JP2006504429A - Dnaの高速増幅のためのガスジェット法および装置 - Google Patents

Dnaの高速増幅のためのガスジェット法および装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 サンプルの高速増幅を行うための方法および装置を提供する。
【解決手段】 コンピュータ制御電子多重孔弁を使用して加圧ガスを高速でサーモスタット制御反応室へ送ることにより、サンプルに対し高速、正確、かつ、信頼性の高いガスジェットサーモサイクリングを行うための方法および装置である。

Description

本発明はサンプルの高速増幅を行うための方法および装置に係わる。特に、本発明は加圧ジェットポリメラーゼ連鎖反応を行うための方法および装置であって、各サイクルを数秒の僅かな時間で完了させるものに関する。
ポリメラーゼ連鎖反応:ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)は分子生物学で最も広く使用されている技術の1つである(米国特許No.4,683,202, Mullis; Saikiら、1985;Erlich, 1989; Mullisら、1994)。PCR-増幅DNAはヒトの遺伝子疾患の原因となる突然変異の診断(Saikiら、1985;Koganら、1987)、又は血液および組織適合試験(Saikiら、1989a)、又は重要な感染症の原因となる病因の検出に使用することができる(Persingら、1993;Nicollら、2001)。
典型的なPCR反応において、2つの画定されたオリゴヌクレオチド・プライマーの末端間に存在する鋳型(テンプレート)DNA配列が1ないし2時間で増幅することができる(図4a)。通常、3つの連続的工程が使用される:(1)二重鎖DNAを、高温(90℃ないし95℃)で単一鎖型に変性させ(D);(2)得られた単一鎖DNAを〜45℃ないし65℃でアニール化して(A)、オリゴヌクレオチド・プライマーとし;(3)プライマー/鋳型錯体を、熱安定性DNAポリメラーゼ、例えばThermus aquaticus(Taq) ポリメラーゼを用い〜72℃で伸長させる(E)(Saikiら、1989b)。
これらの工程(変性/アニーリング/伸長化)の1サイクルにより、DNAフラグメントの2倍の増幅が生じ、このDNAフラグメントの5'および3'末端はDNA鋳型に対しオリゴヌクレオチド・プライマーの配列特異的アニーリングにより画定される。従って、30回の完全に効果的なPCRサイクルにより、特定のDNA配列の230倍(〜109倍)の増幅が生じることになる。このようにしてDNAは1ピコグラムより小さい量から、標準的分析法、例えばゲル電気泳動、DNA交雑形成、蛍光に基づく光学的検出などにより検出が可能なマイクログラムの量に増幅される。
自動化PCR器具:3工程PCR増幅法を自動化するための種々の装置が作成されている(Oste, 1989; Oste, 1994; Newton, 1995;Johnson, 1998)。一般に、これらの装置は2つのカテゴリーに分類することができる。すなわち、DNAサンプルを加熱部へ移動させるロボット装置;および加熱部を上記サンプルに移動させるサーモサイクラーである。
ロボット装置、例えばStratagene社のROBOCYCLERはPCR反応サンプルを収容したチューブを、サーモスタットで異なる温度に調温させた一連の加熱バスに対し往復動させるようになっている。この装置は或る種の研究用途では有用であるが、高速PCRを行うことができない。すなわち、30サイクルの増幅に60分以上を要し、これは1PCRサイクル当り2分以上に相当する。
1980年後半以来、多くの生化学研究室においてサーモサイクラーが多く使用されるようになってきた。最も広く市販されているPCR装置(Parkin-Elmer, MJ Research, Ericomp, Techne, Eppendorf, BioRad, Hybaid)はサーモサイクラー(Johnson, 1998)である。一般に、2つのタイプのサーモサイクラーが使用されている。すなわち、プログラム可能なヒートブロックと、強制ホットエアサーモサイクラーである。
プログラム可能なヒートブロック:殆どのサーモサイクラーは穴を伴ったヒートブロックであり、プラスチック製反応管を電子制御下で加熱、冷却するようになっている。幾つかのこのような装置がJohnsonにより検討されてきた(1998)。プログラム可能なヒートブロック構造の問題点は、殆どの時間が、金属の塊状片の加熱、冷却のための待機に費やされることである。例えば、MJ Research PTC-150サーモサイクラー(Watertown, MA)においては、14秒/サイクルが、D,AおよびE温度(〜94℃、〜55℃および72℃)間の移行のために失われる。94℃から55℃への単一の加熱/冷却サイクルにおいて、1サイクル当り28秒が費やされる;つまり、30 PCRサイクルの間に〜14分が費やされることになる。
通常使用されている多くのPCRプロトコルでは94℃(変性)で1分が費やされ、〜55℃(アニーリング)で1分が費やされ、72℃(伸長化)で費やされる。例えば、Cetusの研究者により使用されている当初のPCR法において(Saikiら、1989b)、536b.p.ヒトβ-グロビンDNAフラグメントが(94℃で1分、55℃で1分、72℃で1分)の30サイクルで増幅された。このサーモサイクリングプロトコルのための活動使用時間は僅か〜3.5分=210秒である。この時間は536b.p.テンプレートを〜80nt/secのTaqDNAポリメラーゼ伸長速度で30回、酵素的にコピーするのに要した時間である(Innisら、1988;GelfandおよびWhite, 1990)。
市販のヒートブロック・サーモサイクラー(Parkin-Elmer, MJ Research, Eppendorf, Techne, BioRad, Snark Technologies)では、94℃から55℃へ冷却するのに20ないし25秒を要し、55℃から94℃へ加熱するのに14ないし20秒を要する(Johnson, 1998)。従って、各PCRサイクルについての不産時間は1サイクル当り40±5秒である。図4aに示すように、通常使用されているサーモサイクリングプロトコルでは、(220秒/サイクルx 30サイクル)=6600秒=110分(Saikiら、1989b)を要する。この110分の僅か〜3.5分がPCRプロセスに生産的に集中される。
Sobczakら(1995)は、変性、アニーリングおよび伸長化工程を1サイクル当り1ないし2秒に減少させることにより、より速いPCRプロトコルをヒートブロック・サーモサイクラーに使用できることを示した。例えば、139塩基対長のヒトp53遺伝子フラグメントを(94℃で1秒、58℃で1秒、72℃で1秒)の35サイクルで増幅させた。しかし、サーモサイクラーの加熱/冷却時間は、依然として>25/サイクルであった。従って、全体のサーモサイクリング時間は、〜30秒/サイクル又は30PCRサイクルについて〜15分である。
強制ホットエアサーモサイクラー:ヒートブロックの長い移行不産時間を克服するため、強制ホットエアサーモサイクラーが構築され、これは30サイクルのPCR増幅を〜10ないし30分の少ない時間で行うことができる。Wittwerおよび共同研究者はホットエアPCRサーモサイクラーにおける高速DNA増幅を最適化するため、可なりの工業基礎研究を行った(Wittwerら、1989;、Wittwer and Garling、1991; Wittwerら、1994)。この3工程PCR反応シーケンス(変性/アニーリング/伸長化)における速度制限工程はDNAポリメラーゼ伸長化の速度である。Taqポリメラーゼによる80ヌクレオリド/秒の伸長化速度(Innisら、1988;Gelfand and White, 1990)で、〜20-merプライマーを使用して100b.p.より短いDNAフラグメントを増幅するのに理論的に1サイクル当り1秒が必要である。例えば、30 PCRサイクルを介して536b.p.β-グロビンアンプリコンをコピーするのに1サイクル当り僅か5秒を必要とする(Idaho Technology, 1995; cf.図4b)。
市販のホットエアサーモサイクラー(Idaho Technology(Idaho Falls, Idaho, USA)により最初に製作された)において、変性/アニーリング/伸長化の1PCRサイクルに要する反応時間が実質的に減少した。その理由は、(1)装置が非常に低い熱質量を有するものであった;(2)ホットエアから水性生化学反応サンプルへのガス相熱伝達が肉薄毛細管内で行われた;(3)PCRサイクルの間の変性およびアニーリング時間が短縮された。
例えば、[0秒94℃(変性)、0秒55℃(アニーリング)、5秒72℃(伸長化)]の30サイクルのPCRプロトコルを使用して、536b.p.ヒトβ-グロビンDNAフラグメントを、9.9分、又は19.8秒/サイクルで増幅した(Idaho Technology、1995)。この強制ホットエアサーモサイクリング・プロトコルは従って、従来のヒートブロックサーモサイクラーを使用する536b.p.ヒトβ-グロビンDNAフラグメントのPCR増幅についての(Saikiら、1989b)の当初の方法よりも〜220/19.8=11倍速い。
日常実験室診断PCRにおいて、ホットエアサーモサイクラーは上述のように速くはない。例えば、Nicollら(2001)は短い(96−220b.p.長)ヘルペスウイルスDNAフラグメントを、Rcohe LightCycler(登録商標)を用い、[0秒94℃(変性)、3秒58℃-67℃(アニーリング)、6秒72℃(伸長化)]の50PCRサイクルを介して〜25分以内、又は約30秒/サイクルで増幅した。
ホットエアサーモサイクラーが次善の対流熱伝達に依存する:強制ホットエアサーモサイクラーの設計(米国特許No.5,455,175(Wittwerら); Wittwerら、1990;1994;米国特許No.5,576,218(Zurekら); 米国特許No.6,200,781(Talら))はブロックヒータを改善するものであるが、熱伝達プロセスにおける流体機構の重要な役割に注意が払われることがなかった。本発明者等は “ブロワー”(米国特許No.5,576,218(Zurekら))および対流の媒体として“周囲空気”(米国特許No.5,455,175(Wittwerら); Wittwerら、1990;1994;米国特許No.5,576,218)を提案した。ブロワーおよびファンにより大気を移動させ(本発明で使用される圧縮ガス源と比較したとき)、それにより気体速度が圧縮ガス流におけるよりも著しく遅くなる。更に、先の発明はPCRサイクルの一部を冷却するための冷空気又はその他の冷ガスの使用を考慮しておらず、周囲空気にのみ依存するものであった。
従前の発明では圧縮ガス流を使用しなかったので、使用された速度は非常に速いとは言えず(<3m/秒)、その結果、対流熱伝達速度は、高速乱気流で達成できるものと比較して低いものとなった。高速での乱流は、圧縮可能な非等温流体力学が関係する。大気圧(P=1バール)での強制エア加熱および空冷は生化学反応室の流体力学に対する特異で、次善の解決法である。Wittwerら(米国特許No.5,455,175; Wittwerら、1990;1994)、Zurekら(米国特許No.5,576,218)、Talら(米国特許No.6,200,781)はいずれも、空気以外のガス、大気圧以外の圧力、22℃より冷たい冷ガス、1秒よりも速い時定数を使用していない。彼等は高温ガスと低温ガスを混合するため、および/又はガス圧および速度を増大させるためのフローコンデショナーを使用していない。更に、彼等はPCRプロセスの異なる段階で異なるガスを使用する可能性、流体機構の役割、熱伝達の物理的現象又は最適熱伝達のための流動条件などを考慮していない。
