JP2006505268A - 少なくとも2つの核酸配列間の比率を定量化する方法 - Google Patents
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Abstract
本発明は、多重核酸増幅反応を用いて試料中の関心のある少なくとも2つの核酸の量の初期比率を定量する方法を提供し、該方法は、前記増幅反応において関心のある核酸を増幅し、前記反応において異なる少なくとも2つの時点で、関心のある少なくとも2つの核酸の量を測定し、前記関心のある少なくとも2つの核酸の増幅率を少なくとも2つの前記測定から増幅率を決定し、参照と前記比率とを比較し、試料中の、前記関心のある少なくとも2つの核酸の量の初期比率を前記対象から決定することを含む。好ましくは、前記核酸増幅反応における少なくとも1つの可変要因は、関心のある1つ以上の核酸の増幅および/または検出限界に到達する前に、関心のある全ての核酸の検出レベルに到達するように調整される。本発明の方法によれば、比率間の僅かな差が決定される。さらに、初期核酸比率が直接測定される。本発明の方法は、たとえば、細胞性生物の機能決定、病気の段階、治療活性の決定および/または、薬剤あるいは候補化合物の可能性のある副作用を決定するのに適している。
Description
本発明は分子生物学の分野に関する。
核酸の検出は、診断学のような、生物学や医学の多くの用途に有用な手段である。たとえば、個体内での病原体の存在は、前記個体由来の試料内の、体外からの病原体の核酸の検出によって明らかにされ得る。そのような方法を用いて、病原体が存在するかどうか、また、もし存在するならば、どの病原体が関与しているのかが推定されることがよくある。特定の(病原体の)核酸配列の存在を定性的に決定するのには差し支えのないことが多い。しかしながら、他の用途において、核酸量が予測されるべきである。たとえば、細胞中のミトコンドリアDNAの量は、前記細胞中に存在するミトコンドリアの数を示す。細胞中のミトコンドリアDNAの量が時間とともに減少すれば、それはミトコンドリアの減少と前記細胞の代謝活性の減少とを示唆している。別の例では、細胞中のmRNA配列の量が、前記細胞中の対応する遺伝子の転写の段階を示す。このような転写の段階での(突然)変異は、発病のように、生物の変化した状態を示している。
核酸の検出は、診断学のような、生物学や医学の多くの用途に有用な手段である。たとえば、個体内での病原体の存在は、前記個体由来の試料内の、体外からの病原体の核酸の検出によって明らかにされ得る。そのような方法を用いて、病原体が存在するかどうか、また、もし存在するならば、どの病原体が関与しているのかが推定されることがよくある。特定の(病原体の)核酸配列の存在を定性的に決定するのには差し支えのないことが多い。しかしながら、他の用途において、核酸量が予測されるべきである。たとえば、細胞中のミトコンドリアDNAの量は、前記細胞中に存在するミトコンドリアの数を示す。細胞中のミトコンドリアDNAの量が時間とともに減少すれば、それはミトコンドリアの減少と前記細胞の代謝活性の減少とを示唆している。別の例では、細胞中のmRNA配列の量が、前記細胞中の対応する遺伝子の転写の段階を示す。このような転写の段階での(突然)変異は、発病のように、生物の変化した状態を示している。
我々が特許出願WO 0246470に開示しているように、比率の決定により、細胞性生物の機能(不全)が決定される。該比率はまた、相対比率とも呼ばれ、該相対比率とは、第2核酸の量および/またはその遺伝子産物の量に対する、前記生命体から得られた試料内の、内部細胞の細胞小器官の第1核酸の量および/またはその遺伝子産物の量の比率である。(相対)比率とは、第2核酸の量および/またはその遺伝子産物の量に対する前記内部細胞の細胞小器官の第1核酸の量および/またはその遺伝子産物の量ということである。前記比率は、たとえば、前記第1核酸の量あるいはその遺伝子産物の量を、前記第2核酸の量あるいはその遺伝子産物の量で割ることで(特に)決定される。逆も同様である。1つまたは両方の化合物の量はまた、基準値で割る、あるいは基準値から引いてもよい。細胞性生物の機能を決定するとは、前記細胞性生物は自然の健康状態にあるのか、あるいは前記生物は何らかの、たとえば病気および/または(毒性)化合物のような影響を受けているのかを決定するということである。前記病気および/または(毒性)化合物は、臨床症状が現れる程度に、前記生命体に影響を及ぼしうる。また、前記病気あるいは(毒性)化合物は、臨床症状が(まだ)現れていないうちから前記生物に影響しているかもしれない。
内部細胞小器官は、真核細胞の細胞小器官であり、真核細胞の該細胞小器官は、真核細胞の進化において、非常に初期の原核生物のバクテリアに由来すると考えられている。これらのバクテリアは、(一般的にそう考えられているように)初期の真核細胞と共生関係にあった。そして、現在では、これらの内部細胞小器官からなる真核生物は、一般的に細胞小器官がなければ生存することができない。現在の真核細胞はいずれも、ミトコンドリアなしでは正常に機能せず、ほとんどの植物細胞は、前色素体あるいは前色素体由来の細胞小器官、たとえば葉緑体、エチオプラスト、アミロプラスト、エライオプラストあるいは有色体が存在しないとき、少なくとも機能不全だと考えられている。一般的に、これらの細胞小器官は、少なくとも部分的に自己複製体であるようにみえ、多少核の支配下にはあるが、依然としてかなり自立しているようである。
核酸の比率は、試料中に存在する前記核酸の量を測定することにより決定される。その測定は、たとえば、標的核酸の増幅のような、たいてい少なくとも1段階以上の処理過程の後になされる。前記の量が測定された後、ある量を別の量で割ることにより、前記比率は決定され得る。
微量の標的核酸は、酵素増幅を用いることによって検出および定量される。酵素増幅技術の例としては、PCR1、NASBA2、SDAおよびTMAがある。標的核酸配列の特定の増幅は、反応にプライマ配列を加えることにより達成できる。増幅領域は、増幅反応の終わりに、前記増幅領域に特有のプローブにより検出される。あるいは、前記増幅反応3における前記増幅核酸の生成の間、増幅領域は検出される。後者の手順において、前記プローブが対応する核酸に混成した後、プローブに付着されたラベルのシグナルが感知できるようになる。増幅反応において同時に同種の検出を可能にするようなプローブの例としてはTaqMan3およびMolecular Beaconプローブ4,5がある。
ここで使用される「核酸」、「核酸配列」および「核酸分子」は同義的に使われる。
ここで使用される「核酸」、「核酸配列」および「核酸分子」は同義的に使われる。
標的核酸配列の定量は一般に、競合分子を加えることにより達成され、該競合分子は、同じプライマを用いて増幅され、競合相手と標的核酸配列2,6の間で識別できる配列を含む。増幅された競合相手と標的核酸配列との間の比率は、前記標的核酸配列を定量するために用いられる。競合相手あるいは標的核酸配列の検出は、たとえば、競合相手あるいは標的核酸配列の前記増幅領域に特有のプローブによって、増幅領域の終わりに、あるいは増幅反応における前記増幅核酸の生成の間に達成される。後者の手順において、前記プローブが対応する核酸に混成した後、および、前記標的が閾値、すなわち陽性になるまでの時間あるいはサイクル数を越えたとき、プローブに付着されたラベルのシグナルが感知できるようになる。定量化の他の方法においては、競合相手7を加えることなく、陽性になるまでの時間が定量化に用いられる。
したがって、核酸の標的配列の比率を決定するために、前記標的配列を大きく増幅する。より正確な結果は、WO 0246470に開示の方法を用いて得られる。該方法においては、標的核酸配列は単一の増幅反応で、好ましくは1つの反応容器あるいはチューブ内で同時に増幅される。これは増幅反応の多重化、あるいは多重増幅反応と呼ばれる。この方法により、多重単独定量増幅における変動による倍の開きが少なくとも部分的に避けられる。一般的に、単独増幅反応では、種々の反応混合物の条件の変化により結果に倍の開きが出る。たとえば、核酸1の反応混合物の温度は、核酸2の反応混合物の温度よりわずかに高いこともある。このため、核酸1の収率の方が高い結果になることもある。したがって、反応混合物1の温度が反応混合物2の温度と同じである場合に測定するよりも、核酸2に対する核酸1の量の比率が大きい結果になることもある。前記反応混合物中における前記温度の差のために、所定の比率は、初期の試料に存在していた2つの核酸の真の比率と全く同じではない。同様に、たとえば加えられた酵素の量のように他の条件のわずかな変化が、核酸1および核酸2の所定の量の変化につながることもあり得る。したがって、核酸1および核酸2の測定量は互いに依存することなく単独に変化することもある。前記所定の量における単独の変化により、前記測定量から計算された比率が、さらに、より大きく変化することもあり得る。これは、結果における倍の開きと呼ばれる。したがって、倍の開きとは、ここにおいては、少なくとも2つの反応混合物の少なくとも1つの反応条件の変化のために、得られた結果に少なくとも1つの変化があるということである。たとえば、体積の全量が、2つの反応混合物間でわずかに異なることもある。
WO 0246470は、2つ以上の核酸標的配列が増幅されるときに結果として起こる倍の開きの解決方法を開示している。多重増幅反応における変化の数は大幅に減少し、さらに正確かつ信頼できるデータが得られる。少なくとも2つの核酸の最初の比率は、現在、増幅反応の間あるいは後に生成した識別できるシグナルにより決定される。技術的に、多重増幅反応は試料中の核酸の存在を定量的に検出するために主に用いられる。
