本明細書では、過形成や腫瘍の細胞とは異なる細胞や組織における目的の遺伝子や配列の発現の程度を基準として使用する。
本発明において、特定の過形成や腫瘍の場合には、特定の遺伝子或いは配列の核酸配列が正常な組織に対して変化するということも確認された。
このような配列(本明細書では融合遺伝子、融合タンパク質或いは融合転写産物ともいう)としては、例えば、各スプライス変異体を有する本明細書に記載のDRIP−FUS 1やDRIP−FUS II、これらをコードする核酸やアミノ酸配列が挙げられる。
最後に、本発明において、甲状腺腫瘍から得た細胞も甲状腺腫瘍からの細胞培養物も染色体2p21−22にブレークを有することも確認された。このブレークポイント領域は316kbpと特定できた。このブレークポイント領域(ブレークポイントクラスタとも同義)にDRIP遺伝子の206kbpが含まれている。より正確には、エクソン27〜38がこのブレークポイント領域にある。DRIP遺伝子の3’末端は染色体2pのテロメアにある。DRIP遺伝子のDNAは、長さが365186bpであり、全部で38個のエクソンを有する。mRNA配列と各種スプライス変位体は異なる配列番号で示す。
本明細書に記載のDRIP遺伝子の配列には、一連のコード配列(英語ではCDS:a series of coding sequence)が含まれている。本発明に係る全ての核酸配列やアミノ酸配列、ペプチド、タンパク質を示していると思われる数個のコード配列を決定できるが、特定のDRIPのmRNAの最初のAUGは、翻訳開始部位として好適である。DRIP遺伝子或いは該遺伝子がコードするポリペプチドの相互作用パートナーは、所謂細胞死受容体(英語では death receptor)に代表される。
「ストリンジェントな条件」とは、本明細書特に実施例に記載の条件であり、特にPCR、ノーザンブロット、サザンブロットに関して用いる。
本発明においては、配列プロトコルにおいてmRNA配列をDNA配列としても表すことができる。これに加え、コード配列(CDS)は、翻訳したアミノ酸配列の形で表すこともできる。
ゲノムDNAの或る領域(506kbp)を調べ、ブレークポイントクラスタのゲノム構造を決定した。この構造を決定することを目的として表1に示す各BACクローンを用い分析した。
ここに記載したDRIP遺伝子の206kbpはブレークポイント領域に含まれている。より正確には、エクソン27〜38がこのブレークポイント領域に含まれている。DRIP遺伝子の3’末端はそのテロメアにある。
ブレークポイント領域を図12に示す。
DRIP遺伝子
DRIP遺伝子のゲノム構成
DRIP遺伝子のゲノムサイズ
DRIP遺伝子の大きさは365186bpであり、全体を配列番号12に示す。表2に、エクソン及びイントロンのサイズと、特定のクローンに対するそれらの相対位置とを示す。
ここで、Seq.ID.No.とSEQ.ID.No.は同義である。
DRIPmRNAの構造
DRIP遺伝子はスプライス変異体を有する。最大の転写産物は6090bpである。本明細書に記載の配列には、可能性の或るCDが全て含まれている。エクソンのサイズは表2に示す。
DRIPの転写産物
2種のDRIP転写産物が存在する。配列番号11は、エクソン1〜エクソン38のcDNA転写産物を示す。配列番号16は、エクソン1〜26及びエクソン29〜38のDRIPcDNA転写産物のスプライス変異体を示す。図13は、DRIPmRNA構造の概略図である。
即ち、DRIP遺伝子の各転写産物は次の特徴を有する。
DRIPの標準的な転写産物は長さが6090bpであり、38個のエクソンを含む。
DRIPmRNAのスプライス変位体にはエクソン27とエクソン28がない。
これに加え、DRIP相同ESTとmRNAがあり、これらを表3に示す。
DRIPの発現
DRIP遺伝子は普遍的に発現する。発現に関するデータは、NCBIのUnigeneデータバンクにおいてクラスター番号Hs16063ホモサピエンスとして記載されている。この結果、例えば、Sageノーザン解析において腫瘍細胞株MCF7(乳腫細胞株)に強い発現が生じる。図11に示すノーザンブロットから明らかなように、膵臓及び精巣において発現が増強している。
DRIPタンパク質
DRIP遺伝子のオープンリーディングフレーム
DRIP遺伝子のオープンリーディングフレーム(ORF)を図13に示すが、これは配列番号11及び配列番号16の中に見出される。このORFの開始位置及び終了位置は両配列番号についての記載において確認される。
甲状腺腫瘍からの本発明の融合遺伝子DRIPFUS1の特徴付け
実施例1においてより詳細に述べるが、甲状腺細胞株S325t/sv40には、染色体3(3pから3テロメア)の小さな断片を有する融合染色体der(2)が存在する。この融合染色体からDRIP融合タンパク質が生じるが、これを本明細書ではDRIPFUS1と表す。DRIP−FUS Iとそのスプライス変位体のmRNAの概略図を図14に示す。このmRNAを配列番号1、配列番号13、配列番号14に示し、このアミノ酸配列を配列番号6、配列番号7、配列番号2に示す。
DRIP−FUS I融合遺伝子のcDNA及びそのスプライス変異体は標準的な3’RACE技法により測定した。染色体3の前記更なる配列は、BACクローンRpll−167M22(受託番号AC093174)及びRplI−33519(受託番号AC091492)由来のものである。この染色体3の配列の既知の遺伝子に対する相同性は明らかではない。これらは腫瘍にのみ発現する新規な遺伝子構造である。
本発明者は、DRIP−FUSI遺伝子が過形成や腫瘍形成に明らかに関与していると仮定しているが、この仮定に拘束されるものではない。この遺伝子或いはこれをコードする配列は、本発明の核酸であると共に、本明細書に開示の使用においてそれぞれに応じて適用できる。更に、本発明の核酸は、染色体2由来の本発明の融合タンパク質をコードする核酸配列の一部でもある。染色体3由来の核酸配列の一部にも同様なことが言える。本発明に使用した配列、即ち部分的な配列は、配列番号1、配列番号13、配列番号14或いはその注釈に従った配列から直接的に得られる。ポリペプチド或いは対応するアミノ酸配列についても同様に言える。
更なる融合遺伝子/融合タンパク質を図に示す。
最後に、本発明においては、本明細書に記載のエクソン、転写物、cDNA、ORF等は全て本発明の核酸として理解されるべきであると共に本発明に従って使用できるものと理解されたい。
関連する腫瘍としては、とりわけ、第一の腫瘍グループとして各種上皮腫瘍、特に染色体バンド2p21−22に変化を有する上皮腫瘍、第二の腫瘍グループとして染色体アーム2pに変化を有する各種腫瘍が挙げられる。
この場合の変化とは、特に染色体転座や染色体欠失、染色体挿入、染色体逆位をいう。
特に、第一のグループの腫瘍は甲状腺の各種腫瘍を含み、甲状腺の上皮腫瘍が好ましい。第二のグループの腫瘍としては、例えば、白血病(慢性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病等)やB細胞リンパ腫、神経膠腫、悪性線維性組織球腫、骨肉腫、平滑筋肉腫、脂肪肉腫、卵巣腫瘍、乳腫、腎臓癌、膵臓癌、胆嚢癌等が挙げられる。
WHOの分類によれば、甲状腺の腫瘍は殆どが上皮腫瘍由来であり、良性型と悪性型に分けられる。良性腫瘍においては、「真正の」腺腫と、「腫瘍様病変」とも言われる甲状腺過形成(良性腺腫様甲状腺腫結節)とが区別される。この過形成は、殆どがポリクローナル結節であり、包形成が不完全な様々な大濾胞性構造を有することが多い。一方、甲状腺腺腫は濾胞性上皮由来の被包型腫瘍である。これらの通常単発性の腫瘍の構造は類似しており、その構造は隣接する甲状腺組織とは異なる。これらは、顕微鏡的に(組織の細かさという点で)分化の程度に応じて、正常濾胞性(normofollicular)(シンプル/単純)、大濾胞性(macrofollicular)(コロイド)、小濾胞性(microfollicular)(胎児性)、小柱性(trabecular)或いは固形(solid)(胚性)の各線種に分類することができる。
本明細書に使用されるDRIPという略語は、英語の「細胞死受容体相互作用タンパク質(death receptor interacting protein)(独語:death receptor interagierendes Protein)」を略したものである。このタンパク質は、細胞死受容体(英語では death receptor)、特に細胞死受容体5(DR5)のリガンド或いはアダプターであり、細胞のアポトーシス機能に関与している。DRIP遺伝子は、シグナル開始或いはシグナル転送における機能に意義がある。
本発明の範囲においては、本発明の配列には、一般に、ワトソンクリック塩基対により生じる相補配列も含まれる。
本発明の範囲においては、特に検出のためのノーザンブロットハイブリダイゼーションにおける標準的な条件下において、配列番号1、配列番号3、配列番号4、配列番号9及び/又は配列番号11〜16の配列を有するシングルコピー配列とハイブリダイズする核酸配列や、遺伝子コードの縮重がなければこれら配列とハイブリダイズしたであろう核酸配列も含まれる。適切なハイブリダイゼーションの条件は例えば次のようなものである。即ち、特異的な断片を分子プローブとして用いる。「ランダムプライマー伸長」の原理に従い32Pにより放射性標識を行った。inExpressHybハイブリダイジング液メンブレン(クロンテック・ラボラトリーズ(Clontech Laboratories)、米国パロ・アルト)のプレハイブリダイゼーションを68℃で30分間行った後、100ngのプローブinExpressHybハイブリダイジング液を用いてこのメンブレンのハイブリダイゼーションを68℃で60分間行った。次にメンブレンの洗浄を行った(2×SSC/0.05%SDSを用いて室温で20分を2回、0.1×SSC/0.1%SDSを用いて50℃で10分を4回)。信号を、STORMホスホラスイメージャー(phosphorus imager)(モレキュラー・ダイナミクス(Molecular Dynamics)、米国サニーベール)等を用いて検出した。
本発明に係る核酸には、遺伝子コードの縮重がなければ、本発明の核酸、本明細書に記載のポリペプチドのアミノ酸配列をコードする核酸、及び特に配列番号1、配列番号9、配列番号11及び/又は配列番号13〜16等により示す融合タンパク質の内の一とハイブリダイズしたであろう核酸も含まれる。
本発明の各種核酸の内の一核酸の翻訳産物の作用に影響を及ぼす化合物を決定する本発明の方法は、化合物ライブラリーをスクリーニングする方法でもある。このような化合物ライブラリーとしては、低分子量化合物のライブラリーが好ましい。基本的には、この手続きは、或る系において本発明の各種核酸の内の一核酸の翻訳産物を化合物に接触させるものであるが、ここにおいて、この系は、前記翻訳産物の作用、ひいては翻訳産物に対する化合物の作用を示すか、或いはこの作用を検出可能な信号の形で出力するものである。この作用は、例えば、強度、基質特異性(認識、結合、輸送)及び/又は受容体特異性や受容体親和性や膜会合についての関数をモディファイして、例えば信号伝達として表すことができる。この作用は、細胞内外における酵素反応に対しても影響を及ぼすであろう。この作用は、無細胞系、細胞系、細胞培養物中、及び/又はトランスジェニック動物モデルにおいて、即ちin vitro、in vivo及びin situで調べることができる。
本明細書においては、本発明の方法及び適用において、腫瘍や過形成と言及する場合は、本発明の核酸に関係して示される全ての種類の腫瘍や過形成含むものと理解されたい。
従って、本発明の核酸配列には、本明細書に記載の各疾患の診断や治療と、これら疾患、特に甲状腺腫、甲状腺腫瘍或いは甲状腺癌の発症に関する機序の調査との両方に用いられるという新しい可能性が開かれている。特に、配列を知ることにより、適切な診断手段或いは治療手段を直接的或いは間接的に、薬学的な組成物や医薬という意味において分子レベルで用いることができるようになる。
本発明の核酸配列は、キットや方法と同様、上述の意味において診断や治療において使用される適切な手段を実現するために、当業者に知られた方法で使用できる。
核酸とは、DNA配列とRNA配列の両方をいう。これには、これらのハイブリッドや、異なるバックボーンを有するPNAやLNA等の誘導体も含まれる。また、核酸は一本鎖構造、二本鎖構造或いはトリプル構造で存在することができる。
DNAの鎖性、即ち例えば一本鎖であるか二本鎖であるかは、核酸配列の長さにより異なるものとすることもできる。
更に、本発明の核酸配列は、完全でなくてもよく、断片とすることもできる。好ましくは、断片は、本発明の核酸の5’末端断片か3’末端断片である。
更に、本発明に開示される核酸配列には、その変異体が含まれると共に、異なる母集団において対立遺伝子が存在することから、対立遺伝子も含む。本明細書において、変異とは、核酸配列内に起こり得るものとして当業者に知られている変異全てをいい、点変異と点変異以外の変異、即ち逆位、挿入、欠失を含む。
中でも、核酸配列を取得する或いは失う及び/又は特に融合遺伝子を発生させる転座が挙げられる。
更に、本発明の核酸とその他の核酸の相互作用に関して、本技術において一般に認識されているハイブリダイゼーションの基準を本発明においても用いる。適切なハイブリダイゼーションの条件を選択することにより、特定の領域におけるハイブリダイゼーションのストリンジェンシーを変更することができ、従って、本発明の核酸配列は、完全ではないものの対応する配列、即ち相補配列、との差異の程度が様々な核酸配列とハイブリダイズすることができるようになる。
本発明の核酸配列には、もし遺伝子コードの縮重がなければ本発明の各種配列の内の一配列とハイブリダイズしたであろう配列も含まれる。これは、本発明の核酸配列にあるオープンin−frameを見れば、これを遺伝コードを用いてアミノ酸配列に翻訳できることを意味する。しかしながら、遺伝子コードの縮重を鑑み、このようにして得たアミノ酸配列から出発し、遺伝コードを再び用いて、アミノ酸配列を決定するために用いた核酸配列に対してもはやハイブリダイズできない程異なっている核酸配列を得ることもできる。
当業者であれば、本明細書に開示されている核酸に基づき、本発明の核酸配列と相互作用できる適切なアンチセンス核酸(特にアンチセンスRNA)を生成することができる。この相互作用により、この核酸配列が関与するプロセスに対して直接的な影響を及ぼすことができる。この相互作用は、翻訳レベルと同様、例えば転写レベルにおいても起り得る。
本明細書においては一般に、核酸配列とは、前記組織から単離することにより、好ましくは前記組織からin situやex vivoで単離することにより、例えば対応する細胞や組織、器官の培養物から単離することにより得られる核酸配列をいう。
しかしながら、本明細書においては、ジーンバンクから単離される核酸配列、特にヒトジーンバンクから、より好ましくはヒト染色体2、3、7のジーンバンクから単離される核酸配列も本発明の核酸配列に含まれ、本発明の核酸配列はこれらから得ることができる。更に、本発明の核酸配列には、適切な合成技法(例えば、ポリメラーゼ連鎖反応や技術水準において知られているその他の生物化学的、化学的合成方法)により作成される核酸も含まれる。
本発明の配列は、改変されていてもよい。
改変には、例えば、本発明の核酸配列の(一部の)配列の断片化、挿入、欠失、逆変異も含まれる。これには、他の核酸配列が挿入されることも含まれる。これらの核酸配列は、例えば、特定の領域をコードすることができ、翻訳や転写を制御するためのスペーサー及び/又は要素として機能することができる。
更に、本発明の核酸は、他の分子と相互作用し得る配列や分子を含むように改変することができる。これは、例えば、核酸結合タンパク質と結合する固体キャリアや配列に対する結合部位の形で達成できる。
更に、本発明の核酸配列は標識されたものであることができる。ここで、標識とは、基本的には直接標識と間接標識の両方をいう。
標識は、従来技術において知られている標識物質と標識方法を用いて達成することができ、例としては特に、放射性標識、非放射性標識、蛍光標識が挙げられる。非放射性標識に用いられる標識物質としては、とりわけ、ジゴキシゲニン、アビジン、ストレプトアビジン、ビオチンが挙げられる。
本明細書におけるベクターとは、特に、当技術分野において知られている組換えベクターをいう。
本明細書において使用されているベクターという用語に含まれるものとしては、とりわけ、ウィルスベクター(アデノウィルスベクター、レトロウィルスベクター等)、ファージシステム、プラスミドベクター(コスミドベクター等)、原核生物系及び/又は真核生物系に使用できる人工染色体等が挙げられる。
