JP2006323738A - コミュニティ参加者の貢献度評価用プログラム、電子コミュニケーションシステム - Google Patents
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Abstract
【課題】コミュニティへの各参加者のコミュニティに対する貢献度評価をより適切に行う。
【解決手段】メッセージ履歴管理部22は、参加者によるコミュニティへのメッセージ投入による発言を検出すると、メッセージID、発言者ID、発言日時を含む履歴情報を生成し、履歴情報記憶部25に逐次記録する。貢献度算出処理部23は、議論に偏りなく参加しているか、質問等に迅速に対応しているか、メッセージ投入により議論が活発になったかどうか等、履歴情報の発言日時等を参照に、各切り口から各参加者の評価値をそれぞれ算出する。そして、各評価値から各参加者のコミュニティに対する総合的な貢献度を算出する。
【選択図】図1
【解決手段】メッセージ履歴管理部22は、参加者によるコミュニティへのメッセージ投入による発言を検出すると、メッセージID、発言者ID、発言日時を含む履歴情報を生成し、履歴情報記憶部25に逐次記録する。貢献度算出処理部23は、議論に偏りなく参加しているか、質問等に迅速に対応しているか、メッセージ投入により議論が活発になったかどうか等、履歴情報の発言日時等を参照に、各切り口から各参加者の評価値をそれぞれ算出する。そして、各評価値から各参加者のコミュニティに対する総合的な貢献度を算出する。
【選択図】図1
Description
本発明は、ネットワーク上に仮想的なコミュニティが提供された電子コミュニケーションシステムにおいてコミュニティへの各参加者の貢献度の評価に関する。
企業などで行われる会議等での議論では、発言や提案内容等によって会議の参加者を評価する場合がある。結論を導出することを目的として会議を行う場合、その会議の場で結論を導出した人が評価の対象になりがちで、会議に参加して結論の導出に貢献した人や有効な情報を提供した人などへの貢献度合は評価されにくい。
ところで、現在では、電子掲示板、ブログ、メッセンジャーなどのコミュニティツールを利用してネットワーク上の仮想的なコミュニケーションを行う場において議論や情報交換を行うことは、一般的である。なお、コミュニティツールが形成する仮想的なコミュニケーションを行う場のことを、以降の説明では「コミュニティ」と称することにする。コミュニティツールを利用した議論では、有効な情報の提供者等への貢献度合を適切に評価できなければ、積極的に参加する人が少なくなり、結果として議論が盛り上がらず、議論の目的が達成できないような場合がしばしば見受けられる。従って、議論において結論を導出した人以外の人に対する貢献度をも適切に評価できるシステムを構築して、議論に参加した人のモチベーションを高めることが必要である。
例えば、会議等への参加者に対する評価を行えるシステムとして、従来においては、知識の普及、組織間の影響度評価等の目的のために、特定のトピックに関連するメッセージ数、組織間コミュニケーションの内容(出現単語)を評価対象として参加者を評価する技術がある(例えば特許文献1,2)。また、人選の支援の目的のために、メール送信相手とその回数、あるいは返信した/受けた相手数、投稿メッセージの総量(長さ)等からコミュニティやプロジェクトにおける参加者の役割を推定する技術がある(例えば特許文献3,4)。
確かに、前述した各従来技術を利用することで、議論参加者への貢献度を評価することは可能かもしれない。しかしながら、いずれの従来技術も送信したメッセージ数やメッセージ量など数量を基準とした評価しか行えない。
例えば、発言の数が同程度でも、最初から最後までコンスタントに発言をし、最後まで議論に加わっていた人の方が、開始直後に一時的に多くの発言をしたものの議論の後半では何も発言しない人より貢献度は大きいと考えられる。また、同じ1回の発言でも、意見が求められてから迅速に返信をした人の方が、しばらく時間が空いてから返信をする人より議論の進行、円滑化等の点で貢献度は大きいと考えられる。
また、自らした発言前後のメッセージ頻度を比較することによりその発言が議論に与えた影響度を計ることができると考えられるが、自らした発言によってその発言後から一定期間内におけるメッセージの数が増えれば、議論の活発化等の点で貢献度は大きいと考えられる。
このように、議論への参加タイミングや自らした発言前後の一定期間内におけるメッセージの増減等、時間という要素を加味して貢献度を評価することは好ましいと考えられる。しかしながら、従来においては、前述したように数量を基準とした貢献度評価しか行えなかったため、各参加者の発言タイミングの異同に関係なく同様の貢献度として評価することしかできなかった。
