JP2006304851A - 脊髄誘発磁界のデータ採取方法、脊髄誘発磁界の測定方法 - Google Patents

脊髄誘発磁界のデータ採取方法、脊髄誘発磁界の測定方法 Download PDF

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【課題】ヒトにおいて非侵襲的な脊髄誘発磁界の計測をするためのデータ採取方法および測定方法を提供する。
【解決手段】10 Hz以上の高頻度で被検者の神経組織を電気刺激することにより、生体磁場計測システムを用いて、ヒトにおいて体表面から脊髄活動を評価することができて侵襲性が少ない方法で脊髄誘発磁界のデータを採取すること、および脊髄誘発磁界を測定することが可能となった。被検者の頚部を前方に屈曲させることにより、脊髄と体表の距離が小さくなった状態で脊髄誘発磁界を測定すること、被検者が仰臥位または座位の姿勢をとることにより、被検者の体位が安定した状態で脊髄誘発磁界を測定することは、本発明の効果を達成することにおいて好適である。
【選択図】図3

Description

本発明は、高頻度で被検者の神経組織を電気刺激することを伴う、生体磁場計測システムによる脊髄誘発磁界のデータ採取方法、および脊髄誘発磁界の測定方法に関する。本発明の方法は体表面から脊髄活動を評価することができ、侵襲性が少なく、ヒトへの適用に適している。
近年、MRI等の画像診断装置の進歩によって、圧迫性病変による脊髄や末梢神経の障害部位診断は容易に行えるようになった。しかし、画像上の明らかな圧迫にもかかわらず無症状の症例も数多く存在するなど、画像による形態学的情報のみでは脊髄・末梢神経の機能障害部位を真に診断することは不可能であり、電気生理学的手法による神経機能診断法はいまだ不可欠な検査である。詳細な障害部位診断には神経誘発電位をインチング法で測定するのが最適であるが、体表から深い神経、ことに脊髄では電流が周囲組織の影響を強く受けるため、神経機能を体表から正確に評価することは困難である。このため、術中に脊髄近傍に電極を設置するか、術前に経皮的に硬膜外腔やくも膜下腔にカテーテル電極を挿入することにより、脊髄誘発電位が測定されている。カテーテル電極の挿入は侵襲的かつ熟練を要するため、診断のために気軽に行う検査とは言い難く、非侵襲的で簡便な電気生理学的手法が切望されている。
一方、電流が流れるとその周囲に右ネジの法則に従って磁界が発生する。磁界は骨・軟部組織などの生体組織にはほとんど影響を受けない性質があり、磁界計測は電位計測に比べ理論的に高い空間精度を持つことが知られている。生体磁場計測とは、生体の神経や筋肉の活動に伴って発生する微小な磁場を生体の外で計測し、その活動源のふるまいを解析する手法である。生体磁場計測に関しては、超伝導量子干渉素子(SQUID)を利用した多チャンネルの生体磁場計測システムがこれまでに開発され、医療現場への導入が進んでいる。
現在、磁界計測は特に脳研究の分野で応用され、脳の活動が高い空間精度で同定されている。また脊髄や末梢神経など、脳以外の神経系の活動に伴う磁場の計測をすることにより、それらの神経系に障害が生じた場合の神経信号伝播障害を診断するための有効な手法として、生体磁場計測システムは、主として脊椎・脊髄外科、末梢神経外科の医療現場において注目されている。本発明者らは、脊髄・末梢神経誘発磁界による非侵襲的な神経機能評価法を確立することを目標として、1999年より脊髄・末梢神経専用の磁界測定装置を開発している。なお脊髄誘発磁界を測定した実験例を記載した論文がいくつか知られている(電機学会論文誌A Vol.125 No.2, 2005 pp85-91 足立善昭ら:整形・災害外科 Vol.45 No.3, 2002 pp209-218 川端茂徳ら)。
なお生体が発する磁界は非常に微弱であり、生体が発する最も大きな心臓の磁界ですら地磁気の10万分の1程度でしかない。脳の誘発磁界や、末梢神経活動磁界は地磁気の10億分の1程度であり、さらに脊髄誘発磁界はそれより1〜2ケタ小さな磁界であるので、脊髄磁界を測定するには非常に微弱な磁界を測定できる装置が必要である。脳磁界が主に持続時間が長く(10msec)、静止しているシナプス活動によるのに対し、脊髄磁界はシナプス活動のみによるのではなく、持続時間が短く(1msec)、さらに50m/sec以上の高速で移動する軸策活動もとらえる必要があるため、高い時間分解能を持つ装置が必要である。
