JP2006280573A - 血液ポンプ装置 - Google Patents

血液ポンプ装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2006280573A
JP2006280573A JP2005103731A JP2005103731A JP2006280573A JP 2006280573 A JP2006280573 A JP 2006280573A JP 2005103731 A JP2005103731 A JP 2005103731A JP 2005103731 A JP2005103731 A JP 2005103731A JP 2006280573 A JP2006280573 A JP 2006280573A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
impeller
value
blood
input
motor current
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2005103731A
Other languages
English (en)
Inventor
Koji Okawa
厚司 大川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Terumo Corp
Original Assignee
Terumo Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Terumo Corp filed Critical Terumo Corp
Priority to JP2005103731A priority Critical patent/JP2006280573A/ja
Publication of JP2006280573A publication Critical patent/JP2006280573A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • External Artificial Organs (AREA)

Abstract

【課題】 位置センサを用いることなく、インペラ軸方向浮上量を容易かつ確実に算出できる算出機能を備えた血液ポンプ装置を提供する。
【解決手段】 血液ポンプ装置1は、本体部5と、制御機構6を備える。本体部5は、ハウジング20と、ハウジング内で回転するインペラ21と、インペラ21を回転させるためのモータ34を備える。ポンプ装置1は、モータ電流値、血液粘度値、インペラ回転数値およびあらかじめ測定した多数のインペラ軸方向浮上量における、血液粘度値もしくはヘマトクリット値、モータ電流測定値およびモータ回転数値を入力層データとし、各入力層データに関するインペラ浮上量を教師データとして、ニューラルネットワークを用いて算出した入力層データとインペラ浮上量との関係式であるインペラ軸方向浮上量関連関係式を用いて、インペラ軸方向浮上量を演算する演算部58を有する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、血液などの医療用血液を搬送するための血液ポンプ装置に関する。
最近では、人工心肺装置における体外循環に遠心式血液ポンプを使用する例が増加している。遠心ポンプとしては、外部とポンプ内の血液室との物理的な連通を完全に排除し、細菌等の進入を防止できることにより、外部モータからの駆動トルクを磁気結合を用いて伝達する方法のものが用いられている。
そして、このような遠心式血液ポンプとして、特開平4−91396号公報(特許文献1)に示されるターボ型ポンプがある。この特許文献1に開示されるものでは、インペラの一方面に設けられた第1の永久磁石とハウジングを介して対向する第2の永久磁石とで磁気カップリングを形成し、この第2の永久磁石を取り付けたロータを回転することにより、インペラが回転駆動する。そして、インペラはロータ側に吸引されるが、動圧溝を有するため、動圧溝とハウジング内面間に形成される動圧軸受効果により、若干であるがハウジング内面より離れ、非接触状態にて回転する。
そして、このような動圧軸受ポンプの場合、動圧溝が発生する負荷容量(負荷容量とは軸受の用語であり力の次元を持つ)と、それに抗する力、例えば磁力によって送液用のインペラを周囲の面と非接触に保って溶血と血栓の発生を防いでいる。
また、特開2003−201992号公報(特許文献2)で提案されている遠心式血液ポンプ装置は、ハウジング20内で回転するインペラ21を有するポンプ部2とインペラ吸引用磁石33を備えるロータ31とロータを回転させるモータ34とインペラを吸引するための電磁石41とインペラ位置検出用センサ42とハウジング20の内面に設けられた動圧溝38を備える本体部5と制御機構6を備える。制御機構6は、位置センサ出力モニタリング機能56と、電磁石電流モニタリング機能57と、モータ電流モニタリング機能を備え、位置センサ出力モニタリング機能および電磁石電流モニタリング機能を用いてセンサ不調および電磁石不調を判断し、不調検知時に作動し、動圧溝を利用してインペラを回転させる非常時用回転機能を備える。
特開平4−91396号公報 特開2003−201992号公報
動圧軸受ポンプはインペラが血液中で非接触の状態を保っている。しかし、上記特許文献1のポンプ装置では、インペラの位置を知ることができなかった。したがって、周囲のハウジング面と所定の位置を保って非接触に回転しているかを確認することができない。また、特許文献2のポンプ装置における動圧溝は、センサ不調などの際の非常時用のものであり、常時動圧溝による動圧力を用いてインペラを回転させるタイプのものではなく、また、センサは、動圧溝による動圧力によりインペラがハウジングに非接触状態にて回転する状態におけるインペラの位置を測定するものでもない。
インペラの位置情報であるインペラ浮上量(インペラ端面とハウジング内面間のギャップ)とインペラの揺動(Peak-to-Peak値)は、このような血液ポンプが正常に動作していることを把握するための重要なパラメータである。インペラの位置情報の計測は、リラクタンス式センサ、渦電流式センサなどの専用の位置センサを用いた直接計測も考えられるが、ポンプの構造上センサの取り付けが困難な場合や位置センサの故障、センサとコントローラを繋ぐケーブルの断線などのリスクがある。また、位置センサの実装に伴う部品点数の増加は装置の大型化につながる。体内埋め込み式血液ポンプの場合、長期間ポンプを患者の体内に埋め込むため、患者に対する負担を考慮して如何に小型化するかが課題となっている。また、ポンプのコントローラを体外に設置した構成のポンプシステムの場合、ポンプとコントローラを接続するケーブルが皮膚を貫通することになり、ケーブルを介した感染のリスク(トンネル感染)がある。位置センサをなくせばその分ケーブル径を細くすることができるため、感染のリスクは著しく低下する。このため、ケーブルの細径化も重要な課題である。
そこで、本発明の目的は、磁気浮上タイプの遠心ポンプではなく、いわゆる動圧溝を利用して実質的にハウジングにインペラを非接触状態にて回転させる血液ポンプ装置であって、位置センサを用いることなく、インペラの位置情報を容易かつ確実に算出できるインペラ位置算出機能を備えた血液ポンプ装置を提供することである。
上記目的を達成するものは、以下のものである。
(1) 血液流入ポートと血液流出ポートとを有するハウジングと、磁性体を備え、前記ハウジング内で回転し、回転時の遠心力によって血液を送液するインペラとを有する遠心ポンプ部と、前記遠心ポンプ部の前記インペラを吸引しかつ回転させるためのインペラ回転トルク発生部とを備える遠心式血液ポンプ装置であり、かつ、前記インペラ回転トルク発生部側のハウジング内面もしくは前記インペラの前記インペラ回転トルク発生部側の面に設けられた動圧溝形成部を備え、前記ハウジングに対して前記動圧溝によりインペラが非接触状態にて回転する遠心式血液ポンプ装置であって、
該血液ポンプ装置は、血液粘度値またはヘマトクリット値を入力する血液測定データ入力部と、インペラ回転数測定機能もしくはインペラ回転数算出機能と、モータ電流値計測機能と、インペラ軸方向の浮上量を演算する演算部を備えており、
該演算部は、あらかじめ測定した多数のインペラ軸方向浮上量における、血液粘度値もしくはヘマトクリット値、モータ電流測定値およびモータ回転数値を入力層データとし、前記各入力層データに関するインペラ軸方向浮上量を教師データとして、ニューラルネットワークを用いて算出した入力層データとインペラ軸方向浮上量との関係式であるインペラ浮上量関連関係式を記憶する関係式記憶部と、
前記インペラ浮上量関連関係式、前記血液測定データ入力部に入力された血液粘度値もしくは入力されたヘマトクリット値より演算された血液粘度値、前記インペラ回転数測定または算出機能より得られるインペラ回転数値、前記モータ電流値計測機能により得られるモータ電流測定値もしくはその補正値とを用いて、前記血液粘度値および前記モータ電流測定値ならびに前記インペラ回転数値におけるインペラ軸方向浮上量を演算するインペラ軸方向浮上量演算機能を備えている血液ポンプ装置。
(2) 前記血液ポンプ装置は、前記インペラ回転トルク発生部の磁力発生源による吸引方向と反対方向に前記インペラを吸引する磁石を有し、かつ、前記磁石側のハウジング内面もしくは前記インペラの前記磁石側の表面に設けられた第2の動圧溝を備えるものである上記(1)に記載の血液ポンプ装置。
(3) 前記血液測定データ入力部は、血液粘度測定値入力部である上記(1)または(2)に記載の血液ポンプ装置。
(4) 前記血液測定データ入力部は、ヘマトクリット値入力部であり、前記血液ポンプ装置は、入力されたヘマトクリット値より粘度を演算する粘度演算機能を備えている上記(1)または(2)に記載の血液ポンプ装置。
(5) 前記血液測定データ入力部は、ヘマトクリット値入力部であり、前記血液ポンプ装置は、入力されたヘマトクリット値より粘度を演算する粘度演算機能および比重を演算する比重演算機能を備えている上記(1)または(2)に記載の血液ポンプ装置。
(6) 前記血液ポンプ装置は、比重入力部もしくは比重演算機能と、前記モータ電流測定値を該比重入力部により入力されたもしくは前記比重演算機能により演算された比重を用いて補正した値をモータ電流測定値とするモータ電流測定値補正機能を備えている上記(1)ないし(5)のいずれかに記載の血液ポンプ装置。
(7) 前記血液ポンプ装置は、モータ特性による補正機能を備えており、前記モータ電流測定値を当該モータ特性補正機能により補正した値をモータ電流測定値とするモータ電流測定値補正機能を備えている上記(1)ないし(6)のいずれかに記載の血液ポンプ装置。
(8) 前記関係式記憶部は、あらかじめ測定した多数のインペラ揺動量における、血液粘度値もしくはヘマトクリット値、モータ電流測定値およびモータ回転数値を入力層データとし、前記各入力層データに関するインペラ揺動量を教師データとして、ニューラルネットワークを用いて算出した入力層データとインペラ揺動量との関係式であるインペラ揺動量関連関係式を記憶しており、前記演算部は、該インペラ揺動量関連関係式、前記血液測定データ入力部に入力された血液粘度値もしくは入力されたヘマトクリット値より演算された血液粘度値、前記インペラ回転数測定または算出機能より得られるインペラ回転数値、前記モータ電流値計測機能により得られるモータ電流測定値もしくはその補正値とを用いて、前記血液粘度値および前記モータ電流測定値ならびに前記インペラ回転数値におけるインペラ揺動量を演算するインペラ揺動量演算機能を備えている上記(1)ないし(7)のいずれかに記載の血液ポンプ装置。
(9) 前記関係式記憶部は、あらかじめ測定した多数の血液吐出流量における、血液粘度値もしくはヘマトクリット値、モータ電流測定値およびモータ回転数値を入力層データとし、前記各入力層データに関する血液吐出流量を教師データとして、ニューラルネットワークを用いて算出した入力層データと血液吐出流量との関係式である血液吐出流量関連関係式を記憶しており、前記演算部は、該血液吐出流量関連関係式、前記血液測定データ入力部に入力された血液粘度値もしくは入力されたヘマトクリット値より演算された血液粘度値、前記インペラ回転数測定または算出機能より得られるインペラ回転数値、前記モータ電流値計測機能により得られるモータ電流測定値もしくはその補正値とを用いて、前記血液粘度値および前記モータ電流測定値ならびに前記インペラ回転数値における血液吐出流量を演算する血液吐出流量演算機能を備えている上記(1)ないし(8)のいずれかに記載の血液ポンプ装置。
(10) 前記関係式記憶部は、あらかじめ測定した多数のポンプ揚程における、血液粘度値もしくはヘマトクリット値、モータ電流測定値およびモータ回転数値を入力層データとし、前記各入力層データに関するポンプ揚程を教師データとして、ニューラルネットワークを用いて算出した入力層データとポンプ揚程との関係式であるポンプ揚程関連関係式を記憶しており、前記演算部は、該ポンプ揚程関連関係式、前記血液測定データ入力部に入力された血液粘度値もしくは入力されたヘマトクリット値より演算された血液粘度値、前記インペラ回転数測定または算出機能より得られるインペラ回転数値、前記モータ電流値計測機能により得られるモータ電流測定値もしくはその補正値とを用いて、前記血液粘度値および前記モータ電流測定値ならびに前記インペラ回転数値におけるポンプ揚程を演算するポンプ揚程演算機能を備えている上記(1)ないし(8)のいずれかに記載の血液ポンプ装置。
また、上記目的を達成するものは、以下のものである。
(11) 上記(1)ないし(10)のいずれかに記載の血液ポンプ装置の製造方法であって、該製造方法は、あらかじめ測定した多数のインペラ軸方向浮上量における、血液粘度値もしくはヘマトクリット値、モータ電流測定値およびモータ回転数値を入力層データとし、前記各入力層データに関する血液吐出流量を教師データとして、ニューラルネットワークを用いて、入力層データと吐出流量との関係式を算出するインペラ軸方向浮上量関連関係式算出工程と、該インペラ軸方向浮上量関連関係式算出工程により得られたインペラ軸方向浮上量関連関係式を前記演算部が利用可能となるように前記血液ポンプ装置に記憶させる記憶工程とを行う血液ポンプ装置の製造方法。
(12) 前記血液ポンプ装置の製造方法は、前記血液測定データ入力部に入力された血液粘度値もしくは入力されたヘマトクリット値より演算された血液粘度値、前記インペラ回転数測定または算出機能より得られるインペラ回転数値、前記モータ電流値計測機能により得られるモータ電流測定値もしくはその補正値とを用いてインペラ揺動量を演算する演算部を備える血液ポンプ装置の製造方法であって、
あらかじめ測定した多数のインペラ揺動量における、血液粘度値もしくはヘマトクリット値、モータ電流測定値およびモータ回転数値を入力層データとし、前記各入力層データに関するインペラ揺動量を教師データとして、ニューラルネットワークを用いて、入力層データとインペラ揺動量との関係式を算出するインペラ揺動量関連関係式算出工程と、該インペラ揺動量関係式算出工程により得られたインペラ揺動量関連関係式を前記演算部が利用可能となるように前記血液ポンプ装置に記憶させる記憶工程とを行うものである上記(11)に記載の血液ポンプ装置の製造方法。
