JP2006278138A - 硬質面状発熱体製造用半硬化シート、硬質面状発熱体およびその製造方法 - Google Patents

硬質面状発熱体製造用半硬化シート、硬質面状発熱体およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 あらゆる形状の被着体に対して簡単にライニング施工することができ、機械的強度が高く、防水性、耐候性、耐食性などにも優れた硬質面状発熱体を製造することができる硬質面状発熱体製造用半硬化シートを提供すること。
【解決手段】 柔軟性を有する面状の発熱部11と、この発熱部11を内包するよう形成された半硬化状態の半硬化樹脂被覆層42と、を有してなる。前記半硬化樹脂被覆層42が、硬化性樹脂と、熱可塑性樹脂粉末からなる増粘剤と、熱重合開始剤および光重合開始剤から選ばれた少なくとも1種の重合開始剤と、強化用繊維と、を含有する樹脂組成物からなることが好ましい。
【選択図】 図4

Description

本発明は、硬質面状発熱体製造用半硬化シート、硬質面状発熱体およびその製造方法に係り、さらに詳しくは、柔軟性を有する面状の発熱部が、半硬化状態の半硬化樹脂被覆層により内包されてなる硬質面状発熱体製造用半硬化シート、当該シートの半硬化樹脂被覆層を完全硬化して形成した硬化樹脂層を有する硬質面状発熱体、および当該シートの半硬化樹脂被覆層を完全硬化して硬化樹脂層を形成する工程を含む硬質面状発熱体の製造方法に関する。
面状発熱体としては、種々のタイプのものが知られているが、電極形状により分類すると、直列電極タイプの面状発熱体と、並列電極タイプの面状発熱体とがある。直列電極タイプの面状発熱体では、ニクロム線や金属箔などの線状の発熱素子が、蛇行状に配置されて面を形成し、その線状の発熱素子の両端に電圧を印加して、線状の発熱素子を発熱させる。
並列電極タイプの面状発熱体には、二つのタイプの面状発熱体がある。一つは、並列に配置された一対の電極間に、面状の導電フィルムなどからなる発熱素子を配置するタイプ(純粋面状タイプ)である。もう一つは、並列に配置された一対の電極間に、線状の発熱素子を並列に配置するタイプ(線面タイプ)である。
直列電極タイプの面状発熱体では、線状発熱素子の長手方向の一部が切断されると、発熱体の全体に電流が流れなくなり、面状発熱体としての機能を有しなくなるという課題を有する。これに対して、並列電極タイプの面状発熱体では、面状の発熱素子または線状の発熱素子の一部が切断されても、その他の発熱素子に電流が流れ、面状発熱体としての機能を維持することができる。
ところが、並列電極タイプの一つである純粋面状タイプの面状発熱体では、発熱素子の発熱量が一般に小さく、十分な発熱量を得ることが困難である。また、この純粋面状タイプの面状発熱体では、面状の発熱素子の一部に破損が生じると、その破損が生じた部分の周囲に電界が集中し、電流が流れすぎることにより異常発熱を生じやすいという課題がある。
それに対して、線面タイプの面状発熱体では、線状の発熱素子を用いているために比較的に大きな発熱量を得ることができる。また、線状の発熱素子の一本が切れたとしても、その切れた発熱素子には、電流が流れず、発熱しなくなるのみであり、他の線状の発熱素子には電界が集中することもなく、正常に発熱し続ける。
そこで、並列電極で線面タイプの面状発熱体が、様々な分野において好ましく用いられている。従来の線面タイプの面状発熱体では、たとえば特許文献1に示すように、縦糸と横糸とを密に編み込んだ織布を樹脂フィルムで被覆して構成してある。横糸の両端には、縦糸と平行に、電極線が接続してある。これらの電極線も、織布の一部となり、樹脂フィルムで被覆される。各電極線は、たとえば特許文献2に示すように、複数の導電線で構成してあり、それらの導電線は、ハニカム状に接続される。
従来の線面タイプの面状発熱体は、柔軟性(基材形状に対する追従性)を有する反面、単独でその形状を保持することが困難で、僅かな荷重によって変形してしまう。このため、機械的強度が要求される用途に使用することができず、また、その施工方法もきわめて煩雑である。さらに、前記織布からなる面状発熱体および当該織布を樹脂フィルムで被覆してなる面状発熱体は、防水性、耐候性、耐食性などにも劣る。
一方、現場の建造物などにパネル施工を行う場合には、建造物の形状に応じたパネルを準備し、当該建造物に接着剤を塗布するなどの下地処理を行い、複数のパネルを装着した後にあっては、隣接するパネル間にシール材を充填するなど、きわめて煩雑な作業を行う必要がある。
実公昭62−40389号公報 特公平1−30265号公報
本発明は、このような実状に鑑みてなされたものであり、あらゆる形状の被着体に対して簡単に施工(ライニング施工)することができ、機械的強度が高く、防水性、耐候性、耐食性などに優れた硬質面状発熱体を製造することができる半硬化シートを提供することを目的とする。また、本発明は、機械的強度が高く、防水性、耐候性、耐食性、被着体に対する接着性などに優れた硬質面状発熱体、およびその製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の硬質面状発熱体製造用半硬化シート(以下、「発熱体製造用シート」と略記する)は、柔軟性を有する面状の発熱部と、この発熱部を内包するよう形成された半硬化状態の半硬化樹脂被覆層と、を有することを特徴とする。
