JP2006507820A - 細胞におけるメチル化状態の修復 - Google Patents

細胞におけるメチル化状態の修復 Download PDF

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Abstract

細胞の特徴または状態を変化させ、または細胞を再プログラミングする方法であって、細胞における特徴または状態を変化させ、または細胞を再プログラミングすることが可能な薬剤で第1の細胞型を処理する工程と、処理された細胞のゲノム内のメチル化シグネチャーを測定することによって処理された細胞の変化の程度を判定する工程とを含んで成り、所定のメチル化シグネチャーが処理された細胞の変化した特徴または状態を示す。第1の細胞を処理するための好ましい物質は、第2の細胞型からの細胞抽出物、溶解物、または成分であり、第2の細胞型は所望の特徴を有し、または第1の細胞型が再プログラミングされるべき所望の細胞型である。実施例は、免疫系T細胞のそれに再プログラミングされる線維芽細胞のメチル化状態を示す。

Description

技術分野
本発明は、概して、細胞の特徴を変化させ、DNAメチル化シグネチャーを評価することによって変化をモニタリングする方法に関する。
背景技術
動物(または植物)など生物のすべての遺伝子産物の構造をコード化するために必要なすべての情報は、そのデオキシリボ核酸(DNA)における4つのデオキシヌクレオチドであるアデニン(A)、グアニン(G)、チミン(T)、またはシトシン(C)の配列に保存されている。しかし、一部のCデオキシヌクレオチドの複製後のメチル化の結果として、DNAにおける第5のデオキシヌクレオチド(mC)が製造されている(ミラー(Millar)、DS.、ホリデー(Holiday)、R.、およびグリッグ(Grigg)、W.、2003年、The Epigenome、編集者、ベック(Beck)、Sおよびオレク(Olek)、A、ワイリー(WILEY)−VCHフェアラーク(Verlag)ゲーエムべーハー(GmbH)&コー(Co)ワインハイム(Weinheim))。mCの機能の1つは、特定の遺伝子が活性で、遺伝子産物が産生されるように転写されるかどうかを判定する発生の信号として作用することである(リー(Li)、E.、1999年、Nature Genetics、23、pp.5−7、コフィグニー(Coffigny)H.ら、1999年、Cytogenetics and Cell Genetics、87、pp.175−181)。一般に、異なる組織型の細胞において、遺伝子のメチル化状態は、遺伝子のサイレンシングを示し(ルンヤック(Lunyak)、V V.、2002年、Science、298、pp.1747−1752)、非メチル化状態は遺伝子の活性化を示す(モロー(Moreau)P.ら、2003年、Proc.Natl.Acad.Sci.USA.、100、pp.1191−1196)。メチル化は、受精卵からの全成体の発生における各種段階で遺伝学的に制御されたパターンに従い組織的に変化しうる(モンク(Monk)M.、1995年、Dev Genet.、17、pp.188−197)。これが起こる正確な様式、その原因、およびこれらの過程が制御される方法については未だ見出されていない。
異なる細胞型の分化した成体細胞におけるメチル化シグネチャーは互いに異なる。通常、これらの異なるメチル化のシグネチャーは、多くの細胞分裂において非常に安定しているが、特定の状況下では変更されうる。例えば、DNAメチル化は、動物のクローニングに関連するプロセスの一部と考えられており、クローニングでは、完全に分化した成体の細胞(上皮細胞など)からの核が、除核された胚性幹細胞の細胞質に挿入される。上皮細胞の核は、胚性幹細胞の細胞質の発生的可能性を担うように再プログラミングされる。このプロセスは、上皮核小体のゲノムのDNAメチル化シグネチャーの再プログラミングを含むと考えられている。一般に、上皮細胞核における不完全または異常なエピジェネティック再プログラミングは、クローニングの成功率が低いことの原因であると考えられている(ペニシ(Pennisi)E、2001年、Science、293、pp.1064−1067、ディーン(Dean)Wら、2001年、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、98、pp.13734−13738、ブルヒス(Bourc’his)、Dら、Current Biology、11、pp.1542−1546、ハンプレイス(Humphreys)Dら、2001年、Science、293、pp.95−97、カング(Kang)Y−K.、2001年、Nature Genetics、28、pp.173−177、マン(Mann)MR W、およびバルトロメイ(Bartolomei)M S.、2002年、GenomeBiology、3、pp.1003.1−1003.4)。
ゲノムにおける正常なメチル化シグネチャーの修飾は、しばしば個体の健康に有害であり、ヒトにおいては、癌などの生命にかかわる疾患(ジョーンズ(Jones)、PA.、1996年、Cancer Research、56、pp.2463−2467、パツ(Paz)ら、2003年、Human Molecular Gnetics、12、pp.2209−2219、ベイリン(Baylin)ら、2001年、Human Molecular Genetics、10、pp.687−692、ワイ(Wei)ら、2003年、Ann NY Acad Sciences 983、pp.243−250、トヨタ(Toyota)ら、2003年、Proc.Natl.Acad Sci.USA、100、pp.7818−7823)、および神経疾患、脆弱性X症候群等など多様な他の障害(クリアウシノニス(Kriaucionis)とバード(Bird)、2003年、Human Molecular Genetics、12、R221−R227、ローバーストン(Robertson)KD、およびウォルフェ(Wolffe)Ap、2000年、Nature Reviews Genetics、1、pp.11−19、エステラー(Esteller)M.ら、2002年、Clinical Immunology、103、pp.213−216、ファインベルク(Feinberg)APら、2002年、Cancer Research、62、pp.6784−6787)の原因となりうる。これは、メチル化酵素5−メチルトランスフェラーゼの機能を阻害し、さらに数回のDNA複製後に、ゲノムにおける多くの遺伝子の全体的な脱メチル化をもたらす5−アザシチジンまたは5−アザデオキシシチジンによる細胞の処理など、組織培養において細胞のメチル化を変更することが知られている一部の方法について、臨床的用法をもたらした(ピエトロボノ(Pietrobono)Rら、2002年、Nucleic Research、30、pp.3278−3285)。特定の型の癌の治療においては限定的な成功が得られたが、毒性の副作用も認められる。
これまでは、生細胞のゲノムにおける特定のCsを選択的かつ協調的に脱メチル化またはメチル化できることは確認されていない。協調的なやり方で加齢細胞または疾患細胞の再プログラミングを行って、正常または若いメチル化シグネチャーを保存するという目標は、現在まで夢でしかない。
個々の細胞が老化し、各種類の環境的動揺に暴露されると、それらのゲノムは損傷されうる(リチャードソン(Richardson)B、2003年、Ageing Research Reviews、2、pp.245−261、ナカジマ(Nakajima)T.ら、2001年、Int J Cancer、94、pp.208−211、イッサ(Issa)J P、2003年、The Epigenome、編集者、ベック(Beck)、Sおよびオレク(Olek)、A、ワイリー(WILEY)−VCHフェアラーク(Verlag)ゲーエムべーハー(GmbH)&コー(Co)ワインハイム(Weinheim))。通常、かかる損傷は修復される。しかし、修復過程において誤りが発生し、これが細胞のDNAにおける遺伝子コードの変化をもたらし、したがって、4つのコーディングヌクレオチドA、G、T、またはCのうちの1つまたはその他における変化に変更が限定されている場合には突然変異の原因となる。しかし、変更が遺伝子の制御または調節領域における5’メチルシトシン(5mC)ヌクレオチドのシグネチャーの変化を含む場合、結果として特定の5mCがCによって置換された場合には遺伝子発現が活性化され、またはCが5mCによって置換されている場合には遺伝子発現がサイレント状態となりうる。一部の薬物などのDNA損傷薬剤またはイオン化放射線は、ゲノムにおけるメチルシトシン(mC)シグネチャーのかかる変更をもたらしうる(ニース(Nyce)J W.、1997年、Mutation Research、386、pp.153−161)。さらに、時間の経過とともに、細胞はそのDNAにおけるかかるメチル化/脱メチル化変化を蓄積するが、これらは正常な細胞機能を有害なやり方で変更する作用を有する。これは結果として、加齢個体の障害のレベル増大をもたらし、またはそのような損傷細胞を有する個体において各種類の癌などの疾患を生じやすくしうる。
本発明者は、細胞におけるmCシグネチャーの度重なる異常なメチル化変化の悪影響を克服または変化させるために、細胞におけるmCシグネチャーの広範囲であるが特異的方向性を有する再プログラミングの手段を考え出した。
発明の開示
第1の態様においては、本発明は、細胞の特徴または状態を変化させるための方法であって、
第1の細胞型を、細胞における特徴または状態を変化させることが可能な薬剤で処理する工程と、
処理された細胞型のゲノム内におけるDNAメチル化シグネチャーを測定することによって処理された細胞型における変化の程度を判定する工程であって、所定のDNAメチル化シグネチャーが処理された細胞の変化した特徴または状態を示す工程と、を含んで成る方法を提供する。
第2の態様においては、本発明は、細胞の特徴または状態を変化させるための方法であって、
好ましくない特徴または状態を有する第1の細胞型を、所望の特徴または状態を有する第2の細胞型からの抽出物、溶解物、または細胞成分で第1の細胞型の特徴または状態を変化させるために適切な条件下および期間、処理する工程と、
