JP2006324001A - 収差検出装置及びそれを備えた光ピックアップ装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】収差誤差信号の感度を高くし、トラッキング制御時の対物レンズシフトによる光ビーム分離手段と光ビームとの中心ずれが発生しても収差誤差信号の感度変化を小さくすると共に、光ビーム分離手段と光検出器の光軸方向ずれが発生しても収差誤差信号にオフセットを発生しない収差検出装置及びそれを備えた光ピックアップ装置を提供する。
【解決手段】第1の偏光ホログラム素子2は、第1光ビームを通す第1の領域2aと、光ビームの光軸を含まない第2光ビームを通す第2の領域2b・第3の領域2cとに分割されている。第1の領域2aは、光軸を通るラジアル方向の直線D1と平行な分割直線D2・D6と、分割直線D4と、所定角度だけハの字状に傾斜した分割直線D3・D5と、反対側に形成された分割直線D7と、第1の偏光ホログラム素子2の円弧E1・E2とで構成される各境界線により区画されている。
【選択図】図1
【解決手段】第1の偏光ホログラム素子2は、第1光ビームを通す第1の領域2aと、光ビームの光軸を含まない第2光ビームを通す第2の領域2b・第3の領域2cとに分割されている。第1の領域2aは、光軸を通るラジアル方向の直線D1と平行な分割直線D2・D6と、分割直線D4と、所定角度だけハの字状に傾斜した分割直線D3・D5と、反対側に形成された分割直線D7と、第1の偏光ホログラム素子2の円弧E1・E2とで構成される各境界線により区画されている。
【選択図】図1
Description
本発明は、集光光学系において発生する収差を検出するための収差検出装置及びそれを備えた光ピックアップ装置に関するものである。
近年、情報量の増大と共に光ディスクの記録密度を高くすることが求められている。光ディスクの高記録密度化は、光ディスクの情報記録層における線記録密度を高めることやトラックの狭ピッチ化により行われてきた。この光ディスクの高記録密度化に対応するためには、該光ディスクの情報記録層上に集光される光ビームのビーム径を小さくすることが必要である。
光ビームのビーム径を小さくする方法として、光ビームの短波長化と、光ディスクを記録再生する光ピックアップ装置の集光光学系としての対物レンズの開口数(NA:Numerical Aperture)を大きくすることとが考えられる。
光ビームの短波長化に関しては、DVD(Digital Versatile Disc)で一般に利用されてきた波長650nmの赤色半導体レーザから波長405nmの青紫色半導体レーザへの光源の置き換えが可能である。
一般に、光ディスクでは、埃や傷から情報記録層を保護するために、情報記録層がカバーガラスで覆われている。したがって、光ピックアップ装置の対物レンズを透過した光ビームは、カバーガラスを通過して、その下にある情報記録層上で集光されて焦点を結ぶことになる。
光ビームがカバーガラスを通過すると、球面収差(SA:Spherical Aberration)が発生する。通常、対物レンズはこの球面収差を相殺するように設計されている。しかしながら、カバーガラスの厚さが、予め定められた値からずれると、情報記録層に集光された光ビームには、球面収差が発生し、ビーム径が大きくなってしまい、情報を正しく読み書きすることができなくなるという問題が生じる。
また、近年では、光ディスクの厚さ方向へ記録情報の高密度化を進めることができるように、情報記録層を積層化して形成された多層光ディスクが既に商品化されている。
上記のような多層の情報記録層が形成された光ディスクでは、該光ディスクの表面(カバーガラス表面)から各情報記録層までの厚みがそれぞれ異なるので、光ビームが光ディスクのカバーガラスを通過する際に発生する球面収差が、各情報記録層で異なる。
さらに、高開口数(NA)の対物レンズでは、球面収差の誤差の影響が大きく、情報の読み取り精度の低下を招くという問題が生じる。そこで、高開口数(NA)の対物レンズを用いて高記録密度化を実現するためには球面収差を補正する必要がある。
球面収差を補正する技術として、例えば特許文献1には、光ディスクから反射して集光する復路の光ビームを、ホログラム素子によって、該光ビームの光軸に近い第1光ビームとその外側の第2光ビームとに分離し、第1光ビームの集光位置と第2光ビームの集光位置とが異なることを利用して球面収差を検出し、この検出結果に基づいて球面収差を補正する技術が開示されている。
上記特許文献1に記載された光ピックアップ装置の概略構成を、図24に基いて説明する。
同図に示すように、光ピックアップ装置100では、ホログラム素子102、コリメートレンズ103及び対物レンズ104は、半導体レーザ101の光ビーム出射面と光ディスク106の光ビーム反射面との間に形成される光軸に配置され、光検出器107は、上記ホログラム素子102の回折光の焦点位置に配置されている。
上記構成の光ピックアップ装置100においては、半導体レーザ101から照射された光ビームは、ホログラム素子102を0次回折光として通過し、コリメートレンズ103によって平行光に変換された後、対物レンズ104を通過して、光ディスク106上の情報記録層106c又は情報記録層106dに集光される。
一方、光ディスク106の情報記録層106c又は情報記録層106dから反射された光ビームは、対物レンズ104及びコリメートレンズ103の順に各部材を通過してホログラム素子102に入射され、ホログラム素子102にて回折されて光検出器107上に集光される。上記光検出器107は、ホログラム素子102の+1次光の焦点位置に配置されている。
上記光ディスク106は、カバーガラス106a、基板106b、及びカバーガラス106aと基板106bとの間に形成された2つの情報記録層106c・106dから構成されている。つまり、光ディスク106は2層ディスクである。したがって、光ピックアップ装置100は、情報記録層106c又は情報記録層106dに光ビームを集光させることによって、各情報記録層106c・106dから情報を再生する一方、各情報記録層106c・106dへ情報を記録するようになっている。
上記ホログラム素子102について、図25に基いて詳細に説明する。
上記ホログラム素子102は、3分割された3つの領域102a・102b・102cを有している。第1の領域102aは光軸を含むラジアル方向の直線D101と光軸を中心とする第1の半円弧E101(半径r1)とで囲まれた領域であり、第2の領域102bは光軸を中心とする第2の半円弧E102(半径r2)と上記第1の半円弧E101(半径r1)と上記直線D101とで囲まれた領域である。第3の領域102cは上記直線D101に対して第1の半円弧E101及び第2の半円弧E102とは反対側の第3の半円弧E103(半径r2)と直線D101とで囲まれた領域である。ホログラム素子102上での対物レンズ104のアパーチャによる有効径104Dの半径をrとした時、半径r1=0.7rに設定することによって、球面収差誤差信号が最大となる。
特開2002−157771号公報(2000年5月31日公開)
ところで、上記従来の光ピックアップ装置100では、光軸を中心とする円弧(対物レンズ104のアパーチャで規定される光ビーム有効径104Dの約70%の半径)にて光ビームを分離することによって、分離した光ビームの焦点位置ずれを最大にし、感度良く球面収差を検出することができる。
しかしながら、トラッキング制御時の対物レンズシフトにより光ビームと光ビーム分離手段との中心位置がずれると球面収差検出信号の感度が大きく低下するという問題点を有している。
さらに、焦点位置ずれを検出するためにナイフエッジ法を用いる場合の光ビーム分離手段の調整方法について考慮されていない。すなわち、ナイフエッジ法を用いる場合の光ビーム分離手段の調整方法では、光ビーム分離手段から光検出器までの間の光軸方向ずれがあった場合に、焦点誤差信号及び球面収差検出信号にそれぞれオフセットが発生するので、このオフセットを0にするように光ビーム分離手段を回転することにより行う。しかし、焦点誤差信号の調整量と球面収差検出信号の調整量とは一致しないため、焦点誤差信号のオフセットが消失しても、球面収差検出信号にはオフセットが残存するという問題点を有している。
さらに、この課題を解決する場合、焦点誤差信号補正用の補助受光領域が存在する光検出器を用いた光ピックアップ装置においては、焦点誤差信号にもオフセットが生じるという問題点を有している。
本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされたものであって、その目的は、光ビームの分離形状を最適化することによって、球面収差検出信号の感度の絶対値(信号品質)を確保した上で、トラッキング制御時の対物レンズシフトによる球面収差検出信号の感度変化を十分小さく抑制すること、さらに光ビーム分離手段の回転調整時の焦点誤差信号の調整量と球面収差検出信号の調整量を等しくし、両オフセットを十分小さく抑制すること、さらに補助受光領域のある光検出器を用いた光ピックアップ装置において上記該問題を解決することができる収差検出装置及びそれを備えた光ピックアップ装置を提供することにある。
本発明の収差検出装置は、上記課題を解決するために、集光光学系を通過した光ビームを、該光ビームの光軸を含む第1光ビームと該光ビームの光軸を含まない第2光ビームとに分離する光ビーム分離手段と、上記光ビーム分離手段によって分離された2つの第1光ビーム及び第2光ビームの焦点位置に基づいて、上記集光光学系の球面収差を検出する球面収差検出手段とを備えた収差検出装置において、上記光ビーム分離手段は、上記第1光ビームを通す第1の領域と、上記光ビームの光軸を含まない第2光ビームを通す第2の領域とに分割されていると共に、上記第1の領域は、光軸を通るラジアル方向の直線と平行な直線上における両端側にそれぞれ形成された第1の分割直線及び第2の分割直線と、上記第1の分割直線及び第2の分割直線よりも外周側にて、上記第1の分割直線及び第2の分割直線と平行に形成された第3の分割直線と、上記第1の分割直線及び第2の分割直線の各端から上記第3の分割直線に向かって互いに延びて形成され、かつ光軸を通るトラック方向の直線に対して互いに線対称で所定角度だけハの字状に傾斜した直線対からなる第4の分割直線及び第5の分割直線と、上記第1の分割直線及び第2の分割直線に対して、光軸を通るラジアル方向の直線を挟んだ反対側に形成され、かつ上記光軸を通るラジアル方向の直線と平行な第6の分割直線と、上記第1の分割直線と第6の分割直線との間及び上記第2の分割直線と第6の分割直線との間における、光ビーム分離手段の外周とで構成される各境界線により区画されていると共に、上記第2の領域は、光ビーム分離手段における中央側に形成された上記第1の領域を挟んだ両側において形成された2つの区画からなっていることを特徴としている。
