JP2006349381A - リポタンパク質の分離方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 チップ電気泳動法におけるリポタンパク質の種別の分離精度を高めた、新規な方法を提供する。
【解決手段】 試験溶液に含まれる比重の異なるリポタンパク質を、チップ電気泳動により分離する、リポタンパク質の分離方法であって、リポタンパク質のチップ流路への吸着を防止する吸着防止工程と、電気泳動に伴ってチップ流路に発生する電気浸透流を減じる工程と、チップ流路にポリマーを配し、リポタンパク質の移動度をその比重に応じて制御する工程と、を含む、リポタンパク質の分離方法とする。リポタンパク質の流路への吸着は、例えば、試験溶液中のリポタンパク質を第1の電荷に帯電させる工程と、チップ電気泳動用のランニングバッファー溶液を第1の電荷に帯電させる工程と、当該バッファー溶液をチップ流路に導入する工程と、を含むことにより防止することができる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、チップ電気泳動法を用いて、試験溶液に含まれる比重の異なるリポタンパク質を効果的に分離する方法に関する。
近年、高齢化社会の到来に伴い、高血圧症や心疾患などの生活習慣病の患者数が急速に増大している。血液中のコレステロール(cholesterol)は、血管内壁に堆積して循環器系に大きなダメージを与えるため、高脂血症、冠動脈硬化症、甲状腺機能低下症、閉塞性肝疾患、糖尿病、腎不全などの脂質代謝に影響を及ぼす疾患を引き起こす原因の1つであると考えられている。
それゆえ、生体中(例えば、生体膜や血液中)や食物中のコレステロール量を正確に把握することが、コレステロールに起因する各種疾患の予防や治療方法の方針決定にとって重要となるため、コレステロール量を測定する方法や、その測定に用いる試薬の開発が盛んに行われている。例えば、これまでに、コレステロールとの結合活性に優れたコレステロール酸化酵素やその変異体を、測定用試薬として用いる技術(特許文献1〜5参照)が報告されている。
血液中のコレステロールは、タンパク質と複合体を形成し、リポタンパク質として存在している。このリポタンパク質は、その比重によって、高比重リポタンパク質(high density lipoprotein:HDL)、低比重リポタンパク質(low density lipoprotein:LDL)、超低比重リポタンパク質(very low density lipoprotein:VLDL)およびキロミクロン(chylomicron)の4種類に分けられる。
コレステロールの血管内壁への堆積を予防するには、HDL、LDL、VLDLおよびリポタンパク質中に存在するトリグリセリドの血中濃度を分離して測定することが重要である。特に、HDLとLDLとは相反する機能を有しているため、これらを分離して測定することが重要と考えられている。一般に、HDLは「善玉コレステロール」、LDLは「悪玉コレステロール」と呼ばれるものであり、HDLが、血管内壁に堆積したコレステロールを抜き取って肝臓へと運搬するのに対し、LDLが、肝臓のコレステロールを体の隅々へと運搬する機能を担っている。なお、トリグリセリドの濃度は、HDL、LDLおよびVLDLの濃度を測定すれば、これに基づいて算出することができる。
ところが、特許文献1〜5に記載の技術では、コレステロールの総量を測定することはできるものの、種別を分離して測定することができないという問題がある。
そこで、リポタンパク質の種別を分離する方法として、超遠心法や、アガロース膜、セルロース、アセテート膜またはポリアクリルアミドゲルの支持体を用いた電気泳動法が提案されている。
しかしながら、超遠心法は、大掛かりな装置を必要とし、さらに、試料の調製、分離に時間がかかるとともに、分離状況を確認する際に試料を細分画する必要があるため、検査作業が煩雑であるという問題がある。
他方、支持体を用いた電気泳動法は、大掛かりな装置を必要とせず、また、溶液中のリポタンパク質の移動度の差を利用することにより分離状況を視覚的に捉えることができるため検査作業を比較的簡易化できるものの、その原理上、電気泳動に伴ってジュール熱の発生が避けられず、発生熱量を一定以下に抑制する必要から、高電場を印加することが難しいため、リポタンパク質の分離にかかる時間が依然として長いという問題がある。
ここで、リポタンパク質の種別の分離速度を高めることを目的に、キャピラリーゾーン電気泳動(CZE)やキャピラリー等速電気泳動(CITP)などのキャピラリー電気泳動法(非特許文献1〜11参照)や、マイクロチップ電気泳動法(非特許文献12または13参照)が提案されている。これらの技術では、リポタンパク質を含む測定溶液を、内容積に対して比率の大きな表面積を有したミクロンオーダーの微小な流路中で泳動させることで、電気泳動時に発生するジュール熱を効率よく放散させることができる。