(13) 前記血液ポンプ装置の製造方法は、前記血液測定データ入力部に入力された血液粘度値もしくは入力されたヘマトクリット値より演算された血液粘度値、前記インペラ回転数測定または算出機能より得られるインペラ回転数値、前記モータ電流値計測機能により得られるモータ電流測定値もしくはその補正値とを用いて血液吐出流量を演算する演算部を備える血液ポンプ装置の製造方法であって、
あらかじめ測定した多数のインペラ揺動量における、血液粘度値もしくはヘマトクリット値、モータ電流測定値およびモータ回転数値を入力層データとし、前記各入力層データに関する血液吐出流量を教師データとして、ニューラルネットワークを用いて、入力層データと血液吐出流量との関係式を算出する血液吐出流量関係式算出工程と、該血液吐出流量関係式算出工程により得られた血液吐出流量関連関係式を前記演算部が利用可能となるように前記血液ポンプ装置に記憶させる記憶工程とを行うものである上記(11)または(12)に記載の血液ポンプ装置の製造方法。
(14) 前記血液ポンプ装置の製造方法は、前記血液測定データ入力部に入力された血液粘度値もしくは入力されたヘマトクリット値より演算された血液粘度値、前記インペラ回転数測定または算出機能より得られるインペラ回転数値、前記モータ電流値計測機能により得られるモータ電流測定値もしくはその補正値とを用いてポンプ揚程を演算する演算部を備える血液ポンプ装置の製造方法であって、
あらかじめ測定した多数のインペラ揺動量における、血液粘度値もしくはヘマトクリット値、モータ電流測定値およびモータ回転数値を入力層データとし、前記各入力層データに関するポンプ揚程を教師データとして、ニューラルネットワークを用いて、入力層データとポンプ揚程との関係式を算出するポンプ揚程関連関係式算出工程と、該ポンプ揚程関係式算出工程により得られたポンプ揚程関連関係式を前記演算部が利用可能となるように前記血液ポンプ装置に記憶させる記憶工程とを行うものである上記(11)ないし(13)のいずれかに記載の血液ポンプ装置の製造方法。
(15) 前記ニューラルネットワークは、入力層、中間層、出力層の3層からなる3層フィードフォワード型ニューラルネットである上記(11)ないし(14)のいずれかに記載の血液ポンプ装置の製造方法。
この血液ポンプ装置によれば、位置センサを備えないため、装置の小型化が可能となるとともにセンサに起因するポンプ不良の発生がなく、かつ、位置センサを用いて直接計測したときと同等の精度にて位置を確認することができる。そして、位置の算出にニューラルネットワークにて算出した関係式を用いているので、未経験の入力に対しても正しく計算できる。
本発明の血液ポンプ装置および血液ポンプ装置の製造方法を実施例を用いて説明する。
図1は、本発明の血液ポンプ装置の実施例のブロック図である。図2は、本発明の遠心式血液ポンプ装置の実施例の正面図である。図3は、図2に示した遠心式血液ポンプ装置の平面図である。図4は、図2に示した実施例の遠心式血液ポンプ装置の縦断面図である。図5は、図2の遠心式血液ポンプ装置のA−A線断面図である。図6は、図2の遠心式血液ポンプ装置のA−A線断面図よりインペラを取り外した状態を示す断面図である。
本発明の血液ポンプ装置1は、液体流入ポート22と液体流出ポート23とを有するハウジング20と、内部に磁性体25を備え、ハウジング20内で回転し、回転時の遠心力によって液体を送液するインペラ21を有する遠心ポンプ部2と、遠心ポンプ部2のインペラ21の磁性体25を吸引しかつ回転させるためのインペラ回転トルク発生部3とを備える遠心式血液ポンプ装置であり、かつ、遠心ポンプ部2のインペラ回転トルク発生部3側のハウジング内面もしくはインペラ21のインペラ回転トルク発生部3側の面に設けられた動圧溝38を備え、ハウジング20に対して動圧溝38によりインペラ21が非接触状態にて回転する遠心式血液ポンプ装置である。
本発明の血液ポンプ装置1は、血液測定データ入力部(血液粘度値もしくはヘマトクリット値入力部)57と、インペラ回転数測定または算出機能と、モータ電流値計測機能と、インペラ軸方向の浮上量を演算する演算部58を備えている。
演算部58は、あらかじめ測定した多数のインペラ軸方向浮上量における、血液粘度値もしくはヘマトクリット値、モータ電流測定値およびモータ回転数値を入力層データとし、前記各入力層データに関するインペラ軸方向浮上量を教師データとして、ニューラルネットワークを用いて算出した入力層データとインペラ軸方向浮上量との関係式であるインペラ浮上量関連関係式(シグモイド関数を利用する)を記憶する関係式記憶部60と、インペラ浮上量関連関係式、血液測定データ入力部に入力された血液粘度値もしくは入力されたヘマトクリット値より演算された血液粘度値、インペラ回転数測定または算出機能より得られるインペラ回転数値、モータ電流値計測機能により得られるモータ電流測定値もしくはその補正値とを用いて、当該血液粘度値および当該モータ電流測定値ならびに当該インペラ回転数値におけるインペラ軸方向浮上量を演算するインペラ軸方向浮上量演算機能を備えている。
また、この血液ポンプ装置は、インペラ揺動量演算機能を備えることが好ましい。
この場合、関係式記憶部60は、あらかじめ測定した多数のインペラ揺動量における、血液粘度値もしくはヘマトクリット値、モータ電流測定値およびモータ回転数値を入力層データとし、前記各入力層データに関するインペラ揺動量を教師データとして、ニューラルネットワークを用いて算出した入力層データとインペラ揺動量との関係式であるインペラ揺動量関連関係式(シグモイド関数を利用する)を記憶する。そして、演算部58は、インペラ揺動量関連関係式、血液測定データ入力部に入力された血液粘度値もしくは入力されたヘマトクリット値より演算された血液粘度値、インペラ回転数測定または算出機能より得られるインペラ回転数値、モータ電流値計測機能により得られるモータ電流測定値もしくはその補正値とを用いて、当該血液粘度値および当該モータ電流測定値ならびに当該インペラ回転数値におけるインペラ揺動量を演算するインペラ揺動量演算機能を備えるものとなる。
また、この血液ポンプ装置は、吐出流量演算機能を備えることが好ましい。この場合、関係式記憶部60は、あらかじめ測定した多数の血液吐出流量における、血液粘度値もしくはヘマトクリット値、モータ電流測定値およびモータ回転数値を入力層データとし、各入力層データに関する血液吐出流量を教師データとして、ニューラルネットワークを用いて算出した入力層データと吐出流量との関係式である吐出流量関連関係式(シグモイド関数を利用する)を記憶する。そして、演算部58は、この吐出流量関連関係式、血液測定データ入力部57に入力された血液粘度値もしくは入力されたヘマトクリット値より演算された血液粘度値、インペラ回転数測定または算出機能より得られるインペラ回転数値、モータ電流値計測機能により得られるモータ電流測定値もしくはその補正値とを用いて、当該血液粘度値および当該モータ電流測定値ならびに当該インペラ回転数値における血液吐出流量を演算する吐出流量演算機能を備えるものとなる。
また、この血液ポンプ装置1は、ポンプ揚程演算機能を備えることが好ましい。この場合関係式記憶部60は、あらかじめ測定した多数のポンプ揚程における、血液粘度値もしくはヘマトクリット値、モータ電流測定値およびモータ回転数値を入力層データとし、各入力層データに関するポンプ揚程を教師データとして、ニューラルネットワークを用いて算出した入力層データとポンプ揚程との関係式であるポンプ揚程関連関係式(シグモイド関数を利用する)を記憶する。そして、演算部58は、ポンプ揚程関連関係式、血液測定データ入力部に入力された血液粘度値もしくは入力されたヘマトクリット値より演算された血液粘度値、インペラ回転数測定または算出機能より得られるインペラ回転数値、モータ電流値計測機能により得られるモータ電流測定値もしくはその補正値とを用いて、当該血液粘度値および当該モータ電流測定値ならびに当該インペラ回転数値におけるポンプ揚程を演算するポンプ揚程演算機能を備えるものとなる。
本発明の遠心式血液ポンプ装置1は、血液流入ポート22と血液流出ポート23を有するハウジング20と、磁性体25を備え、ハウジング20内で回転し、回転時の遠心力によって血液を送液するインペラ21と、インペラ21を吸引しかつ回転させるためのインペラトルク発生部3を有する。さらに、ポンプ部2は、インペラ回転トルク発生部3側のハウジング内面に設けられた第一の動圧溝38を備える。そして、動圧溝38が形成されているハウジング内面とインペラ間に発生する動圧軸受効果により、インペラ21はハウジング20に対して非接触状態にて回転し、ポンプ部2はインペラ21の位置を演算する機能を有するインペラ位置演算部58を備える。そして、この実施例の遠心式血液ポンプ1では、インペラトルク発生部3は、インペラ21の磁性体25を吸引するための磁石33を備えるロータ31とロータ31を回転させるモータ34を備えるものとなっている。
図2ないし図4に示すように、この実施例の遠心式血液ポンプ本体部5は、血液流入ポート22と血液流出ポート23を有するハウジング20と、ハウジング20内で回転し、回転時の遠心力によって血液を送液するインペラ21を有する遠心式血液ポンプ部2と、インペラ21のためのインペラ回転トルク発生部3を備える。インペラ21は、図4に示すように、インペラ回転トルク発生部3および動圧溝38が形成されているハウジング内面とインペラ間に発生する動圧軸受効果により、ハウジング20内の所定位置に保持され、ハウジング内面に接触することなく通常は回転する。ハウジング20は、血液流入ポート22と血液流出ポート23とを備え、非磁性材料により形成されている。ハウジング20内には、血液流入ポート22および血液流出ポート23と連通する血液室24が形成されている。このハウジング20内には、インペラ21が収納されている。血液流入ポート22は、ハウジング20の上面の中央付近よりほぼ垂直に突出するように設けられている(曲がり管にすることも可能)。血液流出ポート23は、図3および図5に示すように、ほぼ円筒状に形成されたハウジング20の側面より接線方向に突出するように設けられている。
図5に示すように、ハウジング20内に形成された血液室24内には、中央に貫通口を有する円板状のインペラ21が収納されている。インペラ21は、図4に示すように、下面を形成するドーナツ板状部材(下部シュラウド)27と、上面を形成する中央が開口したドーナツ板状部材(上部シュラウド)28と、両者間に形成された複数(例えば、7つ)のベーン18を有する。そして、下部シュラウドと上部シュラウドの間には、隣り合うベーン18で仕切られた複数(7つ)の血液通路26が形成されている。血液通路26は、図5に示すように、インペラ21の中央開口と連通し、インペラ21の中央開口を始端とし、外周縁まで徐々に幅が広がるように延びている。言い換えれば、隣り合う血液通路26間にベーン18が形成されている。なお、この実施例では、それぞれの血液通路26およびそれぞれのベーン18は、等角度間隔にかつほぼ同じ形状に設けられている。
そして、図4に示すように、インペラ21には、複数(例えば、24個)の第1の磁性体25(永久磁石、従動マグネット)が埋設されている。この実施例では、第1の磁性体25は、下部シュラウド27内に埋設されている。埋設された磁性体25(永久磁石)は、後述するインペラ回転トルク発生部3のロータ31に設けられた永久磁石33によりインペラ21を血液流入ポート22と反対側に吸引され、インペラ回転トルク発生部3の回転トルクをインペラ21に伝達するために設けられている。また、この実施例のようにある程度の個数の磁性体25を埋設することにより、後述するロータ31との磁気的結合も十分に確保できる。磁性体25(永久磁石)の形状としては、円形であることが好ましい。あるいは、リング状のマグネットを多極(例えば、24極)に分極したもの、言い換えれば、複数の小さな磁石を磁極が交互となるように、かつ、リング状に並べたものでもよい。
インペラ回転トルク発生部3は、図4に示すように、ハウジング20内に収納されたロータ31とロータ31を回転させるためのモータ34を備える。ロータ31は、血液ポンプ部2側の面に設けられた複数の永久磁石33を備える。ロータ31の中心は、モータ34の回転軸に固定されている。永久磁石33は、インペラ21の永久磁石25の配置形態(数および配置位置)に対応するように、複数かつ等角度ごとに設けられている。インペラ回転トルク発生部3としては、上述のロータおよびモータを備えるものに限られず、例えば、インペラ21の永久磁石25を吸引し、かつ回転駆動させるための複数のステーターコイルからなるものでもよい。
そして、本発明のポンプ装置1は、インペラ回転トルク発生部3側のハウジング内面もしくはインペラ21のインペラ回転トルク発生部3側の面に設けられた第1の動圧溝38を備える。動圧溝38は、図7に示す周縁部の幅Bと、隣り合う動圧溝38の周縁間の動圧溝非存在部(ランド部)幅Bと上記幅Bの和B(B=B+B)より算出される溝幅関連値s(s=B/B)が、0.6〜0.8となるように形成されていることが好ましい。
また、本発明のポンプ装置では、インペラ回転時の動圧溝形成部の動圧溝部38におけるインペラとハウジング間距離h1とインペラ回転時の動圧溝形成部の動圧溝非存在部(ランド部)におけるインペラとハウジング間距離h2より算出される溝深さ関連値a(a=h1/h2)が1.5〜2.5となるように形成されていることが好ましい。
そして、動圧溝38が、上述した溝幅関連値s(s=B/B)が0.6〜0.8であって、かつ、溝深さ関連値a(a=h1/h2)が1.5〜2.5となるように形成されていることにより、同じ個数の動圧溝を備える対数螺旋溝に比べて溝幅が大きく、また、溝深さも浅いため、溶血の発生が少ないものとなる。
なお、動圧溝としては、図9に示すような対数螺旋溝であってもよい。そして、対数螺旋溝の場合は、溝外半径:r2、溝内半径:rb、溝流入角:α、溝部とランド部の溝の比:a1/a2、溝の個数:N、溝深さ:h1、回転数:ω、粘度:μを与えることによって負荷容量が計算できる。しかし、それ以外の動圧溝形状では、流体の流れを3次元問題として解析して、負荷容量を求めて適するパラメータを決めるか、2次元問題(動圧溝の断面形状のみを考慮し、その断面と直行する長さ方向は断面の幅に対して十分長いとして考えることができる問題)に簡略化して解析した結果を用いることになる。この実施例においては、後者の設計方法を用いた。
図4に示す遠心ポンプ装置では、
(1) インペラとロータ間の磁気カップリングによってインペラをロータ側に引く力が働く。
(2) 動圧溝が発生する負荷容量によってインペラをロータ側と逆方向に動かす力が働く。
(1)と(2)の力が釣り合って、インペラはハウジング内で周囲と非接触に位置を保つ。
図6の形状(動圧断面方向の長さはLとする)の動圧溝の場合を考えると、圧力pは、

