JP2006244863A - 高効率高速イオン・電子発生装置 - Google Patents

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Keiji Nagai
圭治 長井
Takayoshi Norimatsu
孝好 乗松
Kazuo Tanaka
和夫 田中
Kimio Kondo
公伯 近藤
Ryosuke Kodama
了祐 児玉
Anraku Kaminari
安楽 雷
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Abstract

【課題】高効率のレーザー→高速イオン変換により高速イオンを発生させるための方法及び装置を提供することである。
【解決手段】有効な厚みが0.3mm以下である低密度導電性第一ターゲットにレーザーを1015W/cm以上に集光し、該第一ターゲットのレーザー照射部の裏側から高速イオンを放出させる工程を含む、高速イオンの発生方法を提供する。
【選択図】図2

Description

本発明は、高速イオン、陽電子放出核種等の同位体、及び同位体標識化合物の発生方法ならびにこれらの装置、ならびに陽電子放出型断層撮影装置に関する。
レーザー技術の進歩により、超高強度レーザーを照射することができるようになり、レーザー→高エネルギー(高速)粒子変換が可能になってきた。レーザー→高エネルギー粒子変換は、詳細には以下のような機構により生じる:
超高強度レーザーが固体ターゲットに照射されると、初期にはターゲット入射面近傍でプラズマ化、つまりイオンと電子が生成する。生成した電子は共鳴吸収やJ×B加速により高エネルギー(高速)電子となる。この高エネルギー電子は、引き続き高エネルギーイオン(特に高速プロトン)等の高エネルギー粒子、x−線、γ−線等の生成を引き起こす。ここで、高エネルギーイオン及び高エネルギー電子は、主としてターゲットの裏面から放出され、対照的に、x−線及びγ−線は、主としてターゲットの入射面から手前側に放出される。
これらのエネルギーは0.1keV〜数MeVであり、リソグラフィー、時間分解回折、レーザー核融合高速点火などの応用が可能である。この現象はすでに、平板固体ターゲットに対する照射実験により実証されている(非特許文献1及び非特許文献2)。
また、高エネルギーイオンのうち高速プロトンは、癌の診断に非常に有効である陽電子放出型断層撮影(PET)に必須の陽電子放出核種の生成においても用いられている。詳細には、高速プロトンを、酸素18を含む第2のターゲット(たとえば酸素18水)に衝突させると18O(p,n)18Fの反応が起こり、放射性同位元素であるフッ素18(半減期110分)ができる。これを化学反応により素早く2−フルオロ−2−デオキシグルコース(18FDG)に変換することが可能である。この薬剤は、反陽子発光トモグラフィー診断に用いられる。従来は加速器により加速した高速プロトンによってフッ素18を合成していたが、レーザー→高速イオンの変換をこの用途に応用することも可能である。
この用途への応用の例として、現在300J、750fsレーザーを1020W/cmに集光し、100ミクロン厚のアルミ窓を有する酸素18水に照射することにより、陽電子放出核種であるフッ素18が5×10Bq製造された報告がある(非特許文献3)。しかし、このような高出力のレーザーは、非常に高価であり、また装置自体が非常に大きく場所をとる。また、このような高出力のレーザーは、ランニングコストも高い。PETへの応用において実用的には5×10Bqのフッ素18が製造される必要があり、この方法においては高出力レーザーの集光を1000回繰り返す必要があり、非常に費用がかかる。従って、1度の集光でより多くの高速イオンを発生させられる高効率な高速イオン発生装置が所望される。
固体ターゲットを用いた場合、レーザーのターゲットへの吸収効率として、プレパルスのない場合で最大40%、プレプラズマの存在する場合で最大20%であり、さらなる効率の向上が求められている。