本発明は、以上のような課題を解決するためになされたものであり、その目的は、コミュニティへの各参加者のコミュニティに対する貢献度評価をより適切に行うことのできるコミュニティ参加者の貢献度評価用プログラム及び電子コミュニケーションシステムを提供することにある。
以上のような目的を達成するために、本発明に係るコミュニティ参加者の貢献度評価用プログラムは、ネットワーク上に設けられた仮想的なコミュニティにおいて交換されるメッセージを管理するコンピュータを、コミュニティへの各書込みメッセージの発信者及び発信日時情報を少なくとも含む履歴情報を履歴情報記憶手段に記録するメッセージ履歴管理手段、前記履歴情報記憶手段に蓄積されている履歴情報を読み出し、各コミュニティ参加者のメッセージ書込みタイミングを解析することによって各コミュニティ参加者のコミュニティに対する貢献度を算出する貢献度算出処理手段として機能させる。
また、前記貢献度算出処理手段は、各コミュニティ参加者のコミュニティへの参加期間長又はメッセージ書込みの時間間隔の少なくとも一方を解析することによって各コミュニティ参加者の貢献度を算出することを特徴とする。
また、前記貢献度算出処理手段は、一メッセージの書込み前後の各時間当たりの書込みメッセージ数を比較することで、当該メッセージの書込みをした各コミュニティ参加者の貢献度を算出することを特徴とする。
また、前記メッセージ履歴管理手段は、書き込まれる各メッセージの他のメッセージとの関連情報を更に履歴情報に含め、前記貢献度算出処理手段は、メッセージに対する各コミュニティ参加者の返信メッセージの応答時間を解析することで、各コミュニティ参加者の貢献度を算出することを特徴とする。
本発明に係る電子コミュニケーションシステムは、ネットワーク上に仮想的なコミュニティが提供された電子コミュニケーションシステムにおいて、コミュニティへの各書込みメッセージの発信者及び発信日時情報を少なくとも含む履歴情報を保持する履歴情報記憶手段と、コミュニティ参加者によりメッセージが書き込まれたときに当該メッセージの履歴情報を履歴情報記憶手段に記録するメッセージ履歴管理手段と、前記履歴情報記憶手段に蓄積されている履歴情報を読み出し、各コミュニティ参加者のメッセージ書込みタイミングを解析することによって各コミュニティ参加者のコミュニティに対する貢献度を算出する貢献度算出処理手段とを有することを特徴とする。
また、各コミュニティ参加者の個人情報を記憶する参加者情報記憶手段と、前記貢献度算出処理手段が算出した各コミュニティ参加者の貢献度に、前記参加者情報記憶手段から読み出した参加者の個人情報を対応付けして出力する情報出力処理手段とを有することを特徴とする。
また、前記メッセージ履歴管理手段は、各メッセージをタスクという情報共有単位で管理する場合、各メッセージが関連するタスクを特定する情報を更に履歴情報に含め、前記履歴情報記憶手段に蓄積されている履歴情報を読み出し、各タスクと、前記貢献度算出処理手段が算出した各コミュニティ参加者のタスク毎の貢献度との関係を出力する情報出力処理手段を有することを特徴とする。
また、前記情報出力処理手段は、各コミュニティ参加者の貢献度によって表示形態を異ならせて出力することを特徴とする。
本発明によれば、メッセージの書込みタイミングを解析することによって時間に関連した指標を加味して各参加者のコミュニティに対する貢献度を求めるようにしたので、コミュニティへの各参加者の貢献度をより精度よく算出することができる。これにより、コミュニティにおいて結論を導出していない参加者に対してもコミュニティに対する貢献度をより適切かつ公平に評価することができる。
以下、図面に基づいて、本発明の好適な実施の形態について説明する。
図1は、本発明に係る電子コミュニケーションシステムの一実施の形態を示した全体構成図である。電子コミュニケーションシステムは、クライアントユーザのためにネットワーク上に仮想的なコミュニケーションを行うための場を提供する。図1には、クライアントユーザが使用するクライアント端末10と、クライアントユーザにコミュニティを提供するサーバ20と、各コンピュータ10,20が接続されるインターネット2が示されている。インターネット2には、複数台のクライアント端末10が接続されているが、各端末共に同様の構成で実現可能であるため図1には便宜的に1台のみ図示した。なお、クライアント端末10は、本発明を実施する上で既存のクライアントコンピュータをそのまま利用することができる。
