JP2006280262A - 微生物の汚染物質分解能力測定方法 - Google Patents

微生物の汚染物質分解能力測定方法 Download PDF

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Abstract

【課題】有機物質で汚染された汚染対象を該対象中の微生物反応を利用して浄化する浄化処理プロセスにおいて、処理状況を、長時間、高コストを要する汚染物質の高感度分析を実施することなしに迅速にモニタリングしうる方法の提供。
【解決手段】微生物を含む汚染対象から微生物未消化の有機物を除去する前処理工程、前処理された汚染対象から、汚染源としての有機物質のみを呼吸基質として供した汚染物質培養系および該汚染源の有機物質を含まない生活有機物質を供したユニバーサル培養系をそれぞれ構築する工程、および前記各培養系の微生物の呼吸活性をそれぞれ測定する工程を含み、
前記汚染物質培養系の呼吸活性を、前記ユニバーサル培養系の呼吸活性と対比して、前記汚染対象中の微生物の汚染源に対する分解能力を測定する。
【選択図面】なし

Description

本発明は、土壌などの汚染対象中微生物の汚染物質分解能力の測定方法に関する。
生物反応を利用した汚染浄化技術に対しては、汚染対象(土壌、地下水等)を現地にて処理する手法が非常に有効であり、実際の浄化処理プロセスの適用に対しても最も有効な手法であるものと考えられる。これら生物反応を利用した汚染源現地処理プロセスの種類としては、汚染対象を分解することが可能な微生物ないし微生物群を意図的に添加するバイオオーギュメンテーションと、汚染環境に常在する微生物群全般ないし微生物種の中から有用種を限定し、それらの増殖を促すための栄養源等を加えるバイオスティミュレーションがある。昨今、社会的な問題となっているダイオキシン類をはじめとした難分解性物質の浄化処理に関連し、微生物の優れた物質転換機能を利用したこれらのプロセスの実施利用が期待されている。
これらの浄化プロセスの問題点としては、複合汚染の問題と、微生物反応を利用することに由来する浄化処理時間の長さ、浄化状況の進捗状況をリアルタイムに観測するモニタリングシステムの開発が不十分である点などが挙げられる。特に浄化能力のモニタリングシステムに関して、汚染源が環境ホルモンなどの極低濃度で影響を及ぼす化学物質である場合には、これを検出するための通常の化学分析手法としてGC/MS等の高感度分析法を必要とする。また近年、抗体など生物の有する高感度な分子認識機能、遺伝子などによる情報増幅機能を応用した、超高感度バイオモニタリング技術の開発に関する研究が進行しつつあるが、実際の分析手法としては分子生物学的な技法が多く用いられ、判定には長期間要すること、また分析検体のハンドリングなどの点からも現地サイドでの迅速モニタリング手法として適用することは困難な現状である。
浄化能力のモニタリングシステムとしては、上記のように汚染源の直接分析以外に、土壌の汚染物質浄化能力を評価する方法の提案もある。たとえば密閉系下に汚染土壌サンプルおよび酸素を封入し、酸素減少量および/または二酸化炭素増加量を測定することにより汚染土壌サンプル中の微生物による有機性汚染物質の分解量を測定する方法(特許文献1参照)が提案されている。
また汚染物質分解菌の菌数測定方法として、環境から採取されたサンプルの希釈液に、安定同位体で標識した汚染物質を添加して培養し、安定同位体を含む物質を測定することにより汚染物質分解菌の菌数を推定する方法も提案されている(特許文献2参照)。
特開平9−314120号公報 特開2005−6541号公報
本発明は、有機物質で汚染された汚染対象を該対象中の微生物反応を利用して浄化する浄化処理プロセスにおいて、処理状況を、長時間、高コストを要する汚染物質の高感度分析を実施することなしに迅速にモニタリングしうる方法として、汚染対象中の微生物の汚染源に対する分解能力を測定する方法を提供することを目的としている。
