JP2006243535A - 熱現像感光材料を用いた画像形成方法 - Google Patents

熱現像感光材料を用いた画像形成方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 本発明の課題は、異なる画像情報の銀画像とカラー画像との合成画像を記録し得る熱現像感光材料を用いた画像形成方法を提供することである。特に、本発明は医療診断画像として有用な融合画像を形成し得る熱現像感光材料を用いた画像形成方法を提供することにある。
【解決手段】 支持体上に、少なくとも感光性ハロゲン化銀、非感光性有機銀塩、銀イオンのための還元剤、およびバインダーを有する熱現像感光材料を用いた画像形成方法であって、前記熱現像感光材料が少なくとも2層の互いに異なる感色性を有する画像形成層を配してなり、前記画像形成層の感光波長に対応した少なくとも2つの波長の異なるレーザーによって画像露光し、熱現像するこにより2つ以上の画像情報の融合画像を形成することを特徴とする。
【選択図】 なし

Description

本発明は、熱現像感光材料を用いた画像形成方法に関する。特に、本発明は2つ以上の医療診断画像の融合画像を形成し得る熱現像感光材料を用いた画像形成方法に関する。
近年、写真画像形成分野において環境保全、省スペースの観点から写真現像処理のドライ化が強く望まれている。これらの分野では、従来、高感度と高い画像品質の点からハロゲン化銀写真感光材料が用いられてきた。しかしながら、画像形成のためには、画像露光後、発色現像工程、脱銀漂白処理工程、水洗安定化処理工程などの湿式処理工程、およびこれらの処理液の管理、廃液処理が必要であり、画像形成の簡易迅速化の大きな障害であった。
有機銀塩を利用した熱現像感光材料が既に知られている。熱現像感光材料は、還元可能な銀塩(例、有機銀塩)、感光性ハロゲン化銀、必要により銀の色調を制御する色調剤を、バインダーのマトリックス中に分散して含有する画像形成層を有している。
熱現像感光材料を画像露光後、高温(例えば80℃以上)に加熱すると、ハロゲン化銀あるいは還元可能な銀塩(酸化剤として機能する)と還元剤との間の酸化還元反応が起こり、黒色の銀画像が形成される。この酸化還元反応は、画像露光で発生したハロゲン化銀の潜像の触媒作用により促進される。その結果、露光領域に黒色の銀画像が形成される。
一方、カラー画像形成法としては、カプラーと現像主薬酸化体のカップリング反応を利用する方法が最も一般的であり、この方法を採用した熱現像感光材料が米国特許第3,761,270号明細書、同第4,021,240号明細書、特開昭59−231539号公報、及び同60−128438号公報等に開示されており、これらの特許においてはp−スルホンアミドフェノールが現像主薬として使用されている。カップリング方式による熱現像感光材料は、カプラーが処理前は可視域に吸収を持たないので、既成色素を含有した色材を使用した熱現像感光材料に比べて感度の点で有利であり、プリント材料のみならず撮影材料としても使用できるという利点があると考えられる。しかしながら、p−スルホンアミドフェノールを内蔵する方法では、現像処理前の熱現像感光材料中におけるp−スルホンアミドフェノールの劣化により、適正な画像が得られない問題があった。この問題を解決する方法として、ヨーロッパ公開特許第1,113,316A2号、第1,113,322A2号、同1,113,323A2号、同1,113,324A2号、同1,113,325A2号、及び同1,113,326A2号により、ブロックされたパラフェニレンジアミン系現像主薬を内蔵する熱現像感光材料及びその処理方法が提案された(例えば、特許文献1〜4参照。)。
しかしながら、これらの熱現像感光材料においては、画像形成後もハロゲン化銀が膜中に残存するため、残存ハロゲン化銀による光吸収と光散乱のために膜の濁りおよび不透明度が高くカラー画像としての実質的に観察するには不適であった。例えば上記引例1〜4の実施例に記載されているようにかぶりが0.58〜1.2と極めて高くなってしまう。さらにカラー画像が形成された部分では、このかぶりの上に現像銀による黒色画像が加わるのでカラー画像として直接観察することが困難である。従って、引例1〜4に説明されているように、得られる画像は一次原稿ではあって、直接観察し得る画像ではなく、これをもとにデジタル化して、さらに画像処理を施してかぶりを低減しかつ階調と色調を調整して観察し得る再処理画像を形成する試みがなされた。
