JP2006323796A - システムの最適制御方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】エネルギ回生機能を有するシステムのエネルギ回生効果は、評価関数が2次形式でなくなるため、従来の最適制御理論を用いて最適制御則を求めることができなかった.またエネルギ回生評価項と性能評価項からなる評価関数を最小化するという認識がなかったため、制御則の導出は試行錯誤的に行われており、改善が望まれていた.
【解決手段】システムの方程式の一般解を部分積分し,その残余項をテイラー展開して1次近似する方法を用いて制御則を求め,これとReceding Horizon制御を組み合わせる方法を,エネルギ回生機能付きシステムの最適制御に適用し、従来の状態量フィードバック制御より優れた効果が得られることを明らかにした.
【選択図】 図5

Description

本発明は、エネルギ回生機能付きシステムの最適制御方法に関する.
地球環境問題や省エネルギへの対応等から,機械力学系の制御システムにおいてもアクチュエータの電動化が多方面で進んでいる.アクチュエータを電動化することによりエネルギ供給側と負荷側の間で双方向にエネルギ移動させることが容易になり,これを効率的にバッテリーに蓄えるための付加回路を設ければ,エネルギ回生が可能になる.このようなエネルギ回生機能を有する制御システムの研究も行われている(例えば非特許文献1参照).しかしこのようなシステムの制御方法に関する理論体系がなく、試行錯誤的に制御開発が行われているのが実情である.
一方、システムの制御理論には、特定の目的を達成するために定めた評価関数を最小にする最適制御理論の体系があるが、最適制御則が解析的に求まり設計手法が確立しているのは、評価関数が次のような2次形式の場合である(例えば非特許文献2参照).
Figure 2006323796
しかし、上記のエネルギ回生機能を有する制御システムの場合は、次の
発明が解決しようとする課題
に記すようにエネルギ評価項がuRxの形になり、この項はuとxの相乗積となって2次形式にならないため、従来の最適制御理論から最適制御則を導くことができないのでまずこのことを説明する.従来の最適制御理論に従い、ハミルトニアンHを次のように置く.
H=xQx+uRx+λ(Ax+Bu) (2)
ここでλは未定乗数ベクトルである.さらに従来の最適制御理論に従い、次の連立微分方程式よりuとλを求めることを試みる.
Figure 2006323796
従来の最適制御理論に従えば、式(3)からuを求めることになるが、式(3)からはuが出てこないので求まらない.また式(4)にはuが含まれるがλの微分方程式を解かなければ求まらず、従来手法で解析解を求めることができない.このように、エネルギ回生機能付きシステムの制御については、制御設計の理論的な見通しがないため、個別制御対象毎に試行錯誤的な制御開発が行われているのが実情である.
本発明では,このようにエネルギ回生を考慮したエネルギ評価項を持つ評価関数を最小化する問題に対して、常微分方程式の近似解法を用いた最適化手法を適用して準最適制御則を求める手法を明らかにする.これにより、従来の最適制御理論では解析解を求めることができない問題に対し、近似解ながら最適解に近い準最適制御則を得ることを可能にした.
末松啓吾,須田義大,中野公彦,椎葉太一,自動車における電磁サスペンションの研究,自動車技術会学術講演会前刷集,No.4−00(2000),1−4. 野波健蔵編著,MATLABによる制御系設計,東京電機大学出版局P50
まずエネルギ回生機構の有り無しについての構成例を説明する.
エネルギ回生機能の無い制御システムの例として一般的な油圧制御系の構成例を図1に示す.ポンプaから送られた作動油は,図のように圧力制御バルブbと切り替えバルブcを介して油圧シリンダdに導かれ,ロッドeの先に繋がれた負荷を制御する.圧力制御バルブbは制御指令値に応じて調圧する.図の断面A,Bでの単位時間当たりのエネルギフローをE,Eとするとこれらの概略図も示している.ここで,ロッドの速度をx,伝達力をF,ポンプ吐出圧をP,流量をQとすると,E=F,E=PQである.負荷はばね要素としこの負荷を正弦波状に駆動している状況を想定する.断面Aではエネルギは双方向に移動するが,断面Bのエネルギフローはポンプから圧力制御バルブへ一方向であり,E−Eが制御系の単位時間当たりの損失エネルギになる.