領域1( 0≦x≦B)の場合:

Figure 2006280573


領域2( B≦x≦B )の場合:

Figure 2006280573

となる(pのy方向の変化は小さく、無視できる)。
ここで、
Figure 2006280573


である。ここで、a,sは、
a=h1/h2, s=B/B
である。すると、a,sについてのWd-lessの変化は図8のようになる。
1個の溝が発生する負荷容量Wは、
Figure 2006280573

である。
このWをμULB/h で除して無次元化したWd-lessは、
Figure 2006280573

である。
式(3)、(4)、(5)より、
Figure 2006280573

となる。
これより、負荷容量Wは、流体の粘度μとインペラ回転速度Uに比例することがわかる。本発明の遠心ポンプの構成は、インペラ回転トルク発生部側のハウジング底面もしくは前記インペラの前記インペラ回転トルク発生部側の面に動圧溝形成部を備え、インペラをインペラ回転トルク発生部側(すなわちロータ側)のみから吸引する片側溝・片側カップリングモデルである。この構成の場合、インペラの浮上位置は、インペラ−ロータ間の磁気カップリング力と動圧力の釣り合いで決まる。動圧力は動圧溝が発生する負荷容量に依存する。式(6)より、負荷容量は血液粘度μとインペラの回転速度U(インペラの回転数Nに比例)に比例するため、動圧力は血液粘度μと回転数Nに概ね比例する。
本発明のポンプのインペラ浮上量と流体の粘度μおよび回転数Nとの関係の一例を、それぞれ図17、図18に示す。
そして、血液ポンプ装置1は、制御機構(コントローラ)6を備えている。
制御機構6は、図1に示すように、磁気カップリング用のモータ34のためのパワーアンプ52およびモータ制御回路53、制御部51、電源部56、血液測定データ入力部(言い換えれば、血液パラメータ入力部)57、演算部58、表示部59を備える。制御部51は、モータ電流モニタリング機能およびインペラ回転数モニタリング機能を備える。
血液測定データ入力部(血液パラメータ入力部)57としては、例えば、血液粘度測定値入力部である。好ましくは、図1に示すように、血液粘度測定値入力部と比重入力部を備えることが好ましい。この場合、血液粘度および比重は使用者より採血した血液より外部機器を用いて測定される。
また、血液測定データ入力部(血液パラメータ入力部)57としては、図1の括弧内に示すように、ヘマトクリット値入力部であってもよい。この場合、血液ポンプ装置は、入力されたヘマトクリット値より粘度を演算する粘度演算機能を備えているものとなる。つまり、演算部58は、粘度演算機能を備えるものとなる。粘度演算方法は以下のとおりである。
v=a3Hct3+a2Hct2+a1Hct+a0
v[mPa・s]は粘度、Hct[%]はヘマトクリット値、a0〜a3=係数
さらに、血液ポンプ装置は、入力されたヘマトクリット値より比重を演算する比重演算機能を備えていることが好ましい。つまり、吐出流量演算部58は、比重演算機能を備えるものとなる。比重計算方法は、以下のとおりである。
ρ=b3Hct3+b2Hct2+b1Hct+b0
ρは比重、Hct[%]はヘマトクリット値、b0〜b3=係数
また、血液ポンプ装置1は、インペラ回転数測定機能(モータ回転数測定器)もしくはインペラ回転数算出機能(モータ回転数算出機能)を備えている。この場合、制御装置6は、モータ回転数モニタリング機能を備えるものとなる。
また、モータ電流値の比重による補正は、下記式により行うことができる。
モータ電流補正値=モータ電流実測値/比重
また、血液ポンプ装置は、温度による補正機能を備えていることが好ましい。温度による補正は、測定されるモータ電流値を温度により補正することにより行うことができる。モータ電流値の温度による補正は、下記式により行うことができる。
Icomp=f(T,Imeas,a1,a2,..,an)
Icomp:温度補正後のモータ電流値
f:補正用の変換関数
T:コントローラ温度
Imeas:測定されるモータ電流値
a1,a2,..an:予め製品コントローラ毎に測定された補正用の係数
また、血液ポンプ装置は、モータ特性による補正機能を備えていることが好ましい。モータ電流値のモータ特性による補正は、下記式により行うことができる。
Is=gmotor(Ip,N,c1,c2,..,cn)
Ip:測定されたモータ電流値
gmotor:モータ電流値の変換に使用する関数
Is:モータ特性による補正後のモータ電流値
N:回転数
c1,c2,..,cn:予め製品コントローラ毎に測定された補正用の係数
この式のIpに測定されたモータ電流値を代入することで、モータ電流値の補正を行うことができる。
また、ポンプ装置としては、図16に示すようなシステム構成のものであってもよい。この実施例の血液ポンプ装置100は、血液ポンプ本体部5とこれと電気的に接続された制御機構(言い換えれば、コントローラ)6からなる血液ポンプ本体と、演算器7とに分離している。そして、コントローラ6と演算器7とは、それぞれが備える通信機能8によりデータ通信可能となっている。具体的には、通信機能8は、制御機構側通信インターフェース88(コントローラ側通信インターフェース)と、吐出流量演算器側通信インターフェース89により構成されている。少なくとも、制御機構側通信インターフェース88(コントローラ側通信インターフェース)は、モータ電流値もしくはその関連信号およびインペラ回転数もしくはその関連信号を発信する機能を備えている。演算器側通信インターフェース89は、制御機構側通信インターフェース88より発信されたモータ電流値もしくはその関連信号およびインペラ回転数もしくはその関連信号を受信する機能を備えている。なお、両者間の通信は、アナログ通信、デジタル通信のいずれでもよい。通信形式は、公知のものが使用できる。この実施例の血液ポンプ装置100と上述した血液ポンプ装置1との相違は、制御機構より演算器が分離された点のみであり、その他の構成については上述した血液ポンプ装置1と同じである。
この実施例の血液ポンプ装置100における制御機構6は、図16に示すように、磁気カップリング用のモータ34のためのパワーアンプ52およびモータ制御回路53、制御部51、電源部56、制御機構側通信インターフェース88を備えている。制御部51は、モータ電流モニタリング機能およびインペラ回転数モニタリング機能を備える。
演算器7は、血液測定データ入力部(言い換えれば、血液パラメータ入力部)57、演算部58、表示部59、電源部62、演算器側通信インターフェース89を備える。
血液測定データ入力部(血液パラメータ入力部)57としては、例えば、血液粘度測定値入力部である。好ましくは、図16に示すように、血液粘度測定値入力部と比重入力部を備えることが好ましい。この場合、血液粘度および比重は使用者より採血した血液より外部機器を用いて測定される。
また、血液測定データ入力部(血液パラメータ入力部)57としては、図16の括弧内に示すように、ヘマトクリット値入力部であってもよい。この場合、血液ポンプ装置は、入力されたヘマトクリット値より粘度を演算する粘度演算機能を備えているものとなる。つまり、演算部58は、粘度演算機能を備えるものとなる。
また、本発明の血液ポンプ装置に用いられる血液ポンプ本体部としては、図10ないし図15に示すようなものであってもよい。
図10は、本発明の遠心式血液ポンプ装置に用いられるポンプ本体の他の例の正面図である。図11は、図10に示した遠心式血液ポンプ装置の平面図である。図12は、図10のB−B線断面図である。図13は、図12のC−C線断面図である。図14は、図12のC−C線断面図よりインペラを取り外した状態を示す断面図である。図15は、図12の遠心式血液ポンプ装置のD−D線断面図よりインペラを取り外した状態を示す断面図である。
この血液ポンプ本体50は、血液流入ポート22と血液流出ポート23とを有するハウジング20と、内部に第1の磁性体25または第1の磁性体25と第2の磁性体29を備え、ハウジング20内で回転し、回転時の遠心力によって血液を送液するインペラ21を有する遠心ポンプ部2と、遠心ポンプ部2のインペラ21の第1の磁性体25を吸引するとともにインペラ21を回転させるためのインペラ回転トルク発生部3と、インペラ21の第1の磁性体25または第2の磁性体29をインペラ回転トルク発生部3の磁力発生源による吸引方向と反対方向に吸引する第3の磁性体41とを備える。そして、血液ポンプ本体50は、第3の磁性体側のハウジング内面もしくは前記インペラの前記第3の磁性体側の表面に設けられた第2の動圧溝71を備えている。
インペラ21の非回転時には、インペラ21には、インペラ回転トルク発生部3の磁力発生源による吸引力と第3の磁性体41(具体的には、永久磁石)による吸引力が作用する。このため、インペラ21に対して一方向にしか吸引力を作用させないものに比べて、インペラ21の非回転時のインペラ21とハウジングとの接触圧力は小さいものとなる。このため、インペラ21の回転起動時に発生するインペラ21とハウジングとの摩擦抵抗は小さくなり、インペラ21のスムーズな回転起動が可能となる。
このポンプ本体50では、インペラ回転トルク発生部3は、インペラ21の第1の磁性体25を吸引するための磁石33を備えるロータ31と、ロータ31を回転させるモータ34を備えている。
図10ないし図15に示すように、ポンプ本体50は、血液流入ポート22と血液流出ポート23を有するハウジング20と、ハウジング20内で回転し、回転時の遠心力によって血液を送液するインペラ21を有する遠心式血液ポンプ部2と、インペラ21のためのインペラ回転トルク発生部3と、インペラ21をインペラ回転トルク発生部3と反対方向に補助吸引する補助吸引部を備える。なお、補助吸引部は、第3の磁性体41(具体的には、永久磁石)を備える。
インペラ21は、図12に示すように、回転時に動圧溝38により発生する圧力により、ハウジング内面に接触することなく回転する。特に、このポンプ本体50では、第3の磁性体(永久磁石)によりインペラをロータと反対方向に吸引するため、通常の動圧溝により得られるインペラとハウジング間距離よりもさらに離間した状態にて回転する。
ハウジング20は、血液流入ポート22と血液流出ポート23とを備え、非磁性材料により形成されている。ハウジング20内には、血液流入ポート22および血液流出ポート23と連通する血液室24が形成されている。このハウジング20内には、インペラ21が収納されている。血液流入ポート22は、ハウジング20の上面の中央付近よりほぼ垂直に突出するように設けられている。血液流出ポート23は、図11および図13に示すように、ほぼ円筒状に形成されたハウジング20の側面より接線方向に突出するように設けられている。
図13に示すように、ハウジング20内に形成された血液室24内には、中央に貫通口を有する円板状のインペラ21が収納されている。インペラ21は、図3に示すように、下面を形成するドーナツ板状部材に形成された下部シュラウド27と、上面を形成する中央が開口したドーナツ板状部材に形成された上部シュラウド28と、両者間に形成された複数(例えば、7つ)のベーン18を有する。そして、下部シュラウドと上部シュラウドの間には、隣り合うベーン18で仕切られた複数(7つ)の血液通路26が形成されている。血液通路26は、図13に示すように、インペラ21の中央開口と連通し、インペラ21の中央開口を始端とし、外周縁まで徐々に幅が広がるように延びている。言い換えれば、隣り合う血液通路26間にベーン18が形成されている。なお、この実施例では、それぞれの血液通路26およびそれぞれのベーン18は、等角度間隔にかつほぼ同じ形状に設けられている。
そして、図12に示すように、インペラ21には、複数(例えば、14〜24個)の第1の磁性体25(永久磁石、従動マグネット)が埋設されている。この実施例では、第1の磁性体25は、下部シュラウド27内に埋設されている。埋設された磁性体25(永久磁石)は、後述するインペラ回転トルク発生部3のロータ31に設けられた永久磁石33によりインペラ21を血液流入ポート22と反対側に吸引され、ロータとのカップリングおよび回転トルクをインペラ回転トルク発生部より伝達するために設けられている。
また、この実施例のようにある程度の個数の磁性体25を埋設することにより、後述するロータ31との磁気的結合も十分に確保できる。磁性体25(永久磁石)の形状としては、円形であることが好ましい。あるいは、リング状のマグネットを多極(例えば、24極)に分極したもの、言い換えれば、複数の小さな磁石を磁極が交互もしくは同一となるように、かつ、リング状に並べたものでもよい。
また、インペラ21は、上部シュラウドそのものもしくは上部シュラウド内に設けられた第2の磁性体29を備える。第2の磁性体としては、永久磁石が好ましく、形態としては、リング状であることが好ましい。第2の磁性体29は、第3の磁性体41(具体的には、永久磁石)によりインペラ21をロータ31と反対側、言い換えれば血液流入ポート22側に吸引(言い換えれば、付勢)するために設けられている。