現在では、電子メール、チャット、メッセンジャー、電子掲示板、ブログ等のコミュニティツール、更にはこれらのツールを統合したコミュニティツールが存在するが、本発明は、メッセージの交換を行うツールであれば、いずれにも適用することができる。コミュニティツールは、一般に、ネットワーク上の仮想的なコミュニケーションの場として、スレッドや議論、目的等毎に「タスクプレース」を形成して提供し、各タスクプレースにおいて、共通の議題、目的等について議論が行われる。スレッドや議論などは、それぞれの内容によって分別される情報共有単位(すなわちタスクプレース)に保持管理されるが、このスレッドや議論などのことを「タスク」と称している。コミュニティには、1乃至複数のタスクプレースが含まれる。本実施の形態では、コミュニティツールとして電子掲示板を利用する場合を想定して説明する。
クライアント端末10は、いずれかのコミュニティツールを実行するためのクライアント用コミュニティツール実行部12を有している。クライアント用コミュニティツール実行部12は、通常、ブラウザと、ブラウザを実行するCPU等のハードウェアとの協調動作により実現される。
一方、サーバ20は、提供者用コミュニティツール実行部21、メッセージ履歴管理部22、貢献度算出処理部23及び情報出力処理部24を有している。また、履歴情報記憶部25、貢献度情報記憶部26及び参加者情報記憶部27を有している。提供者用コミュニティツール実行部21は、ネットワーク上にメッセージ交換を行うための仮想的なコミュニケーションの場としてコミュニティを提供するためのツールである。図1に示した提供者用コミュニティツール実行部21には、メッセージの記憶場所等コミュニティツールの実行に必要な構成要素が全て含まれている。メッセージ履歴管理部22は、コミュニティへの各書込みメッセージの発信者及び発信日時情報を少なくとも含む履歴情報を履歴情報記憶部25に記録する。貢献度算出処理部23は、履歴情報記憶部25に蓄積されている履歴情報を読み出し、各コミュニティ参加者のメッセージ書込みタイミングを解析することによって各コミュニティ参加者のコミュニティに対する貢献度を算出する。情報出力処理部24は、詳細は後述するが、算出された貢献度等を視認可能に出力する。参加者情報記憶部27には、ユーザ名等サーバ20が提供するコミュニティに参加するクライアントユーザの個人情報が登録される。なお、履歴情報記憶部25及び貢献度情報記憶部26のデータ構成については、動作の説明時に詳述する。
提供者用コミュニティツール実行部21、メッセージ履歴管理部22、貢献度算出処理部23及び情報出力処理部24が提供する各処理機能は、サーバ20のCPUと、そのCPUで動作する本発明に係る貢献度評価用プログラムとの協調動作により実現される。また、各記憶部25〜27は、サーバ20に搭載されたHDD(ハードディスクドライブ)等の外部記憶装置で実現する。
なお、本実施の形態では、本発明に係る電子コミュニケーションシステムを実施する上で必要なソフトウェアを1台のサーバコンピュータにインストールして実行するように構成したが、例えば、コミュニティを提供するサーバ、メッセージの交換履歴を保持管理するサーバ、貢献度を算出するサーバ、あるいは情報を出力するサーバなどのように複数台のサーバコンピュータに分割してインストールし、複数台のサーバコンピュータの組合せによって構成するようにしてもよい。
また、このようなハードウェア構成に関しては、各記憶部25〜27にも当てはまり、各記憶部25〜27を必ずしもサーバ20に設ける必要はなく、1台乃至複数台のデータベースサーバにて実現するようにしてもよい。
次に、本実施の形態における動作について説明する。本実施の形態では、メッセージの履歴情報の収集処理と、収集した履歴情報等に基づき各コミュニティ参加者の貢献度を算出する処理とに大別できる。最初に、メッセージの履歴情報の収集処理について説明する。
履歴情報の収集処理は、メッセージ履歴管理部22によって実施される。すなわち、メッセージ履歴管理部22は、提供者用コミュニティツール実行部21の実行を常時監視し、各クライアント端末10からのメッセージの投入を検出する。そして、メッセージの投入によりタスクプレースへのメッセージの書込みを検出すると、メッセージ履歴管理部22は、その書き込まれたメッセージに関する情報から履歴情報を生成し、履歴情報記憶部25に逐次記録していく。なお、タスクプレースへメッセージが投入され、書き込まれることで、そのメッセージは、他のコミュニティ参加者によって参照可能となるため、メッセージの投入のことを、本実施の形態では、メッセージの交換ともいうことにする。ここで、履歴情報について図2を用いて説明する。
