JP2006245563A - 真空処理装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】裏面異物を低減し、ウェハに対する載置台からの異物転写の少ない、プラズマ処理方法及び装置を提供する。
【解決手段】試料台2の基板1外周部に対応する位置に表面が滑らかな環状の漏洩防止面3を設け、さらに前記基板外周部に対応する位置と該基板の中心に対応する位置の間に、該基板との接触保持部20を複数個設け、前記環状の漏洩防止面及び接触保持部と基板裏面とを接触させて係止する静電吸着手段を設けた。基板1は環状の漏洩防止面3及びその内側に位置する接触保持部20により冷却面と接する。しかし、残りの大部分の領域において、基板裏面と冷却面が接触していない。
【選択図】図3
【解決手段】試料台2の基板1外周部に対応する位置に表面が滑らかな環状の漏洩防止面3を設け、さらに前記基板外周部に対応する位置と該基板の中心に対応する位置の間に、該基板との接触保持部20を複数個設け、前記環状の漏洩防止面及び接触保持部と基板裏面とを接触させて係止する静電吸着手段を設けた。基板1は環状の漏洩防止面3及びその内側に位置する接触保持部20により冷却面と接する。しかし、残りの大部分の領域において、基板裏面と冷却面が接触していない。
【選択図】図3
Description
本発明は、基板を冷却する必要のある基板処理プロセスを確実にするための、基板保持方法及び基板保持装置に関する。
基板処理装置において、基板を冷却する必要がある装置には、プラズマ処理装置として、スパッタ装置、ドライエッチング装置、CVD(Chemical Vapor Deposition)装置などがあり、また、高エネルギイオン打ち込みを行う装置等、多くの装置がある。これらの装置では、処理雰囲気が真空であることが多く、熱の伝わり方が低下するため,大気中のように冷却面に基板を接触させて冷却することが困難となっている。真空(希薄気体)中での熱伝導の問題は、種々の文献で論じられているが、通常の接触面同士が接触しても真の接触面積が小さいことなどから、接触による熱伝導量は小さい。特に、基板と冷却面との熱伝導では、基板を強く冷却面に押し付けることは基板の破損の面から困難である。そのため、基板が接触する面に柔らかなエラストマーを用いるなどの工夫が行われていた。しかし、基板の熱負荷が増加したり、さらに低温に基板を冷却する必要がでてきたため、最近では、基板と冷却面の間にガスを導入し、ガスを媒体として基板の冷却を行うことが主流となっている。
ガス冷却の基板保持装置にも種々の方式がある。大きく分けて、(1)基板の裏面と冷却面が接触しており、両者の表面粗さに起因して生じている隙間を通じて冷却ガスを導入しガス冷却する方式、(2)基板裏面と冷却面の間に冷却ガスを導入することは同じであるが、両者が接触していない方式、に分類できる。
前者に該当する従来例としては、例えば特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4、特許文献5がある。また、(2)の例としては、例えば特許文献6、特許文献7、特許文献8等がある。また、冷却ガスを導入する前は、基板裏面と冷却面が接触しているが、冷却ガスを導入したことによるガス圧で基板が浮き上がり、冷却中は基板と冷却面が接していない特許文献9の様な例もある。
これらの冷却において、ある特定の冷却ガスを使用するとして、冷却ガスによる冷却能力(熱通加量の大小)は、冷却ガス圧力及び基板裏面と冷却面の距離(基板裏面のギャップ)に依存する。冷却ガスの圧力が低い場合は熱通加量が冷却ガス圧力に比例し、両面の間隙の大小(ギャップ)には依存しない。真空中における熱伝導特性を模式的に図7に示す。冷却ガスの平均自由行程とギャップがほぼ一致する程度の圧力P0以上に冷却ガス圧力が高い場合は、熱通加量はほぼ一定となり、ガス圧力に依存しなくなる。上記の例では、冷却ガス圧力は(1)の例では熱通加量が圧力に比例する領域、(2)の例は熱通加量が圧力に依存しない領域、であることが多い。
