JP2006350923A - 交換部品推定システム、交換部品推定方法および交換部品推定プログラム - Google Patents

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Abstract

【課題】 交換部品推定システムにおける障害対策を含む保守作業の記録内容に一貫性を欠く状況下でも障害対策を含む保守作業の記録の分析を容易にし、それら知識を活用して不要な部品交換を削減し保守作業の効率化を図る。
【解決手段】 部品交換情報を含む過去の障害対策その他の保守作業の記録の集合を個々の記録間の類似性により分類し、その分類から再現性の高い障害について保守作業に関する作業ルールを抽出する障害・保守ルール抽出部102と、そこで抽出された作業ルールのうち部品交換を含む特定ルールについて部品の寄与の程度からその交換の必要性を判別する有意部品判別部103と、その判別結果の集合から、過去の保守作業における部品交換の必要性と障害に対する直接関連性の高い部品とを推測する判別知識適用部204とを備え、推測された結果から将来の保守作業における交換部品の優先順位を決定し得るようにしている。
【選択図】 図3

Description

本発明は、保守作業記録を含む市場品質情報の解析・利用に供することができる交換部品推定システム、交換部品推定方法および交換部品推定プログラムに関する。
従来のこの種の交換部品推定システムおよび交換部品推定方法として、例えば次の特許文献1〜3に記載のものが知られている。
特許文献1(特開平5−100857号公報)には、大型計算機をはじめとする情報処理装置の障害情報に基づく障害解析診断に関するもので、障害情報中のデータを利用し、実動作論理に着目し障害解析して障害対策、不良部品絞り込みを行なう情報処理装置障害解析システムが記載されている。
このシステムでは、予め用意した情報処理装置の構成部品情報を含む論理情報に基づいて、障害状態と被疑故障部品との対応関係を含む解析ルール情報を作成し、該情報処理装置の障害情報を該作成された解析ルール情報に従って詳細に解析することにより、故障保守交換単位上の被疑故障部品を指摘することができる。
しかし、対象とする情報処理装置の論理情報を予め用意する必要があること、及び、解析ルール情報の定義作成が人手によること等のため、大型計算機のように単一種の個体への適用は容易でも、多種の個体を同時に扱うことは事実上不可能である。
特許文献2(特開2000−347892号公報)には、大型計算機をはじめとする情報処理装置の診断装置で、その障害診断装置の指摘が一度に一部品に絞れない複数部品を指摘することとなるとき、指摘された優先度に従って交換を繰り返す間に、意図せず不良交換部品が混入することを防ぐことを目的し、部品交換時の障害情報の矛盾を検知することで不良交換部品を検出するようにした、保守部品交換履歴を反映する障害指摘装置が記載されている。
この装置は保守作業対象に障害診断装置が備わっていることが前提であり、また、故障診断辞書を予め用意しておく必要があるため、この装置も多種多量の個体を取り扱うには不向きである。
これに対し、特許文献3(特開平5−233640号公報)には、点検・修理が必要とされる要素が多大で複雑な生産工程を有し、かつ、検査項目が多くなることから点検、修理および検査の負担が大きくなる複雑な生産ラインにおいて、作業データ、検査データ、故障データから各工程で発生する所定の異常の確率を推論し、異常予測データに基づいて各工程の点検リストを出力する生産管理システムが記載されている。
特開平5−100857号公報 特開2000−347892号公報 特開平5−233640号公報
しかしながら、このような従来の交換部品推定システムにあっても、次のような問題が残る。すなわち、このシステムは、点検個所の優先順位を決定するという点で優れているが、相当量の時系列データが必要であるため、個体ごとの時系列情報収集が困難な市場品質情報への適用には不向きである。
市場で稼動する製品の障害対策を含む保守作業の記録は何らかの形でデータベースに集約され、市場品質管理のための情報源として利用されることが多い。その内容は、製品の機種番号、障害の分類情報、処置の内容、保守に伴って交換された部品の情報等、多岐にわたる。
このような障害対策を含む保守作業の記録を集約した情報から、障害・保守に関する知識を抽出・集約すれば、障害予測、保守作業支援する仕組みを構築することも可能であり、現在、そのような事例は多く存在する。このような事例は、特にプラントや大型計算機等、単一、若しくは少数の製品個体に対し、稼動・保守情報を常時収集・蓄積する情報システムに多くみられるが、市場で稼動する多種・多量の製品個体を対象とした障害対策を含む保守作業の記録において、このようなアプローチを試みた例は少ない。
その主たる理由は、以下の通りである。
第1の理由は、保守作業の記録が、知識、経験、保守作業手順、作業記録の方針等が異なる、不特定多数の人間によって行なわれるため、それらの記録を集めると、同一の選択肢・類似の記述内容が異なる意味を持ったり、記録内容の詳細さにばらつきが現れたりという、一貫性の欠如が生じやすくなるためである。当然、そのような状況下で詳細な分析は難しくなる。記録のルール・選択肢の意味を細部に渡って厳密に定義し、これを作業・記録者全てに周知徹底しなければ、このような事態は往々にしてあり得る。
しかしながら、製品の故障・障害の内容全てを完全に予見することは難しい。また、多種の製品を扱う枠組みであれば、その全てに関して記録のルールを厳格に定めると、その数は膨大なものとなり、保守作業そのものを非効率的なものにしかねない。よって、選択肢の意味に幅を持たせたり、障害・作業内容の詳細を自由記述したりせざるを得ないことも多い。当然、そのような場合、記録が集まると前述の一貫性に欠ける様相を帯びる。
ちなみに、プラントや大型計算機等でこのような問題が生じにくいのは、保守作業の対象となる製品の数、そして作業・記録者の数がごく少数に収まることが多いからである。
第2の理由は、保守作業記録に現れる交換部品が、必ずしも故障部品と一致しないことがあるためである。障害・保守の知識を構成しようとする場合、「故障部品」を起点に考えることが多いが、故障部品が特定できなければ、そのような知識構成・分析は非常に困難となる。
作業記録において故障部品が特定できない状況は、保守作業で故障部品を推測する過程で交換された「故障の嫌疑を掛けられたが実は故障していなかった部品」や、予防保全で交換された部品が、真に故障した部品と併記されることが原因で起こる。「故障の嫌疑を掛けられたが実は故障していなかった部品」の発生過程は、たとえば次のような状況で発生する。
まず、保守作業においては、故障の嫌疑が複数の部位にかかる場合、過去の交換履歴や作業者の経験等から判断して、優先度をつけて順次処置を行なうことが多い。いくつかの処置を施して、最終的に故障の現象を取り除けた時点で、そのときの処置内容に対応した原因が、その事象の真の原因ということになる。このような戦略で保守作業を行なえば、当然、故障とは直接関係のない処置を施してしまうこともあり得る。その処置に部品交換が伴えば、その部品は故障していないにも関わらず、交換されてしまうことになる。これが、「故障の嫌疑を掛けられたが実は故障していなかった部品」である。また、「故障の嫌疑を掛けられたが実は故障していなかった部品」の発生は、経験の浅い保守作業者ほど多くなる傾向がある。故障部品の推測のために多くの処置・部品交換を施せば、保守・作業記録の分析以前に、単純に保守コストの増加につながる。
以上の作業過程が、逐一記録されれば故障部品と非故障部品の判別が可能な状況もあり得る。また、予防保全と緊急保全を完全に分けて記録すれば、故障部品と予防保全部品を混同することもなくなる。しかし、市場で稼動する膨大な製品全てについて、それら全てを記録した作業記録を集めると、その量も膨大なものとなる。また、作業記録にかかる作業量も相応に大きくなるため、最終的な作業結果しか記録しない仕組みの方が大勢である。
なお、プラントや大型計算機等でこのような問題が生じにくいのは、保守作業の対象となる製品の数がごく少数に収まるからであり、発生した状況とその対処について、詳細に全てを記録しても、そのデータ量が現実的な範囲に収まるからである。
以上、2つの理由により、市場で稼動する多種・多量の製品個体を対象として、障害対策を含む保守作業の記録を集約した情報から、障害・保守に関する知識を抽出・集約することが困難なものとなっている。
本発明は、第1の理由が示す状況下で第2の理由が示す状況を回避するものであり、第1に、障害対策を含む保守作業の記録の記述内容に一貫性を欠く状況下で、障害対策を含む保守作業の記録の分析を容易にすることを可能にし、第2に、それら知識を活用して不要な部品交換を削減し保守作業の効率化を図るものである。
本発明の発明者は、上記課題解決のため、障害対策を含む保守作業の記録の多量の記録群を解析し、障害内容や保守作業内容の情報から、障害に対する処置として必須となりやすい部品、つまり故障している可能性の高い部品を判断する知識を構成すること、別な言い方をすれば、将来の保守作業における交換部品の優先順位を決定するか、若しくは、過去の保守作業における部品交換の必要性、および障害に対して直接関連性の強い部品、つまり故障部品を推測する知識を構成することが、有用であると考えて、本発明に到達した。具体的には、「障害内容・保守作業内容を構成する情報の一部」および「特定部品の交換」を十分条件とし、「特定部品の故障」を必要条件とする決定論的なルールを生成し、そのルールの成立しやすさ、再現性の高さを併せて提示するものである。これから保守作業を実施しようというときに、この知識から適用可能なルールを列挙し、これを「成立しやすさ」の順に並べたものが、「保守作業における交換部品の優先順位」であり、過去のある保守作業記録に対して適用可能なルールを列挙し、このうち一番成立しやすいルールの必要条件となる部品は、同保守作業における「故障部品」と推測することができると考えた。
