JP2007528731A - 3’,5’−環状ヌクレオチドホスホジエステラーゼ(pde10a)の結晶構造およびその使用 - Google Patents

3’,5’−環状ヌクレオチドホスホジエステラーゼ(pde10a)の結晶構造およびその使用 Download PDF

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Abstract

PDE10A阻害剤を含めたリガンドを同定するために記載および使用されるホスホジエステラーゼ10A(PDE10A)の結晶構造、およびPDE10A結合ドメインの3D原子座標、ならびに、様々な精神障害の治療に使用されるそれらのもの。

Description

本発明は、哺乳動物の3’,5’−環状ヌクレオチドホスホジエステラーゼ(PDE10A)の結晶組成物、前記組成物を調製する方法、前記組成物のエックス線3D原子座標を決定する方法、構造ベースの薬物設計を用いてPDE10Aリガンドを同定する方法、潜在的阻害剤を設計、改変、およびその活性を評価するための3D結晶構造の使用およびそのような阻害剤の、例えば、精神療法薬としての使用に関する。
環状ヌクレオチドセカンドメッセンジャー(cAMPおよびcGMP)は、シグナル伝達および生理学反応の調節で中心的役割を果たしている。それらの細胞内レベルは、複雑な環状ヌクレオチドホスホジエステラーゼ(PDE)スーパーファミリーの酵素によって制御されている。PDEスーパーファミリーは、cAMPおよび/またはcGMPの3’,5’−環状リン酸部分を特異的に切断して、対応する5’−ヌクレオチドを生成するメタロホスホヒドロラーゼ(例えばMg2+およびZn2+)からなる。cAMP/cGMPシグナルに対して生理過程が感受性であるためには、細胞内における最適の応答性を提供するために、それらのレベルが、比較的狭い範囲内に正確に維持されている必要がある。環状ヌクレオチドPDEは、細胞の環状ヌクレオチドシグナルを除去する主要な経路を提供する。PDEは、cAMPおよび/またはcGMPの細胞レベルが多くの刺激によって調節される際の重要な決定因子である。
PDEスーパーファミリーのメンバーは、それらの生体内分布、生理化学的性質、基質、阻害剤特異性、および調節機序に相違を有する。既知のPDEの一次構造の相違に基づいて、それらは、クラスIおよびクラスIIの2つの主要なクラスに細分されている。これまでのところ、いかなる哺乳動物PDEもクラスIIに含まれていない。クラスIは、それに含まれるPDEの数が最も多く、それには、既知の哺乳動物PDEのすべてが含まれる。クラスI PDEのそれぞれは、そのタンパク質のC末端部分に約250〜300アミノ酸の保存されたセグメントを含有しており、このセグメントがこれらの酵素の触媒部位を含むことが実証されている。既知のクラスI PDEのすべてが細胞内に含有されているが、それらは細胞内分布が異なり、一部は、細胞における細胞質分画の顆粒分画に主に付随し、他のものは、両方の区画に均等に分布する。
哺乳動物組織のPDEは、別々の遺伝子ファミリーに由来する11のファミリーに分類されている。これらのファミリーは、PDE1、PDE2、PDE3、...PDE11と名付けられている。各ファミリーの中に、PDE1A、PDE1B、およびPDE1C、ならびにPDE10A1およびPDE10A2などのイソ酵素がある場合もある。所与のファミリーの中にあるPDEは、相互にかなり異なっている場合もあるが、各ファミリーのメンバーは、アミノ酸配列、cGMP(PDE5、PDE6、およびPDE9)もしくはcAMP(PDE4、PDE7、およびPDE8)に対する特異性および親和性または両者の共在(PDE1、PDE2、PDE3、PDE10、およびPDE11)、阻害剤特異性、ならびに調節機序の類似性を介して機能的に相互に関連している。
PDEのアミノ酸配列の比較は、すべてのPDEが、触媒と多数の調節機能とを提供する別々のドメインを有するマルチドメインキメラタンパク質である可能性を示唆している。これまでに同定されたすべての哺乳動物PDEのアミノ酸配列は、タンパク質のカルボキシ末端側半分に位置する、約270アミノ酸の高度に保存された領域を含有する(Charbonneauら、Proc.Natl.Acad.Sci.(USA)83:9308〜9312(1986年))。保存されているドメインには、cAMPおよび/またはcGMP加水分解の触媒部位と、2箇所の推定上の金属(おそらく亜鉛)結合部位とが含まれ、そのほかに、ファミリー特異的な決定因子も含まれる(Beavo、Physiol.Rev.75:725〜748(1995年);Francisら、J.Biol.Chem.269:22477〜22480(1994年))。様々なPDEのアミノ端末領域は、高度に可変的であり、(i)カルモジュリン結合部位(PDE1)、(ii)非触媒cGMP結合部位(PDE2、PDE5、PDE6)、(iii)膜ターゲッティング部位(PDE4)、(iv)疎水性膜結合部位(PDE3)および(v)カルモジュリン依存性キナーゼ(II)(PDE1)、cAMP依存キナーゼ(PDE1、PDE3、PDE4)またはcGMP依存性キナーゼ(PDE5)のリン酸化部位など、他のファミリー特異的決定因子も含む(Beavo、Physiol.Rev.75:725〜748(1995年);Manganielloら、Arch.Biochem.Acta、322:1〜13(1995年);(Contiら、Physiol.Rev.75:723〜748(1995年);国際公開第99/42596号)。
すべての既知の哺乳動物PDEは二量体またはオリゴマーであるが、この四次構造が有する機能上の重要性は明らかでなく、実験はさらに、一部のPDEでは、cAMPまたはcGMPのホスホジエステル結合の加水分解を触媒するのに必要な構成要素が単一の触媒ドメインに含有されていること、二量体の中の2つの触媒ドメインの相互作用も、触媒ドメインと調節ドメインとの間の相互作用も、この過程には必要でないことを示している(Francis、S.H.ら、Prog.Nuc.Acid Res.Molec.Biol.、65:1〜52、2001年を参照)。
PDE10は、一次アミノ酸配列と特徴的な酵素活性とに基づいて、PDEスーパーファミリーの中では独特のファミリーとして同定されている。ESTデータベースの相同性スクリーニングによって、ホスホジエステラーゼのPDE10ファミリーの第1のメンバーとして、マウスPDE10Aが明らかになった(Fujishigeら、J.Biol.Chem.274:18438〜18445、1999年;Lougheny、K.ら、Gene 234:109〜117、1999年)。マウス相同体もクローニングされた(Solderling、S.ら、Eur J.Biochem.266:1118〜1127、1999年)。マウスPDE10A1は、cAMPおよびcGMPの両方を、それぞれAMPおよびGMPに加水分解する779アミノ酸のタンパク質である。PDE10の、cAMP(Km=0.05μM)に対する親和性は、cGMP(Km=3μM)に対するものより高い。しかし、cGMPにおけるVmaxがcAMPより約5倍大きいことから、PDE10はcAMPによって抑制されるcGMPアーゼであるという提案が導かれている(Fujishigeら、J.Biol.Chem.274、18438〜18445、1999年;欧州特許第1250923号)。PDE10をコードするヒト遺伝子がクローニングされており、それは、24のエキソンを伴った200kbにわたって広がっていることが判明した(Fujishigi、Kら、Eur.J.Biochem.、267、5943〜5951頁(2000年))。
哺乳動物において、PDE10は、他のPDEファミリーと比較して特有の局在性を有する。PDE10のmRNAは、精巣および脳でのみ強く発現されていると報告されている(Fujishigeら、J.Biol.Chem.274、18438〜18445、1999年;Soderlingら、Proc.Natl.Acad.Sci.(USA)96、7071〜7078、1999年;Lougheny、K.ら、Gene、234:109〜117、1999年)。これらの初期研究は、脳内におけるPDE10発現が、線条体(尾状核および被殻)、側坐核、および嗅結節で最も高いことを示した。さらに最近になって、げっ歯類動物の脳におけるPDE10mRNAの発現パターンの詳細な分析がなされた(Seegerら、Abst.Soc.Neurosci.、26:345、10、2000年)。
中枢神経系の様々な疾患を治療するために、PDE10の選択的阻害の研究が行われてきた。欧州特許第1250923号は、統合失調症の複数の異型と、不安障害と、ハンチントン病、パーキンソン病、およびジスキネジーから選択された運動障害と、アルコールおよび薬物依存症と、認知障害と、気分障害とを含めた障害の治療に有用な、抗精神病薬特性を有するPDE10特異的阻害剤のいくつかを開示している。
PDE10などの生体分子標的の選択的阻害剤を発見するために、過去に使用され、かつ使用され続けている方法がいくつかある。それらの様々なアプローチには、リガンド主導の創薬(LDD)、定量的構造活性相関(QSAR)分析、および比較分子場分析(CoMFA)が含まれる。CoMFAは、ある種のQSAR法であり、それは定量的相関性の分析に、特定の配列にある1セットの化合物の生物活性とそれらの三次元電気的特性および立体特性との間の統計的相関技法を用いる。疎水性度および水素結合形成などの他の特性も分析に組み入れることができる。
これらの創薬アプローチにおける非常に貴重な要素は、構造ベースの設計であり、それは、新規化学物質のための設計戦略、あるいは、例えばエックス線もしくは核磁気共鳴NMR分析によって、または相同性モデルから得られた生体高分子標的の三次元(3D)構造を用いた他の方法によって同定されたリード化合物の最適化である。タンパク質の3D構造を分析することによって、薬物結合および生物活性の挙動および仕組みに関する重要な洞察が得られる。モデリングおよびシミュレーションを含めた計算機技法を併用することによって、生体分子相互作用の研究は、実験室で実験的に調査するのが困難でありうる事象の詳細を提供し、分子認識を決定するのに重要な位相的特徴を明らかにするのに役立つことができる。当業者ならば認識するであろうが、この情報を今度は、リガンド−受容体複合体形成を予測し、所望のリガンド−受容体相互作用を生じるリガンドおよびタンパク質変異を設計するのに用いることができる。
PDEの調節は、視覚反応、平滑筋弛緩、血小板凝集、体液恒常性、免疫応答、および心臓収縮を含めた無数の生理機能を制御するのに重要である。PDEは、細胞のcAMPレベルおよびcGMPレベルのフィードバック制御に決定的な役割をもつ。PDEスーパーファミリーは、心血管疾患、喘息、うつ病、および男性の性交不能症を含めた多数の医学的に重要な病気における薬学的介入の主要な標的であり続けている。例えばPDE5は、多くの組織に様々な濃度で存在するが、近年では重要な治療薬であると認められている(2001年11月2日に出願の英国特許出願第0126417.5号を参照)。その目的に向けて、生理学的研究および治療現場で使用するための特異的かつ強力なPDE阻害剤の探索が続く。
したがって、例えば、エックス線または核磁気共鳴NMR研究によって、あるいは相同性モデルから得られた、PDE10Aなど、PDEの三次元(3D)構造を取得し、コンピュータ法を用いて構造を分析することによって、そのような創薬努力が促進される。
本発明は、PDE10Aの結晶組成物、詳細には、PDE10Aの触媒領域の結晶組成物を提供する。本発明は、さらに、前記組成物を調製する方法、前記結晶組成物のエックス線3D原子座標を決定する方法、結合部位を同定するために原子座標をコンピュータ法と併せて用いる方法、PDE10Aの相同体の三次元構造を解明する方法、結合部位と相互作用して、PDE10Aの生物活性に対してアゴニストまたはアンタゴニストとして作用するリガンドを同定する方法、PDE10Aの阻害剤を同定する方法、阻害剤の医薬組成物、および前記医薬組成物を用いた精神障害を治療する方法を提供する。