エネルギ回生機能付きの制御系としては,例えば可逆チョッパ回路を設けたものの開発事例が報告されている(例えば非特許文献3参照).図2は,可逆チョッパ回路14を双方向ポンプ11のモータ駆動回路に適用した場合の構成例を示す.油圧シリンダdをポンプ11で直接駆動しポンプ11は誘導モータ12で回される.誘導モータはインバータ13の3相出力で駆動され,この3相出力は制御指令値によって制御される.バッテリー15とインバータ13の間には可逆チョッパ回路14が設けられモータ駆動時にはバッテリー電圧を昇圧し,回生時にはモータからの電圧を調整しモータ電圧がバッテリー電圧を下回っても回生可能にする.図1と同様にして断面A,Bでの単位時間当たりのエネルギフローをE,Eとしこれらの概略図も示した.負荷とその駆動条件も図1と同じとすると,断面Aは図1と同様でありエネルギは双方向に移動する.断面Bにおいても上記可逆チョッパ回路14により,エネルギフローは双方向になり,エネルギ回生が可能になる.この場合もE−Eがこの系の損失エネルギーであるがこの値は図1に比べて低減される.
従来の制御理論では,暗黙のうちに図1のようなエネルギ回生のないシステムを想定しており,エネルギ評価式として制御指令値の自乗を採用していた.合理的に設計されたエネルギ回生機能を有する制御システムでは,負荷との間で伝達−回生されるエネルギEとバッテリーのエネルギ収支Eとはほぼ同じ波形になる.厳密には,E=E+E,ここでEは損失エネルギであるが,abs(E)≪abs(E).abs(E)と仮定できる.よって,エネルギの評価は次式を用いる.
Figure 2006323796
システムの状態量をx,制御をuとすると,EはuRxのように一般化できる.Rはアクチュエータ配置によって決まる定数マトリックスであり,これに重みの意味を含めれば最適制御のための評価関数は次のように表される.
Figure 2006323796
この場合は、
で述べたように、式(3)(4)を適用した最適制御理論により最適制御則を求めることができないため、試行錯誤的アプローチによる制御則の導出が行われている.エネルギ回生と制御効果の高いレベルでの両立のためには、式(6)を最小にする最適制御則の導出手法が望まれる.
最小化すべき評価関数を次式のようにReceding Horizon形式即ち時間軸を移動する有限評価区間で定義する.
Figure 2006323796
ここで,L(τ)は式(1)の被積分関数のtを仮想時間τに置き換えた関数であり,次式で与えられる.
Figure 2006323796
ここでQは対称正定マトリックス,Rは定数マトリックスである.
式(7)を最小化する制御u(τ)を求めることが最適制御問題になる.これは現在の状態x(t)を初期値としてTだけ未来までの最適制御を求める問題であるから最適制御はuopt(τ,x(t))と表わすことができる.τは仮想時間であり,これをゼロに近い適当な数値αで固定し実時間上の最適状態フィードバック制御uopt(α,x(t))を得る.
式(7),(8)の評価関数を最小化するための準最適制御則を導く.ここで準最適制御則とは,最適制御則との誤差が少なく実用上は最適制御則と同等という意味である.
非特許文献4に示されている常微分方程式の近似解法を、次のシステムの状態方程式、
Figure 2006323796
に適用すると,近似解x(右肩の*印は近似解であることを示す)は次式で表される.
Figure 2006323796
ここで,D(t)=eAt(x+A−1Bu),E,G,Hは定数ベクトルである.この近似解を用いることで比較的容易に準最適制御則を求めることができるが,この手法は,厳密解の一部を1次近似しているため,このままでは評価区間が長い最適制御問題に対しては誤差が大きくなる傾向にある.この問題を解消するためReceding Horizon制御を併用している.
初期値がx(t)であることを考慮すると,式(10)の近似解はReceding Horizon制御では次式のようにかける.
(τ,x(t))=D(τ,x(t))+Eu(τ)+Gτ+H (11)
ここで,D(τ,x(t))=eAτ(x(t)+A−1Bu)である.
