JP2006335802A - ステロールエステルの脱臭方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】ステロールエステルに含まれる特有の臭気成分を除去する。
【解決手段】ステロールエステルを、真空度20Pa以下、温度100〜300℃の範囲における条件と、真空度1Pa以下、温度100〜200℃の範囲における条件を組み合わせた分子蒸留処理することにより、臭いの原因となっていた未反応成分及び副生成物を除去する。
【選択図】なし
【解決手段】ステロールエステルを、真空度20Pa以下、温度100〜300℃の範囲における条件と、真空度1Pa以下、温度100〜200℃の範囲における条件を組み合わせた分子蒸留処理することにより、臭いの原因となっていた未反応成分及び副生成物を除去する。
【選択図】なし
Description
本発明は、ステロールエステルの脱臭方法に関する。詳細には、ステロールエステルを合成する際に生じる未反応成分や合成時に生成する副生成物を、特定条件下における分子蒸留処理を行うことにより効率よく除去することが可能となる、ステロールエステルの脱臭方法及び該方法により脱臭されたステロールエステルを含有する食品に関する。
近年、日本においての食生活の西洋化や多様化、ライフスタイルの変化に伴い、脂肪分、コレステロール分の過剰摂取が問題とされる事がある。食品に含まれる脂肪やコレステロールの過剰摂取は、血中のコレステロールを増加させ、高脂血症、動脈硬化、不整脈、心筋梗塞などの疾病を誘発する要因となっている。そこで、コレステロールの体内吸収を阻害し、血液中のコレステロール量を低下させる物質として、植物ステロール及びそのエステル類が注目されている。
植物ステロールは、植物に含まれる種々のステロールおよびそれらの混合物の総称で、主要成分として、β−シトステロール、スチグマステロール、カンペステロールおよびブラシカステロールなどが知られている。植物ステロールは、血中コレステロール濃度低下作用を持つことが知られており、植物ステロールやそのエステルをマーガリンの添加剤などとして経口摂取すると、血中のコレステロールレベルを著しく低下させることが明らかになっている(非特許文献1)。
植物ステロールは油溶性であり、その構造上水に対する溶解性が極めて低く、強い結晶性、高融点(130〜150℃)であることから、水に均一に分散して安定な液状品とすることが極めて困難であった。従って、植物ステロールを健康食品、特に容易に摂取できる飲料として提供することは、非常に困難であった。
そこで、取扱が困難なステロールに代わり、脂溶性を改善するために脂肪酸によりエステル化したステロールエステルが注目され、最近ではマーガリン、ドレッシングを初めとする食品への添加が検討されている。
そこで、取扱が困難なステロールに代わり、脂溶性を改善するために脂肪酸によりエステル化したステロールエステルが注目され、最近ではマーガリン、ドレッシングを初めとする食品への添加が検討されている。
しかしながらステロールエステルは植物油の精製工程における副産物として存在し、精製が困難であることから、収率良く高純度のステロールエステルを得る方法が検討されている。
具体的には、ステリルエステルと中性脂肪とを含む混合物からステリルエステルを分離する方法であって、該混合物中の中性脂肪を加水分解、ケン化分解あるいはエステル交換する工程、および該ステリルエステルを分離する工程、を含む方法(特許文献1)、植物由来のステロール類と脂肪酸類から、リパーゼによるステロール脂肪酸エステルの合成反応を、所定の温度及び水分含量の系内で一定時間行った後、酵素失活処理、脱水処理、酵素蛋白質除去処理を行い、分子蒸留処理によって未反応のステロール及び脂肪酸の除去を行い、吸着剤処理によって色素成分の除去を行い、水蒸気蒸留処理によって臭気成分の除去を行い、官能面及び安全面において優れた食品用ステロール脂肪酸エステルを製造する方法(特許文献2)、脱臭スカム油から低コストに食品用ステロール脂肪酸エステルを製造する方法において、精製工程の一つとして分子蒸留処理によって主として未反応のステロールや脂肪酸の除去を行う方法(特許文献3)、油脂類の脱臭工程で