JP2006350138A - 画像表示装置 - Google Patents

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あいら 堀田
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隆 佐々木
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Abstract

【課題】観察者の頭部に搭載したときに、臨場感の高い画像を表示できる画像表示装置を提供する。
【解決手段】画像表示装置が、観察者の頭部に固定され、かつ投射される画像を観察者の上側視野領域及びこの上側視野領域より広い下側視野領域に対応して配置する画像配置手段を具備する。
【選択図】図1

Description

本発明は、画像表示装置に関し、特に、観察者の頭部に搭載可能な画像表示装置に関する。
従来、観察者の頭部に搭載される画像表示装置として、画像表示手段と画像投射手段と結像レンズとを有する画像投影装置と、小型スクリーンとが一体化された画像表示装置の技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。これは、頭上に画像投影装置を配置して、前方に配置された曲面スクリーンに画像を投影するものである。
また、両目の前に小型の画像表示装置を配置して、そこで表示される画像を接眼レンズによって拡大し、その拡大された虚像を鑑賞する画像表示装置の技術が開示されている(例えば、特許文献2参照)。
特開平9−81785号公報 特開平10−239631号公報
しかしながら、従来の画像表示装置では必ずしも臨場感が十分であるとは限らなかった。
そこで、本発明は、観察者の頭部に搭載したときに、臨場感の高い画像を表示できる画像表示装置を提供することを目的とする。
本発明に係る画像表示装置は、画像を表示する画像表示手段と、前記表示された画像を投射する画像投射手段と、観察者の頭部に固定され、かつ前記投射される画像を前記観察者の上側視野領域及びこの上側視野領域より広い下側視野領域に対応して配置する画像配置手段と、を具備することを特徴とする。
本発明によれば、観察者の頭部に搭載したときに、臨場感の高い画像を表示できる画像表示装置を提供できる。
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
(第1の実施形態)
画像表示装置によって臨場感の高い映像を表示するには、観察者の広い視野に映像を表示することが有効である。一般に、画像は水平方向が広いものが多い。このため、観察者に表示される画像は水平視野が広く、垂直視野は狭いものとなる。このような映像で臨場感の高い画像を観察者に提示するには、垂直視野が上下に対称に表示されるよりも、下側に広く画像が表示されたほうが高い臨場感が得られる。
図1は、本発明の第一の実施形態に係る画像表示装置1を横から見た状態を表す側面図である。図2は、本発明の第一の実施形態に係る画像表示装置1を図1のA1−A2(観察者の目を通る水平面)に沿って水平に切断した状態を表す一部断面図である。
画像表示装置1は、画像投影装置18(光源11、表示素子12、結像レンズ13、集光レンズ16、プリズム17)と、スクリーン14と、頭部固定手段15と、映像データ蓄積部19aと、補正部19bとから構成されている。
画像投影装置18は、筐体内に光源11、集光レンズ16、プリズム17、画像信号発生手段(図示せず)、及び電源(図示せず)などが配置されている。
画像投影装置18は観察者の頭上に、頭部固定手段15により配置される。結像レンズ13のスクリーン側のレンズ面(以下、レンズ投影面とする)を通る水平面と観察者の眼との垂直距離をH(以下、垂直距離Hとする)は、できるだけ小さいことが好ましいからである。垂直距離Hが大きくなると、画像の歪が大きくなり、有効に使える画素領域が減少するので解像度が低下するからである。
光源11は、表示素子12によって形成した画像をスクリーン14上に投射するもので、画像投射手段として機能する。通常、光源11は、表示素子12の後ろに配置される。
表示素子12は、スクリーン14に投影すべき画像を形成するもので、画像表示手段として機能する。例えば、液晶表示パネルのように、画像情報から実際の画像を形成する装置を備える。
