JP2006244558A - ディスク状基板への塗膜形成方法及び光ディスクの製造方法 - Google Patents

ディスク状基板への塗膜形成方法及び光ディスクの製造方法 Download PDF

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俊博 萬代
Takayoshi Ose
隆義 大瀬
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Abstract

【課題】 液ロスを低減し、塗膜の厚みムラが少ないディスク状基板への塗膜形成方法、及びプリンタブル層の厚みムラが少ない光ディスクの製造方法を提供する。
【解決手段】 スリットダイを使用しディスク状基板の全面に塗布液を塗布し、形成しようとする完成塗膜のウェット厚みの2〜5倍のプレコート塗膜を形成した後、スピンコート法により余剰の塗布液を周外に振り飛ばすことにより完成塗膜を形成するディスク状基板への塗膜形成方法、及び基板の一方の面側にレーザー光の照射により、少なくとも情報の再生が可能な情報領域を有し、他方の面側にプリンタブル層を有する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、ディスク状基板の表面に塗膜を形成する塗膜形成方法、及び光ディスクの製造方法に関する。
ディスク状基板への塗膜の形成手法として、例えば、所望の塗布液を基板表面に塗布して塗膜を形成し、該塗膜を乾燥させて行うという手法が知られている。そして、その塗布方法の1つとして、スピンコート法が挙げられる。スピンコート法では、ディスク状基板を回転させながら、ディスペンスノズルから塗布液をディスク状基板の中心付近に垂らし、遠心力によって塗布液をディスク全面に塗り広がらせる(延伸操作)とともに、外周に余剰液を飛散させて(減厚操作)、所望の厚みの塗膜を形成する。しかし、ディスペンスノズルで中心に垂らす方法では、ディスク全面に安定的に塗り広がらせるためには最終的な塗膜を得るためには必要な液量に比べ5倍以上の液量を必要とし、塗布液のロスが大きい。飛散させた塗布液を回収し再利用する方法もあるが、塗布液の品質劣化(濃度変化やゴミの混入)があり問題が大きい。さらに揮発性の高い溶媒を含む塗布液を用いた場合、中心部に垂らした時点から蒸発が始まり粘度が上昇し、塗布液を垂らした内周部と外周部の厚みムラが生じることがある。さらに、溶媒が染み込んでしまうようなポーラス状の下地がある場合にも液を垂らした瞬間に下地層に溶媒が染み込み粘度上昇を起こし、同様な内外周の厚みムラを生じる場合がある。
一方、広く市場に受け入れられている光ディスクの規格として、CD(コンパクトディスク)とDVD(デジタルバーサタイルディスク)などの光ディスクがある。
CDとしては、読み出し専用のCD−ROM、1回限り情報の記録が可能な追記型のCD−R、何回でも情報の記録が書き換えられる書き換え可能型のCD−RWがある。
CD−ROMは、例えば、直径120mm、厚さ1.2mmの透明基板に1.6μmのトラックピッチでピット列が形成され、約650Mバイトの記録容量を有しており、線速度を1.2〜1.4m/sで一定とし波長770〜790nmのレーザー光を照射して情報を再生する。
一方、DVDもCDの場合と同様に、DVD−ROM、DVD−R、DVD−RWがある。
DVD−ROMは記録密度がCDの約6〜8倍で、構成としては厚さ0.6mm程度の2枚の基板を貼り合わせた構成等があり、0.74μmのトラックピッチでピットが形成され、線速度を3.5m/s程度で一定とし波長635〜650nmのレーザー光を照射して情報を再生する。
近年、このようなCDやDVDにおいて、情報の再生面とは反対側の面に、インクジェットプリンターで画像の印画ができるようにプリンタブル層が形成された光ディスクが開発されている(例えば、特許文献1参照。)。このような光ディスクのプリンタブル層としては、紫外線硬化樹脂が一般に使用されているが、紫外線硬化樹脂からなるプリンタブル層は、インクジェット記録用シートと比較して、高画質が得られないという問題があった。
そこで、本出願人は、微粒子と、結合剤と、架橋剤などを成分とする多孔質層を含むプリンタブル層を有する光ディスクを提案した(特願2003−67750号など)。この光ディスクにより、高画質が得られないという問題は解消した。
このような光ディスクの多孔質層の形成は、該多孔質層の形成用の塗布液の塗布は、スピンコート法により行うことができる。従って、このような光ディスクの製造においても、上述のような塗布液のロスや、塗膜の膜厚にムラが発生するという問題は同様に起こり得る。
特開2002−245671号公報
本発明は、前述の従来における諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、
本発明の目的は、液ロスを低減し、塗膜の厚みムラが少ないディスク状基板への塗膜形成方法、及びプリンタブル層を有する光ディスクのプリンタブル層の厚みムラが少ない光ディスクの製造方法を提供することにある。
上記課題を解決するための手段は以下の通りである。即ち、
<1> スリットダイを使用しディスク状基板の全面に塗布液を塗布し、形成しようとする完成塗膜のウェット厚みの2〜5倍のプレコート塗膜を形成した後、スピンコート法により余剰の塗布液を周外に振り飛ばすことにより完成塗膜を形成することを特徴とするディスク状基板への塗膜形成方法である。
<2> 前記塗布液の粘度を50〜1000mPa・sとし、前記塗膜の乾燥時の厚みを50〜500μmとすることを特徴とする前記<1>に記載のディスク状基板への塗膜形成方法である。
<3> 基板の一方の面側にレーザー光の照射により、少なくとも情報の再生が可能な情報領域を有し、他方の面側にプリンタブル層を有する光ディスクの製造方法であって、前記プリンタブル層の形成において、スリットダイを使用し基板の全面に塗布液を塗布し、形成しようとする完成塗膜のウェット厚みの2〜5倍のプレコート塗膜を形成した後、スピンコート法により余剰の塗布液を周外に振り飛ばすことにより完成塗膜を形成する工程を有することを特徴とする光ディスクの製造方法である。
<4> 前記塗布液の粘度を50〜1000mPa・sとし、前記間完成塗膜の乾燥時の厚みを50〜500μmとすることを特徴とする前記<3>に記載の光ディスクの製造方法である。
本発明によれば、液ロスを低減し、塗膜の厚みムラが少ないディスク状基板への塗膜形成方法、及びプリンタブル層を有する光ディスクのプリンタブル層の厚みムラが少ない光ディスクの製造方法を提供することができる。
<ディスク状基板への塗膜形成方法>
本発明のディスク状基板への塗膜形成方法(以下、単に「塗膜形成方法」呼ぶ場合がある。)は、スリットダイを使用しディスク状基板の全面に塗布液を塗布し、形成しようとする完成塗膜のウェット厚みの2〜5倍のプレコート塗膜を形成した後、スピンコート法により余剰の塗布液を周外に振り飛ばすことにより完成塗膜を形成することを特徴としている。ウェット厚みとは、乾燥前のウェットな状態での厚みを意味する。ウェット厚みは直接計測することは困難なため、塗布した塗布液の体積と塗布した面積とから計測するか、ドライ厚みから計算により推定する。また、前記完成塗膜とは、前記プレコート塗膜に対して、スピンコート法による操作(減厚操作)を施し余剰の塗布液を振り飛ばすことにより完成した塗膜(プレコート塗膜を含む。)を意味する。
従来法におけるスピンコート法の場合、ディスク状基板を回転させながらディスペンスノズルから塗布液をディスク状基板の中心付近に一周垂らし、その後回転数を上げ遠心力により塗布液を全面に広がらせ、その後さらに回転数を上げ外周部に液を飛散させて最終膜厚まで減厚する。中心付近に垂らす塗布後の液量は液粘度などの物性値によって異なるが、少ないとその後の延伸操作時に液が均一に広がらず、放射状に塗り広がり極端な場合には液の塗れていない部分が生じる。これを回避するためには、ディスペンスノズルから垂らすプレコート量を多くすることや延伸操作時の回転数を下げることで良化するが、液ロスが多くなったり、延伸操作時に溶媒の蒸発により粘度上昇が更なる厚みムラを引き起こしてしまうことがある。
本発明の方法では、ダイコートを用いて少ない塗布液を全面に均一に塗布することによりプレコート操作と延伸操作を一度に完了するとともに、この時点での厚みムラが概ね30%以内にできるため減厚操作後の厚みムラも少ない良好な塗膜を形成することができる。
ダイコート法では、ディスク状基板の上方にダイのスリットがディスク状基板の径方向に延びるように配置し、スリット先端部をディスク状基板に近接させるとともに、ディスク状基板を回転させた状態でスリットから帯状に吐出させた塗布液をディスク状基板に塗布して塗膜を形成する。ダイコート法に使用されるスリットダイは、ダイ内に供給された塗布液を塗布幅方向に整流するマニホールド部と吐出方向に整流するスリットを有する。スリットには所望の塗布幅で吐出するための塗布幅規制板が挿入されている。
マニホールド断面形状は限定しないが流れのない滞留部ができないように角部を有しない円形、楕円、ティアドロップ形状などが好ましい。
スリットギャップは塗布するウェット厚みと粘度によるが、10〜1000μmであることが好ましく、50〜500μmであることがより好ましい。ダイ先端部とディスク状基板との距離はウェット厚みの1〜5倍であることが好ましく、1.5〜3倍であることがより好ましい。また、塗布液条件や塗布のウェット厚みに最適な距離に調整する調整機構を有していることが好ましい。また、スリットダイ先端部とディスク状基板との距離のばらつきがあると塗布厚みムラを発生させるため塗布幅方向の距離の精度はウェット厚みの1/10以下にすることが好ましい。
同様に、スリットダイの先端部の加工精度はRaで2μm以下に研磨することが好ましい。このため少なくとも先端部の材質はステンレス、超鋼材、セラミックスなどの硬質材料を用いることが好ましい。
スリットダイへの塗布液供給方法としては、ポンプにより圧送する方法や加圧タンクにより塗布液を加圧しバルブによりON/OFFする方法などが一般的である。ポンプを用いる場合、ウェット厚みの調整はポンプの送液量で行い、加圧タンクを用いる場合は加圧するエアーの圧力やバルブの開度で調整することができる。また、途中に流量計を配し流量をモニターするのもよい。
本発明に係るダイコート法では、ディスク状基板を回転させ欠落部分が発生しないように1周塗布する。この際、塗り重なり部分は厚塗りとなるため周回数は概ねn(nは1以上の整数)回数とするのがよい。ただし、厳密には塗布開始部と塗布終端部を直線状で塗り継ぐことは困難であるため、わずかに重ねた時点(例えば、1.1周)でスリットからの塗布液の吐出を停止した後、回転させたままスリットダイをゆっくり離間させることにより重なり部の厚塗りをスムージングさせる方法が好ましい。