例えば、“空気は密度が低いことから、温度を急速に変化させることが出来る理想的な熱伝達媒体である”(Wittwerら、1990)は事実として正しくないだけでなく、問題の複雑性を無視している。すなわち、ガス相における対流熱伝達は種々の要因に依存する(Weltyら、1976;Chapman、1984)。高温/低温加圧ガスバースト(bursts)を使用するDNAの高速増幅に必要なガス状熱伝達条件は、より正確には乱流非等温の圧縮可能なガス流として記述され、最適ガスパラメータ又は流動条件の殆どのものが従来は最適化されていなかった。図2aおよび2bに模式的に概要を示したように、加圧ガスジェットサーモサイクラーは、従来考慮されることがなかったガス圧、速度、乱流非等温流動条件および幾何学的構成で操作される。これは図5ないし12に示すように高速DNA増幅実験においても言うまでもなく履行される。
Wittwerら(1990)を更に参照すると、空気のよどんだ層(例えば、境界層)を横切る熱伝達は非常に遅い。このような不十分な熱伝達は二重ガラスがなぜ優れた絶縁特性を有するかを説明するものである。なぜ、強制ホットエアサーモサイクラーがブロックヒータよりも優れて機能する唯一の理由は、空気の流れがDNAサンプルの細い部分を囲む絶縁境界層を形成するからである。従って、空気の低い熱伝達率にも拘らず、この境界層を横切る熱輻射束は、ブロックヒータを介してのものよりも速い。
ホットエアサーモサイクラーおよび加圧ガスサーモサイクラーでの熱伝達の比較:ホットエアサーモサイクラーと加圧ガスサーモサイクラーとの間の相違は、細いシリンダー(毛管)の周りの熱伝達の簡単な分析により最も良く説明される。このシリンダーを選択した理由は、これらサーモサイクラーの双方がDNAサンプルを保持するため毛管を使用するからであるが、他の形状のサンプルホルダーについても分析は類似のものとなるであろう。
doおよびdiが毛管の外径および内径を表すものとする。反応液体混合物における自然の対流熱伝達と内部熱勾配は、粘着力および小さな内径の支配的役割のため極く僅かである。従って、毛管内の水性溶液の熱エネルギーバランスは以下の式により表される。
ρCp(dTs/dt)=(4/di)heff(Tg-Ts) (1)
ここで、ρおよびCpは混合物の密度および比熱容量を表す。この等式は、ガスが温度Tgで毛管上を流れたとき、毛管中のサンプルの温度(Tsで示す)がどのように速く変化するかを示すものである。例えば、サンプルの温度が94℃であるとすると、低温ガスを毛管上に0℃で流すことにより56℃まで冷却しなければならない。低温ガスの流れが開始する時点t=0を設定したとき、毛管中の水性サンプルが冷却されるまでの必要時間は式(1)を解くことにより得ることができる。
(Ts(最終)−Tg)/(Ts(開始)−Tg)=(56−0)/(94−0)=exp[(-4hefft)/(ρCpdi)] (2a)
この式(2a)を時間tについて解くと、以下の結果が得られる。
t=-[(ρCpdi)/(heff)]ln[56/94]=0.043ρCpdi/heff (2b)
同様にして、生化学反応サンプルの如何なる加熱又は冷却も記述することができる。式(2b)から明らかなように、有効熱伝達係数heffが最大となったとき時間tが減少する。この係数は上記サイクラーの性能を熱伝達および流体機構に結びつけるものである。この係数heffには、毛管壁を介しての熱伝達(hc)およびガスと毛管外表面との間の境界層を介しての熱伝達が含まれる。
heff=hchbl/(hc+hbl) (3)
毛管についての熱伝達係数は毛管材料の熱伝導係数(kc)およびその寸法に依存する:すなわち、h=2kc/(do+di)である。今日階層(hbl)を介しての熱伝達係数は、(1)Hsuおよび(2)DouglasおよびChurchill(双方ともWeltyら(1976)に参照されている)により提案された以下の相関により与えられる。この係数は流体機構により強く影響される。しかし、最初に、2つの微小な数を画定する。レイノルズ数Re=ρgasd0ν/μgasで表される(ここで、ν、μgasおよびρgasは平均ガス速度、ガスの動的粘度およびガス密度をそれぞれ表す)。ヌッセルト数(Nu)はNu=hbl0/kgasとして規定される(ここで、kgasはガスの熱伝導率である)。ヌッセルト数は2つの流動様式、層流および乱流について以下のように規定される。
層流:
Re<500について、Nu=0.43+0.48Re0.5(Hsu相関)
乱流:
Re<500について、Nu=hbl /d0gas=0.46Re0.5+0.00128Re(DouglasおよびChurchill相関)
Figure 2006504429
強制ホットエアサーモサイクラーについて以下のような条件が存在する。すなわち、P=1バール、ν=2m/秒、密度、動力学粘度および熱伝導率は、それぞれ、ρ=0.98kg/m3、μ=2.12x10-5kg/m.sec、kgas=0.03W/mKとなる。毛管外径が、d0=0.001mであるとすると、レイノルド数は、
Re=(0.98x0.001x2)/(2.12x10-5)=92.5。Re<500なので、Hsu(1963)の相関が使用され:
Nu=0.43+0.48xRe0.5=5となり、率制限(rate-limiting)熱伝達係数は、
bl=kgas Nu/do=151W/m2K (4a)
となる。
熱伝導率がk=1.1W/mK、外径が1mm、内径が0.8mmであるガラス製毛管を通しての熱伝達係数は:
=2kc/(d0-di)=(2x1.1)/(0.001−0.0008)=11000W/m2K (4b)
となる。
従って、有効熱伝達係数は、
heff=hchbl/(hc+hbl)=(11000x151)/(11000+151)=148.96W/m2K (4c)
となる。
この結果は、以下の値:P=3バール、ν=20m/秒を用いて、加圧エアサーモサイクラーと比較することができる。加圧ガスの密度、動力学粘度および熱伝導率は、それぞれ、
ρ=2.95kg/m3、μ=2.12x10-5kg/m・sec、kgas=0.03W/mKとなる。毛管外径は同じく、d0=0.001mである。レイノルド数は従って以下のように計算される:
Re=(2.95x0.001x40)/(2.12x10-5)=2800。
Re>500なので、DouglasおよびChurchillの相関が使用され:
Nu=0.00128Re+0.46xRe0.5=27.92となり、率制限(rate-limiting)熱伝達係数は、
hbl=kgasNu/do=838W/m2K (5a)
となる。
毛管を介しての熱伝達は同一であり、有効熱伝達係数は、
heff=hchbl/(hc+hbl)=(11000x838)/(11000+838)=779W/m2K (5b)
となる。
式(4c)(ホットエアサーモサイクラー)と、式(5b)(加圧エアサーモサイクラー)とを比較することにより、境界層を介しての率制限熱伝達係数は加圧エアサーモサイクラーのものが5倍以上大きいことが理解できるであろう。比較試験(式2)の冷却時間は、加圧エアサーモサイクラーはホットエアサーモサイクラーと比較して5倍も短い。更に、この比は、PCR法の他の工程の間の加熱又は冷却についても同じことが言えるであろう。
加圧エアサーモサイクラーにおいて操作ガスをヘリウムに変更することにより、特性が、ρ=0.4kg/m3、μ=2.31x10-5kg/m・sec、kgas=0.17W/mKとなる。従って、レイノルド数は、
Re=(0.4x0.001x20)/(2.131x10-5)=693
となり;
Nu=0.00128x693+0.46x6930.5=13.0となる。
加圧ヘリウムガスを使用すると、率制限熱伝達係数は従って、
bl=kgas Nu/do=2210W/m2K (6a)
となる。
有効熱伝達係数は、
heff=hchbl/(hc+hbl)=(11000x2210)/(11000+2210)=1840W/m2K (6b)
となる。
式(4c)を、式(5b)および(6b)と比較したとき、強制ホットエアサーモサイクラーと比べて加圧エアジェットサーモサイクラーは5倍の改善が認められ、操作ガスとして加圧ヘリウムを使用した場合、12倍以上の改善が認められる。この実施例は、優れた熱伝達が、より速いPCRへ移行されることを実証している。改善された熱伝達が加圧ガス、好ましくはヘリウムを用いることにより達成されるが、空気のような次善のガスでも非加圧装置よりも可なり良好な結果が得られる。
加圧ガスジェットサーモサイクラーの利点: 上記の理論的分析に基づいて、3m/秒<ν<30m/秒(マッハ0.03<ν<マッハ0.3)の範囲の速度で熱/冷加圧ガスバーストを生化学反応室へ送ることができ、肉薄容器内で酵素反応の温度を〜50℃から〜90℃へ急速に変化させることができることが予想されるであろう。しかし、必要な形状配置、ガスの動力学、流動条件、熱/冷ガスの混合方法、ガスバーストのタイミングなどは工業的問題として無視することはできない。流動力学の分野での技術者にとって、このような問題は、Navier-Stokes式およびコンピュータ流体力学(CFD)モデリング(Anderson, 1995)を使用することにより解決されることが理解されるであろう。
上記加圧ガスサーモサイクラーはホットエアサーモサイクラーと以下の6つの点で異なる。
(1) 大気圧より高い圧力が使用される(ガス密度の増大): P≧1.3バール
(2) 速度が可なり高い (境界層の厚みの減少): ν≧5m/秒
(3) 空気以外のガスを使用することができる;例えば、ヘリウムが急速加熱に使用することができ、CO2を優れた熱制御および効率的冷却に使用することができる。
(4) 1又はそれ以上のガスフロー調整器を備えた反応器をガス混合に使用することができる。
(5) 熱/冷加圧ガスバーストを、調節室を介して反応室へ移送するのにデジタル式プログラム化電子バルブを使用することができ、それによりガス流を規制、混合することができる。
(6) DNA変質、プライマー:テンプレートアニーリング、および酵素的伸長が、≦100ミリ秒の時間的間隔でプログラム可能となっている。
物品の対流式加熱/冷却は、熱伝導よりも可なり効率的であることがよく知られている。例えば、風冷温度は風の動きの付加的冷却作用、すなわち“対流”を示すものである。この趣旨で効率とは、物品が或る温度変化するのに要する時間を意味する。対流的冷却/加熱速度は、(1)ガスと、物品との間の温度差;および(2)物品の周りの境界層の厚み(物品はガスの薄い層で囲まれており、この層はこの物品に対し静的であり、“境界層”と呼ばれる)に依存する。この層の厚みは物品との関連でのガスの速度と大きく相関する。すなわち、ガスの速度が大きければ、この境界層は薄くなり、熱伝達速度(“ヒートフラックス”と呼ばれる)が高くなる。高い速度は加圧ガスを使用することにより達成される。すなわち、分子は当然、高圧領域から低圧領域(大気圧)へ流れ、これは電子および/又は機械的制御弁の開閉により調整される。この境界層を横切る熱エネルギー(熱)の移動は更に使用されるガスの種類により大きく影響される。ヘリウムガスは物品の急速加熱に特に効率的である。二酸化炭素(CO2)ガスは等エンタルピー膨張により-24゜Cまで冷却させることが出来、従って効率的で、安価な冷却ガスである。この特性はガスのポリトロープ係数、すなわち各ガス又はガス混合物に特有の熱力学的特徴に依存する。