核酸比率において、非常にわずかな差を測定することが望まれることが多い。核酸比率においてわずかな差を測定することは、たとえば、診断の目的で望まれる。なぜなら、生物において、核酸の量は、厳重に決められており、少量の変化でさえも、大きな生物的な結果を伴うことがある。個体の状態の診断をするために、異なる時点に前記個体から採取された試料により、たとえば、ミトコンドリアDNAと核DNAとの比率を調べることができる。ミトコンドリアDNAの量のわずかな変化が検出されるべきである。その比率が時間と共にわずかに、たとえば、20%だけ減少した場合、それは、ミトコンドリアが20%減少していることを示唆している。20%減少したミトコンドリアは、すでに非常に深刻な生物的結果を伴っていることもあり得る。別の例として、個体が病気に対する治療を受けた場合、(ミトコンドリア)DNAおよび/またはmRNAの20%の減少は、深刻な副作用を示唆している。したがって、比率における非常に少量の変化が、好ましくは測定されるべきである。しかしながら、現行の方法では、要求される識別感度が必ずしも容易に得られるわけではない。とりわけ、核酸が増幅される場合、測定量を得ることが必要な場合が多いが、初期の核酸比率におけるわずかな差を測定することは必ずしも容易ではない。これは、増幅の間に、得られる核酸の量に影響する多くの因子のためである。したがって、好ましくは異なる核酸間の重要な差が容易に測定される。さらに、増幅後の核酸比率は、前記核酸の初期比率を必ずしも正確に反映していない。これは、異なる核酸の増幅率における差のためである。たとえば、核酸の短い配列は、第2の、より長い配列よりも早く増幅されることが多い。このような問題のために、現行の方法で、核酸比率間のわずか差を定量することは必ずしも容易ではない。たとえば、0.3 log(因子2)の差がある、HIV-1ウイルス量の2つの評価の結果は、現在のところ同じ結果と考えられている。
本発明の目的は、試料中の少なくとも2つの核酸量の初期比率を定量するための改良法を提供することである。本発明の方法を用いて、比率間のわずかな差を決定することが可能である。さらに本発明は、前記核酸の増幅の間および/または後に初期比率を直接測定することを可能にする。増幅の間、内部キャリブレータは必要ない。このことにより、大量の試料の高速自動スクリーニングが可能になる。本発明の方法は、初期核酸比率の直接測定を含み、処理能力の高い自動化された実用的な処理と組み合わせることができる。
本発明は、多重核酸増幅反応を用いて試料中の関心のある少なくとも2つの核酸の量の初期比率を定量する方法であって、該方法は、
前記増幅反応において関心のある前記核酸を増幅し、
前記反応中の少なくとも2つの異なる時点で関心のある少なくとも2つの核酸の量を測定し、
前記少なくとも2つの測定から、前記関心のある少なくとも2つの核酸の前記増幅率を決定し、
参照と前記比率とを比較し、
前記比較から、前記試料中の前記関心のある少なくとも2つの核酸量の前記初期比率を決定することを含む。
前記増幅反応において関心のある前記核酸を増幅し、
前記反応中の少なくとも2つの異なる時点で関心のある少なくとも2つの核酸の量を測定し、
前記少なくとも2つの測定から、前記関心のある少なくとも2つの核酸の前記増幅率を決定し、
参照と前記比率とを比較し、
前記比較から、前記試料中の前記関心のある少なくとも2つの核酸量の前記初期比率を決定することを含む。
試料中の少なくとも2つの核酸量の初期比率とは、ここでは、前記試料中の少なくとも第2核酸の初期量に対する前記試料中の第1核酸の初期量ということである。試料中の核酸の初期量は、前記核酸が大幅に増幅される前の前記試料中前記核酸の量である。前記初期量は、好ましくは、前記試料が得られたときに前記試料中に存在する核酸量と実質的に等しい。ここで用いられる「核酸量の比率」および「核酸比率」同義的に使われる。
驚くべきことに、本発明の方法を用いて、核酸比率のわずかな変化を測定することが可能である。核酸比率のわずかな差の正確かつ信頼に足る測定が今回可能になった。このことは、初期の時点での生物学的に重要な変化を検出するために非常に重要である。本発明の方法はわずかな核酸比率の差の正確な定量に適していると予想されなかっただろう。なぜなら本発明の方法は核酸の増幅を含むからである。技術的に一般的な考えとして、核酸増幅の結果は、試料の存在する酵素、ヌクレオチドおよび核酸の量、温度、培養時間、塩分濃度ならびに(組織)複製起点等の多くの因子によりある程度変化する。したがって、核酸増幅を含む方法は、核酸比率のわずかな差の定量に適しているとは必ずしも考えられるわけではなかった。したがって、1つの反応容器あるいはチューブの中に2以上の定量増幅反応を多重化するために技術的になされた試みは、1つの反応容器あるいはチューブの中で単独の定量増幅を共増幅することに限定されることが多く、それぞれの定量増幅を内部キャリブレータを用いて共増幅する。この方法は、PCR13およびNASBA14増幅の両方に適用されている。しかしながら、そのような方法は、2つ以上の単独核酸標的配列の間の初期比率の直接測定ではなく、異なる効率を有し、それぞれの核酸標的配列のための内部キャリブレータの非常に複雑な増幅になる可能性が高い単独定量共増幅である。したがって核酸比率のわずかな差を測定することは必ずしも容易なことではなかった。しかしながら、本発明の方法は、核酸比率におけるわずかな差に対して正確な結果を与える。今回、増幅率は核酸量の初期比率に直接関連している。
また、核酸が非常に異なる量で存在しても、核酸の初期比率は決定できる。本発明の方法を用いて、核酸量の初期比率は3〜4程度の動的な範囲内で測定可能である。このことは、たとえある核酸量が、3〜4程度で別の核酸量を越えたとしても、それらの間の比率を決定することは可能ということである。これはたとえば、十分な核の核酸に対して、細胞小器官あるいは病原体の核酸の間の比率が決定される場合に重要になる。非常に異なる量の核酸比率を測定することができなければ、少量の(重要な)核酸は検出されないこともあるであろう。
本発明によれば、核酸の増幅率は前記核酸量の元の比率を示している。これはまた、初期に少量存在する第1核酸が第2核酸より早く増幅する場合もである。これは、たとえば、核酸の長さのように多くの異なる因子により起こりうる。増幅後、前記第1核酸は元の量より多く存在することもある。これは技術的に、増幅、特に多重増幅を用いた定量にとって障害になることもある。しかしながら、本発明の方法を用いればこれは問題にならない。なぜなら、増幅された核酸の生成量ではなく増幅率が測定されるからである。
核酸の増幅率は前記核酸の検出レベルに到達した後に決定される。核酸の検出レベルとは、特定の検出方法を用いた前記核酸の検出に要求される前記核酸の最小量ということである。検出レベルが、使用される検出方法に依存していることは明らかである。
さらに、核酸の増幅率は、好ましくは前記核酸の増幅限界および/または検出限界に到達する前に決定される。核酸の増幅限界とは、増幅反応の間に生成する前記核酸の最大量ということである。核酸の生成を制限する因子には、存在するヌクレオチドの量が含まれる。ヌクレオチドが存在しない場合、核酸はもはや生成しない。検出限界とは、検出され得る生成した核酸の最大量ということである。たとえば、生成した核酸が、このような核酸に混成可能なプローブを用いて検出される場合、プローブの量は、検出され得る核酸量を制限し得る。プローブが得られない場合、増幅反応が継続していても新たに生成された核酸はもはや検出されない。
核酸の増幅率は、検出レベルに到達した後ならびに増幅限界および/または検出限界に到達する前の2つの時点での前記核酸量を測定し、得られた2つの値の間の勾配を決定することによって決定される。しかしながら、好ましくは、核酸量は少なくとも3つの時点で測定される。前記プロットされた少なくとも2つの値の間の勾配は、技術的に既知の適切な方法で決定される。たとえば、少なくとも2つの値を用いて、X軸が時間を、Y軸が検出された核酸量を表すグラフを作ることができる。続いて、前記値を本質的につなぐ曲線の勾配が決定される。当然のことながら、現在の計算技術を用いれば、前記グラフは物的に作る必要はない。特定の一組の値の間の勾配は、たとえばコンピュータを用いて直接計算することができる。技術的に、特定の一組の値の間の勾配を決定する多くの代替の方法が既知である。そのような方法が本発明の方法に用いられる。
通常、増幅反応において核酸はまず直線的に増幅し、その後増幅限界に到達する直前に核酸は非直線的に増幅する傾向になる。同じことが検出にも当てはまり、検出限界に到達する直前に非直線的に増える。増幅率は、好ましくは核酸の増幅および検出が直線的に増加している間に検出される。したがって、好適な実施形態において本発明の方法は、検出される核酸量が直線状に増加している時間間隔内で前記時点が選択されるように規定されている。直線的に増加するということは、核酸量が同じ長さの時間間隔内で、本質的に等しく増加するということである。
本発明の観点から、核酸の増幅率とは、特定の時間間隔の間に生成した核酸量ということである。たとえば、前記増幅率は、1秒ごとの核酸の増加として表される。
関心のある少なくとも2つの核酸の増幅率が決定されると、前記比率は参照と比較される。前記参照は本発明の方法を、異なる、既知の核酸量で実施することによって得られる。当然のことながら、参照を生成するために、好ましくは本発明の方法で定量されるべき核酸の種類と同種の核酸が用いられる。たとえば、例に示すように参照曲線が作られることが好ましい。参照曲線は好ましくは、種々の初期比率での前記核酸を含む多重増幅反応を用いて作られる。さらに、好ましくは、前記種々の初期比率は、試料中において測定されることが予想されるものと本質的に同じ初期比率を含む。ある実施形態によれば、参照曲線は、定量されるべき核酸が存在する細胞と同種の細胞由来の核酸を用いて作られる。好ましくは、前記核酸は、定量されるべき種類の核酸と同種である。
参照が生成した後、本発明の方法に試料が提供される。関心のある核酸の増幅率は、前記参照と比較される。このような比較から、前記試料中の関心のある前記核酸量の初期比率が決定される。増幅された核酸比率が前記核酸の元の比率と同じではない場合にもこの方法は実施できる。第1核酸が、第2核酸より早く増幅される場合、これは前記核酸の基準値に反映される。
異なる核酸標的配列間の増幅効率の差が考慮されると、さらに正確な結果が得られる。特に、リアルタイムで観察した多重増幅反応において、識別可能なシグナルの増加は、単一の反応および/または核酸標的配列が増幅される単一の容器またはチューブにおける増幅試薬に対する多重核酸標的配列の競合の結果である。多くの因子が核酸の増幅効率に異なる程度に影響する。核酸の増幅効率に影響するとわかっている因子は、たとえば、前記核酸配列の特性(たとえば前記核酸分子のGC含量および長さ)、前記核酸の修飾(たとえばメチル化)ならびに前記核酸の2次構造および3次構造である。各核酸の増幅は異なる程度に、このような因子の影響を受けるため、増幅された核酸の量は、前記核酸の初期量を正確に反映しないことが多い。したがって、技術的に、現在の方法では、それぞれの核酸の量は内部基準から推定されることが多い。増幅された核酸量が推定された後、核酸量の間の比率が決定される。しかしながら、本発明の方法では、増幅された核酸量の代わりに、増幅率が決定される。したがって本発明の方法では、増幅された核酸量を決定するための内部基準は必要ない。