インペラ回転トルク発生部3は、図12に示すように、ハウジング20内に収納されたロータ31とロータ31を回転させるためのモータ34を備える。ロータ31は、血液ポンプ部2側の面に設けられた複数の永久磁石33を備える。ロータ31の中心は、モータ34の回転軸に固定されている。永久磁石33は、インペラ21の永久磁石25の配置形態(数および配置位置)に対応するように、複数かつ等角度ごとに設けられている。
インペラ補助吸引部は、図11および図12に示すように、インペラの磁性体29を吸引するための固定された少なくとも1つの第3の磁性体41(具体的には、永久磁石)を備えている。具体的には、ハウジング20内に収納された複数の第3の磁性体41(具体的には、永久磁石)を有する。また、複数の第3の磁性体41(具体的には、永久磁石)は、それぞれ等角度間隔にて設けられている。第3の磁性体41(具体的には、永久磁石)は、この実施例では、3個設けられている。磁性体41としては、リング状のものを1つもしくは同心的に複数設けてもよく、また、図示するように、2以上の磁性体41をほぼ等角度に配置してもよい。この場合、磁性体の数としては、2〜8個が好ましく、特に、3〜6個が好ましい。
さらに、このポンプ本体50では、ハウジング20は、図12および図14に示すように、インペラ21を収納するとともに血液室24を形成するハウジング内面を備え、ロータ31側のハウジング内面20aに設けられた動圧溝38を備えている。そして、インペラ21は、所定以上の回転数にて回転することにより発生する動圧溝38とインペラ21間に形成される動圧軸受効果により、非接触状態にて回転する。
動圧溝38は、図14に示すように、インペラ21の底面(ロータ側面)に対応する大きさに形成されている。この実施例のポンプ本体50では、ハウジング内面20aの中心より若干離間した円形部分の周縁(円周)上に一端を有し、渦状に(言い換えれば、湾曲して)ハウジング内面20aの外縁付近まで、幅が徐々に広がるように延びている。また、動圧溝38は複数個設けられており、それぞれの動圧溝38はほぼ同じ形状であり、かつほぼ同じ間隔に配置されている。動圧溝38は、凹部であり、深さとしては、0.005〜0.4mm程度が好適である。動圧溝としては、6〜36個程度設けることが好ましい。この実施例では、12個の動圧溝がインペラの中心軸に対して等角度に配置されている。この実施例のポンプ装置における動圧溝38は、いわゆる内向スパイラル溝形状となっており、インペラが反時計方向に回転することにより、この動圧溝が図7に示すように圧力を発生し、インペラ21とこの動圧溝を形成しているハウジング20間に反発力が得られ、これが動圧力となる。
なお、動圧溝は、ハウジング側ではなくインペラ21のロータ側の面に設けてもよい。この場合も上述した動圧溝と同様の構成とすることが好ましい。
このような動圧溝を有するため、インペラ回転トルク発生部3側に吸引されるが、ハウジングの動圧溝38とインペラ21の底面間(もしくはインペラの動圧溝とハウジング内面間)に形成される動圧軸受効果により、若干であるが、ハウジング内面より離れ、非接触状態にて回転し、インペラの下面とハウジング内面間に血液流路を確保するため、両者間での血液滞留およびそれに起因する血栓の発生を防止する。さらに、通常状態において、動圧溝が、インペラの下面とハウジング内面間において撹拌作用を発揮するので、両者間における部分的な血液滞留の発生を防止する。
さらに、動圧溝38は、その角となる部分が少なくとも0.05mm以上のRを持つように丸められていることが好ましい。このようにすることにより、溶血の発生をより少ないものとすることができる。
そして、ポンプ本体50は、第3の磁性体41(具体的には、永久磁石)側のハウジング内面もしくはインペラ21の第3の磁性体41(具体的には、永久磁石)側の表面に設けられた第2の動圧溝71を備えている。
具体的には、図12ないし図15に図示するように、ハウジング20は、インペラ21を収納するとともに血液室24を形成するハウジング内面を備え、ロータ31側のハウジング内面20aに設けられた第1の動圧溝38を備えるとともに、第3の磁性体41(具体的には、永久磁石)側のハウジング内面20bに設けられた第2の動圧溝71を備えている。
このため、インペラ21は、所定以上の回転数により回転することにより発生する第1の動圧溝38とインペラ21間に形成される動圧軸受効果により、非接触状態にて回転するとともに、外的衝撃を受けた時また第1の動圧溝38による動圧力が過剰となった時に、インペラのハウジング内面20b側への密着を防止する。そして、第1の動圧溝により発生する動圧力と第2の動圧溝により発生する動圧力は異なるものとなっていてもよい。
インペラ21の上部シュラウド28とハウジング内面20bとの隙間と、インペラ21の下部シュラウド27とハウジング内面20aとの隙間とをほぼ同じ状態でインペラ21は回転するのが望ましい。インペラ21に作用する流体力等の外乱が大きく、一方の隙間が狭くなる場合には、その狭くなる側に配した一方の動圧溝による動圧力を他方の動圧溝による動圧力より大きくし、両隙間をほぼ同じようにするため、各々溝形状を異なるようにすることが望ましい。インペラ21に作用する流体力等の外乱が小さい場合には、両動圧溝形状は同一であることが望ましい。
動圧溝71は、上述した動圧溝38と同様に、インペラ21の上面(永久磁石側面)に対応する大きさに形成されている。図示するポンプ本体50では、ハウジング内面20bの中心より若干離間した円形部分の周縁(円周)上に一端を有し、渦状に(言い換えれば、湾曲して)ハウジング内面20bの外縁付近まで、幅が徐々に広がるように延びている。また、動圧溝71は複数個設けられており、それぞれの動圧溝71はほぼ同じ形状であり、かつほぼ同じ間隔に配置されている。動圧溝71は、凹部であり、深さとしては、0.005〜0.4mm程度が好適である。動圧溝としては、6〜36個程度設けることが好ましい。この実施例では、12個の動圧溝がインペラの中心軸に対して等角度に配置されている。
なお、第2の動圧溝は、ハウジング側ではなくインペラ21の永久磁石側の面に設けてもよい。この場合も上述した第2の動圧溝と同様の構成とすることが好ましい。さらに、動圧溝71は、その角となる部分が少なくとも0.05mm以上のRを持つように丸められていることが好ましい。このようにすることにより、溶血の発生をより少ないものとすることができる。
また、インペラ補助吸引部における磁性体29と永久磁石41の吸引力に起因するインペラの剛性低下を防ぐため、対向する磁性体と永久磁石とはその対向面のサイズが異なることが好ましい。図12に示すものにおいても、第3の磁性体41(具体的には、永久磁石)は、磁性体29より小さいものとなっており、両者対向面のサイズが異なっている。これによって、両者間の距離によって変化する吸引力の変化量、すなわち負の剛性を小さく抑えることで、インペラ支持剛性の低下を防いでいる。
図14および図15の例では、2つの動圧溝は同じ形状としたが、各動圧溝の形状を変え、各動圧性能を変更してもよい。
次に、本発明の血液ポンプ装置の製造方法および本発明の血液ポンプ装置の演算部に記憶される、ニューラルネットワークを用いるとともに、血液粘度値もしくはヘマトクリット値、モータ電流測定値およびモータ回転数値からなる入力層データとし、インペラ浮上量を教師データとして導かれた入力層データとインペラ軸方向浮上量との関係式であるインペラ浮上量関連関係式(シグモイド関数を利用する)について説明する。
本発明の血液ポンプ装置の製造方法は、血液流入ポートと血液流出ポートを有するハウジングと、前記ハウジング内で回転し血液を送液するインペラと、該インペラを回転させるためのモータと、血液測定データ入力部と、インペラ回転数測定または算出機能と、モータ電流値計測機能と、前記血液測定データ入力部に入力もしくは入力された血液測定データにより演算された血液粘度値、インペラ回転数測定または算出機能より得られるインペラ回転数値、前記モータ電流値計測機能により得られるモータ電流測定値もしくはその補正値とを用いてインペラ軸方向浮上量を演算する演算部を備える血液ポンプ装置の製造方法であって、あらかじめ測定した多数のインペラ軸方向浮上量における、血液粘度値もしくはヘマトクリット値、モータ電流測定値およびモータ回転数値を入力層データとし、前記各入力層データに関するインペラ浮上量(インペラ軸方向浮上量)を教師データとして、ニューラルネットワークを用いて、入力層データとインペラ浮上量(インペラ軸方向浮上量)との関係式を算出するインペラ軸方向浮上量関連関係式算出工程と、該インペラ軸方向浮上量関連関係式算出工程により得られたインペラ軸方向浮上量関連関係式を前記演算部が利用可能となるように前記血液ポンプ装置に記憶させる記憶工程とを行うものである。
上記と合わせて、血液ポンプ装置の演算部に記憶される、ニューラルネットワークを用いるとともに、血液粘度値もしくはヘマトクリット値、モータ電流測定値およびモータ回転数値からなる入力層データとし、インペラ揺動量を教師データとして導かれた、入力層データとインペラ揺動量との関係式であるインペラ揺動量関連関係式(シグモイド関数を利用する)について説明する。
この血液ポンプ装置の製造方法は、インペラ揺動量を演算する演算部を備える血液ポンプ装置の製造方法であり、あらかじめ測定した多数のインペラ揺動量における、血液粘度値もしくはヘマトクリット値、モータ電流測定値およびモータ回転数値を入力層データとし、前記各入力層データに関するインペラ揺動量を教師データとして、ニューラルネットワークを用いて、入力層データとインペラ揺動量との関係式を算出するインペラ揺動量関連関係式算出工程と、該インペラ揺動量関係式算出工程により得られたインペラ揺動量関連関係式を前記演算部が利用可能となるように前記血液ポンプ装置に記憶させる記憶工程とを行うものである。
説明する実施例では、インペラ浮上量関連関係式およびインペラ揺動量関連関係式を算出する工程と、算出されたインペラ浮上量関連関係式およびインペラ揺動量関連関係式を演算部が利用可能となるように血液ポンプ装置記憶させる記憶工程とを行う。なお、この記憶工程は、演算部58が備える関係式記憶部60に上記のインペラ浮上量関連関係式およびインペラ揺動量関連関係式を記憶させるものとなっている。
よって、説明する実施例では、インペラ浮上量およびインペラ揺動量の両者を算出するものであり、インペラのアキシャル方向の浮上量(インペラとハウジング表面間のギャップ)および揺動を演算するインペラ位置演算部58を備えるもなっている。
関係式の算出は、ニューラルネットワークを用いて行われる。
ニューラルネットワークとしては、3入力2出力の3層のフィードフォワード型ネットワークを用いることが好ましい。3層は、入力層、中間層、出力層で構成される。入力層には血液粘度値とインペラ回転数値およびモータ電流値が入力され、出力層からはアキシャル方向のインペラ浮上量および揺動が出力される。中間層は、複数個の人工素子(非線形素子)より構成される。3層ニューラルネットワークは、「連続性の条件」もしくは「2乗可積分の条件」のいずれかを満たす全ての関数を高い精度で近似できる。ニューラルネットの出力の精度を高めるためには中間層の素子数を増やさなければならないがその分計算量は増える。
本発明において利用するニューラルネットを構成する中間層の素子数は3個から20個が望ましい。アキシャル方向のインペラ浮上量と揺動の演算に3層フィードフォワード型ニューラルネットを用いることにより、位置センサを用いることなく、インペラの位置情報を容易かつ確実に算出でき、さらに、高次演算式を用いる場合に比べて早く演算することができる。また、本発明の血液ポンプ装置は、上記のような遠心式血液ポンプに限定されるものではない。
入力層データと吐出流量との関係式の算出は以下のように行うことができる。
ニューラルネットは、生体のニューロンを模擬した複数の人工素子を用いて構成される。ここで、ニューラルネットに使われる人工素子は、生体のニューロンを厳密に模倣したものではなく、その特定の機能を抽出し、単純化した工学モデルである。人工素子としては、決定的アナログモデルを使用する。決定的アナログモデルを図19に示す。これは、出力yを0≦y≦1の範囲のアナログ値として、この出力を入力から決定的に決めるモデルである。まず、他の素子、あるいは外部から与えられる信号がモデルへ入力される。これらの値を{x1, x2, x3, … xN}と記す。これに重み{w1, w2, w3, … wN}を掛け、加え合わせて、細胞内電位に相当する量sを得る。重みはシナプス結線重みに該当する。細胞内電位sから出力yを求める際に、シグモイド関数を用いて連続的な出力を得る。シグモイド関数は以下の式により表される。
Figure 2006280573

