JP2006246837A - 単子葉並びに双子葉植物に維管束特異的発現をもたらすd型サイクリン遺伝子プロモーター - Google Patents

単子葉並びに双子葉植物に維管束特異的発現をもたらすd型サイクリン遺伝子プロモーター Download PDF

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Abstract

【課題】分類学的に広い範囲の植物に使用することができる維管束特異的プロモーターおよび当該維管束特異的プロモーターを含有し、目的遺伝子を維管束で特異的に発現させることを可能にした組換えベクター、該組換えベクターを導入した形質転換植物体を提供すること。
【解決手段】3つの開示された塩基配列、その1若しくは数個の塩基が欠失、置換若しくは付加された塩基配列からなるDNA、もしくは3つの開示された塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ目的遺伝子を維管束で特異的に発現させるプロモーター活性を有するDNAを含む、維管束特異的プロモーター。
【選択図】なし

Description

本発明は、目的遺伝子を単子葉および双子葉植物の維管束で特異的に発現させるプロモーターおよびその使用に関するものである。
真核生物の遺伝子の発現は、プロモーターと呼ばれるDNA配列の領域で誘導される。一般に、プロモーターは、コード領域より上流に存在し、RNAポリメラーゼの結合部位を有し、その下流に存在するDNAの転写開始を制御する。
プロモーター配列は、植物細胞における遺伝子の転写レベルと転写部位を決定する主要な因子であり、プロモーターの下流に発現させたい目的タンパク質をコードする遺伝子を連結させた融合遺伝子を導入し、所望の形質を有する形質転換植物を作出することが行われている。植物で一般に用いられるプロモーターとしては、例えば、カリフラワーモザイクウイルス(CaMV)35S RNA遺伝子のプロモーター、アグロバクテリウムTiプラスミド由来ノパリン合成酵素遺伝子のプロモーター(Pnos)、トウモロコシ由来ユビキチン遺伝子のプロモーター、イネ由来アクチン遺伝子のプロモーターなどが知られている。これらのプロモーターは、植物細胞内で目的とするタンパク質を構成的(constitutive)に発現させることが知られており、汎用されている。
しかしながら、植物を改良する場合、例えば、目的タンパク質を局所的に発現させることにより効果的な改良が行えることがあり、このような改良により新しいタイプの高機能性植物を開発する一環として、組織特異的な発現をもたらす植物プロモーターの探索が望まれている。これまでに、植物において目的タンパク質を組織特異的に発現させることのできるプロモーターとしては、イネを例にすると、葯特異的プロモーターRA8(特許文献1)、葯又は花粉特異的プロモーターCatA(特許文献2)、花粉特異的プロモーターRPS4(特許文献3)、雄ずい特異的プロモーターT72、T23、T42、T155、E1(特許文献4)、花器特異的プロモーターRPC213(特許文献5)、葉肉細胞特異的プロモーターrbcS(非特許文献1)、葉特異的プロモーターpsbO, #42(特許文献6)、胚乳特異的プロモーターG/LuB-1、G/LuA-2(非特許文献2、3)、カルス特異的プロモーターPRO3(特許文献7)、カルスおよび種子胚特異的発現活性を有するプロモーター#15(特許文献8)等が報告されている。
植物の一器官である維管束は、シダ植物および種子植物の茎、葉、根などの各器官を貫いて分化した条束状の組織系である。維管束の構成要素は、木部と篩部、および木部細胞と篩部細胞を作り出す形成層である。一般に、木部は根から吸収した水分や塩類を運搬する通路であり、篩部は葉で作られた光合成産物(主としてショ糖)を運搬する通路となっている。維管束形成層は細胞増殖の場所であり、すなわち、植物の生長に非常に重要な場所である。このように、維管束は、水分および体内物質移動並びに細胞増殖等に関与する場所である。従って、水分若しくは体内物質移動又は細胞増殖に関与する遺伝子を植物に導入し、維管束特異的に発現できれば、水分若しくは体内物質移動又は細胞増殖を制御することができる。
一方、植物病理学的な見地からも維管束系は重要である。すなわち、植物病原細菌(イネ白葉枯れ病菌、ナス科植物青枯れ病菌、トマトかいよう病菌など)は植物の葉や根の傷口から侵入した後、維管束系に到達し、その導管内などで増殖し、発病させ、やがて植物を枯らしてしまう。また、植物の生育は、乾燥、高塩濃度、低温といったような環境ストレスの影響を顕著に受ける。環境ストレスは、植物に様々な生化学的および生理学的な応答を引き起こす。植物は、これらの環境ストレス条件下で生き抜くために、環境ストレスに対する応答性および順応性を獲得する。環境ストレスに応答して根などの維管束で発現する遺伝子も知られており、そのようなストレス誘導性遺伝子の機能解析や発現制御は、環境ストレス抵抗性が強化された植物の作出を図る上で重要である。
従って、植物における物質輸送・分配の制御、植物における物質輸送・分配機構の解明、有用物質の生産性向上、病害や環境ストレス抵抗性の付与、植物の生長制御等のために、維管束に特異的発現をもたらすプロモーターの新規開発・実用化が強く望まれている。また、このような組織束特異的プロモーターを多様な作物の分子育種に適用していくためには、単子葉植物あるいは双子葉植物に限定されることなく、分類学的に広範な植物種で共通の組織特異性を示すプロモーターであることが望ましい。維管束において高度に特異的に発現し、さらに広範な植物で発現することが確認されているプロモーターの例は知られていない。
特表2002-528125号 国際公開WO00/58454 特願2003-416939 特表平06-504910号 国際公開WO99/43818 特願2003-416961 特開2003-265182号 特願2003-382698 Plant Physiol. 102, 991-1000 (1993) Plant Mol. Biol. 30, 1207-1221 (1996) Plant J. 4, 357-366 (1993)
本発明は、分類学的に広い範囲の植物に使用することができる維管束特異的プロモーターおよび当該維管束特異的プロモーターを使用した遺伝子発現調節方法を提供することを目的とする。
また、本発明は、目的遺伝子を維管束で特異的に発現させるプロモーター活性を有するDNA、該DNAを含有する遺伝子を維管束で特異的に発現させることを可能にした組換えベクター、該組換えベクターを導入した形質転換植物体を提供することを目的とする。