図2には、本実施の形態における履歴情報記憶部25に記録された履歴情報の例が示されている。各レコードは、メッセージの交換の度に生成され登録される。各履歴情報には、ID、発言者、発言日時、タイトル、発言内容及び返信元が含まれている。「ID」は、各履歴情報を識別するための識別番号である。「発言者」は、メッセージを投入したことで議論に対して発言をしたコミュニティ参加者を特定するための情報であり、各メッセージに付加された発信者情報から特定できる。「発言日時」は、メッセージが投入された日時である。「タイトル」は、タスクプレースにて議論する議題等であり、メッセージに付加された属性情報等から特定できる。「発言内容」は、メッセージの内容である。「返信元」は、当該メッセージが返信メッセージであれば返信元のメッセージのIDが記録される。返信メッセージでなければ、「なし」が記録される。これは、メッセージに付加された属性情報から特定できる。
なお、図2において先頭のレコードのみにタイトルが記録されていることから推測できるように、本実施の形態では、便宜的に、このコミュニティでは一議題のみを議論するようにした。従って、「タスクプレース」と「コミュニティ」とは、ほぼ同様の意味で用いることができる。もし、複数の議題を並行して議論するのであれば、各レコードにタスクプレースの識別情報を付加すればよい。また、「タイトル」と「発言内容」は、貢献度の算出には用いないので、属性情報に必ずしも含めておく必要はない。必要であれば、そのときに提供者用コミュニティツール実行部21から取り出せばよい。
以上のように、メッセージ履歴管理部22は、メッセージが交換されるたびに当該メッセージの履歴情報を生成して履歴情報記憶部25に記録していくことになるが、続いて、各コミュニティ参加者のコミュニティに対する貢献度の算出処理について説明する。この処理は、貢献度算出処理部23が履歴情報記憶部25から履歴情報を読み出し解析することによって実施される。
本実施の形態では、各コミュニティ参加者によるコミュニティへのメッセージの書込みタイミング、換言すると各コミュニティ参加者の発言タイミングに着目して、各コミュニティ参加者のコミュニティに対する貢献度を算出することを特徴としている。本実施の形態では、特に、「議論に偏りなく参加しているか」、「質問や意見に対して迅速に対応しているか」、そして「メッセージ投入後、議論が活発になったかどうか」、という3つの切り口から貢献度を算出することにした。以下、前述した切り口の順に各コミュニティ参加者の評価方法(貢献度の算出方法)について説明する。
まず、「議論に偏りなく参加しているか」ということであるが、「偏りなく」を判定するために、本実施の形態では、発言日時に基づいて、例えば次のような方法で算出する。
(1)初めての発言と最後の発言の日時を、議論の始まりと終わりの日時と比較する。
(2)発言の間隔のばらつきをみる。
まず、(1)について説明すると、貢献度算出処理部23は、(1)の実施の結果として図3に示したテーブルを完成させる。そのために、履歴情報記憶部25に記録された履歴情報のレコード数をコミュニティ参加者(以下、単に「参加者」)毎に求め、これを各参加者の「発言数」として設定する。また、参加者毎に、該当する履歴情報の各発言日時を参照して、議論に最初に参加した(はじめてメッセージを投入した)日時と最後に参加した(最後にメッセージを投入した)日時を取り出し、その時間差を求める。この時間差を、本実施の形態では、当該参加者が議論に参加していた時間とみなして「議論に参加した時間」に設定する。また、コミュニティの先頭(図2におけるID=1)の履歴情報及び最後(同図のID=17)に投入されたメッセージに対応する履歴情報の各発言日時を取り出し、その時間差を求める。本実施の形態では、最後のメッセージ投入日時をコミュニティの終了日時と推定して、先頭と最後の各メッセージの発言日時の差を議論全体の時間とみなす。そして、この議論全体の時間に対する各参加者の「議論に参加した時間」が占める割合を算出する。この算出結果を、当該参加者がそのコミュニティに参加していた時間とみなして「議論全体の時間に対する割合」に設定する。
(2)発言の間隔のばらつきをみる。