すなわち、本発明の保守作業における交換部品推定システムは、(1)部品交換情報を含む過去の障害対策その他の保守作業の記録の集合を、個々の記録間の類似性により分類し、その分類から再現性の高い障害について前記保守作業に関する作業ルールを抽出する障害・保守ルール抽出部と、前記障害・保守ルール抽出部で抽出された作業ルールのうち部品交換を含む特定ルールについて、該ルールに対する部品の寄与の程度から、障害又は保守の状況に対する当該部品の交換の必要性を判別する有意部品判別部と、前記有意部品判別部の判別結果の集合から、過去の保守作業における部品交換の必要性と障害に対する直接関連性の高い部品とを推測する判別知識適用部と、を備え、前記判別知識適用部の推測結果から将来の保守作業における交換部品の優先順位を決定可能としたものである。
この発明のシステムでは、障害対策を含む保守作業の記録における故障部品を特定する知識を構成することで、障害対策を含む保守作業の記録の分析を容易にし、それら知識から、保守作業において故障している可能性の高い部品に対し、障害処置で交換すべき部品としての優先順位をつけて、不要な部品交換を削減し保守作業の効率化を図ることが可能になる。
本発明の交換部品推定システムにおいては、(2)前記有意部品判別部が、前記障害・保守ルール抽出部で抽出された作業ルールのうち部品交換を含む特定ルールに関して、該特定ルールから部品交換の1つを除去した比較用ルールを新たに生成し、元の特定ルールを満たす過去の障害対策その他の保守作業の記録の集合と新たに生成した比較用ルールを満たす障害対策その他の保守作業の記録の集合との2者を、両集合を構成する記録項目及び変数を集約した所定の特性値の情報量について比較し、前記比較用ルールを満たす場合に元の特定ルールから前記所定の特性値の情報量が有意に減少する部品を、当該特定ルールに対応する保守作業において必要性のある部品と判定し、その減少の程度の大きいものを、より必要性の高い部品と判定するのが好ましい。
この構成により、特性値を用いることで、障害対策を含む保守作業の記録の記述内容に一貫性を欠く状況下でも、構成項目の振れを吸収することができ、また、情報量の増減をもとに判断することで、対象とする部品交換ルールから、必要性の高い交換部品を少ない計算量で推測することが可能になる。
あるいは、本発明の交換部品推定システムは、好ましくは、(3)前記障害・保守ルール抽出部が、前記過去の障害対策その他の保守作業の記録の集合から、該集合を構成する複数の記録の項目及び変数の値若しくは値域について出現頻度が有意に高い組み合わせを抽出するもので、任意の組み合わせについて、前記記録の項目及び変数を集約した所定の特性値の情報量に基づいて、前記記録の集合全体とその部分集合である当該組み合わせを含む集合とを比較し、前記所定の特性値の情報量がより大きく減少する組み合わせを、より有意に出現しやすい組み合わせと判断するものである。
この場合、特性値を用いることで、障害対策を含む保守作業の記録の記述内容に一貫性を欠く状況下でも、構成項目の振れを吸収することができ、また、情報量の増減をもとに判断することで、出現頻度が有意に高い組み合わせを厳格に判定・抽出することが可能になる。
本発明の交換部品推定システムにおいては、また、(4)前記障害・保守ルール抽出部が、前記過去の障害対策その他の保守作業の記録の集合に基づいて、該記録の集合を構成する複数の記録の項目及び変数の値若しくは値域についての出現頻度が有意に高い組み合わせか否かを、その組み合わせの前記集合中における出現確率に対する、当該組み合わせを構成する値若しくは値域個々の出現確率の総積の比をもって判断するのがよい。
この構成により、抽出如何を判断する出現確率総積比の閾値を操作することで、抽出対象を絞って組み合わせを高速に抽出するか、想定可能な組み合わせを網羅的に抽出するか、以上2者間バランスを、利用者が直感的に操作して、出現頻度が有意に高い組み合わせを抽出することが可能になる。
さらに、本発明の交換部品推定システムにおいては、(5)前記障害・保守ルール抽出部が、部品交換を含む前記作業ルールから抽出されるべき特定ルールを選別し、該選別のために、過去の障害対策その他の保守作業の記録の集合における、いずれかのルールを満たす記録の出現数と、該ルールを構成する特定要素を含む記録の出現数と、それ以外の要素の組を含む記録の出現数とから、該ルールおよびその構成要素に関する独立性の検定を行い、独立であると判断されたルールおよびそれに対応する要素の組み合わせを排除する機能を持つのが望ましい。
この構成により、相関性の低い項目群を厳格に検出し、これらの項目からなるルールを排斥することが可能になり、特に上記(4)の構成と組み合わせることで、網羅的かつ厳格なルール抽出が可能になる。
一方、本発明の保守作業における交換部品推定方法は、(6)部品交換情報を含む過去の障害対策その他の保守作業の記録の集合を、個々の記録間の類似性により分類し、その分類から再現性の高い障害について前記保守作業に関する作業ルールを抽出する障害・保守ルール抽出段階と、前記障害・保守ルール抽出段階で抽出された作業ルールのうち部品交換を含む特定ルールについて、該ルールに対する部品の寄与の程度から、障害又は保守の状況に対する当該部品の交換の必要性を判別する有意部品判別段階と、前記有意部品判別段階の判別結果の集合から、将来の保守作業における交換部品の優先順位を決定するか若しくは過去の保守作業における部品交換の必要性と障害に対する直接関連性の高い部品とを推測する判別知識適用段階と、を含むものである。
この発明の方法では、障害対策を含む保守作業の記録における故障部品を特定する知識を用いることで、障害対策を含む保守作業の記録の分析を容易にするとともに、保守作業において故障している可能性の高い部品に対し、障害処置で交換すべき部品としての優先順位をつけて不要な部品交換を削減し保守作業の効率化を図ることが可能になる。
本発明の交換部品推定方法は、好ましくは、(7)前記有意部品判別段階において、前記障害・保守ルール抽出段階で抽出された作業ルールのうち部品交換を含む特定ルールに関して、該特定ルールから部品交換の1つを除去した比較用ルールを新たに生成し、元の特定ルールを満たす過去の障害対策その他の保守作業の記録の集合と新たに生成した比較用ルールを満たす障害対策その他の保守作業の記録の集合との2者を、両集合を構成する記録項目及び変数を集約した所定の特性値の情報量について比較し、前記比較用ルールを満たす場合に元の特定ルールから前記所定の特性値の情報量が有意に減少する部品を、当該特定ルールに対応する保守作業において必要性のある部品と判定し、その減少の程度の大きいものを、より必要性の高い部品と判定するものである。
この方法では、特性値を用いることで、障害対策を含む保守作業の記録の記述内容に一貫性を欠く状況下でも、構成項目の振れを吸収することができ、また、情報量の増減をもとに判断することで、対象とする部品交換ルールから、必要性の高い交換部品を少ない計算量で推測することが可能になる。
本発明の交換部品推定方法は、また、(8)前記障害・保守ルール抽出段階において、前記過去の障害対策その他の保守作業の記録の集合から、該集合を構成する複数の記録の項目及び変数の値若しくは値域について出現頻度が有意に高い組み合わせを抽出する際に、任意の組み合わせについて、前記記録の項目及び変数を集約した所定の特性値の情報量に基づいて、前記記録の集合全体とその部分集合である当該組み合わせを含む集合とを比較し、前記所定の特性値の情報量がより大きく減少する組み合わせを、より有意に出現しやすい組み合わせと判断するのがよい。
この場合、特性値を用いることで、障害対策を含む保守作業の記録の記述内容に一貫性を欠く状況下でも、構成項目の振れを吸収することができ、また、特性値の情報量の増減を基に判断することで、出現頻度が有意に高い組み合わせを厳格に判定・抽出することが可能になる。
あるいは、本発明の交換部品推定方法は、(9)前記障害・保守ルール抽出段階において、前記過去の障害対策その他の保守作業の記録の集合に基づいて、該記録の集合を構成する複数の記録の項目及び変数の値若しくは値域についての出現頻度が有意に高い組み合わせか否かを、その組み合わせの前記集合中における出現確率に対する、当該組み合わせを構成する値若しくは値域個々の出現確率の総積の比をもって判断するのが好ましい。
この構成では、抽出如何を判断する出現確率総積比の閾値を操作することで、抽出対象を絞って組み合わせを高速に抽出するか、想定可能な組み合わせを網羅的に抽出するか、以上2者間バランスを、利用者が直感的に操作して、出現頻度が有意に高い組み合わせを抽出することが可能になる。
さらに、本発明の交換部品推定方法は、(10)前記障害・保守ルール抽出段階において、部品交換を含む前記作業ルールから抽出されるべき特定ルールを選別し、該選別のために、過去の障害対策その他の保守作業の記録の集合における、いずれかのルールを満たす記録の出現数と、該ルールを構成する特定要素を含む記録の出現数と、それ以外の要素の組を含む記録の出現数とから、該ルールおよびその構成要素に関する独立性の検定を行い、独立であると判断されたルールおよびそれに対応する要素の組み合わせを排除するのがよい。
この構成により、相関性の低い項目群を厳格に検出し、これらの項目からなるルールを排斥することが可能になり、特に上記(9)の構成と組み合わせることで、網羅的かつ厳格なルール抽出が可能になる。
また、本発明の保守作業における交換部品推定プログラムは、(11)部品交換情報を含む過去の障害対策その他の保守作業の記録の集合を、個々の記録間の類似性により分類し、その分類から再現性の高い障害について前記保守作業に関する作業ルールを抽出する障害・保守ルール抽出部と、前記障害・保守ルール抽出部で抽出された作業ルールのうち部品交換を含む特定ルールについて、該ルールに対する部品の寄与の程度から、障害又は保守の状況に対する当該部品の交換の必要性を判別する有意部品判別部と、前記有意部品判別部の判別結果の集合から、過去の保守作業における部品交換の必要性と障害に対する直接関連性の高い部品とを推測する判別知識適用部と、の機能をコンピュータにより実現し、前記判別知識適用部の推測結果から将来の保守作業における交換部品の優先順位を決定可能としたものであり、読み出し可能な記憶媒体にこれを記憶格納することができる。
この発明のプログラムでは、障害対策を含む保守作業の記録における故障部品を特定する知識を構成することで、障害対策を含む保守作業の記録の分析を容易にし、それら知識を基に、保守作業において故障している可能性の高い部品に対し障害処置で交換すべき部品としての優先順位をつけて、不要な部品交換を削減し保守作業の効率化を図ることが可能になる。