本発明者らは、生物界に広く保存された細胞周期の進行にかかわる重要なタンパク質であるサイクリンのうち、イネD型サイクリンの一種をコードする遺伝子(以下、OsCycDと呼称)のプロモーターをイネゲノム配列情報〔DDBJ(http://www.ddbj.nig.ac.jp):アクセッション番号 AP005755およびAP008215〕、イネ完全長cDNA配列情報(アクセッション番号 AB080248)等を参考にしつつ鋭意研究を重ねた結果、この遺伝子の5’上流域をポリメラーゼ連鎖反応(PCR)で増幅した断片の中から、維管束において特異的に目的タンパク質を発現させるプロモーター活性を有するものが見出された。さらに上記課題を解決するべく、このプロモーターについて鋭意研究を重ねた結果、目的タンパク質を維管束において特異的に発現させるプロモーター活性を有するDNA断片を得ることに成功し、本発明を完成させるに至った。
本発明は以下を包含する。
(1) 以下の(a)、(b)、(c)又は(d)のDNAを含む、維管束特異的プロモーター。
(a) 配列番号1乃至3いずれか1に示す塩基配列からなるDNA。
(b) 配列番号1乃至3いずれか1に示す塩基配列において1若しくは複数の塩基が置換、欠失又は付加された塩基配列からなり、かつ目的遺伝子を維管束で特異的に発現させるプロモーター活性を有するDNA。
(c) 配列番号1乃至3いずれか1に示す塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ目的遺伝子を維管束で特異的に発現させるプロモーター活性を有するDNA。
(d) 配列番号1乃至3いずれか1に示す塩基配列の一部の塩基配列からなり、かつ目的遺伝子を維管束で特異的に発現させるプロモーター活性を有するDNA。
(2) 単子葉植物内におけるラミナジョイント維管束系にも発現誘導活性を示すことを特徴とする(1)記載の維管束特異的プロモーター。
(3) (1)又は(2)記載の維管束特異的プロモーターを含む組換えベクター。
(4) さらに外来遺伝子又は外来DNA断片を含むことを特徴とする(3)記載の組換えベクター。
(5) (3)又は(4)記載の組換えベクターを有する形質転換体。
(6) (1)又は(2)記載の維管束特異的プロモーターと、当該維管束特異的プロモーターによって発現制御される位置に配された遺伝子とを、植物宿主細胞に導入する工程と、上記維管束特異的プロモーターおよび上記遺伝子を導入した植物宿主細胞から植物体を育成する工程とを含み、上記植物体における維管束に特異的に上記遺伝子を発現させる、遺伝子発現調節方法。
(7)上記植物体が単子葉植物であり、上記遺伝子をラミナジョイント維管束系において発現させることを特徴とする(6)記載の遺伝子発現調節方法。
本発明により、分類学的に広い範囲の植物に使用することができる維管束特異的プロモーターが提供される。本発明に係る維管束特異的プロモーターは、高度な組織特異性を示すため、所望の遺伝子を維管束に特異的に発現させることができる。このプロモーター活性を有するDNAを利用すれば、維管束における水、栄養塩、糖の輸送(転流)や吸収の制御、光合成産物の貯蔵器官である果実や塊茎、塊根、種子などの肥大(成長)の促進、環境ストレス抵抗性遺伝子の発現による環境ストレス抵抗性の付与・向上、耐病虫害性遺伝子の発現による耐病虫害性の付与・向上などが可能となる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明に係る維管束特異的プロモーターは、以下の(a)、(b)又は(c)のDNAを含んでいる。
(a) 配列番号1乃至3いずれか1に示す塩基配列からなるDNA
(b) 配列番号1乃至3いずれか1に示す塩基配列において1若しくは複数の塩基が置換、欠失又は付加された塩基配列からなり、かつ目的遺伝子を維管束で特異的に発現させるプロモーター活性を有するDNA
(c) 配列番号1乃至3いずれか1に示す塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ目的遺伝子を維管束で特異的に発現させるプロモーター活性を有するDNA
本発明のDNAは、目的遺伝子の翻訳開始点の5’側に挿入することにより、該目的遺伝子の維管束における発現を誘導し、又は該目的遺伝子を維管束において高レベルで発現させることができる。配列番号1乃至3いずれか1に示す塩基配列からなるDNAは、イネD型サイクリンの一つをコードするOsCycD遺伝子の5’上流に存在し、OsCycD遺伝子の転写を制御している。OsCycD遺伝子によりコードされるD型サイクリンは、一般的に知られているD型サイクリンと異なり、ショ糖や植物ホルモンによる速やかな発現上昇は認められず、主に根、葉身、花器官、ラミナジョイント(カラーとも呼称; 葉身の基部に相当し、葉身と葉鞘の境目の組織)等の維管束組織で特異的に発現する。従って、配列番号1乃至3いずれか1に示す塩基配列からなるDNAは、植物維管束に特異的な発現活性を示すものである。
本発明に係る維管束特異的プロモーターは、配列番号1乃至3いずれか1に示す塩基配列からなるDNAを有するものに限定されず、配列番号1乃至3いずれか1に示す塩基配列において1又は複数の塩基が欠失、置換、挿入および付加された塩基配列からなり、下流に位置する遺伝子の維管束における発現誘導活性を示すDNA断片であっても良い。ここで、複数の塩基とは、1〜200個、好ましくは1〜100個、より好ましくは1〜50個の連続した又は連続しない塩基を意味する。
さらに、当業者であれば、配列番号1乃至3いずれか1に示す塩基配列の全部又は一部からなるDNAを用いて、配列番号1乃至3いずれか1に示す塩基配列からなるDNAと同様の機能、すなわち、維管束特異的プロモーター活性を有する他の塩基配列からなるDNAを種々の生物から新たに取得し、利用することも容易である。このような他の塩基配列からなるDNAの取得は、例えば、配列番号1乃至3いずれか1に示す塩基配列の全部又は一部からなるDNAと相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズさせるハイブリダイゼーション、該塩基配列の一部をプライマーとして用いるPCR等によって行うことができる。ここで、ストリンジェントな条件とは、いわゆる特異的なハイブリッドが形成され、非特異的なハイブリッドが形成されない条件をいう。例えば、相同性が高い核酸、すなわち配列番号1乃至3いずれか1に示す塩基配列と90%以上、好ましくは95%以上の相同性を有する塩基配列からなるDNAの相補鎖がハイブリダイズし、それより相同性が低い核酸の相補鎖がハイブリダイズしない条件が挙げられる。より具体的には、ナトリウム濃度が10〜300mM、好ましくは15〜75mMであり、温度が25〜70℃、好ましくは42〜55℃での条件をいう。
配列番号1乃至3いずれか1に示す塩基配列と異なる塩基配列からなるDNAが維管束特的プロモーターとして機能するか否かは、例えば、当該DNA断片の下流にレポーター遺伝子が位置するように発現ベクターを構築し(後述を参照)、当該発現ベクターで形質転換した植物体におけるレポーター遺伝子の発現を確認することで知ることができる。ここで、レポーター遺伝子としては、GUS遺伝子、ホタル由来ルシフェラーゼ(Luc)遺伝子、オワンクラゲ由来緑色蛍光タンパク質(GFP)遺伝子等を使用することができる。