細胞のゲノム内のDNAメチル化シグネチャーを測定することによって処理された細胞型における変化の程度を判定する工程であって、所定のメチル化シグネチャーが細胞の変化した特徴または状態を示す工程と、を含む方法を提供する。
この方法はさらに、
細胞に高分子に対する透過性を与えるために第1の細胞型を前処理する工程を含む。
この方法はさらに、
処理された細胞を培養または成長させ、処理された細胞の複数のコピーを得る工程をも含む。
第1の細胞型は、ヒト造血系統の任意の既存の細胞型、(生後すぐから死後約48時間までの細胞、および臍帯、胎盤由来の細胞、または上記細胞型由来のセルラインからの細胞を含む)、またはヒト体内のいずれかの部分から採取され、造血系統へ再プログラミングされる他の細胞でありうる。
細胞のゲノムにおけるDNAメチル化シグネチャーなる用語は、特定の細胞型に対応する特徴的なメチル化シグネチャーを有するヒトゲノムの領域内のシトシンの群として定義される。シグネチャーは、ゲノムDNAの1つもしくはそれ以上の領域と関係している1つもしくはそれ以上のシトシンの特定のメチル化プロファイルまたはパターンを測定することによって、所定の細胞型または細胞亜型(サブタイプ)において測定されうる。例えば、シグネチャーは、DNAにおける1つもしくは複数のコード領域と関係しているシトシンメチル化パターンでありうる。かかるシグネチャーは、例えば、CD14+単球、もしくはCD34+幹細胞、または老若の幹細胞など細胞型内の軌道の診断用となる。修飾シトシンのこのシグネチャーは、細胞表面分子、細胞内のタンパク質の組合せ、mRNA発現、代謝産物濃度、細胞封入体、各種の顕微鏡的レベル(光学または電子顕微鏡)で測定される形態的特徴、または上記の組合せなど細胞型の特徴に頼ることない細胞型の指標である。
好ましくは、第1の細胞型は、年齢関連の障害、または癌などの疾患、または自己免疫疾患、(バン ラール(van Laar)、J Mおよびチンダル(Tyndall)、R、2003年、Cancer Control、10、57−)、または心筋梗塞もしくは虚血などの心血管障害、(ペリン(Perin)E Cら、2003年、Circulation、107、pp.2294−2302)の患者由来の細胞である。より好ましくは、第1の細胞型は幹細胞である。しかし、免疫および造血器系のT細胞または単球など他の細胞型、(アバス(Abbas)A K.、2000年、Cellular and Molecular Immunology、第4版、W Bサンダース アンド カンパニー(Saunders and Company)、フォン アドリアン(von Adrian)U Hら、2000年、New Engl.J Med、343、pp.1020−1034)、特に疾患細胞型が処理されうることが理解されるであろう。
薬剤は、化学物質、薬物、核酸、アプタマー、抗体、抗原、Intercalating Nucleic Acid (INA)、ペプチド核酸(PNA)、Locked Nucleic Acid (LNA)、ヘキシトール核酸(HNA)、アルトリトール核酸(ANA)、シクロヘキサニル核酸(CNA)、オリゴヌクレオチド、修飾オリゴヌクレオチド、一本鎖DNA、RNA、タンパク質、ペプチド、その組合せ、またはそのキメラ型変形でありうる。
好ましい形態においては、薬剤は、所望の特徴または状態を有する第2の細胞型からの抽出物、溶解物、または細胞成分である。
第2の細胞型は、細胞のDNAメチル化プロファイルが第1の細胞型の再プログラミングのための所望のエンドポイントである種または種の組合せ由来でありうる。好ましくは、第2の細胞型は、第1の細胞型と同類の細胞型の正常または健康な個体由来の細胞である。より好ましくは、第2の細胞型は幹細胞である(オルキン(Orkin)、SH.、ゾン(Zon)、LI.2002年、Nature Immunology、3、pp.323−328、ゲージ(Gage)、F H.、およびベルマ(Verma)、IM.、2003年、Proc Natl.Acad.Sci.USA、100、pp.11817−11818、プロコップ(Prockop)DJ.ら、2003年、Proc Natl.Acad.Sci.USA、100、pp.11917−11923)。第2の細胞型は、第1の細胞型の望ましくない特徴によってひき起こされる病気または状態を患っていない亜成体または個体由来でありうる。骨髄幹細胞、他の幹細胞、および上皮細胞など他の細胞型も第2の細胞型として使用されうることが理解されるであろう。
1つの好ましい形態においては、第1の細胞型および第2の細胞型は、同じ種からの同じ細胞型である。別の好ましい形態においては、第1の細胞型および第2の細胞型は、同じ細胞型ではなく、または同じ種ではない。第2の細胞型の例としては、ヒトまたは他の哺乳動物の第1の型の細胞で使用するための両生動物の卵細胞または生殖細胞が挙げられるが、これらに限定されない。
幹細胞の語によって、すべての成体幹細胞および特に骨髄系統のものを含むものが意味される(フェルファイリエ(Verfaillie)、CM.、2002年、Nature Immunology、3、pp.314−317、オルキン(Orkin)、SH.、ゾン(Zon)、LI.2002年、Nature Immunology、3、pp.323−328、ゲージ(Gage)、F H.、およびベルマ(Verma)、IM.、2003年、Proc Natl.Acad.Sci.USA、100、pp.11817−11818、プロコップ(Prockop)DJ.ら、2003年、Proc Natl.Acad.Sci.USA、100、pp.11917−11923)。
必要に応じて、第1の細胞型は適切な手段によって処理され、高分子の通過に対する透過性を与えることができる。処理としては、エレクトロポレーション、低温熱ショック、またはストレプトリジンOなど各種の酵素が挙げられるが、これらに限定されない。より好ましくは、処理は細胞に一時的な透過性を与える。
抽出物、溶解物、または細胞成分は、当技術分野で周知の適切な手段によって獲得されうる。例としては、ハッケリエン(Hakelien)ら(2002年)、Nature Biotechnology 20、pp.460−466によって記載されているものが挙げられるが、これに限定されない。細胞を含有しない抽出物は、さらに処理または断片化し、第1の細胞型における場合、該第1の細胞型のゲノム内のDNAメチル化シグネチャーを変化させる第2の細胞型からの成分または高分子を得ることができる。
暴露時間は、細胞型、抽出物、または細胞成分、および処理の条件によって、数分から数時間でありうる。処理は、生理的温度、または細胞の死がもたらされない他の温度下に行うことができる。
処理または再プログラミングされた細胞は、当技術分野で周知の適切な培地または宿主において、細胞の成長および分裂に適切である条件下で培養されうる。本発明は、そのゲノムDNAにおけるそのメチル化シグネチャーによって確認される所望の特徴を有する適切な処理または再プログラミングされた細胞の製造または選択を可能にする。
宿主は、脊椎動物または無脊椎動物のいずれかの動物でありうる。細胞が宿主において適切に培養されている場合、それらは、その細胞を無傷のままにしておくために、周知の手段によって宿主から除去されうる。1つの好ましい形態においては、宿主はウシ、ヒツジ、ウマ、家禽、またはブタから選択される家畜である。
好ましくは、細胞のゲノム内のメチル化シグネチャーは宿主内に存在する拡散性因子によって測定される。
メチル化シグネチャーは、好ましくは、当技術分野で周知の、または本出願者によって開発されたbisulphite処理アッセイによって測定される。
好ましい形態、例えば、加齢細胞における、より若い状態への再プログラミングにおいては、処理の有効性の確認は、DNAメチル化シグネチャーがゲノムの少なくとも一部または全部において「正常な」若いシグネチャーに戻っていることである。ゲノムDNAの一部のみのメチル化も起こりうることも理解されるであろう。
本発明の方法を用いて、第1の細胞型において所望の特徴または状態を提供し、1つの細胞亜型のDNAメチル化シグネチャーの特徴が別の亜型の特徴に変化するようになりうる。例えば、1つのリンパ球のT細胞亜型から別のリンパ球のT細胞の亜型へ、または老造血幹細胞がより若い造血幹細胞へ変更されうる。
あるいは、本発明の方法を用いて、混合集団内の細胞の選択された集団において所望の特徴または状態を適用することができる。例えば、細胞の混合集団がある場合、それらが例えば癌性および正常である場合は、細胞の混合集団は本発明の方法によって処理またはターゲティングされ、正常な細胞のみが変化し、反応し、分裂するようになりうる。処理された細胞のDNAメチル化シグネチャーを測定することによって、正常な細胞が適切に変化し、所望の効果を有することを確認されうる。癌細胞を正常に変化させることはないが、この方法を用いて一方の所望の細胞型の割合を他方よりも増大させることができる。
また、正常および癌性など細胞の混合集団においては、癌細胞は処理または再プログラミングされ、休眠もしくはアポトーシス、または自殺状態に入ることができる。2つの細胞型もしくは2つの細胞亜型、または多数の細胞型もしくは多数の細胞亜型の一般的な場合、任意の型または亜型を処理または再プログラミングし、他の細胞型に対する競合的利点を提供することができる。
本方法は、結果として、単一の細胞型の変更されたメチル化シグネチャーを、同じ細胞型の対応する正常な細胞のシグネチャーへ再プログラミングすることになる(細胞型内再プログラミング)。
この方法を用いて、老細胞のメチル化シグネチャーを、より若い細胞のものに再プログラミングすることができる(ガイガー(Geiger)、Hおよびザント(Zant)、GV.、2002年、Nature Immunology、3、pp.329−333)。例えば、老成体幹細胞のメチル化シグネチャーは、より若い幹細胞のシグネチャーに再プログラミングされうる。疾患幹細胞のゲノムのメチル化シグネチャーは、正常幹細胞のものに変化させ、免疫系のT細胞など他の疾患細胞のゲノムのメチル化シグネチャーは、非疾患T細胞のものに変化させることができる。
