JP2006500059A - Zap−70キナーゼの阻害剤の設計および同定で使用される触媒ドメインの原子構造 - Google Patents

Zap−70キナーゼの阻害剤の設計および同定で使用される触媒ドメインの原子構造 Download PDF

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Abstract

本発明は、ZAP−70タンパク質チロシンキナーゼの三次元構造に関するものであり、ZAP−70の結晶の製造および結晶化で使用されるZAP−70の触媒ドメインの精製方法について記載している。本発明はまた、ZAP−70の生物学的機能を阻害するリガンドの同定および設計を目的とするZAP−70の触媒ドメインの三次元構造の使用に関するものである。

Description

発明の分野
本発明は、ZAP−70タンパク質チロシンキナーゼ、特にZAP−70タンパク質チロシンキナーゼの触媒ドメインの三次元構造に関するものである。本発明はまた、リガンドまたは非リガンド性ヒトZAP−70触媒ドメインの結晶形態に関するものである。さらに、本発明は、ZAP−70を含む結晶の製造方法および結晶化で使用されるZAP−70の触媒ドメインの精製について述べている。本発明はまた、ZAP−70の生物学的機能を阻害するリガンドまたは低分子量化合物の同定および設計を目的とするZAP−70キナーゼの触媒ドメインの三次元構造の使用に関するものである。
発明の背景
タンパク質チロシンキナーゼZAP−70(70kDaのゼータ鎖会合タンパク質)は、T細胞活性化において中枢的役割を演じる。T細胞は、移植拒絶、自己免疫疾患および炎症応答の開始に関与している。T細胞の活性化は、抗原特異的T細胞受容体(TCR)の関与を必要とし、若干のシグナル変換経路の活性化をまねく初期膜近位事象を誘発する。
T細胞活性化の初期事象の一つは、TCRゼータ鎖のリン酸化およびTCRによるその2つのSH2ドメインを介したSykファミリータンパク質チロシンキナーゼZAP−70の特異的会合および活性化である。srcファミリーのキナーゼLckによるトランスホスホリレーションと同時のゼータ鎖結合により、ZAP−70の活性化が誘導される。ZAP−70は、アダプター分子である、その特異的基質LAT(T細胞活性化リンカー)をリン酸化し、次いで若干の下流エフェクター分子を補充する。結局これによって、初期T細胞遺伝子の活性化、サイトカインの産生および細胞増殖が誘導される。ZAP−70/LAT−伝達シグナルを妨げることにより、機能的T細胞が不活化されるという充分な証拠がある。
ZAP−70の欠損は、CD−8型T細胞の選択的欠如を特徴とする高度複合型免疫欠損の常染色体劣性形態である、選択的T細胞(STD)の原因である。
TCRゼータ鎖から誘導されたペプチドと複合したヒトZAP−70の縦列SH2ドメインの結晶構造は、Hatada et al.(1995)により以前に報告されている。SH2ドメインのこの三次元結晶構造はまた、米国特許第6251620号の対象でもある。このSH2ドメインの開示により、ZAP−70 SH2ドメイン/ゼータ鎖相互作用の遮断に努力が向けられた。しかしながら、現在までのところ、ZAP−70の経口活性阻害剤については報告されていない。
ATP結合部位での触媒活性は直接阻害され得るため、本発明は、ZAP−70を阻害するためのZAP−70の触媒ドメインの三次元構造に焦点を絞っている。本発明の開示以前に、ZAP−70の触媒ドメインの三次元結晶構造は無かった。ヒトZAP−70の触媒ドメインの三次元構造により、触媒ドメインの三次元構造に基づいたZAP−70の阻害剤の同定および設計は今や可能となった。
発明の要旨
本発明の目的は、ZAP−70キナーゼ触媒ドメインの三次元構造を提供することにより、ZAP−70キナーゼを特異的に阻害するリガンドまたは低分子量分子の同定および設計を可能にすることである。
本発明は、
(i)リガンドまたは低分子量化合物と共にまたはそれを伴わずにZAP−70キナーゼの触媒ドメインを含むZAP−70キナーゼの結晶
(ii)ZAP−70キナーゼ触媒ドメインを含むZAP−70キナーゼの結晶の製造方法
(iii)触媒ドメインを含む上記ZAP−70キナーゼ結晶およびその構造座標の使用方法
に関するものである。
ZAP−70キナーゼの触媒ドメインの結晶から明らかにされた三次元構造情報は、構造に基づく薬剤発見についてZAP−70キナーゼの阻害剤をスクリーニングし、同定および設計するのに使用され得る。
発明の詳細な記載
ヒトZAP−70キナーゼの完全長配列は公知であり、Genbank受入番号L05148およいSwissProt受入番号P43403に示されており、それらについては出典明示により援用する。
本発明は、結晶形態でのZAP−70キナーゼ触媒ドメインを提供する。特に、本発明は、ZAP−70キナーゼの触媒ドメインおよび複合体としてZAP−70に結合したリガンドを含む結晶を提供する。
本発明の一実施態様では、a=35.77±5オングストローム、b=57.56±5オングストローム、c=80.20±5オングストローム、α=68.97±5°、β=89.83±5°、γ=89.95±5°の単位格子サイズを含むZAP−70キナーゼの触媒ドメインの結晶が提供される。特定結晶化条件により、単位格子を特性検定するパラメーターは限られた範囲で変動し得、たとえば、a、b、cは各々5オングストローム以下で変動し、α、β、γは各々5°以下で変動し得る。本発明の空間群はP1単純三斜晶である。
本発明による「単位格子」の語は、基本形状ブロックをいう。結晶の全体積は、上記ブロックの規則的な組立により構築され得る。各単位格子は完全表示のパターン単位を含み、その反復により結晶が構築される。
本発明による「空間群」の語は、結晶の対称要素の配置をいう。
本発明の別の実施態様では、リガンドと複合したZAP−70キナーゼの触媒ドメインを含むZAP−70キナーゼの結晶が提供され、その場合結晶は表1の原子構造座標を特徴とする三次元構造を有する。
本発明のさらなる実施態様において、ZAP−70キナーゼの触媒ドメインは、配列番号2の配列、そのフラグメントまたは相同体を含む。
本発明のさらに別の実施態様では、ZAP−70キナーゼの触媒ドメインは少なくともATP−結合部位を含む。
さらに、本発明は、少なくとも1個のリガンドまたは低分子量化合物に結合したZAP−70の触媒ドメインを含む結晶を提供する。
本発明による「リガンド」の語は、ZAP−70の1個またはそれ以上の特異部位、好ましくはZAP−70の触媒ドメイン、最も好ましくは上記触媒ドメインのATP結合部位に結合する一分子または分子群をいう。本発明によるリガンドは、好ましくは低分子量分子である。
本発明による「低分子量化合物」の語は、好ましくは一般的に約1000未満、さらに好ましくは約500未満の分子量を有する有機化合物をいう。最も好ましくは、上記低分子量化合物またはリガンドは、ZAP−70生物活性を阻害する。
ZAP−70阻害剤に関する場合、「ペプチド」または「ペプチド誘導体」の語は、ZAP−70キナーゼの結合部位の三次元構造を補うか、または本発明で提供されているようにZAP−70キナーゼ触媒ドメインの三次元結合部位と結合するように物理または化学特性が改良された形で設計され得る「ペプチドミメティック」または「ペプチド類似体」を包含するものとする。
「突然変異体」の語は、Genbank受入番号L05148またはSwissProt受入番号P43403に示されたZAP−70キナーゼの野生型配列における1個またはそれ以上の選択されたアミノ酸の欠失、挿入または好ましくは置換による差異をいう。
本発明によると、「突然変異体」の語はまた、アミノ酸配列が、1個またはそれ以上の選択されたアミノ酸の欠失、挿入または好ましくは置換により配列番号2に示された野生型配列とは異なるポリペプチドをいう。たとえば、本発明の触媒ドメインのZAP−70突然変異体は、好ましくは配列番号2と少なくとも50%の相同性、さらに好ましくは配列番号2と少なくとも80%の相同性、最も好ましくは配列番号2と少なくとも90%の相同性を示す。
本発明によるZAP−70触媒ドメインの「フラグメント」は、配列番号2によるZAP−70触媒ドメインの完全長配列の50%より大、さらに好ましくは配列番号2によるZAP−70触媒ドメインの完全長配列の少なくとも80%、最も好ましくは配列番号2によるZAP−70触媒ドメインの完全長配列の少なくとも90%を含む。
本発明の一実施態様では、触媒ドメインのZAP−70突然変異体は、少なくとも1個のリガンドを伴い、または伴わずに結晶化され得る。
本発明の別の実施態様では、触媒ドメインのZAP−70フラグメントは、少なくとも1個のリガンドを伴い、または伴わずに結晶化され得る。
本発明のさらに別の実施態様では、ZAP−70の触媒ドメイン、そのフラグメントまたは相同体が、結晶化に先行するいずれかの工程で少なくとも1個のリガンドに結合される方法が提供される。
