JP2006337288A - 液晶材料の物性測定方法及び物性測定システム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 基板表面に対し、略水平な液晶配向と略垂直な液晶配向を有する基板からなるハイブリッド配向液晶セルの光学特性を、少なくとも2以上の入射角で測定することにより弾性定数比とアンカリング強度とセル厚みとを求める液晶材料の物性測定方法及び物性測定システム。
【選択図】 図1
Description
このような光学補償シートとしては、液晶材料をハイブリット配向させてフィルム状にする技術が提案されている。該液晶材料としては、例えば、円盤状液晶性化合物(特許文献1参照)、ラグビーボール状化合物(特許文献2参照)、などが提案されている。
しかし、これらの磁場や電場を利用する方法の場合、少なくとも外場を与える手段が必要であり、予め、液晶材料の電気的及び磁気的性質を踏まえた上で、液晶セルの配向方向と外場の方向とを考慮しなければならない。このため、液晶材料の電気的及び磁気的性質が分からない材料を扱う場合には、必ずしも簡便な方法とはいえない。また、前記光学補償シートに用いる液晶材料のように、開発段階において材料の電気的及び磁気的特性を知る必要のない液晶材料の場合には、目的の物性を得るまでに余計な手順を踏まなくてはならないことになる。特に、磁場を掛ける必要がある場合は、大規模な装置を必要とするため、限られた研究機関でしか物性を測定することができないという問題がある。
しかし、この算出方法の場合、前記外場を印加する必要がないという利点はあるが、複数のサンプルを使う必要があるため測定回数が多くなるとともに、アンカリング強度が十分には考慮されていないため、測定精度が低下するという問題点があった。
しかし、この測定方法の場合、弾性定数比を既知の値とし、固定値を仮定する方向を採用しているので、実際に測定するサンプル状態によっては、やはり精度が低下するという問題は解消できない。
<1> 基板表面に対し、略水平な液晶配向と略垂直な液晶配向を有する基板からなるハイブリッド配向液晶セルの光学特性を、少なくとも2以上の入射角で測定することにより弾性定数比とアンカリング強度とセル厚みとを求めることを特徴とする液晶材料の物性測定方法である。
該<1>に記載の液晶材料の物性測定方法においては、前記基板表面に対し、略水平な液晶配向と略垂直な液晶配向を有する基板からなり、ハイブリッド配向させた液晶セルを用いているので、元々液晶材料が変形しているため、前記液晶材料における弾性定数比及びアンカリング強度の測定に必要な前記液晶材料の配向状態を、外場により変えた数種のサンプルの作製や、それらに対する測定工程が不要となる。前記略水平の角度範囲は、前記基板表面に対して0〜40°、前記略垂直の角度範囲は、前記基板表面に対して90〜50°であり、該角度範囲にある前記ハイブリッド配向液晶セルの配向状態について、少なくとも2以上の入射角で測定することにより、配向状態を測定の都度変形することなく、同一のサンプルで、その光学特性を詳細に観察することができ、前記液晶材料の変形を決定する要因である弾性定数比、アンカリング強度及びセル厚みが、同時且つ一意的に決定され、測定が簡便化、高精度化される。
<2> 測定した光学特性値とシミュレーション計算により求めた光学特性値とを比較し、前記光学特性値の差が最小になるパラメータを選択することより、液晶材料の弾性定数比とセル厚みと配向角度分布を同時に決定する前記<1>に記載の液晶材料の物性測定方法である。
<3> パラメータが、液晶材料の弾性定数比とセル厚みと配向角度分布を含む前記<1>から<2>のいずれかに記載の液晶材料の物性測定方法である。
<4> シミュレーション計算が、液晶材料の弾性定数比とセル厚みと配向角度分布とからなる組を少なくとも2組以上仮定し、前記配向角度分布と前記液晶材料の屈折率とから光学特性値を求め、該光学特性値と測定した光学特性値とを比較し、前記光学特性値の差が最小となるよう弾性定数比とセル厚みと配向角度分布とからなる組を同時に決定する前記<1>から<3>のいずれかに記載の液晶材料の物性測定方法である。
<5> 液晶材料の弾性定数比及び配向角度分布から基板界面における、前記液晶材料の配向角度を決定し、該配向角度に基づいてアンカリング強度及びアンカリング強度の比が決定される前記<1>から<4>のいずれかに記載の液晶材料の物性測定方法である。