結像レンズ13は、光源11によってスクリーン14上に投射される画像を結像させるもので、画像配置手段として機能する。通常、結像レンズ13は、一枚のレンズではなく複数のレンズからなるレンズ群であるが、この点は本実施形態に関し本質的ではないので、便宜上一枚のレンズとする。
ここで、結像レンズ13のバックフォーカスf(結像レンズ13の後方の焦点距離)が短いほうが、結像レンズ13が小さくなり、軽量化し易くなる。結像レンズ13が軽量化されると、結像レンズ13と表示素子12とを一体として画像投影装置18本体から分離することが容易となる。
スクリーン14は、投影すべき画像を表示するためのものである。
本実施の形態では、スクリーン14の中心が観察者の眼の位置になるように配置されている。臨場感が得られるように広い視野に画像を表示するため、曲面、球面状、半球面状のスクリーンが使用される。本実施の形態では、半径25cmの半球形状のスクリーンが用いられている。スクリーン14は、画像投影装置18の前方に配置されている。
非平面のスクリーン14は画像投影装置18と一体になっている。非平面のスクリーン14を用いているため、小型化を図ることができる。また、スクリーンと画像投影装置18を一体化しているので、周囲の影響を受けずに(周囲に影響を与えずに)、投影することができ、かつスクリーン以外は視野に入らないため投影画像に没頭することができる。
頭部固定手段15は、画像投影装置18を、観察者の頭部に固定するもので、例えば、ヘルメットである。
集光レンズ16は、光源11からの光線をプリズム17に効率良く収束させるものである。
プリズム17は、結像レンズ13の中心と表示素子12の表示領域の中心を通る直線を、水平線に対して傾け、結像レンズ13の光軸と光源11の光軸とを一致させる。結像レンズ13からの出射光を下方に向けることで、下側視野角を大きくし、臨場感の高い画像を表示させるためである。
仮にプリズム17を用いず、画像投影装置18全体を傾けると、装置の小型化が行い難くなる。
また、プリズム17を用いることで、画像投影装置18の重心と観察者の頭の中心とを一致させ、観察者が疲れにくくすることが容易となる。前記のように、解像度の低下を防止するためには結像レンズ13と観察者の目との垂直距離Hを小さくすることが好ましい。このように、結像レンズ13を配置しようとすると、画像投影装置18の重心と観察者の頭の中心とを一致させにくくなり、長時間の使用が困難となる。プリズム17を用いることで、結像レンズ13を画像投影装置18の本体と分離して配置することが容易となり、重心の位置の調節が容易となる。
映像データ蓄積部19aは、映像データを蓄積している記憶装置であって、例えば、ハードディスク、DVD、CD−ROMなどを挙げることができる。
補正部19bは、後述する歪補正がなされるもので、CPUとソフトウエアの組み合わせによって構成されている。歪補正は、スクリーンに生じる歪とは逆特性の歪をあらかじめ映像データに加えておき、スクリーン14上に投影されたときに、歪が補正されるようにしたものである。歪補正がなされた映像データに基づいて、表示素子12に画像が表示される。
映像データ蓄積部19aに記憶された映像データは、補正部19bによって歪補正がなされる。歪補正がなされた映像データに基づいて、表示素子12に画素の集合体による画像が表示される。光源11によって、各画素から出て結像レンズ13に入った光は、スクリーン14上に実像を結び、スクリーン14上に投影される。
画像表示装置1の画像の臨場感を高くするための条件について説明する。
まず、水平視野について説明する。水平視野角(観察者の両眼を通る水平断面において、スクリーン上に投影される画像の水平方向の両端部と観察者の眼を結ぶ2つの直線のなす角度)と誘導角について調べられている。誘導角とは、画像を傾けて提示したとき観察者が物理的な垂直・水平方向から自分の座標軸が傾いて感じる、その感じた傾き角度である。画面に提示された視覚刺激(画像の傾き)に対して、誘導される観察者の座標軸の傾き(誘導角)が大きければ大きいほど、観察者が臨場感を感じているということを示している。
結果によると、水平視野が広くなるに従って誘導角も大きくなる。水平視野角が100°になると誘導角が飽和することが一般的に知られており、臨場感の高い映像を呈示するには水平視野角100°以上あることが望ましい。