本発明によると、ZAP−70結晶は、適切な条件下に保たれた場合、少なくとも1ヶ月間は安定している。Hepes pH7.2が、沈澱を生じないZAP−70の濃縮に適切なものとして同定されている。最初に精製する間、高濃度のグリセリン(30〜50%v/v)が好ましく、5〜10mg/ml過剰のタンパク質濃度で迅速な沈澱が生じる。最終濃縮工程中では、1%v/vエチレングリコールをグリセリンと置き換えることにより、30mg/ml過剰の濃度に到達され得る。追加的カチオン交換工程も、濃縮および結晶化工程を妨げる不正確に折りたたまれたかまたは不安定なZAP−70を除去するのに推奨される。
配列番号2の精製タンパク質ZAP−70触媒ドメイン、その相同体またはフラグメントは、プロテアーゼ認識配列が両端に隣接する完全長ZAP−70配列番号1を最初に発現させることによる本発明方法により有利に得られる。この方法は、所望のドメインを典型的には完全長タンパク質から単離し、次いで発現させる当業界で公知の標準的方法よりも好ましい。
ニッケル−キレート化アフィニティーカラムを用いたN−末端標識完全長ZAP−70の精製により、追加の「標準的」クロマトグラフィー手順、たとえばイオン交換またはサイズ排除クロマトグラフィーでは、容易には精製され得ない純度が限られたタンパク質が生じる。本発明によると、γ−アミノフェニル−ATPセファロースを用いるアフィニティークロマトグラフィーは、高純度のZAP−70タンパク質をもたらす好ましい精製手段である。所望のZAP−70触媒ドメインの同定は、好ましくは免疫化学的方法、たとえばウエスタン−ブロッティングを用いる。
本発明の一実施態様では、以下の工程を含むZAP−70キナーゼの結晶の製造方法が提供される:
(i)完全長ZAP−70キナーゼ(配列番号1)の精製、
(ii)タンパク質加水分解ドメインの特定
(iii)ZAP−70の所望のドメインのタンパク質加水分解的放出を容易にするためプロテアーゼ認識配列を両端に隣接させた配列番号1の完全長ZAP−70キナーゼの発現
(iv)適切な宿主細胞における工程(iii)からの完全長ZAP−70キナーゼの発現
(v)プロテアーゼ認識部位における所望のドメインの制御されたタンパク質加水分解
(vi)所望のZAP−70ドメインの迅速な精製。
本発明の好ましい実施態様では、上記結晶製造方法は、配列番号2のZAP−70キナーゼの触媒ドメイン、そのフラグメントまたは相同体を含むZAP−70キナーゼドメインの所望のドメインを含む。
本発明によると、ZAP−70は、天然供給源、たとえば培養ヒト細胞から単離により、または好ましくは組換え異種発現により製造され得る。組換えZAP−70の発現は、真核生物または原核生物系で達成され得る。たとえば、組換えヒトZAP−70は、適切な組換えバクロウイルス系を用いることにより昆虫細胞、たとえばSf9細胞で、または細菌で発現され得る。
キナーゼは、融合タンパク質、たとえばグルタチオン−S−トランスフェラーゼ(GST)またはヒスチジン標識融合タンパク質として発現され得る。所望ならば、融合パートナーを結晶化前に除去する。結晶化に使用される異種生産ZAP−70は、生物学的活性を示す。上記能力は、当業界で公知の形態学的、生化学的または生存能力分析により測定され得る。
ZAP−70突然変異体の製造方法は、当業界では公知である。たとえば、ZAP−70突然変異体は、オリゴ−ヌクレオチド指定突然変異導入法によりそのコーディング領域に予め修飾が加えられたZAP−70 DNAの発現により製造され得る。
本発明では、精製ZAP−70は、好ましくは少なくとも90%均一である。タンパク質均一性は、当業界でよく知られている分析方法、たとえば配列分析、電気泳動、分光分析またはクロマトグラフィー技術により測定され得る。精製タンパク質は酵素活性を有する。当業界で公知の適切な基質、たとえば天然基質または合成基質に対するZAP−70キナーゼ活性を測定するための適切な検定法がある。
本発明の一実施態様では、結晶化に先行して、ZAP−70を、ZAP−70触媒ドメイン部位へ適切に結合し得る低分子量化合物またはリガンドと反応させ得る。好ましいのは、ZAP−70活性を阻害する化合物である。キナーゼ阻害は当業界で公知の検定法を用いて測定され得る。適切な阻害剤には、触媒ドメインに作用してZAP−70活性を阻害するATP−競合的キナーゼ阻害剤がある。
蒸気拡散、透析またはバッチ結晶化を含む様々な結晶化方法が本発明では使用され得る。蒸気拡散結晶化では、少量(すなわち数マイクロリットル)のタンパク質溶液を、沈澱剤含有溶液と混合する。少量、すなわち約1mlの沈澱剤を含むウェルにこの混合容量を懸濁させる。ドロップからウェルへの蒸気拡散により、ドロップに結晶が形成される。
結晶化の透析方法は、タンパク質を保持するが小分子(すなわち、緩衝剤および沈澱剤)を内外に拡散させ得るサイズ排除半透膜を使用する。透析では、タンパク質および沈澱剤を蒸発により濃縮するのではなく、膜を通して沈澱剤をゆっくりと拡散させ、タンパク質濃度を一定に保ちながらタンパク質の溶解度を低下させる。
バッチ法では、一般的に、タンパク質の水溶液へ沈澱剤をゆっくりと加え、ついに溶液が混濁し始めると、この時点で容器は密閉され、結晶化が起こるまで一定期間平静な状態で放置され得る。バッチ技術では、沈澱剤および標的分子溶液を単に混合するだけである。過飽和は、拡散によるのではなく直接的に達成される。バッチ技術は、油下で実施されることが多い。油は蒸発を阻止し、極微小滴が使用され得る。このため、「ミクロバッチ」の語が使用される。この技術に加えられた修正は、パラフィン油(蒸発を完全に阻止する)を使用するのではなく、緩速な蒸発が可能となるようにシリコーン油またはシリコーン油およびパラフィン油の混合物を使用することである。
本発明は、いかなる結晶化方法でも全て包含し得る。当業者であれば、上記方法のいずれかを選択し、選択された方法により所望の結晶が得られるようにパラメーターを変え得るはずである。
ZAP−70の好ましい一結晶化方法では、ZAP−70溶液を「レザーバー緩衝液」と混合し、結晶形成に必要な低濃度の沈澱剤を用いる。結晶を形成させるためには、沈澱剤の濃度を、たとえば沈澱剤をたとえば滴定によって加えることにより、または沈澱剤の濃度を拡散により結晶化緩衝液およびレザーバー緩衝液間で釣り合わせることにより増加させなければならない。適切な条件下、沈澱剤の上記拡散は、沈澱剤の勾配に沿って、たとえば沈澱剤の濃度が高いレザーバー緩衝液から沈澱剤の濃度が低い結晶化緩衝液中へ行なわれる。拡散は、たとえば、標準気相で水を拡散させる蒸気拡散技術により達成され得る。公知技術は、たとえば蒸気拡散方法、たとえば「ハンギング・ドロップ」または「シッティング・ドロップ」方法である。蒸気拡散方法では、タンパク質を含む結晶化緩衝液のドロップが、かなり大量のレザーバー緩衝液のプールの天井に張りつくかまたは床に張りついている。別法として、沈澱剤の均衡は、レザーバー緩衝液から結晶化緩衝液を分離し、レザーバー緩衝液中へのタンパク質の希釈を阻止する半透膜を通して達成され得る。
ZAP−70キナーゼ触媒ドメイン結晶の形成は、本質的に以下のパラメーターにより決定される様々な条件下で達成され得る:pH、塩および添加物の存在、沈澱剤、タンパク質濃度および温度。pHは、たとえば約4.0〜9.0の範囲であり得る。
本発明はまた、ZAP−70触媒ドメイン結晶構造モデルを記憶させたコンピューター可読性媒体に関するものである。好ましい実施態様において、上記モデルは、表1の原子座標に示されたX線回折データの全部または一部から構築される。
本発明は、ヒトZAP−70触媒ドメインの構造座標を提供する。「構造座標」または「原子座標」の語は、ZAP−70触媒ドメインを含む結晶の原子(散乱中心)によりX線の単色ビームの回折で得られたパターンに関連した数学の等式から誘導される数学的座標をいう。回折データを用いて、結晶の反復単位の電子密度マップを算出する。電子密度マップを用いて、結晶の単位格子内における個々の原子の位置を確立する。
本発明結晶性組成物の構造座標は、機械可読性記憶媒体、たとえばコンピューターハードドライブ、ディスケット、DATテープなどにおいて機械可読性形態で記憶され得、三次元形状として画面に表示されるか、または他に構造座標またはそれらが特定する三次元構造のコンピューター支援による操作またはそれに基づいたコンピューター操作に使用され得る。たとえば、ZAP−70ファミリーのタンパク質、または上記タンパク質の一部分または構造上類似した相同体の三次元構造を特定するデータは、機械可読性記憶媒体に記憶され得、そして典型的には上記記憶媒体からデータを読取り得るコンピューターを用いることにより、タンパク質構造のグラフィカル三次元表示として画面に表示され、上記データからの表示作製についての命令によりプログラム化され得る。