尚、非特許文献4及び非特許文献5はx線放出に関するものであり、高速イオン放出に係る本願発明とは無関係である。
以上のように、ターゲットにレーザーを照射した際にターゲットのレーザー照射部の裏側から生じる高速イオンについて、レーザー→高速イオン変換の高効率化は、現在まで達成されていない。
Snavely、Physical Review Letters、vol.85、2945(2000) Hegelich、Physical Review Letters、vol.89、085002(2002) Ledingham、 Journal of Physics D, Applied Physics、vol 37 pp2341(2004) Murnane、Applied Physics.Letters vol.62、1068(1993) Gordon、Optics Letters vol.19、pp.484(1994)
本発明の課題は、高効率のレーザー→高速イオン変換により高速イオンを発生させるための方法及び装置を提供することである。
本発明者は、上記の如き従来技術の問題点を解決するために、鋭意研究を重ねてきた。その結果、本発明者は、有効な厚みが0.3mm以下である低密度導電性第一ターゲットにレーザーを1015W/cm以上に集光することによって、当該第一ターゲットのレーザー照射部の裏側から放出される高速イオンについて、レーザー→高速イオン変換の効率が向上することを見出した。本発明は、この知見に基づくものである。
すなわち、本発明は、以下の項を提供する:
項1.有効な厚みが0.3mm以下である低密度導電性第一ターゲットにレーザーを1015W/cm以上に集光し、該第一ターゲットのレーザー照射部の裏側から高速イオンを放出させる工程を含む、高速イオンの発生方法;
項2.前記第一ターゲットの空隙率が40〜99.99%である、項1に記載の方法;
項3.前記第一ターゲットが金または金化合物からなる、項1または2に記載の方法;
項4.前記第一ターゲットが多孔質フィルムである、項1〜3のいずれか一項に記載の方法;
項5.前記第一ターゲットが粒子塊からなる、項1〜3のいずれか一項に記載の方法;
項6.前記第一ターゲットが、薄層の多重構造を有する、項1〜3のいずれか一項に記載の方法;
項7.前記多重構造を構成する1つの薄層の厚さが5nm〜100μmである、項6に記載の方法;
項8.有効な厚みが0.3mm以下である低密度導電性第一ターゲットにレーザーを1015W/cm以上に集光し、該第一ターゲットのレーザー照射部の裏側から高速イオンを放出させる工程、及び第二ターゲットに該高速イオンを衝突させて、陽電子放出核種を生成する工程を含む、陽電子放出核種の生成方法;
項9.有効な厚みが0.3mm以下である低密度導電性第一ターゲットにレーザーを1015W/cm以上に集光し、該第一ターゲットのレーザー照射部の裏側から高速イオンを放出させる工程、第二ターゲットに該高速イオンを衝突させて、陽電子放出核種を生成する工程、及び該陽電子放出核種を含む標識化合物を合成する工程を含む、陽電子放出核種標識化合物の生成方法;
項10.有効な厚みが0.3mm以下である低密度導電性第一ターゲット及びレーザー発生装置を備えた、高速イオンの発生装置;
項11.項10に記載の高速イオン発生装置及び高速イオンと反応して陽電子放出核種を生成する第二ターゲットを備えた、陽電子放出核種発生装置;
項12.項11に記載の陽電子放出核種発生装置及び標識化合物合成装置を備える、陽電子放出核種標識化合物生成装置;
項13.項12に記載の陽電子放出核種標識化合物生成装置と陽電子放出型断層撮影機とを組み合わせた、陽電子放出型断層撮影用システム。
以下に、本発明の方法について詳細に説明する。
本発明の方法及び装置を用いることによって、約1〜20%のレーザー→高速イオン変換効率で高速イオンを得ることができる。従って、本発明の方法及び装置を用いることによって、同じ出力のレーザー発生装置を用いた場合であっても、非低密度ターゲットを用いた場合と比較して約50〜100%多い高速イオンを得ることができる。