水平視野と臨場感に関して検討した結果、水平視野角100°以上でも、さらに水平視野が広がるほど臨場感が高くなる結果を得た。水平視野角150°までは、水平視野が広がるほど臨場感が高くなる。水平視野角150°で観察者は水平視野のほぼ全領域に映像が呈示されたと感じる。従って、水平視野角は100°以上、より好ましくは150°以上である。本実施の形態では水平視野角を120°とした。
必要な水平視野角を得るための結像レンズ13の配置について説明する。図2に示すように、観察者の眼からスクリーン14までの水平方向の距離をrとする。投影される画像についての観察者の水平視野角をαとする。結像レンズ13の水平方向の投射画角をβとする。観察者の両眼を通る垂直面と、結像レンズ13のスクリーン側のレンズ面(以下、レンズ投影面とする)との水平距離をIとする。
画像投影装置18から非平面のスクリーン14に投影される画像について、必要な水平視野角を確保するには、観察者の眼の位置と結像レンズ13のレンズ投影面の位置とスクリーン14の位置関係が重要である。
図2に示すように、観測者の水平視野角αのスクリーン14上の点を点U1、U2とし、投射画角βの結像レンズ13からスクリーン上に結像する画像の水平方向の端部を点U1、U2に一致させる。この場合の観察者の両眼を通る垂直面とレンズ投影面との距離をAとする。点U1と点U2を通る水平な直線と、スクリーン14の中心と観察者の眼を結ぶ直線との交点を点Vとし、観察者の眼から点Vまでの長さをB、点Vから点U1までの長さをCとする。
観察者に水平視野角αの画像を呈示するためには、A≦Iであればよい。A+B=rsin(α/2)/tan(β/2)、B=rcos(α/2)であるから、A=(A+B)−B=rsin(α/2)/tan(β/2)−rcos(α/2)である。したがって、結像レンズ13のレンズ投影面と観察者の両眼を通る垂直面との水平距離I(以下、単に水平距離Iとする)が式(1)の関係を満たせば、必要な水平視野角を得ることができる。
Figure 2006350138
次に、垂直視野について説明する。前述のように、臨場感の高い画像を観察者に提示するには、垂直視野が上下に対称に表示されるよりも、下側に広く画像が表示されたほうが高い臨場感が得られる傾向にある。
観察者の眼とスクリーンの中心を通る垂直断面において、観察者の眼と投影された画像の下方端部を結ぶ直線と、水平の直線とがなす角度を下側視野角γとする。画面が球状のスクリーンの垂直視野について調べたところ、下側視野角γが45°未満では視野が足りず、45°以上で許容範囲となる。さらに60°以上に画像を表示するとほぼ下側視野は十分であるという結果が得られた。また、下側視野角γ=75°以上で観測者は、下側の垂直視野のほぼ全領域に映像が表示されたと感じる。
上側の垂直視野に関しては、30°が許容範囲、45°以上でほぼ十分、さらに60°以上で観測者は、上側の垂直視野のほぼ全領域に映像が表示されたと感じるという結果が得られた。
レンズ投影面を観察者の頭の後方にすれば、投射角度の小さい結像レンズでも必要な水平視野角αが得られるが、レンズ投影面を後ろにしすぎると、観察者の頭の影となってしまうことから、観察者の下側視野への画像の表示が困難となる。特に下側視野角60°付近へ画像を表示すると、観察者の額の部分が影となってしまう。
下側視野角60°以上の範囲に画像を表示できる水平距離Iの条件について説明する。図3は、本発明の第一の実施形態に係る画像表示装置1を横から見た状態を表す側面図である。観察者の下側視野角をγ=60°とする。レンズ投影面を通る水平面と観察者の眼との垂直距離をH、目から額までの垂直距離をd、観察者の目から下側視野角γ=60°方向のスクリーン14までの距離をrとする。
レンズ投影面を点F、額を点O、下側視野角γ=60°方向のスクリーン14上の点を点Dとする。点F、点Dに水平な2本の直線を引き、観察者の眼を通る垂直な直線との交点をそれぞれ点G、点Eとすると、2つの相似形のΔODEとΔOFGが得られる。辺EO=(rsinγ+d)、辺DE=rcosγ、辺GO=H−d、辺FG=Iであるため、三角形の比から、(rsinγ+d):(H−d)=rcosγ:Iの関係が得られる。
sin60°=0.86、cos60°=0.5であるから、下側視野角γ=60°以上の範囲に画像を表示するためには、水平距離Iが以下の式(2)の関係を満たす必要がある。
Figure 2006350138
次に、見やすく、疲れにくい映像を表示するための条件について説明する。観察者の視線位置は、通常、下側視線角θ=0°〜15°の範囲である。ここで、下側視線角θは、観察者の眼とスクリーンの中心を通る垂直断面において、観察者の眼と下側視線方向のスクリーン上の点とを結ぶ直線と、水平の直線とがなす角度とする。