ガス速度がマッハ0.3(0.3倍の音速のガス)の値に近づいたとき、ガスは圧縮可能となる。この圧縮可能性は、ガス温度(内部熱エネルギー)と運動エネルギー(ガス速度)との間の強力な結合を示唆するものであり、その結果、乱流が発生する。DNAの高速増幅に必要な急速熱伝達は、より正確には非等温圧縮可能ガス流として記述される。一般的に、このような反応条件は生化学では殆ど使用されない。従って、感温生化学反応を行うために、このような複雑なガス流条件をどのように使用するかは生化学分野の当業者にとっても自明とは言えない。
熱伝達における専門家は常に、対流熱伝達の巨視的性質を、熱伝導の微視的性質と対比する。蓄熱ヒータの熱フラックスが熱伝導型(微視的)のものであるので、この比率はフーリェの法則により記述することができる。すなわち、qcond=-k(dT/dx)(ここで、qcondはx方向における熱伝導による熱フラックスであり、kは熱伝導率(蓄熱ヒータを構成する原料物質の特性)であり、dT/dxはx方向における温度勾配である。更にこの比率は、(1)熱が伝達される距離(数センチ程度)、(2)物質の特性により制限される温度差、(3)熱伝導率により影響される。
気相物理的原理における熱伝達を支配する基本的法則はフーリェ(1822)およびナビエー(1856)以来公知であり、標準的機械工学テキストブック(Bosworth、1952;Azbel、1984;Chapman、1984)に記載されている。しかし、ここに新規な方法、装置として使用される乱流非等温圧縮可能ガス流の流体力学は、生化学分野での当業者にとって一般に知られていない専門的主題である。
ヘリウムの熱伝導率はUbbink (1947)により測定され、Johnston及びGrilly (1946)、Bosworth (1952)、Azbel (1984)およびChapman (1984)により頒布された表に記載されている。図1に示すように、ヘリウムは熱伝導率が空気の数倍大きい。ネオンは空気の2倍の速さで熱を伝達する。従って、ホットエアサーモサイクラーは急速熱伝達のためには好ましくない気体を使用している。非可燃性ガスの内で、空気を使用することができるが、ヘリウムが最適であり、特にヘリウムのアイソトープHeが好ましい。米国特許No.5,455,175(Wittwerら)は、反応室を加熱、冷却するため、又はその温度を一定値に保つために同一の気体(空気)を使用すべきと考えている。事実、図8bおよび9bに示す温度対時間の分布に示すように、高い熱伝達(高Kガス)を示す気体、例えばヘリウムは反応室の加熱、冷却に優れており、低Kガス、例えばCO2は、温度〜72℃での酵素伸長の間に数秒温度を保持する場合の熱制御を良好に行うことを可能にする(図5b, 9b, 10b)。言い換えれば、PCRプロセスの異なる段階でそれぞれ異なる気体が最適なものとなる。
第2に、米国特許No.5,455,175(Wittwerら)、 米国特許No.5,576,218(Zurekら)および米国特許No.6,200,781(Talら)では、サーモサイクリングのために大気圧(他の圧力ではなく)で空気(他の気体ではない)の使用を特定している。空気は比較的卑な気体熱伝導媒体であるばかりでなく、大気圧で使用する必要もない。大気圧(P=1バール)で空気を使用してDNAのPCR増幅を行うことは好便である。しかし、この方法は高温(P≧1.3バール)、高ガス速度(≧5m/秒)で明白に、より速くなる(図4, 5b, 7b, 8b, 9b, 12b)。
米国特許No.5,576,218に記載されているZurekらの強制ホットエアサーモサイクリング法において、“サンプルを約12ないし15秒以内で50℃から85℃に加熱することができた‐‐‐冷却空気を標的温度よりも実質的に低い温度(例えば22℃)で噴出させることにより、サンプルが約60ないし75秒以内で85℃から50℃に冷却された。”と記載されている。従って、米国特許No.5,576,218に記載されているZurekらの強制ホットエアサーモサイクリング法では、何らかの有用な生化学的反応が行われたか否かに関係なく、ガス(空気)を加熱、冷却するだけで1サイクル当り少なくとも(12+60)=72秒を必要とする。Zurekらは、彼等の方法又は装置をDNAを実際に増幅するのに使用できるかについて確証を与えていない。更にZurekらは、大気圧より高いガス圧(P>1バール)を使用する可能性を考慮していない。なぜならば、彼等の装置においてガス圧が測定されることがないからである。〜2.5バールの加圧ガスを使用する本発明では、30サイクルのPCR増幅を78秒の短い時間(米国特許No.5,576,218(Zurekら)の方法を使用した場合に1サイクルに要するものと略同じ時間)で達成することができる。
第3に、Wittwerら(米国特許No.5,455,175;Wittwerら1990;1994)は、加熱室と、反応室とは同一であると想定されている(図2参照)。実際には、反応室を1又はそれ以上の電子弁、流動調整器および/又はガス蓄積室により熱ガス源から分離することにより、非常に速い対流熱伝達が可能となる。
第4に、米国特許No.5,455,175(Wittwerら)、 米国特許No.5,576,218(Zurekら)および米国特許No.6,200,781(Talら)では、雰囲気温度の空気が最適冷却媒体であると想定されている。実際には、空気以外のガスを25℃よりも低い温度で使用することにより生化学反応室を可なり急速に冷却することができる。図5b, 7b, 8bおよび9bに示す温度対時間の分布に示すように、雰囲気空気(P=1バール、T=23℃)と比較して、加圧CO2ガス(P≧2.3バール、T=5℃)は可なり優れたガス状冷却媒体である。
理論的には、加圧ガス(空気を含む)を、Ranque(1934)およびHilsch(1947)により記述されているような渦管により供給される比較的高圧(P>5バール)で使用することにより生化学的サンプルを急速に冷却することが可能となる。しかし、米国特許No.5,455,175(Wittwerら)、 米国特許No.5,576,218(Zurekら)では、冷却のために、加圧ガスを使用することも、Ranque−Hilschの渦管を使用することも考慮されていない。
第5に、米国特許No.5,455,175(Wittwerら)、 米国特許No.5,576,218(Zurekら)および米国特許No.6,200,781(Talら)では、DNA反応サンプルを加熱/冷却するためにプログラム化される関連時定数は0, 1, 2, 3---秒の整数であると想定されている。彼等は装置を1秒以下の時間間隔でプログラム化することにより可なり急速なPCRが可能になる可能性について考慮していない。本発明は、より急速な変性、アニーリング、伸長を可能にするものである。なぜならば、時間のパラメータが1秒の10分の1でプログラム化されるからである。(図13)
要するに、強制ホットエアサーモサイクラーでは、効率的ガス状熱伝達のために、加熱および冷却のために誤ったガス、誤ったガス圧、誤った加熱室ないし反応室の構造が利用されている。使用される時定数(≧1秒)は、高速サーモサイクリング(図2)のためには遅すぎるものであり、強制ホットエアサーモサイクラー用ガスは最適CFDモデル化ガス動力学に欠け、流動調整器も利用していない。より迅速なサーモサイクラーは、加圧ガス(特にヘリウム/空気/CO2の組合せ)を使用し、これを流動調整器(図3)および電子作動弁を使用してサーモスタット制御された反応室へ送るように設計される。
米国特許No.4,683,202号明細書 米国特許No.5,455,175号明細書 米国特許No.5,576,218号明細書 米国特許No.6,200,781号明細書
本発明の速度および性能を正しく理解するため、マサチューセット工科大学のChiouらは最近、“従来技術”のサーモサイクラーを記述している。彼等は、“本研究の目的は、サンプルを出来る限り短時間で増幅するためのPCR装置を製造すること‐‐‐”と述べている(p.2018)。Chiouらによる装置(2001)は、〜1ナノグラム(10‐9)のDNAから開始して23分で30PCRサイクルを介して500塩基対長バクテリオファージλDNAフラグメントを増幅することを可能にし、従って、効率は78%であった。30PCRサイクルについて、増幅率は従って1.5830=6.0x105又は600,000倍である。
本発明は、Chiouらによる方法(2001)よりも10倍以上の時間スケールで、ウイルス、バクテリア、単一コピーヒト遺伝子フラグメントの高速増幅を可能にする。
更に、図8aに示すように、ガスジェットPCRの効率は、より高くなる、すなわち〜93%となる。本発明はDNA増幅率は、1.8630=1.35x108又は135,000,000倍となる。従って、ガスジェットPCRはChiouらによる方法(2001)よりも、[1.35x108/6.0x105]=225倍、高感度となる。加圧ガスジェットサーモサイクラーは通常、ウイルスおよびバクテリアDNAフラグメントを、1.3ないし10.3分(78−617秒)以内で30PCRサイクルを介して、85から2331b.p.長に増幅する。このサイズの単一コピーヒト遺伝子フラグメントは3.5ないし6.5分以内で35PCRサイクルを介して、検出可能な量に増幅される(図5a, 9a, 13)。
従って、上記の従来例の制約に照らして、新規なガスジェット増幅法および加圧ガスおよび電子弁を使用するその自動化装置がここに開示される。
本発明はDNAを増幅するための高速プロセスを提供する。更に生物学的サンプル、DNAポリメラーゼ、オリゴヌクレオチドプライマーおよびデオキシヌクレオチド先駆物質を収容する反応室を提供する。この反応室は、1又はそれ以上の熱伝達ガスの流れを受理する。第1の熱伝達ガスは加熱室内で加熱され、この加熱室は反応室から物理的に分離されている。この加熱ガスは1.3バール以上の圧力(P≧20p.s,i.)で反応室へ送られる。
加熱ガス(≧95℃)からの熱は、DNAを変性するために利用される。第2の熱伝達ガス(第1の熱伝達ガスと同種又は異種のガスであってもよい)は反応室へ送られる。第2の熱伝達ガス(≦20℃)は、変性DNAをオリゴヌクレオチドプライマーにアニール化させるのに十分に低い温度まで反応室を冷却させる。最後に、第1の加温(≧95℃)熱伝達ガスを使用して、反応室の温度を、プライマー:テンプレート錯体の酵素的伸長を可能させるのに十分な温度(通常、68℃ないし75℃)まで増大させる。
熱ガス(≧95℃)および冷ガス(≦20℃)が、2方弁、3方弁又は多孔電子弁のいずれかの制御下で、生化学反応室へ送られるとき、極めて高速のサーモサイクリングが可能となる。熱ガスおよび冷ガスの噴気(バースト)を交互に、フロー制御器(又は一連のフロー制御器)を介してサーモスタット制御された反応室へ送ることにより、酵素触媒反応室の温度を数十ミリ秒の時間スケールで制御することができる。理想的には、ヘリウムが選択されるが、他の種類のガスを使用することもできる。