以下、各種の基板の冷却方法の特徴と問題点について述べる。
はじめに基板と冷却面が接触したままで冷却する場合について述べる。この例に属するものは、特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4、特許文献5である。この種の冷却方法では、基板と冷却面は接触しているが、詳細に見ると冷却面表面の最も凸の部分で基板と接する。冷却面及び基板の凹部は、互いに接しておらず、その間隙は各々の表面粗さにもよるが、およそ10μmから50μm程度である。冷却ガスをその間隙に導入する場合、その圧力は数トール(Torr)程度であることが多く、平均自由行程とほぼ等しい領域である。したがって、図7に示したように、圧力を適切に設定することで、十分な冷却効率が得られる。ただし、特許文献1の図に示してあるように、冷却ガスの供給を特定の一箇所から行うと、冷却ガスは供給部で最も圧力が高く、基板の外周部に行くにつれ圧力が低下する。図7に示したように冷却効率に圧力依存性があるため、基板面内で圧力分布が生ずると、冷却効率に不均一さが生じ温度の均一性が損なわれるという問題がある。冷却ガスが漏れなければ、すなわちガスの流れがなければ、圧力分布は生ぜず、温度分布も均一になる。しかし、このようにするには、基板外周部をシールする必要がある。その例が、特許文献2や特許文献10である。また、冷却ガスの供給部を複数箇所から行い、基板裏面の圧力分布を均一化するようにしたのが特許文献3、特許文献11である。いずれにしても、これらの冷却方法においては、基板裏面と冷却面は広い面積で接触しており、基板裏面に冷却面に接触したことで付着する異物の数が多いという問題がある。また、基板外周部をシール材を用いて冷却ガスの漏れを防止するためには、シールに必要な荷重を負荷する必要があり、基板を何等かの方法で強く係止する手段が必要である。
次に、基板と冷却面を初めから接触しないようにし、その間隙に冷却ガスを供給して冷却する方法について述べる。この方法の従来例としては、基板表面あるいは側面から基板を冷却面に機械的に係止した特許文献8や特許文献12がある。これらの例は、機械的に基板を係止しているため、係止部から異物が発生し易いという問題がある。また、特許文献6や特許文献9は、特に基板の係止を行っておらず、基板の自重に頼っている。このような場合に、冷却ガスの漏れ量をあまり大きくしないようにしたり、基板が浮き上がらないようにするためには、冷却ガスの圧力を低く抑えなければならない。そのため、冷却効率が低下するという問題がある。
電気的に基板を係止する方法として、静電吸着が知られている。この方法で基板を冷却面に係止し、基板の内周部に突起を設けた例が特許文献13である。特許文献13の明細書の従来例として、基板外周部および内周部の複数個の分散して配された突起部でのみ基板と冷却面が接している電極が紹介されている。この従来例は、吸着ガスが漏れ易く吸着力が不安定になることがあるとしている。
その改良版として、外周部を突き出さず内周部にのみ突起部を設け、さらに、内周部の突起部を分散させず中央部に設けることが有効としている。この場合は、基板と冷却面の間隙が基板面内で不均一となり、基板裏面の圧力に差が生ずる。また、圧力分布がそれほど大きくないとしても、基板裏面と冷却面の間隙が異なると、冷却ガスの平均自由行程とその間隙の比が基板面内で分布を持つことになり、図7から分かるように冷却効率の違いが生ずるため、基板の温度分布が大きくなり易いという問題がある。また、この例で示されている静電吸着方式は、冷却部に正負の電極を設け、直流高電圧を印加して静電吸着するようになっている。このような静電吸着方式では、基板をプラズマ中で処理する際に基板に照射されるイオンや電子による基板表面の電荷量に不均一性が発生し易く、基板表面に電流が流れ、基板に損傷を与えるという問題が発生することもある。