本発明の交換部品推定プログラムは、好ましくは、(12)前記有意部品判別部が、前記障害・保守ルール抽出部で抽出された作業ルールのうち部品交換を含む特定ルールに関して、該特定ルールから部品交換の1つを除去した比較用ルールを新たに生成し、元の特定ルールを満たす過去の障害対策その他の保守作業の記録の集合と新たに生成した比較用ルールを満たす障害対策その他の保守作業の記録の集合との2者を、両集合を構成する記録項目及び変数を集約した所定の特性値の情報量について比較し、前記比較用ルールを満たす場合に元の特定ルールから前記所定の特性値の情報量が有意に減少する部品を、当該特定ルールに対応する保守作業において必要性のある部品と判定し、その減少の程度の大きいものを、より必要性の高い部品と判定するものである。
このプログラムでは、特性値を用いることで、障害対策を含む保守作業の記録の記述内容に一貫性を欠く状況下でも、構成項目の振れを吸収することができ、また、情報量の増減をもとに判断することで、対象とする部品交換ルールから、必要性の高い交換部品を少ない計算量で推測することが可能になる。
本発明の交換部品推定プログラムは、あるいは、(13)前記障害・保守ルール抽出部が、前記過去の障害対策その他の保守作業の記録の集合から、該集合を構成する複数の記録の項目及び変数の値若しくは値域について出現頻度が有意に高い組み合わせを抽出するもので、任意の組み合わせについて、前記記録の項目及び変数を集約した所定の特性値の情報量に基づいて、前記記録の集合全体とその部分集合である当該組み合わせを含む集合とを比較し、前記所定の特性値の情報量がより大きく減少する組み合わせを、より有意に出現しやすい組み合わせと判断するのが好ましい。
この場合、特性値を用いることで、障害対策を含む保守作業の記録の記述内容に一貫性を欠く状況下でも、構成項目の振れを吸収することができ、また、情報量の増減をもとに判断することで、出現頻度が有意に高い組み合わせを厳格に判定・抽出することが可能になる。
また、本発明の交換部品推定プログラムは、(14)前記障害・保守ルール抽出部が、前記過去の障害対策その他の保守作業の記録の集合に基づいて、該記録の集合を構成する複数の記録の項目及び変数の値若しくは値域についての出現頻度が有意に高い組み合わせか否かを、その組み合わせの前記集合中における出現確率に対する、当該組み合わせを構成する値若しくは値域個々の出現確率の総積の比をもって判断するものであってもよい。
この構成により、抽出如何を判断する出現確率総積比の閾値を操作することで、抽出対象を絞って組み合わせを高速に抽出するか、想定可能な組み合わせを網羅的に抽出するか、以上2者間バランスを、利用者が直感的に操作して、出現頻度が有意に高い組み合わせを抽出することが可能になる。
さらに、本発明の交換部品推定プログラムは、(15)前記障害・保守ルール抽出部が、部品交換を含む前記作業ルールから抽出されるべき特定ルールを選別し、該選別のために、過去の障害対策その他の保守作業の記録の集合における、いずれかのルールを満たす記録の出現数と、該ルールを構成する特定要素を含む記録の出現数と、それ以外の要素の組を含む記録の出現数とから、該ルールおよびその構成要素に関する独立性の検定を行い、独立であると判断されたルールおよびそれに対応する要素の組み合わせを排除する機能を持つのがよい。
この構成により、相関性の低い項目群を厳格に検出し、これらの項目からなるルールを排斥することが可能になり、特に上記(14)の構成と組み合わせることで、網羅的かつ厳格なルール抽出が可能になる。
本発明によれば、障害対策を含む保守作業の記録における故障部品を特定する知識を構成することで、障害対策を含む保守作業の記録の記述内容に一貫性を欠く状況下でも、その記録の分析を容易化するとともに、故障している可能性の高い部品に対し障害処置で交換すべき部品としての優先順位をつけて不要な部品交換を削減し、保守作業の効率化を図ることができる。
以下、本発明の好ましい実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
[第1の実施の形態]
図1〜図4は本発明の保守作業における交換部品推定システムの第1の実施の形態の構成を示す図である。
なお、本実施形態は、過去の障害対策を含む保守作業の記録から構成した障害及び保守作業知識を基にして、障害発生時の保守作業時に、交換部品の優先順位を保守作業者に指示するものである。
本実施形態のシステムは、図1に示すように、過去の障害対策を含む保守作業の記録から障害及び保守作業の知識を構成・蓄積する知識集約・構成部10を構成するとともに、図2に示すように、実際の保守作業時にその知識集約・構成部10に蓄積された知識を製品・障害状況に当てはめ、保守作業における交換部品の優先順位(交換対象の部品として選択されるべき優先順位)を提示する作業支援部20を構成して、図3に示すようなシステム全体構成としたものである。
具体的には、図1に示す知識集約・構成部10は、市場で稼動する製品個体と過去の製品個体の障害及び保守作業との記録を蓄積した障害・保守情報データベース(以下、データベースを単にDBという)101を有しており、更に、同データベースに含まれる保守・作業記録を、個々の記録間の類似性により分類し、その分類から再現性の高い障害及び保守作業状況を抽出する障害・保守ルール抽出部102と、この障害・保守ルール抽出部102で抽出したルールから、そのルールに対する部品の寄与の程度に基づいて障害又は保守の状況に対する当該部品の交換の必要性を判別する有意部品判別部103と、障害・保守ルール抽出部102で抽出したルールおよび各ルールに対する有意部品判別部103での判別結果の組を蓄積する部品判別ルール蓄積DB104と、を有している。
また、図2に示す作業支援部20は、保守を必要とする障害の発生した製品個体から、その製品情報や、保守作業前に取得可能な障害情報および直前までの稼動情報を取得する障害情報取得部202と、知識集約・構成部10に必要な情報を要求し取得する知識取得・保持部203と、障害情報取得部202で取得した情報に適合するルールを部品判別ルール蓄積DB104から取り出し、そのルールに対する部品判別結果に付随するルールの再現性および故障部品判別の確度から交換部品の優先順位を求める部品交換優先順位決定部204(判別知識適用部)と、この部品交換優先順位決定部204で決定した部品交換優先順位を保守作業者に提示する部品交換優先順位提示部205と、を含んで構成されている。
前記知識集約・構成部10は、単一、若しくは、ごく少数の計算機上で、障害・保守情報DB101を中心に構成するのが適当であるが、作業支援部20は、個々の保守作業者の作業支援を行なうという特性上、多数の情報端末の形で存在することになる。したがって、これら知識集約・構成部10および作業支援部20は、多くの場合、図3に示すように、知識集約・構成部10をサーバとし、保守作業1〜nに対応する複数の作業支援部2001〜2000n(複数の作業支援部20)をクライアントとする、サーバとクライアントの関係になる。
なお、知識集約・構成部10を構成する前記計算機は、ROMや補助記憶装置に本発明に係る交換部品推定プログラムの一部を予め格納したコンピュータで、本発明の交換部品推定プログラムのうちサーバ側のプログラムを実行し、後述する障害・保守ルール抽出部および有意部品判別部の機能、並びに、部品判別知識の生成及び蓄積機能等を実現するようになっている。
また、作業支援部20を構成する情報端末は、知識集約・構成部10を構成する計算機と協働して本発明の交換部品推定プログラムのうちクライアント側のプログラムを格納する記憶部を有し、そのプログラムを実行することで、後述する判別知識適用部、障害情報取得部、部品交換優先順位決定部等の機能を実現する第2のコンピュータとなっている。
この作業支援部20は、保守作業毎に移動する可能性を考慮し、適当な携帯情報端末としてその機能を実現するのが適当であり、本実施形態でもその構成をとるものとする。しかしながら、据置きの計算機や、知識集約・構成部10を実装する計算機と同一の計算機上に実装しても構わない。
以下、図1の示す知識集約・構成部10の各部位の詳細な構成を説明する。
障害・保守情報DB101は、市場で稼動している製品、および稼動していた製品の、個体識別情報、稼動履歴、保守作業履歴および障害・保守作業情報データからなる(図5〜図8参照)。
複写機の場合、例えば図5に示すような表形式の個体識別情報で識別される。ここでの「個体識別情報」は、製品個体を識別する情報であり、図5に示す表中の1行が製品1台に対応している。よって、この表中において、項目「商品コード」と「製造番号」の組は一意に決定され、重複はない。また、項目「使用終了日」はユーザーが当該製品の使用を終了しメーカーへ引き取られた日である。項目「稼動状態」は「稼働中」、「使用中断」、「メーカー引き取り済」、「廃棄・再生処理済」等の値をとる。
図6に示す「稼動履歴」は、製品1台ごとの1ヶ月ごとの稼動情報であり、例えば、ある製品を使用開始して2年経過すると、その製品の情報が24行(24ヶ月分)存在することになる。なお、この表中において、項目「印刷枚数」は本実施形態の対象が複写機であることによる。他の商品であれば、使用回数や使用時間等が考えられる。なお、図5に示す表「個体識別情報」と図6に示す表「稼動履歴」は、項目「商品コード」およびそれに対応する複数個(n個とする)の「製造番号」により、1:nで対応づけられる。
図7に示す表「保守作業履歴」は、同一時期・同一目的の保守作業ごとの作業履歴を記録するものである。つまり、作業に2日以上を要した場合でも、目的が1つであれば単一の記録にまとめられる。また、目的が発生した障害に対する緊急保全と、予防保全と複数ある場合でも、同じ日に実施されれば1つの記録にまとめられることがあるものとする。
この表中において、項目「保守分類」、「現象分類」、「障害発生条件」、「原因分類」、「処置箇所」、「処置分類」および「結果」には、それぞれ予め用意された選択肢から保守作業者が選択した値が入力されている。項目「保守分類」は、当該保守が予め計画された定期保全に類するものであれば「定期」、故障対応など計画外のものについては「計画外」、定期保全と故障対応の双方を兼ねるものであれば「定期(含緊急保全)」の値をとる。項目「現象分類」は、故障対応の保守の場合にのみ値をとり、複写機の場合「印字汚れ」、「異音」、「色ムラ」等の値をとる。