好ましい一実施形態では、本発明は、PDE10Aの触媒領域の結晶組成物を提供する。
本発明の一態様は、ポリペプチドを含むPDE10Aポリペプチドリガンド複合体を結晶させる方法を提供する。配列番号1に記載のアミノ酸442から774までにわたるアミノ酸配列を含むPDE10Aポリペプチドリガンド複合体を結晶化させる方法は、(a)ポリペプチド、リガンド、および沈殿剤の溶液を調製するステップと、(b)前記混合溶液から、上記ポリペプチドの分子を含む結晶を成長させるステップと、(c)前記溶液から前記結晶を分離するステップとを含むことが好ましい。結晶化成長は、例えば、バッチ結晶化、液体ブリッジ結晶化、または透析結晶化など、当業者によって知られている様々な技法によって実施できる。結晶化成長は、蒸気拡散技法を用いて実現するのが好ましい。
本発明の一実施形態は、配列番号1に記載のアミノ酸Thr442からAsp774までにわたるアミノ酸配列を有するポリペプチドの結晶形態を含むPDE10Aの結晶組成物を提供し、上記結晶組成物は、空間群R3、および単位格子寸法a=b=120.56Å、c=82.23Åを有する。
第2の態様では、本発明は、配列番号1に記載のアミノ酸Thr442からAsp774までにわたるアミノ酸配列を有するポリペプチドを含む、実質的に精製された、PDE10AのC末端触媒ドメインを調製する方法に有用なベクターを提供する。
第3の態様では、本発明は、結晶組成物のエックス線原子座標を2Åまたは1.8Åの分解能で決定する方法を提供する。
第4の態様では、本発明は、分子または分子複合体の結晶を提供し、上記結晶は、図1に記載の原子座標もしくはその部分、または大きさが可変的なそれらの任意の変形形態に実質的に類似した原子座標を有する。
第5の態様では、本発明は、分子または分子複合体の結晶を提供し、上記結晶は、配列番号1に記載のアミノ酸Thr442からAsp774までにわたるアミノ酸配列を有するポリペプチドを含む。本発明の別の実施形態は、配列番号1に記載のアミノ酸Thr442からAsp774までにわたるアミノ酸配列を有するポリペプチドに少なくとも98%、95%、または90%相同であるアミノ酸配列を含む結晶を提供する。
本発明のさらに別の実施形態は、配列番号1に記載のアミノ酸Thr442からAsp774までにわたるアミノ酸配列を有するポリペプチドに少なくとも98%、95%、または90%相同であるアミノ酸配列を含み、かつ、図4に記載の原子座標を有する結晶を提供する。
第6の態様では、本発明は、分子または分子複合体の結晶を提供し、上記結晶は、図1に記載のタンパク質バックボーン原子(N、Cα、C、およびO)からの二乗平均根偏差が0.2、0.5、0.7、1.0、1.2、または1.5Å未満の原子座標を有するポリペプチドまたはその部分を含む。
第7の態様では、本発明は、配列番号1に記載のアミノ酸Thr442からAsp774までにわたるアミノ酸配列を有するポリペプチドを含むPDE10A分子または分子複合体の少なくとも一部の構造座標に由来する点の、大きさが可変的であるか、または平行移動可能な三次元配置を提供する。この態様の一実施形態では、本発明は、PDE10A分子または分子複合体に構造的に相同である分子または分子複合体の少なくとも一部の構造座標も含む。分子のある大きさにおいて、相同である分子または分子複合体に由来する点の配置は、図4に記載の構造座標からの二乗平均根偏差が約0.2、0.5、0.7、1.0、1.2、または1.5Å未満である。
第8の態様では、本発明は、
a.配列番号1に記載のアミノ酸Thr442からAsp774までにわたるアミノ酸配列を有するポリペプチド、またはその相同体もしくは変種を含む分子または分子複合体、
b.図4に示す原子座標に実質的に類似しているか、またはその部分集合である原子座標によって、その原子が表される分子または分子複合体、
c.図1に記載の炭素バックボーン原子の原子座標から0.2、0.5、0.7、1.0、1.2、またはさらに1.5Å未満の二乗平均根偏差を有する原子座標を含む分子または分子複合体、あるいは、
d.図4に記載の原子座標に実質的に類似しているか、またはその部分集合である構造座標、あるいは、より好ましくは、1つもしくは複数のPDE10Aアミノ酸、または、配列番号1における、Leu625、Phe629、Val668、Phe686、Met703、Gln716、およびPhe719から選択されたその保存的置換に対応する、図4における構造座標によって定義される結合ポケットまたは結合部位を含む分子または分子複合体
の三次元表象を産生するためのコンピュータを提供し、前記コンピュータは、
(i)図4の構造座標もしくはその部分、またはそれらに実質的に類似した座標を含むコンピュータ読み込み可能なデータでコードされたデータ記憶媒体を含むコンピュータ読み込み可能なデータ記憶媒体、
(ii)前記コンピュータ読み込み可能なデータを処理する命令を保存するためのワーキングメモリー、
(iii)前記ワーキングメモリーと、前記コンピュータ読み込み可能なデータ記憶媒体とに結合された、前記コンピュータ機械読み取り可能なデータを前記三次元表象へと処理するための中央演算処理装置、ならびに、
(iv)前記中央演算処理装置に結合された、前記表象を表示するためのディスプレイ
を含む。
本発明のこの態様に従って構成されたコンピュータは、PDE10Aの潜在的リガンドまたは阻害剤を、例えば、本明細書に提示された構造ベースのドラッグデザインと併せて、市販の分子モデリングソフトウェアによって設計および同定するのに用いることができる。
第9の態様では、本発明は、分子置換を用いた、未知構造の分子または分子複合体に関する構造情報を得る方法を提供する。一実施形態では、この方法は、分子または分子複合体を結晶化させるステップと、結晶化された分子または分子複合体からエックス線回折パターンを生成させるステップと、図4に記載の構造座標の少なくとも一部をエックス線回折パターンに適用して、分子または分子複合体の少なくとも一部の三次元の電子密度マップを作成するステップとを含む。
別の一実施形態では、本発明は、図4に記載のPDE10Aのエックス線座標を用いてPDE10Aのタンパク質相同体または変種の3D原子座標を作成する方法であって、
a.PDE10Aに相同な1つまたは複数のポリペプチド配列を同定するステップと、
b.配列番号1に記載のアミノ酸Thr442からAsp774までにわたるアミノ酸配列を有するポリペプチドを含むPDE10Aの配列と、前記配列を整列させるステップと、
c.前記相同配列とPDE10Aとの間で構造的に保存されている領域、および構造的に可変的な領域を同定するステップと、
d.図4に記載の座標を用いてPDE10Aの座標から、前記相同配列の構造的に保存された残基の3D座標を作成するステップと、
e.前記相同配列の構造的に可変的な領域にあるループの立体配座を作成するステップと、
f.前記相同配列の側鎖立体配座を構築するステップと、
g.保存残基、ループ、および側鎖の立体配座の3D座標を併せて、前記相同体配列の、完全または部分的な3D座標を作成するステップと
を含む方法を提供する。
第9の態様の実施形態は、完全または部分的3D座標の精密化および評価をさらに含む方法を提供する。したがって、これらの方法は、これまで3次元の原子座標が決定されていないタンパク質の3次元の構造を作成するのに使用できる。配列相同性の程度に応じて、新規に作成された構造を、酵素機構を解明する補助にするか、あるいは、構造ベースの薬物設計で他の分子モデリング技法と併せて用いることができる。
第10の態様では、本発明は、PDE10A分子の座標をコンピュータ化されたモデリングシステムに提供することと、上記分子に結合または干渉する可能性の高い化学物質を同定する(例えば、小分子ライブラリーをスクリーニングすることによって)ことと、任意選択で、それらから派生した化合物また類似体を産生または合成し、さらにこれらの生理活性をアッセイすることによって、PDE10Aの阻害剤、リガンド、および同様のものを同定する方法を提供する。ある特定の実施形態では、本発明は、PDE10A、またはその相同体もしくは変種の潜在的リガンドを同定する方法に関し、この方法は、
a.図4に記載の原子座標に実質的に類似した原子座標によって定義される、PDE10A酵素またはその相同体もしくは変種、あるいはそれらの部分の三次元構造をコンピュータディスプレイ画面上に表示するステップと、
b.前記三次元構造における、配列番号1に記載の酵素のアミノ酸残基のうちの1つもしくは複数、または、好ましくは、Leu625、Phe629、Val668、Phe686、Met703、Gln716、およびPhe719から選択された1つもしくは複数のアミノ酸残基を、異なる天然存在のアミノ酸もしくは非天然のアミノ酸で、任意選択で置換して、変種構造を表示するステップと、
c.ab intio計算、分子内力学計算、または分子動力学計算を、表示された三次元構造について任意選択で実行して、改変された構造を作成するステップと、
d.前記三次元構造、変種構造、または改変された構造を利用して前記リガンドを設計または選択するステップと、
d.前記リガンドを合成または入手するステップと、
e.前記リガンドを、1つまたは複数の基質の存在下で前記酵素と接触させるステップと、
f.前記リガンドの、前記酵素の活性を調節する能力を測定するステップと
を含む。
元のリガンドの構造を繰り返し精密化または改変するのに、上述の通り、PDE10Aの阻害剤およびリガンドを同定する方法で得られた情報を使用できることを、当業者ならば理解することができる。したがって、あるリガンドが、前記酵素の活性を調節すると判明したならば、そのリガンドの構造類似体を生成するために、そのリガンドの構造面を改変することができる。この類似体は、その後、結合リガンドを同定するために上記方法で使用できる。当業者ならば、構造を改変しうる様々な方法を知っているであろう。
実施形態では、好ましいリガンドには、PDE10Aの選択的阻害剤が含まれる。
実施形態では、これらの方法は、上記リガンドの構造をコンピュータ上で改変するステップと、改変されたリガンドの適合度を、図4に記載の三次元座標またはその部分を用いてコンピュータ上で決定するステップと、前記改変されたリガンドを、前記酵素、またはその相同体もしくは変種と、in vitroまたはin vivo設定で接触させるステップと、前記リガンドの、前記酵素の活性を調節する能力を測定するステップとをさらに含む。
第11の態様では、本発明は、上記方法のいずれかに従って設計された阻害剤またはリガンドを含む組成物および製剤を提供する。一実施形態では、上記方法のいずれかに従って設計または同定された阻害剤またはリガンドを含む組成物を提供する。別の一実施形態では、上記組成物が医薬組成物である。
本発明の第12の態様は、統合失調症、妄想障害、および薬物誘発性精神病などの精神病性の障害および状態と、恐慌性障害および強迫性障害などの不安障害と、パーキンソン病およびハンチントン病を含めた運動障害とを治療する方法であって、これらの方法は、図4に記載の原子座標またはその部分を用いた構造ベースの設計によって同定された、これらの障害または状態を治療する有効な医薬組成物を投与することを含む。
本発明は、PDE10Aの結晶組成物と、前記結晶組成物のエックス線3D原子座標と、前記組成物を調製する方法と、前記結晶組成物のエックス線3D原子座標を決定する方法と、結合部位を同定するため、または前記結合部位と相互作用して、PDE10Aに対してアゴニストまたはアンタゴニストとして作用するリガンドを同定するために、前記原子座標をコンピュータ法と併せて用いる方法とに関する。
便宜のため、明細書、実施例、および添付されている特許請求の範囲で使用されている特定の用語をここに集める。別段の定義がない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、本発明が属する分野の当業者によって一般的に理解されているものと同じ意味を有する。