本発明の一実施態様では、ZAP−70の触媒ドメインの三次元構造の測定方法であって、
(i)ZAP−70の触媒ドメイン(配列番号2)、そのフラグメントまたは相同体を含むZAP−70キナーゼを結晶化し、
(ii)x線回折データを上記結晶についての原子座標形態で集め、
(iii)表1の原子座標を全体的または部分的に用いることにより、ZAP−70の触媒ドメイン、そのフラグメントまたは相同体の三次元構造を測定する
ことを含む方法が提供される。
本発明の別の実施態様では、少なくとも1個のリガンドに結合したZAP−70キナーゼの触媒ドメイン(配列番号2)、そのフラグメントまたは相同体を含む複合体の三次元構造の測定方法であって、
(i)複合体の結晶についてのx線回折データを得、
(ii)全体的または部分的に表1の原子座標を用いて複合体の三次元構造を測定する
ことを含む方法が提供される。
本発明によると、三次元ZAP−70モデルは、ZAP−70の触媒ドメイン、そのフラグメントまたは相同体を含むZAP−70結晶から得られる。かかるモデルは、x線回折座標、特に表1の原子構造座標を用いることにより、本発明のZAP−70キナーゼ構造データの全部または一部から構築または精密化され得る。
ZAP−70の触媒結合部位の三次元モデルから得られた知識は様々な方法で使用され得る。たとえば、それを用いることにより、ZAP−70に結合し、好ましくはZAP−70伝達または関連プロセスまたは事象を遮断または阻止するか、またはZAP−70アゴニストとして作用する化学物質、たとえば小有機および生体有機分子、たとえばペプチドミメティクスおよび合成有機分子が同定され得る。ZAP−70触媒ドメインの三次元構造を用いることにより、当業者であればZAP−70のモデルを構築できるはずである。たとえば、あらゆる分子が適切なファンデルワールス半径の球体として描かれ得、ZAP−70触媒ドメインの詳細な表面マップが構築され得る。
ZAP−70の触媒結合部位の接近可能表面を模倣する表面を有する化学物質は、当業者により構築され得る。例を挙げると、当業者であれば、化合物の三次元構造データベースをスクリーニングすることにより、類似した三次元構造配置に適切な官能基を配置させた化合物を同定し、次いで上記化学物質をめぐるコンビナトリアルケミストリーライブラリーを構築することにより、ZAP−70の触媒結合部位に対して高い親和力を有するものを同定し得る。
本発明の一実施態様では、ZAP−70キナーゼの触媒ドメインに結合するリガンドまたは低分子量化合物の同定方法であって、
(i)表1における原子座標のセットから全体的または部分的に誘導された触媒ドメインの三次元構造を用いることにより、ZAP−70の触媒ドメインに結合する可能なリガンドまたは低分子量化合物を選択し、
(ii)ZAP−70の触媒ドメインに結合するリガンドまたは低分子量化合物を選択する
工程を含む方法が提供される。
本発明の別の実施態様では、ZAP−70キナーゼの触媒ドメインに結合するリガンドまたは低分子量化合物の同定方法であって、ZAP−70キナーゼの触媒ドメインが上記ドメインの少なくともATP−結合部位を含むものである方法が提供される。
本発明のさらに別の実施態様では、ZAP−70キナーゼの生物活性を阻止するリガンドの同定方法が提供される。
リガンドまたは小分子化合物は、化合物データベースまたはライブラリーをスクリーニングし、コンピューター手段を用いてZAP−70キナーゼの触媒ドメインにおける結合部位へのフィッティングオペレーションを形成させることから同定され得る。表1の構造座標により全体的または部分的に本発明で提供されるZAP−70の触媒ドメインの三次元構造は、様々なドッキングプログラムと一緒に使用され得る。
ZAP−70に対する化学物質の潜在的阻害または結合作用は、その実際の合成およびコンピューターモデリング技術の使用による試験前に分析され得る。所定の化学物質の理論的構造がそれとZAP−70間における不十分な相互作用および会合を示唆する場合、化学物質の合成および試験についての必要性は回避される。しかしながら、コンピューターモデリングが強い相互作用を示す場合、分子が合成され、そのZAP−70への結合能力について試験され得る。すなわち、費用がかかり、時間の浪費である効力のない化合物の合成が回避され得る。
ZAP−70の阻害性または他の結合性化合物は、コンピューターにより評価され、化学物質またはフラグメントをスクリーニングし、ZAP−70の個々の結合部位との会合能力について選択する一連の工程を通して設計され得る。すなわち、当業者であれば、幾つかの方法の一つを用いることにより、ZAP−70とのその会合能力について化学物質またはフラグメントをスクリーニングし得る。このプロセスは、たとえば、全体的または部分的に表1の構造座標に基づいたコンピュータースクリーンで結合部位を視覚的に観察することから開始され得る。次いで、選択されたフラグメントまたは化学物質を様々な配向で配置させるか、またはZAP−70の触媒結合部位内で「ドッキング」させ得る。ドッキングは、ソフトウェア、たとえばQuantaおよびSyLyl、次いでエネルギー最小化および標準分子力学力場による動力学法、たとえばCHARMMおよびAMBERを用いて実施され得る。専門のコンピュータープログラムは、興味深いフラグメントまたは化学物質を選択するのに有用であり得る。これらのプログラムには、たとえば、英国オックスフォードのオックスフォード・ユニバーシティーから入手され得るGRID、マサチューセッツ、バーリントンのモレキュラー・シミュレーションズから入手され得る5MCSSまたはCATALYST、カリフォルニア、ラジョラのスクリップス・リサーチ・インスティテュートから入手され得るAUTODOCK、カリフォルニア、サンフランシスコのユニバーシティー・オブ・カリフォルニアから入手され得るDOCK、英国、ユニバーシティー・カレッジ・オブ・ロンドンから入手され得るXSITEがある。
分子置換法を用いて一連の座標、たとえば本発明の表1の座標を利用することにより、結晶性ZAP−70キナーゼ触媒ドメインまたはその一部分の構造を、たとえば、1個またはそれ以上のリガンドまたは低分子量化合物に結合させることにより複合体を形成させ得る。
「分子置換」の語は、構造座標が既知である分子を配向および配置させることにより、構造座標が未知である結晶の予備構造モデルを作製することを含む方法をいい、たとえば、未知結晶の単位格子内におけるZAP−70キナーゼ触媒ドメイン座標のように、未知結晶の観察された回折パターンの最善の説明を求める。次いで、このモデルから位相を計算し、観察された振幅に付加することにより、座標が未知である構造の近似したフーリエ合成が得られる。次いで、これを幾つかの精密化形態のいずれかにかけることにより、未知結晶の正確な最終構造が提供され得る。本発明により提供される構造座標を用いて、分子置換法を用いることにより、結晶性共複合体、未知リガンド、突然変異体または相同体、またはZAP−70キナーゼの異なる結晶形態の構造座標が測定され得る。さらに、要求された結晶およびその座標を用いることにより、ZAP−70と会合する化学物質の構造座標が測定され得る。
本発明による「ホモロジー・モデリング」では、1個またはそれ以上の関連タンパク質、タンパク質ドメインおよび/または一サブドメイン、たとえばZAP−70キナーゼの触媒ドメインの構造座標を用いて未知構造のモデルを構築する。ホモロジー・モデリングは、三次元構造を解明すべきタンパク質またはペプチドの共通または相同部分を、相同的構造要素の三次元構造にフィッティングさせることにより実施され得る。ホモロジー・モデリングは、アミノ酸または他の成分を解明すべき関連構造のものと置換することにより三次元構造の一部または全部を再構築することを含み得る。
本発明による分子置換は、既知構造を有する分子を使用する。データキャリヤでの機械可読性形態をした表1で全体的または部分的に提供されたZAP−70の触媒ドメインの三次元構造は、未知結晶試料の構造をモデリングするための出発点として使用され得る。この技術は、単位格子において類似構造、配向および位置を有する2個の分子は同様に回折するという原理に基づいている。分子置換では、未知構造と同じ位置および配向で単位格子における既知構造を配置させる。一旦配置させると、単位格子における既知構造の原子を用いて、仮定的回折実験から生じる構造因子を計算する。この場合、実験データとの既知構造のアラインメントが達成されるまで、六次元(三角度および三空間的次元)で既知構造を回転させる。この近似構造を微調整することにより、様々な精密化技術を用いてさらに正確で、多くの場合解像能が高い構造を得ることができる。たとえば、実験データにより特定された構造について作製されたモデルを剛体精密化にかけ得、その場合モデルを6次元で制限された追加回転にかけることにより、約5%未満の位置決めシフトが得られる。次いで、他の公知精密化方法を用いることにより、精密化モデルをさらに精密化し得る。本発明はまた、ZAP−70触媒ドメインの相同体および突然変異体およびそれらの結晶構造の解明を可能にする。本発明で提供されているZAP−70触媒ドメインの三次元構造に基き、そして全体的または部分的に表1の原子座標を用いることにより、部位特異的突然変異の効果が予測され得る。さらに具体的には、本明細書で提供されている構造情報により、アミノ酸修飾、特に置換、挿入または欠失変異型を生じさせるアミノ酸突然変異にとって望ましい部位が同定され得る。上記変異型は、特殊な特性、特に野生型ZAP−70触媒ドメインとは区別される特性、たとえば改変された触媒活性を有するように設計され得る。置換、欠失および挿入を組合わせることにより、所望の変異型が達成され得る。上記変異型は、当業界でよく知られた方法により、たとえば野生型ZAP−70触媒ドメインから出発して、または新たな合成により製造され得る。