本発明の収差検出装置は、上記課題を解決するために、前記第1の領域は、前記第6の分割直線の中央部分において、前記光軸を通るラジアル方向の直線に対して平行に対向する第7の分割直線を備えた矩形状凹部を有していることを特徴としている。
上記の発明によれば、第1の分割直線及び第2の分割直線、第3の分割直線、並びに第6の分割直線がラジアル方向と平行に形成されているため、対物レンズシフトの影響を受け難く、トラッキング制御時に対物レンズシフトが発生しても球面収差誤差信号の感度変化が小さい。したがって、トラッキング制御が行われても、常に精度よく球面収差を検出し、補正することができる。
また、第4の分割直線及び第5の分割直線が、光軸を通るトラック方向の直線に対して互いに線対称で所定角度だけハの字状に傾斜した直線対を有しているため、この領域から得られる球面収差成分が追加されるので、球面収差誤差信号の検出感度が高くなる。したがって、光ピックアップ装置の光学系で発生する迷光や、目的以外の情報記録層からの不要光の影響を受け難くなり、球面収差誤差信号の信号品質が確保できる。この結果、安定した球面収差検出を行うことができる。
さらに、第6の分割直線が、第1の分割直線及び第2の分割直線に対して、光軸を通るラジアル方向の直線を挟んだ反対側に形成され、かつ上記光軸を通るラジアル方向の直線と平行になっているので、ダブルナイフエッジ法を用いて焦点誤差信号を検出する場合において、光ビーム分離手段から光検出器までの間の光軸方向のずれを、例えば、光ビーム分離手段を回転して調整する際の、焦点誤差信号と球面収差誤差信号の調整量のずれを軽減することができる。
その結果、光ビーム分離手段から光検出器までの間の光軸方向のずれが発生し、焦点誤差信号と球面収差誤差信号にオフセットが生じた際に、光ビーム分離手段の回転調整を行うことによって、焦点誤差信号及び球面収差誤差信号のいずれについてもオフセットを軽減することができる。
本発明の収差検出装置では、前記光軸を通るラジアル方向の直線と前記第6の分割直線との最短距離が、光ビーム分離手段上における、例えば対物レンズのアパーチャで規定される光ビーム有効径である半径光ビーム半径の30%以下の範囲に設定されていることが好ましい。
これにより、球面収差誤差信号の感度の減少を抑制することができる。
また、光ビーム分離手段と光ビームとの位置ずれが発生した場合、トラック方向とラジアル方向のどちらに位置ずれした場合でも各領域から得られる信号が変化するので、光ビーム分離手段と光軸との位置あわせが可能になる。
その結果、位置あわせの分割パターンを形成する必要がないので、光ビームの全領域を利用したダブルナイフエッジ法による焦点誤差信号の検出が可能になり、安定したフォーカス制御を行うことができる。
本発明の収差検出装置では、前記第1の分割直線及び第2の分割直線は、光軸を通るラジアル方向の直線との最短距離が、光ビーム分離手段上における光ビーム半径の30%以上の範囲に設定されていると共に、前記第3の分割直線は、光軸を通るラジアル方向の直線との最短距離が、光ビーム分離手段上における光ビーム半径の60%以下の範囲に設定されていることが好ましい。
これにより、第1の分割直線及び第2の分割直線と光軸を通るラジアル方向の直線との最短距離、並びに第2の分割直線と光軸を通るラジアル方向の直線との最短距離が、光ビーム分離手段上の対物レンズのアパーチャで規定される光ビーム有効径の30%と60%との2本とすることによって、球面収差誤差信号の検出感度が高くなる。
本発明の収差検出装置では、前記直線対からなる第4の分割直線及び第5の分割直線における、前記第1の分割直線及び第2の分割直線に対する各傾斜角度が略45度であることが好ましい。
このように、直線対の傾斜角度を略45度に設定することによって、球面収差誤差信号の検出感度が最も高くなる。
本発明の収差検出装置では、前記第7の分割直線の長さは、光ビーム分離手段上における光ビーム半径の48%以上の範囲に設定されていることが好ましい。
これにより、補助受光領域のある光検出器を用いた光ピックアップ装置において、オフセットのない焦点誤差信号を検出できる。
本発明の収差検出装置では、前記第6の分割直線は、光軸を含むように形成されていることが好ましい。
これにより、より正確な焦点誤差信号を得ることができる。
本発明の収差検出装置では、前記第7の分割直線と前記光軸を通るラジアル方向の直線との最短距離は、前記第1の領域において矩形状凹部が存在しないときの、光軸を通るラジアル方向の直線と、第6の分割直線と、光ビーム分離手段の外周とで囲まれた領域の面積と、前記第1の領域において矩形状凹部が存在するときの、光軸を通るラジアル方向の直線と、第6の分割直線と、光ビーム分離手段の外周とで囲まれた、上記矩形状凹部を除く領域の面積とが等しくなるように設定されていることが好ましい。
これにより、光ビーム分離手段から球面収差検出手段までの間の光軸方向のずれについて、光ビーム分離手段を回転調整する場合、焦点誤差信号と球面収差誤差検出信号の調整量のずれを軽減する効果を得ることができる。
本発明の光ピックアップ装置は、上記課題を解決するために、光源と、上記光源から照射される光ビームを光記録媒体に集光させる集光光学系と、上記集光光学系を通過した光ビームを、該光ビームの光軸を含む第1光ビームと、該光ビームの光軸を含まない第2光ビームとに分離する光ビーム分離手段と、上記光ビーム分離手段によって分離された2つの上記第1光ビーム及び第2光ビームの焦点位置に基づいて、上記集光光学系の球面収差を検出する球面収差検出手段と、上記球面収差検出手段によって検出された球面収差を補正する球面収差補正手段とを備え、上記光ビーム分離手段は、上記第1光ビームを通す第1の領域と、上記光ビームの光軸を含まない第2光ビームを通す第2の領域とに分割されていると共に、上記第1の領域は、光軸を通るラジアル方向の直線と平行な直線上における両端側にそれぞれ形成された第1の分割直線及び第2の分割直線と、上記第1の分割直線及び第2の分割直線よりも外周側にて、上記第1の分割直線及び第2の分割直線と平行に形成された第3の分割直線と、上記第1の分割直線及び第2の分割直線の各端から上記第3の分割直線に向かって互いに延びて形成され、かつ光軸を通るトラック方向の直線に対して互いに線対称で所定角度だけハの字状に傾斜した直線対からなる第4の分割直線及び第5の分割直線と、上記第1の分割直線及び第2の分割直線に対して、光軸を通るラジアル方向の直線を挟んだ反対側に形成され、かつ上記光軸を通るラジアル方向の直線と平行な第6の分割直線と、上記第1の分割直線と第6の分割直線との間及び上記第2の分割直線と第6の分割直線との間における、光ビーム分離手段の外周とで構成される各境界線により区画されていると共に、上記第2の領域は、光ビーム分離手段における中央側に形成された上記第1の領域を挟んだ両側において形成された2つの区画からなっていることを特徴としている。
本発明の光ピックアップ装置では、前記第1の領域は、前記第6の分割直線の中央部分において、前記光軸を通るラジアル方向の直線に対して平行に対向する第7の分割直線を備えた矩形状凹部を有していることが好ましい。
上記の発明によれば、上記光ビーム手段を補助受光領域のある収差検出装置を用いた光ピックアップ装置に用いることにより、光ビーム分離手段から球面収差検出手段までの間の光軸方向のずれを、光ビーム分離手段を回転して調整する際の、焦点誤差信号と球面収差誤差信号の調整量のずれを軽減することによって、光ビーム分離手段の調整が容易になり、安価な光ピックアップ装置を提供することができる。
また、本発明の収差検出装置は、上記課題を解決するために、集光光学系を通過した光ビームを、該光ビームの光軸を含む第1光ビームと、上記光軸から見て上記第1光ビームよりも外側の第2光ビームとに分離する分離手段と、上記分離手段によって分離された光ビームの検出手段での照射位置に基づいて、上記集光光学系の球面収差を検出する球面収差検出手段とを備えている収差検出装置において、上記光軸と第2光ビームの上記検出手段での照射位置との最短距離が、複数の情報記録層を持つ光記録媒体の非再生層から生じる不要反射光の照射半径よりも長くなるように設定されていると共に、上記球面収差検出手段は、第2光ビームの焦点位置を示す信号をもとに球面収差誤差信号を生成することを特徴としている。
上記の発明によれば、複数の情報記録層を持つ光記録媒体(多層ディスク)の非再生層から生じる不要反射光の影響を受けることなく球面収差誤差信号の検出が可能となり、多層ディスクの記録再生において、より正確な球面収差誤差信号の検出が可能となり、高信頼性の収差検出装置ひいては光ピックアップ装置を提供することができる。
本発明の収差検出装置では、前記球面収差検出手段は、第2光ビームの焦点位置を示す信号と、信号量を調整した焦点誤差信号とにより球面収差誤差信号を生成することが好ましい。
これにより、球面収差と焦点位置ずれとが同時に発生しているときに、焦点位置ずれの影響を極力抑えた球面収差誤差信号を検出することができ、正確な球面収差誤差信号の検出が可能となり、高信頼性の収差検出装置ひいては光ピックアップ装置を提供することができる。
本発明の収差検出装置は、以上のように、光ビーム分離手段は、上記第1光ビームを通す第1の領域と、上記光ビームの光軸を含まない第2光ビームを通す第2の領域とに分割されていると共に、上記第1の領域は、光軸を通るラジアル方向の直線と平行な直線上における両端側にそれぞれ形成された第1の分割直線及び第2の分割直線と、上記第1の分割直線及び第2の分割直線よりも外周側にて、上記第1の分割直線及び第2の分割直線と平行に形成された第3の分割直線と、上記第1の分割直線及び第2の分割直線の各端から上記第3の分割直線に互いに延びて形成され、かつ光軸を通るトラック方向の直線に対して互いに線対称で所定角度だけハの字状に傾斜した直線対からなる第4の分割直線及び第5の分割直線と、上記第1の分割直線及び第2の分割直線に対して、光軸を通るラジアル方向の直線を挟んだ反対側に形成され、かつ上記光軸を通るラジアル方向の直線と平行な第6の分割直線と、上記第1の分割直線と第6の分割直線との間及び上記第2の分割直線と第6の分割直線との間における、光ビーム分離手段の外周とで構成される各境界線により区画されていると共に、上記第2の領域は、光ビーム分離手段における中央側に形成された上記第1の領域を挟んだ両側において形成された2つの区画からなっているものである。
