JP2006336555A - 風力発電設備用の円筒部材 - Google Patents
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Abstract
風力発電設備の風車部などで発生する振動を減衰する作用を有する円筒部材を提供する。
【解決手段】
風力発電設備の風車部や発電機等を支持する円筒部材21は、第一円筒部材21aと第二円筒部材21bとを備え、第一円筒部材21aと第二円筒部材21bとの間隙cに粘弾性樹脂21cを充填する。風車部等で発生した振動は、粘弾性樹脂21cが剪断変形することにより減衰される。
【選択図】 図2
Description
ここで、図4に示す風力発電設備は、風車部の質量とポールのバネ定数からなる1質点系として把握することができ、この風車部には、風そのもののみならず、風車部自体が風を受け回転することに起因して加振力が働き、曲げ振動が発生する。そして、前記のうち特に風車の回転に基づく振動はその周波数が広域に及ぶので、上記の1質点系の固有振動数と一致し易く、共振のおそれが大きくなると言える。
この点、図4の構成では、風車部を固定支持し、応力の集中し易い部分であるポールの根元部分にリブを溶接していることから、その設計疲労強度が大きく低下(一般的に1/10程度)している。
従って、図4の風力発電設備において上述したような共振が起こると、その変位は通常の振動による変位の数十〜数百倍になるので、ポールの根元部分が簡単に疲労破壊を起こし、ポールの折損の原因となっている。
具体的には、(1)ポールの径を大きくしたり、(2)リブを徹底的に設けて補強したり、あるいは、(3)ポールの形状をテーパ状にしたり(特許文献1)する等である。
また、著しい疲労強度低下の原因となる溶接リブ(図4)を省略できるから、リブの疲労破壊のおそれもなくなる。
更には、共振回避のために円筒部材の剛性を特別に高める必要がなくなるから、円筒部材の設計の自由度を増大させることができ、これに伴い、円筒部材等のコストを低減する余地を大きくすることができる。
加えて、前記基礎コンクリートは前記円筒部材よりも一般的にヤング係数が低いので、前記円筒部材の根元に発生する応力集中が緩和・分散される。したがって、前記円筒部材の疲労が軽減され破断を防止することができる。
図2は本発明の一実施形態に係る風力発電設備用円筒部材の部分断面図である。
図3は本発明の他の実施形態に係る風力発電設備用円筒部材の部分断面図である。
図4は従来の風力発電設備の全体図である。
所定の距離とは、支持する風力発電部10の風車部11に十分な風が作用する程度の距離をいう。
ここで、「円筒」とは、中空である筒状のもの、中実である円柱状のもの、の何れかを適宜選択できるものとする。
軸支持部材22は、例えば溶接手段やボルト及びナット等の締結手段などから成る固定手段により、円筒部材21の上端に固定されている。同様に、発電機12は前記固定手段により軸支持部材22へ固定されている。また、前記固定手段の代わりに、これらを一体成形しても良い。
軸支持部材22は、例えば軸支持部材22に設けられた一の、あるいは複数の軸受などにより回転軸13を支持している。
第二円筒部材21bの長さは、第一円筒部材21aの設置時における地上露出部分の長さの1/3に埋設部21dの長さを加えた程度である。したがって、本実施形態においては、円筒部材21の設置時において、その地上露出部分は、長手方向の1/3が二重構造となっている。
第二円筒部材21bも、一般的に鉄鋼材料から形成される。
前記減衰作用は、風力発電部10等で発生した振動を減衰させるためのものである。風力発電設備100の設置場所が寒冷地であっても適度の減衰を発揮できるガラス転移温度が得られるように、粘弾性樹脂21cの主剤は、例えばエポキシ・ウレタン・シリコン・液状ゴム・アスファルト等であって、必要に応じてシリカ・マイカ・ゼオライト・テフロン(登録商標)・鉛粉末等が添加されている。
また、著しい疲労強度低下の原因となる溶接リブ(図4)を省略できるから、リブの疲労破壊のおそれもなくなる。