また、項目「障害発生条件」は、「常時」、「コピー時」、「A3用紙使用時」等、障害の発生する条件に関する値をとる。項目「原因分類」は、故障対応の保守の場合にのみ値をとり、複写機の場合「調整くずれ」、「異物混入」、「部品劣化」等の値をとる。
項目「処置箇所」は、「給紙部」、「転写部」、「書込部」等の値をとり、項目「処置分類」は、「部品交換」、「調整」、「清掃」等の値をとる。一方、項目「結果」は、保守作業の経過を表すもので、「完了」、「継続中」等の値をとる。
なお、図5に示す「個体識別情報」と図7に示す「保守作業履歴」は、項目「商品コード」およびそれに対応する複数個の「製造番号」により、1:nで対応づけられる。
また、1つの項目に複数の値を取り得る場合、例えば、複合要因から発生した故障に対する保守等については、より重大な内容に関するものが記録されるか、複数のレコードに分けて記録されるかのいずれかの形をとり、その選択は保守作業者が選択するものとする。
図8に示す「障害・保守作業情報データ」は、保守作業の際に部品交換が行われた場合に交換部品ごとに記録される情報データであり、「部品コード」は部品を識別するコードである。すなわち、「障害・保守作業情報データ」は、部品交換を伴う保守作業ごとのその部品交換の詳細を知るための情報である。なお、図7に示す「保守作業履歴」と図8に示す「障害・保守作業情報データ」は、項目「保守ID」に基づき、1:nで対応づけられる。
一方、図1に示す障害・保守ルール抽出部102は、図4に詳細に示されるように、記録集約部401、情報補完部402、多変量集約部403、ルール抽出部404、および、これらの処理結果を記録するルール処理過程記録部405からなる。
ここで、ルール処理過程記録部405は一時的な作業記録領域であり、ルール抽出部404での処理を終了し、処理結果を部品判別ルール蓄積DB104に格納した時点で内容を消去しても構わない。逆に、処理終了後も完了済みの保守記録に係わるレコードを残しておけば、記録集約部401の次回の処理時における作業量を削減することもできる。
記録集約部401は、障害・保守情報DB101に格納された個体識別情報(図5中の表)の各項目を、保守作業履歴(図7中の表)が示す保守作業記録に関連づけた表を生成し、これをルール処理過程記録部405に格納する。具体的には、記録集約部401は、例えば図9に示すような保守作業情報の集約表を生成してルール処理過程記録部405に格納する。
この図9に示す表中において、項目「稼動日数」は、「保守作業履歴」(図7参照)を構成する項目「障害発生日」と、同じく「個体情報識別」(図5参照)を構成する項目「納入日」との差分である。また、項目「月平均印刷枚数」は、「障害発生日」から1〜6ヶ月前について、「稼動履歴」(図6参照)を構成する「印刷枚数」を平均した値であり、項目「総印刷枚数」は、「納入日」から「障害発生日」の間に含まれる記録の「印刷枚数」に関する総和である。
「交換部品1」〜「交換部品n」は、図8に示す項目「部品コード」に現れる主要な値、つまり交換部品をn種選び、その各々について交換の有無を示すものであり、交換があれば"1"、なければ"0"をとる。主要な部品は、交換を含む記録数が多い部品から順に選べばよいが、後述する「情報補完部402」で再度対象とする部品を限定するため、可能な限り対象は広くとる方がよい。なお、「商品コード」及び「部品コード」と「交換部品1」〜「交換部品n」との対応関係は、部品判別ルール蓄積DB104に格納しておく。
本実施形態では、交換を含む記録数が3ないし5以上の部品を全て対象とする。なお、以後はこの表を構成する個々の「行」、つまり1つ1つの保守記録に相当するものを「レコード」と呼称する。なお、図9中の表の右端側に含まれる項目「特性値1」、「特性値2」および「特性値3」は、後続の処理過程で記録されるもので、記録集約部401での処理終了時には空になっている。
情報補完部402は、記録集約部401で生成され、ルール処理過程記録部405に格納された表について、連続値に対する欠損値・異常値の補完を行なうとともに、実質的に同じ意味を持つカテゴリ値若しくはカテゴリ項目の統一化を行なう。具体的には、まず、補完すべき欠損値および異常値を検出する。異常値の検出については、該当変数が正規分布をとることが予測される場合はグラブス・スミルノフ(Grubbs-Smirnov)検定等、分布が特定できなければモーゼ(Moses)の外れ値反応等、一般的な統計的外れ値検定を採用するか、単に回帰直線との距離に対して、閾値を設定、検出するかのいずれかにより行なう。
次に、連続値について、欠損値・異常値の訂正・補完を行なう。連続値は、相関関係にある2つ以上の変数があれば、類似の製品ごとに、一般的な回帰分析で類推できる。相関関係にある変数の例として、複写機の場合、稼働日数と印刷枚数の2者は比例に近い関係をとることが知られている。よって、保守作業情報集約表(図9参照)中の項目「稼動日数」と「総印刷枚数」およびその派生である「月平均印刷枚数」は、そのいずれか1つ以上が判明していれば、残りの項目については推測可能である。なお、具体的な相関関係が知られていない項目に関しては、平均値、中央値等、適当な記述統計量で代用するか、欠損値・異常値を含むレコードそのものを解析対象から除外する。
次に、カテゴリ値について、同一の性質を持った、異なる項目値群、例えば、名前は異なるが仕様が同一の複数の部品を、単一値に置き換える。具体的には、主成分分析(多変量データの持つ情報内容を多変数に重み付けした合成変数を作ることで少数個の特性値に要約する)を用いて、極端に似通った項目値をまとめ、寄与率上位の主成分に関して、主成分を正規化し寄与率で重み付けした値を軸にしたベクトル空間で、クラスタ分析(類似性定義により類似度を数値化し、類似度(距離)の算出値に応じて対称データサンプルのクラスタ分けを行なう)を実施すればよい。
クラスタ分析の結果、同一クラスタに属する値群を、単一の値に置き換える。本実施形態の場合、保守作業情報集約表(図9参照)中の項目「交換部品x」(x=1〜n)がまとめる対象となる。なお、この結果まとめられる「交換部品x」は、基本的に複数機種での共通部品および何らかの理由で設計変更された部品ということになる。よって、同一値にまとめる「交換部品x」の数は、最大でも機種数の3〜5倍よりは小さくなるようにする。また、1つのレコードに同時出現することが多い部品はまとめないようにする。
そして、この処理の終了時点において、部品判別ルール蓄積DB104に格納された「商品コード」及び「部品コード」と、「交換部品1」〜「交換部品n」との対応関係に、この処理結果を反映させておく。
「交換部品x」以外のカテゴリ値の項目に関しては、全機種に共通して適当な分類が定められているため、必ずしもまとめる必要はないが、表に含まれる値の種類がある程度以上多い場合は、同様にまとめた方がよい。なお、本実施形態では、情報補完部402に主成分分析を用いるが、主成分分析のように特性値・因子と変数のいずれか一方を、もう一方の線形結合で表現する類の手法であれば、それに限定するものではない。例えば、主成分分析の代わりに因子分析(多変量データから潜在的共通因子を推定する)、数量化III類(質的な対象データの頻度等を数値化してカテゴリ分類したり特性値を調べたりする)等を用いることもできる。
多変量集約部403は、情報補完部402で処理されルール処理過程記録部405に格納された保守作業情報集約表(図9参照)について、この表の構成項目を、表全体のデータ構造を反映した少数の特性値に集約する。
多変量の集約は、主成分分析、因子分析、数量化III類等のように、特性値・因子と変数のいずれか一方を、もう一方の線形結合で表現する類の手法を用いるが、いずれを利用するかは特に規定しない。なお、この類の手法の多くはカテゴリ値、連続値の一方しか取り扱えないため、図9に示す保守作業情報集約表のようにカテゴリ値、連続値双方を含む表に関しては、いずれか一方に合わせて処理する必要がある。連続変数に合わせる場合、カテゴリ変数をダミー変数に展開して連続値に変換する。また、カテゴリ変数に合わせる場合、連続変数を適当な範囲で区切って各々に値を割り付けることで、カテゴリ化する。
この連続変数化若しくはカテゴリ化の後、主成分分析などにより多変量の集約を行なう。なお、情報補完部402での類似の処理が「交換部品x」という一部のカテゴリ項目に対する特性値の生成を行なうものであったのに対し、多変量集約部403での処理は主としてレコードに対する特性値の生成を行なうものである。
ここで生成した特性値は、ルール処理過程記録部405に格納された保守作業情報集約表(図10参照)表を構成する各レコードに付記する。図10に示す保守作業情報集約表は図9に示す同表に特性値を付記したものである。
特性値が複数ある場合は、図11に示すように、併せて特性値と寄与率の組を別表として部品判別ルール蓄積DB104に格納しておく。この表に示した「特性値と寄与率の対応例」は特性値と寄与率の対応表の例であり、同特性値と寄与率の対応表(図11参照)中の特性値IDが「1」である項目が図10に示す保守作業情報集約表中の項目「特性値1」に対応する。その他の特性値についても同様である。なお、特性値が複数ある場合、多変量集約部403以後のルール抽出部404と有意部品判別部103は、特性値ごとに処理を行い、各々の特性値について、処理結果をルール処理過程記録部405ないしは部品判別ルール蓄積DB104に格納する。
ルール抽出部404は、多変量集約部403で集約され、ルール処理過程記録部405に格納された特性値を基に、ルール処理過程記録部405に格納された表の特性値以外の項目を用いて、部品交換を含むレコードの分類を行ない、その結果から出現頻度が有意に高い分類条件を検出する。なお、この分類条件とは、複数項目値の組み合わせのことである。
レコードの分類は、多変量集約部403で生成した特性値について、グループ間の分散を最小化する分類を構成することで行なう。なお、分散の代わりに、分散と同様の所謂「情報量」に類する値を用いてもよい。また、本実施形態の以後の説明において「分散」を用いている他の箇所についても、このことは同様である。
