JP2006340658A - 多糖修飾によるアレルゲンタンパク質の抗原構造の被覆により免疫抑制効果を有する食品組成物 - Google Patents

多糖修飾によるアレルゲンタンパク質の抗原構造の被覆により免疫抑制効果を有する食品組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】
本発明は、アレルゲンの低減化を安全に実現できる方法と、経口的に摂取しても安全なアレルギー抑制効果を持つ食品組成物を提供することを目的とする。
【解決手段】
本発明は、上記課題の解決手段として、経口免疫寛容を利用した食品組成物を提供し、詳しくは、多糖修飾によって抗原構造が被覆されたアレルゲンタンパク質を有効成分とし、腸管免疫系における経口免疫寛容を誘導することを特徴とする、食品組成物を提供する。
【選択図】図9

Description

本発明は、経口免疫寛容を利用した食品組成物に関するものであり、詳しくは、多糖修飾によって抗原構造が被覆されたアレルゲンタンパク質を有効成分とし、腸管免疫系における経口免疫寛容を誘導することを特徴とする、食品組成物に関するものである。
花粉症をはじめとするアレルギー疾患は、アレルゲンと総称されるタンパク質が体内に入り込み、これに体内の免疫系が過剰に反応することで全身あるいは局所的に障害を引き起こす疾患であり、近年増加の傾向が見られる。特に日本において春先に発生するスギ花粉症は、昭和期において行われた、生態系を無視したスギやヒノキの大量植林の影響もあり、社会的にも深刻な影響を及ぼす疾患となっている。
しかしながら、これらの疾患は人間が本来持っている免疫反応に起因するものであり、根本的な治療法はこれまでのところ確立されていない。このため、治療法としてはまず、抗ヒスタミン剤や抗アレルギー剤等の内分泌系の調節を目的とした薬剤が使用されてきた。更に近年は、アレルゲンそのものについての研究も進み、アレルゲン除去方法や抗炎症剤などによる対症療法、アレルゲンをタンパク質変成剤で処理して低減化する方法、微量のアレルゲンを数回にわたり注射してアレルギー反応を低減化させる減感作療法などが提示されている(特許文献1−3)。
一方で近年、アレルギー疾患と食習慣との関連が指摘され始めるなど、薬剤療法などによらないアレルギー疾患への対応策も徐々に考えられつつある。薬剤に頼らず、日常的な食生活の中でアレルギー疾患を予防することが可能となれば、これらの疾患に苦しむ患者さん達にとっては非常に望ましいが、これまでの所、顕著にアレルギー抑制作用が実証されている様な食品組成物の報告は無い。
上記の現状に鑑み、本発明者らは、アレルゲンタンパク質の構造とその機能などに関する研究を進め、多糖類によってスギ花粉症の原因物質として知られるCJIタンパク質を被覆することにより、アレルゲンとしての作用を低減化できることを見出した(非特許文献1)。本発明者らはこの中で、多糖類の一種ガラクトマンナンとCJIとをメイラード反応によって結合させられること、及びヒト血清を用いた実験系において、ガラクトマンナン−CJI複合体がCJIと比較してヒトIgEとの反応性が著しく低下している(アレルゲンが低減化している)ことを報告した(非特許文献1,図1,2)。
アレルゲンタンパク質の多糖類による被覆に関しては、多糖類であるプルランとスギ花粉アレルゲンを塩化シアヌルアセトンで共有結合せしめ、減感作剤として利用する方法が開示されている(特許文献4)。しかしこの方法は、アレルゲンを化学薬品で処理するものであり、食品のような口に入るものに適用するのは難しい。これらの現状に鑑み、本発明は、アレルゲンの低減化を安全に実現できる方法と、経口的に摂取しても安全面で問題の無い、アレルギー抑制効果を持つ食品組成物を提供することを課題とする。
特開2005−034046 小麦澱粉に含まれるアレルゲン物質の除去方法 特開2005−104847 アレルゲン除去剤 特開2002−249442 アレルギー減感作治療薬 特許第2594123号 減感作剤 Usui M,Kato A.et al.(2003) Biosci.Biotechnol.Biochem.67(11):2425−30. Yasueda H.et al.(1983) J.Allergy Clin. Immunol.71:77−86. Kato A.et al.(1990) Agric.Biol.Chem.54:107−112.
