JP2006289835A - 成形型 - Google Patents
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Abstract
【課題】 挿入部材によって形成される孔周辺の強度の向上を図る事ができ、割れの発生を防止する事ができる成形型を提供する。
【解決手段】 キャビティ21内にある生分解性樹脂が比較的高温状態で、且つ溶融状態で充填されているときに、前記キャビティ21内にネジ挿通孔形成用ピン17を挿入する。これにより、キャビティ21内にてネジ挿通孔形成用ピン17の後方で生分解性樹脂がぶつかり合い、融合面積の小さい、つまり強度的に弱いウエルドラインが形成されることを抑制する。
【選択図】 図1
【解決手段】 キャビティ21内にある生分解性樹脂が比較的高温状態で、且つ溶融状態で充填されているときに、前記キャビティ21内にネジ挿通孔形成用ピン17を挿入する。これにより、キャビティ21内にてネジ挿通孔形成用ピン17の後方で生分解性樹脂がぶつかり合い、融合面積の小さい、つまり強度的に弱いウエルドラインが形成されることを抑制する。
【選択図】 図1
Description
本発明は、成形品に形成される孔周辺の強度の向上を図った成形型に関する。
電化製品等に広く使用される石油系樹脂(例えば、ABS樹脂=アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂等)の処理は、一般的に焼却や埋立てによってなされている。しかし、このような処理は大気汚染や土壌汚染等、環境負荷が大きく、問題となっている。
これに対応するため最近では、環境負荷が小さい樹脂として、生分解性樹脂(例えば、ポリ乳酸樹脂)と称される生物由来の非石油系樹脂が使用され始めている。この生分解性樹脂は、前記石油系樹脂と異なり、焼却しても炭素酸化物、窒素酸化物の発生が少なく且つ自然界の微生物によって分解されるので、埋立てても自然に土へと戻るという優れたメリットを有する。
ここで、このような生分解性樹脂を、例えば電化製品等の部品(成形品)に使用する場合、前記樹脂を溶融状態としてから成形型のキャビティ内に射出し、硬化させて成形するのが一般的である(例えば、特許文献1参照)。
特開2003−340889号公報
これに対応するため最近では、環境負荷が小さい樹脂として、生分解性樹脂(例えば、ポリ乳酸樹脂)と称される生物由来の非石油系樹脂が使用され始めている。この生分解性樹脂は、前記石油系樹脂と異なり、焼却しても炭素酸化物、窒素酸化物の発生が少なく且つ自然界の微生物によって分解されるので、埋立てても自然に土へと戻るという優れたメリットを有する。
ここで、このような生分解性樹脂を、例えば電化製品等の部品(成形品)に使用する場合、前記樹脂を溶融状態としてから成形型のキャビティ内に射出し、硬化させて成形するのが一般的である(例えば、特許文献1参照)。
ところで、前記生分解性樹脂は、上記のような環境へのメリットを有する一方で、石油系樹脂に比べて耐熱性や強度が低いというデメリットを有している。従って、このような特性を有する生分解性樹脂を使用して、例えば図6及び図7に示すような成形型100にて、図8に示すような成形品101を成形する場合、次のような問題が生じていた。なお、説明の便宜上、図6(a)は上型を下面から見た状態を示し、図6(b)は成形型(上型と下型)を離間させた状態における(a)のK−K線に沿う断面図を示している。
成形型100は、上型102及び下型103から構成されている。上型102は、図6(b)に示すように、その中心部に、下方に突出した円柱状のコア102aを有し、このコア102aを四角状に囲うと共に当該コア102aよりも深さ方向に短い上型凹部102bを有している。コア102aはその内部に、図7にも示すように、上方から下方(図7では、右方から左方)に延びるスプルー104と、このスプルー104の下端から直角に左右方向(図7中では、上下方向)に延びるランナ105と、このランナ105の先端が窄められることにより形成されたゲート106とをそれぞれ有している。
一方、下型103には、図6(b)に示すように、前記上型凹部102bと共にキャビティ107を構成する下型凹部103aが形成されている。この下型凹部103aの二隅には、図6(図6中では、左上、右下の二隅)や図7(図7中では、上下)に示すように、ネジ挿通孔形成用ピン108が不動状態に設けられている。なお、前記ゲート106は、前記ネジ挿通孔形成用ピン108に向かって位置するように形成されている。