しかしながら、第1核酸が第2核酸と比較して非常に効率的に増幅される場合、前記第1核酸が他方よりも「成長しすぎる」リスクが存在する。このような場合、第2核酸が、時間内に検出可能な量に到達しないリスクが存在し得るが、全くそのリスクが存在しないこともある。前記第2核酸が全く検出可能な量に到達しない場合、核酸量の元の比率は決定できないこともある。第1核酸の増幅限界あるいは検出限界、すなわち非直線相に既に到達しているときに、第2核酸だけが検出レベルに到達することも起こり得る。
増幅率における相当の差が、DNAおよびRNA増幅の間で観測されることが多い。これに関しては、DNAおよびRNAの間の構造の大きな違い、ならびに異なる種類の酵素の必要性のように、他のものの間でもあるような多くの理由が存在する。しかしながら、増幅反応がDNAのみ、あるいはRNAのみで行われたときにも、増幅効率の差は存在することが多い。したがって、好適な実施例では、本発明の方法は、前記核酸増幅反応において少なくとも1つの可変因子が、関心のある1つ以上の核酸の増幅および/または検出限界、すなわち非直線相に到達する前に、関心のある全ての核酸の検出レベルに到達することを可能にするように調整される。速く増幅する核酸を「補償する」ために、好ましくは、関心のある別の核酸と比較して、関心のある特定の核酸の増幅効率に異なる程度に影響を与える可変因子を調整する。たとえば、可変因子は、通常遅く増幅する核酸の増幅効率に主に影響するように調整され得る。前記増幅効率は向上することが好ましい。当然のことながら、通常速く増幅する核酸の増幅効率に主に影響する(好ましくは減少するように)可変因子を調整することも可能である。
少なくとも1つの核酸の増幅率に影響するように、多くの因子を調整することが可能である。たとえば、単位複製配列の長さを調節することが可能である。しかしながら、好ましくは、少なくとも1つのプライマおよび/またはプローブが調整される。たとえば、プライマ/プローブの配列は、核酸がより効率的に増幅/検出されるように調整可能である。プライマあるいはプローブの長さもまた変化させることが可能である。本発明のある実施形態では、前記可変因子には少なくとも1つの濃度が含まれる。核酸増幅反応はたいてい過剰のプライマを含むが、驚くべきことに、本発明者によって、プライマの濃度が核酸の増幅率にかなりの程度で影響することが発見された。プライマが過剰に存在していたとしても、恐らく、プライマの濃度の変化はかなりの影響を有している。好ましくは、少なくとも1つのプライマの濃度が他の少なくとも1つのプライマの濃度と大きく異なる。大きく異なるとは、前記濃度の間の差が、通常の開き差、たとえば、(手動での)試薬の取り扱いによる差より大きいということである。好ましくは、前記濃度は関心のある特定の核酸の増幅効率が、関心のある別の核酸と比較して異なる程度に影響を受けるという程度に異なる。好ましくは、関心のある核酸にアニーリングできる少なくとも一組のプライマの濃度が調整される。一組のプライマとは、特定の核酸にアニーリングできる順方向のプライマ、および同じ(種類の)核酸の相補鎖にアニーリングできる逆方向のプライマを含む一組を意味する。さらに好ましくは、関心のある核酸にアニーリングできる少なくとも一組のプライマの濃度は、関心のある核酸にアニーリングできる他の少なくとも一組のプライマの濃度と大きく異なる。例では、異なる量のプライマの組が使用されたとき、核酸増幅効率が非常に影響することを示している。たとえば、プライマの組の量は少なくとも1つの核酸が最適に増幅されるように調整可能である。
本発明の別の実施形態では、前記可変因子は塩濃度を含む。驚くべきことに、本発明者は、塩濃度の変化が異なる核酸の増幅効率に異なるように影響することを発見した。したがって、塩濃度を変化させることにより関心のある特定の核酸の増幅率が影響を受ける。
本発明の方法を用いて、通常他の核酸が増幅および/または検出限界に到達する前に、前記核酸が検出可能なレベルに到達する程度に、通常遅く増幅する核酸の増幅率に影響を与えることが可能である。通常遅く増幅する核酸の増幅率を高めることができる。通常早く増幅する少なくとも1つの核酸の増幅効率を減少させることも可能である。
好ましくは、本発明の方法は、少なくとも2つの単独の核酸配列の量の初期比率を定量するために用いられる。単独の核酸配列とはここでは、前記配列が異なるプライマを用いて増幅されることを意味する。関心のある核酸と同じプライマを用いると、本発明の方法では内部キャリブレータは必要ない。別の好適な実施形態では、関心のある少なくとも1つの前記核酸はRNAを含む。特にmRNA量は特定遺伝子の転写率、したがって、細胞の(転写)活性を示唆している。さらに別の好適な実施形態では、関心のある少なくとも1つの前記核酸はDNAを含む。例で示すように、DNAおよびRNAの混合物の量の比率もまた、本発明の方法を用いて正確に定量することが可能である。
ある好適な実施形態において本発明の方法は、前記多重増幅反応がNASBAのように核酸が連続的に増幅する増幅反応を含む。増幅反応は、核酸が連続的に増幅されることが好ましい。なぜなら、連続的に増幅する核酸は前記核酸の増幅率の測定に特に適していることがわかっているからである。連続的に増幅している核酸を用いて、時間間隔毎の、増幅された核酸量は、前記核酸の増幅率を示している。PCRのような多重サイクルを利用する増幅反応において、核酸は連続的に増幅されない。サイクル毎の時間(すなわち各サイクルに対する時間量)は注意深く選択されねばならない。関心のある核酸がサイクル毎の時間よりも遅く増幅された場合、別のサイクルが開始したときにまだ完全に増幅していない。1サイクルの間に核酸が完全に増幅されないリスクを避けるために、サイクル毎の時間は必ず比較的長くなければならない。その場合、関心のある大部分あるいは全ての核酸はサイクル毎の時間より速く増幅されるだろう。そのとき、増幅された核酸は新たなサイクルが開始されるまで「待た」ねばならない。したがって、サイクルに基づいた増幅反応において、時間間隔毎に増幅された核酸量は前記核酸の増幅率を反映するだけではなく、核酸が増幅されないサイクル間の間隔も反映する。したがって、本発明の方法に関して、NASBAのような、核酸が連続的に増幅される核酸の増幅反応が好ましい。
本発明の方法は、細胞性生物の機能(不全)を検出するのに適している。我々の特許出願WO0246470の中に開示されているように、細胞性生物の機能(不全)は、第2核酸および/またはその遺伝子産物の量に対する、前記生物から得られた試料中の内部細胞小器官の第1核酸および/またはその遺伝子産物の量の比率を決定することにより測定することが可能である。前記遺伝子産物はmRNAを含むこともある。第2核酸および/またはその遺伝子産物に対する内部細胞小器官の第1核酸の量の比率は、本発明の方法を用いて正確に決定することが可能である。したがって、ある実施形態において、本発明の方法では、関心のある少なくとも1つの前記核酸は内部細胞小器官の核酸を含むことになっている。
細胞性生物の機能(不全)はまた、内部ではない核酸の比率を決定することによっても測定され得る。たとえば、mRNA量と対応する遺伝子との間の比率は、細胞内の(転写)活性を示唆している。遺伝子および対応するmRNAの量の比率が変化することは、細胞小器官の状態が変化していることを示唆している。したがって、本発明は、細胞性生物の機能を決定する方法を提供し、その方法は、前記生物から得られた試料中の第2核酸の量に対する第1核酸の量の比率を決定することを含み、前記比率は本発明に従う方法で定量される。ある実施形態では、前記第1核酸は内部核酸を含む。好ましくは、内部細胞小器官の第1核酸の量の前記比率は、前記試料中で検出可能な核の核酸量に対して決定される。前記内部核酸および核の核酸の間の比率が決定される場合、内部核酸量のわずかな変化が検出可能である。
細胞の核酸の比率変化は病気の開始あるいは進行を示唆し得る。また病気の段階も決定される。たとえば、病気に罹患している個体からの試料を規則正しく採る。病気により特定の核酸が減少している場合、前記試料について、(好ましくは比較的一定の)別の核酸量に対する前記核酸量の比率を調査することが可能である。前記比率が時間と共に減少する場合、前記病気がさらに進行していることを示唆している。前記比率が後の時点で増加する場合、前記患者の回復を示唆している。このように、病気の段階が決定される。したがって、本発明は、病気の段階を決定する方法を提供し、該方法は、第2核酸の量に対する前記病気に罹患しているあるいはかかる危険のある生物から得られた試料中の細胞小器官の第1核酸の量の比率を決定することを含み、前記比率は本発明の方法を用いて定量される。ある実施形態において、前記第1核酸は内部細胞小器官の核酸を含む。これは、個体が病気にかかったとき、内部細胞小器官の核酸が影響を受けることが多いからである。前記第2核酸は好ましくは、たとえば、至るところに存在するために、核内低分子リボ核タンパク質のような核の核酸を含む。好ましくは、前記病気はHIV関連、腫瘍関連および/または血管新生過程を含む。HIV感染の後かなりの期間、個体には臨床症状がないことが多い。成長途中の腫瘍の初期段階あるいは血管新生過程の開始からの初期段階についても同様である。このような血管新生過程は、腫瘍関連の病気および/または心疾患に関連することが多い。このような病気の初期段階の間、患者は気づかないことが多い。しかしながら、初期の診断が最良の治療にとって重要である。このような場合、本発明の方法を使用することが可能である。なぜなら、臨床症状は依然として存在しないが、細胞中の核酸比率が病気の初期段階で既に変化していることが多いためである。
病気の進行状況に関する本発明の方法は、(初期の)診断に利用可能でる。たとえば、ある時間間隔内で、本発明の方法により日常的に検査することが可能である。あるいは、何らかの臨床症状が出たときに検査することも可能である。特定の核酸比率の変化は、病気の特定の程度を示唆している。このような病気の種類は本発明の方法により必要はない。