本明細書で使用される場合、「親和性」という用語は、ある分子が別の分子と会合する傾向を意味する。薬物の親和性は、それが生物学的標的(受容体、酵素、輸送系など)に結合する能力である。薬理学的な受容体では、親和性は、拡散によってその薬物が受容体の近傍にきた際に、その受容体の力場において自由エネルギーが最小となる位置に、その薬物が滞留するであろう頻度として考えることができる。
本明細書で使用される場合、「アゴニスト」という用語は、受容体と相互作用して、その受容体に特徴的な生理的反応または薬理学的反応(収縮、弛緩、分泌、酵素の活性化など)を開始できる内因性物質または薬物を指す。
「類似体」という用語は、本明細書で使用される場合、その構造が何らかの方法で別の薬物または化学化合物の構造に関連しているが、その化学的性質および生物的性質がかなり異なることのある薬物または化学化合物を指す。
「アンタゴニスト」という用語は、本明細書で使用される場合、別のものの生理作用に対抗する薬物または化合物を指す。受容体レベルでは、それは、通常、別の生理活性因子によって誘導される、受容体に随伴した反応に対抗する化学物質である。
本明細書で使用される場合、「結合部位」という用語は、別の分子実体との安定的相互作用を開始できる、分子実体中の特定領域(または原子)を指す。特定の実施形態では、この用語は、別の分子との特異的な結合に関与する高分子の反応性部分も指す。他の実施形態では、結合部位は、折りたたまれたポリペプチド中の1つまたは複数のアミノ酸残基の三次元配置からなる場合も、それによって定義される場合もある。別の実施形態では、結合部位が補欠分子族、水分子、または金属イオンをさらに含み、それらは、1つまたは複数のアミノ酸残基と相互作用しうる。補欠分子族、水分子、または金属イオンは、エックス線結晶学データから明らかである場合も、in silico法を用いてアポタンパク質またはアポ酵素に添加される場合もある。
「生理活性」という用語は、PDE10A活性を指すが、これは、中枢神経系の様々な疾患のうちの1つまたは複数の治療を可能にする性質など、通常はPDE10Aアゴニストまたはアンタゴニストに付随する生物的性質を示す。
本明細書で使用される場合、「触媒ドメイン」という用語は、PDE10Aクラスの酵素の触媒ドメインを指すが、これは、これらのタンパク質のカルボキシ末端部分で保存されているアミノ酸セグメントを特徴とし、このセグメントは、これらの酵素の触媒部位を含むことが明らかにされている。この保存されている触媒ドメインは、およそ、完全長酵素における残基Thr442からAsp774にまで広がっている。
本明細書で使用される場合、「クローニングする」とは、組換えDNA技術を用いて、所与のポリヌクレオチド分子の正確なコピーを得ることを意味する。さらに、「の中にクローニングする」とは、所与の第1のポリヌクレオチド配列を第2のポリヌクレオチド配列中に挿入することを意味し、好ましくは、その結果、第1のポリヌクレオチドの機能と第2のポリヌクレオチドの機能とを併せ持つ機能単位が生じるように挿入することを意味する。例えば、翻訳によってそれから融合タンパク質が得られるポリヌクレオチドであって、その融合タンパク質が第1および第2のポリヌクレオチド配列によってコードされたアミノ酸配列を含むポリヌクレオチドが挙げられるが、これに限定されない。分子クローニングの詳細は、「Molecular Cloning:A Laboratory Manual」、第2版、Sambrook、FritschおよびManiatis編集(Cold Spring Harbor Laboratory Press社、1989年)など、多数の一般的に使用されている実験プロトコール書に見出すことができる。
本明細書で使用される場合、「共結晶化」という用語は、事前に形成されたタンパク質/リガンド複合体の結晶化を意味するものとされる。
「複合体」または「共複合体」という用語は、共有結合によって、あるいは非共有結合的に基質またはリガンドと結合したPDE10A分子、またはPDE10Aの変種もしくは相同体を指すのに互換性をもって使用される。
本明細書で使用される場合、「接触させる」という用語は、in silico実験、in vitro実験、またはin vivo実験に適用される。
本明細書で使用される場合、「遺伝子」、「組換え体遺伝子」、および「遺伝子コンストラクト」という用語は、エキソン配列と、(任意選択で)イントロン配列との両方を含めた、ポリペプチドをコードするオープンリーディングフレームを含む核酸を指す。「イントロン」という用語は、所与の遺伝子中に存在し、一般的にはエキソンの間に見出される、タンパク質に翻訳されないDNA配列を指す。
本明細書で使用される場合、「高親和性」という用語は、解離定数Kが1mMを超えない分子相互の強い結合親和性を意味する。好ましい場合には、Kが100nM未満、10nM未満、1nM未満、100pM未満、または場合によっては10pM未満である。最も好ましい実施形態では、2つの分子を共有結合によって連結することができる(本質的にKは0である)。
本明細書で使用される場合、「相同体」という用語は、配列番号1もしくは配列番号2に記載のPDE10A酵素、または本明細書に記載の任意の触媒ドメイン、または脂質結合タンパク質の任意の機能的ドメインもしくは構造ドメインと好ましくは少なくとも90%のアミノ酸配列同一性を有するタンパク質、ポリペプチド、オリゴペプチド、またはその部分を意味する。配列番号1は、野生型ラット(rattus norvegicus)PDE10Aの部分アミノ酸配列である。配列番号2は、実施例で結晶化された、ラット(rattus norvegicus)PDE10Aの野生型カルボキシ末端触媒ドメインのアミノ酸配列である。一方、配列番号3は、野生型マウス(mus musculus)PDE10Aアミノ酸配列であり、これは、配列番号1に記載のPDE10A酵素と少なくとも90%同一である。エックス線結晶学によって決定された1セットの構造座標には標準誤差が伴うことを当業者は理解している。本明細書で使用される場合、また本発明の目的においては、「実質的に類似した原子座標」という用語、または「実質的に類似」した原子座標は、図4に記載の構造座標に−バックボーン原子を用いて−重ね合わせた際に、タンパク質バックボーン原子(N、Cα、C、およびO)の原子座標の二乗平均根偏差が約1.5Å未満、1.2Å未満、1.0Å未満、0.7Å未満、0.5Å未満、またはさらに0.2Å未満である原子座標によって記載される、PDE10AもしくはPDE10A相同体、またはPDE10A変種、ポリペプチド断片の構造座標の任意のセットを意味する。本発明の目的では、図4に記載の座標と実質的に類似した座標を有する構造は、図4に記載の座標と同一とみなされるものとする。「実質的に類似した」という用語は、図4に記載の座標における類似または同一のアミノ酸の原子座標と−バックボーン原子または側鎖原子を用いて−重ね合わせた際に、タンパク質バックボーン原子(N、Cα、C、およびO)、または側鎖原子の原子座標に関して、その三次元配置の原子座標の二乗平均根偏差が約1.5Å未満、1.2Å未満、1.0Å未満、0.7Å未満、0.5Å未満、またはさらに0.2Å未満である、アミノ酸残基の集合にもあてはまり、これらのアミノ酸残基の集合は、連続したポリペプチド鎖を形成してもしなくてもよい。限定を意図したものではなく、一層の理解のために挙げれば、アミノ酸の集合の例は、酵素における結合部位を形成するアミノ酸残基でよい。これらの残基には、結合部位から離れていて、したがって結合部位にあるリガンドとの相互作用が最小限でありうる1つまたは複数の介在残基が存在する場合もある。そのような場合、構造ベースの薬物設計を目的に、少数のアミノ酸残基のみを含むものとして結合部位を定義することもできる。例えば、PDE10Aの場合には、配列番号1におけるアミノ酸残基Leu625、Phe629、Val668、Phe686、Met703、Gln716、およびPhe719が結合部位またはその近傍にあることが知られている。したがって、重ね合わせた際に、配列番号1におけるLeu625、Phe629、Val668、Phe686、Met703、Gln716、もしくはPhe719、またはこれらの任意の保存的置換のうちの1つもしくは複数のタンパク質バックボーン原子(N、Cα、C、およびO)、または側鎖原子の原子座標からの二乗平均根偏差が、約1.5Å未満、1.2Å未満、1.0Å未満、0.7Å未満、0.5Å未満、またはさらに0.2Å未満であるいかなる分子集団も、図4に記載の座標に実質的に類似しているとみなされるであろう。当業者は、「実質的に類似した」原子座標が図4に記載の座標またはその部分に同一とみなされることを理解する。
当業者にはさらに、図4に記載の座標またはその部分を、様々な数学的アルゴリズムを用いて、本発明から逸脱することなく異なったセットの座標に変換できることも理解される。例えば、原子座標を平行移動または回転させるアルゴリズムによって、図4に記載の座標またはその部分を変換できる。別法では、分子内力学アルゴリズム、分子動力学アルゴリズム、ab intioアルゴリズムで原子座標を改変できる。図4に記載の座標またはその部分から、前述のアルゴリズムのいずれを用いて作成された原子座標も、図4に記載の座標と同一とみなされるものとする。
本明細書で使用される場合、「in silico」という用語は、コンピュータシミュレーションを用いて行われた実験を意味する。特定の実施形態では、上記in silico法が分子モデリング法であり、その方法で、高分子またはリガンドの3次元のモデルが作成される。他の実施形態では、上記のin silico法は、リガンド結合相互作用を計算によって評価することを含む。
「リガンド」という用語は、分子、例えば、タンパク質、ペプチド、ペプチドミメティック、オリゴペプチド、小有機分子、多糖、ポリヌクレオチドなどのいかなるものも記述し、それは、図4に記載の原子座標によって表される、PDE10Aの結晶構造を参照して設計または作成される。一態様では、上記リガンドがアゴニストであり、それによって、その分子は活性を上方制御し(すなわち、例えばアゴニストとして作用することによって、または増強することによって、活性化または刺激する)、一方、本発明の別の態様では、上記リガンドが阻害剤またはアンタゴニストであり、それによって、その分子は活性を下方制御する(すなわち、例えばアンタゴニストとして作用することによって、低下させることによって、または阻害することによって、阻害または抑制する)。
本明細書で使用される場合、「調節する」という用語は、活性の上方制御(すなわち、例えばアゴニストとして作用すること、または増強することによる活性化または刺激)と、下方制御(すなわち、例えば、アンタゴニストとして作用すること、低下させること、または阻害することによる阻害または抑制)との両方を意味する。
本明細書で使用される場合、「ファルマコホア」という用語は、特定の生物学的標的構造との最適な超分子相互作用を確実にし、さらに、その生物反応を誘発(または遮断)するのに必要な特定の構造の立体的特徴および電気的特徴の総体を指す。ファルマコホアは、現実の分子、または官能基の現実の関連性を表すこともあれば、そうでないこともある。特定の実施形態では、ファルマコホアは、一群の化合物がそれらの標的構造に対して有する共通の分子相互作用能力を説明する抽象概念である。特定の実施形態では、この用語は、1セットの活性分子によって共有されている最大の共通決定因子とみなすことができる。ファルマコホア記述子は、ファルマコホアを定義するのに使用され、それらには、H結合形成、疎水性相互作用および静電的相互作用の部位、原子によって定義される、環中心および仮想点が含まれる。したがって、例えばアゴニストまたはアンタゴニストなどの酵素リガンドのコンテクストでは、ファルマコホアが特定の生物学的標的構造との超分子相互作用を保障するのに必要な立体因子および電気的因子の総体を表す場合もある。したがって、ファルマコホアは、タンパク質/酵素の活性部位における、その部位に結合するであろうリガンドを理論的に定義する化学的特性の鋳型−これらの特性相互の空間的関係を表す−を表す場合がある。
