JP2006262740A - 細胞定着増殖基材 - Google Patents

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Abstract

【課題】 細胞を利用した種々の検査、及び細胞の単離、増殖、分化のために好適な細胞定着増殖基材を開発する。
【解決手段】 ガラス又は樹脂製の基礎部材の表面にSH基と反応する金属の被膜を形成する。SH基と反応する金属被膜の上には、アルカンチオール被膜を容易に形成することができ、これにより細胞の付着、増殖に好適な表面が形成される。基礎部材の表面と、SH基と反応する金属の被膜の間にコンタクト・メタル被膜を形成すると、基礎部材及び各被膜の間の密着強度が優れたものとなる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、細胞を利用した種々の検査、及び細胞の単離、増殖、分化のために好適な細胞定着増殖基材に関する。
従来、細胞に対する種々の検査及び細胞を利用した毒性、薬剤感応性、薬物汚性などの評価(細胞アレイ技術)のための基材としては、いわゆるウエルプレートがある。多数のウエル(穴)を有するウエルプレートの各ウエルに細胞などの被検物を入れ、さらに薬液などをウエル内に注入して被検物がどのような挙動を示すかを検査することが行われている。このような用途に供するウエルプレートとしては、例えば特開平10−221243号(特許文献1)に開示されている。これは、18cm×12cm程度のプレートに、直径7.5mm程度のウエルを96個程度設けたものである。このウエルには機械的操作で細胞などの被検物を入れ、さらに機械的操作で薬液などを注入する。
一方、再生医療、細胞の生物医学研究では、増殖、分化能力の高い細胞(幹細胞、前駆細胞など)を単離、増殖、分化させるための材料、技術が必要である。このような細胞に関する研究は数多く行われてきている。その中で、細胞が直接に接着する材料表面の性状が細胞の挙動に大きく影響することが分かっている。
特開平10−221243号公報
これまでの細胞アレイは、プラスチック又はガラス製の基材にウエルを形成し、その中に細胞を入れ、細胞を定着、増殖させる。その後、薬剤などをウエルに加え、細胞の応答を見るという方法である。ところが、基材表面が細胞の定着、増殖に対して適切ではない場合が多く、しばしば細胞が基材から離脱したり、増殖が悪いことがある。このようなとき、高く安定した検査効率を得ることができない。一方、細胞の応答の評価方法としては、DNAアレイにこれまで用いられてきた発色法が利用されている。しかしながら、検出対象がDNAやタンパク質であればこの発色法で良いが、細胞の場合には色の変化に加えて、細胞の形態変化、細胞内における物質の分布などの観察が加えて必要になる。この観察を可能とする材料、技術はこれまでにない。
一般に細胞の増殖、分化は、細胞が接着する基材表面の状態が大きく影響を与えることが分かっている。そのため、細胞の接着、増殖を促すことを目的とした基材表面の改質方法が多く研究されている。表面改質法には化学結合法と物理吸着法(コーティング法)とがある。前者は操作が煩雑であり、また、化学反応が困難な基材表面があり、強烈な化学反応が基材表面に大きな物質的ダメージを与えることも多い。後者は使用条件によってはコーティング層がはがれるという問題点があった。そこで、簡便な操作で、しかも安定な表面改質層のできる技術が望まれていた。
本発明者らが鋭意検討を行った結果、基材表面にSH基と反応する金属の被膜を形成した後、SH化合物で処理することによって、簡便な操作で、安定な表面改質ができ、その基材が細胞の接着、増殖、分化に適していること、さらに、金属の被膜の厚みをコントロールすることによって、細胞の状態が観察できることを見出し、本発明を完成させた。
(構成1)
本発明は、ガラス又は樹脂製の基礎部材の表面にSH基と反応する金属の被膜を形成したことを特徴とする細胞定着増殖基材である。
(構成2)