ある実施形態において、病気の進行状況を決定する本発明の方法では、前記第1核酸および第2核酸は細胞のDNAおよびRNAを含むことになっている。さらに好ましくは、前記RNAは前記DNA由来のmRNAを含む。このように、転写および/または翻訳のレベルが決定される。転写および/または翻訳の自然のレベルと比較して、転写および/または翻訳のレベルの変化は、生物の変化した機能を示唆している。前記変化した機能は、病気および/または特定の治療の副作用のため、前記生物の機能不全であることもある。前記機能不全は、たとえば減少した転写レベルを含むこともある。あるいは、前記変化した機能は、たとえば病気の治療または治癒の間で、前記生物の改善した機能であることもある。
前記機能不全は、さらに増加した転写レベルを含むこともある。病気あるいは病気の治療は、細胞のDNA量の減少を伴うこともある。しかしながら、前記減少は、少なくとも前記病気の第1段階で、前記DNAの転写の増加により少なくとも部分的に補償され得る。このように、前記細胞のDNA由来のRNA量は全く減少していないこともあり、あるいは前記DNA量と比べて比較的減少の程度が少ないこともある。その結果、前記病気あるいは治療の症候性副作用は(完全に)感知されないこともある。しかしながら、前記DNA量がさらに減少する際、前記DNA由来のRNA量もまた最終的には著しく減少するだろう。その後、副作用が起こり得る。通常、副作用の徴候があるとき、病気が治療されている、あるいは治療が減っているまたは停止している。しかしながら、従来の方法では、患者はすでに前記副作用を患っている。しかしながら、本発明の方法を用いれば、臨床症状を伴う副作用を予測し得る。たとえば、細胞の核酸の転写および/または翻訳の変化レベルは、たとえば、(将来)副作用を伴う前記生物の機能不全のような、細胞性生物の機能が変化したことを示唆している。第2細胞の核酸あるいはその遺伝子産物の量に対する、第1細胞のDNAおよび/またはその遺伝子産物の比率の変化もまた細胞性生物の機能が変化したこと示唆している。
本発明の他の可能な利用は、候補抗寄生虫化合物、抗生物質および細胞増殖抑制剤などのような、可能性のある薬剤あるいは薬剤成分の有益な活性および/または副作用のための候補薬物試験である。たとえば、本発明は、候補化合物の治療活性および/または可能性のある副作用を決定する方法を提供する。それは、たとえば、細胞性生物の機能不全の治療に関する実用性を決定する際のことであり、本発明の方法を用いて、第2核酸の量に対する、第1核酸の量、好ましくは、前記生物から得られた試料中の内部細胞小器官の核酸の量の比率を決定することを含む。前記第2核酸は、至るところに存在するために、好ましくは核内低分子リボ核タンパク質の核酸のような細胞の核酸を含む。好ましくは、同種あるいは同属に属するような、前記生物あるいは本質的に関連する生物が前記化合物と共に提供されている。前記候補化合物が前記生物に与えられた後前記生物が変化した場合、これは、前記生物に与えられたときに前記化合物と共に起こる治療活性および/または副作用を示唆している。さらに、これはまた、本質的に関連した生物において、前記化合物と共に起こる治療活性および/または副作用も示唆している。したがって、細胞性生物の機能不全の治療のための候補化合物の治療活性および/または副作用を決定するために、本発明の方法と全く同じ生物を使用する必要はない。本質的に関連した生物もまた使用可能である。
別の態様では、本発明は薬剤の治療活性および/または可能性のある副作用を決定する方法を提供しており、該方法は、本発明の方法を用いて、第2核酸の量に対する、生物から得られた試料中の第1核酸、好ましくは内部細胞小器官の核酸の量の比率を決定することを含む。前記第2核酸は、好ましくは細胞の核酸を含む。好ましくは、前記生物は前記薬剤と共に提供される。
本発明によれば、治療活性は、少なくとも部分的に病気を治療する可能性を意味する。化合物の副作用とは、ここでは前記化合物の目的以外の別の効果ということである。前記副作用は望まない効果であることもある。たとえば治療上の化合物は病気を阻止すると同時に生物の代謝作用を減少させることもある。その結果、前記代謝作用の前記減少は(負の)副作用と呼ばれる。あるいは、化合物の副作用は有益な作用であることもあり、たとえば、まだ患っていない別の病気に対する免疫である。
本発明のある実施形態では、前記治療活性は、HIV関連の病気および/または腫瘍関連の病気に対する治療活性を含む。前記薬剤は、たとえば、細胞増殖抑制剤を含み、抗レトロウイルス療法のような他の治療と任意に組み合わせても良い。オランダのATHENA研究によれば、抗レトロウイルス療法を受けている患者の40%は、不都合な副作用のために、抗レトロウイルス療法を変える必要がある。したがって、このような治療中、本発明の方法は非常に望まれる。なぜなら、前記方法は、(深刻な)臨床症状が本質的に現れる前に、副作用を検出できるからである。その結果、前記治療は、臨床作用が本質的に現れる前に、中止するおよび/または変えることが可能である。その場合、前記臨床症状は、存在しないこともあるし、最小限存在することもある。これにより多くの苦痛が妨げられるだろう。したがって、好適な態様では、本発明の方法では、前記方法が実行されるときには前記副作用は本質的に現れないことになっている。本発明によれば、「本質的に現れない」とは副作用が臨床症状で(まだ)現れていない、あるいは部分的にのみ現れているということである。
ある態様において、本発明の方法では、前記化合物あるいは薬剤は、細胞増殖抑制剤を含むということになっている。たとえば、通常使用される細胞増殖抑制はアルキル化合物、抗マイトトキシン細胞増殖抑制剤、抗腫瘍抗生物質、トポイソメラーゼ抑制剤を含む。制限せずに例を挙げれば、クロオランブシル(chloorambucil)、シクロホスファミド(cyclofosfamide)、エストラムスチン(estramustine)、イホサミド(ifosamide)、メルファランチオテパブスルファン(melfalanthiotepabusulfan)、トレオスルファンカルムスチン(treosulfancarmustne)、ロムスチンシスプラチン(lomustinecisplatine)、カルボプラチン(carboplatine)、オキサリプラチンダカルバジン(oxaliplatinedacarbazine)、プロカルバジン(procarbazine)、テモゾロミド ビンブラスチン(temozolomide vinblastine)、ビンクリスチン(vincristine)、ビンデシンドセタキセル(vindesinedocetaxel)、パクリタキセルダウノルビシン(paclitaxeldaunorubicine)、ドキソルビシン(doxorubicine)、エピルビシン(epirubicine)、イダルビシン(idarubicine)、ミトキサントロンブレオマイシン(mitoxanthronbleomycine)、ダクチノマイシン( dactinomycine)、ミトマイシンイリノテカン(mitomycineirinotecan)、トポテカントポシド(topotecanetoposide)、テニポシド アムサクリン(teniposide amsacrine)、アスパラギナーゼ(asparaginase)、クラドリビン(cladribine)、ヒドロキシカルバミド(hydroxycarbamide)、ペントスタチン メソトレクサート(pentostatine methotrexaat)、および/またはraltitrexedがある。
抗レトロウイルス治療および/または腫瘍関連の治療の間、ヌクレオシドおよび/またはヌクレオチド類が使用されることが多い。これらの類似体は、副作用の大きな危険を伴う。なぜなら、それらは生物の複製および/または転写過程を妨げるからである。その結果、同様に内部細胞小器官の核酸の量も変化することが多い。したがって、本発明の方法は、生物がヌクレオシドおよび/またはヌクレオチド類を含む薬剤で治療されるときに非常に適している。
ある態様では、本発明では、前記化合物あるいは薬剤がヌクレオシドおよび/またはヌクレオチド類を含むことになっている。そのような類似体を制限せずに挙げると、フルダラビン(fludarabine)、メルカプトプリン(mercaptopurine)、チオグアニン(thioguanine)、シタラビン(cytarabine)、フルオロウラシル(fluorouracil)、および/またはゲムシタラビン(gemeytabine)がある。別の態様では、本発明の方法では、前記化合物あるいは薬剤はAZT、ddI、ddC、d4T、3TC、テノホビル(tenofovir)および/またはアバカビル(abacavir)を含むことになっている。本発明の方法において、前記生物あるいは本質的に関連する生物が好ましくは前記化合物あるいは薬剤と共に提供される。
本発明のさらに別の実施形態では、前記治療活性は、血管の生成、修復および/または破壊(血管新生過程あるいは血管形成)を伴う過程に対する治療活性を含む。血管形成は異なる態様を示している。たとえば、血管形成の増加レベルは、腫瘍細胞の存在を示唆している。腫瘍細胞は、腫瘍の塊の拡張を維持するための新たな血管の成長に依存している。一方、血管は、腫瘍のある位置に栄養を運ぶことを要求されるが、他方、廃棄物を腫瘍から運ぶことが必要である。したがって腫瘍は、抗血管形成薬で間接的に治療され得る。