医療診断画像分野では、近年PET(positron emission tomography)やSPECT(single emission computed tomography)などの核医学の診断手法の重要度が増している。これらの機能画像は解剖学的な情報に乏しく、CT(computed tomography)やMRI(magnetic resonance imaging)などの形態画像を別途撮影し、ディスプレー上に並列して配置させて比較診断されている。また、ソフト的に形態画像と機能画像を、ディスプレー上で融合させる手法も開発されている。
上記手法では別々の撮影であるため、位置あわせの困難さや経時変化の問題があった。
この問題を解決するため近年、PET−CTハイブリッド装置が開発された(非特許文献1参照。)。PET−CTハイブリッド装置は、PET画像とCT画像をほぼ同時に撮影し、ディスプレー上に融合画像を表示することができるので診断能に優れている。
これらの融合画像は、CTやMRIなどの形態画像を白黒表示、PETやSPECTなどの機能画像をカラー表示にして、ディスプレー上に表示するのが一般的である。しかしながら、モニター画面上にデイスプレーすることは出来るが、白黒の医療用レーザープリンターのように高精細で高品質なハードプリントとして得ることは現在まだ手段がない。一方で医療情報のオープン化、インフォームドコンセントの実施が社会的要求として高まってきて、高画質のハードプリントを作製する強い要望がある。
特開2001−312026号明細書 特開2003−215767号明細書 特開2003−215764号明細書 米国特許6242166号明細書 映像情報メディカル11月号1302頁〜1347頁(2004年)
本発明の目的は、異なる画像情報の銀画像とカラー画像との合成画像を記録し得る熱現像感光材料を用いた画像形成方法を提供することである。特に、本発明は医療診断画像として有用な融合画像を形成し得る熱現像感光材料を用いた画像形成方法を提供することにある。
上記課題は、以下の手段により解決された。
<1> 支持体上に、少なくとも感光性ハロゲン化銀、非感光性有機銀塩、銀イオンのための還元剤、およびバインダーを有する熱現像感光材料を用いた画像形成方法であって、前記熱現像感光材料が少なくとも2層の互いに異なる感色性を有する画像形成層を配してなり、前記画像形成層の感光波長に対応した少なくとも2つの波長の異なるレーザーによって画像露光し、熱現像することにより2つ以上の画像情報の融合画像を形成することを特徴とする画像形成方法。
<2> 前記画像情報の少なくとも1つが医療形態情報であり、他の少なくとも1つが医療機能情報である融合画像を形成することを特徴とする<1>に記載の画像形成方法。
<3> 前記が医療形態情報がCT(Computed Tomography)情報またはMRI(Magnetic Resonannce Imaging)情報であることを特徴とする<2>に記載の画像形成方法。
<4> 前記が医療機能情報がPET(Positron Emission Tomography)情報またはSPECT(Single Photon Emission Computed Tomography)情報であることを特徴とする<2>または<3>に記載の画像形成方法。
<5> 前記画像形成層の少なくとも1層が実質的に銀画像よりなる画像を形成し得る画像形成層であって、前記画像形成層の少なくとも他の1層が色像形成材料を含有するカラー画像を形成し得る画像形成層であることを特徴とする<1>〜<4>のいずれか1項に記載の画像形成方法。
<6> 前記画像形成層の少なくとも2層が互いに異なる色相のカラー画像を形成することを特徴とする<1>〜<4>のいずれか1項に記載の画像形成方法。
<7> 前記カラー画像を形成し得る画像形成層の還元剤が下記一般式(I)で表される化合物であることを特徴とする<5>または<6>に記載の画像形成方法:
Figure 2006243535
(式中、R1、R2、R3及びR4はそれぞれ独立に水素原子又は置換基を表し、R5及びR6はそれぞれ独立に、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、アシル基、又はスルホニル基を表し、R1とR2、R3とR4、R5とR6、R2とR5、又は/及びR4とR6とが互いに結合して5員、6員又は7員の環を形成してもよい。R7はR11−O−CO−、R12−CO−CO−、R13−NH−CO−、R14−SO2−、R15−W−C(R16)(R17)(R18)−、R19−SO2NHCO−、R20−CONHCO−、R21−SO2NHSO2−、R22−CONHSO2−又は(M)1/nOSO2−を表し、R11、R12、R13、R14、R19、R20、R21及びR22はアルキル基、アリール基、又はヘテロ環基を表し、R15は水素原子又はブロック基を表し、Wは酸素原子、イオウ原子又は>N−R18を表し、R16、R17、及びR18は水素原子又はアルキル基を表し、Mはn価のカチオンを表す。)。