また本発明は、ガラス又は樹脂製の基礎部材の表面にコンタクト・メタルの被膜を形成し、さらにその表面にSH基と反応する金属の被膜を形成したことを特徴とする細胞定着増殖基材である。
(構成3)
また本発明は、前記構成1の細胞定着増殖基材において、前記SH基と反応する金属の被膜の厚さが10〜70nmであることを特徴とする細胞定着増殖基材である。
(構成4)
また本発明は、前記構成2の細胞定着増殖基材において、前記コンタクト・メタルとSH基と反応する金属の被膜の厚さの合計が10〜70nmであることを特徴とする細胞定着増殖基材である。
(構成5)
また本発明は、前記構成1〜4のいずれかの細胞定着増殖基材において、前記SH基と反応する金属が金であることを特徴とする細胞定着増殖基材である。
(構成6)
また本発明は、前記構成1〜5のいずれかの細胞定着増殖基材において、前記基礎部材が板状、シート状、粒子状、繊維状又はチューブ状であることを特徴とする細胞定着増殖基材である。
(構成7)
また本発明は、前記構成1〜6のいずれかの細胞定着増殖基材において、前記SH基と反応する金属の被膜の上に更にアルカンチオール被膜を形成したことを特徴とする細胞定着増殖基材である。
本発明において、細胞とは、正常細胞、癌細胞、遺伝子により改変された細胞、幹細胞、前駆細胞、2種類以上の細胞の融合細胞などありとあらゆる種々の細胞を含む。また、単独の細胞はもちろん、細胞が集まった細胞のシート及び細胞の集合、凝集体及び細菌、原生動物などの微生物も含むものである。
基材の素材はガラス又はプラスチック製であるので、金属被膜が強固に付着する。ガラスはソーダ石灰ガラスなど、どのようなガラスでも良い。プラスチックはポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネートなど任意である。顕微鏡で観察可能な透明なものであれば、基材の大きさ及び形状も任意である。基材の形状は、例えば、板状、シート状、粒子状、チューブ状などとすることができる。
金属の被膜の形成は、スパッタリングにより行うことができる。SH基と反応する金属の被膜は、基材の表面に直接形成しても良いし、他の金属被膜(コンタクト・メタル:例えばクロム、ニッケル、チタンなど)を形成した後、その上に形成しても良い。コンタクト・メタルの被膜を形成し、その上にSH基と反応する金属被膜を形成すると、SH基と反応する金属被膜の密着強度をさらに向上させることができる。金属被膜の厚さは合計で10〜70nmが適当である。10nm未満であれば、金属の被膜強度が弱く、細胞を用いた検出操作中あるいは細胞の増殖途中に剥離する傾向がある。また、70nm(コンタクト・メタル厚さ+SH基と反応する金属被膜厚さ)を超えると、光の透過が著しく落ち、顕微鏡による細胞の観察が不可能になる。本発明では、SH基と反応する性質をもつ金属であれば被膜形成に利用することができる。SH基と反応する金属としては、例えば金、銀、プラチナ、Feなどがある。
表面にSH基と反応する金属の被膜を形成した基材は、その被膜の表面に細胞が付着する処理被膜を形成して使用する。処理被膜の形成は、処理液に基材を浸漬したり、処理液を被膜に吹き付けたり、要は、SH基と反応する金属被膜に処理液を接触させればよい。処理液としては、例えばアルカンチオールなどのSH基と反応する金属及び細胞と結合しやすい物質の溶液を用いる。予めSH基と反応する金属の被膜の上にアルカンチオール被膜を形成しておけば、そのまま使用することができる。
アルカンチオールとは、末端にSH基をもち、間にCH2基が続き、他方の末端にCH3やNH2などの様々な官能基をもつ化合物のことであり、HS-(CH2)n-Xと示せる(Xは官能基)。金などとアルカンチオールのSH基が反応し、S-Au結合をつくる(図1)。反応式は推測されているが、正確な化学反応式はわかっていない。アルカンチオールをエタノールに溶解した処理液を金被膜に塗布し、又は基材を浸漬するだけで、金の被膜表面にアルカンチオールが自己組織化し(図1)、アルカンチオール被膜が形成される。
