JP2006266675A - パルス燃焼装置およびその作動方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】円形状の列をなす導管を有するパルス燃焼装置を提供する。
【解決手段】導管30は、上流側入口42から下流側出口43へと延びる壁面をそれぞれ備える。固定された入口端部部材44および出口端部部材45は、導管の列の上流側および下流側にそれぞれ設けられているとともに、気体を導管に流入させる開放領域46および導管から気体を流出させる開放領域47をそれぞれ備える。部材45はノズル構造として機能し、領域47はノズル開口部として機能する。列および部材45は、互いに対して第1の方向506に回転可能である。円周方向に変化するノズル形状をもたらす手段が、部材45に少なくとも部分的に設けられる。手段により、円周方向に変化する効果的なスロート領域がもたらされる。部材45は実質的に固定されて、列が回転する。手段は部材45を貫通する通路を備え、部材45はイグナイタ66をさらに備える。
【選択図】図6

Description

本発明は、パルス燃焼装置に関し、特に、パルス燃焼エンジンに関する。
さまざまなパルス燃焼技術が存在する。パルスデトネーションエンジン(Pulse detonation engine:PDE)は、特定の開発分野を代表する。一般的なPDEにおいては、燃料および酸化剤(例えば、空気などの酸素含有ガス)は、上流側の入口端部において細長い燃焼室に流入することが許容される。空気は、上流の入口バルブを通って導かれ、混合気を生成するように燃料がその下流側に供給される。別法として、バルブを通して燃料/空気混合気を導いてもよい。この充填物が導入されると、バルブが閉じられ、イグナイタにより充填物が爆発する(直接、または爆燃(デフラグレーション)から爆ごう(デトネーション)への移行プロセスを介して)。デトネーション(爆ごう)波が超音速で出口に向かって伝播して、燃料/空気混合物が実質的に出口から排出される前に、燃料/空気混合気が実質的に燃焼する。燃焼の結果、ガスの大部分が慣性によって排出される前に、燃焼室内に急速な圧力上昇が生じる。このような慣性的な閉じこめ作用により、例えば定圧燃焼とは区別されるような定容積燃焼に近似した燃焼が起こりえる。例示的なパルス燃焼エンジンは、特許文献1〜4に記載されている。
さらに、ハイブリッドタービンエンジンにおいてパルス燃焼装置を燃焼器として用いることが提案されている。例えば、この装置が、従来のタービンエンジンの燃焼器に取って変わる可能性もある。そのような提案されたハイブリッドタービンエンジンは、特許文献5および6に記載されている。
米国特許第5,353,588号明細書 米国特許第5,873,240号明細書 米国特許第5,901,550号明細書 米国特許第6,003,301号明細書 米国特許第3,417,564号明細書 米国特許出願公開第2004/0123583A1号明細書
本発明の一つの態様は、燃焼用導管の円形状の列を有するパルス燃焼装置に関する。各導管は、上流側入口から下流側出口へと延びる壁部表面を備える。少なくとも1つのバルブは、推進剤の少なくとも第1のガス成分を燃焼用導管入口に導入するように配置されている。装置は、出口端部部材を備える。列および出口端部部材は、互いに対して少なくとも第1の方向に相対回転可能である。円周方向に変化する効果的なノズル形状をもたらす手段が、出口端部部材に少なくとも部分的に設けられる。
1つまたは複数の実施態様においては、手段により、円周方向に変化する効果的なスロート領域がもたらされる。出口端部部材は実質的に固定されて、列が回転してもよい。別の実施例においては、列が実質的に固定され、出口端部部材が回転してもよい。手段は、出口端部部材を貫通する通路を備えていてもよい。出口端部部材は、イグナイタをさらに備えていてもよい。入口バルブは、出口端部部材に対して回転しない入口端部部材から構成されていてもよい。
図1では、長手方向の中心軸500を有するガスタービンエンジン20が図示されている。例示的なエンジン20は、上流側から下流側に向かって、ファン部22、少なくとも1つの圧縮機部分24、パルス燃焼の燃焼器部分26およびタービン部28を備える。例示的な燃焼器26は、軸500中心に回転するようにエンジンケース32内に取り付けられた長手方向に延びる導管30の円周方向の列(図2参照)を備える(例えば、圧縮機/タービン用スプールまたは独立したフリースプールの一つに取り付けられた回転式構造34上に支持されるか、あるいは構造34上に形成されている)。