本発明者はこれまでに成猫および家兎において、下位胸髄刺激後に、頚部背側皮膚上から頚髄を上行する伝導性の脊髄誘発磁界の測定に成功した。さらに頚椎前方より脊髄を切断し、体表面から脊髄切断部位が診断できることを確認した。
神経障害部位の診断精度を確認するために、家兎の坐骨神経を摘出し、神経障害モデル(結紮による完全伝導障害モデルとクリップの圧迫による不完全伝導障害モデル)を作製し、神経誘発磁界を測定した。その結果、完全障害モデルでは2mm程度、不完全障害モデルでは3mm程度の誤差で神経障害部位が診断できることを本発明者らは確認した。成猫の神経障害モデル動物において、電流双極子をX線側面像へ重ね合わせた画像を図1に示す。脊髄を前方侵入で切断したところ、図1に示されるように電気双極子は脊髄切断部(白矢印)で停止し、消失した(整形・災害外科 Vol.45 No.3, 2002 pp209-218 川端茂徳ら)。
以上のように動物実験においては、脊髄誘発磁界測定を用いて非侵襲的に体表面から脊髄障害部位診断することが可能である。よってヒトにおいても脊髄誘発磁界を測定することが可能になれば、これまでにない有効な脊髄機能のための診断手段が得られる。
電機学会論文誌A Vol.125 No.2, 2005 pp85-91 足立善昭ら 整形・災害外科 Vol.45 No.3, 2002 pp209-218 川端茂徳ら
そこで本発明の課題は、ヒトにおいて体表面から脊髄活動を評価することができ、侵襲性が少なく脊髄誘発磁界のデータを採取する方法、および脊髄誘発磁界を測定する方法を提供することである。かかる方法が提供されたら、脊髄の神経障害の診断に大いに資するものと考えられる。
上記課題を解決するために本発明は、生体磁場計測システムを用いて被検者の脊髄誘発磁界を測定するにあたり、10 Hz以上の高頻度で該被検者の神経組織を電気刺激すること特徴とする、脊髄誘発磁界のデータ採取方法を提供するものである。高頻度で被検者の神経組織を電気刺激することにより、支配筋を強直状態とした状態で脊髄誘発磁界のデータを採取することが可能となる。前記脊髄誘発磁界が伝導性脊髄誘発磁界であることは本発明において好適である。
更に本発明は、前記被検者が仰臥位または座位の姿勢をとっている状態で該被検者の脊髄誘発磁界のデータを採取することを特徴とする、前記のデータ採取方法を提供するものである。被検者が仰臥位または座位の姿勢をとることにより、被検者の体位が安定した状態で脊髄誘発磁界のデータを採取することが可能となる。
更に本発明は、前記被検者の頚部を前方に屈曲させて該被検者の脊髄誘発磁界のデータを採取すること特徴とする、前記のデータ採取方法を提供するものである。被検者の頚部を前方に屈曲させることにより、脊髄と体表の距離が小さくなった状態で脊髄誘発磁界のデータを採取することが可能となる。
更に本発明は生体磁場計測システムを用いて被検者の脊髄誘発磁界を測定するにあたり、10 Hz以上の高頻度で該被検者の神経組織を電気刺激することを特徴とする、脊髄誘発磁界の測定方法を提供するものである。高頻度で被検者の神経組織を電気刺激することにより、支配筋を強直状態とした状態で脊髄誘発磁界を測定することが可能となる。前記脊髄誘発磁界が伝導性脊髄誘発磁界であることは本発明において好適である。
更に本発明は、前記被検者が仰臥位または座位の姿勢をとっている状態で該被検者の脊髄誘発磁界を測定することを特徴とする、前記の脊髄誘発磁界の測定方法を提供するものである。被検者が仰臥位または座位の姿勢をとることにより、被検者の体位が安定した状態で脊髄誘発磁界を測定することが可能となる。
更に本発明は、前記被検者の頚部を前方に屈曲させて該被検者の脊髄誘発磁界を測定することを特徴とする、前記の脊髄誘発磁界の測定方法を提供するものである。被検者の頚部を前方に屈曲させることにより、脊髄と体表の距離が小さくなった状態で脊髄誘発磁界を測定することが可能となる。
本発明により、10 Hz以上の高頻度で被検者の神経組織を電気刺激することにより、生体磁場計測システムを用いて、ヒトにおいて非侵襲的に脊髄誘発磁界を測定することが可能となった。被検者の頚部を前方に屈曲させることにより、脊髄と体表の距離が小さくなった状態で脊髄誘発磁界を測定すること、被検者が仰臥位または座位の姿勢をとることにより、被検者の体位が安定した状態で脊髄誘発磁界を測定することは、本発明の効果を達成することにおいて好適である。
