JP2006296918A - 消火剤流量調整器 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】消火を行う放出口へ送水される流水に対して消火剤貯蔵タンク102から消火剤原液を供給して混合させる消火剤混合装置50の消火剤原液の混合濃度を調節する消火剤流量調整器10において、手前側に位置する消火剤原液の流路よりも狭小に形成された縮径部24,36と、消火剤原液の供給流量に応じて縮径部24,36の縮径率を可変調節する可変手段20,30,40とを備える、という構成を採っている。
【選択図】図2
Description
混合器101の内部に入口部101bよりも内径が小さい断面積狭小部(いわゆる縮径部)101aを設け、放出口の作動や試験弁の開放によって混合器101内に水流が発生すると、狭小部101aの水の速度(流速)は、混合器101の入口部101bの流速より速くなる。その結果、ベルヌーイの定理より混合器101の入口部101bの圧力に対し、狭小部101aの圧力は低くなり、入口部101bと狭小部101aの間には圧力差(以下、「差圧」という)が発生する。
このように混合器101の狭小部101aで低下する圧力の大きさはそこを通過する流速に相対的な関係にあり、混合器101に発生する差圧も流速と相対的な関係にあるため、圧力によらず単位時間当たりの流量に応じた消火剤の送入が可能となる。
このようにして消火剤貯蔵加圧タンク102内の消火剤の量を制御して混合器101内に圧送して、水と消火剤を混合し、所定混合濃度の消火剤水溶液を生成する。
上記差圧は流量と相対的な関係にあるが、流量が少なくなって差圧の発生が小さくなると加圧水側配管104や消火剤側配管105内で消火剤と管内壁面に生ずる摩擦による圧力損失や消火剤貯蔵加圧タンク102内の隔膜の抵抗等(以下、「圧力損失」という。)により、十分に圧送できず、流量に応じた混合ができなくなる。
つまり、適正に水と消火剤を混合するための差圧を得るに必要な流量が当該混合器の最小流量となる。
ここで、流量が多いほど狭小部101aの圧力はより低くなり、回復させる圧力の幅が大きくなる。それに比例して混合器101に生じる圧力損失も加速度的に増加する。
これに対して、圧力損失の最大許容値を大きくすれば最大流量を多くすることはできるが、生じた圧力損失分を加算した能力の消火ポンプの設置や配管サイズを大きくすることなどが必要となり、コストアップの原因となるため広流量範囲の混合器の実用化は困難であった。
図6において、折れ線L1は主管流量60〜900[l/min]の帯域で300[l/min]以下の低流量帯域を除いて全体的に規定の混合濃度1.5パーセントをほぼ維持できるように消火剤オリフィス径を調整した場合を示している。これに対して、折れ線L2は、より低流量の帯域まで規定の混合濃度1.5パーセントをほぼ維持できるように消火剤オリフィス径を調整(拡大)した場合を示す。その場合、大きい流量時は差圧も大きくなるため、低流量帯域以外は、所定の混合濃度より高い混合濃度となってしまう。さらに、その場合、単位時間当たりに混合される消火剤も増大するため、設定された放出時間中に消火剤を放出口から放出し続けると、必要消火剤量を多量に確保しなければならないという問題があった。
本発明は、生産コスト低減を図りつつも、主管流量の広範囲で安定した消火剤の比例混合を行える消火剤流量調整器を提供することを、その目的とする。
また、「縮径率の可変調節」とは、単数又は複数の縮径部により、流通可能な開口面積を増減させて圧力損失の大きさを変動調節することをいう。
そして、消火を行う放出口への送水流量が小さい場合には、消火剤原液の供給流量も小さくなり、その結果、配管の管内壁面に生ずる摩擦等による圧力損失は小さくなるが、混合器に発生する差圧も小さくなるため、相対的に圧力損失の影響は大きくなるので、縮径部の縮径率を圧力損失が小さくなるように調整し、目的とする消火剤濃度に達するまでの十分な供給が行えるように調整する。
また、消火を行う放出口への送水流量が大きい場合には、消火剤原液の供給流量も大きくなり、その結果、安定的に供給が行われるので、縮径部の縮径率を圧力損失が適度に大きくなるように調整し、目的とする消火剤濃度を大きく越えて余剰の消火剤を浪費しないように調整する。
そして、消火剤原液の流量が増加すると、ピストン部が移動を生じ、消火剤原液は縮径率が小さな状態で縮径部を通過することとなる。これにより、縮径部を通過する際の消火剤原液の圧力損失が増加し、流量が制限される。