発熱部を内包する半硬化樹脂被覆層は半硬化状態であって、柔軟性および可撓性を有すると共に、その表面は粘着性を有する。従って、これを備えてなる本発明の発熱体製造用シートは、あらゆる被着体の形状に対して追従することができ、当該被着体に確実に貼付させることができる。そして、半硬化状態の半硬化樹脂被覆層を完全硬化させて硬化樹脂層を形成することにより、前記発熱部が硬化樹脂によって内包された硬質面状発熱体を製造することができる。
本発明の発熱体製造用シートにより得られる硬質面状発熱体は、半硬化樹脂被覆層を完全硬化させて形成された硬化樹脂層により、単独でもその形状(例えばパネル形状)を保持することができるとともに、軽量でありながら、高い機械的強度を有し、相当な高さの荷重によっても変形することがない。また、当該硬化樹脂層によって発熱部が保護されるので、当該硬質面状発熱体は、防水性、耐候性、耐食性などにも優れ、さらに、基材(被着体)に対する接着性にも優れている。
本発明において、半硬化樹脂被覆層が、(A)硬化性樹脂と、(B)熱可塑性樹脂粉末からなる増粘剤と、(C)熱重合開始剤および光重合開始剤から選ばれた少なくとも1種の重合開始剤と、を含有する樹脂組成物からなることが好ましい。
(B)成分を含有する樹脂組成物は、40〜50℃で短時間加温されることにより急速に増粘し、柔軟性(被着体の形状に対する追従性)を有する半硬化状態(Bステージ)の半硬化樹脂被覆層を形成する。この半硬化状態は常温下において6ヶ月以上安定的に維持されるので、当該半硬化樹脂被覆層を備えてなる発熱体製造用シートは貯蔵安定性に優れたものとなる。
(C)成分の種類に応じて選択される硬化法によって半硬化樹脂被覆層を完全硬化させて硬化樹脂層(発熱部を内包する硬化樹脂層)を形成することにより、機械的強度の高い硬質面状発熱体を製造することができる。また、(B)成分として、透明で、(A)成分と屈折率の値が近い熱可塑性樹脂粉末を使用することにより、光透過率の高い半硬化樹脂被覆層を形成することができ、これにより、光硬化法による半硬化樹脂被覆層の完全硬化を効率的に行わせることができる。
本発明において、半硬化樹脂被覆層が、さらに(D)強化用繊維を含有する樹脂組成物からなることがより好ましい。
(D)成分を含有する樹脂組成物からなる半硬化樹脂被覆層を完全硬化させることにより、繊維強化された硬化樹脂層が形成され、これにより、機械的強度がさらに向上した硬質面状発熱体を製造することができる。
本発明において、樹脂組成物を構成する(A)硬化性樹脂が、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシアクリレート樹脂およびウレタンアクリレート樹脂から選ばれた少なくとも1種からなることが好ましい。
これらの樹脂の硬化物は、機械的特性に優れているとともに、化学的にも安定である。これにより、防水性、耐候性、耐食性などが、さらに向上した硬質面状発熱体を製造することができる。
本発明において、前記発熱部が、発熱用導電性糸を少なくとも含み所定間隔で配置される横糸と;絶縁性糸からなり前記横糸に交差して所定間隔で配置される縦糸と;前記横糸の両端部に電気的に接続するようにそれぞれ配置される一対の電極線と;が織り込まれた織布(以下、「特定の織布」ともいう)からなることが好ましい。
硬質面状発熱体を構成する発熱部には、これを内包する硬化樹脂層の熱容量も考慮して比較的大きな発熱量が要求される。また、当該発熱部を構成する発熱素子に損傷が生じても、発熱部としての機能が維持されることが重要である。本発明では、特定の織布からなる線面タイプの発熱部であれば、線状の発熱素子を用いているために比較的に大きな発熱量を得ることができる。また、発熱素子の一本が切れたとしても、他の発熱素子は、正常に発熱し続ける。このように、硬化樹脂層となる半硬化樹脂被覆層に「内包される」発熱部として、特定の織布からなるものを採用することは、きわめて有効である。
本発明において、前記発熱部が、特定の織布と、特定の織布に含浸された結束保護樹脂と、からなることが好ましい。特定の織布の組織または構造中の間隙(空気相)に結束保護樹脂が充填(含浸)される結果、当該発熱部を有する発熱体製造用シート、延いてはこれによる硬質面状発熱体の内部に気泡が残留することを防止できるとともに、発熱部と硬化樹脂層との密着性も向上する。
本発明において、前記発熱部が、特定の織布と、特定の織布を被覆する絶縁被覆層と、からなることが好ましい。このように、特定の織布が絶縁被覆層により被覆される結果、当該発熱部の平滑性が向上し、当該発熱部と半硬化樹脂被覆層(硬化樹脂層)との界面に空気相が残留することを防止できるとともに、絶縁被覆層がバインダーとなって、特定の織布と硬化樹脂層との密着性も向上する。
本発明の硬質面状発熱体は、上記の発熱体製造用シートの半硬化樹脂被覆層を完全硬化させて形成した硬化樹脂層を有することを特徴とする。本発明の硬質面状発熱体は、半硬化樹脂被覆層を完全硬化して形成される硬化樹脂層によって発熱部が内包されてなり、単独でその形状を保持することができるとともに、軽量でありながら、高い機械的強度を有し、相当な大きさの荷重によっても変形することがない。また、硬化樹脂層により発熱部が保護されるので、当該硬質面状発熱体は、防水性、耐候性、耐食性などにも優れ、さらに、基材(被着体)に対する接着性にも優れている。