シグモイド関数のゲインαを大きくすると、シグモイド関数はステップ関数に近づき、出力yは{0,1}の値しかとらなくなる。図20に、シグモイド関数がゲインαに依存して変化する様子を示す。決定的アナログモデルはゲインを十分大きくした極限モデルにおいて2値モデルとなる。このモデルの出力計算手続きは次式により表される。
Figure 2006280573

ここでθは、細胞内電圧の閾値である。
関係式記憶部に記憶される関係式は、フィードフォワード型ニューラルネットにより構成される。これは、上述した素子を図21に示すように接続し、信号が入力側から出力側に向けて1方向に流れていくように構成したニューラルネットである。本発明で使用するニューラルネットは、入力層、中間層、出力層の3層からなるフィードフォワード型ニューラルネットである。中間層は1層であることが望ましいが、2層以上でも構わない。入力層は3つの素子からなり、それぞれ、血液粘度値もしくはヘマトクリット値、モータ電流測定値とモータ回転数値が入力される。中間層は複数の素子からなり、入力層および出力層の各素子と結合している。出力層は2つの素子からなり、アキシャル方向のインペラ浮上量と揺動を出力する。アキシャル方向のインペラ浮上量と揺動の演算精度を高めるためには中間層の素子数を増やす必要があるが、素子数を増やし過ぎると計算が複雑になるため、素子数は3から20個が望ましい。図21に示すように、中間層のj番目の中間層素子は、入力xiに結線の重みwij (1)をかけてi=1,2,3について総和し、まず、細胞内電位(重み付け総和)
Figure 2006280573

を得る。これを重み付け総和と呼ぶ。次に、sj (1)をシグモイド関数に通して、素子の出力
Figure 2006280573


を得る。中間層素子がj=1,2,…、NのN個あるとき、これらの全てについて上述の手続きにより出力を求める。
こうして中間層素子の出力を求めた後、k番目の出力層素子は、中間層素子の出力yj (1)、出力層素子の出力をyk (2)(k=1,2)とすると、これはyj (1)(j=1,2,…、N)をその入力として受け取り、これに結線の「重み」wjk (2)をかけて総和し、まず、重み付け総和
Figure 2006280573

