JP2006291984A - 低温用ガスケット、それを用いる収容容器及びその密封方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 本低温用ガスケット13は、一対の被密封面の間に設けられる低温用ガスケットであって、弾性を有する金属板材(オーステナイト系ステンレス鋼製などの板材)をV字状に折り曲げてなるガスケット本体131を備え、該ガスケット本体は、第1板状部131a及び第2板状部131bと、該第1板状部及び該第2板状部を連結する円弧状部131cと、を有する。
【選択図】 図2
Description
上記サブゼロ処理では、蓋体の縁部に表裏温度差により熱応力が発生し、これにより蓋体全体が大きくたわんでしまう場合がある。その結果、容器本体と蓋体との隙間から冷却媒体が漏れて処理効率が悪化することとなる。また、容器本体及び蓋体の加工時の歪、残留応力や槽内の内圧変化等によって、容器本体及び蓋体の各接触面には局所的な変形が生じ、この場合も、やはり容器本体と蓋体との隙間から冷却媒体が漏れることとなる。
低温条件下で使用されるシーリング材としては、シリコンゴム、シリコンスポンジ等が一般的に知られている。しかし、上記サブゼロ処理槽の低温領域(例えば、−50℃以下)においては、シリコンゴム又はシリコンスポンジ等では低温耐久性が不十分なために、短期間の使用でシーリング材に亀裂が入るといった問題があった。また、その他のシーリング材として、テフロン(登録商標)のモールディングパウダーを焼結させ削り出したものが知られているが、これは弾性力の低い材質であるため、完全な密閉を得るために、クランプ具等を用いて容器本体及び蓋体を強固に固定する必要があった。
また、上記特許文献2には、金属板材をコ字状に折り曲げてなる補強環1(ガスケット本体)を備え、この補強環1の一端側に嵌合シール部3を設け、補強環1の他端側にシールクリップ部を設けてなるガスケットが開示されている。
さらに、上記特許文献3には、金属板材をC字状に折り曲げてなるガスケット本体1を備え、このガスケット本体1の内面に沿ってC字状の曲板バネを設けてなるガスケットが開示されている。
また、上記特許文献1では、ガスケット本体の表裏面の全域に弾性体をコーティングする必要があり、製作が煩雑であり且つ高価なものとなっていた。さらに、上記特許文献3では、2重筒構造であるので、製作が煩雑であり且つ高価なものとなっていた。
しかし、上記特許文献1〜3は、上述のサブゼロ処理槽等のように低温で使用される収容容器の密封に好適に用いられる低温用ガスケットを提供することを目的としていない。
1.一対の被密封面の間に設けられる低温用ガスケットであって、
弾性を有する金属板材をV字状に折り曲げてなるガスケット本体を備え、該ガスケット本体は、第1板状部及び第2板状部と、該第1板状部及び該第2板状部を連結する円弧状部と、を有することを特徴とする低温用ガスケット。
2.前記第1板状部の自由端縁側に、前記一対の被密封面のうちの一方の被密封面に接触可能であるシール部材が設けられている上記1.記載の低温用ガスケット。
3.前記第1板状部及び前記第2板状部のうちの少なくとも一方の板状部の内表面側に、他方の板状部の内表面側が接触可能である保護部材が設けられている上記1.又は2.に記載の低温用ガスケット。
4.前記金属板材が、オーステナイト系ステンレス鋼からなる上記1.乃至3.のいずれか一項に記載の低温用ガスケット。
5.前記金属板材が、銅又は銅合金からなる上記1.乃至3.のいずれか一項に記載の低温用ガスケット。
6.上方を開放してなる容器本体と、該容器本体の上方を閉塞する蓋体と、該容器本体及び該蓋体のそれぞれの被密封面の間に介在される上記1.乃至5.のいずれか一項に記載の低温用ガスケットと、を備えることを特徴とする収容容器。
7.上方を開放してなる容器本体の被密封面と、該容器本体の上方を閉塞する蓋体の被密封面との間に、上記1.乃至5.のいずれか一項に記載の低温用ガスケットを介在させることを特徴とする収容容器の密封方法。
また、前記第1板状部の自由端縁側にシール部材が設けられている場合は、シール部材の弾性変形によりシール部材が被密封面に面接触するので、その密封性を更に向上させることができる。
また、前記第1板状部及び前記第2板状部のうちの少なくとも一方の板状部の内表面側に、他方の板状部の内表面側が接触可能である保護部材が設けられている場合は、第1板状部及び第2板状部の間にある保護部材によって、両板状部の無理な近接移動が規制され、円弧状部のつぶれ等を抑制できる。
また、前記金属板材が、オーステナイト系ステンレス鋼からなる場合は、ガスケット本体を、低温脆性及び弾性に優れたものとすることができる。
また、前記金属板材が、銅又は銅合金からなる場合は、ガスケット本体を、低温脆性及び弾性に優れたものとすることができる。