式(8)のxをxに置き換えた関数をL (τ)とし、L (τ)を式(7)のL(τ)と置き換えた関数をJ とする.J を最小にする条件は良く知られたオイラーの方程式であるが,この場合は代数方程式になる.これより容易に準最適制御則u opt(τ,x(t))を求めることができる.
Figure 2006323796
また未定定数ベクトルG,Hや,未定定数マトリックスEは境界条件や合理的な仮定から決定することができる.
次に、車両のアクティブサスペンションのモデルを用いて具体的な数値例で説明する.アクティブサスペンションの一輪モデルを図3に示す.
ここで、ばね下(車輪)質量M:55Kg,ばね上(車体)質量M:500Kg,ダンパの減衰定数C:1200Nsec/m,タイヤばね定数K:200000N/m,サスペンションばね定数K:18000N/mである.uは制御入力を表わし、これを受けてアクチュエータにより発生力uが生ずる.zは路面の変位、zはばね下の変位、zはばね上の変位である.
Figure 2006323796
ここで,
31=−(K+K)/M,a32=K/M,a33=−C/M,a34=C/M
41=K/M,a42=−K/M,a43=C/M,a44=−C/M
=−1/M,b=1/M
である
一般に車両の振動乗り心地はばね上振動で評価され,タイヤと路面の接地性はばね下振動で評価されるため式(8)のLを次式で定義する.
Figure 2006323796
ここで,R,Rは重み定数である.
評価関数は式(14)を式(7)に代入したものになる.
で述べた手順に従って準最適制御則を導く.式(13)を式(11)に代入し,式(11)の第3,4番目の要素を式(14)のx,xに代入し,これをL (τ,x(t))とすると,
Figure 2006323796
ここで,d(τ,x(t)),e,g,hとd(τ,x(t)),e,g,hは各々式(11)のベクトルD,E,G,Hの3,4番目の要素である.
準最適制御則u opt(τ,x(t))は,式(15)にオイラーの方程式である式(12)を適用することにより以下のように求まる.
Figure 2006323796
ここで,e=2(e +Re+R −Re)である.e,g,hとe,g,hは未定定数であるため,これらを境界条件や合理的に導かれた条件から求める.
まず,hとhについては実制御時間を通して一定値とすると制御則にシステム状態に関係しないバイアスがかかることになって不合理であり,
=kx(t)
=kx(t) (17)
とするのが適切である.kの求め方については,後述する.
,gについては,式(16)の右辺〔 〕内の第3項より明らかなようにτの係数を構成しているだけであるから,これらをまとめてgとおく.
g=2e+Rg+2R−Rg (18)
最適性原理から終端条件u opt(T,x(t))=0が導かれる.よって,
Figure 2006323796
式(18)(19)を式(16)へ代入して,
Figure 2006323796
(O,x(t))=x(t),d(O,x(t))=x(t)に留意すれば,
Figure 2006323796
となる.
式(11)よりパラメータe,eはuのx,xへの影響を表していることがわかる.この影響
Figure 2006323796
ようになる.
Figure 2006323796
式(20)は仮想時間軸上での最適制御則であるが,τを適当な数値αで固定すれば実時間軸上の制御則u opt(t)が得られる.
Figure 2006323796
αは,実装を想定した場合のコントローラの制御周期程度に選ぶ.ここではα=0.01secとした.Tはシステムの時定数程度に選び,T=0.3secとした.
最終的な未定定数kとeは,式(24)を用いた制御シミュレーションにより評価関数を最小にする値を探索的に求める.未定定数を決めた後,性能評価を行う.
北野英司,沖良二,佐藤栄次,岡村賢樹,HEV用昇圧コンバータ内蔵パワーコントロールユニットの開発,自動車技術会学術講演会前刷集,No.77−04(2004),5−8 福島直人,変分法をベースとした最適制御問題の近似解法,第1報,日本機械学会論文集(C編)Vol.70,No.700(2004),72−77
シミュレーションはMATLAB/SIMULINKで行い,ライブラリーで用意されている白色ノイズ発生器を用いて路面入力を設定した.一般的な路面入力は速度スペクトルがほぼ一定であること
Figure 2006323796
路走行相当(ISO/TC108/クラスC)を60Km/hでの走行相当になるように設定した.