幹細胞は、そのDNAが化学療法薬、もしくは一般の薬剤などの薬剤への暴露、または電磁照射による損傷、または妊娠中における葉酸などの正常な化学物質の不十分な供給によって崩壊されている細胞でありうる。(ウォーターランド(Waterland)RAおよびジルトル(Jirtle)、RL、2003年、Molecular and Cellular Biology、23、pp.5293−5300、フェネッヒ(Fenech)M.、2003年、The Epigenome、編集者、ベック(Beck)、Sおよびオレク(Olek)、A、ワイリー(WILEY)−VCHフェアラーク(Verlag)ゲーエムべーハー(GmbH)&コー(Co)ワインハイム(Weinheim))。
第3の態様においては、本発明は、本発明の第1または第2の態様による方法から得られる単離され、変化または再プログラミングされた細胞を提供する。
好ましくは、処理または再プログラミングされた細胞は幹細胞である。処理または再プログラミングされた細胞は、その後の処理のための第2の細胞型として使用され、これによりそのつど処理が行われる個体から新鮮な第2の細胞型を得る必要を除去することができる。処理または再プログラミングされた細胞は、細胞療法または移植など研究または他の医学的な用途のための細胞系としても有用でありうる。
第4の態様においては、本発明は、望ましくない特徴または状態の細胞を有する結果もたらされる病気を患う個体を治療するための方法を提供し、この方法は、
個体から細胞を得る工程と、
細胞の少なくとも一部分で本発明の第1または第2の態様による方法を実施し、所望の特徴または状態を有する処理または再プログラミングされた細胞を得る工程と、
処理または再プログラミングされた細胞を、それらの細胞が病気を治療するために望ましくない特徴を有する少なくとも一部の細胞を増加させ、かつ置換する個体に戻す工程と
を含む。
細胞は異種の細胞集団または所定の細胞型でありうる。細胞は、癌性など望ましくない型または正常な細胞など所望の型でありうる。
好ましくは、個体は、加齢、もしくは癌または自己免疫疾患と関係がある障害などの病気を患っている。
好ましい形態においては、細胞は幹細胞である。次いで、処理または再プログラミングされた幹細胞は対象において分化し、治療を補助する。癌細胞など他の細胞型または他の疾患と関係がある細胞型も治療されうることが理解されるであろう。
本発明は、薬物、またはより偶発的な出来事への暴露によって、年齢関連の過程の結果として変更されているDNAメチル化シグネチャーによる望ましくない特徴または状態を有する機能不全の細胞における特徴を取り戻すために特に有用である。
本発明の利点は、個体の細胞が、処理または再プログラミング後に個体に戻される(移植される)ことである。したがって、拒絶の問題または免疫抑制薬または薬物療法を使用する必要がなくなる。
この方法は、対象および状態によって、個体または個別の処理に有用でありうる。
一時的に高分子に対して透過性を与えられている細胞は、細胞を含有しない抽出物、溶解物、または同じ表現型の正常な細胞の細胞成分で処理することができる。かかる細胞は、処理された宿主個体由来、またはより好ましくは、問題をひき起こした同じ環境的動揺(年齢など)に暴露されている若い個体由来の細胞から抽出または得られた抽出物、溶解物、または細胞成分由来でありうる。
本発明は、第2の細胞型の抽出物、溶解物、または細胞成分が、ヒト細胞を1つの細胞型から別の細胞型へ正常な経路によって送りうる分子の特定の組合せを得る方法として使用される場合にも使用されうる。手短に言えば、癌性細胞はきわめて異数性であり、著しく再配列されたゲノムを有するため、一部の遺伝子はきわめて増幅されている。また、癌性細胞は、各癌性細胞がおそらく独自であるため既知の細胞型に対応することがない。したがって、それらは分子的に、例えば、高レベルの特定のタンパク質が抽出されうる抽出物の供給源を提供しうる。また、癌細胞はしばしば染色体転座を含有するため、新たなタンパク質産物を産生する融合遺伝子をしばしば有する。これらの新たなタンパク質産物を用いて、既存の従来の細胞型からの抽出物を用いるよりも良好な方法で細胞を処理または再プログラミングしうる。
同様に、多くの生物は、それらの細胞集団から新たなタンパク質またはRNAを得るこれらの目的に使用されうるゲノムを再配列している。したがって、マウス、突然変異体マウス、トランスジェニックマウス、ウイルスに感染したマウスの系はすべて抽出物に独自に適切である細胞集団を有することになる。
同様に、非常に多くのショウジョウバエ(Drosophila)突然変異体、線虫(C.elegans)突然変異体、酵母突然変異体、大腸菌(E.coli)突然変異体等およびそのトランスジェニック誘導体はすべて、ネオモルフなどの抽出物、融合遺伝子、機能突然変異の獲得における新たな遺伝子産物、小さなRNAの新たな形態等を提供しうる。自然の展開スペクトルだけでなく、変異株の膨大な倉庫からのかかる新たなタンパク質およびRNAの入手可能性は、本発明によって使用されうる。
第5の態様においては、本発明は、治療の方法における本発明の第3の態様により単離された変化細胞の使用を提供する。
好ましくは、この治療法は細胞療法である。
第6の態様においては、本発明は、療法のための薬品の製造における本発明の第3の態様による単離された変化細胞の使用を提供する。
この明細書の全体を通じて、文脈により別に要求されない限り、「含む(comprise)」なる言葉、または「含む(comprises)」もしくは「含んでいる(comprising)」などの変形は、規定された要素の封入体、整数または工程、または要素、整数、または工程の群を暗示するが、他の要素、整数、もしくは工程、または要素、整数、もしくは工程の群の排除は暗示しないと理解されるであろう。
本明細書に含まれている文書、法令、材料、デバイス、商品または同種のものの議論は、本発明の文脈を提供するためだけにある。これらの事柄のいずれかまたはすべてが従来技術の基礎の一部を形成し、または本出願の各請求項の優先日前にオーストラリアにおいて存在していたように本発明に関連した分野における一般的な知識であったことを是認と考えるべきではない。
本発明がより明らかに理解されるために、以下の図面および実施例を参考にして好ましい形態を説明する。
本発明を実施するための形態
方法
細胞のメチル化シグネチャーの測定
DNAのbisulphite処理
必要に応じて適切な制限酵素であらかじめ消化してもよいDNA 2μgに、3M NaOH(新しく調製された水50ml中6g)2μl(1/10容積)を、最終容積20μlとなるように添加した。混合物を37℃に15分間インキュベートした。室温超の温度でのインキュベーションによって、変性の効果を強化することができる。
インキュベーション後、2MのMetabisulphiteナトリウム208μl(10N NaOH 416mlと水20ml中に7.6g、BDH AnalaR#10356.4D、新しく調製)および10mMキノール(Quinol)12μl(水50ml中0.055g、BDH AnalR#103122E、新しく調製)を連続して添加した。試料を鉱油200μlでオーバーレイした。次いで、試料を55℃で一夜インキュベートした。あるいは、試料をサーマルサイクラー中で以下のように循環させることができる。すなわち、約4時間または一夜、以下のようにインキュベートする。すなわち、ステップ1、PCRマシン中で55℃/2時間サイクル、ステップ2、95℃/2分。ステップ1は、約37℃〜約90℃の任意の温度で実施され、時間の長さは5分〜8時間で変化させることができる。ステップ2は、約70℃〜約99℃の任意の温度で実施され、時間の長さは約1秒〜60分、もしくはそれ以上で変化させることができる。
Metabisulphiteナトリウムによる処理後、油を除去し、tRNA(20mg/ml)1μlまたはグリコーゲン2μlを、DNA濃度が低くなるまで添加した。これらの添加物は任意的であり、特にDNAが低濃度で存在する場合に、ターゲットDNAと共沈させることによって得るDNAの収量を改善するために使用されうる。
イソプロパノール浄化処理を以下のように行った。すなわち、水800μlを試料に添加し、混合し、次いでイソプロパノール1mlを添加した。試料を再び混合し、−20℃に最低限5分間放置した。試料をマイクロフュージで10−15分間回転させ、ペレットを2回、80%ETOHで洗浄し、毎回ボルテックスで混合した。この洗浄処理により核酸とともに沈降した残留塩が除去される。
ペレットを乾燥させ、次いで、50μl程度の適切な容積のT/E(10mM Tris/0.1mM EDTA)pH7.0−12.5中に再懸濁した。pH10.5のバッファーが特に有効であることが知られている。核酸を懸濁する必要に応じて、試料を37℃〜95℃で1分〜96時間インキュベートした。
PCR増幅を処理されたDNA 1μlで行った。PCR増幅をbisulphite処理ゲノムDNA 1μlを含有する反応混合物25μl中で、Promega PCRマスターミックス、6ng/μlの各々のプライマーを用いて行った。第1回目の増幅産物1μlをプライマーを含有する第2回目の増幅反応物に移した。PCR産物の試料をテルモハイベイド(ThermoHybaid)PX2サーマルサイクラー中でクラーク(Clark)ら、Nucleic Acids Res.、1994年、8月、11、22(15)、pp.2990−2997において記載された条件下で増幅した。
アガロースゲル(2%)を、アガロース50ml当り臭化エチジウム(CLP#5450)1滴を含有する1%TAE中で調製した。PCR由来産物5μlを5倍のアガロースローディングバッファー1μlと混合し、潜水水平電気泳動タンクを用いてX1TAE中125mAで電気泳動した。マーカーは低100−1000bp型であった。コダック(Kodak)UVIdoc EDAS290システムを用いてUV照射下にゲルを視覚化した。
処理または再プログラミング手順
抽出物を製造するための第2の細胞型、すなわちJurkat T細胞系(1xローラーボトル1,700cm
処理または再プログラミングされる第1の細胞型、すなわち、293T線維芽細胞(2xT75フラスコを再プログラミング前日に分割した)。
細胞用のDMEM培地
トリプシン/EDTA(0.25%)
細胞溶解バッファー、すなわち、50mM NaCl、5mM MgCl、20mMヘペス(Hepes)pH8.2の基礎液をアリコット50ml中で冷凍保存することができる。バッファー用のその後の添加物は、