分類の具体的なアルゴリズムとしては、CHAID(Chi-squared Automatic Interaction Detector)や、CART(Classification And Regression Tree)、C5.0など、一般に「決定木」若しくは「回帰木」と呼ばれる手法を用いる。各アルゴリズムについては、例えばTjen-Sien Lim等による「An empirical comparison of decision trees and other classification methods」, TR979, Department of Statistics, UW Madison (1997年) と、それに含まれる引用文献に詳しい。
分類の後、出現頻度が有意に高いグループを検出する。この有意性は、「出現頻度が高いこと」と「当該条件下において障害・保守情報を概ね一意に規定できること」の2点で判断する。なお、後者の条件が成立しない場合、その条件の成立は偶発的なものであると判断できる。この条件の正否は、分類前のレコードの集合全体と、分類後の集合(部分集合)とについて、集合の構成レコードの特性値の分散で判断する。分類後の集合の方が「予め定めた比率以上に」分散が小さくなっていれば、この条件を満たすものとする。
なお、この比率は予めシステムの利用者が定めておくものとする。出現頻度が有意に高い分類条件は、ルール処理過程記録部405に格納する。図12はその分類条件表の格納例である。この分類条件表において、値が「−」以外の項目値若しくは値域の組み合わせが分類条件となる。また、項目「交換部品1」〜「交換部品n」は、値が"○"の場合は「交換あり」、"×"の場合は「未交換」、"−"の場合は「交換の有無を問わない」ことを意味する。例えば、同分類条件表の2行目の場合、「現象分類」が"印字汚れ"かつ、「処置箇所」が"給紙部"かつ、製品の「稼動日数」が365日〜1095日の範囲にあり、かつ、「交換部品2」に対応する部品が交換されること、という条件になる。また、項目「特性値ID」は、どの特性値を用いたかを示すもので、その値は図11に示した特性値と寄与率の対応表中の同項目に対応する。「説明比」は、分類前後の分散の比率を示すもので、次の式1で表される。
項目「出現数」は当該条件を満たしたレコードの件数である。項目「核部品」と「説明比(部品交換)」には、それぞれ有意部品判別部103での処理結果が格納されるため、ルール抽出部404の処理終了時点では空白である。
なお、本発明でより精緻にルールを検出したいのであれば、「決定木」若しくは「回帰木(Regression Tree)」において、交互作用を無視して分類を生成するとよい場合がある。このとき、同項目分類によりツリー状ではなく、マトリクス状に展開されることになる。
この発明の本質的な意味は、障害及び保守作業を構成する条件について、その構成要素の交互作用を部品交換に絞って検証・検出する有意部品判別部103にある。その交互作用検出範囲は、少なくとも「決定木」や「回帰木」よりも広いため、これらで対象を限定しない方が、より広い範囲でルールを獲得することができる可能性がある。
有意部品判別部103は、障害・保守ルール抽出部102で生成された分類条件について分類に含まれる部品交換が、その条件成立に関して必須となるものを抽出する。これは、部品交換Pと、P以外の条件Cの組み合わせで構成される分類条件に関して、「条件Cの下で部品Pを交換すると、他の項目は極狭い範囲に限定されるが、P以外の部品を交換しても、他の項目に対しては影響を及ぼさない」という「部品P」と「条件C」の組を見つけることで、抽出可能である。この組の意味するところは、「条件C」が表す状況において、その状況を決定づけているのが「部品P」ということであり、「条件C」が故障・障害状況を表すものであれば、「部品P」はその故障部品ということになる。
具体的には、検証対象となる分類条件C1をもとに、同条件C1から検証対象となる部品交換P1をのぞいた条件C11(比較用ルール)を生成し、分類条件C1とC11で、「ルール処理過程記録部405」に格納された表のレコードを分類し、各分類の集合に含まれるレコードの特性値の分散を比較すればよい。部品交換を含む分類条件C1に対応した集合の分散がより小さいほど、当該部品の交換が他の項目の取り得る値域をより狭い範囲に限定していることになる。つまり、故障の可能性がより高い部品ということになる。
この交換部品と、分類条件C1とC11の比、及び当該分類条件の組を、ルール処理過程記録部405に格納する。
図13にその有意部品判別部での処理後の分類条件表の格納例を示す。この分類条件表は図12に示した分類条件表を有意部品判別部103の処理結果に合わせて分割・追記したものであり、この表における、項目「核部品」が当該条件の必須部品、つまり当該条件下で故障している可能性が高いと見込まれる部品の識別子である。例えば、この値が"2"であれば、図9及び図10に示した保守作業情報集約表における項目「交換部品2」に対応する。また、項目「説明比(部品交換)」は、「核部品」に相当する部品交換の有無に対する、特性値の分散比(特性値の情報量)である。具体的には式2で表される。
同一特性値の分類条件が対象であれば、この数値が大きいほど「核部品」故障の可能性が高いことになる。
ルール処理過程記録部405に格納された有意部品判別部103の抽出条件のうち、項目「出現数」が予め決めた閾値以上のものを、部品判別ルール蓄積DB104に格納する。格納形態は、ルール処理過程記録部405と同様である。
以上が図1に示す知識集約・構成部10の構成である。
以下、図2に示す作業支援部20の各部位の詳細な構成を説明する。
なお、作業支援部20は通信機能をもった携帯情報端末であることが望ましいが、複写機の場合は、それ自身に作業支援部20を実装することも可能である。
障害情報取得部202は、障害の発生した保守対象となる製品から、製品の識別情報(「商品コード」、「製造番号」)、稼動情報(「稼働日数」、「総印刷枚数」等)、障害情報(障害の「現象分類」等)を取得する。以下、これら情報をまとめて、「個体・障害情報」と呼ぶ。取得の手段は、「作業支援部20」が携帯情報端末で実装されている場合、端末の装備する入力手段(ペンタブレットやキーボード等)により保守作業者が入力するか、保守対象個体が外部に対して汎用の通信手段を有するのであれば、その通信手段を介して情報を取得する。なお、ここで取得する情報は、部品判別ルール蓄積DB104を構成する項目と同一項目を少なくとも1つ以上含むものとする。また、部品判別ルール蓄積DB104を構成する項目と類似の取得情報については、予め情報の形式を部品判別ルール蓄積DB104と合わせてあるものとする。
知識取得・保持部203は、保守作業者が知識集約・構成部10を直接利用できない状態、例えば保守対象となる製品と知識集約・構成部10を構成する計算機が別の場所にあり、互いに通信できない場合は、保守作業前に知識集約・構成部10と予め通信しておき、作業者が担当する地域・顧客の所持する保守対象機種について、知識集約・構成部10から必要な知識を取得し保持しておく。なお、ここでいう必要な情報とは、部品判別ルール蓄積DB104に格納された「部品コード」と「交換部品1」〜「交換部品n」との対応関係を含む。
保守作業者が保守作業中に知識集約・構成部10を直接利用できる場合は、知識集約・構成部10の部品判別ルール蓄積DB104を知識取得・保持部203として利用する。
部品交換優先順位決定部204は、障害情報取得部202で取得した情報に当てはまる部品・条件を知識取得・保持部203から検索し、これを故障可能性の順に列挙する。
この故障可能性は、前述した「説明比(部品交換)」と「特性値と寄与率の対応表」(図11参照)に示した当該条件に対応する「特性値の寄与率」との積であり、この積の値は、出現頻度が有意に高い組み合わせの出現確率に対する、その組み合わせを構成する値若しくは値域個々の出現確率の総積(すべての値を掛けたもの)の比を意味する。
故障可能性の順に列挙された部品の項目名(「交換部品1」〜「交換部品n」)は、「部品コード」と「交換部品1」〜「交換部品n」との対応関係から逆引きして「部品コード」に変換しておく。
部品交換優先順位提示部205は、部品交換優先順位決定部204の内容を保守作業者に対して提示する。なお、この部品交換優先順位提示部205の提示内容は、作業支援部20の表示装置、例えば携帯情報端末のモニタ・ディスプレイ等に表示する。
また、作業支援部が保守対象である「複写機」そのものに含まれる場合、部品交換優先順位提示部205は二重化しておくことが望ましい。具体的には、複写機の操作表示部と、当該複写機からの印刷機構(印刷物)の2つを部品交換優先順位提示部205の表示装置に用いる。
図14は部品交換優先順位提示部205の提示内容の一例を示す。また、予め部品コードと部品名を含む部品情報との対応関係表を用意しておき、部品交換優先順位提示部205に部品コードに対応した部品情報を表示してもよい。図15はそのような部品情報を含む部品交換優先順位提示部205の提示情報の一例を示す。
保守作業者は、部品交換優先順位提示部205で示された交換優先順位に基づき、部品の交換を行なう。また、最初の部品交換で障害が解消されなかった場合、交換部品の情報を、障害情報取得部202により取得される「個体・障害情報」に追加し、部品交換優先順位決定部204の処理を再度行い、部品交換優先順位提示部205の提示情報を更新する。
次に、その動作と共に、本発明の保守作業における交換部品推定方法の一実施形態について説明する。
本実施形態においては、まず、知識集約・構成部10側において、部品交換情報を含む過去の障害対策その他の保守作業の記録の集合を障害・保守情報DB101に記録し、障害・保守ルール抽出部102でこれらの記録情報を多変量集約部403等によって個々の記録間の類似性により分類し、その分類から再現性の高い障害について前記保守作業に関する作業ルールを抽出する(障害・保守ルール抽出段階)。
また、障害・保守ルール抽出部102で抽出された作業ルールのうち部品交換を含む特定ルールについて、有意部品判別部103にて、そのルールに対する部品の寄与の程度から、障害又は保守の状況に対する当該部品の交換の必要性を判別する(有意部品判別段階)。そして、その判別結果を部品判別ルール蓄積DB104に順次蓄積する。
一方、作業支援部20側では、知識集約・構成部10側の部品判別ルール蓄積DB104から知識取得・保持部203に、有意部品判別部103での判別結果を取り込み、その結果データの集合と障害情報取得部202からの障害情報とに基づいて、部品交換優先順位決定部204により将来の保守作業における交換部品の優先順位を決定し、過去の保守作業における部品交換の必要性と障害に対する直接関連性の高い部品とを推測する(判別知識適用段階)。
