JP2006321955A - ディップ成形用ラテックス組成物およびディップ成形品 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 共役ジエンゴムラテックスと、有機過酸化物と、を含むディップ成形用ラテックス組成物であって、前記ラテックス組成物中に配合された有機過酸化物全量に対する、反応活性を保持している有機過酸化物の残存割合で定義される有機過酸化物の残存有効活性が、35%以上であるディップ成形用ラテックス組成物。
【選択図】 なし
Description
共役ジエンゴムラテックスと、有機過酸化物と、を含むディップ成形用ラテックス組成物であって、
前記ラテックス組成物中に配合された有機過酸化物全量に対する、反応活性を保持している有機過酸化物の残存割合で定義される有機過酸化物の残存有効活性が、35%以上である。
本発明の組成物において、好ましくは、前記有機過酸化物の10時間半減期温度が、150℃以下である。
本発明の組成物において、好ましくは、前記配合された有機過酸化物の含有量が、前記共役ジエンゴムラテックスの固形分100重量部に対して、0.05〜5重量部である。
本発明に係るディップ成形品は、上記いずれかのディップ成形用ラテックス組成物を、ディップ成形して得られるディップ成形品である。
本発明のディップ成形用ラテックス組成物は、少なくとも、共役ジエンゴムラテックスと、有機過酸化物と、を含有する。
本発明で用いる共役ジエンゴムラテックスとしては、特に制限されず、合成ゴムラテックスおよび天然ゴムラテックスが挙げられ、ディップ成形後の成形品の諸特性を随意調整できるという点からは、合成ゴムラテックスが好ましい。
スルホン酸基含有エチレン性不飽和単量体としては、たとえば、ビニルスルホン酸、メチルビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、(メタ)アリルスルホン酸、(メタ)アクリル酸−2−スルホン酸エチル、2−アクリルアミド−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸などが挙げられる。
リン酸基含有エチレン性不飽和単量体としては、たとえば、(メタ)アクリル酸−3−クロロ−2−リン酸プロピル、(メタ)アクリル酸−2−リン酸エチル、3−アリロキシ−2−ヒドロキシプロパンリン酸などが挙げられる。
これらのエチレン性不飽和酸単量体は、アルカリ金属塩またはアンモニウム塩として用いることもでき、また、単独でまたは2種以上を組み合せて用いることもできる。上記のエチレン性不飽和酸単量体のなかでも、カルボキシル基含有エチレン性不飽和単量体が好ましく、エチレン性不飽和モノカルボン酸がより好ましく、メタクリル酸が特に好ましく用いることができる。
すなわち、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、2−クロロプロペンニトリル、2−ブテンニトリル等のエチレン性不飽和ニトリル単量体;スチレン、α−メチルスチレン、モノクロルスチレン、ジクロルスチレン、トリクロルスチレン、モノメチルスチレン、ジメチルスチレン、トリメチルスチレン、ヒドロキシメチルスチレン等の芳香族ビニル単量体;アクリルアミド、メタクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド等のエチレン性不飽和カルボン酸アミド単量体;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル等のエチレン性不飽和カルボン酸アルキルエステル単量体;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バーサチック酸ビニル等のカルボン酸ビニルエステル単量体;塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン等のハロゲン化ビニル単量体;エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブテン等のオレフィン単量体;メチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテル等のビニルエーテル単量体;酢酸アリル、酢酸メタリル、塩化アリル、塩化メタリル等の(メタ)アリル化合物;ビニルトリメトキシシラン等のビニルシリル化合物;ビニルピリジン、N−ビニルピロリドン;などを挙げることができる。これらは、単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明で用いる共役ジエンゴムラテックスは、上記の各単量体の混合物を、乳化重合することにより製造することができる。乳化重合方法としては、従来公知の乳化重合法を採用すれば良い。また、乳化重合するに際しては、乳化剤、重合開始剤、分子量調整剤等の通常用いられる重合副資材を使用することができる。