本発明では、微生物細胞の生理活性の測定として呼吸活性を測定することにより、汚染対象中の微生物群の汚染源に対する分解活性を間接的に測定する方法である。特に、本発明では、微生物(微生物群)を含む汚染対象を前処理して飢餓状態にした後、汚染源の有機物質を特異的に栄養源として培養した時の微生物の呼吸活性を、汚染物質分解菌に特異的な呼吸活性として測定することにより、汚染対象の汚染物質浄化能力を判定する微生物の汚染物質分解能力測定方法を提案する。このような本発明として、
微生物を含む汚染対象から微生物未消化の有機物を除去する前処理工程、
前記前処理された汚染対象から、汚染源としての有機物質のみを呼吸基質として供した汚染物質培養系および該汚染源の有機物質を含まない生活有機物質を供したユニバーサル培養系をそれぞれ構築する工程、および
前記各培養系の微生物の呼吸活性をそれぞれ測定する工程を含み、
前記汚染物質培養系の呼吸活性を、前記ユニバーサル培養系の呼吸活性と対比して、前記汚染対象中の微生物の汚染源に対する分解能力を測定する方法を提供する。
上記呼吸基質として、多環芳香族類が挙げられる。具体的には、ジベンゾフラン(DF)、ジベンゾパラジオキシン(DD)、ナフタレン(NP)、ビフェニル(BP)などの多環芳香族およびこれら骨格のポリ塩素化物たとえばダイオキシン類が挙げられる。汚染物質がダイオキシン(ジベンゾフラン:PCDFs、ポリ塩化ジベンゾパラジオキシン:PCDDs)である汚染対象において、微生物の浄化能力を見る場合、DFまたはDDを呼吸基質として使用して、その分解能力を測定すれば、これを骨格とする塩素置換化合物すなわちダイオキシンの分解能力の目安とすることが可能である。なお微生物反応では、微生物のアタック点のない多環芳香族の塩素置換体たとえば塩素数4〜8のダイオキシン特に完全塩素置換体の分解は困難であるとされており、したがって上記代替呼吸基質の使用による類推が適用できるダイオキシンとしては、塩素置換数が4より少ないダイオキシンが好ましく挙げられる。
本発明において、上記培養系に、電子の受容により発色する発色系を供し、微生物の呼吸活性として、微生物の呼吸時に発生した電子の受容による発色強度を測定することは好ましい態様例である。
呼吸活性の測定には、好気条件における酸素量の変化を利用することもできるが、本発明では、微生物の呼吸により発せられる電子を受容して発色する系の発色強度を利用することができる。呼吸により発せられる電子の利用であれば、好気条件の場合には酸素との競合して発色しうる過剰量で発色物質を供することにより優先的に電子が発色物質に受け渡され、また嫌気条件の場合には、最終電子受容体への電子の受け渡しを阻害するKCNなどの添加により一方的に電子が発色物質に受け渡されるため、好気、嫌気を問わず呼吸活性の発色による間接的測定が可能である。
このような発色系として、水溶性発色系が好ましい。また、蛍光を発する物質を含む系を好ましく用いることができる。特に、蛍光を発する物質として、可視域のホルマザン発色体を形成するテトラゾリウム塩を含む発色系が好ましく挙げられる。テトラゾリウム塩としては、5-シアノ-2,3-ジトリールテトラゾリウムクロライド(5-cyano-2,3-ditolyl tetrazolium chloride:CTC)、特開昭55−24103号公報に開示される3-(4-ヨードフェニル)-2-(4-ニトロフェニル)-5-(4-カルボキシフェニル)-2Hテトラゾリウム塩化物に代表される5-フェニル基の2位または4位置換モノテトラゾリウム塩の遊離酸およびそのアルカリ金属塩、WST-8〜11の試薬名で入手可能なテトラゾリウム塩市販品などが挙げられる。なお上記公報に記載されたテトラゾリウム塩の説明を引用して本明細書にも記載されているものとすることができる。発色系は、増感剤もしくは電子キャリアーを含むことができる。これらのうちでも、CTC還元法として知られるCTCを含む発色系が好ましい。