本発明の実施例は更にDNAの高速増幅のための装置を含む。この装置は反応室を有し、これに加圧加温ガス(≧95℃)および低温ガス(≦20℃)のバーストが1秒の数分の1の時間スケールで送られる。この装置の概略的構造は6個の部分からなる。すなわち、(1)加熱ガスの温度を予定値(≧95℃)まで上昇させるためのヒータ、(2)冷ガスおよび熱ガスを混合させ、流れを規制し、圧力パルスを減衰させるための1又はそれ以上のフローコンデショナー、(3) 冷ガス/熱ガスを混合させるための混合室を備えた吸気マニホールド、(4)ガス反応室、(5)排気ノズル、および(6)反応器出口および熱ガスバイパスからの熱を回収するための熱交換器からなる。或る点において、加圧ガスサーモサイクラーは従ってジョットおよび/又はロケットエンジンに類似している。しかし、燃料と酸化剤とを混合する(ジェット又はロケットのように)代わりに、非燃焼性熱ガスおよび非燃焼性冷ガスが電子弁の制御下で混合され、点火は発生しない。従って、本発明で記載されている基本的プロセスは正確には“ガスジェットPCR”と言うことができ、その装置は適切には“PCRジェット”と言うことができる。酵素触媒反応の迅速で、正確、かつ、信頼性の高い熱制御は、このPCRジェットの目的である。
反応室から物理的に分離された加熱室は、この反応室と流体的に連通している。反応室圧力よりも高い圧力で加熱ガスを有する第1の容器は上記加熱室と流体的に連通している。この連通には流動調節および圧力パルス抑制のためのフロー調整室が含まれていてもよい。冷却ガス(加熱ガスと同種又は異種のものであってもよい)を有する第2の容器は上記反応室と流体的に連通している。この連通には流動調節および圧力パルス抑制のためのフロー調整室が含まれていてもよい。1又はそれ以上の冷却ガス導入弁が上記第2の容器と、上記反応室との間に配置され、1又はそれ以上の加熱ガス導入弁が上記第1の容器と、上記反応室との間に配置されている。電気的入力部および出力部を有するプログラム可能なコントローラが入口弁の開口を制御するのに使用される。反応室に配置された温度センサーは上記コントローラに出力する。このコントローラは入口弁を開閉し、反応室内の所望の温度に到達させ、又は、その温度を維持させる。
最適熱伝達ガス(例えばヘリウム)の温度が、反応室から物理的に分離された加熱室で≧95℃まで上昇したとき、反応室へ送られ、弁が電子的に作動され、極めて迅速なサーモサイクリングが可能となる。もし、冷ガス(≦20℃)が反応室へ送られると、より迅速な熱伝達が可能となる。自動化された反応室の加熱および冷却のため、好ましくは少なくとも2つの電子弁(熱ガス弁および冷ガス弁)および1又はそれ以上の機械的リリーフ弁が用いられる。
実際に、反応室を加熱、冷却するために加圧ヘリウムガスを使用することは必要ではなく、最適でもない。充填加圧二酸化炭素(CO2)ガスが貯蔵容器から出るとき膨張し、冷却される(等エンタルピー冷却)。従って、反応室を加熱するのに加圧ヘリウムガス(又は圧縮空気)を使用することが好便であり、反応室を冷却するのに充填CO2ガスを使用することが好ましい。
例えば、6V又は24V電子弁およびデジタルおよび/又はアナログ信号を使用してサーモスタット制御反応室へ送られる加温(〜170℃)加圧ヘリウムガスおよび冷(〜5℃)加圧CO2ガスを使用することにより、92℃(DNA変性温度)から55℃(プライマーアニール化温度)、72℃(DNAポリメラーゼ伸長温度)へ4秒未満で周期的に温度を変化させることができる。増幅されるDNAフラグメントの長さ次第で、最小(0ないし20秒)変性、アニール化および伸長時間を使用する場合は、92℃/55℃/72℃の30サイクルを、〜2.0ないし4.0分以内で実行することができる(図12)。
従って、本発明の目的はDNAを増幅するための方法を提供し、それによりポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を、予め加熱および/又は予め冷却されたガスを使用し、これを電子弁を使用しサーモスタット制御反応室へ送ることにより、迅速に行うことである。この方法において、加圧加温(≧95℃)又は冷(≦20℃)ガスが、生物学的サンプルを収容する物理的に分離した反応室へ送られ、DNA変性、プライマー:テンプレート・アニール化、およびポリメラーゼ触媒伸長のための温度を制御するようになっている。
本発明の他の目的は、生物学的サンプルへの加圧(P≧1.3バール)熱又は冷ガスの流れを制御することにより、このサンプルの迅速なサーモサイクリングを行う方法を提供することである。
本発明の他の目的は、加圧熱又は冷ガスのサーモスタット制御された生化学的反応室への流れを制御する電子弁を使用することにより、DNAの増幅を行う装置を提供することである。
本発明の他の目的は、反応室の前に1又はそれ以上のチャンバーを使用し、熱又は冷ガスの流れを規制し、圧力パルス化を緩和することである。
本発明の更なる目的は、反応室の前に混合室を使用し、反応室へ導入されるガス流の均一な温度を達成することである。
本発明の更なる目的は、圧力1.3バール以上で1又はそれ以上のガスを使用し、生物学的サンプルの急速熱サイクルを行うことができる装置を提供することである。
本発明の更なる目的は、生物学的サンプルを急速熱サイクルに供することができる装置を提供するものであって、ここで加圧空気、ヘリウム、二酸化炭素、窒素、アルゴン又はこれらの混合物が熱伝達媒体として使用される。なお、加熱および冷却のために同一のガス又はガス混合物を使用する必要はない。
更に、本発明の目的は、生物学的サンプルを急速熱サイクルに供することができる装置を提供するものであって、ここでDNA変性、プライマーアニール化、および伸長のための時間的パラメータが1秒の数分の1でプログラム可能となっている。
最後に、本発明の目的は、加熱室、冷却室および反応室が物理的に分離された装置を提供することである。
本発明のこれらの特徴およびその他の特徴、利点は以下の図面、説明および添付の特許請求の範囲を参照することにより、容易に理解されるであろう。
本発明の好ましい実施例について以下説明する。しかし、これらは本発明を限定することを意図するものではなく、2方弁又は3方弁など、その全ての変形、互換も本発明の範疇に包含されるものである。
この加圧ガスサーモサイクラーの5つの特徴が重要である。
(1) 85塩基対(b.p.)DNAフラグメントのPCR増幅の30サイクルを78秒で行う、DNAの高速増幅を行うことができる。より長い(145-2331 b.p.)ウイルスおよびバクテリアDNAフラグメントを、略2−10分で〜108倍に増幅することが出来る(図5−12参照)。
(2) 加圧ガスジェットサーモサイクラーでのDNAの増幅の間、DNA変性、プライマー:テンプレート・アニール化、および酵素的伸長のための時間間隔を、1秒の数分の1でプログラム化することができる。
(3) DNA増幅の総体的速度は、装置の加熱/冷却時間ではなく、むしろ生化学により制限される。特に、Taqポリメラーゼによる伸長化速度(〜80ヌクレオリド/秒、72℃)は速度制限的(rate-limiting)である。もし、より速くしたい場合(>200nt/秒)、熱安定性DNAポリメラーゼが見出され、30 PCRサイクルについて30秒未満でサーモサイクリングを行うことが可能である。
(4) 高速加圧ガスPCRは一般に、より遅い方法よりも、より正確である。その理由は、おそらく、誤った反応生産物にとってアニールおよび/又は伸長のための時間がないことによるものと思われる。
(5) 加圧ガスジェットサーモサイクラーは、オンライン蛍光染料ベースのDNA検出光学素子と相容するものである。
加圧ガスジェットPCR法およびサーモサイクラーは、迅速性が必須である生命に係わる病気の診断に特に有用であろう。本発明は生物医学研究、遺伝子工学、分子医薬、農業、獣医学、法医学、および生物戦剤で使用される迅速(約2ないし10分) DNAベーステストに実施することができる。
本発明の好ましい具体例は加圧ガスサーモサイクラーであり、これは、高速(<20ミリ秒/サイクル)電子弁、デジタルおよび/又はアナログ信号を受理するアクチュエータ、およびマイクロプロセッサーコントローラの制御下で、熱又は冷ガスをサーモスタット制御反応室へ噴出させることによりDNAの高速PCR増幅を行うことができる。理想的には、この装置は可動部分ができるだけ少なく、蛍光染料標識付きDNAの検出に使用される光学機器とも相容性を有することである(Higuchiら,1992;Haugland, 1996; Spearsら,1997)。
この実施例において、電子的にプログラム化可能な“ホットガス"および“コールドガス"弁を使用した電子的制御下で、熱ガスおよび冷ガスを反応室へ噴出させることにより、温度を急速に変化させることができることを留意されたい。この反応室の圧力は機械的リリーフ弁により比較的一定に維持することが出来るが、この温度は必要に応じて変化させてもよい。反応サンプル(10−25μL)は、WittwerおよびGarling(1991)に記載されているように肉薄ガラス製毛管又はTret'yakovら(1994)に記載されているように肉薄プラスチック容器内に密閉される。従って、反応室内の圧力がガスの温度の変化に伴って、1.3-6.0バール(20-90p.s.i.)の範囲で変化しても、毛管内の圧力は、ほぼ1.0バール(14.7p.s.i.)に維持される。
加圧ガスサーモサイクラーは、ホットエアサーモサイクラー(米国特許No.5,455,175(Wittwerら))と図2に示すように幾つかの重要な点で異なっている。ホットエアサーモサイクラー(図2a)においては、加熱ランプを有する単一の反応室が使用され、空気を加熱しPCR反応を行うようにしている(加熱室=反応室)。加圧ガスサーモサイクラー(図2b)においては、6個までの別々のチャンバーが使用されている。すなわち、加熱室、冷ガス供給室、熱ガスフローコンデショナー、冷ガスフローコンデショナー、混合室および反応室である。反応室内でサンプルを加熱するため、加熱室から予熱ガス(≧95℃)が加圧下で電子弁VH(ホットガス弁28)により、熱ガスフローコンデショナーおよび混合室を介して反応室へ送られる。反応室内でサンプルを冷却するため、冷ガス(≦20℃)が加圧下で電子弁VC(コールドガス弁36)により、冷ガスフローコンデショナーおよび混合室を介して反応室へ送られる。機械的リリーフ弁VR(図3a中の40)により反応室から加圧ガスが排出されるようになっている。なお、熱ガスフローコンデショナーをバイパスさせ、排出流および電子弁VHからの熱を回収することにより効率を改善することができる。
次に図面を参照して説明するが、同一部材には同一参照符号が付されている。加圧ガスサーモサイクラー、フローコンデショナーおよび反応室が、図3a、3b、3c、3d、3eに概略的に描かれている。
加圧ガスサーモサイクラーの構成および最適化
