JP2006307320A - 焼結鉱の製造方法 - Google Patents

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孝一 市川
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Abstract

【課題】生産性を低下させることなく、焼結鉱の焼結パレット幅方向両端部の焼結鉱の歩留まりを向上させて、焼結鉱全体の歩留まりを改善できる、焼結鉱の製造方法を提供すること。
【解決手段】焼結原料を焼結パレット上に充填した焼結原料層を焼成して焼結鉱を製造する際に、焼結パレットの幅方向両端部の焼結原料層上部に炭材を装入する方法であって、焼結原料層上部に装入される炭材が、焼結パレットの端部から200mm以上の範囲まで、かつ焼結パレットの端部から700mm以下の範囲までに装入されて、焼結原料の少なくとも一部と焼結原料層上部に装入された炭材とを混合状態とした混合層を形成した後に焼成することを特徴とする焼結鉱の製造方法を用いる。焼結パレットの幅方向両端部の焼結原料層上部に炭材を装入した後に焼結原料層表面を平坦化することで混合層を形成し、混合層の厚さが50mm以下であることが望ましい。
【選択図】図1

Description

本発明は、高炉等の主原料として用いられる焼結鉱の製造方法に関し、特にドワイトロイド式焼結機を用いて焼結鉱を製造する方法に関するものである。
高炉の主原料である焼結鉱は、一般に以下のようにして製造される。まず、粉鉄鉱石、炭材、CaO含有副原料等を配合した焼結原料を、ドワイトロイド式焼結機の焼結パレット上に所定の厚さに充填し、この充填された焼結原料層の表層部の炭材に着火後、下方に向けて空気を吸引しながら焼結原料層内部の炭材を燃焼させ、その燃焼熱により焼結原料を焼結させて焼結ケーキとする。そして、この焼結ケーキを粉砕・整粒することにより、粒径が数mm以上の焼結鉱が得られる。
焼結パレットの幅方向両端部に位置するサイドウォール(以下、側壁として記載する。)近傍は、焼結原料の充填性が低いためガス流速が速く、焼成過程における冷却速度が焼結パレット幅方向の中央部に比較して速くなる。このため、側壁近傍においては、焼結鉱の焼成歩留まりが中央部に比較して急激に低下し、生産性が低下する原因となっている。
このような問題を解決するために、熱源である炭材を焼結パレット上の側壁近傍の焼結原料に増配して、側壁部から製造される脆弱な焼結鉱の強度を向上させ、歩留まりを向上させる、下記(a)〜(c)の方法が提案されている。
(a)、焼結パレット上の焼結原料の上層部の固体燃料(炭材)の配合量を下層部より多くする(例えば、特許文献1、特許文献2参照。)。全体として焼結鉱の強度が上がるため、側壁部の歩留まりも向上する。
(b)、焼結原料用ホッパとは別に設置した炭材添加装置から、側壁近傍表面部(側壁より150〜500mmの領域に、5〜10kg/t・s)に炭材(コークス)を添加する(例えば、特許文献3参照。)。
(c)、焼結原料層表面に溝を形成して、その溝の中に炭材を装入する(例えば、特許文献4参照。)。
特開平10−330854号公報 特開2000−256757号公報 特開昭64−52029号公報 特開平2−301525号公報
しかし、上記の従来技術には、以下のような問題がある。
上記(a)において、焼結パレット上の焼結原料の上部全面に炭材(コークス)を装入すると、焼結パレット全幅においてコークス燃焼帯の厚さが増大するため、ガスが通過する際の通気抵抗が増大する。これにより、通気性が悪化して、焼成が遅延する。また、コークスの燃焼を完了させるのに必要な空気原単位が増大するので、必要空気量を焼結原料層に吸引するための時間が長時間化して、焼結時間が長時間化する。したがって、焼結鉱製造の生産性は低下する。