本発明で用いる有機過酸化物としては、常圧、30℃で固体の性状を示し、10時間半減期温度が、好ましくは、150℃以下、より好ましくは130℃以下、特に40℃以上、120℃以下であることが好ましい。なお、10時間半減期温度とは、当該有機過酸化物を、その温度で10時間加熱した場合において、活性を保持している有機過酸化物の量が、半分になる温度を意味する。すなわち、たとえば、10時間半減期温度が100℃である有機過酸化物は、100℃、10時間の条件で加熱した場合に、活性を保持している有機過酸化物の量が半分になる性質を有する。
本発明のディップ成形用ラテックス組成物は、上述した共役ジエンラテックスに、上述した有機過酸化物を添加することにより調製することができる。
本発明のディップ成形品は、上述した本発明のディップ成形用ラテックス組成物をディップ成形することにより得ることができる。ディップ成形方法としては、従来公知の方法を採用することができ、たとえば、直接浸漬法、アノード凝着浸漬法、ティーグ凝着浸漬法などが挙げられる。なかでも、均一な厚みを有するディップ成形品が得やすいという点で、アノード凝着浸漬法が好ましい。以下、一実施形態としてのアノード凝着浸漬法によるディップ成形方法を説明する。
架橋剤の沈殿量は、ディップ成形用ラテックス組成物を、325メッシュの金網でろ過し、金網上に残存した架橋剤の重量を測定し、実際に添加した架橋剤の量に対する、残存した架橋剤の比を、100分率で算出することにより評価した。架橋剤の沈殿量は、少ない方が好ましい。
有機過酸化物の残存有効活性は、反応活性を保持している有機過酸化物によって生成したヨウ素分子を、ヨウ素滴定により、定量することにより測定することにより求めた。具体的には、まず、ディップ成形用ラテックス組成物を固形分で2gとなるように、三角フラスコに計り採り、次いで、メチルエチルケトン・エタノール混合溶液(9:1)40gを加え、ディップ成形用ラテックス組成物を分散/溶解させた。次いで、この溶液に、50%ヨウ化カリウム水溶液を1〜2ml加え十分に攪拌し、その後、冷暗所に10分間放置した。そして、放置後の溶液を、0.01規定のチオ硫酸ナトリウム溶液で滴定し、ヨウ素による茶褐色の消失を滴定の終点とし、反応活性を保持している有機過酸化物の量を求めた。なお、測定に使用したメチルエチルケトン・エタノール混合溶液についてもヨウ素滴定を行い、その数値をブランクとして用いた。
そして、実際に添加した有機過酸化物の量に対する、上記滴定により求めた反応活性を保持している有機過酸化物の量の重量比を100分率で求めて、これを有機過酸化物の残存有効活性(単位は、%)とした。
得られたゴム手袋(ディップ成形品)から、ASTM D−412に準じてダンベル(Die−C)を用いて、ダンベル形状の試験片を作製した。次いで、この試験片を、引張速度500mm/分で引っ張り、伸び率が300%の時の引張応力(MPa)、破断時の引張強度(MPa)および破断時の伸び(%)を測定した。300%引張応力が小さいほど、風合いに優れている。
ASTM D412−92に従い、前記のように作成したダンベル形状の試験片の両端に速度500mm/分にて引張応力をかけた。そして、試験片の標準区間20mmが2倍(100%)に伸張した時点で伸張を止め、伸張時の引張応力M100(0)を測定し、また、そのまま6分間経過した後の引張応力M100(6)を測定した。M100(0)に対するM100(6)の比を、百分率で算出し、応力保持率とした。応力保持率が好ましくは50%以上であると、フィット性に優れる。
得られたゴム手袋(ディップ成形品)を被験者10人が着用し、キーボード入力操作の軽作業を行なった。作業を開始して30分経過する毎に、ゴム手袋の指の股部分を観察し、微小亀裂の発生の有無を確認した。各試験においてゴム手袋に微小亀裂が発生するまでの時間を測定した後、最短および最長の時間を除いた8つのデータ(8人のデータ)を算術平均した値で示す。なお、この着用試験は、最大6時間まで行なった。この時間が長い程、耐屈曲疲労性に優れることを示す。
得られたゴム手袋(ディップ成形品)を被験者10人が着用し、キーボード入力操作の軽作業を1時間行ない、1時間の作業後にゴム手袋がフィットしていないと感じた人の人数をカウントし、以下の基準により評価した。
○:フィットしていないと感じた人数が10人中0〜2人
△:フィットしていないと感じた人数が10人中3〜7人
×:フィットしていないと感じた人数が10人中8〜10人
重合反応器に、アクリロニトリル22部、1,3−ブタジエン73部、メタクリル酸5部、t−ドデシルメルカプタン0.3部、イオン交換水132部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム3部、β−ナフタリンスルホン酸ホルマリン縮合物ナトリウム塩0.5部、過硫酸カリウム0.3部およびエチレンジアミン四酢酸ナトリウム塩0.05部を仕込み、重合温度を37℃に保持して重合を開始した。重合転化率が60%になった時点で、t−ドデシルメルカプタン0.15部を添加して、重合温度を40℃に昇温し、重合転化率が94%に達するまで反応させた。その後、重合停止剤としてジメチルジチオカルバミン酸ナトリウム0.1部を添加して重合反応を停止した。