このように、従来の技術は、基板を効率良く冷却することを重点に考えたものである。しかし、近年の半導体デバイスの集積度の増加により、従来以上に小さい異物や重金属汚染の低減を図ることが必要になっている。これは、基板裏面の異物付着についても同様である。基板裏面の異物付着量が多いと次の工程などで、裏面異物が隣接する基板の表側に付着したり、一旦基板から離れて別の基板に付着するなどの問題がある。このため、裏面異物の低減は、プロセスの安定化や歩留りの向上にとって、重要な課題である。基板の裏面に異物が付着するのは、他の部材と基板裏面が接触したときであり、基板冷却面との接触で多数の異物が付着する。
また、従来技術はウェハサイズに対する配慮について記載されておらず、極力小さな吸着力で冷却ガスが処理室に漏出して、プロセスに与える影響を少なくするとされているが、吸着力と冷却ガス圧力の相関については述べられていない。
本発明の目的は、上記裏面異物を低減し、ウェハに対する載置台からの異物転写の少ない、基板保持方法及び基板保持装置を提供することにある。
本発明の他の目的は、大口径ウェハにおける変形を押え、基板の冷却効率を十分高く維持することのできる基板保持方法及び基板保持装置を提供することにある。
本発明の他の目的は、基板の処理中に発生する基板損傷の防止を図ることのできる基板保持方法及び基板保持装置である。
本発明の他の目的は、静電吸着後、冷却ガス導入に当って、迅速にウェハ裏面全域に冷却ガスが充填され、生産性の高い、ウェハ温度制御ができる基板保持方法及び基板保持装置を提供することにある。
本発明の特徴は、試料台の基板外周部に対応する位置に表面が滑らかな環状の漏洩防止面を設け、さらに前記基板外周部に対応する位置と該基板の中心に対応する位置の間に、該基板との接触保持部を複数個設け、前記環状の漏洩防止面及び接触保持部と基板裏面とを接触させて係止する静電吸着手段を設けたことにある。
基板の裏面異物を低減するには、冷却面と基板との接触面積を減少させることが有効である。ただし、冷却面と基板裏面との距離は、冷却ガスによる冷却効率があまり低下しない程度に維持する必要がある。これを実現するには、冷却面にわずかな段差を設けて冷却ガスの導入の有無に拘らず基板裏面と冷却面が接触しないようにする。また、冷却面に設けた段差の凸部で、冷却面と基板裏面が接触するが、この面積は必要最少限とする。それは、冷却面に静電吸着機能を持たせ、冷却面凸部で基板を係止することにより達成される。
また、冷却ガスの漏洩防止も考慮しなければならないが、これは基板外周部に対応する冷却面に表面が滑らかな環状の凸部、すなわち漏洩防止面を設け、静電吸着により冷却面と基板裏面を接触させて係止し、冷却ガスの漏洩防止を図ることにより達成される。
更に、本発明は次の三つの特徴を有する。一つは、ウェハのハンドリングに関るプッシャ部に対して、異物輸送に対する解を与えている。載置台の内部に設備され、あるいは載置台を貫通して設備されるプッシャは、他の部材と接触して異物の発生源となる宿命を持っている。本発明では、余剰の冷却ガスがこの穴を通って載置台の裏側に流れる様になっており、ウェハとは反対方向に発生した異物を運ぶ仕組となっているので、ウェハへの異物付着を軽減できる。