上記発色系を利用する呼吸活性の測定は、呼吸活性としての発色強度を経時的に測定して、呼吸活性速度変化を示す検量線を作成すれば、全生菌数に対する汚染物質分解菌数を相対的に求めることができる。なお上記で電子を受け取った際に発する蛍光は、微弱である場合が多いが、たとえばリアルアイムPCRに使用されるライトサイクラー(登録商標:ロッシュ社)の蛍光検出器を使用すれば、容易にかつ経時的に測定することができる。
特に、上記蛍光検出器の使用において、呼吸活性の反応をキャピラリー管中で行うことにより、微細な蛍光強度の変動を検出することができる。
具体的には、汚染物質培養系および前記ユニバーサル培養系のそれぞれについて、呼吸活性としての発色強度を経時的に測定することにより、呼吸活性速度変化(立ち上がり)検量線を作成し、これとは別に構築した前記汚染物質培養系および前記ユニバーサル培養系の各基準となる微生物数既知の単一菌株を用いる培養系から予め求めた呼吸活性速度変化に対する菌数の検量線を参照して、ユニバーサル培養系の検量線から前記汚染対象中の全生菌数を、汚染物質培養系の検量線から前記汚染対象中の汚染物質分解菌数を求めることができる。
この汚染物質分解菌数の全生菌数に対する比を、測定した汚染対象(中の微生物)の汚染物質に対する分解能力を判定することができる。
本発明における汚染対象の典型例は、至適環境条件の異なる複合微生物群が含まれた土壌である。
上記のような本発明によれば、土壌などの汚染対象の微生物による浄化能力を、汚染源である有機物質を直接測定することなく、微生物の生理活性から迅速に判定することができる。このような本発明によれば、汚染対象(土壌)中の微生物の微量低濃度の汚染物質に対する分解能力を明確に特徴付けることができ、至適環境条件の異なる複合微生物群が含まれた汚染源混入土壌の特定汚染物質の浄化能力を簡便かつ迅速に判定することができる。
以下、本発明に係る微生物の汚染物質分解能力測定方法を、呼吸活性の測定が発色系で測定される好ましい態様例のプロセスフローを示す図1を参照しながら説明する。
本発明では、まず微生物を含む汚染対象から微生物未消化の有機物を除去する前処理工程を行い、いわゆる飢餓状態の汚染対象を調製する。
汚染対象は、特に制限されないが、一般土壌、コンポスト、汚染物質分解能力を高めたコンポスチトなどを使用できる。より具体的には、たとえばダイオキシン類の分解能力を高めたコンポスト、ダイオキシンで汚染されていない土壌により馴致されたコンポストなどを使用できる。
汚染対象の前処理は、汚染対象を生理食塩水で充分に懸濁して、遠心分離により上清を除くことにより有機物質を除去することにより行われる。次いで、沈降物を生理食塩水に再懸濁した後、細孔径のろ過し、ろ液を37℃の油浴で振とう培養し、残存した有機物を完全に消化させる。
前処理の施された汚染対象は、通常バッファ等で希釈して、呼吸活性の測定に供する。
次に上記前処理された汚染対象に、汚染源としての有機物質のみを呼吸基質として供した汚染物質培養系、および該汚染源の有機物質を含まない生活有機物質を供したユニバーサル培養系をそれぞれ構築する。
汚染物質培養系に供する汚染物質は、目的の有機化合物たとえば前述した多環芳香族類などを適宜に選択して使用する。ユニバーサル培養系に供する生活有機物質は、一般的に呼吸基質として知られているグルコース、ペプトンなどであればよい。
呼吸活性の測定は、上記培養系を構築する有機物質の添加と同時に発色系を添加することが好ましい。特に好ましい発色系の例として、水素受容によりホルマザン発色体を形成するテトラゾリウム塩を蛍光発色物質として含む系が挙げられる。この系は、通常、Melrdla's blueなどの増感剤を含む。
ここで、微生物の呼吸活性による蛍光発色について簡単に説明を加える。