図3aに示すように、サーモサイクリング装置10には、絶縁性(低k)材料からなる反応室38が含まれる。好ましくは、反応室38は0.5ワット/cm-°K未満のk値を有する。反応室38は異なる材料、ステンレス鋼、チタンなどからなるものでもよい。セラミックバインダーを伴ったポリウレタン又はポリイミドプラスチック(VESPEL, TOLON, BUTTERBOARD(Gold West社、カルフォニア州)として市販されている)も反応室38として使用することができる。冷ガス供給部14は、圧力調整器16、逆止弁18(Linweld社, Lincoln, NEから入手可能)、2方電子弁34(Peter Paul Electronics社, New Britain, CTにより製造された38VDC弁)(コントローラ42によりデジタルリレーにより作動される)を介して反応室38から分離されている。コントローラ42は多機能データ捕捉ボード(例えば、KPCI-3107, Keithley社、Cleveland, OH)であっても良い。熱ガス供給部12は圧力調整器16、逆止弁18を介して予熱器20に接続されている。予熱器20は熱交換器であって、反応室38からの排ガスを冷却し、ガス供給部12からの流入ガスを加熱する。予熱器22から出た予熱ガスは次に予熱器26に入り、プロセスヒータ26(500ワットのプロセスヒータ、Hotwatt社、Danvers, MA)に入る。プロセスヒータ26はコントローラ42により操作される強力リレーにより作動される。ヒータ26から出た熱ガスは3方電子弁28(コントローラ42により操作される)へと流れる。このプロセスヒータはガスの連続的流れを必要とする。従って、反応室38が冷却される場合は、電子弁28はガスを予熱器22へ排出させ、最終的にマフラー24(Exair社、Cincinati, OH)を通る。反応室38が加熱されるとき、熱ガスは電子弁28からフローコンデショナー30へと流れる。フローコンデショナー30はガス流パルスを熱ガスを定常流へと平滑化する。この調整された熱ガスはついで、混合室32へと流れる。電子弁36からの冷ガスもフローコンデショナー34を介して、混合室32へと流れる。この混合したガスはついで、反応室38へ流れる。反応室38は機械的リリーフ弁40により高圧に保たれている。機械的リリーフ弁40は1.3バール(20p.s.i.)のクラッキング圧を有する。機械的リリーフ弁40からの排ガスは予熱器20で冷やされ、マフラー24を介して排出される。
図3bに示すように、電子弁28,36は必要に応じてコントローラ42により開閉される。これは熱電対44、46、48により測定される混合室32、熱ガスフローコンデショナー30および冷ガスフローコンデショナー34の温度に基づいて行われる。熱電対50はプロセスヒータ26を一定温度に保つためコントローラ42により使用される。
図3eに示すように、反応室38は楕円孔52を有し、これは薄肉毛管内に密封された反応サンプルを収容するものである。これらの毛管ジグザク配列の密封孔54を介して導入される。
加圧ガスサーモサイクラーは熱ガスおよび冷ガスの様々な組合せでテストされた。加圧空気は安価で、制御し易い。他方、加圧ヘリウムガスは優れた熱伝達ガス(図1)であるが、熱制御の点で問題を伴う(図7b参照)
加圧ガスサーモサイクラーの操作には、3つの操作モードを必要とし、これらは弁に接続されたリレーを作動することにより制御される。この3つの操作モードは、(1)反応室の加熱;(2)反応室の冷却;(3)反応室の温度維持である。
反応室38の温度を上昇させるため、熱ガス弁28がフローコンデショナー30に対し開放され、加熱加圧ガスが反応室へ送られる。なお、冷ガス弁36は閉じたままである。
反応室38の温度を降下させるため、熱ガス弁28がフローコンデショナー30に対し閉じられ、冷ガス弁36は開放される。
PCRプロセスの伸長工程の間、温度は略72℃に保持され、冷ガス弁36および熱ガス弁28が、混合室32内に配置された温度センサーにより測定される温度に基づいて開閉が繰り返される。この弁構造は事前の設定温度に略保持するための優れた熱制御をもたらすものである。
冷ガス弁および熱ガス弁の開閉は、システムコントローラからの電気リレー(これら弁を作動させる)への電気的信号により制御される。システムコントロールソフトウェアはこれら弁の開閉を判定する。
異なった熱ガス又は冷ガスが使用されるときは、変更したソフトウェアが使用される。なぜならば、チャンバー内でのガス流および混合が選択されたガス混合物の種類に依存するからである。加圧空気又はヘリウムを熱ガスとして使用し、空気又はCO2ガスを冷ガスとして使用することが好便であるが、これらと異なる種々の種類のガスを用いることもできる。同一のガスを加熱、冷却又はチャンバー内の温度維持に使用する必要もないし、又、それが最適でもない。
以下に示すように(図5a, 6, 7a, 8a, 9a, 11a, 11b, 12a)、DNAの高速ガスジェット増幅を、加圧空気(又はヘリウム)を熱(ホット)ガスとして、加圧冷(コールド)ガス(COガス又は空気)を使用して実施することができる。PCR増幅の30サイクルを78ないし617秒で達成することができるが、これは選択された熱伝達ガスの種類、熱勾配の大きさ、増幅されるDNAフラグメントの長さに依存する。以下に示す実施例において、増幅されたDNAは比較的ゆっくりとした(〜1時間)プロセスを用いて検出することができる。すなわち、ゲル電気泳動の後、臭化エチジウム染色が行われる。これは当業者に公知の標準的DNA検出法である。
しかし、加圧ガスジェットPCRは、二重螺旋DNAと選択的に結合する(Haugland, 1996)SYBSグリーンなどの染料を使用するオンライン蛍光染料ベースのDNA検出法(Higuchiら,1992)と相容するものである。原則として、高速ガス相PCRの二重螺旋DNA反応生産物はSYBSグリーンなどの染料および安価なフォトダイオード検出器を使用するオンラインで迅速に検出することができる。例えば、加圧ガスサーモサイクラーにフォトダイオード検出器および発光ダイオード(LED)又はレーザーダイオード染料励起源を装着させることができる。このような光学機器又は同じく安価な蛍光偏光検出光学機器(Spearsら、1997)および蛍光標識付きプライマーを使用することにより、従来存在しない時間スケールでDNAの増幅/検出が可能となる。
実施例
以下の実施例は本発明を一層分かり易くするためのものであり、本発明を何ら限定することを意図した者ではない。当業者であれば、日常の実験を用い、幾つかの異なるパラメータを使用し得ることは明らかであり、それらも当然、本発明に包含されるものである。
3弁加圧ガスサーモサイクラーを使用する高速PCR増幅
3弁加圧ガスジェットサーモサイクラーにおける最初の高速PCR実験は、ホットガス(〜170℃)として圧縮空気を用い、コールドガス(〜5℃)としてCO2を用いた。この構成は可能な限りの高速ではないが、好便であり、コールドガスの積極的な冷凍を必要としなかった。
30PCRサイクルを5:35(335秒)で行う。
ガスジェットDNA増幅実験を、3−弁装置(図3a)中で、ホットガスとして圧縮空気(2.4バール=36p.s.i.)を用い、コールドガスとしてCO2(2.6バール=40p.s.i.)を用いて実施した。異なる長さの4つのモデルDNAテンプレートを別々の10μL反応でPCR増幅した。これらは肉薄ガラス製毛管で行った。すなわち、(a)91 b.p.E.coli O157:H7 Stx2アンプリコン(amplicon)、(b)333 b.p.λ`D´遺伝子アンプリコン、(c) 364 b.p.ヒト血小板抗原HPA-4アンプリコン、(d)ヒトβ−グロビン536 b.p. アンプリコンをホットガスとして圧縮空気を用い、コールドガスとしてCO2を用い、[0秒92℃/0秒55℃/5秒72℃]の30サイクルで増幅した。ガスジェットPCR反応(10μL)は、50mMのトリス(pH:8.5,25℃)、250μg/mLのBSA、3mMのMgCl2、0.2mMのdNTPs、50pmolのフォワードおよびリバースプライマー、20ピコグラムのテンプレートDNA、5UのTaqポリメラーゼ(Promega社、Madison, WI)を収容した肉薄ガラス製毛管内で行った。増幅後、反応生産物をEtBr染色を有する3%MetaPhorアガロースゲル上で分離した。分子量マーカーは67−501b.p.長(pUC19/MspIDNAフラグメント)であった。
図5aに示すように、4つの全てのアンプリコンを加圧ガスジェットPCRで高収率で増幅することができた。100pgのDNAで出発し、15μL反応容量中2.5U Taqポリメラーゼを用いて30 PCRサイクルを335秒で行うことができた。予想した536 b.p.β−グロビン遺伝子、364 b.p. HPA-4対立遺伝子、333 b.p.バクテリオファージλ`D´遺伝子および91 b.p.E.coli O157:H7 Stx2アンプリコン(amplicon)を[0秒92℃(変性)/0秒55℃(アニール化)/5秒72℃(伸長)]の30サイクルを介して増幅することができた。非特異的増幅生産物の低い背景が4つの全ての反応に認められた。λ`D´遺伝子アンプリコンの場合、予想外の高い収率が観察された(レーンb)。この335秒ガス相PCR実験の温度対時間分布には、従前報告されたサーモサイクラー又はサーモサイクリング法を超えた可なりの性能改善が認められた(図4,5b参照)。
ソフトウェア改善、30PCRサイクルを2:48(168秒)で行う。
3弁装置は機能的サーモサイクラーである。非常に迅速であるだけでなく、良好な熱制御(±1℃)を示す。しかし、この装置の性能はそのソフトウェア(BASICコードで書かれた)により制限される。反応室又はプロセスヒータでの熱の変化に応答してコマンドを実行する必要が生じるごとに、BASIC(翻訳プログラム)からアッセンブリーコード(コンパイルドプログラム)に翻訳する必要がある。
このソフトウェアの制限のため、可なりの時間ロス(〜1秒/サイクル)が生じた。特に、ガス相PCR増幅の30サイクルの間、30秒以上の時間(>1秒/サイクル)が非生産的に失われた。従って、システム制御ソフトウェアを、より速い操作のためのアッセンブリーコードに書き直した。この改良の結果、より速いガスジェットPCRがもたらされた。
≧80nt/秒のTaqポリメラーゼ伸長速度で、A-E+E-D変遷(図4a)の間に費やされる〜1秒/サイクルは、30−mer PCRプライマー(Tm〜65℃)を使用する短い85b.p.DNAテンプレートをコピーするのに十分であると予想された。従って、E.coli O157:H7シガトキシン遺伝子(Stx)からの比較的短い(85b.p.)アンプリコンを使用し、加圧空気加熱/COガス冷却で実験を行った。
ガスジェットDNA反応(10μL)を、圧縮空気(2.4バール=36p.s.i.)を用い、CO2冷却(2.6バール=40p.s.i.)を用い、50mMのトリス(pH:8.5,25℃)、250μg/mLのBSA、3mMのMgCl2、0.2mMのdNTPs、50pmolのフォワードおよびリバースプライマー、20ピコグラムのテンプレート.E.coli O157:H7 DNA、5UのTaqポリメラーゼ(Promega)を収容した肉薄ガラス製毛管内で行った。30サイクルの増幅後、DNAフラグメントをEtBr染色を有する3%MetaPhorアガロースゲル上で分離した。分子量マーカーは67−501b.p.長(pUC19/MspIDNAダイジェスト(digest))であった。
図6aに示すように、85b.p. E.coli O157:H7Stxアンプリコンは、<2分で30 PCRサイクルを介して高収率増幅することができた。アッセンブリーコードのインストルメントコマンドを書き直すことにより可なりの改善が達成された。ヘリウムガスの高熱伝導率に基づいて(Ubbink, 1947; Bosworth, 1952; 図1)、゛ホット゛ガスとして空気ではなくヘリウムを使用した場合は、より迅速なサーモサイクリングが可能であると推定された。
30PCRサイクルを1:12(78秒)で行う。
E.coli O157:H7 Stx遺伝子から小さい(85 b.p. )のアンプリコンをホット加圧ヘリウムおよびCO2(冷却)を用いPCR増幅した。サーモサイクリング時間を更に短縮するため、プライマーの長さを30ntに増加させ、より高いアニーリング温度(62−63℃)を使用できるようにした。更に、DNA変性温度を先の実験よりも若干低下(86−89℃)させた。