例示的な燃焼器の列は、18個の燃焼器用導管30を備える(図には、長手方向に方向づけられた複数のまっすぐな通路および環状の一部の横断面を有するものとして示されている)。円形断面を含む他の断面であってもよく、長手方向でない方向およびまっすぐでない形態であってもよい。回転方向は、符号506で示されている。例示的な通路は、半径方向の壁部40によってつながれた内側壁部36と外側壁部38との間に形成されている。
図6では、定常運転時の例示的な燃焼器26の細部がさらに図示されている。サイクルにおける例示的な地点での導管の位置は、それぞれ30A〜30Rで示されている。例示的な導管30の各々は、上流側入口42および下流側出口43を備える。参照を簡略化するため、導管は、図示された位置に対応する参照数字により表すものとする。固定された入口(上流側)端部部材44および出口(下流側)端部部材45は、導管の列の上流側および下流側にそれぞれ設けられているとともに、気体を導管に流入させる開放領域46および導管から気体を流出させる開放領域47をそれぞれ備える。以下でさらに詳述するように、部材45は、ノズル構造として機能し、その開放領域47は、ノズル開口部として機能する。
図示された時間的な例においては、燃焼生成物のパージ流50の最後の一部分が、開放領域47の第1の端部51における導管30Aの出口43から流出している。バッファガス52のスラグは、パージ流50の直後を流れ、導管30Aの下流側端部に位置している。推進充填物54は、バッファスラグ52の後を流れ、入口42を通る推進充填物流56により運ばれる。例示的な推進流は、気体状の酸化剤(例えば、空気)および燃料(例えば、気体また液体の炭化水素)を含む。例示的なガスタービンエンジンの実施例においては、空気は圧縮機24から供給され、燃料は燃料噴射器(図示せず)から供給されてもよい。
図示された時間的な時点においては、隣接する導管30Bは、下流側部材/ノズル45の遮断部分60に沿った上流側の面58の前を通過して出口がちょうど閉鎖されたところである。閉鎖/閉塞した時点では、一部または全てのバッファスラグ52は、導管の出口から既に流出している。バッファスラグ52は、充填物54が燃焼ガスに接触することで早期点火しないように防いでいる。出口ポートが閉鎖することにより、充填物の圧縮された部分63を残して圧縮波62が充填物54を通って前方/上流側方向510に送られる。
この圧縮プロセスは、導管30Cで概略的に示された位置まで続く。次の位置(例えば、導管3Dで示した位置)においては、導管出口は、点火源66(例えば、部材45におけるスパークイグナイタ)の作用端部64にさらされる。イグナイタ66により、圧縮された充填物63が点火され、デトネーション(爆ごう)が生じるとともに、デトネーション(爆ごう)波68が圧縮波62の後方を追うように前方/上流側に送られる(例えば、導管30D,30Eおよび30Fに示したように)。デトネーション波68の後には、燃焼生成物70が残る。
燃焼器の上流側部材44の主要部の表面80は、圧縮プロセスの大部分の間、導管入口を塞ぐように配置されている。例示的な実施態様においては、表面80(下流側の面)は、圧縮波62が近づいたときに、充填物54が上流側で爆発しないように入口42を塞ぐように配置されている。また、表面80は、その後の高圧力の区間の間に、燃焼生成物が上流側から流出しないように配置されている。表面80の例示的な円周方向の範囲は、40°〜160°(より詳細には、90°〜120°)である。
例示的な燃焼器においては、出口がイグナイタにさらされた後、入口および出口の両方が塞がれる短い区間が導管30D、30Eおよび30Fで示されている。別の実施例の形態では、この区間がなくてもよい。その直後(例えば、導管30Gで示したように)、導管出口は、開放領域47の第2の端部82において面58から離れて、導管出口が開放される。次いで、高圧力燃焼ガスのブローダウンフロー84が、導管出口から流出する。このブローダウンの区間は、(例えば、導管30G,30H,30I,30Jおよび30Kまで)続く。
ブローダウン区間の後、入口バッファフロー90により燃焼ガス70の上流側にバッファスラグ52が生じるバッファ充填区間が続く。例示的なバッファフロー90は、燃料が混合されていない空気であってもよい。例示的な燃焼器においては、このバッファフロー90は、上流側部材44の細いセグメント92によって流れ56から隔てられている(これにより、バッファフロー90が通過するポートを画定する)。別の実施例の形態は、そのようなセグメント92を備えず、バッファフロー90を比較的燃料が混合されていない状態に保つように配置された噴射器に依存してもよい。その後、いくつかのさらなる段階(例えば、導管30M,30N,30O,30P,30Q,30Rと続き、30A,30B,30Cへと戻る)を経て、導管は推進剤で再装填される。