を得る。続いて、sk (2)をシグモイド関数に通して、素子の出力
Figure 2006280573

を得る。ここで、yk (2)(k=1,2)はアキシャル方向のインペラの浮上量と揺動であり、具体的には、y1 (2)はアキシャル方向のインペラの浮上量であり、y2 (2)はアキシャル方向のインペラ揺動量である。
次に、人工ニューラルネットの結線の重みwについて、その値の決定方法について説明する。wの決定には、逐次更新学習法を用いる。本発明では、逐次更新学習法の一つである誤差逆伝搬法(バックプロパゲーション)を用いて、訓練データが与えられる都度、結線重みを微小調整する。実現したい入出力関係の訓練データが複数の入出力対として与えられる。本発明では、訓練データは、入力として用いるモータ回転数値、モータ電流測定値、血液粘度値(もしくはヘマトクリット値)の3入力と、これらの入力に対応するインペラ位置情報(インペラの浮上量および揺動)である。インペラ位置情報は、学習の教師信号として与えられる。今、訓練データがL個あり、そのm番目は、入力(x1 (m), x2 (m), x3 (m))に対して、出力y(m)を要求するものとする。この方法では、学習を行う前に、モータ回転数、モータ電流、血液粘度(もしくはヘマトクリット値)、吐出流量(血液流量)に関して、予め校正データを取っておく必要がある。具体的には、あらかじめ,1,2,3,4,5[mPa・s]の各粘度における回転数:1200,1400,1600,1800,2000,2200,2400,2600[rpm]の各々について,流量1,2,3,4,5,6,7,8,9[L/min]での、モータ電流値とインペラの位置情報を実験によって求めておく。ここで、インペラの位置情報は、アキシャル方向のインペラ浮上量と揺動である。
インペラの位置情報を求める必要があるので、校正に使用する遠心ポンプとしては、位置センサを備えるものが用いられる。通常、3つのセンサをインペラの中心に対して等角度に配置されたものを用いることができる。このポンプは、位置センサ部分を除いて図4の動圧軸受型遠心ポンプと同じ構造であり、形状・寸法も同じである。
患者に対して本発明の血液ポンプを適用するときは、上記の位置センサを備えたポンプで校正データを取得し、ニューラルネットの学習により結線の重みwを決定したのち、このポンプの位置センサのみ取り除いて、埋め込むことも可能である。また、各ポンプについて精密な校正を行う場合は、センサ用のコネクタとそれ以外のコネクタ(モータ用等)を別にして、ポンプを組み立てる方法がある。この場合、校正時はコネクタを用いてセンサを駆動して位置情報を得、そのコネクタを封止することによって、患者に埋め込む際にはセンサ用のケーブルはなくなり、細径化が可能となる。
ここで、校正データ点数は、粘度が5通り、回転数が8通り、流量が9通りあるので、5×8×9=360点である。ここでは、回転数を200rpm間隔、流量を1L/min間隔として校正データを取得しているが、吐出流量の精度を上げることを考慮すれば、測定間隔はできる限り細かくすることが望ましい。しかしながら、校正データ量(測定点数)が多くなると、校正にかなりの時間を要するので、測定の間隔は上記の条件が妥当である。なお、モータ電流測定値は、血液の比重で正規化することが望ましい。
図22に、誤差逆搬法の学習手続(学習ルーチン)を示す。図22の内側の繰り返しループは、訓練データに関するループであって、毎度訓練データを選択しては(以下のStep1)、その訓練データに対する誤差評価尺度を小さくするようにパラメータを修正する(以下のStep2,3)。さらに外側のループを全訓練データの誤差評価尺度が十分小さくなるまで繰り返す。
以下、誤差逆伝搬法について詳細に説明する。
<Step1> 訓練データの選択
図22の内側のループの中で、最初の手続きとして、m番目の訓練データを選択し、このデータに対して、以下の2つのステップを実行する。そのm番目の入力を、(x1 (m), x2 (m), x3 (m))と表記するが、2つのステップの実行中は訓練データを固定するため、右肩の添え字(m)は必要ないため省略する。その代わり、変数の右肩の添え字(m)を層を識別するために用いる。すなわち、変数右肩の添え字(1)は第1層(中間層)の変数であること、添え字(2)は第2層(出力層)の変数であることを示す。入力層は第0層とする。
<Step2> 出力の計算
図23に、入力層、中間層、出力層の3層からなるフィードフォワード型ニューラルネットを示す。入力層は、黒ドットで示されるノード(信号の中継点)からなる。中間層、出力層は、白丸で示される素子(ニューロンの工学モデル)からなる。誤差逆伝搬法では、素子として決定的アナログモデルを用いる。
ここで、この素子の動作を図25に示す。素子の入力をx0,x,…,xN,出力をy,結合の重みをw 0,w,…,w N,重み付け総和(細胞内電圧)をsとすると、素子の動作は以下のように定式化できる。

Figure 2006280573
なお、ネットワーク中の結線の重み全てに、初期値として、乱数などで発生した無作為な値を割り当てておく。ただし、初期値は全て0としてはならない。 入力ノードに入力を与えた後、j番目の中間層素子は、入力xi(=yi (0))に結線の重みwij (1)をかけて、i=1,2,3について総和し、まず、重み付け総和sj (1)を得る。

Figure 2006280573
続いて、sj (1)をシグモイド関数に通して、素子の出力
Figure 2006280573

を得る。中間層素子がj=1,2,…,Nの N個あるとき、これらの全てについて上述の手続きにより中間層素子の出力を求める。出力層素子の出力yk (2)(k=1,2)は、中間層素子の出力yj (1)(j=1,2,…,N)をその入力として受け取り、結線の「重み」wjk (2)をかけて、重み付け総和
Figure 2006280573

を得る。続いて、sk (2)をシグモイド関数に通して、素子の出力
Figure 2006280573

を得る。これがネットワークの出力bk (=yk (2))となる。 ここで、このネットワークの出力を学習の目標出力と比較する。目標出力をtkとすると,誤差評価尺度Eは、
Figure 2006280573

と表される。勾配法の原理により、この評価関数を小さくするように、ネットワーク内部の重みを修正する。
<Step3> 結合重みの修正
結合の重みの修正手続きを次に示す。まず、結線の重みの修正時(誤差逆伝搬モード)のネットワークの流れを、図24に示す。ノード数、素子数、素子間の結線構造、及び結線の重みは、出力計算時(出力計算モード)に用いた図19と同じであるが、素子の機能と信号の流れる向きが異なる。
誤差逆伝搬モードにおける素子機能を図26に示す。素子内部にはメモリがあり、Step2で自分の出力y(=yj (m) 、以下、添え字を省略しyで略記する)を保持しておく。素子の右側から与えられる入力z,z,…,zNに、素子の右側の結線の重みw,w,…,w Nを掛け、重み付け総和
Figure 2006280573

を求めたあと、メモリに保持されているyを用いてα(1−y)yを計算し、これにuを掛け、
Figure 2006280573

を出力する。zは左側の層の素子への入力となる。ここで,α(1−y)yは,

Figure 2006280573

なる関係で、シグモイド関数の微分が求まることから出てきたものである。以上のように動作する素子を図24のように接続する。図24の結線構造と結線の重みは図23と全く同様である。図24の右から、Step2で求めたネットワークの出力biと目標出力tiとの誤差bi−tiを加える。この入力に基づき、各層で図26に示した素子機能が働き、素子出力zi (m)が次々と定まる。こうして、誤差逆伝搬モードで各層の素子出力zi (m) を求めた後、これと出力計算モード(Step2)で求めた各層の素子出力yj (m) を用いて、次式により結線の重みを修正する。
Figure 2006280573

wij (m+1)は、第m層の第i素子と第(m+1)層の第j素子を結ぶ結線の重みである。以上の方法により、結線の重みwij (m+1)を修正する。学習は、図22に図示した学習手順の外側のループを全訓練データの誤差評価尺度(式20)が十分小さくなるまで繰り返す。
このようにして、人工ニューラルネットの各素子間の結線の重みwij (m+1)が、上記の学習方法により最終的に決定される。これにより、インペラ浮上量関連関係式およびインペラ揺動量関連関係式を算出する関係式算出工程が終了する。
そして、上記のように決定された結線の重み項を含む下記式16ならびに最終的に算出するための他の式17〜19からなる関係式が、関係式記憶部60に記憶される。なお、インペラ浮上量およびインペラ揺動量について、個々の関連関係式が記憶される。
本発明の血液ポンプ装置1では、関係式記憶部60には、インペラ浮上量関連関係式式(16)〜式(19)が記憶されるとともに、インペラ揺動量関連関係式(16)〜式(19)(式としては同じであるが、結線重み等は異なる)を記憶する。
そして、血液ポンプ装置1の演算部48は、実際に与えられる血液測定データ入力部に入力もしくは入力された血液測定データにより演算された血液粘度値、インペラ回転数測定または算出機能より得られるインペラ回転数値、モータ電流値計測機能により得られるモータ電流測定値もしくはその補正値と、上記の各関係式(16)〜(19)セットを用いて、インペラ浮上量、インペラ揺動量を演算する機能を備えている。
具体的には、実際に与えられる血液測定データ入力部に入力もしくは入力された血液測定データにより演算された血液粘度値、インペラ回転数測定または算出機能より得られるインペラ回転数値、モータ電流値計測機能により得られるモータ電流測定値もしくはその補正値を用いて下記式(16)より、中間層素子の重み付け総和sj (1)を算出する。
Figure 2006280573
続いて、このsj (1)を下記式17のシグモイド関数を用いて、中間層素子の出力yj (1)を求める。
Figure 2006280573

