JP2006321955A - ディップ成形用ラテックス組成物およびディップ成形品 - Google Patents

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Abstract

【課題】 風合いが良好で、引張強度および耐屈曲疲労性に優れ、特に、成形品をゴム手袋とした場合に、長時間着用して、作業を継続しても成形品自体の着色が発生し難く、さらに装着した際に、手に対する密着性および追随性の低下が起こり難いディップ成形品およびこのような成形品を与えることができるディップ成形用ラテックス組成物を提供すること。
【解決手段】 共役ジエンゴムラテックスと、有機過酸化物と、を含むディップ成形用ラテックス組成物であって、前記ラテックス組成物中に配合された有機過酸化物全量に対する、反応活性を保持している有機過酸化物の残存割合で定義される有機過酸化物の残存有効活性が、35%以上であるディップ成形用ラテックス組成物。
【選択図】 なし

Description

本発明は、ディップ成形用ラテックス組成物およびディップ成形品に係り、さらに詳しくは、引張強度および耐屈曲疲労性に優れた成形品を与えることのできるディップ成形用ラテックス組成物、およびこのラテックス組成物をディップ成形して得られるディップ成形品に関する。
ゴム手袋は、家事、食品関連産業、精密工業、医療など幅広い用途で使用されている。従来、引張強度が高く、耐油性に優れるゴム手袋として、カルボキシ変性アクリロニトリル−ブタジエン共重合体ラテックスに、硫黄および加硫促進剤を配合したラテックス組成物を、ディップ成形することにより得られる成形体が多用されている。
たとえば、特許文献1には、カルボキシ変性アクリロニトリル−ブタジエン共重合体ラテックスに、酸化亜鉛、硫黄および加硫促進剤を配合したラテックス組成物をディップ成形して得られるゴム手袋(ディップ成形品)が開示されている。この文献に記載されたゴム手袋は、風合いは優れているものの、応力保持率が低く、装着していると手や指への密着性が低下し、手の甲や指に対する手袋の追随性が悪化してしまい、細かな作業が困難となるという問題があった。
また、特許文献2には、カルボキシ変性アクリロニトリル−ブタジエン共重合体ラテックス、硫黄および加硫促進剤を含有するラテックス組成物を、酸化亜鉛を含有させないでディップ成形して得られるゴム手袋(ディップ成形品)が開示されている。この文献記載のゴム手袋は、風合いは良いものの、引張り強度が著しく低下してしまうという問題があった。
特許文献3には、特定量のカルボキシル基を含有するアクリロニトリル−ブタジエン共重合体ラテックス、少量の酸化亜鉛、比較的多量の硫黄および加硫促進剤を含有するラテックス組成物をディップ成形して得られるゴム手袋(ディップ成形品)が開示されている。この文献によると、100%伸張6分後の手袋の残留応力が50%〜70%となるという旨が記載されている。しかしながら、この文献においては、上記特性(残留応力が50〜70%)を達成するためには、加硫剤をラテックスに配合した後に、16時間以上という長い時間の攪拌熟成を行うことが必須となる。そのため、生産性が悪化してしまうという課題があった。
さらに、上記特許文献1〜3のように、硫黄および加硫促進剤を必須成分として配合したゴム手袋は、長時間着用し、作業を継続した場合、硫黄による臭気の発生が原因となり、不快感を与えてしまうという問題や、手袋自体が着色し、その商品価値が著しく低下してしまうという問題もあった。
一方で、硫黄や加硫促進剤を用いずにディップ成形品を得る方法として、有機過酸化物を架橋剤として用いることが検討されている。たとえば、特許文献4では、ラテックスに、ジクミルパーオキサイドやジ−t−ブチルパーオキサイドなどの有機過酸化物を配合したラテックス組成物をディップ成形して得られるディップ成形品が開示されている。なお、この文献においては、ディップ成形品を得る際には、溶融塩などの化学的に不活性な溶媒中で架橋反応を行う必要があり、極めて高い温度に調整された溶融塩バス中で架橋反応を行っている。そのため、この文献に開示されたディップ成形品をゴム手袋に応用した場合には、製造時に高温に曝されることとなるため着色してしまうという問題があった。さらに、耐屈曲疲労性に劣るため、たとえば、2〜3時間程度着用しただけで、指の股部分に微小亀裂が発生してしまうという問題もあった。
米国特許第5,014,362号明細書 国際公開第97/48765号パンフレット 国際公開第00/21451号パンフレット 国際公開第01/77210号パンフレット
本発明は、このような実状に鑑みてなされ、風合いが良好で、引張強度および耐屈曲疲労性に優れ、特に、成形品をゴム手袋とした場合に、長時間着用して、作業を継続しても成形品自体の着色が発生し難く、さらに装着した際に、手に対する密着性および追随性の低下が起こり難い成形品を与えることができるディップ成形用ラテックス組成物を提供することを目的とする。さらに、本発明は、このようなラテックス組成物をディップ成形して得られ、上記特性を有するディップ成形品を提供することも目的とする。