図4は、観察者の視線が下側視線角θ=0°の場合における本発明の第一の実施形態に係る画像表示装置1を横から見た状態を表す側面図である。画像投影装置18から投影される画像は、頭上から下側に向かって投影される。結像レンズ13の中心と表示素子12の表示領域の中心を通る直線mと、水平線とのなす角をδとする。レンズ投影面を点M、直線mと観察者の眼を通る垂直な直線との交点を点J、レンズ投影面を通る水平な直線と観察者の眼を通る垂直な直線との交点を点N、下側視線角θ=0°方向のスクリーン14上の点を点K,観察者の眼の位置を点Lとする。
ΔJKLとΔJMNは相似形である。ここで、観察者の眼とレンズ投影面を通る水平面との垂直距離H(以下、単に垂直距離Hとする)は、辺JNの長さに対して十分大きいため(H≫JN)、辺LJの長さは、垂直距離Hに近似できる(LJ≒H)。したがって、観察者の下側視線角θ=0°の場合には、式(3)の関係を満たす。
tan−1(H/r)=δ ……式(3)
図5は、観察者の下側視線角θ=15°の場合における本発明の第一の実施形態に係る画像表示装置1を横から見た状態を表す側面図である。レンズ投影面を点Q、直線mと観察者の眼を通る垂直な直線との交点を点P、レンズ投影面を通る水平な直線と観察者の眼を通る垂直な直線との交点を点R、下側視線角θ=15°方向のスクリーン14上の点を点S,点Sを通る水平な直線と観察者の眼を通る垂直な直線との交点を点Tとする。
ΔPSTとΔPQRは相似形である。ここで、辺TPの長さは、辺PRの長さに対して十分大きいため(TP≫PR)、辺TPの長さは、辺TRの長さと近似できる(TP≒TR)。したがって、観察者の下側視線角θ=15°の場合には、式(4)の関係を満たす。
tan−1{(rsin15°+H)/rcos15°}=δ ……式(4)
sin15°=0.25、cos15°=0.96である。式(3)、(4)から、δが式(5)の範囲内にあれば、画像中心領域が観察者の視線位置(θ=0°〜15°)に一致するため、見やすく、疲れにくい映像を呈示することができる。
Figure 2006350138
眼からスクリーンまでの距離r及びrは、頭部に搭載できる範囲で設定することができるが、略20〜30cmが良い。r、rが近すぎると眼の調節安定位置よりも短くなり、眼への負担が大きくなる。また、r、rを長くすると装置が大きくなり、頭部に搭載するには負担がかかる。
及びrは必ずしも等しくなくてもよい。この場合、スクリーンは観察者の目を中心として、r及びrを通る曲線とする。
目から額までの垂直距離dは眼と頭頂の距離の約1/2にあり、具体的には略6〜7cmである。
本実施の形態では投射画角β=120°の結像レンズを用いて、観察者の水平視野角α=120°の映像を提示し、水平距離I=0cm、垂直距離H=18cmの位置にレンズ投影面を配置した。結像レンズ13はδ=約55°傾け、画像の中心が目線位置に来るようにした。このようにして画像を表示したところ、水平視野角α=120°の視野であって、観察者の額に邪魔されず、下側視野角がγ=約60°まで良好に画像が表示できることが確認できた。
なお、実際に画像を表示するに当たっては、スクリーン面の形状に合わせて画像の歪を補正して表示した。歪補正は、補正部19b(図1参照)によって、スクリーン14に生じる歪とは逆特性の歪をあらかじめ映像データに加えておき、スクリーン14上に投影されたときに、歪が補正されるようにするものである。
図6は、スクリーン面の形状に起因する画像の歪補正を表す図である。図6(a)は、歪補正なしの状態で非平面なスクリーン14に対して斜め上から投影した場合の画像である。図6(b)は、図6(a)とは、逆特性の歪である。映像データに図6(b)の歪を加えておき、スクリーン14上に投影すれば、歪の少ない投影画像(図6(c))がスクリーン14上に形成される。
以上により、歪のない自然な映像を観察者に表示でき、また、臨場感の高い映像を得ることができた。
(第2の実施形態)
第1の実施形態に係る画像表示装置1では、広角な結像レンズを用いることによって、必要な水平視野角及び下側視野角60°を確保することができた。しかし、第1の実施形態の方法では、下側視野をさらに広げることは観察者の鼻が影になるので困難である。そこで、第2の実施形態では、さらに広い下側視野に画像を表示できる画像表示装置2について説明する。