車両運動については,10−4secの固定ステップで2sec間のシミュレーションを行い,データは10−2secのサンプリングで収集・分析した.
路面入力を考慮し,システム状態方程式(9)を次のように変更した.
Figure 2006323796
則への影響はない.
シミュレーションの評価関数は次式とし,重みRは,ばね下質量の制振が従来車両と同程度になるようにR=5×10−3とし,Rについては振動の評価R +x と回生分の評価Ru(x−x)が同程度になるようにR=10−5とした.
Figure 2006323796
上記シミュレーション条件において,Jを最小にするkとeを探索的に求めた結果を図4に示す.
これより最適値は,k=10,e=2.3×10−4であることがわかる.
シミュレーション結果を図5〜10に示す.制御の代表例として本制御以外にパッシブダンパ制御とスカイフックダンパ制御を選び,制御則をそれぞれ,u=−1200(x−x),u=−9300x(t)とした.パッシブダンパ制御は図3のパッシブダンパCと同等の機能を制御で出すものである.スカイフックダンパ制御は、例えば非特許文献5に示されているように車体の上下振動速度に比例した制御を行うもので簡易な制御即ながら効果が大きいため広く実用化されている.本制御とパッシブダンパ制御では,現行のダンパが不要であるため C=0とした.スカイフックダンパ制御の場合はばね下振動を押さえる機能がないためダンパが必要である.したがって,制御なしとスカイフックダンパ制御ではC=1200Nsec/mのダンパを設定した.
前記評価関数Jを振動に関する部分Jとエネルギに関する部分Jに分離して比較した.
Figure 2006323796
図5は制御なし,パッシブダンパ制御,スカイフックダンパ制御と本制御についてJ,Jの比較を行ったものである.
式(28)から明らかなように,Jが負の場合は回生されたエネルギを,正の場合は車両側に伝達されたエネルギを示す.振動はスカイフックダンパで大きく改善され,本制御ではさらに改善されていることがわかる.エネルギ回生については,スカイフックダンパではJが正の値であり回生ができていないが,パッシブダンパ制御と本制御では同等のエネルギ回生ができていることがわかる.従って,本制御ではスカイフックダンパ以上の振動制御効果を達成しながら,従来車両のダンパで発生させていたのと同等のエネルギを回生させることができることが明らかである.このような制御則を従来の制御理論から導出することは困難であるが,本手法のステップを踏めば比較的容易に求めることができる.
制御システムと回生装置の効率を100%とすれば,今回の極良路60Km/h一定走行のケースでは,エネルギ回生値は2sec間で16.8J(ジュール)である.回生電力としては1輪当り8.4W,4輪では33.6Wになる.
図6はパッシブダンパ制御についての単位時間当たりのエネルギの流れu(x−x)のシミュレーション結果を示す.uの定義から明らかであるがグラフの時間積分値は現行ダンパで発生する熱量と同等である.
図7はスカイフックダンパ制御についての単位時間当たりのエネルギの流れu(x−x)のシミュレーション結果を示す.図5のJは正値でありエネルギ回生はできないことを示しているが,図7より,エネルギ回生機能があればスカイフックダンパでも部分的な時間帯ではエネルギの回収ができていることがわかる.従ってエネルギ回生機能により全時間帯の平均的なエネルギ消費は低減できている.
図8は本制御についての単位時間当たりのエネルギの流れu(x−x)のシミュレーション結果を示す.大半の時間帯でu(x−x)は負の値を示しており,図5と併せて見ると,本制御則はばね上とばね下の振動をよく抑えながらエネルギ回生を効果的に行っていることがわかる.本制御則は,最適制御であることを保障しているわけではないが,図5,8の結果から,エネルギ回生機能を有するシステムの制御法として優れていることがわかる.
車両の振動乗り心地性能とタイヤ接地性能はそれぞれ,ばね上,ばね下の振動加速度のPSDで評価されることが多いため,本論文でもPSDの比較評価を行う.
図9はばね上振動のPSDの比較である.スカイフックダンパ制御は1Hz付近のばね上共振をよく抑えているが,本制御はさらに制振効果が大きい.本制御は8Hz付近で振動の増加が見られるが,これはばね上制振とのトレードオフの関係にあり重みR,Rによって調整することができる.
