JP2006348957A5 - - Google Patents
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Description
この発明は、自動車用空調装置等に用いられる冷凍サイクルの圧縮容量制御装置に関する。
自動車用空調装置の冷凍サイクルに用いられる圧縮機は、エンジンにベルトで直結されているので回転数制御を行うことができない。そこで、エンジンの回転数に制約されることなく適切な冷房能力を得るために、圧縮容量(吐出量)を変えることができる容量可変圧縮機が用いられている。
容量可変圧縮機としては、いわゆる斜板式、ロータリー式、スクロール式などがあるが、ここでは、気密に形成されたクランク室内で傾斜角可変に設けられた揺動板を回転させてピストンを往復動させるようにした、いわゆる斜板式を例にとって説明する。
斜板式の容量可変圧縮機は、内圧が変化すると圧縮機の容量を変化させるように作用するクランク室が圧縮容量制御のための調圧室になっており、吸入圧力(Ps)の変化に対応してクランク室圧力(Pc)を自動制御して容量を変化させるようになっている。
しかし、そのように吸入圧力(Ps)を基準にした容量制御を行うためには、圧縮容量制御装置にダイアフラム又はベローズのような可撓性膜材を可動に配置しなければならないので、装置が大がかりになり、装置コストも高いものになる。
そこで、クランク室圧力(Pc)と吸入圧力(Ps)との差圧を所定の差圧に保つようにクランク室と吸入室との間を連通及び閉塞する電磁制御弁を設け、その電磁制御弁の電磁力を変化させることにより差圧が変化して圧縮容量が制御されるようにしたものがある(特開平5−87047号)。そのようにすることにより、シンプルで簡単な構造になり、装置コストも低減される。
図6は、冷凍サイクルの「エンタルピ−冷媒圧力」の特性を示す線図であるが、クランク室圧力(Pc)と吸入圧力(Ps)との差圧(Pc−Ps)に基づいて圧縮機の容量を制御すると、それによって吐出圧力(Pd)が変化し、それによってさらにクランク室圧力(Pc)と吸入圧力(Ps)との差圧(Pc−Ps)が変化するという制御が、冷凍サイクル全体を系とするフィードバック制御により繰り返される。そのため、電磁制御弁の電磁力を変えたとき、吐出量が所定値になるまでに時間遅れが発生し、圧縮容量制御が迅速に行われない欠点がある。
そこで本発明は、電磁制御弁の電磁力を変えたとき、圧縮容量が時間遅れなく速やかに所定値になるレスポンスの速い冷凍サイクルの圧縮容量制御装置を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するため、本発明の冷凍サイクルの圧縮容量制御装置は、低圧冷媒管路に通じる吸入室から吸入した冷媒を圧縮して高圧冷媒管路に通じる吐出室に吐出し、調圧室の圧力変化により冷媒の吐出量を変化させる容量可変圧縮機、を有する冷凍サイクルの圧縮容量制御装置において、調圧室の圧力と吸入室の圧力との混合圧力と吐出室の圧力との差圧を所定の差圧に保つように、調圧室と吐出室との間を連通及び閉塞する電磁制御弁を設け、電磁制御弁の電磁力を変化させることにより差圧が変化して冷媒の吐出量が制御されるようにしたものである。
なお、電磁制御弁の弁体と一体にその裏側に弁座より受圧面積の小さいピストンロッドが設けられていて、ピストンロッドの裏面に面する空間が吸入室に連通し、ピストンロッドの側面に面する空間が調圧室に連通し、弁体側から見て弁座の裏側の空間が吐出室に連通していて、吐出室の圧力と吸入室の圧力及び上記吸入室の圧力の混合圧力との差圧によって弁体が開閉動作し、それによって調圧室と吐出室との間が開閉されるようにしてもよい。
本発明によれば、調圧室の圧力と吸入室の圧力との混合圧力と吐出室の圧力との差圧を所定の差圧に保つように、調圧室と吐出室との間を連通及び閉塞する電磁制御弁を設け、電磁制御弁の電磁力を変化させることにより差圧が変化して冷媒の吐出量が制御されるようにしたことにより、容量制御が行われることによって変動する吐出圧力自体の大きさに基づいて制御が行われ、圧縮機部分だけでフィードバック制御が行われるので、電磁制御弁の電磁力を変えたとき、圧縮容量が時間遅れなく速やかに所定値になりレスポンスの速い圧縮容量制御を行うことができる。