発生する脱臭留出物から分離・濃縮されたステロール脂肪酸エステル濃縮物を溶融或いは溶剤に溶解後冷却し、析出したステロール脂肪酸エステルその他高融点成分をろ過して除くことによるステロール脂肪酸エステルの生成物の製造方法(特許文献4)、溶媒を含有しない媒体中でステロール類又はスタノール類をトランスエステル化する方法、及び溶媒を含有しない媒体中でステロール類を酵素によりトランスエステル化することによりステリル又はスタニルエステル類を製造する方法(特許文献5)、体脂肪蓄積抑制機能を有する食用油脂組成物の製造方法において、分子蒸留により脂肪酸等を分離する技術(特許文献6)、共役脂肪酸のポリグリセリンエステルの製造方法において、遊離脂肪酸除去後に分子蒸留に付することにより、モノエステル、ジエステルまたはトリエステルを分離精製する方法(特許文献7)等が開示されている。
しかし、これらの技術をもってしても、ステロールエステルの臭気を効果的に除去し、食品製造に問題のないレベルにまで精製を行うことは困難であった。
上記のような方法で得られるステロールエステルであっても、未反応成分及び合成工程で生じる副生成物の影響による特有の臭いが問題となっていた。係る臭いは、ステロールエステルを食品に添加した際にも影響を与え、食品の品質を低下させる原因ともなっていた。
本願出願人は、上記課題を解決するために鋭意研究を重ね、ステロールエステルを分子蒸留処理することにより、効果的に臭いの原因となっていた未反応成分及び副生成物を除くことができるとの知見を得た。
分子蒸留により油脂や脂肪酸類を精製する方法は既に上述の特許文献等において開示されているが、本願発明は、これら公知技術のいずれにも記載も示唆もされていない特定条件による分子蒸留処理を用いることにより、未反応物だけでなく反応により生成する副生成物をも効果的に除去する方法を提供するものである。即ち、分子蒸留処理である点では共通するものの、その処理条件は既に公開されている上記特許文献のいずれの処理方法とも異なる新規なものである。
即ち本発明は、ステロールエステルを合成する際に生じる未反応成分を分子蒸留処理により除去し、次いで副生成物を特定の条件で分子蒸留処理により除去することを特徴とするステロールエステルの脱臭方法、並びに該脱臭方法により得られたステロールエステルを含有する食品を提供するものである。
本発明によれば、ステロールエステルの臭気の原因となっていた合成時の未反応成分や脂肪酸類、合成による副生成物を効果的に除去した、脱臭されたステロールエステルを提供することが可能となる。また、係るステロールエステルを使用することにより、臭気の影響を受けない食品を提供することが可能となる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明に用いるステロールエステルは、酵素法や化学的合成法により得られたものを利用することができるが、本発明にかかるステロールエステルの脱臭方法は、副生成物がより多く産生される傾向にある合成方法において、その効果を享受できる。
本発明においてステロールエステルの原料として利用される成分として、植物油脂中に含まれるステロール類、例えば大豆、菜種、綿実等の植物油脂から抽出、精製されたもので、β−シトステロール、スチグマステロール、カンペステロール、ブラシカステロール等を主要成分とする混合物である。一般には、市販品である「フィトステロールF」(タマ生化学工業株式会社製)を利用することができる。また、植物ステロールの飽和型である植物スタノールも、本発明において植物ステロールの代替若しくは植物ステロールと混合して使用することができる。また、本発明のステロールエステルの合成原料として、これら植物ステロールを含む植物性食用油脂を利用することも可能であり、具体的には大豆油、菜種油、綿実油、サフラワー油、ヒマワリ油、コーン油、ヤシ油、パーム油、落花生油、小麦胚芽油、米ぬか油等が例示でき、さらにはこれら植物性食用油脂の脱臭工程で発生する脱臭スカム、脱臭スラッジ等の脱臭留去物を利用することもできる。これら脱臭スカムには遊離ステロール、遊離脂肪酸とはじめ、モノアシルグリセロール、ジアシルグルセロール、トリアシルグリセロール、トコフェロール、カロテン、ワックス等が含まれている。脂肪酸類は、植物由来のものだけでなく、動物由来のものを別途添加してもよく、例えばミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、α−リノレン酸、γ−リノレン酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸などが例示できる。
本発明におけるステロールエステルの製造方法は、公知の合成方法を利用することができ、具体的には、酵素を利用した酵素方法と化学的な合成方法が例示できる。酵素方法の例として、触媒にリパーゼ或いはリパーゼと同様の反応を触媒する酵素を利用し、ステロール類と脂肪酸類を混合し合成反応(30〜50℃で48時間程度)を経てステロールエステルを得る方法が挙げられる。
一方、化学的な合成方法の例としては、大豆などから生成された植物性ステロールをなたね油、コーンサラダ油などから得られた脂肪酸で触媒存在下分子間脱水することによりエステル化し、ステロールエステルを得る方法が挙げられる。
本発明にかかるステロールエステルの脱臭方法は、前述のようにして得られた未精製のステロールエステルに含まれる、未反応のステロール類や脂肪酸類、副生成物であるアルデヒド類等を分子蒸留処理により除去することを特徴とするものである。以下にその方法を詳しく説明する。
本発明にかかるステロールエステルの脱臭方法は、前述のようにして得られた未精製のステロールエステルに含まれる、未反応のステロール類や脂肪酸類、副生成物であるアルデヒド類等を分子蒸留処理により除去することを特徴とするものである。以下にその方法を詳しく説明する。
分子蒸留とは、高真空条件下で蒸発面(液面)と凝縮面(蒸発した蒸気が冷却され凝集する面)との間隔を数センチ程度にして行う蒸留法であり、低温での蒸留が可能であるため、蒸気圧の低い物質、熱に弱い物質の分離・精製に有効な方法として知られている。未精製ステロールエステルを分子蒸留処理する装置としては、流下薄膜式、遠心式、短工程蒸留装置、高真空精密蒸留装置などが例示できるが、これらのいずれの装置も用いてもよいが、処理条件として、真空度20以下、温度100〜300℃、好ましくは真空度14Pa以下、温度150〜250℃の条件における処理と、真空度1Pa以下、温度100〜200℃、好ましくは真空度0.1Pa以下、温度150〜160℃の範囲における処理を組み合わせて行うものであれば何れの装置を用いて処理を行ってもよい。かかる処理により、効果的にステロールエステル中に含まれている未反応成分や副生成物を除去することができる。上記真空度、温度の範囲外の条件下で分子蒸留処理を行うと、除去効率が低下するため好ましくない。
好ましい処理方法は、未精製のステロールエステルを先ず真空度20以下、温度100〜300℃、好ましくは真空度14Pa以下、温度150〜250℃の条件で処理し、次いで真空度1Pa以下、温度100〜200℃、好ましくは真空度0.1Pa以下、温度150〜160℃の範囲における処理を行う方法が例示できる。本発明では、分子蒸留処理の工程はこの順序に限定されず、真空度1Pa以下、温度100〜200℃、好ましくは真空度0.1Pa以下、温度150〜160℃の範囲における処理を先に行い、次いで真空度20以下、温度100〜300℃、好ましくは真空度14Pa以下、温度150〜250℃の条件で処理を行っても良い。このように異なる処理条件下において分子蒸留処理を行うことにより、ステロールエステル生成時に未反応成分として残るステロールや脂肪酸類、副生成物として生じるアルデヒド類を効率的に除去し、脱臭されたステロールエステルを得ることができる。
以上の様な脱臭操作を減ることにより、本発明で得られるステロールエステルは合成時の未反応成分や副生成物に起因する臭いを有さない精製されたものとなる。そして脱臭されたステロールエステルは、そのまま或いは食用油脂等に溶解して、更には公知の乳化剤、安定剤を用いた乳化液、分散液として広範囲の食品に使用することができる。また、得られた脱臭されたステロールエステルを既知の方法、例えば噴霧乾燥、凍結乾燥等の方法により粉末化してもよい。