図10は,ばね下振動のPSDの比較である.単純に考えて,図3で車体を固定した1自由度系がランダム振動入力を受けている場合を想定すると,路面の接地荷重変動は,ほぼばね下振動加速度で評価できることがわかる.またばね下振動は,ばね下共振周波数(9.6Hz)で顕著なピークをもつので,振動の大きさはばね下共振周波数(9.6Hz)周りの適当な帯域幅の平均振動レベルで評価できる.5−15Hzの平均的な振動レベルを見ると,制御なし,本制御,スカイフックともほぼ同等であるため,本制御のタイヤ接地性への悪影響は少ないものと考えられる.
次に、本手法の準最適制御則が厳密な最適制御則にどの程度接近しているかを確認しておく.今回扱った最適制御問題は下記に示すようにハミルトニアンHはuの1次項しか持たないため∂H/∂uからuを導くことができず,変分法から厳密解を求めることができない.このため,論文(4)のように厳密解と比較して誤差が少ないことを保証するといったアプローチがとれず,代案として最適であることの条件から本手法の制御則がどの程度ズレているかを調べるという方法により検証する.
まずハミルトニアンHを次のように置く.
H(x,u,λ,t)=R +x +Ru(x−x)+λ(Ax+Bu) (29)
ここでA,Bは式(9),(13)に記したマトリクスとベクトル,λは未定乗数ベクトルである.変分法に従うと,制御が最適であるなら次の式(30),(31)を満たすことになる.
Figure 2006323796
式(29),(31)より,次式が得られる.
Figure 2006323796
本手法の制御則が最適制御に近いことを示すには,次の2段階のステップを踏めばよい.
▲1▼本手法の制御則u optを用いたシミュレーションにより得られるx,xの各時刻歴データを用いて,微分方程式(32)〜(35)よりλ〜λを計算する.
▲2▼次に,上記で得られたλ,λを用いて次式を計算する.
Figure 2006323796
この値がゼロになっていれば,結果的に本手法の制御則u optは最適制御になっているとみなすことができる.あるいはゼロにならなくても,同様にして求めたスカイフックダンパ制御とパッシブダンパ制御の場合の∂H/∂uの値と比べてゼロに近ければ,u optは準最適制御とみなすことができる.
結果を図11に示す.スカイフックダンパ制御とパッシブダンパ制御の場合の∂H/∂uの値は急激に発散していくのに対して,本制御則u optは発散の傾向はわずかであり,他の2つに比べ微小値を維持していることがわかる.
以上から,本制御則u optは厳密な最適制御に極めて近いこと確認できた.
福島直人他,油圧アクティブサスペンションによる車両の振動制御,日本機械学会論文集(C編),Vol.57,No.535(1991),76−80
発明を実施するための形態
以下に、本発明を実施するための最良の形態を図面に基づいて説明する.
図12にアクティブサスペンションの構造図を示す.アクチュエータは車輪1と車体2との間に設置された油圧シリンダ3とピストンロッド4とアキュームレータ5で構成されている.センサは,上下Gセンサ6,7とストロークセンサ8とサスペンション伝達力センサ9で構成され,これらの信号により制御回路10により制御信号を発生させている.
双方向ポンプ11は誘導モータ12で回される.誘導モータ12が右回転する場合はポンプ11からシリンダ3の上室に作動油が送られ、左回転する場合は下室に作動油が送られる.誘導モータはインバータ13の3相出力で駆動され,この3相出力は制御指令値によって制御される.バッテリー15とインバータ13の間には可逆チョッパ回路14が設けられモータ駆動時にはバッテリー電圧を昇圧し,充電時にはモータからの電圧を調整しモータ電圧がバッテリー電圧を下回っても回生可能にする.
他の車輪も同様の構成である.