他の特徴は、載置台裏面にカバーを設備し、載置台裏面の機構部をより長時間、反応生成物の付着から保護することにある。載置台の裏側は、冷媒の供給系統や載置台の上下機構等、複雑な機構が構成されるのが常であり、エッチングによる反応、生成物等がこの部分に付着すると取扱いが面倒である。これに対し、載置台裏面にカバーを設備し、このカバーの内側に冷却ガスの余剰ガスが流れ込む様にして、処理室の処理時の圧力よりカバー内の圧力を高めることにより、処理室での反応生成物がカバー内に入ることを抑制して、載置台裏面の機構部をより長時間、反応生成物の付着から保護することができる。
また、基板の損傷防止は、静電吸着の電気回路を基板側からプラズマを介して真空容器などのアース部に接続することにより、基板面内の電位差を最少にすることで達成される。
本発明によれば、基板は環状の漏洩防止面及びその内側に位置する接触保持部により冷却面と接する。しかし、残りの大部分の領域において、基板裏面と冷却面が接触していないので、接触に起因する異物付着を防止できる。また、基板の冷却は、基板と冷却面が接触しているときに比較すると、同じ冷却ガス圧力では若干冷却効率が低下するが、冷却面の段差を冷却ガスの平均自由行程の100倍程度以下にすることで十分な冷却効率が得られる。さらに、基板と冷却面を全面的に接触させている従来の冷却方法に比較すると、基板裏面と冷却面間のギャップが大きい。このため、両面間のコンダクタンスが大きくなり、冷却ガスの供給および排気が容易に行われる、すなわち冷却ガスの給排気時間が短くなり、基板処理時間を短縮することもできる。さらに、基板外周部と冷却面の接触部のコンダクタンスは、基板内周部の非接触部に比較すると非常に小さく(分子流領域では間隙の二乗に比例する)、非接触部での圧力差が小さくなる、すなわち冷却効率が一様になるという作用もある。
冷却ガスを媒体としてウェハを温度制御する時、必要な冷却ガスの圧力は2Torr以上が必要で、この圧力は高いほど熱伝達の効率は良くなる。一方、静電吸着力は、制御しようとするウェハの温度に大きく依存し、現状実用化されているプロセスでは、−60℃〜+150℃程度であり、汎用的な印加電圧300〜1000Vの下で安定して得られる吸着力は40〜100gf/cm2である。冷却ガスの圧力制御については、ガス供給系の時定数やウェハと載置台と接触面の粗さの相対関係等によって大きく変動するために、精密に圧力を制御することは困難である。従って、例えば10Torr±5Torr程度の制御になる。
これらを前提に前記公知例と対比して見ると、先ず接触すべき位置について少なくともウェハ外周辺を吸着とあるが、ウェハ外周辺を支持して、裏面に圧力10Torrでガスを充填するとウェハの変形量は0.1〜0.25mmも変形する。この値は、ウェハのエッチング加工精度を損うと共に、冷却ガスによる熱伝達効率も小さくなるので、この問題を解決するためにはウェハの外周辺の他にウェハサイズによって、例えば6″の場合は1周、8″の場合は2周等、ウェハのセンタ寄りに吸着部を別に設けることによって、この変形を防止することができる。
又、ウェハを他の部材と接触させると、必ずその部分に異物が付着することは周知であり、この観点から考えると静電吸着面は小さい方が良いことは明白である。しかし乍ら、前述した如く、圧力制御レベル、吸着力とを考え合せると、現状の技術レベルでは吸着面積をウェハの全面積の約1/2以下とするのが妥当である。何故なら、静電吸着力が40gf/cm2の時、8″ウェハで1/2吸着の時全吸着力は約6280gfであるのに対し、冷却ガスに圧力15Torrによる剥離力は、約6190gfとなるからである。
更に、載置台の裏側に貫通する穴の中にウェハ搬送に供するプッシャを設けることにより、プッシャ部で発生した異物をウェハとは反対側に運ぶためのキャリヤガスとして余剰の冷却ガスが作用し、ウェハへの異物付着を防止し、加えて、当該余剰の冷却ガスは、載置台裏側のカバー内に導入され、カバー内圧力を処理室圧力により高めて載置台裏側の機構部の汚染、生成物の付着を抑制する。