さらに本発明は、上述のような方法で得られた脱臭されたステロールエステルを含有することを特徴とする食品に関する。
従来、ステロールエステルは合成時の未反応成分、反応により発生した副生成物に起因する臭気を有していたが、本発明による脱臭方法を施すことにより、効果的に係る臭気を除くことが可能となる。従って、問題とされていたステロールエステルを食品に添加した際の臭気が問題となることはなく、高付加価値を有する食品を提供することが可能となる。
本発明に係る脱臭されたステロールエステルを添加できる食品としては、特に限定はされないが、味や臭いが少ない食品でより好ましい効果を得る。具体的には豆乳、ビタミン・ミネラル飲料、牛乳、加工乳、乳飲料、乳酸菌飲料、乳製品、発酵乳、酸性飲料、中性飲料、コーヒー、紅茶、ウーロン茶、緑茶、乳清飲料、炭酸飲料、果実飲料、果汁飲料、ビール、カクテルやチューハイなどのアルコール飲料、栄養ドリンクなどの健康飲料、ニアウォーターやスポーツドリンク、ドリンクヨーグルト、シェーク飲料などが例示できる。さらに飲料の形態をとるもの以外でも、水溶性の原料を含み製造される食品、例えばパン、ビスケット、キャンディー等のパン・菓子類、ゼリー、プリンやヨーグルト等のデザート類、ソース、ドレッシング、たれ等の調味料、ハムなどの加工食品、マーガリン、スプレッド、ショートニングなどの油脂加工食品、シチュー、スープ、カレーなどの食品をも例示することができる。また、本発明を利用して医薬品組成物、例えば液剤、注射剤、点滴剤、シロップ剤、クリーム、軟膏、ローション等を製造することもできる。好ましくは液状食品であり、さらに好ましくはオレンジジュース等の果汁飲料、コーヒー、紅茶などの嗜好飲料である。
これらの食品を製造する方法は、各食品の製造原料の1つに本発明に係る植物ステロール組成物を添加し、従来公知の方法により食品を製造すればよく、特別な製造装置や製造条件を必要とするものでないため、工業的にも有利に本発明を実施することが可能である。
本発明の内容を以下の実施例、比較例等を用いて具体的に説明するが、本発明はこれらに何ら限定されるものではない。また、特に記載のない限り「部」とは、「重量部」を意味するものとする。
1.脱臭ステロールエステルの調製
大豆から生成した高精製の植物性ステロール(フィトステロール90%以上含有品)50部をなたね油から得たC16〜C20を主成分とした脂肪酸50部でエステル化反応させ、植物性ステロールエステル(試料1)を90部得た。
試料1の100部を、真空度1.5Pa、250℃で分子蒸留し、蒸留された95部を回収し、精製ステロールエステル(試料2)とした。
試料1の100部を、真空度1.5Pa、250℃の条件で2回分子蒸留処理を行い、蒸留された90部を回収し、精製ステロールエステル(試料3)とした。
試料1の100部を、真空度1.5Pa、250℃で分子蒸留し、蒸留された95部を回収し、次いで真空度0.1Pa、150℃で分子蒸留して残分90部を回収して脱臭ステロールエステル(試料4)とした。
大豆から生成した高精製の植物性ステロール(フィトステロール90%以上含有品)50部をなたね油から得たC16〜C20を主成分とした脂肪酸50部でエステル化反応させ、植物性ステロールエステル(試料1)を90部得た。
試料1の100部を、真空度1.5Pa、250℃で分子蒸留し、蒸留された95部を回収し、精製ステロールエステル(試料2)とした。
試料1の100部を、真空度1.5Pa、250℃の条件で2回分子蒸留処理を行い、蒸留された90部を回収し、精製ステロールエステル(試料3)とした。
試料1の100部を、真空度1.5Pa、250℃で分子蒸留し、蒸留された95部を回収し、次いで真空度0.1Pa、150℃で分子蒸留して残分90部を回収して脱臭ステロールエステル(試料4)とした。
2.香気の評価
<評価の方法>
上記実施例で得られた試料1〜4の各2gを秤取り、水2gで希釈し、20ml容量のバイアル瓶に充填し官能評価液とした。これを45℃で5分間保持した後、専門のパネリストにより臭い、口に含んだ時の風味の評価を行った。評価は、臭いが除去されていたものを○、やや臭いが感じられたものを△、充分に臭いが除去されていなかったものを×として評価した。結果を表1に示す。