したがって、本実施形態では、障害対策を含む保守作業の記録における故障部品を特定する知識を用いることで、障害対策を含む保守作業の記録の分析を容易にするとともに、保守作業において故障している可能性の高い部品に対し、障害処置で交換すべき部品としての優先順位をつけて不要な部品交換を削減し、保守作業の効率化を図ることができることになる。
また、本実施形態では、有意部品判別部103での有意部品判別段階において、障害・保守ルール抽出部102で抽出された作業ルールのうち部品交換を含む特定ルールに関して、その特定ルールから部品交換の1つを除去した比較用ルールを新たに生成し、元の特定ルールを満たす過去の障害対策その他の保守作業の記録の集合と、新たに生成した比較用ルールを満たす障害対策その他の保守作業の記録の集合との2者を、両集合を構成する記録項目及び変数を集約した所定の特性値の情報量(式2で求めた説明比)について比較し、その比較用ルールを満たす場合に元の特定ルールから前記所定の特性値の情報量が有意に減少する部品を、当該特定ルールに対応する保守作業において必要性のある部品と判定し、その減少の程度の大きいものを、より必要性の高い部品と判定する。
したがって、前記特性値を用いることで、障害対策を含む保守作業の記録の記述内容に一貫性を欠く状況下でも、構成項目の振れを吸収することができ、情報量の増減を基に判断することで、対象とする部品交換ルールから、必要性の高い交換部品を少ない計算量で推測することができる。
さらに、障害・保守ルール抽出部102での障害・保守ルール抽出段階において、過去の障害対策その他の保守作業の記録の集合から、その集合を構成する複数の記録の項目及び変数の値若しくは値域について出現頻度が有意に高い組み合わせを抽出する際に、任意の組み合わせについて、前記記録の項目及び変数を集約した所定の特性値の情報量(式1で求めた説明比)に基づいて、記録の集合全体とその部分集合である当該組み合わせを含む集合とを比較し、所定の特性値の情報量がより大きく減少する組み合わせを、より有意に出現しやすい組み合わせと判断することができる。したがって、特性値を用いることで、障害対策を含む保守作業の記録の記述内容に一貫性を欠く状況下でも、構成項目の振れを吸収することができ、また、特性値の情報量の増減を基に判断することで、出現頻度が有意に高い組み合わせを厳格に判定・抽出することが可能になる。
加えて、本実施形態においては、障害・保守ルール抽出部102での障害・保守ルール抽出段階においては、過去の障害対策その他の保守作業の記録の集合に基づいて、その記録の集合を構成する複数の記録の項目及び変数の値若しくは値域についての出現頻度が有意に高い組み合わせか否かを、その組み合わせの前記集合中における出現確率に対する、当該組み合わせを構成する値若しくは値域個々の出現確率の総積の比をもって判断することから、抽出如何を判断する出現確率総積比の閾値を操作することで、抽出対象を絞って組み合わせを高速に抽出するか、想定可能な組み合わせを網羅的に抽出するか、以上2者間バランスを、利用者が直感的に操作して、出現頻度が有意に高い組み合わせを抽出することが可能になる。
[第2の実施の形態]
第2の実施の形態は、上述した第1の実施の形態と同様に、過去の障害及び保守作業記録から構成した障害及び保守作業知識を基にして、障害発生の場合の保守作業時に、交換部品の優先順位を保守作業者に指示するものである。
本実施形態のハードウェア構成自体は、第1の実施の形態の構成とほぼ同じであるので、図1〜図4と同一の符号を用いて説明するが、知識集約・構成部10における障害・保守ルール抽出部102の構成は第1の実施の形態とは異なる。
具体的には、ルール抽出部404において、多変量集約部403の結果を用いずに、当該分野において公知である「バスケット分析」と別に用意した指標を用いて分類条件を抽出する。なお、この「バスケット分析」については、Rakesh Agrawal等による「Mining Associations between Sets of Items in Massive Databases」(1993年)に詳しい。
本実施形態では、2段階の処理で分類条件を抽出する。
まず、バスケット分析で抽出候補を生成する。一般にはバスケット分析は「『条件A』であれば『条件B』である」という命題のうち、出現確率及び信頼度の高いものを検出する手法だが、本実施形態では、この前件部(十分条件)と後件部(必要条件)の区別をせず、単にルールそのものの出現確率若しくは出現件数によってのみ、生成の如何を決定する。なお、部品交換を含まないルールは、最初から対象から除外する。ここまでが最初の段階である。
次に、この生成したルールについて選別を行なう。
まず、対象とするルールCについて、いずれか1つの部品交換に関して、判定を行なう。当該部品を部品Pとし、ルールCから部品Pの交換を除いたルールをCpとする。このPとCp、Cに関して、次の式3で示す指標「改善率」を計算する。
これは、「対象とする母集団」の「全ての条件が無条件に成立する集団」に対する適用機会の比率であり、ルールCの示す条件の選択が、完全にランダムな同規模の条件選択に対してどの程度成立しやすいかを示す比率である。この比率が大きいほど、ルールCの成立に有意性があることになる。1に近いほど、ルールCの成立に有意性はなく、ランダムな条件選択と変わらないことを示し、1より小さければ、逆向きの相関があることを示す。よって、少なくとも1より大きい閾値を予め定めておき、この値より大きいルールのみ採用する。この採用ルールがルール抽出部404の抽出結果となる。なお、1つのルールに複数の部品交換が含まれる場合、どれかひとつが採用されればよい。
閾値の定め方にもよるが、多くの場合第1の実施の形態よりも本実施形態の方が抽出するルール数は多くなる。その結果、有用なルールを取りこぼす可能性は減少するが、その反面、後続の有意部品判別部103で、核部品故障の可能性は低いと判定されるルールが頻出する可能性がある。また、障害・保守情報DB101に格納された記録数が少ないうちは本実施形態の方が計算量は小さいが、ある規模を超えた時点でこの関係は逆転する。
また、上述した第1の実施の形態では「組み合わせを構成する項目の最大数」以外のパラメータを操作しても、処理にかかる計算量は大きく変わらないが、本実施形態では、バスケット分析に用いる閾値である「ルールの出現確率下限」を厳しく設定すると、抽出されるルールの数の減少とともに、計算量が格段に減少する。当然、「組み合わせを構成する項目の最大数」を操作することでも計算量を増減させることができる。
よって、本実施形態においては、上述の実施形態の効果に加えて、少数精鋭のルールで構成される知識ベースからより網羅的な知識ベースまで、閾値の設定如何で、容易に選択することができるという効果が期待できる。
[第3の実施の形態]
第3の実施の形態は、第1、第2の実施の形態と同様に、過去の障害及び保守作業記録から構成した障害及び保守作業知識をもとにして、障害発生時の保守作業時に、交換部品の優先順位を保守作業者に指示するものである。
本実施形態の構成は第2の実施の形態とほぼ同様だが、本実施形態はルール抽出部404の抽出・選別処理が2段階から3段階に増えている。したがって、本実施形態で追加された処理について、以下に詳述する。
本実施形態では、選別対象であるルールCと、同ルールに含まれる部品交換P、及び部品交換Pを除いたルールCpについて、独立性の検定を行い、両者が独立であると認められる場合は、抽出ルールから除外する。
正確には、「部品Pの交換と条件Cpの成立は独立である」という命題を帰無仮説(ある仮説の適否判断のために立てられる無に帰したい仮説)とし、統計的な検定の結果、この命題が棄却できない場合にルールCを抽出対象から除外する。
具体的な処理内容は、まず、記録集約部401に格納されているレコードに関して、全レコード数をn、ルールCの成立するレコード数をa、部品交換Pを含むレコード数をi、ルールCpの成立するレコード数jとし、部品交換Pを含まず、かつ、ルールCpも成立しないレコード数をkとして、式4で表されるカイ二乗値を算出する。
このカイ二乗値は、自由度1のカイ二乗分布に従うことが知られている。よって、この値に対するカイ二乗分布のパーセント点を有意確率とし、この値が閾値以下であれば、帰無仮説は棄却され、「部品Pの交換と条件Cpの成立の間には相関がある」といえる。この場合、当該ルールを抽出対象とする。逆に、有意確率が閾値を上回り、帰無仮説を棄却できなかった場合、当該ルールを抽出対象から除外する。
バスケット分析と改善率による選別で網羅的なルール抽出を行った場合に、この追加処理を加えることで明らかに偶発的なルールを排除することが可能になる。
また、この選別処理は、第2の実施の形態の「改善率」による選別と処理結果が異なるが、有意性の低いルールを検出・排除するという方向性は同じものである。よって、第2の実施の形態における「改善率」の選別を省いて、本実施形態の選別のみを適用することもできる。
本実施形態においては、障害・保守ルール抽出部102での障害・保守ルール抽出段階において、部品交換を含む作業ルールから抽出されるべき特定ルールを選別し、その選別のために、過去の障害対策その他の保守作業の記録の集合における、いずれかのルールを満たす記録の出現数と、そのルールを構成する特定要素を含む記録の出現数と、それ以外の要素の組を含む記録の出現数とから、当該ルールおよびその構成要素に関する独立性の検定を行い、独立であると判断されたルールおよびそれに対応する要素の組み合わせを排除するようにしているので、相関性の低い項目群を厳格に検出し、これらの項目からなるルールを排斥することが可能になる。
特に、前記記録の集合を構成する複数の記録の項目及び変数の値若しくは値域についての出現頻度が有意に高い組み合わせか否かを、その組み合わせの前記集合中における出現確率に対する、当該組み合わせを構成する値若しくは値域個々の出現確率の総積の比をもって判断することとの組み合わせにより、網羅的かつ厳格なルール抽出が可能になる。
[第4の実施の形態]