まず、(1)について説明すると、貢献度算出処理部23は、(1)の実施の結果として図3に示したテーブルを完成させる。そのために、履歴情報記憶部25に記録された履歴情報のレコード数をコミュニティ参加者(以下、単に「参加者」)毎に求め、これを各参加者の「発言数」として設定する。また、参加者毎に、該当する履歴情報の各発言日時を参照して、議論に最初に参加した(はじめてメッセージを投入した)日時と最後に参加した(最後にメッセージを投入した)日時を取り出し、その時間差を求める。この時間差を、本実施の形態では、当該参加者が議論に参加していた時間とみなして「議論に参加した時間」に設定する。また、コミュニティの先頭(図2におけるID=1)の履歴情報及び最後(同図のID=17)に投入されたメッセージに対応する履歴情報の各発言日時を取り出し、その時間差を求める。本実施の形態では、最後のメッセージ投入日時をコミュニティの終了日時と推定して、先頭と最後の各メッセージの発言日時の差を議論全体の時間とみなす。そして、この議論全体の時間に対する各参加者の「議論に参加した時間」が占める割合を算出する。この算出結果を、当該参加者がそのコミュニティに参加していた時間とみなして「議論全体の時間に対する割合」に設定する。
以上のようにして「議論全体の時間に対する割合」を計算すると、図3のテーブルの下側の「貢献度(評価値)の求め方」に記載したように、各参加者の「議論全体の時間に対する割合」の値に応じて貢献度を決定し、これを「貢献度(評価値)」に設定する。例えば、参加者“A”の「議論全体の時間に対する割合」は31.1%であり、20〜40%の範囲にあるので、参加者“A”の貢献度(評価値)は“2”となる。
この(1)における算出方法によって得られる結果に基づき参加者の貢献度を評価してみると、次のようなことが言える。「議論全体の時間に対する割合」に着目してみると、例えば、参加者“A”の値は31.1%なので、全体の約3分の1程度参加している。また、参加者“D”の値は0%であり、この議論に何も貢献していないと言える。これに対して、参加者“B”の値は99.9%であり、最初から最後までメッセージを投入することで議論全体を通して参加していることがわかる。このため、参加者“B”のこの議論に対する貢献度は、参加者“A”,“D”より高いということができる。
なお、上記(1)のみで各参加者の貢献度を決定するのであれば、図3に示した“2”,“5”,“5”,“1”が各参加者の貢献度となる。もちろん、(1)のみという単独の評価方法で各参加者の貢献度を決定するようにしてもよいが、本実施の形態では、複数の切り口、算出方法で各参加者の貢献度をそれぞれ求めるようにしている。従って、本実施の形態では、各算出方法にてそれぞれ算出した各参加者の貢献度を、各算出方法による評価値として扱い、後述するように各評価値を総合評価して各参加者の貢献度を得るようにしている。
続いて、(2)について説明すると、貢献度算出処理部23は、履歴情報記憶部25に記録された履歴情報を参加者毎に抽出し、連続する履歴情報の各発言日時の差を求める。例えば、参加者“A”の履歴情報(ID=1,6,8,11)のID=1とID=6の各履歴情報、ID=6とID=8の各履歴情報、ID=8とID=11の各履歴情報のそれぞれの発言日時の差を求める。この求めた差が各発言の時間間隔に相当するが、各差の平均値、標準偏差等により発言間隔のばらつきの大小を求める。
この(2)における算出結果に基づき、(1)で説明したように各参加者の貢献度を5段階で評価する。本実施の形態では、(2)についての実施結果を図示していないが、(2)単独で、若しくは(1),(2)との評価値を総合した評価値を求めるようにしてもよい。
以上のように、「議論に偏りなく参加しているか」ということを、議論全体を通してメッセージを投入したか、またばらつきなくメッセージを投入したか、という点に着目して各参加者の貢献度を求めた。
次に、「質問や意見に対して迅速に対応しているか」ということであるが、「迅速に」を判定するために、本実施の形態では、発言日時に基づいて、例えば次のような方法で算出する。
(3)返信メッセージと被返信メッセージの時間間隔(応答時間)をみる。
すなわち、貢献度算出処理部23は、(3)の実施の結果として図4に示したテーブルを完成させる。そのために、貢献度算出処理部23は、履歴情報記憶部25に記録された履歴情報の「返信元」を参照する。「返信元」が“なし”でない履歴情報は、「返信元」に設定されたIDが割り当てられたメッセージ(被返信メッセージ)に対応するメッセージ(返信メッセージ)なので、この被返信メッセージと返信メッセージそれぞれに対応する属性情報に含まれる各発言日時の差を求める。これが、前述した「返信メッセージと被返信メッセージの時間間隔(応答時間)」に相当する。例えば、図2においてID=2のメッセージは、ID=1のメッセージの返信メッセージなので、それぞれの発言日時“2004.9.1.10:30”,“2004.9.1.10:00”の差を求める。返信メッセージと被返信メッセージの各時間間隔(応答時間)を求め、これを参加者毎に平均値を求めて「応答間隔の平均」に設定する。