<評価の方法>
上記実施例で得られた試料1〜4の各2gを秤取り、水2gで希釈し、20ml容量のバイアル瓶に充填し官能評価液とした。これを45℃で5分間保持した後、専門のパネリストにより臭い、口に含んだ時の風味の評価を行った。評価は、臭いが除去されていたものを○、やや臭いが感じられたものを△、充分に臭いが除去されていなかったものを×として評価した。結果を表1に示す。
<結果>
本願発明に係る脱臭処理、即ち異なる条件による分子蒸留処理を行ったステロールエステルでは、未反応物或いは副生成物に由来する臭気は感じられなかった。一方、分子蒸留処理を行わなかった試料1及び分子蒸留処理を1回しか行わなかった試料2では、臭いや口に含んだ際に特有の臭気が感じられた。また、同一の条件による分子蒸留処理を行った試料3では、幾分臭気は除かれていたものの、試料4と比較すると不十分な評価となった。
本願発明に係る脱臭処理、即ち異なる条件による分子蒸留処理を行ったステロールエステルでは、未反応物或いは副生成物に由来する臭気は感じられなかった。一方、分子蒸留処理を行わなかった試料1及び分子蒸留処理を1回しか行わなかった試料2では、臭いや口に含んだ際に特有の臭気が感じられた。また、同一の条件による分子蒸留処理を行った試料3では、幾分臭気は除かれていたものの、試料4と比較すると不十分な評価となった。
3.香気成分の分析
<分析方法>
試料1と4の各2gを秤取り、水2gで希釈し、20ml容量のバイアル瓶に充填し試験液とした。これを45℃で5分間保持した後、SPMEファイバーを気相中に5分間接触させ、香気成分を吸着した。吸着処理後のファイバーを下記条件にてGC/MS分析に供し、香気成分の分析を行なった。
(GC/MS分析条件)
SPMEファイバー : DVB/CAR/PDMS 樹脂ファイバー
装置 : Agilent technologies 6980N
Agilent technologies 5973N Mass Selective Detector
カラム : DB-WAX(60m×0.25μm)
カラム温度 : 50分(2分間保持)→3℃/分で昇温→220℃
注入温度 : 250℃
出口温度 : 230℃
移動相 : ヘリウムガス
<分析結果>
試料1ではt‐2‐ヘプテナール(t-2-heptenal)や脂肪酸など臭いの原因成分として考えられている微量成分が多く含有していたが(図1)、試料4ではこれら微量成分が顕著に減少していた(図2)。特にt‐2‐ヘプテナール(t-2-heptenal)などの臭気をもった副生成物は顕著に減少していることが明らかになった。
<分析方法>
試料1と4の各2gを秤取り、水2gで希釈し、20ml容量のバイアル瓶に充填し試験液とした。これを45℃で5分間保持した後、SPMEファイバーを気相中に5分間接触させ、香気成分を吸着した。吸着処理後のファイバーを下記条件にてGC/MS分析に供し、香気成分の分析を行なった。
(GC/MS分析条件)
SPMEファイバー : DVB/CAR/PDMS 樹脂ファイバー
装置 : Agilent technologies 6980N
Agilent technologies 5973N Mass Selective Detector
カラム : DB-WAX(60m×0.25μm)
カラム温度 : 50分(2分間保持)→3℃/分で昇温→220℃
注入温度 : 250℃
出口温度 : 230℃
移動相 : ヘリウムガス
<分析結果>
試料1ではt‐2‐ヘプテナール(t-2-heptenal)や脂肪酸など臭いの原因成分として考えられている微量成分が多く含有していたが(図1)、試料4ではこれら微量成分が顕著に減少していた(図2)。特にt‐2‐ヘプテナール(t-2-heptenal)などの臭気をもった副生成物は顕著に減少していることが明らかになった。
4.食品での評価
モデル飲料での評価
表2の処方に基づきモデル飲料を製造した。水95.2部にクエン酸0.1部、グラニュー糖3部および乳化剤0.4部を混合した後、60℃に加温し、試料1乃至4をそれぞれ1.3部混合した。これを80℃で10分間攪拌混合した後、ホモジナイザー20MPaで1回分散させ、93℃にてペットボトルに充填し冷却した。