ZAP−70触媒ドメインはまた、本明細書に開示されたものとは異なる形態で結晶化し得る。たとえば配列番号2および全体的または部分的に表1で提供されている構造情報もまた、他の結晶形態の構造を解明するのに有用である。さらに、それは、ZAP−70触媒ドメイン突然変異体、ZAP−70触媒ドメイン共複合体または充分な相同性タンパク質の構造を解明するのに役立ち得る。
本明細書で提供されているZAP−70触媒ドメイン構造情報は、ZAP−70触媒ドメインと選択的に相互作用することにより、ZAP−70の生物活性を特異的に調節し得るリガンドまたは小分子化合物の設計に有用である。さらに、この情報は、ZAP−70突然変異体、たとえば触媒活性が改変された突然変異体の設計および製造、三次元構造のモデリングおよびたとえば分子置換を含む、タンパク質、たとえばZAP−70触媒ドメイン相同体、ZAP−70触媒ドメイン突然変異体またはZAP−70触媒ドメイン共複合体の結晶構造の解明に使用され得る。
本発明は、ZAP−70触媒ドメインに結合し得るリガンドまたは低分子量化合物の設計方法であって、
(i)全体的または部分的に表1の原子座標を用いてZAP−70触媒ドメインの三次元構造を測定し、
(ii)候補リガンドまたは低分子量化合物でZAP−70触媒ドメインの三次元構造をプローブすることにより、どれがZAP−70の触媒ドメインに結合するかを測定し、
(iii)ZAP−70の触媒ドメインに結合するリガンドまたは低分子量化合物を選択し、
(iv)所望により、結合することにより物理的結合特性、たとえば溶解性、親和力、特異性または有効性を最大化するリガンドまたは低分子量化合物を修飾してもよい
工程を含む方法を提供する。
好ましいのは、触媒結合部位で相互作用するZAP−70阻害剤の設計方法ある。本発明はまた、上記方法により同定される化学物質またはリガンドに関するものである。本発明により可能となる一方法では、ZAP−70触媒ドメインの構造座標の使用により、ZAP−70キナーゼと結合または会合する化学物質を設計し、種々の点で化学物質の物理特性を改変させる。すなわち、特性、たとえば可溶性、親和力、特異性、有効性、オン/オフ割合、または他の結合特性が全て、改変および/または最大化され得る。種々の物質のライブラリーで触媒ドメインを含むZAP−70結晶をプローブして、候補化学物質およびZAP−70間における相互作用に最適な部位を決定することにより、所望の化学物質が設計され得る。たとえば、溶媒で飽和させた結晶から収集された高解像能x線回折データにより、各タイプの溶媒分子が付着する場所が測定され得る。次いで、それらの部位に堅固に結合する小分子を設計し、合成し、所望の活性について試験し得る。一旦所望の活性が得られると、分子はさらに望ましい特性を最大化するように改変され得る。
本発明はまた、小分子データベースのコンピュータースクリーニングまたはZAP−70触媒ドメインに全体的または部分的に結合し得る化学物質の設計に関するものである。それらはまた、突然変異体、共複合体、またはZAP−70キナーゼの少なくとも一部分と相同性であるかまたはそれと会合し得る他のいずれかの分子の結晶性形態の結晶構造の解明に使用され得る。この目的に使用され得る一方法が分子置換である。未知構造であり得る未知結晶構造、たとえばZAP−70キナーゼ触媒ドメインの別の結晶形態、ZAP−70キナーゼ触媒ドメイン突然変異体またはペプチド、またはZAP−70キナーゼとの共複合体、または興味の対象であるZAP−70と会合する化学物質の他のいずれかの未知結晶は、表1に示された構造座標の全部または一部を用いて測定され得る。この方法は、本発明によらずに上記情報の測定を試みる場合より迅速かつ有効に未知結晶についての正確な構造形態を提供する。
本発明の好ましい一実施態様では、候補リガンドをインシリコでスクリーニングする。すなわち、得られた情報を用いることによりZAP−70の最大有効阻害剤またはアゴニストが得られる。ZAP−70を阻害またはそれに対してアゴニスト作用を示す化学物質の設計では、一般的に少なくとも2つの因子を考慮に入れる。第一に、化学物質は、物理的または構造的にZAP−70と、好ましくはZAP−70の触媒部位で会合し得るものでなくてはならない。会合は、物理的、構造的または化学的会合、たとえば共有または非共有結合、またはファンデルワールス、疎水性、または静電性相互作用であり得る。第二に、化学物質は、ZAP−70と、優先的にはZAP−70の触媒部位で会合させ得る立体配座を呈し得るものでなくてはならない。化学物質の全部が必ずしもZAP−70との会合に関与するわけではないが、それらの非関与部分も依然として分子の全体的立体配座に影響を及ぼし得る。これはまた、化学物質の望ましさに対して著しい悪影響を有し得る。上記立体配座要件は、結合部位の全部または一部に関して化学物質の総合的三次元構造および配向を包含する。
一旦化合物が上記方法により設計または選択されると、その化合物がZAP−70に結合し得る有効性が、コンピューターまたは実験的評価法を用いることにより最大所望特性(複数も可)について試験および修正され得る。様々なパラメーターが所望の結果により最大化され得る。これには、特異性、親和力、オン/オフ割合、疎水性、溶解性、および当業者により容易に同定され得る他の特徴があるが、これらに限定されるわけではない。
本発明はまた、ZAP−70を調節する化合物の同定に関するものである。好ましいのは、ZAP−70活性を阻害する化合物であり、たとえばT細胞およびリンパ球活性化を伴う疾患および状態の処置に有用な可能性がある。
本発明は、分子設計技術、特に合理的薬剤設計方法を使用することにより、ZAP−70活性を不可逆的または可逆的に調節し得る、ZAP−70阻害剤を含む、新規または改良された化学物質および化合物の製造を可能にする。改良された化学物質または化合物とは、インビボ投与についての適合性を含む治療用途に関連性のある特性、たとえば細胞取込、溶解性、(酵素的)分解に対する安定性、結合親和力または特異性などに関してこれらの物質または化合物が、それらの由来する「原初の」または親化合物よりも優れていることを意味する。たとえば、本明細書で提供された情報に基づくと、共有結合的または好ましくは非共有結合的にZAP−70に結合するZAP−70阻害剤を特別に設計することが可能である。上記阻害剤は、競合的または非競合的に作用し、ZAP−70の活性部位でまたはその付近で結合するかまたはアロステリック的に作用し得る。
ZAP−70モジュレーターの設計においては、以下の局面を考慮すべきである:(i)候補化合物が、物理的および構造的にZAP−70キナーゼ触媒ドメインと会合し得るかどうか、および/または(ii)化合物が、ZAP−70キナーゼ触媒ドメインとの会合を可能にする立体配座をとるかどうか。有利には、モジュレーターの全体としてまたはそのフラグメントとしてのこれらの能力を評価するプロセスでコンピューターモデリング技術を使用することにより、非有効的候補化合物の合成または試験に要する努力を最小限にする。専門的コンピューターソフトウェアは当業界ではよく知られている。
別の設計方法では、様々な異なる化学物質でZAP−70触媒ドメイン結晶をプローブすることにより、候補ZAP−70阻害剤および標的酵素間における相互作用に最適な部位を決定する。本発明から生じるさらに別の可能性は、ZAP−70触媒ドメインに全体的または部分的に結合し得る化学物質または化合物についての小分子データベースをコンピューターでスクリーニングすることである。結合部位への適合の質は、たとえば形状相補性により、または推定される相互作用エネルギーにより判定され得る。次いで、修飾の三次元配置に関する知識は、新規ZAP−70リガンドまたは低分子量化合物、たとえば選択的阻害剤の設計に利用され得る。
ZAPファミリー要員と会合し得る化学物質は、タンパク質の天然リガンドとのその相互作用を阻害し得、上記相互作用が伝達する生物機能を阻害し得る。ZAP−70の場合、上記生物機能には免疫応答中におけるT細胞の活性化が含まれる。上記化学物質は潜在的薬剤候補である。