<6> 入射角方向が、ハイブリッド配向液晶セルの液晶ダイレクタの配向分布を含む平面と略平行で基板表面に垂直な方向を含む平面内にある前記<1>から<5>のいずれかに記載の液晶材料の物性測定方法である。
<7> 光学特性が、レターデーションである前記<1>から<6>のいずれかに記載の液晶材料の物性測定方法である。
<8> 前記<1>から<7>のいずれかに記載の液晶材料の物性測定方法を含む、液晶材料の物性測定システムである。
前記液晶材料の物性測定方法は、弾性定数比とアンカリング強度とセル厚みを、基板表面に対し略水平な液晶配向を有する基板と略垂直な液晶配向を有する基板とからなるハイブリッド配向液晶セルの光学特性を少なくとも2つの入射角での測定から求める物性測定方法である。本発明において、前記略水平の角度範囲は、前記基板表面に対して0〜40°、前記略垂直の角度範囲は、前記基板表面に対して90〜50°である。
以下、本発明の液晶材料の物性測定方法の説明を通じて、本発明の液晶材料の物性測定システムの詳細をも明らかにする。
前記アンカリング強度(Bd/k11)、(B0/k11)は、以下に説明する光学特性の測定原理に基づいて行われる。
前記光学特性の測定原理は、自由エネルギー密度、自由エネルギー、液晶ダイレクタの配向角度分布、入射角、表面アンカリングエネルギー及びトルクバランスなどを、下記数式(1)〜(9)を用いて順次評価し、最終的にアンカリング強度と弾性定数比とセル厚みを求める原理である。
前記光学特性が、レターデーションReの入射角θに関する光学特性の場合、前記レターデーションReは。下記数式(4)で表される。
前記配向角度分布は弾性定数比と配向界面のアンカリング強度とセル厚みで一意的に決まるので、測定値と計算値とを比較すると一致するセル厚みd及び弾性定数比kとψdとψoとCのパラメータセットを持つ配向角度分布関数ψ(x)を決めることができる。
一方、液晶の弾性による変形のトルクは、前記数式(2)の微分形で与えられるが、垂直配向界面x=dと水平配向界面x=0で、それらが釣り合っている場合には、以下の数式(6)及び(7)を得る。
また、アンカリング強度の比についても、前記垂直配向界面におけるアンカリング強度(Bd/k11)及び水平配向界面におけるアンカリング強度(B0/k11)から求めることができる。以上が光学特性の測定原理であり、以下に実際の液晶材料の物性測定方法について説明する。
−ハイブリッド配向液晶セルの作製−
前記ハイブリッド配向液晶セルとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、基板表面に対し略水平な液晶配向を有する基板と略垂直な液晶配向を有する基板とを組み合わせた棒状ネマチックからなる液晶セルなどが挙げられる。前記略水平の角度範囲は、前記基板表面に対して0〜40°、前記略垂直の角度範囲は、前記基板表面に対して90〜50°であり、該角度範囲になる液晶セルが好ましい。
前記基板としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、
無アルカリガラス板などの透明なガラス基板などが挙げられる。
前記液晶配向としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、配向膜により形成され、該配向膜は前記ガラス基板に塗布されて水平配向性を示すものや垂直配向性を示すものなどのように、異なる方向の液晶配向などが挙げられる。
前記配向膜は、必要に応じてラビングなどの配向処理及び焼成などの熱処理をする。前記配向膜としては、液晶材料を配向させることができるものであれば、特に制限はなく、公知の液晶用配向剤の中から目的に応じて適宜選択して形成することができる。
図2に前記液晶セルの断面図を示す。図2に示すように、前記液晶セルは、ガラス基板1の表面に垂直に配向された垂直配向膜4を有する該ガラス基板1と、ガラス基板1aの表面に水平に配向された水平配向膜2を有する該ガラス基板1aと、液晶ダイレクタ3a、3b、3cを含む液晶材料が、前記ガラス基板1と前記ガラス基板1aとの間隙であるセル厚みdのスペースに充填され封止されたハイブリッド配向液晶セルである。