本発明の収容容器によると、容器本体及び蓋体の各被密封面の間に上述の低温用ガスケットが介在される。従って、本収容容器がサブゼロ処理槽等の低温で使用されるものであっても、ガスケット本体の弾性変形によって、蓋体全体のたわみを十分吸収したり、蓋体の局所的な変形に追随したりでき、容器本体及び蓋体の間をより確実に密封できる。
本発明の収容容器の密封方法によると、容器本体及び蓋体の各被密封面の間に上述の低温用ガスケットが介在される。従って、本収容容器がサブゼロ処理槽等の低温で使用されるものであっても、ガスケット本体の弾性変形によって、蓋体全体のたわみを十分吸収したり、蓋体の局所的な変形に追随したりでき、容器本体及び蓋体の間をより確実に密封できる。
本実施形態に係る低温用ガスケットは、以下に述べるガスケット本体を備えている。この低温用ガスケットは、一対の被密封面の間に設けられる。
上記金属板材の材質としては、低温脆性に優れ且つ弾性を有する金属種であれば特に限定されず、例えば、ステンレス鋼(好ましくはオーステナイト系ステンレス鋼)、銅、銅合金等を挙げることができる。上記オーステナイト系ステンレス鋼としては、例えば、SUS302、SUS304、SUS316等を挙げることができる。より安価であるといった観点から、SUS304であることが好ましい。上記銅又は銅合金としては、例えば、洋白、りん青銅、黄銅、ベリリウム銅等を挙げることができる。
上記りん青銅は、ばね用りん青銅であることが好ましい。このばね用りん青銅とは、ばね用材料としてばね限界値が規定されている、すず7〜9%を含むりん青銅(C5210)である。
上記黄銅は、銅を主成分(59〜71.5%)とする亜鉛との合金(C2600〜C2801)であることが好ましい。
上記ベリリウム銅は、ばね用ベリリウム銅であることが好ましい。このばね用ベリリウム銅とは、ばね用材料として特に時効硬化処理条件及びばね限界値が規定されているベリリウム銅(C1700、C1720)である。
上記第1板状部は、上記一対の被密封面のうちの一方の被密封面に圧接される。このとき、上記第1板状部は、例えば、その自由端縁側が一方の被密封面に直接接触することができる。
上記第2板状部は、例えば、上記一対の被密封面のうちの他方の被密封面に固定されることができる。この固定形態としては、例えば、溶接、ろう付け、接着剤による接着、ビス止め等を挙げることができる。
なお、上記第1板状部及び第2板状部の形状、大きさ等は、同一のものであってもよいし、異なるものであってもよい。
上記曲率半径は、0.1〜10mm、特に0.5〜3mmであることが好ましい。
なお、上記保護部材で使用できる弾性材料として、各種金属、樹脂、ゴム、エラストマ等の広範囲な材質を例示したが、これは、保護部材を第1及び第2板状部の外側に設置する場合、その保護部材は外気雰囲気にあり温度制限がないためである。
本実施形態に係る収容容器は、上述の低温用ガスケット、並びに以下に述べる容器本体及び蓋体を備えている。この収容容器は、例えば、サブゼロ処理槽等のように所定の処理を伴って低温冷却及び/又は低温保持を行うものであったり、冷凍庫等のように所定の処理を伴わず低温保持及び/又は低温冷却を行うものであったりすることができる。
上記収容容器内には、例えば、液化窒素又は冷窒素ガス等の冷却媒体が供給されることができる。そして、この収容容器内は、例えば、低温状態(例えば、−50℃以下)とされることができる。さらに、この収容容器内は、例えば、常圧から加圧状態(例えば、0〜10,000Pa)までとされることができる。
また、上記低温用ガスケットは、例えば、上記収容容器を密封した際に、ガスケット本体のうち、特に円弧状部にかかる最大応力がガスケット本体の材料(例えば、ステンレス鋼)の耐力以下の値であることができる。また、上記保護部材を使用する場合にあっては、最大応力が材料の耐力を超えても良い。
本実施形態に係る収容容器の密封方法は、上述の収容容器の密封方法であって、上記容器本体の被密封面と、上記蓋体の被密封面との間に、上記低温用ガスケットを介在させることを特徴とする。
上記密封方法では、例えば、低温用ガスケットのガスケット本体の弾性変形によって、蓋体全体のたわみが吸収されることができる。また、上記密封方法では、例えば、低温用ガスケットのガスケット本体の弾性変形によって、蓋体の局所的な変形(図9参照)が吸収されることができる。
なお、本実施例では、本発明に係る収容容器としてサブゼロ処理槽を例示する。
本実施例に係るサブゼロ処理槽1は、図1に示すように、上方を開放してなる平面矩形状の容器本体11と、この容器本体11の上端面に載置されて容器本体11の上方開放部を閉塞する蓋体12と、を備えている。この容器本体11及び蓋体12の間には、後述する低温用ガスケットが設けられている。上記容器本体11及び蓋体12の内部には断熱材が設けられている。
なお、上記容器本体11の長尺方向の長さは3600mmとされ、短尺方向の長さは500mmとされている。また。容器本体11の側壁の厚さは100mmとされている。