上記手段のいずれかにより選択または設計された構造の化合物は、ZAPファミリータンパク質へ結合し、ZAPファミリータンパク質のその天然または非天然リガンドへの結合を阻害し、および/またはZAPファミリー要員が伝達する生物学的機能を阻害するそれらの能力について試験され得る。
以下の実施例は、本発明を説明する役割を果たすもので、それに対する制限とみなすべきではない。本発明は、特にこれらの実施例に記載された実施態様に関するものである。本明細書に記載された方法のいずれかにより初めに同定された化合物もまた本発明に包含される。
実施例
実施例1:完全長ZAPキナーゼの初回精製
ZAP−70キナーゼの完全長アミノ酸配列は、配列番号1に与えられている。N−末端His標識完全長ZAPキナーゼはSf9細胞で発現され、これは、N−末端がN−末端メチオニンおよびプロリン(2位)間におけるヘキサ−ヒスチジン配列の挿入により修飾されており、その結果このプロリンが8位にあるという点で野生型配列とは異なっている。細胞ペレットを採取し、必要時まで−80℃で冷凍する。39gの湿った細胞ペレットを、350mlの氷冷緩衝液A(50mMのリン酸ナトリウム pH8、12EDTA不含有コンプリート(登録商標)プロテアーゼ阻害剤錠剤含有、10mMのβ−メルカプトエタノール、10%v/vグリセリン、0.1mMのMnCl、10mMのイミダゾールおよび300mMのNaCl)に懸濁する。ヘイドルフ−ディアックス組織粉砕機を用いて、細胞を3分間氷上で溶菌した後、ガラス−テフロン製ホモジナイザーで10ストロークによりホモジナイズする。生成したライゼートを4℃、43000gで45分間遠心分離にかけ、それに続いて連続グラスファイバー1.2μMおよび0.43μM濾過膜により濾過する。この澄明化上清を、緩衝液Aにより平衡させた20mlのNi−NTA−アガロース(キアゲン)アフィニティー樹脂を含むXK16/20クロマトグラフィーカラム(アマシャム・バイオサイエンシーズ)に2ml/分の流速でローディングする。一旦全材料がローディングされると、フロー−スルー材料のUV−吸光度がもう一度基準レベルにもどるまでカラムを緩衝液Aで洗浄する(4ml/分の流速で)。この時点(同じ流速を使用)で、緩衝液B(25mMのトリス−HCl pH8、10%v/vグリセリン、50mMのNaClおよび250mMのイミダゾール)をカラムに適用し、溶離するタンパク質のピークを集める。この物質を、2ml/分の流速で緩衝液C(25mMのトリス pH8.0、30%v/vグリセリン、1mMのDTT、1mMのMgClおよび50mMのNaCl含有)により平衡させたγ−アミノフェニル−ATPセファロースの16mlカラムへ直接ローディングする。7カラム容量において緩衝液C中で0〜1MのNaClの勾配を適用することにより、カラムを溶離する。溶離ピークを、30000Mカットオフ膜(アミコン)を用いる限外濾過により約7mlに濃縮し、緩衝液C(ただし50mMのNaCl不含有)により平衡させたスーパーデックス75(XK16/60)サイズ排除カラムを用いてさらに精製する。ZAP−70モノマー含有フラクションを集め、プールした後、2.5mg/mlに濃縮し、それに続いて限定タンパク質加水分解的消化を行う。
完全長ZAP−70は、還元的SDS−PAGEにより測定されたところによると約60%の純度でNTA−アガロースカラムから溶離される。それに続くγ−アミノフェニル−ATPセファロースの16mlカラムでのクロマトグラフィーにより、濃縮され得るかなり高い純度の幾分広いピークが得られる。このピークの詳細な分析結果は、初期に溶離するフラクションの方が主に凝集物質を含むこと、およびプロファイルの最後に向かう分離したピークが高純度のモノマーZAPの大部分を含むことを明らかにしている。サイズ排除クロマトグラフィーにより、〜90%の割合でタンパク質を含む主要ピークが得られ、残りは、二量体または凝集タンパク質が溶離すると予測される位置で僅かに早く溶離している。この段階で、調製物の純度は90%より多く、微小キナーゼドメインの限定タンパク質加水分解的特定での使用に適切である。この段階で、タンパク質加水分解的消化後に存在する追加配列の数を最小限にするために極めて高い純度が非常に重要である。
実施例2:タンパク質加水分解的触媒ドメインの特定
ZAP−70を室温で20時間1:100濃度比で以下のプロテアーゼとインキュベーションする:サーモリシン、カルボキシペプチダーゼA、トロンビン、Arg C、Glu C、Xa因子、カルボキシペプチダーゼY、キモトリプシン、Lys C、Asp N、エラスターゼ、トリプシンおよびズブチリシン(1:1比)。インキュベーション後、試料を除去し、還元的SDS−PAGE電気泳動(ノヴェックス4〜20%ゲル、インビトロゲン)にかけ、非消化対照と比較する。速く移動する方のバンドが観察され、それらが触媒ドメインを含むのに充分なサイズ(〜30kDa)を有する場合、試料を再びSDS−PAGEにかけ、抗His抗体(シグマ、H−1029)を用いるウエスタン・ブロッティングを行う。これは、N−末端およびC−末端ZAP−70フラグメント(His標識はN−末端にあり、したがって抗His免疫反応性を示す形態はC−末端が先端切除されており、興味の対象ではない)を同定するためである。非免疫反応性フラグメントをSDS−PAGEにかけ、電気泳動的にPVDF膜へ移動させ、バンドを視覚化し、切除し、それらのN−末端配列を解析する。
サーモリシン、トリプシン、Glu C、Asp Nおよびエラスターゼにより消化後、触媒ドメインを含むのに充分な大きさ(〜30kDa)を有する、速く移動するバンドが観察される。(His)N−末端標識に対するウエスタン・ブロッティング時、非免疫反応性フラグメントをトリプシン、エラスターゼおよびサーモリシン消化により製造し、それによって原初のC−末端であるものとして特定する。これらのフラグメントを配列決定する。トリプシンおよびサーモリシンの両消化により、N−末端としてイソロイシン299をもつフラグメントを得る。エラスターゼはアルギニン298フラグメントを生じさせ、サーモリシンは追加的ロイシン277フラグメントを生じさせる。これらの結果に基づき、ロイシン277およびアルギニン298から始まるZAP触媒ドメインは、潜在的に結晶化に適切なものとして同定される。
実施例3:PreScission(登録商標)IおよびII構築物のクローニング
若干の触媒ドメイン構築物を精製するという以前の試みは、可溶性タンパク質の発現レベルが低く、これらのタンパク質が不安定である故に困難であることがわかった。この不安定性は、一つには、分離されたドメインのインビボ折りたたみが不正確であること、そして一つには構築物の長さが最適ではないことに起因し得る。したがって、所望のドメインの有効なタンパク質加水分解的放出が容易になるようにPreScission(登録商標)プロテアーゼ認識配列を両端に隣接させた、完全長ZAP−70を発現させる。ZAP−70の完全長版の限定タンパク質加水分解から得られた結果に基づき、2種の構築物を製造した:PreScission(登録商標)I、ロイシン277(構築物における残基285)の直前にPreScission部位が挿入されたC−末端His−標識ZAP−70およびPreScission(登録商標)II、2個の上記部位、すなわちアルギニン298(構築物における残基306)の上流に1個およびC−末端His標識の上流に1個を含み、結果的にこれは同時に除去され得る。オリゴヌクレオチドMG474およびRS366(それぞれ配列番号3および4参照)および野生型完全長ZAP−70遺伝子をコード化するプラスミドNPL2173(Genbank 受入番号L05148)により、原初NPL2173へ組込まれたとき、アラニン297およびアルギニン298間にPreScission(登録商標)開裂部位を導入させ得るDNAフラグメントを増幅する。別の開裂部位をアラニン619の後に付加し、(His)標識に先行させる。以前に報告された要領(Geiser et al. Biotechnology 2001)でPCRフラグメントの組込みを行う。生成したプラスミドを配列決定し、正確なクローンをpXI347(PlasNova NPL003792)と命名する。同様に、オリゴヌクレオチドMG475およびMG479(配列番号5および配列番号6)と共にNPL2173プラスミド鋳型から得られたPCRフラグメントを組込むことにより、プラスミドpXI345(NPL003793)を構築する。pXI345では、PreScission(登録商標)開裂部位をトレオニン282およびロイシン277間に組込み、(His)標識の前にあるPreScission(登録商標)開裂部位を除去する。次いで、線状化バクロウイルスDNAと一緒に昆虫細胞へトランスフェクションすることにより、2つのプラスミドを導入する。アミノ酸の番号付けは、精製標識を含み、プロテアーゼ認識配列が挿入されていることによって、Genbank受入番号L05148の場合とは異なる配列に基づいている。