アルカンチオールの末端のOH、CH3、NH2、COOHなどの官能基の種類により、アルカンチオール被膜の表面性質が異なるが、いずれの場合も、これらの官能基に細胞などの被検体が付着しやすくなる。例えば、アルカンチオールの末端の官能基がOHならば、基材の表面は、親水性になる。できた基材に細胞を播種すると、細胞は様々な挙動を示す。しかし、細胞が直接アルカンチオールの末端の官能基と反応しているのではなく、以下のように考えられる。細胞を播種するときには、細胞以外に細胞を培養するために必要な培養液を用いる。そのなかには、細胞が接着、増殖するために必要な様々な物質が含まれている。細胞が接着するときに重要な役割を果たすと言われているタンパク質であるVitronectinやFibronecctinも含まれている。これらのタンパク質には、Arg-Gly-Asp(RGD)のアミノ酸配列をもち、細胞の表面に存在するインテグリンと相互作用することができる。基材の性質が異なると、基材に吸着するこれらのタンパク質の種類と量が異なり、細胞の接着が異なる。これをまとめると、図2のようになる。しかし、アルカンチオールは数nm、細胞は数10μmなので、縮尺は異なる。
処理被膜を形成する物質としては、アルカンチオールの他に、化合物の片末端にSH基を持ち、もう一方の末端には細胞接着活性をもつ成分が結合しているものも用いることができる。細胞接着活性成分としては、例えば、フィブロネクチン、ビトロネクチンなどの細胞接着活性をもつタンパク質、糖タンパク質、あるいはペプチドなどの生理活性物質、あるいは細胞接着活性をもつアミノ酸配列をもつペプチド、細胞増殖因子、サイトカイン、モノカイン、ケモカイン、核酸物質、あるいは細胞親和性をもつ脂肪酸、脂質、糖脂質、リン脂質など、ハイドロキシアパタイト、3リン酸カルシウムなどのセラミックス、チタンなどの金属、セラミックス、金属からなるマイクロ、ナノサイズの粒子など、あるいはそれらの混合物などからなる物質である。SH基末端と細胞接着成分とは直接に結合されていてもよく、その間に分子鎖長の異なる有機物質、セラミックス、金属などがスペーサのように介在していてもよい。
本発明を用いることによって、ウエルを作製することなく、基材表面にウエルの底面と同じ面積に金などの被膜を形成し、SH化合物処理を行うことで、細胞がその部分のみに接着、増殖し、細胞アレイとして利用することが可能である。その際、従来の発色法による特定タンパク質、遺伝子発現の検出に加えて、細胞の形態変化、及び細胞内での特定タンパク質、遺伝子の分布も観察できる。本発明の細胞定着増殖基材は、再生医療及び生物医学の基礎研究を目的とした幹細胞の増殖、分化に対しても利用でき、表面改質が細胞の増殖、分化に与える影響を調べる研究開発に必要不可欠な材料作製技術となる。基材の形状は特に限定されるものではなく、シート状、粒状、繊維状など、種々の形状とすることができる。細胞は基材表面に接着、増殖、分化する。そのため、基材の体積当たりの表面積(比表面積)の大きなことが望ましい。そこで、シート状に比べて、粒状、繊維状の基材は、細胞増殖には有利である。シート状基材を用いた2次元培養だけではなく、粒子状、繊維状基材を利用した3次元培養のための基材の表面改質にも本発明は適用できる。
〔実施例1〕
直径15mm、厚さ0.5mmの円形のPETシートの基材表面全体に、スパッタリングにより厚さ50nmの金被膜を形成した。
次に、以下に示すように、金被膜の上にアルカンチオール被膜を形成した。無水エタノール(和光純薬工業株式会社、大阪)をモリキュラーシーブ(Molecular Sieves 4A1/8、和光純薬工業株式会社)で一晩以上脱水した。3回窒素(京都帝酸、京都)置換したグローブボックス(HGB-800、NIKKO、大阪)内で、脱水したエタノールを用いて20 mMの各アルカンチオール溶液を作製した。用いたアルカンチオールは、(イ)11-Amino-1-undecanethiol(東京化成株式会社 東京)、(ロ)11-Mercapto-1-undecanol(Sigma-Aldrich Co., St.Louis, MO. USA)、(ハ)11-Mercaptoundecanoic acid(Sigma-Aldrich Co.)