このように、消火剤原液の流量の増加に対して各縮径部による圧力損失が大きくなるように調整されるので、低流量域で必要となる消火剤原液の供給量を確保可能な圧力損失を設定しても、流量の増加後は過剰供給とならない圧力損失を生じるように切り替えることが可能となる。
そして、消火剤原液の流量が増加すると、ピストン部が移動を生じ、複数の縮径部の一部が閉塞され、圧力損失が増加した状態で消火剤原液を通過させる。
従って、消火剤原液の低流量状態での供給不足と高流量状態での供給過多の双方を回避することができる。
上記構成の一例としては、ケース部とピストン部の少なくともいずれか一方に複数の縮径部として複数の開口部を設け、ピストン部が前進移動することで一部の開口部が閉塞されるように配置する構成が挙げられる。ただし、これに限定されるものではない。
そして、消火剤原液の流量が増加すると、ピストン部の前進移動により、縮径部の一部が閉塞されて、圧力損失が増加した状態で消火剤原液の通過が行われる。
従って、消火剤原液の低流量状態での供給不足と高流量状態での供給過多の双方を回避することができる。
上記構成の一例としては、ケース部又はピストン部に縮径部として、一つの開口部を設け、ピストン部の前進移動によりその開口部の一部が閉塞されるように配置する構成が挙げられる。ただし、これに限定されるものではない。
そして、上記構成では、消火剤原液の流量が小さいときには、可変手段は、流通させる複数の消火剤流量調整器を選択し、或いは縮径率が大きな消火剤流量調整器を選択し、低圧力損失状態で消火剤原液の供給を行わせる。
そして、消火剤原液の流量が増加すると、可変手段は、選択する消火剤流量調整器の個体数を少なく選択し、或いは縮径率が小さな消火剤流量調整器を選択し、高圧力損失状態で消火剤原液の供給を行わせる。
従って、消火剤原液の低流量状態での供給不足と高流量状態での供給過多の双方を回避することができる。
さらに、本発明は、縮径部の縮径率の可変調節により混合濃度の安定化を図るので、従来のように、個別に混合器を設ける必要がなく、装置の生産コストを低減し、生産性の向上を図ることが可能となる。
なお、本発明は、消火剤原液の貯蔵を行うタンク等の貯蔵手段ではなく、消火剤原液発生装置などによって混合器への消火剤原液が供給される場合においても適用される。
即ち、本発明の消火剤流量調整器は、例えば、前述した混合器のような入口部と狭小部との差圧を利用し、消火剤流量に応じて消火剤流量調整器の可変手段が縮径部の縮径率を可変調節できるものであれば良い。
さらに、上記発明は、ケース部(具体的にはシリンダ部)とピストン部と弾性体とを備える可変手段により混合濃度の安定化を図るので、従来例と比して、さらなる生産コストの低減と生産性の向上を図ることが可能となる。
また、縮径部を設ける数によって、切り替え前後の各縮径率を設定でき、それぞれの圧力損失の設定を容易に行うことが可能となる。
さらに、本発明は、複数消火剤流量調整器の選択により混合濃度の安定化を図るので、従来のように、複数の混合器を設ける必要がなく、装置の生産コストを低減し、生産性の向上を図ることが可能となる。
(全体構成)
本発明の第一の実施形態である消火剤流量調整器10について図1及び図2を参照して説明する。上記消火剤流量調整器10は、建造物に設置されて、放出口から消火剤水溶液を放射する消火設備の消火剤混合装置50に設けられている。図1は、消火剤混合装置50の全体構成図である。
なお、この消火剤混合装置50は消火剤流量調整器10以外については、前述した消火剤混合装置100(図7参照)と同じ構成を備えるものであり、同一の構成については同一の符号を付して重複する説明は省略する。
図2は消火剤流量調整器10の中心線に沿った断面図であり、図2(A)は消火剤の流量が小さな状態を示し、図2(B)は消火剤の流量が大きな状態を示す。
上記消火剤流量調整器10は、消火剤原液が通過するケース部20と、ケース部20内で消火剤原液の通過により前進移動可能に支持されたピストン部30と、ピストン部30を後退移動方向に付勢する弾性体としてのコイルバネ40とを備えている。
以下、各部を詳細に説明する。
ケース部20は、シリンダ部21と、当該シリンダ部21の外部に装着されるカバー部22とを備えている。
上記シリンダ部21は、その一端部(図2における左端部)が閉塞された円筒状に形成されており、閉塞端面の中心部には消火剤の流入口23が形成されている。この、流入口23には消火剤側配管105の消火剤供給方向の下流側端部が接続される。つまり、ケース部20には、この流入口23から消火剤原液が流入するようになっている。