(モデル飲料の処方)
モデル飲料での評価
表2の処方に基づきモデル飲料を製造した。水95.2部にクエン酸0.1部、グラニュー糖3部および乳化剤0.4部を混合した後、60℃に加温し、試料1乃至4をそれぞれ1.3部混合した。これを80℃で10分間攪拌混合した後、ホモジナイザー20MPaで1回分散させ、93℃にてペットボトルに充填し冷却した。
(モデル飲料の処方)
<評価の方法>
各モデル飲料それぞれ4点を識別し、専門のパネリスト8名により香味の評価を行った。
<結果>
8名のパネリストの全員が、モデル飲料4ではステロールエステルに由来すると思われる臭気が感じられず、香味が最も良好であったとの回答であった。一方のモデル飲料1〜3では、臭気が感じられると答えたパネリストがモデル飲料1では8人、モデル飲料2では7人、モデル飲料3では5人いたことから、試料4を用いることによる有意差が結果として得られた。
各モデル飲料それぞれ4点を識別し、専門のパネリスト8名により香味の評価を行った。
<結果>
8名のパネリストの全員が、モデル飲料4ではステロールエステルに由来すると思われる臭気が感じられず、香味が最も良好であったとの回答であった。一方のモデル飲料1〜3では、臭気が感じられると答えたパネリストがモデル飲料1では8人、モデル飲料2では7人、モデル飲料3では5人いたことから、試料4を用いることによる有意差が結果として得られた。
マーガリンでの評価
表2の処方に基づきマーガリンを製造した。あらかじめゼラチンを水に膨潤させておき、ショートニング21部、精製ヤシ油20部を加え70℃にて攪拌溶解する。これにゼラチンを膨潤させた水と食塩を攪拌しながら加え、ホモミキサーを用いて乳化(8000rpm/4分)する。さらにこれを攪拌しながら17℃まで冷却した。
表2の処方に基づきマーガリンを製造した。あらかじめゼラチンを水に膨潤させておき、ショートニング21部、精製ヤシ油20部を加え70℃にて攪拌溶解する。これにゼラチンを膨潤させた水と食塩を攪拌しながら加え、ホモミキサーを用いて乳化(8000rpm/4分)する。さらにこれを攪拌しながら17℃まで冷却した。
<評価の方法>
各マーガリンそれぞれ4点を識別し、専門のパネリスト8名により香味の評価を行った。
<結果>
8名のパネリストの全員が、マーガリン4ではステロールエステルに由来すると思われる臭気が感じられず、香味が最も良好であったとの回答であった。一方のマーガリン1、2では、臭気が感じられると答えたパネリストがいずれも7人、マーガリン3では6人いたことから、試料4を用いることにより香味の優れたマーガリンが得られることがわかった。
以上の結果により、本発明により得られたステロールエステルを使用することにより、香味の良い食品を調製できることが明らかとなった。
各マーガリンそれぞれ4点を識別し、専門のパネリスト8名により香味の評価を行った。
<結果>
8名のパネリストの全員が、マーガリン4ではステロールエステルに由来すると思われる臭気が感じられず、香味が最も良好であったとの回答であった。一方のマーガリン1、2では、臭気が感じられると答えたパネリストがいずれも7人、マーガリン3では6人いたことから、試料4を用いることにより香味の優れたマーガリンが得られることがわかった。
以上の結果により、本発明により得られたステロールエステルを使用することにより、香味の良い食品を調製できることが明らかとなった。
Claims (4)
- ステロールエステルを合成する際に生じる未反応成分及び副生成物を、真空度20以下、温度100〜300℃の範囲における処理条件と、真空度1Pa以下、温度100〜200℃の範囲における処理条件を組み合わせた分子蒸留処理することにより精製することを特徴とするステロールエステルの脱臭方法。
- 副生成物がアルデヒド類である請求項1に記載のステロールエステルの脱臭方法。
- アルデヒド類がt−2−ヘプテナールである請求項2に記載のステロールエステルの脱臭方法。
- 請求項1乃至3に記載の脱臭方法により得られたステロールエステルを含有することを特徴とする食品。
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