本発明によれば、基板の冷却を確実に実施したうえで、基板裏面に付着する異物の量を低減することができる。また、基板の係止を静電吸着で行っているため、基板の表側で基板と接触するような基板係止治具を使用する必要がなく、基板表側の異物低減も達成できる。また、基板表側における基板の処理が、基板係止治具のために阻害されることがなく、基板全面で実施されるという効果もある。これにより、裏面異物の低減による基板処理の歩留り向上が図れる。また、基板表側の異物も低減でき、さらなる歩留り向上と、基板一枚から取れるデバイスチップ数の増加も図れるという効果がある。
さらに、従来の静電吸着電極に起因する基板損傷も発生せず、この面からの歩留り向上が図れという効果がある。
[実施例]
本発明の第一の実施例を説明する。まず図1に、基板1を支持部材2に係止するための静電吸着回路を示す。基板1の処理として、マイクロ波プラズマエッチング装置を例にとり説明する。基板1が載置された基板保持装置9が、エッチング室10に設置されている。エッチング室10は、真空ポンプ11により排気され、ガス供給部からエッチングに必要なガスが供給される。基板保持装置9には、高周波電源12、直流電源13が接続されている。マイクロ波は、導波管14を通って石英窓15からエッチング室10に導入される。高周波電源12が動作あるいはマイクロ波が導入されると、エッチング室10にプラズマ17が発生する。このとき、直流電源13の電位により、基板保持装置9、基板1、プラズマ16を介して静電吸着回路17が形成される。この状態で基板1は基板保持装置9、すなわち図2の基板支持部材2に生じさせる静電気力により係止される。
図2は、本発明の基板保持方法により基板を保持するための基板保持装置9の断面を示したものである。基板1が基板の支持部材2の凸部3に載せられ、かつ支持部材2の凸部3は静電吸着回路(後述)に接続されており、凸部3で基板1は支持部材2に係止される。支持部材2には、基板1を冷却するための冷媒4を流す流路が設けられている。模式的に示した供給部5から冷媒が供給され、排出部6から取り出され、支持部材2の温度をコントロールする。また、支持部材2の中央には冷却ガス7の流路が設けられており、冷却ガス7の供給及び排気を行う。基板1の温度コントロールは、支持部材2の凹部8に充填された冷却ガス7が温度コントロールされた支持部材2と基板1の熱伝導を担うことにより達成される。静電吸着力は、支持部材2の表面に貼付あるいは形成された誘電体18によって発生される。
誘電体18としては、例えば、酸化アルミニウム、酸化アルミニウムにチタン酸化物を混合したものなどを使用することができる。また、静電気力を発生させるための直流電圧としては、数100ボルトを印加する。このようにして、図2の支持部材2の凸部3に基板が静電吸着される。静電吸着のための電位は、直流電源13により印加されたが、支持部材2において一様な電位であり、凸部3においても同様で、基板1の外周部は一様な電位となっている。そのため、基板1の面内にて発生する電位差は、基板1に照射された電子やイオンの分布に起因するものであり、基板1に損傷を与えるほどの高電位差は発生しない。それに対し、支持部材2の中に、正負の電極を形成し、その電極で静電吸着する場合は、基板1に高電位差が発生する可能性があり、基板の損傷となる恐れがある。
さて、このようにして係止された基板1の裏面に、冷却ガス7が供給される。冷却ガス7は、支持部材2の凹部8に充填されるが、その圧力は、数トールから数10トールの範囲とする。また、凹部8のギャップは、15μmから0.1ないし0.2mmとすれば、冷却効率の低下も無視できるほどとなる。すなわち、パーティクルや表面荒さを考慮すると、少なくとも、15μmのギャップが必要である。また、ガスの熱伝導率を考慮すると、0.2mmが上限である。