ある実施形態では、候補化合物あるいは薬剤の治療活性および/または可能性のある副作用を決定するための本発明の方法は、前記化合物あるいは薬剤が少なくとも以下の抗血管形成薬のうちの1つを含むことになっている。2ME2、アンギオスタチン(Angiostatin)、アンギオザイム(Angiozyme)、抗VEGF RhuMAb、アプラ(CT-2584) (Apra (CT-2584))、アビシン(Avicine)、ベネフィン(Benefin)、BMS275291、カルボキシアミドトリアゾール(Carboxyamidotriazole)、CC4047、CC5013、CC7085、CDC801、CGP-41251 (PKC 412)、CM101、コンブレタスタチン A-4プロドラッグ(Combretastatin A-4 Prodrug)、EMD 121974、エンドスタチン(Endostatin)、フラボピリドール(Flavopiridol)、ゲニステイン(GCP) (Genistein (GCP))、緑茶抽出物、IM-862、ImmTher、インターフェロン アルファ(Interferon alpha)、インターロイキン-12(Interleukin-12)、イレッサ(ZD1839) (Iressa (ZD1839))、マリマスタット(Marimastat)、メタスタット(Col-3) (Metastat (Col-3))、ネオバスタット(Neovastat)、オクトレオチド(Octreotide)、パクリタキセル(Paclitaxel)、ペニシラミン(Penicillamine)、フォトフリン(Photofrin)、フォトポイント(Photopoint)、PI-88、プリノマスタット (AG-3340) (Prinomastat (AG-3340))、PTK787 (ZK22584)、R0317453、ソリマスタット(Solimastat)、スクアラミン(Squalamine)、SU 101、SU 5416、SU-6668、スラディスタ(FCE 26644) (Suradista (FCE 26644))、スラミン(Metaret) (Suramin (Metaret))、テトラチオモリブデン酸(Tetrathiomolybdate)、サリドマイド(Thalidomide)、TNP-470、ビタキシン(Vitaxin)である。しかしながら、当業者ならば血管形成に不利に作用する薬をさらに思いつく。
本発明の方法は、また(選択的)毒性テストにも利用可能である。たとえば、除草剤、殺虫剤、抗寄生虫化合物および/または駆虫化合物の毒性作用は、このような化合物が生物の細胞の核酸比率を変化させることが可能であるかを決定することにより検査し得る。このように本発明は、細胞性生物の機能不全を引き起こす候補化合物の毒性作用を決定する方法を提供し、該方法は、本発明の方法を用いて第2核酸量に対して生物から得られた試料中の第1核酸量の比率を決定することを含む。好ましくは、前記生物あるいは関連生物が前記化合物と共に提供される。前記第1核酸は好ましくは、内部細胞小器官の核酸を含む。前記第2核酸は好ましくは(至るところに存在する)核の核酸を含む。本発明の方法を用いて、細胞性生物の機能不全を引き起こす可能性についての候補化合物を検証することが可能である。該機能不全を引き起こす可能性とは、たとえば、細胞増殖抑制あるいはさらに細胞毒性作用である。
好適な実施形態では、選択性がまた検証される。それは、ここで(好ましくは同様の実験において)提供される方法を第1の生物を用いてあるいは第1の生物に適用することによってなされる。好ましくは、本発明の方法はさらに、本質的に関連性のない第2の生物にも適用される。前記関連性のない第2の生物は、好ましくは異なる科あるいは目に属する。さらに好ましくは、前記関連性のない第2の生物は、少なくとも生物の異なる綱あるいは門に属し、さらに好ましくは、異なる界に属する。選択性の態様は、たとえば、第1の標的生物あるいは前記第1の生物の細胞のみにおいて、候補化合物を検証することにより調べることが可能である。前記第1の生物は、たとえば、バクテリアあるいは寄生虫である。その宿主あるいは細胞も同様に検証される。このような宿主は、好ましくは、本質的に関連性のない第2の生物であり、たとえば、哺乳類あるいは植物である。別の可能性として、作物あるいはその細胞中の候補化合物の活性は、本発明の方法によって、本質的に関連性のない雑草あるいはその細胞における前記候補化合物の活性と同様に検証される。このように、化合物の選択的毒性あるいは選択的治療作用を見つけることが可能である。候補化合物は前記雑草の機能不全を引き起こすが前記作物の機能不全は引き起こさないとみなされる場合、前記化合物は除草剤となる可能性もある。
たとえば、個体由来の腫瘍細胞のような異常な細胞を有する類似あるいは比較の個体に由来する正常な細胞を調べることも可能である。このように、腫瘍特有化合物、あるいは少なくとも選択的に細胞増殖抑制または細胞毒性化合物を検出あるいは検査することが可能である。このような化合物は、前記個体、あるいは同様のまたは関連する病気に罹患している他の個体の治療に使用されることが可能である。
ある態様では、本発明の方法では、前記第1核酸および第2核酸は末梢血液単核細胞(PBMC)および/または繊維芽細胞から得られることになっている。特に、PBMCの使用は好ましい。なぜなら、生物からの血液試料を使用できるからである。血液試料は簡単にしかも比較的大量に入手できることが多い。したがって、好適な実施形態では、本発明の方法では、前記試料は血液試料を含むことになっている。
さらに、本発明は診断キットを提供し、該診断キットは本発明に従う方法を実施するための少なくとも1つの手段を含む。好ましくは、前記キットは、内部細胞小器官に関連あるいは由来する核酸の多重増幅および/または検出に適した少なくとも1つのプライマおよび/またはプローブの組を含み、希望するならば、必要な増幅試薬も含む。それは、ここに詳細な説明で示されていることからもわかり、そうでなくても技術的に知られている。特に、本発明は診断キットを提供し、前記キットは、細胞性生物に関連する核酸配列の増幅のための1つ以上のプライマあるいはプローブの組を含む。好ましくは、snRNP特有のプライマあるいはプローブのような染色体に関連する核酸の増幅のための1つ以上のプライマあるいはプローブの組で補われる。特に、本発明は、細胞性生物に関連する核酸配列の多重増幅に向けて、表1から少なくとも1つのプライマあるいはプローブを含むキットを提供する。好適な実施形態では、本発明のキットは、少なくとも1つの他のプライマの量と比較して、少なくとも1つのプライマの量が大きく異なる。このようなキットは特に本発明の方法を実施するのに適しており、関心のある1つ以上の核酸の増幅および/または検出限界、すなわち非直線相に達する前に、関心のある全ての核酸の検出レベルが達成されるようにプライマの濃度は調整される。さらに好ましくは、本発明のキットは、関心のある核酸にアニーリングできる少なくとも一組の他のプライマの量と比較して、関心のある核酸にアニーリングできる少なくとも一組のプライマの量が大きく異なっている。好ましくは、プライマの(組)の量における前記差は、関心のある別の核酸と比較して、関心のある特定の核酸の増幅効率に異なる程度に影響するプライマ濃度が使用できるように選択される。さらに好ましくは、量における前記差は、速く増幅する核酸を「補償する」プライマ(の組)の濃度を許容する。たとえば、通常遅く増幅する核酸の増幅効率を高めることによって、あるいは通常速く増幅する核酸の増幅効率を減少させることによってである。
前記増幅試薬は、前記キットが提供される場合、たとえばPCRおよび/またはNASBA増幅に要求される逆転写酵素活性を有する酵素含む。
本発明は、さらに、薬剤、除草剤、殺虫剤、抗寄生虫剤、細胞増殖抑制剤等の調合において、本発明に従った方法により得られるあるいは選択可能な化合物の使用法を提供する。好ましくは、前記薬剤は、HIV関連の病気、腫瘍関連の病気および/または血管新生過程に対する薬剤を含む。本発明の方法により得られるあるいは選択可能な薬剤、除草剤、殺虫剤、抗寄生虫剤等もまたこれにより提供される。
以下の例により、本発明をより明らかにし説明するつもりである。それらは全く本発明の範囲を制限するものではない。本出願の範囲内で、多くの代替の実施例が実施され得る。
実施例
使用成分および一般的手順
表1に、使用されたプライマおよびプローブがまとめられている。標準NASBA核酸増幅反応が、20 μlの反応容器で実施され、特定の例で示され核酸に投入された濃度中に、以下のものが含まれていた。pH 8.5の40 mM Tris、70〜90 mM KCl、12 mM MgCl2、5 mMジチオトレイトール、(各)1 mM dNTP、(各)2 mM rNTP、375 mMソルビトール、0.105 μg/μLウシ血清アルブミン、6.4ユニットのAMV RT、32ユニットのT7 RNAポリメラーゼ、0.08ユニットのRNAse H、プライマおよびプローブ。反応中のKClの量は、70 mMと90 mMとの間であり、増幅される標的に依存している。酵素を除いた完全な混合物、ソルビトールおよび/またはウシ血清アルブミンは酵素混合物に先立って加えられ、RNAが増幅された場合3分間65℃まで加熱され、RNA+DNAあるいはDNAが増幅された場合3分間95℃まで加熱された。41℃まで混合物を冷却した後、酵素が加えられた。酵素は小さな(200μl)エッペンドルフ型チューブの蓋の中に投入され、蓋を閉じた後、チューブの底にある他の試薬と酵素を混合させるために、最大で96本のチューブが同時に数秒間回転させられる。回転後、チューブは41 ℃で元のように置かれ、チューブのタッピングによって試薬は再び混合された。41℃で3〜5分経た後、再びチューブを数分間回転し、チューブの底にある全ての液体が集められ、蛍光測定器中に置かれた。蛍光測定器(RetinaTM reader, CytoFluor 4000)中で41℃で90分間増幅が行われ、蛍光シグナルが分毎に測定された(特に蛍光色素および6-ローダミン用のフィルターセットを使用)。
使用成分および一般的手順
表1に、使用されたプライマおよびプローブがまとめられている。標準NASBA核酸増幅反応が、20 μlの反応容器で実施され、特定の例で示され核酸に投入された濃度中に、以下のものが含まれていた。pH 8.5の40 mM Tris、70〜90 mM KCl、12 mM MgCl2、5 mMジチオトレイトール、(各)1 mM dNTP、(各)2 mM rNTP、375 mMソルビトール、0.105 μg/μLウシ血清アルブミン、6.4ユニットのAMV RT、32ユニットのT7 RNAポリメラーゼ、0.08ユニットのRNAse H、プライマおよびプローブ。反応中のKClの量は、70 mMと90 mMとの間であり、増幅される標的に依存している。酵素を除いた完全な混合物、ソルビトールおよび/またはウシ血清アルブミンは酵素混合物に先立って加えられ、RNAが増幅された場合3分間65℃まで加熱され、RNA+DNAあるいはDNAが増幅された場合3分間95℃まで加熱された。41℃まで混合物を冷却した後、酵素が加えられた。酵素は小さな(200μl)エッペンドルフ型チューブの蓋の中に投入され、蓋を閉じた後、チューブの底にある他の試薬と酵素を混合させるために、最大で96本のチューブが同時に数秒間回転させられる。回転後、チューブは41 ℃で元のように置かれ、チューブのタッピングによって試薬は再び混合された。41℃で3〜5分経た後、再びチューブを数分間回転し、チューブの底にある全ての液体が集められ、蛍光測定器中に置かれた。蛍光測定器(RetinaTM reader, CytoFluor 4000)中で41℃で90分間増幅が行われ、蛍光シグナルが分毎に測定された(特に蛍光色素および6-ローダミン用のフィルターセットを使用)。