そして、下記式18を用いて、出力層素子の重み付け総和s1 (2)を求める。
Figure 2006280573

そして、下記式19を用いて算出する。

Figure 2006280573
よって、この血液ポンプ装置は、血液粘度値もしくはヘマトクリット値と、モータ電流測定値とモータ回転数値を入力とし、3層フィードフォワード型人工ニューラルネットを用いて得た関係式より、インペラ浮上量およびインペラ揺動量を算出して出力する機能を備えている。
なお、上述した実施例では、インペラ浮上量およびインペラ揺動量の両者を算出するものとなっているが、インペラ浮上量のみを算出するものであってもよい。
また、本発明の血液ポンプ装置の製造方法としては、血液測定データ入力部に入力された血液粘度値もしくは入力されたヘマトクリット値より算出された血液粘度値、インペラ回転数測定または算出機能より得られるインペラ回転数値、モータ電流値計測機能により得られるモータ電流測定値もしくはその補正値とを用いて血液吐出流を演算する演算部を備える血液ポンプ装置の製造方法であって、あらかじめ測定した多数の血液吐出流量における、血液粘度値もしくはヘマトクリット値、モータ電流測定値およびモータ回転数値を入力層データとし、前記各入力層データに関する血液吐出流量を教師データとして、ニューラルネットワークを用いて、入力層データと血液吐出流量との関係式を算出する血液吐出流量関連関係式算出工程と、この血液吐出流量関連関係式を演算部が利用可能となるようにポンプ装置に記憶させる記憶工程を行うものであってもよい。
そして、このように得られる血液ポンプ装置は、あらかじめ測定した多数の血液吐出流量における、血液粘度値もしくはヘマトクリット値、モータ電流測定値およびモータ回転数値を入力層データとし、前記各入力層データに関する血液吐出流量を教師データとして、ニューラルネットワークを用いて算出した入力層データと血液吐出流量との関係式である血液吐出流量関連関係式を関係式記憶部60は記憶し、この血液吐出流量関連関係式、前記血液測定データ入力部に入力された血液粘度値もしくは入力されたヘマトクリット値より算出された血液粘度値、前記インペラ回転数測定または算出機能より得られるインペラ回転数値、前記モータ電流値計測機能により得られるモータ電流測定値もしくはその補正値とを用いて、前記血液粘度値および前記モータ電流測定値ならびに前記インペラ回転数値における血液吐出流量を演算する血液吐出流量演算機能を備えるものとなる。
血液吐出流量関連関係式算出工程は、独立して行ってもよいが、上述した吐出流量関連関係式算出工程と同時に行うことが好ましい。これは、ニューラルネットの構成を3層3入力2出力から、3層3入力3出力に変更することにより行うことができる。
そして、血液ポンプ装置1の演算部48は、実際に与えられる血液測定データ入力部に入力もしくは入力された血液測定データにより演算された血液粘度値、インペラ回転数測定または算出機能より得られるインペラ回転数値、モータ電流値計測機能により得られるモータ電流測定値もしくはその補正値と、下記の関係式(26)〜(29)または(30)を用いて、吐出流量を演算する機能を備えている。この関係式を算出する手順は、上述したインペラ浮上量関係式の算出と同じである。
具体的には、実際に与えられる血液測定データ入力部に入力もしくは入力された血液測定データにより演算された血液粘度値、インペラ回転数測定または算出機能より得られるインペラ回転数値、モータ電流値計測機能により得られるモータ電流測定値もしくはその補正値を用いて下記式(26)より、中間層素子の重み付け総和sj (1)を算出する。
Figure 2006280573
続いて、このsj (1)を下記式27のシグモイド関数を用いて、中間層素子の出力yj (1)を求める。
Figure 2006280573

そして、下記式28を用いて、出力層素子の重み付け総和s1 (2)を求める。
Figure 2006280573

そして、出力層素子が非線形の場合には、下記式29を用いて、ポンプ流量Qを算出する。
Figure 2006280573

なお、出力層素子が線形素子の場合には、上記式(29)ではなく、下記式30を用いて、ポンプ流量Qを算出する。
Figure 2006280573

ここで、bは定数である。
よって、この血液ポンプ装置は、血液粘度値もしくはヘマトクリット値と、モータ電流測定値とモータ回転数値を入力とし、3層フィードフォワード型人工ニューラルネットを用いて得た関係式より、吐出流量(血液流量)を算出して出力する機能を備えるものとなる。
また、本発明の血液ポンプ装置の製造方法としては、前記血液測定データ入力部に入力もしくは入力された血液測定データにより演算された血液粘度値、前記インペラ回転数測定または算出機能より得られるインペラ回転数値、前記モータ電流値計測機能により得られるモータ電流測定値もしくはその補正値とを用いてポンプ揚程を演算するポンプ揚程演算部を備える血液ポンプ装置の製造方法であって、あらかじめ測定した多数のポンプ揚程における、血液粘度値もしくはヘマトクリット値、モータ電流測定値およびモータ回転数値を入力層データとし、前記各入力層データに関するポンプ揚程を教師データとして、ニューラルネットワークを用いて、入力層データとポンプ揚程との関係式を算出するポンプ揚程関連関係式算出工程と、このポンプ揚程関連関係式を演算部が利用可能となるようにポンプ装置に記憶させる記憶工程を行うものであってもよい。
そして、このように得られる血液ポンプ装置は、あらかじめ測定した多数の血液吐出流量における、血液粘度値もしくはヘマトクリット値、モータ電流測定値およびモータ回転数値を入力層データとし、前記各入力層データに関するポンプ揚程を教師データとして、ニューラルネットワークを用いて算出した入力層データとポンプ揚程との関係式を記憶するポンプ揚程関連関係式記憶部と、該ポンプ揚程関連関係式、前記血液測定データ入力部に入力もしくは入力された血液測定データにより演算された血液粘度値、前記インペラ回転数測定または算出機能より得られるインペラ回転数値、前記モータ電流値計測機能により得られるモータ電流測定値もしくはその補正値とを用いて、前記血液粘度値および前記モータ電流測定値ならびに前記インペラ回転数値におけるポンプ揚程を演算するポンプ揚程演算機能を備えるものとなる。
ポンプ揚程関連関係式算出工程は、独立して行ってもよいが、上述したインペラ浮上量関連関係式及びインペラ揺動量関連関係式算出工程と同時に行うことが好ましい。これは、ニューラルネットの構成を3層3入力2出力から、3層3入力3出力(上述の吐出流量関連式の算出も行う場合には、3層3入力4出力)に変更することにより行うことができる。
そして、ポンプ揚程関連関係式算出工程に関する、ニューラルネットの学習に必要な訓練データは、入力として用いるモータ回転数値、モータ電流測定値、血液粘度値(もしくはヘマトクリット値)の3入力と,対応する出力であるポンプ揚程である。この場合、ポンプ揚程が教師信号となる。吐出流量演算部58が、吐出流量演算機能に加えて、ポンプ揚程演算機能を備えることで、本発明の血液ポンプ装置は、ポンプの流体出力とポンプ効率を演算、表示する機能を備えたものとすることができる。すなわち、ニューラルネットが出力する算出吐出流量と算出ポンプ揚程を、それぞれQ,Pとするとポンプの流体出力Wは、
W=P×Q (31)
として算出できる。
さらに、モータ出力[W],流量出力[W],全損失[W],ポンプ効率?[%]は,次式により算出可能である。
ポンプ効率 η=PQ/(TN)×100 [%] (32)
流体出力=PQ [W] (33)
モータ出力=TN [W] (34)
ポンプにおける全損失=TN−PQ [W] (35)
ポンプ揚程:P [Pa] {(760/1.013)×10−5(mmHg)}
流量:Q [m/s] {60×10(L/min)}
軸トルク:T [Nm] {(1/9.81)×10(gfcm)}
回転数:N [rad/s] {60/(2π)(rpm)}
ここで、軸トルクTは、モータ電流に比例するため、モータ電流測定値より換算することができる。比例係数は、実験により求めておく必要がある。以上の算出方法により、ポンプ効率、流体出力、モータ出力、ポンプ部における全損失を算出する機能を備えた血液ポンプ装置を提供することができる。定期的にエンジニアがこれらの情報をモニタリングすることで、ポンプに異常がないこと、もし異常があった場合、その状態を知ることができる。
図1は、本発明の血液ポンプ装置の実施例のブロック図である。 図2は、本発明の遠心式血液ポンプ装置の実施例の正面図である。 図3は、図2に示した遠心式血液ポンプ装置の平面図である。 図4は、図2に示した実施例の遠心式血液ポンプ装置の縦断面図である。 図5は、図2の遠心式血液ポンプ装置のA−A線断面図である。 図6は、図2の遠心式血液ポンプ装置のA−A線断面図よりインペラを取り外した状態を示す断面図である。 図7は、動圧溝に関する二次元の理論解析過程を説明するための説明図である。 図8は、動圧溝に関する二次元の理論解析結果を説明するための説明図である。 図9は、対数螺旋タイプの動圧溝の形態を説明するための説明図である。 図10は、本発明の遠心式血液ポンプ装置に用いられるポンプ本体の他の例の正面図である。 図11は、図10に示した遠心式血液ポンプ装置の平面図である。 図12は、図10のB−B線断面図である。 図13は、図12のC−C線断面図である。 図14は、図12のC−C線断面図よりインペラを取り外した状態を示す断面図である。 図15は、図12の遠心式血液ポンプ装置のD−D線断面図よりインペラを取り外した状態を示す断面図である。 図16は、本発明の血液ポンプ装置の他の実施例のブロック図である。 図17は、ポンプのインペラ浮上量と流体の粘度および回転数との関係を示すグラフである。 図18は、ポンプのインペラ浮上量と流体の粘度および回転数との関係を示すグラフである。 図19は、決定的アナログモデルを説明する説明図である。 図20は、シグモイド関数の説明および細胞内電位とインパルス頻度の関係を説明する説明図である。 図21は、フィードフォワード型ニューラルネットを説明する説明図である。 図22は、逐次更新学習法の学習手続を説明する説明図である。 図23は、誤差逆伝搬法で学習するフィードフォワード型ニューラルネットを説明する説明図である。 図24は、誤差逆伝搬法モードの信号の流れを説明する説明図である。 図25は、出力計算モードにおける素子の動作を説明する説明図である。 図26は、誤差逆伝搬モードの素子機能を説明する説明図である。
符号の説明
1 血液ポンプ装置
2 血液ポンプ部
3 インペラ回転トルク発生部
4 インペラ位置制御部
5 血液ポンプ本体部
6 制御機構
21 インペラ
25 磁性体
31 ロータ
34 モータ
41 電磁石
20 ハウジング
57 血液測定データ入力部
58 演算部
59 表示部
60 関係式記憶部

Claims (15)