本発明者等は、上記目的を達成すべく鋭意検討を行った結果、共役ジエンゴムラテックスと、有機過酸化物と、を含むラテックス組成物において、配合した有機過酸化物に対する、実際に反応活性を保持している有機過酸化物(すなわち、失活していない有機過酸化物)の比率を、特定範囲に制御することにより、上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明に係るディップ成形用ラテックス組成物は、
共役ジエンゴムラテックスと、有機過酸化物と、を含むディップ成形用ラテックス組成物であって、
前記ラテックス組成物中に配合された有機過酸化物全量に対する、反応活性を保持している有機過酸化物の残存割合で定義される有機過酸化物の残存有効活性が、35%以上である。
本発明の組成物において、好ましくは、前記ラテックス組成物のpHが、9以下である。
本発明の組成物において、好ましくは、前記有機過酸化物の10時間半減期温度が、150℃以下である。
本発明の組成物において、好ましくは、前記配合された有機過酸化物の含有量が、前記共役ジエンゴムラテックスの固形分100重量部に対して、0.05〜5重量部である。
本発明に係るディップ成形品は、上記いずれかのディップ成形用ラテックス組成物を、ディップ成形して得られるディップ成形品である。
本発明のディップ成形用ラテックス組成物によれば、有機過酸化物の残存有効活性を上記範囲に制御しているため、風合いが良好で、引張強度および耐屈曲疲労性に優れ、長時間使用した場合においても着色が発生し難く、しかも高弾性を有し、フィット性に優れたディップ成形品を提供することができる。そのため、本発明のディップ成形用ラテックス組成物を使用して得られるディップ成形品は、ゴム手袋用途として好適に用いられ、特に、半導体産業、医薬品産業などのクリーンルーム内など、長時間にわたる精密な作業が必要とされる分野において用いられるゴム手袋用途として適している。
以下、本発明のディップ成形用ラテックス組成物、およびこのラテックス組成物をディップ成形して得られるディップ成形品について、詳細に説明する。
ディップ成形用ラテックス組成物
本発明のディップ成形用ラテックス組成物は、少なくとも、共役ジエンゴムラテックスと、有機過酸化物と、を含有する。
共役ジエンゴムラテックス
本発明で用いる共役ジエンゴムラテックスとしては、特に制限されず、合成ゴムラテックスおよび天然ゴムラテックスが挙げられ、ディップ成形後の成形品の諸特性を随意調整できるという点からは、合成ゴムラテックスが好ましい。
合成ゴムラテックスとしては、共役ジエン単量体と、エチレン性不飽和酸単量体と、必要に応じて添加されるこれらと共重合可能な他の単量体と、からなる単量体混合物を乳化重合して得られる共役ジエンゴムラテックスが好ましい。エチレン性不飽和酸単量体を用いることにより、ディップ成形後の成形品の引張強度を、より向上させることができる。
共役ジエン単量体としては、特に限定されないが、共役ジエンを含有する炭素数4〜12の化合物が好ましい。このような共役ジエン単量体としては、たとえば、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−エチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエンおよびクロロプレンなどが挙げられる。なかでも、1,3−ブタジエンおよびイソプレンが好ましく、特に、1,3−ブタジエンを用いることが好ましい。これらの共役ジエン単量体は単独でまたは2種以上を組み合せて用いることができる。得られる合成ゴムラテックス中における共役ジエン単量体単位の含有量は、好ましくは30〜88重量%、より好ましくは50〜84重量%、特に好ましくは55〜81重量%である。この量が少なすぎると風合いに劣る傾向にあり、一方、多すぎると引張強度に劣る傾向にある。
エチレン性不飽和酸単量体としては、特に限定されないが、たとえば、カルボキシル基含有エチレン性不飽和単量体、スルホン酸基含有エチレン性不飽和単量体、リン酸基含有エチレン性不飽和単量体などが挙げられる。
カルボキシル基含有エチレン性不飽和単量体としては、たとえば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸等のエチレン性不飽和モノカルボン酸;フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸等のエチレン性不飽和多価カルボン酸およびその無水物;マレイン酸メチル、イタコン酸メチル等のエチレン性不飽和多価カルボン酸の部分エステル化物;などが挙げられる。
スルホン酸基含有エチレン性不飽和単量体としては、たとえば、ビニルスルホン酸、メチルビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、(メタ)アリルスルホン酸、(メタ)アクリル酸−2−スルホン酸エチル、2−アクリルアミド−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸などが挙げられる。
リン酸基含有エチレン性不飽和単量体としては、たとえば、(メタ)アクリル酸−3−クロロ−2−リン酸プロピル、(メタ)アクリル酸−2−リン酸エチル、3−アリロキシ−2−ヒドロキシプロパンリン酸などが挙げられる。
これらのエチレン性不飽和酸単量体は、アルカリ金属塩またはアンモニウム塩として用いることもでき、また、単独でまたは2種以上を組み合せて用いることもできる。上記のエチレン性不飽和酸単量体のなかでも、カルボキシル基含有エチレン性不飽和単量体が好ましく、エチレン性不飽和モノカルボン酸がより好ましく、メタクリル酸が特に好ましく用いることができる。
得られる合成ゴムラテックス中におけるエチレン性不飽和酸単量体単位の含有量は、好ましくは0.5〜10重量%、より好ましくは1〜9重量%、特に好ましくは2〜8重量%である。この量が少なすぎると引張強度に劣る傾向にあり、一方、多すぎると風合いに劣る傾向にある。
必要に応じて添加される共役ジエン単量体およびエチレン性不飽和酸単量体と共重合可能な単量体(以下、「他の単量体」と記すことがある。)としては、特に制限されるものではないが、たとえば、以下の単量体が挙げられる。
すなわち、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、2−クロロプロペンニトリル、2−ブテンニトリル等のエチレン性不飽和ニトリル単量体;スチレン、α−メチルスチレン、モノクロルスチレン、ジクロルスチレン、トリクロルスチレン、モノメチルスチレン、ジメチルスチレン、トリメチルスチレン、ヒドロキシメチルスチレン等の芳香族ビニル単量体;アクリルアミド、メタクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド等のエチレン性不飽和カルボン酸アミド単量体;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル等のエチレン性不飽和カルボン酸アルキルエステル単量体;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バーサチック酸ビニル等のカルボン酸ビニルエステル単量体;塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン等のハロゲン化ビニル単量体;エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブテン等のオレフィン単量体;メチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテル等のビニルエーテル単量体;酢酸アリル、酢酸メタリル、塩化アリル、塩化メタリル等の(メタ)アリル化合物;ビニルトリメトキシシラン等のビニルシリル化合物;ビニルピリジン、N−ビニルピロリドン;などを挙げることができる。これらは、単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
これらのなかでも、ディップ成形後の成形品の引張強度をより高めることができるという点で、芳香族ビニル単量体およびエチレン性不飽和ニトリル単量体が好ましく、さらに成形品の耐油性を向上させることができるという点より、エチレン性不飽和ニトリル単量体がより好ましい。得られる合成ゴムラテックス中における上記他の単量体単位の含有量は、好ましくは2〜69.5重量%以下、より好ましくは7〜49重量%、特に好ましくは11〜43重量%である。使用量が上記範囲内であれば、引張強度、耐油性および風合いを良好に維持できる。
次に、本発明で用いる共役ジエンゴムラテックスの製造方法を説明する。
本発明で用いる共役ジエンゴムラテックスは、上記の各単量体の混合物を、乳化重合することにより製造することができる。乳化重合方法としては、従来公知の乳化重合法を採用すれば良い。また、乳化重合するに際しては、乳化剤、重合開始剤、分子量調整剤等の通常用いられる重合副資材を使用することができる。
乳化剤としては、特に限定されないが、たとえば、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤が挙げられる。これらのなかでも、アルキルベンゼンスルホン酸塩、脂肪族スルホン酸塩、高級アルコールの硫酸エステル塩、α−オレフィンスルホン酸塩、アルキルエーテル硫酸エステル塩等のアニオン性界面活性剤が好ましく使用できる。乳化剤の使用量は、全単量体100重量部に対して、好ましくは0.5〜10重量部、より好ましくは1〜8重量部である。