特開平10−080300号公報 特開平10−311833号公報 特開2001−231597号公報 特開平08−242860号公報 特開2000−224999号公報 Hu, S.; Dovichi, N. J. Anal. Chem. 2002, 74, 2833-2850 Quigley, W. W. C.; Dovichi, N. J. Anal. Chem. 2004, 76, 4645-4658 Hu, A. Z.; Gruzado, I. D.; Hill, J. W.; McNeal, C. J.; Macfarlane, R. D. J. Chromatogr. A 1995, 717, 33-39 Stocks, J.; Miller, N. E. J. Lipid Res. 1998, 39, 1305-1309 Macfarlane, R. D.; Bondarenko, P. V.; Cockrill, S. L.; Cruzado, I. D.; Koss, W.; NcNeal, C. J.; Spiekerman, A. M.; Watkins, L. K. Electrophoresis 1997, 18, 1796-1806 Bottcher, A.; Schlosser, J.; Kronenber, F.; Dielinger, H.; Knipping, G.; Lackner, K. J.; Schmitz, G. J. Lipid Res. 2000, 41, 905-915 Zorn, U.; Haug, C.; Celik, E.; Wennauer, R.; Schimid-Kotsas, A.; Bachem, M. G.; Grunert, A. Electrophoresis 2001, 22, 1143-1149 Zorn, U.; Wofl, C.; Wennauer, R.; Bachem, M. G.; Grunert, A. Electrophoresis 1999, 20, 1619-1626 Schmitz, G.; Mollers, C.; Richter, V.; Electrophoresis 1997, 18, 1807-1813 Schmitz, G.; Mollers, C. Electrophoresis 1994, 15, 31-39 Schmitz, G.; Borgman, U.; Assman, G. J. Chromatogr. 1985, 320, 253-262 Weiller, B. H.; Ceriotti, L.; Shibata, T.; Rein, D.; Roberts, M. A.; Lichtenberg, J.; German, J. B.; de Rooij, N. F.; Verpoorte, E. Anal. Chem. 2002, 74, 1702-1711 Ceriotti, L.; Shibata, T.; Folmer, B.; Weiller B. H.; Roberts, M. A.; de Rooij, N. F.; Verpoorte, E. Electrophoresis 2002, 23, 3615-3622
しかしながら、本発明者らが検討したところ、上記非特許文献1〜13に記載の技術では、従来の技術に比して電気泳動にかかる時間を短縮できるものの、HDLおよびLDLに対応した検出シグナルから、それぞれのベースラインを分離することが難しく、リポタンパク質を種別毎に精度良く分離することが容易ではない。
そこで本発明は、チップ電気泳動法におけるリポタンパク質の種別の分離精度を高めた、新規な分離方法を提供することを目的とする。
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、電気泳動の流路へのリポタンパク質の吸着を防止するとともに、電気泳動に伴う電気浸透流を減じることにより、それぞれのリポタンパク質が固有の電気泳動性を発揮することを見出し、本発明を完成するに到った。
本発明は、試験溶液に含まれる比重の異なるリポタンパク質を、チップ電気泳動により分離する、リポタンパク質の分離方法であって、前記リポタンパク質のチップ流路への吸着を防止する吸着防止工程と、電気泳動に伴って前記チップ流路に発生する電気浸透流を減じる工程と、前記チップ流路にポリマーを配し、前記リポタンパク質の移動度を前記リポタンパク質の比重に応じて制御する工程と、を含む、リポタンパク質の分離方法を提供する。