また、本発明の方法及び装置を用いることによって、陽電子放出核種等の同位体を高効率で得ることができる。従って、本発明の方法及び装置を用いることによって、同じ出力のレーザー発生装置を用いた場合であっても、非低密度ターゲットを用いた場合と比較して約50〜100%多い同位体を得ることができる。
また、本発明の方法及びその装置を用いることによって、陽電子放出核種標識化合物(18FDG等)等の同位体標識化合物を高効率に得ることができる。従って、本発明の方法及び装置を用いることによって、同じ出力のレーザー発生装置を用いた場合であっても、非低密度ターゲットを用いた場合と比較して約50〜100%多い同位体標識化合物を得ることができる。
さらに、本発明の装置は、非低密度ターゲットを備える装置と比較して、小型化、低価格化が可能である。
例えば、本発明の1つの実施形態において、大量に連続的に発射された粒子塊からなる球状の金第一ターゲット、酸素18氷の第2ターゲットを用いた場合、レーザー1ショット当り5×10Bqのフッ素18を生成させるためには、45J、750fsレーザーを3×1019W/cm程度に集光すればよく、これは、従来技術(例えば、非特許文献3)のものより比較的小型のレーザーによって実現可能である。
本明細書中において、「高速イオン」とは、陽電子放出核種等の同位体を発生させるのに十分な速さを有するものであればよいが、これに限定されない。
本発明において、「低密度」のターゲットとは、一定以上の空隙部分を含むことに起因して、空隙部分を含まない同じ材料のターゲットと比較して嵩密度が低いターゲットを示し、ここで、本発明の低密度導電性第一ターゲットの空隙率は、通常約40〜99.99%、好ましくは約50〜99%、より好ましくは約70〜95%、最も好ましくは約80〜90%である。空隙率が低いとレーザーの吸収効率が下がり、空隙率が高すぎるとターゲットが厚くなり、加速効率が下がるため好ましくない。
本発明の低密度導電性第一ターゲットは、種々の形状及び構造をとり得る。
本発明の低密度導電性第一ターゲットがとり得る形状としては、フィルム状、球状、ブロック状、中空コーン状等が挙げられるがこれらに限定されない。例えば、本発明の低密度導電性第一ターゲットの形状を中空コーン状にした場合、ターゲットにレーザーを集光しやすくなるという利点がある(Kodama et al. Nature 2001)。
本発明のフィルム状の低密度導電性第一ターゲットは、適当な大きさに切断した状態で用いられても、筒状にまかれた状態から必要に応じて引き出されて用いられてもよい。
そして、上記形状を有する本発明の低密度導電性第一ターゲットがとり得る構造としては、多孔質、薄層の多重構造、粒子塊等が挙げられるがこれらに限定されない。
本発明の方法において用いられる低密度導電性第一ターゲットは、好ましくは、多孔質フィルムである。また別の好ましい低密度導電性第一ターゲットは、粒子塊からなる。なお別の好ましい好ましい低密度導電性第一ターゲットは、薄層多重構造を有する。
本発明において用いられる低密度導電性第一ターゲットの有効な厚みは、約0.1mm以下、好ましくは約1μm〜50μm、より好ましくは約5μm〜30μm、最も好ましくは約10μm〜20μmである。
また、低密度導電性第一ターゲットの形状が球状である場合、その有効な厚みとは、空隙部分を除いた直径を示す。
また、薄層の多重構造を有する低密度導電性第一ターゲットを用いる場合、当該多重構造を構成する薄層の厚さは、パルス幅750fsの、プレパルスの存在しない場合で、約10nm〜100μm、好ましくは約0.1μm〜50μm、より好ましくは約0.1μm〜約20μm、最も好ましくは約0.1μm〜10μmである。プレパルスの無視できないときは、約100μm以上が好ましい。また、パルス幅150fsの、プレパルスの存在しない場合で、当該多重構造を構成する薄層の厚さは、約10nm〜100μm、好ましくは約0.1μm〜20μm、より好ましくは約0.1μm〜約10μm、最も好ましくは約0.1μm〜5μmである。この場合、プレパルスの無視できないときは、約100μm以上が好ましい。