シリンダ部21の外周面にはネジ溝が形成され、これに対応して内周面にネジ溝が形成されたカバー部22を螺合装着することが可能となっている。
そして、第一縮径部24は、ケース部20の内径よりも小径であり、当該第一縮径部24を通過する消火剤原液に対して、流量が所定の流量となるように調整される構造となっている。
ピストン部30は、ケース部20の内側に格納される。かかるピストン部30は、円筒状であって、一端部(図2における右端部)が閉塞されており、他端部(図2における左端部)にはフランジ部31が形成されている。
当該フランジ部31は、その外径がシリンダ部21の内径とほぼ等しく設定され、当該フランジ部31の外周面がシリンダ部21の内周面に沿って移動することで、ピストン部30の中心線方向に沿った進退移動をガイドしている。また、フランジ部31の外周面とシリンダ部21の内周面との間にはOリング32が介挿され、ピストン部30の外周から消火剤が第一縮径部24の方向に流出することを防いでいる。
なお、この消火剤流量調整器10にあっては、消火剤の流動方向における下流側を「前」側(2次側)とし、上流側を「後」側(1次側)というものとする。
また、本実施形態では、ピストン部30とシリンダ部21との間に水密性を確保するためにOリング32を取り付けているが、Oリング以外の水密手段を設置しても良い。また、ピストン部30とシリンダ部21の接触部の寸法を適切に設計することにより、Oリング32を省略することもできる。
ピストン部30は、ケース部20内において、流入口23から流入する消火剤原液が、フランジ部31側の端部からその内部に流入し、その閉塞端部までが内径の一様な消火剤原液の流路となる。
一方、第二縮径部36の開口面積(各開口部33,34,35の合計開口面積)は、ピストン部30の内部の断面積よりも小さいため、当該第二縮径部36を通過する消火剤原液の流量が、所定の流量となるように調整される構造となっている。
一方、ピストン部30を前方から見て、第二縮径部36の中央開口部33は、その中心に位置しており、両側開口部34,35は、中心から所定距離離れて配置されている。
つまり、ピストン部30の前端面がカバー部22の前端の内側面に密接した状態において、同心上に配置された第一縮径部24と第二縮径部36の中央開口部33とは、互いに重合した状態となる。一方、第二縮径部36の両側開口部34,35は、第一縮径部24に対して全く重合を生じない距離だけ外側に配置されている。かかる配置により、両側開口部34,35は、カバー部22の内側前端面に閉塞された状態となる。
なお、第二縮径部36の三つの開口部33,34,35からなる全開口面積は第一縮径部24の開口面積よりも小さく設定されている。
コイルバネ40は、ケース部20内において、ピストン部30を挿入させた状態でそのフランジ部31に当接し、当該ピストン部30を流入口23側に押圧している。従って、流入口23から消火剤原液が流入し、その圧力がコイルバネ40の押圧力を越えている状態で、ピストン部30は前進移動が行われることになる。
また、前述したように、ピストン部30が最前進位置に到達することで縮径率の切り替えが行われる(第二縮径部36の全開口部33,34,35が流通可能な状態から中央開口部33のみが流通可能な状態に切り替わる)が、ピストン部30が最前進位置に到達するための消火剤原液の流量を決定する一つの要素として、上記コイルバネ40のバネ定数が挙げられる。従って、コイルバネ40のバネ定数は、縮径率の切り替えを行うべき消火剤原液流量に基づいて適正な値が選択される。
上記構成からなる消火剤流量調整器10の動作を消火剤混合装置50の動作をふまえて説明する。
消火剤混合装置50が作動し、放出口の開放によって混合器101内の水流の発生に伴い、入口部101bと狭小部101aの間には差圧が発生する。
これにより、消火剤貯蔵加圧タンク102は、加圧水側配管104を経て加圧水領域の内部圧力が高まり、内部の隔膜を介して消火剤原液が消火剤貯蔵加圧タンク102から押し出される。そして、消火剤原液は、消火剤側配管105を経て消火剤流量調整器10の流入口23から内部に流入する。
このとき、第二縮径部36の全開口面積は、上記消火剤原液がピストン部30を最前進位置まで移動させることができない低流量である場合でも、目標とする混合濃度に達する流量が確保可能な範囲の圧力損失しか生じない大きさに設定されており、これにより、放水口に供給される消火剤溶液は目標とする濃度が維持される。