前記液晶ダイレクタ3cは、垂直配向膜4の近傍においては、前記ガラス基板1に略垂直、即ち、該ガラス基板に対して90〜50°で配向され、前記ガラス基板1a方向に徐々に角度を変え、即ち、液晶ダイレクタ3のプレチルト角ψは、ψd、ψx、ψoの順に小さくなり、水平配向膜2の近傍においては、前記液晶ダイレクタ3aは前記ガラス基板1aに略水平、即ち、前記ガラス基板1aに対して0〜40°で配向されている。
前記レターデーションの入射角特性の測定としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、図3に示す分光エリプソメトリ装置を使用して、前記液晶セルのレターデーションの入射角度依存性、即ち、前記液晶セルに入射する光の入射角に対応するレターデーションの値を測定することにより行われる。
図3に示すように、前記分光エリプソメトリ装置は、光源5と、該光源5から出射した光を受光する受光器10の中間に、該光源5の側から、偏光子6、回転位相子7、被測定物を載置し、矢印方向にモータ制御により回転する回転台座8及び検光子9が順に配置されている。
測定した前記レターデーションの入射角特性の測定値と、前記数式(6)から計算したレターデーションの入射角特性の計算値と比較する。
前記計算としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、弾性定数kを−0.5から+0.5、ψdを50°〜90°、ψ0を0°〜10°の範囲で設定し、配向角度分布関数ψ(x)を計算する。この配向角度分布関数ψ(x)を一つづつ前記数式(6)に代入し、計算値を求め、入射角θ毎に該計算値と測定値との差分を取ることにより両者を比較する。
前記パラメータセットの決定は、前記差分を比較して、最も小さい値を好適なパラメータとして決定する。具体的には、前記差分の2乗和が最も小さくなるようにセル厚みdを決定する。前記差分をnとすると、2乗和は下記数式で表される。
前記アンカリング強度は、前記パラメータセットによる好適値を前記数式(8)及び(9)に代入して得られる。具体的には、垂直配向界面におけるアンカリング強度(Bd/k11)、及び水平配向界面におけるアンカリング強度(B0/k11)が得られる。
更に、前記垂直配向界面のアンカリング強度(Bd/k11)、及び前記水平配向界面のアンカリング強度(B0/k11)から、アンカリング強度の比も求めることができる。
本実施例では、サンプルの作成方法、測定条件についての一例を詳細に示すとともに、この測定方法によって得られた測定値が信頼できるものであることの検証方法も示す。
前記液晶セルに用いるガラス基板として、透明なガラス基板を切断して、大きさ100mm×25mmのガラス基板を2個作製した。前記ガラス基板の各切断面を研磨処理した後、界面活性剤で処理し、超音波洗浄装置を用いて純水により洗浄処理した。1個のガラス基板面に水平配向材として、ポリイミド(JSR製、AL1254)をスピンコート装置により塗布し、200℃で、1時間焼成した後、ラビング処理を施して水平配向膜を有するガラス基板Aを作製した。他の1個のガラス基板には垂直配向材として、JSR製JALS204をスピンコート装置により塗布し、200℃で、1時間焼成して垂直配向膜を有するガラス基板Bを作製した。
更に、後の検証に用いるため、前記ガラス基板A及び前記ガラス基板Bと同様の方法で、ガラス基板D及びガラスEを作製し、両方ともラビング処理を施し、アンチパラレル配向になるように前記ガラス基板D及びガラス基板Eを重ねた液晶セルFを作製した。
作成した前記ハイブリッド配向液晶セルのレターデーションの入射角依存性の測定には、分光エリプソメトリ装置(M−2000、J.A.Woollam社製製)を使用した。
前記分光エリプソメトリ装置における測定スポットの直径は、1mm、測定波長範囲は400〜700nmを用いた。
図3に示す前記分光エリプソメトリ装置における回転台座8上に、前記ハイブリッド配向液晶セルのラビング配向が、回転台座8の回転面に対して水平になるように該ハイブリッド配向液晶セルを載置した。図4に示すように、測定光の入射角θが−40°〜50°の範囲で該回転台座8を回転させ、前記入射角θを5°ステップで変えながら偏光解析により順次レターデーションを測定した。