3つの異なる高速ガス相サーモサイクリングプロトコルが使用された。すなわち、(a)[0秒89℃/0秒62℃/0秒72℃]; (b)[0秒87℃/0秒62℃/0秒72℃];および(c)[0秒86℃/0秒63℃/0秒72℃]であった。PCR反応(10μL)は、50mMのトリス(pH:8.5,25℃)、250μg/mLのBSA、3mMのMgCl2、0.2mMのdNTPs、50pmolのフォワードおよびリバースプライマー、20ピコグラムのテンプレートDNA、5UのTaqポリメラーゼ(Promega社、Madison, WI)を収容した肉薄ガラス製毛管内で行った。(a)[0秒89℃/0秒62℃/0秒72℃]; (b)[0秒87℃/0秒62℃/0秒72℃];および(c)[0秒86℃/0秒63℃/0秒72℃]の30サイクル後、反応生産物をEtBr染色を有する3%MetaPhorアガロースゲル上で分離した。分子量マーカーは67−501b.p.長(pUC19/MspIDNAダイジェスト)であった。
図7aに示すように、予想された85 b.p. Stxアンプリコンの高収率が3つの全てのヘリウム/ CO2ガスジェットPCR反応で確認することができた。図7a、7bは、かつてない3つの最も速いPCR増幅を証明している。予想された85 b.p. E.coli O157:H7 Stxアンプリコンは3つの全ての反応:(a)1:25=85秒;(b)1:21=81秒;および(c)1:18=78秒で増幅された。この実験は、更に、空気ではなく、加圧ヘリウムガスを使用したとき可なり速いサーモサイクリングが可能であることを示している。高速ガスジェットPCRの結果、非特異的“もや”又は偽の反応生産物の非常に低い背景が生じた。おそらく、このような速いサーモサイクリングパラメータが使用された場合、偽のプライミング又は伸長は稀になると思われる。すなわち、単純には、余分な反応生産物が蓄積する時間がないということである。
高速PCRジェットサーモサイクラーの洗練の結果、ソフトウェア、熱制御、ガス操作圧力の最適化、ノイズの抑制、種々のソースからの異なる長さのDNAフラグメントを増幅する能力のそれぞれの実質的な改善が認められた。これらの改善が履行された高速PCR実験の例が以下の実施例4−7に示されている。
368 b.p.B.anthracis DNAフラグメントのPCR増幅: 30高速PCRサイクルを<4分(233秒)で行う。
生命に係わるバクテリアによる病源(例えば、生物戦病原体であるBacillus.anthracis)からのDNAを迅速に増幅する能力は特に重要である(Franzら、1997)。図8a、8bに示すように、Bacillus.anthracisからの368 b.p.DNAフラグメントの高速ジェットPCR増幅を、167℃加圧ヘリウム(2.9バール=44p.s.i.)および冷却用CO2ガス(3.0バール=45p.s.i.)を用いて実施した。B.anthracis Sterne族DNA(米国陸軍感染病医学研究所(USAMRIID)から供給された)を、プライマーBAN23MS1およびBAN23MA1(21-mers)を使用したPCRジェット増幅のためのテンプレートとして使用した。[0ミリ秒92℃/0ミリ秒55℃/3.2ミリ秒72℃]の30 PCRサイクルで増幅した。この場合、PCR反応(24μL)は、10ピコグラムのDNA、1μMのプライマー、5.5mMのMgCl2、100mMのdNTPs、500μg/mLのBSA、1.25UのTaqポリメラーゼを用いて行った。B.anthracis Sterne族DNA(10ピコグラム)を25pmolのフォワードプライマー(BAN23MS1)およびリバースプライマー(BAN23MA1)+200μMのdNTPsと、1.25UのTaqポリメラーゼ(50mMのトリス-Cl, 5.5mMのMgCl2、pH:8.8、500μg/mLのBSA中)を含む24μLの反応物中で混合した。高速PCRは、モデル1.62Heliac加圧ガスサーモサイクラー(100ミリ秒時間間隔でプログラムされた)内で行った。その後、反応生産物をEtBr染色を有する2%アガロースゲル上で分離した。なお、サンプルは以下の通りであった。すなわち、[a]100 b.p.ラダー分子量マーカー;[b]2.6バール(38p.s.i.)ホット圧縮空気および(3.0バール)冷却CO2ガスを使用した30PCRサイクル(0秒92℃/0秒55℃/4.0秒72℃);[c] ホットHeガス(2.9バール)および(3.0バール)冷却CO2ガスを使用した30PCRサイクル(0秒92℃/0秒 55℃/4.0秒 72℃);[d] ホットHeガス(2.9バール)および(3.0バール)冷却CO2ガスを使用した30PCRサイクル(0秒 92/0秒 55℃/3.6秒 72℃);[e] ホットHeガス(2.9バール)および(3.0バール)冷却CO2ガスを使用した30PCRサイクル(0秒 92℃/0秒 55℃/3.2秒 72℃)である。PCR増幅されたDNAを2%アガロースゲル上に充填し、次いで電気泳動を80Vで45分間行った。30高速PCRサイクルの合計経過時間は:[b]4分28秒;[c]4分20秒; [d]4分10秒;[e]3分53秒であた。
図8a(レーンe)に示すように、高速ガスジェットサーモサイクリングの30サイクルにより、予想された368 b.p.フラグメントを僅か3分53秒(233秒)で〜108倍増幅させることができた。図8bは、付随する温度対時間の分布を示している。
反応収率は以下のように計算することができる。10pgのB.anthracis DNAで開始して、略100ngの368 b.p.反応生産物を形成することができた(図8a)。B.anthracisのゲノムが〜5.0x106の塩基対を有し、368 b.p. DNAフラグメントはバクテリア染色体の僅か小さい部分を表しているに過ぎないから、バクテリアDNAの当初の10pgは368 b.p. アンプリコンの〜[368/(5.0x106)x10-11]= 0.74x10-15gを含むことになる。テンプレートDNAのこの0.74x10-15g(=0.74フェトグラム)が368 b.p.反応生産物の〜100ngに増幅されたことになる。従って、30PCRサイクルにより、(1.00x10−7g)/(0.74x10-15g)=1.35x108倍の増幅率が達成されたことになる。
もし、ポリメラーゼ連鎖反応の効率が100%であるとすると、DNAの量は各PCRサイクル毎に2倍になることが予想される。理論的には、DNA倍増の30サイクルの後、230=1.07x109倍の増幅が達成されるであろう。本発明では30高速PCRサイクルの後に、1.35x108倍の増幅率が観測された。これは1.86630=1.34x108と計算することができる。従って、各PCRサイクルは1.866倍のバクテリアDNAの増幅を生じさせ、これは1.866−1=0.866の効率に相当する。換言すれば、各高速PCRサイクルは〜86.6%の効率であったと言える。
この実験はB.anthracisのような特別の病原からのDNAフラグメントを、約10ピコグラムのDNAから開始して、略<4分以内に増幅することが可能であることを実証するものである。
E.coliおよびヒトDNAs 145-486 b.p. 長さのPCR増幅: 30−35 PCRサイクルを2.4-4.1分(144-247秒)で行う。
高速ガスジェットサーモサイクラーの速度および多様性を実証するため実験を更に行った。例えば、バクテリア遺伝子フラグメント145-486 b.p. 長および単一コピーヒト遺伝子フラグメント147−191 b.p. 長の増幅を、20ピコグラムのDNA、1μMのプライマー、4.5-5.5mMのMgCl2、100mMのdNTPs、500μg/mLのBSA、1.25UのTaqポリメラーゼを用い、〜2.4-4.1分(144-247秒)で30−35 PCRサイクル行った。
図9aはヒト急性間欠ポルフィリン(191b.p.)の原因となるヒト遺伝子、ABO血液型‘A‐トランスフェラーゼ'遺伝子フラグメント(147b.p.)、E.coli uidA遺伝子フラグメント(486b.p.)、E.coli uidA遺伝子フラグメント(297b.p.)およびE.coli uidA遺伝子フラグメント(145b.p.)から増幅されたDNAの写真図を示している。図9a(レーンa)(図9b) に示すように、ホットガスとして加圧空気を2.6バール(42p.s.i.)で、冷却CO2ガスを2.8バール(46p.s.i.)で使用することにより、優れた熱制御が可能であった。
486/186b.p.E.coli uidA DNAフラグメントのネスト化PCR増幅: 40 PCRサイクルを4.8分(285秒)で行う。
ネスト化PCRプロトコルを使用したとき、より敏感なDNA増幅が可能である。特に、Ruzickaら(1992)はネスト化PCR法を記載している。ここで、最初に、アウタープライマーの1対が45−55℃のアニール化温度で、PCRの〜20サイクルに使用され、ついで、イナー(ネスト化)プライマーの1セットからの増幅が行われる。この場合のアニール化温度は、>60℃である(図10b)。このようにして、アウター/イナーPCRが単一の密封反応容器内で行われる。
Juckら(1996)のプライマーを使用してアウター486b.p.およびイナー186b.p. E.coli uidA DNAフラグメントのネスト化PCR増幅が行われた。この場合、(1) [200ミリ秒88℃/200ミリ秒56℃2.8秒72℃]の20サイクルが行われ、ついで、(2) [200ミリ秒88℃/200ミリ秒65℃/1.8−2.0秒72℃]の20サイクルが行われた。最初の20サイクルにより、比較的長い2.8秒Taq Pol伸長時間を用いて複製可能な56℃アニール化温度で4つの全てのオリゴヌクレオチドプライマーのアニーリングを生じさせる。二番目の20サイクルでは、より高い65℃アニール化温度および比較的短い1.8−2.0秒の伸長工程のため、イナー186b.p.DNAフラグメントが選択的に増幅される。
図10aに示すように、PCR反応(15μL)は、50mMのトリス(pH:8.5,25℃)、250μg/mLのBSA、3mMのMgCl2、0.2mMのdNTPs、50pmolのフォワードおよびリバースプライマー、4.5ピコグラムのE.coli K12 DNA、1.5UのZ-Taqポリメラーゼ(Takara Shuzo社)を収容した肉薄ガラス製毛管内で行った。(a) [100ミリ秒89℃/100ミリ秒65℃2.5秒72℃]の20サイクルおよび[100ミリ秒90℃100ミリ秒61℃/1.8秒72℃]の20サイクルの後、反応生産物をEtBr染色を有する2.0%MetaPhorアガロースゲル上で分離した。分子量マーカーはpUC19/MspIダイジェスト・フラグメント)であった。レーン(a)、(b)中の予想された186b.p. uidA アンプリコンは190b.p.分子量マーカーの直ぐ下にあった。40高速PCRサイクルの合計時間は4分45秒(285秒)であった。
図10a(レーン(a))に示すように、E.coli O157:H7DNAの1ピコグラムで出発し、予想された186b.p. イナーアンプリコンを2段階ネスト化PCRの40サイクルを介して5分未満で増幅することが出来た。ここで2番目の20サイクルは[200ミリ秒88℃/200ミリ秒65℃/2.0秒72℃]であった。図10a(レーン(b))に示すように、もし、より短い1.8秒/サイクルTaq Pol伸長が使用された場合は、ネスト化PCRの40サイクルを4分45秒(40サイクルのための合計PCR時間は285秒)で達成することができた。