次に、制御回路10について説明する.図13はセンサと制御回路10のブロック線図を示す.ばね上上下Gセンサ6、ばね下上下Gセンサ7、サスペンション伝達力センサ9、サスペンション変位センサ8からの信号が、制御回路10に伝送される.ばね上速度
Figure 2006323796
制御則演算部20は、モータ制御部と回生制御部からなる.モータ制御部は上記ばね上速度
Figure 2006323796
により準最適制御則u optを演算し出力する.u optの+−符号に応じてモータの回転方向を変え大きさに応じてモータの電流を変えれば、制御指令値に応じて力を発生させる制御系が実現でき
Figure 2006323796
最適制御則u optとからモータ駆動時か回生時かを判断し、モータ駆動時にはバッテリー電圧を昇圧し,回生時にはモータ電圧を昇圧する指令値uを出力する.
従来のアクティブサスペンションは走行中は常にエネルギを消費する構造になっていたため、適用できる車両は大型高級乗用車に限られていたが、エネルギ回生機能付きシステムを採用し本発明の制御を行えば、エネルギを効果的に回生でき車両燃費も改善できるため。適用できる車両が大幅に広がる.
従来のエネルギ回生機能のない制御装置の例を示す図である. エネルギ回生機能のある制御装置の構成例を示す図である. アクティブサスペンションのモデルを示す図である. 本制御則のパラメータk,eと評価関数との関係を示す図である. 本制御則と従来制御則との制御性能を比較した図である. パッシブダンパ制御についての単位時間当たりのエネルギの流れを示す図である. スカイフックダンパ制御についての単位時間当たりのエネルギの流れを示す図である. 本制御についての単位時間当たりのエネルギの流れを示す図である. ばね上振動のパワースペクトル密度について各制御の比較図である. ばね下振動のパワースペクトル密度について各制御の比較図である. 本制御が最適制御であることを検証した図である. 本手法をアクティブサスペンションに適用した場合の構成図である. 本手法をアクティブサスペンションに適用した場合の制御系のブロック図である.
符号の説明
1 車輪(ばね下質量)
2 車体(ばね上質量)
3 油圧シリンダ
4 ピストンロッド
5 アキュームレータ
6 上下Gセンサ(ばね上用)
7 上下Gセンサ(ばね下用)
8 サスペンション変位センサ
9 サスペンション伝達力センサ
10 制御回路
11 双方向ポンプ
12 誘導モータ
13 インバータ
14 可変チョッパ回路
15 バッテリ
20 制御則演算部
21 ばね上速度演算部
22 ばね下速度演算部
23 タイヤ変位演算部

Claims (6)

  1. システムの最適制御において、評価関数の被積分関数L(t)を制御性能評価項とエネルギ評価項の和の形で記述し、エネルギ評価項をシステムの状態ベクトルをx、制御入力ベクトルをu、重みマトリックスRとしたときuとxの相乗積uRx(右肩の添え字のTは転置ベクトルを表す)で表すことを特徴とし、このような評価関数を最小化する制御方法.
  2. 請求項1において、最小化すべき評価関数を次のようにReceding Horizon形式即ち時間軸を移動する有限評価区間で定義する.
    Figure 2006323796
    時間τ(t≦τ≦t+T)で置き換えた関数である.同様に、システムを状態方程式、
    Figure 2006323796
    トル、u(τ)はr次元制御ベクトル)で表し、この状態方程式の一般解を部分積分し、その残余積分項をテイラー展開して1次近似することでx(τ)をu(τ)の関数とした近似解を求め、この近似解を前記被積分関数Lに代入して得られた関数L (u)を最小にする条件dL (u)/du=0より制御則u opt(t)を得ることを特徴とする準最適制御方法.
  3. 請求項2において、制御ベクトルu(t)が、ベクトルeATx(t)の少なくとも一部要素を含むことを特徴とする制御方法.
  4. 請求項3において、システムの固有値σ+jωのうちωの最小値をωminとすると0<T≦2/ωminの範囲に時間Tを設定したことを特徴とする最適制御方法.
  5. 請求項2において、制御ベクトルu(t)が、ベクトルeAαx(t)の少なくとも一部要素を含むことを特徴とする制御方法.ただし、定数αは本制御を行う制御装置の制御周期程度とする.
  6. 請求項1において、制御装置を誘導モータとインバータと可逆チョッパ回路とこれらを制御する制御回路による構成としたことを特徴とする最適制御方法.
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