本発明によれば、チップ電気泳動法によるリポタンパク質の種別の分離精度を高めることができ、試験溶液中のリポタンパク質を種別毎に効率よく分離することができる。
本発明のリポタンパク質の分離方法について、図1のフローチャートを参照しながら説明する。
[工程S101:標準試料の前処理]
測定対象の試験溶液(以下、標準試料と呼ぶ場合がある)を前処理する。この前処理工程は、標準試料に含まれるリポタンパク質を正または負に帯電させる工程である。この帯電処理は、例えば、臭化セチルトリメチルアンモニウム(CTAB)などの陽イオン性界面活性剤や、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)などの陰イオン性界面活性剤などの帯電性物質を標準試料に添加したり、これらの帯電性物質を含む溶液と標準試料とを混合したりして行うことができる。例えば、0.2mMのSDSを含む3−モルフォリノプロパンスルホン酸(MOPS)溶液と標準試料とを5分間混合させることにより行ってもよい。なお、リポタンパク質は公知の蛍光物質を用いて蛍光標識する。
また、工程S101に並行して、電気泳動用のランニングバッファー溶液を調製する。この調製工程は、工程S101においてリポタンパクを帯電させる電荷(第1の電荷)と同一の電荷に、ランニングバッファー溶液を帯電させる工程である。バッファー溶液としては、チップ電気泳動用の公知のものを用いればよい。例えば、上記MOPSや2−モルホリノエタンスルホン酸(MES)などを用いることができる。バッファー溶液の帯電方法としては、上記帯電性物質をバッファー溶液に添加してもよいし、バッファー溶液と上記帯電性物質とを含む溶液とを混合してもよい。また、当該バッファー溶液には、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、メチルセルロース(MC)およびポリエチレンオキシド(PEO)からなる群より選ばれた少なくとも1つのポリマーを添加することもできる。例えば、0.2〜1.0mMのSDSと0.05〜1.0%のHPMCとを20〜50mMのMOPS溶液中に含ませてもよい。
[工程S102:標準試料のチャンバーへの添加]
図2に、本実施形態で用いるチップ電気泳動用のチャンバーを示す。このチャンバー201には、マイクロオーダーの流路206および207が設けられている。流路206および207は互いに直交している。それぞれの流路の端部には、ウエル202〜205が設けられている。ウエル202〜205には導電部材が配されており、それぞれのウエルに電圧を印加して正または負の電荷を付与したり、グランド電位をとらせたりすることができる。この工程S102では、前処理後の標準試料をウエル202に注入する。
なお、チャンバーの流路206および207へのバッファー溶液の導入は、標準試料の注入に先んじて行ってもよいし、標準試料の注入ととともに行ってもよい。また、含有させる帯電性物質やポリマーの種類別にバッファー溶液を調製した後に、これを別々に流路に導入してもよいし、一括して導入してもよい。
[工程S103:標準試料のクロスインジェクション]
ウエル202とウエル204との間に電位差を発生させ、前処理後の標準試料をウエル204から流路206へと導入する。例えば、標準試料を負に帯電させた場合には、ウエル202をグランド電位とし、ウエル204に正電荷を付与すればよい。なお、このとき、ウエル203および205はグランド電位とする。
[工程S104:電気泳動]
ウエル202、204および205と、ウエル203との間に電位差を発生させ、流路206に満たした標準試料を流路207中で電気泳動させる。例えば、標準試料を負に帯電させた場合には、ウエル202、204および205に正電荷を付与し、ウエル203をグランド電位とすればよい。電気泳動の条件としては、例えば、印加電圧を500〜740V、印加電流を30〜100mA、温度を20〜30℃とすることができる。
[工程S105:蛍光検出]
流路207の所定箇所における蛍光検出を行い、電気泳動開始後の当該測定部位における蛍光強度の時間変化をモニターする。
このような一連の工程によると、試験溶液中のリポタンパク質を第1の電荷に帯電させるとともに、第1の電荷に帯電させたランニングバッファー溶液をチャンバーの流路に導入することにより、図3の概念図で示すように、帯電させたリポタンパク質302と流路内壁301との間に電気的な斥力を発生させることができるため、リポタンパク質の流路への吸着を防止することができる。また、HPMC、MC、PEOなどのポリマーを添加したランニングバッファー溶液をチップ流路に導入することにより、リポタンパク質に対する電気浸透流の影響を軽減することができる。また、上記ポリマーによって分子籠的な効果を発揮させることもできる。すなわち、電気泳動によるリポタンパク質の移動度を制御しうるパラメータを主にその比重に集約させることができるため、リポタンパク質を種別毎に精度良く分離することができる。