例えば、レポーターがGUS遺伝子の場合には、宿主細胞内でのプロモーター活性は、(i)ヒストケミカルなGUS染色による方法〔EMBO J. 6, 3901-3907 (1987)〕により、および/又は(ii)蛍光基質を用いるCastleとMorrisの方法〔Plant Molecular Biology Manual, 2nd Edition, Edited by S.B.Gelvin & R.A.Schilperoort, B5: 1-16 (1994), Kluwer Academic Publishers〕に従ってGUS活性を測定し、さらにBradfordの方法〔Anal. Biochem. 72, 248-254 (1976)〕に従ってタンパク質量を測定して、GUS活性をタンパク量当たりに換算する(nmole 4-MU/min/mg proteinとして算出する)ことにより、それぞれ確認することができる。
本発明のプロモーターは、イネ(日本晴)の第9番染色体ゲノム上に存在し、配列番号5に示すアミノ酸配列を有するD型サイクリン様タンパク質をコードするイネ遺伝子OsCycD〔DDBJ(http://www.ddbj.nig.ac.jp): アクセッション番号AB080248および AP008215〕の塩基配列に基づき、当該遺伝子(以下、本明細書において「OsCycD遺伝子」という)の5’上流ゲノム領域(あるいは配列)を単離することによって取得できる。プロモーター領域を単離する方法としては、特に限定されないが、例えば、インバースPCR、ゲノムDNAライブラリーから単離する方法等を例示することができる。
インバースPCRによる場合は、上記OsCycD遺伝子の塩基配列情報に基づいて一対のプライマーを合成し、これら一対のプライマーと所定の制限酵素で処理した後にセルフライゲーションさせたゲノムDNA断片とを用いてPCRを行うことによって、OsCycD遺伝子の上流領域を増幅することができる。その後、OsCycD遺伝子の上流領域をクローニングし塩基配列を決定することによって、OsCycD遺伝子のプロモーター領域の単離、および塩基配列(配列番号1、2、3)の決定を行うことができる。
また、ゲノムDNAライブラリーから単離する場合には、OsCycD遺伝子を含むcDNAをプローブとして、定法に従って調製したゲノムDNAライブラリーからOsCycD遺伝子を含むゲノムDNAをスクリーニングする。その後、スクリーニングしたゲノムDNAの塩基配列を決定することによってOsCycD遺伝子の上流領域に存在するプロモーター領域を特定することができ、さらに、該プロモーター領域のみをPCR等によって増幅してクローニングすることによって単離することができる。
一旦、本発明のプロモーターの塩基配列が確定されると、その後は化学合成によって、あるいはその塩基配列の一部からなるDNAをプライマーとして合成し、イネの全DNAを鋳型として用いて、該プライマーを用いるPCRによって容易に得ることができる。
さらに、単離したプロモーター領域(配列番号1、2又は3)の一部を用いてプロモーター活性を測定することによって、単離したプロモーター領域(配列番号1、2又は3)において、プロモーター活性に寄与している領域を特定することができる。プロモーター領域の一部は、該プロモーター領域の一部をPCRによって増幅する方法、プロモーター領域を所定の制限酵素で処理して断片化する方法等を適宜使用して得ることができる。
ここで、本発明において「維管束特異的プロモーター活性」とは、維管束を除く植物器官における遺伝子発現活性が維管束における遺伝子発現活性と比較して有意に低いことを意味し、好ましくは、維管束を除く植物器官における遺伝子発現誘導活性が検出限界以下であることを意味する。
本発明に係る維管束特異的プロモーターは、単子葉植物に属するイネを起源とするものであるが、後述の通り、双子葉植物においても維管束特異的発現活性を示す。上記「維管束」とは、一般的には、根、茎、葉を貫通する植物体の連続した構造をいい、本発明の「維管束」には、根などの植物体地下部組織の維管束系、茎や葉脈などの地上部組織(シュート)の維管束系の両方が含まれる。
ところで、本発明の組換えベクターは、配列番号1乃至3いずれか1に示す塩基配列からなるプロモーター配列に目的遺伝子を連結した遺伝子を適当なベクターに導入することにより構築することができる。ベクターは、維管束特異的プロモーターの下流に当該プロモーターによる発現制御の対象となる遺伝子を組み込むための領域を有していることが好ましい。なお、発現ベクターは、プロモーターの下流に発現制御の対象となる遺伝子を予め組み込んだものであっても良い。
基本ベクターは、宿主中で複製可能なものであれば特に限定されず、例えばプラスミド、シャトルベクター、ヘルパープラスミドなどが挙げられる。プラスミドDNAとしては、大腸菌由来のプラスミド(例えばpBR322、pBR325、pUC118、pUC119、pUC18、pUC19、pBluescript等)、枯草菌由来のプラスミド(例えばpUB110、pTP5等)、酵母由来のプラスミド(例えばYEp13、YCp50等)などが挙げられ、ファージDNAとしてはλファージ(Charon4A、Charon21A、EMBL3、EMBL4、λgt10、λgt11、λZAP等)が挙げられる。さらに、レトロウイルス又はワクシニアウイルスなどの動物ウイルス、バキュロウイルスなどの昆虫ウイルスベクターを用いることもできる。
基本ベクターに上述したプロモーターを挿入するには、まず、精製されたイネ染色体DNAを適当な制限酵素で切断して維管束特異的プロモーターを単離する。或いは、精製されたイネ染色体DNAを鋳型として、PCRにより維管束特異的プロモーターを単離する。そして、単離した維管束特異的プロモーターを適当なベクターの制限酵素部位又はマルチクローニングサイトに挿入して連結する方法などが採用される。
本発明においては、任意の遺伝子を発現させるため、上記発現ベクターに、さらに任意の遺伝子を挿入することができる。任意の遺伝子を挿入する手法は、ベクターにプロモーターを挿入する方法と同様である。任意の遺伝子とは、たとえば対象となる植物における内在性遺伝子、または外来遺伝子であって、その遺伝子産物の発現が維管束において所望される任意の遺伝子をいう。かかる遺伝子としては、糖、窒素源、イオンなどのトランスポーター遺伝子、有用物質(医薬、色素、芳香成分など)生産遺伝子、植物生長制御(促進/抑制)遺伝子、糖代謝関連遺伝子、耐病虫害性〔昆虫食害抵抗性、カビ(菌類)および細菌病抵抗性、ウイルス(病)抵抗性など〕遺伝子、環境ストレス(低温、高温、乾燥、塩、光障害、紫外線)抵抗性遺伝子等が挙げられるが、これらに限定はされない。
上記の目的遺伝子は、その遺伝子の機能が発揮されるようにベクターに組み込まれることが必要である。そこで、ベクターには、目的遺伝子の上流、内部、あるいは下流に、本発明のプロモーター、エンハンサー、イントロン、ポリA付加シグナル、5'-UTR(非翻訳領域)配列、選抜マーカー遺伝子などを連結することができる。
