JP2006252172A - 設備位置・状態監視装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 設備を構成するユニットの位置をリアルタイムで取得でき、またその位置においてユニットが受ける荷重や負荷状態等、ユニットの状態を把握することも容易に可能であり、しかも構成が簡単な設備位置・状態監視装置を提供する。
【解決手段】 複数の可動ユニット1,2に係る各種状態データを設備コントローラ3から通信回線2を介してリアルタイムで取得する状態データ取得手段と、ユニット1,2の位置及び状態データ相互の関連を表した関数や荷重演算に必要な定数等の情報が記述されたユニット構成テーブル12eを有する処理手段12とを設ける。処理手段12は、ユニット構成テーブル12e及び状態データ取得手段により取得された状態データ(状態テーブルT1)を用いてユニット1,2の位置、状態を演算処理のみで取得する。取得した位置、状態を画像表示装置13で可視化表示し、それらを簡単、明確に把握可能とした。
【選択図】 図5

Description

本発明は、設備を構成する複数のユニットの位置・状態を監視する設備位置・状態監視装置に関するものである。
複数のユニットによって設備が構成されている場合、各ユニット(ユニット内の機械要素を含む。以下同じ。)の位置・状態を監視することは、各ユニットが指令通り制御されているか否か等を知る上で、特にそれらユニットの異常を知り、あるいは予知する上で重要である。設備が生産設備である場合には、加工品や生産品に不良を出さないために、特に重要である。
そこで、ある対象物の位置を特定したり、変位を計測するための技術が必要となるが、これに関しては、従来から、カメラ等の撮像装置により得られた画像情報に基づいて対象物の位置等を取得する発明が提案されていた(特許文献1,2等)。
また、生産設備からその構成要素の位置情報を示すデータを取得する発明も提案されていた(特許文献3)。
特開平8−254409号公報 特開平11−173839号公報 特開平6−344292号公報
しかしながら特許文献1,2に記載の発明では、設備の基本構成とは別に、画像データを取得するためのカメラ等の撮像装置が必要であった。また、3次元的な動作解析を行うためには複数のカメラを設置する必要があったり、対象物にマーカを固定する必要があり、更に、カメラ等に写らない部分や照明されていない位置は計測できなかったりする等の問題があった。また画像データを取り扱うため、データ量が膨大となり、演算処理に時間がかかったり、高性能な演算処理装置を必要とする等の問題もあり、実用的でなかった。更に、これらは位置情報を算出するだけであり、その位置における対象物の状態、例えば圧力や温度、あるいは荷重等を把握することは不可能であった。
また特許文献3に記載の発明では、複数の構成要素(ユニット)によって構成された生産設備でその構成要素の各々の位置をリアルタイムで取得することは困難であった。また、位置情報の他に、設備のユニット(機械要素)の状態、例えば圧力や温度、あるいは荷重等を把握することは不可能であった。
本発明は、上記のような撮像装置・画像データを用いることなく、またリアルタイムで設備を構成するユニットの位置を取得でき、更に位置の他に、その位置におけるユニットの圧力や温度等の状態を把握することも可能な設備位置・状態監視装置を提供することを目的とする。
また本発明は、取得した位置情報を用いてその位置におけるユニットの荷重が所定の範囲内にあるか否かを判定し、安全なユニット動作、ひいては設備の運転を可能とした設備位置・状態監視装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、特許請求の範囲の請求項1に記載の設備位置・状態監視装置は、設備を構成する複数のユニットの状態データを、前記設備を制御する設備コントローラから通信回線を介して取得する状態データ取得手段と、前記ユニットの位置と状態データとの関連を表した関数を含む情報が記述されたユニット構成テーブルと前記状態データ取得手段により取得された状態データとを用いて前記ユニットの位置及び状態を演算により取得する処理手段とを具備することを特徴とする。
特許請求の範囲の請求項2に記載の発明は、前記請求項1に記載の発明において、前記ユニット構成テーブルには各ユニットについてその位置の基準となるユニット名称が記述され、前記処理手段は、前記複数のユニットの各位置を、前記ユニット構成テーブルを参照して再帰的に演算を行って取得することを特徴とする。