増幅率は以下のように計算することができる。すなわち、E.coliゲノムが〜4.5x106の塩基対を有している。186 b.p. E.coli DNAフラグメントはバクテリアゲノムの(1.86x10/4.5x106)=4.1x10-5を表している。バクテリアDNAの最初の1ピコグラム(10-12g)が〜50ng(5x10-8)量に増幅された(図10a)。従って、186b.p. E.coli uidA DNAフラグメントは、285秒のネスト化PCR時間で、(1/4.1x10-5)x(5x10-8/10-12)=1.2x1011倍に増幅された。
バクテリオファージλDNAs 2206−2331b.p.長のPCR増幅: 30 PCRサイクルを10.3分(617秒)で行う。
図11aは2206b.p.バクテリオファージλDNAフラグメントの写真図であり、これは20pgのDNA、1μMのプライマー、4.5mMのMgCl2、 100mMのdNTPs、500μg/mLのBSA、1.5UのZ-Taqポリメラーゼ(Takara Shuzo社)を用い、ガスジェットサーモサイクラー内での[800ミリ秒89℃-91℃、800ミリ秒61℃、13秒72℃]の30サイクルで増幅され、ここでは、2.6バール(42p.s.i.)の圧縮空気(エアコンプレッサーからのもの)および2.8バール(46p.s.i.)のCO2を用いた。レーン(a)は変性温度91℃を用いた予定の2206b.p.反応生産物(合計PCR時間=10分49秒)を示している。レーン(b)は変性温度90℃を用いた予定の2206b.p.反応生産物(合計PCR時間=10分28秒)を示している。レーン(c)は変性温度89℃を用いた予定の2206b.p.反応生産物(合計30PCRサイクル時間:10分3秒=603秒)を示している。分子量マーカーはバクテリオファージλHindIIIダイジェストフラグメントであった。
図11bは2331b.p.バクテリオファージλDNAフラグメントの写真図であり、これは20pgのDNA、1μMのプライマー、4.5mMのMgCl2、 100mMのdNTPs、500μg/mLのBSA、1.5UのZ-Taqポリメラーゼ(Takara Shuzo社)を用い、ガスジェットサーモサイクラー内での[500ミリ秒91℃、500ミリ秒61℃、11-14秒72℃]の30サイクルで増幅され、ここでは、2.6バール(42p.s.i.)の圧縮空気(エアコンプレッサーからのもの)および2.8バール(46p.s.i.)のCO2を用いた。レーン(a)ないし(d)は予期した2331b.p.反応生産物を示し、ここで伸長時間は:(a)は72℃で14秒(合計PCR時間:10分50秒);(b)は72℃で13秒(合計PCR時間:10分17秒);(c)は72℃で12秒(合計PCR時間:9分42秒);(d)は72℃で11秒(合計PCR時間:9分8秒)であった。反応収率は、レーン(a)および(b)に示すように、>12秒の伸長時間の場合は明らかにより高いものとなった。この結果は、バクテリオファージλDNAフラグメント2206b.p.ないし2331b.p.長については、Z-Taqポリメラーゼが≧194nt/秒の見掛け伸長速度を有していたことを示すものである。
図11aおよび11bは、加圧ガスジェットサーモサイクラーを使用することにより、DNAフラグメント2206b.p.ないし2331b.p.長が成功裡に増幅されたことを実証している。図13は3弁ガスジェットサーモサイクラーを使用して行われた本発明の実施例による高速PCR増幅プロセスを要約したものを示している。
実施例8
2弁ジェットサーモサイクラー中でのE.coli uidA DNAフラグメントのPCR増幅。
図13は297b.p. E.coli uidA DNAフラグメントの写真図であり、これは1ngのDNA、150 pMのプライマー、3mMのMgSO4、 200μMのdNTP、400μg/mLのBSA、0.625UのKOD Hot Startポリメラーゼを用いて増幅された。レーン1は、[30秒90℃(ホットスタート)、0秒90℃; 0.2秒58℃;2秒72℃]の35サイクル; レーン2は、[30秒90℃(ホットスタート)、0秒90℃; 0.2秒58℃;2秒72℃]の40サイクル; レーン3は、[30秒90℃(ホットスタート)、0秒90℃; 0.2秒58℃;2秒72℃]の30サイクルで増幅され、この場合、2.4バール(35p.s.i.)の圧縮空気を使用し、2弁ジェットサーモサイクラー中で行った。25μLのサンプルをロッシュガラス毛管内に配置させた。この結果は、オンライン蛍光ベースDNA検出に適した反応容器内で、高速ジェットPCRを実行し得ることを示している。更に、2段階フローコンデショナーおよびCFD最適化チャンバー構成を用いて良好な熱制御(プラス又はマイナス0.7℃)を行うことが可能である。
本発明の主な利点は以下の通りである。第1に、本発明はポリメラーゼ連鎖反応を使用するDNAの増幅に要する時間を、従前のプロセス又は装置と比較して、1桁ないし2桁の大きさで減少させることが出来る(図12参照)。第2に、ガスジェットプロセスは、より遅い手法のものよりも潜在的により正確である。なぜならば、偽の反応生産物がアニール化および/又は伸長される時間が殆どないからである(図5a, 6, 7a, 8a, 9a, 11a, 11b)。第3に、加圧ガスジェットサーモサイクラー(図3a)は、ヒートブロック又はホットエア装置と比較してタイミング制御が優れている。すなわち、このガスジェット装置は100ミリ秒の時間間隔でプログラム可能である。第4に、高速ガスジェットPCRは非常に信頼性の高いプロセスである。電子機械的リレーおよび弁を除いて、可動部分を使用していない。第5に、高速ガスジェットPCRプロセスはオンライン検出光学機器と十分に相容する。従って、タイムリーなDNA増幅/検出を実施することができる。本発明は従って、迅速、正確、高信頼性DNA増幅/検出を従来にない時間スケールで達成することができる。
‘ウルトラファースト’ PCRサーモサイクラーとの比較
Lawrence Livemore National Laboratory (Northrupら、1998)、Pittsburgh大学(Odaら、1998)、ワシントン大学(Friedman and Meldrum, 1998)、マサチューセット工科大学(Chiouら、2001)により作られた最も迅速な実験用サーモサイクラーでは30PCRサイクルに8.5ないし23分を要する。
例えば、Odaら(1998)にはウルトラファーストPCR’が記述され、これには17秒の高速のサイクル時間が達成されたと主張されている。しかし、残念ながら、この赤外加熱方式は、>450nm染料およびフォトダイオード検出器 を使用する蛍光光学検出と相容しない。
Chiouら(2001)には、“30サイクルPCR実験が行われ、ゲノムλDNAからの500−bp標的の30サイクルPCRを78%までの効率で23分で達成した”(p.2021)と主張されている。この効率での30 PCRサイクルは:1.5630=6.2x105倍の増幅となり、23分/30サイクル=46秒/サイクルの速度となる。
図3aに示した加圧ガス装置では、2.6秒/サイクル未満が必要とされるだけであり、反応収率は200倍以上大きい(図5a, 6, 7a, 8a, 9a, 11a, 11b参照)。例えば、図8aに示すように、単一コピーバクテリア遺伝子フラグメント368 b.p.長が30PCRサイクルにより233分の合計時間で、1.35x108倍に増幅されている。
Koppら(1998)は、ミニチュア連続フローPCR装置が、176 b.p. DNAフラグメントを3−4分で20サイクルで増幅できたと記述している。しかし、テンプレートDNAの〜108コピーが出発物質として必要となる(Zorbas, 1999)。Koppら(1998)のデータから類推して、PCR増幅の30サイクルには、4.5-6分を必要とする。更に、増幅DNAの収率は、図3aの加圧ガス装置で得られるものよりも103ないし104倍低い。
従来の市販の装置との比較
最も迅速な市販のサーモサイクラーが、Idaho Technology (米国特許No.5,455,175, Witterら) からのライセンスによりRoche Modular Systems のBoehringer-Mannheim Divisionにより製造されている。このホットエアサーモサイクラーは536塩基対β−グロビンDNAフラグメントの30サイクルの増幅に約9.5分を必要とする。しかし、オンライン検出光学機器を備えても、Lightcycler(登録商標)は30 PCRサイクルに〜30分を必要とする。
図7a、7bに示すように、加圧ガスPCRプロセスの使用によれば、検出可能な量にDNAを増幅するのに僅か78秒を要するのみである。この高速加圧ガスジェットプロセスは従って、Rocheの装置よりも>15倍速く、オンライン蛍光染料ベースのDNA検出光学機器とも相容する。
より高い収率の増幅(>108倍)をより長い伸長時間(3.2秒/サイクル、72℃)で達成することができる。例えば、368 b.p. B.anthracisアンプリコンを使用し、30 PCRサイクルを4分未満で達成することができる(図8a、8b)。より短い(145-486b.p.)バクテリアDNAフラグメントを144−280秒で〜108倍に増幅することができた(図5a, 9a, 12参照)。本発明の概略的記述および好ましい実施例を以上記述した。ここに記載された方法および装置に種々変更を行うことは当業者にとって可能と思われるが、それらも本発明の範疇に包含されるものである。従って、そのような変更、追加も全て添付の特許請求の範囲に記載された本発明の範疇に包含されるべきものである。

Figure 2006504429

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ガスの熱伝導率を示す表であって、熱伝導単位(k値)がワット/メーター−℃で表されている。 加熱空気サーモサイクラーを加圧ガスサーモサイクラーと比較する模式図である。 加熱空気サーモサイクラーの特性を加圧ガスサーモサイクラーと比較する表である。 ホットエアサーモサイクラーと、加圧ガスサーモサイクラーの異なる特性の比較表である。 図3aは、本発明によるDNA増幅のための装置の1例を示す斜視図である。図3bは、反応室38、フローコンデショナー30、34および熱電対44、46,48,50を示す斜視図である。図3cは、図3aの反応室38で使用されるフローコンデショナーを示す斜視図である。図3dは、図3cに示すフローコンデショナーのコンピュータ使用流体動力学メッシュを示す斜視図である。図3eは、図3aの反応室38の斜視図である。 サーモサイクラーの異なるタイプの温度対時間の分布を示す図であり、ここで、加圧ガスサーモサイクラーは、ホットエアサーモサイクラーよりも〜10X速く、従来のヒートブロックサーモサイクラーよりも〜100X速い。 図5aは、ゲル・エレクトロフェログラムの写真図であって、4つの異なるDNAテンプレートの高速ガスジェットPCR増幅を示し、これには、(a)91 b.p.E.coli O157:H7 Stx2アンプリコン(amplicon)、(b)333 b.p.バクテリオファージλ`D´遺伝子フラグメント、(c) 364 b.p.ヒト血小板抗原HPA-4対立遺伝子フラグメント、(d)ヒトβ−グロビン536 b.p.遺伝子フラグメントが含まれる。図5bは、図5aに示す4つのDNAフラグメントのガスジェット増幅についての温度対時間の分布を示す図である。 ゲル・エレクトロフェログラムの写真図であって、2.9バールCO2冷却を伴う2.8バール加圧空気を使用した85 b.p.E.coli O157:H7 Stx DNAフラグメントの高速ガスジェットPCR増幅の反応生産物を示している。 