支持部材2は、冷媒4で冷却され温度コントロールされている。したがって、凹部3の支持部材面で冷却された冷却ガス7は、直接あるいは何回か他の冷却ガスに衝突しながら基板1に達する。基板1に達した冷却ガスは、基板1からエネルギーを得、すなわち基板1を冷却し、再び支持部材側に戻り、というサイクルを繰り返しながら基板1を冷却する。冷却ガス7の圧力が、凹部3のギャップに対応する平均自由行程を有する圧力より十分高い場合は、上記のガス分子の挙動の他に、ガス分子同士が衝突してエネルギーの授受を行いながら、基板1の熱エネルギーを支持部材2の冷却面に運ぶ現象も多くなる。しかし、本発明の範囲おける熱エネルギーの輸送は、冷却ガス7を媒体とした熱伝導である。たとえば、別に設けられた冷却部で冷却ガス7を予め冷却して基板1の裏面に対流させ、そのガスの熱容量によって基板を冷却するものではない。このような条件が満たされる凹部3のギャップ、冷却ガス7の圧力とする。
なお、冷却ガス7と支持部材3の間のエネルギーの授受の割合は、熱適応係数と呼ばれる値で表される。この熱適応係数は、冷却ガスの種類、部材の表面状態(汚染の状況など)に依存する。基板1と冷却ガス7との間も同様である。冷却ガス7としては、漏れてもあまりエッチング特性に影響を及ぼさないことや、冷却ガス7の給排気時間が他のガスより短くできることなどから、ヘリウムが用いられる。しかし、そのほかに、窒素、アルゴン、あるいはエッチングガスなど、冷却効率は変わるが、特に限定されるべきものではない。
さて、冷却ガス7の仲介により、基板1は十分に冷却されることとなった。さらに、基板1は、凸部3のみで支持部材2と接している。基板裏面に他の部材との接触により発生する異物がつく可能性があるのは、この凸部3に対応する基板裏面のみとなる。また、もしも、支持部材2が基板1より大きい面積を有し、図2に示した基板1の外側にも面がある場合は、その外側の面にプラズマが照射されてエッチングが起こることや、基板1のエッチング反応生成物が付着することなどのために、その面を介して異物が基板1の表側に付着することになる。
その意味において、図2は、基板1より支持部材2を小さくしたものである。しかし、本発明における裏面異物を低減するという効果は、基板1より支持部材2が大きくても損なわれるものではない。
次に本発明の他の実施例を図3に示す。図3の実施例も基本的には図1の例と同じであるが、基板1の受渡しのためのプッシャー19を設けたものである。プッシャー19の上下により、基板1は支持部材2から受け渡される。プッシャー19は、基板1の処理のたび毎に上下しなければならない。すなわち、支持部材2とは独立に動く必要がある。そのため、支持部材2とプッシャー19との間には隙間を設ける必要がある。この隙間を通して冷却ガス7が漏れることになる。冷却ガス7の漏れ量は、最少に抑える必要がある。それを可能とするため、プッシャー19の周囲に凸部3とほぼ同じか全く同じ高さの面の内周側凸部20を設けた。この面は、平坦で基板1と接触しているため、冷却ガス7の漏れ量も許容量以内に抑えることができる。プッシャーを中間部の凸部20に設ける理由としては、次の3つがある。
(1)余剰ガスの排出処理のため
(2)ガス流れによってプッシャー部での発生異物を排出するため
(3)異常放電を防止するため
異常放電は、ガス種、雰囲気圧力、電位のかかる隙間間隔及び電位によって異なるが、例えば冷却ガス雰囲気内にプッシャーを設けると、冷却ガス雰囲気圧力が8〜10Torr(mmHg)であり、静電吸着のための電圧が450〜700Vである場合、電位のかかる隙間間隔を0.16〜0.2mmにする必要がある。しかしながら、このような隙間を作るには作業上困難を伴う。本実施例のごとくすると、プッシャー19の設けられた雰囲気を、エッチング室圧力3〜5mmTorrに対してコンダクタンス分高い圧力、例えば、10mmTorr(1/102mmHg)とし、隙間間隔を1mm程度明けたとしても、プッシャー19の設けられた雰囲気は、放電が生じ易い圧力に比べ、かなり低く圧力にすることができ、異常放電の発生を防止することができる。