<8> 前記一般式(I)におけるR7がR11−O−CO−またはR19−SO2NHCO−で表される化合物であることを特徴とする<7>に記載の画像形成方法。
<9> 前記カラー画像を形成し得る画像形成層の還元剤が、下記一般式(II)で表される化合物であることを特徴とする<7>または<8>に記載の画像形成方法:
Figure 2006243535
(式中、R101及びR102はそれぞれ独立に、置換又は無置換のアルキル基、アリール基、ヘテロ環基、アシル基、アルキルスルホニル基、又はアリールスルホニル基を表し、R103、R104、R105、R106及びR107はそれぞれ独立に水素原子又は置換基を表す。R101とR102、R103とR104、R105とR106、及びR107とXの少なくとも一組は互いに結合して5員、6員又は7員の環を形成してもよい。Xはハロゲン原子、又はヘテロ原子を有する置換基(前記ヘテロ原子を介してベンゼン環に結合する)を表す。nは0〜4の整数を表す。nが2以の場合、R107は同じであっても異なっていても良く、また互いに結合して5員、6員又は7員の環を形成してもよい。)。
<10> 前記カラー画像を形成し得る画像形成層の還元剤が、下記一般式(III)で表される化合物であることを特徴とする<7>または<8>に記載の画像形成方法:
Figure 2006243535
(式中、R201、R202、及びR203はそれぞれ独立に水素原子又は置換基を表し、R204はアルキル基、アリール基、又はヘテロ環基を表し、R201とR202、又は/及びR202とR204は互いに結合して5員、6員又は7員の環を形成してもよい。Zは窒素原子及びベンゼン環中の2個の炭素原子とともに5員、6員又は7員の環を形成する非金属原子群を表す。R205はアルキル基、アリール基、又はヘテロ環基を表す。ただし、R201〜R204の各にヒドロキシル基、カルボキシル基、スルホ基のいずれをも含まない。)。
<11> 前記一般式(III)におけるR205が下記一般式(IV)で表される基であることを特徴とする<10>に記載の画像形成方法:
Figure 2006243535
(式中、Xは、ハロゲン原子、又はヘテロ原子を介してベンゼン環に置換する基を表し、R206は置換基を表し、nは0〜4の整数を表す。nが2以上の場合、2個以上のR206は同じでも、異なっていてもよく、隣り合った位置に結合した基が互いに結合して5員〜7員の、炭素環又はヘテロ環を形成してもよい。)。
<12> 前記色像形成材料が前記還元剤の酸化体と反応して色素を形成し得るカプラーであることを特徴とする<5>〜<11>のいずれか1項に記載の画像形成方法。
<13> 前記カプラーが下記一般式(C−1)、(C−2)、(C−3)、(M−1)、(M−2)、(M−3)、(Y−1)、(Y−2)および(Y−3)よりなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を含有することを特徴とする<12>に記載の画像形成方法:
Figure 2006243535
(式中、X1は水素原子または離脱基を表し、Y1およびY2は電子求引性の置換基を表し、R1はアルキル基、アリール基またはヘテロ環基を表す。);
Figure 2006243535
(式中、X2は水素原子または離脱基を表し、R2はアシルアミノ基、ウレイド基またはウレタン基を表し、R3は水素原子、アルキル基またはアシルアミノ基を表し、R4は水素原子、または置換基を表す。R3とR4が互いに連結して環を形成してもよい。);
Figure 2006243535
(式中、X3は水素原子または離脱基を表し、R5はカルバモイル基またはスルファモイル基を表し、R6は水素原子または置換基を表す。);
Figure 2006243535
(式中、X4は水素原子または離脱基を表し、R7はアルキル基、アリール基またはヘテロ環基を表し、R8は置換基を表す。);
Figure 2006243535
(式中、X5は水素原子または離脱基を表し、R9はアルキル基、アリール基またはヘテロ環基を表し、R10は置換基を表す。);
Figure 2006243535
(式中、X6は水素原子または離脱基を表し、R11はアルキル基、アリール基、アシルアミノ基またはアニリノ基を表し、R10はアルキル基、アリール基またはヘテロ環基を表す。);
Figure 2006243535
(式中、X7は水素原子または離脱基を表し、R13はアルキル基、アリール基、インドレニル基を表し、R14はアリール基またはヘテロ環基を表す。);
Figure 2006243535
(式中、X8は水素原子または離脱基を表し、Zは5員ないし7員の環を形成するのに必要な2価の基を表し、R15はアリール基またはヘテロ環基を表す。);