本発明の製造方法は、本発明の発熱体製造用シートの半硬化樹脂被覆層を完全硬化させて硬化樹脂層を形成する工程を含むことを特徴とする。
また、本発明の製造方法は、本発明の発熱体製造用シートを被着体に貼付する工程と、当該発熱体製造用シートの発熱部を通電発熱させることにより前記半硬化樹脂被覆層を完全硬化させて硬化樹脂層を形成する工程と、を含むことが好ましい。
半硬化樹脂被覆層を完全硬化させるための熱エネルギーとして、発熱部からの通電発熱を利用することにより、硬質面状発熱体の製造設備および製造工程を簡略化することができるとともに、熱エネルギーが有効に利用されることにより省エネルギー化を図ることができる。
以下、本発明を、図面に示す実施形態に基づき説明する。
図1は本発明の一実施形態に係る発熱体製造用シートを一部破断して示す平面図、
図2は図1に示すA−A線に沿う断面図、
図3は図1に示す電極線単位の要部拡大図、
図4は発熱体製造用シートの製造方法の一例を示す説明図、
図5は発熱体製造用シートの製造方法の他の例を示す説明図、
図6は発熱体製造用シートの施工状態の一例を示す断面図、
図7は発熱体製造用シートの施工状態の他の例を示す説明図、
図8は発熱体製造用シートによる補修方法の一例を示す断面図、
図9は本発明の他の実施形態に係る発熱体製造用シートを一部破断して示す平面図、
図10は図9に示すB−B線に沿う断面図、
図11は本発明のさらに他の実施形態に係る発熱体製造用シートを一部破断して示す平面図、
図12は図11に示すC−C線に沿う断面図である。
第1実施形態
図1および図2に示すように、本実施形態に係る発熱体製造用シート41は、柔軟性のある面状の発熱部11が半硬化状態の半硬化樹脂被覆層42によって内包されることにより構成されている。
この発熱体製造用シート41を構成する発熱部11は、横糸8と縦糸10と電極線6とが織り込まれた織布5(特定の織布)からなる。織布5の横糸8は、発熱用導電性糸と、必要に応じて絶縁糸を含む糸で構成してある。横糸8を構成する発熱用導電性糸は、たとえば絶縁性フィラメントの外周を導電性塗料で被覆したものである。この発熱用導電性糸は、単線でも撚り線でも良い。絶縁性フィラメントの材質としては、特に限定されないが、ポリエステル、コットン、ナイロン、ガラス繊維などである。導電性塗料としては、たとえば導電性粒子を混入して得られる温度依存性の高い正温度特性(PTC)型の導電性塗料などが用いられる。
PTC型の導電性塗料としては、高温になるにつれて、抵抗が増大し、良好な自己温度調節機能を発揮するものであれば特に限定されず、たとえば金属粒子、カーボン粒子(カーボンブラック粒子、グラファイトカーボン粒子、黒鉛粒子)などの、導電性粒子を含有するものが用いられる。導電性粒子としては、カーボン粒子が好ましく用いられる。
このような導電性塗料中に、絶縁性フィラメントを浸漬して乾燥させれば、本実施形態の横糸8を構成する導電性糸が得られる。導電性糸の電気抵抗値は、おおむね、500〜10000Ω/cmである。
本実施形態では、縦糸10は、織布5の長手方向Lに沿って延び、その長手方向Lに直交する幅方向Wに沿って所定間隔で配置され、絶縁性糸で構成してある。
縦糸10を構成する絶縁性糸は、たとえば導電性塗料で被覆されていない以外は同様な導電性糸の芯材として用いられる絶縁性フィラメントで構成される。また、例えば金属線を絶縁被覆したものでも良い。この縦糸10も、単線でも撚り線でも良い。
横糸8の幅方向Wの両端には、一対の電極線6が織布5の長手方向Lに沿って配置してある。
各電極線6は、図3に示すように、相互にハニカム状に織り込まれて幅方向Wに接続される複数の低抵抗縦導電線30で構成してある。低抵抗縦導電線30は、金属製糸で構成してあるのが好ましい。
前記低抵抗縦導電線30は、織布5の両端において、織布5に対して一体的に織り込まれ、電極線6を構成し、各横糸8と電気的に接続してある。
低抵抗縦導電線30の電気抵抗値は、低いほどよく、通常5Ω/cm以下、好ましくは、1Ω/cm以下である。
低抵抗導電線30を構成する好ましい形態である金属製糸は、たとえば銅、鉄、ステンレスなどからなる。金属製糸は、単線でも撚り線でも良い。この金属製糸の線径は、縦糸10および横糸8の線径と略同じであり、好ましくは10〜1000μmである。
本実施形態では、織布5における隣り合う横糸8相互間の間隔L1は、好ましくは0.01〜50mmである。また、織布5における隣り合う縦糸10相互間の間隔W1は、好ましくは0.01〜50mmである。
横糸8の配置間隔L1が狭すぎると、単位面積あたりの発熱量が大きくなりすぎる傾向にあり、横糸8の配置間隔L1が広すぎると、発熱部全体としての発熱能力が低下する傾向にある。なお、縦糸10は、ほとんど発熱に寄与しないため、織布5としての強度を保持できる限り、縦糸10の配置間隔W1は、横糸8の配置間隔L1よりも広くすることができる。ただし、横糸8と縦糸10との織布5を形成する作業性を考慮すると、横糸の配置間隔W1と、縦糸の配置間隔L1とは、実質的に同じ程度がよい。
織布5からなる発熱部11を内包する半硬化樹脂被覆層42は、半硬化状態(Bステージ)であり、柔軟性および可塑性を有すると共に、その表面は粘着性を有している。このような半硬化樹脂被覆層42を備えてなる発熱体製造用シートは、その柔軟性によって、あらゆる被着体の形状に対して追従することができ、その粘着性によって、種々の材質からなる被着体に対しても確実に貼付させることができる。