PMSF(ETOH中100mMのストック)、DTT(1Mのストック)、およびプロテアーゼインヒビターカクテル、分割および凍結(シグマ(Sigma)P8340)
であった。
ストレプトリジンO(SigmaS0149)、HO中65単位/μlで分割および凍結したストック(凍結ストックは1か月後に廃棄すべき)。
HBSS(ハンクス平衡塩溶液、Ca2+−フリー)
PBSの1x500mlボトル(Ca2+/Mg2+−フリー)
200mM CaCl
ATP(水中200mMストック)
GTP(水中10mMストック)
ホスホクレアチン(水中2Mストック)
クレアチンキナーゼ(水中5mg/mlストック)
ヌクレオチド(NTP)ミックス(ATP、GTP、CTP、UTP、各100mM)
デキストラン、テキサスレッド(Molecular Probes D−1830)水中25mg/ml。
3mmチップ付きプローブソニケーター
細胞培養用マルチウェルプレート(48穴)
使い捨て式50ml、15ml、1.5ml、および0.2ml試験管(滅菌)
4℃での遠心分離:
1.5ml試験管用スイングアウトバケットで遠心分離
15000gの回転で1.5ml試験管用に遠心分離
800gで15mlおよび50ml試験管用に遠心分離
顕微鏡スライドおよびカバースリップ
細胞チャンバースライド
37℃で水浴
標準共焦点顕微鏡
緑色フルオロフィルター付きエピ蛍光(Epifluorescence)顕微鏡
抽出物の調製
I. 第2の細胞型Jurkat T細胞系細胞を採取し、50ml試験管に移し、800g(約1,200rpm)で10分間、4℃で回転する。
II. 細胞を冷却した1xPBS中で2回洗浄し、800gで10分間、4℃で回転する。細胞を第1回目の洗浄中は目盛線付きの15ml試験管1つにプールする。第2回目の洗浄中に細胞数を計算するために小さいアリコートに取出す。
III. 1M DTT/mlのバッファー1μlおよび100mM PMSF/mlのバッファー10μlを添加し、氷冷した細胞溶解用バッファー10ml中で、細胞ペレットを1回洗浄する。
IV. 800g、10分間、4℃で回転する。溶解用バッファーの添加後は細胞を氷上に保持することが重要。
V. 細胞ペレットの容積を見積もり、DTT、PMSF、およびプロテアーゼインヒビターカクテル(10μlカクテル/mlバッファー)とともに、体積の1倍よりわずかに少ない溶解バッファー中にペレットを再懸濁する。
注 細胞懸濁液はきわめて高粘度であり、気泡を取り込まないこと。
ピペットを使用し、最終容積が細胞ペレットの2倍であるかどうか確認し、2倍でない場合は、さらにバッファーを添加する。細胞ペレットは、最初のペレット容積の2倍超には希釈しないこと。
VI. 氷上に45分間放置して細胞を増大させる。
VII. 細胞を1.5ml試験管に200μlずつに分割する。すべての細胞および核が溶解するまで超音波処理する(顕微鏡下で点検)。試験管当り35%出力、0.4秒間隔で約1分15秒。(超音波処理の条件は各細胞型で最適化されなければならない。)
VIII. 溶解物を1.5ml試験管中にプールし、15,000g、15分間、4℃で回転する。
IX. 上清(抽出物)を取出し、抽出物の3x20μlのアリコットをタンパク質濃度、pH、および毒性の試験用に取っておく。残りを200μl−PCR試験管に、100μl抽出物/試験管に分割する。
X. 抽出物を直接使用し、または液体NまたはドライアイスおよびETOH中に素早く凍結させ、−80℃で保存する。
細胞の処理または再プログラミング
I. ターゲット293T線維芽細胞(第1の細胞型)を採取し、2回冷却1xPBS中で洗浄する。洗浄中、細胞は冷却しておく。2回目の洗浄中、数を数えるためにアリコートを取出す。細胞の数を測定する。
II. 細胞を冷却HBSS中で1回洗浄する。
III. 細胞を再懸濁し、1.5ml試験管中20,000細胞/100μl HBSSの各反応用に濃度を与える。細胞数が各反応設定において5回の各反応で低いと、最終プレートウェルに混合された場合、ウェル当りの細胞数が100,000となる。これは対照にも当てはまる。
IV. スイングアウトバケットロータで5分間、1200rpm、4℃で回転する。
V. 上清を除去する(細胞を除去しないように注意する)。
VI. 15.5μl HBSSを各試験管に添加する。
VII. SLO希釈標準溶液を調製する。すなわち、ストックのアリコット(65.8単位/μl)を解凍し、氷上に保持する。氷冷HBSS中で1:100に希釈する。常に氷上に保持する。
VIII. 試験管を37℃の水浴中に配置する。SLOを添加する前に数分間、試料をあらかじめ加熱する。
IX. 4.5μl SLO/試験管を添加し(1:100希釈、2.9単位最終SLO濃度を与える)、試験管を静かに振とうし、SLOを細胞懸濁液と混合する。
X. 50分間、37℃でインキュベートする。
XI. 再プログラミング用の抽出物を調製する。
→ATP、GTP、クレアチンキナーゼ、ホスホクレアチンの各ストックを1:1:1:1の比で混合することによってATP産生系を調製する(ストックは−20℃で保存されうる)。100mM NTPは1:1:1:1で混合され、25mMのストックが得られ、これは凍結されうるが、一旦解凍した後は氷上で保持する。
XII. 必要な抽出物の各100μlに、上記の新しく混合したATP産生系5μlおよびNTPミックス4μlを添加する。使用するまで抽出物を氷上で保持する。
XIII. 試験管(SLO中の細胞とともに)を氷上に配置し、氷冷HBSS 200μlを各試験管に添加する(SLO反応を停止する)。スイングアウトバケットロータで5分間、4℃、1200rpmで回転する。試験管を氷上に戻す。
XIV. 上清を除去する。細胞を除去しないように注意する。
XV. 細胞の20μl抽出物カクテル/試験管(または取込み対照用テキサスレッドデキストランとともにHBSS 20μl)を添加する。
XVI. 試験管を静かに振って混合する。1時間、37℃(水浴)にインキュベートする。試験管をラックに移し(室温)、2mM CaClを含む培地を添加する。
XVII. 細胞をマルチウェル細胞培養プレートに移し、5つの反応物を1つのウェルにプールする。
XVIII. 細胞を2時間、COインキュベーターでインキュベートする。
XIX. CaCl培地を標準の培地と取替え、一夜放置する。
加齢個体の発現プロファイリング
マイクロアレイプロファイリング手順、幼若(young)および加齢(aged)個体からの幹細胞の発現プロファイリング
成体CD34+幹細胞を、世界的に使用されている(アンデルリーニ(Anderlini)Pら、1997年、Transfusion、37、pp.507−512、カング(Kang)、E.M.、2002年、Blood、99、pp.850−855)標準のG−CSFプロトコルプロトコル(フィルグラスチム(Filgrastim)、デ アル ルビア(de al Rubia)ら、2002年、Transfusion、42、pp.4−9)を用いて末梢血流内へ動員し、CD34+細胞を標準の白血球成分採取法によって採集し、CD34+幹細胞(健康な第1の細胞型)を標準の磁気ビーズ法(ダイナル(Dynal))によって単離した。細胞は使用するまで凍結し、RNAを標準の方法によって抽出した。RNAを適切に転換し、標識し、マイクロプラットフォームにハイブリダイズさせ、適切なレーザースキャニングまたは放射能検出法によってRNA発現レベルを推定した。結果として得られたデータのバイオインフォマティック分析は、ゲノム上の相対遺伝子活性のスナップショットを示し、アフィメトリクスアフィメトリックス(Affymetrix)プラットフォーム、U133Aでは、20,000を超える十分にアノテーションされたヒト遺伝子(または遺伝子の一部分)をプラットフォーム上に有した。
アトラスプラスチック(Atlas Plastic)8Kアレイプロトコルプロトコルを用いるヒトCD34+造血幹細胞のマイクロアレイ分析
49歳の男性患者からのCD34+造血幹細胞の精製
全血からのCD34+細胞の精製
ロイヤルノースショア(Royal North Shore)病院(シドニー)で白血球成分採取を受けた患者から試料を得た。試料は事前の倫理委員会の承認により得た。Ficoll Paque plus(アマシャムバイオサイエンス(Amersham Biosciences)#17−1440−03、ニュージャージー州(NJ)、ピスカタウェイ)を用いて、メーカーの使用説明書に従い白血球を濃縮した。CD34+細胞を白血球集団CD34前駆細胞選択システム(ダイナル(Dynal)#113.01)からそれぞれメーカーの使用説明書に従い単離した。
アトラスRNA抽出手順
I. トリゾール(Trizol)1mlを直接、磁気ビーズ/細胞複合体に添加し、試料を−70℃で保存した。
II. 試料を−70℃から取り出し、氷上で解凍した。
III. 試料を十分に混合し、室温で5分間放置し、核タンパク質複合体を分離した。
IV. 0.5mlのビーズ/細胞を除去し、清潔なRNaseフリー1.5ml遠心分離用試験管内に入れ、試験管をマグネティック・セパレータへ60秒間配置し、ビーズを含有しない上清を、清潔な試験管内に移した。
V. 次いで、試料を12,000Xgで、10分間、4℃で回転し、高分子量のDNAおよび他の混入物質を除去した。
VI. 上清を清潔な試験管内に移し、100%クロロホルム100μlを添加し、試料を手で15秒間強く混合し、次いで室温で2−3分間インキュベートした。
VII. 次いで、試料を12,000Xgで10分間、4℃で回転し、相を分離した。
VIII. 上部水相を清潔な試験管内に移し、ピペット先端を確実に界面から離し、20mg/mlグリコーゲン1μlを添加し、試料をボルテキシングした。
IX. 100%の同等量(0.25ml)を添加し、試験管をボルテキシングし、次いで、室温で10分間放置した。
X. 次いで、試料を12,000Xgで10分間、4℃で回転し、RNAをペレット化する。
XI. 上清を除去し、80%エタノール0.75mlでペレットを洗浄し、cDNA合成反応のインヒビターを除去し、次いで、7,500Xgで5分間、4℃で簡単にボルテックスで振とうし、RNAをペレット化する。