、(ニ)1-Undecanethiol(同仁堂研究所、熊本)である。さらに脱水したエタノールで1 mMまで希釈し、混合した各アルカンチオール溶液(組成は(ロ):(イ)=100:0、75:25、50:50、25:75、0:100、(ロ):(ハ)=100:0、75:25、50:50、25:75、0:100、(ロ):(ニ)=100:0、75:25、50:50、25:75、0:100(いずれもmol%比率))に、金被膜を形成したPETシートを浸漬させた。24時間後、脱水したエタノールで洗浄して金被膜以外に付着しているアルカンチオールを落とし、乾燥させ、金被膜表面にアルカンチオールを自己組織化させた基材を得た。この間、金がはがれることはなかった。用いたアルカンチオールの化学式は次の通りである。
(イ) 11-Amino-1-undecanethiol HS-(CH2)11-NH2
(ロ) 11-Mercapto-1-undecanol HS-(CH2)11-OH
(ハ) 11-Mercaptoundecanoic acid HS-(CH2)11-COOH
(ニ) 1-Undecanethiol HS-(CH2)10-CH3
上記のアルカンチオールを自己組織化した基材上にヒト脂肪前駆細胞を播種した。ヒト脂肪前駆細胞は、乳がんの患者から同意のもとに京都大学病院からヒト脂肪組織をもらい、5 mlの脂肪組織をリン酸緩衝食塩水(PBS、日水製薬株式会社、東京)で洗浄し、ハサミで細切し、5 mlの520 IU/mlコラゲナーゼ(新田ゼラチン株式会社、大阪)溶液を加え、37℃15分、100 min-1の早さで振とう(Water bath shaker、PERSONAL-11、Taitec)することにより、組織を酵素処理した。10(v/v%)ウシ胎児血清(FCS、Hyclone、Loagan、UT、USA)と20 mMのethylenediaminetetraacetic acid(EDTA)を含むMedium 199(Sigma-Aldrich Co.)10 mlで酵素活性を停止し、ナイロンメッシュ(7-XX、日本理化学機械、東京)で濾過し、遠心(1,000 rpm、4℃、5分)した。10(v/v%)FCSを含むMedium199で洗浄した後、培養用フラスコ(Culture flask、430720、Corning Co.、NY、USA)に播種し、37℃、5%CO2の状態を保つインキュベータ(Napco series 5400 CO2 incubator、和光純薬工業株式会社)内で培養した。
増えた細胞は、7 mM EDTAを含む0.25%トリプシン溶液で培養用フラスコから脱着した。アルカンチオールを自己組織化させた基材は、70%エタノール中で1時間以上滅菌し、PBSで2回洗浄し、24 wellプレート(IWAKI Multiple well plate 1820-024、旭テクノグラス株式会社、東京)に移した。そこに細胞を1×104 cells/cm2になるよう脱着した細胞懸濁液を500 ml播種した。24時間インキュベータで培養し、位相差顕微鏡(IX-70、OLYMPAS社、東京)で観察した。最長30日間アルカンチオール基材上で細胞を培養したが、PETシートから金がはがれることはなかった。また、細胞は基材表面で良好に付着、増殖していた。また、細胞の増殖挙動、形態を固定することなく、生きた状態で観察することが可能であった。
〔実施例2〕