エンハンサーとしては、例えば、目的遺伝子の発現効率を高めるために用いられ、CaMV35Sプロモーター内の上流側の配列を含むエンハンサー領域などが挙げられる。
ターミネーターとしては、前記プロモーターにより転写された遺伝子の転写を終結できる配列であればよく、例えば、ノパリン合成酵素(nos)遺伝子のターミネーター、オクトピン合成酵素(OCS)遺伝子のターミネーター、CaMV 35S ターミネーター等が挙げられる。
選抜マーカー遺伝子としては、例えば、ハイグロマイシン耐性遺伝子、カナマイシン耐性遺伝子、ビアラホス耐性遺伝子、アセト乳酸合成酵素(Acetolactate synthase)遺伝子、ブラストサイジンS耐性遺伝子などが挙げられる。
また、選抜マーカー遺伝子は、上記のように目的遺伝子とともに同一のプラスミドに連結させて組換えベクターを調製してもよいが、あるいは、選抜マーカー遺伝子をプラスミドに連結して得られる組換えベクターと、目的遺伝子をプラスミドに連結して得られる組換えベクターとを別々に調製してもよい。別々に調製した場合は、各ベクターを宿主にコトランスフォーム(共導入)する。
上述したプロモーターに目的の任意遺伝子をセンス又はアンチセンス方向で接続したものを作製し、これをバイナリーベクターと呼ばれる植物形質転換用プラスミドに組み込んだ後、植物に導入することができる。バイナリーベクターは、pBI系〔非特許文献: EMBO J. 6, 3901-3907 (1987)〕、pPZP系〔非特許文献: Plant Mol. Biol., 25, 989-94 (1994)〕、pCAMBIA系(http://www.cambia.org/pCAMBIA_vectors.html)、pSMA系〔非特許文献: Plant Cell Rep. 19, 448-453 (2000)〕などが好適に用いられる。換言すれば、本発明に係る発現ベクターを利用して形質転換体(形質転換植物)を作出することができる。具体的に、形質転換体は、所望の遺伝子を導入した発現ベクターを宿主中に導入することにより得ることができる。ここで、宿主としては、プロモーター又は目的遺伝子を発現できるものであれば特に限定されるものではないが、植物が好ましい。植物としては、トウモロコシ(Zea mays)、イネ(Oryza sativa)に代表される単子葉植物、シロイヌナズナやタバコに代表される双子葉植物のいずれであっても良い。その他にも形質転換に用いられる植物としては、アブラナ科、ナス科、マメ科、キク科等に属する植物が挙げられるが、これらの植物に限定されるものではない。
上記発現ベクターは、通常の形質転換方法、例えばアグロバクテリウム法、電気穿孔法(エレクトロポレーション法)、パーティクルガン法、ポリエチレングリコール(PEG)法、ポリソーム法、マイクロインジェクション法等によって植物細胞中に導入することができる。
例えばエレクトロポレーション法を用いる場合は、パルスコントローラーを備えたエレクトロポレーション装置により、電圧500〜1600V、25〜1000μF、20〜30msecの条件で処理し、発現ベクターを宿主に導入する。
また、パーティクルガン法を用いる場合は、植物体、植物器官、植物組織自体をそのまま使用してもよく、切片を調製した後に使用してもよく、プロトプラストを調製して使用してもよい。このように調製した試料を遺伝子導入装置(例えばBio-Rad社のPDS-1000/He等)を用いて処理することができる。処理条件は植物又は試料により異なるが、通常は1000〜1800psi程度の圧力、5〜6cm程度の距離で行う。
また、植物ウイルスを基本ベクターとして利用することによって、上述した維管束特異的プロモーターの制御下にある目的遺伝子を植物体に導入することができる。利用可能な植物ウイルスとしては、例えば、カリフラワーモザイクウイルスが挙げられる。すなわち、まず、ウイルスゲノムを大腸菌由来のベクターなどに挿入して組換え体を調製した後、上述した維管束特異的プロモーターを有する植物ウイルスのゲノム中に、これらの目的遺伝子を挿入する。このようにして修飾されたウイルスゲノムを制限酵素によって組換え体から切り出し、植物宿主に接種することによって、維管束特異的プロモーターおよび目的遺伝子を植物宿主に導入することができる。
アグロバクテリウムのTiプラスミドを利用する方法においては、アグロバクテリウム(Agrobacterium)属に属する細菌が植物に感染すると、それが有するプラスミドDNAの一部を植物ゲノム中に移行させるという性質を利用して、上述したプロモーターおよび目的遺伝子を植物宿主に導入する。アグロバクテリウム属に属する細菌のうちアグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)は、植物に感染してクラウンゴールと呼ばれる腫瘍を形成し、また、アグロバクテリウム・リゾゲネス(Agrobacteriumu rhizogenes)は、植物に感染して毛状根を発生させる。これらは、感染の際にTiプラスミド又はRiプラスミドと呼ばれる各々の細菌中に存在するプラスミド上のT-DNA領域(Transferred DNA)と呼ばれる領域が植物中に移行し、植物のゲノム中に組み込まれることに起因するものである。
Ti又はRiプラスミド上のT-DNA領域中に、植物ゲノム中に組み込みたい遺伝子および上述したプロモーターを挿入しておけば、アグロバクテリウム属の細菌が植物宿主に感染する際に、対象植物を形質転換し、形質転換植物体を調製することができる。
形質転換植物体を調製する際には、既に報告され、確立されている種々の方法を適宜利用することができ、その好ましい例として、アグロバクテリウム法、PEG−リン酸カルシウム法、エレクトロポレーション法、リポソーム法、パーティクルガン法、マイクロインジェクション法等が挙げられる。アグロバクテリウム法を用いる場合は、プロトプラストを用いる場合、組織片を用いる場合、および植物体そのものを用いる場合(in planta法)がある。プロトプラストを用いる場合は、Tiプラスミドをもつアグロバクテリウムと共存培養する方法、スフェロプラスト化したアグロバクテリウムと融合する方法(スフェロプラスト法)、組織片を用いる場合は、対象植物の無菌葉片(リーフディスク)に感染させる方法やカルスに感染させる等により行うことができる。また種子あるいは植物体を用いるin planta法を適用する場合、すなわち植物ホルモン添加の組織培養を介さない系では、吸水種子、幼植物(幼苗)、鉢植え植物などへのアグロバクテリウムの直接処理等にて実施可能である。
