JP2006352026A - 半導体レーザ装置及び半導体レーザ装置の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 発振電流の低閾値化、及びモード制御の安定化が図られた半導体レーザ装置を提供する。
【解決手段】 発光部を規定する積層構造のうち、少なくとも1つの層が、結晶質の第1領域と、この第1領域に比して結晶性の低い第2領域とを有し、前記第2領域が、前記第1領域とは異なる屈折率を有する構成とする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、半導体レーザ装置及びその製造方法に関する。
半導体レーザ装置は、波長やパルス幅などの選択性や、発振光を所定の方向へ特定的に出射できる指向性など、優れた特徴を有することから、光源装置として広く用いられている。
この半導体レーザ装置に関しては、発振光の短波長化に対する要求が高まっているが、短波長化に伴って、発振閾値の低減や、モード制御の安定性向上などの必要性が指摘されている。
例えば光記録技術においては、光記録媒体に照射されるレーザ光の波長が短いほど高記録密度に対応できることから、従来のCD(Compact Disc)やDVD(Digital Versatile Disc)などの記録媒体よりも高密度の記録および/または再生を可能とする半導体レーザ光源として、窒化ガリウム(GaN;エネルギーギャップ約3.4eV)による半導体レーザ装置(GaN-based Blue Laser Diode; GaN-LD)が開発されている。
図12に、この従来のGaN系半導体レーザ装置の概略断面図を示す。
従来の半導体レーザ装置101は、第1導電型(例えばn型)のGaNによる基板102上に第1電極110が設けられ、この第1電極110上に、第1クラッド層103と、第1ガイド層104と、活性層105と、第2ガイド層106と、第2クラッド層107とが積層形成されて主たる発光部を構成する。
第2クラッド層107の中央はリッジ形状とされ、このリッジ部上にコンタクト層108及び第2電極111が形成される。また、第2クラッド層107の両側縁は所定の屈折率分布形成のためにリッジ溝とされ、このリッジ溝内に、埋め込み絶縁層112と、この絶縁層112によって第2クラッド層107とは絶縁された配線113とがこの順に形成配置されて、半導体レーザ装置101が構成される。
このGaN系の半導体レーザ装置によれば、発振光として、波長405nm程度の所謂青紫色の光を得ることができるが、発振のための電流閾値は、前述のDVDやCDなどで用いられる半導体レーザ装置と比較するとまだ数倍程度高く、よりいっそうの低閾値化が望まれている。
また、近年注目され、実用化が期待されているホログラフィック光メモリにおける情報の記録や再生においても、光源となる半導体レーザ装置には発振光の短波長化が求められているが、特にホログラフィックメモリにおいては単一モードでのレーザ光発振が必要とされることから、短波長域(緑色域〜青色域)の発振波長を有する半導体レーザ装置に対し、モード制御の安定化が望まれている。
一般的に、半導体レーザ装置における閾値の低減や発振波長の安定化を図るためには、半導体リソグラフィ技術によって、ガイド層の形成による光閉じ込め構造や、発振波長に対応した周期の回折格子パターン形成によるDFB(Distributed FeedBack;分布帰還型)構造の形成がなされる。
半導体リソグラフィ技術の具体例としては、例えば、ドライエッチングやウェットエッチング、He−CdレーザやArレーザ等の紫外波長域レーザによる2光束干渉露光法、電子ビームによって直接描画を行う電子ビーム露光法等が挙げられ、これらの技術によって、半導体レーザ装置の製造における、前述した光閉じ込め構造やDFB構造、更に屈折率差形成のための埋め込み構造の形成などが可能となる。
しかしながら、このようなリソグラフィ技術による構造形成においては、レジスト塗布やパターン露光、現像などの回数に応じた複数回のエピタキシャル成長が繰り返し必要となる。また、DFB構造を形成する場合には更に、例えば深さ100nm程度の回折格子を加工するドライエッチングプロセスまでもが必須となる。したがって、従来の半導体レーザ装置の製造は煩雑な工程を要することとなり、この煩雑さがコスト上昇の原因ともなっていた。
これに対して、近年、例えばDFB化を目指す作製プロセスにおいて、炭酸ガスレーザやNd:YAGレーザといった高出力なパルスレーザを用い、干渉露光アブレーションによって、半導体レーザ装置を構成する積層構造の表面に回折格子を直接加工形成する手法が提案されている。この手法によれば、露光過程で直接DFB構造を形成することができるため、加工工程の簡便化を図ることが可能とされている。
しかしこの場合、レーザアブレーションによって生じる加工デブリの飛散および再堆積、照射部位の温度上昇に伴う材料の溶解、また、それを原因とする加工精度の低下といった別の問題が発生することや、加工デブリや溶解に応じた洗浄のために、やはりその回数に応じてエピタキシャル成長のプロセスをやり直す必要があることなどから、最適な手法とは言い難い。
一方、フェムト秒オーダーのパルス幅を有する短パルス幅レーザ光の照射によって、フォトニック結晶を形成する手法が提案されている(例えば非特許文献1参照)。
フェムト秒オーダーなどの短パルス幅のレーザ光の集光照射によって材料の加工や改質を行う場合、数ピコ秒程度と言われる材料中の熱拡散過程(格子への熱の伝搬)よりも短い時間内に全パルスが材料媒質中を透過するため、熱拡散を抑制することができる。このため、例えばナノ秒レーザ照射時に見られるような、材料へのレーザ照射に伴う急激な温度上昇を回避することができ、アブレーションに伴う加工デブリや材料の溶解を抑制することが可能となる。