本明細書で使用される場合、「沈殿剤」という用語には、溶液に添加された際に沈殿の形成または結晶の成長を引き起こすいかなる物質も含まれる。本発明に包含される沈殿剤の例には、アルカリ金属(例えば、Li、Na、またはK)またはアルカリ土金属(例えばMgまたはCa)の塩と、遷移(例えばMnまたはZn)金属の塩とが含まれるが、これらに限定されない。金属イオンに対する共通の対イオンには、ハロゲン化物、リン酸、クエン酸、および硫酸が含まれるが、これらに限定されない。
本明細書で使用される場合、「プロドラッグ」という用語は、投与されると、薬学的に活性となるように代謝過程によって化学的に改変される薬物を指す。特定の実施形態では、この用語は、その薬理効果を示す前に生体内変換を行う任意の化合物を指す。したがって、プロドラッグは、通常は望ましくない、親分子の特性を改変または抹消するために、一過性の様式で使用される特化された非毒性保護基を含有する薬物として見ることができる。
本明細書で使用される場合、「受容体」という用語は、分子メッセンジャーとして作用する化合物(神経伝達物質、ホルモン、リンフォカイン、レクチン、薬物など)を特異的に認識して、結合する、細胞内または細胞表面のタンパク質またはタンパク質複合体を指す。より広義には、受容体という用語は、いかなる特異的(血漿タンパク質との結合などの非特異的なものとは対照的)な薬物結合部位とも互換性をもって使用され、これには、DNAなどの核酸も含まれる。
「組換え体タンパク質」という用語は、組換えDNA技法で産生されるポリペプチドを指すが、この技法では、通常、ポリペプチドをコードするDNAが適当な表現ベクターに挿入し、次いでこれを、宿主細胞を形質転換するのに使用して、前記DNAによってコードされたポリペプチドを産生させる。このポリペプチドは、宿主細胞によって自然に発現されるものでもよく、あるいは、宿主細胞にとって異種のものでもよく、あるいは、この宿主細胞は、さもなくば野生型の宿主細胞で発現されるポリペプチドを発現する能力が失われるように遺伝子操作されているものでもよい。このポリペプチドは、例えば、融合ポリペプチドでもよい。さらに、「組換え体タンパク質」の意味には、組換え体遺伝子に関して、「に由来する」という句が含まれるものとし、それらのタンパク質は、天然ポリペプチドのアミノ酸配列、または、置換、欠失、および末端切除を含めた、天然存在形態のポリペプチドの変異によって生成されたそれに類似したアミノ酸配列を有する。
本明細書で使用される場合、「選択的なPDE10A阻害剤」は、PDE10Aファミリーの酵素を、他のPDE酵素、詳細にはPDE1〜9ファミリーの酵素またはPDE11酵素のいかなるものよりも大きな程度で効果的に抑制する物質、例えば有機分子を指す。一実施形態では、選択的なPDE10A阻害剤は、PDE10A阻害に関して、その物質が任意の他のPDE酵素の阻害に関して有するKの約半分未満、1/5未満、または1/10未満のKを有する物質、例えば有機小分子である。換言すれば、この物質は、任意の他のPDE酵素に必要な濃度の約半分、1/5、1/10または未満の濃度でPDE10A活性を同程度に抑制する。一般に、ある物質のIC50すなわちKが約10mMもしくはそれ未満、約1mMもしくはそれ未満、約500nMもしくはそれ未満、約100nMもしくはそれ未満、約50nMもしくはそれ未満、または場合によっては約10nMもしくはそれ未満である場合に、その物質はPDE10Aを効果的に抑制すると考えられる。
本明細書で使用される場合、「小分子」という用語は、それらが経口利用可能であるため、好ましい薬物を指す(注射によって投与するか、あるいは局所投与しなければならないタンパク質とは異なる)。小分子の大きさは、通常、1000ダルトン未満であるが、多くの推算値は、300から700ドルトンまでの範囲に及んでいるようである。
「治療上有効」な量によって、疾患の症候を少なくとも部分的に逆転できる量を意味する。治療上有効な量は、個別的に決定することができ、疾患の進行に関連して、その哺乳動物の種、その哺乳動物の大きさ、使用される送達系のタイプ、および投与のタイプに関する考慮に少なくとも一部基づくであろう。当業者は、そのような因子を利用し、日常の域を超えない実験を用いることによって治療上有効な量を決定することができる。
本明細書で使用される場合、「形質移入」という用語は、例えば発現ベクターを介して、核酸介在性の遺伝子移入によって受容細胞の中に核酸を導入することを意味する。「形質転換」は、外因性のDNAまたはRNAの細胞内取り込みの結果、細胞の遺伝子型が変化する過程を指し、例えば、形質転換細胞は、組み換え型のポリペプチドを発現するか、あるいは、移入された遺伝子からのアンチセンス発現の場合には、天然に存在する形態のポリペプチドの発現が破壊される。
配列番号1または配列番号2のポリペプチド配列に関して、「変種」という用語には、結果としてPDE10A活性を有する酵素のポリペプチド配列を生じる、この配列から、もしくはこの配列への1つまたは複数のアミノ酸の置換、変異、改変、置換除去、欠失、または添加が含まれる。配列番号1または配列番号2の変種、相同体、断片、または部分は、好ましくは連続した少なくとも5アミノ酸、好ましくは連続した少なくとも10アミノ酸、好ましくは連続した少なくとも15アミノ酸、好ましくは連続した少なくとも20アミノ酸、好ましくは連続した少なくとも25アミノ酸、または好ましくは連続した少なくとも30アミノ酸のポリペプチド配列を含む。
「ベクター」という用語は、それが連結されている別の核酸を輸送することができる核酸分子を指す。好ましいベクターの1タイプが、エピソーム、すなわち、染色体外複製が可能な核酸である。好ましいベクターは、自律的複製、および/またはそれらが連結されている核酸の発現が可能なものである。それらが作用可能に連結されている遺伝子の発現を指示できるベクターを、本明細書では、「発現ベクター」と呼ぶ。一般に、組換えDNA技法で有用な発現ベクターは、多くの場合、「プラスミド」の形態にあり、これは通常、環状の二本鎖DNAループを指し、それらがベクター形態にある場合には、染色体に結合していない。本明細書では、「プラスミド」および「ベクター」が互換性をもって使用されるが、それは、プラスミドがベクターの最も一般的に使用される形態であるからである。しかし、本発明は、同等の機能を果たし、かつ、これの後に当技術分野で既知となる他の形態の発現ベクターも含むものとする。
この開示全体を通して、以下のアミノ酸の略称を使用する。
A=Ala=アラニン T=Thr=トレオニン
V=Val=バリン C=Cys=システイン
L=Leu=ロイシン Y=Tyr=チロシン
I=Ile=イソロイシン N=Asn=アスパラギン
P=Pro=プロリン Q=Gln=グルタミン
F=Phe=フェニルアラニン D=Asp=アスパラギン酸
W=Trp=トリプトファン E=Glu=グルタミン酸
M=Met=メチオニン K=Lys=リジン
G=Gly=グリシン R=Arg=アルギニン
S=Ser=セリン H=His=ヒスチジン
A.クローンおよび発現
PDE10Aポリペプチド、または、PDE10Aタンパク質の触媒ドメインのC末端ペプチド断片を含めたその機能性断片、そのキメラタンパク質を含めたその誘導体もしくは類似体をコードするヌクレオチド配列を、適当な発現ベクター、すなわち、挿入された、タンパク質をコードする配列の転写および翻訳に必要なエレメントを含有するベクターに挿入することができる。上述のエレメントを本明細書では「プロモーター」と呼ぶ。したがって、本発明のPDE10Aポリペプチド、または、PDE10Aタンパク質の触媒ドメインのC末端ペプチド断片を含むその機能性断片、誘導体もしくは類似体をコードする核酸は、本発明の発現ベクター中にあるプロモーターと機能的に結合している。好ましい実施形態では、発現ベクターが、配列番号1に記載のアミノ酸Thr442からAsp774までにわたるアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含有する。cDNA配列およびゲノム配列は、両方とも、そのような調節配列の制御下にクローニングして、発現させることができる。発現ベクターは、複製開始点も含むことが好ましい。必要な転写シグナルおよび翻訳シグナルを組換え体発現ベクターに提供することができる。以下に詳述する通り、このセクションでPDE10A遺伝子に関して記載するすべての遺伝操作は、PDE10Aタンパク質の触媒ドメインのC末端ペプチド断片を含めたその機能性断片、そのキメラタンパク質を含めたその誘導体または類似体をコードする遺伝子にも利用できる。
可能性のある宿主−ベクター系には、ウイルス(例えば、ワクシニアウイルス、アデノウイルスなど)に感染した哺乳動物細胞システム、ウイルス(例えばバキュロウイルス)に感染した昆虫細胞システム、酵母ベクターを含有している酵母などの微生物、またはバクテリオファージ、DNA、プラスミドDNA、もしくはコスミドDNAで形質転換された細菌が含まれるが、これらに限定されない。ベクターの発現エレメントは、それらの強度および特異性が異なる。使用する宿主−ベクターシステムおよび宿主に応じて、多数の適当な転写エレメントおよび翻訳エレメントのうちの任意の1つを用いることができる。
本発明の組換え体のPDE10Aタンパク質は、組み換えによってコード配列を組み込んだ後に染色体から発現させてもよい。この点では、高レベルの安定した遺伝子発現を実現するのに、多数の増幅システムのうちのいずれを用いてもよい(Sambrookら、1989年、下記、このうちの関連した開示を全体として参照により本明細書に援用する)。
本発明の目的における適当な細胞は、その中に、PDE10Aタンパク質をコードする核酸を含む組換え体ベクターが、その細胞によってPDE10Aタンパク質が発現される条件下で適当な細胞培地中で培養される細胞である。
以前に記載されている、DNA断片をクローニングベクター中に挿入するいかなる方法も、適切な転写/翻訳制御シグナルおよびタンパク質をコードする配列からなる遺伝子を含有する発現ベクターを構築するのに使用できる。これらの方法には、in vitro組換え体DNA技法、合成技法、およびin vivo組換え(遺伝的組換え)が含まれことがある。
PDE10Aタンパク質の発現は、当技術分野で知られているいかなるプロモーター/エンハンサエレメントによって制御してもよいが、これらの調節エレメントは、発現用に選択された宿主において機能的なものでなければならない。
本発明のPDE10Aタンパク質をコードする核酸を含有するベクターは、4通りの一般的アプローチ、すなわち、(1)所望のプラスミドDNAまたは特定のmRNAのPCR増幅、(2)核酸ハイブリダイゼーション、(3)選択的標識遺伝子機能の存在または不在、および、(4)挿入配列の発現によって同定できる。第1のアプローチでは、核酸をPCRによって増幅して、増幅された産物の検出を提供できる。第2のアプローチでは、発現ベクターに挿入された外来遺伝子の存在を、挿入されている標識遺伝子に相同な配列を含むプローブを用いた核酸ハイブリダイゼーションによって検出することができる。第3のアプローチでは、ベクターへの外来遺伝子の挿入によって引き起こされるある特定の「選択マーカー」遺伝子機能(例えば、βガラクトシダーゼ活性、チミジンキナーゼ活性、抗生物質に対する耐性、形質転換表現型、バキュロウイルスにおけるオクルージョンボディー(occlusion body)の形成など)の存在または不在に基づいて組換え体ベクター/宿主系を同定および選択することができる。別の実施例では、PDE10Aタンパク質をコードする核酸がベクターの「選択マーカー」遺伝子配列中に挿入された場合に、PDE10Aタンパク質挿入配列を含有する組換え体ベクターをPDE10Aタンパク質遺伝子機能の不在によって同定することができる。第4のアプローチでは、発現されたタンパク質が機能的に活性な立体配座にあることを前提として、組換え体ベクターによって発現された遺伝子産物の活性、生化学的特徴、または免疫学的特徴をアッセイすることによって、組換え体発現ベクターを同定することができる。