Figure 2006243535
(式中、X9は水素原子または離脱基を表し、R16、R17およびR18はそれぞれ置換基を表し、nは0ないし4の、mは0ないし5のいずれかの整数を表す。nまたはmが2以上のとき、複数のR16およびR17はそれぞれ同一の基であってもよいし、別々の基であってもよい。)。
<14> 前記バインダーがポリマーラテックスであることを特徴とする<1>〜<13>のいずれか1項に記載の画像形成方法。
<15> 前記銀画像よりなる画像を形成し得る画像形成層を前記支持体の一方の面に配して、前記カラー画像を形成し得る画像形成層を他方の面に配してなることを特徴とする<5>〜<14>のいずれか1項に記載の画像形成方法。
<16> 前記銀画像よりなる画像を形成し得る画像形成層と前記カラー画像を形成し得る画像形成層を前記支持体の同一面に配してなることを特徴とする<5>〜<14>のいずれか1項に記載の画像形成方法。
本発明により、異なる画像情報の銀画像とカラー画像との合成画像を記録し得る熱現像感光材料を用いた画像形成方法が提供される。特に、本発明は医療診断画像として有用な融合画像を形成し得る熱現像感光材料を用いた画像形成方法が提供される。
以下に詳細に本発明を説明する。
(熱現像感光材料)
本発明の熱現像感光材料は、支持体上に、少なくとも感光性ハロゲン化銀、非感光性有機銀塩、銀イオンのための還元剤、およびバインダーを有する画像形成層を少なくとも2層有してなる熱現像感光材料であって、前記画像形成層は互いに異なる感色性を有する。
本発明の熱現像感光材料を用いて、前記画像形成層の感光波長に対応した少なくとも2つの波長の異なるレーザーによって画像露光し、1つの熱現像感光材料に2つ以上の画像情報の融合画像を形成することができる。
好ましくは、前記画像情報の少なくとも1つが医療形態情報であり、他の少なくとも1つが医療機能情報であって、これらの融合画像を形成する。
好ましくは、前記が医療形態情報がCT(Computed Tomography)情報またはMRI(magnetic resonannce imaging)情報であり、前記が医療機能情報がPET(Positron Emission Tomography)情報またはSPECT(Single Photon Emission Computed Tomography)情報である。
好ましい一つの態様は、前記画像形成層の少なくとも1層が実質的に銀画像よりなる画像を形成し得る画像形成層であって、前記画像形成層の少なくとも1層が色素を形成し得るカプラーを含有してカラー画像を形成し得る画像形成層である。
好ましいもう一つの態様は、前記画像形成層の少なくとも2層が互いに異なる色相のカラー画像を形成する画像形成層である。
これらの画像形成層は、共に支持体の一方の面上に配しても、一方を前記支持体の一方の面に配して、他方の画像形成層を他方の面に配しても良い。
異なる画像情報をそれぞれの画像形成層の感色性に対応した光源で画像露光した後、熱現像することによって、それぞれの画像情報が銀像とカラー画像、あるいは異なる色相のカラー画像として重ねられた画像として記録される。例えば、医療画像記録材料としての応用として、一方の画像情報を形態画像、他方を機能情報とすると、撮影部位が形態情報として再現され、その部位の機能情報が表示されるので、変化や異常を的確に判定することが出来る。形態画像と機能情報を2層の画像形成層にいずれに持たせても良く、例えば、形態情報を銀画像、機能情報をカラー画像で記録すること、あるいはその逆でもよい。
本発明の熱現像感光材料が含有する還元剤は可視領域には吸収をほとんど有しない化合物であるが、本発明の熱現像感光材料を熱現像するとそれ自身が還元剤として作用するか、あるいは還元剤を放出して銀イオンを還元すると同時に、それ自身の酸化体、あるいは放出された還元剤の酸化体が生成する。これらの酸化体がカプラー化合物と反応すると色素を生成し、銀画像に応じたイメージワイズな色素画像が形成される。
(還元剤:一般式(I)で表される化合物)