Toshiaki Kondo, Shigeki Matsuo, Saulius Juodkazis, and Hiroaki Misawa;Applied Physics Letters August 6, 2001 Volume 79, Issue 6, pp. 725-727
しかしながら、前述のフォトニック結晶の形成は、短パルス幅レーザ光の照射によって、結晶を構成する部材の一部を空洞化させるとか、部材の一部を選択的に固化させて空隙を形成するものである。したがって、この手法と同様の短パルスレーザ光の照射によって半導体レーザ装置の製造を行うのみでは、加工デブリや材料溶解の直接的な発生が抑制されるに過ぎず、製造における本質的な煩雑さの回避を図ることは難しい。
すなわち例えば、短パルス幅レーザ光の照射によって半導体レーザ装置を構成する積層構造にDFB構造を形成する場合にも、途中まで積層形成を行った段階でエピタキシャル成長を一旦停止し、表出している半導体層表面に、回折格子(グレーティング)となる一定間隔の凹部をアブレーションによって形成した後、再度エピタキシャル成長を行う工程を経ることが必要になり、その都度エピタキシャル成長をやり直す煩雑さが残る。
短パルス幅レーザ光の照射によれば、積層構造の内部に焦点を調整して、表出していない半導体層にアブレーションを行うことも可能ではあるが、過熱によって半導体特性に変動をきたしたり、他の層で不測のアブレーションが併発したりするおそれがある。
また例えば、GaN系のレーザダイオード構造を有する半導体レーザ装置は、図12に示したようなゲインガイド型が主流であり、装置を構成するレーザダイオードの注入電流の低閾値化により適しているとされるインデックスガイド型の構造を構成することはまだ実現されておらず、前述した従来の短パルス幅レーザ光の照射手法によってインデックスガイド型の構成による半導体レーザ装置の製造を図ることも困難である。
本発明は、前記のような状況に鑑みてなされたものであって、その目的は、閾値の低減やモード制御及び波長安定性の向上が図られた半導体レーザ装置と、その製造方法を提供することにある。
本発明に係る半導体レーザ装置は、第1及び第2のクラッド層が活性層を挟んで対向配置された半導体レーザ装置であって、発光部を規定する積層構造のうち、少なくとも1つの層が、結晶質の第1領域と、該第1領域に比して結晶性の低い第2領域とを有し、前記第2領域が、前記第1領域とは異なる屈折率を有することを特徴とする。
この半導体レーザ装置においては、積層構造を構成する層のうち、結晶性層として設けられた少なくとも1つの層の内部に、屈折率の分布が形成される。
本発明に係る半導体レーザ装置の製造方法は、第1及び第2のクラッド層が活性層を挟んで対向配置された半導体レーザ装置の製造方法であって、基板上に、発光部を規定する積層構造を、少なくとも1つの層が結晶質の第1領域による結晶性層となるように形成し、前記第1領域の少なくとも一部を、前記第1領域に比して結晶性の低い第2領域に改質することを特徴とする。
この半導体レーザ装置の製造方法においては、半導体レーザ装置の積層構造を構成する層のうち、結晶性層として設けた少なくとも1つの層の内部に、屈折率の分布を形成する。
本発明に係る半導体レーザ装置によれば、発光部を規定する積層構造のうち、少なくとも1つの層が、結晶質の第1領域と、該第1領域に比して結晶性の低い第2領域とを有し、前記第2領域が、前記第1領域とは異なる屈折率を有することから、発振電流の低閾値化やモード制御の安定化などのレーザ特性の少なくとも1つについて、その向上を図ることが可能となる。
本発明に係る半導体レーザ装置の製造方法によれば、基板上に、発光部を規定する積層構造を、少なくとも1つの層が結晶質の第1領域による結晶性層となるように形成し、前記第1領域の少なくとも一部を、前記第1領域に比して結晶性の低い第2領域に改質することから、DFB構造による半導体レーザ装置やインデックスガイド型のGaN系半導体レーザ装置を製造する場合にも、煩雑さの低減が図られる。
本発明者らは、半導体レーザ装置の主たる発光部を規定する積層構造のうち、少なくとも1つの結晶性層に対し、結晶質の第1領域を構成する材料のアブレーション閾値よりも低いエネルギーで短パルス幅レーザ光を照射することによって、例えばこの第1領域による層の上に他の層を形成した後からでも、この第1領域内の少なくとも一部に、この第1領域と共通の材料組成比による第2領域を形成し、両領域間に屈折率差を生じさせることが可能であることを見出したものである。
すなわち、例えば1ピコ秒以下つまりフェムト秒オーダーのパルス幅による短パルスレーザ光を、結晶質の第1領域がアモルファス(非晶質)化し始める程度のエネルギーで照射して結晶質の第1領域の一部改質を誘起し、この第1領域とその改質による低結晶性第2領域との間に、後述するように電子的には連続な光学界面を形成することによって、前述の第1領域による層が必ずしも最上層として表出していなくとも、アブレーションや加工デブリ及び熱損傷を抑制した微細加工を施すことが可能であることを見出し、本発明に係る半導体レーザ装置及びその製造方法を提供するに至ったものである。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
<第1の実施形態>
本発明に係る半導体レーザ装置の、第1の実施形態を、本発明に係る半導体レーザ装置の製造方法の第1の実施形態とともに説明する。
まず、本発明に係る半導体レーザ装置の第1実施形態を、図1A及び図1Bを参照して説明する。
本実施形態に係る半導体レーザ装置1は、図1Aの概略断面図に示すように、例えば第1導電型(n型)のGaNによる基板2上に設けられた第1電極(図示せず)上に、第1クラッド層3と、第1ガイド層4と、活性層5と、第2ガイド層6と、第2クラッド層7とがこの順に形成された積層構造を有し、第1クラッド層3及び第2クラッド層7が活性層5を挟んで対向配置された積層構造によって主たる発光部が形成される。