完全サイズZAP−70の限定タンパク質加水分解の結果に基づき、276、297位の後およびアミノ酸619位の後にPreScission(登録商標)開裂部位を導入した。ZAP−70の新規突然変異体をコード化するプラスミドをそれぞれpXI345およびpXI347と称する。これらのプラスミドは、タンパク質ZAP PreScission(登録商標)IおよびZAP PreScission(登録商標)IIをそれぞれコード化する。突然変異の結果として、完全長タンパク質の完全および高特異的タンパク質加水分解は、ZAP−70の触媒ドメインの高い定量的収率を伴う形で実施され得る。
実施例4:バクロウイルスにおけるPreScission II ZAPの発現および中規模発酵
10%胎児牛血清を含むエクセル401培地で増殖させたSf21細胞を、トランスフェクション試薬としてバクフェクチンを用いたリポフェクションにより500ngの各組換え体導入ベクターおよび5μlの線状AcNPVウイルスDNA(BacPAK6)でトランスフェクションする(両試薬ともBD/クロンテック、パロアルト、カリフォルニア)。5日間のインキュベーション後、トランスフェクション上清を採取し、プラーク検定にかけて、均一ウイルス集団を誘導する。選別したウイルスプラークを単離し、両ウイルスの充分な作業ウイルスストックが発現されるまで、ローラー培養においてエクセル401+1%FCS中で懸濁培養したSf21細胞の感染によりさらに増幅させる。これらを再びプラーク検定により滴定する。
10 lの作業容量でのウェーブ・バイオリアクター(ウェーブ・バイオテックAG、ターゲルスバンゲン、スイス国)を用いて大規模生産を実施する。SF900II培地(ギブコ/ライフ・テクノロジーズ)で成長しているSf9細胞を、ウェーブ・バッグに接種し、連続3日間成長させて、約5×10細胞・mlの最大細胞密度に到達させる。培養および感染プロセス中、ウェーブリアクターサーモプレートの気流、揺動速度および揺動角度を監視および調節する。Sf9細胞を、1.6〜4.9×10細胞/mlの細胞密度および0.5、1および2m.o.i.間の異なる感染多重度(m.o.i.)で感染させる。ウイルス添加と同時に、イーストレート(ギブコ/ライフ・テクノロジーズ)を、4g/lの最終濃度で培養物に供給する。感染期間中細胞密度および細胞生存能を注意深く記録する。
増幅させた作業ウイルスストックのプラーク検定法により、ZAP70 PreScission(登録商標)I構築物については5.6×10pfu/mlおよびZAP−70 PreScission(登録商標)II 構築物については1.7×10pfu/mlの力価が得られる。それに続いて2種のPreScission(登録商標)ZAP構築物の10リットル大規模生産に両方を使用する。両タンパク質とも充分に発現され、少なくとも部分的に可溶性である。しかしながら、NTAスーパーフロー精製PreScission(登録商標)IIのLC−MSは、非−、一、二および三リン酸化完全長キナーゼと対応すると考えられる質量72404、72478、72557および72635による幾つかのピークを示したが、PreScission(登録商標)I構築物は、質量を割当てるのが不可能であるほど不均一なLC−MSスペクトルを与えたため、PreScission(登録商標)II 構築物の生産に発現努力を全て集中させた。
実施例5:Sf9培養物採取の最適化方法
バクロウイルス発現系は溶菌系である。感染が進行すると、細胞は死亡し、溶解し、それらの内容物を培地へ放出する。細胞内発現されるタンパク質、たとえばZAPの発現の場合、細胞溶解を通してこれが失われる前に最大タンパク質発現が行なわれる発現の小さな「ウインドウ」がある。典型的には、ウエスタン・ブロッティングを、感染の時間経過および感染多重度(m.o.i.)の変動と連係的に使用することにより、この時点を測定する。しかしながら、ZAP PreScission(登録商標)IIの場合、発現レベルの増加が不溶性タンパク質レベルの増加をも伴うという観察が為された。したがって、1g量の細胞を溶解する迅速な小規模精製は、「精製可能」ZAPの「オンライン」リードアウトをもたらす。
1gの細胞ペレットを、発酵中における異なる時点で除去し、以前に報告された要領(ただし、1コンプリート(登録商標)EDTA不含有プロテアーゼ阻害剤錠剤を含む、15mlの溶菌緩衝液を使用)で溶解する。規模縮小故に、0.5mlのNi−NTA−アガロースカラムを使用し、溶菌から分離されたタンパク質内容物の分析的RP−HPLC評価までを通した全過程を3〜4時間に減らす。48時間の最適化採取時間で、可溶性ZAPの収率は、約0.75mgの精製可能なZAP/g(細胞)または〜7.5mg/リットル(培養物)へと4倍増加され得る。
実施例6:ZAPキナーゼ触媒ドメインに結合しているスタウロスポリン
限定タンパク質加水分解により特定されたZAP−70キナーゼ触媒ドメイン(R298−A619;配列番号2)を、C末端His−アフィニティー標識を伴うが、2個のPreScission(登録商標)プロテアーゼ部位が両端に隣接した完全長ZAP−70キナーゼとして再クローン化する。10リットルのウェーブ(登録商標)バイオリアクター(0.45m.o.i.;48時間)で成長させたSF9細胞を用いて、発現を実施する。コンプリート(登録商標)EDTA不含有プロテアーゼ阻害剤を含む氷冷緩衝液A(50mMのNaPO、10%v/vグリセリン、10mMのβ−メルカプトエタノール、300mMのNaCl、10mMのイミダゾール;pH8.0)中で細胞を溶解する。ライゼートを20mlのNi−NTA−アガロースカラムに通し、カラムを緩衝液Aで洗浄し、次いで緩衝液B(25mMのトリス、10%v/vグリセリン、50mMのNaCl、250mMのイミダゾール;pH8.0)により溶離する。クロマトグラフィー工程は全て、氷上または被覆した冷却カラムを用いて実施する。タンパク質を、1mMのEDTA、1mMのDTT、30%v/vのグリセリンおよび150mMのNaClを含む25mMのトリスpH8.0中へ直ちに脱塩し、(50mlのセファデックスG−25脱塩カラム使用;HiPrep(登録商標)26/10アマシャム・バイオサイエンシーズ)、濃縮し、スタウロスポリンを加えて2モル過剰とする(DMSOに溶かしたスタウロスポリンの正確な量の添加により2mg/mlとする)。
タンパク質溶液(60ml)を必要時まで−80℃で冷凍し、次いで30000Mカットオフ限外濾過膜(アミコン)を用いて10〜15mlに濃縮した後、スーパーデックス75(登録商標)を充填し、25mMのトリスpH8、1mMのEDTA、1mMのDTT、150mMのNaClおよび30%v/vグリセリンにより平衡させたXK26/90カラムを用いるサイズ排除クロマトグラフィーにかける。フラクションを集め、モノマー物質に対応するもの(約40ml)をプールし、PreScission(登録商標)プロテアーゼとインキュベーションすることにより、分子の残りから触媒ドメインを切除する。典型的には、42mgのZAP PreScission(登録商標)II を含む、40mlの溶液を、420μlのPreScission(登録商標)プロテアーゼ溶液により室温で135分間消化する。開裂反応を逆相HPLCによりモニターしたところ、反応は、緩衝液C(20mMのNaPO、5mMのDTT、10mMのNaCl、1mMのMgCl:pH7.2)へ即座に脱塩することにより可能な限り迅速に停止され得る。典型的には、3×14ml分量として、5ml/分の流速でHiLoad(登録商標)26/10カラムに適用する。一リン酸化(25%)および非リン酸化(75%)ZAPの混合物を含む脱塩タンパク質を、緩衝液C中で平衡させたHR10/8カチオン交換カラム(モノS(登録商標)アマシャム・バイオサイエンシーズ)に適用する。カラムを1ml/分の流速でローディングし、512mlに対し0〜250mMのNaCl勾配を用いて2ml/分で溶離する。
主要ピークが溶離され、一リン酸化タンパク質は約80mMのNaClで溶離し、非リン酸化タンパク質は約100mMのNaClで僅かに遅れて溶離する。非−および一リン酸化ZAPキナーゼ触媒ドメインピークを別々に集め、20mMのHEPES pH7.2(5mMのDTT、1mMのMgCl、150mMのNaClおよび1%v/vのエチレングリコール含有)中へ脱塩(HiLoad26/10カラム)する。スタウロスポリンを、再び10モル過剰として両形態に加え、それに続いて結晶化するためそれらを10〜40mg/mlに濃縮する。この脱塩工程により、クロマトグラフィーに要求されるグリセリン(それが無ければタンパク質が沈澱する)が除去され、濃縮工程を通してタンパク質を充分に安定させるが、後続の結晶化を妨げることはない低濃度のエチレングリコールと置き換えられるため、この工程は重大である。他方、30%v/vグリセリンは、蒸発性シッティング・ドロップ工程に対して大きすぎる影響を有するため、結晶化に適切ではない。非リン酸化タンパク質の場合、溶離したピークの半分、36mlを130μlに濃縮し、36mg/mlの最終濃度とする。