また、本発明の光ピックアップ装置は、以上のように、光源と、上記光源から照射される光ビームを光記録媒体に集光させる集光光学系と、上記集光光学系を通過した光ビームを、該光ビームの光軸を含む第1光ビームと、該光ビームの光軸を含まない第2光ビームとに分離する光ビーム分離手段と、上記光ビーム分離手段によって分離された2つの上記第1光ビーム及び第2光ビームの焦点位置に基づいて、上記集光光学系の球面収差を検出する球面収差検出手段と、上記球面収差検出手段によって検出された球面収差を補正する球面収差補正手段とを備え、上記光ビーム分離手段は、上記第1光ビームを通す第1の領域と、上記光ビームの光軸を含まない第2光ビームを通す第2の領域とに分割されていると共に、上記第1の領域は、光軸を通るラジアル方向の直線と平行な直線上における両端側にそれぞれ形成された第1の分割直線及び第2の分割直線と、上記第1の分割直線及び第2の分割直線よりも外周側にて、上記第1の分割直線及び第2の分割直線と平行に形成された第3の分割直線と、上記第1の分割直線及び第2の分割直線の各端から上記第3の分割直線に互いに延びて形成され、かつ光軸を通るトラック方向の直線に対して互いに線対称で所定角度だけハの字状に傾斜した直線対からなる第4の分割直線及び第5の分割直線と、上記第1の分割直線及び第2の分割直線に対して、光軸を通るラジアル方向の直線を挟んだ反対側に形成され、かつ上記光軸を通るラジアル方向の直線と平行な第6の分割直線と、上記第1の分割直線と第6の分割直線との間及び上記第2の分割直線と第6の分割直線との間における、光ビーム分離手段の外周とで構成される各境界線により区画されていると共に、上記第2の領域は、光ビーム分離手段における中央側に形成された上記第1の領域を挟んだ両側において形成された2つの区画からなっているものである。
それゆえ、第1の分割直線及び第2の分割直線、第3の分割直線、並びに第6の分割直線がラジアル方向と平行に形成されているため、対物レンズシフトの影響を受け難く、トラッキング制御時に対物レンズシフトが発生しても球面収差誤差信号の感度変化が小さい。したがって、トラッキング制御が行われても、常に精度よく球面収差を検出し、補正することができる。
また、第4の分割直線及び第5の分割直線が、光軸を通るトラック方向の直線に対して互いに線対称で所定角度だけハの字状に傾斜した直線対を有しているため、この領域から得られる球面収差成分が追加されるので、球面収差誤差信号の検出感度が高くなる。したがって、光ピックアップ装置の光学系で発生する迷光や、目的以外の情報記録層からの不要光の影響を受け難くなり、球面収差誤差信号の信号品質が確保できる。この結果、安定した球面収差検出を行うことができる。
さらに、第6の分割直線が、第1の分割直線及び第2の分割直線に対して、光軸を通るラジアル方向の直線を挟んだ反対側に形成され、かつ上記光軸を通るラジアル方向の直線と平行になっているので、ダブルナイフエッジ法を用いて焦点誤差信号を検出する場合において、光ビーム分離手段から光検出器までの間の光軸方向のずれを、例えば、光ビーム分離手段を回転して調整する際の、焦点誤差信号と球面収差誤差信号の調整量のずれを軽減することができる。
その結果、光ビーム分離手段から光検出器までの間の光軸方向のずれが発生し、焦点誤差信号と球面収差誤差信号にオフセットが生じた際に、光ビーム分離手段の回転調整を行うことによって、焦点誤差信号及び球面収差誤差信号のいずれについてもオフセットを軽減することができる。
したがって、光ビームの分離形状を最適化することによって、球面収差検出信号の感度の絶対値(信号品質)を確保した上で、トラッキング制御時の対物レンズシフトによる球面収差検出信号の感度変化を十分小さく抑制すること、さらに光ビーム分離手段の回転調整時の焦点誤差信号の調整量と球面収差検出信号の調整量を等しくし、両オフセットを十分小さく抑制することができる収差検出装置及びそれを備えた光ピックアップ装置を提供するという効果を奏する。
また、本発明の収差検出装置は、以上のように、集光光学系の球面収差を検出する球面収差検出手段とを備えている収差検出装置において、上記光軸と第2光ビームの上記検出手段での照射位置との最短距離が、複数の情報記録層を持つ光記録媒体の非再生層から生じる不要反射光の照射半径よりも長くなるように設定されていると共に、上記球面収差検出手段は、第2光ビームの焦点位置を示す信号をもとに球面収差誤差信号を生成するものである。
それゆえ、複数の情報記録層を持つ光記録媒体(多層ディスク)の非再生層から生じる不要反射光の影響を受けることなく球面収差誤差信号の検出が可能となり、多層ディスクの記録再生において、より正確な球面収差誤差信号の検出が可能となり、高信頼性の収差検出装置ひいては光ピックアップ装置を提供することができるという効果を奏する。
〔実施の形態1〕
本発明の一実施形態について図1ないし図14、及び図26に基づいて説明すれば、以下の通りである。なお、本実施の形態では、本発明の収差検出装置を光記録媒体としての光ディスクに対して光学的に情報の記録・再生を行う光記録再生装置に備えられた光ピックアップ装置に用いた例について説明する。
本発明の一実施形態について図1ないし図14、及び図26に基づいて説明すれば、以下の通りである。なお、本実施の形態では、本発明の収差検出装置を光記録媒体としての光ディスクに対して光学的に情報の記録・再生を行う光記録再生装置に備えられた光ピックアップ装置に用いた例について説明する。
本実施の形態の光記録再生装置は、図2に示すように、光ディスク(光記録媒体)6を回転駆動する図示しないスピンドルモータ、光ディスク6に情報を記録再生する光ピックアップ装置10、並びに上記スピンドルモータ及び光ピックアップ装置10を駆動制御するための図示しない駆動制御部及び制御信号生成回路を備えている。
上記光ピックアップ装置10は、光ディスク6に光ビームを照射するための半導体レーザ(光源)1、偏光回折素子22、コリメートレンズ3、対物レンズ(集光光学系)4、及び光検出器(球面収差検出手段)7を有している。なお、偏光回折素子22及び光検出器(収差検出手段)7は、本発明の収差検出装置を構成している。
上記光ピックアップ装置10では、光集積ユニット20に搭載された半導体レーザ1から出射した光ビームは、コリメートレンズ3により平行光にされた後、対物レンズ4を通して光ディスク6に集光される。そして、光ディスク6から反射した光ビーム(以下、これを「戻り光」と呼ぶ)は、再び対物レンズ4とコリメートレンズ3とを通過して、光集積ユニット20に搭載された光検出器7上に受光される。
コリメートレンズ3は、球面収差補正機構によって光軸方向(Z方向)に駆動されるようになっており、光ピックアップ装置10の光学系で生じる球面収差を補正するようになっている。
上記光ディスク6は、カバーガラス6a、基板6b、及びカバーガラス6aと基板6bとの間に形成された2つの情報記録層6c・6dから構成されている。つまり、光ディスク6は2層ディスクであって、光ピックアップ装置10は情報記録層6c又は情報記録層6dに光ビームを集光させることによって、各情報記録層6c・6dから情報を再生し、各情報記録層6c・6dへ情報を記録するようになっている。
すなわち、上記構成の光ピックアップ装置10においては、半導体レーザ1から照射された光ビームは、偏光回折素子22を0次回折光として通過し、コリメートレンズ3によって平行光に変換された後、対物レンズ4を通過して、光ディスク6上の情報記録層6c又は情報記録層6dに集光される。
一方、光ディスク6の情報記録層6c又は情報記録層6dから反射された光ビームは、対物レンズ4及びコリメートレンズ3の順に各部材を通過して偏光回折素子22に入射され、偏光回折素子22にて回折されて光検出器7上に集光される。
したがって、以下の説明において、光ディスク6の情報記録層は情報記録層6c又は情報記録層6dのいずれかを表し、光ピックアップ装置10は、どちらの情報記録層6c・6dにも光ビームを集光させ、情報を記録又は再生できるものとする。
上記図示しない制御信号生成回路は、上記光検出器7から得られた信号に基づいて、トラッキング誤差信号、焦点誤差信号(以下、「フォーカス誤差信号」という。)FES及び球面収差誤差信号SAESを生成する。トラック誤差信号はトラッキング駆動回路へ出力され、フォーカス誤差信号FESはフォーカス駆動回路へへ出力され、球面収差誤差信号SAESは球面収差補正機構駆動回路へ出力されるようになっている。そして、各駆動回路では、各誤差信号に基づいて各部材の駆動制御を行う。
図示しないフォーカス駆動回路では、フォーカス誤差信号FESが入力され、このフォーカス誤差信号FESの値に基づいて、対物レンズ4を光軸方向に移動させて、該対物レンズ4の焦点位置ずれを補正するように、対物レンズ駆動機構を駆動制御する。
また、図示しない球面収差補正機構駆動回路では、球面収差誤差信号SAESが入力され、この球面収差誤差信号SAESの値に基づいて、コリメートレンズ3を光軸方向に移動させて、光ピックアップ装置10の光学系で発生した球面収差を補正するように、図示しない球面収差補正用アクチュエータを駆動制御する。
図3(a)(b)は、図2において図示した光集積ユニット20を示す構成図である。なお、図3(a)は、光軸OZ(図2参照)の方向(z方向)から見た平面図である。また、図の煩雑化を避けるため、図3(a)においては、偏光ビームスプリッタ5と偏光回折素子22と1/4波長板23とは省略している。
上記光集積ユニット20は、図3(a)(b)に示すように、半導体レーザ1と、光検出器7と、偏光ビームスプリッタ5と、偏光回折素子22と、1/4波長板23と、パッケージ24とを備えている。
上記パッケージ24は、ステム24aとベース24bとキャップ24cとによって構成されている。キャップ24cには、光を通過させるための窓部24dが形成されている。上記パッケージ24内には、半導体レーザ1及び光検出器7が搭載されている。図3(b)は、パッケージ24内での半導体レーザ1及び光検出器7の配置関係を示すために、パッケージ24を、図3(a)に図示したz方向(光軸方向)に対してy方向から見た側面図である。
図3(b)に示すように、ステム24a上に光検出器7が搭載されており、ステム24aの側部に半導体レーザ1が設けられている。半導体レーザ1から出射する光ビーム11の光路と、光検出器7に受光される戻り光の光路とが確保されるように、半導体レーザ1の光ビーム出射部及び光検出器7の受光部が、キャップ24cに形成された窓部24dの領域に含まれるように配置されている。
次に、図3(a)(b)に基づいて、各構成部材の配置を説明する。なお、以下の説明において、説明の便宜上、偏光ビームスプリッタ5における半導体レーザ1から出射する光ビーム11が入射する面を、偏光ビームスプリッタ5の光ビーム入射面とし、偏光ビームスプリッタ5における戻り光が入射する面を、偏光ビームスプリッタ5の戻り光入射面とする。また、偏光回折素子22における半導体レーザ1から出射する光ビーム11が入射する面を、偏光回折素子22の光ビーム入射面とし、偏光回折素子22における戻り光が入射する面を、偏光回折素子22の戻り光入射面とする。
図3(b)に示すように、上記偏光ビームスプリッタ5は、パッケージ24上に配置されている。具体的には、上記偏光ビームスプリッタ5の光ビーム入射面が、上記窓部24dを覆うようにパッケージ24上に配置されている。
上記偏光回折素子22は、その光ビーム入射面が、上記偏光ビームスプリッタ5の戻り光入射面に対向するように、かつ、半導体レーザ1から出射する光ビームの光軸上に、配置されている。