本発明において、低密度導電性第一ターゲットの材料としては、金属、導電性高分子等が挙げられるがこれらに限定されない。本発明において、金属は、遷移金属でも、典型元素金属でもよい。遷移金属としては、金、銀、鉄、銅、チタン等が挙げられるがこれらに限定されない。典型元素金属としては、アルミニウム、錫、チタン等が挙げられるがこれらに限定されない。本発明において、導電性高分子としては、ポリアニリン、ポリピロール等が挙げられるが、これらに限定されない。本発明において用いられる低密度導電性第一ターゲットの材料としては、金、錫、アルミニウムまたは銅が好ましい。また、上記の材料は、単体で用いても、これらを主成分とする化合物として用いてもよい。本発明において用いられる化合物としては、夫々、金、錫、アルミニウム、銅等を主成分として含む、金化合物、錫化合物、アルミニウム化合物、銅化合物等が挙げられるがこれらに限定されない。本発明の好ましい金化合物としては、金と銀との合金、金と銅との合金等が挙げられるがこれらに限定されない。
また、本発明において用いられるこれらの低密度導電性第一ターゲットは、非低密度の導電性基板により支持されていてもよい。この基板の材料としては、低密度導電性第一ターゲットに用いられ得る全てのものを用いることができる。その際、低密度導電性第一ターゲットと基板との有効な厚みの合計が約0.3mm以下である必要がある。
本発明において当該低密度導電性第一ターゲットに照射するレーザーの集光強度は、約1015W/cm以上、好ましくは約1016W/cm以上、より好ましくは約1017W/cm以上、好ましくは約1018W/cm以上、より好ましくは約1019W/cm以上である必要がある。例えば、約1015W/cmの集光強度は、約1013Wのレーザーを1mmに集光することによって達成される。
従って、本発明においては、通常約1012W以上、好ましくは約1013W以上の出力が必要である。
上記第一ターゲットに、レーザーを、上記集光強度に集光することによって、レーザー照射部の裏側から高速イオンが放出される。また、この時、高速電子も放出され得る。
ここで、ターゲットのレーザー照射部の裏側とは、例えば、ターゲットの形状がフィルム状の場合、図1−(i)における面Bを示す。また、ターゲットの形状が球状及びブロック状の場合、ターゲットのレーザー照射部の裏側とは、夫々、図1−(ii)及び図1−(iii)における面Bを示す。
本発明において、高速イオンとは、通常 1MeV以上、好ましくは5MeV以上、好ましくは10MeV以上の速度を有するイオンを示す。
この工程において発生する高速イオンは、低密度導電性第一ターゲットのレーザー照射部の裏側に付着した水、重水等に由来する。従って、発生する高速イオンの種類は、第一ターゲットの材料だけでなく、ターゲットのレーザー照射部の裏側に付着した物質の種類に依存して変化する。
尚、本発明の方法におけるレーザー照射の際、低密度導電性第一ターゲットは、固定されていてもよく、また、レーザー集光位置に連続的に供給されてもよい。
例えば、本発明において用いられる低密度導電性第一ターゲットを固定または供給する方法としては、適当な大きさに切った多孔質フィルムの低密度導電性第一ターゲットの上部を固定する(必要に応じて下部も固定する)方法、多孔質フィルムの低密度導電性第一ターゲットを筒状にまき、必要な部分を引き出してレーザー照射部分に供給する方法、多孔質または薄層の多重構造を有するフィルムを非低密度導電性基板により支持させて固定する方法、粒子塊からなる球状の低密度導電性第一ターゲットを空気銃によって打ち出す方法等が挙げられるが、これらに限定されない。