本発明者らは、多糖類によるアレルゲンの低減化について更に研究を進め、特に「経口摂取が可能な低減化アレルゲン」という観点を導入し、本発明を完成した。すなわち、摂食可能な多糖類とアレルゲンタンパク質とを、乾燥条件下においてメイラード反応を利用して結合せしめ、これを腸管免疫系に導入する事で免疫寛容を誘導する系を確立し、本発明を完成した。
ここでいう免疫寛容とは、腸管において主にM細胞(樹状細胞や上皮細胞も関与)が抗原となる物質を取り込むことによって誘導される免疫反応の一種である(図3)。この系においては、抗原を継続して経口投与すると、抗原となる物質に対して抑制性T細胞が産生され、これら抗原物質に対しては免疫反応が緩和されることが明らかになりつつある。免疫寛容の生物学的意義は、「よく口にするものには過剰に反応しない」という、外界からの刺激に対する生物応答の一態様であると考えられる。本発明者らは、これまでの様に免疫反応そのものを抑制したり化学薬品等でアレルゲンを処理したりすることなく、アレルギー反応を抑える手段として、アレルゲンタンパク質と摂食可能な多糖類を乾燥条件下でメイラード反応を利用して結合させ、これを免疫寛容、特に経口免疫寛容と結びつけることで、アレルゲンタンパク質を「食品組成物」として利用可能とした。
すなわち、本発明の第1の態様は、多糖修飾によって抗原構造が被覆されたアレルゲンタンパク質を有効成分とし、経口免疫寛容によるアレルギー抑制効果を有することを特徴とする、食品組成物を提供する。
本発明の第2の態様は、多糖修飾によって抗原構造が被覆されたアレルゲンタンパク質を有効成分とし、経口免疫寛容によるアレルギー抑制効果を有することを特徴とする、食品組成物であって、前記修飾が、自然条件下で生じるメイラード反応を利用した修飾であることを特徴とする、食品組成物を提供する。
本発明の第3の態様は、多糖修飾によって抗原構造が被覆されたアレルゲンタンパク質を有効成分とし、経口免疫寛容によるアレルギー抑制効果を有することを特徴とする、食品組成物であって、前記修飾が、乾燥条件下で起こるメイラード反応を利用した修飾であることを特徴とする、食品組成物を提供する。
本発明の第4の態様は、多糖修飾によって抗原構造が被覆されたアレルゲンタンパク質を有効成分とし、経口免疫寛容によるアレルギー抑制効果を有することを特徴とする、食品組成物であって、前記修飾が、乾燥条件下で起こるメイラード反応を利用した修飾であることを特徴とし、前記反応が、タンパク質分子表面のアミノ基と多糖の還元末端のカルボニル基の間に生じる共有結合であって、アレルゲンタンパク質と多糖を混合後、温度条件が摂氏50度から摂氏70度までの範囲内、相対湿度条件が55%から75%までの範囲内で生じる反応であり、化学薬品による触媒を受けずに起こるものであることを特徴とする、食品組成物を提供する。
本発明の第5の態様は、多糖修飾によって抗原構造が被覆されたアレルゲンタンパク質を有効成分とし、経口免疫寛容によるアレルギー抑制効果を有することを特徴とする、食品組成物であって、前記多糖が、動物及び植物由来の天然多糖であることを特徴とする、食品組成物を提供する。
本発明の第6の態様は、多糖修飾によって抗原構造が被覆されたアレルゲンタンパク質を有効成分とし、経口免疫寛容によるアレルギー抑制効果を有することを特徴とする、食品組成物であって、前記多糖が、動物及び植物由来の天然多糖であって、キシログリカン、キトサン、アルギン酸、ガラクトマンナンのうち少なくとも1種類であることを特徴とする、食品組成物を提供する。
本発明の第7の態様は、多糖修飾によって抗原構造が被覆されたアレルゲンタンパク質を有効成分とし、経口免疫寛容によるアレルギー抑制効果を有することを特徴とする、食品組成物であって、前記多糖が、大豆種皮に存在するガラクトマンナンであることを特徴とする、食品組成物を提供する。
本発明の第8の態様は、多糖修飾によって抗原構造が被覆されたアレルゲンタンパク質を有効成分とし、経口免疫寛容によるアレルギー抑制効果を有することを特徴とする、食品組成物であって、前記多糖が、請求項5から請求項7のうちいずれか1項に記載の多糖であって、前記修飾が、請求項2から請求項4のうちいずれか1項に記載の修飾であることを特徴とする、食品組成物を提供する。
本発明の第9の態様は、多糖修飾によって抗原構造が被覆されたアレルゲンタンパク質を有効成分とし、経口免疫寛容によるアレルギー抑制効果を有することを特徴とする、食品組成物であって、前記アレルギー抑制効果が、腸管免疫系における免疫寛容に由来する抑制効果であることを特徴とする、食品組成物を提供する。
本発明の第10の態様は、多糖修飾によって抗原構造が被覆されたアレルゲンタンパク質を有効成分とし、経口免疫寛容によるアレルギー抑制効果を有することを特徴とする、食品組成物であって、前記アレルギー抑制効果が、腸管免疫系における免疫寛容に由来し、アナフィラキシーを抑制することによって経口投与を可能とした抑制効果であることを特徴とする、食品組成物を提供する。
本発明の第11の態様は、多糖修飾によって抗原構造が被覆されたアレルゲンタンパク質を有効成分とし、経口免疫寛容によるアレルギー抑制効果を有することを特徴とする、食品組成物であって、前記アレルギー抑制効果が、腸管免疫系における免疫寛容に由来し、アナフィラキシーを抑制することによって経口投与を可能とした抑制効果であることを特徴とし、前記アレルゲンタンパク質が、多糖により被覆されることにより胃腸内のプロテアーゼ等によって分解されにくくなり、抗原構造を保持したまま腸管に達することを可能としたアレルゲンタンパク質であって、且つ前記被覆により腸管到達前にはアレルゲン構造が粘膜などに触れずに腸管にまで到達することを可能としたアレルゲンタンパク質であることを特徴とする、食品組成物を提供する。
