JP2006333079A - スライド型携帯通信機 - Google Patents

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光司 松田
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Abstract

【課題】 ねじりばねを用いて動作補助力を得るスライド型携帯電話機は、上筐体と下筐体の開閉に伴い移動するねじりばねの可動領域を確保する必要があり、携帯電話機の厚み、体積が増加するという問題があった。
【解決手段】 本発明に係るスライド型携帯通信機は、上筐体101と、下筐体201と、溝が形成されたフレーム303、下筐体201に固定されて、フレーム303に沿って摺動可能なアクチュエータ306、フレーム303に固定されて、アクチュエータ306の摺動を規制するシャフト301、このシャフト301に設けられ、アクチュエータ306をシャフト301に沿って摺動させる弾性力をアクチュエータ306に作用させるばね307を含み、上筐体101に対して下筐体201を相対的に平行移動可能に連結するスライドモジュールとを設けた。
【選択図】 図2

Description

本発明は、表示部及び操作部を備えた上筐体と、操作部を備えた下筐体がスライド可能に連結されるスライド型携帯電話機などのスライド型携帯通信機に関するものである。
現在の携帯電話機の種類として、少なくとも表示部を備えた上筐体と、操作部を備えた下筐体がヒンジを介して回動可能に連結された二つ折れ携帯電話機と、上筐体と下筐体がスライド可能に連結されたスライド型携帯電話機がある。特に、スライド型携帯電話機は、表示部を備えた上筐体に対して、操作部と送話部を備えた下筐体がほぼ平行に相対移動し、下筐体の操作部が上筐体に覆われている「閉状態」から、上筐体の表示部と受話部および下筐体の操作部がともに露出した「開状態」に移行する。スライド型携帯電話機は閉状態で上筐体の表示部が露出しているため、発呼や着呼、電子メールの確認など通信機としての基本的な操作を閉じた状態で実行できるように、上筐体にも操作部が設けられている。
特許文献1には、上筐体と下筐体をスライド可能に連結するスライドモジュールの構成を開示している。このスライドモジュールは、スライドカバーとロックプレートからなるスライドケース内にスライダーを収納して形成される。スライダーは、スライドケース内に圧接状態で収納されており、ガイド長溝に沿って摺動する。このスライドケースを例えば上筐体に設け、スライダーを下筐体とねじ止め固定することにより、上筐体と下筐体がスライド可能に連結される。
特開2003−125052号公報
スライド型携帯電話機は、利用者が筐体を開く際に、上筐体を下筐体に対してスライド距離の全長に渡って手で押し込む必要があるので、手が小さい利用者がスライド型携帯電話機を片手で開くのは不便である。そこで、ねじりばねなどを用いて、スライドの開閉両方向に動作補助力を発生させるスライド型携帯電話機が販売されている。ねじりばねにより動作補助力を得るスライド型携帯電話機は、利用者が開き始めあるいは閉じ始めに上筐体を押し込んでやることで、ねじりばねの弾性力によって閉じきった状態あるいは開ききった状態まで上筐体は下筐体に対して移動される。
ところで、ねじりばねを用いて動作補助力を得るスライド型携帯電話機は、上筐体と下筐体の開閉に伴い移動するねじりばねの可動領域を確保する必要がある。このような可動領域を確保するため、携帯電話機の厚み、体積が増加するという問題があった。厚みや体積の増加を抑制する一案として、上筐体と下筐体を組み付けた状態で上筐体と下筐体が互いに対向する面に、ねじりばねの可動領域となる凹部を設けることが考えられる。しかし、この場合、ねじりばねの可動領域となる凹部の体積分だけ、上筐体ないし下筐体の実装体積が小さくなるという問題が生じる。
本発明に係るスライド型携帯通信機は、第1の筐体と、第2の筐体と、溝が形成されたガイド部材、第2の筐体に固定されて、ガイド部材に沿って摺動可能なスライド部材、ガイド部材に固定されて、スライド部材の摺動を規制するシャフト部材、このシャフト部材に設けられ、スライド部材をシャフト部材に沿って摺動させる弾性力をスライド部材に作用させる弾性部材を含み、第1の筐体に対して第2の筐体を相対的に平行移動可能に連結するスライドモジュールとを設けたものである。
本発明に係るスライド型携帯通信機は、第1の筐体と、第2の筐体と、溝が形成されたガイド部材、第2の筐体に固定されて、ガイド部材に沿って摺動可能なスライド部材、ガイド部材に固定されて、スライド部材の摺動を規制するシャフト部材、このシャフト部材に設けられ、スライド部材をシャフト部材に沿って摺動させる弾性力をスライド部材に作用させる弾性部材を含み、第1の筐体に対して第2の筐体を相対的に平行移動可能に連結するスライドモジュールとを設けたので、ねじりばねを用いる場合に必要な可動領域を上設ける必要がなく、携帯電話機の小型化、薄型化を実現できるという効果を奏する。
実施の形態1.