これにより、第二縮径部36の両側開口部34,35は閉塞され、消火剤原液は中央開口部33のみを通過し、さらに第一縮径部24を通過してから混合器101の狭小部101aに送り込まれ、消火配管主管103内の流水に混合される。
このとき、第二縮径部36の中央開口部33の開口面積は、上記消火剤原液がピストン部30を最前進位置まで移動可能な流量を超えるほど大きくなった場合でも、目標とする混合濃度を大きく越えて消火剤原液の浪費を発生することを抑制可能な圧力損失が生じる値に設定されており、これにより、放水口に供給される消火剤溶液は目標とする濃度を大きく越えず且つ消火剤原液の浪費も回避される。
以上のように、消火剤流量調整器10は、消火剤原液が低流量のときには第二縮径部36における全開口部33,34,35を通過して低圧力損失状態での供給が行われ、消火剤原液が高流量のときには中央開口部33のみが通過可能となり、高圧力損失状態での供給が行われる。このため、送水流量が少ないときの消火剤の供給量不足を回避しつつも送水流量が増加したときの消火剤の過剰供給をも回避することができることから、送水量或いは消火剤供給量について幅広い範囲で安定した混合濃度を維持することが可能となる。
またこれにより、消火剤混合装置50において送水流量が増加したときに過分に消火剤原液が供給されることがなくなり、消火剤原液の浪費を防止することが可能となる。さらにこれに伴い、消火剤混合装置50の消火剤貯蔵加圧タンク102の大型化を図ることなく、設定された放出時間中、消火剤溶液の放出を続けることが可能となる。
さらに、消火剤流量調整器10は、シリンダ部20とピストン部30とコイルバネ40を主要な構成とする簡易な構成により混合濃度の安定化を図るので、装置の生産コストを低減し、生産性の向上を図ることが可能となる。
なお、両側開口部34,35は、第一縮径部24と重合しない配置であればピストン部30の前端面のいずれに設けても良い。
また、第一縮径部24と重合する開口部と重合しない開口部の両方が設けられ、全開口部を消火剤原液が通過する場合と重合する開口部のみを通過する場合とで、消火剤原液の供給流量に応じて所定の混合濃度を維持できるのであれば、第二縮径部36の各開口部の数は一乃至複数のいずれでも良い。
また、コイルバネ40のバネ定数は、特定値に限定されるものではない。ただし、この値は、縮径部の縮径率が切り替えが行われる(ピストン部30が最前進位置となる)消火剤原液の流量を決定する一要素となるので、縮径部の縮径率を切り替えを行うべき消火剤原液の目標流量に応じて、決定することが望ましい。また、前述と同様に、試験或いはシミュレーション等により決定しても良い。
第二の実施形態である消火剤流量調整器10Aについて、図3を参照しながら説明する。図3は消火剤流量調整器10Aの中心線に沿った断面図である。この消火剤流量調整器10Aは、複数の開口部27A,28A,29Aからなる第一縮径部24Aがカバー体22Aに形成されている点と、単一の開口部からなる第二縮径部36Aがピストン部30Aに形成されている点のみが前述した消火剤流量調整器10と異なっており、その他の同一の構成については消火剤流量調整器10と同符号を付して重複する説明は省略するものとする。また、この消火剤流量調整器10Aも、消火剤流量調整器10と同様に消火剤混合装置50(図1参照)に装備されるものである。
また、第二縮径部36Aの開口面積は、重合を生じる第一縮径部24Aの中央開口部27Aの開口面積以下に設定されている。
また、混合器101内の流水流量及び消火剤原液の供給流量が増加すると、コイルバネ40に抗してピストン部30Aは前進を開始する。そして、さらなる流水流量及び消火剤原液の供給流量の増加によりピストン部30Aが最前進位置まで到達すると、消火剤原液は、第二縮径部36Aと第一縮径部24Aの中央開口部27Aのみを通過して、高圧力損失状態で混合器101内に供給される。従って、予定する混合濃度を下回ることなく且つ過剰量の供給が抑制されて消火剤原液が供給され、適正な濃度の消火剤溶液が放出口から放出される。
また、かかる消火剤流量調整器10Aも消火剤流量調整器10と同様に、簡易な構成により混合濃度の安定化を図るので、装置の生産コストを低減し、生産性の向上を図ることが可能となる。