上記(a)に比較して、上記(b)においては、焼結原料層の側壁近傍の幅方向両端部表面のみにコークスを装入するので、通気性の悪化をある程度抑制できる。しかし、コークスの装入量が多く、焼結原料の粉鉄鉱石の昇温に有効に寄与していないコークスの比率が高いため、全体として焼結鉱製造の生産性は低下する。
上記(c)については、焼結原料層表面に形成した溝に炭材を装入するため、溝を形成した部分と溝が形成されていない部分とで焼ムラが発生し、溝を形成しなかった部分ではほとんど歩留まりが改善されない。
したがって本発明の目的は、このような従来技術の課題を解決し、生産性を低下させることなく、焼結鉱の焼結パレット幅方向両端部の焼結鉱の歩留まりを向上させて、焼結鉱全体の歩留まりを改善できる、焼結鉱の製造方法を提供することにある。
このような課題を解決するための本発明の特徴は以下の通りである。
(1)焼結原料を焼結パレット上に充填した焼結原料層を焼成して焼結鉱を製造する際に、前記焼結パレットの幅方向両端部の前記焼結原料層上部に炭材を装入する方法であって、該焼結原料層上部に装入される炭材が、前記焼結パレットの端部から200mm以上の範囲まで、かつ前記焼結パレットの端部から700mm以下の範囲までに装入されて、前記焼結原料の少なくとも一部と前記焼結原料層上部に装入された炭材とを混合状態とした混合層を形成した後に焼成することを特徴とする焼結鉱の製造方法。
(2)焼結パレットの幅方向両端部の焼結原料層上部に炭材を装入した後に前記焼結原料層表面を平坦化することで混合層を形成し、該混合層の厚さが50mm以下であることを特徴とする(1)に記載の焼結鉱の製造方法。
(3)焼結原料層上部に装入する炭材量が、焼結原料層表面において1.5〜15kg/m2となるように炭材を装入することを特徴とする(1)または(2)に記載の焼結鉱の製造方法。
(4)焼結原料層の上部表面に板状部材を、該板状部材の下端部を焼結原料層の上部表面に接触させるように配置することで、混合層の形成を行なうことを特徴とする(1)ないし(3)のいずれかに記載の焼結鉱の製造方法。
(5)板状部材が焼結パレットの幅方向両端部の炭材装入位置に、焼結原料層の上部表面に対して20〜50°の俯角をなして、前記板状部材の下端部により前記焼結原料層表面に加えられる力が前記板状部材の長さ方向について、0.49〜1.96N/cmとなるように配置することを特徴とする(4)に記載の焼結鉱の製造方法。
(6)焼結パレットの進行方向下流側から見た板状部材がハの字形状に、かつ、前記板状部材の水平長さ方向と焼結パレット幅方向との角度が20〜35°になるように配置することを特徴とする(4)または(5)に記載の焼結鉱の製造方法。
(7)板状部材が、水平方向に分割して設置した複数の分割ゲートからなり、該分割ゲートの開度を調整することで焼結原料層の上部表面に対する前記分割ゲートの俯角を各分割ゲート毎に制御することを特徴とする(4)ないし(6)のいずれかに記載の焼結鉱の製造方法。
(8)焼結パレット進行方向に対して、板状部材の上流側および/または下流側に櫛状部材を配置して、該櫛状部材により焼結原料層表面を焼結パレット幅方向に20〜100mmの間隔で、30〜70mmの深さまで混合することを特徴とする(4)ないし(7)のいずれかに記載の焼結鉱の製造方法。
本発明によれば、従来の焼結鉱の製造よりもコークスの使用量を低減させることができ、焼結鉱を生産性を低下させることなく歩留まりを向上させて製造することが可能となり、焼結鉱の生産量を増大させることができる。
本発明では、焼結原料を焼結パレット上に充填した焼結原料層を焼成して焼結鉱を製造する際に、側壁近傍である焼結パレットの幅方向両端部においては焼結原料の充填性が低いためガス流速が速く、焼成過程における冷却速度が焼結パレット幅方向の中央部に比較して速くなり焼結鉱の焼成歩留まりが低下する問題を、焼結パレットの幅方向両端部に位置する焼結原料層上部に炭材を装入することで解決する。本発明方法を用いれば、側壁近傍の焼結原料層をガスが通過する際の通気抵抗を増大させて、燃焼帯を厚くする一方で、適正なガス速度である焼結パレットの中央部には影響を与えることがないため、焼結原料層全体の通気抵抗の増大は抑制されて生産率を低下させることがない。