本発明のベクターは、本発明の核酸配列に加え、従来技術において知られている従来の要素を更に含むことができる。各要素、例えばプロモーターやターミネーター、エンハンサー等は、当業者に知られている方法で各宿主細胞系に応じて選択される。特に、適切な真核生物プロモーターの使用と誘導プロモーターの使用が好ましい。前述の要素の単独での使用或いは組み合わせての使用に加え、これらの要素が、少なくとも本発明の核酸配列或いはその一部を宿主細胞系のゲノムに導入させるタイプのベクターに含まれることも本発明の範囲内である。
in−frame(「in−frame」)にある前記要素の内の少なくとも一要素が、本発明の核酸配列の少なくとも一個のオープンin−frameに結合されることも本発明の範囲内であり、この特別なオープンin−frameの転写速度が、付加的に導入されたプロモーターにより制御される場合に特に有利となる。ここで、このプロモーターは通常、適切な距離に、このオープンin−frameに対し「in−frame」に配置される。
従って、本発明の核酸配列のオープンin−frameは、好ましくは前述の条件においてシグナル配列を有することも提供でき、このシグナル配列は、このオープンin−frameによりコードされる遺伝子産物を細胞膜を通過させて転位させることができ、またその結果として必要に応じてこの遺伝子産物を更に改変させることができる。このようなシグナル配列としては、合成タンパク質を小胞体やゴルジ体、リソソーム、細胞小器官(ミトコンドリアや葉緑体等)、細胞コアに輸送するためのシグナル配列が挙げられる。このように、異なる細胞コンパートメントを通過できることにより翻訳後修飾をすることができるため、必要に応じて遺伝子産物を更に有利に形成することができる。
シグナル配列に加え、このような構成に更に付加的な核酸配列を含ませることができる。この付加的な配列は、本発明の核酸配列のオープンin−frameの遺伝子産物に融合タンパク質に形成させる。ここで、ドメインの融合部分は、別のタンパク質に対応するものであることができ、例えば本発明の配列のオープンin−frameの遺伝子産物を検出するのに使用される。また、生物学的な系における他の分子や構造物との相互作用を検出するのに使用される。ここで生物学的な系とは、好ましくは細胞である。
前述の利点と、当業者であれば本発明の核酸配列の記述から知得できる更なる利点に加え、これらのことも、前述の核酸配列から誘導することができる或いは該配列によりコードすることができるポリペプチドに固有のものである。これらのポリペプチドは、本発明の核酸配列のオープンin−frameから直接得ることができ、また宿主生物に発現させた本発明のベクターによって当業者によく知られている方法で生成することができる。後者の方法の場合、本発明のベクターによって宿主生物を通常は最初に形質転換し、この宿主生物を増幅し、宿主生物からポリペプチドを得る。または宿主生物からポリペプチドを培地に分泌させる場合は、この培地からポリペプチドを得る。
本発明のポリペプチドやこれらポリペプチドをコードする核酸は、甲状腺の組織における「細胞の」イベントに影響を及ぼすように直接使用されるが、これに加え、アフィニティクロマトグラフィー等により細胞イベントに関与する他の成分の洗浄(cleaning)に使用することもできる。また、好適な抗体を作成するために使用することもでき、この抗体は、中でもその役目として治療及び/又は診断の目的で使用することができる。このような方法で、中でも本発明のポリペプチドの相互作用パートナーを検出し或いは単離することができる。
翻訳後修飾や所望の純度等、各場合における必要性にもよるが、本発明のポリペプチドを宿主生物内で作成するときは、宿主生物としては原核生物か、或いは真核生物が有利である。
本発明のポリペプチドは適切な方法で改変することができる。改変とは、中でも断片化のことであり、特に分子を短くすることと解釈すべきである。
この場合の改変の意味には、ポリペプチドを標識することも含まれる。この標識は、高分子化合物と低分子化合物のどちらによってでも行うことができ、これらとしては放射性標識、非放射性標識、蛍光標識が挙げられる。
また、標識は、例えばタンパク質のリン酸化やグリコシル化の形で存在することができる。
対応する各標識方法や改変方法は当技術分野で知られており(例えば、「タンパク質を用いる各種方法」第二版、D.M.ボラグら、ウィリ・リス社、ニューヨーク、1996年(Protein Methods, 2nd ed., D. M. Bollag et al., Wiley Liss, Inc., New York, NY, 1996)参照)、その記載の全体を本明細書の一部を構成するものとしてここに援用する。
本発明における改変には、当業者に知られているいかなる形態の翻訳後修飾も含まれ、特に、ポリペプチドのタンパク質分解処理、N末端における残基の付加や分離、N末端のアセチル化、N末端のミリストイル化、グリコシルホスファチジル基やファルネシル基、ゲラニルゲラニル基のC末端への付加、Nグリコシル化、Oグリコシル化、グリコサミノグリカンの付加、ヒドロキシル化、リン酸化、ADPリボシル化、ジスルフィド架橋形成をいう。
本発明のポリペプチドを変異させて、特にアミノ酸変異をさせて得られる或いは誘導される本発明のポリペプチドも本発明の範囲内である。アミノ酸変異とは次の両方の変異をいう。即ち、アミノ酸を側鎖が類似している別のアミノ酸で置換する変異(保存的変異、例えばIからLへ、DからEへ)、及びアミノ酸を別のアミノ酸に置換してもコードされたポリペプチドの機能に好ましくない影響を与えないような変異(サイレント変異)の両方をいう。コードされたポリペプチドの機能は適切なアッセイにより確認できる。DRIPのための、即ちアポトーシス性手続きのための適切な機能アッセイは当業者に知られている(例えば、リザード(Lizard)G.ら、Ann Pathol 1997年3月;17(1):61−6、参照)。
本発明の細胞を用いることにより、多くの利点が得られる。これら利点として、中でもとりわけ対応する核酸配列や該配列から得られる遺伝子産物を製造することが含まれる。
特に、本発明の核酸配列を細胞のゲノムに挿入することは重要であるが、例えば、このような配列が及ぼす影響、特に細胞環境における影響を更に研究するためには特に重要である。この場合、遺伝子量効果等を診断及び/又は治療のために調べる或いは利用できる。非常に有利であるのは、二倍体細胞から開始したときに、一本の染色体のみが一以上の本発明の核酸配列を含み、好ましくはバンド2p21−22の対応する位置に挿入されており、第二の染色体については染色体バンド2p21−22を含む染色体転座は行われない、という状態であると思われる。このような細胞は、例えば診断用の調製物における陽性対照及び/又は陰性対照として使用することができる。
本発明の範囲には、本発明の各翻訳産物或いはこれらをコードする核酸に加え、本明細書に記述するように、各翻訳産物或いはこれらをコードする核酸から生じる作用を得る或いは抑制する他の手段も使用できることも含まれる。このような手段は、例えば、所謂スクリーニング法の範囲内で確かめることができる。第一の段階において、一以上の所謂候補化合物が調製される。本発明の候補化合物は、本明細書に記載の疾患、特に甲状腺機能障害及び/又は甲状腺過形成及び/又は甲状腺腫瘍の治療に対する適切性が何らかのテスト系にて確認されるべきであり、この適切性をこれらを診断するための診断手段として用いるべきである。或る候補化合物が、このテスト系において或る相応の作用を示す場合は、これは相応の手段、即ち、主にこれらの疾患の治療に適切な手段であることを示す。第二の段階では、候補化合物を(翻訳産物)発現系や(翻訳産物)活性系と接触させる。翻訳産物発現系は、翻訳産物の発現を体現する発現系であり、発現の程度は基本的に変えることができる。翻訳産物活性化系は本質的には発現系であるが、この系では焦点は翻訳産物の発現よりもその活性や活性状態、影響の受け易さに当てられている。このため、このような翻訳産物は実際の発現過程を経た結果得られるものである必要はなく、ポリペプチドやタンパク質として対応する活性系に事前に添加されることもできるということは注目に値する。具体的には、この場合、翻訳産物の活性が候補化合物の影響下において変化するか否かが確認される。この場合、それぞれの具体的な発現系や活性系の存在とは独立に、発現や活性が低下することも上昇することも基本的には起こり得る。
発現系及び/又は活性系は通常、in vitroでの調製物である。例えば、細胞コア抽出物等の細胞抽出物や細胞抽出物の断片等である。しかしながら、この調製物は各成分に関して幾分厳密に規定される(生物学的)化学的な調製物であることもできる。しかしながら、本発明に係る翻訳産物発現系は細胞であることができ、好ましくは甲状腺細胞や甲状腺過形成細胞、甲状腺腫瘍を形成する細胞である。
発現系において起こる増加や減少がどの程度であるのかは、発現の一レベルで決定することができる。即ち、例えば、翻訳産物をコードする核酸、特にmRNAの量の増加或いは減少させること、或いは候補化合物の影響下において発現系で生成される翻訳産物(即ち、各タンパク質)の量の増加或いは減少させることにより決定することができる。このために必要な技法、例えばmRNAを定量する方法は当業者に知られており、例えば、サンブルック(Sambrook)ら(サンブルック,ヨゼフ(Sambrook, Joseph):分子クローニング(Molecular Cloning):実験室マニュアル(A laboratory manual)/J.サンブルック(Sambrook);E.F.フリッチ(Fritsch);T.マニアティス(Maniatis)−コールド・スプリング・ハーバー(Cold Spring Harbor)、ニューヨーク:コールド・スプリング・ハーバー・ラボラトリー出版(Cold Spring Harbor Laboratory Press)、19XX、第一版、T.マニアティス(Maniatis)、トーマス(Thomas)P.:「分子クローニング(Molecular Cloning)」;第三版:ヨゼフ・サンブルック(Joseph Sambrook)とデービッドW.ラッセル(David W. Russell);国際標準図書番号ISBN 0−87969−309−6 ISBN0−87969−576−5 ISBN0−87969−577−3 第1-2版、4[Dr.]−1989)に記載されている。更に、翻訳産物の量を決定する方法は、例えば、適切な抗体を用いること等が挙げられ、当業者には知られている。
抗体は一般に知られている方法により製造することができ、方法は例えば「現行のプロトコル(Current Protocols)」(「タンパク質科学における現行のプロトコル(Current Protocols in Protein Science)」コリガン(Coligan)J.E.;ダン(Dunn)B.M.、ハイド(Hidde)L.P.、スパイチャー(Speicher)D.W.、ウィングフィールド(Wingfield)P.T.;ジョン・ウィリー&サンズ(John Wiley & Sons)により出版)に記載されている。更に、発現系の範囲内において、得られた翻訳産物は標識されていることも可能である。このような適切な標識としては、例えばHis6による標識(ジャンクネヒト(Janknecht)Rら(1991)、Proc Natl Acad Sci USA、88(20):8972−6)が挙げられる。
翻訳産物活性系の場合は、翻訳産物の活性上昇や活性低下は通常、機能アッセイによってテストされる。これについては、改変翻訳産物の定義に関連して既に記載されており、より正確には本発明の改変ポリペプチドに関して既に記載されている。
候補化合物と発現系或いは活性系との接触は、候補化合物の好ましい水溶液を、対応する反応系即ち発現系や活性系に加えることにより一般には行われる。発現系や活性系は、本明細書では纏めてテスト系としても記載されている。この場合、水溶液は好ましくは緩衝液であることができる。
候補化合物の使用は、各テストにおいて各場合毎に一種の候補化合物のみが、対応するテスト系において使用されるような形で一般にはなされる。この場合、本発明の範囲には対応する各種テストが平行して高収量系で実施されることも含まれる。
本発明のスクリーニング法の最後の段階においては、翻訳産物やこれをコードする核酸の発現や活性が、候補化合物の影響により変化したか否かを決定するが、候補化合物を添加しないテスト系の挙動と候補化合物を添加したテスト系の挙動を比較する形で一般には実施される。好ましくは、候補化合物は化合物ライブラリーに含まれる。化合物群に関わらず基本的には全ての化合物ライブラリーを化合物ライブラリーとして使用できる。適切な化合物ライブラリーは、例えば小分子のライブラリーである。しかしながら、他の化合物群、例えばペプチドやタンパク質、抗体、アンチカリン、核酸等、特に機能的核酸を小分子として使用することも本発明の範囲に含まれる。
同時に、本発明の翻訳産物やこれをコードする核酸を、前述の化合物群、特にペプチドやタンパク質、抗体、アンチカリン、機能的核酸等を生成するためのターゲット分子として使用できることも本発明の範囲に含まれる。対応する各種化合物、即ち、ペプチドやタンパク質、抗体、アンチカリン、機能的核酸は本発明のスクリーニング法において利用できる。
本発明の翻訳産物やこれをコードする核酸に対して生成されるこれらの化合物、即ち、ペプチドやタンパク質、抗体、アンチカリン、機能的核酸が、本発明に係る手段、即ち、甲状腺機能障害及び/又は甲状腺過形成及び/又は甲状腺腫瘍を治療するための手段や対応する診断剤として使用されることも更に本発明の範囲に含まれる。
本発明に係るペプチド及び特に結合ペプチドは、好ましくは生物学的系において、特に甲状腺又は甲状腺過形成又は甲状腺腫瘍やこれらを形成する細胞において、本発明の翻訳産物や本発明の翻訳産物の相互作用パートナー、特に天然相互作用パートナーに結合するタンパク質やペプチドであるのが好ましい。本発明の使用に関連して本明細書に記載される抗体やアンチカリン、機能的核酸、小分子についても同様なことが適用される。同時に、前述の化合物群の各メンバーは、好ましくは、本発明の翻訳産物やこれをコードする核酸と相互作用し、従って翻訳産物やこれをコードする核酸の対応する活性に影響を及ぼす。このような相互作用が起こる条件は、当業者にはよく知られており、実際に相互作用が起こるべき条件と一致する。好ましくは、この条件は生理学的な条件であり、好ましい条件は、本明細書に記載の疾病の生物学的系(biological system of the illness)において見られるものである。
しかしながら、これらのメンバーのうち、本発明の翻訳産物やこれをコードする核酸の相互作用パートナー、特に天然相互作用パートナーと相互作用し、相互作用パートナーやこれをコードする核酸の発現や活性に影響を及ぼすものを製造或いは使用することや、それぞれに対応するスクリーニングプロセスに付すこと、ことも本発明の範囲に含まれる。「影響を及ぼす」という語は、本明細書において説明した発現や活性の程度の増加又は減少をいう。
前記メンバーが本発明に係る翻訳産物やこれをコードする核酸の相互作用パートナーと相互作用した結果、翻訳産物に伴う一連の反応が阻害され、本発明に係る翻訳産物又はこれをコードする核酸の通常見られる作用が阻害される。これは、甲状腺機能障害及び/又は甲状腺過形成及び/又は甲状腺腫瘍に関連して本明細書に開示される治療又は診断の範囲において使用できる。
これらペプチド(以下、本明細書では結合ペプチドや結合タンパク質ともいう)は、例えばファージ・ディスプレイ等の従来技術において既に知られている方法を用いてスクリーニングしたり製造したりすることができる。これらの技法は当業者に知られている。この場合、これらのペプチドの生成は通常、ペプチドライブラリーを例えばファージの形で構成し、このライブラリーをターゲット分子、即ち本発明の場合は例えば翻訳産物や本発明の核酸の翻訳産物の天然相互作用パートナーと接触させ行われる。その後、結合ペプチドは通常、ターゲット分子との複合体として、ライブラリーの非結合メンバーから分けられる。この場合、結合特性は少なくともある程度各場合における特定のテスト条件、例えば塩含有量等により異なることは当業者の知識の範囲内である。ターゲット分子とより高い或いはより強力な親和性を以って結合しているペプチドをライブラリーの非結合メンバーから分離した後、或いは本発明の場合は、例えばターゲット分子である本発明の翻訳産物から分離した後、これらの特徴付けを行うことができる。場合によっては、特徴付けの前に増幅ステップが必要とされることがある。増幅は、例えば、一以上のペプチド又はタンパク質をコードする対応するファージを増殖することにより行う。特徴付けは、ファージ・ディスプレイ・スクリーニング法において翻訳産物或いはその天然相互作用パートナーのどちらをターゲット分子として使用したかによって異なるが、これら2種の分子のいずれかと結合するタンパク質の配列を決定することを含むのが好ましい。これらのペプチドの長さは特に制限されない。しかしながら、典型的には、8〜20個のアミノ酸を有するペプチドがこのような方法で得られ或いは使用される。ライブラリーに含まれるペプチドは、10〜1018種、好ましくは10〜1015種である。アンチカリンは、ターゲット分子に結合するペプチドの特定の形状を示すものであり、例えばドイツ特許出願DE19742706に記載されている。