XII. 工程11をさらに1回繰り返す。
XIII. 次いで、ペレットをマイクロフュージで10秒間回転し、残留エタノールを除去し、ペレットを直ちにRNaseフリーの水25μl中に再懸濁した。
注 ペレットが乾燥した場合には、RNAを再懸濁することはきわめて困難であり、260/280比は1.6未満となる。
XIV. 次いでOD 260/280/310を記録する。
cDNA合成
I. 各cDNA合成用に、壁の薄い試験管中で、0.5mlRNaseフリーの以下の試薬を調製した。
II. 内容物を混合し、マイクロフュージで簡単に回転した。
III. 試料を70℃で8分間インキュベートし、RNAを変性させた。
IV. RNAが変性している間に、以下のマスター混合物を調製した。
V. 試験管をPCRマシンから取り出し、氷上で2分間冷却し、次いで短時間回転し、内容物を採集した。
VI. 次いで、試料を42℃で2分間インキュベートした。
VII. パワースクリプト(Powerscript)逆転写酵素0.5μlを反応毎に添加し(1.75μl)、マスター混合物をピペットによって十分に混合した。
VIII. 完全なマスター混合物4.5μlを各試料および対照試験管に添加し、次いで試料を42℃で60分間インキュベートし、試料を氷に移した。
IX. 10mM Tris/1mM EDTA pH7.6 40μlを各試料に添加した。
X. 試験管を72℃で7分間加熱し、次いで必要になるまで−70℃で保存した。
ロングディスタンス(Long Distance)PCRによるアトラスcDNA増幅
注 サイクルの数は各試料について、反応がプラトーに達しないように確実に決定されなければならない。増幅反応を各試料について3通り(2つの試験と1つの対照)設定し、対照の胎盤については2通り(1つの試験と1つの対照)設定した。
I. サーマルサイクラーを95℃にあらかじめ加熱した。
II. 0.5mlの壁の薄い試験管中で、第1の鎖のcDNA 5μlを脱イオン水37μlと混合した。
III. 以下のマスター混合物を調製した。
IV. マスター混合物をボルテックスで混合し、次いでマイクロフュージで短時間回転した。
V. マスター混合物8μlを適切な試験管に添加し、試料をピペットによって十分に混合した。
VI. 試験管を鉱油55μlでオーバーレイした。
VII. サーマルサイクルを以下のように開始した。
VIII. すべての試験管を上記のように15サイクルのPCRにかけ、次いで試験試料を除去し(すなわち、2つのCD34+/2つのT細胞/1つの対照)、これらの試験管を氷上に配置した。
IX. 各対照試料10μlを清潔な試験管内へ移し、残りの混合物をさらに上記のように3サイクルのPCRにかけた。
X. 工程9をさらに2回繰り返し、最終24サイクルのPCRとした。
XI. これらの試料を1kbのDNAサイズマーカーを用いて1.2%アガロースゲル上で分析した。
PCR産物のアトラス(Atlas)スピンカラム精製
注 Nucleospinシステムを使用し、Chroma spinシステムを使用しないこと。
I. 95%エタノール28mlをバッファーNT3に添加した。
II. PCR産物の量をTEバッファーpH7.5 50μlで100μlに調整し、試料をピペットによって十分に混合した。
III. NT2バッファー400μlを試料に添加し、試料を十分に混合した。
IV. Nucleospinカラムを2ml収集試験管に配置し、試料をピペットでフィルター上に取出した。次いで、試料を14,000rpmで1分間遠心分離し、収集試験管を廃棄した。
V. カラムを新しい収集試験管内へ配置し、バッファーNT3 500μlを添加した。次いで試料を14,000rpmで1分間遠心分離し、収集試験管を廃棄した。
VI. 工程5をさらに2回繰り返した。
VII. カラムを新しい収集試験管内へ配置し、次いで試料を14,000rpmで1分間遠心分離し、残留エタノールを除去した。
VIII. カラムを清潔な1.5ml遠心分離管内へ配置し、バッファーNE 50μlをフィルター上に直接添加した(注 ピペットがフィルター表面に接触していないことを確認する)。
IX. 試料を2分間浸漬させ、次いで14,000rpmで1分間遠心分離し、精製PCRフラグメントを溶出した。
X. OD260/280/310を測定する。
T細胞PCR産物#2のアトラススピンカラム精製
注 精製を繰り返し、PCR産物の収量を増大させた。
I. PCR産物の量をTEバッファーpH7.5 50μlで100μlに調整し、試料をピペットによって十分に混合した。
II. NT2バッファー400μlを試料に添加し、試料を十分に混合した。
III. Nucleospinカラムを2ml収集試験管内に配置し、試料をピペットでフィルターに取出した。次いで、試料を14,000rpmで1分間遠心分離し、収集試験管を廃棄した。
IV. カラムを新しい収集試験管内へ配置し、バッファーNT3 500μlを添加した。次いで試料を14,000rpmで1分間遠心分離し、収集試験管を廃棄した。
V. 工程IVをさらに2回繰り返した。
VI. カラムを新しい収集試験管内へ配置し、次いで試料を14,000rpmで1分間遠心分離し、残留エタノールを除去した。
VII. カラムを清潔な1.5ml遠心分離管内へ配置し、バッファーNE 50μlをフィルター上に直接添加した(注 ピペットがフィルター表面に接触していないことを確認する)。
VIII. 試料を2分間浸漬させ、次いで14,000rpmで1分間遠心分離し、精製PCRフラグメントを溶出した。
IX. OD260/280/310を測定する。
アトラススマート(Atlas SMART)cDNAプローブ標識
I. 各試料の500ngを標識し、適切なプローブを得ることが必要とされる。注 プローブの最終特異的反応性は10とすべきである。
II. サーマルサイクラーを97℃にあらかじめ加熱した。
III. 別々の0.5mlの壁の薄い試験管でランダムプライマー混合物1μlを適切な量の精製PCR産物および脱イオン水といっしょに添加した(下記参照)。
IV. 試料を8分間、97℃で変性させた。
V. 試料を変性させている間に、以下のマスター混合物を調整した。
VI. 変性後、試料をピペットによって十分に混合し、試験管を短時間回転した。
VII. サーマルサイクラーの温度を50℃に低下させ、試験管を50℃で3分間インキュベートした。
VIII. クレノウ酵素1μlを反応毎にマスター混合物に添加し、ピペットによって十分に混合した。
IX. インキュベーション後、マスター混合物16μlを適切な試験管内に添加し、内容物を混合し、試料を直ちにサーマルサイクラーに戻した。
X. 試験管を50℃で30分間インキュベートし、0.5M EDTA 2μlを添加することによって反応を停止した。
33P−dATP PCR産物のアトラススピンカラム精製
I. NT2バッファーを最終容積400μl(バッファー350μl)まで試料に添加し、試料を十分に混合した。
II. Nucleospinカラムを2ml収集試験管に配置し、試料をピペットでフィルターに取出した。次いで、試料を14,000rpmで1分間遠心分離し、収集試験管を廃棄した。
III. カラムを新しい収集試験管内へ配置し、バッファーNT3 350μlを添加した。次いで試料を14,000rpmで1分間遠心分離し、収集試験管を廃棄した。
IV. 工程3をさらに2回繰り返した。
V. カラムを清潔な1.5ml遠心分離管内へ配置し、バッファーNE 100μlをフィルター上に直接添加した(注 ピペットがフィルター表面に接触しないことを確認する)。
VI. 試料を2分間浸漬させ、次いで14,000rpmで1分間遠心分離し、精製PCRフラグメントを溶出した。
VII. 精製プローブのCPMを測定する。
VIII. 精製材料2μlをシンティヤン(scintillant)5mlに添加し、CPMを32Pチャネルで記録した。
アトラスアレイハイブリダイゼーション
I. ハイブリダイゼーションボトルに脱イオン水を80%充填し、60℃に加熱した。同時に、プラスチックハイブ(plastichyb)25mlx2を別々の50mlファルコン管で60℃に加熱した。
II. アレイをあらかじめ温めた水中に配置し、印刷側(非光沢)を内側に向けた。
III.プラスチックハイブ(x2)10mlを新しい容器に配置した。20xSSC 50μlをスマート遮断試薬50μlと混合し、95℃、5分間加熱し、次いで氷上で2分間素早く冷却した。次いで、この溶液をプラスチックハイブと混合した。
IV. アレイの水を切り、プラスチックハイブを添加し、アレイを30分間、60℃であらかじめハイブリダイズした。
V. 20xSSC 50μlをスマートブロッキング試薬50μlと混合し、精製プローブに添加した。プローブを10分間煮沸し、氷上で2分間冷却した。
VI. 上記溶液を残りのプラスチックハイブ2x15mlと混合し、溶液を完全に混合し、プレハイブ(prehyb)を廃棄し、ハイブリダイゼーション溶液を適切なボトルに添加した。
VII. アレイを一夜、60℃でハイブリダイズし、アレイがつねに平衡であることを確認した。
アトラスの洗浄および暴露
I. ハイブリダイゼーション溶液を50mlファルコン管内に廃棄し、ハイブリダイゼーションボトルをあらかじめ温めた(60℃)高塩バッファー(2xSSC/0.1xSDS)で80%充填し、試料を58℃で5分間インキュベートし、残留放射線を除去した。
II.洗浄バッファーを除去し、工程Iを繰り返した。
III. 次いで、ボトルを低塩バッファー(0.1xSSC/0.1%SDS)で80%充填し、アレイを58℃で5分間インキュベートした。
IV. 工程IIIをさらに1回繰り返した。
V. ハイブリダイゼーションオーブンの温度を30℃に低下させ、ボトルを再び室温の低塩バッファーで80%充填し、さらに5分間インキュベートした。
VI. 次いで、アレイをハイブリダイゼーションボトルから除去し、低塩洗浄バッファーで充填した500mlビーカーへ入れた。
VII. アレイをビーカーにおいて数回浸漬することによって洗浄し、次いで最後にきわめてゆっくり除去し、確実に大きな液滴がアレイ表面に付着しないようにした。
VIII. アレイを完全に空気乾燥させ、蛍光カセット内部にテープで貼り、スクリーンをアレイと直接接触させて配置した。