本発明の第12の態様は、多糖修飾によって抗原構造が被覆されたアレルゲンタンパク質を有効成分とし、経口免疫寛容によるアレルギー抑制効果を有することを特徴とする、食品組成物であって、前記アレルギー抑制効果が、腸管免疫系における免疫寛容に由来し、アナフィラキシーを抑制することによって経口投与を可能とした抑制効果であって、詳しくは、腸管免疫系で抑制性T細胞が産生されることによる抑制効果であることを特徴とし、前記アレルゲンタンパク質が、多糖により被覆されることにより胃腸内のプロテアーゼ等によって分解されにくくなり、抗原構造を保持したまま腸管に達することを可能としたアレルゲンタンパク質であって、且つ前記被覆により腸管到達前にはアレルゲン構造が粘膜などに触れずに腸管にまで到達することを可能としたアレルゲンタンパク質であることを特徴とする、食品組成物を提供する。
本発明の第13の態様は、多糖修飾によって抗原構造が被覆されたアレルゲンタンパク質を有効成分とし、経口免疫寛容によるアレルギー抑制効果を有することを特徴とする、食品組成物であって、前記アレルギー抑制効果が、腸管免疫系における免疫寛容に由来し、アナフィラキシーを抑制することによって経口投与を可能とした抑制効果であって、詳しくは、腸管免疫系で抑制性T細胞が産生されることによる抑制効果であることを特徴とし、前記アレルゲンタンパク質が、多糖により被覆されることにより胃腸内のプロテアーゼ等によって分解されにくくなり、抗原構造を保持したまま腸管に達することを可能としたアレルゲンタンパク質であって、且つ前記被覆により腸管到達前にはアレルゲン構造が粘膜などに触れずに腸管にまで到達することを可能としたアレルゲンタンパク質であることを特徴とし、前記多糖が、請求項5から請求項7のうちいずれか1項に記載の多糖であることを特徴とし、前記修飾が、請求項2から請求項4のうちいずれか1項に記載の多糖であることを特徴とする、食品組成物を提供する。
本発明の第14の態様は、多糖修飾によって抗原構造が被覆されたアレルゲンタンパク質を有効成分とし、経口免疫寛容によるアレルギー抑制効果を有することを特徴とする、食品組成物であって、前記アレルゲンが、動物性アレルゲン、植物性アレルゲン、食餌性アレルゲンのうち少なくとも1種類であることを特徴とする、食品組成物を提供する。
本発明の第15の態様は、多糖修飾によって抗原構造が被覆されたアレルゲンタンパク質を有効成分とし、経口免疫寛容によるアレルギー抑制効果を有することを特徴とする、食品組成物であって、前記アレルゲンが、花粉アレルゲンまたは食餌性アレルゲンのうちいずれか1種類であることを特徴とする、食品組成物を提供する。
本発明の第16の態様は、多糖修飾によって抗原構造が被覆されたアレルゲンタンパク質を有効成分とし、経口免疫寛容によるアレルギー抑制効果を有することを特徴とする、食品組成物であって、前記アレルゲンが、花粉アレルゲンであって、前記花粉が、スギ花粉、ヒノキ花粉、マツ花粉、ブタクサ花粉、ヨモギ花粉から選ばれるものであることを特徴とする、食品組成物を提供する。
本発明の第17の態様は、多糖修飾によって抗原構造が被覆されたアレルゲンタンパク質を有効成分とし、経口免疫寛容によるアレルギー抑制効果を有することを特徴とする、食品組成物であって、前記アレルゲンが、スギ花粉アレルゲンであることを特徴とする、食品組成物を提供する。
本発明の第18の態様は、多糖修飾によって抗原構造が被覆されたアレルゲンタンパク質を有効成分とし、経口免疫寛容によるアレルギー抑制効果を有することを特徴とする、食品組成物であって、前記アレルゲンが、請求項14から請求項17のうちいずれか1項に記載のアレルゲンであることを特徴とし、前記多糖が、請求項5から請求項7のうちいずれか1項に記載の多糖であって、前記修飾が、請求項2から請求項4のうちいずれか1項に記載の修飾であって、前記経口免疫寛容によるアレルギー抑制が、請求項9から請求項12のうちいずれか1項に記載の効果であることを特徴とする、食品組成物を提供する。
本発明の第19の態様は、多糖修飾によって抗原構造が被覆されたアレルゲンタンパク質を有効成分とし、経口免疫寛容によるアレルギー抑制効果を有することを特徴とする、食品組成物であって、前記アレルゲンが、食餌性アレルゲンであって、鶏卵、大豆、ソバ、小麦、魚介類から選ばれることを特徴とする、食品組成物を提供する。
本発明の第20の態様は、多糖修飾によって抗原構造が被覆されたアレルゲンタンパク質を有効成分とし、経口免疫寛容によるアレルギー抑制効果を有することを特徴とする、食品組成物であって、前記アレルゲンが、食餌性アレルゲンであって、鶏卵、大豆、ソバ、小麦、魚介類から選ばれることを特徴とする、請求項2から請求項12のうちいずれか1項に記載の、食品組成物を提供する。
本発明の提供する食品組成物を利用する事によって、アレルギー反応を起こしうるアレルゲンタンパク質を、アナフィラキシーを起こすことなく腸管免疫系に導入して免疫寛容を誘導し、アレルギー疾患を予防することが可能となる。また本発明は「経口免疫寛容」を効果的に誘導するものであり、通常の食生活の中で、薬剤の注射などのストレスを感じることなく、アレルギー疾患を予防することが可能となる。