本明細書に開示された技術思想により、遺伝子産物、特にポリペプチド等の本発明に係る翻訳産物や本発明の核酸配列に対する抗体を製造することもできる。従ってこの場合においても、当業者にはよく知られているように、特にin vitroとin vivoにおけるアプリケーションにおいて、各種化学化合物に対する各種抗体が存在することによる各種利点が得られる。特に、これらの抗体を用いれば、例えば、本発明の化合物、即ち本発明の各種核酸及び/又は本発明のポリペプチドや翻訳産物を精製することが可能となり、またこれらを検出すること、更に、in situ且つex vivoの両方、in vivo及び/又はin vitroにおいて抗体が指向している化合物の生物学的利用可能性等の生物学的活性に影響を及ぼすことが可能である。より正確には、特にモノクローナル抗体を用いれば、遺伝子産物を特異的に検出することができ、或いは遺伝子産物や核酸配列と他の細胞成分との細胞レベルでの相互作用に影響を及ぼすことができ、従って細胞イベントにおける特異的な介入が達成され得る。抗体が指向する化合物次第、或いは研究下の系において抗体の作用が発現する化合物次第で、その化合物の作用により達成され得るのが原則的に促進作用となるか、阻害作用となるかが決まる。
抗体は、本明細書においてはポリクローナル抗体とモノクローナル抗体の両方をいう。しかしながら、特異性が高いためモノクローナル抗体の方が特に好ましい。しかしながら、ポリクローナル抗体の純度や特異性が十分である場合、或いはポリクローナル抗体により達成される複数の特異性や他の特性が有利な形で使用できる場合もある。
抗体の製造や使用については、例えば、抗体:実験室マニュアル(E.ハーロー&D.レーン、コールド・スプリング・ハーバー・ラボラトリー、ニューヨーク、1988年)(Antibodies:A Laboratory Manual (E. Harlow & D. Lane, Cold Spring Harbor Laboratory, NY, 1988))に記載されており、その記述を本明細書の一部を構成するものとしてここに援用する。
更に、抗体が一本鎖抗体であることができることも、本発明の範囲に含まれる。
抗体が断片化されている、特に短縮化されていることも本発明の範囲に含まれる。これは、抗体の特異性が残っている、即ち所定のエピトープに結合し得る限り、抗体の大部分が断片化(Trunkiert)されていることを含む。断片化(Trunkierung)は、対応する抗体が細胞レベルで使用される場合に特に有利である。これは、このようにすることにより完全抗体に比べ、透過性や拡散性が向上するためである。
更に、当業者に知られている他の形の改変も提供される。これらは、例えば「抗体:実験室マニュアル(E.ハーロー&D.レーン、コールド・スプリング・ハーバー・ラボラトリー、ニューヨーク、1988)(Antibodies:A Laboratory Manual (E. Harlow & D. Lane, Cold Spring Harbor Laboratory, NY, 1988))」に記載されている。一般に言えることであるが、原則的には抗体の改変はポリペプチドの改変と同様の方法で、またある程度は核酸と同様の方法で実施することができ、前述の方法は本発明に係る抗体にも適用できる。
本発明に係るスクリーニング方法において使用でき且つ本発明に係る医薬や診断剤の製造に使用できる別の化合物群は、機能的核酸である。本明細書において機能的核酸とは、特にアプタマー、アプタザイム(aptazyme)、リボザイム、スピゲルマー(spiegelmer)、アンチセンスオリゴヌクレオチド及びRNAiをいう。
アプタマーは一本鎖又は二本鎖の、RNAベース又はDNAベースの、ターゲット分子と特異的に結合するD−核酸である。アプタマーの製造については、例えば、ヨーロッパ特許EP第0533838号に記載されている。次の手続が用いられている。
核酸の混合物、即ち潜在的アプタマーの混合物を調製する。各核酸は、少なくとも8個の連続的な任意のヌクレオチドセグメントから構成されている。この混合物をターゲットと接触させる。即ち、本発明の場合は、翻訳産物、特に本発明に係る翻訳産物やこれをコードする核酸、翻訳産物の相互作用パートナー、特に天然相互作用パートナー、及び/又はこれらをコードする核酸と接触させる。ターゲットと結合する核酸は、候補を含むこの混合物の残りのものと分けられる。この時、必要に応じて、この候補混合物の中で親和性が高いことを利用して分ける。このようにして得た、ターゲットと結合している核酸を増幅する。これらのステップを何回も繰り返し、最終的に、各ターゲット(即ちターゲット分子)と特異的に結合する核酸を、正確に言えば所謂アプタマーを得る。これらのアプタマーは安定化され得ることも本発明の範囲に含まれる。安定化は、例えば、アプタマー開発の分野の当業者には知られている何らかの化学的な基を導入することにより行う。アプタマーは、既にこれまで治療において使用されている。このようにして得たアプタマーをターゲットの確認や、医薬特に小分子医薬の開発のための指示物質として使用することも、本発明の範囲に含まれる。
スピゲルマーの製造や生産も基本的に同様の原則に基づいている。スピゲルマーは、本発明の範囲内において、本発明に係る翻訳産物やこれをコードする核酸、翻訳産物相互作用パートナー、特にその天然相互作用パートナー及び/又はこれをコードする核酸に基づき、ターゲット分子として開発することができる。
スピゲルマーの製造については、例えば、国際特許出願WO98/08856に記載されている。スピゲルマーはL−核酸であり、即ち、L−ヌクレオチドから構成されており、その実質的な特徴は、スピゲルマーが生物学的な系において非常に高い安定性を有していること、また、アプタマーと同程度に、ターゲット分子と特異的に相互作用する或いは結合することである。スピゲルマーの製造において用いられる手続は次の通りである。D−核酸の不均質な系を作成し、この不均質系をターゲット分子の光学対掌体と接触させる。本発明の場合、例えば、翻訳産物の天然のL−鏡像異性体に対するD−鏡像異性体と接触させ、ターゲット分子の光学対掌体と相互作用しなかったD−核酸を分離する。このようにして、ターゲット分子の光学対掌体と相互作用したD−核酸を決定し、必要に応じて分離し配列決定する。これらの配列はD−核酸に対しては事前に決定されており、これらと同一の配列を有するL−核酸を合成する。ここにおいて、アプタマー製造方法と同様に、これらのステップを何回も繰り返すことにより、適切な核酸、即ち、スピゲルマーを富化する或いは生産することもできる。これら核酸即ちスピゲルマーは、本発明の翻訳産物と結合するもの、ターゲット分子として使用した上述の化合物に応じた特に天然的な翻訳産物相互作用パートナーの内の一以上のものと結合するもの、若しくは翻訳産物をコードする核酸と結合するものである。
本発明において使用できる機能的核酸の別の形は、所謂アプタザイムである。アプタザイムは、例えば、ピガノー(Piganeau)N.ら(2000)、Angew. Chem. Int.、第39版、No.29、4369-4373ページに記載されている。ここではアプタマーの特定の形が含まれており、ターゲット分子、本発明の場合、本発明の翻訳産物やその相互作用パートナーと特異的に結合するアプタマー部分に加え、リボザイム部分も含むことができ、その結果としてアプタマー部分のターゲット分子に結合した後、リボザイム部分のアプタザイムが活性化され、アプタザイムのリボザイム部分の基質として機能する核酸の切断を生じることを特徴とする。リボザイム基質の配置に対応して、蛍光アクセプターに対する蛍光ドナーの空間配置の変化に起因する蛍光の変化をリボザイム基質等において観察することができる。このため、アプタザイムは、特に、翻訳産物やその相互作用パートナーに関するターゲット確認の範囲における適用に適していると共に、本発明に係る診断剤として適している。本明細書に記載したリボザイムに関して開示した範囲内においては、治療における使用においても同様なことが可能である。
前述の各化合物群に共通して言えることであるが、これらは、各タンパク質やポリペプチド、即ち、翻訳産物、好ましくは本発明の翻訳産物或いはその相互作用パートナーと結合するか、またはこれらに対するものとして作られるのが好ましい。しかしながら、これらの化合物群、特に機能的核酸のターゲット分子が、前述の本発明の好ましいタンパク質やポリペプチドをコードする核酸、或いは本発明の核酸であることも本発明の範囲に含まれる。
翻訳産物、好ましくは本発明の翻訳産物及び/又はその相互作用パートナー、特にこれらをコードする核酸や本発明の核酸を用いて作成することができる或いは開発することができる別の化合物群は、リボザイムやアンチセンスオリゴヌクレオチド、RNAiである。
これら化合物群の全てに共通することは、これらが翻訳産物のレベル、即ちタンパク質(翻訳産物やその相互作用パートナー)のレベルではこれらの作用を発現せず、各タンパク質をコードする核酸、特にmRNA或いは翻訳産物をコードするmRNAのレベルや翻訳産物の相互作用パートナーをコードするmRNAのレベルで発現するということである。対応するゲノムDNAや対応するcDNAもまた、ターゲット分子として適している。
リボザイムは、触媒活性を有する核酸である。この核酸は、好ましくはRNAで構成されており、2個の領域部分からなる。第一の領域部分は触媒活性を担う部分であり、第二の部分はターゲット核酸と特異的な相互作用を担う部分である。ターゲット核酸とリボザイムの第二の部分の間に相互作用が起こると、この相互作用は通常は互いに実質的に相補的な塩基領域同士のハイブリダイゼーションにより起こるものであるが、リボザイムの触媒部分はターゲット核酸を分子内的に或いは分子間的に加水分解することができる。リボザイムの触媒作用がホスホジエステラーゼ活性の場合は、後者の方が好ましい。その結果、コードしている核酸の必要とあれば更なる分解が起こる。ここで、核酸レベルとタンパク質レベルの両方において、また細胞内と細胞外の両方において、ターゲット分子の力価を下げることができる。このようにして、甲状腺機能障害及び/又は甲状腺過形成及び/又は甲状腺腫瘍を治療するための治療用調製物が提供される。使用や構成原則が当業者に知られているリボザイムは、例えば、ドハーティ(Doherty)とドナ(Doudna)「リボザイムの構造及びメカニズム(Ribozyme structures and mechanisms)」、Annu.Rev.Biophys.Biomol.Struct.2001;30:457-75や、レーウィン(Lewin)とハウスワース(Hauswirth)「リボザイム遺伝子治療:分子医薬への適用(Ribozyme gene therapy:applications for molecular medicine)」、Trends Mol.Med.、2001、7:221-8)に記載されている。
医薬組成物が医薬的に許容される担体に加えリボザイムを含むこと、即ち本発明のリボザイムを医薬として特に甲状腺の機能障害や過形成、腫瘍を治療するための医薬として使用することを目的として、リボザイムの構成を、リボザイムが本発明の各種核酸配列の内一以上の配列に対し特異的に作用するように、またこれによりリボザイムが細胞レベルにおける発現や翻訳を制御するようにすることも可能である。これは、治療的観点から見て特に重要であるが、診断的観点からも重要である。この場合、リボザイムは分子間触媒作用と分子内触媒作用の両方を示すため、本発明の核酸配列を改変して、これら配列の各種領域自体が、改変された領域のリボザイム活性により切断されるようにするということも可能である。当業者であれば本明細書で入手可能となった配列情報を用いて特定の治療を開発することも可能である。
本発明の核酸配列自体と同様、リボザイムも特に有利であるが、このことは、例えば遺伝子治療によりリボザイムがエフェクター細胞に導入されるときだけではない。対応する改変を生体外で行い、この改変細胞を同種再移植や自己再移植のために利用できるようにすることも考えられる。リボザイムの製造及び使用については、リボザイム・プロトコル(フィリップC.ターナー編、ヒューマン・プレス、トトワ、ニューヨーク、1997)(Ribozyme Protocols (Phillip C. Turner, Ed., Humana Press, Totowa, NY, 1997)に開示されており、ここに引用する。このことは基本的に、本明細書に記述の各機能的核酸に適用される。
本発明に係る医薬や診断剤の製造におけるアンチセンスオリゴヌクレオチドの使用は、基本的に同様の作用機序に基づいている。
アンチセンスオリゴヌクレオチドは、相補的な塩基があるために、典型的にはターゲットRNAと、通常はmRNAとハイブリダイズし、これによりRNaseHを活性化する。RNaseHは、ホスホジエステルやホスホロチオエートと結合したDNAによっても活性化される。しかしながら、ホスホロジエステル結合DNAは細胞ヌクレアーゼにより急速に分解される(但しホスホロチオエート結合DNAは除く)。これら抵抗性を有する非天然DNA誘導体は、RNAとハイブリダイズするとRNaseHを阻害しなくなる。言い換えると、アンチセンスポリヌクレオチドは、DNA−RNAハイブリッド複合体となったときのみ有効である。このようなアンチセンスオリゴヌクレオチドは、例えば米国特許第5849902号や第5989912号等に記載されている。元来、アンチセンスオリゴヌクレオチドの基本概念は、あるRNAに対して相補的な核酸を提供することである。言い換えると、翻訳産物やその相互作用パートナーの核酸配列、特にそれらのmRNAの核酸配列に関する知見に基づき、核酸、好ましくはhnRNAやmRNA等、コードする核酸の分解を導く適切なアンチセンスオリゴヌクレオチドを塩基相補性を用いて生産することが可能である。この分解を、発現系や活性系において定性的、定量的に検出することができる。
本発明における医薬や診断手段として同定、製造、使用できる他の化合物群は、所謂RNAiである。RNAiは、RNA干渉を仲介する二本鎖のRNAであり、通常21〜23個のヌクレオチドの長さである。この場合、2本のRNA鎖の内の一本は、分解される遺伝子或いは対応するmRNAの配列に対応する。言い換えると、翻訳産物及び/又はその相互作用パートナーをコードする核酸、特にmRNAに関する知見に基づき、二本鎖のRNAを製造することができる。ここで、二本のRNA鎖の内の一方は、翻訳産物及び/又はその相互作用パートナーをコードする前記核酸と、好ましくはmRNAと本質的に相補的であり、このため対応するコードする核酸の分解が導かれ、これをもって各翻訳産物、即ちタンパク質の力価の低下が導かれる。RNAiの医薬や診断手段としての生産や使用は当業者には知られており、例えば、国際特許出願WO00/44895やWO01/75164に記載されている。
これまで述べた化合物群、即ちリボザイムやアンチセンスオリゴヌクレオチド、RNAiの効果的な機構を鑑み、本発明に係る翻訳産物、即ち、これらのポリペプチドやタンパク質、特にその天然相互作用パートナーに加え、これらを各々の場合に完全に或いは部分的にコードする各種核酸、特に対応するmRNAやcDNA、ゲノムDNAを、直接或いはターゲット分子として、甲状腺機能障害及び/又は甲状腺過形成及び/又は甲状腺腫瘍を治療するための医薬の製造や、上述の疾患や機能障害を診断するための診断手段或いは疾患や使用されている治療の経過をモニターするための診断手段の製造に用いることも本発明の範囲に含まれる。
本発明に係る翻訳産物、これをコードする核酸、翻訳産物の相互作用パートナー、特に天然相互作用パートナー及び/又はこれらをコードする核酸を、ターゲット分子として、甲状腺機能障害及び/又は甲状腺過形成及び/又は甲状腺腫瘍を処置或いは治療するための医薬の製造や開発に、またこれらを診断するための剤の製造及び/又は開発のために使用する場合は、小分子のライブラリーを使用することもできる。またこの場合、ターゲット分子をライブラリーに接触させ、ライブラリー内の該分子に結合したメンバーを、必要な場合はライブラリーに含まれる他のメンバー或いはターゲット分子から分離し、任意ではあるが更に特徴付けを行ってもよい。ここでもまた、小分子の特徴付けは、当業者に知られている方法を用いて実施される。例えば、化合物を同定し、分子構造を決定する。ライブラリーに含まれるメンバーの数は、2個〜数十万個である。
本明細書に開示した、本発明の治療手段や診断手段として使用できる各種化合物群に関連して、本発明の一様相においては、或る化合物群は、翻訳産物やその相互作用パートナーと直接結合し、または後者と相互作用する。しかしながら、前記各種群化合物は、特にペプチドや抗体、アンチカリン、アプタマー、アプタザイム、スピゲルマーが存在する場合に、翻訳産物と何らかの特異的相互作用をするため、翻訳産物の相互作用パートナーを阻害する、ということも本発明の範囲に含まれる。