第2クラッド7上には、コンタクト層8及び保護膜(反射防止膜)9が設けられ、少なくともコンタクト層8によって、第2電極(図示せず)とのコンタクトが図られる。
また、本実施形態においては、少なくとも結晶性層である例えば第1クラッド層3、活性層5、第2クラッド層7を構成する第1領域3a、5a、7aの一部が、後述する短パルスレーザ光の照射によって、各第1領域に比して結晶性が低い第2領域3b、5b、7bとされ、第1クラッド層3から第2クラッド層7までの複数の層に渡って、第1領域3a〜7aと第2領域3b〜7bとの間に光学界面iが形成される。本実施形態において、第2領域3b、5b、7bの屈折率は、より結晶性の高い第1領域3a、5a、7aの屈折率に比して小とされる。なお、各層の第1領域と第2領域とは結晶性が異なるのみであるため、材料の組成比は共通と考えられる。
この第2領域3b〜7bは、第1領域の少なくとも一部が、構成する材料のアブレーション閾値よりも低いエネルギーによる短パルス幅レーザ光の照射によって、第1領域の一部の結晶性が低減されて生じるものである。したがって、第2領域への改質は最大でも完全なアモルファス(非晶質)化がなされる程度にとどまることから、積層構造を構成する各層における光学界面iを境とした第1領域と第2領域の電子的な物性変化は、屈折率をはじめとする光学的な物性変化に比べて緩やかで、連続的となる。特に、完全にアモルファス化しない程度の改質がなされた場合には、両領域間は電子的に十分な連続性を保持していると考えられる。
ここで、GaN結晶による第1領域の中に、結晶性が低下した第2領域が形成されると、例えば第2領域がアモルファスである場合には、結晶質の第1領域に比して屈折率が0.02程度低下する。
したがって、図1Bに示すように、少なくとも、活性層5の中心部の第1領域5aを残すように、これを挟んで活性層5の長手方向全域に渡り第2領域5bを2列設けることにより、光閉じこめ効果によって発光部を規定する低屈折率ガイド部を有する半導体レーザ装置が構成される。
一般に、ストライプ部分が埋め込み型のレーザについては、図1Bにおける中央の第1領域5aによるストライプ部と、その両隣に存在する第2領域5bによる低屈折率のガイド部との実効屈折率差に応じて、低屈折率領域5bが、ゲイン・ガイド部(屈折率差0.001以下)、弱いインデックス・ガイド部(屈折率差0.001〜0.004)、インデックス・ガイド部(屈折率差0.004以上)のいずれかに分類される。
したがって、光照射によって0.004以上の屈折率差を誘起できれば、実質的にインデックス・ガイドレーザの構造に近づけることが可能となることから、本発明に係る半導体レーザ装置によれば、レーザ発振電流の低閾値化が図られる。
このような、本発明に係るインデックスガイド型の構造の半導体レーザ装置によれば、前述したゲインガイド型の半導体レーザ装置におけるように、活性層における光の閉じ込めが不十分であることによる発振閾値電流の上昇を回避することができる。
また、一般に半導体レーザはストライプ部分の両端面を共振器の反射面として利用するファブリペロー型であるために多モード発振しやすいが、本実施形態に係る半導体レーザ装置によれば、活性層5やクラッド層3及び7内に結晶性の低い第2領域を形成することができることから、多モード発振を抑制することも可能となる。
次に、本発明に係る半導体レーザ装置の製造方法の第1実施形態を、図2A〜図2Cを参照して説明する。
本実施形態においては、まず、図2Aに示すように、第1導電型のGaNによる基板2上に第1電極(図示せず)を被着形成し、この第1電極上に、第1クラッド層3と、第1ガイド層4と、活性層5と、第2ガイド層6と、第2クラッド層7とをこの順に形成して、主たる発光部となる積層構造を形成する。
続いて、図2Bに示すように、第2クラッド7上にコンタクト層8、保護膜(反射防止膜)9及び第2電極(図示せず)を形成する。その後、図2Cに示すように、レンズ(破線図示)を用いるなどして、積層構造を構成する各層のアブレーション閾値よりも低いエネルギーで短パルス幅レーザ光Lの集光照射を行い、積層構造を構成する各結晶質層内に、結晶質の第1領域3a〜7aに比して低い結晶性を有する第2領域3b〜7bを改質形成する。
ここで、短パルス幅レーザ光としてTW/cmオーダーの非常に高いピークパワーを得ることが可能な集光フェムト秒レーザ光は、被照射材料における多光子吸収作用を誘起でき、レーザ光の波長に対して透明な材料においても、集光の焦点位置近傍でのみ材料への光エネルギー励起が誘起されることから、被照射材料の任意の部位での改質や加工が可能となる。
このような多光子吸収は、集光スポット内のエネルギー分布によっても発生しやすさが大きく変動し、必然的に集光ビームの光軸付近でのみ発生する確率が高くなることから、本発明に係る半導体レーザ装置の製造方法は、その光の回折限界以下の微細加工が実現できるという特長も有している。
また、波長400nm程度の集光フェムト秒レーザ光照射による多光子吸収作用(この場合は主に2光子吸収)の誘起によるガイド部の形成では、半導体レーザ装置(GaN-LD)を構成する積層構造を作製した後に、フェムト秒レーザ光の集光照射による形成が可能であり、任意の光閉じ込め層の形成が可能になると考えられる。
すなわち、本実施形態に係る半導体レーザ装置の製造方法によれば、各結晶性層を構成する第1領域3a〜7aに対する第2領域3b〜7bへの改質を、これらの各結晶性層上に少なくとも1つ以上の他の層を形成した後に行って、簡潔かつ安価に付加価値をつけることが可能となる。
次に、本実施形態における、短パルス幅レーザ光の照射による第2領域(ガイド部)の形成に関する検討結果について、図3〜図6を参照して説明する。
本検討においては、短パルス幅レーザ光の照射によるGaNの改質状態を確認するため、GaN基板(n型-GaN、基板面方位(0001)、基板厚0.4mm)に対して、図3Aに示すような加工装置を用い、短パルス幅レーザ光を、集光スポットに比して広い範囲に渡ってエリア照射(エリア改質)して評価用基板を作製した。