半硬化状態の半硬化樹脂被覆層42は、完全硬化されることによって硬化樹脂層となるものであり、熱硬化性樹脂組成物または光硬化性樹脂組成物からなる。
半硬化樹脂被覆層42は、(A)硬化性樹脂と、(B)熱可塑性樹脂粉末からなる増粘剤と、(C)熱重合開始剤および光重合開始剤から選ばれた少なくとも1種の重合開始剤と、を含有する樹脂組成物(以下、「特定の樹脂組成物」ともいう。)からなることが好ましい。
特定の樹脂組成物の(A)成分である「硬化性樹脂」は、単独では液状を呈し、熱エネルギーによって硬化する熱硬化性樹脂および光エネルギーによって硬化する光硬化性樹脂から選ばれた少なくとも1種を含む。硬化性樹脂は、ラジカル重合型のものであっても、イオン重合型のものであってもよく、また、二液硬化性のものであっても、一液硬化性のものであってもよい。なお、室温で硬化する樹脂も、熱硬化性樹脂として「(A)硬化性樹脂」に包含される。
(A)成分として好適な樹脂として、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシアクリレート樹脂およびウレタンアクリレート樹脂が挙げられる。これらの樹脂の硬化物は、機械的特性に優れているとともに化学的にも安定であり、これらを使用することにより、最終的に得られる硬質面状発熱体の防水性、耐候性、耐食性を一層向上させることができる。これらのうち、特に優れた耐食性を発揮できることなどから、エポキシアクリレート樹脂が好ましい。
特定の樹脂組成物の(B)成分である「熱可塑性樹脂粉末からなる増粘剤」は、温度依存性の高い増粘剤として作用し、これを含有してなる樹脂組成物を40〜50℃で0.5〜1時間程度加温することにより、当該樹脂組成物は急速に増粘し、柔軟性(被着体の形状に対する追従性)および可撓性を有する成形加工に適した半硬化状態となる。この半硬化状態は室温下において安定的に維持されるので、特定の樹脂組成物からなる半硬化樹脂被覆層42を備えてなる発熱体製造用シートは貯蔵安定性にも優れたものとなる。
熱可塑性樹脂粉末を構成する樹脂としては、硬化性樹脂を吸収して膨潤するものであれば特に制限されるものではないが、(メタ)アクリル酸エステルおよび芳香族ビニル化合物から選ばれた少なくとも1種の単量体50質量%以上と、カルボキシル基またはエポキシ基を分子中に有する単量体(以下、「官能基含有単量体」という。)1〜20質量%とを含有する単量体混合物を共重合させて得られるものが好ましい。
熱可塑性樹脂粉末の粒径(重量基準の平均単一粒径)としては、0.1〜5.0μmであることが好ましく、更に好ましくは0.2〜3.0μmとされる。粒径が過小であると、半硬化樹脂被覆層を構成する樹脂組成物の増粘効果が過大となり、発熱体製造用シートの貯蔵安定性が損なわれるおそれがある。他方、この粒径が過大であると、疑似硬化が遅くなり、樹脂組成物の調製効率が低下するおそれがある。ここで、疑似硬化とは、熱可塑性樹脂粉末が熱硬化性樹脂を吸収して膨潤し、ゲル状になる性質をいい、本発明における「半硬化状態」とは、この疑似硬化によるゲル状態のことをいう
熱可塑性樹脂粉末の形状は球形であることが好ましい。また、官能基含有単量体に由来する構造単位が粉末粒子の表面近傍に偏在していることが好ましい。これにより、特定の樹脂組成物を調製する際の増粘パターンを容易に得ることができる。
(B)成分として好適な熱可塑性樹脂粉末としては、特開平11−43596号公報において「熱可塑性樹脂粉末からなる増粘剤」として開示されているものを挙げることができる。
特定の樹脂組成物の(C)成分である「重合開始剤」としては、熱エネルギーを吸収して硬化性樹脂の重合を開始させる熱重合開始剤、および、光エネルギーを吸収して硬化性樹脂の重合を開始させる光重合開始剤から選択される。
(C)成分として使用される熱重合開始剤および光重合開始剤としては特に制限されるものでなく、公知の熱硬化法および光硬化法に使用されているものをすべて使用することができる。
特定の樹脂組成物は半硬化状態の半硬化樹脂被覆層を構成するものであり、その粘度(25℃)としては、5,000,000〜20,000,000cPであることが好ましい。半硬化樹脂被覆層(特定の樹脂組成物)の粘度が上記の範囲内であることにより、得られる発熱体製造用シートは、成形加工やライニング加工に適した柔軟性および可撓性を有するものとなる。
(C)成分の種類に応じて選択される硬化法によって半硬化樹脂被覆層42を完全硬化させて硬化樹脂層を形成することにより、機械的強度の高い硬質面状発熱体を製造することができる。なお、光硬化法により半硬化樹脂被覆層42を完全硬化(硬化樹脂層を形成)する場合において、透明で、(A)成分と屈折率の値が近い熱可塑性樹脂粉末を(B)成分として使用することによれば、光透過率の高い半硬化樹脂被覆層を形成することができ、これにより、光硬化法による完全硬化を効率的に行わせることができる。
特定の樹脂組成物には(D)強化用繊維が含有されていることが好ましい。(D)成分を含有する特定の樹脂組成物により半硬化樹脂被覆層42を構成し、これを完全硬化させることにより、繊維強化された硬化樹脂(Fiber-reinforced thermoset resin;FRTS)からなる硬化樹脂層が形成され、これにより、最終的に得られる硬質面状発熱体の機械的強度を一層向上させることができる。