このような観点から、本明細書における翻訳産物の使用という表現は、一以上の翻訳産物相互作用パートナー、例えば、受容体や転写因子、翻訳因子等の使用を含む範囲であるとも理解されよう。従って、本明細書に記載した方法は、翻訳産物タンパク質やこれをコードする核酸に代えてその相互作用パートナーを各種選択方法やアッセイ、スクリーニング方法、製造方法に使用する範囲において変更される。
本発明の範囲においては、翻訳産物の相互作用パートナー、特に本発明の翻訳産物の相互作用パートナー、また特に本発明の翻訳産物の天然相互作用パートナーは、前記翻訳産物が相互作用する分子や構造であることが理解されよう。この場合は特に、これらに含まれるものとして、正常な状態及び/又は病的な状態の生物学的な系においてタンパク質と相互作用する分子や構造が挙げられる。DRIPの好適な相互作用パートナーとしてはDR5(death receptor 5)が挙げられ、例えば次の文献に記載されている。ハイモウィッツ S.G.、クリスティンガー H.W.、フー G.、ウルシュ M.、オッコネル M.、ケリー R.F.、アシュケナージ A.、ドフォス A.M.、OMIM、「細胞死を引き起こすタンパク質、構造:細胞死受容体を有する複合体内のApo2L/TRAILの結晶構造」Mol Cell.1999年10月;4(4):563-71(Hymowitz S. G., Christinger H. W., Fuh G., Ultsch M., O'Connell M., Kelley R. F., Ashkenazi A., de Vos A. M., OMIM, Protein, Structure Triggering cell death: the crystal structure of Apo2L/TRAIL in a complex with death receptors. Mol Cell. 1999 Oct; 4 (4): 563−71)、アシュケナージ A.、ディクシット VM.関連論文「細胞死受容体及び囮受容体による、ヌクレオチド、タンパク質アポトーシス制御」Curr.Opin.Cell Biol.1999年4月1(2):255-60、レビュー、(Ashkenazi A, Dixit VM. Related Articles, Nucleotide, Protein Apoptosis control by death and decoy receptors. Curr. Opin. Cell Biol. 1999 April 1 (2):255−60. Review)、ミットシアデス N、ポウラキ V、ミットシアデス C.S.、コートラス D.A.、クローソス G.P.関連論文「甲状腺疾患の病状におけるFasL及びTRAIL/Apo2Lにより誘導されるアポトーシス」Trends Endocrinol.Metab.2001年11月;12(9):384-90、レビュー(Mitsiades N, Poulaki V, Mitsiades C. S., Koutras D. A., Chrousos G. P. Related Articles, Apoptosis induced by FasL and TRAIL/Apo2L in the pathogenesis of thyroid diseases. Trends Endocrinol. Metab. 2001 Nov; 12 (9):384−90. Review.)。
甲状腺の機能障害や過形成、腫瘍、即ち本明細書に記述される疾病全体を診断及び/又は治療するための本発明のキットの構成に関して特筆すべき点は、このようなキットの厳密な構成、即ちキットに明らかに含まれなければならない要素は、当業者に知られていることであり、特に、本明細書に開示されている本発明の核酸配列やこれらの翻訳産物の上述の作用や利用性に関して用いた理由付けに照らせば明らかである。本発明に係るキットは、いかなる場合にも本発明に係る要素の内の少なくとも一個を含む。この要素は、本明細書で特徴付けられた、本発明に係る核酸、ベクター、ポリペプチド、細胞、抗体、リボザイム及び各種化合物群の内の少なくとも一種からなる群から選択され、特に、抗体、ペプチド、タンパク質、アンチカリン、小分子、アプタマー、スピゲルマー、リボザイム、アプタザイム、アンチセンスオリゴヌクレオチド、RNAiから選択される。これらは、本発明の各種核酸或いは本発明に係る翻訳産物やこれらの相互作用パートナー、特にこれらの天然相互作用パートナーやこれらをコードする核酸に特異的なものである。好ましくは、これらはそれぞれ本発明に係る定義におけるものである。本発明に係るキットに含まれる更なる要素(個々に或いは組合せとしてキットに含まれることもできる)は、緩衝液、陰性対照、陽性対照及び使用指示書からなる群から選択される。
通常、キットに含まれる各化合物や構成要素は乾燥しているか、液状であり、好ましくは使用1回分の量に分けられている。このキットは、甲状腺機能障害及び/又は甲状腺過形成及び/又は甲状腺腫瘍であることを判断するために好ましく使用できる。本発明の細胞の使用に関しては、この細胞は本発明の範囲内で、特に再移植用の細胞として、或いは対応する診断的或いは治療的な試みにおける陽性対照及び/又は陰性対照として使用することができる。
本発明の方法は、甲状腺の機能障害、過形成及び/又は腫瘍(癌腫や甲状腺腫を含む)を検出するものであるが、本発明の方法において、甲状腺材料はin situ、ex vivo、in vivo又はin vitroのものとすることができる。ここで使用する「甲状腺材料」という概念は、特に、正常な及び/又は病的な状態にある甲状腺の材料、好ましくは甲状腺の細胞材料をいう。従って、甲状腺材料という概念には、機能障害を有する甲状腺から得られる材料、甲状腺過形成から得られる材料、癌腫や甲状腺腫を含む甲状腺の腫瘍から得られる材料も含まれる。機能障害、過形成及び/又は腫瘍が存在するか否かは、本発明において使用される剤が対象の甲状腺材料に及ぼす作用と、「正常な」甲状腺組織に及ぼす作用とを比較することにより決定される。
本発明の方法の更なる実施形態は、当業者であれば本明細書に記載された開示に基づき得られるであろう。
各種実施形態やこれらにより達成し得る各種利点に関する上の実施形態は、本発明の医薬、特に、甲状腺の機能障害、過形成及び/又は腫瘍を診断及び/又は治療及び/又は予防するための手段にも同様に適用され、該医薬や該手段は、本明細書に開示される本発明の配列、本発明のベクターと、本発明のポリペプチド、本発明の細胞、本発明のリボザイム及びこれらの使用という形態をとる。本発明に従い製造される化合物や、結合ペプチド、アンチカリン及び機能的核酸からなる群から選択される化合物についても同様である。これら化合物に共通のファクターは、これら化合物が、本発明の核酸配列又はこれらにコードされるポリペプチド、これらの相互作用パートナー又はこれらをコードする核酸に対するものである、即ち、これら化合物はこれらに対してターゲット分子として製造される或いは選択されるということである。これら医薬は、一以上のこれらの剤や化合物を成分とすることもできる。
本発明の医薬組成物も同様である。この場合、医薬組成物は、前述の化合物の内の一個のみを含むものであることができ、これに任意の医薬的に許容される担体を加えて作られる。或いは、医薬組成物が医薬的に許容される担体に加え複数の前述の化合物を含むものであることも、本発明の範囲に含まれる。
医薬的に許容される担体は、本明細書においては、当業者に知られている担体全てと理解されるべきであり、これらは通常、使用される形態に応じて選択される。医薬的に許容される担体としては、例えば、水、緩衝液、アルコール溶液等が挙げられる。
プライマーを製造するための本発明のプロセスに関して注目されることは、これらのプライマーは、本発明の各種核酸配列又はこれらの一部を具体的に記述せしめうるものであるということである。
本発明の核酸配列を提供する本発明のプロセスにおいては、本発明の各種核酸配列、それに対応する各種配列、或いはポリメラ−ゼ連鎖反応のためのプライマーとして本発明のプライマーを用いたそれらの相補的配列を、どのソースから得られるものであっても、それらの各種設計物として用いることができる。適切なプライマーの設計やポリメラ−ゼ連鎖反応の実施については、例えば「PCR&PCR2:実用アプローチ(M.J.マクファーソン、P.クアーク、G.R.テイラー編、IRLプレス、オックスフォード、イギリス、1991年;及びM.J.マクファーソン、B.D.ヘイムス編、IRLプレス、オックスフォード、イギリス、1995年)(PCR & PCR 2: A practical approach (M. J. McPherson, P. Quirke and G. R. Taylor, Eds., IRL Press, Oxford, England 1991, & M. J. McPherson and B. D. Hames, Eds., IRL Press, Oxford, England 1995))」に記載されており、これをここに引用する。
本発明の核酸(本発明の核酸配列を含む)は、特に本明細書に開示されるDRIP遺伝子を含むが、本発明のDRIPや本発明の融合タンパク質をコードするための核酸という特定の形態をもDRIPと称する。
核酸、即ち本発明に係る核酸配列は、特に、本明細書においては「配列番号〜」と共に示される核酸配列を含む次の核酸でもある。本明細書において「配列番号〜」と共に示される核酸配列を部分的或いは完全に含み、特に、5’末端及び/又は3’末端に更なるヌクレオチドを含む核酸、即ち核酸配列;本発明のDRIP配列或いはBAC RP11 339H12或いはRP11 204D19から更なるヌクレオチドが補われた遺伝子の場合は、本明細書において「配列番号〜」と共に示される配列に加えて更なるヌクレオチドを含む核酸。前述のクローンの相対的な配置を図12に示す。
本発明の核酸の部分或いは断片そのものを本発明の核酸と称する及び/又は本発明の核酸として使用することも本発明の範囲内である。このことは特に、RNAi(siRNAとも称される)やリボザイム、アプタザイム(aptazyme)、アンチセンス分子に基づき医薬を製造或いは生成するための本発明の核酸の使用に適用される。このことは、本発明の核酸(特に配列プロトコルに記載された配列)と実質的に同一或いは相補的である前述の化合物群の構築原理の基礎となるものである。本発明の核酸と実質的に同一或いは相補的である領域の長さは、好ましくは15〜49、更に好ましくは15〜31、最も好ましくは21〜23個のヌクレオチドである。従って、本発明に係る核酸は、本発明に係る核酸の部分或いは断片でもあり、特に、配列プロトコルに記載された或いは含まれた、15〜49、好ましくは15〜30、最も好ましくは21〜23個のヌクレオチドを含む核酸でもある。このような配列、即ち核酸分子の開始点は、各核酸即ち核酸配列上の任意の位置であることができるが、好ましくは、配列の最末端に存在するヌクレオチドの数が十分であり、所望の長さ領域に必要とされるヌクレオチドが提供される位置である。
本明細書で用いられるように、サイズオーダーの範囲X〜Yは、長さX、Y及びこれらの間の全ての数の長さを示す。例えば、長さ領域が21〜23であるヌクレオチドは、長さが21、22及び23個のヌクレオチドを含む。
更に本発明の核酸は、本明細書に開示されるプライマーでもあり、特に、本明細書の配列に対して個別化(individualised)された、或いは個別化(individualised)できる別の断片でもある。
更に本発明の核酸は、ポリペプチドをコードする核酸を含み、このポリペプチドは本明細書において一以上の「配列番号〜」で示される配列(特に配列番号2、10、17及び/又は5〜8)を有する或いは含む。最後に、本発明の核酸は、本明細書に開示される一以上の本発明の核酸(特に、配列番号1、3、4、9、11〜16で示される核酸)の一以上のエクソン及び/又は一以上のイントロンを含むものでもある。
本発明のポリペプチド(本明細書においては短くポリペプチドとも称される)は、特に、一以上の本発明の核酸或いはそれらの断片の翻訳産物である。同時に、この翻訳産物は完全長のもの或いは短縮化されたものとして存在できる。一般に、これらの翻訳産物は本明細書においては、数に関わらず翻訳産物或いは本発明の翻訳産物と称される。翻訳産物、即ち本発明の趣旨においてはポリペプチドは、特に、細胞系の細胞外に存在するドメインのようなドメイン構造の部分に対応するポリペプチドの部分である。このことは、本発明に従い先の記述のように完全長のもの或いは短縮化されたものとして同様に用いることができる融合タンパク質に対しても適用される。
本発明の核酸、特に本発明のDRIPのための本発明の核酸は、従来技術において既に断片的には記述されているが、次の核酸配列によって特徴付け或いは表すことができる。2p21−22のゲノム配列、BAC RP11 339H12−(AC010883)から開始され、BAC RP11 183F15(AC092838)或いはBACRP11 1069E24を経由し、BACRpll 204D19(AC92615)の最後のbpで終了。これらの配列は、アクセス番号(GenBankデータバンクの受託番号)AC010883(RP11 339H12)、AC092838(RP11 183F15)、AC92615(Rpll204D 19)と共に公開されている。このゲノム配列の長さは506295塩基対である。
本明細書に開示される配列はヒト配列を含み、詳細を次に示す。
配列番号1 DRIP−FUS Ibスプライス変異体mRNAのmRNA
配列番号2 DRIP−FUS Ibスプライス変異体、コード配列(CDS)、ひいては第1の融合タンパク質のアミノ酸配列、ここでそのDRIP部分はエクソン1〜28を含む
配列番号3 FUS I要素が染色体3上に置かれているゲノム配列範囲
配列番号4 FUS II要素が染色体7上に置かれているゲノム配列範囲
配列番号5 DRIPのコード配列(CDS)、ひいてはアミノ酸配列、DRIPはエクソン1〜38を含む
配列番号6 コード配列(CDS)、ひいては第1の融合タンパク質FUS Iのアミノ酸配列、そのDRIP部分はエクソン1〜28を含む
配列番号7 コード配列(CDS)、ひいては第1の融合タンパク質(FUSIa)のスプライス変異体のアミノ酸配列、そのDRIP部分はエクソン1〜28を含む
配列番号8 コード配列(CDS)、ひいては第2の融合タンパク質(FUS II)のアミノ酸配列、そのDRIP部分はエクソン1〜28を含む
配列番号9 甲状腺腫瘍からのDRIP−FUS IIa融合遺伝子のスプライス変異体mRNA
配列番号10 DRIP−FUS IIaタンパク質のスプライス変異体のアミノ酸配列、配列番号1〜2及び6〜10で表されるDRIPに関しては、DRIP部分はエクソン1〜28を含み、配列番号5のDRIP部分はエクソン1〜38を含む。
更に、
配列番号11 エクソン1〜38を含むDRIP−mRNA配列をここに示す
配列番号12 エクソン1〜38を含むDRIPのゲノム配列
配列番号13 DRIP−FUS I遺伝子のmRNA配列、この配列はDRIP遺伝子のエクソン1〜28、また同様に染色体3p25範囲由来のFUS IのエクソンI、Ia、及びIIを含む
配列番号14 DRIP−FUSI遺伝子のスプライス変異体のmRNA配列、この配列はDRIP遺伝子のエクソン1〜28、また同様に染色体3p25範囲由来のFUS IのエクソンIIを含む
配列番号15 DRIP−FUSII遺伝子のFUSI遺伝子mRNA配列、この配列はDRIP遺伝子のエクソン1〜28と染色体7p 15範囲由来のFUS IIのエクソンAとを含む
配列番号16 DRIPスプライス変異体のFUSI遺伝子mRNA配列、この配列はDRIP遺伝子のエクソン1〜26、29〜38を含む
配列番号17 FUSI遺伝子DRIPスプライス変異体のFUSI遺伝子コード配列(CDS)、従ってFUSI遺伝子アミノ酸配列、DRIPはエクソン1〜26、29〜38を含む
本明細書に開示される一以上の本発明のポリペプチド、タンパク質、核酸、或いはこれらから導かれる化合物の使用は本発明の範囲に含まれ、特に、スクリ−ニング法の範囲内に含まれる本明細書に開示される小分子や結合ペプチド、抗体、アンチカリン、機能的核酸等の化合物の使用も本発明の範囲に含まれる。スクリ−ニング法においては、後者が個別に、組合わせて、或いは断片として用いられるが、上述の他の分子或いは化合物各々の場合についても基本的には開示される。
以下、本発明を図面、実施例、配列プロトコルに従い説明する。これにより、本発明の更なる特徴や各種実施形態、利点が明らかになるであろう。
配列プロトコルに記載の配列に加え、それらに関連するものとして次を開示する。
配列番号1
配列番号1は融合遺伝子DRIP−FUS Ib(スプライス変異体)を表す;t(2;20;3)(p21;ql 1.2;p25)を有する細胞系S325T/SV40において検出。
mRNA配列位置における次の各位置は、表に記載のエクソンに対応する。
配列番号3
配列番号3は染色体3p25のゲノム配列を表すが、これは配列番号13と14による核酸内のDRIP配列に隣接して含まれている。この場合、ゲノム配列は染色体3p25のエクソンI及びエクソンIIの両者を含み、エクソンIは配列番号3の81174番目〜81291番目のヌクレオチド位置までを占め、エクソンIIは配列番号3の85616番目〜85873番目のヌクレオチド位置を占める。ゲノム構造はBACクローンRP11−167M22から選ばれた。
配列番号4
配列番号4は、第2融合遺伝子の一部である染色体7p15のFUS IIエクソンAとA1のゲノム配列範囲を表す。ゲノム配列はBACクローンRP111−370L16から得られた。エクソンAは配列番号4によるゲノム配列の7686番目〜8949番目の位置に対応する。
配列番号5
配列番号5はDRIPのコード配列(CDS)、ひいては対応するペプチドを表し、DRIPはエクソン1〜38を含む。この配列は合計で1953個のアミノ酸を含む。
配列番号6
配列番号6はコード配列(cds)、ひいては第1の融合タンパク質DRIP−FUS Iのアミノ酸配列を表し、そのDRIP部分はエクソン1〜28を含む。この配列は合計で1387個のアミノ酸を含む。
配列番号7
配列番号7はコード配列(CDS)、ひいては第1の融合タンパク質のスプライス変異体のアミノ酸配列を表し、そのDRIP部分はエクソン1〜28を含む。この配列は合計で1353個のアミノ酸を含む。
配列番号8
配列番号8はコード配列(CDS)、ひいては第2の融合タンパク質のアミノ酸配列を表し、そのDRIP部分はエクソン1〜28を含む。この配列は合計で1353個のアミノ酸を含む。
配列番号9
配列番号9は融合遺伝子DRIP−FUS IIa(スプライス変異体)を表す;t(2;7)(p21;pl5)を有する細胞系S533T/SV40において検出。配列の長さは5580bpである。
エクソン(ここでは特徴)は次のように局在化している。
配列番号10
配列番号10はコード配列(CDS)、ひいては第2の融合タンパク質DRIP−FUSIIaのスプライス変異体のアミノ酸配列を表し、そのDRIP部分はエクソン1〜28を含む。この配列は合計で1366個のアミノ酸を含む。
配列番号11
配列番号11はエクソン1〜38を含むDRIPのmRNAを表す。mRNAの長さは6090bpである。オープンin−frame(ORF)は133番目から始まり5994番目の位置で終了する。mRNAの異なる場所でハイブリダイズする次のプライマーをmRNAの検出に用いることができる。
プライマー名 配列
DRIPVRU1 5'ATGGGAGAACCAAATCGTCATCCAAGCATG 3'
DRIPVRL2 5'TCAACATGCCGCTTCTGTTCTTGGAAGAGTTAA 3'
DRIPVRU3 5'TTTCCGGCAAAACCACATTCATGGGACACT 3'
DRIPVRL4 5'TACTGGGGCAGGCCTGGCACCTTGAAG 3'
DRIPVRU5 5'TGGCCGTCGTTGAAGTCCTCACCAGT 3'
DRIPVRL6 5'GCCAGCCGGACTTTGAGAGGAGACAGAAG 3'
DRIPVRU9 5'GCTTCAGGCAGCAGCAGCATTTCCA 3'
DRIPVRL10 5'ATTGGGATGAGGCCTTCAGGGGATGA 3'
DRIPVRL10 5'ATTGGGATGAGGCCTTCAGGGGATGA 3'
DRIPVU11 5'CCTGCCCCAGTACCTCCAGAGCCTCAC 3'
DRIPVL12 5'GAACTCCTTTGGGGTCAGATGGACACAGTG 3'
DRIPVU13 5'ACTGCATGGACCCTGGTGAGTGGCT 3'
DRIPVL14 5'GCATGTGGTGGGAAATGACTTTGGAAG 3'
DRIPVU15 5'CTCAGCACAAGCACCAAACCATACGACTGT 3'
DRIPVU16 5'AGAGTAAATCCAAACGTGAACCAGAGAATGAGT 3'
DRIPVRU17 5'GCCTGGGAGAAAATATTATTCCTTATGTTG 3'
DRIPVU18 5'GTCTGGGCAGTGCGAAATTCATCCAC 3'
DRIPVU19 5'AGACTCTACGCTTCCCCGATGGATGGT 3'
DRIPL20 5'CAGGCGCGTATCTCTGAACAATGCTCTAAG 3'
DRIPVL21 5'GAAGGGTGCTGTTTGGTTAACTCATTCTC 3'
DRIPVU22 5'GCGAATAGCTAGAGCTCATGGACATCT 3'
DRIPVU23 5'ATTTTTACCAAGGTTTTAAGCGATGATGA 3'
DRIPVL24 5'AGTGAGCCGGTGCATTTGGAGAAG 3'
DRIPVU25 5'CTCAGACGCCGACGTGCACGAGTGACTA 3'
DRIPVL26 5'ACGAGAAGTAAAACGGTGCATAGCCTCAGGT 3'
DRIPVU27 5'GGATATCTTAGCAGGCATTTATCTTTCTTTGAGTCT 3'
DRIPVL28 5'ATATTTTGCCATATGGGAGAATCGGAAGTC 3'
FOSTSWI14187 5'ATTTATGTTCAACATGTTTCCTGC 3'
RVSTSWI14187 5'TGCAGAATCGAGGCAGTTAA 3'
配列番号12
配列番号12は染色体2p21−22上のDRIP遺伝子のゲノム配列を表す。
エクソン1〜38を含むDRIPのゲノムDNAの長さは365186bpである。
次のエクソン位置をゲノムDNA内で特定することができる。
mRNAの異なる場所でハイブリダイズする次のプライマーをmRNAの検出に用いることができる。
プライマー名 配列
DRIPVRU1 5'ATGGGAGAACCAAATCGTCATCCAAGCATG 3'
DRIPVRL2 5'TCAACATGCCGCTTCTGTTCTTGGAAGAGTTAA 3'
DRIPVRU3 5'TTTCCGGCAAAACCACATTCATGGGACACT 3'
DRIPVRL4 5'TACTGGGGCAGGCCTGGCACCTTGAAG 3'
DRIPVRU5 5'TGGCCGTCGTTGAAGTCCTCACCAGT 3'
DRIPVRL6 5'GCCAGCCGGACTTTGAGAGGAGACAGAAG 3'
DRIPVRU7 5'CTGGCAAATTCCATGGTTCTGTCTTGAAGTGA 3'
DRIPVRL8 5'CAATGGAACCAGAACATGAAGCCAAGCAGTCT 3'
DRIPVRU9 5'GCTTCAGGCAGCAGCAGCATTTCCA 3'
DRIPVRL10 5'ATTGGGATGAGGCCTTCAGGGGATGA 3'
DRIPVU11 5'CCTGCCCCAGTACCTCCAGAGCCTCAC 3'
DRIPVL12 5'GAACTCCTTTGGGGTCAGATGGACACAGTG 3'
DRIPVU13 5'ACTGCATGGACCCTGGTGAGTGGCT 3'
DRIPVL14 5'GCATGTGGTGGGAAATGACTTTGGAAG 3'
DRIPVU15 5'CTCAGCACAAGCACCAAACCATACGACTGT 3'
DRIPVU16 5'AGAGTAAATCCAAACGTGAACCAGAGAATGAGT 3'
DRIPVRU17 5'GCCTGGGAGAAAATATTATTCCTTATGTTG 3'
DRIPVU18 5'GTCTGGGCAGTGCGAAATTCATCCAC 3'
DRIPVU19 5'AGACTCTACGCTTCCCCGATGGATGGT 3'
DRIPL20 5'CAGGCGCGTATCTCTGAACAATGCTCTAAG 3'
DRIPVL21 5'GAAGGGTGCTGTTTGGTTAACTCATTCTC 3'
DRIPVU22 5'GCGAATAGCTAGAGCTCATGGACATCT 3'
DRIPVU23 5'ATTTTTACCAAGGTTTTAAGCGATGATGA 3'
DRIPVL24 5'AGTGAGCCGGTGCATTTGGAGAAG 3'
DRIPVU25 5'CTCAGACGCCGACGTGCACGAGTGACTA 3'
DRIPVL26 5'ACGAGAAGTAAAACGGTGCATAGCCTCAGGT 3'
DRIPVU27 5'GGATATCTTAGCAGGCATTTATCTTTCTTTGAGTCT 3'
DRIPVL28 5'ATATTTTGCCATATGGGAGAATCGGAAGTC 3'
DRIPVU29 5'TAGCATCCTGGACTAATTCAGCCATACAAG 3'
DRIPVU30 5'GACGGTGGAGCAGGTAAAAGAAATAGG 3'
DRIPVL31 5'GCAGCTGGGGAGTGTGGACAAC 3'
DRTPVU32 5'TAATTCATCAGCATTGCCAAGTAAGGATAG 3'
DRIPVL33 5'GGACATCAAA.AGGAGCTTCTCTACCAC 3'
DRIPVU34 5'AGTGGAGAGCGGGAGACGAATG 3'
DRIPVL35 5'AAGAATAGGATGGGGGTTGGTGAG 3'
DRIPVU36 5'AGCCTAACGGACAGCCTGAATGGGA 3'
FOSTSWI14187 5'ATTTATGTTCAACATGTTTCCTGC 3'
RVSTSWI14187 5'TGCAGAATCGAGGCAGTTAA 3'
エクソン1〜38の配列は配列番号11から得ることができる。
配列番号13
配列番号13はDRIP−FUS I遺伝子のmRNA配列を含み、DRIP−FUS I遺伝子はDRIP遺伝子のエクソン1〜28と染色体3p25のエクソンI、Ia、及びIIを含む。
mRNAの全長は4558塩基である。mRNAのDRIPに由来する部分のエクソン1〜28の配置は、DRIP内でのエクソン1〜28の配置に対応し、配列番号11及び12にも示されている。染色体3p25のエクソンIは配列番号13による配列のヌクレオチド4191..4308を含み、染色体3p25のエクソンIIは配列番号13による配列のヌクレオチド4309..4566を含む。融合遺伝子DRIP−FUS Iは、t(2;20;3)(p21;qll.2;p25)を有する細胞系S325T/SV40において検出された。次のプライマーが配列番号13による核酸の検出に用いられた。
プライマー 配列
DRIPVRU1 5'ATGGGAGAACCAAATCGTCATCCAAGCATG 3'
DRIPVRU9 5'GCTTCAGGCAGCAGCAGCATTTCCA 3'
DRIPVRL10 5'ATTGGGATGAGGCCTTCAGGGGATGA 3'
DRIPVU15 5'CTCAGCACAAGCACCAAACCATACGACTGT 3'
DRIPVU16 5'AGAGTAAATCCAAACGTGAACCAGAGAATGAGT 3'
DRIPVRU17 5'GCCTGGGAGAAAATATTATTCCTTATGTTG 3'
DRIPVU18 5'GTCTGGGCAGTGCGAAATTCATCCAC 3'
DRIPVU19 5'AGACTCTACGCTTCCCCGATGGATGGT 3'
DRIPL20 5'CAGGCGCGTATCTCTGAACAATGCTCTAAG 3'
DRIPVL21 5'GAAGGGTGCTGTTTGGTTAACTCATTCTC 3'
DRIPVU22 5'GCGAATAGCTAGAGCTCATGGACATCT 3'
DRIPVU23 5'ATTTTTACCAAGGTTTTAAGCGATGATGA 3'
DRIPVL24 5'AGTGAGCCGGTGCATTTGGAGAAG 3'
DRIPVU25 5'CTCAGACGCCGACGTGCACGAGTGACTA 3'
DRIPVL26 5'ACGAGAAGTAAAACGGTGCATAGCCTCAGGT 3'
DRIPVU27 5'GGATATCTTAGCAGGCATTTATCTTTCTTTGAGTCT 3'
DRIPVL28 5'ATATTTTGCCATATGGGAGAATCGGAAGTC 3'

FUSVL01 5'TGCTTTGGGAGCCAGGTCACTGAGTTACTAC
FUSVL02 5'ACTGCTTTGGGAGCCAGGTCACTGAGT
FUSVL03 5'TCCAGGGAAATTCACTGCTTTGGGAGCCA
配列番号14
配列番号14はDRIP−FUSI遺伝子のスプライス変異体のmRNA配列を示し、t(2;20;3)(p21;qll.2;p25)を有する細胞系S325T/SV40において検出された。この配列は、染色体3p25のmRNA配列の4191番目〜4448番目の位置と共にDRIP遺伝子のエクソン1〜28とエクソンIIとを含む。このスプライス変異体は、配列番号13に関して記載したものと同一の細胞系から得られた。この場合、mRNAの長さは4448塩基である。配列番号13及び14による部分の核酸のゲノム配列は、DRIPによって各融合遺伝子に与えられたものであり、配列番号12に対して開示された範囲に対応する。
配列番号15
配列番号15は第2の融合遺伝子(本明細書においてはDRIP−FUS IIとも表示される)のmRNA配列を示し、まずDRIP遺伝子エクソン1〜28を含み、次いで#7pl5のエクソンAを含む。mRNAの長さは5454塩基であり、最初の4190塩基はDRIPのmRNAの最初の塩基に対応し、塩基4191〜5454は#7pl5のエクソンAに対応する。配列番号13に関して記載されたように、対応するプライマーはDRIP遺伝子のエクソン1〜28の検出のために好適である。次のプライマーを、次の配列番号16のヌクレオチド位置において#7p15に属する配列部分の検出のために用いることができる。
プライマー名 配列
FUSIIL01 5'GGTAGCGGGAGCAATCACAAAACTGTAA
FUSIIL02 5'CTCTTCTTTTGATAGGACAGCCCTTGTTCTGA
FUSIIL03 5'GACCGCTTCTTGCAGAGGCTGAGAGTC
配列番号16
配列番号16はDRIPスプライス変異体のmRNA配列を示す。オープンin−frame(ORF)は133番目の位置から開始され、5772番目の位置で終了する。
後に記載される「図面の簡単な説明」を補うものとして、次に各々の図面に関して説明する。
図1は、染色体7(より正確には#7pl5)におけるブレ−クポイント領域のゲノム位置の概略図である。このブレ−クポイントは、染色体7に由来する融合転写DRIP−FUS IIの該当部分を提供するために重要である。この結果は細胞系S533/TSV40において決定された。このブレ−クポイント領域の長さはテロメアによっては規定されない。DRIP−FUS II内のエクソンAは、BACクローンRP 11−379L16(AC 079780)から得ることができる。エクソンA及びA1は、図1a)に、BACクローンに対して拡大したスケールで示されている。
図2は、染色体3(より正確には#3p25)におけるブレ−クポイント領域のゲノム位置の概略図である。このブレ−クポイントは染色体3に由来する融合転写DRIP−FUS Iの該当部分を提供するために重要である。この結果は細胞系S325T/SV40において決定された。このブレ−クポイント領域の長さはテロメアによっては規定されない。融合転写DRIP−FUS Iに含まれる染色体3のエクソン1、Ia、及びIIは、BACクローンRP 11−167M22(AC093174)及びRP11−335I19(AC091492)から得ることができる。エクソンI、Ia、及びIIは、図2a)にBACクローンに対して拡大したスケールで示されている。
図3は、融合転写DRIP−FUS Iを有する細胞系S325T/SV40におけるder(2)上のブレ−クポイント領域のゲノム位置の概略図である。図3a)はder(2)上の染色体セクションの説明を示し、また同時に図3b)はDRIP−FUS Iのゲノム構造を示すが、ここでエクソンI(Ex I)、エクソンIa、及びエクソンII(Ex II)は3’末端にあり、拡大スケールで表されている。図3c)に示すように、エクソンI(#3p25)とエクソン28(#2p21)との間に位置するブレ−クポイントのサイズは規定されておらず、従ってBACクローンに隣接する長さの詳細は得られない。BACクローンはBACライブラリーRP11から得られ、識別番号と遺伝子バンクアクセス番号によって識別される。
図4は、融合転写DRIP−FUS IIを有する細胞系S533T/SV40におけるder(2)上のブレ−クポイント領域のゲノム位置の概略図である。図2a)はder(2)上の染色体セクションの説明を示し、また同時に図2b)はDRIP−FUS IIのゲノム構造を示すが、ここでエクソンA(Ex A)、及びエクソンAI(ExA1)は3’末端にあり、拡大スケールで表されている。図4c)に示すように、エクソンA(#7p15)或いはエクソンAIとエクソン28(#2p21)との間に位置するブレ−クポイントのサイズは規定されておらず、従ってBACクローンに隣接する長さの詳細は得られない。BACクローンはBACライブラリーRP11から得られ、識別番号と遺伝子バンクアクセス番号によって識別される。