一般的な好気性細菌による有機化合物の分解に際しては、上記CTC還元法による微生物の呼吸活性を含めた脱水素酵素の酸化還元活性を検出する方法が有効である。このCTC還元法を適用すれば、微生物の呼吸活性あるいは代謝活性を有する生菌を検出しうること(Parthuisotら,J. Applied Microbiology, 2000年8月,第89巻,第2号,p.370-380)も知られているが、活発な代謝活性を有する細菌のみを検出する手法であると見られており、CTC還元法による標準的な定量分析プロトコールは確立されていない。
呼吸活性を有する細胞とCTCが同一環境下に存在する場合には、呼吸鎖に点在する電子伝達系でCTCが酸化され、赤色のホルマザン(CTC-formazan)が細胞表層に沈積する。この反応が進行するためには、電子供与基としての呼吸基質が必要であり、通常呼吸基質の代謝によって発生した電子は、最終的には呼吸鎖の最終電子受容体である酸素に受け渡されるが、CTCの酸化は最終電子受容体として生じることから、環境中に存在する他の電子受容体の割合が一定である場合、微生物の呼吸基質代謝能力の増減にしたがって、CTC-formazanの沈積が確認されることになる。このような理由から、呼吸によって沈積されたCTCは、顕微鏡で観察すると、細胞内にはっきりとした赤色のスポットとして観察され、さらにこの色素は細胞間に602nmの蛍光物を蓄積することから、試料内の呼吸活性を有する生菌数の相対的な活性を蛍光物の体積量を測定することにより検知することが可能となる。
本発明では、汚染物質培養系におけるこの反応場において、上記前処理により汚染源以外の呼吸基質が予め除去ないし消費されているため、汚染物質の微生物分解反応に基づく発色とすることができる。また上記のように呼吸活性を測定する際には、極めて短時間における蛍光強度の時間変動を捕らえる必要があるが、全ての条件を満足する必要はない。たとえば、ダイオキシンに汚染された土壌の、酸化分解能力を有する細菌群の分解能力を測定する場合には、呼吸基質となる低塩素化のダイオキシンルイが存在していても、分解能力を判定するために添加する呼吸基質、ここでは無塩化ジベンゾジベンゾフランを添加することにより、上記の生理活性反応が進行し、CTC酸化による蛍光強度の増大が進行する。
本発明では、上記各培養系の微生物の呼吸活性として、上記各培養系を環境(37℃)下で経時的に蛍光強度の時間変化が追跡できる検出器に導入し、反応開始時から蛍光強度が直線的に増加する一定時間の蛍光強度変化を測定する。たとえば、初期ノイズを除く反応開始後5分から1時間後までの蛍光強度変化を測定する。このように各培養系について呼吸活性速度変化検量線を作成する。この汚染物質分解菌数の全生菌数に対する比を、測定した汚染対象(中の微生物)の汚染物質に対する分解能力を判定することができる。
またこれとは別に構築した前記汚染物質培養系および前記ユニバーサル培養系の各基準となる微生物数既知の単一菌株を用いる培養系から予め求めた呼吸活性速度変化に対する菌数の検量線を参照して、前記ユニバーサル培養系の検量線から前記汚染対象中の全生菌数を、前記汚染物質培養系の検量線から前記汚染対象中の汚染物質分解菌数を求めることができる。
生菌数の測定は、まず(1)上記汚染対象に代えて微生物数が既知の単一菌株を用いること以外は、上記汚染物質培養系およびユニバーサル培養系と同様に構築した各基準培養系について蛍光強度を経時的に測定することにより、呼吸活性速度変化に対する菌数の検量線を予め求め、(2)この検量線を参照して、ユニバーサル培養系の検量線から汚染対象中の全生菌数を、汚染物質培養系の検量線から汚染対象中の汚染物質分解菌数を求めることができる。
上記(1)における生菌数の測定は、具体的に、各基準培養系について、一定の反応時間後、反応液を遠心して反応液を除き、ここにMilliQ水を加えて再懸濁した上で、DNA染色色素液を滴下して測定することができる。
本発明における汚染対象の典型例は、至適環境条件の異なる複合微生物群が含まれた土壌である。