細胞(線維芽細胞およびPMBC)が、当業者に既知の標準的な培地において標準的な条件下で培養され、例で定義されるような薬物、すなわち推定毒物あるいは刺激化合物が添加された。Boom16に記載の方法あるいはQiagen(Qiagen GmbH, Max Volmer Strasse 4, 40724 Hilden, Germany)から購入した専用の単離キットを用いて核酸が細胞から単離され、製造業者の手順に従って使用された。単離された核酸は、さらなる分析を行うまで‐80 ℃で保存された。たいてい核酸は水で10倍に希釈され、希釈された核酸のうちたいてい5 μlが、NASBA増幅反応における投入量として使用された。
実施例1
プラスミドにおけるミトコンドリアおよび染色体DNA標的の異なる比率はこの実施例で分析される。この実施例において、2 x 103 Ula DNA / 8 x 103 Mt DNA、2 x 103 Ula DNA / 2 x 104 Mt DNA、2 x 103 Ula DNA / 4 x 104 Mt DNA、2 x 103 Ula DNA / 105 Mt DNAおよび2 x 103 Ula DNA / 2 x 105 Mt DNA分子が含まれている。反応混合物は、上述の「使用成分および一般的手順」に記載されるように調整された。但し、64ユニットのT7 RNAポリメラーゼおよび9.6ユニットのAMV RTが使用されていることを除く。また、2ユニットの制限酵素Msp Iが添加されている。この実施例で使用されたKCl濃度は90 mMであった。
プラスミドにおけるミトコンドリアおよび染色体DNA標的の異なる比率はこの実施例で分析される。この実施例において、2 x 103 Ula DNA / 8 x 103 Mt DNA、2 x 103 Ula DNA / 2 x 104 Mt DNA、2 x 103 Ula DNA / 4 x 104 Mt DNA、2 x 103 Ula DNA / 105 Mt DNAおよび2 x 103 Ula DNA / 2 x 105 Mt DNA分子が含まれている。反応混合物は、上述の「使用成分および一般的手順」に記載されるように調整された。但し、64ユニットのT7 RNAポリメラーゼおよび9.6ユニットのAMV RTが使用されていることを除く。また、2ユニットの制限酵素Msp Iが添加されている。この実施例で使用されたKCl濃度は90 mMであった。
増幅酵素、ソルビトールおよびウシ血清アルブミンを除いた、Msp Iとの完全な混合物は、酵素混合物の添加に先立って12分間37 ℃で培養され、Msp IがDNAを切断するようにし、続いて、DNAが変性しプライマがアニーリングするように3分間95 ℃で加熱された。41 ℃まで冷却した後、増幅酵素混合物が添加された。反応混合物(重複混合物)は、次の二組のプライマおよび標識を含んでいた。標識SnrpD mb_2(ROXラベル)およびMtD mb_2(FAMラベル)と共に、SnrpD p1およびSnrpD p2(第1プライマセット、各0.2 μM)、ならびにMtD p1およびMtD p2(第2プライマセット、各0.3 μM)である。プライマおよびプローブの配列に関する表1を参照されたい。蛍光測定器(RetinaTM reader、CytoFluor 4000またはEasyQ分析器)のフィルターセットは、FAMおよびROXラベル(FAMに関して485/20および530/25、ROXに関して590/20および645/40)を同時に測定するのに適していた。2つの競合する増幅を伴う重複反応において、そのときの蛍光曲線の勾配の比率は、各増幅種の分子の量の比率の比例する。この結果は図1に示されている。FAMシグナルおよびROMシグナルの勾配の比率間の関係は、投入量中のミトコンドリアDNAおよび染色体DNAの比率に対して線形である。この結果は較正曲線を作成するのに使用可能で、細胞毎のミトコンドリアDNA複製物の数がこの標準較正曲線から計算されることが可能である。
実施例2
2人のHIV-1感染患者が、抗ウイルス薬の混合物を用いて治療され、血液細胞中の患者のミトコンドリアDNAが、ミトコンドリア毒性の判断材料として測定された。治療が始まってから0,4,8,12,16,24,36および48週に採血された。該血液は、Ficoll-Isopaque精製により、末梢血液の単核細胞(PBMC)を用意するために使用された。PBMCは、5 % DMSOを加えた培地中で生存できるように凍らせ、使用するまで液体窒素あるいは-150 ℃で保存された。
2人のHIV-1感染患者が、抗ウイルス薬の混合物を用いて治療され、血液細胞中の患者のミトコンドリアDNAが、ミトコンドリア毒性の判断材料として測定された。治療が始まってから0,4,8,12,16,24,36および48週に採血された。該血液は、Ficoll-Isopaque精製により、末梢血液の単核細胞(PBMC)を用意するために使用された。PBMCは、5 % DMSOを加えた培地中で生存できるように凍らせ、使用するまで液体窒素あるいは-150 ℃で保存された。
核酸は、Boom法16を使用して105 PBMCから抽出された。1,0 00 PMBCと等価な核酸が、実施例1に記載されているようにミトコンドリアおよび染色体DNAを測定する1つのチューブ中の同時重複NASBAのための投入量として使用された。反応混合物(重複混合物)は、次の二組のプライマおよび標識を含んでいた。標識SnrpD mb_2(FAMラベル)およびMtD mb_2(ROXラベル)(各0.05 μM)と共に、SnrpD P1およびSnrpD2 P2(第1プライマセット、各0.2 μM)、ならびにMtD p1_2およびMtD p2_2(第2プライマセット、各0.2 μM)である。プライマおよびプローブの配列に関しては表1を参照されたい。この試験の結果は、患者の試験試料の細胞(たとえばPMBC)ごとのミトコンドリアDNA含有量として表される。この結果は表2にまとめられている。
この重複測定の分析は、多重増幅反応におけるプライマ配列および濃度の最適化の結果として、ミトコンドリアDNAおよび染色体DNAの間の比率を決定する重複試験の再現性および正確さを明確に示している。実施例1と比較して実施例2において、他のプライマが増幅のために使用され、プライマ濃度のさらに均一な使用を可能にし、同時に400以上の比率の測定を可能にしている。これは、効率の不均衡により達成され、400倍以上の比率のミトコンドリアDNAが染色体DNAの増幅に競合しないように染色体DNAに有利に働く。本発明の方法は、内部キャリブレータの使用および/または核酸標的配列の別々の定量化を避けており、このため高い処理能力試験の計画に寄与する。
実施例3
この実施例では、ミトコンドリアRNAおよび染色体DNAの間の比率の測定のために最適プライマ濃度が決定される。
この実施例では、ミトコンドリアRNAおよび染色体DNAの間の比率の測定のために最適プライマ濃度が決定される。
2つの正常な個体のミトコンドリアRNA標的および染色体DNA標的の比率が、この実施例の中で分析された。Boom法16を用いてPBMCから単離された核酸が、ミトコンドリアRNAおよび染色体DNAの両方を測定する1つのチューブ中の同時重複NASBAのための投入量として使用された。反応混合物(重複混合物)は、2つの異なる濃度で試験された以下の二組のプライマおよび標識を含んでいた。標識SnrpD mb_2(FAMラベル)およびMtR mb(ROXラベル)(各0.05 μM)と共に、SnrpD p1およびSnrpD2 p2(染色体DNAのための第1プライマセット)、ならびにMtR p1_4およびMtR p2_2(ミトコンドリアRNAのための第2プライマセット)である。プライマおよびプローブの配列に関しては表1を参照されたい。この実験において、ミトコンドリアRNA増幅のためのプライマは、それぞれ染色体DNA標的配列の0.05 μMおよび0.2 μMのプライマ濃度と組み合わせて 0.4 μMおよび0.2 μMで使用された。増幅および検出は実施例1のように実施された。蛍光測定器のフィルターセットはFAMおよびROXラベル(FAMに関して485/20および530/25、ROXに関して590/20および645/40)を同時に測定するのに適していた。2つの競合する増幅を伴う重複反応において、そのときの蛍光曲線の勾配の比率は、各増幅種の分子の量の比率に比例している。この結果は図2に示されている。
この結果から、図2の左の2つのパネルで使用されているプライマ濃度は説明できる結果を与え、健康な個体に予想される値が存在するテストの動的範囲に正当性を置くことは明らかである。図2の右の2つのパネルに使用されているプライマ濃度は説明できない結果を与える。なぜならミトコンドリアRNA標的配列は検出可能なレベルまで増幅されないからである。
実施例4
この実施例では、最適プライマ濃度はミトコンドリアRNAおよび染色体DNAの間の比率の測定のために決定される。
この実施例では、最適プライマ濃度はミトコンドリアRNAおよび染色体DNAの間の比率の測定のために決定される。