図面を参照して本発明の実施の形態を説明するが、最初に図1ないし図3により本発明の関連技術について説明する。
図1において、10は斜板式の容量可変圧縮機であり、自動車の空調用冷凍サイクルに用いられているものである。冷媒としては、一般的なR134A等が用いられるが、二酸化炭素を冷媒とする冷凍サイクルに本発明を適用してもよい。
図1において、10は斜板式の容量可変圧縮機であり、自動車の空調用冷凍サイクルに用いられているものである。冷媒としては、一般的なR134A等が用いられるが、二酸化炭素を冷媒とする冷凍サイクルに本発明を適用してもよい。
11は、気密に構成されたクランク室12(調圧室)内に配置され、駆動プーリ13によって回転駆動される回転軸であり、回転軸11に対して傾斜してクランク室12内に配置された揺動板14が、回転軸11の回転にしたがって揺動する。
クランク室12内の周辺部に配置されたシリンダ15内には、ピストン17が往復動自在に配置されており、ロッド18によってピストン17と揺動板14とが連結されている。
したがって、揺動板14が揺動すると、ピストン17がシリンダ15内で往復動して、吸入室3からシリンダ15内に低圧(吸入圧力Ps)の冷媒が吸入され、その冷媒がシリンダ15内で圧縮されて、高圧(吐出圧力Pd)になった冷媒が吐出室4に吐出される。
吸入室3には、その上流側の蒸発器(図示せず)側から吸入管路1を経由して冷媒が送り込まれ、吐出室4からはその下流側の凝縮器(図示せず)側へ吐出管路2を経由して高圧冷媒が送り出される。
揺動板14の傾斜角度はクランク室12の圧力(Pc)によって変化し、揺動板14の傾斜角度によってシリンダ15からの冷媒の吐出量(即ち、圧縮容量)が変化する。
20は、クランク室圧力(Pc)を自動制御して圧縮容量制御を行うための電磁ソレノイド制御の容量制御弁(電磁制御弁)である。21は電磁コイル、22は固定鉄芯である。
20は、クランク室圧力(Pc)を自動制御して圧縮容量制御を行うための電磁ソレノイド制御の容量制御弁(電磁制御弁)である。21は電磁コイル、22は固定鉄芯である。
可動鉄芯23と弁体25は、固定鉄芯22内を通過する状態に配置されて軸線方向に進退自在なロッド24によって連結され、両端側から圧縮コイルスプリング27,28によって付勢されている。29は、シール用のOリングである。
弁座26は、クランク室12に連通するクランク室連通路5と吐出室4に連通する吐出室連通路6との間に形成されており、弁体25がクランク室連通路5側から弁座26に対向して配置されている。なお、クランク室連通路5と吸入管路1との間は、細いリーク路7を介して連通している。
このような構成により、弁体25には吐出圧力(Pd)とクランク室圧力(Pc)との差圧(Pd−Pc)が開き方向に作用し、閉じ方向には、容量制御弁20の電磁力(圧縮コイルスプリング27,28の付勢力を含む)が作用する。
したがって、電磁コイル21への通電電流値が一定で容量制御弁20の電磁力が一定の状態では、吐出圧力(Pd)とクランク室圧力(Pc)の差圧(Pd−Pc)の変動に伴って弁体25が開閉されて差圧(Pd−Pc)が一定に維持され、それによってクランク室圧力(Pc)が吐出圧力(Pd)に対応する値に制御され、圧縮容量(吐出量)が一定に維持される。
そして、電磁コイル21への通電電流値を変化させて容量制御弁20の電磁力を変えると、それに対応して、一定に保たれる差圧(Pd−Pc)が変化し、それによって圧縮容量(吐出量)が異なるレベルで一定に維持された状態になる。
即ち、容量制御弁20の電磁力が小さくされると、一定に保たれる差圧(Pd−Pc)が小さくなるので、クランク室圧力(Pc)が吐出圧力(Pd)に近づく方向に上昇し、吐出量が小さくなる。
