JP2006318804A - マイクロ波管 - Google Patents

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Abstract

【課題】 所望周波数以外の周波数で生じた帯域外の出力は他の通信機器に影響を及ぼすことがあり、帯域外出力を抑制するため出力部にローパスフィルタ等のフィルタ回路部を設けていた。しかし、フィルタ回路部を設けることにより出力回路が大型・複雑化し、フィルタのアイリスにより放電が起こりやすく大電力に対応できない等の問題があった。
【解決手段】 電子銃部と、電子を収集するコレクタ部と、コレクタ部と電子銃部間に設置された相互作用部と、相互作用部の出力窓から取り出したマイクロ波電力を伝送する同軸伝送線路と、同軸伝送線路の内導体を延長した同軸導波管変換部と、同軸導波管変換部の内導体を収納する導波管部と、導波管部の内壁に沿ってスライドする調整機構を有し、内導体と調整機構間の距離を所望の帯域阻止周波数の1/2管内波長になるようにした。
【選択図】 図2

Description

この発明は、進行波管、クライストロン等のマイクロ管に関するものである。
マイクロ波管は、電子銃部より電子ビームを発射し、相互作用部においてマイクロ波を増幅または発振させ、出力窓よりマイクロ波を取り出す。このマイクロ波は同軸導波管変換部を介して導波管から出力される。この場合、所望周波数出力以外の周波数で生じた帯域外出力(発振や第2高調波等)は他の通信機器に悪影響を及ぼす等の問題がある為、帯域外出力は所定レベル以下に抑制する必要がある。
例えば、特開平5−75308号公報図1(特許文献1参照)では、導波管形フィルタに関し、仮想ショート用ポストを有する帯域通過フィルタに対し、帯域阻止フィルタを組合せ、不要波を減衰除去させている。すなわち、同軸導波管変換部1から距離L1(L1=(λg/4)xn,n=1,3,5,・・・で、λgは通過電波の波長)を隔てて、仮想ショート用ポスト3が設けられ、更に該ポスト3から導波管開口部(金属ブロック4の部分)までの距離をL2(L2=λg’/2、λg’は阻止しようとする電波の波長)に設定して、この部分に不要波に対する帯域阻止フィルタBEFが構成されている。
特開平5−75308号公報(第1図)
しかし、特許文献1に記載のものでは、帯域外出力抑制のため、出力部にバンドパス、またはバンドリジェクションフィルタ機能を持たせるためのポストを設置するため、出力回路が大型化・複雑化したり、放電が起こりやすくなるため大電力に対応できない等の課題もあった。
この発明は、上記のような課題を解消するためになされたもので、ポストと呼ぶ円柱状の構造物やアイリスと呼ぶ板状の構造物を設けることなく、マイクロ波管帯域内の伝送損失(挿入損失・反射損失)を調整すると共に導波管の出力部の調整機構に所定のマイクロ波周波数の帯域外出力を阻止する機能を付加したマイクロ波管を提供することを目的とする。
請求項1の発明に係るマイクロ波管は、電子ビームを生成する電子銃部と、この電子銃部から放出された電子を収集するコレクタ部と、このコレクタ部と前記電子銃部間に設置され、マイクロ波と電子ビームとの高周波増幅を行なう相互作用部と、この相互作用部の出力側の出力窓から取り出したマイクロ波電力を同軸伝送する同軸伝送線路と、この同軸伝送線路の出力端に位置し、同軸伝送線路の内導体を延長した同軸導波管変換部と、この同軸導波管変換部の内導体を収納し、一端をマイクロ波電力を放射する開放端とし、対向する他端を短絡端とする導波管部と、この導波管部の前記短絡端に設けられ、前記導波管部の内壁に沿ってスライドする密閉壁を有し、前記密閉壁の内壁面と前記内導体との距離を所望の帯域阻止周波数の1/2管内波長になるように挿設された調整機構とを備えたものである。
請求項2の発明に係るマイクロ波管は、前記調整機構は、前記内壁面の中心領域を窪ませ、この窪み部と前記内導体が位置する前記内壁面との平行面距離を帯域阻止周波数の1/2管内波長にすると共に前記内壁面の中心領域以外と、前記内導体が位置する前記内壁面との平行面距離を前記帯域阻止周波数の1/2管内波長より短くしたことを特徴とする請求項1に記載のものである。
請求項3の発明に係るマイクロ波管は、前記調整機構は、前記内壁面の中心領域を突出させ、この突出部と前記内導体が位置する前記内壁面との平行面距離を帯域阻止周波数の1/2管内波長にすると共に前記内壁面の中心領域以外と、前記内導体が位置する前記内壁面との平行面距離を前記帯域阻止周波数の1/2管内波長より長くしたことを特徴とする請求項1に記載のものである。