以下に、本発明の式(I)で表される化合物について詳しく説明する。R1、R2、R3及びR4はそれぞれ独立に水素原子又は置換基を表す。R1、R2、R3及びR4で表される置換基としては、ハロゲン原子、アルキル基(シクロアルキル基、ビシクロアルキル基を含む)、アルケニル基(シクロアルケニル基、ビシクロアルケニル基を含む)、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、カルボキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ、アミノ基(アニリノ基を含む)、アシルアミノ基、アミノカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、アルキル及びアリールスルホニルアミノ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、スルファモイル基、スルホ基、アルキル及びアリールスルフィニル基、アルキル及びアリールスルホニル基、アシル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アリール及びヘテロ環アゾ基、イミド基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスフィニルオキシ基、ホスフィニルアミノ基、シリル基が挙げられる。更に詳しくは、ハロゲン原子(例えば、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、アルキル基〔直鎖、分岐、環状の置換もしくは無置換のアルキル基を表す。
アルキル基(好ましくは炭素数1から30のアルキル基、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、t−ブチル、n−オクチル、エイコシル、2−クロロエチル、2−シアノエチル、2―エチルヘキシル)、シクロアルキル基(好ましくは、炭素数3から30の置換又は無置換のシクロアルキル基、例えば、シクロヘキシル、シクロペンチル、4−n−ドデシルシクロヘキシル)、ビシクロアルキル基(好ましくは、炭素数5から30の置換もしくは無置換のビシクロアルキル基、つまり、炭素数5から30のビシクロアルカンから水素原子を一個取り去った一価の基である。例えば、ビシクロ[1,2,2]ヘプタン−2−イル、ビシクロ[2,2,2]オクタン−3−イル)、更に環構造が多いトリシクロ構造なども包含する。
以下に説明する置換基の中のアルキル基(例えばアルキルチオ基のアルキル基)もこのような概念のアルキル基を表す。]、アルケニル基[直鎖、分岐、環状の置換もしくは無置換のアルケニル基を表す。アルケニル基(好ましくは炭素数2から30の置換又は無置換のアルケニル基、例えば、ビニル、アリル、プレニル、ゲラニル、オレイル)、シクロアルケニル基(好ましくは、炭素数3から30の置換もしくは無置換のシクロアルケニル基、つまり、炭素数3から30のシクロアルケンの水素原子を一個取り去った一価の基である。例えば、2−シクロペンテン−1−イル、2−シクロヘキセン−1−イル)、ビシクロアルケニル基(置換もしくは無置換のビシクロアルケニル基、好ましくは、炭素数5から30の置換もしくは無置換のビシクロアルケニル基、つまり二重結合を一個持つビシクロアルケンの水素原子を一個取り去った一価の基である。例えば、ビシクロ[2,2,1]ヘプト−2−エン−1−イル、ビシクロ[2,2,2]オクト−2−エン−4−イル)]、アルキニル基(好ましくは、炭素数2から30の置換又は無置換のアルキニル基、例えば、エチニル、プロパルギル、トリメチルシリルエチニル基、アリール基(好ましくは炭素数6から30の置換もしくは無置換のアリール基、例えばフェニル、p−トリル、ナフチル、m−クロロフェニル、o−ヘキサデカノイルアミノフェニル)、ヘテロ環基(好ましくは5又は6員の置換もしくは無置換の、芳香族もしくは非芳香族のヘテロ環化合物から一個の水素原子を取り除いた一価の基であり、更に好ましくは、炭素数3から30の5もしくは6員の芳香族のヘテロ環基である。例えば、2−フリル、2−チエニル、2−ピリミジニル、2−ベンゾチアゾリル)、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、カルボキシル基、アルコキシ基(好ましくは、炭素数1から30の置換もしくは無置換のアルコキシ基、例えば、メトキシ、エトキシ、イソプロポキシ、t−ブトキシ、n−オクチルオキシ、2−メトキシエトキシ)、
アリールオキシ基(好ましくは、炭素数6から30の置換もしくは無置換のアリールオキシ基、例えば、フェノキシ、2−メチルフェノキシ、4−t−ブチルフェノキシ、3−ニトロフェノキシ、2−テトラデカノイルアミノフェノキシ)、シリルオキシ基(好ましくは、炭素数3から20のシリルオキシ基、例えば、トリメチルシリルオキシ、t−ブチルジメチルシリルオキシ)、ヘテロ環オキシ基(好ましくは、炭素数2から30の置換もしくは無置換のヘテロ環オキシ基、1−フェニルテトラゾール−5−オキシ、2−テトラヒドロピラニルオキシ)、アシルオキシ基(好ましくはホルミルオキシ基、炭素数2から30の置換もしくは無置換のアルキルカルボニルオキシ基、炭素数6から30の置換もしくは無置換のアリールカルボニルオキシ基、例えば、ホルミルオキシ、アセチルオキシ、ピバロイルオキシ、ステアロイルオキシ、ベンゾイルオキシ、p−メトキシフェニルカルボニルオキシ)、カルバモイルオキシ基(好ましくは、炭素数1から30の置換もしくは無置換のカルバモイルオキシ基、例えば、N,N−ジメチルカルバモイルオキシ、N,N−ジエチルカルバモイルオキシ、モルホリノカルボニルオキシ、N,N−ジ−n−オクチルアミノカルボニルオキシ、N−n−オクチルカルバモイルオキシ)、アルコキシカルボニルオキシ基(好ましくは、炭素数2から30の置換もしくは無置換アルコキシカルボニルオキシ基、例えばメトキシカルボニルオキシ、エトキシカルボニルオキシ、t−ブトキシカルボニルオキシ、n−オクチルカルボニルオキシ)、アリールオキシカルボニルオキシ基(好ましくは、炭素数7から30の置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニルオキシ基、例えば、フェノキシカルボニルオキシ、p−メトキシフェノキシカルボニルオキシ、p−n−ヘキサデシルオキシフェノキシカルボニルオキシ)、アミノ基(好ましくは、アミノ基、炭素数1から30の置換もしくは無置換のアルキルアミノ基、炭素数6から30の置換もしくは無置換のアニリノ基、例えば、アミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、アニリノ、N−メチル−アニリノ、ジフェニルアミノ)、アシルアミノ基(好ましくは、ホルミルアミノ基、炭素数1から30の置換もしくは無置換のアルキルカルボニルアミノ基、炭素数6から30の置換もしくは無置換のアリールカルボニルアミノ基、例えば、ホルミルアミノ、アセチルアミノ、ピバロイルアミノ、ラウロイルアミノ、ベンゾイルアミノ、3,4,5−トリ−n−オクチルオキシフェニルカルボニルアミノ)、アミノカルボニルアミノ基(好ましくは、炭素数1から30の置換もしくは無置換のアミノカルボニルアミノ、例えば、カルバモイルアミノ、N,N−ジメチルアミノカルボニルアミノ、N,N−ジエチルアミノカルボニルアミノ、モルホリノカルボニルアミノ)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2から30の置換もしくは無置換アルコキシカルボニルアミノ基、例えば、メトキシカルボニルアミノ、エトキシカルボニルアミノ、t−ブトキシカルボニルアミノ、n−オクタデシルオキシカルボニルアミノ、N−メチルーメトキシカルボニルアミノ)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは、炭素数7から30の置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニルアミノ基、例えば、フェノキシカルボニルアミノ、p−クロロフェノキシカルボニルアミノ、m−n−オクチルオキシフェノキシカルボニルアミノ)、
スルファモイルアミノ基(好ましくは、炭素数0から30の置換もしくは無置換のスルファモイルアミノ基、例えば、スルファモイルアミノ、N,N−ジメチルアミノスルホニルアミノ、N−n−オクチルアミノスルホニルアミノ)、アルキル及びアリールスルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1から30の置換もしくは無置換のアルキルスルホニルアミノ、炭素数6から30の置換もしくは無置換のアリールスルホニルアミノ、例えば、メチルスルホニルアミノ、ブチルスルホニルアミノ、フェニルスルホニルアミノ、2,3,5−トリクロロフェニルスルホニルアミノ、p−メチルフェニルスルホニルアミノ)、メルカプト基、アルキルチオ基(好ましくは、炭素数1から30の置換もしくは無置換のアルキルチオ基、例えばメチルチオ、エチルチオ、n−ヘキサデシルチオ)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6から30の置換もしくは無置換のアリールチオ、例えば、フェニルチオ、p−クロロフェニルチオ、m−メトキシフェニルチオ)、ヘテロ環チオ基(好ましくは炭素数2から30の置換又は無置換のヘテロ環チオ基、例えば、2−ベンゾチアゾリルチオ、1−フェニルテトラゾール−5−イルチオ)、スルファモイル基(好ましくは炭素数0から30の置換もしくは無置換のスルファモイル基、例えば、N−エチルスルファモイル、N−(3−ドデシルオキシプロピル)スルファモイル、N,N−ジメチルスルファモイル、N−アセチルスルファモイル、N−ベンゾイルスルファモイル、N−(N’−フェニルカルバモイル)スルファモイル)、スルホ基、アルキル及びアリールスルフィニル基(好ましくは、炭素数1から30の置換又は無置換のアルキルスルフィニル基、6から30の置換又は無置換のアリールスルフィニル基、例えば、メチルスルフィニル、エチルスルフィニル、フェニルスルフィニル、p−メチルフェニルスルフィニル)、