逆に、容量制御弁20の電磁力が大きくされると、一定に保たれる差圧(Pd−Pc)が大きくなるので、クランク室圧力(Pc)が吐出圧力(Pd)から遠ざかる方向に下がり、吐出量が大きくなる。
このようにして吐出圧力(Pd)とクランク室圧力(Pc)との差圧(Pd−Pc)に基づいて行われる圧縮容量制御は、容量制御が行われることにより直接変動する吐出圧力(Pd)自体の大きさに基づいているので、圧縮機10部分だけでフィードバック制御が行われる。その結果、電磁コイル21への通電電流値が変わったとき吐出量が所定値になるまでに時間遅れがなく、迅速な圧縮容量制御が行われる。
電磁コイル21への通電電流値の制御は、エンジン、車室内外の温度、蒸発器センサその他各種条件を検知する複数のセンサからの検知信号が、CPU等を内蔵する制御部40に入力され、その演算結果に基づく制御信号が制御部40から電磁コイル21に送られて行われる。なお、電磁コイル21の駆動回路は図示が省略されている。
図2は、本発明の関連技術に係る容量制御弁20を示しており、圧縮機10は図1のものと同様なので図示を省略してある。また、リーク路は適宜配置される。
図2に示される容量制御弁20では、固定鉄芯22と可動鉄芯23が図1のものと逆の位置関係に配置され、それに伴って弁体25と弁座26の位置関係も逆になっている。
図2に示される容量制御弁20では、固定鉄芯22と可動鉄芯23が図1のものと逆の位置関係に配置され、それに伴って弁体25と弁座26の位置関係も逆になっている。
したがって、電磁コイル21への通電電流の増減に対応して一定に制御される差圧(Pd−Pc)の増減が図1のものとは逆になる。これは、図1及び図2においてどちらを採用しても差し支えない。
この図2においては、弁体25の裏側に弁体25と一体的に形成されたピストンロッド30の裏面に面する空間部分に吐出室連通路6が接続されて、吸入管路1に連通する吸入室連通路8がピストンロッド30の側面に面する空間部分に接続され、弁体25側から見て弁座26の裏側の空間部分にクランク室連通路5が接続されている。
そして、ピストンロッド30の直径と弁座26の直径が同寸法に形成されて各々の受圧面積が等しいので、ピストンロッド30と弁体25等に対する吸入圧力(Ps)の影響はキャンセルされ、吐出圧力(Pd)とクランク室圧力(Pc)との差圧(Pd−Pc)だけが作用する。
そして、弁体25の開閉によってクランク室連通路5と吸入室連通路8との間が連通及び閉塞され、弁体25が弁座26から離れて開いたときにクランク室連通路5と吸入室連通路8とが連通してクランク室圧力(Pc)が下げられる。
このような構成により、電磁コイル21への通電電流値が一定で容量制御弁20の電磁力が一定の状態では、吐出圧力(Pd)とクランク室圧力(Pc)の差圧(Pd−Pc)の変動に伴って弁体25が開閉されてその差圧(Pd−Pc)が一定に維持され、それによってクランク室圧力(Pc)が吐出圧力(Pd)に対応する値に制御され、圧縮容量(吐出量)が一定に維持される。
そして、電磁コイル21への通電電流値を変化させて容量制御弁20の電磁力を変えると、それに対応して、一定に保たれる差圧(Pd−Pc)が変化し、それによって圧縮容量(吐出量)が変化して一定に維持された状態になる。
図3に示されるように、容量制御弁20に対するクランク室連通路5と吸入室連通路8の接続を図2のものと逆にすれば、吐出圧力(Pd)と吸入圧力(Ps)の差圧(Pd−Ps)の変動に伴って弁体25が開閉され、弁体25が弁座26から離れて開くとクランク室圧力(Pc)が下げられて差圧(Pd−Ps)が一定に維持される。
そして、電磁コイル21への通電電流値を変化させると、それに対応して一定に保たれる差圧(Pd−Ps)が変化し、それによって圧縮容量(吐出量)が変化して一定に維持された状態になる。
このように、吐出圧力(Pd)と吸入圧力(Ps)との差圧(Pd−Ps)に基づいて容量制御を行った場合にも、容量制御が行われることにより直接変動する吐出圧力(Pd)自体の大きさに基づいていて、圧縮機10部分だけでフィードバック制御が行われるので、迅速な圧縮容量制御が行われる。