特許請求の範囲の請求項3に記載の発明は、前記請求項1又は2に記載の発明において、前記処理手段は、演算により取得したユニットの位置情報からそのユニットの速度及び加速度を演算し、予め記憶しておいた前記ユニットの質量及び荷重上限値中の質量と前記加速度からユニット荷重を演算し、そのユニット荷重が前記荷重上限値以下か否かを比較演算し、少なくともこの比較演算を含む演算結果を出力可能であることを特徴とする。
特許請求の範囲の請求項4に記載の発明は、前記請求項1乃至3のいずれかに記載の発明において、前記処理手段が出力した演算結果を画像化して表示する画像表示装置を備えることを特徴とする。
特許請求の範囲の請求項1に記載の発明は、撮像装置・画像データを用いることなく、つまり簡単な構成で、またリアルタイムで、設備を構成するユニットの位置を取得でき、更に位置の他に、その位置におけるユニットの圧力や温度等の状態を把握することも可能な設備位置・状態監視装置を提供できる。
また、特許請求の範囲の請求項2に記載の発明によれば、状態データ中にユニットの位置を直接表す情報がない場合、あるいは省略した場合でも、そのユニット実動作位置を算出可能な設備位置・状態監視装置を提供できる。
更に、特許請求の範囲の請求項3に記載の発明によれば、取得した位置情報を用いてその位置におけるユニットの荷重が所定の範囲内にあるか否かを判定し、安全なユニット動作、ひいては設備の運転を可能とした設備位置・状態監視装置を提供できる。この発明は、特にリアルタイムで位置情報を処理し、荷重が所定の範囲内にあるか否かを判定することにより、大なる効果を発揮できる。
また、特許請求の範囲の請求項4に記載の発明によれば、処理手段の演算結果を画像化して表示するので、演算結果に係るユニット位置及びその軌跡、あるいはユニットが受ける荷重、負荷状態等を簡単かつ明瞭に把握できるようになる。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。なお、各図間において、同一符号は同一又は相当部分を示す。
図1は、本発明による設備位置・状態監視装置の一実施形態を説明するためのブロック図である。
図示するように設備位置・状態監視装置1は、LAN回線やシリアル回線等の通信回線2を介して設備コントローラ3に接続されている。
設備コントローラ3は、生産設備等の設備4を制御、具体的には設備4を構成する複数の異なる動作部位(ユニット構成)41…の各々に指令やデータ等の信号を送って各動作部位41を制御する装置である。
ここで各動作部位41は、各種アクチュエータ、例えばサーボモータやシリンダ、あるいは電磁ソレノイドバルブ等によって駆動(移動、回転等)され、また、各動作部位41には、その動作位置を検出する位置センサ、例えばリミットスイッチ、エンコーダ等や、トルク、温度あるいは圧力等を検出するセンサが付設されている。図1には、アクチュエータ5としてサーボモータ及びシリンダが、センサ6としてリミットスイッチ(LS)、エンコーダ、トルクセンサ及び温度センサを例示しているが、これらのみに限らない。
設備コントローラ3が、PLC(プログラマブル・ロジック・コントローラ)やモーションコントローラ等を備えてなる場合は、各動作部位41のアクチュエータ5の動作指令や各種センサ6からの情報はこれらPLCやモーションコントローラ等に取り込まれ、演算され、各動作部位41を制御している。
各動作部位41は、複数〔n+1台(nは正の整数)〕のユニットU0,U1〜Unで構成されている。
ユニットU0は、固定(不動)状態にあるユニット、つまり位置についての絶対基準ユニットである。ユニットU1〜Unは、ユニットU0の下位に備えられた可動のユニット(可動ユニット)である。
各種アクチュエータ5、センサ6は可動ユニットU1〜Unに各々設けられており、設備コントローラ3は可動ユニットU1〜Unを制御する。
設備コントローラ3は、このような各動作部位41(アクチュエータ5)に送る指令、データ等の各種信号や、各種センサ6からの検出信号等のコントローラ内部情報(データ)を外部に出力する通信機能を有する。
設備位置・状態監視装置1は、このように設備4を制御する設備コントローラ3に接続され、設備4を構成する各動作部位41の可動ユニットU1〜Un(アクチュエータ5)の位置・状態を監視する装置である。
本実施形態において、設備位置・状態監視装置1は、入力装置11、処理装置12及び画像表示装置13を備えてなる。
これらのうち入力装置11は、処理装置12に種々の指令、データ等を入力する装置である。画像表示装置13は、処理装置12による演算結果、具体的には可動ユニットU1〜Unの位置や荷重、更には負荷状態等を、あるいはそれらの時間的な推移を画像化して画面に表示する装置である。