図7は、本発明の第2の実施形態に係る画像表示装置2を横から見た状態を表す側面図である。
第2の実施形態に係る画像表示装置2は、画像投影装置28(光源21、表示素子22、結像レンズ23、集光レンズ27等を有する)と、反射部24と、スクリーン25と、頭部固定手段26と、映像データ蓄積部29aと、補正部29bとから構成されている。
画像投影装置28は頭部固定手段26により、観察者の頭上に配置される。
反射部24は、結像レンズ23から出射された出射光の一部を反射させ、下側視野を確保するためもので、例えば、反射鏡である。反射部24を有することから、結像レンズ23からの出射光を略水平方向としている。結像レンズ23からの出射光を下側に傾ける必要が無くなったことから、本実施形態ではプリズムを用いず、また表示素子22及び結像レンズ23を画像投影装置28の筐体と一体としている。
画像投影装置28から投射された画像は、非平面のスクリーン25に表示される。このとき、表示素子22での画像の上部領域は、反射部24により反射されて観察者の下側視野領域に表示される。反射部24は観察者の上側視野角60°以上の領域に取り付けられると、観察者の視野に入らず、観察者は気にならない。
図8は、第2の実施形態において、元画像(A)と、表示素子22に形成される画像(B)と、スクリーン23上に投影される画像(C)との関係を表す図である。図8に示すように、元画像(A)の下部の領域の画像を、表示素子22に形成される画像(B)の上部の領域に上下反転して配置している。この元画像(A)の下部の画像領域に対応している画像(B)の上部の画像領域を折り返し部分41とする。実際にスクリーン25上に投影すると、折り返し部分41の画像はミラー反転のために上下の反転した鏡像として投影されるため、折り返し部分41の上下をあらかじめ反転させている。また、元画像(A)の上部の領域の画像がそのまま形成されている画像(B)の下部の画像領域を、非折り返し部分42とする。
なお、説明を理解しやすくするために、図7の画像(B)は、歪補正を考慮しない状態を表している。
折り返し部分41と非折り返し部分42との間に、非表示状態とした非表示部43を設けた。折り返し部分41と非折り返し部分42との間が連続していると、反射部24に反射させる領域の調整が困難であるため、折り返し部分41と非折り返し部分42との間に非表示部43を挿入し、この調整を容易にした。非表示部分43は、例えば、画像領域全体(折り返し部分41と非折り返し部分42の総和)の5%程度とした。
本実施形態に係る画像表示装置2では、反射部24によって画像投影装置28から投射された光の一部が反射されることから、スクリーン25上に画像(C)を投影するには、表示素子22上での画像は画像(B)のようにする必要がある。そのため、非折り返し部分42では走査線を上から下に順番に走査させ、折り返し部分41では走査線を下から上に順番に走査させた。以下に、その詳細を述べる。
図9は、表示素子22の構成の詳細を表すブロック図である。表示素子22は、制御回路221とXドライバ222とYドライバ223と液晶表示パネル226とから構成されている。
メモリ220は、補正部29bから出力されたデータを一時的に記憶するものである。
制御回路221は、メモリ220から画像データを読み取って、読み取った画像データを基に、Xドライバ222及びYドライバ223を制御する回路である。制御回路221からYドライバ223に供給される制御信号には、画信号のサンプリングの開始を指示する信号である走査開始信号Sが含まれる。
液晶表示パネル226は、表示素子22の画像の表示部である。液晶表示パネルの左右方向に沿って、複数の走査線(走査線の番号N=1〜m、mは画像表示装置の走査ライン数とする)が平行に配置されている。ここで、非折り返し部分42の走査線の番号は、N=1からN=Lであり、折り返し部分41の走査線の番号は、N=L+1からN=L+nであり、非表示部43の走査線の番号はN=L+n+1からN=mであるとする。
走査線が形成されている方向と直交する方向(縦方向)に沿って、信号線(図示せず)が平行に配置されている。複数の走査線(走査線の番号N=1〜m)と、複数の信号線との交点には、複数の画素がマトリクス状に配置されている。
Xドライバ222は、各信号線に表示用データ信号を供給して、これらを駆動するものである。