上記半導体レーザ1は、波長λ=405nmの光ビーム11を出射するものを使用している。また、本実施の形態では、該光ビーム11は、図示した光軸方向(z方向)に対してx方向の偏光振動面を有する直線偏光(P偏光)である。半導体レーザ1から出射された光ビーム11は、偏光ビームスプリッタ5に入射する。
上記偏光ビームスプリッタ5は、偏光ビームスプリッタ(PBS)面5aと、反射ミラー(反射面)5bとを有している。
本実施の形態における上記偏光ビームスプリッタ(PBS)面5aは、図示した光軸方向(z方向)に対してx方向の偏光振動面を有する直線偏光(P偏光)を透過し、該偏光振動面に垂直な偏光振動面を有する、すなわち、図示した光軸方向(z方向)に対してy方向の偏光振動面を有する直線偏光(S偏光)を反射するような特性をもつ。
上記偏光ビームスプリッタ(PBS)面5aは、上記半導体レーザ1から出射されたP偏光を有する光ビームの光軸上に、該光ビーム11が透過するように配置されている。上記反射ミラー5bは、偏光ビームスプリッタ(PBS)面5aに対して平行になるように配置されている。
偏光ビームスプリッタ(PBS)面5aに入射した上記光ビーム11(P偏光)は、偏光ビームスプリッタ(PBS)面5aをそのまま透過する。偏光ビームスプリッタ(PBS)面5aを透過した上記光ビーム11は、次に、上記偏光回折素子22に入射する。
次に、上記偏光回折素子22について詳細に説明する。上記偏光回折素子22は、第1の偏光ホログラム素子(光ビーム分離手段)2及び第2の偏光ホログラム素子12から構成されている。
上記第1の偏光ホログラム素子2及び第2の偏光ホログラム素子12はいずれも、光ビーム11の光軸上に配置されている。第1の偏光ホログラム素子2は、上記第2の偏光ホログラム素子12よりも半導体レーザ1側に配置された構成となっている。なお、必ずしもこれに限らず、例えば、第2の偏光ホログラム素子12を、上記第1の偏光ホログラム素子2よりも半導体レーザ1側に配置された構成とすることも可能である。
上記第2の偏光ホログラム素子12はP偏光を回折させてS偏光を透過させる一方、上記第1の偏光ホログラム素子2はS偏光を回折させてP偏光を透過させる。これら偏光の回折は、各偏光ホログラム素子2・12に形成された溝構造(格子)によって行われ、回折角度は、上記格子のピッチ(以下、これを「格子ピッチ」とよぶ)によって規定される。
上記第2の偏光ホログラム素子12は、トラッキング誤差信号(TES)を検出するための3ビーム生成用のホログラムパターンが形成されている。
すなわち、偏光ビームスプリッタ(PBS)面5aを透過したP偏光の光ビーム11は、上記偏光回折素子22を構成する第1の偏光ホログラム素子2に入射すると、回折されてトラッキング誤差信号(TES)を検出するための3ビーム(メインビーム及び、2つのサブビーム)となって該第1の偏光ホログラム素子2から出射する。なお、3ビームを用いたTES検出方法としては、3ビーム法や、差動プッシュプル(DPP)法や、位相シフトDPP法等を用いることができる。
上記第1の偏光ホログラム素子2は、入射した光のうち、S偏光は回折させ、P偏光はそのまま透過させる。
すなわち、第1の偏光ホログラム素子2を出射したP偏光の光ビーム11は、上記第2の偏光ホログラム素子12に入射し、回折される。第2の偏光ホログラム素子12で回折されたP偏光の光ビーム11は、上記1/4波長板23に入射する。なお、第1の偏光ホログラム素子2の詳細なホログラムパターンについては、後述する。
上記1/4波長板23は、直線偏光を入射し、円偏光に変換して出射することができる。したがって、1/4波長板23に入射したP偏光の光ビーム11(直線偏光)は、円偏光の光ビームに変換されて、光集積ユニット20から出射する。
光集積ユニット20から出射した円偏光の光ビームは、コリメートレンズ3により平行光にされた後、対物レンズ4を介して光ディスク6に集光される。そして、光ディスク6によって反射された光ビームは、すなわち戻り光は、再び対物レンズ4とコリメートレンズ3を通過して、再び光集積ユニット20の上記1/4波長板23に入射する。
光集積ユニット20の1/4波長板23に入射する上記戻り光は円偏光であり、該1/4波長板23によって、図示した光軸方向(z方向)に対してy方向の偏光振動面を有する直線偏光(S偏光)に変換される。S偏光の戻り光は、上記第2の偏光ホログラム素子12に入射し、そのまま透過した後、上記第1の偏光ホログラム素子2に入射する。
上記第1の偏光ホログラム素子2に入射したS偏光の戻り光は、0次回折光(非回折光)と、±1次回折光(回折光)とに回折されて出射する。該S偏光の戻り光は、上記偏光ビームスプリッタ5に入射し、上記偏光ビームスプリッタ(PBS)面5aによって反射され、反射ミラー5bによってさらに反射されて偏光ビームスプリッタ5から出射する。偏光ビームスプリッタ5から出射した該S偏光の戻り光は、上記光検出器7に受光される。上記光検出器7は、第1の偏光ホログラム素子2の+1次光の焦点位置に配置されている。なお、上記光検出器7の受光部パターンについては、後述する。
第2の偏光ホログラム素子12にて形成されるホログラムパターンは、3ビーム法又は差動プッシュプル法(DPP法)を用いたトラッキング誤差信号(TES)の検出のための規則的な直線格子である。
上記第1の偏光ホログラム素子2は、図1に示すように、3分割され3つの領域2a・2b・2cを有している。
第1の領域2aは、光軸を含むラジアル方向に直交する直線D1に対して平行な分割直線D2・D6(直線D1との距離h2)及び分割直線D4(直線D1との距離h1、長さw1)と、光軸に直交するトラック方向(x方向)に延びる直線に対して軸対称でありかつ所定角度(角度±θ)だけ傾斜した分割直線D3・D5と、直線D1に対して平行な分割直線D7(直線D1との距離h3)と、光軸を中心とする円弧E1・E2(半径r2)とで囲まれた領域である。
第2の領域2bは、分割直線D2〜D6と、光軸を中心とする円弧E3(半径r2)とで囲まれた領域である。また、第3の領域2cは、光軸を中心とする円弧E4(半径r2)と分割直線D7とで囲まれた領域である。
上述した分割線は全て光軸と直交する。領域2bを通過した光ビームが光検出器7上に集光するスポットをSP1とし、同様に、領域2aを通過した光ビームが光検出器上に集光するスポットをSP2とし、領域2cを通過した光ビームが光検出器上に集光するスポットをSP3とする。
第1の偏光ホログラム素子2上での対物レンズ4のアパーチャで規定される光ビームの有効径の半径をrとした時、光軸を含む直線D1と分割直線D4との距離h1=0.6r、光軸を含む直線D1と分割直線D2との距離h2=0.3r、光軸を含む直線D1と分割直線D7との距離h3=0.125r、θ=±45deg、分割直線D4の長さw1=0.6rとしている。半径r2は、対物レンズシフトや調整誤差を考慮して半径rよりも十分大きくなるように設定している。
図4は、図2における光ディスク6のカバーガラス6aの厚みに対して、対物レンズ4による集光ビームに球面収差が発生しないように、上記コリメートレンズ3の光軸方向の位置調整がなされている状態で情報記録層6c上に合焦状態に集光している場合の、光検出器7上での光ビームを示している。さらに、第1の偏光ホログラム素子2の3つの領域2a・2b・2cと+1次回折光の進行方向の関係も示している。なお、実際は、第1の偏光ホログラム素子2の中心位置は、光検出器7の受光部7a〜7dの中心位置に対応する位置に設置されるが、説明のため、光軸方向(z方向)に対してy方向にずらして図示している。
往路光学系において第2の偏光ホログラム素子12で形成された3つの光ビーム(メインビーム、2つのサブビーム)13は、光ディスク4で反射して復路光学系において第1の偏光ホログラム素子2により非回折光(0次回折光)14と回折光(+1次回折光)15とに分離される。
図4に示すように、光検出器7は14個の受光部7a〜7nで構成されている。光検出器7は、非回折光(0次回折光)14及び回折光(+1次回折光)15のうち、RF信号やサーボ信号の検出に必要な光ビームを受光するための受光部を備えている。具体的には、第1の偏光ホログラム素子2の3つの非回折光(0次回折光)14と、9つの回折光(+1次回折光)15との合計12個のビームが形成される。そのうち、非回折光(0次回折光)14は、プッシュプル法によるトラッキング誤差信号TESの検出ができるように、ある程度の大きさを有した光ビームとなるように設計される。本実施の形態では、上記非回折光(0次回折光)14のビーム径がある程度の大きさを有するように、光検出器7を、非回折光(0次回折光)14の集光点に対して若干手前側にずらした位置に設置している。なお、本発明はこれに限定されるものではなく、光検出器7を非回折光(0次回折光)14の集光点に対して奥側にずらした位置に設置するものであってもよい。
このように、ある程度の大きさの光ビーム径を有した光ビームが受光部7a〜7dの境界部に集光されるので、これらの4つの受光部7a〜7dの出力が等しくなるように調整することによって、非回折光(0次回折光)14と光検出器7との位置調整が可能である。
図5は、図4の状態から、図2における対物レンズ4が光ディスク6に近づいた場合の、光検出器7上での光ビームを示している。対物レンズ4が光ディスク6に近づくことによって、光ビームのビーム径が大きくなる。しかしながら、受光部7a〜7dからの光ビームのはみ出しは発生していない。
次に、図4及び図5を用いて、サーボ信号生成の動作について説明する。なお、ここでは受光部7a〜7nの出力信号をSa〜Snと表す。
まず、再生信号RFは、非回折光(0次回折光)14を用いて検出する。すなわち、再生信号RFは、
RF=Sa+Sb+Sc+Sd
で与えることができる。
RF=Sa+Sb+Sc+Sd
で与えることができる。
トラッキング誤差信号TESは、
TES={(Sa+Sb)−(Sc+Sd)}
−α{(Se−Sf)+(Sg−Sh)}
で与えられる。なお、ここで、αは対物レンズシフトや光ディスクチルトによるオフセットをキャンセルするのに最適な係数に設定される。
TES={(Sa+Sb)−(Sc+Sd)}
−α{(Se−Sf)+(Sg−Sh)}
で与えられる。なお、ここで、αは対物レンズシフトや光ディスクチルトによるオフセットをキャンセルするのに最適な係数に設定される。
フォーカス誤差信号FESは、ダブルナイフエッジ法を用いて検出する。すなわち、フォーカス誤差信号FESは、
FES=(Si−Sj)−β(Sk−Sl)
で与えられる。なお、ここで、βは2スポット間の光量の違いによるオフセットをキャンセルするのに最適な係数に設定される。
FES=(Si−Sj)−β(Sk−Sl)
で与えられる。なお、ここで、βは2スポット間の光量の違いによるオフセットをキャンセルするのに最適な係数に設定される。