更には、共振回避のために円筒部材21の剛性を特別に高める必要がなくなるから、円筒部材21の設計の自由度を増大させることができ、これに伴い、円筒部材21等のコストを低減する余地を大きくすることができる。
所定の長さとは前述の通り、風車部11に十分な風が作用する程度の長さである。
円筒部材21に軸支持部材22をボルトやナット等の締結手段により固定する場合は、予め前記締結手段に用いられる孔を円筒部材21に適宜穿孔しておく。
本実施形態における所定の長さとは、前述の通り、埋設部21dの長さに円筒部材21の設置時露出部分の長さの1/3を加えた程度とする。
所定の粘弾性とは、振動等により剪断変形が生じるとその振動を熱エネルギー等に変換する性質をいい、また、風力発電設備100の設置場所の周辺雰囲気(温度等)等において最良の減衰を発揮できる性質とする。
所定のガラス転移温度とは、前記雰囲気等(特に寒冷地)で適度な弾性を発揮するよう定められた性質とする。
粘弾性樹脂21cは、まず液状となるよう製造され、好適な硬化剤、あるいは単に雰囲気との化学反応により硬化し、前述した所定の粘弾性と所定のガラス転移温度が得られるものとする。
以上により、円筒部材21の製造工程が完了する。
所定の形状とは、例えば略円筒形状であって、その径は第二円筒部材21bよりも大とし、その深さは埋設部21dと同じ、若しくは比して大とする。
円筒部材21を垂直状態に固定し、第二円筒部材21bと前記凹部との間にコンクリートを充填する。
これにより、円筒部材21が基礎コンクリート30に固定される。
加えて、基礎コンクリート30(ヤング率:2.4×104N/mm2)は円筒部材21よりも一般的にヤング係数が低いので、円筒部材21の根元に発生する応力集中が緩和・分散される。したがって、円筒部材21の疲労が軽減され破断を防止することができる。
また、円筒部材21の径が実質的に大きくなるので、基礎コンクリート30と円筒部材21との間で発生する面圧を軽減させることができる。
軸支持部材22に設けられた軸受(図示せず)により回転軸13を回転自在に支持し、回転軸13の下端には発電機12を、上端には風車部11を取り付ける。発電機12は軸支持部材22に別の固定手段により固定される。
また、必要に応じて、手動ブレーキ操作盤などを設ける。
以上により、風力発電設備100の組立て工程が完了する。
具体的には、風車部11が回転し発電機12において電力が生成される前記発電工程において発生する振動と、その振動の減衰過程に関して説明する。
すなわち、前記振動により第一円筒部材21aが曲げ変形すると、粘弾性樹脂21cが剪断変形する。粘弾性樹脂21cは、剪断変形するとその加えられたエネルギーを熱エネルギーへ変換する性質を有する。これにより第一円筒部材21aの振動を熱エネルギーに変換することで、前記振動を減衰させることができる。
以上により、前記発電工程において発生する振動は、風力発電設備100と共振することなく、好適に減衰される。
これにより、粘弾性樹脂21cが充填され、前記減衰作用が発揮される面積が増加するので、より一層円筒部材21にこの減衰作用を発揮させることができる。
21a 第一円筒部材
21b 第二円筒部材
21c 粘弾性樹脂
21d 埋設部
30 基礎コンクリート
Claims (4)
- 風力発電設備の風車部を支持する円筒部材において、
前記円筒部材は、
前記風車部を支持する第一円筒部材と、
前記第一円筒部材と同心である第二円筒部材と、
を含み、
前記第一円筒部材と前記第二円筒部材との間に制振材を設けることを特徴とする、円筒部材。 - 請求項1に記載の円筒部材であって、
前記円筒部材の一端が基礎コンクリートに埋設されていることを特徴とする、円筒部材。 - 請求項2に記載の円筒部材であって、
前記第二円筒部材は、前記第一円筒部材の外周側に配置されることを特徴とする、円筒部材。 - 請求項1乃至請求項3の何れかの一に記載の円筒部材を備える前記風力発電設備。
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