そして後述するように、短パルス幅レーザ光の照射前後における光学定数(屈折率)の定量化と結晶格子状態の確認を、それぞれ、分光エリプソメトリーと、透過型電子顕微鏡(Transmission Electron Microscope;TEM)による観察によって行った。
まず、評価用基板の作製について説明する。作製は、図3Aに示すような加工装置11を用いて行った。
本実施形態において、加工装置11を構成するレーザ光源部12は、少なくとも再生増幅器一体型のフェムト秒パルスレーザ(Spectra-Physics社製Hurricane:中心波長800nm、パルス幅90fs〜500fs、パルス繰り返し周波数1Hz〜1kHz、パルスエネルギー〜800μJ)を有し、このフェムト秒パルスレーザによるパルス出力が、ホウ酸化バリウム(BBO:β-BaB2O4)結晶に透過させ、その第二高調波(波長400nm、パルスエネルギー〜100μJ)を分離して出射される。
レーザ光源部12から出射された第二高調波は、シャッタ13、エネルギー調整用のNDフィルター14、及びレンズ15及び16からなるアフォーカル光学系17を透過後、倒立型金属顕微鏡(オリンパス社製、GX-51)によるマイクロスコープ18に導入される。導入された光は、マイクロスコープ18内では、レンズ19及び20を経てダイクロイックミラー21で反射された後、対物レンズ(NA=0.25)によってステージ24上のサンプル基板25表面に集光照射される。
ここで、被照射サンプル基板25への集光ビームのアライメントは、光路中に導入したアフォーカル光学系17を調整することで行った。また、サンプルが可視光域において透明であることを利用し、ステージ24の裏面に配置した透過照明用の光源(Illumination Source)26を用い、ミラー27を介して、CCDカメラによる観察部28のGaN基板表面のin-situ観察を行った。
また、被改質サンプルであるGaN基板は、PC(Personal Computer)により制御された3軸ステージ上に固定され、ステージ24に対して走査を行うことにより、所望のエリアサイズに渡って走査照射を行い、基板25に対する改質を行った。
基板25に対する走査照射は、図3Bに示すように、基板25の表面に対し、横方向(図中X方向)に624nm/secの割合で走査を開始し、続いて縦方向(図中Y方向)に0.65μmスライドさせ、続いて横方向について先ほどとは逆につまり−624nm/secの割合で走査して初期位置の真下に到達させ、再度横方向への走査を開始することを繰り返すことによって行った。
なお、目的とするエリア改質を均質に行うためには、照射する集光ビームスポットが、その走査時に所定の割合で適切に重なり合う必要があることから、本実施形態においては、これら集光ビームをスライドさせる間隔を、集光ビームサイズ(エアリー・ディスク・サイズ(Φ=1.22×λ/NA=約2μm))のおよそ1/4とした。
図4に、前述した2次元的なステージ走査(走査速度X=624μm/s、ピッチY=0.65μm)による集光フェムト秒レーザの照射を行ったGaN評価用基板の表面のSEM(Scanning Electron Microscopy;走査型電子顕微鏡)による撮影像を示す。左側がレーザ光照射領域、右側が未照射領域(バルクGaN)である。短パルス幅レーザ光の照射を行った領域には、未照射領域と比べて局所的な反射2次電子量の変化によるコントラストの変動が確認できる。
なお、この評価用基板の作製においては、照射した集光ビームのパルスエネルギーが約66nJ/pulse、その集光性能をNA=0.25としたことから、1パルスあたりのフルエンスは約2.2J/cm2となる。これは1パルス照射によるGaN基板表面のアブレーション閾値の約85%に相当する。
改質に必要な1パルスあたりのフルエンスは、GaN基板表面のアブレーション閾値の約50〜95%の範囲であり、より確実には70〜90%の範囲であることが確認できた。50%未満である場合には、GaN基板表面への集光フェムト秒レーザ照射によるGaN結晶のアモルファス化(低密度化、非晶質化)が十分に進行せず、SEM像においても局所的な反射2次電子量の変化が確認できない。また、95%よりも大きい場合には、アブレーション閾値以下のエネルギーで安定的に加工を行うことが難しくなる。
続いて、この評価用基板を、集光型分光エリプソメータ(J. A. Woollam Japan社製、M-2000D、測定波長193nm〜1000nm、集光エリア0.5mm×1.2mm)により測定し、モデル解析によるフィッティングを経て屈折率変化の定量化を行った結果について説明する。
図5A及び図5Bは、前述の走査条件で走査照射を行った評価用基板(照射エリア面積:約0.7mm×1.4mm)に対する、分光エリプソメトリーの解析のモデル、及び解析結果を示す。解析に用いたモデルは、ラフネス層(Roughness Layer)と、改質GaN層/バルクGaN層(Modified GaN Layer/Bulk GaN Layer)で構成される単純な2層モデルとした。
解析の結果、図5Bに示すような屈折率分布特性が得られた。バルクGaN層のスペクトル(破線図示)については、バンドギャップ波長約366nm(=3.39eV)の結果が得られ、確かにGaNの傾向を示している。
これに対し、短パルス幅レーザ光を照射した改質GaN層のスペクトル(実線図示)をバルクGaN層と比較して屈折率分布を検討したところ、改質GaN層の屈折率分布が短波長側にわずかにシフトする傾向が見られ、結果として波長400nmにおける改質GaN層の屈折率が約0.01低下していることから、GaN結晶のアモルファス化の傾向を得た。ここで、基板最表面に存在するラフネス層(改質GaN層)の膜厚は約5nm、改質GaN層の膜厚は約70nmと導かれた。