フォーカス誤差信号FESの検出動作を説明する。
まず、光ディスク6の情報記録層6c又は情報記録層6dの何れかに焦点が一致している場合を考える。図4に示すように、集光スポットSP1は受光部7kと受光部7lとの境界線上に集光するので、第1の出力信号(Sk−Sl)は0になる。一方、集光スポットSP3も受光部7iと受光部7jとの境界線上に集光するので、第3の出力信号(Si−Sj)も0になる。したがって、フォーカス誤差信号FESは0になる。
次に、光ディスク6が対物レンズ4に近づくか遠ざかることによって、焦点位置が情報記録層6c又は情報記録層6dからずれた場合を考える。図5に示すように、集光スポットSP1及び集光スポットSP3の形状がそれぞれ変化することにより、第1の出力信号(Sk−Sl)及び第3の出力信号(Si−Sj)は、それぞれ焦点ずれに相当した値を出力する。したがって、フォーカス誤差信号FESは焦点ずれに相当した0以外の値を示すことになる。
この結果、焦点位置を情報記録層と常に一致させておくためには、フォーカス誤差信号FESの出力が常に0となるように対物レンズ4を光軸方向に移動させればよい。
次に、光ピックアップ装置10の光学系に焦点ずれが無く球面収差が発生した場合を考える。球面収差は、光ディスク6のカバーガラス6aの厚さ変化や、情報記録層6cと情報記録層6dとの層間ジャンプを行う際に発生する。
例えば、カバーガラス6aの厚さが変化して球面収差が発生する場合、光ビームの光軸付近の光ビームと光ビーム外周部の光ビームとでは、ビームの焦点位置(ビーム径が最小になる位置)が異なってくる。したがって、第1の偏光ホログラム素子2の第1の領域2aによって光ビームの光軸付近の光ビームを回折し、光ビームの光軸付近の光ビームの焦点ずれを検出した第2の出力信号(Sm−Sn)の値と、光ビーム外周部の光ビームの焦点ずれを検出した第1の出力信号(Sk−Sl)の値とは球面収差が発生すると0ではなくなり、球面収差量に応じた値を出力する。球面収差が発生することによる焦点位置ずれの方向は、ビーム内周部とビーム外周部とでは逆方向になる。したがって、上記第1の出力信号(Sk−Sl)の値と第2の出力信号(Sm−Sn)の値との差信号を演算することによって、感度のより高い球面収差誤差信号SAESを得ることができる。
すなわち、球面収差誤差信号SAESは、以下の演算により得られる。
SAES=(Sm−Sn)−γ×(Sk−Sl)
球面収差誤差信号SAESの検出動作を説明する。
球面収差誤差信号SAESの検出動作を説明する。
まず、球面収差が無い場合を考える。図4に示すように、集光スポットSP1は受光部7kと受光部7lとの境界線上に集光するので、第1の出力信号(Sk−Sl)は0になる。一方、集光スポットSP2も受光部7mと受光部7nとの境界線上に集光するので、第2の出力信号(Sm−Sn)も0になる。したがって、球面収差誤差信号SAESは0になる。
次に、球面収差が発生している場合を考える。図6に示すように、焦点位置ずれがないにも関わらず、集光スポットSP1及び集光スポットSP2は、集光状態からデフォーカス状態にそれぞれ変化する。したがって、第1の出力信号(Sk−Sl)及び第2の出力信号(Sm−Sn)は、それぞれ0以外の値を示すことになる。集光スポットSP1と集光スポットSP2とではデフォーカス方向が逆になるので、これらの信号の差信号を用いることにより感度の高い球面収差誤差信号SAESが検出できる。
さらに、光ピックアップ装置10の光学系に若干の焦点ずれが残存した状態で球面収差が発生した場合を考える。この場合は、球面収差が無い場合でも焦点ずれの影響によって、集光スポットSP1及び集光スポットSP2がそれぞれデフォーカス状態になるため第1の出力信号(Sk−Sl)及び第2の出力信号(Sm−Sn)はそれぞれ0以外の値を示す。焦点ずれが小さい範囲では、第1の出力信号(Sk−Sl)及び第2の出力信号(Sm−Sn)の変化はそれぞれほぼ直線とみなせるので、係数γを最適化することにより球面収差誤差信号SAESへの焦点ずれの影響は除去することができる。なお、球面収差によるデフォーカスは集光スポットSP1と集光スポットSP2とでは逆極性であるので、係数βの最適化を行っても球面収差誤差信号SAESが出力しなくなることは無い。
しかしながら、多層ディスクの記録再生においては、受光部7m・7nに非再生層からの不要反射光が入射する。図26に多層ディスクの非再生層からの不要反射光Mが光検出器7上に作るスポットを示す。
不要反射光Mは、光軸を中心として半径Rの円形状であり、光検出器7上に集光する。受光部7m・7nに不要反射光Mが入射したとき、この不要反射光Mが一様な光強度分布を持っていればオフセットは発生しないが、実際には一様分布でないため受光部7mに入射する光量と受光部7nに入射する光量とのアンバランスが生じ、オフセットが発生する。このため、第2の出力信号(Sm−Sn)にオフセットが生じ、球面収差誤差信号SAES1に影響を及ぼし、正確な球面収差補正を行うことができない。なお、受光部7kと受光部7lとは不要反射光Mが集光しない位置、すなわち光軸から受光部7k・7lまでの最短距離は不要反射光Mの半径Rよりも長く設定してある。
ここで、球面収差誤差信号SAES2は不要反射光Mの影響を受けない受光部7kと受光部7lからの信号(第2の出力信号)とで生成することができる。
SAES2=Sk−Sl
この演算方式を用いることによって、多層ディスクの非再生層からの不要反射光Mの影響を受けない球面収差誤差信号SAES2を生成することができる。
この演算方式を用いることによって、多層ディスクの非再生層からの不要反射光Mの影響を受けない球面収差誤差信号SAES2を生成することができる。
次に、光ピックアップ装置10の光学系に焦点ずれが残存した状態で球面収差が発生した場合を考える。球面収差誤差信号SAES2では、第1の出力信号と第2の出力信号との差をとらないため、焦点ずれによって球面収差誤差信号SAES2が変化し、球面収差を正確に検出できないといった問題がある。
焦点位置ずれの影響を抑えるために球面収差誤差信号SAES3を、フォーカス誤差信号FESを用いて、
SAES3=(Sk−Sl)−δ×FES
で生成する。このとき定数δは、焦点ずれが生じても球面収差誤差信号SAES3の変化が小さくなるように決定すればよい。球面収差が生じたときの焦点ずれにより第2の出力信号(Sk―Sl)にオフセットが生じたとき、フォーカス誤差信号FESを加減算することにより、オフセットを減少させることができる。この演算方法により、球面収差と焦点ずれが同時に生じても、正確な球面収差誤差検出が可能となる。
SAES3=(Sk−Sl)−δ×FES
で生成する。このとき定数δは、焦点ずれが生じても球面収差誤差信号SAES3の変化が小さくなるように決定すればよい。球面収差が生じたときの焦点ずれにより第2の出力信号(Sk―Sl)にオフセットが生じたとき、フォーカス誤差信号FESを加減算することにより、オフセットを減少させることができる。この演算方法により、球面収差と焦点ずれが同時に生じても、正確な球面収差誤差検出が可能となる。
以上の説明では、光ビームの中心と第2の偏光ホログラム素子12の中心とが一致しているときを想定している。
実際の光ピックアップ装置10では、光ディスク6の情報記録層6c又は情報記録層6d上に形成されたトラック上に光ビームを集光させるために、対物レンズ4を光ディスク6のラジアル方向(半径方向)に移動させて常にトラック上に集光させるトラッキング制御を行っている。
第1の偏光ホログラム素子2と対物レンズ4とが一体で製作されている場合は問題ないが、分離して光ピックアップ装置10に装備されている場合には、トラッキング制御によって光ビームの中心は第1の偏光ホログラム素子2の中心とは一致しない状況が生じる。
このとき、従来の図25に示す分割形状のホログラム素子102を用いた場合には、本来、ホログラム素子102の領域102aと領域102bとでそれぞれ回折されるはずの光ビームの一部がそれぞれ別の領域で回折されてしまう。このように、光ビームの中心とホログラム素子102の中心とにずれがある場合と無い場合とでは、光検出器107の各領域102a・102bからの電気信号が変化する。そのため、球面収差量が一定であっても光ビームの中心とホログラム素子102の中心とのずれ量によって球面収差誤差信号SAESが変化する。
ここで、本実施の形態の第1の偏光ホログラム素子2を用いた場合の球面収差誤差信号SAESと光ディスク6のカバーガラス6aの厚さ変化との関係を示すグラフを、図7(a)に示す。また、比較例として、図25に示すようなホログラム素子102を用いた場合の球面収差誤差信号SAESと光ディスク6のカバーガラス6aの厚さ変化との関係を示すグラフを、図7(b)に示す。なお、ホログラム素子102の分割線の半径r1は、半径r1=0.7r、第1の偏光ホログラム素子2の分割線の一つである分割直線D4と光軸を含む直線D1との距離h1は、分割直線D4と光軸を含む直線D1との距離h1=0.6rで計算した。
図7(a)に示すグラフは、第1の偏光ホログラム素子2の中心と光ビームの中心とがずれていないとき、すなわち、ずれ量が0μmのときの球面収差誤差信号SAESを表示する。一方、図7(b)に示すグラフは、第1の偏光ホログラム素子2の中心と光ビームの中心とが、トラッキング制御によって光ディスク6のラジアル方向に300μmずれたときの球面収差誤差信号SAESを表示している。対物レンズ4の有効径は半径r=1.5mmであるので、300μmは有効径の20%に相当する。
上記図7(a)(b)に示すグラフから、第1の偏光ホログラム素子2の分割線で光ビームを分離した場合は、第1の偏光ホログラム素子2の中心と光ビームの中心とが300μmずれても球面収差誤差信号SAESに影響は殆どないが、ホログラム素子102の分割線にて光ビームを分割した場合には、ホログラム素子102の中心と光ビームの中心とのずれによって球面収差誤差信号SAESは明らかに影響を受けていることが分かる。
また、球面収差誤差信号SAESの信号感度の絶対値を比較すると、第1の偏光ホログラム素子2の分割線にて光ビームを分離した場合には、ホログラム素子102の場合よりも小さいが、十分な感度が得られることがわかる。
上記理由により、光軸が光ディスク6のラジアル方向へずれることによる球面収差誤差信号SAESへの影響を極力抑えるには、ラジアル方向に平行な直線による分割形状を使用すればよい。また、ホログラム素子102の分割線にて光ビームを分離した場合、球面収差誤差信号SAESの信号感度が最も高くなるため、第1の偏光ホログラム素子2の分割線はホログラム素子102の分割線に近似させる必要がある。この条件を満たすには、上述した第1の偏光ホログラム素子2上での対物レンズ4のアパーチャで規定される光ビームの有効径の半径をrとした時、分割直線D4と光軸を含む直線D1との距離h1=0.6r、分割直線D2と光軸を含む直線D1との距離h2=0.3r、θ=±45deg、分割直線D4の長さw1=0.6rとする条件である。