ダイコートによりプレコートする際のディスク状基板の回転数は液粘度やプレコートするウェット厚み、スリット先端とディスク状基板との距離、スリット先端部の形状により異なるが、概ね3〜100rpmとすることが好ましく、5〜30rpmとすることがより好ましい。ディスク状基板の速度が速い場合、スリット先端部に形成されるビードが良好には形成されずスジ状の欠陥を引き起こすため、前記の如く条件を適宜設定する必要がある。また、塗布液粘度は50〜1000mPa・sとすることが好ましく、100〜500mPa・sとすることがより好ましい。塗布液粘度を50〜1000mPa・sとすることにより、前記ビードを良好に形成することができ、塗布液がディスク状基板の背面側へ表周りすることを防止することができる。
プレコート操作が完了し、スリットダイをディスク状基板から完全に離間させた状態でディスク回転数を上げ減厚操作を行う。当該回転数は液粘度と最終ウェット厚みにより決定されるが、100〜3000rpmであることが好ましく、200〜1000rpmであることがさらに好ましい。
前述の通り、従来におけるスピンコート法においては、沸点が120℃以下の溶媒を用いてなる塗布液をディスク状基板上に塗布すると、延展の過程で溶媒が蒸発することにより塗布液の粘度が上昇し、塗膜の膜厚にムラが発生することがある。本発明の塗膜形成方法においては、先ず、スリットダイを使用して塗布液を塗布しプレコート塗膜を形成する。そして、形成したプレコート塗膜を、スピンコート法による減厚操作により所望の膜厚の塗膜を得る。つまり、スリットダイを使用して形成したプレコート塗膜は、内周部から外周部まで同時に塗布し形成されているため、厚みムラが概ね30%以内である。その厚みムラが少ないプレコート塗膜をスピンコート法によって減厚することにより、厚みムラが少ない塗膜を得ることができる。
また、本発明の塗膜形成方法において、ディスク基板としては、光ディスク、光磁気ディスク、等が挙げられる。
本発明において、プレコート塗膜は、塗布液をディスク状基板の全面一周に塗布して形成するが、「全面一周に塗布」とは、塗布開始部と塗布終了部における塗膜の重なり部分や欠落部分がないこと、例えば、1.2周分塗布して重なり部分が生じることや、0.8周分塗布して塗膜の欠落部が生じることがないことを意味する。
スリットダイによるプレコート塗膜の膜厚としては、完成塗膜のウェット厚みの2〜10倍とすることが好ましく、3〜5倍とすることがより好ましい。
以上の本発明のディスク状基板への塗膜形成方法において、スリットダイを使用した塗膜の形成における条件、及びスピンコート法による塗膜の形成における条件は、形成しようとする塗膜に応じて適宜設定することができる。
<光ディスクの製造方法>
本発明の光ディスクの製造方法は、基板の一方の面側にレーザー光の照射により、少なくとも情報の再生が可能な情報領域を有し、他方の面側にプリンタブル層を有する光ディスクの製造方法であって、前記プリンタブル層の形成において、スリットダイを使用し基板の全面に塗布液を塗布し、形成しようとする完成塗膜のウェット厚みの2〜5倍のプレコート塗膜を形成した後、スピンコート法により余剰の塗布液を周外に振り飛ばすことにより完成塗膜を形成する工程を有することを特徴としている。なお、当該本発明の光ディスクの製造方法は、既述の本発明のディスク状基板への塗膜形成方法における構成要素と同じ名称の構成要素は同じ概念であり、ディスク状基板への塗膜形成方法において説明した内容は、本発明の光ディスクの製造方法にそのまま妥当する。
本発明に係る光ディスクは、ディスク状、カートリッジ収納型でもよく、カートリッジ収納型の場合はリムーバブルであることが好ましい。本発明に係る光ディスクは、CD、DVD、青紫色レーザーで記録再生する光ディスクなど、如何なるものであってもよい。
青紫色レーザーで記録する媒体の場合、DVDのような貼り合わせタイプ(HD DVD)と、1.1mm基板上に記録層とカバー層とが形成され、カバー層側からレーザー光が入射するタイプとがあるが、いずれであってもよい。
プリンタブル層を形成する箇所は、レーザー光が入射する面の反対側が基本であるが、レーザー光が入射する側でも入射エリア以外の領域であればプリンタブル層を形成することができる。
本発明に係る光ディスクは、ROM型でも、書き換え可能型、及び追記型のいずれでもよいが、特に、追記型が好ましい。
以下に、本発明の光ディスクの製造方法について、該製造方法によって製造される光ディスクの層構成を通じて説明する。なお、以下に示す光ディスクのプリンタブル層の形成においては、完成塗膜としてインク受容層を形成する態様を示す。なお、以下の構成は一例であり、本発明はこれに限定されるものではない。
<プリンタブル層>
本発明に係る光ディスクにおけるプリンタブル層は、少なくとも、下地層とインク受容層とを含む構成とすることが好ましい。以下、プリンタブル層の各層について説明する。
〔インク受容層〕
インク受容層は、微粒子と、結合剤と、架橋剤と、を少なくとも有する構成とすることができ、更に、必要に応じて、前記一般式(1)で表される化合物及び/又は前記一般式(2)で表される化合物、各種添加剤などを含んでいてもよい。
また、本発明におけるインク受容層の層厚は、10〜200μmの範囲であることが好ましく、20〜50μmの範囲がより好ましい。
インク受容層の層厚が10〜200μmの範囲であることにより、インクの液滴を吸収する十分な吸収容量が得られ、ニジミを抑制することができるとともに、光ディスクの反りや面振れなどを防止することができる。
以下に、インク受容層中の各成分について説明する。
[微粒子]
上述の通り、インク受容層は、微粒子を含有する。微粒子としては、気相法シリカ、擬ベーマイト、酸化アルミニウム、二酸化チタン、硫酸バリウム、珪酸カルシウム、ゼオライト、カオリナイト、ハロイサイト、雲母、タルク、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸カルシウム、ベーマイト等が挙げられ、中でも、気相法シリカ、擬ベーマイト、酸化アルミニウムが好ましい。
(気相法シリカ)
シリカ微粒子は、通常その製造法により湿式法粒子と乾式法(気相法)粒子とに大別される。上記湿式法では、ケイ酸塩の酸分解により活性シリカを生成し、これを適度に重合させ凝集沈降させて含水シリカを得る方法が主流である。一方、気相法は、ハロゲン化珪素の高温気相加水分解による方法(火炎加水分解法)、ケイ砂とコークスとを電気炉中でアークによって加熱還元気化し、これを空気で酸化する方法(アーク法)によって無水シリカを得る方法が主流であり、「気相法シリカ」とは該気相法によって得られた無水シリカ微粒子を意味する。
上記気相法シリカは、上記含水シリカと表面のシラノール基の密度、空孔の有無等に相違があり、異なった性質を示すが、空隙率が高い三次元構造を形成するのに適している。この理由は明らかではないが、含水シリカの場合には、微粒子表面におけるシラノール基の密度が5〜8個/nm2で多く、シリカ微粒子が密に凝集(アグリゲート)し易く、一方、気相法シリカの場合には、微粒子表面におけるシラノール基の密度が2〜3個/nm2であり少ないことから疎な軟凝集(フロキュレート)となり、その結果、空隙率が高い構造になるものと推定される。
上記気相法シリカは、比表面積が特に大きいので、インクの吸収性、保持の効率が高く、また、屈折率が低いので、適切な粒子径まで分散を行えばインク受容層に透明性を付与でき、高い色濃度と良好な発色性が得られるという特徴がある。
上記気相法シリカの平均一次粒子径としては30nm以下が好ましく、20nm以下が更に好ましく、10nm以下が特に好ましく、3〜10nmが最も好ましい。上記気相法シリカは、シラノール基による水素結合によって粒子同士が付着しやすいため、平均一次粒子径が30nm以下の場合に空隙率の大きい構造を形成することができ、インク吸収特性を効果的に向上させることができる。
また、気相法シリカのインク受容層における固形分含有量は、40質量%以上が好ましく、より好ましくは50質量%以上である。このように気相法シリカの含有量が50質量%以上である場合、更に良好な多孔質構造を形成することが可能となり、十分なインキ吸収性を備えたインク受容層が得られるため好ましい。ここで、気相法シリカのインク受容層における固形分含有量とは、インク受容層を構成する組成分中の水以外の成分に基づき算出される含有量である。
また、含水シリカ微粒子、コロイダルシリカ、二酸化チタン、硫酸バリウム、珪酸カルシウム、ゼオライト、カオリナイト、ハロイサイト、雲母、タルク、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸カルシウム、ベーマイト、擬ベーマイト等の他の無機顔料微粒子を併用してもよい。該他の無機顔料微粒子と上記気相法シリカとを併用する場合、全無機顔料微粒子中、気相法シリカの含有量は、50質量%以上が好ましく、70質量%以上が更に好ましい。
(擬ベーマイト)
擬ベーマイトは、Al23・xH2O(1<x<2)で表され、一般にその結晶は(020)面が巨大な平面を形成する層状の化合物であり、その格子定数dは0.67nmである。ここで、擬ベーマイトは、過剰な水を(020)面の層間に含んだ構造を有するものである。擬ベーマイトは、インクを良く吸収し定着し、インクの吸収性及び経時ニジミを向上させることができる。
また、容易に平滑な層が得られることから、ゾル状の擬ベーマイト(擬ベーマイトゾル)を原料として用いることが好ましい。
擬ベーマイトの一次平均粒子径は50nm以下であることが好ましく、30nm以下であることが更により好ましく、20〜3nmの範囲内であることが特に好ましい。擬ベーマイトの平均一次粒子径が上記範囲内にあると、空隙率の大きい構造を形成することができ、更にインク受容層のインク吸収性を向上させることができる。なお、前記平均一次粒子径は、例えば、電子顕微鏡を用いて測定することができる。
また、擬ベーマイトのBET比表面積としては、40〜500m2/gが好ましく、200〜500m2/gが更に好ましい。
更に、上記擬ベーマイトのアスペクト比としては、3〜10が好ましい。擬ベーマイトの細孔構造については、その平均細孔半径は1〜30nmが好ましく、2〜15nmがより好ましい。また、その細孔容積は0.3〜2.0ml/g(cc/g)が好ましく、0.5〜1.5ml/g(cc/g)がより好ましい。ここで、上記細孔半径及び細孔容積の測定は、窒素吸脱着法により測定されるもので、例えば、ガス吸脱着アナライザー(例えば、コールター社製の商品名「オムニソープ369」)により測定できる。
また、擬ベーマイトのインク受容層における固形分含有量は、50質量%以上が好ましく、より好ましくは60質量%以上である。このように擬ベーマイトの含有量が60質量%以上である場合、更に良好な多孔質構造を形成することが可能となり、十分なインキ吸収性を備えたインク受容層が得られるため好ましい。ここで、擬ベーマイトのインク受容層における固形分含有量とは、インク受容層を構成する組成分中の水以外の成分に基づき算出される含有量である。
また、擬ベーマイトは、水系溶媒に分散して用いるのが好ましい。分散して用いる場合の分散液中における擬ベーマイトの含有量としては、60質量%以下が好ましく、5〜60質量%がより好ましく、10〜50質量%が特に好ましい。
擬ベーマイトは、上記範囲で特に効果的に分散させることができ、例えば、分散時において擬ベーマイト同士の粒子間距離が短くなること等に起因する増粘やゲル化等を効果的に抑制することができる。