  1. 血液流入ポートと血液流出ポートとを有するハウジングと、磁性体を備え、前記ハウジング内で回転し、回転時の遠心力によって血液を送液するインペラとを有する遠心ポンプ部と、前記遠心ポンプ部の前記インペラを吸引しかつ回転させるためのインペラ回転トルク発生部とを備える遠心式血液ポンプ装置であり、かつ、前記インペラ回転トルク発生部側のハウジング内面もしくは前記インペラの前記インペラ回転トルク発生部側の面に設けられた動圧溝形成部を備え、前記ハウジングに対して前記動圧溝によりインペラが非接触状態にて回転する遠心式血液ポンプ装置であって、
    該血液ポンプ装置は、血液粘度値またはヘマトクリット値を入力する血液測定データ入力部と、インペラ回転数測定機能もしくはインペラ回転数算出機能と、モータ電流値計測機能と、インペラ軸方向の浮上量を演算する演算部を備えており、
    該演算部は、あらかじめ測定した多数のインペラ軸方向浮上量における、血液粘度値もしくはヘマトクリット値、モータ電流測定値およびモータ回転数値を入力層データとし、前記各入力層データに関するインペラ軸方向浮上量を教師データとして、ニューラルネットワークを用いて算出した入力層データとインペラ軸方向浮上量との関係式であるインペラ浮上量関連関係式を記憶する関係式記憶部と、
    前記インペラ浮上量関連関係式、前記血液測定データ入力部に入力された血液粘度値もしくは入力されたヘマトクリット値より演算された血液粘度値、前記インペラ回転数測定または算出機能より得られるインペラ回転数値、前記モータ電流値計測機能により得られるモータ電流測定値もしくはその補正値とを用いて、前記血液粘度値および前記モータ電流測定値ならびに前記インペラ回転数値におけるインペラ軸方向浮上量を演算するインペラ軸方向浮上量演算機能を備えていることを特徴とする血液ポンプ装置。
  2. 前記血液ポンプ装置は、前記インペラ回転トルク発生部の磁力発生源による吸引方向と反対方向に前記インペラを吸引する磁石を有し、かつ、前記磁石側のハウジング内面もしくは前記インペラの前記磁石側の表面に設けられた第2の動圧溝を備えるものである請求項1に記載の血液ポンプ装置。
  3. 前記血液測定データ入力部は、血液粘度測定値入力部である請求項1または2に記載の血液ポンプ装置。
  4. 前記血液測定データ入力部は、ヘマトクリット値入力部であり、前記血液ポンプ装置は、入力されたヘマトクリット値より粘度を演算する粘度演算機能を備えている請求項1または2に記載の血液ポンプ装置。
  5. 前記血液測定データ入力部は、ヘマトクリット値入力部であり、前記血液ポンプ装置は、入力されたヘマトクリット値より粘度を演算する粘度演算機能および比重を演算する比重演算機能を備えている請求項1または2に記載の血液ポンプ装置。
  6. 前記血液ポンプ装置は、比重入力部もしくは比重演算機能と、前記モータ電流測定値を該比重入力部により入力されたもしくは前記比重演算機能により演算された比重を用いて補正した値をモータ電流測定値とするモータ電流測定値補正機能を備えている請求項1ないし5のいずれかに記載の血液ポンプ装置。
  7. 前記血液ポンプ装置は、モータ特性による補正機能を備えており、前記モータ電流測定値を当該モータ特性補正機能により補正した値をモータ電流測定値とするモータ電流測定値補正機能を備えている請求項1ないし6のいずれかに記載の血液ポンプ装置。
  8. 前記関係式記憶部は、あらかじめ測定した多数のインペラ揺動量における、血液粘度値もしくはヘマトクリット値、モータ電流測定値およびモータ回転数値を入力層データとし、前記各入力層データに関するインペラ揺動量を教師データとして、ニューラルネットワークを用いて算出した入力層データとインペラ揺動量との関係式であるインペラ揺動量関連関係式を記憶しており、前記演算部は、該インペラ揺動量関連関係式、前記血液測定データ入力部に入力された血液粘度値もしくは入力されたヘマトクリット値より演算された血液粘度値、前記インペラ回転数測定または算出機能より得られるインペラ回転数値、前記モータ電流値計測機能により得られるモータ電流測定値もしくはその補正値とを用いて、前記血液粘度値および前記モータ電流測定値ならびに前記インペラ回転数値におけるインペラ揺動量を演算するインペラ揺動量演算機能を備えている請求項1ないし7のいずれかに記載の血液ポンプ装置。
  9. 前記関係式記憶部は、あらかじめ測定した多数の血液吐出流量における、血液粘度値もしくはヘマトクリット値、モータ電流測定値およびモータ回転数値を入力層データとし、前記各入力層データに関する血液吐出流量を教師データとして、ニューラルネットワークを用いて算出した入力層データと血液吐出流量との関係式である血液吐出流量関連関係式を記憶しており、前記演算部は、該血液吐出流量関連関係式、前記血液測定データ入力部に入力された血液粘度値もしくは入力されたヘマトクリット値より演算された血液粘度値、前記インペラ回転数測定または算出機能より得られるインペラ回転数値、前記モータ電流値計測機能により得られるモータ電流測定値もしくはその補正値とを用いて、前記血液粘度値および前記モータ電流測定値ならびに前記インペラ回転数値における血液吐出流量を演算する血液吐出流量演算機能を備えている請求項1ないし8のいずれかに記載の血液ポンプ装置。
  10. 前記関係式記憶部は、あらかじめ測定した多数のポンプ揚程における、血液粘度値もしくはヘマトクリット値、モータ電流測定値およびモータ回転数値を入力層データとし、前記各入力層データに関するポンプ揚程を教師データとして、ニューラルネットワークを用いて算出した入力層データとポンプ揚程との関係式であるポンプ揚程関連関係式を記憶しており、前記演算部は、該ポンプ揚程関連関係式、前記血液測定データ入力部に入力された血液粘度値もしくは入力されたヘマトクリット値より演算された血液粘度値、前記インペラ回転数測定または算出機能より得られるインペラ回転数値、前記モータ電流値計測機能により得られるモータ電流測定値もしくはその補正値とを用いて、前記血液粘度値および前記モータ電流測定値ならびに前記インペラ回転数値におけるポンプ揚程を演算するポンプ揚程演算機能を備えている請求項1ないし8のいずれかに記載の血液ポンプ装置。
  11. 前記請求項1ないし10のいずれかに記載の血液ポンプ装置の製造方法であって、該製造方法は、あらかじめ測定した多数のインペラ軸方向浮上量における、血液粘度値もしくはヘマトクリット値、モータ電流測定値およびモータ回転数値を入力層データとし、前記各入力層データに関する血液吐出流量を教師データとして、ニューラルネットワークを用いて、入力層データと吐出流量との関係式を算出するインペラ軸方向浮上量関連関係式算出工程と、該インペラ軸方向浮上量関連関係式算出工程により得られたインペラ軸方向浮上量関連関係式を前記演算部が利用可能となるように前記血液ポンプ装置に記憶させる記憶工程とを行うことを特徴とする血液ポンプ装置の製造方法。
  12. 前記血液ポンプ装置の製造方法は、前記血液測定データ入力部に入力された血液粘度値もしくは入力されたヘマトクリット値より演算された血液粘度値、前記インペラ回転数測定または算出機能より得られるインペラ回転数値、前記モータ電流値計測機能により得られるモータ電流測定値もしくはその補正値とを用いてインペラ揺動量を演算する演算部を備える血液ポンプ装置の製造方法であって、
    あらかじめ測定した多数のインペラ揺動量における、血液粘度値もしくはヘマトクリット値、モータ電流測定値およびモータ回転数値を入力層データとし、前記各入力層データに関するインペラ揺動量を教師データとして、ニューラルネットワークを用いて、入力層データとインペラ揺動量との関係式を算出するインペラ揺動量関連関係式算出工程と、該インペラ揺動量関係式算出工程により得られたインペラ揺動量関連関係式を前記演算部が利用可能となるように前記血液ポンプ装置に記憶させる記憶工程とを行うものである請求項11に記載の血液ポンプ装置の製造方法。
  13. 前記血液ポンプ装置の製造方法は、前記血液測定データ入力部に入力された血液粘度値もしくは入力されたヘマトクリット値より演算された血液粘度値、前記インペラ回転数測定または算出機能より得られるインペラ回転数値、前記モータ電流値計測機能により得られるモータ電流測定値もしくはその補正値とを用いて血液吐出流量を演算する演算部を備える血液ポンプ装置の製造方法であって、
    あらかじめ測定した多数のインペラ揺動量における、血液粘度値もしくはヘマトクリット値、モータ電流測定値およびモータ回転数値を入力層データとし、前記各入力層データに関する血液吐出流量を教師データとして、ニューラルネットワークを用いて、入力層データと血液吐出流量との関係式を算出する血液吐出流量関係式算出工程と、該血液吐出流量関係式算出工程により得られた血液吐出流量関連関係式を前記演算部が利用可能となるように前記血液ポンプ装置に記憶させる記憶工程とを行うものである請求項11または12に記載の血液ポンプ装置の製造方法。
  14. 前記血液ポンプ装置の製造方法は、前記血液測定データ入力部に入力された血液粘度値もしくは入力されたヘマトクリット値より演算された血液粘度値、前記インペラ回転数測定または算出機能より得られるインペラ回転数値、前記モータ電流値計測機能により得られるモータ電流測定値もしくはその補正値とを用いてポンプ揚程を演算する演算部を備える血液ポンプ装置の製造方法であって、
    あらかじめ測定した多数のインペラ揺動量における、血液粘度値もしくはヘマトクリット値、モータ電流測定値およびモータ回転数値を入力層データとし、前記各入力層データに関するポンプ揚程を教師データとして、ニューラルネットワークを用いて、入力層データとポンプ揚程との関係式を算出するポンプ揚程関連関係式算出工程と、該ポンプ揚程関係式算出工程により得られたポンプ揚程関連関係式を前記演算部が利用可能となるように前記血液ポンプ装置に記憶させる記憶工程とを行うものである請求項11ないし13のいずれかに記載の血液ポンプ装置の製造方法。
  15. 前記ニューラルネットワークは、入力層、中間層、出力層の3層からなる3層フィードフォワード型ニューラルネットである請求項11ないし14のいずれかに記載の血液ポンプ装置の製造方法。
JP2005103731A 2005-03-31 2005-03-31 血液ポンプ装置 Pending JP2006280573A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005103731A JP2006280573A (ja) 2005-03-31 2005-03-31 血液ポンプ装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005103731A JP2006280573A (ja) 2005-03-31 2005-03-31 血液ポンプ装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2006280573A true JP2006280573A (ja) 2006-10-19

Family

ID=37403094

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2005103731A Pending JP2006280573A (ja) 2005-03-31 2005-03-31 血液ポンプ装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2006280573A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2020049177A (ja) * 2018-09-28 2020-04-02 学校法人 川崎学園 人工肺装置に用いる圧力推定システム

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2020049177A (ja) * 2018-09-28 2020-04-02 学校法人 川崎学園 人工肺装置に用いる圧力推定システム
JP7315193B2 (ja) 2018-09-28 2023-07-26 学校法人 川崎学園 人工肺装置に用いる圧力推定システム

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4004296B2 (ja) 遠心式液体ポンプ装置
JP3553255B2 (ja) 粘度計測機能付磁気浮上型ポンプ
JP4769937B2 (ja) 遠心ポンプの流量及び揚程測定装置、及び、拍動する循環系の循環状態評価装置
Hoshi et al. Third‐generation blood pumps with mechanical noncontact magnetic bearings
US10660998B2 (en) Devices and methods for monitoring bearing and seal performance
US20070193371A1 (en) Mass flow meter
US20050214131A1 (en) Methods and systems for determining a viscosity of a fluid
US6129660A (en) Method of controlling blood pump
JPH1176394A (ja) 遠心式液体ポンプ装置
US20120245680A1 (en) Heart pump controller
JP2012523857A (ja) 心臓ポンプコントローラ
ITRM20000058A1 (it) Pompa per fluido a sospensione magnetica e relativo sistema di controllo, particolarmente per applicazione cardiaca.
US11684769B2 (en) Implantable blood pump assembly including pressure sensor and methods of assembling same
US10695475B2 (en) Pump arrangement and method of operating a fluid pump
Pai et al. Sensorless measurement of pulsatile flow rate using a disturbance force observer in a magnetically levitated centrifugal blood pump during ventricular assistance
JP2006280573A (ja) 血液ポンプ装置
Rao et al. A bearingless motor utilizing a permanent magnet free structure for disposable centrifugal blood pumps
JP4787526B2 (ja) 血液ポンプ装置
JP4004440B2 (ja) 液体ポンプ装置
Maslen et al. Artificial hearts
US12004848B2 (en) Blood flow meter
Kurita et al. Suspension Force Stiffness by Stator Shape in Double-side Stator Magnetic Levitation Motor
Kosaka et al. Bearing gap adjustment for improvement of levitation performance in a hydrodynamically levitated centrifugal blood pump
Ohnuma et al. Application of a search algorithm using stochastic behaviors to autonomous control of a ventricular assist device
US20200138301A1 (en) Blood flow meter