このような構成の上型102及び下型103において、生分解性樹脂(以下、単に樹脂と称する)は、スプルー104、ランナ105、ゲート106をそれぞれ流れ、キャビティ107内に射出される。そして、この樹脂は、コア102aに沿って周回するような流れB1と、ネジ挿通孔形成用ピン108に向かう流れB2とに分かれる。コア102aに沿った流れB1は、やがてキャビティ107内の二隅(図6中では、右上、左下の二隅)にて互いにぶつかり合い融合し、硬化する。なお、このとき互いの融合面にはウエルドラインが形成されるが、互いの融合面積が大きいため、このウエルドラインは強度的に問題となるものではない。
このような構成の上型102及び下型103において、生分解性樹脂(以下、単に樹脂と称する)は、スプルー104、ランナ105、ゲート106をそれぞれ流れ、キャビティ107内に射出される。そして、この樹脂は、コア102aに沿って周回するような流れB1と、ネジ挿通孔形成用ピン108に向かう流れB2とに分かれる。コア102aに沿った流れB1は、やがてキャビティ107内の二隅(図6中では、右上、左下の二隅)にて互いにぶつかり合い融合し、硬化する。なお、このとき互いの融合面にはウエルドラインが形成されるが、互いの融合面積が大きいため、このウエルドラインは強度的に問題となるものではない。
一方で、ゲート106からネジ挿通孔形成用ピン108に向かう流れB2は、まずネジ挿通孔形成用ピン108にぶつかり、これに絡みながら当該ネジ挿通孔形成用ピン108の後方に回り込んで互いがぶつかり合い融合し、硬化する。このとき、ネジ挿通孔形成用ピン108の後方における互いの融合面では、図8に示すような、ウエルドラインXが形成される。ここで、このウエルドラインXは互いの融合面積が非常に小さい(ネジ挿通孔形成用ピン108の後方であるため)ので、見た目は一体のように見えても、その強度は、他部と比較して1/4〜1/2となってしまう。従って、前記ウエルドラインX周辺のネジ挿通孔(図8参照)109に、ネジ(図示せず)を螺合した場合、前記ウエルドラインXの影響により、この部分が容易に割れてしまう場合があった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、その目的は、挿入部材によって形成される孔周辺の強度の向上を図ることができ、割れの発生を防止することができる成形型を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明の成形型は、第1の型及び第2の型により形成されるキャビティ内に生分解性樹脂を射出することにより成形品を得る構成の成形型において、前記キャビティ内へ挿入可能な挿入部材を備え、前記キャビティ内へ射出された前記生分解性樹脂が溶融状態にあるときに前記挿入部材を前記キャビティ内へ挿入して前記生分解性樹脂の一部を貫通させることにより孔を形成することを特徴とする(請求項1の発明)。
このような構成の場合、キャビティ内にて溶融状態にある生分解性樹脂に対し、後から挿入部材を挿入することにより孔を形成しているので、従来のようなキャビティ内に予めネジ挿通孔形成用ピンが存在する構成とは異なり、キャビティ内に射出された生分解性樹脂が挿入部材の後方に回り込むことはなく、強度的に弱い、換言すれば融合面積が小さいウエルドラインの形成を抑制することができる。
このような構成の場合、キャビティ内にて溶融状態にある生分解性樹脂に対し、後から挿入部材を挿入することにより孔を形成しているので、従来のようなキャビティ内に予めネジ挿通孔形成用ピンが存在する構成とは異なり、キャビティ内に射出された生分解性樹脂が挿入部材の後方に回り込むことはなく、強度的に弱い、換言すれば融合面積が小さいウエルドラインの形成を抑制することができる。
以上のように、本発明によれば、挿入部材によって形成される孔周辺の強度の向上を図ることができ、割れの発生を防止することができるという優れた効果を得られる。
以下、本発明を、コントロールセンタ(いわゆる、低圧電動機の開閉制御装置)を構成するユニットにおいて、このユニットの遮断器用操作ダイヤルの化粧枠に適用した一実施例を図1〜図5を参照して説明する。
図2に示すように、コントロールセンタ1は、高さ方向に長尺な垂直箱2を備えている。この垂直箱2は、水平配線処理室3、ユニット室5等が高さ方向に並ぶように分割されて構成されていると共に、上下方向に延びる垂直配線処理室4が分割されて構成されている。前記ユニット室5は正面に開口を有しており、この開口から前記低電圧機を開閉制御するためのユニット6が挿入、載置されるようになっている。このユニット6は、その正面に、図3に示すような、円状の遮断器用操作ダイヤル7を有し、この遮断器用操作ダイヤル7の周りには化粧枠8(成形品)が設けられている。