すなわち、貢献度算出処理部23は、(3)の実施の結果として図4に示したテーブルを完成させる。そのために、貢献度算出処理部23は、履歴情報記憶部25に記録された履歴情報の「返信元」を参照する。「返信元」が“なし”でない履歴情報は、「返信元」に設定されたIDが割り当てられたメッセージ(被返信メッセージ)に対応するメッセージ(返信メッセージ)なので、この被返信メッセージと返信メッセージそれぞれに対応する属性情報に含まれる各発言日時の差を求める。これが、前述した「返信メッセージと被返信メッセージの時間間隔(応答時間)」に相当する。例えば、図2においてID=2のメッセージは、ID=1のメッセージの返信メッセージなので、それぞれの発言日時“2004.9.1.10:30”,“2004.9.1.10:00”の差を求める。返信メッセージと被返信メッセージの各時間間隔(応答時間)を求め、これを参加者毎に平均値を求めて「応答間隔の平均」に設定する。
以上のようにして「応答間隔の平均」を計算すると、図4のテーブルの下側の「貢献度(評価値)の求め方」に記載したように、各参加者の「応答間隔の平均」の値に応じて貢献度を決定し、これを「貢献度(評価値)」に設定する。例えば、参加者“A”の「応答間隔の平均」は12時間であり、5時間以内ではないものの12時間以内であるので、参加者“A”の貢献度(評価値)は“3”となる。
この(3)における算出方法によって得られる結果に基づき参加者の貢献度を評価してみると、次のようなことが言える。「応答間隔の平均」に着目してみると、例えば、参加者“A”の値は12時間であり、参加者“B”の値は1時間である。つまり、平均12時間経過後に返信メッセージを投入している参加者“A”より、平均1時間経過後にメッセージを投入している参加者“B”の方が、高レスポンスでメッセージを返信している。つまり、新たにメッセージ(被返信メッセージ)が投入されると、そのメッセージに対する意見等を記載したメッセージ(返信メッセージ)を迅速に投入しているということができる。このことから、「迅速性」に関して言えば、参加者“B”の議論に対する貢献度は、参加者“A”より高いということができる。
最後に、「メッセージ投入後、議論が活発になったかどうか」ということであるが、「活発」を判定するために、本実施の形態では、発言日時に基づいて、例えば次のような方法で算出する。
(4)メッセージ投入前と投入後の一定時間あたりのメッセージ投入数の変化をみる。
すなわち、貢献度算出処理部23は、(4)の実施の結果として図5に示したテーブルを完成させる。そのために、貢献度算出処理部23は、履歴情報記憶部25に記録された履歴情報それぞれについて、当該履歴情報に対応するメッセージ投入の日時(発言日時)を中心に前後各一定時間、例えば24時間内に投入されたメッセージの数を積算する。ただ、議題を提示した先頭のメッセージと結論を提示した最後のメッセージ、更に自己のメッセージは、この数から除外する。そして、発言後メッセージ数/(発言後メッセージ数+発言前メッセージ数)という式にて計算された結果を、「発言後に他者の発言が増えた発言の割合」に設定する。
すなわち、貢献度算出処理部23は、(4)の実施の結果として図5に示したテーブルを完成させる。そのために、貢献度算出処理部23は、履歴情報記憶部25に記録された履歴情報それぞれについて、当該履歴情報に対応するメッセージ投入の日時(発言日時)を中心に前後各一定時間、例えば24時間内に投入されたメッセージの数を積算する。ただ、議題を提示した先頭のメッセージと結論を提示した最後のメッセージ、更に自己のメッセージは、この数から除外する。そして、発言後メッセージ数/(発言後メッセージ数+発言前メッセージ数)という式にて計算された結果を、「発言後に他者の発言が増えた発言の割合」に設定する。
以上のようにして「発言後に他者の発言が増えた発言の割合」を計算すると、図5のテーブルの下側の「貢献度(評価値)の求め方」に記載したように、各参加者の計算結果の値に応じて貢献度を決定し、これを「貢献度(評価値)」に設定する。例えば、参加者“C”の「発言後に他者の発言が増えた発言の割合」は75%であり、60〜80%の範囲にあるので、参加者“C”の貢献度(評価値)は“4”となる。
この(4)における算出方法によって得られる結果に基づき参加者の貢献度を評価してみると、次のようなことが言える。すなわち、自分がした発言後一定時間内に他の参加者による発言が増えたということは、自分がした意見、提案等の発言内容によって議論を活発化させた可能性が高いと言える。参加者“A”,“B”,“D”は0%であるので、各参加者の発言では何も議論は活発化されなかったのに対し、参加者“C”は75%であることから、「議論の活発化」に関して言えば、参加者“C”の議論に対する貢献度は、他の参加者より高いということができる。