図1は、本発明に係るスライド型携帯電話機の外観を示す外観斜視図である。図1において、第1の筐体である上筐体101には、画像情報を表示する表示部である液晶表示部102、キー入力部103、受話部104が設けられている。また、第2の筐体である下筐体201には、キー入力部202、送話部203が設けられている。図1に示されるように、上筐体101と下筐体201が開けられた状態では、上筐体101の液晶表示部102、キー入力部103、受話部104と、下筐体201の操作部202がともに露出した状態になる。一方、上筐体101と下筐体201が閉じられた状態では、上筐体101の液晶表示部102、キー入力部103、受話部104は露出しているが、下筐体201のキー入力部202が上筐体101に覆われる。上筐体101と下筐体201が閉じられた状態で、解除ボタン204が押下されると、後述するスライドモジュールを構成するコイルばねの弾性力により、上筐体101が下筐体201に対して移動されて、図示されるように、上筐体101と下筐体201が開かれた状態となる。
図1に示すスライド型携帯電話機は、上筐体101の背面側に、上筐体101の長手方向に沿って延びる溝が、例えば1本ないし2本形成されている。それぞれの溝は上筐体101の外側と内側を貫通するように形成されており、この溝に沿って、上筐体101の内側にスライドモジュールが設けられる。このスライドモジュールは、スライドレールと、スライドレールに沿って移動するアクチュエータを含み、このアクチュエータによって上筐体101と下筐体201はスライド可能に連結される。図2は、本発明に係るスライド型携帯電話機に適用されるスライドモジュールの構成を示す分解斜視図である。図2において、シャフト301の端部AにEリング302aを装着し、シャフト301の端部Bから、シャフト301をフレーム303の孔304aに挿入する。このとき、ダンパ305をフレーム303の孔304a側に設置しておく。このダンパ305にはシャフト受け用の凹部が形成されており、この凹部をシャフト301が押さえることにより、ダンパ305はフレーム303に保持される。
次に、スライド部材であるアクチュエータ306をガイド部材であるフレーム303に配置し、孔304aを通されたシャフト部材であるシャフト301の端部Bを、アクチュエータ306のシャフト受け(溝あるいは貫通孔)と弾性部材であるコイルばね307に通す。アクチュエータ306とばね307が通されたシャフト301は、端部Bをフレーム303の孔304bに通すことによりフレーム303に設けられる。シャフト301の端部BにはEリング302bが装着されることにより、シャフト301がフレーム303から抜けないように固定される。このように構成されたスライドモジュールにおいて、アクチュエータ306はシャフト301に沿って摺動自在に保持される。アクチュエータ306に外力を加えない状態では、アクチュエータ306は、ばね307の弾性力によってフレーム303の孔304a側に押し付けられた状態で静止する。ばね307の弾性力に逆らって、アクチュエータ306をフレーム303の孔304b側に移動させると、ばね307が圧縮されきった状態の位置までアクチュエータ306は移動する。この状態からアクチュエータ306を開放すると、アクチュエータ306は、ばね307の弾性力によって移動され、ダンパ305に衝突して停止する。ダンパ305は、アクチュエータ306とフレーム303の衝突音を緩和するためのものであり、シリコンゴムなどの材料で形成されている。
図3は、スライドモジュールを上筐体に取り付ける状態を説明する説明図である。図3において、図1及び図2と同一の符号は同一または相当部分を示すので説明は省略する。図3に示す上筐体下ケース105は、上筐体101と下筐体201をスライド可能に結合した状態で下筐体201と対向する、上筐体101のケースを示す。上筐体101は、上筐体下ケース105に液晶表示部など電子部品が実装された状態で、図示しない上筐体上カバーが取り付けられて構成される。図3に示すように、フレーム303の一端部に形成された突起部308を上筐体下ケース105に形成された係合部(例えば孔など)に係合させ、フレーム303の他端部に形成されたねじ止め部309をケース105のねじ止め部106に接触させ、フレーム303を上筐体下ケース105のスライドモジュール設置部107に設置する。そして、ねじ止め部309からねじを締結することにより、フレーム303は上筐体下ケース105に固定される。