図4に示される実施の形態では、固定鉄芯22と可動鉄芯23との位置関係、及び弁体25と弁座26との位置関係が図1のものと同じに配置されている。ただ、吐出圧力(Pd)との差圧の相手になる圧力はクランク室圧力(Pc)と吸入圧力(Ps)の混合である。
また、弁体25の裏側に弁座26より受圧面積の小さいピストンロッド30が一体に設けられていて、ピストンロッド30の裏面に面する空間に吸入室連通路8が接続され、ピストンロッド30の側面に面する空間にクランク室連通路5が接続され、弁体25側から見て弁座26の裏側の空間に吐出室連通路6が接続されている。
その結果、ピストンロッド30と弁体25等にかかるクランク室圧力(Pc)と吸入圧力(Ps)との混合圧力と吐出圧力(Pd)との差圧(Pd−(Pc+Ps))によって弁体25が開閉動作し、それによってクランク室12と吐出室4との間が開閉されて圧縮容量制御が行われる。
図5に示される別の実施の形態の容量制御弁20は、容量制御を行う部分の構造は前述の図4の実施の形態と全く同じであり、さらに吸入室3の上流側において吸入管路1の途中に圧力作動の開閉弁50を配置して、弁体25と連動して動作する補助弁体31の開閉により開閉弁50を開閉させるようにしたものである。
このように構成して、電磁コイル21への通電がオフの時に開閉弁50を閉じるように設定することにより、ミニマム運転時(例えば最大能力の5%運転時)に吸入管路1の低圧冷媒が圧縮機10に吸い込まれないようにし、冬季のように負荷の小さいときのミニマム運転時に蒸発器のフィンが凍りつかないようにすることができる。
なお、本発明をロータリー式やスクロール式の容量可変圧縮機の容量制御装置に適用してもよい。
1 吸入管路
2 吐出管路
3 吸入室
4 吐出室
5 クランク室連通路
6 吐出室連通路
8 吸入室連通路
10 圧縮機
12 クランク室(調圧室)
20 容量制御弁(電磁制御弁)
21 電磁コイル
22 固定鉄芯
23 可動鉄芯
25 弁体
26 弁座
30 ピストンロッド
2 吐出管路
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30 ピストンロッド
Claims (4)
- 低圧冷媒管路に通じる吸入室から吸入した冷媒を圧縮して高圧冷媒管路に通じる吐出室に吐出し、調圧室の圧力変化により上記冷媒の吐出量を変化させる容量可変圧縮機、を有する冷凍サイクルの圧縮容量制御装置において、
上記調圧室の圧力と上記吸入室の圧力との混合圧力と上記吐出室の圧力との差圧を所定の差圧に保つように、上記調圧室と上記吐出室との間を連通及び閉塞する電磁制御弁を設け、上記電磁制御弁の電磁力を変化させることにより上記差圧が変化して上記冷媒の吐出量が制御されるようにしたことを特徴とする冷凍サイクルの圧縮容量制御装置。 - 上記電磁制御弁の弁体と一体にその裏側に弁座より受圧面積の小さいピストンロッドが設けられていて、上記ピストンロッドの裏面に面する空間が上記吸入室に連通し、上記ピストンロッドの側面に面する空間が上記調圧室に連通し、上記弁体側から見て弁座の裏側の空間が上記吐出室に連通していて、上記吐出室の圧力と上記吸入室の圧力及び上記吸入室の圧力の混合圧力との差圧によって上記弁体が開閉動作し、それによって上記調圧室と上記吐出室との間が開閉される請求項1記載の冷凍サイクルの圧縮容量制御装置。
- 上記吸入室の上流側において上記低圧冷媒管路を開閉するための開閉弁が設けられて、その開閉弁を開閉駆動するための補助弁体が上記電磁制御弁によって駆動される請求項1記載の冷凍サイクルの圧縮容量制御装置。
- 上記調圧室が気密に形成されたクランク室であり、そのクランク室内で回転軸に対して傾斜角可変に設けられて上記回転軸の回転運動によって駆動されて揺動運動をする揺動体と、上記揺動体に連結されて往復動することにより上記吸入室からシリンダ内に吸入した冷媒を圧縮して上記吐出室に吐出するピストンとを有する請求項1記載の冷凍サイクルの圧縮容量制御装置。
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