ここに、強化用繊維としては、炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維、ポリエステル繊維、フェノール繊維、ポリビニルアルコール繊維、ナイロン繊維など、繊維強化プラスチック(Fiber-reinforced plastic;FRP)を構成する繊維として公知のものをすべて使用することができる。繊維の形態および長さについても特に限定されるものではない。
発熱部11(織布5)における各電極線6の長手方向Lの端部6aは、半硬化樹脂被覆層42から延出しており、硬質面状発熱体として使用するときに、この端部6aには電源に接続するためのリード線(図示省略)が接続される。なお、半硬化樹脂被覆層42の完全硬化に発熱部11による通電発熱を利用する場合には、発熱体製造用シート41の段階で、当該端部6aにリード線が接続される。
リード線を介して、一対の電極線6間に印加される電圧は、特に限定されないが、たとえば250ボルト以下である。電極線6の間に電圧が印加されると、横糸8の長手方向Wに電流が流れ、横糸8が発熱する。発熱部11の発熱温度は、80℃以下であることが好ましい。
発熱体製造用シート41の厚さ(t)としては、1〜20mmであることが好ましく、さらに好ましくは2〜10mmとされる。この厚さが過小である場合には、そのようなシートにより得られる硬質面状発熱体が、十分な機械的強度を有するものとならない。一方、この厚さが過大である場合には、そのようなシートにより得られる硬質面状発熱体は、その表面(硬化樹脂層の表面)が発熱するまでにある程度長い時間を要するなど、発熱体としての実用性に欠ける。また、半硬化樹脂被覆層42を光硬化法により完全硬化させる際に、半硬化樹脂被覆層を構成する樹脂組成物の全域に紫外線を到達させることが困難となる。
本実施形態において、織布5(特定の織布)からなる発熱部11は、並列電極タイプで、いわゆる線面タイプの面状発熱体である。そのため、当該発熱部11の一部に破損が生じて、横糸8からなる線状発熱素子の一部が切断されたとしても、他の横糸8には電流が供給され、発熱を維持することができる。また、切断された横糸8は、電流が流れずに発熱しないのみであり、他の横糸8に印加される電圧も変化せず、異常発熱などが発生するおそれもない。このように、硬化樹脂層となる半硬化樹脂被覆層42に「内包される」発熱部11として、特定の織布からなるものを採用することは、きわめて有効である。
本実施形態の発熱体製造用シートの半硬化樹脂被覆層を完全硬化させて形成して硬化樹脂層を形成することにより、当該硬化樹脂層によって前記発熱部11が内包されてなる面状発熱体が得られる。この硬質面状発熱体は、単独でもその形状(パネル形状)を保持することができるとともに、軽量でありながら、高い機械的強度を有し、相当な高さの荷重によっても変形することがない。また、当該硬化樹脂層によって発熱部11が保護されるので、当該硬質面状発熱体は、防水性、耐候性、耐食性などにも優れ、さらに、基材(被着体)に対する接着力もきわめて高い。
本実施形態の発熱体製造用シートの製造する方法の一例を示すと、先ず、図4(I)に示すように、割型からなる成形型50の成形空間に、発熱部となる織布5を配置するとともに、これを内包するように特定の樹脂組成物からなる未硬化樹脂60を注入する。
同図に示すように、織布5は、図示しない支持手段によって成形空間の略中央に位置している。なお、この支持手段が脱型後に発熱体製造用シートの一部(形成される半硬化樹脂被覆層の構成部分)となる場合には、当該支持手段は、未硬化樹脂60と同種の樹脂(特定の樹脂組成物)の半硬化物または完全硬化物からなることが好ましい。
同図において、54は樹脂組成物の注入孔、55は一対の電極線6の端部(半硬化樹脂被覆層から延出させる部分)6aを型外に位置させるための液密性のある貫通孔である。56はPET樹脂などからなる剥離フィルムであり、この剥離フィルム56は成形型50の型面に仮着されている。
なお、成形空間内における未硬化樹脂60(特定の樹脂組成物)に、(D)成分である強化用繊維を含有させる方法としては、(A)〜(C)成分に強化繊維を混合分散してなる樹脂組成物を注型する方法;織布5を内包するように強化用繊維を成形空間に充填した後に、(A)〜(C)成分を注入して当該強化用繊維に含浸させる方法を挙げることができ、いずれの方法によっても、強化用繊維を含有する半硬化樹脂被覆層(半硬化物)を形成することができ、繊維強化された硬化樹脂(FRTS)からなる硬化樹脂層(完全硬化物)を形成することができる。
次に、注型された未硬化樹脂60に、熱エネルギーを付与することにより当該未硬化樹脂60を半硬化させて半硬化樹脂被覆層42を形成する。その後、図4(II)に示すように、成形型50を分割して、織布5からなる発熱部11が半硬化樹脂被覆層42に内包されてなる発熱体製造用シート41を取り出す。このとき、型面に仮着されていた剥離フィルム56は発熱体製造用シート41の両面に付着し、脱型後においては発熱体製造用シート41の保護層として機能する。
未硬化樹脂60を半硬化させて半硬化樹脂被覆層42を形成する方法としては、当該未硬化樹脂60が、硬化温度が80℃以上の熱硬化性樹脂である(特定の樹脂組成物の(C)成分として熱重合開始剤を含有する)場合には、これを40〜50℃で0.5〜1時間程度加温する方法が挙げられる。ここに、加温方法としては、
