JP2006272109A - スクラバー - Google Patents

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Abstract

【課題】 多大な工数や費用を要することなく、有害成分の除去処理運転中に発生する中和生成物の結晶化及び粉塵の堆積化を極力防ぎ、高い処理性能および処理効率を長時間に亘り確実に維持できるようにする。
【解決手段】 スクラバー本体1に配備した充填層2の上部に被処理ガスに対し逆性を持つ吸収液6を下向きにスプレーするノズル9a付きの散水管9を配設するとともに、充填層2の下部にも、所定の処理運転中は常時、吸収液6を充填層2の下層部分2Aに向けて上向きにスプレーするノズル12a付きの散水管12を配設している。
【選択図】 図1

Description

本発明は、焼却炉やボイラー等から排出される排ガス中に含まれている有毒性ガスなどを吸収液との接触により吸収し除去処理する場合に用いられるスクラバーに関する。詳しくは、スクラバー本体内に気液接触用の充填層を配備し、この充填層よりも下部のスクラバー本体内に導入された被処理ガスを前記充填層に対し縦断状態に上昇させるとともに、前記スクラバー本体の下部に連通接続したタンク部と前記充填層の上部に配設した散水管とに亘り強制循環される前記被処理ガスと逆性を持つ吸収液を前記散水管のノズルから下向きにスプレーさせることに伴う充填層内での気液接触作用により、被処理ガス中の有害成分を吸収し除去処理するように構成されているスクラバーに関する。
この種の従来一般のスクラバーにおいては、図2にも示すとおり、スクラバー本体21内に配備された充填層22の上部にのみ散水管23を配設し、前記スクラバー本体21の下部に連通接続したタンク部24内に貯留されている被処理ガスと逆性を持つ吸収液25をポンプ26及び配管27を通して前記散水管23に強制循環させて該散水管23のノズル23aから下向きにスプレーさせ、このスプレーされた吸収液25とスクラバー本体21内に導入されて前記充填層22をその下面側から上方へ向け縦断通過するように上昇する排ガス等の被処理ガスGとを充填層22の内部で気液接触させることによって、被処理ガスG中の有毒性ガス等の有害成分を吸収し除去処理するように構成されていた(例えば、特許文献1及び非特許文献1参照)。
特開2000−279738号公報 発明協会公開技報 公技番号 2000−1696 2000.3.15発行
しかしながら、上記のごとく充填層の上部からのみ吸収液をスプレーするように構成された従来のスクラバーにおいては、有害成分濃度や粉塵濃度が最も高い状態の被処理ガスが充填層の下層部分を通過するとき、塩類等の中和生成物や粉塵の堆積物が多量に発生しこれらが充填層の下層部分に高い密度で付着して目詰まりを引き起こし、その結果、被処理ガスの通過抵抗が異常に高くなり、短時間の使用で有害成分の吸収除去処理性能及び処理効率が低下しやすく、遂には、所定どおりの吸収除去処理運転が不能に陥るという問題があった。
このような中和生成物や粉塵の堆積物による目詰まりの発生に起因する処理性能及び処理効率の低下を抑制するために、従来では、(a)充填層22を形成する多数の充填材を短いサイクルで定期的にスクラバー本体21から取り出して洗浄した後、再充填するか、もしくは、新たな充填材を充填(交換)する手段、(b)スクラバーの運転停止直前に空運転を行って、被処理ガスは導入しないで散水管23のノズル23aから吸収液25のみをスプレーして充填層22を洗浄する手段、(c)図2に仮想線で示したように、散水管23の上部に洗浄用清水をスプレーするノズル28aを有する洗浄用散水管28を配設しておき、スクラバーの運転停止後、その洗浄用散水管28のノズル28aから洗浄用清水FWをスプレーして充填層22を洗浄する手段、が採られていたが、(a)の場合は、多大な工数及び費用を要し、(b)や(c)の場合は、充填層22の下層部分に付着している中和生成物や粉塵の堆積物を殆ど除去することができず、処理性能及び処理効率の低下抑制効果は非常に低い。
本発明は上記の実情に鑑みてなされたもので、多大な工数や費用を要することなく、所定の有害成分の吸収除去処理運転中に発生する中和生成物の結晶化及び粉塵の堆積化を極力防いで処理性能及び処理効率の低下抑制効果を長時間に亘って維持することができるスクラバーを提供することを目的としている。