伝導性の脊髄誘発磁界の測定については、これまで数多くの挑戦が行なわれてきた。しかし、これまで測定に成功したという報告はない。本発明者らも研究開始当初よりヒトの脊髄誘発磁界の測定に挑戦してきたが、ヒトの脊髄誘発磁界の計測は困難であった。これは、以下のような点が原因であると考えられた。
1.筋活動による磁界ノイズ
2.測定時の姿勢(脊髄誘発磁界は通常は腹臥位で測定されるが、腹臥位を長時間維持することは困難である)
3.刺激による体動のためのノイズ
4.脊髄は体表から深いところに存在するため磁界信号が微弱であること
上記1、2の問題点は、腹臥位という不安定で快適でない腹臥位の体勢を保つために、筋肉が収縮活動する必要があること、疲労しやすいことに起因する。これを解決するために本発明者らは、仰臥位や座位の姿勢で測定することができる装置を開発した。すなわちこれまでの磁界測定装置はセンサー面が下方を向いていたが、センサー面を垂直から上向きにすることで、座位や仰臥位での測定を可能にした。これにより、長時間の測定でも安楽で筋活動の少ない状態で測定することが可能となった。
また座位の姿勢では頭部・体幹・上肢の荷重を坐骨(骨盤)で支持することになるため、仮に下肢で体動が発生した場合でもその振動を股関節で吸収することが可能であり、脊髄を安定した状態に保つことができる利点もある。なおセンサー面を上向きにして、被検者を座位の姿勢にして測定する様子を図2に示す。なお本発明で採用する被検者の体位は座位と仰臥位に限定されるものではなく、長時間の測定の間に被検者に筋肉の緊張を強いることなく且つ安定に測定することが可能であるならば、他の体位で測定する態様も本発明の範囲内である。
更に上向きのセンサーを用いて、被検者を仰臥位の姿勢にして測定する様子を図3に示す。生体磁気測定システム102は被検体H、寝台101、および生体磁気測定装置100からなり、このシステムを用いて被検体Hにおいて測定対象部位Sの生体磁気を測定することができる。
本発明において使用するのに好適な生体磁気測定装置の概要を図4に示す。そして生体磁気測定装置100は、センサー筒10、内槽10a、外槽10b、および超伝導磁気センサー11からなるセンサー部分;該センサー部分が取り付けられたデュワ7;該デュワを回転させるためのスライド台4、軸受6、回転軸8および回転用ハンドル9;該磁気測定装置を移動させるための基台1、レール2、摺動脚3およびスライド用ハンドル5を含む。なお図4に示した装置は本発明の測定方法を実施するための好適な一態様であって、必要に応じて他の装置あるいは図4に示した装置を更に改良した装置を用いることができる。
上記3の問題点は、末梢神経や脊髄・馬尾などの神経組織を電気刺激したあとに起こる筋肉の動きに起因する。神経誘発磁界を測定するためには、神経を何らかの方法で刺激する必要がある。もっとも簡便で大きな反応を得ることができる方法が神経を直接電気で刺激する方法であるが、神経の刺激後にその支配筋が収縮するため体が振動してしまう。電気刺激のたびに、その支配筋が収縮し、その後弛緩をする動作(単収縮)を繰り返すわけであるが、刺激の頻度を上げてゆくと支配筋が持続的に収縮する状態(強縮状態)となる。強縮状態では筋肉は長さを変えないため、見かけ上筋肉が動かない状態を作ることができる。
今回本発明者らはこの強縮状態を利用して、概ね10 Hz以上の高頻度で神経組織を刺激することで、支配筋を強直状態とし、体動をおこすことなく神経を刺激する方法を開発した。なおSQUIDを利用した通常の生体磁場計測システムにおいては、3〜8 Hz程度の頻度で神経組織を電気刺激する。10 Hz以上という高頻度で刺激することにより、体動によるノイズのない状態で神経誘発磁界を測定することが可能となった。なお本発明で使用する刺激頻度は10 Hz以上、好ましくは15 Hz以上である。しかし本発明の範囲はこれに限定されるものではなく、支配筋を持続的に強縮状態にするという効果を達成することができる限り、任意の刺激頻度を採用することができる。なお刺激頻度の上限は特に規定されるものではないが、測定装置の仕様と生体への安全性を考えると、刺激頻度の上限は100 Hz程度であると考えられる。