以下に本発明を詳細に記載する。本発明の第1の態様は、多糖修飾によって抗原構造が被覆されたアレルゲンタンパク質を有効成分とし、経口免疫寛容によるアレルギー抑制効果を有することを特徴とする、食品組成物を提供する。ここでいうアレルゲンタンパク質とは、アレルギー疾患の原因となりうるタンパク質であって、経口的に摂取したときに毒性を示すもの以外であれば特に本発明を限定するものではなく、また本発明における多糖も、可食なものであれば特にその種類は本発明を限定するものではない。
本発明におけるアレルゲン−多糖複合体の摂取による経口免疫寛容誘導機構は、次のようであると考えられる。経口投与された複合体は、胃における消化酵素による分解を部分的に免れ、部分分解物が腸管免疫系で認識される。ここで取り込まれたアレルゲンタンパク質は腸管リンパ装置(GALT)で認識され、その装置の中心であるパイエル板により有用なものは受け入れられ、不要なものは排除される。一定期間継続してアレルゲンを経口的に摂取し続けると、腸管免疫系においてT細胞が抑制性T細胞を誘導し、その後外来アレルゲンが存在してもB細胞に抗体産生を指令しなくなるというものである。この事が示す通り、本発明に利用可能なアレルゲンと多糖は、それぞれ経口摂取しても安全なものであれば問題無い。
本発明の第2から第4の態様においては、多糖修飾によって抗原構造が被覆されたアレルゲンタンパク質を有効成分とし、経口免疫寛容によるアレルギー抑制効果を有することを特徴とする、食品組成物であって、前記修飾が、自然条件下で生じるメイラード反応を利用した修飾であることを特徴とする、食品組成物が提供される。ここでいう修飾は、より詳しくは乾燥条件下で起こるメイラード反応を利用した修飾であって、更に詳しくは、タンパク質分子表面のアミノ基と多糖の還元末端のカルボニル基の間に生じる共有結合であって、アレルゲンタンパク質と多糖を混合後、温度条件が摂氏50度から摂氏70度までの範囲内(好ましくは摂氏60度)、相対湿度条件が55%から75%までの範囲内(好ましくは65%)で生じるメイラード反応を利用した修飾である(図4)。実施例で述べるとおり、本発明の修飾はデシケーターなどの中でアレルゲンタンパク質の粉末と多糖の粉末の混合物を約60℃、相対湿度65%で乾燥加熱して行うものであり、触媒などは一切使用しない。すなわち、本修飾で得られた化合物は、そのまま口にしても安全であるという点が極めて特徴的である。
本発明の第5から第8の態様においては、多糖修飾によって抗原構造が被覆されたアレルゲンタンパク質を有効成分とし、経口免疫寛容によるアレルギー抑制効果を有することを特徴とする、食品組成物であって、前記多糖が、動物及び植物由来の天然多糖であることを特徴とする、食品組成物が提供される。ここでいう多糖は、詳しくはキシログリカン、キトサン、アルギン酸、ガラクトマンナンのうち少なくとも1種類であり、好ましくは大豆種皮に存在するガラクトマンナンである。上述の様に、本発明における多糖は経口摂取可能であれば問題は無いが、食品組成物として利用する事を考えると、動物及び植物由来の天然多糖が好ましい。本発明の実施例においては、大豆種皮に大量に存在し、その安全性も保証されているガラクトマンナンを使用したが、他の天然多糖であって抗原構造を被覆可能なものであれば利用可能である。本発明の第5から第8の態様のいずれかにおいて、前記修飾が第2から第4の態様のいずれかに記載の修飾である食品組成物もまた、本発明に含まれるべきものである。
本発明の第9から第13の態様においては、多糖修飾によって抗原構造が被覆されたアレルゲンタンパク質を有効成分とし、経口免疫寛容によるアレルギー抑制効果を有することを特徴とする、食品組成物であって、前記アレルギー抑制効果が、腸管免疫系における免疫寛容に由来する抑制効果であることを特徴とする、食品組成物が提供される。ここでいうアレルギー抑制効果は、詳しくは腸管免疫系における免疫寛容に由来し、アナフィラキシーを抑制することによって経口投与を可能とした抑制効果であり、より詳しくは、前記アレルゲンタンパク質が、多糖により被覆されることにより胃腸内のプロテアーゼ等によって分解されにくくなり、タンパク質成分がその抗原構造を保持することを可能とし、且つ前記被覆により腸管到達前にはアレルゲン構造が粘膜などに触れずに腸管にまで到達することを可能としたアレルゲンタンパク質であることを特徴とする抑制効果であり、更に詳しくは、腸管免疫系でマクロファージ、樹状細胞などにより抗原が提示され、抑制性T細胞が産生されることによる抑制効果である。アレルゲンを腸管免疫系に導入するためには、経口的に摂取し、食道、胃を通過させる必要があるが、被覆されていないアレルゲンをそのまま経口摂取した場合、食道粘膜等でアナフィラキシーと呼ばれる急激なアレルギー反応が起きる危険性があり、またアナフィラキシーを起こさない場合でも、胃においてアレルゲンが分解されてしまい、腸管免疫系に導入されない可能性がある。多糖類によるアレルゲンの被覆は、アナフィラキシーを抑制し、またアレルゲンを腸管にまで到達させるという2つの利点を有するものであり、これは本発明における独自の視点である。