発酵および採取条件の最適化により、NTAカラムから溶離されるZAP PreScission(登録商標)II の純度が75%を超え、開裂前にサイズ排除クロマトグラフィー工程により充分に精製され得るようにZAP発現レベルが高められる。PreScission(登録商標)プロテアーゼにより開裂後、分子のキナーゼおよびN末端部分を表す類似質量の2つのバンドが観察される。カチオン交換クロマトグラフィーを適用することにより、2形態を分離する。N−末端部分は使用条件下でカラムを通過する。カラムから溶離される2つのピークは、2種の異なるリン酸化形態を表していた:約80mMのNaClで溶離する一リン酸化タンパク質および約100mMのNaClで僅かに遅れて溶離する非リン酸化タンパク質。これらの異なる形態を結晶化させるため別々に集める。非リン酸化形態の収率は、一リン酸化形態より約4倍高いため、大部分の結晶学的努力は非リン酸化形態に集中される。
実施例7:PreScission II ZAPの結晶化
20mMのHepes、5mMのDTT、1mMのMgCl、150mMのNaCl、30%グリセリンおよびスタウロスポリン中の9mg/mlのZAP−70非リン酸化触媒キナーゼドメインを、96ウェルのシッティング・ドロップ結晶プレートを用いた初回結晶化スクリーニングに使用する。最初の有望な微結晶は10℃での結晶化スクリーンにより得られる。これらの結晶化条件の最適化をハンギング・ドロップ蒸気拡散法により実施する。10℃での結晶化スクリーンは以下の結晶化条件を有する:0.1MのトリスpH7.5、0.1MのKCl、18%PEG5000モノメチルエーテル。この結晶化条件の最適化を、タンパク質調製物の処方の最適化と一緒にすることにより大きな結晶が得られる。ハンギング・ドロップ蒸気拡散を最適化に使用する。回折する単結晶は、20mMのHepes、5mMのDTT、1mMのMgCl、150mMのNaCl、1%のエチレングリコールおよびスタウロスポリン中の29mg/mlのZap70非リン酸化キナーゼドメインにより得られる。最適成長条件は、0.1MのトリスHCl pH7.5、0.2MのKCl、20%のPEG5000モノメチルエーテル、10℃の結晶化温度である。結晶は1〜2日後に現われ、最適結晶サイズには1〜2週間後に達する。単結晶の中には成長するものもあるが、別個のクラスターを破壊することにより大部分の単フラグメントが得られる。
実施例8:タンパク質生産およびヒトZAP−70プロテインキナーゼ触媒ドメインの結晶化
ヒトZAP−70プロテインキナーゼ触媒ドメイン(非リン酸化)の配列番号2を結晶化に使用する。構築物は、ZAP−70残基298〜619に加えてN末端にあるPreScission(登録商標)開裂部位からの2個の追加残基およびC末端にあるPreScission(登録商標)開裂部位からの6残基を含む。小さいが充分に回折する単結晶は、29mg/mlのタンパク質濃度および1%エチレングリコールの調製物により得られる。最適成長条件は、20%PEG5000モノメチルエーテル、0.1MのトリスHCl pH7.5、200mMのKClである。結晶は1〜2日後に現われ、最適結晶サイズには1〜2週間後に達する。単結晶も形成されるが、別個のクラスターを破壊することにより大部分の単フラグメントが得られる。
凍結保護
結晶をドロップから、結晶化溶液(ウェル溶液)に加えて20%(v/v)のグリセリンおよび1mMの阻害剤から成る溶液中へ移す。0.05μmのクライオループに載せた結晶をこのクライオバッファーに約10〜15秒間浸漬し、次いで液体プロパン中へ浸す。
データ収集
結晶を液体プロパン中で凍結させ、スイス国ビリンゲンにおけるSLSでのMAR CCDカメラにより80Kで回折データを集める。0.9803オングストロームの波長を使用する。各々振動1.0°で、1フレームにつき6秒の曝露時間および140mmの結晶−検出器距離を用いて340画像を集める。未処理回折データを処理し、HKLプログラムパッケージバージョン1.96.6(OtwinowskiおよびMinor、1996)によりスケーリングする。結晶データおよびデータ統計を表2に示す。
構造決定および精密化
触媒Zap70キナーゼドメインの構造を、検索モデルとしてLCKキナーゼドメインx線構造(pbd:3LCK、YamaguchiおよびHendrickson、1996)の座標を用いて、分子置換により測定する。LCKの残基245〜501を使用し、ホスホ−Tyr残基394を配列類似性比較のために除去する。
4.0オングストロームの最大解像能までのデータを用いて、CCP4における自動分子置換スクリプトにより分子置換を実施する。インプット構造および非対称単位における2分子との50%フラクション類似性をもつモデルの80%フラクション完全性が予測される。澄明溶液が見出され、標準スクリプトrefine.inpを用いたCNXにおける初回精密化後、構造は41.7%のR因子を有する(RFree43.5%)。プログラムOバージョン7.0(Jones et al.、1991)によるσ−秤量Fo−Fc電子密度マップを調べると、C−アルファトレースの大部分および側鎖の大部分についての強い密度が明らかになる。電子密度の外側に見出され、手動で補正しなくてはならない幾つかの挿入および欠失および若干のループが存在する。
ヒトZAP−70プロテインキナーゼ触媒ドメインのモデルを構築し、必要な場合調節して密度にフィットさせる。挿入、突然変異および欠失がそれに応じて加えられる。ZAP−70についてのSwissProt受入番号P43403エントリーの番号付けを用いて番号付けを変更した。モデル再構築工程により散在させた、ねじれ角力学的調整およびエネルギー最小化の若干のサイクルにより構造を精密化する。精密化については、CNX2000の「refine.inp」スクリプトを、以下の(ノン−デフォルト)オプション:バルク溶媒補正(マスク方法に基づく)と共に使用する。
反射の5%を含む試験セットを用いて、精密化について終始交差検定を使用する。水分子が、CNXスクリプトwater_pick.inpで同定され、ピーク高差異(3.0σより大)、水素結合および距離基準に基づいて選択される。NCS束縛を、非対称単位における2分子について使用する。
最終精密化モデルの質を、プログラムCNX2000(Brunger、1998)により評価する(図7参照)。画像をO(Jones et al.、1991)またはWebLab ViewerLite3.5(モレキュラー・シミュレーションズ、インコーポレイテッド)で作製する。
結果
ヒトZap70キナーゼドメインの小さな単結晶が、pH7.5のPEGMMEにより得られる。結晶は、1非対称単位につき2モノマーで空間群P1において成長する。分子置換により構造を決定する。最終モデルは、2つのキナーゼドメイン(残基331〜603)、1キナーゼドメインにつきスタウロスポリン1分子および261個の水分子を含む。それは、結合長に関して0.011オングストロームおよび結合角に関して1.3°のrms偏差をもつ良好な幾何を有する。最終R因子は、19.26オングストロームおよび1.90オングストローム間の全反射について0.182(Rfree=0.209)であった。
全体的構造
結晶構造は非常に明確に特定され、残基331および603間の完全c−アルファが特定されている。全ループおよび重要な残基は、良好な電子密度を有する。B−因子分布は予想通りである。スタウロスポリン結合部位およびキナーゼドメインとの全相互作用は詳細に報告され得る。モデルの品質は良好であり、最終R因子は18.2%である(R−free20.9%)。
ZAP−70キナーゼドメインは典型的キナーゼドメインフォールドに折りたたまれる。残基の大部分は、僅かな例外を伴うが電子密度により明確に特定されている:N末端残基296〜330およびC末端残基604〜625は、完全に乱れているため、x線構造では見られない。明確に特定された電子密度を示さない分子の表面には僅かな側鎖がある。若干の側鎖は、側鎖の位置の改変を明白に示す。それらは精密化されなかった。スタウロスポリン結合部位に近い立体配座の改変を伴う唯一の側鎖があり、それは重要なものであり得る:SER478。
β5およびαD間にリンカー領域の電子密度がある。この領域は、稀な配列(Ala417−Gly418−Gly419−Gly420−Pro421)を有し、スタウロスポリン結合部位の一部を形成する。この領域は秩序正しく、電子密度は明確に特定されている。2つの重要な接触がある(Glu415O−N1、Ala417N−O5)。