この化粧枠8は、全体としては四角形状をなし、中央部に前記遮断器用操作ダイヤル7を挿通させる孔部8a(図2、図3参照)が形成されている。そして、この化粧枠8は前記ユニット6に対して、図3に示すネジ挿通孔8b(2箇所)にネジ9を螺合することによりユニット6に対し固定されている。
なお、化粧枠8には、図3に示すように、その表面に「ON」、「TRIP」、「OFF」等の印字がそれぞれ形成されており、この印字に対し前記遮断器用操作ダイヤル7を回動操作して位置させることにより、遮断器(図示せず)に所定の動作を行わせる構成となっている。
図2に示すように、コントロールセンタ1は、高さ方向に長尺な垂直箱2を備えている。この垂直箱2は、水平配線処理室3、ユニット室5等が高さ方向に並ぶように分割されて構成されていると共に、上下方向に延びる垂直配線処理室4が分割されて構成されている。前記ユニット室5は正面に開口を有しており、この開口から前記低電圧機を開閉制御するためのユニット6が挿入、載置されるようになっている。このユニット6は、その正面に、図3に示すような、円状の遮断器用操作ダイヤル7を有し、この遮断器用操作ダイヤル7の周りには化粧枠8(成形品)が設けられている。
この化粧枠8は、全体としては四角形状をなし、中央部に前記遮断器用操作ダイヤル7を挿通させる孔部8a(図2、図3参照)が形成されている。そして、この化粧枠8は前記ユニット6に対して、図3に示すネジ挿通孔8b(2箇所)にネジ9を螺合することによりユニット6に対し固定されている。
なお、化粧枠8には、図3に示すように、その表面に「ON」、「TRIP」、「OFF」等の印字がそれぞれ形成されており、この印字に対し前記遮断器用操作ダイヤル7を回動操作して位置させることにより、遮断器(図示せず)に所定の動作を行わせる構成となっている。
次に、このような化粧枠8を成形する成形型の詳細について説明する。
まず化粧枠8を成形する成形型10は、図1に示すように、第2の型に相当する上型11(図1中、右側の型)を有しており、この上型11は、中間型12及び受型13(図4(b)も参照、なお、図4(b)は(a)のJ−J線に沿う断面図である)より構成され、中間型12の裏面(図1中、右側の面)に受型13が当接するよう位置している。中間型12は、図4(a)にも示すように、その中心部に、下方に突出した円柱状のコア12aを有し、このコア12aを四角状に囲うと共に当該コア12aよりも深さ方向に短い中間型凹部12bを有している。コア12aはその内部に、上方から下方(図1中では、右方から左方)に延びる中間型スプルー14と、この中間型スプルー14の下端から左右方向(図1中では、上下方向)に延びるランナ15と、このランナ15の先端が窄められることにより形成されたゲート16とをそれぞれ有している。
まず化粧枠8を成形する成形型10は、図1に示すように、第2の型に相当する上型11(図1中、右側の型)を有しており、この上型11は、中間型12及び受型13(図4(b)も参照、なお、図4(b)は(a)のJ−J線に沿う断面図である)より構成され、中間型12の裏面(図1中、右側の面)に受型13が当接するよう位置している。中間型12は、図4(a)にも示すように、その中心部に、下方に突出した円柱状のコア12aを有し、このコア12aを四角状に囲うと共に当該コア12aよりも深さ方向に短い中間型凹部12bを有している。コア12aはその内部に、上方から下方(図1中では、右方から左方)に延びる中間型スプルー14と、この中間型スプルー14の下端から左右方向(図1中では、上下方向)に延びるランナ15と、このランナ15の先端が窄められることにより形成されたゲート16とをそれぞれ有している。
また、中間型凹部12bには、後述するネジ挿通孔形成用ピン(挿入部材)17が挿通可能で且つ前記受型13に通じた挿通孔18が二隅(図1では上下に位置させて、図4では左上、右下に位置させて示している)に形成されている。なお、前記受型13は、その中心部に前記中間型スプルー14と連通する受型スプルー19が形成されており、この部分の以外、つまり中間型12の裏面と当接する部分は、全て平面として形成されている。