また、焼結パレットの幅方向両端部に位置する焼結原料層上部に炭材を装入する際には、焼結パレットの端部から200mm以上の範囲まで、かつ前記焼結パレットの端部から700mm以下の範囲までに装入する。すなわち、少なくとも側壁部分から200mmの位置から側壁部までの範囲に炭材を装入し、最大で側壁部分から700mmの位置から側壁部までの範囲に炭材を装入する方法である。焼結原料層上部に炭材を装入する範囲を上記の範囲に制限した理由は、焼結鉱の歩留まりの分布を調べた結果、側壁から700mmまでの範囲が歩留まりが低下する実質的な領域の最大幅であり、側壁から700mmを超える範囲にまで炭材を装入すると焼結原料層の表面に対する比率が30%を超えて大きくなり、通気抵抗が増大するため生産性が低下するからである。一方で、側壁から200mm未満までの範囲にしか炭材が装入されていないと、炭材を装入した効果が小さく、歩留まり改善効果が得られない。
さらに、焼結原料の少なくとも一部と焼結原料層上部に装入された炭材とを混合状態とした混合層を形成した後に焼成する。焼結原料層の表面部の原料鉱石と炭材とが混合された混合層を形成すると、炭材の発生熱量が有効に鉱石に伝達されるため、焼結原料層の表面に単に炭材を装入して積層する場合に比較して、焼結原料層上部に装入する炭材の量を抑制することができる。
混合層は、焼結パレットの幅方向両端部の焼結原料層上部に炭材を装入した後に前記焼結原料層表面を平坦化することで形成することが望ましい。焼結原料層上部に炭材を装入した後、均し板等を用いて焼結原料層上部を平坦化する際に焼結原料と炭材とが混合されるので容易に混合層を形成することが可能である。
混合層の厚さは、50mm以下とすることが好ましい。焼結原料層の表面部において、深さ50mmまでは、点火炉において昇温されて点火可能な領域であり、点火炉で点火された後は燃焼が炭材(コークス)の昇温がネックとなる化学反応律速ではなく、酸素の拡散律速領域に入るため炭材の安定した燃焼が可能である。焼結原料層表面上において炭材単体で燃焼する場合と異なり、鉄鉱石粒子は炭材燃焼による輻射熱も受けて昇温されるため、鉄鉱石を効率よく高温に保持することが可能となる。このため、焼結原料層上部に混合層を形成することなく炭材を装入する場合に比較して炭材の装入量を抑制することができる。また、混合層の形成深さを50mm以上の領域まで広げると、表面装入した炭材の、表面における原料鉱石単位質量あたりの濃度が希釈され、十分な高温まで昇温することができなくなる。これを補うために、炭材の装入量自体を増大させると、通気性を悪化させるため混合層の厚さは50mmを上限とすることが望ましい。
さらに、焼結原料層上部に装入した炭材量が、焼結原料層表面において1.5〜15kg/m2となるように炭材を装入することが望ましい。炭材量が15kg/m2超であると、炭材の燃焼による燃焼帯の厚さが、過剰に増大するため、焼成完了が延長されて生産性が低下するとともに、経済性も悪化する。炭材量が1.5kg/m2未満の場合は、炭材の燃焼による高温保持効果が小さすぎて、歩留まり改善効果が得られない。
焼結原料層上部に装入される炭材は、焼結原料に用いる炭材と同じものを用いることが望ましく、粉コークスを用いることが適当である。また、焼結原料として、粉鉄鉱石、副原料、炭材を造粒して擬似粒子化したものも、好適に用いることができる。
次に、本発明方法を実施するのに好適な装置について説明する。本発明方法の実施には、焼結原料層上部に炭材を装入する装置と、装入した炭材を均して焼結原料層表面を平坦化し、先に装入された焼結原料層上部の焼結原料と炭材とを混合する装置とを用いることが効果的である。
炭材を焼結原料層上部に装入する際の装入装置の形式は特に限定されないが、焼結原料層の両端部に各々直接炭材を装入する方式や、焼結原料層中央部から焼結原料層の両側に分岐させて装入する方式を用いることができる。焼結原料層中央部から焼結原料層の両側に分岐させて装入する方式の一実施形態を図1に示す。