擬ベーマイト(A)と、気相法シリカ(S)と、を併用する場合、その含有比(S:A)としては、95:5〜5:95となる範囲が好ましく、80:20〜20:80の範囲がより好ましく、70:30〜30:70の範囲が特に好ましい。
前記含有比の範囲で気相法シリカと擬ベーマイトを併用すると、複数色の全てのインクの経時ニジミを色相に依存することなく効果的に防止することができ、多色に画像形成する場合でも高解像度で鮮やかな画像を形成し、保持することができる。
(酸化アルミニウム)
本発明における酸化アルミニウムとしては、例えば、α−アルミナ、δ−アルミナ、θ−アルミナ、χ−アルミナ等の無水アルミナや、活性酸化アルミニウムが挙げられる。
これらの中でも好ましいアルミナ微粒子は、δ−アルミナであり、また、製造方法による観点からは、気相法により製造されるアルミナ微粒子、即ち、酸水素反応の際に発生する水の存在の下で、また、そのような反応に特徴的な温度において、気体状の金属塩化物を加水分解することにより得られる気相法アルミナ微粒子が、比表面積が大きいため好ましい。
上記酸化アルミニウムの形態としては、例えば、所定の粒子径を有する微細な粒子、微粒子、微細粒子、粉体、微粉、微細粉等を採用することができ、その平均一次粒子径は、200nm以下であることが好ましく、5〜100nmであるのが更に好ましく、特に5〜20nmであることが好ましい。上記アルミナ微粒子の平均一次粒径が上記範囲内にあると、空隙率の大きい構造を形成することができ、更にインク受容層のインク吸収性を向上させることができる。なお、上記平均一次粒子径は、例えば、電子顕微鏡を用いて測定することができる。
また、本発明において酸化アルミニウムは、分散液に分散して用いるのが好ましい。上記分散液中の酸化アルミニウムの含有量は、60質量%以下が好ましく、5〜60質量%が更に好ましく、10〜50質量%が特に好ましい。酸化アルミニウムの含有量が上記範囲内にあると、酸化アルミニウムをより効果的に分散させることができる。上記分散液における酸化アルミニウムの含有量が多くても60質量%以下であると、例えば、分散液中において酸化アルミニウム微粒子同士の粒子間距離が短くなること等に起因する増粘やゲル化等を効果的に抑制することができる。
また、上記分散液には凝集防止剤として、第1級〜第3級アミノ基及びその塩、第4級アンモニウム塩基を有するカチオンポリマーを添加してもよい。上記凝集防止剤の添加量としては、酸化アルミニウム微粒子に対して、1〜10質量%が好ましく、1〜5質量%が更に好ましい。該添加量が、1質量%未満では分散性に劣る場合があり、10質量%を超えるとインク受容層に印画した際、色濃度が低下することがあるため好ましくない。
上記酸化アルミニウムのインク受容層における固形分含有量は、50質量%以上が好ましく、より好ましくは60質量%以上である。上記含有量が60質量%を超えていると、更に良好な多孔質構造を形成することが可能となり、十分なインク吸収性を備えたインク受容層が得られるので好ましい。ここで、上記酸化アルミニウムのインク受容層における固形分含有量とは、インク受容層を構成する組成物中の水以外の成分に基づき算出される含有量である。
また、本発明においては酸化アルミニウムと、他の微粒子と併用してもよい。該他の微粒子と上記酸化アルミニウムとを併用する場合、全微粒子中の本発明における酸化アルミニウムの含有量は、30質量%以上が好ましく、50質量%以上が更に好ましい。
上記他の微粒子としては、有機微粒子、無機微粒子のいずれでもよいが、インク吸収性及び画像安定性の点から、無機微粒子が好ましい。
[結合剤]
上述の通り、本発明において、インク受容層は結合剤を含有する。当該結合剤としては水溶性樹脂が好ましい。
上記水溶性樹脂としては、例えば、親水性構造単位として水酸基を有する樹脂であるポリビニルアルコール系樹脂〔例えば、ポリビニルアルコール(PVA)、アセトアセチル変性PVA、カチオン変性PVA、アニオン変性PVA、シラノール変性PVA、ポリビニルアセタール等〕、セルロース系樹脂〔メチルセルロース(MC)、エチルセルロース(EC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等〕、キチン類、キトサン類、デンプン、エーテル結合を有する樹脂〔例えば、ポリエチレンオキサイド(PEO)、ポリプロピレンオキサイド(PPO)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリビニルエーテル(PVE)等〕、カルバモイル基を有する樹脂〔例えば、ポリアクリルアミド(PAAM)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリアクリル酸ヒドラジド等〕などが挙げられる。
また、水溶性樹脂として、解離性基としてカルボキシ基を有するポリアクリル酸塩、マレイン酸樹脂、アルギン酸塩、ゼラチン類等も利用することができる。
以上の中でも、特に、ポリビニルアルコール(PVA)系樹脂が好ましい。該ポリビニルアルコール系樹脂の例としては、特公平4−52786号、特公平5−67432号、特公平7−29479号、特許第2,537,827号、特公平7−57553号、特許第2,502,998号、特許第3,053,231号、特開昭63−176173号、特許第2604367号、特開平7−276787号、特開平9−207425号、特開平11−58941号、特開2000−135858号、特開2001−205924号、特開2001−287444号、特開昭62−278080号、特開平9−39373号、特許第2750433号、特開2000−158801号、特開2001−213045号、特開2001−328345号、特開平8−324105号、特開平11−348417号等に記載されたもの等を使用できる。
また、ポリビニルアルコール系樹脂以外の水溶性樹脂の例としては、特開平11−165461号公報の段落番号[0011]〜[0014]に記載の化合物等も挙げられる。
これら結合剤としての水溶性樹脂は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用して用いてもよい。
本発明において、結合剤としての上記水溶性樹脂の含有量としては、インク受容層の全固形分質量に対して、9〜40質量%が好ましく、12〜33質量%がより好ましい。
また、ポリビニルアルコール系樹脂は、前記その他の水溶性樹脂を併用してもよい。このようにポリビニルアルコール系樹脂とその他の水溶性樹脂とを併用する場合、全水溶性樹脂中、ポリビニルアルコール系樹脂の含有量は、50質量%以上が好ましく、70質量%以上がより好ましい。
上記ポリビニルアルコール系樹脂は、その構造単位に水酸基を有するが、この水酸基とシリカ微粒子表面のシラノール基とが水素結合を形成して、シリカ微粒子の二次粒子を鎖単位とする三次元網目構造を形成しやすくする。上記三次元網目構造の形成によって、空隙率の高い多孔質構造のインク受容層を形成しうると考えられる。
インクジェット記録において、上述のようにして得た多孔質のインク受容層は、毛細管現象によって急速にインクを吸収し、インクニジミのない真円性の良好なドットを形成することができる。
また、透明性の観点から、鹸化度70〜99%のポリビニルアルコール系樹脂が更に好ましく、鹸化度80〜99%のポリビニルアルコール系樹脂が特に好ましい。
(微粒子と水溶性樹脂(結合剤)との含有比)
インク受容層内において、微粒子(x)と、結合剤である水溶性樹脂(y)と、の質量含有比〔PB比(x/y)〕は、該インク受容層の膜構造及び膜強度に大きな影響を与える。即ち、該質量含有比〔PB比〕が大きくなると、空隙率や細孔容積、表面積(単位質量当り)が大きくなるが、密度や強度は低下する傾向にある。
本発明におけるインク受容層では、上記質量含有比〔PB比(x/y)〕としては、該PB比が大き過ぎることに起因する、膜強度の低下や乾燥時のひび割れを防止し、かつ、該PB比が小さ過ぎることによって、該空隙が樹脂によって塞がれ易くなり、空隙率が減少することでインク吸収性が低下するのを防止する観点から、1.5/1〜10/1が好ましい。
本発明に係る光ディスクがインクジェット記録プリンターの搬送系を通過する場合、該光ディスクに応力が加わることがあるので、インク受容層は十分な膜強度を有していることが好ましい。このようなことを考慮すると、上記PB比(x/y)としては4/1以下がより好ましく、一方、インクジェット記録プリンターで、高速インク吸収性を確保する観点からは、3/1以上であることがより好ましい。
インク受容層の具体的な形成方法の一例を挙げる。例えば、平均一次粒子径が20nm以下の気相法シリカ微粒子と水溶性樹脂とを、PB比(x/y)3/1〜4/1で水溶液中に完全に分散した塗布液を下地層上に塗布し、該塗膜を乾燥した場合、シリカ微粒子の二次粒子を網目鎖とする三次元網目構造が形成され、その平均細孔径が30nm以下、空隙率が50〜80%、細孔比容積が0.5ml/g以上、比表面積が100m2/g以上の、透光性の多孔質膜を容易に形成することができる。
[架橋剤]
本発明におけるインク受容層は、前記結合剤を架橋し得る架橋剤を含有する。このように架橋剤を含有させることにより、インク受容層を、架橋剤と結合剤との架橋反応によって硬化された多孔質層とすることができる。
前記結合剤である水溶性樹脂として好適なポリビニルアルコールの架橋には、ホウ素化合物が好ましい。該ホウ素化合物としては、例えば、硼砂、硼酸、硼酸塩(例えば、オルト硼酸塩、InBO3、ScBO3、YBO3、LaBO3、Mg3(BO32、Co3(BO32、二硼酸塩(例えば、Mg225、Co225)、メタ硼酸塩(例えば、LiBO2、Ca(BO22、NaBO2、KBO2)、四硼酸塩(例えば、Na247・10H2O)、五硼酸塩(例えば、KB58・4H2O、Ca2611・7H2O、CsB55)等を挙げることができる。中でも、速やかに架橋反応を起こすことができる点で、硼砂、硼酸、硼酸塩が好ましく、特に硼酸が好ましい。
これを直接、インク受容層を形成するための塗布液(インク受容層塗布液)に添加すると、アニオン電荷を有する気相法シリカとの間で凝集を生ずる懸念があるが、独立の別の溶液として調製し塗布する方法を利用すれば、無機顔料微粒子の凝集を懸念する必要はない。よって、インク受容層とは別の溶液(例えば、架橋剤を含む溶液)に含有して用いることが好ましい。