Yドライバ223は、各走査線(走査線の番号N=1〜L及びN=L+1〜L+n)のそれぞれに走査信号を供給して、これらを順次駆動するものである。Yドライバ223は、非折り返し部42の走査線(走査線の番号N=1〜L)を走査するY1ドライバ224と、折り返し部41の走査線(走査線の番号N=L+1〜L+n)を走査するY2ドライバ225に区分して考えることができる。
まず、Y1ドライバ224が、非折り返し部42の走査線をN=1から順にN=Lまで走査順序を上から下へ順番に走査する。その後引き続き、Y2ドライバ225が、折り返し部41の走査線をN=L+1、N=L+2、N=L+3と順にN=L+nまで走査順序を下から上へ順番に走査する。
非表示部分43は、液晶表示パネル226に電圧無印加で黒を表示するノーマリーブラック液晶ディスプレイを用い、走査線の番号N=L+n+1からN=mの走査線に信号を与えずに暗状態にすることで作成できる。
このようにして画像を表示すると、画像データは、折り返し部分41と非折り返し部分42に非表示部43を挿入した画像となる。
図10は、Yドライバ223の詳細を表すブロック図である。Y1ドライバ224は、例えば、要素ドライバ71〜76を有する。Y2ドライバ225は、例えば、要素ドライバ77、78を有する.各要素ドライバ71〜78は、走査開始信号Sを端子Iへ与えられた場合、K本の走査線を順次走査する。そしてK本の走査を終了した場合、次段へ与える走査開始信号Sを生成して端子Oから出力する。この走査開始信号Sが次段の要素ドライバの端子Iへ入力され、走査が開始される。このようにして、Y1ドライバ331は、L=6K本の走査線を走査し、Y2ドライバ332は、n=2K本の走査線を走査する。
スクリーン25上に、折り返し部分44と非折り返し部分45が連続して表示されるように(図8(C)参照)、表示素子22に表示される折り返し部分41の画像を補正した。以下にその詳細を述べる。
表示素子22の画像の折り返し部分41は、反射部24によって反射されてからスクリーン25上に投影されるのに対し、非折り返し部分42はスクリーン25上に直接投影される。そのため、表示素子22の画像の折り返し部分41は、非折り返し部分42よりもスクリーン25に投影されるまでの光路が長い。この光路の長さの違いによって、折り返し部分41がスクリーン25に投影されたときの拡大率R1は、非折り返し部分42がスクリーン25に投影されたときの拡大率R2よりも大きい。この拡大率R1と拡大率R2の違いにより、スクリーン25上の画像が不連続にならないように画像補正をおこなった。
図11は、表示素子22の折り返し部分41の画像の拡大率R1と、非折り返し部分42の画像の拡大率R2の相違に起因するスクリーン25上の画像の不連続を補正する様子を示す図である。
画像(A)は、元画像である。画像(B)は、表示素子22上の画像である。画像(C)は、スクリーン25上に投影された画像である。画像(B)の折り返し部分41がR2/R1に縮小するようにあらかじめ映像データを補正しておけば、表示素子22の画像は、画像(B)のように表示される。この画像(B)をスクリーン25上に投影すれば、光路の長さの相違による拡大率の相違の問題は解消され、連続した画像(C)を表示することができる。
なお、説明を理解しやすくするために、図11の表示素子22の画像(B)は、非平面のスクリーン25の形状に合わせるための歪補正を考慮しない状態を表している。
以上のように、第1の実施形態に係る画像表示装置1では、観察者の鼻が影になり表示されなかった下方視野領域にも良好な画像を表示することができ(図11(C))、臨場感の高い画像が得られた。
折り返しの画像は、観察者の下側視野角40°以上の領域に表示されると、不連続性が目立たなかった。そのため、折り返し部分44はスクリーン25に投影された画像の略25%以下にすることが必要である。
本実施形態は、その他の点では、第1の実施形態と本質的に相違するところがないので説明を省略する。
(第3の実施形態)
第3の実施形態では、表示素子32によって形成された画像を虚像として観察できるように、観察者の眼に集光する接眼光学系33を用いたヘッドマウントディスプレイへの適用例について説明する。なお、第2の実施形態と本質的に相違しない点については、説明を省略する。
図12は、本発明の第3の実施形態に係る画像表示装置3の一例を表す斜視図である。画像表示装置3は、例えば眼鏡のようにかけて、頭部に固定して使用する。
図13は、図12の破線の円Uで囲まれた領域について、画像表示装置3の内部構造を表す図である。図13には、画像表示装置3の片眼のみの内部構造が示されているが、他方の片眼にも同様なものが設けられている。