処理装置(処理手段)12は、ここではCPU12a、ROM12b、RAM12c、状態データ記憶装置12d、ユニット構成テーブル12e、通信用インタフェース12f及びこれらを接続するバス12gを備えてなり、CPU12aがROM12bに格納されたプログラムをRAM12cを作業領域として用いて実行し、以下の機能を実現する。
すなわち処理装置12は、通信回線2及び通信用インタフェース12f(状態データ取得手段)を介して設備コントローラ3から設備状態を、具体的にはコントローラ内部情報を収集する(この機能を状態収集機能という)。設備コントローラ3の通信機能は高速であり、処理装置12及び通信回線2には高速形のものが用いられているので、この状態収集機能は高速に行われる。
状態収集機能により収集されたデータは、その全部又は所望の範囲につき、状態データとして状態データ記憶装置12dに時系列に蓄積記憶される。
本実施形態では、設備コントローラ3内部における動作部位41毎の可動ユニット(機械要素)U1〜Unについての各種センサ6からの位置、トルク、温度等の検出信号(計測データ)、つまり各動作部位41毎の可動ユニットU1〜Unの実動作情報が状態データとして蓄積記憶される。
状態データの蓄積方法としては、各種センサ6からの検出信号に対して、各々他の信号と識別可能に固有の名称(信号名称)を付け、その信号名称別に信号の内容(信号値)が収集時刻と共に順次蓄積記憶する。蓄積は、上述したように状態データ記憶装置12d内に行われ、上記収集時刻は、ここでは年月日を含み、収集は秒単位(一秒間隔)で行われる。
図2は、時系列に蓄積された状態データを記録した状態テーブルT1の一例を示す図である。この図では、信号名称としてエンコーダ1,2、SOL1(電磁ソレノイドバルブ1)、LS1(リミットスイッチ1)、トルク及び温度が例示され、これらの信号内容(信号値)が、200×年11月30日0時00分01秒から同12秒まで順次収集、蓄積され、同13秒に至ろうとしている様子が描かれている。信号内容(信号値)としては、図2ではSOL1(電磁ソレノイドバルブ1)及びLS1(リミットスイッチ1)についてはON/OFF状態(0,1)が、エンコーダ1,2、トルク及び温度についてはその検出値が例示されている。
説明を図1に戻すと、処理装置12は、状態テーブルT1及びユニット構成テーブル12eを用いて動作部位41毎のユニットU1〜Unの位置を演算し、また各種センサ6中の所望のセンサからの検出信号の上限値、下限値等の限界値との比較判定を行う演算判定機能を有する。この演算判定機能の詳細は後述する。
更に処理装置12は、演算された位置を様々な形で画像化し、また限界値との比較判定結果を様々な形で画像化して画像表示装置13に表示させる画像化表示機能を有する。
次に、処理装置12に備えられたユニット構成テーブル12eについて説明する。
設備コントローラ3で制御される各動作部位41は、上述したように複数のユニットU0,U1〜Unによって構成されている。
いま、図1中の複数の動作部位41…中の1つ、例えば最上部に描かれた動作部位41に着目すると、この動作部位41は、n+1台のユニットU0,U1〜Unから構成され、固定状態にあって位置の絶対基準となっている絶対基準ユニットU0の上にn台の可動ユニット(下位ユニット)U1〜Unが順次、階層状に設置されてなる。各下位ユニットU1〜Unの位置は、絶対基準ユニットU0、又は自ユニットが基準とする、それより上位のユニットからの相対位置として各々把握可能である。
本実施形態においては、これらユニット相互の位置関係を各ユニットU1〜Un毎に関数で表してユニット構成テーブル12eに記述しておき、各下位ユニットU1〜Unの位置が上記関数及びその引数(各位置センサ6の検出値等)から算出可能とされている。なお「記述」とは、記録、登録等を指すが、要はその対象となるデータ等(上記の例では関数)を記憶しておくことである(以下同じ)。
ユニット構成テーブル12eの内容の一例を図3を参照して説明する。
各ユニットU0,U1〜Unには、他のユニットと識別可能に固有の名称、ここではユニット名称:ユニット0,1〜3が付けられており、ユニット構成テーブル12eには、図示するように、そのユニット名称毎に、基準ユニット名称、変換関数、位置算出関数、引数1〜引数p及び観測データ1〜qの各欄が設定されている。
これら各欄のうち、基準ユニット名称欄には、各ユニットU0,U1〜Unの位置の基準となるユニット名称が記述される。ユニットU0(ユニット名称:ユニット0)は基準のユニットがない絶対基準ユニットであり、ここでは固定と記される。
変換関数欄には、収集した位置情報(特定の位置センサ6の検出値)とユニット名称が表すユニットの動作関係を示した座標変換関数であって、開始ポイント、方向、量等のベクトル情報を行列として表した関数が記述される(図4参照)。