当業者には既知であるように、本発明のDNA配列を発現するのに、様々な宿主/発現ベクターの組合せを利用することができる。
特定の組換えDNA分子が同定および単離されれば、それを増殖させるのに当技術分野で知られているいくつかの方法を用いることができる。適当なホストシステムおよび増殖条件が確立されれば、組換え体発現ベクターを増殖させて、大量に調製することができる。以前に説明した通り、使用できる発現ベクターには、以下のベクターまたはそれらの誘導体、すなわち、いくつか名前を挙げるだけでも、ワクシニアウイルスまたはアデノウイルスなどのヒトか動物ウイルス、バキュロウイルスなどの昆虫ウイルス、酵母ベクター、バクテリオファージベクター(例えば、ラムダ)、ならびにプラスミドおよびコスミドDNAベクターが含まれるが、これらに限定されない。
ベクターは、所望の宿主細胞に、当技術分野で知られている方法、例えば形質移入、エレクトロポレーション、マイクロインジェクション、形質導入、細胞融合、DEAEデキストラン、リン酸カルシウム沈殿、リポフェクション(リソゾーム融合)、遺伝子銃またはDNAベクター輸送体の使用によって導入することができる(例えば、Wuら、1992年、J.Biol.Chem.267:963〜967;WuおよびWu、1988年、J.Biol.Chem.263:14621〜14624;Hartmutら、1990年3月15日出願のカナダ特許出願第2012311号)。
B.結晶および空間群
エックス線構造座標は、空間内の点の特有の配置を定義する。タンパク質もしくはタンパク質/リガンド複合体、またはそれらの部分に関する1セットの構造座標が相対的な1セットの点を定義し、それらが次に三次元の配置を定義することを、当業者は理解する。原子座標相互の距離および角度が本質的に同一に維持されることを前提にすれば、類似または同一の配置を、完全に異なった1セットの座標で定義することができる。加えて、角度を本質的に同一に保ちながら、スカラー因子で座標間の距離を延長または短縮することによって、点の大きさが可変的な配置を定義することができる。
本発明の一態様は、好ましくは配列番号1に記載のアミノ酸Thr442からAsp774までにわたるアミノ酸配列を有するポリペプチドを含む結晶組成物に関する。
一実施形態では、本発明は、1つまたは複数のリガンドと複合体形成した、配列番号1に記載のアミノ酸Thr442からAsp774までにわたるアミノ酸配列を有するポリペプチドを含む結晶性PDE10A分子を開示する。別の実施形態では、結晶化された複合体が、図4に記載の構造座標またはその部分によって特徴付けられる。特定の実施形態では、上記リガンド原子が、配列番号1における1つまたは複数のPDE10Aアミノ酸、好ましくは、Leu625、Phe629、Val668、Phe686、Met703、Gln716、およびPhe719から選択された1つまたは複数のアミノ酸の約4、7、または10オングストローム以内にある。結晶化された複合体の一実施形態は、R3空間群に属し、a=120.6、b=120.6、c=82.1Å、a=b=90.0、g=120°の格子寸法を有することを特徴とする。この実施形態は、図4の構造座標によって包含される。リガンドは、配列番号2によって定義されるPDE10A触媒ドメインまたはその部分に、約10mM未満、1mM未満、500nM未満、100nM未満、50nM未満、または、場合によっては10nM未満のKで結合する小分子でもよい。好ましい一実施形態では、リガンドが、化学式Iの化合物、すなわち(6,7−ジメトキシ−4−[8−(4−メチル−ピペラジン−1−スルホニル)−3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−イル]−キナゾリン)である。特定の実施形態では、リガンドがPDE10Aの基質または基質類似体である。特定の実施形態では、リガンドがPDE10Aの競合的または非競合的阻害剤でありうる。特定の実施形態では、リガンドはPDE10Aの共有結合阻害剤である。
ある分子またはその結合ポケット部分が、PDE10Aの全体もしくは一部、またはその結合ポケットに、その三次元構造に関する定義において、「構造的に等価である」かどうかを判定するのに様々なコンピュータ法を用いることができる。そのような方法は、QUANTA(Accelrys Inc.社、San Diego、Calif.)の分子類似性アプリケーションなど、現在のソフトウェアアプリケーションで実行できる。分子類似性アプリケーションは、異なった構造相互、同一構造の異なった立体配座相互、および同一構造の異なった部分相互の比較を可能にする。構造を比較する分子類似性アプリケーションに用いられる手順は、(1)構造をロードして、比較するステップと、(2)これらの構造における原子等価性を任意選択で定義するステップと、(3)フィッティングオペレーションを行うステップと、(4)結果を分析するステップとの4ステップに分けられる。各構造は名前によって特定される。ある構造を標的(すなわち固定構造)として特定し、残りすべての構造が作業構造(すなわち可動構造)である。分子類似性アプリケーション内の原子等価性はユーザー入力で定義されるので、本発明の目的では、等価な原子を、比較された2つの構造間で保存されているすべての残基のタンパク質バックボーン原子(N、Cα、C、およびO)と定義する。保存残基は、構造的または機能的に等価な残基として定義する(下記表4を参照)。特定の実施形態では、堅固なフィッティングオペレーションを考慮する。他の実施形態では、柔軟なフィッティングオペレーションを考慮してよい。
堅固なフィッティング法が使用される場合、標的構造との最適な適合を得るために、作業構造を平行移動および回転させる。フィッティングオペレーションは、可動構造に適用する最適の平行移動および回転を、特定された等価な原子の対の適合に関する二乗平均根差が絶対最小値となるように計算するアルゴリズムを用いる。オングストロームを単位とするこの数値が、分子類似性アプリケーションによって報告される。
本発明の目的では、表4に記載の参照構造座標によって表された関連のバックボーン原子に重ねあわせた際に、保存残基バックボーン原子(N、Cα、C、およびO)の二乗平均根偏差が約1.5Å未満、1.0Å未満、0.7Å未満、0.5Å未満、またはさらに0.2Å未満であるいかなる分子もしくは分子複合体、またはそれらの結合ポケット、またはそれらのいかなる部分も、参照分子に「構造的に等価」であるとみなされる。すなわち、2つの分子におけるそれらの部分の結晶構造は、許容できる誤差の範囲内で実質的に同一である。特に好ましい構造的に等価な分子または分子複合体は、図4に記載の構造座標のセット全体、プラスまたはマイナス、それらのアミノ酸の保存されているバックボーン原子からの二乗平均根偏差2.0Å以下によって定義されるものである。二乗平均根偏差が約1.0Å未満であることがより好ましい。
「二乗平均根偏差」という用語は、偏差の2乗の算術平均の平方根を意味する。それは、傾向または対象からの偏差または差異を表す1つの方法である。本発明の目的では、「二乗平均根偏差」は、本明細書に記載のPDE10Aの構造座標によって定義される、PDE10Aまたはその結合ポケット部分のバックボーンからの、あるタンパク質のバックボーンの差異を定義する。
化学式1の化合物、すなわち(6,7−ジメトキシ−4−[8−(4−メチル−ピペラジン−1−スルホニル)−3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−イル]−キナゾリン)と複合体形成したPDE10Aの触媒ドメイン(配列番号2に記載のアミノ酸442から774)、Zn2+、Mg2+、および312の水分子の精密化されたエックス線座標は図4に記載の通りである。
この分子の2つの直交図を図1および図2に示し、タンパク質との阻害剤の相互作用の詳細を図3に示す。
この構造は、緊密に折りたたまれて配置された14本のαヘリックスおよび2本の310ヘリックスの単一ドメインで構成されている(図1)。ヘリックスの番号つけを以下に示す。本発明者らは、Xuら、Science、288:1822〜25(2000年)によって確立された番号つけ変換に従い、ヘリックスの開始点および終止点は、KabschおよびSander、Biopolymers、22(12):2577〜637(1983年)に従って決定される。
αヘリックス 残基範囲 310ヘリックス 残基範囲
H1 454〜461 A1 666〜669
H3 476〜487 A2 702〜710
H5 495〜507
H6 517〜532
H7 540〜552
H8 562〜568
H9 571〜575
H10 580〜594
H11 606〜622
H12 625〜640
H13 649〜664
H14 672〜694
H15a 712〜722
H15b 724〜734
H16 739〜756
2つの金属イオンは触媒部位にある。PDE4bからの類推および配位幾何の分析から、その第1はZn2+であると決定されている。この金属は、His553(Nε2−Zn 2.1Å)、His519(Nε2−Zn 2.0Å)、Asp554(Oσ2−Zn 2.1Å)、Asp664(Oσ2−Zn 2.2Å)、および水分子(O−Zn 1.7Å)によって配位されている。これらの残基は、PDE遺伝子ファミリー全体にわたって完全に保存されている。第2の金属イオンは、Asp554(0σ1−Zn 1.9Å)と、金属環境を安定させる水分子網とに配位されている。配位幾何および相対観測電子密度によって、この第2の金属イオンはMg2+と決定されているが、これはPDE4構造における同様の観測と一致する(Xuら、Science、288:1822〜25(2000年))。
1分子の阻害剤(6,7−ジメトキシ−4−[8−(4−メチル−ピペラジン−1−スルホニル)−3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−イル]−キナゾリン)。化学式1の化合物が活性部位の中で結合しているのが見られる。阻害剤結合部位は、片側がH14、H15a、およびH15bを境界とし、H12のN末端ならびに2本の310ヘリックスA1およびA2を境界としている。タンパク質−阻害剤相互作用を図2に模式的に示す。
阻害剤とタンパク質との相互作用の大部分は疎水性の性質のものであり、観測されている水素結合は2本である(図2)。h−結合は両方とも、完全に保存されているGln716のNε2と、メトキシ酸素O14(3.0Å)およびO17(3.1Å)との間のものである。この阻害剤のキナゾリン環は、Phe719と強力π−スタッキング相互作用を有し、Phe686とエッジスタッキング相互作用を有するものと思われる。スルファンアミドピペラジン基は、このタンパク質と直接的に相互作用していない。
したがって、本発明は、PDE10Aおよび/または基質結合ポケットの少なくとも一部を含む分子または分子複合体を提供する。一実施形態では、PDE10A結合ポケットが表1に記載のアミノ酸、好ましくは表2に記載のアミノ酸、より好ましくは表3に記載のアミノ酸を含み、上記結合ポケットは、表1〜3のアミノ酸のバックボーン原子を表す点からの二乗平均根偏差が約1.5Å未満、1.2Å未満、1.0Å未満、0.7Å未満、0.5Å未満、または、さらに0.2Å未満である1セットの点によって定義される。別の実施形態では、PDE10A基質結合ポケットが、配列番号1におけるLeu625、Phe629、Val668、Phe686、Met703、Gln716、およびPhe719から選択されたアミノ酸を含む。
Figure 2007528731
Figure 2007528731
Figure 2007528731
C.単離されたポリペプチドおよび変種