上記目的を達成するために、本発明に係るスクラバーは、スクラバー本体内に気液接触用の充填層を配備し、この充填層よりも下部のスクラバー本体内に導入された被処理ガスを前記充填層に対し縦断状態に上昇させるとともに、前記スクラバー本体の下部に連通接続したタンクと前記充填層の上部に配設した散水管とに亘り強制循環される前記被処理ガスと逆性を持つ吸収液を前記散水管のノズルから下向きにスプレーさせることに伴う充填層内での気液接触作用により、被処理ガス中の有害成分を吸収し除去処理するように構成されているスクラバーにおいて、前記充填層の下部に、有害成分の吸収除去処理運転中に常時、前記強制循環吸収液の一部を前記充填層の下層部分に向けて上向きにスプレーするノズルを有する散水管を配設していることを特徴としている。
上記のような特徴構成を有する本発明によれば、有害成分の吸収除去処理運転中に充填層の下層部分に向けて吸収液の一部を常時、上向きにスプレーすることにより、有害成分濃度や粉塵の濃度が最も高い状態の被処理ガスが充填層の下層部分を通過するときに多量に発生する塩類等の中和生成物や粉塵を素早く洗い流して中和生成物の結晶化及び粉塵の堆積化を極力防止することができる。したがって、充填材の定期的な取り出し洗浄や交換などの多大な工数や費用を要することなく、塩類等の中和生成物や粉塵の堆積物が多量に発生しこれらが充填層の下層部分に高い密度で付着して起きる目詰まりを防ぐことができて、所定の処理性能及び処理効率を長時間に亘って確実かつ安定よく維持することができる。特に、本発明は、中和生成物の結晶化や粉塵堆積物の発生後にそれらを除去するという事後対策ではなく、所定の処理運転中に吸収液を常時スプレーして中和生成物や粉塵堆積物の発生を根本的に抑制する、いわゆる、事前対策であるので、処理性能及び処理効率の向上効果が高く、充填層の充填材交換などのメンテナンス頻度も非常に少なく、ランニングコストの低減も図ることができるという効果を奏する。
本発明に係るスクラバーにおいて、前記充填層下部に配設された散水管のノズルから充填層の下層部分に向けてスプレーされる強制循環吸収液のスプレー量は、被処理ガスの種類や性状、スクラバーの運転状況に対応して任意に設定すればよいが、所定の目詰まり防止効果及びスクラバー本体内の圧力損失の増大を可及的に抑制することからみて、請求項2に記載のように、充填層上部に配設された散水管のノズルから下向きにスプレーされる有害成分の吸収除去処理に必要かつ十分な強制循環吸収液のスプレー量の約1/4程度に設定することが望ましい。
なお、スクラバー本体は、耐蝕性に優れたFRPやPVC等の樹脂成形品であることが望ましく、この場合、各散水管も同様に耐蝕性に優れた樹脂成形品とすることが望ましい。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は本発明に係るスクラバー全体を概略的に示す縦断正面図である。
図1において、1はFRP製の縦長筒状のスクラバー本体(充填塔)であり、このスクラバー本体1内には、例えばポリプロピレンやポリエチレン等の熱硬化性樹脂製の充填材の多数をランダムに投入してなる気液接触用の充填層2が配備されているとともに、この充填層2の上側に上部空間3が、かつ、下側に下部空間4が画成されている。また、前記スクラバー本体1の上端部には、処理済みガスG1を大気中に排出する排出口5が形成されているとともに、スクラバー本体1の下端部には、例えば塩酸ガスや塩素ガス等の塩素系の被処理ガスGと逆性を持つ、例えば苛性ソーダ水溶液等のガス処理用吸収液6を貯留するFRP製の吸収液循環タンク(以下、循環タンクと称する)7が連通接続され、かつ、この循環タンク7の上端近くのスクラバー本体1の周壁部には、例えば塩酸ガスや塩素ガス等の塩素系の被処理ガスGを前記下部空間4内に導入する被処理ガス導入口8が形成されている。
前記スクラバー本体1内で前記充填層2の上部空間3には、前記ガス処理用吸収液6を下向きにスプレーするノズル9a付きの散水管9が挿入配設されており、この散水管9と前記循環タンク7の底部とが吸収液循環用配管10を介して連通接続され、この吸収液循環用配管10の途中に吸収液強制循環用のポンプ11が介在されている。また、前記スクラバー本体1内で前記充填層2の下部空間4にも、前記ガス処理用吸収液6を前記充填層2の下層部分2Aに向けて上向きにスプレーするノズル12a付きの散水管12が挿入配設されており、この散水管12と前記循環タンク7の底部とが吸収液循環用配管13を介して連通接続され、この吸収液循環用配管13の途中に吸収液強制循環用のポンプ14が介在されている。
また、前記充填層2の上部空間3に挿入配設された散水管9の上部には、洗浄用の清水FWを下向きにスプレーするノズル15aを有する洗浄用散水管15が挿入配設されている。この洗浄用散水管15は有害成分の吸収除去処理運転停止後に洗浄用清水FWをノズル15aから下向きにスプレーするように構成されている一方、上部散水管9と下部散水管12は有害成分の吸収除去処理運転中に常時、前記吸収液6を各ノズル9aと12aからそれぞれ同時にスプレーするように構成されている。