異なるアルカンチオールを自己組織化させた基材上で、ヒト脂肪前駆細胞の増殖を調べた。1 mg/ml濃度の 塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF、科研製薬株式会社、東京)を含むMedium 199にて培養したヒト脂肪前駆細胞を基材上に1×104 cells/cmで播種した。9日間増殖させた。増殖細胞の数はDNA assay法にて定量した。図3は細胞数を定量したグラフである。縦軸は培養9日後に基材上で増殖した細胞数を示す。横軸は基材表面を化学修飾する時に用いたアルカンチオールの末端官能基(OH、COOH、NH2、CH3)の割合を示す。この割合は基材表面の官能基の存在割合を示す。官能基の混合割合はOH:COOH、OH:NH2、OH:CH3の3種類である。横軸の0の位置は表面が100%OH基でカバーされていることをしめす。COOHやNH2をもつ表面において細胞がよりよく増殖していることがわかる。この結果は、アルカンチオールの種類によって、細胞の増殖を変えることができることを示している。
〔実施例3〕
実施例2で用いた種々の基材上で、ヒト脂肪前駆細胞の脂肪細胞への分化について調べた。1 mg/mlのbFGF存在下で培養した細胞を基材上に1×104 cells/cmで播種した。5日間増殖させた後、分化誘導培地にて細胞を分化させた。DME/Ham’s F12培地に0.05 mM insulin、0.2 nM 3,5,3’-triiodothyronine、100 nM transferrin、17 mM calcium pantotenate、33 mM biotin、100 nM dexamethasoneを加えることで、脂肪分化培地を調製した。細胞の脂肪分化は、グリセロール3−リン酸脱水素酵素(GPDH)活性を測定することにより評価した。このGPDH活性が高いほど脂肪細胞への分化の程度が大きいことを示している。図4は細胞を脂肪細胞へ分化誘導したときの結果である。縦軸は分化誘導15日後に基材上に存在した細胞がもっていたGPDH活性を示す。COOHをもつ表面においてGPDH活性が高くなっていることがわかる。このことは、アルカンチオールの種類によって、細胞の分化を変化させることができることを示している。
〔比較例1〕
金被膜の厚みが8nmである以外は、実施例1と同様の検討を行った。ヒト脂肪由来前駆細胞を培養したところ、細胞の増殖状態も実施例1に比べて悪く、培養途中で細胞が離脱してしまった。これは金被膜の強度が弱く、アルカンチオールの剥離と共に細胞が脱離したことが原因であると考えられる。
〔比較例2〕
金被膜の厚みが80nmである以外は、実施例1と同様の検討を行った。ヒト脂肪由来前駆細胞は、実施例1と同様の時間経過で増殖した。しかしながら、PETシートは光透過性がなく、培養中における細胞の光学顕微鏡観察は全く不可能であった。
金被膜の上に形成したアルカンチオール被膜の説明図である。 金被膜の上に形成したアルカンチオール被膜に細胞が付着する説明図である。 種々のアルカンチオールを自己組織化させた基材上での脂肪前駆細胞の増殖の説明図である。 種々のアルカンチオールを自己組織化させた基材上での脂肪前駆細胞の脂肪細胞への分化の説明図である。

Claims (7)

  1. ガラス又は樹脂製の基礎部材の表面にSH基と反応する金属の被膜を形成したことを特徴とする細胞定着増殖基材。
  2. ガラス又は樹脂製の基礎部材の表面にコンタクト・メタルの被膜を形成し、さらにその表面にSH基と反応する金属の被膜を形成したことを特徴とする細胞定着増殖基材。
  3. 請求項1の細胞定着増殖基材において、前記SH基と反応する金属の被膜の厚さが10〜70nmであることを特徴とする細胞定着増殖基材。
  4. 請求項2の細胞定着増殖基材において、前記コンタクト・メタルとSH基と反応する金属の被膜の厚さの合計が10〜70nmであることを特徴とする細胞定着増殖基材。
  5. 請求項1〜4のいずれかの細胞定着増殖基材において、前記SH基と反応する金属が金であることを特徴とする細胞定着増殖基材。
  6. 請求項1〜5のいずれかの細胞定着増殖基材において、前記基礎部材が板状、シート状、粒子状、繊維状又はチューブ状であることを特徴とする細胞定着増殖基材。
  7. 請求項1〜6のいずれかの細胞定着増殖基材において、前記SH基と反応する金属の被膜の上に更にアルカンチオール被膜を形成したことを特徴とする細胞定着増殖基材。
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