一方、中間型12の表面(側)には、第1の型に相当する下型20が位置している。これにより、中間型12の表面及び裏面は、下型20及び受型13にて挟まれるようになっている。下型20には、図4(a)に示すように、前記中間型凹部12bと共にキャビティ21を構成する下型凹部20aが形成されている。この下型凹部20aの底面の二隅(図4中では、左上、右下の二隅)には、図1に示すような、前述した一対のネジ挿通孔形成用ピン17が配設されている。
ネジ挿通孔形成用ピン17は、小径の円柱状をなすものであり、図1(a)に示すように、キャビティ21内へ挿入された状態と、図1(b)に示すように、キャビティ21内から退出された状態とに往復動(図1及び図4中、矢印Z方向)が可能に構成されている。なお、ネジ挿通孔形成用ピン17がキャビティ21内に挿入状態(図1(a)の状態、及び図4(b)の2点鎖線の状態)のとき、その先端は前記中間型12の挿通孔18に挿通され受型13に当接し、またネジ挿通孔形成用ピン17がキャビティ21内に非挿入状態(図1(b)の状態、及び図4(b)の点線の状態)のときは、その先端と下型凹部20aの底面とは同一平面となるようになっている。
ネジ挿通孔形成用ピン17は、小径の円柱状をなすものであり、図1(a)に示すように、キャビティ21内へ挿入された状態と、図1(b)に示すように、キャビティ21内から退出された状態とに往復動(図1及び図4中、矢印Z方向)が可能に構成されている。なお、ネジ挿通孔形成用ピン17がキャビティ21内に挿入状態(図1(a)の状態、及び図4(b)の2点鎖線の状態)のとき、その先端は前記中間型12の挿通孔18に挿通され受型13に当接し、またネジ挿通孔形成用ピン17がキャビティ21内に非挿入状態(図1(b)の状態、及び図4(b)の点線の状態)のときは、その先端と下型凹部20aの底面とは同一平面となるようになっている。
下型20において、前記下型凹部20a(キャビティ21)に臨む位置には、図1に示すように、一対のヒータ22が設けられている。このヒータ22は、前記ネジ挿通孔形成用ピン17が挿入される周辺を他の部位よりも高温状態にするものである。このヒータ22の近傍には、同じく下型凹部20a(キャビティ21)に臨むように位置させて、圧力センサ23及び温度センサ24がそれぞれ設けられている。これら圧力センサ23及び温度センサ24は、それぞれキャビティ21内の生分解性樹脂(本実施例では、生分解性樹脂として、例えばポリ乳酸樹脂を使用している)の圧力及び温度を検知するものであり、ヒータ22と共に、図示しない制御装置及びネジ挿通孔形成用ピン17にそれぞれ電気的に接続されている。
下型20の下端部(図1中、左端部)には、駆動機構25が設けられている。この駆動機構25は、下型20に固定された案内枠26と、この案内枠26内にZ方向に往復動可能に設けられ、前記ネジ挿通孔形成用ピン17の基端部が連結された駆動バー27と、この駆動バー27に連結され、案内枠26の端板28を貫通する駆動ロッド29とを備えている。そして、この駆動機構25の駆動ロッド29は、図示しない駆動源たる駆動シリンダにより駆動されるようになっており、駆動シリンダは前記制御装置により制御されるようになっている。
次に、上記のような構成における成形型10に対し、生分解性樹脂を射出して成形品(いわゆる化粧枠8)を得る工程を説明する。
キャビティ21内へ射出される生分解性樹脂は、図4に示すように、まず受型スプルー19、中間型スプルー14を通り、ランナ15、そしてゲート16に至る。そして、ゲート16から射出された生分解性樹脂は、矢印Aにて示すように、キャビティ21の二隅(図4中では、左上、右下)に向かい、当該二隅にて左右に分かれ、コア12aに沿ってキャビティ21を流れ、やがて前記二隅とは違う二隅(図4中では、右上、左下)にて互いにぶつかり合い融合する(この融合した箇所ではウエルドラインが形成されるが、この融合面積が大きいため、強度的には問題とならない)。
キャビティ21内へ射出される生分解性樹脂は、図4に示すように、まず受型スプルー19、中間型スプルー14を通り、ランナ15、そしてゲート16に至る。そして、ゲート16から射出された生分解性樹脂は、矢印Aにて示すように、キャビティ21の二隅(図4中では、左上、右下)に向かい、当該二隅にて左右に分かれ、コア12aに沿ってキャビティ21を流れ、やがて前記二隅とは違う二隅(図4中では、右上、左下)にて互いにぶつかり合い融合する(この融合した箇所ではウエルドラインが形成されるが、この融合面積が大きいため、強度的には問題とならない)。