アルキル及びアリールスルホニル基(好ましくは、炭素数1から30の置換又は無置換のアルキルスルホニル基、6から30の置換又は無置換のアリールスルホニル基、例えば、メチルスルホニル、エチルスルホニル、フェニルスルホニル、p−メチルフェニルスルホニル)、アシル基(好ましくはホルミル基、炭素数2から30の置換又は無置換のアルキルカルボニル基、炭素数7から30の置換もしくは無置換のアリールカルボニル基、例えば、アセチル、ピバロイル、2−クロロアセチル、ステアロイル、ベンゾイル、p−n−オクチルオキシフェニルカルボニル)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは、炭素数7から30の置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニル基、例えば、フェノキシカルボニル、o−クロロフェノキシカルボニル、m−ニトロフェノキシカルボニル、p−t−ブチルフェノキシカルボニル)、
アルコキシカルボニル基(好ましくは、炭素数2から30の置換もしくは無置換アルコキシカルボニル基、例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、t−ブトキシカルボニル、n−オクタデシルオキシカルボニル)、カルバモイル基(好ましくは、炭素数1から30の置換もしくは無置換のカルバモイル、例えば、カルバモイル、N−メチルカルバモイル、N,N−ジメチルカルバモイル、N,N−ジ−n−オクチルカルバモイル、N−(メチルスルホニル)カルバモイル)、アリール及びヘテロ環アゾ基(好ましくは炭素数6から30の置換もしくは無置換のアリールアゾ基、炭素数3から30の置換もしくは無置換のヘテロ環アゾ基、例えば、フェニルアゾ、p−クロロフェニルアゾ、5−エチルチオ−1,3,4−チアジアゾール−2−イルアゾ)、イミド基(好ましくは、N−スクシンイミド、N−フタルイミド)、ホスフィノ基(好ましくは、炭素数2から30の置換もしくは無置換のホスフィノ基、例えば、ジメチルホスフィノ、ジフェニルホスフィノ、メチルフェノキシホスフィノ)、ホスフィニル基(好ましくは、炭素数2から30の置換もしくは無置換のホスフィニル基、例えば、ホスフィニル、ジオクチルオキシホスフィニル、ジエトキシホスフィニル)、ホスフィニルオキシ基(好ましくは、炭素数2から30の置換もしくは無置換のホスフィニルオキシ基、例えば、ジフェノキシホスフィニルオキシ、ジオクチルオキシホスフィニルオキシ)、ホスフィニルアミノ基(好ましくは、炭素数2から30の置換もしくは無置換のホスフィニルアミノ基、例えば、ジメトキシホスフィニルアミノ、ジメチルアミノホスフィニルアミノ)、シリル基(好ましくは、炭素数3から30の置換もしくは無置換のシリル基、例えば、トリメチルシリル、t−ブチルジメチルシリル、フェニルジメチルシリル)が挙げられる。
1〜R4で表される基が更に置換可能な基である場合、R1〜R4で表される基は更に置換基を有してもよく、その場合の好ましい置換基はR1〜R4で説明した置換基と同じ意味の基を表す。2個以上の置換基で置換されている場合には、それらの置換基は同一であっても異なっていてもよい。
5及びR6はそれぞれ独立に、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、アシル基、アルキルスルホニル基、又はアリールスルホニル基を表し、そのアルキル基、アリール基、ヘテロ環基、アシル基、アルキルスルホニル基、及びアリールスルホニル基の好ましい範囲については、前記のR1〜R4で表される置換基で説明したアルキル基、アリール基、ヘテロ環基、アシル基、アルキルスルホニル基、及びアリールスルホニル基と同じ意味の基を表す。R5及びR6で表される基が更に置換可能な基である場合、R5及びR6で表される基は更に置換基を有してもよく、その場合の好ましい置換基はR1〜R4で説明した置換基と同じ意味の基を表す。2個以上の置換基で置換されている場合には、それらの置換基は同一であっても異なっていてもよい。
1とR2、R3とR4、R5とR6、R2とR5、又は/及びR4とR6とが互いに結合して5員、6員又は7員の環を形成してもよい。