なお、上述した発現ベクターは、上記植物宿主に導入するのみならず、大腸菌(Escherichia coli)等のエッシェリヒア属、バチルス・ズブチリス(Bacillus subtilis)等のバチルス属、又はシュードモナス・プチダ(Pseudomonas putida)等のシュードモナス属に属する細菌、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、シゾサッカロミセス・ポンベ(Schizosaccharomyces pombe)等の酵母、COS細胞、CHO細胞等の動物細胞、あるいはSf9等の昆虫細胞などに導入して形質転換体を得ることもできる。大腸菌、酵母等の細菌を宿主とする場合は、本発明の発現ベクターが該細菌中で自律複製可能であると同時に、上述した維管束特異的プロモーター、リボソーム結合配列、目的遺伝子、転写終結配列により構成されていることが好ましい。
細菌への発現ベクターの導入方法は、細菌にDNAを導入する方法であれば特に限定されるものではない。例えばカルシウムイオンを用いる方法、エレクトロポレーション法等が挙げられる。
酵母を宿主とする場合は、例えばサッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、シゾサッカロミセス・ポンベ(Schizosaccharomyces pombe)などが用いられる。酵母への発現ベクターの導入方法は、酵母にDNAを導入する方法であれば特に限定されず、例えばエレクトロポレーション法、スフェロプラスト法、酢酸リチウム法等が挙げられる。
動物細胞を宿主とする場合は、サル細胞COS-7、Vero、チャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO細胞)、マウスL細胞などが用いられる。動物細胞への発現ベクターの導入方法としては、例えばエレクトロポレーション法、リン酸カルシウム法、リポフェクション法等が挙げられる。
昆虫細胞を宿主とする場合は、Sf9細胞などが用いられる。昆虫細胞への発現ベクターの導入方法としては、例えばリン酸カルシウム法、リポフェクション法、エレクトロポレーション法などが挙げられる。
遺伝子が宿主に組み込まれたか否かの確認は、PCR法、サザンハイブリダイゼーション法、ノーザンハイブリダイゼーション法等により行うことができる。例えば、形質転換体からDNAを調製し、DNA特異的プライマーを設計してPCRを行う。その後は、増幅産物についてアガロースゲル電気泳動、ポリアクリルアミドゲル電気泳動又はキャピラリー電気泳動等を行い、臭化エチジウム、SYBR Green液等により染色し、そして増幅産物を1本のバンドとして検出することにより、形質転換されたことを確認する。また、予め蛍光色素等により標識したプライマーを用いてPCRを行い、増幅産物を検出することもできる。さらに、マイクロプレート等の固相に増幅産物を結合させ、蛍光又は酵素反応等により増幅産物を確認する方法を採用してもよい。
本発明において形質転換に用いられる植物としては、イネ、ムギ、トウモロコシ、ネギ、ユリ、ラン等の単子葉植物、タバコ、シロイヌナズナ、ダイズ、ナタネ、トマト、バレイショ、キク、バラ、カーネーション、ペチュニア、カスミソウ、シクラメン等の双子葉植物などの植物が挙げられ、特に限定はされない。好ましくは、本発明のDNAが単離されたイネ科の植物、例えば、イネ、オオムギ、コムギ、トウモロコシ、サトウキビ、シバ、ソルガム、アワ、およびヒエなどの植物が挙げられる。
本発明において、形質転換の対象とする植物材料としては、例えば、根、茎、葉、種子、胚、胚珠、子房、茎頂(植物の芽の先端の生長点)、葯、花粉等の植物組織やその切片、未分化のカルス、それを酵素処置して細胞壁を除いたプロプラスト等の植物培養細胞が挙げられる。またin planta法適用の場合、吸水種子や植物体全体を利用し得る。
また、本発明において形質転換植物体とは、植物体全体、植物器官(例えば根、茎、葉、花弁、種子、果実等)、植物組織(例えば表皮、篩部、柔組織、木部、維管束等)、植物培養細胞のいずれをも意味するものである。
植物培養細胞を対象とする場合において、得られた形質転換細胞から形質転換体を再生させるためには既知の組織培養法により器官又は個体を再生させればよい。このような操作は、植物細胞から植物体への再生方法として一般的に知られている方法により、当業者であれば容易に行うことができる。植物細胞から植物体への再生については、例えば、以下のように行うことができる。
まず、形質転換の対象とする植物材料として植物組織又はプロトプラストを用いた場合、これらを無機要素、ビタミン、炭素源、エネルギー源としての糖類、植物生長調節物質(オーキシン、サイトカイニン等の植物ホルモン)等を加えて滅菌したカルス形成用培地中で培養し、不定形に増殖する脱分化したカルスを形成させる(以下「カルス誘導」という)。このように形成されたカルスをオーキシン等の植物生長調節物質を含む新しい培地に移しかえて更に増殖(継代培養)させる。
カルス誘導は寒天等の固型培地で行い、継代培養は例えば液体培養で行うと、それぞれの培養を効率良くかつ大量に行うことができる。次に、上記の継代培養により増殖したカルスを適当な条件下で培養することにより器官の再分化を誘導し(以下、「再分化誘導」という)、最終的に完全な植物体を再生させる。再分化誘導は、培地におけるオーキシンやサイトカイニン等の植物生長調節物質、炭素源等の各種成分の種類や量、光、温度等を適切に設定することにより行うことができる。かかる再分化誘導により、不定胚、不定根、不定芽等が形成され、更に完全な植物体へと育成させる。あるいは、完全な植物体になる前の状態(例えばカプセル化された人工種子、乾燥胚、凍結乾燥細胞および組織等)で貯蔵等を行ってもよい。
本発明の形質転換植物体は、形質転換処理を施した再分化当代である「T1世代」のほか、その植物の種子から得られた後代である「T2世代」、薬剤選抜あるいはサザン法等による解析によりトランスジェニックであることが判明した「T2世代」植物の花を自家受粉して得られる次世代(T3世代)などの後代植物をも含む。
以上、説明したように、本発明に係る維管束特異的プロモーターは、例えば、特定の遺伝子を単子葉および双子葉植物の維管束組織において特異的に発現させる際に新規なプロモーターとして広範に使用することができる。すなわち、本発明に係る維管束特異的プロモーターは、分類学的に広い範囲の植物において使用することができる。
特に、維管束は、植物において根、茎、葉を貫通する植物体の連続した構造であり、同化・吸収した物質の通路として重要な役割を担っている。維管束は、根から吸収した物質の通路であり、塩や様々な化学物質など土壌環境に最初に影響を受ける。植物の中にはこのような物質に耐性を示し、厳しい環境下で生育できる種や系統、品種がある。このような植物のもつ化学物質を分解する酵素や排出を促すトランスポーター等の遺伝子は、環境浄化、あるいは作物の生育に適さない環境で生育可能な作物の作出に有用である。このように、本発明に係る維管束特異的プロモーターは、植物のもつ化学物質を分解する酵素や排出を促すトランスポーターをコードする遺伝子を維管束に特異的に発現させる際に好適である。