アレイを1日目および7日目に暴露した。
各種年齢の個体からの幹細胞のアフィメトリクスアフィメトリックスマイクロアレイ分析
アフィメトリクスアフィメトリックスのジーンチップ(Genechip)(登録商標)アレイによる遺伝子発現分析
本発明を裏付けるために得られたデータには、独立したマイクロアレイプラットフォームでの遺伝子発現分析からの結果が含まれる。遺伝子発現分析は、アフィメトリックス(Affymetrix)(登録商標)ジーンチップ(GeneChip)(登録商標)技術により行われた。詳細な情報については、アフィメトリックス(Affymetrix)のウェブページ(www.affymetrix.com)を参照。
工程のすべての工程RNAの単離および精製、cRNAの合成および断片化、ハイブリダイゼーション、染色、アレイのスキャニング―は、アフィメトリックス(Affymetrix)によって推奨されている装置およびプロトコールにより行われている。データ分析のために使用されたソフトウェアは、マイクロアレイ適応バージョン(Microarray Suite version)5.0(アフィメトリックス(Affymetrix)(登録商標))である。使用された統計アルゴリズムに関する詳細な情報は、アフィメトリックス(Affymetrix)のウェブページ(www.affymetrix.com)を参照。
アフィメトリックス(Affymetrix)試料処理
遺伝子発現分析をRNAlaterに含まれる細胞試料から開始して行った。これらの試料の内部処理コードは以下の表Table1に示されている。
トータルRNAをトリゾール(TRIzol)試薬(ライフテクノロジーズ(Life Technologies))でメーカーの使用説明書に従うことによって単離した。各試料をRNaseフリー水22μl中に再懸濁した。アガロース電気泳動によって画分を分析した(図1)。
両方の試料を精製前に混合し、混合物をSE488と呼んだ。精製をRNeasyキット(Q uiagen)で行った。RNAをRNaseフリー水35μl中に溶出し、スピード・バック(speed−vac)で最終容積を12μlに濃縮した。精製RNAの量と質を分光光度法およびアガロースゲル電気泳動によって点検した(図2)。
ビオチン標識cRNAのアフィメトリックス(Affymetrix)合成
精製トータルRNAから開始することにより、cDNAをスーパースクリプトチョイスシステムキット(SuperScript Choice System Kit)(ライフテクノロジーズ(Life Technologies))で、アフィメトリックス(Affymetrix)発現分析技術マニュアル(Expression Analysis Technical Manual)プロトコールプロトコルに従うことによって合成した。
エンゾバイオアレイ高収量(Enzo BioArray HighYield) RNA転写標識(T7)キットに従うことによって、cRNAをcDNAから合成した。cRNAをアフィメトリックス(Affymetrix)のジーンチップ(GeneChip)試料クリーンアップモデュークルキット(Sample Cleanup Moduke Kit)で精製し、RNaseフリー水22μl中に溶出した(図3および表Table2)。
精製cRNAの濃度および純度。高純度RNAは、OD値が1.9より大きいことが必要である。したがって、プール試料からのRNAの純度は、その後の処理に十分であった。
精製cRNAをアレイでのハイブリダイゼーション前に断片化した(図4)。
アフィメトリックス(Affymetrix)U133Aアレイのハイブリダイゼーションおよびスキャニング―対照の分析
ハイブリダイゼーション混合物の質を評価するための2つの基礎パラメータがある。すなわち、スパイク対照の存在、およびハウスキーピング遺伝子の3’/5’比である。
スパイク対照は、ハイブリダイゼーション混合物に含まれる対照オリゴヌクレオチドである。スキャニング時のこれらオリゴヌクレオチドの検出は、ハイブリダイゼーション、洗浄、染色、およびスキャニングの工程が適切に行われたことを示す。使用されたスパイク対照は、BioB、BioC、BioD、およびCreである。BioBは、混合物中、分子数が最も低いスパイク対照であり、これによりアッセイの感度を評価するために好ましい対照となっている。
ハウスキーピング対照は、すべての組織およびすべての環境下に構成的に発現される遺伝子のプローブである。アレイ上のプローブは、ハウスキーピング遺伝子の3’、中央、および5’領域にハイブリダイズするように考えられている。3’/5’比は合成cRNAの完全性の指標であり、これは言い換えると、元のRNAの完全性を反映する。したがって、1の3’/5’比は、開始RNAおよび合成cRNAのトータルの完全性を意味する。この比は、起点の組織およびRNAの処理状態によって変動する。アフィメトリックス(Affymetrix)は、3’/5’比が3未満であるcRNA prepsの使用を推奨している。
ハウスキーピング遺伝子の構成的発現は、文献に示されているように、組織によって、かつ実験条件の結果として変動する。アフィメトリックス(Affymetrix)は、真のハウスキーピング遺伝子としてGAPDHを強く推奨している。
代表的な遺伝子をメチル化分析のために選択した。注目すべきは、現在、全ヒトゲノムのゲノム規模のメチル化状態を直接測定するハイスループット技術は存在しないことであり(この方法はその初期段階にある、アドルジャン(Adorjan)ら、2002年、Nucleic Acids Research、30、e21、ヤン(Yan)PSら、2000年、Clinical Cancer Research、6、pp.1432−1438)、ジタン(Gitan)RSら、2001年、Genome Research、12、pp.158−164)、このために、本発明者は初期フィルターをRNA発現プロファイリングに基づき加齢ゲノムに適用した。
アトラス(Atlas)およびアフィメトリックス(Affymetrix)遺伝子発現プロファイリングからの複合データ分析
アトラス(Atlas)およびアフィメトリックス(Affymetrix)プラットフォームを用いるマイクロアレイ分析によって判定される、加齢細胞におけるアップレギュレーテッドトされた遺伝子およびダウンレギュレーテッドトされた遺伝子の例。これらの発現プロファイルは、若老幹細胞集団における活動のゲノム規模の分析を提供し、加齢過程における重要な遺伝子の考えがもたらされる。次いで、かかる遺伝子は、加齢細胞のより若い表現型への最適な再プログラミングを確認するためにメチル化分析において使用される(かかる分析の詳細および実施方法については図6を参照)。
その活動が加齢過程中に顕著に変化した一部の遺伝子が表Table4に示されている。
アフィメトリックス(Affymetrix)およびアトラス(Atlas)プラットフォームを用いるマイクロアレイ分析によって判定される加齢細胞におけるアップレギュレーテッドトされた遺伝子およびダウンレギュレーテッドトされた遺伝子の例が、表Table4に示されている。これらの発現プロファイルは、若老幹細胞集団におけるmRNA活動のゲノム規模の分析を提供し、加齢過程中に変化する重要な遺伝子の尺度をもたらす。次いで、かかる遺伝子は、DNAメチル化分析のために選択され、その後に加齢細胞のより若い表現型への最適な再プログラミングを確認するために使用された。
結果
再プログラミング
一部の成体幹細胞の処理または再プログラミングおよびその後の移植には、厳格な倫理上の指針を満たすこと、および各国の広範囲なドキュメンテーションの十分な完了を必要とすることが当業者によって理解されるであろう。また、技術上の障害は、成体造血幹細胞がエクスビボex vivoでほとんど細胞分裂をし受けないことである。幹細胞は、骨髄の所在地であり、細胞分裂を受ける同じ個体にインビボin vivoで移植される必要がある。したがって、成人幹細胞の再プログラミングされたDNAメチル化状態がインビボin vivoで多くの細胞分裂にわたって安定して遺伝性である原理を証明することは、倫理上および技術上の考慮から生じる現在克服できない多くの障壁を有する。したがって、本発明者は、線維芽細胞のメチル化状態が免疫系T細胞のものに再プログラミングされる細胞を用いる異なるヒト系における安定した遺伝性メチル化変化の原理を証明した。
加齢過程中に変化した遺伝子の選択
どの遺伝子が加齢過程中に変化したDNAメチル化シグネチャーを有するかを判定するために、本発明者は発現プロファイリング(遺伝子のRNA発現レベル)における変性変化にもとづく初期分子フィルターを設定した。一般に、メチル化の増大は遺伝子活動の停止をもたらすが、脱メチル化は遺伝子活動の増大をもたらすため、本発明者は、その活動状態が加齢過程中に変化する遺伝子を見出そうとした。当業者のために、本発明者は、20代前半から60代後半までの範囲の異なる年齢の個体からの動員末梢血由来の成体CD34+幹細胞を使用した(デ ラ ルビア(de la Rubia)ら、2002年、Transfusion、42、pp.4−9))。本発明者は、若老個体間の変化したRNA発現プロファイルを測定するために、市販のアフィメトリックス(Affymetrix)マイクロアレイ(www.affymetrix.com)、および他の市販のプラットフォーム、アトラス(Atlas)を利用した。本発明者は、その発現レベルが加齢過程中にダウンレギュレートまたはアップレギュレートされた遺伝子を選択した。かかる選択の後に、適切な調節または遺伝子制御領域のメチル化状態を検査することができる。
第1の細胞型(線維芽細胞)および第2の細胞型(T細胞)
線維芽細胞に特定のDNAメチル化シグネチャーをゲノム規模で取込み、細胞を一定の時間、健康な個体の細胞系のT細胞、または末梢血からのT細胞由来の抽出物に暴露する。細胞を新鮮培地に移し、細胞に多くの細胞分裂を受けさせる。その分子装飾が線維芽細胞のものからT細胞のものへ変化する再プログラミングされた細胞の表現型状態の変化をモニタリングする(細胞表面分子は表現型状態の1つの取っ掛かりを提供する)。ゲノムDNAを再プログラミングされた細胞から単離し、ゲノムのメチル化シグネチャーを測定し、それを第1の細胞型および第2の細胞型のゲノムのものと比較する。
血液由来幹細胞