本発明の第14から第18の態様においては、多糖修飾によって抗原構造が被覆されたアレルゲンタンパク質を有効成分とし、経口免疫寛容によるアレルギー抑制効果を有することを特徴とする、食品組成物であって、前記アレルゲンが、動物性アレルゲン、植物性アレルゲン、食餌性アレルゲンのうち少なくとも1種類であることを特徴とする、食品組成物が提供される。ここでいうアレルゲンは、より限定的には花粉アレルゲンまたは食餌性アレルゲンのうちいずれか1種類であり、前記花粉アレルゲンをより詳しく述べれば、スギ花粉、ヒノキ花粉、マツ花粉、ブタクサ花粉、ヨモギ花粉に由来する花粉アレルゲンであり、その中でも特にスギ花粉である。本発明におけるアレルゲンは、アレルギーの原因となりかつそれ自身毒性などが無いものであればどの様なものでも良いが、本発明が食品組成物を提供することから、動物性アレルゲン、植物性アレルゲン、食餌性アレルゲンが望ましい。本発明の実施例においてはその中でも特に花粉アレルゲン、より詳しくはスギ花粉アレルゲンについて実証したが、多糖類とメイラード反応で結合させられるアレルゲンであればどの様なものにも本発明は適用可能である。本発明の第14から第17の態様において、第5から第7のいずれかの態様に記載の多糖類を用い、第2から第4のいずれかの態様に記載の修飾を行う食品組成物であって、第9から第12の態様のいずれかの効果を有する食品組成物もまた、本発明に含まれるべきものである。
本発明の第19、第20の態様においては、多糖修飾によって抗原構造が被覆されたアレルゲンタンパク質を有効成分とし、経口免疫寛容によるアレルギー抑制効果を有することを特徴とする、食品組成物であって、前記アレルゲンが、食餌性アレルゲンであって、鶏卵、大豆、ソバ、小麦、魚介類から選ばれることを特徴とする、食品組成物が提供される。食品アレルギーは、花粉アレルギーと同様近年深刻な問題になりつつあり、特に多くの食品に含まれる小麦や鶏卵のアレルギーは食生活に大きなストレスを与えるものである。経口免疫寛容はこれらの食品アレルギーにも適用可能であると考えられ、これを利用した食品組成物を提供する。前記食品組成物に、第2から第13の条件を付帯した食品組成物もまた、本発明に含まれるものである。
以下に本発明の実施例を記載する。本実施例においてはスギ花粉アレルゲンについて本発明の効果を実証したが、本発明は実施例により限定されるものではない。また、本発明の実証実験は、山口大学「人に対する研究倫理委員会」の許可の下に行われた。
(材料、試薬等) 日本産スギ花粉は神協産業株式会社(山口県)から提供された。スギ花粉症患者の抗血清は山口大学医学部付属病院皮膚科(Dr.M Muto)の協力により提供された。ビオチン化した抗ヒトIgGヤギ抗体はICN Pharmaceuticals(CA,USA)、抗ヒトIgEヤギ抗体はChemicon International(CA,USA)、HRP−streptavidinはVector Laboratory(CA,USA)製のものをそれぞれ用いた。
(CJIの精製) スギアレルゲンタンパク質であるCJIの精製は、非特許文献2の方法に従った。調整方法の概要を、図5に示す。スギ花粉から脂肪を除去するために、100gの花粉を250mlジメチルエーテルに溶かし激しく撹拌し、後にジメチルエーテルを除去した。この花粉を2000mlの0.125M ammonium bicarbonate(pH8.0,RT)で48時間処理し、その後遠心(15000×g,15min)で上清を分離し、これをcrude extract(CE)とした。CEに硫酸アンモニウムを80%飽和まで加え(561g/l,4℃,overnight)、後に遠心(18500×g,40min)して沈殿を回収した。沈殿物を200mlの0.05M Tris−HCl(pH7.8)に溶解し、これを透析した。透析したCEを遠心(10000×g,15min)して上清を除き、0.05M Tris−HCl buffer(pH7.8)で2倍に希釈した。希釈液をDAEA Toyopearlカラムにかけ、流出液を回収し0.01M acetate buffer(pH5.0,以下ABと略す)で透析した。5倍希釈した溶液を0.01M AB(pH5.0)で平衡化したCM−Toyopearlカラムにかけた。ABでカラムを洗い、吸着したタンパク質を0−0.4M の濃度勾配をつけたNaCl(in 0.01M AB)で溶出した。280nmの吸光で得られたピークを回収し、蒸留水で透析し、凍結乾燥した。この試料を4ml蒸留水で溶解し、0.05M ammonium bicarbonate(pH8.0)で平衡化したSephadex G−100カラム(2.6×100cm,Pharmacia)にかけた。タンパク質を0.05M ammonium bicarbonate溶液で20ml/hで溶出し、280nmの吸光で得られたピークを回収し、蒸留水で透析し、凍結乾燥した。精製したCJIの電気泳動写真(SDS−PAGE)を図5に示した。
(CJI−ガラクトマンナン複合体の形成) ガラクトマンナンとCJIの結合は、乾燥条件下におけるメイラード反応を利用して行った(非特許文献3)。CJIとガラクトマンナン粉末の混合物(重量比1:2及び1:4)を10%(w/v)になるよう水に溶かし、凍結乾燥した。CJI−ガラクトマンナン混合液をデシケーター上段に置き、湿度調節用に飽和KI(potacium iodide)溶液を下段において、相対湿度(RH)65%,60℃の条件下で、2週間加熱乾燥させた。水の低活性条件下において、タンパク質のε−アミノ基と多糖の還元末端カルボニル基との間のメイラード反応が促進され、CJI−ガラクトマンナン複合体(CJI−GM)が形成された(図4)。