第4の実施の形態は、過去の障害及び保守作業記録から障害及び保守作業知識を構成し、それをもとに個々の障害及び保守作業記録に含まれる交換部品から、故障部品を推測するシステムである。所謂信頼性工学等の視点で障害及び保守作業記録を解析する場合、故障部品の発生に着目することになる。そのため、故障部品と予防保全等に伴う非故障部品の交換が混在して記載されている障害及び保守作業記録については、本実施形態のようなシステムの存在が不可欠となる。
具体的には、図16に示すような構成となる。
図16において、知識集約・構成部10は第1〜第3の実施の形態におけるそれ同一参照番号のそれと同じものであるが、本実施形態の交換部品推定システム50では、作業支援部20の代わりに記録解析部501が判別知識的要部として配置されている。
この記録解析部501は、知識集約・構成部10の知識を用いて、部品交換を含む個々の記録に関して、その部品が故障して交換されたか否かを推測・判定するものである。第1〜第3の実施の形態との処理内容の実質的な違いは、以下の点だけである。
まず、第1〜第3の実施の形態が保守作業を行なう直前若しくは作業進行中の障害発生製品に知識を当てはめるのに対し、本実施形態は過去の障害及び保守作業記録を当てはめるということ。
また、第1〜第3の実施の形態では、知識集約・構成部10と作業支援部20は、必ずしも連続して処理を行なう必要はなかったのに対し、本実施形態では、知識集約・構成部10と記録解析部501が必ず連続して処理を実行することである。
さらに、知識集約・構成部10に含まれるルール処理過程記録部405の内容を記録解析部501が参照するため、この内容は全ての処理を終了するまで消去することができない。
以下、図16に示す記録解析部501の各部位の詳細を説明する。
図17に示すように、記録解析部501は、推定故障部品列挙部601、コード変換部602および推定故障部品出力部603を含んで構成されている。
推定故障部品列挙部601は、障害・保守ルール抽出部102のルール処理過程記録部405に記録された障害及び保守作業記録の集約レコード、例えば保守作業情報集約表(図10参照)の個々ついて、部品判別ルール蓄積DB104に格納された表、例えば分類条件表(図13参照)から、最も故障可能性が高い部品を判定した障害及び保守作業情報に関する条件・故障部品の組を示す行の識別子と、当該部品コードと、を検索・出力する。ただし、故障可能性が極端に低い条件・故障部品は検索範囲から除外する。この除外の基準つまり閾値は、本実施形態のシステムの利用者が予め定めておくものとする。
保守作業情報集約表(図10参照)及び分類条件表(図13参照)を例にとって説明すると、まず、障害・保守ルール抽出部102のルール処理過程記録部405に記録されている保守作業情報集約表(図10参照)中の障害及び保守作業記録の集約レコードの個々ついて、値に"○"をとる。
すなわち、「交換された」ことを示す交換部品項目(「交換部品1」〜「交換部品n」)の各々の項目ID(項目名末尾の数字)をキーにして、「部品判別ルール蓄積DB104」に格納された分類条件表(図13参照)の項目「核部品」を照合・検索し、同DBから当該部品に関して最も故障しやすいと判断しているレコード、つまり、項目「説明比(部品交換)」と、特性値と寄与率の対応表(図11参照)に示す対応する特性値の「寄与率」との積(以下、「故障判別基準値」という)が最も大きいレコードを取得して、この「故障判別基準値」と、同レコードの「ID」、「核部品」と、照合元であった保守作業情報集約表(図10参照)の障害及び保守作業記録の集約レコードの「保守ID」の4つの項目の組を出力する。図18にその表示出力例を示す。同図中の表の2行目の項目「核部品ID」の値が"−"となっているが、これは該当するレコードが見つからなかった、若しくは、当該レコードの「説明比(部品交換)」が定められた閾値より低く除外されたことを意味する。つまり、当該レコードの保守作業では、交換された部品は故障していなかった可能性がある、ということになる。また、2行目、3行目は「保守ID」は同一の値をとっているが、これは交換された部品が2つあり、各々の検索結果が出力されたからである。
なお、「故障判別基準値」はパーセンテージで表記されているが、自明だがこれは「故障率」を意味するものではない。これは、該当するルールが、障害対策を含む保守作業の記録の集合全体のどの程度を説明できるかという寄与率が、部品交換の結果どの程度改善するかを示すものである。端的に言えば、この値が大きいほど、当該部品の交換の後に適用しうる方策が限定される、ということであり、この値が大きい順に部品を交換していくと、最短手順で障害から回復できる可能性が高い、ということを示唆する。
コード変換部602は、推定故障部品列挙部601の出力項目「核部品ID」の値を、部品判別ルール蓄積DB104に格納された「交換部品1」〜「交換部品n」との対応関係から逆引きして「部品コード」に変換し、変換結果を出力に付記する。
図18中の表に処理結果を反映した例を図19に示す。この図19中の表は、項目「故障判別基準値」の高いものほど、故障部品である可能性が高いことを意味する。また、交換部品を含む保守作業記録にもかかわらず、この表に対応するレコードが無い場合、当該部品は故障していなかった可能性がある、という意味である。
推定故障部品出力部603は、コード変換部の処理結果を出力する。その出力先は、本実施形態のシステムが実装された計算機の表示装置(CRT、液晶ディスプレイ等)、若しくは同計算機が利用する記憶媒体(ハードディスク等)が適当だが、特にそれに限定するものではなく、他の表示装置や記憶媒体でも構わない。
本実施形態においては、上述の第1〜第3の実施の形態と同様に保守作業における最短手順を作業者に提示することができるだけでなく、最短手順の先に来る交換部品ほど故障していることが多いので、この最短手順を基に過去の保守作業の故障部品を推測することができる。
なお、上述の各実施の形態においては、障害・保守ルール抽出部および有意部品判別部の機能をサーバ側のコンピュータで、有意部品判別部の判別結果の集合から過去の保守作業における部品交換の必要性と障害に対する直接関連性の高い部品とを推測する判別知識適用部の機能をクライアント側のコンピュータで、それぞれ実現するよう、両コンピュータにサーバ側およびクライアント側のプログラムをそれぞれ格納し、判別知識適用部の推測結果から将来の保守作業における交換部品の優先順位を決定可能としていたが、本発明の保守作業における交換部品推定プログラムは各種の記憶媒体や記録媒体に書き込んだ状態で、あるいは、ネットワークを介した伝送により、他のコンピュータに容易に移植することができ、本発明のシステムを容易に再構築し、或いはその端末数を容易に増減することができる。
以上説明したように、本発明は、障害対策を含む保守作業の記録における故障部品を特定する知識を構成することで、障害対策を含む保守作業の記録の記述内容に一貫性を欠く状況下でも、その記録の分析を容易化するとともに、故障している可能性の高い部品に対し障害処置で交換すべき部品としての優先順位をつけて不要な部品交換を削減し、保守作業の効率化を図ることができるという効果を奏するものであり、保守作業記録を含む市場品質情報の解析・利用に供することができる交換部品推定システム、交換部品推定方法および交換部品推定プログラム全般に有用である。
本発明の第1の実施の形態に係る保守作業における交換部品推定システムを示すその知識集約・構成部のブロック図である。 第1の実施の形態に係る交換部品推定システムの作業支援部の構成を示すそのブロック図である。 第1の実施の形態に係る交換部品推定システムの全体構成を示すブロック図である。 第1の実施の形態に係る交換部品推定システムの障害・保守ルール抽出部の構成を示すそのブロック図である。 第1の実施の形態に係る交換部品推定システムの障害・保守情報DBに格納される個体識別情報の説明図である。 第1の実施の形態に係る交換部品推定システムの障害・保守情報DBに格納される過渡履歴情報の説明図である。 第1の実施の形態に係る交換部品推定システムの障害・保守情報DBに格納される保守作業履歴の説明図である。 第1の実施の形態に係る交換部品推定システムの障害・保守情報DBに格納される障害・保守作業情報データの説明図である。 第1の実施の形態に係る交換部品推定システムの障害・保守ルール抽出のためのルール処理過程記録部および部品判別ルール蓄積DBに格納される保守作業情報集約表の説明図である。 第1の実施の形態に係る交換部品推定システムのルール処理過程記録部および部品判別ルール蓄積DBに格納される多変量集約部処理後の保守作業履歴の説明図である。 第1の実施の形態に係る交換部品推定システムの部品判別ルール蓄積DBに格納される「特性値と寄与率」の対応例の説明図である。 第1の実施の形態に係る交換部品推定システムのルール処理過程記録部および部品判別ルール蓄積DBに格納される分類条件表の説明図である。 第1の実施の形態に係る交換部品推定システムのルール処理過程記録部および部品判別ルール蓄積DBに格納される有意部品判別部処理後の分類条件表の説明図である。 第1の実施の形態に係る交換部品推定システムの部品交換優先順位提示部で出力される提示情報の説明図である。 第1の実施の形態に係る交換部品推定システムの部品交換優先順位提示部で出力される製品情報を含む提示情報の説明図である。 本発明の第4の実施の形態に係る保守作業における交換部品推定システムの構成を示すそのブロック図である。 第4の実施の形態に係る交換部品推定システムの記録解析部の構成を示すそのブロック図である。 第4の実施の形態に係る交換部品推定システムの推定故障部品出力部で出力される提示情報の説明図である。 第4の実施の形態に係る交換部品推定システムのコード変換部の処理結果を含む推定故障部品出力部で出力される提示情報の説明図である。
符号の説明
10 知識集約・構成部
20、2001〜200n 作業支援部
101 障害・保守情報DB
102 障害・保守ルール抽出部
103 有意部品判別部
104 部品判別ルール蓄積DB
202 障害情報取得部
203 知識取得・保持部
204 部品交換優先順位決定部(判別知識適用部)
205 部品交換優先順位提示部
401 記録集約部
402 情報補完部
403 多変量集約部
404 ルール抽出部
405 ルール処理過程記録部
501 記録解析部(判別知識適用部)
601 推定故障部品列挙部
602 コード変換部
603 推定故障部品出力部

Claims (15)