また、結合剤である水溶性樹脂の架橋剤として、上記のホウ素化合物以外の化合物を使用することもできる。例えば、ホルムアルデヒド、グリオキザール、スクシンアルデヒド、グルタルアルデヒド、ジアルデヒドスターチ、植物ガムのジアルデヒド誘導体等のアルデヒド系化合物;ジアセチル、1,2−シクロペンタンジオン、3−ヘキセン−2,5−ジオン等のケトン系化合物;ビス(2−クロロエチル)尿素、ビス(2−クロロエチル)スルホン、2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシ−s−トリアジン・ナトリウム塩等の活性ハロゲン化合物;ジビニルスルホン、1,3−ビス(ビニルスルホニル)−2−プロパノール、N,N’−エチレンビス(ビニルスルホニルアセタミド)、ジビニルケトン、1,3−ビス(アクリロイル)尿素、1,3,5−トリアクリロイル−ヘキサヒドロ−s−トリアジン等の活性ビニル化合物;ジメチロール尿素、メチロールジメチルヒダントイン等のN−メチロール化合物;トリメチロールメラミン、アルキル化メチロールメラミン、メラミン、ベンゾグアナミン、メラミン樹脂等のメラミン化合物;エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ジグリセリンポリグリシジルエーテル、スピログリコールジグリシジルエーテル、フェノール樹脂のポリグリシジルエーテル等のエポキシ化合物;
1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシナネート等のイソシアネート系化合物;米国特許第3,017,280号、同第2,983,611号等に記載のアジリジン系化合物;米国特許第3,100,704号等に記載のカルボジイミド系化合物;1,6−ヘキサメチレン−N,N’−ビスエチレン尿素等のエチレンイミノ系化合物;ムコクロル酸、ムコフェノキシクロル酸等のハロゲン化カルボキシアルデヒド系化合物;2,3−ジヒドロキシジオキサン等のジオキサン系化合物;乳酸チタン、硫酸アルミ、クロム明ばん、カリ明ばん、酢酸ジルコニル、酢酸クロム等の金属含有化合物;テトラエチレンペンタミン等のポリアミン化合物;アジピン酸ジヒドラジド等のヒドラジド化合物;オキサゾリン基を2個以上含有する低分子又はポリマー等:米国特許第2,725,294号、米国特許第2,725,295号、米国特許第2,726,162号、米国特許第3,834,902号等に記載の多価酸の無水物、酸クロリド、ビススルホナート化合物;米国特許第3,542,558号、米国特許第3,251,972号等に記載の活性エステル化合物等が挙げられる。
上記の架橋剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組合わせて用いることもできる。
上記ポリビニルアルコールにゼラチンを併用する場合には、ゼラチンの硬膜剤として知られている、下記化合物を架橋剤としてホウ素化合物と併用することができる。
例えば、ホルムアルデヒド、グリオキザール、グルタールアルデヒド等のアルデヒド系化合物;ジアセチル、シクロペンタンジオン等のケトン系化合物;ビス(2−クロロエチル尿素)−2−ヒドロキシ−4,6−ジクロロ−1,3,5−トリアジン、2,4−ジクロロ−6−S−トリアジン・ナトリウム塩等の活性ハロゲン化合物;ジビニルスルホン酸、1,3−ビニルスルホニル−2−プロパノール、N,N’−エチレンビス(ビニルスルホニルアセタミド)、1,3,5−トリアクリロイル−ヘキサヒドロ−S−トリアジン等の活性ビニル化合物;ジメチロール尿素、メチロールジメチルヒダントイン等のN−メチロール化合物;
1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート等のイソシアネート系化合物;米国特許第3,017,280号明細書、同第2,983,611号明細書に記載のアジリジン系化合物;米国特許第3,100,704号明細書に記載のカルボキシイミド系化合物;グリセロールトリグリシジルエーテル等のエポキシ系化合物;1,6−ヘキサメチレン−N,N’−ビスエチレン尿素等のエチレンイミノ系化合物;ムコクロル酸、ムコフェノキシクロル酸等のハロゲン化カルボキシアルデヒド系化合物;2,3−ジヒドロキシジオキサン等のジオキサン系化合物;クロム明ばん、カリ明ばん、硫酸ジルコニウム、酢酸クロム等である。この場合、上記ホウ素化合物と他の架橋剤とを併用する場合、全架橋剤中ホウ素化合物の含有量は、50質量%以上が好ましく、70質量%以上が更に好ましい。
なお、上記ホウ素化合物は、一種単独でも、2種以上を組合わせてもよい。
上記架橋剤を付与する際、その溶液は架橋剤を水及び/又は有機溶剤に溶解して調製される。
上記架橋剤溶液中の架橋剤の濃度としては、架橋剤溶液の質量に対して、0.1〜10質量%が好ましく、0.5〜8質量%が特に好ましい。
架橋剤溶液を構成する溶媒としては、一般に水が使用され、該水と混和性を有する有機溶媒を含む水系混合溶媒であってもよい。
上記有機溶剤としては、架橋剤が溶解するものであれば任意に使用することができ、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、グリセリン等のアルコール;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン;酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル;トルエン等の芳香族溶剤;テトラヒドロフラン等のエーテル、及びジクロロメタン等のハロゲン化炭素系溶剤等を挙げることができる。
[媒染剤]
本発明においては、形成画像の耐水性、耐経時ニジミの更なる向上を図るために、インク受容層に媒染剤が含有されることが好ましい。
上記媒染剤としてはカチオン性のポリマー(カチオン性媒染剤)が好ましく、該媒染剤をインク受容層中に存在させることにより、アニオン性染料を色材として有する液状インクとの間で相互作用し色材を安定化し、耐水性や経時ニジミを向上させることができる。
上記カチオン性媒染剤としては、カチオン性基として、第1級〜第3級アミノ基、又は第4級アンモニウム塩基を有するポリマー媒染剤が好適に用いられるが、また、カチオン性の非ポリマー媒染剤も使用することができる。
上記ポリマー媒染剤としては、第1級〜第3級アミノ基及びその塩、又は第4級アンモニウム塩基を有する単量体(媒染モノマー)の単独重合体や、該媒染モノマーと他のモノマー(以下、「非媒染モノマー」という。)との共重合体又は縮重合体として得られるものが好ましい。また、これらのポリマー媒染剤は、水溶性ポリマーや、水分散性のラテックス粒子の形態で使用できる。
上記単量体(媒染モノマー)としては、例えば、トリメチル−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、トリメチル−m−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、トリエチル−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、トリエチル−m−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、N,N−ジメチル−N−エチル−N−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、N,N−ジエチル−N−メチル−N−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、N,N−ジメチル−N−n−プロピル−N−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、N,N−ジメチル−N−n−オクチル−N−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、N,N−ジメチル−N−ベンジル−N−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、N,N−ジエチル−N−ベンジル−N−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、N,N−ジメチル−N−(4−メチル)ベンジル−N−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、N,N−ジメチル−N−フェニル−N−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、
トリメチル−p−ビニルベンジルアンモニウムブロマイド、トリメチル−m−ビニルベンジルアンモニウムブロマイド、トリメチル−p−ビニルベンジルアンモニウムスルホネート、トリメチル−m−ビニルベンジルアンモニウムスルホネート、トリメチル−p−ビニルベンジルアンモニウムアセテート、トリメチル−m−ビニルベンジルアンモニウムアセテート、N,N,N−トリエチル−N−2−(4−ビニルフェニル)エチルアンモニウムクロライド、N,N,N−トリエチル−N−2−(3−ビニルフェニル)エチルアンモニウムクロライド、N,N−ジエチル−N−メチル−N−2−(4−ビニルフェニル)エチルアンモニウムクロライド、N,N−ジエチル−N−メチル−N−2−(4−ビニルフェニル)エチルアンモニウムアセテート、
N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドのメチルクロライド、エチルクロライド、メチルブロマイド、エチルブロマイド、メチルアイオダイド若しくはエチルアイオダイドによる4級化物、又はそれらのアニオンを置換したスルホン酸塩、アルキルスルホン酸塩、酢酸塩若しくはアルキルカルボン酸塩等が挙げられる。
具体的には、例えば、トリメチル−2−(メタクリロイルオキシ)エチルアンモニウムクロライド、トリエチル−2−(メタクリロイルオキシ)エチルアンモニウムクロライド、トリメチル−2−(アクリロイルオキシ)エチルアンモニウムクロライド、トリエチル−2−(アクリロイルオキシ)エチルアンモニウムクロライド、トリメチル−3−(メタクリロイルオキシ)プロピルアンモニウムクロライド、トリエチル−3−(メタクリロイルオキシ)プロピルアンモニウムクロライド、トリメチル−2−(メタクリロイルアミノ)エチルアンモニウムクロライド、トリエチル−2−(メタクリロイルアミノ)エチルアンモニウムクロライド、トリメチル−2−(アクリロイルアミノ)エチルアンモニウムクロライド、トリエチル−2−(アクリロイルアミノ)エチルアンモニウムクロライド、トリメチル−3−(メタクリロイルアミノ)プロピルアンモニウムクロライド、トリエチル−3−(メタクリロイルアミノ)プロピルアンモニウムクロライド、トリメチル−3−(アクリロイルアミノ)プロピルアンモニウムクロライド、トリエチル−3−(アクリロイルアミノ)プロピルアンモニウムクロライド、
N,N−ジメチル−N−エチル−2−(メタクリロイルオキシ)エチルアンモニウムクロライド、N,N−ジエチル−N−メチル−2−(メタクリロイルオキシ)エチルアンモニウムクロライド、N,N−ジメチル−N−エチル−3−(アクリロイルアミノ)プロピルアンモニウムクロライド、トリメチル−2−(メタクリロイルオキシ)エチルアンモニウムブロマイド、トリメチル−3−(アクリロイルアミノ)プロピルアンモニウムブロマイド、トリメチル−2−(メタクリロイルオキシ)エチルアンモニウムスルホネート、トリメチル−3−(アクリロイルアミノ)プロピルアンモニウムアセテート等を挙げることができる。
その他、共重合可能なモノマーとして、N−ビニルイミダゾール、N−ビニル−2−メチルイミダゾール等も挙げられる。
上記非媒染モノマーとは、第1級〜第3級アミノ基及びその塩、又は第4級アンモニウム塩基等の塩基性或いはカチオン性部分を含まず、インクジェットインク中の染料と相互作用を示さない、或いは相互作用が実質的に小さいモノマーをいう。