図3〜図5では、下流側部材45の細部をさらに図示している。例示的な概略図においては、下流側部材45は、概ね半径方向に延びている下流側面100を有する。上流側面58から下流側面100に向かって、開放領域47により、収縮(流れの縮小)部102、スロート部104および拡散(流れの拡張)部106を有する収縮―拡散ノズル(図4参照)が画定される。例示的な収縮部102は、円周方向に細長い上流側チャネルの内側面部分107および外側面部分108によって特徴づけられる。中央の長手方向の部分から見ると、例示的な部分107,108は、まっすぐであり、かつ互いに向かって下流方向に収束している。同様に、例示的な拡散部106は、円周方向に細長い下流側チャネルの内側面部分110および外側面部分112によって特徴づけられる。中央の長手方向の部分から見ると、例示的な部分110,112は、まっすぐであり、かつ互いから離れて下流方向に拡散している。部分的に凸状のスロート移行部分により、面107が面112に、かつ面108が面110に連結される。他のノズル形状(例えば、湾曲した面または他の外形状をなす面)であってもよい。
本発明によると、効果的なノズル特性は、円周方向で異なっていてもよい。例示的な実施例においては、スロートの半径方向のスパン△RTを変えることにより、効果的なスロート領域を変えることができる。出口の半径方向のスパン△REを変えることにより、効果的な出口領域を変えることができる。面110と面112との間の長手方向/半径方向の角度θEを変えることにより、効果的な出口角度を変えることができる。同様に収縮部102の特性を制御することができる。他のパラメータを変えてもよい。例示的なノズルにおいては、半径方向のスパン△RTは、回転方向506(例えば、第2の端部82付近から第1の端部51付近)に向かうにしたがって減少する。変化は、段階的であっても、円滑に連続的であってもよい。閉鎖領域から残りの排出サイクルの間一定であるノズル領域へと通過する導管の技術的に付随する過渡的な変化と比べ、変化は、より広い円周方向のスパンに亘って生じる。変化は、サイクルの主要部分(例えば、1回転で1サイクルの形態では少なくとも180°)に亘って生じる場合がある。より広くには、変化は、サイクルの1/3からサイクル全体の領域に亘って生じる場合もある。図7では、導管出口の閉鎖を効果的に排除しているノズル200におけるサイクル全体の変化が示されている。ノズル拡散部204における分割壁部202により、低圧力でパージしている隣接の管に高圧力の排気生成物が逆流しないように遮断されている。
定常状態の運転においては、回転は、(例えば、導管の僅かな接線方向からの)空力的な要素により駆動されてもよい。起動時では、エンジンスプールの回転は、従来の駆動方法(例えば、空圧駆動、電気駆動またはスタータカートリッジ)により開始されてもよい。例示的な燃焼器の作動は、セルフタイミング(自動時間調節)型の傾向にある。しかし、
付加的なタイミング制御を設けてもよい。例えば、上流側部材44および下流側部材45の相対的な位相を変えるような手段を設けても良い(例えば、軸500を中心に前記部材の方向的な位相を移動させることにより)。別の実施例においては、これらの部材の特性を個々に変える手段を設けてもよい。例えば、下流側部材45に複数の開放領域を備えていてもよいし、単一の通路が、個々にまたは一緒に選択的に開閉する複数の出口や入口を備えていてもよい。同様に、燃料を含有するフロー56および燃料を含有しないフロー90の円周方向の範囲ならびに位置のように、上流側部材44によりもたらされた遮断部分の円周方向の範囲を調節可能にしてもよい。
別の実施例においては、導管の列を固定し、少なくとも下流側部材を回転させてもよい。下流側部材と同時に回転する上流側部材は、図6で前述したものと同様に作動する。しかし、上流側部材と導管との間のバルブ作用は、各導管の入口端部における別個のバルブで容易に置き換えることができる。そのような別個のバルブは、燃焼プロセスのタイミング制御においてより優れた柔軟性をもたらす。
本発明の1つまたは複数の実施例の説明がなされた。しかし、本発明の精神および範囲から逸脱することなく種々の変更がなされることを理解されたい。例えば、図示された基本的な構造であっても、性能に影響するように多くのパラメータを用いてもよい。したがって、他の実施例は添付の特許請求の範囲の範囲内にある。