(a)熱硬化性樹脂を注入した成形型をオーブンなどを用いて加温する方法、
(b)それぞれの端部6aが型外にある一対の電極線6間に電圧を印加して織布を発熱させる方法、を挙げることができる。また、室温に8時間以上放置することにより、未硬化樹脂60を半硬化させることができる。
一方、未硬化樹脂60が光硬化性樹脂である(特定の樹脂組成物の(C)成分として光重合開始剤を含有する)場合には、60℃前後の加熱により半硬化樹脂被覆層42を容易に得ることができる。
なお、光硬化性の半硬化樹脂被覆層42を形成する場合において、織布5を構成する絶縁性糸(縦糸を構成する絶縁性糸および横糸に含まれることのある絶縁性糸)が、光透過性を有する糸であることが好ましい。これにより、織布5全体としての光透過率が向上し、一面のみからの紫外線照射によっても、織布5を内包する(織布5の両面を完全に被覆する)発熱体製造用シートを形成することができる。
発熱体製造用シートを製造する方法の他の例としては、特定の樹脂組成物を半硬化させてなるプリプレグシートを2枚用意し、図5(I)に示すように、発熱部となる織布5を2枚のプリプレグシート65で挟み込む。これにより、図5(II)に示すように、織布5からなる発熱部11が半硬化樹脂被覆層42に内包されてなる発熱体製造用シート41が得られる。図5において、66はプリプレグシート65に積層されていた剥離フィルムであり、得られる発熱体製造用シート41の保護層として機能する。
プリプレグシート65を構成する特定の樹脂組成物には、(D)成分である強化用繊維が含有されていることが好ましく、これにより、強化用繊維を含有する半硬化樹脂被覆層(半硬化物)を形成することができ、繊維強化された硬化樹脂(FRTS)からなる硬化樹脂層(完全硬化物)を形成することができる。
「強化用繊維が含有されているプリプレグシート」は、
(a)(A)〜(C)成分に(D)成分である強化用繊維を分散させて流動性のある樹脂組成物(特定の樹脂組成物)を得、これを半硬化させて成形する方法、または、
(b)(A)〜(C)成分を(D)成分である強化用繊維に含浸させた後、これを半硬化させて成形する方法によって製造することができる。
本実施形態の発熱体製造用シート41は柔軟性および可撓性を有する半硬化物であり、その表面(半硬化樹脂被覆層42の表面)は粘着性を有する。これにより、被着体の種々の形状に対して追従することができ、当該被着体に確実に貼付させることができる。
例えば図6に示す発熱体製造用シート41は、基材70の形状(コーナー形状)に応じて変形することによって当該形状に追従するとともに、半硬化樹脂被覆層42の表面の粘着性によって、接着剤や粘着剤などを使用しなくても、基材70に対して確実に貼付することができる。
そして、半硬化樹脂被覆層42を完全硬化させて硬化樹脂層を形成することにより、当該硬化樹脂層によって発熱部11が内包されてなる硬質面状発熱体を基材70の表面に積層形成することができる。そして、半硬化樹脂被覆層42の完全硬化により形成される硬化樹脂層(得られる硬質面状発熱体)は、基材(例えばコンクリート等)に対して強固に接着することができる。
半硬化樹脂被覆層42を完全硬化させて硬化樹脂層を形成する方法としては、当該半硬化樹脂被覆層42が熱硬化性樹脂からなる場合には、これを70〜80℃で15〜30分間程度加熱する方法が挙げられる。加熱方法としては、
(a)半硬化樹脂被覆層42に熱風をあてる方法、
(b)それぞれの端部6aが型外にある一対の電極線6間に電圧を印加して発熱部11を発熱させる方法、を挙げることができる。
上記(b)の加熱方法によれば、半硬化樹脂被覆層42を完全硬化させるための熱エネルギーとして、発熱部11からの通電発熱を利用するので、硬質面状発熱体の製造設備および製造工程を簡略化することができるとともに、熱エネルギーが有効に利用されることにより省エネルギー化を図ることができる。
一方、半硬化樹脂被覆層42が光硬化性樹脂からなる場合には、樹脂被覆42に紫外線を照射することにより光硬化させる。
上記のように、発熱体製造用シート41は、基材(被着体)の形状に応じて種々の形状の硬質面状発熱体を積層形成することができるので、現場(屋内外を問わない)におけるライニング施工に好適である。
本実施形態の発熱体製造用シートを複数使用することにより、連続パネルによる大面積のライニング施工が可能である。また、隣接するシート間の接合方式として、図7に示すようにシート端部を積重するオーバーラップジョイント方式を採用することができ、これにより、隣接するパネル間にシール材を充填するような煩雑な後処理を実施しなくても、防水性などの基材保護効果を発揮させることができる。
図8は、本実施形態の発熱体製造用シートによる補修方法の一例を示している。硬質面状発熱体の連続パネルの一部を補修(硬質面状発熱体を交換)する場合において、先ず、交換すべき硬質面状発熱体を除去し、同図(I)に示すように、例えばコンクリートからなる基材70の表面を露出させる。同図において、2は、除去された硬質面状発熱体に隣接する硬質面状発熱体である。
次に、必要に応じて露出面および周囲の下地処理(例えばグラインダー処理)を行った後、同図(II)に示すように、発熱体製造用シート41を貼付する。このとき、発熱体製造用シート41は、その表面(半硬化樹脂被覆層42の表面)の粘着性により、被補修面が垂直面であっても確実に粘着する。