  1. 部品交換情報を含む過去の障害対策その他の保守作業の記録の集合を、個々の記録間の類似性により分類し、その分類から再現性の高い障害について前記保守作業に関する作業ルールを抽出する障害・保守ルール抽出部と、
    前記障害・保守ルール抽出部で抽出された作業ルールのうち部品交換を含む特定ルールについて、該ルールに対する部品の寄与の程度から、障害又は保守の状況に対する当該部品の交換の必要性を判別する有意部品判別部と、
    前記有意部品判別部の判別結果の集合から、過去の保守作業における部品交換の必要性と障害に対する直接関連性の高い部品とを推測する判別知識適用部と、を備え、
    前記判別知識適用部の推測結果から将来の保守作業における交換部品の優先順位を決定可能としたことを特徴とする保守作業における交換部品推定システム。
  2. 前記有意部品判別部が、
    前記障害・保守ルール抽出部で抽出された作業ルールのうち部品交換を含む特定ルールに関して、該特定ルールから部品交換の1つを除去した比較用ルールを新たに生成し、
    元の特定ルールを満たす過去の障害対策その他の保守作業の記録の集合と新たに生成した比較用ルールを満たす障害対策その他の保守作業の記録の集合との2者を、両集合を構成する記録項目及び変数を集約した所定の特性値の情報量について比較し、
    前記比較用ルールを満たす場合に元の特定ルールから前記所定の特性値の情報量が有意に減少する部品を、当該特定ルールに対応する保守作業において必要性のある部品と判定し、その減少の程度の大きいものを、より必要性の高い部品と判定することを特徴とする請求項1に記載の保守作業における交換部品推定システム。
  3. 前記障害・保守ルール抽出部が、
    前記過去の障害対策その他の保守作業の記録の集合から、該集合を構成する複数の記録の項目及び変数の値若しくは値域について出現頻度が有意に高い組み合わせを抽出するもので、
    任意の組み合わせについて、前記記録の項目及び変数を集約した所定の特性値の情報量に基づいて、前記記録の集合全体とその部分集合である当該組み合わせを含む集合とを比較し、
    前記所定の特性値の情報量がより大きく減少する組み合わせを、より有意に出現しやすい組み合わせと判断することを特徴とする請求項1に記載の保守作業における交換部品推定システム。
  4. 前記障害・保守ルール抽出部が、
    前記過去の障害対策その他の保守作業の記録の集合に基づいて、該記録の集合を構成する複数の記録の項目及び変数の値若しくは値域についての出現頻度が有意に高い組み合わせか否かを、
    その組み合わせの前記集合中における出現確率に対する、当該組み合わせを構成する値若しくは値域個々の出現確率の総積の比をもって判断することを特徴とする請求項1に記載の保守作業における交換部品推定システム。
  5. 前記障害・保守ルール抽出部が、
    部品交換を含む前記作業ルールから抽出されるべき特定ルールを選別し、該選別のために、過去の障害対策その他の保守作業の記録の集合における、いずれかのルールを満たす記録の出現数と、該ルールを構成する特定要素を含む記録の出現数と、それ以外の要素の組を含む記録の出現数とから、該ルールおよびその構成要素に関する独立性の検定を行い、独立であると判断されたルールおよびそれに対応する要素の組み合わせを排除する機能を持つことを特徴とする請求項1に記載の保守作業における交換部品推定システム。
  6. 部品交換情報を含む過去の障害対策その他の保守作業の記録の集合を、個々の記録間の類似性により分類し、その分類から再現性の高い障害について前記保守作業に関する作業ルールを抽出する障害・保守ルール抽出段階と、
    前記障害・保守ルール抽出段階で抽出された作業ルールのうち部品交換を含む特定ルールについて、該ルールに対する部品の寄与の程度から、障害又は保守の状況に対する当該部品の交換の必要性を判別する有意部品判別段階と、
    前記有意部品判別段階の判別結果の集合から、将来の保守作業における交換部品の優先順位を決定するか若しくは過去の保守作業における部品交換の必要性と障害に対する直接関連性の高い部品とを推測する判別知識適用段階と、を含むことを特徴とする保守作業における交換部品推定方法。
  7. 前記有意部品判別段階において、
    前記障害・保守ルール抽出段階で抽出された作業ルールのうち部品交換を含む特定ルールに関して、該特定ルールから部品交換の1つを除去した比較用ルールを新たに生成し、
    元の特定ルールを満たす過去の障害対策その他の保守作業の記録の集合と新たに生成した比較用ルールを満たす障害対策その他の保守作業の記録の集合との2者を、両集合を構成する記録項目及び変数を集約した所定の特性値の情報量について比較し、
    前記比較用ルールを満たす場合に元の特定ルールから前記所定の特性値の情報量が有意に減少する部品を、当該特定ルールに対応する保守作業において必要性のある部品と判定し、その減少の程度の大きいものを、より必要性の高い部品と判定することを特徴とする請求項6に記載の保守作業における交換部品推定方法。
  8. 前記障害・保守ルール抽出段階において、
    前記過去の障害対策その他の保守作業の記録の集合から、該集合を構成する複数の記録の項目及び変数の値若しくは値域について出現頻度が有意に高い組み合わせを抽出する際に、
    任意の組み合わせについて、前記記録の項目及び変数を集約した所定の特性値の情報量に基づいて、前記記録の集合全体とその部分集合である当該組み合わせを含む集合とを比較し、
    前記所定の特性値の情報量がより大きく減少する組み合わせを、より有意に出現しやすい組み合わせと判断することを特徴とする請求項6に記載の保守作業における交換部品推定方法。
  9. 前記障害・保守ルール抽出段階において、
    前記過去の障害対策その他の保守作業の記録の集合に基づいて、該記録の集合を構成する複数の記録の項目及び変数の値若しくは値域についての出現頻度が有意に高い組み合わせか否かを、
    その組み合わせの前記集合中における出現確率に対する、当該組み合わせを構成する値若しくは値域個々の出現確率の総積の比をもって判断することを特徴とする請求項6に記載の保守作業における交換部品推定方法。
  10. 前記障害・保守ルール抽出段階において、
    部品交換を含む前記作業ルールから抽出されるべき特定ルールを選別し、該選別のために、過去の障害対策その他の保守作業の記録の集合における、いずれかのルールを満たす記録の出現数と、該ルールを構成する特定要素を含む記録の出現数と、それ以外の要素の組を含む記録の出現数とから、該ルールおよびその構成要素に関する独立性の検定を行い、独立であると判断されたルールおよびそれに対応する要素の組み合わせを排除することを特徴とする請求項6に記載の保守作業における交換部品推定方法。
  11. 部品交換情報を含む過去の障害対策その他の保守作業の記録の集合を、個々の記録間の類似性により分類し、その分類から再現性の高い障害について前記保守作業に関する作業ルールを抽出する障害・保守ルール抽出部と、
    前記障害・保守ルール抽出部で抽出された作業ルールのうち部品交換を含む特定ルールについて、該ルールに対する部品の寄与の程度から、障害又は保守の状況に対する当該部品の交換の必要性を判別する有意部品判別部と、
    前記有意部品判別部の判別結果の集合から、過去の保守作業における部品交換の必要性と障害に対する直接関連性の高い部品とを推測する判別知識適用部と、の機能をコンピュータにより実現し、
    前記判別知識適用部の推測結果から将来の保守作業における交換部品の優先順位を決定可能としたことを特徴とする保守作業における交換部品推定プログラム。
  12. 前記有意部品判別部が、
    前記障害・保守ルール抽出部で抽出された作業ルールのうち部品交換を含む特定ルールに関して、該特定ルールから部品交換の1つを除去した比較用ルールを新たに生成し、
    元の特定ルールを満たす過去の障害対策その他の保守作業の記録の集合と新たに生成した比較用ルールを満たす障害対策その他の保守作業の記録の集合との2者を、両集合を構成する記録項目及び変数を集約した所定の特性値の情報量について比較し、
    前記比較用ルールを満たす場合に元の特定ルールから前記所定の特性値の情報量が有意に減少する部品を、当該特定ルールに対応する保守作業において必要性のある部品と判定し、その減少の程度の大きいものを、より必要性の高い部品と判定することを特徴とする請求項11に記載の保守作業における交換部品推定プログラム。
  13. 前記障害・保守ルール抽出部が、
    前記過去の障害対策その他の保守作業の記録の集合から、該集合を構成する複数の記録の項目及び変数の値若しくは値域について出現頻度が有意に高い組み合わせを抽出するもので、
    任意の組み合わせについて、前記記録の項目及び変数を集約した所定の特性値の情報量に基づいて、前記記録の集合全体とその部分集合である当該組み合わせを含む集合とを比較し、
    前記所定の特性値の情報量がより大きく減少する組み合わせを、より有意に出現しやすい組み合わせと判断することを請求項11に記載の保守作業における交換部品推定プログラム。
  14. 前記障害・保守ルール抽出部が、
    前記過去の障害対策その他の保守作業の記録の集合に基づいて、該記録の集合を構成する複数の記録の項目及び変数の値若しくは値域についての出現頻度が有意に高い組み合わせか否かを、
    その組み合わせの前記集合中における出現確率に対する、当該組み合わせを構成する値若しくは値域個々の出現確率の総積の比をもって判断することを特徴とする請求項11に記載の保守作業における交換部品推定プログラム。
  15. 前記障害・保守ルール抽出部が、
    部品交換を含む前記作業ルールから抽出されるべき特定ルールを選別し、該選別のために、過去の障害対策その他の保守作業の記録の集合における、いずれかのルールを満たす記録の出現数と、該ルールを構成する特定要素を含む記録の出現数と、それ以外の要素の組を含む記録の出現数とから、該ルールおよびその構成要素に関する独立性の検定を行い、独立であると判断されたルールおよびそれに対応する要素の組み合わせを排除する機能を持つことを特徴とする請求項11に記載の保守作業における交換部品推定プログラム。
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