図4は本発明に係るスライド型携帯電話機の上筐体の背面を示す平面図である。図4は、図示しない下筐体201に対して上筐体101が開かれた状態のスライドモジュールを示しており、アクチュエータ306が、ばね307の弾性力によって、シャフト301に沿って上筐体下ケース105の端部まで移動された状態で静止している状況を示す。アクチュエータ306にはねじ孔311が形成されており、このねじ孔311に下筐体201がねじ止め固定される。また、上筐体下ケース105の背面にロック400が設けられている。下筐体201に対して上筐体101が閉じられた状態のスライドモジュールは、ばね307が圧縮された状態になっている。ロック400は上筐体下ケース105の背面側から一部突出して形成されており、このロック400が下筐体201と係合することにより、圧縮されたばね307の弾性力に逆らって、上筐体101と下筐体201を閉状態で保持する機能を果たす。ロック400は、磨耗しないように金属製の材料で形成されている。
また、上筐体下ケース105の背面には、アクチュエータ306の一部が露出して摺動するフレームガイド溝310のほか、サブフック溝108が形成されている。このサブフック溝108は、上筐体101の内部と貫通していない溝であり、溝の側壁に舌状の折り返し部109が形成されている。この折り返し部109とサブフック溝108の底面の間に、下筐体201に設けられた嵌合部が嵌合することにより、上筐体101と下筐体201は、スライドモジュールのほか、サブフック溝108と下筐体201の嵌合部からなるサブフック機構においてもスライド可能に連結される。図5は、上筐体と下筐体を組み付ける状態を説明する分解斜視図である。また、図6は、上筐体下ケースの背面と下筐体上カバーの正面を示す平面図である。シャフト301およびばね307と、アクチュエータ306などが取り付けられたフレーム303は、上筐体下ケース105のスライドモジュール設置部107に取り付けられ、下筐体上カバー205の背面側から取り付けられたねじ312をアクチュエータ306のねじ孔311に締結することにより、上筐体と下筐体が組みつけられる。このとき、下筐体上カバー205のサブフック嵌合部206が、図6に示すサブフック溝108の折り返し部109と嵌合されることにより、サブフック嵌合部206はサブフック溝108に沿って摺動可能に取り付けられる。
図7は、上筐体101と下筐体201がスライド可能に組み付けられた状態の断面を示す断面図である。図7に示されるように、下筐体上カバー205の内面側から外面側に一部が突出するように設けられたサブフック嵌合部206が、上筐体下ケース105のサブフック溝108に設けられた折り返し部109と嵌合している。サブフック嵌合部206は、下筐体上カバー205に取り付けられた状態で、サブフック溝108の折り返し部109に対向する側がU字型に形成されており、このU字型の両端部で折り返し部109と係合する。上記説明のスライド型携帯電話機は、スライドモジュールのアクチュエータのほか、サブフック機構を用いて、上筐体と下筐体をスライド可能に連結している。つまり、上記説明のスライド型携帯電話機は、上筐体と下筐体を開いた状態において、上筐体の受話部が設けられた側から操作ボタンが設けられた側への長手方向位置のほぼ中央部分をサブフック機構により連結され、サブフック機構により連結された位置よりもさらに操作ボタンが設けられた側でアクチュエータにより連結されている。したがって、上筐体と下筐体を開いた状態で、上筐体の背面側から正面方向に外力が作用しても、上筐体が下筐体から外れることを防止することができ、また、下筐体に対する上筐体のがたつきを防止できるという効果がある。
上記説明のように、本発明の実施の形態1に係るスライド型携帯電話機は、フレーム内のシャフトに沿って摺動可能なアクチュエータをコイルばねで付勢するスライドモジュールを用いたので、ねじりばねを用いる場合に必要な、ねじりばねの可動領域を上筐体乃至下筐体に設ける必要がない。したがって、携帯電話機の小型化、薄型化を実現できるほか、筐体内部の実装体積を確保できるという効果を奏する。また、上記説明のスライド型携帯電話機は、スライドモジュールのアクチュエータのほか、サブフック機構を用いて、上筐体と下筐体をスライド可能に連結している。したがって、上筐体と下筐体を開いた状態で、上筐体の背面側から正面方向に外力が作用しても、上筐体が下筐体から外れることを防止することができ、また、下筐体に対する上筐体のがたつきを防止できるという効果がある。
なお、サブフック嵌合部206は、図7においては、下筐体上カバー205とは別の部材で構成されているが、下筐体上カバー205にサブフック嵌合部206を一体成型する方法も可能である。
実施の形態2.