また、神経誘発磁界のシグナルは微小であるため、通常は刺激・測定を繰り返すことにより測定し、結果を加算平均することでシグナル対ノイズ比(signal/noise ratio)を向上させる。脊髄誘発磁界の場合は通常数千回の加算が必要である。我々の高頻度刺激法は一定時間内の刺激回数が多いため、短時間で測定を終了することができ、被検者の負担を軽減できるという利点も持ち合わしている。
上記4の問題点に関しては、磁界信号は信号源からの距離が離れると急激に小さくなる性質がある。脊髄は脳などに比べ体表から深いところに存在するため、脊髄誘発磁界信号は非常に微弱である。特に頚部では脊髄は体表面から約5cmの深部にあり、誘発磁界の測定は非常に困難であった。正常な状態では頚椎は前方に凸に彎曲しており、その背部には筋肉、皮下脂肪組織が存在している。今回我々は頚部を前方に屈曲することにより、頚部後面の筋膜や皮膚によって筋肉、皮下脂肪組織が前方に押さえつけられ、体表から脊髄までの距離が減少することを発見した。よって頚部を前方に屈曲した状態で脊髄誘発磁界測定することにより、磁界センサーを脊髄に最大限近づけることが可能である。この方法の開発により、体表部での脊髄誘発磁界のシグナルが大きくなり、測定が容易になった。さらに、頚部を前方に曲げた姿勢では頚椎の配列が直線状により近くなるため、磁界信号源の評価も容易になるという利点もある。
なお中間位(普通の状態)での頚部MRI側面画像を図5に示す。図5において頚椎は前方凸に彎曲し、脊髄は体表から深い位置に存在する。更に本発明で行なうように、頚部を前方に屈曲させたときの頚部MRI側面画像を図6に示す。図6においては頚椎が直線状に配列するとともに、筋膜・皮膚に押さえられ、脊髄と体表の間の距離が小さくなっている。なお本願発明において頚部を前方に屈曲させる角度は、通常の姿勢で頚部を上げた状態から前方に10度から60度、好ましくは20度から50度、更に好ましくは30度から40度である。しかし脊髄と体表の間の距離が十分に小さくて脊髄の磁場の測定が可能であるならば、その範囲に限定されるものではない。
なお本願明細書において「脊髄誘発磁界」とは、脊髄の神経活動に伴う電流により発生した磁界を意味する。また神経刺激による電位変化は最初に刺激を受けた部位で発生し、隣接する領域に次々に伝播していくが、本願明細書において「伝導性の脊髄誘発磁界」とは、そのような神経信号伝播に伴う脊髄誘発磁界を意味する。
下記の実施例において使用した計測装置は、センサーが縦5列、横2列に配列したものである。このために、頚部全体の磁界を測定するためには、4回以上装置を移動して測定を繰り返す必要があり、検査終了までに1時間以上を要した。装置を大型化して1、2度の測定で検査を短時間で終了させることができれば、測定終了するまで被検者が静止状態を保つことがより容易になるであろう。
更に、磁界計測による脊髄機能の情報を、レントゲンやMRIなどの画像に重ね合わせて表示することが可能である。これにより本発明の方法は、形態と機能の情報を一度に評価することができる、理想的な脊髄障害部位診断法を提供することができる。また今後、本発明の脊髄障害部位診断法により得たデータと硬膜外電位のデータを比較対照して更に検討することにより、本発明の非侵襲的脊髄機能診断法が更に発展してゆくと考えられる。よって、本発明の方法には多くの応用の可能性がある。
下記の実施例において示すように、本発明者らは初めてヒトの頚部背側の体表面から伝導性脊髄誘発磁界の測定に成功した。しかし下記の実施例は本発明の一態様を説明するものであり、本発明の範囲はそれに限定されるものではない。
健常者を被検者とし、脊髄電気刺激のために下位胸椎硬膜外腔に経皮的にカテーテル型電極を挿入した。測定は磁気シールドルーム内で座位となり背中を垂直から30度後方に倒し、頚部を屈曲した姿勢でおこなった。脊髄を刺激強度5-6 mA、刺激時間 0.3 ms、刺激頻度13 Hzで電気刺激をおこない、下肢の筋が強直状態となった状態で測定を行った。測定は10 channel SQUID磁束計を用い、頚椎背側体表面に接するように磁束計を設置し脊髄誘発磁界を測定した。磁界データは4000回加算平均を行った。