さらに、植物病理学的な見地から、維管束系はある種の植物病原細菌(イネ白葉枯れ病菌、ナス科植物青枯れ病菌、トマトかいよう病菌など)の攻撃を受ける組織と言える。これらの病原菌は植物の葉や根の傷口から侵入した後、維管束系に到達し、その導管内などで増殖し、発病させ、やがて植物を枯らす。また維管束系から植物の汁を吸うタイプの害虫も見られる。このような病虫害に強い植物には、抗菌性物質や天然の昆虫の忌避物質を産生するものがある。したがって、本発明に係る維管束特異的プロモーターは、抗菌性物質や昆虫の忌避物質の産生に寄与する遺伝子を維管束に特異的に発現させる際にも好適である。このような遺伝子を維管束に限定して発現させることは、従来の植物全体での発現(構成的発現)よりも無駄が少なく効率的である。
さらにまた、近年、遺伝子組換え技術を利用した画期的な園芸植物の作出は注目を浴びており、今後も様々なバリエーションを示す形質が望まれている。花卉の中には維管束組織に色素が現われる、あるいは色素が抜けることにより、美麗な模様を呈するものがある。本発明に係る維管束特異的プロモーターを利用することによって、アントシアニンなどの色素合成遺伝子を維管束系に特異的に発現させることができ、園芸的価値のある品種を作出できると期待される。
以下、実施例を用いて本発明をより詳細に説明するが、本発明の技術的範囲はこれら実施例に限定されるものではない。
〔実施例1〕イネD型サイクリン遺伝子プロモーター配列の単離および形質転換用ベクターへの導入
(1)プロモーターの単離
OsCycD遺伝子のATG開始コドン(+1)から2.4kbの5’上流域〔0.2kbの5’-UTRを含む〕のDNA断片を以下のようにして単離した。
配列番号4に示す塩基配列を有するイネD型サイクリンOsCycD 完全長cDNA〔DDBJ(http://www.ddbj.nig.ac.jp): アクセッション番号AB080248〕のコード領域の5’上流域に位置するプロモーター配列の単離をゲノミックPCR法にて行った。イネ(品種:日本晴)カルスよりDNeasy Plant Mini Kit(キアゲン社)を使って抽出したゲノムDNAを鋳型とし、DDBJ(http://www.ddbj.nig.ac.jp: アクセッション番号AP005755およびAP008215)に登録されているイネゲノム配列情報から設計されたプライマーOsCycDProF3[5’- ACAtctagatatcTAGGCATAGTTTGAACGTGTGG-3’(小文字部はXbaIとEcoRV制限酵素認識部位):配列番号6]とOsCycDProR1 [5’- GCAcccgggAGGCCGCCATCTCGTAGCTCGTC -3’(小文字部は、SmaI(=XmaI)制限酵素認識部位):配列番号7]をプライマーとして用い、PCRを行った。OsCycD遺伝子のゲノム配列および完全長cDNAの配列情報から予測される翻訳開始コドンATG(配列番号1における2421〜2423番目の塩基配列に相当)のAの位置を+1、ひとつ前の塩基の位置を-1とすると、プライマーは、OsCycD遺伝子の-2420位から+33位に位置する2453塩基対の配列(配列番号1)を増幅するように設計した。また、プライマーは増幅断片のクローニングを容易にするため、増幅断片の5’末端および3’末端に、それぞれ唯一のXbaI-EcoRVおよびSmaI制限酵素認識部位を導入した。配列番号7のOsCycDProR1プライマーのSmaI認識部位は、pSMAK193-GUSベクターのGUS遺伝子上流のXmaI認識部位につないだ場合、GUS遺伝子のATGがOsCycD遺伝子のコード領域(N末端配列)とインフレームになるように設計した。
PCR後、増幅断片(約2.4kb)をpSMAK193-GUSベクターのGUS遺伝子上流のXbaIおよびXmaI部位にクローニングした。これをpSMAK193-OsCYCD GUSと命名した。このpSMAK193-OsCYCD GUSにおけるインサート(OsCycDプロモーターカセット)の塩基配列を解読し、上記の登録イネゲノム配列情報と同一であることを確認した。配列番号1にその塩基配列を示す。
以上のイネ遺伝子プロモーター配列のクローニング手順を図1に示す。
(2)植物形質転換用バイナリーTiプラスミドベクターの構築
上記のプロモーター配列をイネに導入するために、植物形質転換用バイナリーTiプラスミドベクターpSMAK193-GUSおよびpSMAHdN627-M2GUSを用いた。図1に示すように、pSMAK193-GUSにはT-DNA上に植物用選抜マーカー遺伝子として、アグロバクテリウムTiプラスミド由来nos(ノパリン合成酵素)遺伝子プロモーター(以下Pnos)::大腸菌由来カナマイシン耐性遺伝子のコード領域(nptII)::Tiプラスミド由来nosターミネーター(Tnos)を配置し、形質転換された植物体がカナマイシン耐性を示すようになっている。同じく図1に示したpSMAHdN627-M2GUSのT-DNA上には植物用選抜マーカー遺伝子として、Pnos::大腸菌由来ハイグロマシン耐性遺伝子のコード領域(hpt)::Tiプラスミド由来iaaM(トリプトファンモノオキシゲナーゼ)遺伝子ターミネーター(TiaaM)を配置し、形質転換された植物体がハイグロマイシンBに耐性を示すようになっている。また、それぞれのベクターの選抜マーカー遺伝子の隣接部位にはプロモーター解析用のベータ・グルクロニダーゼ(GUS)遺伝子を以下のように配置した。pSMAK193-GUSでは、GUS遺伝子のコード領域::リブロース1,5-二リン酸カルボキシラーゼ/オキシゲナーゼ小サブユニット(RbcS)遺伝子のターミネーター(TRbcS)から構成されるキメラ遺伝子を配置し、GUS遺伝子の5’上流側にプロモーター配列を挿入できるようにマルチクローニング部位を設けた。pSMAHdN627-M2GUSでは、GUS遺伝子のコード領域::nosターミネーターから構成されるキメラ遺伝子を配置し、GUS遺伝子の5’上流側にプロモーター配列を挿入できるようにマルチクローニング部位を設けた。また、いずれのベクターにおいてもleft border(LB)配列とright border(RB)の配列の外側には、微生物細胞で機能し得るスペクチノマイシン耐性(SpR)遺伝子、大腸菌で機能するpBR322由来(ColE1型)複製開始領域、アグロバクテリウムにおいて機能する複製開始領域rep、およびプラスミドの安定保持に関与するsta配列を設けた。
(3)バイナリーベクターへのプロモーター配列の導入
図1に示すように、プロモーター配列をクローニングしたpSMAK193-OsCYCD GUSベクターを、XbaIとPmeI、SpeIとPmeI、およびBglIIとPmeIの3通りの制限酵素の組み合わせで二重消化した。得られた3種類のDNA断片、すなわちOsCycDプロモーター(2453 bp、配列番号1)::GUS::TRbcS、OsCycDプロモーター(1831 bp、配列番号2)::GUS::TRbcS、およびOsCycDプロモーター(953 bp、配列番号3)::GUS::TrbcS断片を、それぞれXbaIとPmeI、XbaIとPmeI、およびBglIIとPmeIの組み合わせで二重消化したpSMAHdN627-M2GUSベクターに組み込み、同ベクター上のGUS::Tnos断片と置き換えた。これらをpSMAHdN732XP-OsCYCDGUS、pSMAHdN732SP-OsCYCDGUS、pSMAHdN732BP-OsCYCDGUSと命名し、バイオラッド社のE. coliパルサーを用いたエレクトロポレーション(0.2 cmキュベット、パルス条件:2.4 kV/cm、25 μF、200 Ω)により、アグロバクテリウムEHA105系統に導入した。