実施の形態1において説明したように、本発明に係るスライド型携帯電話機は、フレーム内のシャフトに沿って摺動可能なアクチュエータをコイルばねで付勢するスライドモジュールを用いているので、筐体を閉じているときには、コイルばねの弾性力に逆らって、筐体閉状態を維持するためのロック機構が必要である。以下、コイルばねの弾性力に逆らって筐体閉状態を維持するとともに、ボタンが押下された場合には、コイルばねの弾性力によって筐体開状態に移行させるためのロック機構について説明する。図8は、本発明に係るスライド型携帯電話機の筐体ロック機構を説明する分解斜視図である。ロック機構は、解除ボタン204、レバー401、レバー押さえ402、ばね403、係合部404、レバー設置部405を含む。解除ボタン204は、下筐体201の解除ボタン孔204aから一部が露出するように設置される。解除ボタン204、レバー401、レバー押さえ402、ばね403は、磨耗を防ぐため金属製あるいは樹脂に金属めっきされた導通性部材が用いられている。上筐体と下筐体が閉じられている状態では、レバー401に形成された係合部404が、図4に示されたロック400と係合し、スライドモジュールのコイルばね307の弾性力に逆らって、筐体閉状態を維持される。一方、解除ボタン204を押下すると、レバー401がスライドして、係合部404とロック400の係合が解かれ、スライドモジュールのコイルばね307の弾性力に従って、筐体開状態に移行される。
この解除ボタン204に接触するように、レバー401を下筐体201にはめ込むとともに、下筐体201の側面(解除ボタン孔204aが設けられた側面)から下筐体201の中央部方向に、下筐体201の幅方向に延びる腕401aをレバー設置部405にはめ込む。レバー設置部405にはめ込まれたレバー401は、レバー設置部405に対して摺動可能に設置される。レバー401とレバー設置部405の端部の間には突起が形成されており、この突起に引っ掛けるようにばね403をレバー401とレバー設置部405間にはめ込む。このばね403の弾性力によって、レバー401はレバー設置部405に対して、下筐体201の側面方向に付勢された状態で保持され、レバー401に接触する解除ボタン204は、解除ボタン孔204aから突出した状態となる。図9は、下筐体201の平面図である。図10は、図9に示す下筐体201の断面を示す断面図である。
図10(a)は図9に示す下筐体201の01−01断面を示す。図10(a)において、下筐体201は、下筐体上カバー205と下筐体下ケース207が取り付けられることによって構成されている。下筐体上カバー205と下筐体下ケース207内部には、金属製の、あるいは樹脂に金属めっきがされたフレーム209が収納されている。フレーム209には電子部品が実装される。図10(b)は図9に示す下筐体201の02−02断面を示す。図10(b)には、下筐体上カバー205のレバー設置部405に、レバー401、レバー押さえ402、ばね403などのロック機構を構成する部材が設けられていることが示されている。図10(c)は、図10(a)の一部分を拡大して示す断面図である。図10(c)において、解除ボタン204およびレバー401の下側に金属体208が設けられている。金属体208はフレーム209と電気的に接続されている。図10(d)は、図10(b)の一部分を拡大して示す断面図である。図10(d)において、レバー401は、解除ボタン204が押下されていないとき、ばね403の弾性力によって付勢され、金属体208の側面と接触している。
図11は下筐体201の分解斜視図である。図11において、下筐体下ケース207にはカメラレンズ窓212が形成されている。この下筐体下ケース207に、フレーム209がねじ止め部211に位置決めされて固定される。フレーム209にはカメラモジュール配置部213が設けられており、カメラモジュールのレンズがカメラレンズ窓212方向に向くように、配置部213に設置される。金属体208は、下筐体下ケース207の、解除ボタン204とレバー401が設けられる位置に設置される。さらに基板210がねじ止め部211に位置決めされてフレーム209に接触して固定される。フレーム209と基板210は電気的に接続される。上記説明のように、解除ボタン204が押下されていない状態では、ばね403の弾性力によって、ロック機構のレバー401は上筐体201の、解除ボタン204が設けられた側面方向に付勢されており、金属体208に接触した状態となっている(図10(d)参照)。つまり、解除ボタン204が押下されていない状態では、いずれも金属あるいは樹脂に金属めっきが施されて形成された解除ボタン204、レバー401、金属体208、フレーム209、基板210が電気的に導通可能な状態となっている。一方、解除ボタン204が押下されると、レバー401はばね403の弾性力に逆らって、解除ボタン204が設けられた側面とは逆方向にスライドし、金属体208と離れるため、レバー401と金属体208との電気的接続は絶たれる。