上記のような本発明によれば、汚染物質分解菌に特異的な呼吸活性として、たとえば蛍光強度を測定することができる。その一例として、汚染対象サンプルとして同一土壌を用い、本発明に係る前処理を施した後、呼吸基質としてナフタレン(NP)、ジベンゾフラン(DF)、ビフェニル(BP)またはジベンゾパラジオキシン(DD)を添加した各培養系の経時的な蛍光強度を図2に示す。図中、実線は各基質を添加した系、破線は基質を添加しないブランク系である。同一土壌であっても、汚染物質ごとに異なる分解能力を有することが示され、どの汚染物質の浄化に適した土壌であるかの判定ができることが確かめられた。
次に本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
<前処理>
汚染対象として、予めダイオキシン類の分解能力を高めたコンポストと、ダイオキシンで汚染されていない土壌により馴致されたコンポスト各1gを用いる。
各コンポストに、0.9%生理食塩水20mLで充分に懸濁し、コンポスト中に存在する有機物等の栄養源を溶出させ、処理液を遠心分離(6000rpm×10分)後、上清を除いた沈殿物に再度0.9%生理食塩水20mLを加え、再懸濁した後、保留粒子径6μmのろ紙で土壌粒子をろ過し、ろ液を37℃の油浴で1時間振とうし、残存した有機物を完全に消化させる。この有機物成分の除去処理が完了した懸濁液を、測定サンプルとし、分解能力の分析を行う。
<蛍光強度測定>
上記の前処理が完了した測定サンプルをバッファ(MOPS buffer)で希釈し、この溶液に分解能力を測定したい汚染源(ここではジベンゾフラン:DF)またはグルコース(全生菌数測定用)、呼吸活性測定の増感剤(Melrdla's blue)、蛍光発色物質(CTC:フナコシ(株))を加え、汚染物質培養系およびユニバーサル培養系を構築した。この反応液を一定時間の環境(37℃)下で蛍光強度の時間変化が追跡できる検出器(ライトサイクラー:ロッシュ社)に導入し、反応開始時から蛍光強度が直線的に増加する期間の蛍光強度変化を測定する。
さらに一定の反応時間後、反応液を遠心(12000rpm×10分)して反応液を除き、ここにMilliQ水を加えて細胞を再懸濁させた上で、DNA染色色素液を滴下し、生菌率の測定を行う。
汚染対象としてのコンポスト(予め多塩素化ダイオキシン類の分解能力を高めた)の微生物が生育している気相環境を3条件(サンプルA:活性低、サンプルB:活性中、サンプルC:活性高)設定し、それぞれの条件についてジベンゾフランの酸化分解能力を測定した。
上記A〜Cサンプルを、実施例1の<前処理>に準じて前処理した。
前処理が完了した測定サンプルをバッファ(MOPS buffer)で希釈し、この溶液に基質として分解能力を測定したい汚染源(ジベンゾフラン:DF)またはグルコース(全生菌数測定用)、呼吸活性測定の増感剤(Melrdla's blue)、蛍光発色物質(CTC:フナコシ(株))を混合し、汚染物質培養系およびユニバーサル培養系を構築した。基質を加えないブランクも調製した。
各反応液を、一定時間の環境(30℃)下で蛍光強度の時間変化が追跡できる検出器(ライトサイクラー:ロッシュ社)に導入し、キャピラリー内でインキュベートしながら反応開始時から蛍光強度が直線的に増加する期間の蛍光強度変化を測定した。これを図3〜5の各(A)として示す。この測定から、蛍光物質の立ち上がり(呼吸活性速度変化)すなわち検量線の傾きを求めた。このとき、蛍光強度の変動が直線的な期間(反応開始5分から1時間まで)においてプロットした傾向強度から最小二乗法で直線近似(直線回帰式を近似)し、その直線の傾きの大小により分解微生物の相対的な変動を確認した。これを図3〜5の各(B)として示す。
このとき基質として全ての微生物が利用可能な基質(グルコース)と、分解微生物のみが利用可能な基質(ジベンゾフラン)を個別にサンプルに添加して蛍光強度の立ち上がりを測定することにより、微生物全体に対する分解微生物の割合を求めることが可能となる。また、代表的な微生物種である大腸菌単一菌体における蛍光強度の立ち上がりの傾きと、微生物数との関係を元に、分解微生物の総数を推定することも可能となる。