図1は焼結機の原料装入部分を示し、焼結原料は焼結原料装入ホッパ1からロールフィーダ2を用いて焼結パレット上に装入して、焼結原料層3を形成する。焼結原料層3の表面上に、炭材装入装置4を用いて炭材を焼結原料層3の両端部に装入する。図中に矢印でラインの進行方向(焼結パレットの進行方向)を示す。炭材装入装置の下流側に、均し装置5を設置する。
均し装置5としては、例えば図2に示すように板状の部材を用い、図中に矢印で示す焼結原料層3の進行方向に対して俯角をなすように、焼結原料層3の表面上に板状の部材の一端部を載せるように設置する。このように板状部材5を設置することで、焼結原料層3の表面部分(図2のZの部分)で炭材6と焼結原料とを攪拌して混合状態とし、焼結原料層3の表面上に焼結原料と炭材との混合層7を形成する。装入した炭材を焼結原料の粒子の間に押し込む、あるいは攪拌しながら焼結原料の粒子間に位置させるために、板状部材は水平から10度〜30度程度上に向いた角度(俯角)を有し、さらに板状部材が焼結原料層3と接触する部分に焼結原料と炭材との混合を促進するための突起部を有することが望ましい。
以上のようにして焼結パレットの幅方向両端部の焼結原料層上部に炭材を装入することができるが、次に、焼結原料と炭材とを一部混合状態とするための均し装置として板状部材を用いた場合について詳しく説明する。
本発明者等は、焼結原料層表面に装入する炭材を、焼結原料と一部混合状態とするために用いる均し装置としては、板状部材を用いることが好ましく、コークスと焼結原料とが一部混合状態となるためには、板状部材が焼結原料層表面に対して適正な俯角を有し、原料層表面を押えつける適切な荷重があることを実験から見出した。図11に焼結原料層表面部分のパレット進行方向の垂直断面図を示す。図11に示すように、俯角αは板状部材5の水平方向からの角度であり、板状部分5が水平面に対してパレット進行方向に向かって成す角度として定義する。図11中の矢印は焼結パレットの進行方向を示す。図12は焼結パレットを上から見た場合の概略図であり、図中の矢印は焼結パレットの進行方向を示す。図12に示すように板状部材5の下端において焼結原料層表面では焼結パレット幅方向に線状に載荷される(線状載荷部分10)が、線状に載荷された長さ方向において1cmあたりの載荷量が0.05kg(板状部材の下端部により焼結原料層表面に加えられる力が板状部材の長さ方向について0.49N/cm)未満では、炭材は焼結原料層表面と混合されることなく板状部材の下をすり抜ける。線状に載荷された長さ方向において1cmあたりの載荷量が0.2kg(板状部材の下端部により焼結原料層表面に加えられる力が板状部材の長さ方向について1.96N/cm)超えでは、焼結原料層表面に載った炭材を板状部材が下流側(給鉱部側)に掻き退けて混合層が形成されずに、板状部材の横へ炭材を排除してしまうため、目的とした焼結パレット両端部へ炭材が装入されない。また、板状部材の下端部により焼結原料層表面に加えられる力が板状部材の長さ方向について、0.49〜1.96N/cm(載荷量が1cmあたり0.05〜0.2kg)であっても、板状部材の俯角が過大であると炭材は掻き退けられるし、過小であると板状部材の下を単にすり抜ける。実験の結果、俯角は20〜50°とすることが好ましく、特に好ましくは30〜45°とする。このように、炭材と焼結原料層の混合を達成するには板状部材の配置角度と載荷量を適正範囲に調整する必要がある。載荷量は板状部材の板自重によるものであっても良いし、焼結原料面と触れる部分の板上面に錘を付けて調整しても良い。