このとき、圧力センサ23と温度センサ24とは、キャビティ21内の生分解性樹脂における圧力と温度とを検知している。そして、圧力センサ23が、キャビティ21内に生分解性樹脂がほぼ充填された程度の圧力を検知し、更に温度センサ24がキャビティ21内の生分解性樹脂が適度に溶融状態にある温度をそれぞれ検知すると、両センサ23、24は、これらの検知信号を制御装置に送る。制御装置は、これらの検知信号(検知値)が、予め記憶手段に記憶された夫々の記憶値になったと判断すると、駆動機構25の駆動シリンダを動作させ、ネジ挿通孔形成用ピン17をキャビティ21内へと挿入させ挿入状態とする。
このときのネジ挿通孔形成用ピン17周辺の生分解性樹脂は、キャビティ21内にある程度充填されており、また制御装置によるヒータ22の加熱により、他の部位の温度(例えば、100℃〜110℃)より高温で柔らかい状態であるので、ネジ挿通孔形成用ピン17は、生分解性樹脂を容易に貫通して、その先端は中間型12の挿通孔18に挿通されて受型13に当接する。このとき、成形品に対する孔に相当するネジ挿通孔8b(図3参照)が形成される。この状態で、所定時間を経過させ、キャビティ21内の生分解性樹脂が硬化すると、まず中間型12と下型20とを離間させ、その後に中間型12と受型13とを離間させ、ネジ挿通孔形成用ピン17をキャビティ21から退出させて非挿入状態とする。そして、下型20から成形品を得るようにする。
以上のような本実施例の成形型10によれば、まずキャビティ21内にて溶融状態にある生分解性樹脂に対し、後からネジ挿通孔形成用ピン17を挿入して成形品にネジ挿通孔8bを形成するように構成した。このため、キャビティ21内に射出された生分解性樹脂がネジ挿通孔形成用ピン17の後方に回り込むことはなく、融合面積が小さく、強度的に弱いウエルドラインの形成を抑制することができる。そして、これにより、ネジ挿通孔8b周辺の強度を向上させることができる。
なお、図5は、発明者らによる実験結果を示すものであるが、従来技術のおけるネジ挿通孔(取り付けねじ孔)8b周辺に割れが発生する締め付けトルクを100(%)とすると、本実施例においては370(%)となり、4倍弱という飛躍的な強度の向上になる。
なお、図5は、発明者らによる実験結果を示すものであるが、従来技術のおけるネジ挿通孔(取り付けねじ孔)8b周辺に割れが発生する締め付けトルクを100(%)とすると、本実施例においては370(%)となり、4倍弱という飛躍的な強度の向上になる。
また、ネジ挿通孔形成用ピン17におけるキャビティ21への挿入のタイミングを圧力センサ23及び温度センサ24の両方の信号に基づいて行うようにした。このため、生分解性樹脂の量が適当でない状態でネジ挿通孔形成用ピン17を挿入してしまうことにより若干のウエルドラインが形成(生分解性樹脂がネジ挿通孔形成用ピン17の後方に周り込んでしまう)されてしまうような不具合や、或いは生分解性樹脂が溶融状態にないときに、無理にネジ挿通孔形成用ピン17を挿入してしまうなどといった不具合が解消できる。また、制御用の検知値(記憶値)は、制御装置の記憶手段に記憶されるので、常に同条件のタイミングでネジ挿通孔形成用ピン17の挿入することができる。
また、下型20において、前記下型凹部20a(キャビティ21)に臨む位置において、前記ネジ挿通孔形成用ピン17が挿入される周辺に一対のヒータ22を設けた。このため、例えば何らかの理由でキャビティ21内の生分解性樹脂の温度が低下し、これにより全体が硬化し始めてしまうことがあっても、前記ネジ挿通孔形成用ピン17が挿入される周辺は常に高温状態で溶融状態にあるので、常にスムーズに前記ネジ挿通孔形成用ピン17を挿入することができる。
また、上型11を中間型12及び受型13に分け、成形品の硬化後に、下型20と中間型12、そして中間型12と受型13の順で互いの型を離すように構成した。このため、中間型12とネジ挿通孔形成用ピン17とが相対的にずれるので、成形品にバリが残ることを極力防止することができると共に、挿通孔18に残った生分解性樹脂も容易に取り除くことができる。
また、上型11を中間型12及び受型13に分け、成形品の硬化後に、下型20と中間型12、そして中間型12と受型13の順で互いの型を離すように構成した。このため、中間型12とネジ挿通孔形成用ピン17とが相対的にずれるので、成形品にバリが残ることを極力防止することができると共に、挿通孔18に残った生分解性樹脂も容易に取り除くことができる。