[実施例2] 形質転換
イネの形質転換
イネの形質転換は超迅速形質転換法〔WO 01/06844 A1 (2001)参照〕に準じて行った。イネ(品種:日本晴)種子を、70 %エタノール、続いて次亜塩素酸ナトリウムで殺菌し、滅菌蒸留水ですすいで水を切った後、胚が上向きになるようN6D寒天培地〔N6 塩類およびビタミン〔Sci. Sinica, 18, 659-668 (1975)〕、30g/Lショ糖、0.3g/Lカザミノ酸、2.8g/Lプロリン、2mg/L 2,4-D、4g/Lゲルライト、pH5.7〕に置床し、30℃かつ明条件下で5日間培養した。
一方、OsCycD遺伝子プロモーター断片を挿入した上述のプラスミドpSMAHdN732XP-OsCYCDGUS、pSMAHdN732SP-OsCYCDGUS、pSMAHdN732BP-OsCYCDGUSをそれぞれ保持するアグロバクテリウムEHA105系統を、25mg/Lクロラムフェニコール、12.5mg/Lリファンピシンおよび100mg/Lスペクチノマイシンを含むLB寒天培地にて28℃で3日間培養した。続いて増殖した菌体をミクロスパーテルで少量かきとり、20mg/Lアセトシリンゴンを含むAAM液体培地〔Plant J., 6, 271-282 (1994)〕に懸濁した。このアグロバクテリウム懸濁液に、N6D培地で5日間培養したイネ発芽種子を浸し、菌液をよく切ったあと、20mg/Lアセトシリンゴンを含むAAM寒天培地に置床し、25℃の暗条件下で3日間培養した(共存培養)。共存培養後のイネ発芽種子を滅菌水、続いて500mg/Lカルベニシリンを含む滅菌水で洗浄し、滅菌ろ紙上で余分な水分を切った後、胚乳、根およびシュート上部を除去して残った組織(シュート基部)を500mg/Lカルベニシリンおよび30 mg/LハイグロマイシンBを含むN6D寒天培地に置床し、30℃の明条件下で14日間培養した。
その後、成長してきたハイグロマイシン耐性カルスを、組換え体再分化および選択培地〔植物体再分化培地:MS 無機塩類およびビタミン(Physiol. Plant, 15, 473-497 (1962))、 30g/Lショ糖、30g/Lソルビトール、2g/Lカザミノ酸、0.02mg/L NAA、2mg/Lカイネチン、4g/Lゲルライト、pH5.8〕に、300mg/Lカルベニシリン+30mg/LハイグロマイシンBを添加したもの〔Plant Mol. Biol. Rep., 15, 16-21 (1997) 参照〕に移し、30℃かつ明条件下で14日間培養し、さらにこの操作をもう一度繰り返し、ハイグロマイシン耐性を有する植物体を再分化させた。このようにして得られた再分化個体をMSホルモンフリー寒天培地〔MS無機塩類およびビタミン(前掲)、30g/Lショ糖、4g/Lゲルライト、pH5.8〕に移植し、30℃の明条件下で1〜2週間生育させ、シュート(地上部)の伸長、および発根とその伸長を促した。シャーレ(直径9cm)内で形質転換体のシュートおよび根の長さが約10cmあるいはそれ以上の長さに到達した際、培養土に移植し、遺伝子組換え体育成用グロースチャンバーにて明期14時間(30℃)および暗期10時間(25℃)のサイクルでさらに生育させた。
シロイヌナズナの形質転換
シロイヌナズナの形質転換はin planta(floral dip)法によりおこなった〔Plant J., 16, 735-743 (1998)〕。pSMAHdN732XP-OsCYCDGUSおよびpSMAHdN732BP-OsCYCDGUSを保持するアグロバクテリウム2系統を、それぞれ25mg/Lリファンピシン、および100mg/Lスペクチノマイシンを含むLB液体培地にて28℃で一晩培養し、菌体を集め、5%ショ糖、0.025% SILWET L-77溶液に再懸濁させ、シロイヌナズナ(エコタイプ: Columbia)の開花前の鉢植え植物の花序を浸した。この植物(T0世代と呼称)より得られたT1後代種子を選択培地〔MS 無機塩類(前掲) およびB5ビタミン〔Exp. Cell Res., 50, 151-158 (1968)〕、 20g/Lショ糖、25mg/Lハイグロマイシン、9g/L寒天、0.5g/L MES(2-(N-morpholino)ethanesulfonic acid)、pH 5.7〕に播種し、ハイグロマイシン耐性を有する植物体を得た。
タバコの形質転換
タバコの形質転換はHorschら(1985)によるリーフディスク法〔Science, 227, 1229-1231 (1985)〕に基づいて行った。約1ヶ月齢のタバコ(Nicotiana tabacum cv. SR1)の葉から切り出したリーフディスクを、カルス/シュート誘導培地〔0.1mg/L IAA、1mg/L BA、MS 無機塩類(前掲)およびB5ビタミン(前掲)、 30 g/Lショ糖、50 mg/Lカナマイシン、8 g/L 寒天、0.5 g/L MES、pH 5.7〕上で2日培養し、pSMAK193-OsCYCD GUSを保持するアグロバクテリウムEHA105菌液(シロイヌナズナの場合と同様に培養し、1%ショ糖、0.02% SILWET L-77に再懸濁)に浸し、更に2日間培養した後、50mg/Lカナマイシンを含むカルス/シュート誘導培地に移し、2〜4週間培養して再分化させた。
[実施例3] 植物組織切片の作製とGUS染色による導入遺伝子の発現の観察
イネ、シロイヌナズナおよびタバコに導入したOsCycD遺伝子プロモーターの活性を観察するため、GUS酵素活性の組織化学的染色を実施した。実験に用いた植物器官・組織材料のうち、花器官および根については植物体から組織片として切り取り、カルス(培養細胞)の場合はカルス塊から一部を切り出し、そのままGUS活性測定用の反応液〔50mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.0)、1 mM 5-bromo-4-chloro-3-indolyl-β-D-glucuronide(X-Gluc)、5%(v/v)メタノール、10mg/Lシクロヘキシミド、1mMジチオスレイトール〕に浸漬し減圧吸引した後、37℃で穏やかに振盪しながら24時間置いた。その後、100%エタノールで反応液を置換して反応を停止し、さらに緑色組織の細胞より葉緑素が除去されるまで100%エタノールを交換しながら振盪した。
次にエタノールを70%グリセロールで置換した後、実体顕微鏡あるいは光学顕微鏡で染色パターンを観察した。