上記非媒染モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステル;(メタ)アクリル酸シクロヘキシル等の(メタ)アクリル酸シクロアルキルエステル;(メタ)アクリル酸フェニル等の(メタ)アクリル酸アリールエステル;(メタ)アクリル酸ベンジル等のアラルキルエステル;スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バーサチック酸ビニル等のビニルエステル類;酢酸アリル等のアリルエステル類;塩化ビニリデン、塩化ビニル等のハロゲン含有単量体;(メタ)アクリロニトリル等のシアン化ビニル;エチレン、プロピレン等のオレフィン類;等が挙げられる。
上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、アルキル部位の炭素数が1〜18の(メタ)アクリル酸アルキルエステルが好ましく、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリル等が挙げられる。
中でも、メチルアクリレート、エチルアクリレート、メチルメタアクリレート、エチルメタアクリレート、ヒドロキシエチルメタアクリレートが好ましい。
上記非媒染モノマーも、一種単独で、又は二種以上組合せて使用できる。
更に、ポリマー媒染剤として、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド、ポリメタクリロイルオキシエチル−β−ヒドロキシエチルジメチルアンモニウムクロライド、ポリエチレニミン、ポリアリルアミン、ポリアリルアミン塩酸塩、ポリアミド−ポリアミン樹脂、カチオン化でんぷん、ジシアンジアミドホルマリン縮合物、ジメチル−2−ヒドロキシプロピルアンモニウム塩重合物、ポリアミジン、ポリビニルアミン等も好ましいものとして挙げることができる。
上記ポリマー媒染剤の分子量としては、重量平均分子量で1,000〜200,000が好ましく、重量平均分子量で3,000〜60,000が更に好ましい。上記分子量が1,000〜200,000の範囲にあると、耐水性が不十分となることがなく、また、粘度が高くなりすぎてハンドリング適正が低下するのを防止できる。
上記カチオン性の非ポリマー媒染剤としては、例えば、硫酸アルミニウム、塩化アルミニウム、ポリ塩化アルミニウム、塩化マグネシウム等の水溶性金属塩が好ましい。
[一般式(1)で表される化合物及び一般式(2)で表される化合物]
本発明の光ディスクは、前記インク受容層に、更に、下記一般式(1)で表される化合物及び/又は下記一般式(2)で表される化合物を含むことが好ましい。下記一般式(1)で表される化合物及び下記一般式(2)で表される化合物は、高沸点溶剤である。
RO(CH2CH2O)nH 一般式(1)
[一般式(1)中、Rは、炭素数1〜12の飽和炭化水素基、炭素数1〜12の不飽和炭化水素基、フェニル基、又はアシル基を表す。nは、1〜3の整数を表す。]
RO(CH2CH(CH3)O)nH 一般式(2)
[一般式(2)中、Rは、炭素数1〜12の飽和炭化水素基、炭素数1〜12の不飽和炭化水素基、フェニル基、又はアシル基を表す。nは、1〜3の整数を表す。]
上記一般式(1)で表される化合物及び/又は一般式(2)で表される化合物をインク受容層に含むことで、3次元網目構造(多孔質構造)形成時のインク受容層の乾燥収縮を抑制することができる。これは、一般式(1)で表される化合物及び一般式(2)で表される化合物が、気相法シリカ表面のシラノール基とポリビニルアルコールの水酸基との水素結合を適度に阻害するためにインク受容層の乾燥収縮が緩和されるためと推測される。これにより3次元網目構造形成時におけるインク受容層の膜割れを防止でき、光ディスクの生産歩留まりや品質を向上させることができる。
上記一般式(1)及び一般式(2)において、Rは炭素数1〜12の飽和炭化水素基、炭素数1〜12の不飽和炭化水素基、フェニル基、又はアシル基を表し、炭素数1〜4の飽和炭化水素基が好ましい。
上記飽和炭化水素基の炭素数は1〜12であり、好ましくは1〜8であり、更に好ましくは1〜4ある。該飽和炭化水素基としては、アルキル基、脂環族炭化水素基等が挙げられる。該飽和炭化水素基は置換基によって置換されていてもよい。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基などが挙げられ、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基が好ましい。
上記不飽和炭化水素基の炭素数は1〜12であり、好ましくは1〜8であり、更に好ましくは1〜4である。該不飽和炭化水素基としては、アルケニル基、アルキニル基等が挙げられる。該不飽和炭化水素基は置換基によって置換されていてもよい。具体的には、ビニル基、アリル基、エチニル基、1,3−ブタジエニル基、2−プロピニル基等が挙げられ、アリル基が好ましい。
上記アシル基としては、炭素数1〜8のアシル基が好ましく、1〜4のアシル基が更に好ましい。該アシル基は置換基によって置換されていてもよい。具体的には、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、バレリル基が挙げられ、ブチリル基が好ましい。
上記一般式(1)及び一般式(2)において、nは1〜3の整数を表し、2又は3が好ましい。
一般式(1)で表される化合物及び一般式(2)で表される化合物としては、水溶性の化合物が好ましい。ここで「水溶性」とは、水に1質量%以上溶解するものをいう。
一般式(1)で表される化合物及び一般式(2)で表される化合物としては、具体的には、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノアリルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノドデシルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル等が挙げられ、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテルが好ましい。
一般式(1)で表される化合物及び一般式(2)で表される化合物は、その少なくとも1種をインク受容層に含んでいればよい。従って、一般式(1)で表される化合物又は(2)で表される化合物を単独又は2種以上含んでいてもよいし、一般式(1)で表される化合物と一般式(2)で表される化合物とを併用してもよい。一般式(1)で表される化合物〔x〕及び一般式(2)で表される化合物〔y〕を併用する場合、その混合比(質量比;x:y)については特に限定はないが、好ましくは100:1〜100:100であり、更に好ましくは100:10〜100:50である。
また、インク受容層中に含まれる一般式(1)で表される化合物及び(2)で表される化合物の総含有量としては、0.1〜5.0g/m2が好ましく、0.2〜3.0g/m2が更に好ましい。
[他の成分]
インク受容層は、必要に応じて、下記成分を含んでいてもよい。
色材の劣化を抑制する目的で、各種の紫外線吸収剤、酸化防止剤、一重項酸素クエンチャー等の褪色防止剤を含んでいてもよい。
上記紫外線吸収剤としては、桂皮酸誘導体、ベンゾフェノン誘導体、ベンゾトリアゾリルフェノール誘導体等が挙げられる。例えば、α−シアノ−フェニル桂皮酸ブチル、o−ベンゾトリアゾールフェノール、o−ベンゾトリアゾール−p−クロロフェノール、o−ベンゾトリアゾール−2,4−ジ−t−ブチルフェノール、o−ベンゾトリアゾール−2,4−ジ−t−オクチルフェノール等が挙げられる。ヒンダートフェノール化合物も紫外線吸収剤として使用でき、具体的には少なくとも2位又は6位のうち1ヵ所以上が分岐アルキル基で置換されたフェノール誘導体が好ましい。
また、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、サリチル酸系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収剤、オキザリックアシッドアニリド系紫外線吸収剤等も使用できる。例えば、特開昭47−10537号公報、同58−111942号公報、同58−212844号公報、同59−19945号公報、同59−46646号公報、同59−109055号公報、同63−53544号公報、特公昭36−10466号公報、同42−26187号公報、同48−30492号公報、同48−31255号公報、同48−41572号公報、同48−54965号公報、同50−10726号公報、米国特許第2,719,086号明細書、同3,707,375号明細書、同3,754,919号明細書、同4,220,711号明細書等に記載されている。
蛍光増白剤も紫外線吸収剤として使用でき、例えば、クマリン系蛍光増白剤等が挙げられる。具体的には、特公昭45−4699号公報、同54−5324号公報等に記載されている。
上記酸化防止剤としては、ヨーロッパ公開特許第223739号公報、同309401号公報、同309402号公報、同310551号公報、同第310552号公報、同第459416号公報、ドイツ公開特許第3435443号公報、特開昭54−48535号公報、同60−107384号公報、同60−107383号公報、同60−125470号公報、同60−125471号公報、同60−125472号公報、同60−287485号公報、同60−287486号公報、同60−287487号公報、同60−287488号公報、同61−160287号公報、同61−185483号公報、同61−211079号公報、同62−146678号公報、同62−146680号公報、同62−146679号公報、同62−282885号公報、同62−262047号公報、同63−051174号公報、同63−89877号公報、同63−88380号公報、同66−88381号公報、同63−113536号公報、
同63−163351号公報、同63−203372号公報、同63−224989号公報、同63−251282号公報、同63−267594号公報、同63−182484号公報、特開平1−239282号公報、特開平2−262654号公報、同2−71262号公報、同3−121449号公報、同4−291685号公報、同4−291684号公報、同5−61166号公報、同5−119449号公報、同5−188687号公報、同5−188686号公報、同5−110490号公報、同5−1108437号公報、同5−170361号公報、特公昭48−43295号公報、同48−33212号公報、米国特許第4814262号、同第4980275号等に記載のものが挙げられる。