重合開始剤としては、特に限定されないが、ラジカル開始剤が好ましく使用できる。このようなラジカル開始剤としては、たとえば、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過リン酸カリウム、過酸化水素等の無機過酸化物;t−ブチルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、p−メンタンハイドロパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、アセチルパーオキサイド、イソブチリルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、ジベンゾイルパーオキサイド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシイソブチレート等の有機過酸化物;アゾビスイソブチロニトリル、アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスシクロヘキサンカルボニトリル、アゾビスイソ酪酸メチル等のアゾ化合物;などを挙げることができる。これらの重合開始剤は、単独でまたは2種類以上を組み合わせて使用することができる。これらラジカル開始剤のなかでも、無機または有機の過酸化物が好ましく、無機過酸化物がより好ましく、過硫酸塩が特に好ましく使用できる。重合開始剤の使用量は、全単量体100重量部に対して、好ましくは0.01〜2重量部、より好ましくは0.05〜1.5重量部である。
分子量調整剤としては、特に限定されないが、たとえば、α−メチルスチレンダイマー;t−ドデシルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、オクチルメルカプタン等のメルカプタン類;四塩化炭素、塩化メチレン、臭化メチレン等のハロゲン化炭化水素;テトラエチルチウラムダイサルファイド、ジペンタメチレンチウラムダイサルファイド、ジイソプロピルキサントゲンダイサルファイド等の含硫黄化合物;などが挙げられる。これらは単独でまたは2種類以上を組み合わせて使用することができる。なかでも、メルカプタン類が好ましく、t−ドデシルメルカプタンがより好ましく使用できる。分子量調整剤の使用量は、その種類によって異なるが、全単量体100重量部に対して、好ましくは0.1〜0.8重量部、より好ましくは0.2〜0.7重量部である。
本発明においては、さらに必要に応じて、上記以外の重合副資材を用いてもよい。このような重合副資材としては、キレート剤、分散剤、pH調整剤、脱酸素剤、粒子径調整剤等が挙げられ、これらの種類、使用量とも特に限定されない。
乳化重合は、上記各単量体および各重合副資材を用い、通常、水中で行われる。重合温度は特に限定されないが、通常、0〜95℃、好ましくは5〜70℃とする。重合反応を停止した後、所望により、未反応の単量体を除去し、固形分濃度やpHを調整することにより共役ジエンゴムラテックスを得ることができる。
本発明においては、共役ジエンゴムラテックスのpHを7〜9の範囲に調整することが好ましく、より好ましくは7.5〜8.7の範囲とする。共役ジエンゴムラテックスのpHを、上記範囲とすることにより、共役ジエンゴムラテックスに、有機過酸化物を添加して、ディップ成形用ラテックス組成物とした際に、有機過酸化物の分解による失活を有効に防止することができる。そのため、このように、有機過酸化物を添加する前の共役ジエンゴムラテックスのpHを上記範囲とする方法は、後に説明する有機過酸化物の残存有効活性を制御するための一手段として、有効な方法である。
有機過酸化物
本発明で用いる有機過酸化物としては、常圧、30℃で固体の性状を示し、10時間半減期温度が、好ましくは、150℃以下、より好ましくは130℃以下、特に40℃以上、120℃以下であることが好ましい。なお、10時間半減期温度とは、当該有機過酸化物を、その温度で10時間加熱した場合において、活性を保持している有機過酸化物の量が、半分になる温度を意味する。すなわち、たとえば、10時間半減期温度が100℃である有機過酸化物は、100℃、10時間の条件で加熱した場合に、活性を保持している有機過酸化物の量が半分になる性質を有する。
このような有機過酸化物としては、たとえば、ジベンゾイルパーオキサイド、ベンゾイル(3−メチルベンゾイル)パーオキサイド、ジ(4−メチルベンゾイル)パーオキサイド、ジラウロイルパーオキサイド、ジステアロイルパーオキサイド、ジ−α−クミルパーオキサイド、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロドデカン、サクシニックアシッドパーオキサイド、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシマレイックアシッドなどが挙げられる。これらは単独でまたは2種以上組み合わせて使用することができる。これらのなかでも、ジベンゾイルパーオキサイドおよびジラウロイルパーオキサイドが好ましく使用でき、これらを用いることにより、物性のバランスに優れたディップ成形品を得ることができる。
有機過酸化物の含有量は、共役ジエンゴムラテックス中の固形分100重量部に対して、好ましくは0.01〜5重量部、より好ましくは0.05〜3重量部、特に好ましくは0.1〜2重量部である。有機過酸化物の含有量が少なすぎると、耐屈曲疲労性に劣る傾向にあり、多すぎると、風合いおよび引張強度に劣る傾向にある。