請求項4の発明に係るマイクロ波管は、前記調整機構は、前記内壁面の窪み部に誘電体を装着したことを特徴とする請求項2に記載のものである。
請求項5の発明に係るマイクロ波管は、前記調整機構は、前記内壁面の突出部を除く領域に誘電体を装着したことを特徴とする請求項3に記載のものである。
以上のように、請求項1に係る発明によれば、所定のマイクロ波周波数の帯域外出力を抑制するので発振や高調波による他の通信機器に与える影響を軽減し、大電力のマイクロ波伝送が可能である。
また、導波管の出力部(出力回路)にポストやアイリスを使用しないので大電力が伝送されても放電現象が発生しない利点がある。
請求項2に係る発明によれば、調整機構に窪み部を設けることにより所望の帯域阻止周波数を得ると共に帯域阻止周波数を上限側に移行させることができるので帯域阻止周波数バンドを拡大できる利点がある。
請求項3に係る発明によれば、調整機構に突出部を設けることにより所望の帯域阻止周波数を得ると共に所望の帯域周波数を下限側に移行させることができるので帯域阻止周波数バンドを拡大できる利点がある。
請求項4に係る発明によれば、窪み部に誘電体を付加することにより所望の帯域阻止周波数を得ると共に帯域阻止周波数を上限側に移行させることができるので帯域阻止周波数バンドを拡大できる利点があり、且つ帯域阻止周波数バンドの微調整が可能である。
請求項5に係る発明によれば、突出部を除く領域に誘電体を付加することにより所望の帯域阻止周波数を得ると共に帯域阻止周波数を下限側に移行させることができるので帯域阻止周波数バンドを拡大できる利点があり、且つ帯域阻止周波数バンドの微調整が可能である。
実施の形態1.
以下、この発明の実施の形態1について図1を用いて説明する。図1は、実施の形態1によるマイクロ波管の正面構成図であり、図1において1は電子ビームを生成する電子銃部、2は電子銃部から放出された電子を収集するコレクタ部、3は電子銃部1とコレクタ部2間に設置され、マイクロ波と電子ビームとの高周波増幅を行なう相互作用部、4は相互作用部3に入力されたマイクロ波を出力として取り出す出力窓、5は取り出されたマイクロ波電力を同軸伝送する同軸伝送線路、6は同軸伝送線路5の外導体、7は同軸伝送線路5の内導体である。
8はマイクロ波管の出力回路に相当する導波管部であり、8aはマイクロ波電力を外部もしくは次段回路に電力伝送する導波管部8の開放端(放射端)、8bは導波管部8の開放端8aの反対側に位置する短絡端、9は同軸伝送線路5の内導体7を延長し内導体7を導波管部8の上壁と接続すると共に同軸伝送線路5の外導体6を共通アースとした同軸導波管変換部、10は導波管部8の短絡端8bに挿設された調整機構である。
また、図2は、実施の形態1によるマイクロ波管の平面構成図であり、図2において10aは導波管部8の短絡端8b近傍の空洞部を密閉し、スライドする調整機構10の内壁である。 また、L1は内壁10aのスライド面と直交する内壁10aと内導体7中心との距離を示す。図3は実施の形態1によるマイクロ波管の導波管部8の透視図であり、調整機構10の具体的な形状を示したものである。なお、図1〜図3中、同一符号は、同一又は相当部分を示す。
次に動作について説明する。図1において、マイクロ波管の相互作用部3にて増幅されたマイクロ波は、出力窓4から出力され、同軸伝送線路5を経由して、導波管部8の接続部(同軸導波管変換部9)を経て導波管部8の開放端8aから電磁波として放射される。同軸導波管変換部9は一例として、同軸伝送線路5の内導体7と導波管部8とをネジ止めによって接続固定される。
放射端(開放端)8aの反対側には可動式の調整機構10が設置されており、所定のマイクロ波周波数帯域内の反射損失および阻止したい帯域外周波数の挿入損失を調整するので調整機構10は調整後ネジ止めなどにより固定する。調整機構10をネジ止め構造にすることにより、調整機構10を別形状のものに取り換えることを考慮している。調整は、同軸導波管伝送線路5から延長された内導体7と調整機構10の内側壁面(内壁面)との距離LIを調整することで行なわれる。
具体的には、阻止したい周波数に対応する管内波長λgに対して、L1=λg/2とすることにより阻止したい周波数に対応した共振が起こる為、所望の周波数の挿入損失を大きくすることができる。図4にマイクロ波のX帯(Xバンド)における帯域阻止周波数と挿入損失(S21)との関係を示す。図4では0.2dB程度の挿入損失を有し、下方周波数である所定のマイクロ波通過帯域に対して、通過帯域上方に所望の帯域阻止周波数が設定され、約28dBの挿入損失となっており、且つ一定の急峻な周波数阻止帯域幅を保持している。
実施の形態2.