本発明の一実施形態は、適切な3D方向性で折りたたまれた際に結合部位として機能する、PDE10Aの一部からなる単離されたポリペプチドを記述する。一実施形態は、PDE10A、または、例えば配列番号3に開示されている野生型マウス(mus musculus)PDE10A酵素のポリペプチドなど、配列番号1に記載のアミノ酸Thr442からAsp774までにわたるアミノ酸配列を有するポリペプチドに少なくとも90%、95%、または98%相同である配列の一部を含む単離されたポリペプチドであって、上記の部分は、配列番号1に記載のアミノ酸残基Thr442の辺りで開始し、アミノ酸残基Asp774の辺りで終止する。
本発明の別の実施形態では、PDE10Aの変種を含む結晶組成物を含む。本発明の変種は、配列番号1または配列番号2に開示されている配列に対して、1つまたは複数のアミノ酸置換によって相違しているアミノ酸配列を有するものでもよい。アミノ酸欠失および/または付加を含む実施形態も企図されている。この変種は、保存性の変化(アミノ酸類似性)を有するものでもよく、例えばイソロイシンによるロイシンの置換のように、置換されるアミノ酸は、構造的または化学的に類似した特性を有する。生物活性または提唱されている薬理活性に悪影響を与えずに、どのアミノ酸残基を何残基、置換、挿入、または欠失できるかを決定するガイダンスは、この開示に照らして合理的に推論できるが、さらに、当技術分野で周知のコンピュータプログラム、例えばDNAStar(登録商標)ソフトウェアを用いて見出すこともできる。
天然分子の生物活性および/または薬理学的活性が保持される限り、例えば、残基の極性、電荷量、溶解度、疎水性、親水性、および/または両親媒性の類似性に基づいてアミノ酸置換を導入することができる。
負に荷電したアミノ酸には、アスパラギン酸およびグルタミン酸が含まれ、正に荷電したアミノ酸には、リジンおよびアルギニンが含まれ、同様の親水性値を有する無荷電の極性頭部を備えたアミノ酸には、ロイシン、イソロイシン、およびバリンが含まれ、脂肪族の頭部基を有するアミノ酸には、グリシン、アラニンが含まれ、アスパラギン、グルタミン、セリンがあり、芳香族側鎖を有するアミノ酸には、トレオニン、フェニルアラニン、およびチロシンが含まれる。
保存的置換の例を以下の通り表4に示す。
Figure 2007528731
「相同性」は、ヌクレオチド配列またはアミノ酸配列の同一性の尺度である。相同性を特徴付けるために、必要に応じて、最大の相同性パーセントを達成するようにギャップを導入した後に、最も高い相同性(一致)パーセントが得られるように、対象配列のアラインメントを行う。N末端またはC末端の突出部分は相同性に影響を与えないものと理解される。「同一性」それ自体は、当技術分野で承認された意味を有し、公表されている技法を用いて計算することができる。2つの配列の間の同一性を決定するコンピュータプログラム法には、例えば、DNAStar(登録商標)ソフトウェア(DNAStar Inc.社、Madison、WI)、GCG(登録商標)プログラムパッケージ(Devereux、J.ら、Nucleic Acids Research(1984年)、12(1):387);BLASTP、BLASTN、FASTA(Atschul,S.F.ら、J.Molec Biol(1990年)、215:403)が含まれる。本明細書で定義される相同性(同一性)は、周知のコンピュータプログラムであるBESTFIT(登録商標)(ウィスコンシン配列解析パッケージ(Wisconsin Sequence Analysis Package)、Unix(登録商標)用バージョン8、Genetics Computer Group、University Research Park、575 Science Drive、Madison、WI、53711所在)を用いた従来法で決定される。特定の配列が参照配列に対して、例えば約90%相同であるかどうかを決定するために、BESTFIT(登録商標)または任意の他の配列アラインメントプログラム(MegAlignソフトウェア(DNAStar(登録商標))のClustalアルゴリズムなど)を用いる場合、本発明によれば、同一性のパーセントが参照のヌクレオチド配列またはアミノ酸配列の完全長全体について計算され、かつ、相同性が参照配列のヌクレオチドの総数の最大約90%までの範囲でギャップが許容されるようにパラメーターを設定する。
したがって、例えば90パーセントの相同性は、同一性のパーセントが参照配列、例えば配列番号1の完全長全体について計算されるようにパラメータセットを用いたBESTFIT(登録商標)プログラムを用いて決定され、参照配列中のアミノ酸の最大10%までが別のアミノ酸で置換されていてもよい。相同性パーセントは、例えば好ましい種を同定するために、配列番号1に対して、同様にその結合部位に対して、約90%から100%の相同性の範囲内である、本明細書に添付されている特許請求の範囲内に同様に決定される。上述の通り、N末端またはC末端の突出部分は相同性に影響を与えないものと理解される。したがって、2つの配列を比較する際、通常、参照配列は2つの配列のうちの短い方である。これは、例えば100ヌクレオチドのポリヌクレオチドの中の50ヌクレオチドの領域に対して正確な同一性を有する長さ50ヌクレオチドの配列が比較された場合、若干50%の相同性ではなく、100%の相同性があることを意味する。
配列番号1の天然のポリペプチドと変種ポリペプチドとは、一定のパーセント、例えば90%の同一性を有するのみであるかもしれないが、保存的な変化である異なったコドンの数に応じて、実際には、それらはさらに高い度合いの類似性を有する可能性が高い。そのタンパク質の立体配座または機能に変化を与えずに、タンパク質に保存的なアミノ酸置換を頻繁に施すことができる。2つの配列間の類似性には、直接的一致の他に、保存的なアミノ酸置換も含まれるが、これらは、表4に記載の通り、類似の構造特性または化学特性、例えば類似の電荷量を有する。
2つのポリペプチド間の類似性(保存的置換)パーセントは、類似性を決定するためのデフォルト設定を用いた、BESTFITプログラムを含めた当技術分野で周知のプログラムを用いることによって、2つのポリペプチドのアミノ酸配列を比較することによって計算できる。
別の一実施形態では、組換え体バクテリオファージによって産生されたランダムペプチドライブラリー、例えば(ScottおよびSmith、Science、249:386〜390(1990年));Cwirlaら、Proc.Natl.Acad.Sci.、87:6378〜6382(1990年);Devlinら、Science、249:404〜406(1990年))、化学ライブラリー、または同様のものをスクリーニングすることによって潜在的リガンドを得ることができる。この様に選択されたリガンドは、コンピュータモデリングプログラムによって、1つまたは複数の有望な潜在的リガンドが同定されるまで体系的に改変することができる。そのような分析がHIVプロテアーゼ阻害剤の開発に効果的であることが示されている(Lamら、Science 263:380〜384(1994年);Wlodawerら、Ann.Rev.Biochem.62:543〜585(1993年);Appelt、Perspectives in Drug Discovery and Design 1:23〜48(1993年);Erickson、Perspectives in Drug Discovery and Design 1:109〜128(1993年))。
そのようなコンピュータモデリングは、本質的にはランダムな化学修飾の数が無限であるのとは対照的に、実施が可能であろう限られた数の合理的な化学修飾の選択を可能にし、それらのうちの1つが有用な薬物へと導くかもしれない。それぞれの化学修飾は別の化学ステップを必要とし、それは、限られた数の化合物の合成は妥当ではあるが、合成される必要のあるすべての可能な改変を実際に合成するとしたならば、すぐに圧倒的な数となる。したがって、本明細書に開示する三次元構造と、コンピュータモデリングの使用を通して、これらの多数の化合物をコンピュータモニター画面上で迅速にスクリーニングすることができ、さらに、非常な労力をかけて無数の化合物を合成しないでも、いくつかの可能性の高い候補を決定することができる。
潜在的リガンド(アゴニストまたはアンタゴニスト)が同定されれば、ほとんどの大きな化学会社から購入可能な化学物質のライブラリーからそれを選択することができるが、あるいは、その潜在的リガンドを新規に合成してもよい。上述の通り、1つの特定の化合物、あるいは比較的小さなグループの特定の化合物の新規の合成でさえ、薬物設計の分野では妥当である。PDE10A活性に対する作用を試験するために、当業者に周知の任意の標準的な結合アッセイを、潜在的リガンドで実施することができる。
適当な薬物が同定された場合、PDE10Aタンパク質とその薬物との間で形成されたタンパク質−リガンド複合体を含む結晶を追加に成長させることができる。この結晶は、タンパク質−リガンド複合体の原子座標を5.0Å未満、より好ましくは3.0Å未満、さらに好ましくは2.0Å未満の分解能にまで決定するのが可能となるように、エックス線を効果的に回折させることが好ましい。この追加の結晶の三次元構造は、分子置換分析によって決定することができる。分子置換は、新規の結晶形態にある密接に関連した分子またはタンパク質−リガンド複合体の構造を決定するために、既知の三次元構造を探索モデルとして用いるものである。測定された新規の結晶のエックス線回折特性を探索モデル構造と比較して、新規結晶中のタンパク質の位置および配向性を計算する。使用できるコンピュータプログラムには、X−PLORおよびAMORE(J.Navaza、Acta Crystallographics ASO、157〜163(1994年))が含まれる。位置および方向性が既知となれば、エックス線の位相を得るために、探索モデルを用いて電子密度マップを計算することができる。その後、構造差がないかどうか電子密度を検査し、新規の構造に適合するように探索モデルを改変する。新規のリガンドと複合体形成しているいかなるそのようなPDE10Aの三次元構造を決定するのにも、このアプローチを用いて請求のPDE10A構造を使用することが可能である。そのようなSTAT結晶の構造を決定するのに使用できる他のコンピュータプログラムには、QUANTA、CHARMM、INSIGHT、SYBYL、MACROMODEL、およびICMが含まれる。
リガンドをスクリーニング、設計、または選択するための様々なin silico法が米国特許第6356845号に開示されており、そのうちの関連した開示を参照により本明細書に援用する。
E.リガンド
一態様では、本発明は、表4に記載の構造座標によって表されるアミノ酸のバックボーン原子を表す点からの二乗平均根偏差が約2.0Å未満である1セットの点によって定義される、PDE10A触媒ドメインの結合部位と相互作用するリガンドを開示する。本発明の別の実施形態は、表4に記載の構造座標によって表されるアミノ酸のバックボーン原子を表す点からの二乗平均根偏差が約2.0Å未満、1.7Å未満、1.5Å未満、1.2Å未満、1.0Å未満、0.7Å未満、0.5Å未満、またはさらに0.2Å未満の1セットの点によって定義される、PDE10Aの結合部位と相互作用する結合物質を含む。そのような実施形態はPDE10A結晶の変種を表すものである。
別の態様では、本発明は、配列番号1に記載のアミノ酸442から774までにわたるアミノ酸配列を含むポリペプチド、またはその相同体もしくは変種の正しく折りたたまれたものに結合するリガンドを記載する。特定の実施形態では、上記リガンドがPDE10Aの競合的または非競合的阻害剤である。特定の実施形態では、上記リガンドは、約10mM未満、1mM未満、500nM未満、100nM未満、50nM未満、または10nM未満のIC50またはKiでPDE10Aを抑制する。特定の実施形態では、上記リガンドは、その物質が他のいかなるPDE酵素を抑制する際のKiの約半分未満、約1/5未満、または約1/10未満のKiでPDE10を抑制する。換言すれば、この物質は、任意の他のPDE酵素に必要な濃度の約半分、約1/5、約1/10、またはそれ未満の濃度でPDE10A活性を同程度に抑制する。