以下、実施例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれによって限定されない。
(比較例1)
従来のチップ電気泳動法を用いて、HDL由来の蛍光シグナルを検出した。まず、日立マイクロチップ電気泳動用チップ(ポリメチルメタクリレート(PMMA))と、以下の3種類のランニングバッファー溶液と、日立チップ電気泳動装置(SV1100)とを用いて、HDLをチップ電気泳動した。印加電圧を168V/cm、有効電気泳動長を3cm、励起波長を470nm、測定波長を580nmとした。
ランニングバッファー溶液(A):40 mM tricine, 40 mM meglumine, pH 9.0
ランニングバッファー溶液(B):0.5% HPMC in 20 mM borate, pH 9.0
ランニングバッファー溶液(C):0.5% MC in 20 mM borate, pH 9.0
なお、電気泳動に先んじて、次のようにして、HDLを蛍光標識した試験溶液を作製した。まず、250μgの蛍光物質(BODIPY FL C5-ceramide)を50μLのジメチルスルホキシド(DMSO)に溶解した後、450μLのエチレングリコールで希釈し、500μLの蛍光標識溶液を調製した。次に、25μLのHDL溶液(Biogenesis社、Poole、England、UK)を175μLの精製水で希釈し、さらに50μLの上記蛍光標識溶液を加えた後、1分間撹拌した。最後に、この混合溶液を2000μLの精製水で希釈した。
この検出結果を図4に示す。いずれのバッファー溶液を用いた場合も、HDL由来の蛍光パターンは、ピークがブロードであり、しかもテーリングを有していた。この結果により、従来型のチップ電気泳動法では、複数種のリポタンパク質を対象とした場合に、それぞれの蛍光シグナルを分離した検出が困難になることが示唆された。
(実施例1)
上記実施形態で示したチップ電気泳動法を用いて、HDLとLDLとに由来した蛍光シグナルを検出した。なお、この実施例1では、0.2mMのSDSを添加することにより、試験溶液中のHDLおよびLDLを負に帯電させた。また、0.3mMのSDS、0.05%のHPMC、0.5%のMC、0.32%のPEOを20mMのMOPSに添加したランニングバッファー溶液(pH6.93)を用いて電気泳動を行った。また、試験溶液は、比較例1で用いたHDLを含む試験溶液と、HDL溶液に代えてLDL溶液(Biogenesis社、Poole、England、UK)を用いて同様に調製した試験溶液と、を等量混合することにより調製した。
この検出結果を図5に示す。この図5から明らかなように、比較例1に比してシャープなピークを有する蛍光パターンを得ることができ、HDLおよびLDLのそれぞれに由来した蛍光シグナルを精度良く分離して検出することができた。
(実施例2)
上記実施形態で示したチップ電気泳動法を用いて、HDL、LDLおよびVLDLに由来した蛍光シグナルを検出した。なお、この実施例2では、3種類の試験溶液、すなわち比較例1で用いたHDLを含む試験溶液と、HDL溶液に代えてLDL溶液およびVLDL溶液(Biogenesis社、Poole、England、UK)をそれぞれ用いて同様に調製した試験溶液と、を対象として測定を行った。また、0.2mMのCTABを添加することにより、それぞれ試験溶液中のHDL、LDLおよびVLDLを正に帯電させた。また、0.3mMのCTAB、0.05%のHPMC、0.27%のPEOを20mMのMESに添加したランニングバッファー溶液(pH6.02)を用いて電気泳動を行った。
この検出結果を図6に示す。図6で示すように、それぞれの試験溶液から、比較例1に比してシャープなピークを有し、かつテーリングのない(半値幅の狭い)蛍光パターンを得ることができた。また、HDLおよびLDLのそれぞれに由来した蛍光シグナルにおいては、複数の成分を分離して検出することができた。
(実施例3)
上記実施形態で示したチップ電気泳動法を用いて、比較例1で用いたHDLを含む試験溶液と、HDL溶液に代えてLDL溶液およびVLDL溶液をそれぞれ用いて同様に調製した試験溶液と、を等量混合したものを対象として測定を行った。なお、0.3mMのSDS、0.27%のPEOを50mMのMOPSに添加したランニングバッファー溶液(pH6.93)を用いて電気泳動を行った。
この検出結果を図7に示す。この図7から明らかなように、比較例1に比してシャープなピークを有する蛍光パターンを得ることができ、HDL、LDLおよびVLDLのそれぞれに由来した蛍光シグナルを分離して検出することができた。