更に、楔型の前記ハイブリッド配向液晶セルにおける測定光を入射させる位置、即ち、測定ポイントをセル厚みが変化する方向(図6に示すラビング方向)に5mmステップで移動し、各ステップ毎のレターデーションをそれぞれの入射角θについて測定した。図7は測定結果を表すグラフで、横軸は入射角、縦軸はレターデーションを表す。セル厚みdは右縦軸に表わされている。各セル厚みdに対して入射角θに対するレターデーション(nm)がプロットされており、前記ハイブリッド配向液晶セルのレターデーションの入射角特性を示している。
以上のようにして弾性定数比kの値が0.0、垂直配向界面のアンカリング強度(Bd/k11)が10x106/m、水平配向界面のアンカリング強度(B0/k11)が35x107/mであることが判った。
更に、前記垂直配向界面のアンカリング強度(Bd/k11)及び前記水平配向界面のアンカリング強度(B0/k11)から、アンカリング強度の比も求めることができる。
1a ガラス基板
2 水平配向膜
3a 液晶ダイレクタ
3b 液晶ダイレクタ
3c 液晶ダイレクタ
4 垂直配向膜
5 光源
6 偏光子
7 回転位相子
8 回転台座
9 検光子
10 受光器
11 ハイブリッド配向液晶セル
12 シール
Claims (8)
- 基板表面に対し、略水平な液晶配向を有する基板と略垂直な液晶配向を有する基板とからなるハイブリッド配向液晶セルの光学特性を、少なくとも3以上の入射角で測定することにより、弾性定数比とアンカリング強度とセル厚みとを求めることを特徴とする液晶材料の物性測定方法。
- 測定した光学特性値とシミュレーション計算により求めた光学特性値とを比較し、前記光学特性値の差が最小になるパラメータを選択することより、液晶材料の弾性定数比とセル厚みと配向角度分布を同時に決定する請求項1に記載の液晶材料の物性測定方法。
- パラメータが、液晶材料の弾性定数比とセル厚みと配向角度分布を含む請求項1から2のいずれかに記載の液晶材料の物性測定方法。
- シミュレーション計算が、液晶材料の弾性定数比とセル厚みと配向角度分布とからなる組を少なくとも2組以上仮定し、前記配向角度分布と前記液晶材料の屈折率とから光学特性値を求め、該光学特性値と測定した光学特性値とを比較し、前記両光学特性値の差が最小となるよう1組の弾性定数比とセル厚みと配向角度分布とを同時に決定する請求項1から3のいずれかに記載の液晶材料の物性測定方法。
- 液晶材料の弾性定数比及び配向角度分布から基板界面における前記液晶材料の配向角度を決定し、該配向角度に基づいてアンカリング強度及びアンカリング強度の比を決定する請求項1から4のいずれかに記載の液晶材料の物性測定方法。
- 入射角方向が、ハイブリッド配向液晶セルの液晶ダイレクタの配向分布を含む平面に略平行で基板表面に垂直な方向を含む平面内にある請求項1から5のいずれかに記載の液晶材料の物性測定方法。
- 光学特性が、レターデーションである請求項1から6のいずれかに記載の液晶材料の物性測定方法。
- 請求項1から7のいずれかに記載の液晶材料の物性測定方法を含む、液晶材料の物性測定システム。
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JP2005164837A JP2006337288A (ja) | 2005-06-03 | 2005-06-03 | 液晶材料の物性測定方法及び物性測定システム |
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Cited By (2)
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WO2009022549A1 (ja) * | 2007-08-16 | 2009-02-19 | Nippon Oil Corporation | 光学フィルムの検査方法 |
JP2012127933A (ja) * | 2010-12-16 | 2012-07-05 | Ind Technol Res Inst | 液晶パラメータ測定の方法及び装置 |
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2005
- 2005-06-03 JP JP2005164837A patent/JP2006337288A/ja not_active Abandoned
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