本発明の第3の実施形態に係る画像表示装置3は、平面光源31、表示素子32、接眼光学系33、頭部固定フレーム39、映像データ蓄積部30a、および補正部30bから構成される。
平面光源31は、表示素子32に平行な光線を入射させるものであり、画像投影手段として機能する。一例として、LEDアレイ31aと、LEDアレイ31aに対応するレンチキュラーレンズ31bとから構成されたものを示している。
LEDアレイ31aは、複数のLEDが縦横平面状に配列されたものである。レンチキュラーレンズ31bは、この複数のLEDそれぞれと対応する複数のレンズ部を有する。それぞれのLEDから発せられた光がレンズ部によって平行光に変換される。LEDを複数としているのは、LEDアレイ31aとレンチキュラーレンズ31b間の距離を小さくして平面光源31を薄くするためである。これにより、画像表示装置3を眼鏡形状にすることが容易になる。
なお、平面光源31としては、このようなLEDアレイ31aとレンチキュラーレンズ31bの組み合わせ以外であっても、平行光線を出射可能であればどのような構成であっても差し支えない。図14は、平面光源31の他の構成例を示す図であり、白色光源81とパラボラ反射鏡82とテーパー状導光体83とから構成されている。パラボラ反射鏡82は、白色光源81からの光を平行光にして反射する、断面が放物線形状の反射鏡である。テーパー状導光体83は、ガラス等の透明体からなり、斜面に断面鋸歯状の全反射フレネル面84が設けられている。白色光源81からの光は、パラボラ反射鏡82により平行光にされ、テーパー状導光体83の側面を透過し、全反射フレネル面84で反射され、テーパー状導光体83のもう一つの側面から角度ωで出射されて、平行光を得ることができる。
接眼光学系33は、プリズム面36と反射面34、35、37とから構成される。
プリズム面36は、表示素子32から出射された光を全反射する。
反射面34、37は、プリズム面36で反射された光をさらに反射、集光するものであり、光学素子として機能する、例えば、曲面反射鏡である。この結果、反射面34、37で反射された光は虚像を形成する。
反射面35は、反射面34で反射された光をさらに反射するものであり、反射部として機能する、例えば、反射鏡である。この結果、反射面35で反射された光は観察者の下側視野領域に虚像を形成する。
以上のように、反射面34、37、35は、像(虚像)を観察者の上側視野領域および下側視野領域に配置する画像配置手段として機能する。
頭部固定フレーム39は、一例として眼鏡のように耳に引っ掛けるものであり、頭部固定手段として機能する。
表示素子32を介して出射された光は、接眼光学系33を介して観察者の眼に結像される。表示素子32を介して出射された光は、接眼光学系33のプリズム面36で全反射され、反射面37で反射されて、観察者の眼40に導かれる。表示素子32上の画像のうち、非折り返し部分の光はこの反射面37で反射され、観察者の眼40へと導かれる。一方、表示素子32上の画像のうち、折り返し部分の光は、まず、プリズム面36で全反射され、その後、反射面34で反射されて、さらに反射面35で反射されて観察者の眼に導かれ、観察者の下側視野に画像が表示される。観察者の下側視野45°〜60°の範囲に画像が表示されるように、反射面34、35の位置を調整した。
表示素子32上の画像は、第2の実施形態と同様にして作成した。このようにして、接眼光学系33を用いた画像表示装置3についても、観察者の下側視野角60°付近に画像を表示でき、臨場感の高い画像が得られた。
(その他の実施形態)
本発明の実施形態は上記の実施形態に限られず拡張、変更可能であり、拡張、変更した実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