本発明の一実施形態は、タンパク質、ペプチド、ペプチドミメティック、有機小分子など、本明細書の図4に記載の座標およびその部分によって表されるPDE10Aの結晶構造を参照して設計または開発されたリガンドに関する。そのような結合物質は、Leu625、Phe629、Val668、Phe686、Met703、Gln716、およびPhe719から選択された1つまたは複数のアミノ酸残基によって表されるPDE10Aの結合部位と相互作用する。
F.機械読み取り可能な記憶媒体
PDE10A、またはPDE10A/リガンド複合体、もしくはその結合ポケットの1つのすべてまたは一部の構造座標、下記に定義される構造的に相同な分子の構造座標、あるいは、上記に定義されたこれらの分子または分子複合体のいずれかの構造的等価物の構造座標から、その分子または複合体の三次元画像表示への変換は、市販のソフトウェアを使用して好都合に実現することができる。
本発明は、機械読み取り可能なデータでコードされたデータ保存物質を含む機械読み取り可能な記憶媒体をさらに提供し、上記記憶媒体は、前記データを使用するための命令でプログラムされた機械を使用した際に、上述した本発明の分子または分子複合体のうちの任意のものの三次元画像を表示できるものである。好ましい一実施形態では、上記機械読み取り可能な記憶媒体は、機械読み取り可能なデータでコードされたデータ保存物質を含み、上記記憶媒体は、前記データを使用するための命令でプログラムされた機械を使用した際に、上記に定義されたPDE10AのC末端触媒ドメインまたは結合ポケットのすべてまたは任意の部分を含む分子または分子複合体の三次元画像を表示できるものである。別の好ましい実施形態では、上記機械読み取り可能なデータ記憶媒体は、図4に記載のアミノ酸の構造座標、プラスまたはマイナス、前記アミノ酸のバックボーン原子からの二乗平均根偏差2.0Å以下によって定義される分子または分子複合体の三次元画像を表示できるものである。
代替の一実施形態では、上記機械読み取り可能なデータ記憶媒体は、図4に記載の構造座標のフーリエ変換を含む第1のセットの機械読み取り可能なデータでコードされたデータ保存物質を含み、第1のセットの機械読み取り可能なデータは、前記データを使用するための命令でプログラムされた機械を使用した際に、分子または分子複合体のエックス線回折パターンを含む第2のセットの機械読み取り可能なデータに対応する構造座標の少なくとも一部を決定するために、第2のセットの機械読み取り可能なデータと併用することができる。
例えば、データ記憶媒体を読み取るシステムは、中央演算処理装置(「CPU」)を含むコンピュータ、ワーキングメモリー、大容量記憶メモリー(1つまたは複数のディスクドライブまたはCD−ROMドライブなど)、1つまたは複数のディスプレイ装置(例えば、ブラウン管(「CRT」)ディスプレイ、発光ダイオード(「LED」)ディスプレイ、液晶ディスプレイ(「LCD」)、エレクトロルミネセンスディスプレイ、真空蛍光ディスプレイ、電界放出ディスプレイ(「FED」)、プラズマディスプレイ、映写パネルなど)、1つまたは複数のユーザー入力装置(例えば、キーボード、マイクロホン、マウス、タッチスクリーンなど)、1本または複数の入力ライン、および1本または複数の出力ラインを含み、これらのすべてが従来の双方向性システムバスによって相互接続されているものでよく、ワーキングメモリーは、例えばRAM(ランダムアクセスメモリー)または「コア」メモリーでよい。上記システムは、独立型のコンピュータでもよく、あるいは他のシステム(例えば、コンピュータ、ホスト、サーバーなど)にネットワークで接続されていてもよい(例えばローカルエリアネットワーク、広域ネットワーク、イントラネット、エクストラネット、またはインターネットを介して)。上記システムは、家庭用電化製品または電気器具などのコンピュータに制御される別の装置を含んでいてもよい。
入力ハードウェアは、入力ラインによってコンピュータと結合されていてもよく、また、様々な方法で実装されていてもよい。本発明の機械読み取り可能なデータは、電話回線または専用データ回線によって接続された1つまたは複数のモデムを使用して入力されてもよい。入力ハードウェアは、代替または付加物として、CD−ROMドライブまたはディスクドライブを含んでいてもよい。ディスプレイ装置と組み合わせて、キーボードも入力装置として使用できる。
出力ハードウェアは、出力ラインによってコンピュータと結合されていてもよく、また、同様に従来の装置によって実装されていてもよい。一例として、出力ハードウェアは、本明細書に記載のQUANTAなどのプログラムを用いて、本発明の結合ポケットの画像を表示するディスプレイ装置を含むものでよい。出力ハードウェアは、さらに、ハードコピー出力を産生できるように印刷装置も含んでもよく、あるいは、後で使用するためにシステム出力データを保存するディスクドライブを含んでもよい。
オペレーションの際、CPUは、様々な入出力装置の使用を調整し、大記憶装置からのデータのアクセス、ワーキングメモリーへのアクセス、およびそれからのアクセスを調整し、データ処理ステップの順序を決定する。本発明の機械読み取り可能なデータを処理するのに、多数のプログラムが使用できる。そのようなプログラムは、本明細書に記載の創薬のコンピュータ法との関連で論じられる。ハードウェアシステムの構成要素に関する言及は、データ記憶媒体に関する以下の説明全体にわたって必要に応じて含まれている。
本発明で有用な機械読み取り可能な記憶装置には、磁気装置、電気装置、光学装置、およびこれらの組合せが含まれるが、これらに限定されない。そのようなデータ記憶装置の例には、ハードディスク装置、CD装置、デジタル映像ディスク装置、フロッピィディスク装置、リムーバブルハードディスク装置、光磁気ディスク装置、磁気テープ装置、フラッシュメモリー装置、バブル記憶素子、ホログラフィー記憶装置、および他のいかなる大容量記憶周辺装置も含まれるが、これらに限定されない。これらの記憶装置は、データ記憶を可能にするのに必要な任意の媒体(例えば、ディスク、フラッシュカードなど)と共に、必要なハードウェア(例えば、ドライブ、制御装置、電源など)も含むものと理解するべきである。
G.医薬組成物
本発明は、そのような治療を必要とする哺乳動物、好ましくはヒトの特定の疾患を、本明細書に記載のリガンド、好ましくは阻害剤を用いて治療する方法を企図する。上記リガンドは、当業者に知られている通り、治療上有効な量のリガンドと、薬学的に許容できる担体と、アジュバント、完全もしくは不完全フロインドアジュバントなど、そのような医薬組成物を処方するのに適当である他の適合性成分とを含む医薬組成物に有利に処方することができる。上記リガンドを含有する医薬組成物は、統合失調症、妄想障害、および薬物誘発性精神病などの様々な精神病性の障害および状態と、恐慌性障害および強迫性障害などの不安障害と、パーキンソン病およびハンチントン病を含めた運動障害とを治療するのに用いることができる。
本発明によって治療できる精神病性の障害の例には、統合失調症、例えば、妄想型、解体型、緊張型、未分化型、または残遺型の統合失調症と、統合失調症様障害と、統合失調感情障害、例えば妄想型または抑うつ型の統合失調感情障害と、妄想障害と、物質誘発性精神病性障害、例えばアルコール、アンフェタミン、大麻、コカイン、幻覚発現物質、吸入剤、オピオイド、またはフェンシクリジンによって誘発された精神病と、妄想型人格障害と、統合失調症型人格障害とが含まれるが、これらに限定されない。
本発明によって治療できる運動障害の例には、ハンチントン病およびドーパミンアゴニスト治療に関連したジスキネジー、パーキンソン病、不穏下肢症候群、および本態性振戦から選択されるものが含まれるが、これらに限定されない。
本発明によって治療できる他の障害は、妄想性/強迫性障害、トゥーレット症候群、および他のチック障害である。
上記医薬組成物は、疾患の治療がなされるように、治療上有効な量、哺乳動物に投与する。
本発明を下記の実施例によってさらに例示するが、それらはいかなる意味でも限定的に解釈するべきではない。引用されたすべての参考文献(本出願全体で引用された文献、交付済み特許、および公開された特許出願が含まれる)の内容を、その全体において参照により本明細書に援用する。
本発明の実施には、別段に指示がない限り、当技術分野の技能の範囲内にある、細胞生理学、細胞培養、分子生物学、微生物学、組換えDNA、エックス線結晶学、および分子モデリングの任意の従来技法が利用されるであろう。そのような技法は、文献において十分に説明されている。例えば、「Molecular Cloning:A Laboratory Manual」、第2版、Sambrook、Fritsch、およびManiatis編集(Cold Spring Harbor Laboratory Press社:1989年);「DNA Cloning」、第I巻、およびII巻(D.N.Glover編集、1985年);「Oligonucleotide Synthesis」(M.J.Gait編集、1984年);Mullisらの米国特許第4683195号;「Nucleic Acid Hybridization」(B.D.HamesおよびS.J.Higgins編集、1984年);「Transcription And Translation」(B.D.HamesおよびS.J.Higgins編集、1984年);B.Perbal、「A Practical Guide To Molecular Cloning」(1984年);専門書「Methods In Enzymology」(Academic Press,inc.社、N.Y.);「Methods In Enzymology」、第154巻および155巻(Wuら編集)、「Crystallography Made Clear:A Guide For Users Of Macromolecular Models」(Gales Rhodes、第2版、San Diego:Academic Press社、2000年)を参照のこと。
(実施例1)
His6タグ付きPDE10A野生型触媒ドメインの構築および発現
Bac−to−Bacシステム(Gibco Carlsbad、CA)を用いて配列番号2のアミノ酸に対応する組換え体バキュロウイルスを生成させるために、ラット(rattus norvegicus)の野生型PDE10A(配列番号1)のアミノ酸442〜774を、pFastBac−1にサブクローニングした。配列番号2におけるアミノ酸2〜7がHIS−タグ部分であり、配列番号2におけるアミノ酸20〜362(配列番号1におけるThr442からAsp774まで)が触媒領域のラットPDE10Aタンパク質部分である改変された融合タンパク質を、His−タグ付きバージョンとしてSF21で発現させた。昆虫細胞をMOl(感染多重度)0.5の組換え体バキュロウイルスで感染させ、感染の72時間後に採取した。感染細胞のペレットを−80℃に凍結させて、精製用に移した。
(実施例2)
His6タグ付きPDE10A野生型触媒ドメインの精製