その結果、イネの葉身、根、花器およびラミナジョイントの維管束で活性が観察された(図2A)。シロイヌナズナでは、子葉、胚軸、根、ロゼット葉、花序、花器の維管束でGUS活性が観察された(図2B)。タバコにおいても、子葉、胚軸、根、茎、側芽の維管束に活性が観察された(図2C)。
In situ ハイブリダイゼーション
イネの各種分裂組織におけるOsCycD遺伝子の転写産物の検出は、農業生物資源研究所発行の「In situ ハイブリダイゼーション2004」に従って実施した。
播種50日目のイネの茎頂分裂組織とその周辺、および幼穂形成時のイネにおいて、苞原基分化期の茎頂分裂組織と幼葉、二次枝梗原基分化初期の分げつ原基、さらに二次枝梗原基分化期の幼穂とその周辺組織を切り出し、4%パラフォルムアルデヒドと0.25%グルタルアルデヒドを含むリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.2)で固定し、パラフィン包埋してパラフィン切片を作製した。OsCycDのコード領域(配列番号4)をクローン化したpZErO-2ベクター(インビトロジェン社製)を鋳型に、DIG RNAラベリングミックスとT7 RNAポリメラーゼ、あるいはSP6 RNAポリメラーゼ(共にロシュ・ダイアグノスティックス社製)を用いてDIG標識反応を行い、アンチセンス鎖(OsCycD mRNAとハイブリダイズ)およびセンス鎖(ネガティブコントロールとして使用)の2種のDIG標識RNAプローブを作製した。これらDIG RNAプローブを上記の各イネ組織切片に対して個別にハイブリダイズさせ、アルカリフォスファターゼ(AP)標識抗DIG抗体(ロシュ・ダイアグノスティックス社製)を用いた発色反応によりシグナルを検出した。
In situ ハイブリダイゼーションの結果を図3に示す。図3において、(A)はアンチセンスプローブを使用してin situ ハイブリダイゼーションを実施したイネの茎頂周辺の縦断切片を示す写真であり、(B)はセンスプローブを用いてin situ ハイブリダイゼーションを実施したイネの茎頂周辺の縦断切片を示す写真である。図3において、(C)はアンチセンスプローブを使用してin situ ハイブリダイゼーションを実施したイネにおける、苞原基分化期の幼葉の縦断切片を示す写真であり、(D)は(C)に示す写真において黒枠で囲った領域を拡大した写真である。図3において、(E)はアンチセンスプローブを使用してin situ ハイブリダイゼーションを実施したイネにおける、二次枝梗原基分化初期の分げつ原基の縦断切片を示す写真である。図3において、(F)はアンチセンスプローブを使用してin situ ハイブリダイゼーションを実施したイネにおける、二次枝梗基分化初期の幼穂の横断切片を示す写真であり、(G)はセンスプローブを使用してin situ ハイブリダイゼーションを実施したイネにおける、二次枝梗原基分化初期の幼穂の横断切片を示す写真である。
イネ植物体(播種50 日)の葉原基形成予定域と幼葉および苞原基、二次枝梗原基の維管束の形成予定域と見られる場所でシグナルが観察された(図3)。
図3の(A)〜(G)に示した結果から、OsCycD遺伝子のATG開始コドンから0.9kb上流域までの中に、イネの維管束形成域で特異的な発現誘導活性を有するプロモーターが含まれていることが明らかになった。
本発明で用いた植物形質転換用バイナリーTiプラスミドベクター:pSMAHdN627-M2GUSとpSMAK193-GUSの構造、およびイネOsCycD遺伝子プロモーターのクローニング手順を示す。図中、SpRはスペクチノマイシン/ストレプトマイシン耐性遺伝子、nptIIはカナマイシン耐性遺伝子、staはシュードモナス(Pseudomonas)プラスミドpVS1由来のプラスミド安定維持に関与する領域、repはアグロバクテリウム(Agrobacterium)で機能する複製開始点および複製開始タンパク質repAコード領域、ColE1 oriはpBR322由来ColE1複製開始点、TiaaMはアグロバクテリウムiaaM遺伝子のポリA付加配列(ターミネーター)、TRbcSはシロイヌナズナRbcS-2B 遺伝子のポリA付加配列(ターミネーター)である。 OsCycD遺伝子プロモーターを導入したイネから調製した各植物材料におけるGUS染色結果を示す。図中、“2.4kb”はpSMAHdN732XP-OsCYCDGUS(2453bp、配列番号1を含む)を、“0.9kb”はpSMAHdN732BP-OsCYCDGUS(953bp、配列番号3を含む)を用いた結果を意味する。 OsCycD遺伝子プロモーターを導入したシロイヌナズナから調製した各植物材料におけるGUS染色結果を示す。図中、“2.4kb”はpSMAHdN732XP-OsCYCDGUS(2453bp、配列番号1を含む)を用いた結果を意味する。 OsCycD遺伝子プロモーターを導入したタバコから調製した各植物材料におけるGUS染色結果を示す。図中、“2.4kb”はpSMAHdN732XP-OsCYCDGUS(2453bp、配列番号1を含む)を用いた結果を意味する。 OsCycD遺伝子転写部位を示すin situハイブリダイゼーションの結果を示す。(A)および(B)におけるスケールバーは200mmを意味し、(C)〜(G)におけるスケールバーは100mmを意味する。

Claims (7)

  1. 以下の(a)、(b)又は(c)に示す、プロモーターとして機能しうるDNA。
    (a)配列番号1乃至3いずれか1に示す塩基配列からなるDNA
    (b)配列番号1乃至3いずれか1に示す塩基配列において、1若しくは数個の塩基が欠失、置換若しくは付加された塩基配列からなり、かつ目的遺伝子を維管束で特異的に発現させるプロモーター活性を有するDNA
    (c)配列番号1乃至3いずれか1に示す塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ目的遺伝子を維管束で特異的に発現させるプロモーター活性を有するDNA
  2. 単子葉植物内におけるラミナジョイント維管束系にも発現誘導活性を示すことを特徴とする請求項1記載の維管束特異的プロモーター。
  3. 請求項1又は2記載の維管束特異的プロモーターを含む組換えベクター。
  4. さらに外来遺伝子又は外来DNA断片を含むことを特徴とする請求項3記載の組換えベクター。
  5. 請求項3又は4記載の組換えベクターを有する形質転換体。
  6. 請求項1又は2記載の維管束特異的プロモーターと、当該維管束特異的プロモーターによって発現制御される位置に配された遺伝子とを植物宿主細胞に導入する工程と、上記維管束特異的プロモーターおよび上記遺伝子を導入した植物宿主細胞から植物体を育成する工程とを含み、上記植物体における維管束に特異的に上記遺伝子を発現させる、遺伝子発現調節方法。
  7. 上記植物体が単子葉植物であり、上記遺伝子をラミナジョイント維管束系において発現させることを特徴とする請求項6記載の遺伝子発現調節方法。
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