第三の実施形態である消火剤流量調整器10Bについて、図4を参照しながら説明する。図4は消火剤流量調整器10Bの中心線に沿った断面図である。この消火剤流量調整器10Bは、単一の開口部からなる第二縮径部36Bがピストン部30Bに形成されており、第二縮径部36Bが第一縮径部24に対して幾分ずらして配置した点のみが前述した消火剤流量調整器10と異なっており、その他の同一の構成については消火剤流量調整器10と同符号を付して重複する説明は省略するものとする。また、この消火剤流量調整器10Bも、消火剤流量調整器10と同様に消火剤混合装置50(図1参照)に装備されるものである。
また、第二縮径部36Bの開口面積は、第一縮径部24の開口面積以下に設定することが望ましい。
また、混合器101内の流水流量及び消火剤原液の供給流量が増加すると、コイルバネ40に抗してピストン部30Bは前進を開始する。そして、さらなる流水流量及び消火剤原液の供給流量の増加によりピストン部30Bが最前進位置まで到達すると、消火剤原液は、第二縮径部36Bと第一縮径部24の互いに重合する範囲のみを通過して、高圧力損失状態で混合器101内に供給される。従って、予定する混合濃度を下回ることなく且つ過剰量の供給が抑制されて消火剤原液が供給され、適正な濃度の消火剤溶液が放出口から放出される。
また、かかる消火剤流量調整器10Bも消火剤流量調整器10と同様に、簡易な構成により混合濃度の安定化を図るので、装置の生産コストを低減し、生産性の向上を図ることが可能となる。
本発明の第四の実施形態である消火剤流量調整器70について図5参照して説明する。上記消火剤流量調整器70は、建造物に設置されて、放出口から消火剤水溶液を放射する消火設備の消火剤混合装置60に設けられている。図5は、消火剤混合装置60の全体構成図である。
なお、この消火剤混合装置60は消火剤流量調整器70以外については、前述した消火剤混合装置100(図7参照)と同じ構成を備えるものであり、同一の構成については同一の符号を付して重複する説明は省略する。
そして、第一縮径部72のオリフィス径は、消火剤混合装置60に対して行われる消火剤原液の供給流量全範囲を三つに区分した中で最も小さい流量範囲に対応し、第二縮径部73のオリフィス径は、三つに区分した中で二番目に小さい流量範囲に対応し、第三縮径部74のオリフィス径は、三つに区分した中で最も大きな流量範囲に対応する。
そして、各縮径部のオリフィス径は、それぞれの消火剤原液流量範囲で目標とする混合濃度を実現可能な程度の内径に設定されている。
制御装置78は、所定の処理プログラムと流量テーブルを記憶したメモリと、処理プログラムを実行する演算部とを備えている。
即ち、上記流量テーブルは、前述した消火剤原液の供給流量全範囲を三つに区分した当該各区分ごとの流量範囲と、当該各流量範囲にいずれの電磁バルブ75,76,77が対応するかを示すものである。そして、制御装置78は、流量テーブルをメモリから読み出し、流量センサに79による検出流量がいずれの流量範囲に属するかを判定し、該当する一つの電磁バルブのみを開放する動作制御を実行する。
つまり、制御装置78は、消火剤貯蔵加圧タンク102からの供給流量に対して、その流量に応じた電磁バルブを選択し、開放することで、流量に応じた縮径部72,73,74のいずれかを選択することを可能としている。
そして、混合器101内の流水流量がやや上昇して消火剤原液の供給流量もやや増加すると、その供給流量に応じて電磁バルブ73のみを開放した状態に切り替える。つまり、消火剤原液は、第二縮径部73を通過して、所定の圧力損失状態で混合器101内に供給される。従って、予定する混合濃度を下回ることなくまた過剰に高濃度となることもなく消火剤溶液が放出口から放出される。
さらに、混合器101内の流水流量が上昇して消火剤原液の供給流量もより増加すると、その供給流量に応じて電磁バルブ74のみを開放した状態に切り替える。つまり、消火剤原液は、第三縮径部74を通過して、高圧力損失状態で混合器101内に供給される。従って、予定する混合濃度に対して過剰に高濃度となることもなく消火剤溶液が放出口から放出される。
また、かかる消火剤流量調整器70も混合器101までを複数必要とせず、簡易な構成により混合濃度の安定化を図るので、装置の生産コストを低減し、生産性の向上を図ることが可能となる。
また、縮径率の異なる複数の縮径部を使用する場合であっても、これらを組み合わせることで、消火剤原液の流量の増加に対して縮径率が小さくなるように制御を行っても良い。