(実施例4)
上記実施形態で示したチップ電気泳動法を用いて、比較例1で用いたHDLを含む試験溶液と、HDL溶液に代えてLDL溶液およびVLDL溶液をそれぞれ用いて同様に調製した試験溶液と、を等量混合したものを対象として測定を行った。また、0.2mMのSDSを添加して、試験溶液中のHDL、LDLおよびVLDLをそれぞれ負に帯電させた。また、0.3mMのSDSと、0.4〜1.0%の範囲にある種々の濃度のHPMCと、を20mMのMOPSに添加したランニングバッファー溶液(pH6.93)を用いて電気泳動を行った。
この検出結果を図8に示す。また、図9にランニングバッファー溶液中のポリマー濃度に対する、リポタンパク質の移動度(モビリティ)の変化を示す。図8で示すように、HPMCの濃度を0.8mMとした場合に、3種のリポタンパク質のベースラインを分離できることが判った。また、図9で示すように、HDLおよびLDLのモビリティは、ランニングバッファー中のポリマー濃度の増加に伴って減少するが、HPMCの濃度が0.6%以下の範囲までは、その減少率に線形性が観察されるものの、濃度0.8%を境に減少パターンが変化し、減少率が有意に増大することが判った。このようなリポタンパク質のモビリティの急速な変化を引き起こすポリマー濃度は、チップ電気泳動におけるリポタンパク質の分離精度を高めるに際して非常に重要な濃度であることを示唆するものと考えられる。
本発明は、試験溶液中のリポタンパク質を種別毎に効率よく分離することに適用できる。また、脂質分析にとどまらず、他のタンパク質を対象とした分離解析に応用することも可能である。
本発明のリポタンパク質の分離方法を示すフローチャートである。 リポタンパク質の分離に用いるチップ電気泳動用チャンバーにおける、試験溶液の流路への導入作業と、電気泳動作業とを説明するための概念図である。 本発明のリポタンパク質の分離方法における、電気泳動中のリポタンパク質の流路内での挙動を模式的に示す図である。 従来のチップ電気泳動法を用いて検出された、リポタンパク質に由来した蛍光シグナルのパターンを示す図である。 本発明のチップ電気泳動法を用いて検出された、リポタンパク質に由来した蛍光シグナルのパターンの一例を示す図である。 本発明のチップ電気泳動法を用いて検出された、リポタンパク質に由来した蛍光シグナルのパターンの別例を示す図である。 本発明のチップ電気泳動法を用いて検出された、リポタンパク質に由来した蛍光シグナルのパターンの別例を示す図である。 本発明のチップ電気泳動法を用いて検出された、リポタンパク質に由来した蛍光シグナルのパターンの別例を示す図である。 リポタンパク質の移動度と、ランニングバッファー溶液中のポリマー濃度との関係を説明するための図である。
符号の説明
201 チップ電気泳動用チャンバー
202、203、204、205 ウエル
206、207 流路
301 流路内壁
302 帯電させたリポタンパク質

Claims (5)

  1. 試験溶液に含まれる比重の異なるリポタンパク質を、チップ電気泳動により分離する、リポタンパク質の分離方法であって、
    前記リポタンパク質のチップ流路への吸着を防止する吸着防止工程と、
    電気泳動に伴って前記チップ流路に発生する電気浸透流を減じる工程と、
    前記チップ流路にポリマーを配し、前記リポタンパク質の移動度を前記リポタンパク質の比重に応じて制御する工程と、
    を含む、
    リポタンパク質の分離方法。
  2. 前記吸着防止工程が、前記試験溶液中の前記リポタンパク質を第1の電荷に帯電させる工程と、チップ電気泳動用のランニングバッファー溶液を前記第1の電荷に帯電させる工程と、当該帯電させたバッファー溶液を前記チップ流路に導入する工程と、を含む、請求項1に記載のリポタンパク質の分離方法。
  3. 前記第1の電荷が負であり、前記試験溶液にドデシル硫酸ナトリウムを添加して、前記リポタンパク質を負に帯電させる、請求項2に記載のリポタンパク質の分離方法。
  4. 前記電気浸透流を減じる工程が、チップ電気泳動用のランニングバッファー溶液にポリマーを添加する工程と、当該バッファー溶液を前記チップ流路に導入する工程と、を含む、請求項1に記載のリポタンパク質の分離方法。
  5. 前記ポリマーが、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロースおよびポリエチレンオキシドからなる群より選ばれた少なくとも1つである、請求項1に記載のリポタンパク質の分離方法。
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