ユーザが筐体を開けるため、解除ボタン204を押す際に、ユーザの指と解除ボタン204間で静電気が発生する場合がある。本発明に係るスライド型携帯電話機は、解除ボタン204が押下されていない状態では、ばね403の弾性力によって、ロック機構のレバー401は上筐体201の、解除ボタン204が設けられた側面方向に付勢されて、金属板208と接触するように構成されており、かつ、この金属板208がレバー401とフレーム209間を電気的に接続しているので、ユーザの指に帯電している静電気を、ユーザが解除ボタンを押しこむ前に、レバー401、金属板208、フレーム209、基板210、グランド(たとえば基板210に設けられている)の経路で逃がすことができる。ユーザからの静電気は、上記のような経路をたどって、基板210のグランドに確実に導かれるので、電子部品の静電気対策という観点で信頼性は向上する。仮に、解除ボタン204が押下されたときに、レバー401とフレーム209が電気的に導通するように構成されている場合、解除ボタン204を押下する前に放電した静電気が予想しない部位に流れ、電子部品などに影響を及ぼす可能性がある。しかし、本発明に係るスライド型携帯電話機は、上記説明のように、解除ボタン204が押下される前に、レバー401とフレーム209が電気的に導通するように構成されているので、ユーザの指が解除ボタン204に近づいた状態、およびユーザの指が解除ボタン204に接触した状態(解除ボタン204が押下される前)に静電気を安定的にグランドに導くことができ、静電気が電子部品の動作に影響を及ぼすことを防止できる。
なお、上記説明のスライド型携帯電話機は、解除ボタン204、レバー401の静電気を、カメラモジュールなどの電子部品を収納する金属製のフレームを介してグランドに落としていた。しかし、必ずしも金属製のフレームを用いる必要はない。例えば、携帯電話機に実装される電子部品は、「シールドボックス」と呼ばれる基板上の金属製の箱によって電磁的に遮蔽される場合がある。したがって、フレームではなく、このシールドボックスを介して静電気をグランドに落とす構成も採用可能である。
実施の形態3.
上記説明のスライド型携帯電話機は、シャフト301、Eリング302、フレーム303、孔304、ダンパ305、アクチュエータ306、ばね307より構成されたスライドモジュールを2本用いていた。しかし、上記説明のように、上筐体101にスライドモジュールを2本設けるのではなく、スライドモジュールを1本設ける構成も採用可能である。図12は本発明に係るスライド型携帯電話機の断面を示す断面図である。図12(a)は、スライドモジュールを2本設けたスライド型携帯電話機の断面を示す断面図、図12(b)は、スライドモジュールを1本設けたスライド型携帯電話機の断面を示す断面図を示す。なお、図12において、図1及び図2と同一の符号は同一または相当部分を示すので説明は省略する。
適用するスライドモジュールを2本から1本にするためには、2本のスライドモジュールで上筐体101を移動させるのに必要な弾性力を、1本のスライドモジュールで得る必要がある。適用するスライドモジュールを1本にする場合には、すくなくともばね307の径を大きくし、弾性力を強化する必要がある。ばね307の径を大きくすることにより、そのばね307を収納するフレーム303も大きくなる。つまり、スライドモジュールの数を減らすと、弾性力を強化するためにばね307などを大型化する必要があるので、スライドモジュールは大きくなる傾向がある。一般的にスライドモジュールのような部品が大型化することは好ましいことではない。しかし、適用するスライドモジュールの個数が減る分、スライドモジュールの占める実装体積を減少させることができるほか、費用の観点からも利点は多い。
実施の形態4.