過剰発現されたPDE10a N3C2組換え体タンパク質を含有するバクロウイルス細胞ペレット(80g)を、50mM HEPES(4(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジンエタンスルホン酸)pH7.5、300mM NaCl(塩化ナトリウム)、3%(v/v)グリセロール、0.1mM TCEP(トリス(2−カルボキシエチル)ホスフィン塩酸塩)、およびComplete(商標)プロテアーゼ阻害剤カクテル錠剤(Roche社)を含有する緩衝液A 6倍容積(約430ml)に再懸濁した。Microfluidizerに1回通して、細胞を溶解させ、Sorval社製SLA−1500ローター中、4℃、14000rpmで45分間遠心することによって細胞破片を除去した。上清を清潔なチューブに移し、TALON金属親和性樹脂(BD−Clonetech社)10mlを添加した。懸濁液を、4℃で穏やかにゆらしながら1時間インキュベートし、その後、スウィングバケットローター中、700×gで遠心にかけた。上清を捨て、樹脂を緩衝液A20mlに再懸濁し、FPLC(商標)に接続されているXK−16カラム(Pharmacia社、Skokie、Illinois所在)に移した。樹脂は、5カラム容積緩の衝液Aで洗浄した。洗浄ステップの後、結合樹脂を含有するカラムを、予め緩衝液Aで平衡化されたXK−26/30 Fast Desaltカラム(Pharmacia社)の上流に連結した。緩衝液A+120mMイミダゾールのステップ勾配を用いてPDE10A N3C2をTALON樹脂から溶出した。溶出された画分の緩衝液を、25mM HEPES pH7.5、50mM NaCl、0.1mM TCEP、10μM E64(トランス−エポキシスクシニル−L−ロイシルアミド−(4−グアニジノ)ブタンN−(トランス−エポキシスクシニル)−L−ロイシン4−グアニジノブチルアミドL−トランス−3−カルボキシオキシラン−2−カルボニル−L−ロイシルアグマチニン)、1mM PMSF(フェニルメチルスルホニルフッ化物)、および1μg/mlロイペプチンを含有する緩衝液Bに交換し、monoSカラム(Pharmacia社)に添加した。0〜500mM NaClの勾配を有する、40カラム容積を超える緩衝液Bでタンパク質を溶出させた。溶出している画分を1.0mlに濃縮し、25mM HEPES pH7.5、150mM NaCl、1mM TCEP、10μM E64、1mM PMSF、1μ/mlロイペプチンを含有する緩衝液Cで平衡化されたSuperdex 75 HiLoad 16/60調製グレードカラム(Pharmacia社)に添加した。上記タンパク質は60〜70mlの間で溶出された。溶出された画分は、5.7mg/mlに濃縮した。
(実施例3)
化学式1の化合物(6,7−ジメトキシ−4−[8−(4−メチル−ピペラジン−1−スルホニル)−3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−イル]−キナゾリン)存在下でのPDE10A野生型触媒ドメインの結晶化
Greiner社製96ウェルプレー中でのシッティングドロップ/蒸気拡散法を用いて結晶化スクリーニングを設定した。タンパク質を化学式1の化合物(6,7−ジメトキシ−4−[8−(4−メチル−ピペラジン−1−スルホニル)−3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−イル]−キナゾリン)と2:1の比率で混和させた。条件のスクリーニングは、Hampton Research社のCrystal Screen HTおよびEmerald Biosciences社のWizard IおよびIIスクリーンを用いて行った。15%PEG−4000、0.05M Tris pH8.5、0.1M硫酸リチウムを含有する、Crystal Screen HTの条件B5で結晶を得た。24ウェルのVDXプレート中でのハンギングドロップ蒸気拡散法を用いてこの条件の最適化を行ったところ、20%PEG−4000(ポリエチレングリコール−4000)、0.1M Tris pH8.5、0.2M硫酸アンモニウムを含有するウェル条件で、0.23×0.25×0.04mmの寸法の結晶が生成した。
(実施例4)
PDE10A:化学式1の化合物(6,7−ジメトキシ−4−[8−(4−メチル−ピペラジン−1−スルホニル)−3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−イル]−キナゾリン)複合体のエックス線データ収集、構造決定、および精密化
実施例3で調製された結晶を、15%エチレングリコールと含有する保存用溶液からなる凍結防止剤溶液中に移し、その後、100Kの冷窒素気流中で瞬間凍結させた。この様にして凍結させた1つの結晶から、Osmic社製光学系を備えた理学電機社製RU−200エックス線発生装置に装着された理学電機社製RAXIS IIc検出器で1セットの完全なデータセットを収集した。データをHKLソフトウェアスーツを用いて処理した(Otwinowski,Z.およびMinor,W.、Methods Enzymology 276、307〜326(1997年))。データ収集統計を表5aに要約する。
結晶は、単位格子寸法a=120.6、b=120.6、c=82.1Å、a=b=90.0、g=120°の空間群R3に属する。それらは非対称格子あたり、1分子のポリペプチドと、1分子の阻害剤とを含有する。
AMOREプログラムを用いた分子置換法によって構造を決定した(Navaza、J.、Acta Cryst.、157〜163(1994年))。以前に決定されているPDE5構造に基づいたPDE10の相同性モデルを探索モデルとして用いた。回転/平行移動探索に対する明快な解答が見出され、2.5Åまでのデータに対する開始R因子47.8%が得られた。最終モデルは、ArpWarpプログラム(http://www.arp−warp.org)での自動フィッティングと、Oプログラムを用いた画面上での手動再構築との組合せで構築した。分解能範囲30.0〜1.8Åのすべてのデータを用いて、Refmacでの精密化を行った。精密化を通して、バルク溶媒モデルおよび異方性B因子修正からの部分構造因子を得た。現在のモデルのR因子は0.22(フリーR因子、データの7%で0.27)である。精密化の統計を表5bに要約する。
現在のモデルは、このコンストラクトに基づいて計算された352アミノ酸残基のうち307アミノ酸残基を含有している。454〜760のすべての残基に関して解釈可能な電子密度が見られる。N末端の残基442〜453、および761〜774はモデル化されていない。加えて、このモデルは1個のZn2+イオン、1個のMg2+イオン、1分子の阻害剤、化学式1の化合物(6,7−ジメトキシ−4−[8−(4−メチル−ピペラジン−1−スルホニル)−3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−イル]−キナゾリン)、および312分子に水分子を含有している。
(6,7−ジメトキシ−4−[8−(4−メチル−ピペラジン−1−スルホニル)−3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−イル]−キナゾリン)の模式図を以下に示す。
Figure 2007528731
(6,7−ジメトキシ−4−[8−(4−メチル−ピペラジン−1−スルホニル)−3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−イル]−キナゾリン)。計算された質量スペクトルm/eは、M+H=484.6。実測値は484.2。
化学式1の化合物は、2004年2月18日に出願された、「Tetrahydroisoquinolinyl Derivatives Of Quinazoline And Isoquinoline」という名称の係属中の米国仮出願に開示されており、この開示を明白に参照により全体として本明細書に援用する。
Figure 2007528731
Figure 2007528731
リボン表示したPDE10Aの実施形態の直交図である。化学式1の化合物は、ボール−スティック表示で示されている。ポリペプチドのN末端およびC末端が標識されている。 PDE10Aと共にある化学式Iの化合物の実施形態の別の直交図である。 PDE10Aとの、化学式1の化合物の相互作用を示す概念図である。 (パネル1−52)実施例に記載したPDE10AのC末端触媒ドメイン結晶のエックス線座標のリストである。

Claims (20)

  1. ホスホジエステラーゼ10A(PDE10A)結晶。
  2. 哺乳動物由来である、請求項1に記載のPDE10A結晶。
  3. 前記哺乳動物がラットである、請求項2に記載のPDE10A結晶。
  4. PDE10Aの触媒ドメインの結晶。
  5. およそa=b=120.56Å、およびc=82.23Åの大きさの単位格子を形成するR3の空間群を有する、請求項4に記載の結晶。
  6. PDE10Aの触媒ドメインの結晶であって、前記触媒ドメインが図4の原子構造座標によって特徴付けられる三次元構造を有する結晶。
  7. 配列番号2、またはその相同体、類似体、もしくは変種を含むPDE10A結晶。
  8. PDE10A/PDE10Aリガンド複合体の結晶。
  9. 前記リガンドがアンタゴニストまたは阻害剤である、請求項8に記載の結晶複合体。
  10. 配列番号1に記載のアミノ酸Thr442からAsp774までにわたるアミノ酸配列を有するポリペプチド、またはその相同体、類似体、もしくは変種を含む結晶複合体。
  11. 前記相同体または変種が、配列番号1に記載のアミノ酸Thr442からAsp774にまでわたるアミノ酸配列を有するポリペプチドと、少なくとも98%、95%、または90%のアミノ酸同一性を有する、請求項10に記載の結晶複合体。
  12. 前記結晶が図4に記載の原子座標を含む、請求項11に記載の結晶複合体。
  13. 図4に記載の原子座標またはその部分に対する二乗平均根が+/−1.5、1.2、1.0、0.7、0.5、またはさらに0.2Å以内にある原子座標またはその部分を含むタンパク質バックボーンを、前記相同体または変種が有する、請求項10に記載の結晶複合体。
  14. a=b=120.56Å、およびc=82.23Åの大きさの単位格子を形成するR3の空間群に、結晶として配置されており、かつ、PDE10Aポリペプチドの原子座標を分解能1.8Åにまで決定するのに効果的にエックス線を回折させる、配列番号1に記載のアミノ酸配列を含むポリペプチド、またはその相同体もしくは変種。
  15. タンパク質−リガンド分子または分子複合体の結晶であって、(a)配列番号1に記載の、Thr442からAsp774までのアミノ酸配列を有するポリペプチド、またはその相同体もしくは変種と、(b)リガンドとを含み、(c)タンパク質−リガンド複合体の原子座標を分解能1.8Å未満にまで決定するのに効果的にエックス線を回折させる結晶。
  16. a=b=120.56Å、およびc=82.23Åの大きさの単位格子を形成するR3の空間群を有する、請求項15に記載の結晶。
  17. 図4の原子座標によって特徴付けられる三次元構造を有する、請求項15に記載の結晶。
  18. 図4に示す原子座標を有する、請求項1に記載のPDE10A結晶。
  19. 図4に記載のPDE10Aのエックス線座標を用いてPDE10Aのタンパク質相同体の3D原子座標を作成する方法であって、PDE10Aの相同体である1つまたは複数のタンパク質の配列を同定するステップと、相同体の配列をPDE10A(配列番号1)の配列と整列させるステップと、相同体の配列とPDE10A(配列番号1)との間で構造的に保存されている領域および構造的に可変的な領域を同定するステップと、相同体配列における構造的に保存されている残基、可変領域、および側鎖の3D座標をPDE10Aの座標から作成するステップと、保存残基、可変領域、および側鎖の立体配座の3D座標を併せて、前記相同体配列の完全または部分的な3D座標を作成するステップとを含む方法。
  20. PDE10A、またはその相同体、類似体、もしくは変種の潜在的リガンドを同定する方法であって、図4の原子座標によって定義される、PDE10A酵素またはその部分の三次元構造をコンピュータディスプレイスクリーン上に表示するステップと、前記三次元構造における、配列番号1に記載のPDE10A酵素の1つもしくは複数のアミノ酸残基、または表1から4に記載の1つもしくは複数のアミノ酸、またはLeu625、Phe629、Val668、Phe686、Met703、Gln716、およびPhe719から選択された1つもしくは複数のアミノ酸残基を、異なる天然存在のアミノ酸もしくは非天然のアミノ酸で、任意選択で置換するステップと、前記三次元構造を利用して前記リガンドを設計または選択するステップと、前記リガンドを、1つまたは複数の基質の存在下でPDE10Aまたはその変種と接触させるステップと、前記リガンドのPDE10Aの活性を調節する能力を測定するステップとを含む方法。
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