具体的には、6−エトキシ−1−フェニル−2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン、6−エトキシ−1−オクチル−2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン、6−エトキシ−1−フェニル−2,2,4−トリメチル−1,2,3,4−テトラヒドロキノリン、6−エトキシ−1−オクチル−2,2,4−トリメチル−1,2,3,4,−テトラヒドロキノリン、シクロヘキサン酸ニッケル、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−エチルヘキサン、2−メチル−4−メトキシ−ジフェニルアミン、1−メチル−2−フェニルインドール等が挙げられる。
上記褪色性防止剤は、単独でも2種以上を併用してもよい。この上記褪色性防止剤は、水溶性化、分散、エマルション化してもよく、マイクロカプセル中に含ませることもできる。
上記褪色性防止剤の添加量としては、インク受容層塗布液の0.01〜10質量%が好ましい。
また、無機顔料微粒子の分散性を高める目的で、各種無機塩類、pH調整剤として酸やアルカリ等を含んでいてもよい。
更に、表面の摩擦帯電や剥離帯電を抑制する目的で、電子導電性を持つ金属酸化物微粒子を、表面の摩擦特性を低減する目的で各種のマット剤を含んでいてもよい。
[インク受容層の形成]
−インク受容層塗布液の調製−
本発明において、一般式(1)で表される化合物及び/又は一般式(2)で表される化合物と、気相法シリカ(微粒子)と、ポリビニルアルコール(結合剤)と、を少なくとも含むインク受容層塗布液は、例えば、以下のようにして調製することができる。
即ち、微粒子と分散剤とからなる水分散物に、上記一般式(1)で表される化合物及び/又は一般式(2)で表される化合物及び結合剤を含む溶液と、架橋剤及び媒染剤を含む溶液と、をそれぞれ添加し、再分散して得られる。具体的には、気相法シリカを水中に添加して(例えば、10〜20質量%)、高速回転湿式コロイドミル(例えば、クレアミックス(エム・テクニック(株)製))を用いて、例えば10,000rpm(好ましくは5,000〜20,000rpm)の高速回転の条件で20分間(好ましくは10〜30分間)分散させた後、ポリビニルアルコール水溶液(例えば、気相法シリカの1/3程度の質量のPVAとなるように)を加え、更に一般式(1)で表される化合物及び/又は一般式(2)で表される化合物を添加し、上記と同じ回転条件で分散を行い、更に、架橋剤及び媒染剤を含む溶液とを混合し、再分散して得られる。
そして、得られた塗布液を、下地層上に塗布して塗膜を形成し、その後、該塗膜を硬化させる方法によって形成する。当該方法においてインク受容層を形成する塗布液のpHは2.5〜4.0であり、酸性を示す。当該方法を用いると、光沢度及び印画濃度が向上するため好ましい。この方法を用いた場合の塗膜の硬化方法及びその条件としては、具体的には、C.A.Finchi編、“Chemistry and Technology of Water-Soluble Polymers”(1983年)に記載されている硬化方法及びその条件を適用することができる。
なお、上記分散の処理方法としては、高速回転分散機、媒体攪拌型分散機(ボールミル、サンドミルなど)、超音波分散機、コロイドミル分散機、高圧分散機等従来公知の各種の分散機を使用することができるが、本発明では形成されるダマ状微粒子の分散を効率的に行うという点から、コロイドミル分散機又は高圧分散機が好ましく用いられる。
上記インク受容層塗布液には、必要に応じて、更に、界面活性剤、pH調整剤、帯電防止剤等を添加することもできる。
上記分散剤としては、カチオン性のポリマーを用いることができる。カチオン性ポリマーとしては、上述の媒染剤の例として挙げた、第1級〜第3級アミノ基及びその塩、又は第4級アンモニウム塩基を有する単量体の単独重合体や、該単量体と他のモノマーとの共重合体又は縮重合体として得られるものを好適に使用することができる。また、これらの分散剤は、水溶性ポリマーの形態で使用するのが好ましい。
上記分散剤の分子量は、重量平均分子量で1,000〜200,000が好ましく、3,000〜60,000が更に好ましい。該分子量が1,000より小さいと分散性に劣る場合があり、200,000を超えると水分散物の粘度が高くなる場合がある。上記分散剤の気相法シリカに対する添加量は、1%〜30%が好ましく、3%〜20%が更に好ましい。該添加量が、1%未満では分散性に劣る場合があり、30%を超えるとインク受容層に印画した際、色濃度が低下することがあるため好ましくない。
また、微粒子と分散剤とからなる水分散剤の調製は、微粒子水分散液を予め調製し、該水分散液を分散剤水溶液に添加してもよいし、分散剤水溶液を微粒子水分散液に添加してよいし、同時に混合してもよい。また、微粒子水分散液ではなく、粉体の微粒子を用いて上記のように分散剤水溶液に添加してもよい。
上記の微粒子と分散剤とを混合した後、該混合液を分散機を用いて細粒化することで、平均粒子径50〜300nmの水分散液を得ることができる。該水分散液を得るために用いる分散機としては、高速回転分散機、媒体攪拌型分散機(ボールミル、サンドミルなど)、超音波分散機、コロイドミル分散機、高圧分散機等従来公知の各種の分散機を使用することができるが、形成されるダマ状微粒子の分散を効率的に行うという点から、コロイドミル分散機又は高圧分散機が好ましい。
また、インク受容層塗布液に用いられる溶媒としては、沸点が120℃以下の溶媒であって、水、有機溶媒、又はこれらの混合溶媒、が挙げられる。有機溶媒としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、メトキシプロパノール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、酢酸エチル、トルエン等が挙げられる。
−インク受容層塗布液の塗布−
スリットダイを使用し基板の全面にインク受容層塗布液を塗布し、形成しようとする完成塗膜のウェット厚みの2〜5倍のプレコート塗膜を形成した後、スピンコート法により余剰の塗布液を周外に振り飛ばすことにより完成塗膜を形成する。なお、インク受容層の層厚(膜厚)のムラの発生を抑制することができるという原理については、既述の本発明の塗膜形成方法において説明した内容と同様である。
本発明において、インク受容層塗布液の粘度は、厚みを確保するため、50〜1000mPa・sが好ましく、100〜500mPa・sがより好ましい。
スピンコート法による塗布の好ましい条件について以下に記す。回転数としては、振り切り時(減厚操作時)においては、徐々に回転数を上げ、上げ方はステップでもなだらかでもよく、具体的には、100〜3000rpmとすることが好ましい
上記の通り、インク受容層塗布液の塗布し塗膜を形成した後、該塗膜は乾燥されるが、その乾燥条件の詳細について以下に述べる。
インク受容層の塗膜の乾燥は、自然乾燥、温風乾燥、低温セット乾燥、赤外・遠赤外線乾燥、高周波乾燥、オーブン乾燥など、いかなる乾燥手法で行ってもよい。
自然乾燥の場合、塗膜の乾燥時間は、0.1〜10000秒とすることが好ましく、1〜1000秒とすることがより好ましく、10〜500秒とすることが更に好ましい。乾燥温度は、0〜40℃とすることが好ましく、10〜35℃とすることがより好ましく、20〜30℃とすることが更に好ましい。乾燥湿度10〜70%RHとすることが好ましく、20〜60%RHとすることがより好ましく、30〜50%RHとすることが更に好ましい。
温風乾燥の場合、塗膜の乾燥時間は、0.1〜5000秒とすることが好ましく、1〜1000秒とすることがより好ましく、10〜500秒とすることが更に好ましい。乾燥温度は、40〜200℃とすることが好ましく、60〜150℃とすることがより好ましく、80〜130℃とすることが更に好ましい。乾燥湿度0.01〜50%RHとすることが好ましく、0.1〜30%RHとすることがより好ましく、1〜20%RHとすることが更に好ましい。
低温セット乾燥の場合、塗膜の乾燥温度は、2〜25℃とすることが好ましく、5〜15℃とすることがより好ましい。乾燥湿度10〜50%RHとすることが好ましく、10〜30%RHとすることがより好ましい。この温・湿度は、乾燥の進行に伴い、低温低湿から高温高湿ヘ、徐々に或いは段階的にあげていることが好ましい。なお、風速は、減率乾燥速度を示したら、塗膜に対して平行に3m/s以上であることが好ましい。
赤外・遠赤外乾燥の場合、塗膜の乾燥時間は、0.1〜1000秒とすることが好ましく、1〜500秒とすることがより好ましく、10〜300秒とすることが更に好ましい。出力は、10〜2000Wとすることが好ましく、50〜1500Wとすることがより好ましく、100〜1000Wとすることが更に好ましい。
高周波乾燥の場合の乾燥条件も赤外・遠赤外乾燥の場合と同様である。
オーブン乾燥の場合、塗膜の乾燥時間は、0.1〜1,000秒とすることが好ましく、1〜500秒とすることがより好ましく、10〜300秒とすることが更にが好ましい。
また、インク受容層の細孔径は、メジアン径で0.005〜0.030μmが好ましく、0.01〜0.025μmがより好ましい。
上記空隙率及び細孔メジアン径は、水銀ポロシメーター(商品名:ボアサイザー9320−PC2、(株)島津製作所製)を用いて測定することができる。
また、インク受容層は、透明性に優れていることが好ましいが、その目安としては、インク受容層を透明支持体上に形成したときのヘイズ値が、30%以下であることが好ましく、20%以下であることがより好ましい。
上記ヘイズ値は、ヘイズメーター(HGM−2DP:スガ試験機(株))を用いて測定することができる。
本発明によって得られる光ディスクは、60°において30%以上の光沢度を示すことができる。該光沢度は、デジタル変角光沢度計(UGV−50DP,スガ試験機(株)製)等によって測定することができる。
以上のように、プリンタブル層を形成することにより、プリンタブル層、特に、インク受容層の膜厚にムラが少ない光ディスクを得ることができる。また、本発明の光ディスクにおけるインク受容層は、紫外線硬化樹脂によって形成したものとは異なり、光ディスクに照射する紫外線の量を減少させることができ、ジッタなどの記録特性を向上させることができる。また、紫外線硬化樹脂のように皮膚刺激性がなく、取り扱い安全性が高い。
〔下地層〕
本発明においては、インク受容層と基板との間に下地層を有することが好ましい。不透明性の高い下地層を設けると、紙に近い拡散性を有し、画質が向上する。特に、白色の下地層を設けると色再現性を良好とすることができる。下地層を光沢性の高いものにすると、光沢写真のように仕上がり、マット性の高いものとすると、マット写真のように仕上がる。下地層は、様々な色を用いると、様々な印象の画像を形成することができる。また、蛍光性の下地層の場合、蛍光性の画質とすることができる。このような下地層の形成手法は問わないが、生産性の観点から、放射線硬化樹脂をスクリーン印刷により形成することが好ましい。放射線硬化樹脂は、紫外線、電子ビーム、X線、γ線、赤外線等の電磁波によって硬化する樹脂であり、放射線としては、中でも、紫外線、電子ビームが好ましい。
下地層の層厚としては、0.1〜100μmが好ましく、1〜50μmがより好ましく、3〜20μmが最も好ましい。
〔中間層〕