続いて、改質GaNの物理的評価として、TEM(Hitachi社製、HF-2000、加速電圧200kV)による断面観察に基づいて、明視野像および電子線回折像(ナノビーム回折像;Nano-Beam Diffraction Pattern)によるGaNの結晶格子状態の観察を行った。観察は、短パルス幅得レーザ光の照射領域と未照射領域の両方について行った。
回折像撮影時の電子線のスポットサイズは約10nmで、基板表面から約10nmの深さ位置に照射して撮影ならびに解析を行った。
解析の結果、図6A及び図6Bに示すように、照射領域(図6A)と未照射領域(図6B)の両領域でGaNの結晶方位に対応する回折像が得られた。
しかしながら、図6Aに示す照射領域の電子線回折像には、その中央部に、低輝度で円形の回折パターンが浮かび上がって確認できる。この観察においては、完全なアモルファス状態の場合には電子線回折像の中央にはっきりとしたリング状のアモルファスパターンが観察されることから、レーザ照射部位に対する電子線回折像においても、それに準じたパターンが得られていると考えられ、短パルス幅レーザ光の集光照射によって、GaN結晶が弱いながらもアモルファス化され、結晶性が低下していることが確認できた。
また、図示しないが、EDX(Energy DispersiveX-ray spectroscopy;エネルギー分散型X線分光法)による観察の結果、光照射した改質部位が単に酸化したものではないことが確認された。
したがって、このEDXの結果からも、本実施形態において集光フェムト秒レーザ光の照射によって生じる屈折率変化は、格子状態のわずかな緩和による緩いアモルファス化の結果であり、第2領域は主として酸化による変化のない非酸化領域であると考えられる。
<第2の実施形態>
本発明に係る半導体レーザ装置の、第2の実施形態を、本発明に係る半導体レーザ装置の製造方法の第2の実施形態とともに説明する。
まず、本発明に係る半導体レーザ装置の第2実施形態を、図7を参照して説明する。
本実施形態に係る半導体レーザ装置41は、図1Aの概略断面図に示すように、例えば第1導電型(n型)のGaNによる基板42上に設けられた第1電極(図示せず)上に、第1クラッド層43と、第1ガイド層44と、活性層45と、第2ガイド層46と、第2クラッド層47とがこの順に形成された積層構造を有し、第1クラッド層43及び第2クラッド層47が活性層5を挟んで対向配置された積層構造によって主たる発光部が形成される。
第2クラッド47上には、コンタクト層48及び保護膜(反射防止膜)49が設けられ、少なくともコンタクト層48によって、第2電極(図示せず)とのコンタクトが図られる。
また、本実施形態においては、保護膜49から結晶性の例えば第1クラッド層43を経て第2ガイド層46に至る複数の層が、活性層45に至らない深さで、例えば第2クラッド層47においては低結晶性の第2領域47bとなる低結晶性領域を、多数個設けられる。
この複数の層に渡って形成された低結晶性領域は、活性層45から発振される光の波長に対応して、例えば第2クラッド層47においては第2領域47bとして、一定の間隔で設けられる。これにより、屈折率分布によって主たる発光部が規定されるとともに、回折格子によるDFB構造が形成される。なお、より適切なDFB化を図る場合には、第2領域47bの配置間隔を、λ/4シフトグレーティング構造に対応して選定することが好ましい。
この、保護膜49から第2ガイド層46にかけて形成される低結晶性領域は、各層を構成する結晶質領域の少なくとも一部が、例えば構成する材料のアブレーション閾値よりも低いエネルギーによる短パルス幅レーザ光の照射によって、第1領域に比して低結晶性の第2領域として改質形成されるものである。
また、保護膜49から第2ガイド層46に渡る、第2領域形成のための改質は、最大でもアモルファス(非晶質)化される程度にとどまることから、例えば第2クラッド層47を構成する第1領域47aと第2領域47bの材料の組成比は共通であると考えられる。
したがって、第1領域47aと第2領域47bの間の光学界面iにおける、電子的な物性変化が、屈折率をはじめとする光学的な物性変化に比べて緩やかで、連続的となる。特に、完全にアモルファス化しない程度の改質がなされた場合には、両領域間は電子的に十分な連続性を保持していると考えられる。
次に、本発明に係る半導体レーザ装置の製造方法の第2実施形態を、図8A〜図8Cを参照して説明する。
本実施形態においては、まず、図8Aに示すように、第1導電型のGaNによる基板42上に第1電極(図示せず)を被着形成し、この第1電極上に、第1クラッド層43と、第1ガイド層44と、活性層45と、第2ガイド層46と、第2クラッド層47とをこの順に形成して、主たる発光部となる積層構造を形成する。
続いて、図8Bに示すように、第2クラッド7上にコンタクト層48、保護膜(反射防止膜)49及び第2電極(図示せず)を形成する。その後、図8Cに示すように、積層構造を構成する各層のアブレーション閾値よりも低いエネルギーで短パルス幅レーザ光L及びLの照射による干渉露光を行って、積層構造を構成する各結晶質層内に、例えば第2クラッド層47では、結晶質の第1領域47aに比して低い結晶性を有する第2領域47bを一定間隔で改質形成し、活性層45上の第2ガイド層46及び第2クラッド層47に、グレーティングによるDFB構造を形成する。
ここで、短パルス幅レーザ光の干渉露光は、集光フェムト秒レーザの2光束干渉露光により行った。すなわちグレーティングの形成は、アブレーションによる加工ではなく、第1実施形態における光り閉じ込め層の形成と同様に、結晶性の低減を主として行い、アモルファス化の程度を選定することによって、活性層45とその近傍に、半導体特性への負荷となる不要なダメージを与えないようにする。