図13は、本発明に係るスライド型携帯電話機のスライドモジュールを構成するアクチュエータの断面を示す断面図である。本発明に係るスライド型携帯電話機のスライドモジュールは、アクチュエータ306をばね307の弾性力によって、シャフト301に沿って移動させるものである。したがって、アクチュエータ306には、アクチュエータの長手方向、つまりフレーム303に沿ってアクチュエータ306が摺動する方向に貫通する孔、ないしは、アクチュエータ306の長手方向に延びるアクチュエータ溝313が形成されている。このアクチュエータ306のねじ孔311に、下筐体201側からねじ312を締結することによって、上筐体101と下筐体201はアクチュエータ306を介してスライド可能に連結される。
図13(a)は、アクチュエータ306の厚み方向、即ち図上の垂直方向に、ねじ孔311がアクチュエータ溝313と重なるように形成されたアクチュエータ306aの断面を示す断面図であり、図13(b)は、アクチュエータ306の厚み方向、即ち図上の垂直方向からねじ孔311とアクチュエータ溝313がずれるように形成されたアクチュエータ306bの断面を示す断面図である。図13(a)のように、アクチュエータの厚み方向にねじ孔311とアクチュエータ溝313が重なるように形成されたアクチュエータ306aは、アクチュエータの厚みが増すものの、アクチュエータの幅、即ち図上の水平方向のサイズを小型化することができるという利点がある。一方、図13(b)のように、アクチュエータの厚み方向からねじ孔311とアクチュエータ溝313がずれるように形成されたアクチュエータ306bは、アクチュエータの幅のサイズが増すものの、アクチュエータの厚みを薄くすることができるという利点がある。
上記説明のように、ばね307の弾性力によってアクチュエータ306をシャフト301に沿って移動させるスライドモジュールの場合、シャフト301を通すアクチュエータ溝313とねじ孔311をアクチュエータ306の厚み方向に重なるように形成することによって、アクチュエータ306の幅を小さくすることができる。一方、シャフト301を通すアクチュエータ溝313とねじ孔311をアクチュエータ306の厚み方向からずれるように形成することにより、アクチュエータ306の厚みを小さくすることができる。図13(a)に示されたアクチュエータ306aと、図13(b)に示されたアクチュエータ306bのいずれを選択するかは、適用する携帯電話機のサイズや実装体積などの要素に応じて適宜決定すればよい。
実施の形態5.
図14及び図15は、本発明に係るスライド型携帯電話機のロック機構を説明する分解斜視図である。図14は、上筐体下ケース105の背面側に設けられたロック機構を説明する分解斜視図であり、図15は、下筐体上カバー205の正面側に設けられたロック機構を説明する分解斜視図である。図14において、ロック500は、上筐体下ケース105の背面側に、アクチュエータ306がスライドするフレームガイド溝310近傍に形成された突起部501と、金属部材502より構成される。このロック500が、後述する下筐体上ケース205のレバー503に形成された係合部504と係合し、スライドモジュールのコイルばねが発生する弾性力に逆らって筐体閉状態を維持する。金属部材502は、突起部501が係合部504と係合した際に摩滅しないように保護する部材である。また、図15において、図14に示すロック500と係合するレバー503の位置に、一対の係合部504が形成されている。このレバー503は、下筐体上カバー205のレバー設置部505にスライド自在に取り付けられる。図示されていないが、レバー設置部505には、レバー503を解除ボタン204方向に付勢するばねが取り付けられる。
図14に示す上筐体下ケース105と、図15に示す下筐体上カバー205がスライドモジュールにより組み付けられた状態で、図14のロック500aは図15の係合部504aに、図14のロック500bは図15の係合部504bに係合する。上記説明のように、上筐体に設けられた2本のスライドモジュールごとに、上筐体下ケース105にロック機構を形成し、下筐体に設けられたレバーにロック機構と係合する係合部を設けた。したがって、フレーム内のシャフトに沿って摺動可能なアクチュエータをコイルばねで付勢するスライドモジュールを用いたスライド型携帯電話機において、ばねの弾性力に逆らって上筐体と下筐体の閉状態を保持する信頼性が改善される。つまり、解除ボタンを押下しない(つまりユーザが意図しない)状況で、上筐体と下筐体が開いてしまうという問題をより確実に防止することができるという効果を奏する。
実施の形態6.