なお、本実施の形態では、各メッセージを同等に取扱い、それぞれ1としてメッセージ数を求めたが、「発言後に他者の発言が増えた発言の割合」を求める際、例えば返信メッセージとそうでないメッセージとに異なる重み係数を積算するなどして重み付けをつけるようにしてもよい。
以上のようにして、各メッセージの書込みタイミングに着目して3つの切り口から各参加者の貢献度(評価値)を求めた。本実施の形態では、以上の貢献度(評価値)に加えて、更に発言数に基づき貢献度(評価値)を求めるようにした。
すなわち、貢献度算出処理部23は、この処理の結果として図6に示したテーブルを完成させる。そのために、履歴情報記憶部25に記録された履歴情報のレコード数を参加者毎に求め、これを各参加者の「発言数」として設定する。そして、各参加者の発言数をこの議論に対してされた発言数の総和(この例では17)で除算することで、各参加者において自己がした発言の全体を占める割合を計算し、これを「割合」に設定する。例えば、参加者“A”の発言数は“4”なので、4/17=23.5%と求めることができる。
以上のようにして「割合」を計算すると、図6のテーブルの下側の「貢献度(評価値)の求め方」に記載したように、各参加者の「割合」の値に応じて貢献度を決定し、これを「貢献度(評価値)」に設定する。例えば、参加者“A”の「割合」は23.5%であり、25%には達しないものの12.5%以上あるので、参加者“A”の貢献度(評価値)は“2”となる。
発言数は、数量的な指標であって時間という概念が反映されてはいない。しかし、議論に対する積極性が反映された指標であるため、本実施の形態では、最終的な貢献度を求める際には、従来でも採用していた発言数という数量的な指標に基づく参加者の貢献度をも加味することにした。
以上、各切り口、算出方法にて各参加者の貢献度(評価値)を求めると、各評価値に基づき各参加者の総合的な貢献度を最終的に決定する。図7には、図3〜図6から明らかなように各切り口にて求めた各参加者の評価値が設定されている。そして、本実施の形態では、各評価値を次の計算式に代入することによって各参加者の貢献度を求める。
貢献度=(w1*a+w2*b+w3*c+w4*d)/n
但し、上記計算式において、a,b,c,dは、図7に示したように各切り口にて求めた評価値、w1,w2,w3,w4は、各評価値の重み係数、nは参加者数(本実施の形態では4)である。なお、図7には、w1=2=w3=w4=1とした場合の貢献度が設定されている。図7に示した以上の結果から、参加者は、コミュニティに対して“B”,“C”,“A”,“D”の順に貢献していることがわかる。貢献度算出処理部23は、以上のようにして算出した各評価値及び総合的な貢献度を貢献度情報記憶部26に保存する。
本実施の形態によれば、発言の数量的な指標のみならず時間に関連した指標をも加味して各参加者のコミュニティに対する貢献度を求めるようにしたので、コミュニティへの各参加者の貢献度をより精度よく算出することができ、この算出した貢献度に基づき各参加者に対する評価をより適切かつ公平に行うことができる。
情報出力処理部24は、以上のようにして求めた貢献度を貢献度情報記憶部26から読み出し、可視化可能な形態にて出力する。ここでは、サーバ20の図示しないディスプレイに表示する場合を例にして説明する。
図8は、情報出力処理部24による貢献度の表示例を示した図である。図8には、図7に示された各評価値とそれら評価値により算出された総合的な貢献度とを参加者毎に2次元のマトリックス表形式にて表示した例である。この図8では、評価値、貢献度の各値の大小に比例させて黒円の直径を決定し、その黒円を参加者と各評価値、貢献度との交点に
表示した。このような形態にて貢献度を表示することで、各参加者の貢献度合いが一目瞭然に認識することができる。
表示した。このような形態にて貢献度を表示することで、各参加者の貢献度合いが一目瞭然に認識することができる。
図8では、各値の大小を円の直径の大小に比例させて表示したが、各値の表現方法は、これに限らず、色を変えたり、あるいは数字等をそのまま表示したりしてもよい。また、表示形式もこの例に限らず表形式やグラフ形式など種々の方法を利用することができる。
なお、情報出力処理部24は、各クライアント端末10に配信して、各参加者が参照できるようにしてもよい。あるいは、情報出力処理部24を各クライアント端末10に持たせるように構成してもよい。
また、本実施の形態では、貢献度情報記憶部26に保存した貢献度情報を複数のコミュニティから参照し共用できるように設定しておけば、既存若しくは新規のコミュニティのための人選支援あるいは他のサービス提供の際にも利用することができる。