また、本実施形態においても、フェムト秒オーダーの短パルス幅レーザ光の集光照射による多光子吸収作用に基づいて、レーザ光の波長に対して透明な材料において、集光の焦点位置近傍でのみ材料への光エネルギー励起を誘起することが可能となる。したがって、例えば、積層構造を構成する第2のクラッド層47の上に、少なくとも1つ以上の他の層を形成した後からでも、第2クラッド層47を含む回折格子を形成することができ、活性層にダメージを与えることなく、任意のDFB構造を作製することが可能となる。
すなわち、本実施形態に係る半導体レーザ装置の製造方法によれば、任意のグレーティングピッチを柔軟に作製することができ、LD構造の形成後からでもDFBなどの付加価値をつけることが可能になり、長期信頼性の高い半導体レーザ装置を簡潔かつ安価に製造することができる。
次に、本実施形態における、短パルス幅レーザ光の照射による第2領域(グレーティング)の形成に関する検討結果について、図9〜図11を参照して説明する。
本検討においては、短パルス幅レーザ光の照射によるGaNの改質状態を確認するため、GaN基板(n型-GaN、基板面方位(0001)、基板厚0.4mm)に対して、図9に示すような加工装置を用い、短パルス幅レーザ光の干渉露光によって評価用基板を作製し、この評価用基板に対して、後述するように観察ならびに測定を行った。
まず、評価用基板の作製について説明する。作製は、図9に示すような加工装置51を用いて行った。
本実施形態において、加工装置51を構成するレーザ光源部52は、前述の第1実施形態と同様の構成を有し、フェムト秒パルスレーザ光の第二高調波(波長400nm、パルスエネルギー〜100μJ)が分離出射される。
レーザ光源部52から出射された第二高調波は、シャッター53を経て、2光束干渉用の回折ビームスプリッタ(Diffractive Beam Splitter;DBS)54で光軸に対する角度θで±1次光L1a及びL2aを生じる。これらL1a及びL2aはアクロマティックレンズ55で光路の規定をなされ、ビームセレクタ56で他の回折光を分離した後、コンデンサーレンズ57及びシリンドリカルレンズ58で整形され、それぞれL及びLとして、ステージ59上に載置されたGaNによる基板60に、角度θで照射される。
具体的には、レーザ光源部52内のBBO結晶からの第二高調波は、回折ビームスプリッタ54(回折角度θ1=約5.0°)に導入されて2光束に分割された後、±1次光L1a及びL2aとなってアクロマティックレンズ55(焦点距離fACHR=81mmもしくはfACHR=220mm)に入射する。このとき、アクロマティックレンズ55を、回折ビームスプリッタ54からその焦点距離だけ間隔を空けて設置することで、このアクロマティックレンズ55を透過した2本の回折光L1b及びL2bはお互いの光軸が平行な状態で伝播する。各回折光L1b及びL2bはそれぞれ独立した集束光となり、アクロマティックレンズの焦点距離だけ伝搬した位置で集光し、その後発散光に転じる。
アクロマティックレンズを出た各回折光L1b及びL2bは、ビームセレクタ56によって最終的に露光に用いられない0次光や2次回折光などをカットされた後、非球面のコンデンサレンズ57(焦点距離fCON=39mm)を透過する。このとき、それぞれの回折光自身が平行光となる位置にコンデンサレンズ57を設置することで、レンズ透過後の各回折光をコンデンサレンズの焦点位置で再び交差および干渉させることができる。
ここで、露光位置での2光束の交差角度、すなわち得られる干渉縞周期は、回折ビームスプリッタ54の回折角度および導入するアクロマティックレンズ55の焦点距離に応じて適宜選定される。例えば、アクロマティックレンズ55の焦点距離fACHR が81mmの場合、それぞれの光束と光学系全体の中心軸との交差角度θ2は12°となり、干渉縞周期はd=λ/(sinθ2)の関係より、約1.0μmとなり、アクロマティックレンズ55のfACHRが220mmの場合、交差角度θ2は32°となることから、干渉縞周期dは約0.4μmとなる。
コンデンサレンズ57透過後の各回折光は、曲率面の中心軸が回折ビームスプリッタ54の回折方向と平行となるように設置したシリンドリカルレンズ58(焦点距離fCYL=7.83mm)によって集光される。これにより、シリンドリカルレンズ58通過後の各回折光L及びLは、図中のX方向の長さが約3mm、幅が約3μmとされたX方向に細長いビーム径を有するビームとなり、干渉縞の強め合うそれぞれの位置において、GaN基板の改質に必要な数J/cm2のレーザフルエンスが得られる。
更に、シャッター53をPCにより制御して光軸上に配置し、シャッターの開放時間を制御することにより、照射されるパルス数が調整される。
回折ビームスプリッタ54は、干渉位置での2光束の波面が完全に一致するため、ビーム径の全域で干渉領域が得られることや、2光束の光路長が干渉位置までほとんど変化しないことから、従来法のようなディレイ光学系を用いたパルスタイミング調整を行う必要がない。また、プレート型やキューブ型のビームスプリッタにおいて生じるような、干渉領域がビームの中心部分に限定されるなどの、干渉位置における各ビームの波面の傾きに基づく問題を回避することができる。
ステージ59は、3軸のマイクロメーターステージにPC(Personal Computer)制御のピエゾステージを搭載したサンプルホルダーを用い、これにより、図中の+Y方向(干渉領域の短軸方向、干渉縞周期に平行な方向)の精密移動を可能とし、干渉露光により形成した周期構造が、互いにわずかずつ重なり合うよう順次露光を行うことが可能となる。各露光後の+Y方向への移動距離は、それぞれ0.8μmとした。
また、ステージ59の裏面側には、落射照明観察装置及びCCDカメラによる観察部61が設けられ、この観察部61により、干渉位置における2光束の観察と、XY方向に関する2光束の位置や波面の傾き、GaN基板表面における露光位置(XY)の調整が可能となる。