一方で、炭材を幅方向に均一に焼結原料層の表面に落下分散させることは、現実的には制約が多く困難であり、落下した近傍の一定幅部分に濃化することが多い。このため、板状部材は焼結原料層との混合機能のみならず、パレット両端の望んだ幅領域に均一に分散させる機能を有することが望ましい。本発明者等は炭材の装入位置を焼結パレットの端部から一定距離内側として落下させ、板状部材で焼結パレット端部まで分散させていくことで均一分散を可能とした。板状部材は焼結パレットの両端部側に、焼結パレットの進行方向下流側上空から見た際にハの字形状になるように、かつ、板状部材の水平長さ方向と焼結パレット幅方向との角度が20〜35°になるように配置することが好ましい。図13は焼結パレットを上から見た場合の概略図であり、図中の矢印は焼結パレットの進行方向を、点線の矢印は焼結パレットの幅方向を示す。図13において、板状部材5のパレット端部側をパレット幅方向からパレット進行方向側に20〜35°の角度β傾斜させて配置することにより、炭材をパレット内側から端部に向けて順次分散していき、望んだパレット端部の領域全域に分散することができる。傾斜角度βを、以下「パレット幅方向からの角度」と記載する。パレット幅方向からの角度が20°未満では焼結パレットの端部まで分散できず、35°より大きい場合は炭材の大部分を端部まで排除してしまい、炭材装入位置近傍では炭材が残留しない場合がある。
さらに、焼結原料層の焼結パレット両端部は原料の装入が不安定になりやすく表面形状が平坦でないという問題がある。一枚の連続した板状部材を用いると、焼結原料層の表面の最も高い位置部分のみと接触して、低い部分の焼結原料層表面に板状部材の下端部が接触せずに、炭材を原料相中に混合することが出来ない場合がある。このような問題を解決するために、板状部材を水平方向で分割して、複数の開閉自在の分割ゲートとして構成し、各分割ゲートの開度を調整することで焼結原料層の上部表面に対する板状部材の俯角を各分割ゲート毎に制御することが好ましい。板状部材の全部を分割してもよいが、図14に示すように、原料層表面に接する下側部分のみを分割ゲート12として分割し、分割された板の各々が原料層表面の高さに応じて俯角を調整する構成とすることもできる。図14は板状部材を10分割した場合の一実施形態である。各分割ゲートは、俯角を自律調整して焼結原料層表面に接触させることが好ましい。
板状部材の分割数は、2分割から可能であるが、現実的には4〜10分割程度とすることが好ましい。分割数が少ないと、1箇所の焼結原料層表面凸部に応じて分割ゲートの開度が大きくなり、1つの分割ゲートのうちで焼結原料層表面と接しない部分が増大して、表面コークスを幅方向に分散しないままに焼結パレット後方に流出させる傾向が大きくなる。逆に分割数が多いと、各分割ゲートの間隙から焼結パレット進行方向へ流失して焼結パレット端部まで分散しない炭材量が増大する。分割ゲートの水平方向の幅、および長さは全ての分割ゲートで同じである必要はなく、焼結パレット端部の焼結原料層の表面形状の特徴に応じて変えることができる。例えば、焼結原料層表面が、焼結パレット端部で内側よりも低くなり易い場合、板状部材の焼結パレット端部側の分割ゲートは内側の分割ゲートより長くするのが適正である。
さらに好ましくは、焼結パレット進行方向に対して、板状部材の上流側および/または下流側に櫛状部材を配置する。焼結原料層の一部と炭材の混合効果を増大させることで、焼結鉱の歩留がさらに向上する。上記の板状部材では、焼結原料層の表面下30mmの厚さまでは安定的に炭材と焼結原料層の混合が可能であるが、焼結原料層表面の凹凸が多いと50mmの厚さまでの混合は十分といえない場合も生じる。そこで表面下50mm厚まで安定的に混合層とするために、板状部材に加えて、櫛状部材を配置して、焼結原料層表面近傍での炭材の混合性を向上させることで、更なる歩留向上を達成する。櫛状部材としては、例えば図15に示すような装置を用いることができる。図15(a)は櫛状部材13の平面図、(b)は正面図であり、例えば直径8mmの櫛棒14を50mm間隔で配置して、焼結原料層を表面下50mm程度まで混合することを可能とする。櫛状部材の櫛棒の間隔は20〜100mmとすることが好ましい。