この発明の実施の形態2について図5を用いて説明する。図5は、実施の形態2によるマイクロ波管の平面構成図であり、図5において20は窪みを設けた内壁面を有する調整機構であり、20aは導波管部8の短絡端8b近傍の空洞部を密閉し、スライドする調整機構20の凹型形状の内壁である。 また、L1は内壁20aのスライド面と直交する内壁20aの窪み部と内導体7中心との距離を示す。L2は窪んでいない内壁20aと内導体7中心との距離を示す。図6は実施の形態2によるマイクロ波管の導波管部8の透視図であり、調整機構20の具体的な形状を示したものである。なお、図5中、図2と同一符号は、同一又は相当部分を示す。
本実施の形態2では調整は、同軸導波管伝送線路5から延長された内導体7と調整機構20の内壁20aの窪み部との距離LIを調整することで行なわれる。
具体的にはL1を阻止したい周波数とする。すなわち、L1=λg/2とし、L2をλg/4より大きな距離、例えばL1の70%程度の距離とすることにより、L1とL2に対応した共振が起こるため、2種の帯域阻止周波数が得られる。しかし、本実施例では特定の帯域阻止周波数の近傍の周波数を阻止帯域としたいのでL1とL2とは接近した距離とする。従って挿入損失は小さくなるものの帯域阻止バンドが広がったものとなる。図7にマイクロ波のXバンドにおける帯域阻止周波数と挿入損失(S21)との関係を示す。図7では0.2dB程度の挿入損失を有し、下方周波数である所定のマイクロ波通過帯域に対して、通過帯域上方に所望の帯域阻止周波数が設定され、約20dBの挿入損失となっており、且つ所望の帯域阻止周波数に対して上限側に幅広の周波数阻止帯域を保持している。
実施の形態3.
この発明の実施の形態3について図8を用いて説明する。図8は、実施の形態3によるマイクロ波管の平面構成図であり、図8において30は突出部を設けた内壁面を有する調整機構であり、30aは導波管部8の短絡端8b近傍の空洞部を密閉し、スライドする調整機構30の凸型形状の内壁である。 また、L1は内壁30aのスライド面と直交する内壁30aの窪み部と内導体7中心との距離を示す。L2は窪んでいない内壁30aと内導体7中心との距離を示す。図9は実施の形態3によるマイクロ波管の導波管部8の透視図であり、調整機構30の具体的な形状を示したものである。なお、図8中、図2と同一符号は、同一又は相当部分を示す。
本実施の形態3では調整は、同軸導波管伝送線路5から延長された内導体7と調整機構30の内壁30aの突出部との距離LIを調整することで行なわれる。
具体的にはL1を阻止したい周波数とする。すなわち、L1=λg/2とし、L2をλλg・3/4より小さい距離、例えばL1の120%までの値とすることにより、L1とL2に対応した共振が起こるため、2種の帯域阻止周波数が得られる。しかし、本実施例では特定の帯域阻止周波数の近傍の周波数を阻止帯域としたいのでL1とL2とは接近した距離とする。従って挿入損失は小さくなるものの帯域阻止バンドが広がったものとなる。図10にマイクロ波のXバンドにおける帯域阻止周波数と挿入損失(S21)との関係を示す。図10では0.2dB程度の挿入損失を有し、下方周波数である所定のマイクロ波通過帯域に対して、通過帯域上方に所望の帯域阻止周波数が設定され、約25dBの挿入損失となっており、且つ所望の帯域阻止周波数に対して下限側に幅広の周波数阻止帯域を保持している。
実施の形態4.