図16は、本発明に係るスライド型携帯電話機を示す平面図及び断面図である。現在市販されている携帯電話機は、例えば、上筐体の液晶表示部側にユーザ自身を写すための第1のカメラと、上筐体乃至下筐体の背面側に、例えば風景を写すための第2のカメラのように、2系統のカメラを備えている。一般的に、第2のカメラが第1のカメラよりも記録画素数が高く、より画質の良い撮影が可能である。しかし、記録画素数が高いカメラほどカメラ周辺の電子部品を含むモジュールの実装体積が大きくなる傾向があり、また、自動焦点調整機能など、レンズ光学系に複雑な機構を実装する必要性も高くなっている。以下の説明において、第2のカメラを「メインカメラ」と称する。
図16において、図16(a)は、上筐体と下筐体が閉じられた状態のスライド型携帯電話機の背面を示す平面図である。下筐体201の背面側にメインカメラの光学窓が形成されていることが示されている。図16(b)は、図16(a)に示すスライド型携帯電話機のA-A断面を示す断面図である。下筐体201に設けられたカメラモジュール214の厚みが、下筐体201の厚みよりも大きいため、下筐体201の正面側にカメラモジュール214を収納するための凸部がカメラモジュール収納部215として形成されている。下筐体201のカメラモジュール収納部215が、下筐体201の正面側に張り出しているため、下筐体201に対してスライドする上筐体101の背面側は、カメラモジュール収納部215が下筐体201の正面から張り出している分だけ、凹部216が形成されており、厚みが薄くなっている。図16(c)は、図16(a)に示すスライド型携帯電話機のB-B断面を示す断面図である。下筐体201のカメラモジュール収納部215が、下筐体201の正面側に張り出している分、上筐体101の背面、上筐体101の幅方向の中央部分に凹部110が形成されており、厚みが薄くなっている。しかし、上筐体101の幅方向中央の両側部分は、カメラモジュール収納部215と干渉しないため、厚みが大きく形成されている。この上筐体101の幅方向中央の両側部分にスライドモジュール217が設けられており、上筐体101と下筐体201がスライド可能に連結される。
上記説明のように、下筐体に設けられるメインカメラのモジュールが大きくなっても、スライド型携帯電話機であれば、スライドモジュールが形成されていない中央部分で、メインカメラモジュールが収納された張り出し部分が干渉しないように、上筐体の厚みを薄くすることが可能である。したがって、高性能なカメラモジュールを実装することが可能となる。
本発明に係るスライド型携帯電話機の外観を示す外観斜視図である。 本発明に係るスライド型携帯電話機に適用されるスライドモジュールの構成を示す分解斜視図である。 スライドモジュールを上筐体に取り付ける状態を説明する説明図である。 本発明に係るスライド型携帯電話機の上筐体の背面を示す平面図である。 上筐体と下筐体を組み付ける状態を説明する分解斜視図である。 上筐体下ケースの背面と下筐体上カバーの正面を示す平面図である。 上筐体と下筐体がスライド可能に組み付けられた状態の断面を示す断面図である。 本発明に係るスライド型携帯電話機の筐体ロック機構を説明する分解斜視図である。 下筐体の平面図である。 図9に示す下筐体の断面を示す断面図である。 下筐体の分解斜視図である。 本発明に係るスライド型携帯電話機の断面を示す断面図である。 本発明に係るスライド型携帯電話機のスライドモジュールを構成するアクチュエータの断面を示す断面図である。 本発明に係るスライド型携帯電話機のロック機構を説明する分解斜視図である。 本発明に係るスライド型携帯電話機のロック機構を説明する分解斜視図である。 本発明に係るスライド型携帯電話機を示す平面図及び断面図である。
符号の説明
101 上筐体、102 液晶表示部、103 キー入力部、104 受話部、
105 上筐体下ケース、106 ねじ止め部、107 スライドモジュール設置部、