基質毎における直線近似式の傾きから、特定の基質における分解微生物の相対値を計算した。サンプルA〜Cの各培養系における蛍光強度変化を表1に示す。表中、分解能力とは、蛍光物質の立ち上がりであり、図3〜5の各(B)に示す検量線の傾きである。
Figure 2006280262

ブランクサンプル値を差し引き補正したサンプルA〜Cの各培養系における蛍光強度変化を表2に示す。
Figure 2006280262

また微生物数が既知である単一菌(大腸菌)の蛍光強度の立ち上がりを算出し、微生物数との相関を最小二乗法により計算して求めたグラフを図6に示す。菌数の計算は、微生物数が既知の単一菌株(純粋菌:大腸菌)サンプルによる、蛍光強度測定結果より計算された検量線(y=2.464E+07x+9.888E+06)をもとに、各サンプルの分解能力[LT-460/h]の値を、xに挿入して微生物総数を計算した。結果を表3に示す。
Figure 2006280262

図6および図3中には指数をEを含む一次式で表記する。たとえば2.4×10を2.4E+07と表記する。
有機化合物により汚染された土壌や水源等、微生物が安定して生育可能である環境下においての、微生物反応を利用した浄化処理に対して、処理状況の把握および処理プロセス監視手法としての効果的な利用が期待できる。
本発明の微生物の汚染物質分解能力測定方法のプロセスフローを模式的に示す図である。 種々の呼吸基質を添加した各培養系の経時的な蛍光強度を示す。 実施例において、汚染物質としてジベンゾフラン(基質)を添加した時の蛍光強度の経時変化(A)および直線回帰式より算出した蛍光強度の立ち上がりを示すグラフ(B)である。 実施例において、グルコース(基質)を添加した時の蛍光強度の経時変化(A)および直線回帰式より算出した蛍光強度の立ち上がりを示すグラフ(B)である。 実施例において、ブランク(基質なし)の蛍光強度の経時変化(A)および直線回帰式より算出した蛍光強度の立ち上がりを示すグラフ(B)である。 微生物数が既知である単一菌(大腸菌)の蛍光強度の立ち上がりを算出し、微生物数との相関を最小二乗法により計算して求めたグラフを示す図である。

Claims (5)

  1. 微生物を含む汚染対象から微生物未消化の有機物を除去する前処理工程、
    前記前処理された汚染対象から、汚染源としての有機物質のみを呼吸基質として供した汚染物質培養系および該汚染源の有機物質を含まない生活有機物質を供したユニバーサル培養系をそれぞれ構築する工程、および
    前記各培養系の微生物の呼吸活性をそれぞれ測定する工程を含み、
    前記汚染物質培養系の呼吸活性を、前記ユニバーサル培養系の呼吸活性と対比して、前記汚染対象中の微生物の汚染源に対する分解能力を測定する方法。
  2. 前記呼吸基質として、多環芳香族類を供する請求項1に記載の方法。
  3. 前記培養系に、電子の受容により発色する発色系を供し、前記呼吸活性として、微生物の呼吸時に発生した電子の受容による発色強度を測定する請求項1または2に記載の方法。
  4. 前記汚染物質培養系および前記ユニバーサル培養系のそれぞれについて、前記呼吸活性としての発色強度を経時的に測定することにより、呼吸活性速度変化検量線を作成し、これとは別に構築した前記汚染物質培養系および前記ユニバーサル培養系の各基準となる微生物数既知の単一菌株を用いる培養系から予め求めた呼吸活性速度変化に対する菌数の検量線を参照して、前記ユニバーサル培養系の検量線から前記汚染対象中の全生菌数を、前記汚染物質培養系の検量線から前記汚染対象中の汚染物質分解菌数を求める請求項1ないし3のいずれかに記載の方法。
  5. 前記汚染対象が、至適環境条件の異なる複合微生物群が含まれた土壌である請求項1ないし4のいずれかに記載の方法。
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