図8(a)に、分割直線D4と光軸を含む直線D1との距離h1を0.4r、0.6r、0.8rにした場合の、球面収差誤差信号SAESと光ディスク6のカバーガラス6aの厚さ変化との関係を示す。これより、分割直線D4と光軸を含む直線D1との距離h1が0.4rのとき、球面収差誤差信号SAESの検出感度が小さくなることがわかる。
また、図8(b)に、分割直線D4と光軸を含む直線D1との距離h1を0.8rにし、第1の偏光ホログラム素子2の中心と光ビームのとの中心とが、トラッキング制御によって光ディスク6のラジアル方向に300μmずれたときの球面収差誤差信号SAESを示す。図8(a)に示す分割直線D4と光軸を含む直線D1との距離h1を0.6rにした場合と比較して、分割直線D4と光軸を含む直線D1との距離h1が0.8rのときは第1の偏光ホログラム素子2の中心と光ビームの中心とのずれによって、球面収差誤差信号SAESは大きく影響を受ける。以上のことより、分割直線D4と光軸を含む直線D1との距離h1を0.6rにするのが望ましい。
図9に、分割直線D2と光軸を含む直線D1との距離h2を0.4r、0.6r、0.8rにした場合の、球面収差誤差信号SAESと光ディスク6のカバーガラス6aの厚さ変化との関係を示す。同図から、分割直線D2と光軸を含む直線D1との距離h2が0.2r、0.4rのとき、球面収差誤差信号SAESの検出感度が小さくなるため、分割直線D2と光軸を含む直線D1との距離h2を0.3rにするのが望ましいことがわかる。
図10(a)に、分割直線D4の長さw1を0.4r、0.6r、0.8rにした場合の、球面収差誤差信号SAESと光ディスク6のカバーガラス6aの厚さ変化との関係を示す。分割直線D4の長さw1が0.8r、0.6r、0.4rの順で球面収差誤差信号SAESの検出感度が小さくなることが分かる。
また、図10(b)に、分割直線D4の長さw1を0.8rにし、第1のfの中心と光ビームの中心とが、トラッキング制御によって光ディスク6のラジアル方向に300μmずれたときの球面収差誤差信号SAESを示す。図8(a)に示す分割直線D4と光軸を含む直線D1との距離h1を0.6rにした場合と比較して、分割直線D4と光軸を含む直線D1との距離h1が0.8rのとき第1の偏光ホログラム素子2と光ビームの中心ずれによって大きく影響を受ける。以上のことより、分割直線D4の長さw1を0.6rにすることが望ましい。
図11に、θを±45deg、±90degにした場合の、球面収差誤差信号SAESと光ディスク6のカバーガラス6aの厚さ変化との関係を示す。θを±45degにすることにより、球面収差誤差信号SAESの信号感度が高くなることがわかる。
また、ラジアル方向に平行な直線による分割形状のため、第1の偏光ホログラム素子2の中心と光ビームの中心とのずれによって球面収差誤差信号SAESは影響を受けない。
次に、図4〜図6、並びに図12及び図13に基いて、第1の偏光ホログラム素子2の調整方法について説明する。
まず、図2に示すように、光ディスク6からの戻り光を第1の偏光ホログラム素子2に入射させる。次いで、第1の偏光ホログラム素子2を通過した非回折光(0次回折光)14が、図4に示すように、光検出器7a〜7dに均等に入射するように第1の偏光ホログラム素子2をX、Y方向に位置調整することにより、第1の偏光ホログラム素子2の中心と光軸とのずれを調整する。
さらに、第1の偏光ホログラム素子2が、図1に示すような分割形状の場合、第1の偏光ホログラム素子2の上で上記光ビーム11がX方向に移動した場合には、第1の領域2aから検出される光量と第2の領域2bから検出される光量との比率が変化する。一方、第1の偏光ホログラム素子2の上で光ビーム11がY方向に移動した場合には、第1の領域2aから検出される光量及び第2の領域2bから検出される光量を加算した光量と、第3の領域2cから検出される光量との比率が変化する。したがって、これらの光量関係を利用して第1の偏光ホログラム素子2の中心位置と光ビーム11の中心位置とを合わせることが可能になる。その結果、位置あわせの分割パターンを形成する必要がないので、光ビーム11の全領域を利用したダブルナイフエッジ法によるフォーカス誤差信号FESの検出が可能になるので、安定したフォーカス制御を行うことができる。
また、第1の偏光ホログラム素子2と光検出器7との間で光軸方向のずれが生じていた場合、図5の場合と同様に、集光スポットSP1・SP2・SP3はデフォーカスした状態となる。つまり、第1の出力信号(Sk−Sl)及び第3の出力信号(Si−Sj)はいずれも0でなく、したがって、
FES=(Si−Sj)−β(Sk−Sl)
は0にならず、これがフォーカス誤差信号FESのオフセットとなる。この調整方法として、第2の偏光ホログラム素子12を回転して調整することが知られている。
FES=(Si−Sj)−β(Sk−Sl)
は0にならず、これがフォーカス誤差信号FESのオフセットとなる。この調整方法として、第2の偏光ホログラム素子12を回転して調整することが知られている。
図12(b)は、比較例を示すものであり、第1の偏光ホログラム素子2の形状において分割直線D7が光軸と一致した場合(光軸を含む直線D1と分割直線D7との距離h3が0である場合)の第1の偏光ホログラム素子82における回転調整の説明図である。
第1の偏光ホログラム素子82を回転することにより集光スポットSP1・SP2・SP3が非回折光(0次回折光)14の集光スポットを中心として回転する。集光スポットSP1・SP2と集光スポットSP3とは回転中心を挟んで対面しているため、各集光スポットの移動量のY成分は正負逆になる。これにより、第1の出力信号(Sk−Sl)と第3の出力信号(Si−Sj)とが逆に増減し、その結果、フォーカス誤差信号FESが0になる回転量がある。
しかしながら、フォーカス誤差信号FESを0に調整しても、球面収差誤差信号SAESは同時に0にならずオフセットが発生する。図13(b)は、図12(b)に示すホログラム素子形状の第1の偏光ホログラム素子82を用いた際の、カバーガラス6aの厚さ変化が生じたときの球面収差誤差信号SAESを示している。横軸はカバーガラス6aの厚さ変化、縦軸は回転調整後の球面収差誤差信号SAESである。また、第1の偏光ホログラム素子82と光検出器7の間の光軸方向ずれが0.2mm生じ、回転調整を行ったときの球面収差誤差信号SAESを示す。+0.2mmのグラフは、第1の偏光ホログラム素子82と光検出器7との間が0.2mm離れる方向にずれたこと、−0.2mmのグラフは第1の偏光ホログラム素子82と光検出器7との間が0.2mm狭まる方向にずれたことを示している。この図から、光軸方向ずれを回転調整すると、カバーガラス6aの厚さ変化がない場合に、球面収差誤差信号SAESにオフセットが発生することがわかる。
このオフセット量の発生原因について説明する。
球面収差誤差信号SAESを生成する集光スポットSP1及び集光スポットSP2は、回転中心つまり光軸OZからそれぞれ距離L1・L2だけ離れているとする。第1の偏光ホログラム素子82の回転調整量をθとすると、回転調整を行うと集光スポットSP1は−Y方向にL1sinθ、集光スポットSP2は−Y方向にL2sinθ移動する。
例えば、図12(b)に示すように、L1>L2であれば、集光スポットSP1は集光スポットSP2よりも移動量が大きい。すなわち、同図(b)において、第1の偏光ホログラム素子82を回転すると、集光スポットSP1は移動量が大きいため、受光領域7k上から受光領域7l上に大部分が移動する。それに比べて、集光スポットSP2は移動量が小さいため、受光領域7m上から受光領域7n上にはあまり移動しない。したがって、第1の出力信号(Sk−Sl)と第2の出力信号(Sm−Sn)との差である球面収差誤差信号SAESは0にならない。
この課題は、集光スポットSP2における見かけのy方向成分の移動量を増やすこと、すなわち、集光スポットSP2を受光領域7n上により多く集光することによって解決することができる。
図12(a)は、図1に示す第1の偏光ホログラム素子2を用いた場合の光検出器7上の集光スポットを表している。図1に示すホログラム形状のように、分割直線D7を光軸である光軸を含む直線D1と分割直線D7との距離h3(>0)に設け、第2の偏光ホログラム素子12と光検出器7との間に光軸方向のずれが生じ、第1の偏光ホログラム素子2の回転調整を行ったときに、集光スポットSP2が受光領域7n上に集光する。すなわち、光軸を中心として複数のラジアル方向の分割直線D2・D6とは反対側に分割直線D7を設けることによって、フォーカス誤差信号FES及び球面収差誤差信号SAESの両方共、同時にオフセットを取り除くことができる。
図13(a)は、図1〜図12(a)のホログラム素子形状の場合に、第1の偏光ホログラム素子2と光検出器7との間に光軸方向のずれが生じ、第1の偏光ホログラム素子2の回転調整を行った後の球面収差誤差信号SAESを示している。回転調整を行っても球面収差誤差信号SAESにオフセットが発生しない効果を確認した。
ここで、図1において、光軸を含むラジアル方向の直線D1と分割直線D7との距離h3は、h2以下の長さである必要がある。すなわち、光軸を含む直線D1と分割直線D7との距離h3が、分割直線D2と光軸を含む直線D1との距離h2よりも大きければ、球面収差誤差信号SAESの信号感度の絶対値が不足し、球面収差誤差信号SAESの信頼性を確保できない。
この原因について、図4(a)(b)に基いて説明する。図4(a)(b)は、図6に示す状態の受光領域7m・7nと集光スポットSP2の拡大図である。図14(a)は、〔光軸を含むラジアル方向の直線D1と分割直線D7との距離h3〕と〔分割直線D2と光軸を含む直線D1との距離h2〕とが等しい状態を示す。集光スポットSP2は受光部7mと7nとの分割線上に集光する。このとき、受光部7mと受光部7nとの分割線と光軸を含むラジアル方向の直線D1とは一致している。このため、光軸を含むラジアル方向の直線D1、分割直線D2・D6、及び分割直線D2の延長線、円弧E1・E2とで囲まれる領域と、分割直線D7及び円弧E1・E2とで囲まれる領域から生じた各々の集光スポットから生成される信号Smと信号Snとは等しいため、光検出器7上で互いに打ち消し合う。すなわち、分割直線D3・D4・D5、及び分割直線D2を延長した部分で囲まれる台形上の領域から生じた集光スポットでのみ球面収差誤差信号SAESを生成するため、図1に示す状態(h3<h2)と比較して、球面収差誤差信号SAESの絶対値が減少する。さらに、図14(b)に示すように、〔光軸を含むラジアル方向の直線D1と分割直線D7との距離h3〕が〔分割直線D2と光軸を含む直線D1との距離h2〕よりも大きくなると、分割直線D3・D4・D5、及び分割直線D2を延長した部分で囲まれる台形状の領域からなる信号を、分割直線D7、及び円弧E1・E2で囲まれる領域からなる信号が打ち消してしまい、さらに、球面収差誤差信号SAESの絶対値が不足する。したがって、〔光軸を含むラジアル方向の直線D1と分割直線D7との距離h3〕は、〔分割直線D2と光軸を含む直線D1との距離h2〕以下にする必要がある。