100mmを超えた間隔とすると櫛による混合部分が少ないために効果が現れ難く、一方、20mm未満では櫛棒間への原料付着による閉塞が著しく増大して焼結原料を混合せず、逆に焼結原料層表面を削り取って装入した炭材を焼結パレット端から外へ排除したり、大きな凸部を形成して焼成を悪化させる場合がある。また、櫛状部材により混合する深度は、板状部材の安定的混合領域よりも深い位置で混合することが望ましいため、30mm以上とすることが望ましく、50mm深度まで確実に混合するためには、焼結原料層内では70mm程度まで櫛状部材を到達させることが好ましい。したがって、櫛状部材により焼結原料層表面を焼結パレット幅方向に20〜100mmの間隔で、30〜70mmの深さまで鋤き込んで混合することが好ましい。なお、特許文献4に記載の技術では、焼結機上流側のスリット形成棒で形成したスリット内にのみ粉状炭化物質を装入するので、スリット間の部位ではコークス濃度は上がらず、焼結操業時、昇温作用を発揮しないが、本発明ではコークスを装入した帯状部分全体を均し装置で表面混合しており、かつ、櫛棒の間隔も十分短くしているため、櫛棒間でもコークスが混合され帯状の全部分にコークスを含有することになり、有効に昇温される。板状部材と櫛状部材とを用いる場合の一実施形態を図16に示す。図16は焼結パレットの平面図で、矢印は焼結パレットの進行方向であり、この場合は櫛状部材13は板状部材5の下流側に配置されている。
ドワイトロイド式焼結機を用い、図1に示す装置と同様の装置を設置した設備を用いて焼結鉱の製造を行なった。表1に焼結原料とその化学組成とを、表2に焼結原料の配合比率を示す。
Figure 2006307320
Figure 2006307320
焼結機の焼結パレット上に焼結原料を装入して、幅4.0m、厚さ600mmの焼結原料層を形成した。焼結パレットの移動速度は2.5m/sを基準として、焼成時間に応じて適宜調整した。焼結パレット両側の粉コークス装入位置の直後に、焼結パレットの幅方向に幅700mmの鋼板(SS製)を俯角22度を保って設置した。焼結原料層の表面両端部に装入する炭材として粉コークスを使用し、下記のA〜Cの条件で操業を行なった。
操業例A:粉コークスの焼結原料層の両側への装入幅を各々500mmとして、焼結原料層表面への粉コークス装入量を、2.5、4.9kg/m2として、表3に示すように混合層を形成しない場合と、焼結原料層の表面から深さ30mmまでを粉コークスとの混合層とした場合について焼結鉱の製造を行なった。得られた焼結鉱(A−1〜A−5)の歩留まりを図3に、焼結時間を図4に示す。
Figure 2006307320
操業例B:粉コークスの焼結原料層の両側への装入幅を各々500mmとして、焼結原料層の表面から深さ30mmまでを粉コークスとの混合層とし、焼結原料層表面への粉コークスの装入量のみを変化させて焼結鉱の製造を行なった。得られた焼結鉱の歩留まりを図5に、焼結時間を図6に、生産性の変化を図7に示す。生産性は、(焼結原料層表面に炭材装入時の歩留/焼結原料層表面に炭材無装入時の歩留)/(焼結原料層表面に炭材装入時の焼結時間/焼結原料層表面に炭材無装入時の焼結時間)で評価した。
操業例C:粉コークスの焼結原料層の両側への装入幅を変化させて焼結鉱の製造を行なった。焼結原料層表面への粉コークス装入量は5kg/m2、焼結原料層の表面から深さ30mmまでを粉コークスとの混合層とした。得られた焼結鉱の歩留まりを図8に、焼結時間を図9に、生産性の変化を図10に示す。図8〜10において、コークス装入幅は、側壁から測定した焼結パレット幅方向における両端部それぞれでの装入幅である。生産性は、(焼結原料層表面に炭材装入時の歩留/焼結原料層表面に炭材無装入時の歩留)/(焼結原料層表面に炭材装入時の焼結時間/焼結原料層表面に炭材無装入時の焼結時間)で評価した。
操業例Aにおいて、焼結原料層表面の焼結原料と炭材とを混合した場合(A−4、A−5)には、混合しない場合(A−1、A−2、A−3)に比較して同じ粉コークス量を装入した場合でも歩留まりが大きく改善した。