例として、図2に、本発明の1つの実施形態における、粒子塊からなる球状の低密度導電性第一ターゲットを用いた高速イオン発生方法の概略図を示す。当該実施形態において、粒子塊からなる球状の低密度導電性第一ターゲットを空気銃により、レーザー照射場所に連続的に打ち出し、打ち出された低密度導電性第一ターゲットにレーザーを照射して、高速イオンを放出させることができる。このような方法を用いることによって、連続的に大量の高速イオンを発生させることができる。また、この時、高速電子も放出され得る。尚、以下の項目において述べるが、本発明の方法により生成された高速イオンは、図2に示すように引き続き第二ターゲットに衝突させることによって、同位元素を生成するために用いることができる。
上記のような本発明の高速イオン生成方法を用いることによって、非低密度物質のみからなるターゲット(以下、非低密度ターゲットと示す)を用いる方法より高いレーザー→高速イオン変換効率で高速イオンを得ることができる。また、本発明の方法において、低密度導電性第一ターゲットのレーザー照射部の裏側だけでなく、レーザーが照射された側からも高速イオンが発生し得る。また、本発明の方法を用いることによって、高効率で高速電子を得ることも可能である。
陽電子放出核種等の同位元素の生成方法
また、本発明はさらに、第二ターゲットに、上記方法により発生した高速イオンを衝突させて、同位元素を生成する工程を含む、同位元素の生成方法も提供する。
本発明の方法により生成され得る同位元素としては、炭素11、窒素13、酸素15、フッ素18等の陽電子放出核種が挙げられるがこれらに限定されない。
ここで、第二ターゲットとしては、目的とする同位元素の種類によって、ホウ素(ホウ素11及びホウ素10)を含む化合物、窒素14を含む固体窒素、液体窒素、酸素18又は16を含む化合物(例えば、酸素18水、酸素16水、固体酸素18又は16)、等が挙げられるがこれらに限定されない。
第二ターゲットは、レーザー照射に係る第一ターゲットと離れて配置されても、これと一体化されていてもよい。好ましくは第一ターゲットと第二ターゲットとの距離は、約100μm〜約10cmである。当業者は、目的とする同位元素の種類、用途等を考慮して第二ターゲットの形状、配置、温度等の条件を決定することができる。
同位元素標識化合物の生成方法
また、本発明はさらに、上記方法により発生した同位元素を用いて標識化合物を合成する工程を含む、同位体標識化合物の生成方法を提供する。
本発明の方法において生成され得る同位体標識化合物としては、以下の表1に示される陽電子放出核種で標識された化合物(本明細書及び特許請求の範囲において陽電子放出核種標識化合物と示す)が挙げられるが、これらに限定されない。
Figure 2006244863
高速イオン発生装置
別の実施形態において、本発明は、有効な厚みが0.3mm以下である低密度導電性第一ターゲット、及びレーザー発生装置を備えた、高速イオンの発生装置を提供する。ここで、低密度導電性第一ターゲット及びレーザー発生装置は、上記のものを用いることができる。
また、本発明の高速イオンの発生装置は、レーザー集光位置に該第一ターゲットを供給する供給装置をさらに備えていてもよい。供給装置としては、球状の第一ターゲットをレーザー集光位置に空気銃等で発射する装置、筒状にまいたフィルム状の第一ターゲットを筒から引き出す装置等が挙げられるが、これらに限定されない。また、本発明において、供給装置とは、第一ターゲットをレーザー集光位置に固定する器具も包含する。
本発明の高速イオン発生装置を用いることによって、非低密度ターゲットを備える装置より高いレーザー→高速イオン変換効率で高速イオンを得ることができる。
同位体発生装置
別の実施形態において、本発明は、上記高速イオン発生装置に加えて、この高速イオン発生装置から放出された高速イオンと反応して陽電子放出核種等の同位体を生成する第二ターゲットをさらに備えた、同位体発生装置を提供する。ここで、第二ターゲットは、上記のように、高速イオンと衝突して陽電子放出核種等の同位体を生成するものであればいかなるものでも用いることができる。
本発明の同位体発生装置を用いることによって、陽電子放出核種(窒素18等)等の同位体を高効率に発生させることができる。
同位体標識化合物生成装置