図5に、標準的な方法で産生された、転座t(2;7)(p21;pl5)を有する原発性腫瘍S533のカリオグラムを示す。転座は矢印で特徴付けられている。
図6に、標準的な方法によって初代培養S533から産生された細胞系S533/TSV40のカリオグラムを示す。原発性腫瘍において確認された転座は、原発性腫瘍から樹立された細胞系においてもそのまま残っていることが分かる。
図8に、細胞系S533/TSV40における、融合転写DRIP−FUS IIを導くブレークポイントの検出の結果を示す。更に、この場合、細胞系S533/TSV40に対してBACクローンRP 11−339H12とRP 11−204 D19を用いた所謂2重FISHが行われる。結果を右図に示す。同時に、染色体のバンドパターンのGTG染色も行った。両図においてブレークポイントを矢印で示すように、2重FISHの結果はGTG染色の結果と一致する。
図9に細胞系S325/TSV40のカリオグラムとFISH結果を示す。カリオグラムは当業者には知られた標準的な方法によって作成され、FISHは標準的なプロセスによって行った。図9a)に、ギムザ染色核型の一部と甲状腺腺腫細胞系S325/TSV40の適切なイデオグラムを示す。この細胞系は、転座t(2;20;3)(p21;q11.2;p25)を示す。各々の場合について、正常な状態を左に示し、誘導された染色体2、20、及び3をその右に示す。図9b)は、ギムザ染色後の転座t(2;20;3)(p21;q11.2;p25)を有する細胞系S325/TSV40のメタフェーズを示す。染色体2、der(2)、及びder(20)を矢印で示す。図9c)は、BAC 1069E24とのFISHによる、同一のメタフェーズを示し、ハイブリダイゼーションシグナルは染色体2、der(2)及びder(20)に存在し、矢印で示されている。
図10はRT−PCRの結果を示す。ここで第1の融合タンパク質DRIP−FUS Iの融合転写は細胞系S325から得られ、第2の融合タンパク質DRIP−FUS IIの融合転写は細胞系S533から得られた。矢印は各転写の位置を示し、DRIP−FUS 1の場合は3種のスプライス変異体が得られ、DRIP−FUS IIの場合は2種のスプライス変異体が得られた。Mの印を付けたトレースは参照トレースであり、各種長さの標準試料を含む。
図11は、DRIP−特異的プローブを用いたノーザンブロット分析の結果を示す。図に記された各種組織から採取されたRNAを表面に塗布し、DRIP−特異的プローブと共にハイブリダイズした。プローブは880pbの長さを有し、DRIP遺伝子のエクソン25〜32に由来する。用いられたプローブはプライマーDRIPVRU17/VRL4に対応した。
図12は、2p21−22に変化を有する各種良性甲状腺腫瘍及び過形成のブレ−クポイントクラスターに対するDRIPのゲノム位置を示す。DRIPのゲノム配置は、次のオーバーラッピングBACクローン、339H12(AC 010883)、183F15(AC 092838)、1069E24(AQ694385;AQ 703756)、及び204D19(AC 092615)によって表すことができる。細胞系S325/TSV40及びS533/TSV40(本明細書においてはS533とも表示される)の転座ブレークがイントロン28で起こっている。この領域におけるブレークは、融合タンパク質DRIP−FUS I及びDRIP−FUS IIの両者に生じている。
図13は、DRIP−mRNAの概略図である。このDRIP−mRNAは合計6090bp(全38エクソンを含む)を含み、そこから生じるオープンin−frame(ORF)は5862bpの長さを有する。ORFは、エクソン2で開始され、3’末端方向にDRIP遺伝子のエクソン38まで伸長している。
また、エクソン27と28が除去された、DRIP遺伝子のスプライス変異体も図13に示す。またこのDRIP遺伝子の変異体は本発明の核酸に相当し、或いはそれによりコードされるペプチドは本発明のペプチドに相当する。このスプライス変異体のORFは合計で5640bpを含み、同様にエクソン2で開始されエクソン38まで伸長している。
図14は、融合転写DRIP−FUS Iの3種の形の概略図である。第1の形は、DRIP遺伝子のエクソン1〜28と、染色体3のバンド25(本明細書においては#3p25、或いは染色体3p25とも表示される)のエクソンI及びIIとを含む。この形の長さは4566bpである。
ORFはエクソン2で開始され、#3p25のエクソンIまで伸長している。ORF自身は、1388個のアミノ酸ラジカルにより合計4164bpで形成される。
第1の融合転写DRIP−FUS IIの第2の形は、DRIP遺伝子のエクソン1〜28を同様に含むが、#3p25のエクソンIIのみを含む。この形の長さは4448bpであり、ORFは同様にエクソン2で開始され、エクソンIIまで伸長している。このORFは、1354個のアミノ酸ラジカルによる4062bpの長さを有する。
第3の形は、DRIP遺伝子のエクソン1〜28と、染色体3のバンド25(本明細書においては3p25、或いは染色体3p25とも表示される)のエクソンI、Ia、及びIIとを含む。
この形の長さは4731bpである。ORFはエクソン2で開始され、#3p25のエクソンIまで伸長している。ORF自身は、1388個のアミノ酸ラジカルにより合計4164bpで形成される。
図15は、細胞系S533/TSV40に見出される第2の融合遺伝子DRIP−FUS IIの概略図である。第1の融合遺伝子転写DRIP−FUS IIは全体が5454bpを含み、DRIP遺伝子のエクソン1〜28と、融合転写の3’末端にある染色体7のバンドp15のエクソンAとにより形成される。ORFはエクソン2で開始され、エクソンA内の一部にまで伸長している。ORFは1354個のアミノ酸ラジカルによる合計で4062bpを含む。
スプライス変異体DRIP−FUS IIaは全体が5580bpを含み、DRIP遺伝子のエクソン1〜28と、融合転写の3’末端にある染色体7のバンドp15のエクソンAI及びAとにより形成される。ORFはエクソン2で開始され、エクソンA1内の一部にまで伸長している。ORFは1367個のアミノ酸ラジカルによる合計で4101bpを含む。
特段の明記のない限り、本明細書に記載の配列はヒト配列であり、単離された配列であるのが好ましく、単離されたヒト配列であるのが好ましい。
本明細書に開示された配列は配列プロトコルにおいて再現されたものであって、その記述の重要な部分である。
本発明を実施例により以下、詳細に説明する。これにより、本発明の更なる特徴や各種実施形態、利点が図面や配列プロトコルから明らかになるであろう。
実施例1:
2p21−異常を伴う甲状腺腺腫の分子遺伝学的検討
染色体領域2p21に関連した構造的異常は、良性甲状腺腫瘍の場合、細胞遺伝学的サブグループの特徴を示す。このブレ−クポイントを特定するために、2p21転座を有する良性甲状腺腫瘍から2種の細胞系を樹立した。FISHによる検討のため、これらの細胞系及び別の原発性腫瘍に対して18種のBACクローンを加えた。ブレ−クポイントは全て、約450kbの領域内にあることがわかった。
樹立した細胞系のブレ−クポイント領域と原発性腫瘍のブレ−クポイント領域とが一致することにより、この細胞系から得られるデータを各種原発性腫瘍にも当てはめうるかどうかが確認される。
材料及び方法
手術後、腫瘍組織片を2%抗生物質(200IU/mLペニシリン、200μg/mLストレプトマイシン)を含む滅菌Hank’s溶液中に固定せずに置いた。この腫瘍組織を機械的に細分化し、3〜4時間0.35%コラゲナーゼ(ゼルバ(Serva)、ドイツ国ハイデルベルグ)に組織を曝露して処理し、細胞を培養した。細胞を酵素溶液に添加し、この細胞浮遊液を遠心分離し、この細胞ペレットを20%ウシ胎仔血清及び2%抗生物質(20%ウシ胎仔血清及び2%抗生物質を含むアール塩を含むTC199、200IU/mLペニシリン、200μg/mLストレプトマイシン)を含む培地で培養した。「甲状腺の多形成腺腫」(pleomorphic adenoma of the thyroid gland)(ブラーディック(Bullerdiek)ら、1987)に記載の一方法により染色体調製を行った。核型はISCN(1995)に基づき記載した。
細胞系の樹立は、SV40プラスミド(SV40「初期領域」)によるトランスフェクションにより行った(カツミエルチャク(Kazmierczak)ら、1990;ベルグ(Belge)ら、1992)。FISHによる検討には、2細胞系及び原発性腫瘍を用いた。原発性腫瘍の内の一種の核型は既に公開されている(ボル(Bol)ら、1999)。この実験に用いた腫瘍は全て、2p21にクローン性の異常があるという特徴を有している。
ゲノムリサーチリソースセンター(the Resource Centre for Genome Research)(ドイツ国ベルリン)のRPCI−11ライブラリーから単離した18種のBACクローンを用いてブレークポイントのクローニングを行った。この単離にはキアゲンプラスミドミディキット(QIAGEN Plasmid Midi kit、キアゲン社(QIAGEN)、ドイツ国ヒルデン)を用いた。
蛍光in situハイブリダイゼーション(FISH)はメタフェーズにおいて行ったが、GTG染色体を特定するため事前に結合させておいた。メタフェーズの分離及びFISHは、ワンシューラ(Wanschura)ら(1995)によって修正されたキービッツ(Kievits)ら(1990)のプロトコルに従い行った。
BAC−DNAは、ニックトランスレーション(ギブコBRL(Gibco BRL)、ライフ・テクノロジーズ社(Life Technologies GmbH)、ドイツ国エッゲンシュタイン)によりビオチン−14−dUTP及びジゴキシゲニン−14−dUTPで標識した。各BACに対して、各細胞系及び原発性腫瘍の約10のメタフェーズを分析した。DAPI又はヨウ化プロピジウムによるカウンター染色を行った後、FITCフィルター(ツァイス(Zeiss)、ドイツ国オーバーコヒェム)を備えたツァイス・アクシオフォト(Zeiss Axiophot)蛍光顕微鏡により染色体を分析した。
結果は、パワージーン・カリオタイピング・システム(PowerGene Karyotyping System)(PSI、英国ハラダール)により記録した。
結果
まず、樹立した細胞系両方を蛍光in situハイブリダイゼーションにより検討した。FISHの分析には、染色体バンド2p21にある18種のBACクローンを用いた。各BACについて、10種のGTG結合メタフェーズを分析した。両細胞系のブレークポイント領域をBACクローン339H12と1069E24間で狭めた後、これら細胞系の内の一の原発性腫瘍及び別の原発性腫瘍を試験した。FISHの分析結果から、実験した細胞系及び原発性腫瘍のブレークポイントはBACクローン339H12と1069E24の間にあることが分かる。
検討
これまでの文献には、450の甲状腺過形成及び腺腫の細胞遺伝学的検討が報告されている。これら病変の約20%が染色体変化を示しており、これらは種々のサブグループに分けられる。19q13の変化は、構造的な染色体異常を伴う最大のサブグループを構成する(ベルグ(Belge)ら、1998)。染色体2のクローン性の異常も同様に頻繁に発見された。
このグループでは、異常は染色体バンドp21において最も頻繁に見られた(ボル(Bol)ら、1999)。
染色体バンド2p21においてクローン性変化が頻繁であることから、このタイプの異常は、良性甲状腺腫瘍において独自の細胞遺伝学的サブグループを形成することが分かる。この異常の分子遺伝学的背景についてはこれまで知られていない。ブレークポイントを特定するため、良性甲状腺腫瘍から2p21転座を伴う2細胞系を樹立し、これらの細胞系と2原発性腫瘍とを、染色体バンド2p21からのBACクローンと共にFISHでの検討に用いた。FISHの分析結果から、実験した腫瘍のブレ−クポイントはBACクローン339H12と1069E24の間に存在することが分かった。
このS533T/SV40の細胞系においては、誘導染色体に関するシグナルは2種のBACのいずれにおいても検出されなかった。これはおそらく、この染色体セグメントにおける欠失が起っていたため、或いは両BACクローンの配列の重なりが非常に短く、検出可能なシグナルが十分に得られなかったためであろう。
BACクローン339H12の長さは215532bpであり、BAC1069E24の長さは、完全な配列ではなかったため推定ではあるが、制限分析により約270kbと推定される。
両BACクローンの重複配列は約45728bpであることが分かっているため、ブレ−クポイント領域の最大サイズは約450kbであると推定される。
文献
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Kievits T, Dauwerse JG, Wiegant J, Devilee P, Breuning MH, Cornelisse C. J., van Ommen GJB, Pearson PL:「非放射性in situハイブリダイゼーションによるコスミドの急速なサブ染色体局在化」(Rapid subchromosomal localization of cosmids by nonradioactive in situ hybridization.)Cytogenet. Cell Genet. 53:134-136 (1990)。
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実施例2:
各種原発性甲状腺腫瘍及び各種細胞系におけるDRIP及びDRIPをコードする核酸の検出
本実施例においては、次に説明するプライマーやRNA単離に関するプロセスを用いて、各種原発性甲状腺腫瘍及び各種細胞系におけるmRNAの発現をPCRにより確認し、これにより、データバンク配列の比較により見出されたイントロン/エクソンの境界を調べた。得られた配列の配列決定を行うことにより、驚くべきことに、各種融合遺伝子やそのスプライス変異体が見出された。これにより、対応する染色体転座の存在が判明した。
標準PCR条件(20μL調製)
鋳型/マトリクス: cDNA(2μL)又はゲノムDNA(1μL)又はBAC−DNA(1ng)

10×PCRバッファー(−Mg)(ギブコBRL/インビトロジェン社(Invitrogen)):2μL
プライマー(up/low):1μL(液量10μmol)
dNTP’s:1μL
MgC12+(ギブコBRL/インビトロジェン社):0.6μL
taqポリメラーゼ(5U/μL)(ギブコBRL/インビトロジェン社):0.25μL
二回蒸留水:12.15μL添加(cDNAの場合)又は13.15μL添加(ゲノムDNAの場合)
サイクル:35回
用いた細胞系

MCF−7(ヒト乳腺癌)
No:DSM ACC 115
DSMZ(Deutsche Sammlung von Mikroorganismen and Zellkulturen GmbH)[ドイツ微生物培養細胞保存有限会社(German Collection of Microorganisms and Cell Cultures GmbH)]
HELA(ヒト子宮頚癌)
No:DSM ACC 57
DSMZ(Deutsche Sammlung von Mikroorganismen and Zellkulturen GmbH)

WRO
BAC 339H12
BAC 204D19
RNA単離のためのプロトコル
トリゾール処理(フード!;閉塞したピペット先端!)
I.細胞溶解
細胞培養瓶(Impfbank)から完全に培地を吸引する;フードをエタノール(70%)でを拭き取る;1.5mLの容器を準備する(滅菌容器、オートクレーブではない);細胞培養瓶に直接トリゾールを1mL添加する;上下にピペッティング操作を行い、細胞を浮遊させる;細胞浮遊液をピペットにて容器に移す;−80℃で細胞を保存する;使用済ピペットチップはオートクレーブ廃棄に処す;細胞培養瓶をフード下で風乾させる。
II.相分離
水浴を30℃に予熱する;遠心分離機を4℃に冷却する;細胞浮遊液を溶解し(次いで)室温で5分間インキュベートする;1mLのトリゾールに対しクロロホルムを200μL添加する;浮遊液を強く振とうする;水浴中30℃で2〜3分間インキュベートする;12000×g、4℃で15分間遠心する。
III.RNA沈殿
上層(RNA!)を滅菌した新しい1.5mL容器にピペットで移す;イソ−アミルアルコール(イソプロパノール)を500μL添加する;注意深く撹拌する;30℃の水浴で10分間インキュベートする;12000×g、4℃で10分間遠心する;次いで直ちにピペットで上清を取り除く;フェノールを廃棄する(!)