本発明の光ディスクには、インク受容層と下地層との間に中間層を設けてもよい。中間層をインク吸収性の高い層とすると、受容できるインク量が増し、印画時に色濃度を向上させ、画質を向上させることができる。或いは、下地層と基板との間に中間層を設けてもよい。この場合、下地層と基板との密着性を向上させたり、光ディスク全体の反りを調整することができる。
中間層の層厚としては、0.1〜100μmが好ましく、1〜50μmがより好ましく、3〜20μmが最も好ましい。
〔表面層〕
本発明の光ディスクは、インク受容層の上に表面層があってもよい。表面層により、表面強度を更に向上させたり、印画の保存性を向上させたりすることができる。表面層は、インクを受容するか、或いは速やかに透過させる性質を有する必要がある。
表面層の層厚としては、0.01〜100μmが好ましく、0.1〜10μmがより好ましく、0.5〜5μmが最も好ましい。
以下、本発明に使用される基板及び各層について説明する。なお、層構成や材料等は、単なる例示であって、本発明はこれらに限定されるものではない。
<基板>
基板としては、従来の光記録媒体の基板材料として用いられている各種の材料を任意に選択して使用することができる。
具体的には、ガラス;ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート等のアクリル樹脂;ポリ塩化ビニル、塩化ビニル共重合体等の塩化ビニル系樹脂;エポキシ樹脂;アモルファスポリオレフィン;ポリエステル;アルミニウム等の金属;等を挙げることができ、所望によりこれらを併用してもよい。
上記材料の中では、耐湿性、寸法安定性及び低価格等の点から、アモルファスポリオレフィン、ポリカーボネートが好ましく、ポリカーボネートが特に好ましい。また、基板の厚さは、0.5〜1.2mmとすることが好ましく、0.6〜1.1mmとすることがより好ましい。
基板には、トラッキング用の案内溝又はアドレス信号等の情報を表わす凹凸(プリグルーブ)が形成されている。
青紫色レーザーで記録する媒体の場合、プリグルーブのトラックピッチは、200〜800nmの範囲とすること好ましく、200〜500nmとすることがより好ましく、200〜400nmとすることが更に好ましい。
また、プリグルーブの深さ(溝深さ)は、10〜180nmの範囲とすることが好ましく、20〜150nmとすることがより好ましい。
更に、プリグルーブの半値幅は、200〜400nmの範囲とすることが好ましく、230〜380nmとすることがより好ましく、250〜350nmとすることが更に好ましい。
DVD−R又はDVD−RWの場合は、プリグルーブのトラックピッチは、300〜900nmの範囲とすること好ましく、350〜850nmとすることがより好ましく、400〜800nmとすることが更に好ましい。
また、プリグルーブの深さ(溝深さ)は、100〜160nmの範囲とすることが好ましく、120〜150nmとすることがより好ましく、130〜140nmとすることが更に好ましい。
更に、プリグルーブの半値幅は、200〜400nmの範囲とすることが好ましく、230〜380nmとすることがより好ましく、250〜350nmとすることが更に好ましい。
CD−R又はCD−RWの場合は、プリグルーブのトラックピッチは、1.2〜2.0μmの範囲とすること好ましく、1.4〜1.8μmとすることがより好ましく、1.55〜1.65μmとすることが更に好ましい。
プリグルーブの深さ(溝深さ)は、100〜250nmの範囲とすることが好ましく、150〜230nmとすることがより好ましく、170〜210nmとすることが更に好ましい。
プリグルーブの半値幅は、400〜650nmの範囲とすることが好ましく、480〜600nmとすることがより好ましく、500〜580nmとすることが更に好ましい。
<記録層>
CD−R又はDVD−Rの場合、記録層は、記録物質である色素を、結合剤等と共に適当な溶剤に溶解して塗布液を調製し、次いで、この塗布液をスピンコート法により基板のプリグルーブが形成された面に塗布して塗膜を形成した後、乾燥することにより形成される。
スピンコート法を適用する際の温度は、23℃以上とすることが好ましく、25℃以上とすることがより好ましい。温度の上限は特にないが、溶剤の引火点より低い温度とする必要があり、好ましく35℃とする。
23℃未満とすると、溶剤の乾燥が遅くなり、目的とする色素膜厚(記録層の厚み)が得られない場合や塗布乾燥時間が長くなり、生産性が低下することがある。
当該色素としては、シアニン色素、オキソノール色素、金属錯体系色素、アゾ色素、フタロシアニン色素等が挙げられ、なかでも、フタロシアニン色素、オキソノール色素が好ましい。
また、特開平4−74690号公報、特開平8−127174号公報、同11−53758号公報、同11−334204号公報、同11−334205号公報、同11−334206号公報、同11−334207号公報、特開2000−43423号公報、同2000−108513号公報、及び同2000−158818号公報等に記載されている色素も好適に用いられる。
塗布液の溶剤としては、酢酸ブチル、乳酸エチル、2−メトキシエチルアセテート等のエステル;メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトン等のケトン;ジクロルメタン、1,2−ジクロルエタン、クロロホルム等の塩素化炭化水素;ジメチルホルムアミド等のアミド;メチルシクロヘキサン等の炭化水素;テトラヒドロフラン、エチルエーテル、ジオキサン等のエーテル;エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノールジアセトンアルコール等のアルコール;2,2,3,3−テトラフルオロプロパノール等のフッ素系溶剤;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールエーテル類;等を挙げることができる。
上記溶剤は使用する記録物質の溶解性を考慮して単独で、或いは二種以上を組み合わせて使用することができる。塗布液中には更に酸化防止剤、UV吸収剤、可塑剤、潤滑剤等各種の添加剤を目的に応じて添加してもよい。
結合剤を使用する場合に、該結合剤の例としては、ゼラチン、セルロース誘導体、デキストラン、ロジン、ゴム等の天然有機高分子物質;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリイソブチレン等の炭化水素系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニル・ポリ酢酸ビニル共重合体等のビニル系樹脂、ポリアクリル酸メチル、ポリメタクリル酸メチル等のアクリル樹脂、ポリビニルアルコール、塩素化ポリエチレン、エポキシ樹脂、ブチラール樹脂、ゴム誘導体、フェノール・ホルムアルデヒド樹脂等の熱硬化性樹脂の初期縮合物等の合成有機高分子;を挙げることができる。記録層の材料として結合剤を併用する場合に、結合剤の使用量は、一般に記録物質に対して0.01倍量〜50倍量(質量比)の範囲にあり、好ましくは0.1倍量〜5倍量(質量比)の範囲にある。このようにして調製される塗布液中の記録物質の濃度は、一般に0.01〜10質量%の範囲にあり、好ましくは0.1〜5質量%の範囲にある。
塗布方法としては、既述のようにスピンコート法を適用するが、その際に使用する装置等については、従来公知のものを使用することができる。
また、記録層は単層でも重層でもよく、その層厚は、一般に20〜500nmの範囲にあり、好ましくは30〜300nmの範囲にあり、より好ましくは50〜100nmの範囲にある。
記録層には、該記録層の耐光性を向上させるために、種々の褪色防止剤を含有させることができる。
褪色防止剤としては、一般的に一重項酸素クエンチャーが用いられる。一重項酸素クエンチャーとしては、既に公知の特許明細書等の刊行物に記載のものを利用することができる。
その具体例としては、特開昭58−175693号公報、同59−81194号公報、同60−18387号公報、同60−19586号公報、同60−19587号公報、同60−35054号公報、同60−36190号公報、同60−36191号公報、同60−44554号公報、同60−44555号公報、同60−44389号公報、同60−44390号公報、同60−54892号公報、同60−47069号公報、同63−209995号公報、特開平4−25492号公報、特公平1−38680号公報、及び同6−26028号公報等の各公報、ドイツ特許350399号明細書、そして日本化学会誌1992年10月号第1141頁等に記載のものを挙げることができる。
前記一重項酸素クエンチャー等の褪色防止剤の使用量は、色素の量に対して、通常0.1〜50質量%の範囲であり、好ましくは、0.5〜45質量%の範囲、更に好ましくは、3〜40質量%の範囲、特に好ましくは5〜25質量%の範囲である。
CD−RW又はDVD−RWの場合、記録層は、結晶状態と非晶状態の少なくとも2つの状態をとり得る少なくともAg、Al、Te、Sbからなる相変化型の光記録材料からなることが好ましい。かかる記録層は、公知の方法で形成することができる。
なお、当該記録層上には、必要に応じて、公知の誘電体層が形成される。
<光反射層>
記録層形成後、該記録層上に光反射性物質を蒸着、スパッタリング又はイオンプレーティングして光反射層を形成する。光反射層の形成に際しては、通常マスクが使用され、これによって光反射層の形成領域を調節することができる。
光反射層には、レーザ光に対する反射率が高い光反射性物質が用いられる。当該反射率は、70%以上であることが好ましい。
反射率が高い光反射性物質としては、Mg、Se、Y、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Re、Fe、Co、Ni、Ru、Rh、Pd、Ir、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Al、Ga、In、Si、Ge、Te、Pb、Po、Sn、Bi等の金属及び半金属或いはステンレス鋼を挙げることができる。これらの光反射性物質は単独で用いてもよいし、或いは二種以上の組合せで、又は合金として用いてもよい。これらのうちで好ましいものは、Cr、Ni、Pt、Cu、Ag、Au、Al及びステンレス鋼である。特に好ましくは、Au、Ag、Al或いはこれらの合金であり、最も好ましくは、Au、Ag或いはこれらの合金である。
光反射層の層厚は、一般的には10〜300nmの範囲とし、50〜200nmの範囲とすることが好ましい。
<保護層、保護基板>
光反射層を形成した後は、該光反射層上に保護層が形成される。
保護層は、スピンコート法により形成される。スピンコート法を適用することで、記録層にダメージ(色素の溶解、色素と保護層材料との化学反応等)を与えることなく保護層を形成することができる。スピンコートする際の回転数は、均一な層形成及び記録層へのダメージの防止の観点から、50〜8000rpmとすることが好ましく、100〜5000rpmとすることがより好ましい。
なお、保護層に放射線硬化樹脂(紫外線硬化樹脂)を使用した場合は、スピンコート法により保護層を形成した後、該保護層上から紫外線照射ランプ(メタルハライドランプ)により紫外線を照射して、紫外線硬化樹脂を硬化させる。