108 サブフック溝、109 折り返し部、110 凹部、
201 下筐体、202 キー入力部、203 送話部、204 解除ボタン、
205 下筐体上カバー、206 サブフック嵌合部、207 下筐体下ケース、
208 金属体、209 フレーム、210 基板、211 ねじ固定部、
212 カメラレンズ窓、213 カメラモジュール配置部、
214 カメラモジュール、215 カメラモジュール収納部、215 メインカメラ、
216 凹部、217 スライドモジュール、
301 シャフト、302 Eリング、303 フレーム、304 孔、
305 ダンパ、306 アクチュエータ、307 ばね、308 突起部、
309 ねじ止め部、310 フレームガイド溝、311 ねじ孔、312 ねじ、
313 アクチュエータ溝、
400 ロック、401 レバー、402 レバー押さえ、403 ばね、
404 係合部、405 レバー設置部、
500 ロック、501 突起部、502 金属部材、503 レバー、
504 係合部、505 レバー設置部


Claims (7)

  1. 第1の筐体と、
    第2の筐体と、
    溝が形成されたガイド部材、前記第2の筐体に固定されて、前記ガイド部材に沿って摺動可能なスライド部材、前記ガイド部材に固定されて、前記スライド部材の摺動を規制するシャフト部材、このシャフト部材に設けられ、前記スライド部材を前記シャフト部材に沿って摺動させる弾性力を前記スライド部材に作用させる弾性部材を含み、前記第1の筐体に対して前記第2の筐体を相対的に平行移動可能に連結するスライドモジュールとを設けたことを特徴とするスライド型携帯通信機。
  2. 第2の筐体は、この第2の筐体に対して第1の筐体が摺動する方向の中央部に、スライドモジュールのスライド部材が連結される連結部が形成され、前記第2の筐体に対して前記第1の筐体が摺動する方向の、前記連結部が形成された位置よりも前記第2の筐体の端部側に前記第1の筐体と係合する係合部が設けられたことを特徴とする請求項1に記載のスライド型携帯通信機。
  3. 第2の筐体は、第1の筐体が前記第2の筐体と重なる閉状態から、弾性部材の弾性力によって前記第2の筐体を前記第1の筐体に対して移動させ、前記第2の筐体に設けられた操作部を露出させる開状態にする解除ボタン、この解除ボタンが押下されない状態で、前記解除ボタンが設けられた方向に弾性力によって付勢されるとともに、前記解除ボタンが押下されるのに伴い、前記第1の筐体と前記第2の筐体を閉状態に保持するロックの係合を解除するレバー部材、前記解除ボタンおよび前記レバー部材は導通可能に形成されており、前記レバー部材とグランドを電気的に接続する導通部材が設けられたことを特徴とする請求項1に記載のスライド型携帯通信機。
  4. スライドモジュールは、ねじによって第2の筐体に固定するためのねじ孔と、シャフト部材が通されるためのシャフト溝が、第1の筐体と前記第2の筐体が重なる垂直方向に重ならないように形成されたスライド部材を設けたことを特徴とする請求項1に記載のスライド型携帯通信機。
  5. スライドモジュールは、ねじによって第2の筐体に固定するためのねじ孔と、シャフト部材が通されるためのシャフト溝が、第1の筐体と前記第2の筐体が重なる垂直方向に重なるように形成されたスライド部材を設けたことを特徴とする請求項1に記載のスライド型携帯通信機。
  6. 第1の筐体は、スライドモジュールを2系統設けたことを特徴とする請求項3に記載のスライド型携帯通信機。
  7. 第1の筐体は、第2の筐体に対して前記第1の筐体が摺動する方向と直交する幅方向の両端部に2系統設けられたスライドモジュール間の厚みが、2系統の前記スライドモジュールが設けられた位置の厚みよりも薄く形成されたことを特徴とする請求項6に記載のスライド型携帯通信機。



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