2つの正常な個体におけるミトコンドリアRNA標的および染色体DNA標的の比率がこの実施例で分析された。Boom法16でPBMCから単離された核酸が、ミトコンドリアRNAおよび染色体DNAの両方を測定する1つのチューブ中の同時重複NASBAのための投入量として使用された。反応混合物(重複混合物)は、2つの異なる濃度で試験がなされた以下の二組のプライマおよび標識を含んでいた。標識SnrpD mb_2(FAMラベル)およびMtR mb(ROXラベル)(各0.05 μM)と共に、SnrpD p1およびSnrpD2 p2(染色体DNAのための第1プライマセット)、ならびにMtR p1_4およびMtR p2_2(ミトコンドリアRNAのための第2プライマセット)である。プライマおよびプローブの配列に関しては表1を参照されたい。この実験において、ミトコンドリアRNAの増幅のためのプライマは、染色体DNA標的配列の0.2 μMのプライマ濃度と組み合わせて 0.4 μMおよび0.3 μMで使用された。増幅および検出が重複してなされ、実施例3のように実施された。蛍光測定器のフィルターセットはFAMおよびROXラベル(FAMに関して485/20および530/25、ROXに関して590/20および645/40)を同時に測定するのに適していた。2つの競合する増幅を伴う重複反応において、そのときの蛍光曲線の勾配の比率は、各増幅種の分子の量の比率に比例している。この結果は図3に示されている。
この結果から、図3の上の2つのパネルで使用されているプライマ濃度は説明できる結果を与え、健康な個体に予想される値が存在するテストの動的範囲に正当性を置くことは明らかである。図3の下の2つのパネルに使用されたプライマ濃度はあまり良くない結果を与える。特に、左下のパネルにおいて、ミトコンドリアRNAシグナルが平らになり解釈し難くなっている。
実施例5
2人のHIV-1に感染した患者は、抗ウイルス薬の混合物で治療され、血液中のミトコンドリアRNAおよびDNAがミトコンドリア毒性を予測する判断材料として測定された。治療開始後、0,4,8,12,16,24,36および48週に血液が採取された。該血液は、Fi coll-Isopaque精製により、末梢血液単核細胞(PMBC)を用意するために使用された。PBMCは、5 % DMSOを加えた培地中で生存できるように凍らせ、使用するまで液体窒素あるいは-150 ℃で保存された。
2人のHIV-1に感染した患者は、抗ウイルス薬の混合物で治療され、血液中のミトコンドリアRNAおよびDNAがミトコンドリア毒性を予測する判断材料として測定された。治療開始後、0,4,8,12,16,24,36および48週に血液が採取された。該血液は、Fi coll-Isopaque精製により、末梢血液単核細胞(PMBC)を用意するために使用された。PBMCは、5 % DMSOを加えた培地中で生存できるように凍らせ、使用するまで液体窒素あるいは-150 ℃で保存された。
核酸は、Boom法16を使用して105 PBMCから抽出された。1,000 PMBCと等価な核酸が、実施例4に記載のようにミトコンドリアRNAおよび染色体DNAの間の比率を測定する1つのチューブ中の同時重複NASBAならびに実施例2に記載のようにミトコンドリアDNAおよび染色体DNAの間の比率を測定するNASBAのための投入量として使用された。ミトコンドリアRNAの反応混合物(重複混合物)は、次の二組のプライマおよび標識を含んでいた。標識SnrpD mb_2(FAMラベル)およびMtR mb(ROXラベル)(各0.05 μM)と共に、SnrpD p1およびSnrpD2 p2(染色体DNAための第1プライマセット)、ならびにMtR p1_4およびMtR p2_2(ミトコンドリアRNAための第2プライマセット)である。プライマおよびプローブの配列に関しては表1を参照されたい。この実験では、ミトコンドリアRNA増幅のためのプライマは、染色体DNA標的配列のための0.2 μMのプライマ濃度と混合した0.4 μMで使用される。増幅および検出は重複してなされ、実施例3のように実施された。この分析の結果は、患者の試験試料の細胞(たとえばPMBC)ごとのミトコンドリアRNA含有量として表される。この結果は、表3にまとめられている。
ミトコンドリアDNAの反応混合物(重複混合物)は、次の二組のプライマおよび標識を含んでいた。標識SnrpD mb_2(FAMラベル)およびMtR mb_2(ROXラベル)(各0.0 5 μM)と共に、SnrpD P1およびSnrpD2 P2(第1プライマセット、各0.2 μM)、ならびにMtD p1_2およびMtD p2_2(第2プライマセット、各0.2 μM)である。プライマおよびプローブの配列に関しては表1を参照されたい。増幅および検出は重複してなされ、実施例2のように実施された。この分析の結果は、患者の試験試料の細胞(たとえばPMBC)ごとのミトコンドリアDNA含有量として表される。この結果は、表3にまとめられている。
重複測定の分析は、多重増幅反応のプライマ配列および濃度の最適化の結果として、ミトコンドリアRNAおよび染色体DNAの間の比率を決定する重複テストの再現性および正確さを明らかに示している。
本発明の方法は、内部キャリブレータの使用および/または核酸標的配列の別々の定量化を避けており、このため高い処理能力試験の計画に寄与する。
実施例6
この実施例では、最適プライマ濃度が、TIE-1 mRNAおよび染色体DNAの間の比率の測定のために決定される。
この実施例では、最適プライマ濃度が、TIE-1 mRNAおよび染色体DNAの間の比率の測定のために決定される。
体外で生成したRNAおよびプラスミドのモデル系におけるTIE-1 mRNA標的および染色体DNA標的の比率が、この実施例で分析された。染色体標的配列を含むTIE-1 mRNAおよびプラスミドの体外で生成した部分の核酸の組み合わせがTIE-1 mRNAおよび染色体DNAの両方を測定する、1つのチューブ中の同時重複NASBAのための投入量として使用された。反応混合物(重複混合物)は、2つの異なる濃度でテストされた次の二組のプライマおよび標識を含んでいた。標識SnrpD mb_2(FAMラベル)およびTIE mb(ROXラベル)(各0.05 μM)と共に、SnrpD p1およびSnrpD2 p2(染色体DNAのための第1プライマセット)、ならびにTIE p1およびTIE p2(TIE-1 mRNAのための第2プライマセット)である。プライマおよびプローブの配列に関しては表1を参照されたい。この実施例では、TIE-1 mRNAの増幅のためのプライマは染色体DNA標的配列のための0.2 μMのプライマ濃度と混合した 0.4 μMおよび0.3 μMで使用された。増幅および検出は重複してなされ、実施例4のように実施された。蛍光測定器のフィルターセットはFAMおよびROXラベル(FAMに関して485/20および530/25、ROXに関して590/20および645/40)を同時に測定するのに適していた。2つの競合する増幅を伴う重複反応において、そのときの蛍光曲線の勾配の比率は、各増幅種の分子の量の比率に比例している。この結果は図4に示されている。
この結果から、図4の右の2つのパネルで使用されているプライマ濃度は説明できる結果を与え、健康な個体に予想される値が存在するテストの動的範囲に正当性を置くことは明らかである。特に上の3つのパネルにおいて、右のパネルは、プローブのシグナルの勾配の比率における初期投入量比率をより良く反映している。
実施例7
この実施例では、最適プライマ濃度がSiglec-1 mRNAおよび染色体DNAの間の比率の測定のために決定される。
この実施例では、最適プライマ濃度がSiglec-1 mRNAおよび染色体DNAの間の比率の測定のために決定される。
体外で生成したRNAおよびプラスミドのモデル系におけるSiglec-1 mRNA標的および染色体DNA標的の比率が、この実施例で分析された。染色体標的配列を含むSiglec-1 mRNAおよびプラスミドの体外で生成した部分の核酸の組み合わせは、Siglec-1 mRNAおよび染色体DNAの両方を測定する、1つのチューブ中の同時重複NASBAのための投入量として使用された。反応混合物(重複混合物)は、2つの異なる濃度でテストされた次の二組のプライマおよび標識を含んでいた。標識SnrpD mb_2(FAMラベル)およびSig mb(ROXラベル)(各0.05 μM)と共に、SnrpD p1およびSnrpD2 p2(染色体DNAのための第1プライマセット)、ならびにSig p1およびSig p2(Siglec-1 mRNAのための第2プライマセット)である。プライマおよびプローブの配列に関しては表1を参照されたい。この実施例では、Siglec-1 mRNAの増幅のためのプライマは染色体DNA標的配列のための0.2 μMのプライマ濃度と混合した0.4 μMおよび0.3 μMで使用された。増幅および検出は重複してなされ、実施例4のように実施された。蛍光測定器のフィルターセットはFAMおよびROXラベル(FAMに関して485/20および530/25、ROXに関して590/20および645/40)を同時に測定するのに適していた。2つの競合する増幅を伴う重複反応において、そのときの蛍光曲線の勾配の比率は、各増幅種の分子の量の比率に比例している。この結果は図5に示されている。
この結果から、図5の左の2つのパネルで使用されているプライマ濃度は説明できる結果を与え、健康な個体に予想される値が存在するテストの動的範囲に正当性を置くことは明らかである。左のパネルの結果は説明できない。他のデータは、左のパネルに使用されたプライマ濃度が最も大きい動的範囲および感度にする最適なプライマ濃度であることを示している。
実施例8
この実施例では、最適塩濃度が、ミトコンドリアRNAおよび染色体DNAの間の比率の測定のために決定される。
この実施例では、最適塩濃度が、ミトコンドリアRNAおよび染色体DNAの間の比率の測定のために決定される。
2つの塩(KCl)濃度で、ミトコンドリアRNAおよび染色体DNAの間の増加する比率の較正曲線が作成された。また、この実施例において、1つの正常な個体におけるミトコンドリアRNA標的および染色体DNA標的の比率が、異なる塩濃度での増幅と共に分析された。Boom法16を用いてPMBCから単離された核酸が、ミトコンドリアRNAおよび染色体DNAの両方を測定する、1つのチューブ中の同時重複NASBAのための投入量として使用された。反応混合物(重複混合物)は、2つの異なる濃度でテストされた次の二組のプライマおよび標識を含んでいた。標識SnrpD mb_2(FAMラベル)およびMtR mb(ROXラベル)(各0.05 μM)と共に、SnrpD p1およびSnrpD2 p2(染色体DNAのための第1プライマセット)、ならびにMtR p1_4およびMtR p2_2(ミトコンドリアRNAのための第2プライマセット)である。プライマおよびプローブの配列に関しては表1を参照されたい。この実施例では、ミトコンドリアRNAの増幅のためのプライマは染色体DNA標的配列のためのそれぞれ0.05 μMおよび0.2 μMのプライマ濃度と混合した0.4 μMおよび0.2 μMで使用された。増幅および検出は、KCl濃度を除いて実施例1のように実施され、該KCl濃度は、増幅反応においてそれぞれ70 mMあるいは90 mMであった。蛍光測定器のフィルターセットはFAMおよびROXラベル(FAMに関して485/20および530/25、ROXに関して590/20および645/40)を同時に測定するのに適していた。2つの競合する増幅を伴う重複反応において、そのときの蛍光曲線の勾配の比率は、各増幅種の分子の量の比率に比例している。