このようにして改質グレーティングエリア形成の加工を行った評価用基板60に対し、SEMによる観察を行った。図10A及び図10Bに、それぞれ、異なる条件で干渉露光を行った後の評価用基板のSEM像を示す。
なお、露光時の照射条件は、干渉縞周期1.0μm(中心軸からの角度約12°/各光束)および0.4μm(中心軸からの角度約32°/各光束)、露光位置での2光束の合計パルスエネルギーはそれぞれ1.8μJ(1.0μm周期)、2.6μJ(0.4μm周期)であった。
露光後の評価用基板に対するSEM観察結果から、1パルス露光により、長さ0.4mm〜、幅約1μmの周期構造が得られていることが明らかとなった。
ここで、干渉縞周期1.0μmの露光条件における露光位置でのビームサイズは、長さ約3mm(ビーム径)、幅約3μmと考えられるが、ビーム強度がガウシアン分布であることや、2光子吸収作用によりビーム中心の高強度領域でのみ改質が誘起されやすいことなどによって、このような作製エリアのずれが生じたと考えられる。
また、前述の集光フェムト秒レーザによる照射実験結果から推定すると、干渉領域内の光強度が強め合うそれぞれの位置でのフルエンスは、GaN基板表面の改質閾値フルエンスである数J/cm2オーダーに達していると考えられる。
続いて、光学的検討として、作製した改質グレーティングエリアからのHe−Ne回折光の確認を行った。
具体的には、改質グレーティングエリア側(基板表面)から集光照射(NA=0.15)したHe−Neレーザ(波長632.8nm、パワー15mW)の透過回折光を、スクリーンに投影して、周期構造に対する光学的評価を行った。
従来の露光条件であるパルス幅90fs、1パルス照射/位置で作製したグレーティングサンプルからは、確認可能なほどの回折光強度が得られなかったことから、より大きな改質GaN層膜厚が得られるよう、パルス幅500fs、10パルス照射/位置の露光条件にてサンプルを作製した。パルス幅を500fs程度に拡大した干渉露光実験においては、100fs前後の超短パルスレーザ光を照射した場合にサンプル表面付近に発生するプラズマが抑制できたことから、プラズマによるエネルギー吸収を回避できたと考えられる。
従って、本検討における露光条件によれば、より確実に透明材料内部への周期構造の形成が可能になると考えられる。なお実際には、図示しないが、400fsあたりのパルス幅から、深さ方向の照射条件のコントロールに適した改質サンプルを得られることが確認されている。
このような、GaN基板表面へのフェムト秒レーザの干渉露光においても、前述の集光照射の場合と同じ改質現象が誘起され、干渉露光により屈折率変化を伴う周期的な改質グレーティング構造が形成されると考えられる。
続いて、GaN基板表面に形成した干渉縞周期1.0μmの改質GaNサンプルからの1次回折像の観察結果を、図11に示す。
観察した結果、約39°で回折するHe−Neの1次回折光が得られ、これは、SEM観察結果から得られた改質グレーティングの周期1.0μmから計算した回折角度とも一致するものであることが確認された。
従って、干渉露光により形成した改質GaNサンプルが、所定の光学的機能を有するグレーティング構造を有することが実証された。また、これにより、レーザのパルス幅の拡大や複数パルスによる露光条件が、干渉露光技術を適応する際に非常に有効であることも確認することができた。なお、図中、0次光の中心部が暗くなっているのは、スクリーン上における1次光の視認性向上のために、光量の強い0次光の照射位置のみ、スクリーンを切除したためである。
本実施形態に係る半導体レーザ装置によれば、活性層に近いクラッド層内にDFB構造を形成することができることから、発振スペクトル純度の高い、単一モードでの発振を実現できる。
したがって、本実施形態に係る半導体レーザ装置によれば、ホログラフィック光メモリ用や光干渉計測用の光源としての可干渉性を確保することが可能となる。
また、前述したように、波長400nm程度のフェムト秒レーザ光照射による多光子吸収作用(この場合は主に2光子吸収)の誘起によるグレーティング構造の作製では、GaN-LD作製後に、活性層にダメージを与えることなく、任意の改質グレーティング構造の形成が可能と考えられる。
すなわち、本実施形態に係る半導体レーザ装置の製造方法によれば、各結晶性層を構成する第1領域3a〜7aに対する第2領域3b〜7bへの改質を、これらの結晶性層上に少なくとも1つ以上の他の層を形成した後に行うことが可能となる。
以上、本発明に係る半導体レーザ装置及び半導体レーザ装置の製造方法の実施の形態を説明したが、前述の実施形態の説明で挙げた使用材料及びその量、処理時間及び寸法などの数値的条件は好適例に過ぎず、説明に用いた各図における寸法形状及び配置関係も概略的なものである。
例えば、前述の実施の形態においては、第2クラッド層47がGaNによって構成される場合を例として説明したことから、その第2領域47bの屈折率は第1領域47aの屈折率に比して小となる。しかし、例えばSiなどにおいては結晶性の低下によって屈折率が高くなるなど、第1領域と第2領域とによる積層構造の構成は前述の実施の形態に限られない。
すなわち、本発明に係る半導体レーザ装置及びその製造方法は、この実施の形態に限られず、種々の変更及び変形をなされうる。
A,B それぞれ、本発明に係る半導体レーザ装置の、一例の概略断面図と、この概略断面図とは直交する断面における活性層の概略断面図である。 A〜C それぞれ、本発明に係る半導体レーザ装置の製造方法の、一例の説明に供する工程図である。 A,B それぞれ、本発明に係る半導体レーザ装置の製造方法の、一例の説明に供する加工装置の概略構成図と、走査照射の説明に供する模式図である。 本発明に係る半導体レーザ装置の製造方法の、一例の説明に供するSEM像である。 A,B 本発明に係る半導体レーザ装置の製造方法の、一例の説明に供する、分光エリプソメトリー解析モデルと、その解析結果である。 A,B それぞれ、本発明に係る半導体レーザ装置の製造方法の、一例の説明に供する、結晶格子状態の結晶格子状態の像である。 本発明に係る半導体レーザ装置の、他の例の概略断面図である。 A〜C それぞれ、本発明に係る半導体レーザ装置の製造方法の、他の例の説明に供する工程図である。 本発明に係る半導体レーザ装置の製造方法の、他の例の説明に供する加工装置の概略構成図である。 A,B それぞれ、本発明に係る半導体レーザ装置の製造方法の、他の例の説明に供するSEM像である。 本発明に係る半導体レーザ装置の製造方法の、他の例の説明に供する模式図である。 従来の半導体レーザ装置の概略断面図である。