なお、16,17は前記吸収液循環用配管10,13の途中に介在された弁であり、これら弁16,17の開度調整等によって、上下両散水管9,12のノズル9a,12aからのスプレー量は運転状況等に応じて各別に調整可能とされているが、通常一般的には、前記下部散水管12のノズル12aからのスプレー量を、上部散水管9のノズル9aから下向きにスプレーされる有害成分の吸収除去処理に必要かつ十分な強制循環吸収液のスプレー量の約1/4程度に設定することが望ましい。
以上のごとく構成されたスクラバーによれば、焼却炉やボイラー等から排出される塩酸ガスや塩素ガス等の塩素系の被処理ガスGは前記被処理ガス導入口8からスクラバー本体1の下部空間4内に導入されたのち、充填層2を縦断通過するようにスクラバー本体2内を上昇する。一方、循環タンク7内の吸収液6は、ポンプ11,14の作動に伴い循環用配管10,13を経て上下の散水管9,12内に送給されて各ノズル9a,12aから充填層2に向けてスプレーされることになり、これによって、充填層2を縦断通過する被処理ガスGとスプレーされた吸収液6とが充填層2内の広い面積で気液接触して被処理ガスG中に含まれている有毒性ガスなどの有害成分が吸収除去され、処理済みのガスG1はスクラバー本体1の上部空間3を経て上端排出口5から大気中に排出される。
上記のような有害成分の吸収処理運転時において、充填層2の下層部分2Aに向けて吸収液6の一部が常時、スプレーされているため、有害成分濃度や粉塵の濃度が最も高い状態の被処理ガスGが充填層2の下層部分2Aを通過するときに多量に発生する塩類等の中和生成物や粉塵は素早く洗い流されることになる。したがって、充填層2を形成する充填材を定期的に取り出し洗浄したり、交換したりするなどの多大な工数や費用をかけなくても、塩類等の中和生成物が結晶化したり粉塵が堆積化したりしてそれらが充填層2の下層部分2Aに高い密度で付着して起きる目詰まりを極力防止することができ、所定の有害成分除去処理性能及び処理効率を長時間に亘って確実かつ安定よく維持することができる。
なおここで、下部散水管12のノズル12aから上向きにスプレーされる吸収液6のスプレー量は、上部散水管9のノズル9aから下向きにスプレーされる有害成分の吸収除去処理に必要かつ十分な吸収液6のスプレー量の約1/4程度に設定されているので、上、下両散水管9,12からスプレーするものであるにもかかわらず、充填層2の目詰まりによってスクラバー本体1内の圧力損失が増大することを防止しながらも、上述のとおりの処理性能及び処理効率の向上効果を達成することができる。
また、所定の処理運転停止後に、上部散水管9の上部に挿入配設されている洗浄用散水管15のノズル15aから洗浄用清水FWをスプレーして充填層2の全体を洗浄することにより、処理運転中における充填層2の下層部分2Aの目詰まり防止と相俟って、充填材の交換等のメンテナンス頻度を少なくしつつ充填層2の使用寿命を長く確保することができる。
なお、上記実施の形態では、上部散水管9の上部に洗浄用散水管15を挿入配設したものについて説明したが、その洗浄用散水管15は無くてもよい。
本発明に係るスクラバー全体を概略的に示す縦断正面図である。 従来のスクラバー全体を概略的に示す縦断正面図である。
符号の説明
1 スクラバー本体
2 気液接触用の充填層
6 吸収液
7 循環タンク
9 上部散水管
9a ノズル
12 下部散水管
12a ノズル
G 被処理ガス

Claims (2)

  1. スクラバー本体内に気液接触用の充填層を配備し、この充填層よりも下部のスクラバー本体内に導入された被処理ガスを前記充填層に対し縦断状態に上昇させるとともに、前記スクラバー本体の下部に連通接続したタンクと前記充填層の上部に配設した散水管とに亘り強制循環される前記被処理ガスと逆性を持つ吸収液を前記散水管のノズルから下向きにスプレーさせることに伴う充填層内での気液接触作用により、被処理ガス中の有害成分を吸収し除去処理するように構成されているスクラバーにおいて、
    前記充填層の下部に、有害成分の吸収除去処理運転中に常時、前記強制循環吸収液の一部を前記充填層の下層部分に向けて上向きにスプレーするノズルを有する散水管を配設していることを特徴とするスクラバー。
  2. 前記充填層下部に配設された散水管のノズルから充填層の下層部分に向けてスプレーされる強制循環吸収液のスプレー量は、充填層上部に配設された散水管のノズルから下向きにスプレーされる有害成分の吸収除去処理に必要かつ十分な強制循環吸収液のスプレー量の約1/4程度に設定されている請求項1に記載のスクラバー。
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