なお別の実施形態において、本発明は、上記同位体発生装置に加えて、この同位体発生装置により生成された同位体を用いて標識化合物を合成する装置を備える、同位体標識化合物生成装置を提供する。
同位体を用いて同位体標識化合物を合成する装置は、当該分野において公知であり、当業者は、目的とする同位体標識化合物の種類等に応じて、最適な標識化合物合成装置を選択することができる。本発明の同位体標識化合物生成装置を用いることによって、PETで用いられる陽電子放出核種標識化合物(18FDG等)等の同位体標識化合物を高効率に生成することができる。
陽電子放出型断層撮影用システム
さらに別の実施形態において、本発明は、上記の陽電子放出核種標識化合物発生装置と陽電子放出型断層撮影機とを組み合わせた、陽電子放出型断層撮影用システムを提供する。
陽電子放出型断層撮影機は、陽電子に由来する放射線を検出できるものであれば、いずれのものも使用することができる。
以下に、実施例を示し、本発明の特徴とするところをより一層明瞭にする。
実施例1
低密度金ターゲット製造法
図3に当該実施例の概略図を示す。
ポリスチレン微粒子懸濁液を電極基板(金)上にキャストし、風乾してポリスチレン微粒子薄膜を得る(図3(i))。このポリスチレン微粒子薄膜が乗った電極に金メッキを施し、ポリスチレン微粒子薄膜の空隙に金を充填する(図3(ii))。ポリスチレンを熱分解させ、多孔質金ターゲットを得る(図3(iii))。電極基盤から多孔質金ターゲットを剥離することで自立性の多孔質金ターゲットとなる。
空隙部分を含むターゲットの厚みは1〜数百ミクロンの範囲で制御可能であった。構造はポリスチレン微粒子サイズにほぼ等しい空隙と10nm以下の厚さの壁からなった。密度は空隙を含まない金の20%となった。
実施例2
高速イオン発生
本実施例において、実施例1に示した方法で製造したフィルム状の多孔質金ターゲットを用いた。当該フィルム状の多孔質金ターゲットは、多孔質部分及び空隙を含まない部分の2層からなり、多孔質部分の有効な厚みは、2μmであり、空隙を含まない部分の厚みは10μmであった。
大阪大学レーザーエネルギー学研究センターの激光モジュール2号(波長1054nm、出力4×1013W)を用いて、集光強度1019W/cm、パルス幅0.01psのレーザーをこのフィルム状の多孔質金ターゲットに照射した。裏面法線から10度方向に多層イオンディテクターCR39(フクビ化学工業製)を置き、photo stimulated luminescence(PSL)値を測定することによって発生した高エネルギー粒子を計測した。図4は、当該実施例の概略図を示す。
比較例として、厚さ12μmの空隙を含まない平坦なフィルム状の金ターゲットを用い、実施例と同様の実験を行った。
実施例において、高エネルギー粒子の発生量は、比較例における発生量より35%多かった。
また、ターゲット裏面に重水素化炭化水素もしくは重水薄膜を配置し、上記と同様の操作をすることにより高速重水素イオンを高効率で発生させることもできる。また、ターゲット裏面にリチウム薄膜を配置し、上記と同様の操作をすることにより高速リチウムイオンを高効率で発生させることができる。
尚、上記実施例2において発生させた高速イオンを、酸素18水等を含む第二ターゲットに衝突させることによって、陽電子放出核種(フッ素18等)等の同位体を生成することができる。
また、上記実施例2において発生させた高速イオンと第二ターゲットとの衝突により生じる陽電子放出核種等の同位体を用いて、陽電子放出核種標識化合物等の同位体標識化合物を生成することができる。当該方法によって生成される陽電子放出核種標識化合物は、PET等の診断方法において非常に有用である。
図1は、各種形状((i)フィルム状、(ii)球状、(iii)ブロック状)(vi)コーン状のターゲットを用いた場合の本発明の高速イオンの発生方法の概略を断面図により示す。各形状の低密度導電性第一ターゲットの照射部Aにレーザーを照射することによって、裏側Bから高速イオンが放出される。 図2は、粒子塊からなる球状ターゲットを用いた場合における本発明の高速イオンの発生方法の概略図を示す。 図3は、本発明の多孔質フィルム状の低密度導電性第一ターゲットの製造法の概略図を示す。 図4は、実施例2における多孔質フィルム状の低密度金ターゲットを用いた高エネルギー粒子発生方法の概略図を示す。