位置算出関数欄には、引数1〜引数p中に記述された特定の引数の値(状態テーブルT1に記録されている検出値)を位置情報へ変換する関数(位置算出関数)の名称が記述される。
引数1〜引数p欄は、位置算出関数に引き渡す値であり、状態テーブルT1中の該当する信号名称や予め設定された定数が1〜p個まで登録可能である。
観測データ1〜観測データq欄には、観測したい設備状態の種類、具体的には各種センサ6中の所望のセンサからの検出信号の名称(信号名称)が、予め設定された上下限値と共に登録される。観測データは、1〜q個まで登録可能である。
ここで、処理装置12の演算判定機能の詳細を説明すると、この演算判定機能は、次の位置算出変換機能及び観測データ判定機能からなる。このうち、位置算出変換機能は、上記状態テーブルT1及びユニット構成テーブル12eを用いて、可動ユニットU1〜Un毎に再帰的に演算処理することで、ユニット実動作位置を算出する機能である。また観測データ判定機能は、ユニット構成テーブル12eの観測データ欄の登録内容に該当する信号名称の信号値(同信号を検出するセンサの検出値)を状態テーブルT1から読み出し、それを位置算出変換機能で算出変換された位置に関連付けて記憶し、その観測データについて設定されている上限値、下限値と比較し、上下限値の範囲内にあるか否か等を判定する機能である。
図5は、設備位置・状態監視装置の動作を説明するための装置構成図である。
この図において、各ユニット0,1,2は、図3中のユニット名称欄のユニット0,1,2に相当するものであり、ここでは、同ユニット名称欄のユニット3に相当するユニットは存在しない。
すなわち、ユニット0は基準となるベース51上に固定されている。ユニット0は固定の3次元座標系(x,y,z)の原点0(0,0,0)を基準に設置されている。
このユニット0上にユニット1が設置されており、台52(ユニット1)がモータ53によって駆動され、u軸方向(図中左右方向)に移動可能である。モータ53は設備コントローラ3によって制御され、同時にエンコーダ54によってその回転角度(つまり台52のu軸方向の位置)が計測され、同コントローラ3に取り込まれる。
同様に、ユニット2がユニット1上に設置されており、台55(ユニット2)がモータ56によって駆動され、v軸方向(図中上下方向)に移動可能である。モータ56は設備コントローラ3によって制御され、同時にエンコーダ57によってその回転角度(つまり台52のv軸方向の位置)が計測され、同コントローラ3に取り込まれる。
台52,モータ53間、及び台55,モータ56間には、減速機や、ボールネジによる送り機構があるため、エンコーダ54,57によって計測された位置(図2中の信号名称:エンコーダ1,2の値)はそのまま台52,55の位置を表すことにはならない。
そこで、これらの位置関係をユニット構成テーブル12eに関数で記述し、設備位置・状態監視装置1の処理装置12内に記憶する。この場合、ユニット1,2毎に座標系(u,v,w)が設定され、ユニット1,2の動作方向と座標軸が一致するように座標変換をする変換関数と動作限となる位置情報等をユニット構成テーブル12eに指定している。
設備コントローラ3には、これらユニット1,2の動作位置情報の他に、同ユニット1,2に係る電磁ソレノイドバルブ、リミットスイッチのON/OFF状態や、トルク、温度等の検出値、更にはモータ53,56やシリンダ(アクチュエータ)の動作指令が取り込まれ演算制御を行っている。
設備位置・状態監視装置1の処理装置12は、通信回線2を介し、設備コントローラ3からこれらの情報(コントローラ内部情報)を時系列に収集し、状態データとして状態データ記憶装置12dに時系列に蓄積記憶する。
この状態データを記録した状態テーブルT1が図2に例示した内容であり、上記ユニット構成テーブル12eが図3に例示した内容である(ただし、ユニット3は存在していない)として説明すると、ユニット構成テーブル12eには、ユニット1がユニット0を基準ユニットとしていることが表されている。具体的には、ユニット1はユニット0上に設置されている。
ユニット構成テーブル12eは、例えばユニット1の位置(基準ユニット0における位置)を求めるに際して、位置算出関数の直接位置読出し機能により、引数1、つまりエンコーダ1の位置検出値を参照し、これをu軸の入力値とすることを表している。
位置算出関数はいくつか用意されているが、図5に示す例は、エンコーダ54(エンコーダ1)の検出値が直接位置を表す構成となっているため、直接位置読出し関数でエンコーダ1を参照するように指定している。
なおこの例において、直接位置読出し関数としては、次のように定義されたものが用意されている。
(1)引数1で指定された信号名称の信号値(検出値)を読み出し、これをu軸入力値とするもの(上記の例で適用された直接位置読出し関数)。