操業例Bにおいては、焼結原料層表面への粉コークスの装入量が1.5kg/m2未満では歩留まりはほとんど改善されないが、1.5kg/m2以上の装入で歩留まりが改善することが分かった。一方でコークス装入量を増加させると焼結時間が延長して、生産性が低下した。生産性を維持するためには粉コークスの装入量は15kg/m2以下とすることが適当であった。
操業例Cにおいて、粉コークスの焼結原料層の両側への装入幅を変化させた場合は、装入幅が200mm未満では歩留まりはほとんど改善されないが、200mm幅以上の装入で歩留まりが改善した。一方でコークス装入幅を増加させると焼結時間が延長して、生産性が低下した。生産性を維持するためには粉コークスの装入幅は700mm以下とすることが適当であった。
実施例1と同様に焼結鉱の製造を、図16に示すように板状部材を配置して、下記のD〜Gの条件で行なった。
操業例D:板状部材である鋼板の俯角を変化させた場合の効果を比較した。板状部材の焼結パレット幅方向からの角度は30度で一定として、焼結原料層への1cmあたりの載荷量も0.08kgで一定とした。俯角を0〜60度まで変化させて焼結鉱(D−1〜D−7)を製造した。D−1は俯角0度の場合で、板状部材を用いなかった場合である。得られた焼結鉱の歩留まりを図17に示す。
操業例E:板状部材の焼結原料層表面への載荷量を変化させた場合の効果を比較した。板状部材の俯角は30度を保ち、焼結パレット幅方向からの角度も30度で一定とし設置し、1cm当たりの載荷量を0.02、0.05、0.1、0.25kgと変化させて、焼結鉱(E−1〜E−4)を製造した。得られた焼結鉱の歩留まりを図18に示す。
操業例F:板状部材のパレット端部側をパレット進行方向へ斜交させた、パレット幅方向からの角度を変化させた場合の効果を比較した。板状部材の俯角は30度を保ち、焼結原料層への1cmあたりの載荷量も0.08kgで一定とした。板状部材のパレット幅方向からの角度(図13における傾斜角度β)を10〜50度に変化させて焼結鉱(F−1〜F−5)を製造した。得られた焼結鉱の歩留まりを図19に示す。
操業例G:板状部材の下部を分割した場合、ならびに板状部材の下流側に櫛状部材を設置した場合の効果を比較した。板状部材の俯角は30度、焼結原料層への1cmあたりの載荷量0.08kg、パレット幅方向からの角度30度で一定とした。板状部材の分割数は、1(分割なし)、2、4、10、15とし、焼結鉱(G−1〜G−5)を製造した。板状部材の分割数4の場合については、さらに図15に示すものと同様の櫛状部材を図16に示すように板状部材の下流側に設置して、焼結鉱(G−6)を製造した。得られた焼結鉱の歩留まりを図20に示す。
操業例Dにおいて、板状部材を用いて混合層を形成することで歩留が向上し、板状部材の焼結原料層表面への俯角を変化させた場合、俯角が20〜50度の範囲で歩留まりが顕著に改善することが分かった。
操業例Eにおいて、板状部材の焼結原料層表面への載荷量を変化させた場合、0.05〜0.2kg/cmの範囲では歩留が顕著に改善された。0.05kg/cm未満、0.2kg超えの場合は歩留があまり向上しなかった。
操業例Fにおいて、板状部材のパレット幅方向からの角度を変化させた場合、20度と30度の場合に歩留が顕著に改善された。10度、40度以上の場合には歩留があまり向上しなかった。
操業例Gにおいて、板状部材を分割することで、歩留りが改善するが、15分割では歩留りの向上効果はなかった。また、板状部材の後に櫛状部材を設置した場合、歩留りは飛躍的に向上した。