符号の説明
A 低密度導電性第一ターゲットのレーザー照射部
B 低密度導電性第一ターゲットのレーザー照射部の裏側

Claims (13)

  1. 有効な厚みが0.3mm以下である低密度導電性第一ターゲットにレーザーを1015W/cm以上に集光し、該第一ターゲットのレーザー照射部の裏側から高速イオンを放出させる工程を含む、高速イオンの発生方法。
  2. 前記第一ターゲットの空隙率が40〜99.99%である、請求項1に記載の方法。
  3. 前記第一ターゲットが金または金化合物からなる、請求項1または2に記載の方法。
  4. 前記第一ターゲットが多孔質フィルムである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 前記第一ターゲットが粒子塊からなる、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
  6. 前記第一ターゲットが、薄層の多重構造を有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
  7. 前記多重構造を構成する1つの薄層の厚さが5nm〜100μmである、請求項6に記載の方法。
  8. 有効な厚みが0.3mm以下である低密度導電性第一ターゲットにレーザーを1015W/cm以上に集光し、該第一ターゲットのレーザー照射部の裏側から高速イオンを放出させる工程、及び第二ターゲットに該高速イオンを衝突させて、陽電子放出核種を生成する工程を含む、陽電子放出核種の生成方法。
  9. 有効な厚みが0.3mm以下である低密度導電性第一ターゲットにレーザーを1015W/cm以上に集光し、該第一ターゲットのレーザー照射部の裏側から高速イオンを放出させる工程、第二ターゲットに該高速イオンを衝突させて、陽電子放出核種を生成する工程、及び該陽電子放出核種を含む標識化合物を合成する工程を含む、陽電子放出核種標識化合物の生成方法。
  10. 有効な厚みが0.3mm以下である低密度導電性第一ターゲット及びレーザー発生装置を備えた、高速イオンの発生装置。
  11. 請求項10に記載の高速イオン発生装置及び高速イオンと反応して陽電子放出核種を生成する第二ターゲットを備えた、陽電子放出核種発生装置。
  12. 請求項11に記載の陽電子放出核種発生装置及び標識化合物合成装置を備える、陽電子放出核種標識化合物生成装置。
  13. 請求項12に記載の陽電子放出核種標識化合物生成装置と陽電子放出型断層撮影機とを組み合わせた、陽電子放出型断層撮影用システム。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2008198566A (ja) * 2007-02-15 2008-08-28 Japan Atomic Energy Agency イオン加速方法及び装置
JP2009014671A (ja) * 2007-07-09 2009-01-22 Hamamatsu Photonics Kk レーザプラズマイオン源用ターゲットおよびレーザプラズマイオン発生装置
JP2010165494A (ja) * 2009-01-14 2010-07-29 Hamamatsu Photonics Kk ナノクラスタ
DE102010048276A1 (de) 2009-10-28 2011-08-25 Japan Atomic Energy Agency Ionentransporter, Ionentransportverfahren, Ionenstrahlstrahler und medizinischer Teilchenstrahlstrahler

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