本発明においては、ディップ成形用ラテックス組成物中に配合した有機過酸化物の全量に対する、実際に反応活性を保持している有機過酸化物の残存割合で定義される有機過酸化物の残存有効活性が、35%以上、好ましくは40%以上、より好ましくは45%以上である。有機過酸化物の残存有効活性を、上記範囲に制御する点に最大の特徴を有しており、このようにすることにより、ディップ成形後の成形品の応力保持率、耐屈曲疲労性およびフィット性を向上させることができる。
有機過酸化物の残存有効活性の測定方法としては、特に限定されないが、たとえば、反応活性を保持している有機過酸化物の量を、ヨウ素滴定などにより測定する方法が挙げられる。この方法においては、実際に配合した有機過酸化物の全量に対する、反応活性を保持している有機過酸化物の量を、重量比で求めることにより、残存有効活性を求めることができる。
なお、添加した有機過酸化物のうち、分解により失活した化合物は、主に酸になっていると考えられる。このような失活した化合物の量は、たとえば、HPLCなどで測定することができる。このように失活した化合物の量が、多くなりすぎると、ラテックス組成物のpHを低下させ、結果これにより作製されるディップ成形物の引張り強度を低下させる場合がある。
ディップ成形用ラテックス組成物の調製方法
本発明のディップ成形用ラテックス組成物は、上述した共役ジエンラテックスに、上述した有機過酸化物を添加することにより調製することができる。
有機過酸化物を、共役ジエンラテックスに添加する方法としては、特に制限されないが、予め有機過酸化物を、界面活性剤および高分子保護コロイドの存在下で、水媒体中に分散させた有機過酸化物の水分散液を調製し、有機過酸化物の水分散液として、共役ジエンラテックスに添加することが好ましい。このように、有機過酸化物を、水分散液とすることにより、有機過酸化物の分離し、沈殿してしまうことを有効に防止することができる。
有機過酸化物の水分散液の調整方法としては、たとえば、有機過酸化物を、界面活性剤および/または高分子保護コロイドが溶解している水媒体中で激しく攪拌して分散させる方法などが挙げられる。また、この際には、予め有機過酸化物を溶解可能な有機溶媒に溶解させ、溶液の状態として、界面活性剤および/または高分子保護コロイドが溶解している水媒体中に添加する方法を採用しても良い。
界面活性剤としては、一般的な界面活性剤であるアニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤または両性界面活性剤であれば特に限定されない。また、高分子保護コロイドとしては、分子量10,000以上の高分子の分散安定剤であれば限定されず、たとえば、ゼラチン;ポリビニルアルコール;メチルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、ヒドロキシプロポキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、微結晶セルロースなどの繊維素誘導体;などが使用できる。
共役ジエンゴムラテックスに、上記にて調製した有機過酸化物分散液および必要に応じて配合される任意成分を添加し、混合する。本発明においては、これらを添加、混合した後、熟成することが好ましい。熟成とは、好ましくは10〜50℃、より好ましくは15〜35℃、特に好ましくは20〜30℃の温度で、好ましくは1時間以上、より好ましくは1時間〜2週間、特に好ましくは1時間〜1週間の時間をかけて撹拌することである。熟成が不十分であると、共役ジエンゴムラテックスから有機過酸化物が分離し、沈殿してしまう場合があり、このように沈殿した有機過酸化物は、架橋剤として機能し難くなる。また、有機過酸化物を添加する前の共役ジエンラテックスは、pHを7〜9の範囲に調整しておくことが好ましい。
本発明においては、ディップ成形用ラテックス組成物の固形分濃度は、好ましくは20〜40重量%、より好ましくは25〜35重量%となるように調製する。固形分濃度を、上記範囲とすることにより、均一な膜厚を有するディップ成形品を容易に製造することができる。また、有機過酸化物を添加した後のpHは、好ましくは9以下、より好ましくは7〜8.7の範囲とする。pHを上記範囲としておくことにより、有機過酸化物の分解の抑制をより有効に行うことができる。一方、pHが高すぎると、有機過酸化物が分解し易くなる傾向にあり、長時間の保存が困難となり、保存安定性に劣る傾向にある。
なお、本発明のディップ成形用ラテックス組成物は、架橋剤として、有機過酸化物を含有するため、通常使用される硫黄や加硫促進剤を多く配合すると、ディップ成形後における成形品の物性バランスが悪化する傾向にある。そのため、硫黄、および加硫促進剤の配合量は少ない方が好ましく、ディップ成形後の成形品の物性バランスを考慮すると、硫黄および加硫促進剤は、配合しないことが最も好ましい。また、上記共役ジエンゴムラテックスがカルボキシル基を含有している場合には、カルボキシル基間をイオン架橋するために、本発明の効果を損なわない範囲内で酸化亜鉛を配合しても良い。
ディップ成形品