実施の形態1乃至3では主として出力回路に矩形導波管を用いたマイクロ波管で説明を行なったが、実施の形態4では矩形導波管以外の導波管を使用した場合について説明する。
この発明の実施の形態4について図11を用いて説明する。図11は、実施の形態4によるマイクロ波管の調整機構を含む導波管部の外観透視図であり、図11において70は同軸伝送線路から延長された内導体、80は円形(楕円形)導波管の導波管部、80aは開放端、80bは短絡端、40は周囲に円形(楕円形)の窪みを設けた内壁面を有する調整機構であり、40aは導波管部80の短絡端80b近傍の空洞部を密閉し、スライドする調整機構40の内壁である。また、100はスライドする調整機構40を導波管部80と固定する周囲からネジ止めするネジである。動作については実施の形態3に準ずるので説明を省略する。
なお、実施の形態1乃至4において調整機構の固定にはネジ止め以外にUV樹脂などによる接着法を利用しても良く、導波管部の密閉を保つために導波管壁とスライドする調整機構との隙間に導電性樹脂を充填させても良い。
また、調整機構に凸凹を設け2種の帯域阻止周波数を設定するにあたり、互いに近接した帯域阻止周波数の場合には、窪み部の長さ(L1−L2)が0.2mm以下になる場合があるので、図12に示すように窪み領域にセラミックや石英材などの比較的誘電率の高い誘電体200を装填(装着)することにより、管内波長の短縮を図り、機械加工する窪み部の長さを大きくすることにより加工精度のばらつきに起因する所望の帯域阻止周波数から外れることを防止し安定した帯域阻止周波数を得ることができると共に誘電体の挿入の有無による帯域阻止周波数設定の微調整が可能になるという利点もある。
この発明の実施の形態1によるマイクロ波管の正面構成図である。 この発明の実施の形態1によるマイクロ波管の平面構成図である。 この発明の実施の形態1によるマイクロ波管の導波管部の透視図である。 この発明の実施の形態1によるマイクロ波管の帯域阻止周波数と挿入損失との関係を示す図である。 この発明の実施の形態2によるマイクロ波管の平面構成図である。 この発明の実施の形態2によるマイクロ波管の導波管部の透視図である。 この発明の実施の形態2によるマイクロ波管の帯域阻止周波数と挿入損失との関係を示す図である。 この発明の実施の形態3によるマイクロ波管の平面構成図である。 この発明の実施の形態3によるマイクロ波管の導波管部の透視図である。 この発明の実施の形態3によるマイクロ波管の帯域阻止周波数と挿入損失との関係を示す図である。 この発明の実施の形態4による導波管部の外観透視図である。 マイクロ波管の調整機構の窪み部に誘電体を装着した場合の説明図である。
符号の説明
1 電子銃部、 2 コレクタ部、 3 相互作用部、 4出力窓、 5同軸伝送線路、 6 外導体、 7 内導体、 8 導波管部、 8a 開放端、 8b 短絡端、 9 同軸導波管変換部、 10 調整機構、 10a 内壁、 20 調整機構、 20a 内壁、 30 調整機構、 30a 内壁、 40 調整機構、 40a 内壁、 70 内導体、 80 導波管部、 80a 開放端、 80b 短絡端、 100 ネジ、 200 誘電体。

Claims (5)

  1. 電子ビームを生成する電子銃部と、この電子銃部から放出された電子を収集するコレクタ部と、このコレクタ部と前記電子銃部間に設置され、マイクロ波と電子ビームとの高周波増幅を行なう相互作用部と、この相互作用部の出力側の出力窓から取り出したマイクロ波電力を同軸伝送する同軸伝送線路と、この同軸伝送線路の出力端に位置し、同軸伝送線路の内導体を延長した同軸導波管変換部と、この同軸導波管変換部の内導体を収納し、一端をマイクロ波電力を放射する開放端とし、対向する他端を短絡端とする導波管部と、この導波管部の前記短絡端に設けられ、前記導波管部の内壁に沿ってスライドする密閉壁を有し、前記密閉壁の内壁面と前記内導体との距離を所望の帯域阻止周波数の1/2管内波長になるように挿設された調整機構とを備えたマイクロ波管。
  2. 前記調整機構は、前記内壁面の中心領域を窪ませ、この窪み部と前記内導体が位置する前記内壁面との平行面距離を帯域阻止周波数の1/2管内波長にすると共に前記内壁面の中心領域以外と、前記内導体が位置する前記内壁面との平行面距離を前記帯域阻止周波数の1/2管内波長より短くしたことを特徴とする請求項1記載のマイクロ波管。
  3. 前記調整機構は、前記内壁面の中心領域を突出させ、この突出部と前記内導体が位置する前記内壁面との平行面距離を帯域阻止周波数の1/2管内波長にすると共に前記内壁面の中心領域以外と、前記内導体が位置する前記内壁面との平行面距離を前記帯域阻止周波数の1/2管内波長より長くしたことを特徴とする請求項1記載のマイクロ波管。
  4. 前記調整機構は、前記内壁面の窪み部に誘電体を装着したことを特徴とする請求項2記載のマイクロ波管。
  5. 前記調整機構は、前記内壁面の突出部を除く領域に誘電体を装着したことを特徴とする請求項3記載のマイクロ波管。
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