IV.RNAの洗浄
ペレットにエタノール(75%)を1mL添加し、簡単にボルテックスにかける;7500×g、4℃で5分間遠心する;次いで直ちピペットでに上清を取り除く;フェノールを廃棄する(!);フード下でペレットを室温で10分以上風乾する;水浴を55℃(又は60℃)にセットする。
V.RNAの溶解
ペレットのサイズによって、滅菌dH0(滅菌)を30〜50μL添加する;55℃、10分間水浴でインキュベーションする;次いで直ちにサンプルを氷上に置く;−80℃で保存する(又は濃度を測定する)。
VI.濃度測定
プラスチックキュベットに滅菌dH0(60μL)を添加する;ブランク値を測定する;RNAを1μL加え混合する;濃度を測定する(260/280nm+quotient);RNAを−80℃で保存する。
FISH
FISHの実施方法については、キービッツら等により記載されている(キービッツT(Kievits T)、ドウワースJ.G.(Dauwerse J.G.)、ヴィガンJ.(Wiegant J.)、デウィリーP.(Devilee P.)、ブラウニングM.H.(Breuning M.H.)、コルネリゼC.J.(Cornelisse C.J.)、ファン・オメンG.J.B.(van Ommen G.J.B.)、ピアソンP.L.(Pearson P.L.):「非放射性in situハイブリダイゼーションによるコスミドの迅速なサブ染色体位置特定(Rapid subchromosomal localization of cosmids by nonradioactive in situ hybridization.)」Cytogenet Cell Genet.53:134−136(1990))。
DRIP−FUS2遺伝子の検出のためのS533/TSV40の3’−RACE−RT−PCR条件
鋳型名:APプライマー(ポリT+UAP−2部分配列)を用いた逆転写酵素反応後S533T/SV40細胞系の細胞の全RNAを精製して得られるcDNA
プローブ作成のためのPCR条件(DRIP−FUS2)
鋳型の説明:EIL3500(cDNAクローン;DRIPVU16/DRIPVRL2を用いたPCRから)
産物の長さ:201bp
PCR精製キット(キアゲン社)を用いたプローブDNAの精製

DRIP−FUS1遺伝子検出のためのS325/TSV40の3’−RACE−RT−PCR条件
鋳型の説明:S325T/SV40(cDNA)

上流プライマー及び下流プライマーのタイプ並びに反応調製物は、S533/TSV40の3’−RACE−RT−PCRと同じ
プローブ作成のためのPCR条件(DRIP−FUS1)
鋳型の説明:EIL3500(cDNAクローン;DRIPVU16/DRIPVRL2を用いたPCRから)
産物の長さ: 201bp
非放射性ハイブリダイゼーション用(サザンブロッティング)のプロトコル
(RACE−PCR DRIP−FUS1及びDRIP−FUS2)

I.
2×SSC内で5分間
脱プリン化(depurining)緩衝液で2×10分間
変性緩衝液で2×15分間
中和緩衝液で3×10分間
20×SSCで5分間
II.
真空ポンプを少なくともブロッティング15分前に起動(暖気運転)
ワットマンフィルターとHybond−Nメンブレン(アマシャムファルマシアバイオテック社(Amersham Pharmacia Biotech))とを切り取る(ゲルより幾分大きく)
ブロッティング装置を組み立てる(モデル785真空ブロッター;バイオラッド社(Biorad))
真空を引く(5インチ/mmHg)
ゲルが吸引されたら直ちに、20×SSCをゆっくりと注ぐ
(ゲルのサイズ/密度により)1〜2時間ブロッティングする

10分毎にゲルを20×SSCで覆う
ブロット後:メンブレン上のゲルのポケットに鉛筆で印を付ける
メンブレン上にDNAを固定:Fluo−Link(バイオメトラ社(Biometra))でUVクロスリンク(設定0.4=40秒)
III.ハイブリダイゼーション
水浴中60℃で発現ハイブリダイジング溶液(クロンテック社(Clontech))を予熱
ハイブリダイジングオーブンを60℃に予熱
ガーゼ上にメンブレンを載せ、底部から巻き上げ、ハイブリダイジングボトル内に置く
5mLのExp−Hyb−溶液を添加
ハイブリダイジングオーブン内で60℃、30分間プレハイブリダイズ
20分後にプローブを変性:95℃、10分間(PCRブロック(バイオメトラ社)中)、終了後直ちにプローブを氷上に置く!
ザルスタット(Sarstedt)チューブにピペッティング:Exp−Hyb溶液5mL+プローブ2μL(80ng/μL)をボルテックスに付す
Exp−Hyb溶液+プローブをハイブリダイジングボトル中のメンブレンに置く
ハイブリダイジングオーブン内60℃で一夜ハイブリダイズする
IV.メンブレン洗浄
調製:1)0.1×SSC/0.1%SDSをハイブリダイジングオーブンで60℃に予熱、2)緩衝液1 90mL+10%ブロッキング試薬10mLを混合して緩衝液1/1%ブロッキング試薬を作成、ザルスタットチューブ(ポイント27用)に10mLをピペッティング
次の溶液を用い、メンブレンを攪拌器にx分間付す:
2×SSC/0.1%SDSに室温で2×15分間
0.1×SSC/0.1%SDS(予熱済)で2×15分間
緩衝液1/0.3%Tween−20で5分間
緩衝液1/1%ブロッキング試薬で30分間
10mLの緩衝液1/1%ブロッキング試薬+1μLの抗dig−AP、FABフラグメント(150U/200μL;エンゾ(Enzo))で30分間
緩衝液1/0.3%Tween−20で2×15分間
緩衝液3で5分間
V.検出
次の各成分を一緒に1.5mL容器にピペッティング
ミドルメンブレン:緩衝液3 1.5mL+CPD−Star 15μL(25mM;セルマークダイアグノースティクス社(Cellmark Diagnostics))
メンブレンをフィルムに載せ、3辺を接合
溶液をメンブレンに直接添加(DNA側)
気泡を抜いてフィルムを接合し、DNA側を上にしてオートラジオグラフィーカセットに載せる
写真ラボラトリーで赤色光の下、更なる処理を行う!
メンブレンにHyperfilm−ECL(アマシャムファルマシアバイオテック社)を載せ、角をに印を付け、フィルムにメンブレンのポケットの印を付ける
10分間感光する
フィルムが濃くなるまでフィルムを現像浴中に放置する
フィルムを10分間定着浴中に放置する
水+氷酢酸でフィルムを10分間洗浄
乾燥キャビネットでフィルムを乾燥
サザンブロット用緩衝液

脱プリン化緩衝液
0.25M HCl[20mL HCl(37%)]
2回蒸留水添加 >1000mL
変性緩衝液(2000mL)
0.5 NaOH[40g NaOH(Mw:40g/mol)]
1.5M NaCl[175.32g NaCl(Mw:58.44g/mol)]
2回蒸留水添加 >2000mL
pH7.4
中和緩衝液(2000mL)
1.5M NaCl[175.32g NaCl(Mw:58.44g/mol)]
0.5M Tris−HCl[157.6g Tris−HCl(Mw:157.6g/mol)]
pH7.4
20×SSC (2000mL)
3M NaCl[350.64g NaCl(Mw:58.44g/mol)]
0.3M クエン酸ナトリウム(Na)[176.46g クエン酸Na(Mw:294.1g/mol)]
2回蒸留水添加 >2000mL
pH7.0
緩衝液1(2000mL)
0.1M マレイン酸[23.2g マレイン酸(Mw:116.07g/mol)]
0.15M NaCl[17.4g NaCl(Mw:58.44g/mol)]
15.8g NaOH[(Mw:40g/mol)]
2回蒸留水添加 >2000mL
pH7.5
2×SSC/0.1% SDS(1000mL)
100mL 20×SSC
5mL 20% SDS
2回蒸留水添加 >1000mL
0.1×SSC/0.1% SDS(1000 mL)
5mL 20×SSC
5mL 20% SDS
2回蒸留水添加 >1000mL
洗浄緩衝液(1000mL)
緩衝液1[997mL 緩衝液1]
0.3% Tween20[3mL Tween20]
ブロッキングストック溶液(250mL)
10%(W/V)ブロッキング試薬[25g ブロッキング試薬]
緩衝液1に[緩衝液1添加 >250mL]
緩衝液3(1000mL)
0.1M Tris−HCl[15.76g Tris−HCl(Mw:157.6g/mol)]
0.1M NaCl[5.84g NaCl(Mw:58.44g/mol)]
2回蒸留水添加 >1000mL
pH9.5
0.4M NaOH(1000mL)
16g NaOH[(Mw:40g/mol)]
2回蒸留水添加 >1000mL
ストリップ緩衝液(1000mL)
0.1×SSC[5mL 20×SSC]
0.1% SDS[5mL 20% SDS]
0.2M Tris−HCl[31.52g Tris−HCl(Mw:157.6g/mol)]
2回蒸留水添加 >1000mL
PCR検出

DRIP−又はDRIP−FUS PCR結果
PCR条件の詳細
鋳型の説明:DIL3500(cDNAクローン;DRIPVU16/DRIPVRL2を用いたPCRから)
産物の長さ:880bp
標準PCR混合物
次の結果が得られた:880bpに主要なバンド;〜650bpに弱いバンド;エクソン14及びエクソン15を有するクローンとエクソン14及びエクソン15を有しないクローン(スプライス変異体)との異種クローン混合物
PCR条件
鋳型の説明:MCF−7(cDNA)
産物の長さ:130bp
標準PCR混合物
PCR条件
鋳型の説明:BAC204D19(ゲノムDNA)
産物の長さ:505bp
標準PCR混合物
PCR条件
鋳型の説明:HeLa(cDNA)
産物の長さ:505bp
標準PCR混合物
PCR条件
鋳型の詳細:BAC204D19(ゲノムDNA)
産物の長さ:479bp
標準PCR混合物
PCR条件
鋳型の詳細:DIL3500(cDNAクローン;DRIPVU16/DRIPVRL2を用いたPCRから)
産物の長さ: 201bp
標準PCR混合物
PCR条件
鋳型の説明:MCF 7(cDNA)
産物の長さ:201bp
標準PCR混合物
PCR条件
鋳型の詳細:S325T/SV40(cDNA)
産物の長さ:201bp
標準PCR混合物
PCR条件
鋳型の説明:S533T/SV40(cDNA)
産物の長さ:201bp
標準PCR混合物
PCR条件
鋳型の詳細:BAC 339H12(ゲノムDNA)
産物の長さ:981bp
標準PCR混合物
PCR条件
鋳型の詳細:DIL3500(cDNAクローン;DRIPVU16/DRIPVRL2を用いたPCRから)
産物の長さ:370bp
標準PCR混合物
PCR条件
鋳型の詳細:WRO(cDNA)
産物の長さ:1049bp
標準PCR混合物
PCR条件
鋳型の詳細:MCF−7(cDNA)
産物の長さ:162bp
標準PCR混合物
PCR条件
鋳型の詳細:DIL3500(cDNAクローン;DRIPVU16/DRIPVRL2を用いたPCRから)
産物の長さ:820bp
標準PCR混合物
PCR条件
鋳型の詳細:WRO(cDNA)
産物の長さ:〜3.5kbp
注:増幅は次の2種のPCRを順次行った
標準PCR混合物
標準PCR混合物
PCR条件
鋳型の説明:DIL3500(cDNAクローン;DRIPVU16/DRIPVRL2を用いたPCR)
産物の長さ:560bp
標準PCR混合物
PCR条件
鋳型の詳細:S533T/SV40(cDNA)
産物の長さ:699bp
標準PCR混合物
PCR条件 FUS II融合転写
鋳型の詳細:S533T/SV40(cDNA)
産物の長さ:1142bp
DRIP−FUS I融合転写のためのPCR条件
鋳型の説明:S325T/SV40(cDNA)
PCR条件
鋳型の詳細:S325T/SV40(cDNA)
産物の長さ:165bp(エクソンIを有しない);283bp(エクソンIを含む)
PCR条件
鋳型の詳細:BAC 339H12(ゲノムDNA)
産物の長さ:130bp
標準PCR混合物
PCR条件
鋳型の詳細:HeLa(cDNA)
産物の長さ:130bp
標準PCR混合物
PCR条件
鋳型の説明:WRO(cDNA)
産物の長さ:764bp
標準PCR混合物
上の説明、配列プロトコル及び請求の範囲に開示した本発明の各様相、その各実施形態、及び本発明の各特徴は、個別にも組み合わせても、本発明の各種実施形態において本発明を実現するために重要である。請求の範囲に開示した内容をここに援用する。
染色体7p15上のブレークポイント領域のゲノム位置の概略図である。 染色体3p25上のブレークポイント領域のゲノム位置の概略図である。 融合転写DRIP−FUS Iを有する細胞系S325T/SV40内のder(2)上のブレークポイント領域のゲノム位置の概略図である。 融合転写DRIP−FUS IIを有する細胞系S533T/SV40内のder(2)上のブレークポイント領域のゲノム位置の概略図である。 転座t(2;7)(p21;p15)を有する原発性腫瘍S533のカリオグラムである。 初代培養S533から産生された細胞系S533T/SV40のカリオグラムである。 Gバンド法後の、t(2;3;20)(p21;q11.2;p25)を有する細胞系S325T/SV40のメタフェーズである。 BAC1069E24を用いたFISH後の、t(2;3;20)(p21;q11.2;p25)を有する細胞系S325T/SV40のメタフェーズである。ハイブリダイズ信号は染色体2、der(2)及びder(20)にあり、矢印で示す。 融合転写DRIP−FUS IIを導く細胞系S533/TSV40のブレークポイントの検出の結果を示す。 細胞系S325/TSV40のFISH結果及びカリオグラムである。 RT−PCRによる第1及び第2の融合タンパク質の検出である。 DRIP特異的プローブを用いたノーザンブロット分析の結果である。 2p21に変化を有する各種良性甲状腺腫瘍及び過形成のブレ−クポイントクラスターに対するDRIPのゲノム位置の概略図である。細胞系S325/TSV40及びS533/TSV40の転座ブレークはイントロン28にあることがわかる。 スプライス変異体を有するDRIP−mRNAの概略図である。 融合転写DRIP−FUS Iの3種の形態の概略図である。 第2の融合遺伝子DRIP−FUS IIの2種の形態の概略図である。

Claims (63)

  1. 過形成及び/又は腫瘍において発現が変化する核酸であって、配列番号1、3、4、9、11〜16及びこれら配列の断片からなる群から選択される核酸配列を含むことを特徴とする核酸。
  2. 腫瘍が、染色体アーム2p内に何らかの変化を有する各種上皮腫瘍及び染色体バンド2p21−22内に何らかの変化を有する各種腫瘍からなる群から選択されることを特徴とする、請求項1に記載の核酸。
  3. 過形成が甲状腺の各種過形成からなる群から選択されることを特徴とする、請求項1又は2に記載の核酸。
  4. 核酸は、配列番号1、9、13、14及び/又は15の核酸から選択されることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の核酸。
  5. 遺伝子コードの縮重がなければ請求項1〜4のいずれか一項に記載の核酸と同一のアミノ酸配列をコードする核酸配列を含む核酸。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の核酸の内の一核酸と、特に、ストリンジェントな条件下で、ハイブリダイズする核酸。
  7. 先の請求項のいずれか一項に記載の核酸を含むことを特徴とするベクター。
  8. プロモーター、ターミネーター及びエンハンサーからなる群から選択される少なくとも一種の要素を更に含むことを特徴とする、請求項7に記載のベクター。
  9. ベクターが発現ベクターであることを特徴とする、請求項7又は8に記載のベクター。