本発明のディップ成形品は、上述した本発明のディップ成形用ラテックス組成物をディップ成形することにより得ることができる。ディップ成形方法としては、従来公知の方法を採用することができ、たとえば、直接浸漬法、アノード凝着浸漬法、ティーグ凝着浸漬法などが挙げられる。なかでも、均一な厚みを有するディップ成形品が得やすいという点で、アノード凝着浸漬法が好ましい。以下、一実施形態としてのアノード凝着浸漬法によるディップ成形方法を説明する。
まず、ディップ成形型を凝固剤溶液に浸漬して、ディップ成形型の表面に凝固剤を付着させる。ディップ成形型としては、材質は磁器製、ガラス製、金属製、プラスチック製など種々のものが使用できる。型の形状は最終製品であるディップ成形品の形状に合わせたものとすれば良い。たとえば、ディップ成形品が手袋の場合、ディップ成形型の形状は、手首から指先までの形状のもの、肘から指先までの形状のもの等、種々の形状のものを用いることができる。また、ディップ成形型は、その表面には、光沢加工、半光沢加工、非光沢加工、織り柄模様加工などの表面加工が、その表面全体または一部分に施されていてもよい。
凝固剤溶液は、塩析剤などの凝固剤を、水やアルコールまたはそれらの混合物に溶解させた溶液である。塩析剤としては、ハロゲン化金属、硝酸塩、硫酸塩などが挙げられる。
次いで、凝固剤を付着させたディップ成形型を、上述した本発明のディップ成形用ラテックス組成物に浸漬し、その後、ディップ成形型を引き上げ、ディップ成形型にディップ成形層を形成する。
本発明においては、ディップ成形層に加熱処理を施す前に、ディップ成形層を、20〜80℃の温水に0.5〜60分程度浸漬して、水溶性不純物(乳化剤、水溶性高分子、凝固剤など)を除去しておくことが好ましい。
次いで、ディップ成形型に形成されたディップ成形層を加熱し、共役ジエンゴムを架橋させる。加熱時の温度は、好ましくは60〜160℃、より好ましくは80〜150℃とする。温度が低すぎると、架橋反応に長時間要するため生産性が低下するおそれがある。一方、高すぎると、共役ジエンゴムの酸化劣化が促進されて成形品の物性が低下する可能性がある。加熱処理の時間は、加熱処理温度に応じて適宜選択すれば良いが、通常、5分以上、2時間以内である。
次いで、加熱処理により架橋したディップ成形層を、ディップ成形型から脱型し、ディップ成形品を得る。脱型方法は、手で成形型から剥がす方法や、水圧や圧縮空気の圧力により剥がす方法などが採用できる。
脱型後、さらに60〜120℃の温度で、10〜120分の加熱処理(後架橋工程)を行ってもよい。さらに、ディップ成形品の内側および/または外側の表面に、塩素化処理やコーティング処理などによる表面処理層を形成してもよい。
また、本発明のディップ成形品としては、上述のディップ成形型の代わりに、(ディップ成形される)被覆対象物を使用し、被覆対象物をも含むものとしても良い。なお、この場合には、上述の脱型工程は不要である。
本発明のディップ成形品は、上述した本発明のディップ成形用ラテックス組成物を使用するため、厚みを好ましくは約0.05〜約3ミリ、より好ましくは0.05〜0.3ミリと薄層化を実現でき、風合いが良好で引張強度および耐屈曲疲労性に優れ、着色が生じにくく、しかも応力保持率が高く、フィット性に優れている。そのため、本発明のディップ成形品は、たとえば、哺乳瓶用乳首、スポイト、導管、水枕などの医療用品;風船、人形、ボールなどの玩具や運動具;加圧成形用バッグ、ガス貯蔵用バッグなどの工業用品;手術用、家庭用、農業用、漁業用および工業用の手袋;指サック;などに好適に用いることができる。特に、本発明のディップ成形品は、薄手の手術用手袋に好適に用いることができる。なお、成形品を手袋とする場合には、サポート型であっても、アンサポート型であってもよい。
以下に実施例、比較例を挙げて、本発明を具体的に説明する。これらの例中の〔部〕および〔%〕は、特に断わりのない限り重量基準である。ただし本発明は、これらの実施例のみに限定されるものではない。なお、ディップ成形用ラテックス組成物、およびディップ成形品の評価は、下記の方法により行った。
架橋剤の沈殿量
架橋剤の沈殿量は、ディップ成形用ラテックス組成物を、325メッシュの金網でろ過し、金網上に残存した架橋剤の重量を測定し、実際に添加した架橋剤の量に対する、残存した架橋剤の比を、100分率で算出することにより評価した。架橋剤の沈殿量は、少ない方が好ましい。
有機過酸化物の残存有効活性
有機過酸化物の残存有効活性は、反応活性を保持している有機過酸化物によって生成したヨウ素分子を、ヨウ素滴定により、定量することにより測定することにより求めた。具体的には、まず、ディップ成形用ラテックス組成物を固形分で2gとなるように、三角フラスコに計り採り、次いで、メチルエチルケトン・エタノール混合溶液(9:1)40gを加え、ディップ成形用ラテックス組成物を分散/溶解させた。次いで、この溶液に、50%ヨウ化カリウム水溶液を1〜2ml加え十分に攪拌し、その後、冷暗所に10分間放置した。そして、放置後の溶液を、0.01規定のチオ硫酸ナトリウム溶液で滴定し、ヨウ素による茶褐色の消失を滴定の終点とし、反応活性を保持している有機過酸化物の量を求めた。なお、測定に使用したメチルエチルケトン・エタノール混合溶液についてもヨウ素滴定を行い、その数値をブランクとして用いた。