本発明の一実施形態を示す概略図。 本発明の一実施形態を示す説明図。 焼結鉱の歩留まりを示すグラフ(操業例A)。 焼結鉱の焼結時間を示すグラフ(操業例A)。 焼結鉱の歩留まりを示すグラフ(操業例B)。 焼結鉱の焼結時間を示すグラフ(操業例B)。 焼結鉱の生産性を示すグラフ(操業例B)。 焼結鉱の歩留まりを示すグラフ(操業例C)。 焼結鉱の焼結時間を示すグラフ(操業例C)。 焼結鉱の生産性を示すグラフ(操業例C)。 焼結原料層表面部分のパレット進行方向の垂直断面図(俯角の説明)。 焼結パレットを上から見た場合の概略図(線状載荷部分の説明)。 焼結パレットを上から見た場合の概略図(パレット幅方向からの角度の説明)。 板状部材を分割した場合の一実施形態を示す概略図。 櫛状部材の一実施形態を示す概略図。(a)平面図、(b)正面図。 板状部材と櫛状部材とを用いる場合の一実施形態を示す概略図。 焼結鉱の歩留まりを示すグラフ(操業例D)。 焼結鉱の歩留まりを示すグラフ(操業例E)。 焼結鉱の歩留まりを示すグラフ(操業例F)。 焼結鉱の歩留まりを示すグラフ(操業例G)。
符号の説明
1 焼結原料装入ホッパ
2 ロールフィーダ
3 焼結原料層
4 炭材装入装置
5 均し装置(板状部材)
6 炭材
7 混合層
10 線状載荷部分
11 焼結パレット端部(側壁)
12 分割ゲート
13 櫛状部材
14 櫛棒
Z 炭材と焼結原料との混合部分
α 俯角
β 傾斜角度

Claims (8)

  1. 焼結原料を焼結パレット上に充填した焼結原料層を焼成して焼結鉱を製造する際に、前記焼結パレットの幅方向両端部の前記焼結原料層上部に炭材を装入する方法であって、該焼結原料層上部に装入される炭材が、前記焼結パレットの端部から200mm以上の範囲まで、かつ前記焼結パレットの端部から700mm以下の範囲までに装入されて、前記焼結原料の少なくとも一部と前記焼結原料層上部に装入された炭材とを混合状態とした混合層を形成した後に焼成することを特徴とする焼結鉱の製造方法。
  2. 焼結パレットの幅方向両端部の焼結原料層上部に炭材を装入した後に前記焼結原料層表面を平坦化することで混合層を形成し、該混合層の厚さが50mm以下であることを特徴とする請求項1に記載の焼結鉱の製造方法。
  3. 焼結原料層上部に装入する炭材量が、焼結原料層表面において1.5〜15kg/m2となるように炭材を装入することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の焼結鉱の製造方法。
  4. 焼結原料層の上部表面に板状部材を、該板状部材の下端部を焼結原料層の上部表面に接触させるように配置することで、混合層の形成を行なうことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の焼結鉱の製造方法。
  5. 板状部材が焼結パレットの幅方向両端部の炭材装入位置に、焼結原料層の上部表面に対して20〜50°の俯角をなして、前記板状部材の下端部により前記焼結原料層表面に加えられる力が前記板状部材の長さ方向について、0.49〜1.96N/cmとなるように配置することを特徴とする請求項4に記載の焼結鉱の製造方法。
  6. 焼結パレットの進行方向下流側から見た板状部材がハの字形状に、かつ、前記板状部材の水平長さ方向と焼結パレット幅方向との角度が20〜35°になるように配置することを特徴とする請求項4または請求項5に記載の焼結鉱の製造方法。
  7. 板状部材が、水平方向に分割して設置した複数の分割ゲートからなり、該分割ゲートの開度を調整することで焼結原料層の上部表面に対する前記分割ゲートの俯角を各分割ゲート毎に制御することを特徴とする請求項4ないし請求項6のいずれかに記載の焼結鉱の製造方法。
  8. 焼結パレット進行方向に対して、板状部材の上流側および/または下流側に櫛状部材を配置して、該櫛状部材により焼結原料層表面を焼結パレット幅方向に20〜100mmの間隔で、30〜70mmの深さまで混合することを特徴とする請求項4ないし請求項7のいずれかに記載の焼結鉱の製造方法。
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JP2011179032A (ja) * 2010-02-26 2011-09-15 Jfe Steel Corp ドワイトロイド式焼結機の床敷き鉱装入装置および焼結鉱の製造方法

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