なお、ヒータ22は前記ネジ挿通孔形成用ピン17が挿入される周辺だけに設けるのではなく、キャビティ21の各所に設け、キャビティ21内全体を高温状態にして当該キャビティ21内の生分解性樹脂の結晶化を促進するような構成としてもよい。
また、ネジ挿通孔形成用ピン17は、2箇所に限らず、成形品の使用用途に応じて増減させることができる。
また、ネジ挿通孔形成用ピン17の挿入のタイミングは、圧力センサ23或いは温度センサ24の両方の検知信号に基づくものに限定されず、どちらか一方のセンサの検知信号に基づいて行うようにしてもよく、従って、この場合は、一方のセンサのみを設ければよい。
また、キャビティ21の形状は、特に限定するものではない。
また、ネジ挿通孔形成用ピン17は、2箇所に限らず、成形品の使用用途に応じて増減させることができる。
また、ネジ挿通孔形成用ピン17の挿入のタイミングは、圧力センサ23或いは温度センサ24の両方の検知信号に基づくものに限定されず、どちらか一方のセンサの検知信号に基づいて行うようにしてもよく、従って、この場合は、一方のセンサのみを設ければよい。
また、キャビティ21の形状は、特に限定するものではない。
図面中、8bはネジ挿通孔(孔)、10は成形型、11は上型(第2の型)、12は中間型(第2の型)、13は受型(第2の型)、17はネジ挿通孔形成用ピン(挿入部材)、18は挿通孔、20は下型(第1の型)、21はキャビティ、22はヒータ、23は圧力センサ、24は温度センサである。
Claims (6)
- 第1の型及び第2の型により形成されるキャビティ内に生分解性樹脂を射出することにより成形品を得る構成の成形型において、
前記キャビティ内へ挿入可能な挿入部材を備え、
前記キャビティ内へ射出された前記生分解性樹脂が溶融状態にあるときに前記挿入部材を前記キャビティ内へ挿入して前記生分解性樹脂の一部を貫通させることにより孔を形成することを特徴とする成形型。 - 前記キャビティ内における前記挿入部材が挿入される周辺を他の部位よりも高温状態にするヒータが設けられていることを特徴とする請求項1記載の成形型。
- 前記キャビティ内における生分解性樹脂の圧力を検知する圧力センサが設けられ、
前記挿入部材の挿入は、前記圧力センサの検知値に基づいて行われることを特徴とする請求項1または2記載の成形型。 - 前記キャビティ内における生分解性樹脂の温度を検知する温度センサが設けられ、
前記挿入部材の挿入は、前記温度センサの検知値に基づいて行われることを特徴とする請求項1または2記載の成形型。 - 前記挿入部材の挿入は、前記圧力センサ及び前記温度センサの両方の検知値に基づいて行われることを特徴とする請求項1ないし4いずれかに記載の成形型。
- 前記第2の型は受型及び中間型の2枚にて構成され、
前記中間型はその表面及び裏面を前記第1の型及び受型にて挟まれるように位置し、
前記中間型には前記挿入部材が挿通可能で且つ前記受型に通じた挿通孔が形成され、
前記キャビティ内において溶融状態にある生分解性樹脂に対して前記挿入部材が挿入されると当該挿入部材の先端は前記挿通孔を挿通して前記受型に当接するように構成し、
前記生分解性樹脂の成形後は、前記第1の型と前記第2の型の受型及び中間型とを開くことを特徴とする請求項1記載の成形型。
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JP (1) | JP2006289835A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN103878932A (zh) * | 2014-03-12 | 2014-06-25 | 大连理工大学 | 一种分体式双螺纹连接的微注塑测试模具 |
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2005
- 2005-04-12 JP JP2005114975A patent/JP2006289835A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN103878932A (zh) * | 2014-03-12 | 2014-06-25 | 大连理工大学 | 一种分体式双螺纹连接的微注塑测试模具 |
CN103878932B (zh) * | 2014-03-12 | 2016-06-01 | 大连理工大学 | 一种分体式双螺纹连接的微注塑测试模具 |
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