(2)引数2で指定された信号名称の信号値を読み出し、これをv軸入力値とするもの。
(3)引数3で指定された信号名称の信号値を読み出し、これをw軸入力値とするもの。
この直接位置読出し関数により得られた上記u軸の入力値は、ユニット構成テーブル12eに記述された変換関数に与えられる。この変換関数は4×4の行列の式で表現されている。これは座標変換の式であり、位置(u1,v1,w1)が、この変換行列によって位置(x,y,z)に変換されることを表し、回転、拡大、縮小を表現することが可能である。
このように、図2に示す状態テーブルT1のエンコーダ1の検出値を読み出し、ユニット構成テーブル12e中の変換関数(変換行列)により変換演算することで、ユニツト0からみたユニット1の位置が最終的に求まる。
これを全ユニットについて再帰的に実施し、最終的に基準ユニット名称が「固定」、つまりユニット0(絶対基準ユニットU0)となるまで繰り返す。
この例では、ユニット2について、変換関数により求められる位置はその基準ユニットであるユニット1の位置であるから、まずこのユニット1の位置(u1,v1,w1)をユニット2の位置(u2,v2,w2)から変換して求め、これをユニット0の位置(x,y,z)に変換するという順序で位置変換を繰り返す。この際、ユニット構成テーブル12eに記述された位置算出関数、引数、変換関数が各々用いられることは勿論である。
処理装置12は、このような演算処理を行って各ユニット1,2の絶対基準ユニット0からみた位置、つまり絶対位置(x,y,z)を得る。
以上述べた処理装置12による位置演算処理の流れを一般化して示せば図6の通りである。
まずステップ601で、ユニット構成テーブル12eからあるユニットN(=1,2,3,…)の位置算出関数を読み出す。そして、読み出された位置算出関数の機能に応じて必要な引数名(何を引数とするか)を読み込み、該当する引数に係る値(信号値)を状態テーブルT1から読み出す(ステップ602)。
ステップ603では、読み出した値をユニット構成テーブル12eで指定された変換関数(変換行列)にて座標変換して位置Pを演算する。
上記ユニット1(N=1)の例では、変換関数よりx=(1/500)×u−5000,y=50,z=0という関係が分かり、したがって、上記uにエンコーダ1の値(図2参照)を代入することで位置P(x,y,z)が算出される。
ユニット構成テーブル12eの基準ユニット名称欄に可動のユニット名称(ユニット1より下位のユニット)の記述があるユニットについては、その一つ上位(上流)のユニットの位置P'を上述と同様の演算処理手順で算出し、PとP'を行列演算して位置Pを算出する。
これを再帰的に繰り返し、最終的に基準ユニット名称が固定、つまりステップ604において「基準ユニットあり」がNOと判定されるまで演算処理を行う(ステップ604〜608)。
以上の演算処理によって、絶対基準ユニット0からみた位置P(x,y,z)が算出される。
図6の例においては、上述したように算出された位置P(x,y,z)に関連付けて、その際の、予め指定された観測データがその上下限値の範囲内にあるか否かの判定も行っている。
すなわち処理装置12は、位置P(x,y,z)の算出後のステップ609において、ユニット構成テーブル12eの観測データ欄で指定された信号名称に係る値(信号値)を状態テーブルT1から読み出し、ステップ601〜608で算出された位置Pに関連付けて記憶する。そしてその値が、同観測データ欄に設定された上限値、下限値と比較し、その上下限値の範囲内にあるか否かの比較判定も行っている。
以上の処理を全ユニット1〜nについて行い、更にこの処理を状態テーブルT1に状態データが蓄積記憶される時刻毎、つまりリアルタイムで行えば、状態テーブルT1に蓄積記憶される全時系列データとの対応で各ユニットのリアルタイム位置情報・状態情報(観測データの判定結果)を得ることができる。
リアルタイム位置情報・状態情報を得る対象ユニットは可動ユニットであるが、固定(不動)のユニットについて、ユニット構成テーブル12e中に所望の観測データ及びその上下限値を設定しておき、固定のユニットについては、例えば温度が上下限値内にあるか否かをリアルタイム状態情報として得られるようにしてもよい。
次に、位置算出関数の詳細について説明する。
位置算出関数は、コントローラ内部情報である状態テーブルT1上の状態データと位置情報との関連を表す関数である。この位置算出関数は、ユニット構成テーブル12eに記述され、その引数として予め特定の状態データを設定しておくことによって位置情報が算出可能である。