本発明の第一の実施形態に係る画像表示装置を横から見た状態を表す側面図である。 本発明の第一の実施形態に係る画像表示装置を図1のA1−A2に沿って水平に切断した状態を表す一部断面図である。 本発明の第一の実施形態に係る画像表示装置を横から見た状態を表す側面図である。 観察者の視線が下側視線角θ=0°の場合における本発明の第一の実施形態に係る画像表示装置を横から見た状態を表す側面図である。 観察者の視線が下側視線角θ=15°の場合における本発明の第一の実施形態に係る画像表示装置1を横から見た状態を表す側面図である。 本発明のスクリーン面の形状に起因する画像の歪補正を表す図である。 本発明の第二の実施形態に係る画像表示装置を横から見た状態を表す側面図である。 第二の実施形態において、元画像(A)と、表示素子での画像(B)と、スクリーン上に投影される画像(C)との関係を表す図である。 本発明の第二の実施形態に係る画像表示装置の表示素子の構成の詳細を表すブロック図である。 本発明の第二の実施形態に係る画像表示装置の表示素子のYドライバの詳細を表すブロック図である。 本発明の第2の実施形態に係る表示素子の折り返し部分の画像の拡大率R1と、非折り返し部分の画像の拡大率R2の相違に起因するスクリーン上の画像の不連続を補正する様子を示す図である。 本発明の第三の実施形態に係る画像表示装置の一例を表す斜視図である。 本発明の第三の実施形態に係る画像表示装置の内部構造の一例を表す図である。 本発明の第三の実施形態に係る画像表示装置の平面光源の他の構成例を示す図である。
符号の説明
1,2,3…画像表示装置、11,21…光源、12,22,32…表示素子、13,23…結像レンズ、14,25…スクリーン、15,26…ヘルメット、16,27…集光レンズ、17…プリズム、18,28…画像投影装置、19a,29a,30a…映像データ蓄積部、19b,29b,30b…補正部、24…反射部、220…メモリ、221…制御回路、222…Xドライバ、223…Yドライバ、224…Y1ドライバ、225…Y2ドライバ、226…液晶表示パネル、31…平面光源、31a…LEDアレイ、31b…レンチキュラーレンズ、33…接眼光学系、34,35,37…反射面、36…プリズム面、39…頭部固定フレーム、40…観察者の眼、41,44…折り返し部分、42,45…非折り返し部分、43…非表示部、71,72,73,74,75,76,77,78…要素ドライバ、81…白色光源、82…パラボラ反射鏡、83…テーパー状導光体、84…全反射フレネル面。

Claims (9)

  1. 画像を表示する画像表示手段と、
    前記表示された画像を投射する画像投射手段と、
    観察者の頭部に固定され、かつ前記投射される画像を前記観察者の上側視野領域及びこの上側視野領域より広い下側視野領域に対応して配置する画像配置手段と、
    を具備することを特徴とする画像表示装置。
  2. 前記下側視野領域の下側視野角が、60°以上である
    ことを特徴とする請求項1に記載の画像表示装置。
  3. 前記画像配置手段が、前記投射される画像を結像する結像レンズと、前記画像が結像される非平面のスクリーンと、を有する
    ことを特徴とする請求項1に記載の画像表示装置。
  4. 前記結像レンズと前記観察者の眼との水平距離Iが、次の式を満たすことを特徴とする請求項3に記載の画像表示装置。
    Figure 2006350138
    :観察者の眼とスクリーンの水平距離
    α:投射される画像の水平方向視野角
    β:画像配置手段の水平方向投射画角
    H:観察者の眼と結像レンズの垂直距離
    d:観察者の眼と額の垂直距離
    :観察者の眼とスクリーンの下側視野角60°方向での距離
  5. 前記画像表示手段の表示領域と前記結像レンズとを結ぶ直線が水平な直線となす角δが、次式の範囲にあることを特徴とする請求項4に記載の画像表示装置。
    Figure 2006350138
  6. 前記画像配置手段が、前記結像レンズからの出射光の一部を前記下側視野領域に対応するように反射する反射部をさらに有する
    ことを特徴とする請求項3に記載の画像表示装置。
  7. 前記画像配置手段が、前記投射される画像を前記観察者の眼に集光する光学素子と、前記光学素子からの出射光の一部を前記下側視野領域に対応するように反射する反射部とを有する
    ことを特徴とする請求項1に記載の画像表示装置。
  8. 前記画像表示手段の表示領域が、前記反射部に対応し、かつ第1の順序で走査される第1の領域と、前記反射部に対応せず、前記第1の順序と逆の順序で走査される第2の領域と、を有する
    ことを特徴とする請求項6又は7に記載の画像表示装置。
  9. 前記画像表示手段の表示領域が、前記第1、第2の領域の間に配置され、画像を表示しない第3の領域をさらに有する
    ことを特徴とする請求項8に記載の画像表示装置。
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