ヒトで測定された脊髄刺激脊髄誘発磁界を図7に示す。電気刺激後約4.5ms後に第7頚椎レベルで脊髄の左側では腹側から背側に噴き出す磁界、脊髄の右側では吸い込まれる磁界が計測され、頭側に向けて伝搬した。その後磁界の極性が反転し脊髄の左側では吸い込まれる磁界が、右側では噴き出す磁界が観察され同じく頭側に向けて伝搬した。このように磁界分布は四重極子パターンを呈し、磁界のpeakから計算した伝導速度は約70〜80m/sであった。
今回ヒト健常者において体表面から伝導性脊髄誘発磁界の測定に初めて成功した。脊髄誘発磁界の伝導速度は約70〜80m/sと生理学的な値であり、脊髄の伝導性活動を正確に捉えている可能性が非常に高い。
本発明の方法によって得られた磁界計測による脊髄機能の情報は、レントゲンやMRIなどの画像に重ね合わせて表示することが可能である。レントゲン像と信号源を重ね合わせた写真を図8に、MRIと脊髄障害部位を重ね合わせた写真を図9に示す。これにより本発明の方法は、形態と機能の情報を一度に評価することができる、理想的な脊髄障害部位診断法になり得ると考えられる。
本発明により、10 Hz以上の高頻度で被検者の神経組織を電気刺激することにより、生体磁場計測システムを用いて、ヒトにおいて体表面から脊髄活動を評価することができて侵襲性が少ない方法で脊髄誘発磁界のデータを採取すること、および脊髄誘発磁界を測定することが可能となった。被検者の頚部を前方に屈曲させることにより、脊髄と体表の距離を小さくした状態で脊髄誘発磁界を測定すること、被検者が仰臥位または座位の姿勢をとることにより、被検者の体位が安定した状態で脊髄誘発磁界を測定することは、本発明の効果を達成することにおいて好適である。ヒトに適用可能であって非侵襲的な本発明の方法は、脊髄の神経障害の診断における新たな可能性を提供するものと考えられる。
図1は、家兎の神経障害モデル動物において、電流双極子をX線側面像へ重ね合わせた写真である。 図2は、座位の姿勢で脊髄誘発磁界を測定する様子を示す図である。 図3は、仰臥位の姿勢で脊髄誘発磁界を測定する様子を示す図である。 図4は、本発明において使用するのに好適な生体磁気測定装置の概要を示す図である。 図5は、中間位での頚部MRI側面画像を示す写真である。 図6は、前方に屈曲させたときの頚部MRI側面画像を示す写真である。 図7は、ヒトで測定された脊髄刺激脊髄誘発磁界を示す図である。 図8は、レントゲン像と信号源を重ね合わせた写真である。 図9は、MRIと脊髄障害部位を重ね合わせた写真である。
符号の説明
1 基台 2 レール 3 摺動脚 4 スライド台
5 スライド用ハンドル 6 軸受 7 デュワ 8 回転軸
9 回転用ハンドル 10 センサー筒 10a 内槽 10b 外槽
11 超伝導磁気センサー 100 生体磁気測定装置 101 寝台
102 生体磁気測定システム

Claims (8)

  1. 生体磁場計測システムを用いて被検者の脊髄誘発磁界のデータを採取するにあたり、10 Hz以上の高頻度で該被検者の神経組織を電気刺激すること特徴とする、脊髄誘発磁界のデータ採取方法。
  2. 前記被検者が仰臥位または座位の姿勢をとっている状態で該被検者の脊髄誘発磁界のデータを採取することを特徴とする、請求項1記載のデータ採取方法。
  3. 前記被検者の頚部を前方に屈曲させて該被検者の脊髄誘発磁界のデータを採取すること特徴とする、請求項1または請求項2記載のデータ採取方法。
  4. 前記脊髄誘発磁界が伝導性脊髄誘発磁界である、請求項1から請求項3のいずれか1つの請求項に記載の脊髄誘発磁界のデータ採取方法。
  5. 生体磁場計測システムを用いて被検者の脊髄誘発磁界を測定するにあたり、10 Hz以上の高頻度で該被検者の神経組織を電気刺激することを特徴とする、脊髄誘発磁界の測定方法。
  6. 前記被検者が仰臥位または座位の姿勢をとっている状態で該被検者の脊髄誘発磁界を測定することを特徴とする、請求項5記載の脊髄誘発磁界の測定方法。
  7. 前記被検者の頚部を前方に屈曲させて該被検者の脊髄誘発磁界を測定すること特徴とする、請求項5または請求項6記載の脊髄誘発磁界の測定方法。
  8. 前記脊髄誘発磁界が伝導性脊髄誘発磁界である、請求項5から請求項7のいずれか1つの請求項に記載の脊髄誘発磁界の測定方法。
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