前述した消火剤流量調整器10を用いて、消火配管主管103の流量(横軸)と消火剤の混合濃度(縦軸)との関係を求める試験を行い、その結果を線図として図6に示す。
上記試験において、消火剤流量調整器10の第二縮径部36の中央開口部33の内部直径を3.3[mm]、両側開口部34,35の内部直径を2.5[mm]、第一縮径部24の内部直径を11.0[mm]とし、コイルバネのバネ定数を4.18[N/mm]とするものを使用し、その結果を折れ線L3に示した。なお、主管流量60[l/min]未満の範囲は使用されていないので試験対象範囲外とし、結果の記載は省略した。
また、比較のために、従来の消火剤流量調整器106と同じ構造のものについて、主管流量300〜900[l/min]の帯域で混合濃度1.5パーセントをほぼ維持できるように開口部の内部直径を調整した比較例を折れ線L1に示し、主管流量300[l/min]以下の帯域でも混合濃度1.5パーセントを越えることができるように開口部の内部直径を調整した比較例を折れ線L2に示す。
上記試験によれば、消火剤流量調整器10は、主管流量60〜150[l/min]の帯域ではピストン部30がまだ前進を開始しておらず、かかる範囲では高い混合濃度を得ることができる。そして、150[l/min]を越えるとピストン部30が前進を開始して消火剤量は徐々に制限され、300[l/min]でピストン部30は最前進位置に到達して縮径率の切り替えが行われる。そして、主管流量300〜900[l/min]の帯域では、従来の消火剤流量調整器106と同様に、混合濃度1.5パーセントを安定的に維持することが可能となる。
なお、消火剤流量調整器10を使用した場合に、主管流量60〜300[l/min]の帯域で目標とする混合濃度より高くなっているが、混合器101を流れる流水流量が少ないため、混合器109に投入される消火剤の絶対量も少ない。そのため、消火剤の消費が設定放出時間内を維持できないほどの影響を生じることはない。
また、主管流量900[l/min]の時には、目標濃度をわずかに上回る程度であるため、消火剤貯蔵加圧タンク102に貯蔵する消火剤量を必要以上に多く見積もらなくとも設定された放出時間中、放出を継続することができる。
なお、消火剤流量調整器10では、主管流量60〜300[l/min]の帯域で目標濃度をやや超えているが、これは両側開口部34,35の内部直径の調整により、より低減を図ることが可能である。
20,20A ケース部
24,24A,72 第一縮径部
27A,33 中央開口部
28A,29A,34,35 両側開口部
30,30A,30B ピストン部
36,36A,36B,73 第二縮径部
40 コイルバネ(弾性体)
50,60 消火剤混合装置
71 配管
74 第三縮径部
78 制御装置(可変手段)
102 消火剤貯蔵タンク
Claims (5)
- 消火を行う放出口へ送水される流水に対して消火剤原液を供給して混合させる消火剤混合装置の前記消火剤原液の混合濃度を調節する消火剤流量調整器において、
手前側に位置する消火剤原液の流路よりも狭小に形成された縮径部と、
前記消火剤原液の供給流量に応じて前記縮径部の縮径率を可変調節する可変手段とを備えることを特徴とする消火剤混合装置の消火剤流量調整器。 - 前記可変手段は、前記消火剤原液が流入するケース部と、前記ケース部内で前記消火剤原液の流入により前進移動可能に支持されたピストン部と、前記ピストン部を後退移動方向に付勢する弾性体とを備え、
前記ピストン部の移動により前記縮径部の縮径率の調節を行うことを特徴とする請求項1記載の消火剤流量調整器。 - 前記縮径部は、並列に配置された複数の縮径部からなり、
前記ピストン部の前進移動により前記複数の縮径部の一部が閉塞される配置で形成されたことを特徴とする請求項2記載の消火剤流量調整器。 - 前記縮径部は、
前記ピストン部の前進移動により前記縮径部の一部が閉塞される配置で形成されたことを特徴とする請求項2記載の消火剤流量調整器。 - 消火を行う放出口へ送水される流水に対して消火剤原液を供給して混合させる消火剤混合装置の前記消火剤原液の混合濃度を調節する消火剤流量調整器において、
前記消火剤流量調整器は、並列に接続された複数の消火剤流量調整器からなり、
前記消火剤原液の供給流量に応じて、前記複数の消火剤流量調整器のいずれか一つ或いは複数の組み合わせを選択して消火剤原液を通過させることを特徴とする消火剤流量調整器。
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