(2)ガス流れによってプッシャー部での発生異物を排出するため
(3)異常放電を防止するため
異常放電は、ガス種、雰囲気圧力、電位のかかる隙間間隔及び電位によって異なるが、例えば冷却ガス雰囲気内にプッシャーを設けると、冷却ガス雰囲気圧力が8〜10Torr(mmHg)であり、静電吸着のための電圧が450〜700Vである場合、電位のかかる隙間間隔を0.16〜0.2mmにする必要がある。しかしながら、このような隙間を作るには作業上困難を伴う。本実施例のごとくすると、プッシャー19の設けられた雰囲気を、エッチング室圧力3〜5mmTorrに対してコンダクタンス分高い圧力、例えば、10mmTorr(1/102mmHg)とし、隙間間隔を1mm程度明けたとしても、プッシャー19の設けられた雰囲気は、放電が生じ易い圧力に比べ、かなり低く圧力にすることができ、異常放電の発生を防止することができる。
図3を基板1を取り外した状態で基板保持装置9を上から見たのが、図4の例である。支持部材2の中央に冷却ガス7の給排気口21が設けられ、その周囲にプッシャー19と内周側凸部20が配置されている。この内周側凸部20は、基板1のたわみを受ける役割も果たすことができる。
なお、図4では、内周側凸部20を円形としたが、この形状は特に限定するものではない。基板保持装置9をリング状としたのが図5に示した実施例である。リング状凸部22内には、プッシャー19の他に、基板1の温度センサー23、基板の有無を検出する基板検出センサー24、さらに基板1の電位をアース電位にするためのアース端子25が設けられている。なお、凹部8への冷却ガス7の給排気を速やかに行うため、リング状凸部22の一部を切りかき、冷却ガス7が通り易くなるようにしてある。
温度センサー23は、プラズマ中で使用するような装置では、蛍光温度計とすれば雑音などの心配が無い。また、基板検出センサー24は、例えば光ファイバーを通してレーザー光を導入し、基板1の裏面に照射する。その反射光の有無により基板1の有無を検出する。また、温度センサー23の出力は、基板1の有無で変動するため、その変化を基板1の有無の検出に用いることも可能である。
アース端子25は、静電吸着した基板1を、プッシャー19で持ち上げ受け渡す前に使用するものである。静電吸着で帯電した基板1に残留吸着力が存在する間は、プッシャー19を使用することはできない。そこで、その待ち時間を短縮するために、基板1をアースに落としたい場合がある。アース端子25を上下して基板1に接触させることにより、基板1の電位をアースとする。アース端子25は、導電性の材料とするが、プラズマ処理中の異常放電を避けるため、抵抗率が通常の金属などより大幅に大きい炭化シリコンなどを使用することも有効である。また、この機能を、プッシャー19に兼用させることも可能である。
図5は、各種センサーを同じ支持部材上に配置したが、各々を単独に用いても本発明の主旨を損なうものではない。
本発明の基板保持装置9を使用することにより、基板1の裏面に付着する異物が少なくなる。また、この基板処理装置により処理された基板1を使用することにより、裏面異物が隣接する他の基板の表面に付着したり、裏面から異物が溶けたり脱離したりすることにより、基板に汚染を生じさせたりすることが防止される。