スタウロスポリン結合部位
スタウロスポリン結合部位は、以下の残基の疎水性側鎖によりほぼ形成されている:Leu344、Phe349、Val352、Val399、Met414、Met416、Ala417、Leu468。結合ポケットの深部で、2つの極性相互作用がスタウロスポリン結合の誘因となる。すなわち、残基Glu415の主鎖カルボニル酸素はスタウロスポリンの窒素N1に結合し、残基Ala417の主鎖ペプチド窒素はスタウロスポリンのカルボニル酸素O5と相互作用する。スタウロスポリン分子の他端には、糖部分とタンパク質間の極性相互作用が僅かに存在する。スタウロスポリンメトキシ基はファンデルワールス接触のみを形成するが、−N−Met基は、若干の溶媒分子および残基Lys424、His423、Arg465(ペプチド結合のカルボキシ酸素も含む)、Asp479、Asn466の側鎖により形成される水素架橋ネットワークを通してタンパク質と相互作用する。
若干のよく知られているキナーゼ構造によるアラインメント(ClustalW)は、配列変動性が幾分高いことを示している。それにも拘わらず、c−アルファトレースを重ね合わせた場合、通常比較的良好なフィットが認められる(53〜59%)。
アラインメントから、Zap70と比べて、多くのキナーゼは挿入または欠失を有するため、構造を細部にわたってことごとくモデリングすることは非常に困難である。それにも拘わらず、ATP−結合部位は、比較的保存された構造を有し、キナーゼドメインの残りの大部分よりモデリングし易い。
リン酸化部位
活性化セグメントにおける残基のリン酸化は、基質結合残基および触媒残基を正確に位置決めする触媒キナーゼドメインにおける立体配座の変化を誘発し、そして立体的遮断の除去により触媒部位へ基質を接近させ得る。
ここで結晶化されたキナーゼドメインはリン酸化されていない。しかしながら、Zap70は、若干のチロシン残基を含んでおり、それらはインビボでリン酸化され、キナーゼ活性の調節およびアダプター分子結合の誘因となり得る。我々がATP結合部位を標的としているという事実故に、我々が非活性化/リン酸化キナーゼドメインの構造しか有していないことは、当然大した欠点ではない。
リン酸化部位474、492、493、597および598は、x線構造で特定されている。チロシン492および493は、両方とも活性化ループに位置する。Lckによるチロシン493のトランスホスホリレーションは、Zap70の活性化を導く(Chan et al.1995、Wange et al、1995、Mege et al.1996)。このチロシン残基は、トランスホスホリレーション時に活性化ループの主要立体配座変化を誘発するインスリン受容体キナーゼドメインのチロシン1163に対応する(Hubbard、1997)。すなわち、チロシン493がリン酸化されたZAP−70の対応する活性化ループの構造は、本明細書に示されたものとは異なると思われる。チロシン492の役割はそれほど明確ではない。負の調節機能が提案されている(Chan et al.1995)。チロシン474は、Ras経路へT細胞受容体シグナルをカップリングする、Shcアダプターとの会合に必要とされる(Pacini,et al.1998)。表面露出チロシン474は、以後の活性化セグメントに近い、β8セグメントの始まりに位置する。C−末端に近いタンパク質の表面に位置するチロシン597および598は、恐らくは阻害性タンパク質によるZAP−70の機能的活性の調節に関与していると思われる(Zeitlmann et al.1998)。
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【配列表】
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Claims (18)

  1. a=35.77±5オングストローム、b=57.56±5オングストローム、c=80.20±5オングストローム、α=68.97±5°、β=89.83±5°、γ=89.95±5°の単位格子サイズを有するZAP−70キナーゼの触媒ドメインを含むZAP−70キナーゼの結晶。
  2. 触媒ドメインが表1の原子構造座標を含む三次元構造を有する、ZAP−70キナーゼの触媒ドメインを含むZAP−70キナーゼの結晶。
  3. ZAP−70キナーゼの触媒ドメインが配列番号2の配列、またはそのフラグメントまたは相同体を含む、請求項1または2記載の結晶。
  4. ZAP−70キナーゼの触媒ドメインが少なくともATP−結合部位を含む、請求項3記載の結晶。
  5. 少なくとも1個のリガンドまたは低分子量化合物に結合した請求項1〜4のいずれかに記載の結晶。
  6. コンピューター可読性データでコード化されたデータ記憶材料を含むコンピューター可読性媒体であって、データが、ZAP−70キナーゼの触媒ドメインを含む表1の原子座標を含む媒体。
  7. ZAP−70キナーゼの結晶の製造方法であって、
    (i)配列番号1の完全長ZAP−70キナーゼの精製、
    (ii)タンパク質加水分解ドメイン特定
    (iii)ZAP−70の所望のドメインのタンパク質加水分解的放出を容易にするためプロテアーゼ認識配列を両端に隣接させた配列番号1の完全長ZAP−70キナーゼの発現
    (iv)適切な宿主細胞における工程(iii)の完全長ZAP−70キナーゼの発現
    (v)プロテアーゼ認識部位における所望のドメインの制御されたタンパク質加水分解
    (vi)所望のZAP−70ドメインの迅速な精製
    の工程を含む方法。
  8. ドメインが配列番号2のZAP−70キナーゼの触媒ドメイン、そのフラグメントまたは相同体を含む、請求項7記載の方法。
  9. ZAP−70、そのフラグメントまたは相同体の触媒ドメインが、結晶化に先行するいずれかの工程で少なくとも1個のリガンドまたは低分子量化学的化合物と結合されている、請求項7または8記載の方法。
  10. ZAP−70の触媒ドメインの三次元構造の測定方法であって、
    (i)ZAP−70の触媒ドメイン(配列番号2)、そのフラグメントまたは相同体を含むZAP−70キナーゼの結晶化
    (ii)全体的または部分的に表1の原子座標を用いることによる、ZAP−70の触媒ドメイン、そのフラグメントまたは相同体の三次元構造の決定
    を含む方法。
  11. 少なくとも1個のリガンドに結合したZAP−70キナーゼの触媒ドメイン(配列番号2)、そのフラグメントまたは相同体を含む複合体の三次元構造の測定方法であって、
    (i)複合体の結晶についてのx線回折データを得、
    (ii)全体的または部分的に表1の原子座標を用いて複合体の三次元構造を測定する
    ことを含む方法。
  12. ZAP−70キナーゼの触媒ドメインに結合するリガンドまたは低分子量化合物の同定方法であって、
    (i)表1の原子座標のセットから全体的または部分的に誘導されたZAP−70キナーゼの触媒ドメインの三次元構造を用いることにより、ZAP−70の触媒ドメインに結合する可能なリガンドまたは低分子量化合物を選択し、
    (ii)ZAP−70の触媒ドメインに結合するリガンドまたは低分子量化合物を選択する
    ことを含む方法。
  13. 請求項11記載のZAP−70キナーゼの触媒ドメインに結合するリガンドまたは低分子量化合物の同定方法であって、ZAP−70キナーゼの触媒ドメインが上記ドメインの少なくともATP−結合部位を含む方法。
  14. ZAP−70キナーゼの生物活性を阻害するリガンドの選択で使用される請求項12〜13記載の方法。
  15. ZAP−70触媒ドメインに結合し得るリガンドまたは低分子量化合物の設計方法であって、
    (i)全体的または部分的に表1の原子座標を用いてZAP−70触媒ドメインの三次元構造を測定し、
    (ii)候補リガンドまたは低分子量化合物でZAP−70の触媒ドメインをプローブすることにより、どれがZAP−70の触媒ドメインに結合するかを測定し、
    (iii)ZAP−70の触媒ドメインに結合するリガンドまたは低分子量化合物を選択し、
    (iv)結合することにより物理的結合特性、たとえば溶解性、親和力、特異性または有効性を最大化するようにリガンドまたは低分子量化合物を修飾する
    工程を含む方法。
  16. 候補リガンドまたは低分子量化合物をインシリコ・スクリーニングにかける、請求項15記載の方法。
  17. ZAP−70キナーゼの生物活性を阻害するリガンドの設計で使用される請求項15〜16記載の方法。
  18. T細胞およびリンパ球活性化を伴う疾患および状態の処置で使用される請求項12〜14記載の方法により同定されるリガンドを含む医薬組成物。
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