本実施の形態では、以上のようにして各参加者によるメッセージ投入タイミング、すなわち発言タイミングを考慮して、複数の切り口(視点)から各参加者のコミュニティに対する貢献度を算出するようにしたので、各参加者に対する評価を、より適切にかつ公平に行うことができる。なお、各切り口における各参加者の評価値を決定する際、上記例では、5段階評価を採用するようにしたが、この評価方法に限定する必要はない。例えば、割合(%)等による各評価点の範囲は、上記例に限定する必要はないし、また10段階評価等としてもよい。あるいは、算出結果をそのまま用いて総合的な貢献度を求めるようにしてもよい。
2 インターネット、10 クライアント端末、12 クライアント用コミュニティツール実行部、20 サーバ、21 提供者用コミュニティツール実行部、22 メッセージ履歴管理部、23 貢献度算出処理部、24 情報出力処理部、25 履歴情報記憶部、26 貢献度情報記憶部、27 参加者情報記憶部。
Claims (8)
- ネットワーク上に設けられた仮想的なコミュニティにおいて交換されるメッセージを管理するコンピュータを、
コミュニティへの各書込みメッセージの発信者及び発信日時情報を少なくとも含む履歴情報を履歴情報記憶手段に記録するメッセージ履歴管理手段、
前記履歴情報記憶手段に蓄積されている履歴情報を読み出し、各コミュニティ参加者のメッセージ書込みタイミングを解析することによって各コミュニティ参加者のコミュニティに対する貢献度を算出する貢献度算出処理手段、
として機能させるコミュニティ参加者の貢献度評価用プログラム。 - 請求項1記載のコミュニティ参加者の貢献度評価用プログラムにおいて、
前記貢献度算出処理手段は、各コミュニティ参加者のコミュニティへの参加期間長又はメッセージ書込みの時間間隔の少なくとも一方を解析することによって各コミュニティ参加者の貢献度を算出することを特徴とするコミュニティ参加者の貢献度評価用プログラム。 - 請求項1記載のコミュニティ参加者の貢献度評価用プログラムにおいて、
前記貢献度算出処理手段は、一メッセージの書込み前後の各時間当たりの書込みメッセージ数を比較することで、当該メッセージの書込みをした各コミュニティ参加者の貢献度を算出することを特徴とするコミュニティ参加者の貢献度評価用プログラム。 - 請求項1記載のコミュニティ参加者の貢献度評価用プログラムにおいて、
前記メッセージ履歴管理手段は、書き込まれる各メッセージの他のメッセージとの関連情報を更に履歴情報に含め、
前記貢献度算出処理手段は、メッセージに対する各コミュニティ参加者の返信メッセージの応答時間を解析することで、各コミュニティ参加者の貢献度を算出することを特徴とするコミュニティ参加者の貢献度評価用プログラム。 - ネットワーク上に仮想的なコミュニティが提供された電子コミュニケーションシステムにおいて、
コミュニティへの各書込みメッセージの発信者及び発信日時情報を少なくとも含む履歴情報を保持する履歴情報記憶手段と、
コミュニティ参加者によりメッセージが書き込まれたときに当該メッセージの履歴情報を履歴情報記憶手段に記録するメッセージ履歴管理手段と、
前記履歴情報記憶手段に蓄積されている履歴情報を読み出し、各コミュニティ参加者のメッセージ書込みタイミングを解析することによって各コミュニティ参加者のコミュニティに対する貢献度を算出する貢献度算出処理手段と、
を有することを特徴とする電子コミュニケーションシステム。 - 請求項5記載の電子コミュニケーションシステムにおいて、
各コミュニティ参加者の個人情報を記憶する参加者情報記憶手段と、
前記貢献度算出処理手段が算出した各コミュニティ参加者の貢献度に、前記参加者情報記憶手段から読み出した参加者の個人情報を対応付けして出力する情報出力処理手段と、
を有することを特徴とする電子コミュニケーションシステム。 - 請求項5記載の電子コミュニケーションシステムにおいて、
前記メッセージ履歴管理手段は、各メッセージをタスクという情報共有単位で管理する場合、各メッセージが関連するタスクを特定する情報を更に履歴情報に含め、
前記履歴情報記憶手段に蓄積されている履歴情報を読み出し、各タスクと、前記貢献度算出処理手段が算出した各コミュニティ参加者のタスク毎の貢献度との関係を出力する情報出力処理手段を有することを特徴とする電子コミュニケーションシステム。 - 請求項6又は7記載の電子コミュニケーションシステムにおいて、
前記情報出力処理手段は、各コミュニティ参加者の貢献度によって表示形態を異ならせて出力することを特徴とする電子コミュニケーションシステム。
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