符号の説明
1・・・半導体レーザ装置、2・・・基板、3・・・第1クラッド層、3a・・・第1領域、3b・・・第2領域、4・・・第1ガイド層、5・・・活性層、5a・・・第1領域、5b・・・第2領域、6・・・第2ガイド層、7・・・第2クラッド層、7a・・・第1領域、7b・・・第2領域、8・・・コンタクト層、9・・・保護膜(反射防止膜)、11・・・加工装置、12・・・レーザ光源部、13・・・シャッター、14・・・NDフィルター、15・・・レンズ、16・・・レンズ、17・・・アフォーカル光学系、18・・・マイクロスコープ、19・・・レンズ、20・・・レンズ、21・・・ダイクロイックミラー、23・・・対物レンズ、24・・・ステージ、25・・・基板、26・・・光源、27・・・ミラー、28・・・観察部、31・・・バルクGaN層、32・・・改質GaN層、33・・・改質ラフGaN層、41・・・半導体レーザ装置、42・・・基板、43・・・第1クラッド層、44・・・第1ガイド層、45・・・活性層、46・・・第2ガイド層、47・・・第2クラッド層、47a・・・第1領域、47b・・・第2領域、48・・・コンタクト層、49・・・保護膜(反射防止膜)、51・・・加工装置、52・・・レーザ光源部、53・・・シャッター、54・・・回折ビームスプリッター、55・・・アクロマティックレンズ、56・・・ビームセレクタ、57・・・コンデンサレンズ、58・・・シリンドリカルレンズ、59・・・ステージ、60・・・基板、61・・・観察部、101・・・従来の半導体レーザ装置、102・・・基板、103・・・第1クラッド層、104・・・第1ガイド層、105・・・活性層、106・・・第2ガイド層、107・・・第2クラッド層、108・・・コンタクト層、110・・・第1電極、111・・・第2電極、112・・・絶縁層、113・・・導電層

Claims (18)

  1. 第1及び第2のクラッド層が活性層を挟んで対向配置された半導体レーザ装置であって、
    発光部を規定する積層構造のうち、少なくとも1つの層が、結晶質の第1領域と、該第1領域に比して結晶性の低い第2領域とを有し、
    前記第2領域が、前記第1領域とは異なる屈折率を有する
    ことを特徴とする半導体レーザ装置。
  2. 前記第1領域と前記第2領域との界面が、電子的に連続な光学界面である
    ことを特徴とする請求項1に記載の半導体レーザ装置。
  3. 前記第2領域が、前記第1領域を構成する結晶の改質領域である
    ことを特徴とする請求項1に記載の半導体レーザ装置。
  4. 前記第2領域が、完全な非晶質とは異なる
    ことを特徴とする請求項1に記載の半導体レーザ装置。
  5. 前記第2領域が、前記第1領域と共通の組成比を有する
    ことを特徴とする請求項1に記載の半導体レーザ装置。
  6. 前記第2領域の屈折率が、前記第1領域の屈折率に比して小とされた
    ことを特徴とする請求項1に記載の半導体レーザ装置。
  7. 前記第2領域が、前記積層構造を構成する複数の層に渡って形成された
    ことを特徴とする請求項1に記載の半導体レーザ装置。
  8. 前記第2領域が、前記活性層から離れて形成された
    ことを特徴とする請求項1に記載の半導体レーザ装置。
  9. 前記第2領域により、回折格子が形成された
    ことを特徴とする請求項1に記載の半導体レーザ装置。
  10. 前記第2領域によって、前記発光部の少なくとも一部が規定される
    ことを特徴とする請求項1に記載の半導体レーザ装置。
  11. 第1及び第2のクラッド層が活性層を挟んで対向配置された半導体レーザ装置の製造方法であって、
    基板上に、発光部を規定する積層構造を、少なくとも1つの層が結晶質の第1領域による結晶性層となるように形成し、
    前記第1領域の少なくとも一部を、前記第1領域に比して結晶性の低い第2領域に改質する
    ことを特徴とする半導体レーザ装置の製造方法。
  12. 前記改質を、前記結晶性層上に少なくとも1つ以上の他の層を形成した後に行う
    ことを特徴とする請求項11に記載の半導体レーザ装置の製造方法。
  13. 前記改質による前記第1領域の結晶性の低減によって、前記第2領域を形成する
    ことを特徴とする請求項11に記載の半導体レーザの製造方法。
  14. 前記第2領域を、複数形成する
    ことを特徴とする請求項11に記載の半導体レーザ装置の製造方法。
  15. 前記改質を、前記第1領域の少なくとも一部に対する短パルスレーザ光の照射によって行う
    ことを特徴とする請求項11に記載の半導体レーザ装置の製造方法。
  16. 前記短パルスレーザ光の照射を、干渉露光法によって行う
    ことを特徴とする請求項15に記載の半導体レーザ装置の製造方法。
  17. 前記短パルスレーザ光の照射を、前記第1領域を構成する材料のアブレーション閾値よりも低いエネルギーで行う
    ことを特徴とする請求項15に記載の半導体レーザ装置の製造方法。
  18. 前記短パルスレーザ光のパルス幅を、1ピコ秒以下とする
    ことを特徴とする請求項15に記載の半導体レーザ装置の製造方法。
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