本実施例に係る低温用ガスケット13は、図2及び図3に示すように、オーステナイト系ステンレス鋼(SUS304)からなり且つ板厚さが0.2mmの金属板材をV字状に折り曲げてなる長尺状のガスケット本体131を備えている。
なお、上記金属板材を、折り曲げ機で折り曲げることによって、上記第1板状部131a、第2板状部131b及び円弧状部131cが形成されることとなる。
上記第2板状部131bの内表面側には、コード状でフッ素系樹脂(テトラフルオロエチエン)(商品名「コードシールソフト」;日本バルカー社製)からなる保護部材133が粘着剤により接着されている。そして、本低温用ガスケット13で容器本体11及び蓋体12の間を密封する際、槽内の内圧が比較的低い場合、第1板状部131aの内表面側が保護部材133に圧接されるようになっている(図11参照)。
図6に示すように、低温用ガスケット13の第1板状部131aの自由端縁に所定荷重([蓋体の重さ]−[内圧])がかかるものとして、ガスケット本体131の板厚さが0.15mm、0.2mm、0.5mm、1.0mmの4種類のものについて、円弧状部131cの曲率半径rを1mm、2mm、5mmで変更した際のたわみ量f及び最大応力を算出した。なお、上記第1板状部131aの板幅lは50mmとされ、第2板状部131bは固定面に固定されているものとする。
以上より、最大応力が耐力以下であり、且つ、必要なたわみ量を確保できるものを選定することが好ましい。従って、本実施例では、上述のように、板厚さが0.2mm、曲率半径rが1mmのガスケット本体131を有する低温用ガスケット13を採用している。
なお、第1板状部131aの板幅lを変更したり、第1板状部131a及び第2板状部131bの間の角度を変更したりして、各種寸法を選定することもできる。
上記サブゼロ処理槽1によるサブゼロ処理では、容器本体11内に被冷却物として複数の鋼板(図示せず)が収納され、供給ノズル112から液化窒素が噴射される。すると、槽内の温度が−100℃とされ、内圧が500Paとされる。このサブゼロ処理中に、図1に仮想線で示すように、蓋体12全体のたわみが発生することがあるが、低温用ガスケット13のガスケット本体131の弾性変形によって蓋体12全体のたわみが吸収され、容器本体11及び蓋体12の間は密封された状態が保持されることとなる。
以上より、本実施例の低温用ガスケット13では、ガスケット本体131をV字状に形成したので、弾性変形し易く、且つ、被密封面に対する接触面積の比較的小さなものとすることができる。従って、本低温用ガスケット13によって、サブゼロ処理槽1の容器本体11及び蓋体12の間を密封する場合、ガスケット本体131の弾性変形によって、蓋体12全体のたわみを十分吸収したり、蓋体12の局所的な変形に追随したりでき、容器本体11及び蓋体12の間をより確実に密封することができる。また、従来のように、Z字状やコ字状のガスケット本体を有するものや2重筒構造を有するものに比べて、簡易に折り曲げ成形することができ、製作コストを抑えることもできる。
また、本実施例では、ガスケット本体131に別部材の保護部材133を固着するようにしたが、これに限定されず、例えば、ガスケット本体131の一部を突起状に形成して保護部材としてもよい。
Claims (7)
- 一対の被密封面の間に設けられる低温用ガスケットであって、
弾性を有する金属板材をV字状に折り曲げてなるガスケット本体を備え、該ガスケット本体は、第1板状部及び第2板状部と、該第1板状部及び該第2板状部を連結する円弧状部と、を有することを特徴とする低温用ガスケット。 - 前記第1板状部の自由端縁側に、前記一対の被密封面のうちの一方の被密封面に接触可能であるシール部材が設けられている請求項1記載の低温用ガスケット。
- 前記第1板状部及び前記第2板状部のうちの少なくとも一方の板状部の内表面側に、他方の板状部の内表面側が接触可能である保護部材が設けられている請求項1又は2に記載の低温用ガスケット。
- 前記金属板材が、オーステナイト系ステンレス鋼からなる請求項1乃至3のいずれか一項に記載の低温用ガスケット。
- 前記金属板材が、銅又は銅合金からなる請求項1乃至3のいずれか一項に記載の低温用ガスケット。
- 上方を開放してなる容器本体と、該容器本体の上方を閉塞する蓋体と、該容器本体及び該蓋体のそれぞれの被密封面の間に介在される請求項1乃至5のいずれか一項に記載の低温用ガスケットと、を備えることを特徴とする収容容器。
- 上方を開放してなる容器本体の被密封面と、該容器本体の上方を閉塞する蓋体の被密封面との間に、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の低温用ガスケットを介在させることを特徴とする収容容器の密封方法。
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