位置算出関数は、位置情報を示すコントローラ内部情報、つまり状態テーブルT1上の状態データ(信号名称)を直接指定する直接位置読出し形と間接位置読出し形とがある。直接位置読出し形の位置算出関数の例は既に述べたので〔上掲(1)〜(3)参照〕、ここでは、エンコーダ検出値等の直接位置情報をもたない対象物について位置算出を行うための間接位置読出し形の例を2つ述べる。
第1例としては、ユニット等の位置算出対象物の移動の開始及び終了の各タイミング(ポイント)と動作パターン(距離)とを組み合わせて位置情報を算出可能とした位置算出関数(間接位置読出し1形)が挙げられる。
この位置算出関数は、
(4)引数1で指定された信号名称の信号値を読み出し、これを移動開始タイミングとし、
(5)引数2で指定された信号名称の信号値を読み出し、これを移動終了タイミングとし、
(6)引数3で指定された信号名称の信号値を読み出し、これを移動距離とし、
これら(4)〜(6)の3つの値(データ)をu軸入力値とするように定義されている。
v軸入力値及びw軸入力値についても同様である。この場合、v軸入力値につき、上記引数1〜3に相当する引数4〜6が設定され、w軸入力値につき、上記引数1〜3に相当する引数7〜9が設定される。各信号名称の信号値は図2に示す状態テーブルT1に記憶されている。
この間接位置読出し1形の位置算出関数は、具体的には位置算出対象物としてのユニットの駆動源がシリンダである場合の、同シリンダ(ユニット)の動作位置算出に適用できる。
これを図7及び図8に基づき説明する。
図7は、ユニット駆動源としてシリンダ71が設置され、このシリンダ71が電磁ソレノイドバルブ72の制御によって前進、後退し、かつ、前進端、後退端を検出するリミットスイッチ73,74によって停止されるシリンダ動作機構を示す。
このシリンダ動作機構は、図8に示す信号状態と動作状態の関係をもって動作する。なお信号状態とは、電磁ソレノイドバルブ72への前進、後退指示信号の状態及びリミットスイッチ73,74のON/OFF状態を指し、コントローラ内部情報に含まれ、状態データとして設備位置・状態監視装置1の処理装置12(状態データ記憶装置12d)に時系列に蓄積記憶される。状態データ記憶装置12dに蓄積記憶される場合、他の信号と識別可能に各々固有の信号名称(例えばSOL1、LS1,LS2等)が付けられ、信号名称から信号状態ON,OFF(信号値=1,0)を読出し可能である。
図8に示すように、このようなシリンダ動作機構においては、シリンダ71は、前進指示信号ONで前進動作を開始し、動作限まで移動して前進端リミットスイッチONで停止する。この場合、位置算出関数として上記間接位置読出し1を用い、引数1として動作指示を示す前進指示信号(SOL1)を指定し、引数2として動作端を示す前進端リミットスイッチ73(LS1)を指定し、引数3としてその移動距離を定数で指定する。
このような間接位置読出し1による位置算出関数によって、図8に示すようなタイミングで、矢印イに示すように直線動作で移動するような位置が算出される(変換関数に代入可能な位置情報へ変換される)。
等速運動ではなく、予め移動パターンが分かっているアクチュエータが位置算出対象物である場合には、その動きに応じた位置算出関数を用意することによって、より精度の高い位置を算出することができる。
間接位置読出し形の第2例としては、位置算出対象物(ユニット)の移動の開始タイミングと動作パターン(時間、距離)とを組み合わせて位置情報を算出可能とした位置算出関数(間接位置読出し2形)が挙げられる。
この位置算出関数は、
(7)引数1で指定された信号名称の信号値を読み出し、これを移動開始タイミングとし、
(8)引数2で指定された信号名称の信号値を読み出し、これを移動時間とし、
(9)引数3で指定された信号名称の信号値を読み出し、これを移動距離とし、
これら(7)〜(9)の3つの値(データ)をu軸入力値とするように定義されている。
v軸入力値及びw軸入力値についても同様である。この場合、v軸入力値につき、上記引数1〜3に相当する引数4〜6が設定され、w軸入力値につき、上記引数1〜3に相当する引数7〜9が設定される。各信号名称の信号値は図2に示す状態テーブルT1に記憶されている。
この間接位置読出し2形の位置算出関数は、具体的には位置算出対象物としてのユニットの駆動源がリミットスイッチON,OFF信号のような動作限を示す信号を持たないシリンダや、インバータ等により一定量移動するアクチュエータである場合の、それらシリンダ等のアクチュエータの動作位置の算出に適用できる。ここでは、上記間接位置読出し1形における移動終了タイミングの代わりに移動時間を設定し、その移動時間を指定して位置算出している。
次に、各ユニット(ここでは可動ユニットを指す。以下同じ。)にかかる荷重を演算可能とし、かつ、それらのユニットの負荷状態を判定可能とした設備位置・状態監視装置の実施形態を図5及び図6を参照して説明する。