そして、実際に添加した有機過酸化物の量に対する、上記滴定により求めた反応活性を保持している有機過酸化物の量の重量比を100分率で求めて、これを有機過酸化物の残存有効活性(単位は、%)とした。
300%引張応力、引張強度、伸び
得られたゴム手袋(ディップ成形品)から、ASTM D−412に準じてダンベル(Die−C)を用いて、ダンベル形状の試験片を作製した。次いで、この試験片を、引張速度500mm/分で引っ張り、伸び率が300%の時の引張応力(MPa)、破断時の引張強度(MPa)および破断時の伸び(%)を測定した。300%引張応力が小さいほど、風合いに優れている。
応力保持率
ASTM D412−92に従い、前記のように作成したダンベル形状の試験片の両端に速度500mm/分にて引張応力をかけた。そして、試験片の標準区間20mmが2倍(100%)に伸張した時点で伸張を止め、伸張時の引張応力M100(0)を測定し、また、そのまま6分間経過した後の引張応力M100(6)を測定した。M100(0)に対するM100(6)の比を、百分率で算出し、応力保持率とした。応力保持率が好ましくは50%以上であると、フィット性に優れる。
耐屈曲疲労性
得られたゴム手袋(ディップ成形品)を被験者10人が着用し、キーボード入力操作の軽作業を行なった。作業を開始して30分経過する毎に、ゴム手袋の指の股部分を観察し、微小亀裂の発生の有無を確認した。各試験においてゴム手袋に微小亀裂が発生するまでの時間を測定した後、最短および最長の時間を除いた8つのデータ(8人のデータ)を算術平均した値で示す。なお、この着用試験は、最大6時間まで行なった。この時間が長い程、耐屈曲疲労性に優れることを示す。
フィット性(密着性および追随性)
得られたゴム手袋(ディップ成形品)を被験者10人が着用し、キーボード入力操作の軽作業を1時間行ない、1時間の作業後にゴム手袋がフィットしていないと感じた人の人数をカウントし、以下の基準により評価した。
○:フィットしていないと感じた人数が10人中0〜2人
△:フィットしていないと感じた人数が10人中3〜7人
×:フィットしていないと感じた人数が10人中8〜10人
製造例1
重合反応器に、アクリロニトリル22部、1,3−ブタジエン73部、メタクリル酸5部、t−ドデシルメルカプタン0.3部、イオン交換水132部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム3部、β−ナフタリンスルホン酸ホルマリン縮合物ナトリウム塩0.5部、過硫酸カリウム0.3部およびエチレンジアミン四酢酸ナトリウム塩0.05部を仕込み、重合温度を37℃に保持して重合を開始した。重合転化率が60%になった時点で、t−ドデシルメルカプタン0.15部を添加して、重合温度を40℃に昇温し、重合転化率が94%に達するまで反応させた。その後、重合停止剤としてジメチルジチオカルバミン酸ナトリウム0.1部を添加して重合反応を停止した。
得られた共重合体ラテックスから未反応単量体を除去した後、共重合体ラテックスのpHおよび固形分濃度を調整して、固形分濃度40%、pH8のカルボキシ変性ニトリルゴムラテックスAを得た。このラテックスのMEK不溶分は82%であった。
実施例1
ディップ成形用ラテックス組成物
まず、ジベンゾイルパーオキサイド(水分吸着量25%、以下、BPOとする)24部、アニオン性界面活性剤としての直鎖アルキル硫酸ナトリウム0.6部、およびヒドロキシプロピルセルロース9部を、水に加えて、ホモミキサーで回転数7000rpm、30分の条件で、激しく攪拌してBPO濃度が30%のBPO分散液を調製した。
次いで、製造例1で得られたカルボキシ変性ニトリルゴムラテックスA(MEK不溶解分82重量%)に、5%水酸化カリウム水溶液を添加して、pHを7.0に調整するとともに、45℃に加温した。そして、加温した状態のラテックスAに、上記にて調製したBPOの分散液(乳化物)を添加し、次いで、イオン交換水をさらに添加して固形分濃度を30%に調整した後に、温度20℃、4時間の条件で攪拌(熟成)してBPOを均一に分散させ、ディップ成形用ラテックス組成物を調製した。なお、本実施例においては、ラテックス中の固形分100部に対して、BPOが1.0部となるよう添加した。
そして、上記にて得られたディップ成形用ラテックス組成物を、温度30℃の条件下に、1日間保存した。保存後のディップ成形用ラテックス組成物について、上記方法により、架橋剤の沈殿量、および有機過酸化物の残存有効活性の各評価を行った。結果を表1に示す。また、保存後のディップ成形用ラテックス組成物の熟成後のpHを測定したところpH=7であった。
ゴム手袋(ディップ成形品)
次いで、上記にて得られた保存後のディップ成形用ラテックス組成物を使用して、ゴム手袋(ディップ成形品)を、以下の方法により製造した。