また、形成する保護層の厚みムラを無くすため、樹脂を硬化させる前に一定時間放置する等の処理を適宜行ってもよい。
保護層は、水分の侵入やキズの発生を防止することができる。保護層を構成する材料としては、放射線硬化樹脂、可視光硬化樹脂、熱硬化性樹脂、二酸化ケイ素等であることが好ましく、なかでも放射線硬化樹脂であることが好ましい。該放射線硬化樹脂としては、例えば、大日本インキ化学工業(株)製の「SD−640」等の紫外線硬化樹脂を挙げることができる。また、SD−347(大日本インキ化学工業(株)製)、SD−694(大日本インキ化学工業(株)製)、SKCD1051(SKC社製)等を使用することができる。保護層の厚さは、1〜200μmの範囲が好ましく、50〜150μmの範囲がより好ましい。
また、保護層が、レーザー光路として使用される層構成においては、透明性を有することが必要とされる。ここで、「透明性」とは、記録光及び再生光に対して、該光を透過する(透過率:90%以上)ほどに透明であることを意味する。
DVD−R、DVD−RWの場合は、保護層に代わって、紫外線硬化樹脂等からなる接着層及び保護基板としての基板(厚さ:0.6mm程度、材質については前記基板と同様)を積層する。
即ち、光反射層を形成した後、紫外線硬化樹脂(大日本インキ化学工業(株)製SD640等)をスピンコート法によって20〜60μmの厚さに塗布して、接着層を形成する。形成した接着層上に、例えば、保護基板としてのポリカーボネート基板(厚さ0.6mm)を載置し、基板上から紫外線を照射して紫外線硬化樹脂を硬化させて貼り合わせる。
以上のようにして、基板上に記録層、光反射層、保護層又は接着層を介した保護基板(ダミー基板)、等が設けられた積層体からなる光ディスクが作製される。
なお、本発明の光ディスクは、基板に形成されるプリグルーブのトラックピッチや、記録層を構成する材料等を適宜設定することで、従来のDVD等よりトラックピッチが狭く、使用されるレーザ光より小さい波長のレーザ光で情報の記録再生を行うことが可能な光ディスクにも適用することができる。
本発明の光ディスクの厚みとしては、下限としては、0.3mmが好ましく、0.5mmがより好ましく、0.7mmが更に好ましい。また、上限としては、100mmが好ましく、20mmがより好ましく、5mmが更に好ましい。薄すぎると、曲げたときに欠陥が発生することがある。厚すぎると、リムーバブル性に劣ることがある。
以下、実施例により本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、実施例中の「部」及び「%」は、全て「質量部」及び「質量%」を表す。
[実施例1〜6、比較例1〜2]
《円盤状基板の作製》
射出成形により、表面にスパイラル状のグルーブ(ランド)とLPPとを形成したポリカーボネート基板(厚さ:0.6mm、外径:120mm、内径:15mm、帝人(株)製、商品名「パンライトAD5503」)を作製した。溝深さ:140nm、溝幅:310nm、溝ピッチ:740nmであった。
下記オキソノール色素(A)とオキソノール色素(B)とを65:35の割合で混合した色素1gを、2,2,3,3−テトラフルオロ−プロパノール100mlに溶解し、記録層形成用塗布液を調製した。この記録層形成用塗布液を、得られた基板のグルーブ面に、回転数を300〜3000rpmまで変化させながらスピンコート法により塗布し、乾燥して記録層を形成した。記録層の厚さは、記録層の断面をSEMにより観察して計測したところグルーブ内では150nm、ランド部では110nmであった。
Figure 2006244558
次いで、アルゴン雰囲気中での、DCスパッタリングにより、記録層上に厚さ約150nmのAgからなる光反射層を形成した。なお、チャンバー内の圧力は0.5Paであった。
更に、光反射層上に、UV硬化性樹脂(商品名「SD−318」、大日本インキ化学工業(株)製)を環状にディスペンスし、別に用意したポリカーボネート製の円盤状保護基板(直径:120mm、厚さ:0.6mm)を中心を一致させて重ね合わせ、回転数5000rpmで3秒間回転させ、UV硬化性樹脂(SD640、大日本インキ化学工業(株)製)を全面に広げ且つ余分なUV硬化性樹脂を振り飛ばした。UV硬化性樹脂が全面に広がったところで、高圧水銀灯により紫外線を照射してUV硬化性樹脂を硬化させ、記録層及び光反射層が形成された基板と円盤状保護基板とを貼り合わせた。貼り合わせ層の厚さは25μmであり、気泡の混入もなく貼り合せることができた。
次いで、レーザー光入射面と反対側の円盤状保護基板の表面に、以下のようにして、プリンタブル層を形成した。
円盤状保護基板上に、紫外線硬化インク(White No.3、帝国インキ製造(株)製)をスクリーン印刷で印刷し、印刷後、その上からメタルハライドランプで80W/cmの紫外線を照射して硬化させ8μmの下地層(白色層)を繰り返し2層、トータルで16μmの厚みで形成した。スクリーンは300本/インチメッシュ、糸径31μm、オープニング38μmのテトロン製スクリーンを用いた。
−インク受容層塗布液A〜Cの調製−
下記組成中の(1)気相法シリカ微粒子、(2)イオン交換水を混合し、高速回転式コロイドミル(クレアミックス、エム・テクニック(株)製)を用いて、回転数10000rpmで20分間分散させた。その後、その水分散物に、(3)ポリオキシエチレンラウリルエーテル、(4)ポリビニルアルコール9%水溶液、及び(5)ジエチレングリコールモノブチルエーテルから構成される第1の溶液と、(6)硼酸、(7)媒染剤、及び(8)イオン交換水からなる第2の溶液と、をそれぞれ添加し、さらに粘度調整用イオン交換水を適宜加え、更に上記と同一条件で再分散を行い、表1に示すインク受容層塗布液A〜Cを調製した。各インク受容層塗布液の固形分濃度と粘度を表1に示す。なお、粘度は東京計器製、B型粘度計を用い20℃で測定した値である。
シリカ微粒子と水溶性樹脂との質量比(PB比/(1):(4))は、3.5:1であり、インク受容層塗布液AのpHは3.4であり、酸性を示した。
〔インク受容層塗布液の組成〕
(1)気相法シリカ微粒子(無機顔料微粒子) 10.0部
(平均一次粒子径7nm;アエロジル300、日本アエロジル(株)製)
(2)イオン交換水 55.2部
[第1の溶液]
(3)ポリオキシエチレンラウリルエーテル(界面活性剤) 3.5部
(エマルゲン109P(10%)、花王(株)製、HLB値13.6)
(4)ポリビニルアルコール9%水溶液(水溶性樹脂) 31.7部
(PVA420、(株)クラレ製、鹸化度81.8%、重合度2,000)
(5)ジエチレングリコールモノブチルエーテル 0.5部
(一般式(1)で表される化合物)
[第2の溶液]
(6)硼酸(6%;架橋剤) 10.4部
(7)媒染剤(PAS−F5000;20%水溶液、日東紡(株)製) 2.5部
(8)イオン交換水 5.3部
Figure 2006244558
−インク受容層の形成−
上記光ディスクの下地層の面にコロナ放電処理を行った後、上記から得たインク受容層塗布液A〜Cを、ダイコータ(スリットダイ)を用いて、下地層上に塗布し、それぞれの実施例、比較例において表2に示すウェット厚みのプレコート塗膜を形成した。各プレコート塗膜の形成における共通の条件を以下に示す。
[プレコート塗膜の形成条件]
・塗布幅:45mm(光ディスクの概ね半径分の塗布幅で、光ディスクを回転させながら約1周塗布した。)
・ダイ材質:ステンレス
・スリットギャップ:200μm
・スリットダイ先端と基板との距離:プレコートウェット厚みの2倍に設定
・塗布液の送液方法:タンク加圧型で、吐出開始から約1周回転した後吐出を終了するようバルブをシーケンス制御した。
Figure 2006244558
次いで、プレコート塗膜に対し、スピンコータによって減厚操作し、それぞれの実施例、比較例において表2に示す膜厚の完成塗膜を得た。
このとき、形成したプレコートのウェット厚みと減厚操作時の回転数を変化させ厚みムラを調べた。厚みムラは、図1に示す光ディスク内の5点のドライ厚みを測定し、そのばらつきと、以下の評価基準に従い目視により評価を行った。厚みばらつきは20%以下が合格である。結果を表2に示す。なお、図1は同心円の外側の円が光ディスクの外周を示し、内側の円が光ディスクのセンター孔を示し、ハッチングを付した6個の小円が測定点を示している。
なお、塗布前基板厚み及び塗布後基板厚み(塗膜厚みを含む)をそれぞれマイクロメータで計測し、塗布前後の厚み差をドライ厚みとした。また、完成時のウェット厚みは、光ディスク内の上記5点のドライ厚みの平均値から計算により求めた。結果を表2に示す。
[評価基準」
○:ムラが良好なレベル
△:部分的な厚みムラがあるが許容範囲内であるレベル
×:全体的に厚みムラがはっきり確認できるレベル
その後、低温低湿庫にて5℃、10%RH環境で、表面の塗布液の流動性が抑えられるまで乾燥させた。塗膜は、この期間恒率乾燥速度を示した。その直後、熱風乾燥機にて、20℃、20%RHの環境(風速4m/sec)で30分間乾燥させた。
表2より、プレコートウェット厚みとして完成時のウェット厚みの2倍以上の実施例1〜6は、プリンタブル層(インク受容層)の厚みムラが少なく、インクジェットプリンタによる画像印字評価においても良好な結果が得られた。これに対し、比較例1〜2では厚みムラが大きく、インクジェットプリンタによる画像印字評価ではにじみ等の画像不良が発生した。また、実施例1では、液粘度が高いためプレコート時に若干の泡の巻き込みがあり、それが完成塗膜にも弱い厚みムラとして見えたが許容範囲であった。実施例6では粘度が低いためプレコート時に液が流動し若干の裏回りがあったが許容範囲であった。
厚みムラに評価における5点の測定点を示す図である。

Claims (4)

  1. スリットダイを使用しディスク状基板の全面に塗布液を塗布し、形成しようとする完成塗膜のウェット厚みの2〜5倍のプレコート塗膜を形成した後、スピンコート法により余剰の塗布液を周外に振り飛ばすことにより完成塗膜を形成することを特徴とするディスク状基板への塗膜形成方法。
  2. 前記塗布液の粘度を50〜1000mPa・sとし、前記完成塗膜の乾燥時の厚みを10〜200μmとすることを特徴とする請求項1に記載のディスク状基板への塗膜形成方法。
  3. 基板の一方の面側にレーザー光の照射により、少なくとも情報の再生が可能な情報領域を有し、他方の面側にプリンタブル層を有する光ディスクの製造方法であって、
    前記プリンタブル層の形成において、スリットダイを使用し基板の全面に塗布液を塗布し、形成しようとする完成塗膜のウェット厚みの2〜5倍のプレコート塗膜を形成した後、スピンコート法により余剰の塗布液を周外に振り飛ばすことにより完成塗膜を形成する工程を有することを特徴とする光ディスクの製造方法。
  4. 前記塗布液の粘度を50〜1000mPa・sとし、前記完成塗膜の乾燥時の厚みを10〜200μmとすることを特徴とする請求項3に記載の光ディスクの製造方法。
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