(CJI−ガラクトマンナン複合体の精製) ガラクトマンナンと結合していないCJIを除去するために、前記複合体をイオン交換カラム(CM−Toyopearl 650)にかけ、精製を行った。溶出は0−0.05Mの濃度勾配をつけたNaCl(in 0.01M AB,pH5.0)で行った。CJI−GMのピークを回収し、蒸留水で透析し、その後凍結乾燥した。この様にして形成されたCJI−GMを精製CJIと電気泳動で比較したところ、その分子量が50−100kDaになっている事が明らかとなった(図1)。
(CJI−ガラクトマンナン複合体とIgEとの結合,非特許文献1抄) CJIとガラクトマンナンとの結合がIgE抗体の認識に与える影響を確かめるため、competitive ELIZA法による解析を行った。3名の患者さんから提供された抗体を用いて実験を行った結果、図2に示す通り、CJI−GMではCJI単独に比べ、ヒトIgE抗体との結合能が95−98%減少していた。これは、ガラクトマンナンがCJIの抗原構造を被覆した結果、ヒト抗体とほとんど結合しなくなった事を示している。
(マウスに対する経口免疫寛容) BABL/Cマウス飼料中に、1日あたり20μgになるようCJI−GMを加え、3週間継続して与えた。その後、アレルゲン5μgを5μgのアラムと共に100μlリン酸バッファーに溶かして感作し、1週間後にも再感作した(図6上段)。感作前後におけるマウス血中のアレルゲンに対する産生IgE量を図6下段に示す。CJI−GM投与群においては、IgE産生量が強く抑制されていることが示された。
(アレルギーマウスに対する経口免疫寛容) アレルギーマウスを作成し、実施例4と同様のスケジュールでCJI−GMを経口投与し、その後アレルゲンを同様に感作してIgEの産生量を調べた(図7)。実施例4同様、CJI−GM投与群ではIgE産生量が抑制されており、アレルギーマウスにも同様に経口免疫寛容が誘導され、アレルギーが抑えられていることが明らかとなった。
(スギ花粉アレルギー患者さんに対する経口免疫寛容) 経口投与用として、100mgのCJI−GM(重量比1:4)を可溶性カプセルに詰め(またはオブラートで包んで)、ボランティアのスギアレルギー患者さん5名に対し、12月下旬から2月初旬の期間に1日1回経口投与を行った(図8上段)。その後3月に採血を行い、血中IgE濃度を測定した。2005年は3月18日に採血を行ったが、この日は飛散周期の第2波が到来した時であり、血中IgE濃度が高くなると予想された。CJI−GM経口投与を行った年と行わなかった年とで、血中IgE濃度を比較した。図8下段に、スギ花粉飛散量が最も多い3月における山口市のスギ花粉飛散量データ(山口県医師会提供)に採血スケジュールを加えたものを示した。
(スギ花粉アレルギー患者さんに対する経口免疫寛容2) CJI−GM経口投与による経口免疫寛容効果を、図9に示す。100mg/日のCJI−GMを花粉飛散直前まで1月半(45日間)経口投与した患者さんのIgE産生量を、経口投与を行わなかった年と比較して示している。IgE産生量は、CJIを用いて皮膚にスクラッチテストを行い、皮膚上にできたスポットの面積として算出した。アレルギー発症の閾値は4cmであり、4名中3名が閾値を下回っており、上回った1人(症状の重い花粉症)についても、経口投与前に比べてはるかに低い値を示した。
(臨床所見) 臨床所見は、アレルギー反応の重要な指標である。CJI−GMの経口投与を行った4名について行った各項目の臨床所見の結果を、経口投与前の年と比較して図10に示した。4名の患者さんの全てがアレルギーの低減化(軽くなった)を感じており、うち2名は完全に症状のない「完治」を示した。
(付記) 2005年は、ニュース等でも報じられた様に、近年希に見るほどスギ花粉飛散量が異常に多い年であり、その飛散量は例年に比べ、数倍から数十倍の値(〜800個/cm)を示した。本発明の食品組成物が、この2005年においてスギ花粉アレルギーの低減化を示したことは、特筆すべき結果である。
本発明を利用することにより、安全で効果の高いアレルギー抑制効果のある食品組成物を提供することが可能となる。日本において1000万人を超えるといわれる(参照:農林水産省ホームページ http://www.maff.go.jp/)スギ花粉症患者さんに対して、「機能性食品」「健康食品」等の形で提供でき、食品産業上大いに利用可能である(スギ花粉アレルゲンとしてはCJIの他に、微量含有されているCJ2も抗原性となり得るが、植物の粗抽出物にこれが含有されており、この粗抽出物を多糖修飾すると、CJ2抗原構造を被覆し、経口免疫寛容を生じさせることができる)。同様に本発明を応用した他のアレルゲンを有効成分とした食品組成物もまた、食品産業上利用可能であると考えられる。
スギ花粉アレルゲンCJIとCJI−ガラクトマンナン複合体の電気泳動パターン(SDS−PAGE)を示す。図中矢印は泳動方向を示し、レーン1は分子量マーカー(上から96,67,42,30,20,14kDa)である。レーン2は単離精製したCJIであり、レーン3,4はCJI−ガラクトマンナン複合体(3は混合の重量比1:2,4は1:4)を示す。 ヒトIgE抗体とCJI及びCJI−ガラクトマンナン複合体との間の結合能を比較した。グラフ縦軸はIgE binding rate(CJIとの結合を100としたときの相対値)を表し、横軸レーン1はCJIを、レーン2はCJI−ガラクトマンナン複合体との間を、レーン3はコントロールを表す。それぞれの患者さんからのIgE抗体は、CJIとは結合したが、CJI−ガラクトマンナン複合体との結合能はコントロールレベルまで低下していた。 腸管免疫系の機能の模式図を示す。腸管上皮に存在するM細胞から抗原が取り込まれた場合、抑制性T細胞の働きにより免疫寛容が誘導される。 