ガスタービンエンジンの概略的な側面図。 図1の線2−2で切断したエンジンの燃焼器の断面図。 図1の線3−3で切断したエンジンの燃焼器の断面図。 図2の線4−4で切断した燃焼器の導管の列およびノズルの長手方向の断面図。 図2の線5−5で切断した燃焼器の導管の列およびノズルの長手方向の断面図。 ケースを外した状態で図1のエンジンの燃焼器を部分的に概略的に示した長手方向の周縁断面図。 別実施例のノズルの後面図。

Claims (20)

  1. 上流側入口から下流側出口へと延びる壁面をそれぞれ備える燃焼導管の円形状の列と、
    前記燃焼導管入口に少なくとも第1の気体を導入するように配置された少なくとも1つの入口バルブと、
    円周方向に変化する幾何学形状を有するノズルを形成する出口端部部材と、
    を備え、
    前記列および前記出口端部部材が、互いに対して少なくとも第1の方向に相対回転可能であることを特徴とするパルス燃焼装置。
  2. 前記円周方向に変化する幾何学形状が、円周方向に変化する半径方向のスパンを有するスロートを備えることを特徴とする請求項1に記載のパルス燃焼装置。
  3. 前記円周方向に変化する幾何学形状が、拡散状に円周方向に変化する特有の角度を有する拡張面を備えることを特徴とする請求項1に記載のパルス燃焼装置。
  4. 前記円周方向に変化する幾何学形状が、出口の半径方向スパンとスロートの半径方向スパンとの比が円周方向に変化する拡張面を備えることを特徴とする請求項1に記載のパルス燃焼装置。
  5. 前記円周方向に変化する幾何学形状が、入口の半径方向スパンとスロートの半径方向スパンとの比が円周方向に変化する拡張面を備えることを特徴とする請求項1に記載のパルス燃焼装置。
  6. 前記円周方向に変化する幾何学形状が、円周方向に変化する半径方向のスパンを有する出口を備えることを特徴とする請求項1に記載のパルス燃焼装置。
  7. 前記出口端部部材が、30°から120°に亘る少なくとも1つの閉鎖領域を備え、前記半径方向に変化する幾何学形状が、残りの領域に沿って段階的ないしは連続的に変化することを特徴とする請求項1に記載のパルス燃焼装置。
  8. 前記円周方向に変化する幾何学形状が、サイクルの1/3からサイクル全体の間に相当する領域に沿って変化することを特徴とする請求項1に記載のパルス燃焼装置。
  9. 前記導管が、前記装置の長手方向の中心軸を中心に円形状に整列していることを特徴とする請求項1に記載のパルス燃焼装置。
  10. 10個から50個の前記導管を備えることを特徴とする請求項1に記載のパルス燃焼装置。
  11. 15個から25個の前記導管を備えることを特徴とする請求項1に記載のパルス燃焼装置。
  12. 上流側入口から下流側出口へとそれぞれ延びる燃焼導管の円形状の列と、
    推進剤の少なくとも第1の気体成分を前記燃焼導管入口に導入するように配置された少なくとも1つの入口バルブと、
    出口端部部材と、
    少なくとも部分的に前記出口端部部材に位置する円周方向に変化する効果的なノズル幾何学形状をもたらす手段と、
    を備え、
    前記列および前記出口端部部材が、互いに対して少なくとも第1の方向に相対回転可能であることを特徴とする請求項1に記載のパルス燃焼装置。
  13. 前記手段が、円周方向に変化する効果的なスロート領域をもたらすことを特徴とする請求項12に記載のパルス燃焼装置。
  14. 前記出口端部部材が実質的に固定され、前記列が回転することを特徴とする請求項12に記載のパルス燃焼装置。
  15. 前記列が実質的に固定され、前記出口端部部材が回転することを特徴とする請求項12に記載のパルス燃焼装置。
  16. 前記手段が、前記出口端部部材を貫通する通路を備えることを特徴とする請求項12に記載のパルス燃焼装置。
  17. 前記出口端部部材が、イグナイタをさらに備えることを特徴とする請求項12に記載のパルス燃焼装置。
  18. タービンエンジンの燃焼器として用いられる請求項12に記載のパルス燃焼装置。
  19. 上流側入口および下流側出口をそれぞれ備えた複数の燃焼導管を有するパルス燃焼装置を作動させる方法であって、
    ユニットとして前記複数の燃焼導管を回転させるステップと、
    周期的に導管入口を通して各導管に燃料/酸化剤混合気を導入するステップと、
    周期的にそのような導管の出口から前記混合気の燃焼生成物を排出するステップと、
    を含み、
    前記排出ステップの間、前記生成物が、円周方向に変化する特性を有するノズルを通ることを特徴とするパルス燃焼装置作動方法。
  20. 前記円周方向に変化する特性が、効果的なスロート領域を含むことを特徴とする請求項19に記載の作動方法。
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