このように、本実施の形態の収差検出装置及びそれを備えた光ピックアップ装置10では、収差検出装置は、対物レンズ4を通過した光ビーム11を、該光ビーム11の光軸を含む集光スポットSP2と該光ビーム11の光軸を含まない集光スポットSP1・SP3とに分離する第1の偏光ホログラム素子2と、この第1の偏光ホログラム素子2によって分離された集光スポットSP2・SP1・SP3の焦点位置に基づいて、対物レンズ4の球面収差を検出する光検出器7とを備えている。
上記第1の偏光ホログラム素子2は、上記第1光ビームを通す第1の領域2aと、光ビームの光軸を含まない第2光ビームを通す第2の領域2b・第3の領域2cとに分割されていると共に、第1の領域2aは、光軸を通るラジアル方向の直線と平行な直線上における両端側にそれぞれ形成された分割直線D2・D6と、分割直線D2・D6よりも外周側にて、分割直線D2・D6と平行に形成された分割直線D4と、分割直線D2・D6の各端から分割直線D4に向かって互いに延びて形成され、かつ光軸を通るトラック方向の直線D1に対して互いに線対称で所定角度だけハの字状に傾斜した直線対からなる分割直線D3・D5と、この分割直線D2・D6に対して、光軸を通るラジアル方向の直線D1を挟んだ反対側に形成され、かつ上記光軸を通るラジアル方向の直線D1と平行な分割直線D7と、分割直線D2と分割直線D7との間及び分割直線D6と分割直線D7との間において、第1の偏光ホログラム素子2の円弧E1・E2とで構成される各境界線により区画されていると共に、上記第2の領域2b・第3の領域2cは、第1の偏光ホログラム素子2における中央側に形成された上記第1の領域2aを挟んだ両側において形成された2つの区画からなっている。
これにより、第1の偏光ホログラム素子2から光検出器7までの間の光軸方向のずれが発生し、フォーカス誤差信号FES及び球面収差誤差信号SAESにオフセットが生じた際に、第1の偏光ホログラム素子2の回転調整を行うことによって、フォーカス誤差信号FES及び球面収差誤差信号SAESのいずれについてもオフセットを軽減することができる。
なお、本実施の形態では、光ディスク6の情報記録層から反射した光ビーム11を光検出器7に導くための手段として、第1の偏光ホログラム素子2を使用したが、これに限定されるものではなく、例えば、ビームスプリッタとウェッジプリズムとを組み合わせたものを使用しても良い。しかしながら、装置の小型化を図る点からは、ホログラム素子を使用するのが好ましい。
また、本実施に形態では、光源と光検出器とを一体化したホログラム素子レーザの例で説明したが、必ずしもこれに限らず、光源に単体の半導体レーザを用いて、偏光ビームスプリッタ(PBS)により光路を分割して、その反射光を光検出器7で受光する構成とすることも可能である。この場合は、復路の光学系に光ビーム分離手段を配置すればよい。
また、本実施の形態では、球面収差補正機構としてコリメートレンズ3を駆動したが、コリメートレンズ3と対物レンズ4との間に配置した図示しないビームエキスパンダを構成する2つのレンズの間隔を調整する機構を用いてもよい。
〔実施の形態2〕
本発明の他の実施の形態について図15ないし図23、及び図27に基づいて説明すれば、以下の通りである。なお、本実施の形態において説明すること以外の構成は、前記実施の形態1と同じである。また、説明の便宜上、前記の実施の形態1の図面に示した部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
本発明の他の実施の形態について図15ないし図23、及び図27に基づいて説明すれば、以下の通りである。なお、本実施の形態において説明すること以外の構成は、前記実施の形態1と同じである。また、説明の便宜上、前記の実施の形態1の図面に示した部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
本実施の形態の光記録再生装置は、前記実施の形態1と同様、図15に示すように、光ディスク(光記録媒体)6を回転駆動するスピンドルモータ(図示せず)、光ディスク6に情報を記録再生する光ピックアップ装置30、上記スピンドルモータ及び光ピックアップ装置30を駆動制御するための図示しない駆動制御部及び制御信号生成回路を備えている。
上記光ピックアップ装置30は、光ディスク6に光ビームを照射するための半導体レーザ(光源)1、第1の偏光ホログラム素子(光ビーム分離手段)32、コリメートレンズ3、対物レンズ(集光光学系)4及び光検出器(収差検出手段)37を有している。
光ディスク6の情報記録層6c又は情報記録層6dから反射された光ビームは、対物レンズ4、コリメートレンズ3の順に各部材を通過して第1の偏光ホログラム素子32に入射され、第1の偏光ホログラム素子32にて回折されて光検出器37上に集光される。
図16(a)(b)は、光集積ユニット40の構成を示した構成図である。なお、図16(b)は、図示した光軸方向(z方向)に対してy方向から見た側面図である。実施の形態1の光集積ユニット20との相違点は、第1の偏光ホログラム素子2及び光検出器7の代わりに、第1の偏光ホログラム素子32及び光検出器37を有する点である。第1の偏光ホログラム素子32についての詳細な説明は後述する。
図17(a)(b)に基いて、補助受光領域を備えた光検出器37について説明する。
図17(a)に示すように、光検出器37は、前記実施の形態1における光検出器7の受光部7a〜7nまでの受光領域と同様の、受光領域37a〜37nと補助受光領域37o〜37tとを備えている。受光領域37a〜37tからの出力信号をSa〜Stとする。
フォーカス誤差信号FESは、ダブルナイフエッジ法を用いて検出する。すなわち、フォーカス誤差信号FESは、
FES=(Si+Sp−Sj−So)−β(Sk+Sr−Sl−Sq)
で与えられる。なお、ここで、βは2スポット間の光量の違いによるオフセットをキャンセルするのに最適な係数に設定される。
FES=(Si+Sp−Sj−So)−β(Sk+Sr−Sl−Sq)
で与えられる。なお、ここで、βは2スポット間の光量の違いによるオフセットをキャンセルするのに最適な係数に設定される。
図18は、フォーカス誤差信号FESのカーブを示す図である。実線のグラフが補助受光領域37o〜37tがある場合、点線のグラフが補助受光領域37o〜37tのない場合のフォーカス誤差信号FESカーブを示している。フォーカス誤差信号FES引き込み範囲−d1〜+d1を越えた領域で、緩やかに0に収束していたのを急激に0に収束することができる。これにより、2層ディスクを再生した際に、フォーカス誤差信号FESオフセットが十分小さい独立した2本(2層)のフォーカス誤差信号FESカーブが得られるため、正常なフォーカスサーボを行うことができる。
しかしながら、補助受光領域37o〜37tを備えた光検出器37と、図1に示す実施の形態1で説明した第1の偏光ホログラム素子2とを同時に用いると、図19(a)に示すように、Δd2というオフセットが発生してしまう。オフセットΔd2が発生しているデフォーカス量のときの集光スポットの状態を、図17(b)に示す。同図(b)において、円弧33はオフセットΔd2が発生しているデフォーカス量のときの第1の偏光ホログラム素子32上の光ビームの有効径を示す。このデフォーカス状態で、集光スポットSP3は補助受光領域37oにのみ入射するため、
FES=−So
となり、フォーカス誤差信号FESに、オフセットΔd2が生じることになる。
FES=−So
となり、フォーカス誤差信号FESに、オフセットΔd2が生じることになる。
ここで、オフセットΔd2を取り除くためには、受光領域37iに集光させる必要がある。この効果を得る第1の偏光ホログラム素子32について次に説明する。
上記第1の偏光ホログラム素子32は、図20に示すように、3分割された3つの領域である第1の領域32a、第2の領域32b及び第3の領域32cを有している。
第1の領域32aは、光軸を含むラジアル方向の直線D1と平行な分割直線D2・D6(光軸を含むラジアル方向の直線D1との距離h2)及び分割直線D4(光軸を含むラジアル方向の直線D1との距離h1、長さw2と)と、トラック方向の直線に対して線対称で所定角度(角度±θ)だけ傾斜した分割直線D3・D5と、光軸を含むラジアル方向の直線D1と平行な複数の分割直線D8・D9(光軸を含むラジアル方向の直線D1との距離h4)と、トラック方向の複数の分割直線D10・D11、ラジアル方向の分割直線D12と、光軸を中心とする円弧E1・E2(半径r2)とで囲まれた領域である。
すなわち、第1の領域32aは、実施の形態1の分割直線D7の中央部分において、光軸を通るラジアル方向の直線D1に対して平行に対向する分割直線D12を備えた矩形状凹部を有している。
第2の領域32bは、分割直線D2〜D6と光軸を中心とする円弧E3(半径r2)とで囲まれた領域である。第3の領域32cは、光軸を中心とする円弧E4(半径r2)と、光軸を含むラジアル方向の直線D1と、平行な複数の分割直線D8・D9(光軸を含むラジアル方向の直線D1との距離h4)と、トラック方向の複数の分割直線D10・D11と、ラジアル方向の分割直線D12とで囲まれた領域である。分割直線D12は、光軸を含む。上述の分割線は全て光軸と直交する。
第2の領域32bを通過した上記光ビーム11が、上記光検出器37上に集光するスポットをSP1とし、同様に、第1の領域32aを通過した上記光ビーム11が光検出器37上に集光するスポットをSP2とし、第3の領域32cを通過した上記光ビーム11が上記光検出器37上に集光するスポットをSP3とする。第1の偏光ホログラム素子32上での対物レンズ4のアパーチャで規定される光ビーム11の有効径の半径をrとしたとき、光軸を含むラジアル方向の直線D1との距離h1=0.6r、光軸を含むラジアル方向の直線D1との距離h2=0.3r、光軸を含むラジアル方向の直線D1との距離h4=0.21r、θ=±45deg、分割直線D4の長さw2=0.6r、分割直線D12の長さw3=0.6rとしている。半径r2は、対物レンズシフトや調整誤差を考慮して半径rよりも十分大きくなるように設定している。
図21に、オフセットΔd2が発生しているデフォーカス量のときの光ビーム11が、第1の偏光ホログラム素子32を通過し、光検出器37上に集光したときの状態を示す。第1の領域32aの中央部分に分割直線D10〜D12によって構成される矩形領域を設けることにより、集光スポットSP3が受光領域37i上に集光するため
FES=Si−So
となり、フォーカス誤差信号FESのオフセットΔd2を軽減することができる。図19(b)に、このときのフォーカス誤差信号FESカーブを示す。オフセットΔd2が軽減されていることが分かる。