上記のように荷重を演算可能とし、また負荷状態を判定可能とするには、図5中のユニット構成テーブル12eにユニットの質量及び荷重上限値の各欄を追加し、それらの欄に同質量及び荷重上限値を各別に記述しておく。
そして処理装置12が、各ユニット1,2の各時刻毎の位置データ(時系列の位置データ群)を、図6の処理フローに従って算出し、算出された位置データをx,y,z各軸について時間で微分して速度データを算出し、更に、この速度データを時間で微分して加速度データを算出することにより、各ユニット1,2にかかる荷重データを算出できる。
また、算出された荷重データを上記荷重上限値と比較演算することにより、各ユニット1,2、ひいては動作部位41(設備)の負荷状態が、つまり過負荷状態にあるか否かが判定できる。
このような荷重算出、負荷状態判定処理をフローチャートで示せば図9の通りである。
図中、Pnは位置データ、Vnは速度データ、Anは加速度データ、Fnは荷重データを表す。また、nは1〜N、Δtはある時刻におけるデータとその1つ前のデータとの時
間間隔を表す。
図示フローチャートにおいては、ステップ901〜903の処理を経てユニット1,2にかかる荷重データが算出され、算出された荷重データにつき、荷重上限値以下(許容範囲内)にあるか否かがステップ904において判定され、範囲内にあればOK、なければNGなる判定結果が例えば画像表示装置13に表示される。
図10は、ユニット毎にその質量が記述されたユニット構成テーブル12eの要部を示す図である。
本実施形態では、この図に示すように、ユニット2及びユニット3は共にユニット1を基準ユニットとしているので、ユニット1の総重量は20+10+5=35kgとなる。ユニット2,3についてはそれらを基準ユニットにしているユニットがないため、各総重量は順に10kg,5kgとなる。
したがって、ユニット1〜3毎に加速度データを演算し、得られた加速度データに上記総重量35kg(又は10kg若しくは5kg)を掛け算することにより荷重データを算出することができる。
算出された荷重データを、ユニット構成テーブル12eに記述された荷重上限値と比較演算することにより、各ユニット1〜3(設備)にかかる負荷状態を判定することができる。
以上のようにして得られたデータは時系列の位置データ、状態データである。このデータを画像化し、ユニット(設備)の位置、状態を画像表示装置13(図5参照)に表示し、可視化する。
図11は、図5中のユニット1のx座標の時間的推移を画像表示装置13に表示した例を示す。
図12は、同図中のユニット2のx,y平面における軌跡と、その各位置(x,y)におけるトルクの観測データの大小とを画像表示装置13に表示した例を示す。トルクの観測データの大小は、軌跡上の各位置(x,y)を表すプロットのサイズの大小で表現されている。なお、トルクの観測データが予め定めた上限値を超えている場合には、そのプロットの色を例えば赤色とし、他のプロットの色、例えば青色と違えてもよく、これによれば、トルクが上限値を超えていることをプロットのサイズと色で明確に表現される。
図13(a)〜(c)はユニットの3次元空間〔3次元座標系(x,y,z)〕における軌跡図であり、(a)はユニット1の、(b)はユニット2の3次元空間における軌跡図である。(c)は、本実施形態とは別の設備のあるユニットの3次元空間における軌跡図である。これらの軌跡図は画像表示装置13に表示され、各ユニットの3次元空間における動作が明確に表現され、把握できる。特に(c)の例によれば、ユニットの複雑な動作がよりよく把握できる。
図14(a)〜(e)は、図5の構成例に類似のユニット構成(設備)について、各ユニット1,2の各動作位置を、そのユニット構成部のCADデータに基づく機構図で画像表示装置13(図5参照)に表示する例を示す図である。
(a)〜(e)に示すように変化する各ユニット1,2の動作位置を画像表示装置13に表示すれば、そのユニット構成部(設備)から離れた位置でオンラインで観察できる。この表示において、処理装置12による上記負荷状態の判定結果を表示画像色の属性として加えれば、つまり、判定結果がNG(図9参照)の場合には、その判定結果に係るユニット部分をOK(同図参照)の場合とは異なる色、例えば赤色で表示するようにしてもよい〔図14(b),(c)中の黒色部分参照〕。これによれば、該当するユニットの、その動作位置(姿勢)にて過負荷状態を生じたことが一目で分かるようになる。
なお、図14(a)〜(e)を画像表示装置13に連続して表示、つまりアニメーション表示してもよい。