図7aは、85秒間(レーンa)、81秒間(レーンb)、78秒間(レーンc)での30高速PCRサイクルを介しての85 b.p.E.coli O157:H7 Stx DNAアンプリコンのHe/CO2ガスジェットPCR増幅を示すゲル・エレクトロフェログラムの写真図である。図7bは、図7aに示す実験(レーンc)についての温度対時間の分布を示す図であり、この実験は行われた内の最も迅速なDNA増幅実験を表す。 図8aは、ゲル・エレクトロフェログラムの写真図であって、Bacillus anthracisからの368 b.p.DNAフラグメントの高速ガスジェットPCR増幅の反応生産物を示している。図8bは、図8a(レーンe)に示す368 b.p.B.anthracis DNAフラグメントのPCRジェット増幅についての温度対時間の分布を示す図であり、30高速PCRサイクルの合計時間は233秒であった。 図9aは、(a)191b.p.ヒト急性間欠ポルフィリン(AIP)アンプリコン;(b)147b.p.ヒトABO血液型‘A‐トランスフェラーゼ'遺伝子フラグメント; (c)486b.p.E.coli uidA遺伝子フラグメント;(d)297b.p.E.coli uidA遺伝子フラグメント;(e)145b.p.E.coli uidA遺伝子フラグメントの高速ガスジェットPCR増幅を示すゲル・エレクトロフェログラムの写真図である。図9bは、図9aに示す147b.p.ヒトABO血液型‘A‐トランスフェラーゼ'遺伝子フラグメントを増幅のに使用されたPCRジェット反応についての温度対時間の分布を示す図であり、35PCRサイクルが228秒で行われた。 図10aは、ゲル・エレクトロフェログラムの写真図であって、アウター486b.p.およびネスティッド・イナー186b.p. E.coli uidA DNAフラグメントのネスティッドPCR増幅を示している。図10bは、図10aに示すネスティッドPCR実験で使用されたDNA配列およびプライマーの位置を示す図表である。 図11aは、ゲル・エレクトロフェログラムの写真図であって、バクテリオファージλからの2206 b.p.長DNAフラグメントのガスジェットPCR増幅を示している。図11bは、ゲル・エレクトロフェログラムの写真図であって、バクテリオファージλからの2331b.p.長DNAフラグメントのガスジェットPCR増幅を示している。 図12aは、ゲル・エレクトロフェログラムの写真図であって、E.coli uidA(β-グルキュロニダーゼ)遺伝子からの297 b.p.長DNAフラグメントのガスジェットPCR増幅を示している。図12bは、E.coli uidA(β-グルキュロニダーゼ)遺伝子からの297 b.p.長DNAフラグメントを増幅するのに使用されたPCRジェット反応についての温度対時間の分布図である。 加圧ガスジェットサーモサイクラーを使用して行われた高速PCR実験を要約した表である。 ここに使用された科学的術語のリストを示す図である。 ここに使用された科学的術語のリストを示す図である。
符号の説明
10 サーモサイクリング装置
12 熱ガス供給部
14 冷ガス供給部
16 圧力調整器
18 逆止弁
20 予熱器
24 マフラー
26 予熱器
28 電子弁
32 混合室
34 2方電子弁
38 反応室
40 機械的リリーフ弁
42 コントローラ
50 熱電対

Claims (40)

  1. (a)DNA、DNAポリメラーゼ、オリゴヌクレオチド・プライマー、デオキシヌクレオチド先駆物質を有する生物学的サンプルを収容した反応室を提供する工程であって、上記反応室が1又はそれ以上の熱伝達がスの流れを受理するようになっているものと;
    (b)上記反応室から物理的に分離された加熱室中にて第1の熱伝達ガスを加熱する工程と;
    (c)上記第1の熱伝達ガスを、該反応室のものよりも高い圧力で該反応室に送る工程であって、該第1の熱伝達ガスから熱をDNAへ伝達しDNAを変性するものと;
    (d)上記反応室へ第2の熱伝達ガスを該反応室に送り、該反応室を、上記変性DNAがオリゴヌクレオチド・プライマーにアニール化させる温度まで冷却する工程と;
    (e)上記反応室の温度を、プライマー:テンプレート錯体の酵素触媒伸長を可能にするのに十分な温度まで上昇させる工程と;
    を含むことを特徴とする高速DNA増幅のための方法。
  2. 上記工程(c)ないし(e)の工程を、所望量の増幅DNAが生産されるまで、繰り返すことを含む請求項1記載の方法。
  3. 少なくとも1つの多重孔弁を用いて、上記加熱室からの該第1の熱伝達ガスの流れを調整する工程を更に含む請求項1記載の方法。
  4. 該第1の熱伝達ガスと、該第2の熱伝達ガスとが同一のタイプのガスである請求項1記載の方法。
  5. 該第1の熱伝達ガスと、該第2の熱伝達ガスとが異なるタイプのガスである請求項1記載の方法。
  6. 該第1の熱伝達ガスが、1.3バール以上(≧20ポンド/平方インチ)の圧力である請求項1記載の方法。
  7. 該第2の熱伝達ガスが、1.3バール以上(≧20ポンド/平方インチ)の圧力である請求項1記載の方法。
  8. 該第1の熱伝達ガスが空気である請求項1記載の方法。
  9. 該第1の熱伝達ガスがヘリウム又はそのアイソトープ混合物(ヘリウム-3を含む)である請求項1記載の方法。
  10. 該第1の熱伝達ガスが、水素、ネオン、メタン、窒素、アルゴン、クリプトン、二酸化炭素、それらの混合物からなる群から選択されるものである請求項1記載の方法。
  11. 該第2の熱伝達ガスが、二酸化炭素である請求項1記載の方法。
  12. 該第2の熱伝達ガスが、空気であって、上記反応室へ移送される前に、Ranque−Hilsh渦管により20℃より低く冷却される請求項1記載の方法。
  13. 該第2の熱伝達ガスが、空気、水素、ネオン、メタン、窒素、アルゴン、クリプトン、二酸化炭素、それらの混合物からなる群から選択されるものである請求項1記載の方法。
  14. 該第2の熱伝達ガスが、上記反応室に入る前に、20℃より低く冷却される請求項1記載の方法。
  15. 1又はそれ以上の電子多重孔弁を用いて該第1および第2の熱伝達ガスの上記反応室への流れを調整する工程を更に含む請求項1記載の方法。
  16. 1又はそれ以上のフローコンデショナーを用いて圧力パルス化および温度変動を抑制する工程を更に含む請求項1記載の方法。
  17. 該第1および第2の熱伝達ガスの流れを各フローコンデショナーから混合室へ移送させ、均一の温度を達成させる請求項1記載の方法。
  18. 該電子多重孔弁を電気信号を介して作動させる工程を更に含む請求項16記載の方法。
  19. 1又はそれ以上のガス流コンデショナーを用いて該第1および第2の熱伝達ガスを反応室内で混合させる工程を更に含む請求項1記載の方法。
  20. DNA変性のための保持時間、プライマー・アニール化のための保持時間、酵素的伸長のための保持時間を、1秒の数分の1の時間間隔でプログラム化する請求項1記載の方法。
  21. (a)1.3バール以上の操作圧力を有する反応室;
    (b)該反応室から物理的に分離され、該反応室に流体的に接続された加熱室であって、第1の容器を有し、該第1の容器が上記反応室の圧力よりも大きい圧力で加熱ガスを有し、該反応室に流体的に接続されたものと;
    (c)上記加熱室および混合室に流体的に接続され、圧力パルス化を抑制するようにしたフローコンデショナーと;
    (d)冷却ガスを有し、上記反応室に流体的に接続された第2の容器と;
    (e)冷ガス供給室および混合室に流体的に接続され、冷ガス流における圧力パルス化を抑制するようにしたフローコンデショナーと;
    (f)上記加熱室と、上記熱ガスフローコンデショナーとの間に配置された加熱ガス導入弁と;
    (g) 上記第2の容器と、上記冷ガスフローコンデショナーとの間に配置された冷却ガス導入弁と;
    (h)入力および出力部を有するプログラム可能なコントローラであって、出力部が加熱ガス導入弁および冷却ガス導入弁に接続され、これら弁の開閉を制御するようになっており、第1の温度センサーが上記反応室に連結され、かつ、プログラム可能なコントローラの入力部に接続され、それにより該コントローラが加熱ガス導入弁および冷却ガス導入弁を上記温度センサーに応答して開閉させ、上記反応室の温度を所望値に維持させるようにしたものと;
    を具備してなることを特徴とする高速DNA増幅のための装置。
  22. 該第1の熱伝達ガスが、1.3バール以上の圧力である請求項21記載の装置。
  23. 該第1の熱伝達ガスが空気である請求項21記載の装置。
  24. 該第1の熱伝達ガスと、該第2の熱伝達ガスとが同一のタイプのガスである請求項21記載の装置。
  25. 該第1の熱伝達ガスと、該第2の熱伝達ガスとが異なるタイプのガスである請求項21記載の装置。
  26. 該第1の熱伝達ガスがヘリウムであり、第2の熱伝達ガスが二酸化炭素である請求項21記載の装置。
  27. 該第1の熱伝達ガスが空気であり、第2の熱伝達ガスが二酸化炭素である請求項21記載の装置。
  28. 該第1の熱伝達ガスが空気であり、第2の熱伝達ガスがRanque−Hilsh渦管により冷却される空気である請求項21記載の装置。
  29. 熱ガスおよび冷ガスを混合させるため、混合室に接続されたフローコンデショナーを更に含む請求項21記載の装置。
  30. 圧力および上記反応室へのガス流を制御するための少なくとも1つの電子弁を更に含む請求項21記載の装置。
  31. 排ガス出口に操作自在に接続されたノイズ抑制マフラー・アッセンブリーを更に含む請求項21記載の装置。
  32. プログラム可能なコントローラの少なくとも1つの出力部が加熱室の加熱素子と接続し、該加熱素子のオン・オフの切換えをおこなうようにした請求項21記載の装置。
  33. 上記反応室が、0.5ワット/cm-°K未満の熱伝導率を有する請求項21記載の装置。
  34. 上記反応室が、ポリウレタンからなる請求項21記載の装置。
  35. 蛍光に基づくDNA検出を容易にする光学的検出装置を更に含む請求項21記載の装置。
  36. 該光学的検出装置が、発光ダイオード、コリメータレンズ、フィルター、ホトダイオードを具備してなる請求項35記載の装置。
  37. 該光学的検出装置が、レーザーダイオード、コリメータレンズ、フィルター、ホトダイオードを具備してなる請求項35記載の装置。
  38. (a)DNA、DNAポリメラーゼ、オリゴヌクレオチド・プライマー、デオキシヌクレオチド先駆物質を有する生物学的サンプルを収容した反応室を提供する工程であって、上記反応室が圧力を有するものと;
    (b)上記反応室から物理的に分離された加熱室中にてヘリウムガスを加熱する工程と;
    (c)上記ヘリウムガスを該反応室に送る工程であって、該ヘリウムガスから熱をDNAへ伝達しDNAを変性するものと;
    (d)上記反応室へ冷却ガスを該反応室に送り、該反応室を、上記変性DNAがオリゴヌクレオチド・プライマーにアニール化させる温度まで冷却する工程と;
    (e)上記反応室の温度を、プライマー:テンプレート錯体の伸長を可能にするのに十分な温度まで上昇させる工程と;
    を含むことを特徴とする高速DNA増幅のための方法。
  39. 該冷却ガスが、二酸化炭素である請求項38記載の方法。
  40. 該第2の熱伝達ガスが、空気であって、上記反応室へ移送される前に、Ranque−Hilsh渦管により20℃より低く冷却される請求項38記載の方法。
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