アレルゲンタンパク質と多糖類とのメイラード反応。Aはその化学式を、Bは模式図を示す。CはCJI−ガラクトマンナン複合体形成の模式図を示す。粉末CJI及びガラクトマンナン(重量比1:2または1:4)を混合し、デシケーター(飽和KI溶液を含む)中で相対湿度65%,60℃で2週間反応させた。 スギ花粉アレルゲンCJIの精製方法を模式的に示す。A,Bは精製段階におけるピークを、Cは精製したCJIの電気泳動写真(SDS−PAGE)を示す。 マウスに対する経口免疫寛容。(上段)マウスに対する免疫寛容誘導実験のスケジュールを示す。CJI−GM(20μg/day)を3週間継続して経口投与し、その後アレルゲン(5μg)を感作し、1週間後に再感作した。(下段)アレルゲン感作に対するIgE産生量を、CJI−GM経口投与マウスと非投与マウスとで比較した。CJI−GM投与マウスでは、IgE産生量が大幅に低下していた。 アレルギーマウスに対する経口免疫寛容。(上段)アレルギーマウスに対する免疫寛容誘導実験のスケジュールを示す(記号等は図6と同じ)。アレルギーマウスにおいても、CJI−GMを経口投与した場合にはIgE産生量が低下していた。 スギ花粉アレルギー患者さんに対する経口免疫寛容。(上段)5名のボランティアに対するCJI−GMの経口投与(100mg/day)スケジュールを示す。(下段)2005年3月における山口市内のスギ花粉飛散個数(個/cm,山口県医師会提供)に、採血のスケジュールを加えたものを示す。 スギ花粉アレルギー患者さんに対する経口免疫寛容(2)。CJI−GM経口投与の前後における、IgE産生量を比較した。グラフ縦軸はIgE産生量の指標(スポット面積)を、A,N,S,Kは各患者さんを表し、グラフは薄い灰色が経口投与無しの年を、濃い灰色が経口投与した年をそれぞれ示し、グラフ右側矢印は陽性・陰性の閾値(4cm)を示す。CJI−GMの経口投与により、IgE産生量が大幅に減少した。 本発明の効果に係る、臨床所見。花粉症の各症状を5段階に分け、CJI−GM経口投与前後における症状をそれぞれ比較した。4名全ての患者さんはアレルギーの低減化を感じており、うち2名は完治した。

Claims (20)

  1. 多糖修飾によって抗原構造が被覆されたアレルゲンタンパク質を有効成分とし、経口免疫寛容によるアレルギー抑制効果を有することを特徴とする、食品組成物。
  2. 多糖修飾によって抗原構造が被覆されたアレルゲンタンパク質を有効成分とし、経口免疫寛容によるアレルギー抑制効果を有することを特徴とする、食品組成物であって、前記修飾が、自然条件下で生じるメイラード反応を利用した修飾であることを特徴とする、食品組成物。
  3. 多糖修飾によって抗原構造が被覆されたアレルゲンタンパク質を有効成分とし、経口免疫寛容によるアレルギー抑制効果を有することを特徴とする、食品組成物であって、前記修飾が、乾燥条件下で起こるメイラード反応を利用した修飾であることを特徴とする、食品組成物。
  4. 多糖修飾によって抗原構造が被覆されたアレルゲンタンパク質を有効成分とし、経口免疫寛容によるアレルギー抑制効果を有することを特徴とする、食品組成物であって、前記修飾が、乾燥条件下で起こるメイラード反応を利用した修飾であることを特徴とし、前記反応が、タンパク質分子表面のアミノ基と多糖の還元末端のカルボニル基の間に生じる共有結合であって、アレルゲンタンパク質と多糖を混合後、温度条件が摂氏50度から摂氏70度までの範囲内、相対湿度条件が55%から75%までの範囲内で生じる反応であり、化学薬品による触媒を受けずに起こるものであることを特徴とする、食品組成物。
  5. 多糖修飾によって抗原構造が被覆されたアレルゲンタンパク質を有効成分とし、経口免疫寛容によるアレルギー抑制効果を有することを特徴とする、食品組成物であって、前記多糖が、動物及び植物由来の天然多糖であることを特徴とする、食品組成物。
  6. 多糖修飾によって抗原構造が被覆されたアレルゲンタンパク質を有効成分とし、経口免疫寛容によるアレルギー抑制効果を有することを特徴とする、食品組成物であって、前記多糖が、動物及び植物由来の天然多糖であって、キシログリカン、キトサン、アルギン酸、ガラクトマンナンのうち少なくとも1種類であることを特徴とする、食品組成物。
  7. 多糖修飾によって抗原構造が被覆されたアレルゲンタンパク質を有効成分とし、経口免疫寛容によるアレルギー抑制効果を有することを特徴とする、食品組成物であって、前記多糖が、大豆種皮に存在するガラクトマンナンであることを特徴とする、食品組成物。
  8. 多糖修飾によって抗原構造が被覆されたアレルゲンタンパク質を有効成分とし、経口免疫寛容によるアレルギー抑制効果を有することを特徴とする、食品組成物であって、前記多糖が、請求項5から請求項7のうちいずれか1項に記載の多糖であって、前記修飾が、請求項2から請求項4のうちいずれか1項に記載の修飾であることを特徴とする、食品組成物。
  9. 多糖修飾によって抗原構造が被覆されたアレルゲンタンパク質を有効成分とし、経口免疫寛容によるアレルギー抑制効果を有することを特徴とする、食品組成物であって、前記アレルギー抑制効果が、腸管免疫系における免疫寛容に由来する抑制効果であることを特徴とする、食品組成物。
  10. 多糖修飾によって抗原構造が被覆されたアレルゲンタンパク質を有効成分とし、経口免疫寛容によるアレルギー抑制効果を有することを特徴とする、食品組成物であって、前記アレルギー抑制効果が、腸管免疫系における免疫寛容に由来し、アナフィラキシーを抑制することによって経口投与を可能とした抑制効果であることを特徴とする、食品組成物。