まず、硝酸カルシウム20部、ポリエチレングリコールオクチルフェニルエーテル0.05部および水80部を混合した凝固剤水溶液を準備した。次いで、この凝固剤水溶液に、手袋型を5秒間浸漬し、引上げた後、温度50℃、10分間の条件で乾燥して、凝固剤を手袋型に付着させた。そして、凝固剤を付着させた手袋型を、上記にて得られたディップ成形用ラテックス組成物に6秒間浸漬し、引上げた後、温度50℃、10分間の条件で乾燥し、その後、40℃の温水に3分間浸漬して、水溶性不純物を溶出させて、手袋型にディップ成形層を形成した。
次いで、ディップ成形層を形成した手袋型を、温度70℃、10分間の条件で乾燥し、引続いて、温度120℃、20分間の条件で加熱処理してディップ成形層を架橋させ、架橋したディップ成形層を手袋型から剥し、厚みが0.1mmのゴム手袋(ディップ成形品)を得た。得られたゴム手袋(ディップ成形品)について、上記方法により、300%引張応力、引張強度、伸び、応力保持率、耐屈曲疲労性およびフィット性の各評価を行った。結果を表1に示す。
実施例2,3
架橋剤を添加する前の酸変性ニトリルラテックスのpHを、それぞれ8.0(実施例2)、9.0(実施例3)に調整した以外は実施例1と同様にして、ディップ成形用ラテックス組成物、およびゴム手袋(ディップ成形品)を製造した。
実施例4
有機過酸化物溶液を添加した後の熟成時間を10時間に変更した以外は、実施例1と同様にして、ディップ成形用ラテックス組成物およびゴム手袋を製造した。
実施例5
ディップ成形用ラテックス組成物を調製した後の保存時間を1日から6ヶ月に変更した以外は、実施例2と同様にして、ディップ成形用ラテックス組成物およびゴム手袋を製造した。
実施例6,7
架橋剤であるBPOの添加量を、それぞれ2重量部(実施例6)、6重量部(実施例7)に変更した以外は、実施例2と同様にして、ディップ成形用ラテックス組成物およびゴム手袋を製造した。
比較例1,4
架橋剤を添加する前のラテックスのpHを、それぞれ9.5(比較例1)、6(比較例4)に調整した以外は実施例1と同様にして、ディップ成形用ラテックス組成物およびゴム手袋を製造した。
比較例2
架橋剤を添加する前のラテックスのpHを10に調整するとともに、有機過酸化物溶液を添加した後の熟成時間を16時間とした以外は、実施例1と同様にして、ディップ成形用ラテックス組成物およびゴム手袋を製造した。
比較例3
架橋剤を添加する前のラテックスのpHを10に調整するとともに、ディップ成形用ラテックス組成物を調製した後の保存時間を1日から6ヶ月に変更した以外は、実施例1と同様にして、ディップ成形用ラテックス組成物およびゴム手袋を製造した。
比較例5
架橋剤を添加する前のラテックスのpHを9.5に調整するとともに、有機過酸化物溶液を添加した後の熟成時間を2時間とした以外は、実施例1と同様にして、ディップ成形用ラテックス組成物およびゴム手袋を製造した。
Figure 2006321955
表1より、以下のことが確認できる。
架橋剤添加前のpHを9.5とした比較例1は、有機過酸化物の残存有効活性が25%となり、耐屈曲疲労性に劣る結果となった。
架橋剤添加前のpHを10、熟成時間を16時間とした比較例2、架橋剤添加前のpHを10、保存時間を6ヶ月とした比較例3、架橋剤添加前のpHを9.5、熟成時間を2時間とした比較例5は、有機過酸化物の残存有効活性が、それぞれ20%(比較例2)、10%(比較例3)、25%(比較例5)となり、耐屈曲疲労性およびフィット性に劣る結果となった。
架橋剤添加前のpHを6とした比較例4は、架橋剤配合後、1時間でラテックスが凝固してしまい、各測定を行うための組成物および成形品を得ることができなかった。
これに対して、架橋剤添加前のpHを7〜9の範囲とし、有機過酸化物の残存有効活性を本願規定の範囲に制御した実施例1〜7は、300%引張応力、引張強度、伸び、応力保持率、耐屈曲疲労性およびフィット性の各特性に優れる結果となった。なかでも、架橋剤の添加量を本発明の好ましい範囲とした実施例1〜6は、特に優れる結果となった。また、保存時間を6ヶ月とした実施例5の結果より、本発明のディップ成形用ラテックス組成物は、保存安定性にも優れていることが確認できた。

Claims (5)

  1. 共役ジエンゴムラテックスと、有機過酸化物と、を含むディップ成形用ラテックス組成物であって、
    前記ラテックス組成物中に配合された有機過酸化物全量に対する、反応活性を保持している有機過酸化物の残存割合で定義される有機過酸化物の残存有効活性が、35%以上であるディップ成形用ラテックス組成物。
  2. 前記ラテックス組成物のpHが、9以下である請求項1に記載のディップ成形用ラテックス組成物。
  3. 前記有機過酸化物の10時間半減期温度が、150℃以下である請求項1または2に記載のディップ成形用ラテックス組成物。
  4. 前記配合された有機過酸化物の含有量が、前記共役ジエンゴムラテックスの固形分100重量部に対して、0.05〜5重量部である請求項1〜3のいずれかに記載のディップ成形用ラテックス組成物。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載のディップ成形用ラテックス組成物を、ディップ成形して得られるディップ成形品。

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