同様のプロトコールプロトコルは、適切な倫理上の承認後に幹細胞再プログラミングの場合に適用される。
加齢第1の細胞型またはDNA損傷薬剤で処理された第1の細胞型から血液由来骨髄息細胞を採取する。これらの幹細胞は、そのゲノムにおいて破損したメチルシトシン(MC)シグネチャーを有することがわかっている。細胞を一定期間(数分から数時間)、若い健康な第2の細胞型からの幹細胞の試料から得られた細胞を含まない抽出物に暴露し、次いで暴露された細胞を新鮮培地に移し、処理された幹細胞を損傷幹細胞を有する宿主内へ戻す前に一定期間、細胞をインキュベートする。
第1の細胞型は、再プログラミング処理前の細胞型を表す。第2の細胞型は、第1の細胞型が移動される必要がある目的地点を表す。「再プログラミングされた」は、第2の細胞型からの溶解物、抽出物、または複合物で処理され、かつどこかで第1の細胞型から第2の細胞型の特徴の軌道に沿っている細胞を示す。
細胞型。受精後のヒトには少なくとも300の細胞型があり、典型的に光学顕微鏡下にその形態に基づき定義されている。したがって、好塩基球、好中球、好酸球、巨核球、および血小板などの造血系統のメンバーは、互いに、かつ内皮細胞、皮膚細胞、および神経細胞やグリア細胞など神経系の細胞と容易に区別可能である。細胞型の分子分類は、細胞表面タンパク質および/または細胞の内部タンパク質を認識する抗体が、細胞型間のより細かい区別を可能にすることを示した。マイクロアレイ型技術(細胞内のmRNA分子の存在度および型を測定する)を用いる遺伝子発現プロファイリングは、細胞型間の区別をするためにも使用されうる。
1つの細胞型から別の細胞型への再プログラミング。細胞型は適切な方法を用いることにより相互転換可能である(第1の細胞型は第2の細胞型へ再プログラミングされうる)。従来技術におけるこれら再プログラミングのすべての点で不明なのは、利用可能な細胞マーカーが、再プログラミングされた細胞が第1の細胞型から第2の細胞型へ完全に移動したかどうか示すのに十分に強く、かつ十分に多いかどうか、それが単に部分的に再プログラミングされているかどうか、再プログラミングが安定しているかどうか、または再プログラミングのために使用された方法が、その新しい環境において正常に機能する再プログラミングされた細胞の能力を阻害する望ましくない変化を行ったかどうかである。再プログラミングされた細胞に関して正確な知識は、幹細胞が多くのその後の細胞型の前駆細胞であるため、幹細胞の再プログラミングの場合に特に重要である。また、mRNAまたはタンパク質など、細胞型を描写するために従来技術において使用されているマーカーは、一時的にのみ発現されうる。対照的に、本発明者は、メチル化シグネチャーが、確実に考慮されている時間枠における変化の安定した指標であることを見出した。
異なる細胞型のゲノムのメチル化特徴。本発明では、本発明者が「細胞軌道」と称したものが扱われる。これらの軌道は、1つの細胞型から別の細胞型(第1の細胞型から第2の細胞型)へ誘導し、軌道に沿って再プログラミングされた細胞集団がどこまで位置しているかを測定する。本発明者は、再プログラミングされる細胞のゲノム領域からメチル化シグネチャーを使用し、軌道上の再プログラミングされた細胞の位置を判定する。例えば、ヒトゲノムにおける1000のヌクレオチドの一連のDNAは多くのシトシンを有することになるが、その各々はメチル化(M)または非メチル化(u)状態のいずれかで存在しうる。第1の細胞型におけるこの一連のシトシンは、MMMMMでありうるが、第2の細胞型においては、uMuMuでありうる。これらの特徴的シグネチャーは各細胞型に固有であり、かつ安定しているため、第1の細胞型から第2の細胞型へ再プログラミングされている細胞が、所望の第2の細胞型に関する限り実際に再プログラミングされたかどうか、または軌道に沿って部分的のみであるかどうかを判定することができる。したがって、再プログラミングされた細胞がuMuMuのメチル化シグネチャーを有する場合は、それは第2の細胞型の目的地点に達している。しかし、処理された細胞がuMMMuである場合は、それは軌道に沿って部分的にのみである。しかし、それがuuuMuである場合は、問題があるがり、それは第2の位置が第1の細胞型または第2の細胞型のいずれかには存在しない新たな状態に達したためである。
シグネチャーのレベル。軌道に沿って再プログラミングされた細胞が特定の時間に位置付けられることを示すために選択されるゲノムメチル化シグネチャーは、多くのレベルで記載されうる。例えば、ゲノムのコーディング領域または非コーディング領域にある隣接した一連のDNAが使用されうる。あるいは、異なるゲノムの部分からの一連のDNA、すなわち、23対の染色体の各々からの一続き、または単一の染色体からの複数の一続きが使用されうる。本発明者は、7つの遺伝子(ABCB1、IRF7、ESR1B、GZMA、CDX1、MAGEA2、およびTHY1と称される)の近くにある一連のDNA、およびグアニンに隣接しているシトシンのみを用いることによって、すなわちCGダブレットを使用することによって本発明のデータを示す。
DNAメチル化シグネチャーは、細胞軌道に沿った距離の他の指標よりはるかに優れている。従来技術は分子細胞型の特徴づけにおいて不明確であるが、それは抗体が細胞表面タンパク質に対して使用される場合は、例えば、T細胞受容体複合体が細胞の表面上に存在するが、免疫系の機能的T細胞としてその細胞を分類するために他のタンパク質クラスの存在が不十分であることが確認されうるためである。同様に、mRNA発現プロファイリングにより、遺伝子は各種のレベルで異なる細胞型において発現され、発現のレベルが、特定の型の細胞がきわめて困難であることを描写するのに十分に高いかどうかを判定することができる。また、最も重要なのは、mRNAおよびタンパク質のプロファイリングが一時的でありうることであるが、それは各々が分解酵素、細胞内のマルチ−サブユニットにおける分画、および各mRNA転写にかけられ、かつタンパク質が異なる遺伝子背景において異なる半減期を有するためである。対照的に、本発明者は、メチル化シグネチャーが細胞分裂にわたって安定して遺伝性であることを見出した。
DNAメチル化シグネチャーの測定は、細胞型の識別決定の問題を克服し、再プログラミングから生じる不適切な変化を示すことにおいて有力である。まず、DNAメチル化自体は、特定の細胞型内で何が活性または不活性であるかの指標である。したがって、第1の細胞型から第2の細胞型への移動においては、特別に選択されたゲノム領域(遺伝子のプロモーターまたは調節領域)のメチル化シグネチャーは、遺伝子が処理または再プログラミングされた細胞において不適切にサイレンス状態であるかどうかを示すことになる。サイレンス状態である場合は、mRNAまたはタンパク質産物はその遺伝子座で製造されることになる。mRNAまたはタンパク質産物が細胞に存在するかどうかを従来の方法によって測定することは、特にmRNAまたはタンパク質の存在度が低い場合に、きわめて困難である。DNAメチル化シグネチャーについては、それらは実質的に二元的、すなわち特定のシトシンがメチル化されているか、またはされていないかのいずれかであるため、かかる問題は存在しない。また、メチル化シグネチャーが新規であり、第1の細胞型または第2の細胞型のいずれにも属さない場合は、処理または再プログラミングされた細胞型は、例えば、臨床的使用に不適切であると考えられる。
実験
DNA配列は、ヒトゲノムの7つの領域から選択された。それらの領域のメチル化状態は、DNAのbisulphite変更後のDNA塩基配列決定法によって測定された。第1の細胞型は、再プログラミング処理前の細胞型を表す。第2の細胞型は、第1の細胞型が移動される必要がある目的地点を表す。「再プログラミングされた」は、第2の細胞型からの抽出物で処理された細胞、およびそのDNA配列のメチル化状態を示し、シグネチャーは再プログラミング処理の結果としてDNAレベルで生じた変化を示す。
図6は、再プログラミングされた細胞からのDNAメチル化シグネチャーを分析することによって、再プログラミングされた細胞が所望の第2の細胞型へ移動されている程度の決定がなされうることを示す。再プログラミングされた細胞のメチル化シグネチャーを、処理されていない第1の細胞型および所望のエンドポイントの第2の細胞型のメチル化シグネチャーのものと比較することによって、再プログラミングされた細胞がどの程度まで第1の細胞型から所望の第2の細胞型への軌道を押し下げたか判定されうる。DNAメチル化プロファイルが細胞分裂中に安定して再現されるように、再プログラミングされた細胞はその新しい再プログラミングされたシグネチャーを継承し、その後に忠実に再現することになる。再プログラミングされた細胞のメチル化シグネチャーが第2の細胞型の所望のエンドポイントと異なる場合は、再プログラミングは不完全であり、再プログラミングされた細胞は所望のエンドポイントの細胞型と同じように作用しえない。したがって、再プログラミングされた細胞は移植目的または他の所望の用途に最適とはならない。再プログラミングされた細胞がエンドポイントの第2の細胞型のメチル化プロファイルをとる場合に限り、再プログラミングされた細胞は移植または他の目的に利用されうる。
この図は、処理または再プログラミングされた細胞からのメチル化シグネチャーを分析することによって、処理または再プログラミングされた細胞が所望の細胞型へ移動されている程度の決定がなされうることを示す。処理または再プログラミングされた細胞のメチル化シグネチャーを処理されていない第1の細胞型および所望のエンドポイントの第2の細胞型のメチル化シグネチャーのものと比較することによって、処理または再プログラミングされた細胞がどの程度まで第1の細胞型から所望の第2の細胞型への軌道を押し下げたか判定されうる。メチル化プロファイルが細胞分裂中に安定して再現されるように、処理または再プログラミングされた細胞はその新しい再プログラミングされたメチル化シグネチャーを継承し、その後に忠実に再現することになる。処理、再プログラミングされた細胞のメチル化シグネチャーが第2の細胞型の所望のエンドポイントと異なる場合は、処理または再プログラミングは不完全であり、処理または再プログラミングされた細胞は所望のエンドポイントの第2の細胞型と同じように作用しえない。したがって、処理または再プログラミングされた細胞はたとえば移植目的に最適とはならない。処理または再プログラミングされた細胞が第2の細胞型または他の所望の細胞型のメチル化シグネチャーまたはプロファイルをとる場合に限り、再プログラミングされた細胞は移植目的に利用されうる。