次に、同図(III) に示すように、発熱体製造用シート41に熱エネルギーまたは紫外線エネルギーを付与する。これにより、同図(IV)に示すように、半硬化樹脂被覆層42が完全に硬化して硬化樹脂層20が形成され、基材70の表面および硬質面状発熱体2の一部表面を被覆するよう、硬質面状発熱体による補修部2Rが形成される。この補修部2Rは、基材70および周囲の面状発熱体2に対して強固に接着することができる。
なお、同図(IV)の状態で補修を完了させてもよいが、補修面に平坦(平滑)性が要求される場合には、グラインダー処理などにより、同図(V)に示すようにオーバーラップ部分を除去してもよい。
第2実施形態
図9および図10に示す発熱体製造用シート46は、柔軟性のある面状の発熱部12が、織布5(第1実施形態の硬質面状発熱体を構成する織布と同一のもの)と、この織布5に含浸された結束保護樹脂9とからなる点が第1実施形態と異なる。その他の構成は、第1実施形態の発熱体製造用シートと同様であり、図1および図2に示した符号と共通する符号が付してある部材は、第1実施形態に係るものと共通し、その説明は一部省略する。
本実施形態の発熱体製造用シート46では、織布5の組織または構造中の間隙(空気相)に結束保護樹脂9が充填(含浸)されて発熱部12が構成されている。このため、発熱体製造用シート46、つまり硬質面状発熱体の内部に気泡が残留することを防止できる。また、織布5の表裏面の近傍に存在する結束保護樹脂9によって、半硬化樹脂被覆層42が完全硬化してなる硬化樹脂層と、発熱部12(結束保護樹脂含浸織布)との密着性も向上する。
結束保護樹脂9は、織布5に液状樹脂(結束保護剤)を含浸させた後、当該液状樹脂を硬化させることによって形成することができる。液状樹脂は、織布5の組織または構造中の間隙に容易に浸透して充填され、その後、硬化することにより結束保護樹脂9となる。液状樹脂としては、エポキシ樹脂やウレタン樹脂を挙げることができる。織布5に液状樹脂(結束保護剤)を含浸させる方法としては、浸漬法(Dipping)および塗布法(Coating)を挙げることができる。
結束保護樹脂9は、織布5に溶融状態のホットメルト樹脂を含浸させた後、当該ホットメルト樹脂を冷却固化させることによって形成することもできる。加熱溶融されたホットメルト樹脂は、織布5の組織または構造中の間隙に容易に充填され、その後、冷却固化することにより結束保護樹脂9となる。ホットメルト樹脂としては、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミド、エチレン−酢酸ビニル共重合体などを含有するものを挙げることができる。
本実施形態の発熱体製造用シート46は、結束保護樹脂9が含浸された織布5を使用すること、すなわち、液状樹脂またはホットメルト樹脂で織布5を前処理すること以外は、第1の実施形態の発熱体製造用シートの製造方法(図4および図5に示した方法)と同様にして製造することができ、また、第1の実施形態の発熱体製造用シートと同様の方法(図6〜図8に示した方法)で施工・補修に供することができる。
第3実施形態
図11および図12に示す発熱体製造用シート48は、柔軟性のある面状の発熱部13が、織布5(第1の実施形態の硬質面状発熱体を構成する織布と同一のもの)と、この織布5を被覆する絶縁被覆層4a,4bとからなる点が、第1実施形態と異なる。その他の構成は、第1の実施形態の発熱体製造用シートと同様であり、図1および図2に示した符号と共通する符号が付してある部材は、第1の実施形態に係るものと同一であり、その説明は一部省略する。
本実施形態の発熱体製造用シート48のように、織布5が絶縁被覆層4a,4bにより被覆されて発熱部13が構成されていることにより、発熱部13の表面平滑性が向上し、発熱部13と、半硬化樹脂被覆層42(これにより形成される硬化樹脂層)との界面に空気層が残留することを防止できる。また、絶縁被覆層4a,4bがバインダーとなって、織布5と、半硬化樹脂被覆層42が完全硬化してなる硬化樹脂層との密着性も向上する。
絶縁被覆層4a,4bは、織布5の両面に樹脂シートを積層することによって形成することができる。また、織布5の両面に、ホットメルト樹脂からなる樹脂シートを溶融接着させることにより形成することができる。
絶縁被覆層4a,4bを形成するために使用する樹脂シートとしては、特に限定されるものではないが、例えば塩化ビニルシート、PETシート、ポリオレフィンシート、ポリウレタンシート、アクリルシートなどを挙げることができる。
織布5の両面に樹脂シートを積層する方法としては、特に限定されるものではないが、接着剤による方法、熱融着による方法などが例示される。接着剤を用いる場合には、接着剤としては、ポリウレタン系やエポキシ樹脂系の接着剤が好ましく使用される。
絶縁被覆層4a,4bは、単層膜からなるものでも良いが、例えば、塩化ビニルシートとポリエチレンテレフタレート(PET)シートとの多層膜で構成しても良い。絶縁被覆層4a,4bを、塩化ビニルシートとPETシートとの多層膜で構成する場合には、内側(織布5との界面)を塩化ビニルシートで構成し、外側をPETシートで構成することが好ましい。熱溶融性のある塩化ビニルシートを内側に配置することで、織布5との熱融着を容易に行うことができる。前記多層膜は、たとえば熱ラミネーション工法などで製造することができる。