次に本発明の他の実施例を図6に示す。図6は基板保持装置9の断面を示し、ヘッド部61の上面には静電吸着のための絶縁膜が付着してあり、基板1と接触・吸着する堰62aがウェハ外周部に設けられており、それより内径部に堰62b,堰62cがそれぞれ設けてあり、堰62cの中に載置台裏面に貫通する穴66が設けてある。ヘッド部61の中部には冷媒を溜める空間64が設けてあり、冷媒の供給排出が可能な通路が設けてある。ヘッド部61の固着した軸63が基板保持装置9のほぼ中心に設けてあり、この中に冷却ガスを導入するための導入路が設けてある。前述の穴66に係合して、ウェハ搬送のためのプッシャー機構65が設けてある。載置台の裏側には貫通穴66より外周部にカバー67が配置されている。
本発明は上記のように構成され、基板1(ウェハ)を処理する場合は、真空の状態で搬送手段(図示せず)より基板1を処理室へ導入し、予め冷媒によって温度制御された載置台9へ基板1を載置して、電磁コイル4へ通電し、所定の磁場を形成して処理ガスを導入し、マグネトロンへ通電し、マイクロ波を発生して、処理室内でECR(電子サイクロトロン共鳴)によりガスをプラズマ化し、プラズマによってDC回路を形成して静電吸着力を発生させる。続いて基板1と載置台9の間に冷却ガスを充填する。冷却ガスは、吸着している接触部以外のギャップを素早く拡散し、プラズマから基板1(ウェハ)に入る熱をヘッド部へ伝達し、冷媒と熱交換を行わせる。冷却ガスは、ウェハの外周近傍まで冷却効果を持たせるために、ウェハの外周部で処理室へ漏出するが、それと同時に貫通穴66へ積極的に漏出する寸法関係が与えられ、余剰ガスとして載置台裏側へ噴出する。ウェハと載置台の間の冷却ガスは、所定の圧力以上に保持する必要があり、漏出したガス量に相当するガスは常に供給している。
本発明によれば、冷却のために必要な冷却ガスの圧力を確保しつつ、接触面積を低減して異物がウェハ裏面へ転写する量を低減し、生産設備として再現性の良い、ウェハ温度制御された状態でのプラズマ処理を可能にし、歩溜りの良いプラズマ処理装置を得ることができる。
更に、冷却ガスの余剰分を載置台の裏側(ウェハの反対側)に噴出することによって、プッシャ部で発生する異物をウェハと反対側へ運び出し、ウェハへの異物付着を軽減し、加えて処理室内の載置台裏側に設けたカバー内に当該ガスを噴出することにより、カバー内の圧力を処理室の圧力より高く保ち、載置台の機構部への反応生成物の付着を少なくして、経時変化の少ないプラズマ処理装置を提供できるメリットがある。
ここでいう冷却ガスは一般的にはヘリウムガスが用いられ、本発明では数ccm〜10ccm程度が処理室内へ漏出することになるが、この量はプロセスガスの供給量の100分の1〜数拾分の1で、プロセスに対して何ら影響を与えないことは実験により確認済である。
以上、本発明の実施例について述べた。なお、本発明は、基板の冷却を念頭において説明したが、基板を加熱する場合も支持部材を基板より高温に維持することになるのみで、本質的に違いが無いのは言うまでもない。
1…基板、2…支持部材、3…凸部、4…冷媒、5…供給口、6…排出口、7…冷却ガス、8…凹部、9…基板保持装置、10…エッチィング室、11…真空ポンプ、12…高周波電源、13…直流電源、14…導波管、15…石英窓、16…プラズマ、17…静電吸着回路、18…誘電体、19…プッシャー、20…内周側凸部、21…冷却ガス給排気口、22…リング状凸部、23…温度センサー、24…基板検出センサー、25…アース端子。
Claims (1)
- 試料台に被処理基板を保持するとともに、処理時に試料台と被処理基板の間のガスを媒体として該基板を冷却する基板保持装置において、
前記試料台の、基板外周部に対応する試料台に表面が滑らかな環状の漏洩防止面を設け、さらに前記基板外周部に対応する位置と該基板の中心に対応する位置の間に、該基板との接触保持部を複数個設け、
前記環状の漏洩防止面及び接触保持部と基板裏面とを接触させて係止する静電吸着手段を設けたことを特徴とする基板保持装置。
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