  11. 多糖修飾によって抗原構造が被覆されたアレルゲンタンパク質を有効成分とし、経口免疫寛容によるアレルギー抑制効果を有することを特徴とする、食品組成物であって、前記アレルギー抑制効果が、腸管免疫系における免疫寛容に由来し、アナフィラキシーを抑制することによって経口投与を可能とした抑制効果であることを特徴とし、前記アレルゲンタンパク質が、多糖により被覆されることにより胃腸内のプロテアーゼ等によって分解されにくくなり、抗原構造を保持したまま腸管に達することを可能としたアレルゲンタンパク質であって、且つ前記被覆により腸管到達前にはアレルゲン構造が粘膜などに触れずに腸管にまで到達することを可能としたアレルゲンタンパク質であることを特徴とする、食品組成物。
  12. 多糖修飾によって抗原構造が被覆されたアレルゲンタンパク質を有効成分とし、経口免疫寛容によるアレルギー抑制効果を有することを特徴とする、食品組成物であって、前記アレルギー抑制効果が、腸管免疫系における免疫寛容に由来し、アナフィラキシーを抑制することによって経口投与を可能とした抑制効果であって、詳しくは、腸管免疫系で抑制性T細胞が産生されることによる抑制効果であることを特徴とし、前記アレルゲンタンパク質が、多糖により被覆されることにより胃腸内のプロテアーゼ等によって分解されにくくなり、抗原構造を保持したまま腸管に達することを可能としたアレルゲンタンパク質であって、且つ前記被覆により腸管到達前にはアレルゲン構造が粘膜などに触れずに腸管にまで到達することを可能としたアレルゲンタンパク質であることを特徴とする、食品組成物。
  13. 多糖修飾によって抗原構造が被覆されたアレルゲンタンパク質を有効成分とし、経口免疫寛容によるアレルギー抑制効果を有することを特徴とする、食品組成物であって、前記アレルギー抑制効果が、腸管免疫系における免疫寛容に由来し、アナフィラキシーを抑制することによって経口投与を可能とした抑制効果であって、詳しくは、腸管免疫系で抑制性T細胞が産生されることによる抑制効果であることを特徴とし、前記アレルゲンタンパク質が、多糖により被覆されることにより胃腸内のプロテアーゼ等によって分解されにくくなり、抗原構造を保持したまま腸管に達することを可能としたアレルゲンタンパク質であって、且つ前記被覆により腸管到達前にはアレルゲン構造が粘膜などに触れずに腸管にまで到達することを可能としたアレルゲンタンパク質であることを特徴とし、前記多糖が、請求項5から請求項7のうちいずれか1項に記載の多糖であることを特徴とし、前記修飾が、請求項2から請求項4のうちいずれか1項に記載の多糖であることを特徴とする、食品組成物。
  14. 多糖修飾によって抗原構造が被覆されたアレルゲンタンパク質を有効成分とし、経口免疫寛容によるアレルギー抑制効果を有することを特徴とする、食品組成物であって、前記アレルゲンが、動物性アレルゲン、植物性アレルゲン、食餌性アレルゲンのうち少なくとも1種類であることを特徴とする、食品組成物。
  15. 多糖修飾によって抗原構造が被覆されたアレルゲンタンパク質を有効成分とし、経口免疫寛容によるアレルギー抑制効果を有することを特徴とする、食品組成物であって、前記アレルゲンが、花粉アレルゲンまたは食餌性アレルゲンのうちいずれか1種類であることを特徴とする、食品組成物。
  16. 多糖修飾によって抗原構造が被覆されたアレルゲンタンパク質を有効成分とし、経口免疫寛容によるアレルギー抑制効果を有することを特徴とする、食品組成物であって、前記アレルゲンが、花粉アレルゲンであって、前記花粉が、スギ花粉、ヒノキ花粉、ブタクサ花粉、ヨモギ花粉から選ばれるものであることを特徴とする、食品組成物。
  17. 多糖修飾によって抗原構造が被覆されたアレルゲンタンパク質を有効成分とし、経口免疫寛容によるアレルギー抑制効果を有することを特徴とする、食品組成物であって、前記アレルゲンが、スギ花粉アレルゲンであることを特徴とする、食品組成物。
  18. 多糖修飾によって抗原構造が被覆されたアレルゲンタンパク質を有効成分とし、経口免疫寛容によるアレルギー抑制効果を有することを特徴とする、食品組成物であって、前記アレルゲンが、請求項14から請求項17のうちいずれか1項に記載のアレルゲンであることを特徴とし、前記多糖が、請求項5から請求項7のうちいずれか1項に記載の多糖であって、前記修飾が、請求項2から請求項4のうちいずれか1項に記載の修飾であって、前記経口免疫寛容によるアレルギー抑制が、請求項9から請求項12のうちいずれか1項に記載の効果であることを特徴とする、食品組成物。
  19. 多糖修飾によって抗原構造が被覆されたアレルゲンタンパク質を有効成分とし、経口免疫寛容によるアレルギー抑制効果を有することを特徴とする、食品組成物であって、前記アレルゲンが、食餌性アレルゲンであって、鶏卵、大豆、ソバ、小麦、魚介類から選ばれることを特徴とする、食品組成物。
  20. 多糖修飾によって抗原構造が被覆されたアレルゲンタンパク質を有効成分とし、経口免疫寛容によるアレルギー抑制効果を有することを特徴とする、食品組成物であって、前記アレルゲンが、食餌性アレルゲンであって、鶏卵、大豆、ソバ、小麦、魚介類から選ばれることを特徴とする、請求項2から請求項12のうちいずれか1項に記載の、食品組成物。
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