発熱体製造用シート48は、絶縁被覆層4a,4bにより被覆された織布5を使用すること、すなわち、樹脂シートを積層することによって織布5を前処理すること以外は、第1の実施形態の発熱体製造用シートの製造方法(図4および図5に示した方法)と同様にして製造することができ、また、第1の実施形態の発熱体製造用シートと同様の方法(図6〜図8に示した方法)で施工・補修に供することができる。
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で種々に改変することができる。
本発明の発熱体製造用シートは、基材(被着体)の形状に応じて種々の形状の硬質面状発熱体を積層形成することができるので、現場(屋内外を問わない)におけるライニング施工に好適である。
本発明の発熱体製造用シートにより製造される硬質面状発熱体は、高い機械的強度、防水性、耐候性、耐食性などが要求されるあらゆる用途におけるヒータパネルとして使用することができる。例えば、道路や滑走路の路面に埋設される溶雪用パネル;植物育成用の地中ヒータ;敷物;マット;定温倉庫の床;コンクリート構造体、タンクなどの加温や保温;融雪、霜取り、融氷、凍結防止;あるいは、台所、風呂場、トイレ、洗面所の暖房;などの用途に幅広く用いることができる。
図1は本発明の一実施形態に係る発熱体製造用シートを一部破断して示す平面図である。 図2は図1に示すA−A線に沿う断面図である。 図3は図1に示す電極線単位の要部拡大図である。 図4は発熱体製造用シートの製造方法の一例を示す説明図である。 図5は発熱体製造用シートの製造方法の他の例を示す説明図である。 図6は発熱体製造用シートの施工状態の一例を示す断面図である。 図7は発熱体製造用シートの施工状態の他の例を示す説明図である。 図8は発熱体製造用シートによる補修方法の一例を示す断面図である。 図9は本発明の他の実施形態に係る発熱体製造用シートを一部破断して示す平面図である。 図10は図9に示すB−B線に沿う断面図である。 図11は本発明のさらに他の実施形態に係る発熱体製造用シートを一部破断して示す平面図である。 図12は図11に示すC−C線に沿う断面図である。
符号の説明
2… 硬質面状発熱体
2R …補修部
4a… 絶縁被覆層
4b… 絶縁被覆層
5… 織布
6… 電極線
6a… 端部
8… 横糸
9… 結束保護樹脂
10… 縦糸
11… 発熱部
12… 発熱部
13… 発熱部
20… 硬化樹脂層
30… 低抵抗縦導電線
41… 発熱体製造用シート
42… 半硬化樹脂被覆層
46… 発熱体製造用シート
48… 発熱体製造用シート
50… 成形型
54… 注入孔
55… 貫通孔
56… 剥離フィルム
60… 未硬化樹脂
65… プリプレグシート
66… 剥離フィルム
70… 基材

Claims (10)

  1. 柔軟性を有する面状の発熱部と、
    この発熱部を内包するよう形成された半硬化状態の半硬化樹脂被覆層と、を有する硬質面状発熱体製造用半硬化シート。
  2. 前記半硬化樹脂被覆層が、(A)硬化性樹脂と、
    (B)熱可塑性樹脂粉末からなる増粘剤と、
    (C)熱重合開始剤および光重合開始剤から選ばれた少なくとも1種の重合開始剤と、を含有する樹脂組成物からなる請求項1に記載の硬質面状発熱体製造用半硬化シート。
  3. 前記半硬化樹脂被覆層が、さらに
    (D)強化用繊維
    を含有する樹脂組成物からなる請求項2に記載の硬質面状発熱体製造用半硬化シート。
  4. 前記(A)硬化性樹脂が、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシアクリレート樹脂およびウレタンアクリレート樹脂から選ばれた少なくとも1種を含む請求項2または3に記載の硬質面状発熱体製造用半硬化シート。
  5. 前記発熱部が、
    発熱用導電性糸を少なくとも含み所定間隔で配置される横糸と、
    絶縁性糸からなり前記横糸に交差して所定間隔で配置される縦糸と、
    前記横糸の両端部に電気的に接続するようにそれぞれ配置される一対の電極線と、
    が織り込まれた織布を有する請求項1〜4のいずれかに記載の硬質面状発熱体製造用半硬化シート。
  6. 前記織布には、結束保護樹脂が含浸してある請求項5に記載の硬質面状発熱体製造用半硬化シート。
  7. 前記織布には、絶縁被覆層が被覆してある請求項5に記載の硬質面状発熱体製造用半硬化シート。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載の硬質面状発熱体製造用半硬化シートの半硬化樹脂被覆層を完全硬化させて形成した硬化樹脂層を有する硬質面状発熱体。
  9. 請求項1〜7のいずれかに記載の硬質面状発熱体製造用半硬化シートの半硬化樹脂被覆層を完全硬化させて硬化樹脂層を形成する工程を含む硬質面状発熱体の製造方法。
  10. 請求項1〜7のいずれかに記載の硬質面状発熱体製造用半硬化シートを被着体に貼付する工程と、当該硬質面状発熱体製造用半硬化シートの発熱部を通電発熱させることにより、前記半硬化樹脂被覆層を完全硬化させて硬化樹脂層を形成する工程と、を含む硬質面状発熱体の製造方法。
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