  10. 少なくとも一個のプロモーターが、ポリペプチドをコードする請求項1〜6のいずれか一項に記載の核酸の少なくとも一部分と共にin−frameで存在することを特徴とする、請求項7〜9に記載のベクター。
  11. 請求項1〜6のいずれか一項に記載の核酸によりコードされるポリペプチド、又は配列番号2、5〜8、10又は17に記載のアミノ酸配列を有するポリペプチド。
  12. 改変されていることを特徴とする、請求項11に記載のポリペプチド。
  13. 請求項7〜10のいずれか一項に記載のベクターを含む細胞(特に単離された細胞)。
  14. 請求項11又は12に記載のポリペプチドに対するものであることを特徴とする抗体。
  15. 請求項1〜6のいずれか一項に記載の核酸に対するものであることを特徴とする、請求項14に記載の抗体。
  16. 請求項1〜6のいずれか一項に記載の核酸に対するものであることを特徴とするリボザイム。
  17. 請求項1〜6のいずれか一項に記載の核酸の少なくとも一部分又はこれと実質的に相補的な核酸の少なくとも一部分を含むことを特徴とする、請求項18に記載のリボザイム。
  18. 請求項1〜6のいずれか一項に記載の各種核酸配列の内の一配列と実質的に相補的な又は実質的に同一の配列を含むアンチセンス核酸。
  19. 請求項1〜6のいずれか一項に記載の各種核酸の内の一核酸又はその一部と実質的に相補的又はこれと実質的に同一である配列を含むRNAiであって、好ましくはこのRNAiが、実質的に相補的又は実質的に同一である領域の長さが21〜23個のヌクレオチドである領域を含む、RNAi。
  20. 請求項1〜6のいずれか一項に記載の核酸の内の一核酸又はその一部と実質的に相補的又はこれと実質的に同一である核酸を含むプライマー又は核酸プローブであって、長さがヌクレオチド12〜32個、好ましくはヌクレオチド14〜28個、好ましくはヌクレオチド20〜28個であるプライマー及び/又は核酸プローブ。
  21. 先の請求項のいずれか一項に記載の核酸の翻訳産物の作用に影響を及ぼす化合物、特に前記作用を阻害する化合物を決定する方法であって、次の各段階、
    ・翻訳産物と化合物を調製する段階と、
    ・翻訳産物の作用を体現する系において、翻訳産物と化合物とを接触させる段階と、
    ・化合物の影響下において翻訳産物の作用に何らかの変化が生じたか否かを決定する段階と
    を特徴とする方法。
  22. 先の請求項のいずれか一項に記載の核酸の転写産物の作用に影響を及ぼす化合物、特に前記作用を阻害する化合物を決定する方法であって、次の各段階、
    ・転写産物と化合物を調製する段階と、
    ・転写産物の作用を体現する系において、転写産物と化合物とを接触させる段階と、
    ・化合物の影響下において転写産物の作用に何らかの変化が生じたか否かを決定する段階と
    を特徴とする方法。
  23. 系が、細胞発現系、無細胞発現系、化合物と翻訳産物の間の相互作用を測定するアッセイ及び化合物と転写産物の間の相互作用を測定するアッセイからなる群から選択されることを特徴とする、請求項21又は22に記載の方法。
  24. 過形成及び腫瘍の形成、特に甲状腺の過形成及び腫瘍の形成を担う遺伝子を決定する方法であって、次の各段階、
    ・過形成及び/又は腫瘍の染色体異常部におけるブレークポイントを決定する段階と、
    ・染色体アーム2p、好ましくは染色体バンド2p21−22のブレークポイント領域の両側400kbp、好ましくは150kbpの領域内にある遺伝子を決定する段階と、
    ・過形成細胞又は腫瘍細胞におけるこの遺伝子の翻訳/転写が、過形成でない細胞又は腫瘍でない細胞と比べて変化しているか否かを決定する段階と
    を含む方法。
  25. 請求項1〜6のいずれか一項に記載の核酸及び/又は請求項16又は17に記載のリボザイム及び/又は請求項18に記載のアンチセンス核酸及び/又は請求項19に記載のRNAi及び/又は請求項20に記載の核酸プローブの、甲状腺機能障害及び/又は甲状腺過形成及び/又は各種腫瘍、特に甲状腺腫瘍の診断、特にin vitroにおける診断及び/又は治療のための使用。
  26. 請求項1〜6のいずれか一項に記載の核酸及び/又は請求項16又は17に記載のリボザイム及び/又は請求項18に記載のアンチセンス核酸及び/又は請求項19に記載のRNAi及び/又は請求項20に記載の核酸プローブの、医薬を製造するため、特に、甲状腺機能障害及び/又は甲状腺過形成及び/又は各種腫瘍、特に甲状腺腫瘍を治療及び/又は予防するための医薬を製造するための使用。
  27. 請求項11〜12のいずれか一項に記載のポリペプチドの、甲状腺機能障害及び/又は甲状腺過形成及び/又は各種腫瘍、特に甲状腺腫瘍の診断、特にin vitroにおける診断及び/又は治療のための使用。
  28. 請求項11〜12のいずれか一項に記載のポリペプチドの、医薬の製造、特に、甲状腺機能障害及び/又は甲状腺過形成及び/又は各種腫瘍、特に甲状腺腫瘍を治療及び/又は予防するための医薬を製造するための使用。
  29. 請求項14〜15のいずれか一項に記載の抗体の、甲状腺機能障害及び/又は甲状腺過形成及び/又は各種腫瘍、特に甲状腺腫瘍の診断、特にin vitroにおける診断及び/又は治療のための使用。
  30. 請求項14〜15のいずれか一項に記載の抗体の、医薬の製造、特に、甲状腺機能障害及び/又は甲状腺過形成及び/又は各種腫瘍、特に甲状腺腫瘍を治療及び/又は予防するための医薬を製造するための使用。
  31. 甲状腺機能障害及び/又は甲状腺過形成及び/又は甲状腺腫瘍の診断のためのキットであって、該キットが、それぞれ先の請求項のいずれか一項に記載の核酸、ベクター、ポリペプチド、細胞、抗体、アンチセンス核酸、RNAi、リボザイム、プライマー及び/又は核酸プローブからなる群から選択される少なくとも一種の要素を含むことを特徴とするキット。
  32. 甲状腺機能障害及び/又は甲状腺過形成及び/又は各種腫瘍、特に甲状腺腫瘍を検出するための方法であって、次の各段階、
    ・甲状腺材料を、それぞれ先の請求項のいずれか一項に記載の核酸、ベクター、ポリペプチド、抗体、アンチセンス核酸、RNAi、リボザイム及び細胞からなる群から選択される剤に接触させる段階と、
    ・甲状腺機能障害及び/又は甲状腺過形成及び/又は甲状腺腫瘍が存在するか否かを決定する段階と
    を特徴とする方法。
  33. 甲状腺材料が生体外に存在することを特徴とする、請求項32に記載の方法。
  34. 甲状腺材料が細胞学的調製物の一部であることを特徴とする、請求項32に記載の方法。
  35. 請求項1〜6のいずれか一項に記載の核酸又はその一部の、プライマー及び/又はプローブとしての使用。
  36. 請求項1〜6のいずれか一項に記載の核酸配列の一部分に実質的に相補的である或いは実質的に同一であることを特徴とする、核酸を提示する及び/又はスクリーニングする及び/又は検出するためのプライマー。
  37. 甲状腺腫瘍又は甲状腺腫において検出され得る配列を含む核酸を提示する方法であって、破壊ポイントを有する異常部が染色体バンド2p21−22に存在し、前記配列が少なくとも部分的に染色体バンド2p21−22内にあり、
    該方法が次の各段階、
    ・PCRを実施するためのプライマー、特に請求項35に記載のプライマーを調製する段階と、
    ・ヒト染色体2のバンド2p21−22から採取した核酸配列又は請求項1〜6のいずれか一項に記載の核酸を調製する段階と、
    ・核酸配列又は核酸をプライマーと混合する段階と、
    ・PCRを実施する段階と
    を含むことを特徴とする方法。
  38. 医薬組成物であって、
    それぞれ先の請求項の一項に記載の核酸、ベクター、ポリペプチド、細胞、抗体、アンチセンス核酸、RNAi、リボザイム、プライマー及び/又は核酸プローブ、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも一種の剤と、医薬的に許容される少なくとも一種の担体と
    を含むことを特徴とする医薬組成物。
  39. 腫瘍及び過形成を治療及び/又は予防するための方法であって、先の請求項のいずれか一項に記載の核酸の発現変化の作用を阻害する化合物が患者に投与されることを特徴とする方法。
  40. 先の請求項のいずれか一項に記載の核酸の発現変化の作用を阻害する化合物の、医薬を製造するための使用。
  41. 医薬が、腫瘍及び/又は過形成、特に甲状腺の腫瘍及び/又は過形成を治療及び/又は予防するためのものであることを特徴とする、請求項40に記載の使用。
  42. 配列番号1、3、4、9及び配列番号11〜16からなる群から選択される配列を有する核酸又はこれらの誘導体、及び/又はこれらにコードされるポリペプチド又はこれらの誘導体の、医薬(特に甲状腺機能障害及び/又は甲状腺過形成及び/又は甲状腺腫瘍を治療するための医薬)を製造するための及び/又は診断剤(特に甲状腺機能障害及び/又は甲状腺過形成及び/又は甲状腺腫瘍の診断のための診断剤)を製造するための使用。
  43. ポリペプチドが、配列番号2、配列番号5〜8、10或いは17に従ったアミノ酸配列を有することを特徴とする、請求項42に記載の使用。
  44. 核酸が、遺伝子コードの縮重がなければ、配列番号1、3、4、9及び配列番号11〜16の内の一配列に係る核酸とハイブリダイズすることを特徴とする、請求項42又は43に記載の使用。
  45. 配列番号2、配列番号5〜8、10及び17からなる群から選択される配列を有するポリペプチド又はこれらの誘導体の、医薬(特に甲状腺機能障害及び/又は甲状腺過形成及び/又は甲状腺腫瘍を治療するための医薬)を製造するための及び/又は診断剤(特に甲状腺機能障害及び/又は甲状腺過形成及び/又は甲状腺腫瘍の診断のための診断剤)を製造するための使用。
  46. 甲状腺機能障害及び/又は甲状腺過形成及び/又は各種腫瘍、特に甲状腺腫瘍を治療するための手段、及び/又は甲状腺機能障害及び/又は甲状腺過形成及び/又は各種腫瘍、特に甲状腺腫瘍を診断するための診断剤をスクリーニングするための方法であって、次の各段階、
    ・候補化合物を調製する段階と、
    ・発現系及び/又は活性系を調製する段階と、
    ・候補化合物を発現系及び/又は活性系と接触させる段階と、
    ・候補化合物の影響下において、配列番号1、3、4、9及び配列番号11〜16からなる群から選択される配列を有する核酸又はこれらの誘導体、及び/又はこれらにコードされるポリペプチド、及び/又は配列番号2、配列番号5〜8、10或いは17に従った配列を有するポリペプチド又はこれらの誘導体の発現及び/又は活性が変化しているか否かを決定する段階と
    を含む方法。
  47. 候補化合物が化合物ライブラリーに含まれることを特徴とする、請求項46に記載の方法。
  48. 候補化合物がペプチド、タンパク質、抗体、アンチカリン、機能的核酸及び小分子からなる化合物群から選択されることを特徴とする、請求項46又は47に記載の方法。
  49. 機能的核酸が、アプタマー、アプタザイム、リボザイム、スピゲルマー、アンチセンスオリゴヌクレオチド及びRNAiからなる群から選択されることを特徴とする、請求項48に記載の方法。
  50. 配列番号1、3、4、9及び配列番号11〜16からなる群から選択される配列を有する核酸又はこれらの誘導体、及び/又はこれらにコードされるポリペプチド又はこれらの誘導体、及び/又は配列番号2、配列番号5〜8、10或いは17に従った配列を有するポリペプチド又はこれらの誘導体、及び/又は配列番号1、3、4、9及び配列番号11〜16からなる群から選択される配列を有する核酸の特に天然相互作用パートナー又はこれらの誘導体、及び/又はこれらにコードされるポリペプチド又はこれらの誘導体、及び/又はこれらをコードする核酸、及び/又は配列番号2、配列番号5〜8、10或いは17に従った配列を有するポリペプチドの相互作用パートナー又はこれらの誘導体の、甲状腺機能障害及び/又は甲状腺過形成及び/又は甲状腺腫瘍を診断するための診断剤を開発及び/又は製造するためターゲット分子としての、及び/又は甲状腺機能障害及び/又は甲状腺過形成及び/又は各種腫瘍、特に甲状腺腫瘍を予防及び/又は治療するための医薬を開発及び/又は製造するためのターゲット分子としての使用。
  51. 医薬又は診断手段が、抗体、ペプチド、アンチカリン、小分子、アンチセンス分子、アプタマー、スピゲルマー及びRNAi分子からなる群から選択される剤を含むことを特徴とする、請求項50に記載の使用。
  52. 剤が、配列番号1、3、4、9及び配列番号11〜16からなる群から選択される配列を有する核酸又はこれらの誘導体と相互作用する、及び/又は特に天然相互作用パートナーをコードする核酸と、特にmRNA、ゲノム核酸又はcDNAと相互作用することを特徴とする、請求項51に記載の使用。
  53. 配列番号1、3、4、9及び配列番号11〜16からなる群から選択される配列を有する核酸によりコードされるペプチド又はこれらの誘導体と相互作用する、及び/又は配列番号2、配列番号5〜8、10或いは17に従ったポリペプチドと相互作用する、及び/又はこれらの特に天然相互作用パートナーと相互作用するポリペプチドの、甲状腺機能障害及び/又は甲状腺過形成及び/又は甲状腺腫瘍を診断するための診断手段を開発又は製造するための、及び/又は甲状腺機能障害及び/又は甲状腺過形成及び/又は各種腫瘍、特に甲状腺腫瘍を予防及び/又は治療するための医薬を開発又は製造するための使用。
  54. ポリペプチドが、抗体及び結合ポリペプチドからなる群から選択されることを特徴とする、請求項53に記載の使用。
  55. 配列番号1、3、4、9及び配列番号11〜16からなる群から選択される配列を有する核酸によりコードされるポリペプチド又はこれらの誘導体と相互作用する、及び/又は配列番号2、配列番号5〜8、10或いは17に従ったポリペプチドと相互作用する、及び/又は特にこれらの天然相互作用パートナーと相互作用する核酸の、特に、甲状腺機能障害及び/又は甲状腺過形成及び/又は甲状腺腫瘍を診断するための診断剤を開発又は製造するための、及び/又は甲状腺機能障害及び/又は甲状腺過形成及び/又は各種腫瘍、甲状腺腫瘍を予防及び/又は治療するための医薬を開発又は製造するための使用。
  56. 核酸が、アプタマー及びスピゲルマーからなる群から選択されることを特徴とする、請求項55に記載の使用。
  57. 配列番号1、3、4、9及び配列番号11〜16からなる群から選択される配列を有する第二の核酸又はこれらの誘導体と相互作用する、及び/又は配列番号2、配列番号5〜8、10或いは17に従った配列を有するポリペプチドの相互作用パートナーをコードする核酸と相互作用する第一の核酸の、甲状腺機能障害及び/又は甲状腺過形成及び/又は各種腫瘍、特に甲状腺腫瘍を予防及び/又は治療するための医薬を開発又は製造するための使用。
  58. 相互作用する第一の核酸が、アンチセンスオリゴヌクレオチド、リボザイム及び/又はRNAiであることを特徴とする、請求項57に記載の使用。
  59. 第二の核酸がそのcDNA又はmRNAであることを特徴とする、請求項57又は58に記載の使用。
  60. 請求項50〜59のいずれか一項に記載の使用に係る群から選択される少なくとも一種の剤と、医薬的に許容される少なくとも一種類の担体とを含む、特に、甲状腺機能障害及び/又は甲状腺過形成及び/又は各種腫瘍、特に甲状腺腫瘍を予防及び/又は治療するための医薬組成物。
  61. 請求項50〜59のいずれか一項に記載の使用に係る少なくとも一種の剤を含む、甲状腺の状態を特徴付けるためのキット。
  62. 配列番号2、配列番号5〜8、10或いは17に従ったアミノ酸配列又はその機能的断片を含むポリペプチド。
  63. 先の請求項のいずれか一項に記載の使用に従った、請求項62に記載のポリペプチドの使用。
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