得られた共重合体ラテックスから未反応単量体を除去した後、共重合体ラテックスのpHおよび固形分濃度を調整して、固形分濃度40%、pH8のカルボキシ変性ニトリルゴムラテックスAを得た。このラテックスのMEK不溶分は82%であった。
ディップ成形用ラテックス組成物
まず、ジベンゾイルパーオキサイド(水分吸着量25%、以下、BPOとする)24部、アニオン性界面活性剤としての直鎖アルキル硫酸ナトリウム0.6部、およびヒドロキシプロピルセルロース9部を、水に加えて、ホモミキサーで回転数7000rpm、30分の条件で、激しく攪拌してBPO濃度が30%のBPO分散液を調製した。
次いで、上記にて得られた保存後のディップ成形用ラテックス組成物を使用して、ゴム手袋(ディップ成形品)を、以下の方法により製造した。
まず、硝酸カルシウム20部、ポリエチレングリコールオクチルフェニルエーテル0.05部および水80部を混合した凝固剤水溶液を準備した。次いで、この凝固剤水溶液に、手袋型を5秒間浸漬し、引上げた後、温度50℃、10分間の条件で乾燥して、凝固剤を手袋型に付着させた。そして、凝固剤を付着させた手袋型を、上記にて得られたディップ成形用ラテックス組成物に6秒間浸漬し、引上げた後、温度50℃、10分間の条件で乾燥し、その後、40℃の温水に3分間浸漬して、水溶性不純物を溶出させて、手袋型にディップ成形層を形成した。
架橋剤を添加する前の酸変性ニトリルラテックスのpHを、それぞれ8.0(実施例2)、9.0(実施例3)に調整した以外は実施例1と同様にして、ディップ成形用ラテックス組成物、およびゴム手袋(ディップ成形品)を製造した。
有機過酸化物溶液を添加した後の熟成時間を10時間に変更した以外は、実施例1と同様にして、ディップ成形用ラテックス組成物およびゴム手袋を製造した。
ディップ成形用ラテックス組成物を調製した後の保存時間を1日から6ヶ月に変更した以外は、実施例2と同様にして、ディップ成形用ラテックス組成物およびゴム手袋を製造した。
架橋剤であるBPOの添加量を、それぞれ2重量部(実施例6)、6重量部(実施例7)に変更した以外は、実施例2と同様にして、ディップ成形用ラテックス組成物およびゴム手袋を製造した。
架橋剤を添加する前のラテックスのpHを、それぞれ9.5(比較例1)、6(比較例4)に調整した以外は実施例1と同様にして、ディップ成形用ラテックス組成物およびゴム手袋を製造した。
架橋剤を添加する前のラテックスのpHを10に調整するとともに、有機過酸化物溶液を添加した後の熟成時間を16時間とした以外は、実施例1と同様にして、ディップ成形用ラテックス組成物およびゴム手袋を製造した。
架橋剤を添加する前のラテックスのpHを10に調整するとともに、ディップ成形用ラテックス組成物を調製した後の保存時間を1日から6ヶ月に変更した以外は、実施例1と同様にして、ディップ成形用ラテックス組成物およびゴム手袋を製造した。
架橋剤を添加する前のラテックスのpHを9.5に調整するとともに、有機過酸化物溶液を添加した後の熟成時間を2時間とした以外は、実施例1と同様にして、ディップ成形用ラテックス組成物およびゴム手袋を製造した。
架橋剤添加前のpHを9.5とした比較例1は、有機過酸化物の残存有効活性が25%となり、耐屈曲疲労性に劣る結果となった。
架橋剤添加前のpHを10、熟成時間を16時間とした比較例2、架橋剤添加前のpHを10、保存時間を6ヶ月とした比較例3、架橋剤添加前のpHを9.5、熟成時間を2時間とした比較例5は、有機過酸化物の残存有効活性が、それぞれ20%(比較例2)、10%(比較例3)、25%(比較例5)となり、耐屈曲疲労性およびフィット性に劣る結果となった。
架橋剤添加前のpHを6とした比較例4は、架橋剤配合後、1時間でラテックスが凝固してしまい、各測定を行うための組成物および成形品を得ることができなかった。
Claims (5)
- 共役ジエンゴムラテックスと、有機過酸化物と、を含むディップ成形用ラテックス組成物であって、
前記ラテックス組成物中に配合された有機過酸化物全量に対する、反応活性を保持している有機過酸化物の残存割合で定義される有機過酸化物の残存有効活性が、35%以上であるディップ成形用ラテックス組成物。 - 前記ラテックス組成物のpHが、9以下である請求項1に記載のディップ成形用ラテックス組成物。
- 前記有機過酸化物の10時間半減期温度が、150℃以下である請求項1または2に記載のディップ成形用ラテックス組成物。
- 前記配合された有機過酸化物の含有量が、前記共役ジエンゴムラテックスの固形分100重量部に対して、0.05〜5重量部である請求項1〜3のいずれかに記載のディップ成形用ラテックス組成物。
- 請求項1〜4のいずれかに記載のディップ成形用ラテックス組成物を、ディップ成形して得られるディップ成形品。
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