それぞれ70 mMあるいは90 mM KClの異なる塩濃度で作成された較正曲線が図6に示されている。R2は、較正曲線の品質尺度であるが、70 mM(R2が0.9693)あるいは90 mM(R2が0.9961)でなされた反応の間で明らかに異なり、90 mMを用いた反応は、より良い信頼できる較正曲線を与えている。
増幅反応において塩濃度70 mMあるいは90 mMでの、正常な個体由来のPMBCにおけるミトコンドリアRNA対染色体DNAの比率の測定は、図7に示されている。図から明らかに、該量の測定は、増幅反応において90 mM KClを用いると正確である(図7の右パネル)。これはシグナル発生のより急な上昇および絶対的により大きいシグナルによって示されている(Y軸スケールの違いに注目されたい)。
Claims (41)
- 多重核酸増幅反応を用いて試料中の関心のある少なくとも2つの核酸の量の初期比率を定量する方法であって、
前記増幅反応において関心のある核酸を増幅し、
前記反応において異なる少なくとも2つの時点で、関心のある少なくとも2つの核酸の量を測定し、
前記関心のある少なくとも2つの核酸の増幅率を少なくとも2つの前記測定から増幅率を決定し、
参照と前記比率とを比較し、
試料中の、前記関心のある少なくとも2つの核酸の量の初期比率を前記対象から決定する
ことを含む方法。 - 関心のある1つ以上の核酸の増幅および/または検出限界に到達する前に、少なくとも1つの可変因子が関心のある全ての核酸の検出可能なレベルに到達するように、前記核酸増幅反応における少なくとも1つの可変因子が、調整されることを特徴とする請求項1記載の方法。
- 前記可変因子は、関心のある別の核酸と比べて異なる程度に、関心のある1つの核酸の増幅効率に影響することを特徴とする請求項2記載の方法。
- 前記可変因子は少なくとも1つのプライマ濃度を含むことを特徴とする請求項2または3記載の方法。
- 少なくとも1つのプライマ濃度が少なくとも1つの他のプライマ濃度と有意に異なることを特徴とする請求項2〜4のいずれか1項に記載の方法。
- 前記可変因子は関心のある核酸にアニーリングできる少なくとも1組のプライマ濃度を含むことを特徴とする請求項2〜5のいずれか1項に記載の方法。
- 関心のある核酸にアニーリングできる少なくとも一組のプライマ濃度が、関心のある核酸にアニーリングできる少なくとも他の一組のプライマ濃度と有意に異なることを特徴とする請求項2〜6のいずれか1項に記載の方法。
- 前記可変因子は塩濃度を含むことを特徴とする請求項2〜7のいずれか1項に記載の方法。
- 関心のある前記核酸は、関心のある単独の核酸を含むことを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
- 関心のある少なくとも1つの前記核酸はRNAを含むことを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
- 関心のある少なくとも1つの前記核酸はDNAを含むことを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
- 前記多重増幅反応はNASBAを含む請求項1〜11のいずれかに記載の方法。
- 細胞性生物の機能決定する方法であって、前記生物から得られた試料中の第2核酸量に対する第1核酸量の比率を決定することを含み、前記比率は請求項1〜12のいずれか1項の方法に従って定量される方法。
- 関心のある少なくとも1つの前記核酸は内部細胞小器官の核酸を含む請求項1〜13のいずれかに記載の方法。
- 前記比率は、前記試料中の核の核酸の量に対する内部細胞小器官の核酸の量の比率を含む請求項14記載の方法。
- 病気の段階を決定する方法であって、第2核酸量に対して、前記病気に罹患しているまたは罹患している危険性がある生物から得られた試料中の第1核酸量の比率を決定することを含み、前記比率は請求項1〜12のいずれか1項に記載の方法に従って定量される方法。
- 前記病気はHIV関連の病気、腫瘍関連の病気および/または血管新生過程を含むことを特徴とする請求項16記載の方法。
- 前記第1細胞小器官の核酸および前記第2核酸はDNAおよびRNAを含むことを特徴とする請求項16または17記載の方法。
- 候補化合物の治療活性および/または可能性のある副作用を決定する方法であって、請求項1〜12のいずれか1項に記載の方法を用いて第2核酸量に対する生物から得られた試料中の第1核酸量の比率を決定することを特徴とする方法。
- 薬剤の治療活性および/または可能性のある副作用を決定する方法であって、請求項1〜12のいずれか1項に記載の方法を用いて第2核酸量に対する生物から得られた試料中の第1核酸量の比率を決定することを特徴とする方法。
- 前記治療活性はHIV関連の病気および/または腫瘍関連の病気に対する治療活性を含むことを特徴とする請求項19あるいは20記載の方法。
- 前記化合物あるいは薬剤はヌクレオシドおよび/またはヌクレオチド類を含むことを特徴とする請求項19〜21のいずれか1項に記載の方法。
- 前記ヌクレオシドおよび/またはヌクレオチド類はフルダラビン、メルカプトプリン、チオグアニン、シタラビン、フルオロウラシルおよび/またはゲムシタラビンを含むことを特徴とする請求項22記載の方法。
- 前記化合物あるいは薬剤はAZT、ddI、ddC、d4T、3TCおよび/またはテノホビル、および/またはアバカビルを含むことを特徴とするクレーム19〜23のいずれか1項に記載の方法。
- 前記治療活性は血管新生過程に対抗する治療活性を含むことを特徴とする請求項19あるいは20記載の方法。
- 前記化合物あるいは薬剤は、以下の薬のうち少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項25記載の方法。
2ME2、アンギオスタチン、アンギオザイム、抗VEGF RhuMAb、アプラ(CT-2584)、アビシン、ベネフィン、BMS275291、カルボキシアミドトリアゾール、CC4047、CC5013、CC7085、CDC801、CGP-41251 (PKC 412)、CM101、コンブレタスタチン A-4プロドラッグ、EMD 121974、エンドスタチン、フラボピリドール、ゲニステイン(GCP)、緑茶抽出物、IM-862、ImmTher、インターフェロン アルファ、インターロイキン−12、イレッサ(ZD1839)、マリマスタット、メタスタット(Col-3) 、ネオバスタット、オクトレオチド、パクリタキセル、ペニシラミン、フォトフリン、フォトポイント、PI-88、プリノマスタット (AG-3340)、PTK787 (ZK22584)、R0317453、ソリマスタット、スクアラミン、SU 101、SU 5416、SU-6668、スラディスタ(FCE 26644)、スラミン(Metaret)、テトラチオモリブデン酸、サリドマイド、TNP-470、ビタキシン。 - 細胞性生物の機能不全を引き起こす候補化合物の毒性作用を決定する方法であって、請求項1〜12のいずれか1項に記載の方法を用いて、第2核酸量に対する生物から得られた試料中の第1核酸量の比率を決定することを特徴とする方法。
- 前記生物あるいは本質的に関連した生物が前記化合物あるいは薬剤と共に提供されることを特徴とする請求項19〜27のいずれか1項に記載の方法。
- 第1生物に対する候補化合物の選択活性を決定する方法であって、請求項19あるいは20記載の方法を用いて、候補化合物の治療活性および/または可能性のある副作用を決定すること、および/または請求項27に記載の方法を用いて毒性作用を決定することを含むことを特徴とする方法。
- 本質的に関連のない第2生物を前記化合物に提供することをさらに含むことを特徴とする請求項29記載の方法。
- 前記第1生物は病原体を含み、第2生物は前記病原体の宿主を含むことを特徴とする請求項30記載の方法。
- 前記第1核酸は内部細胞小器官の核酸を含むことを特徴とする請求項13〜31のいずれか1項に記載の方法。
- 前記第2核酸は、核の核酸を含むことを特徴とする請求項13〜32のいずれか1項に記載の方法。
- 前記第1核酸および/または前記第2核酸は末梢血液単核細胞および/または線維芽細胞であることを特徴とする請求項13〜33のいずれか1項に記載の方法。
- 請求項1〜34のいずれか1項に記載の方法を実施するための少なくとも1つの手段を含むことを特徴とする診断キット。
- 内部細胞小器官に関連するあるいは由来する、核酸の増幅および/または検出のために選択できる少なくとも1つのプライマあるいはプローブを含むことを特徴とする請求項35に記載のキット。
- 少なくとも1つの他のプライマの量と比べて少なくとも1つのプライマの量が有意に異なることを特徴とする請求項35あるいは36記載のキット。
- 関心のある核酸にアニーリングできる他の少なくとも一組のプライマの量と比べて、関心のある核酸にアニーリングできる少なくとも一組のプライマの量が有意に異なることを特徴とする請求項35〜37のいずれか1項に記載のキット。
- 前記少なくとも1つのプライマあるいはプローブが表1に記載されていることを特徴とする請求項36〜38のいずれか1項に記載のキット。
- 薬剤、除草剤、殺虫剤、抗寄生虫剤、細胞増殖抑制剤または細胞毒性薬の調整において請求項19〜34のいずれか1項に記載の方法によって得られるあるいは選択できることを特徴とする化合物の使用。
- 請求項19〜34のいずれか1項に記載の方法によって得られる、または選択できることを特徴とする薬剤、除草剤、殺虫剤、抗寄生虫剤、細胞増殖抑制剤あるいは細胞毒性薬。
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