上記の結果から、第1の細胞型の処理または再プログラミング後に、試験された遺伝子の4つ(ABCB1、IRF7、ESR1BおよびMAGEA2)がメチル化レベルで忠実に再プログラミングされ、かつ1つの遺伝子、CDX1が部分的な遺伝子外の再プログラミングを示したことが明らかに確認されうる。しかし、2つの遺伝子、THY1およびGZMAはうまく再プログラミングされなかった。GZMAはT細胞およびナチュラルキラー細胞−特異的セリンプロテアーゼであり、したがって、不正確な再プログラミングは、これらの細胞が移植目的には最適ではないことを示す。
再プログラミングされた細胞におけるGZMAのメチル化シグネチャーは、遺伝子サイレンシングを示す。これは、遺伝子産物がもはや存在しないため、従来の遺伝子発現プロファイリングまたはプロテオーム試験を用いて検出することはきわめて困難となる。しかし、メチル化の結果は、再プログラミングされた細胞における潜在的な問題の明白な指標である。
このアプローチは、再プログラミングされた細胞型間を正確に区別するメチル化分析の潜在的可能性を示し、かつ移植法のための最適な細胞を選択する有力な手段を可能にする。この方法は、移植とは無関係に細胞の再プログラミングプロトコールプロトコルを最適化するためにも望ましい。
図6における結果から、第1の細胞型の再プログラミング後に、試験された領域の4つ(ABCB1、IRF7、ESR1BおよびMAGEA2)がメチル化レベルで忠実に再プログラミングされたが、1つの領域、CDX1は部分的な再プログラミングを示したことが明らかに確認されうる。しかし、2つの遺伝子、THY1およびGZMAはうまく再プログラミングされなかった。GZMAはT細胞およびナチュラルキラー細胞−特異的セリンプロテアーゼであり、したがって、不正確な再プログラミングは、これらの細胞が移植目的には最適ではないことを示す。
本発明者のアプローチは、再プログラミングされた細胞型間を正確に区別するDNAメチル化分析の潜在的可能性を示し、かつ移植法のための最適な細胞を選択する有力な手段を提供する。この方法は、移植とは無関係に細胞の再プログラミングプロトコールプロトコルを最適化するためにも望ましい。
細胞型内のメチル化シグネチャーの変化。本発明のメチル化シグネチャープロトコールプロトコルの能力は、それが同じ細胞型である分析細胞集団に達し、かつ転写およびプロテオーム分析がきわめて困難である場合に実現されうる。好ましいケースは、老造血幹細胞をより若い幹細胞への、免疫系の老いたT細胞を免疫系のより若い細胞への再プログラミングである。これらのケースでは、mRNAレベルおよびタンパク質レベルでの変化はわずかであると予想され、従来の方法が拡大解釈される。ヒトゲノムから選ばれた遺伝子座を用いるメチル化シグネチャーは、老から若への再プログラミングが有効であったかどうか、かつ最も重要なことは、不適切な変化が回避されたかどうかを検出することができる。
大まかに述べられた本発明の精神または範囲を逸脱することなく、特定の実施形態において示された本発明に多くの変型および/または改造がなされうることを当業者によって理解されるであろう。したがって、本実施形態は、すべての点で、例示的であって限定的ではないとみなされるべきである。
図面の簡単な説明
アフィメトリックス(Affymetrix)マイクロアレイプラットフォームでの分析前にRNAが高い品質であったことを測定するために成人末梢血幹細胞から単離されたトータルRNAのアガロースゲル電気泳動分離を示す図である。レーンMは、分子量マーカーを示す。レーンSE488およびレーンSE489は、2個体からのRNAを示す。2つの目立ったバンドは、18Sおよび28SリボソームRNAを表す。 別の処理前のRNAの品質を測定するRNeasy精製試料のアガロースゲル電気泳動分離を示す図である。レーンMは、分子量マーカーを示す。レーンSE488は、両個体のプールからのRNAを示す。2つの目立ったバンドは、18Sおよび28SリボソームRNAを表す。結果は高品質RNAと一致する。 精製cRNAのアガロースゲル電気泳動分離を示す図である。レーンMは、分子量マーカーを示す。レーンSE488は、両個体(SE−488)からのプールのcRNAを示す。 アガロースゲル電気泳動によるcRNA断片化の検証を示す図である。レーンMは、分子量マーカーを示す。レーンSE488は、両個体からのプールの断片化cRNAを示す アトラス(Atlas)8Kマイクロアレイを用いた若幹細胞対老幹細胞の発現プロファイルのマイクロアレイ分析を示す図である。アレイ上の各プローブは、ヒト遺伝子からの転写にハイブリダイゼーションするためであり、各プローブは2回スポットされたため、二重スポットである。細胞集団からの放射活性物質で標識したRNAをアレイにハイブリダイゼーションしたが、二重スポットの信号強度は、この特定の細胞型における特定の遺伝子の発現レベルを示す。 ABCB1、IRF7、ESR1B、GZMA、CDX1、MAGEA2、およびTHY1と呼ばれる7つの選択遺伝子座をかくまうヒトゲノムの領域からのDNA配列、および再プログラミング前と再プログラミング後の細胞からのDNA抽出物のbisulphite修飾後のDNA塩基配列決定法によって測定されたそのメチル化状態を示す図である。第1の細胞型(処理または再プログラミングされる細胞)は、処理前の細胞型を表す。第2の細胞型は、第1の細胞型が移動されるべき所望のエンドポイントを表す。「再プログラミング(Reprog)」は、第2の細胞型からの抽出物で処理されている細胞からのゲノムDNA配列のメチル化状態を示す。DNAレベルでの変化は、処理の結果である。

Claims (21)

  1. 細胞の特徴または状態を変化させるための方法であって、
    細胞における特徴または状態を変化させることが可能な薬剤で第1の細胞型を処理する工程と、
    処理された細胞のゲノムにおけるメチル化シグネチャーを測定することによって処理された細胞における変化の程度を判定する工程であって、所定のメチル化シグネチャーが処理された細胞の変化した特徴または状態を示す工程と、を含む方法。
  2. 前記第1の細胞型が、
    年齢関連の疾患、癌などの疾患、自己免疫疾患、心筋梗塞または虚血などの心血管障害を罹患する個体由来の細胞、
    免疫および造血器系の幹細胞、T細胞、または単球、
    正常細胞、およびそれらの組合せからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
  3. 第1の細胞型が幹細胞である、請求項2に記載の方法。
  4. 前記薬剤が、化学物質、薬物、核酸、アプタマー、抗体、抗原、Intercalting Nucleic Acid (INA)、ペプチド核酸(PNA)、Locked Nucleic Acid (LNA)、ヘキシトール核酸(HNA)、アルトリトール核酸(ANA)、シクロヘキサニル核酸(CNA)、オリゴヌクレオチド、修飾オリゴヌクレオチド、一本鎖DNA、RNA、タンパク質、ペプチド、所望の特徴または状態を有する第2の細胞型からの抽出物、溶解物、または細胞成分、それらの組合せ、およびそのキメラ変形より成る群から選択される、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 前記薬剤が、所望の特徴または状態を有する第2の細胞型からの抽出物、溶解物、または細胞成分である、請求項4に記載の方法。
  6. 前記第2の細胞型が、任意の細胞型または細胞型の組合せである、請求項5に記載の方法。
  7. 前記第1および第2の細胞型が、ヒト造血器系の細胞、他の幹細胞、および上皮細胞からなる群から選択される、請求項6に記載の方法。
  8. 前記第2の細胞型が、正常または健康な個体由来の、前記第1の細胞型と同様の細胞型である、請求項7に記載の方法。
  9. 前記第2の細胞型が幹細胞である、請求項8に記載の方法。
  10. 前記第1の細胞型の細胞および前記第2の細胞型の細胞が、同じ種からの同じ細胞型である、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
  11. 前記第1の細胞型および前記第2の細胞型が同じ細胞型ではない、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
  12. 前記第1の細胞型および前記第2の細胞型が同じ種のものではない、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
  13. 前記第2の細胞型が両生動物の細胞であり、前記第1の細胞型がヒトまたは他の哺乳動物の細胞である、請求項12に記載の方法。
  14. 前記第1の細胞型が、該細胞に高分子に対する透過性を与えるために前処理される、請求項1〜13のいずれか一項に記載の方法。
  15. 前記細胞が、エレクトロポレーション、低温熱ショック、またはストレプトリジンOなどの各種酵素によって前処理される、請求項14に記載の方法。
  16. 前記前処理が、前記細胞に一時的に透過性を与える、請求項15に記載の方法。
  17. 前記処理された細胞を培養または成長させ、前記処理された細胞の複数のコピーを得る工程をさらに含む、請求項1〜16のいずれか一項に記載の方法。
  18. 前記処理された細胞が、細胞の成長および分裂に適した条件下で、適切な培地または宿主で培養される、請求項17に記載の方法。
  19. 前記宿主が、ウシ、ヒツジ、ウマ、家禽、およびブタからなる群から選択される家畜である、請求項18に記載の方法。
  20. 前記メチル化シグネチャーが、特定の細胞型に対応する特徴的なメチル化シグネチャーを有するゲノムの領域内のシトシンの群である、請求項1〜19のいずれか一項に記載の方法。
  21. 前記メチル化シグネチャーが、bisulphite修飾およびその後のDNA配列解析によって決定される、請求項1〜20のいずれか一項に記載の方法。
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