FES=Si−So
となり、フォーカス誤差信号FESのオフセットΔd2を軽減することができる。図19(b)に、このときのフォーカス誤差信号FESカーブを示す。オフセットΔd2が軽減されていることが分かる。
分割直線D12と光軸OZとの距離を小さくするほど、受光領域37i上に集光する光ビーム量が多くなり、オフセットΔd2を軽減することができる。
また、上述した第1の偏光ホログラム素子32のように、分割直線D12と光軸OZとの最短距離が0の場合、すなわち、分割直線D12が光軸OZを含む場合、図21に示すように、集光スポットSP3の分割線と光受光領域37i・37jの分割線とが一致する。このため、デフォーカスした状態でナイフエッジ法を用い安定した焦点誤差検出を行うことができるので、分割直線D12は光軸を含むことが望ましい。
図27に多層ディスクの非再生層からの不要反射光Mが光検出器37上に作るスポットを示す。不要反射光Mは光軸を中心として半径Rの円形状であり、光検出器37上に集光する。受光部37k・37l・37g・37rは不要反射光Mが集光しない位置、すなわち光軸から受光部37k・37lまでの最短距離は不要反射光Mの半径Rよりも長く設定されている。
受光部37k・37l・37g・37rは、不要反射光Mが集光しない位置に設定してある。ここで、球面収差誤差信号SAES4は不要反射光Mの影響を受けない受光部37k・37l・37g・37rからの信号にて生成することができる。
SAES4=(Sk+Sr)−(Sl+Sg)
この演算方式を用いることによって、多層ディスクの非再生層からの不要反射光Mの影響を受けない球面収差誤差信号SAES4を生成することができる。
この演算方式を用いることによって、多層ディスクの非再生層からの不要反射光Mの影響を受けない球面収差誤差信号SAES4を生成することができる。
次に、光ピックアップ装置10の光学系に焦点ずれが残存した状態で球面収差が発生した場合を考える。球面収差誤差信号SAES4でも実施の形態1の球面収差誤差信号SAES2と同様に、焦点ずれによって球面収差誤差信号SAES4が変化し、球面収差を正確に検出できないといった問題がある。
焦点位置ずれの影響を抑えるために球面収差誤差信号SAES5を、フォーカス誤差信号FESを用いて、
SAES5={(Sk+Sr)−(Sl+Sg)}−δ×FES
にて生成する。このとき定数δは、焦点ずれが生じても球面収差誤差信号SAES5の変化が小さくなるように決定すればよい。球面収差が生じたときの焦点ずれにより(Sk+Sr)−(Sl+Sg)にオフセットが生じたとき、フォーカス誤差信号FESを加減算することにより、オフセットを減少させることができる。この演算方法により、球面収差と焦点ずれとが同時に生じても、正確な球面収差誤差検出が可能となる。
SAES5={(Sk+Sr)−(Sl+Sg)}−δ×FES
にて生成する。このとき定数δは、焦点ずれが生じても球面収差誤差信号SAES5の変化が小さくなるように決定すればよい。球面収差が生じたときの焦点ずれにより(Sk+Sr)−(Sl+Sg)にオフセットが生じたとき、フォーカス誤差信号FESを加減算することにより、オフセットを減少させることができる。この演算方法により、球面収差と焦点ずれとが同時に生じても、正確な球面収差誤差検出が可能となる。
次に、図22に分割直線D12の長さを変更したときのフォーカス誤差信号FESカーブを示す。第1の偏光ホログラム素子32上での対物レンズ4のアパーチャで規定される光ビーム11の有効径の半径をrとしたとき、実線は分割直線D12が長さw3=0.48rのときのフォーカス誤差信号FESカーブを示す。一方、破線は、分割直線D12が長さw3=0.24rのときのフォーカス誤差信号FESカーブを示す。分割直線D12の長さw3が0.48rよりも短いと、フォーカス誤差信号FESカーブにオフセットが発生することがわかる。このため、分割直線D12の長さw3は、0.48r以上にすることが望ましい。
上述したとおり、光軸OZを中心として複数のラジアル方向の分割直線D2・D6とは反対側に分割直線を設けることによって、第1の偏光ホログラム素子32と光検出器37との間の光軸方向ずれが生じて第1の偏光ホログラム素子32を回転調整したときの、球面収差誤差信号SAESのオフセットを軽減する。本実施の形態の第1の偏光ホログラム素子32においても、同様の効果を得るため、複数のラジアル方向の直線D8・D9を設ける。
しかしながら、実施の形態1の第1の偏光ホログラム素子2に比べて、本実施の形態の第1の偏光ホログラム素子32では、分割直線D10・D11・D12からなる矩形領域を設けているため、第1の偏光ホログラム素子32を回転調整したときに、受光領域37n上に集光する集光スポットSP2の光量が小さくなる。このため、球面収差誤差信号SAESにオフセットが発生する。
この課題を解決するために、複数のラジアル方向の分割直線と光軸OZとの距離h4を、実施の形態1における分割直線D7と光軸OZとの距離h3よりも大きくすることことによって、第1の偏光ホログラム素子32と光検出器37との間の光軸方向ずれが生じ、第1の偏光ホログラム素子32を回転調整したときの、球面収差誤差信号SAESのオフセットを軽減する。このとき、前記実施の形態1における第1の偏光ホログラム素子2の直線D1及び分割直線D7、並びに円弧E1・E2で囲まれる面積と、本実施の形態の第1の偏光ホログラム素子32の直線D1及び分割直線D8・D9・D11・D12並びに円弧E1・E2で囲まれる面積とが等しくなるように、光軸OZとの距離h4を決めることによって、第1の偏光ホログラム素子32において、第1の偏光ホログラム素子2と同様の効果を最も得ることができる。
図23は、上述の条件で、分割直線と光軸OZとの距離h4の長さを設定したとき(光軸OZとの距離h4=0.21r)の図20のホログラム素子形状を用いた場合に、カバーガラスの厚さ変化が生じたときの球面収差誤差信号SAESを示している。横軸はカバーガラス6aの厚さ変化、縦軸は回転調整後の球面収差誤差信号SAESである。また、第2の偏光ホログラム素子12との間に、軸方向ずれが0.2 mm生じ、回転調整を行ったときの球面収差誤差信号SAESを示す。+0.2 mmのグラフは第2の偏光ホログラム素子12と光検出器37との間が0.2 mm離れる方向にずれたこと、−0.2 mmのグラフは第1の偏光ホログラム素子32と光検出器7との間が0.2 mm狭まる方向にずれたことを示している。回転調整を行っても球面収差誤差信号SAESにオフセットが発生しない効果を確認した。
また、実施の形態1と同様の効果であるトラッキング制御が行われても、常に精度よく球面収差を検出し、補正することができるという効果と、光ビーム分離手段から光検出器までの間の光軸方向のずれを光ビーム分離手段を回転し調整する際の、焦点誤差信号と球面収差誤差信号の調整量のずれを軽減する効果とが得られる。
本発明は、集光光学系において発生する収差を検出するための収差検出装置及び光ピックアップ装置に適用することができる。
1 半導体レーザ(光源)
2 第1の偏光ホログラム素子(光ビーム分離手段)
3 コリメートレンズ
4 対物レンズ(集光光学系)
6 光ディスク(光記録媒体)
6a カバーガラス
7 光検出器(球面収差検出手段)
10 光ピックアップ装置
11 光ビーム
12 第2の偏光ホログラム素子
20 光集積ユニット
30 光ピックアップ装置
32 第1の偏光ホログラム素子(光ビーム分離手段)
37 光検出器
40 光集積ユニット
D1 光軸を含むラジアル方向の直線
D2〜D12 分割直線
E1〜E4 円弧(分割線)
FES 焦点(フォーカス)誤差信号
M 不要反射光
OZ 光軸
SAES 球面収差誤差信号
SP1〜SP3 集光スポット
2 第1の偏光ホログラム素子(光ビーム分離手段)
3 コリメートレンズ
4 対物レンズ(集光光学系)
6 光ディスク(光記録媒体)
6a カバーガラス
7 光検出器(球面収差検出手段)
10 光ピックアップ装置
11 光ビーム
12 第2の偏光ホログラム素子
20 光集積ユニット
30 光ピックアップ装置
32 第1の偏光ホログラム素子(光ビーム分離手段)
37 光検出器
40 光集積ユニット
D1 光軸を含むラジアル方向の直線
D2〜D12 分割直線
E1〜E4 円弧(分割線)
FES 焦点(フォーカス)誤差信号
M 不要反射光
OZ 光軸
SAES 球面収差誤差信号
SP1〜SP3 集光スポット
Claims (2)
- 集光光学系を通過した光ビームを、該光ビームの光軸を含む第1光ビームと、上記光軸から見て上記第1光ビームよりも外側の第2光ビームとに分離する分離手段と、上記分離手段によって分離された光ビームの検出手段での照射位置に基づいて、上記集光光学系の球面収差を検出する球面収差検出手段とを備えている収差検出装置において、
上記光軸と第2光ビームの上記検出手段での照射位置との最短距離が、複数の情報記録層を持つ光記録媒体の非再生層から生じる不要反射光の照射半径よりも長くなるように設定されていると共に、
上記球面収差検出手段は、第2光ビームの焦点位置を示す信号をもとに球面収差誤差信号を生成することを特徴とする収差検出装置。 - 前記球面収差検出手段は、第2光ビームの焦点位置を示す信号と、信号量を調整した焦点誤差信号とにより球面収差誤差信号を生成することを特徴とする請求項1記載の収差検出装置。
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JP2006209170A JP2006324001A (ja) | 2005-03-17 | 2006-07-31 | 収差検出装置及びそれを備えた光ピックアップ装置 |
Applications Claiming Priority (2)
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JP2005077962 | 2005-03-17 | ||
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US20210382173A1 (en) * | 2020-06-05 | 2021-12-09 | Honeywell International Inc. | Dual-optical displacement sensor alignment using knife edges |
-
2006
- 2006-07-31 JP JP2006209170A patent/JP2006324001A/ja active Pending
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---|---|---|---|---|
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