以上述べた実施形態によれば、画像処理装置等の複雑なシステムや撮像装置等の後付けの計測装置を一切用いることなく簡単な構成で、つまり、主としてデータ収集、記憶手段を有する汎用の処理装置を用いた構成で、設備の内部情報(実動作情報)を高速(数10msec〜数100msec間隔程度)で収集できる。そして、収集された情報(状態データ)とユニット構成テーブルを用いた演算によって、正確で分かりやすい設備の位置や負荷状態等の状態を測定、判定(監視)することができる。
特に、撮像装置・画像データを用いないことによれば、これらを用いる場合の問題、例えば、複数のカメラやマーカ等が必要、カメラの視野外や暗い場所では適用できない、データ量が膨大、演算処理に時間がかかり高性能な演算処理装置を必要とする、等々の問題は一切生じることはなく、そのコスト上の効果は大である。
なお、上述実施形態では、状態データの収集時間間隔を一秒間隔としたが、これのみに限られず、また、収集したデータの蓄積記憶も一定時間間隔でなくてもよい。一定時間間隔で収集するが、検出信号(値)が変化した場合について、その前後の一定時間についてのみ蓄積記憶するようにしてもよい。位置・状態の監視は、検出信号の変化時について行われることが重要だからであり、このようにすれば、例えば設備(ユニット)停止時における重複したデータは記憶されず、状態データのデータ量を節減でき、状態データの監視の労力や記憶装置12dの記憶容量の節約を図ることができる。
状態データ(状態テーブルT1)、ユニット構成テーブル12eに基づく、位置や位置の時間推移、更には過負荷状態等の演算、表示は、上述した実施形態においてはオンライン・リアルタイムで行われることを基本として説明しているが、上記各テーブルT1,12eを保持しておいて上記位置等の演算、表示を事後に行うという、オフラインでの利用も可能である。
本発明による設備位置・状態監視装置の一実施形態を説明するためのブロック図である。 図1中の状態テーブルの内容の一例を示す図である。 同じくユニット構成テーブルの内容の一例を示す図である。 同上ユニット構成テーブルに記述された座標変換関数の説明図である。 設備位置・状態監視装置の動作を説明するための装置構成図である。 図5中の処理装置による位置演算処理を示すフローチャートである。 直接位置情報をもたないシリンダ動作機構を例示する図である。 同上機構におけるシリンダ位置の算出方法の説明図である。 図5中の処理装置が行う荷重算出、負荷状態判定処理のフローチャートである。 荷重算出、負荷状態判定処理に用いるユニット構成テーブルの要部を示す図である。 図5中のユニット1のx座標の時間的推移の表示例を示す図である。 同じくユニット2のx,y平面における軌跡等の表示例を示す図である。 図5中のユニット1,2及び他のユニットの3次元空間における軌跡図である。 各ユニット動作位置を機構図で表示する例を示す図である。
符号の説明
1:設備位置・状態監視装置、2:通信回線、3:設備コントローラ、4:設備、12:処理装置(処理手段)、12d:状態データ記憶装置、12e:ユニット構成テーブル、12f:通信用インタフェース(状態データ取得手段)、13:画像表示装置、U1〜Un:ユニット(可動ユニット)、T1:状態テーブル。

Claims (4)

  1. 設備を構成する複数のユニットの状態データを、前記設備を制御する設備コントローラから通信回線を介して取得する状態データ取得手段と、前記ユニットの位置と状態データとの関連を表した関数を含む情報が記述されたユニット構成テーブルと前記状態データ取得手段により取得された状態データとを用いて前記ユニットの位置及び状態を演算により取得する処理手段とを具備することを特徴とする設備位置・状態監視装置。
  2. 前記ユニット構成テーブルには各ユニットについてその位置の基準となるユニット名称が記述され、前記処理手段は、前記複数のユニットの各位置を、前記ユニット構成テーブルを参照して再帰的に演算を行って取得することを特徴とする請求項1に記載の設備位置・状態監視装置。
  3. 前記処理手段は、演算により取得したユニットの位置情報からそのユニットの速度及び加速度を演算し、予め記憶しておいた前記ユニットの質量及び荷重上限値中の質量と前記加速度からユニット荷重を演算し、そのユニット荷重が前記荷重上限値以下か否かを比較演算し、少なくともこの比較演算を含む演算結果を出力可能であることを特徴とする請求項1又は2に記載の設備位置・状態監視装置。
  4. 前記処理手段が出力した演算結果を画像化して表示する画像表示装置を備えることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の設備位置・状態監視装置。
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