式(I)におけるR7はR11−O−CO−、R12−CO−CO−、R13−NH−CO−、R14−SO2−、R15−W−C(R16)(R17)(R18)−、R19−SO2NHCO−、R20−CONHCO−、R21−SO2NHSO2−、R22−CONHSO2−、又は(M)1/nOSO2−を表し、R11、R12、R13、R14、R19、R20、R21、及びR22はアルキル基、アリール基、又はヘテロ環基を表し、R15は水素原子又はブロック基を表し、Wは酸素原子、イオウ原子又は>N−R18を表し、R16、R17、及びR18は水素原子又はアルキル基を表す。R11、R12、R13、R14、R19、R20、R21、及びR22で表されるアルキル基、アリール基、及びヘテロ環基は前記のR1〜R4で表される置換基で説明したアルキル基、アリール基、及びヘテロ環基と同じ意味の基を表し、Mはn価のカチオンを表す。R11、R12、R13、R14、R19、R20、R21、及びR22で表される基が更に置換可能な基である場合、R11、R12、R13、R14、R19、R20、R21、及びR22で表される基は更に置換基を有してもよく、その場合の好ましい置換基はR1〜R4で説明した置換基と同じ意味の基を表す。2個以上の置換基で置換されている場合には、それらの置換基は同一であっても異なっていてもよい。
16、R17、及びR18がアルキル基を表す場合、R1〜R4で表される置換基で説明したアルキル基と同じ意味の基を表す。R15がブロック基を表す場合のブロック基としては、後述のBLKで表されるブロック基と同じ意味の基を表す。
以下に、式(I)で表される化合物の好ましい範囲について説明する。R1〜R4は水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アシルアミノ基、アルキル及びアリールスルホニルアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、シアノ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、スルホ基、ニトロ基、スルファモイル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、及びアシルオキシ基が好ましく、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アシルアミノ基、アルキル及びアリールスルホニルアミノ基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、シアノ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、スルホ基、ニトロ基、スルファモイル基、アルキルスルホニル基、及びアリールスルホニル基が更に好ましい。特に好ましくは、R1〜R4の中で、R1又はR3のいずれか一方が水素原子である。
5及びR6はアルキル基、アリール基、及びヘテロ環基が好ましく、アルキル基が最も好ましい。
式(I)で表される化合物のR7を水素原子にしたp−フェニレンジアミン誘導体のpH10の水中における酸化電位が5mV以下(vsSCE)であることが発色性と保存性を両立できる点で好ましい。
7はR11−O−CO−及びR14−SO2−、R19−SO2−NH−CO−及びR15−W−C(R16)(R17)(R18)が好ましく、R11−O−CO−、R19−SO2−NH−CO−がより好ましく、R19−SO2−NH−CO−が最も好ましい。R11はアルキル基が好ましく、米国特許第4,409,323号もしくは同4,421,845号に記載のある電子移動反応を利用して開裂反応を起こさせるタイミング基を含む基であることが好ましく、タイミング基の電子移動反応を引き起こす末端がブロックされた下記式(T−1)で表される基であることが好ましい。式(T−1)BLK−W−(X=Y)j−C(R21)R22−**式中、BLKはブロック基を表し、**は−O−CO−と結合する位置を表し、Wは酸素原子、イオウ原子又は>N−R23を表し、X及びYは各々メチン又は窒素原子を表し、jは0、1又は2を表し、R21、R22及びR23は各々水素原子又はR1〜R4で説明した置換基と同じ意味の基を表す。ここで、X及びYが置換メチンを表すときその置換基、R21、R22及びR23の各々の任意の2つの置換基が連結し環状構造(例えばベンゼン環、ピラゾール環)を形成する場合、もしくは形成しない場合のいずれであっても良い。
BLKで表されるブロック基としては公知のものが使用できる。すなわち、特公昭48−9968号、特開昭52−8828号、同57−82834号、米国特許第3,311,476号、及び特公昭47−44805号(米国特許第3,615,617号)等に記載されているアシル基、スルホニル基等のブロック基、特公昭55−17369号(米国特許第3,888,677号)、同55−9696号(米国特許第3,791,830号)、同55−34927号(米国特許第4,009,029号)、特開昭56−77842号(米国特許第4,307,175号)、同59−105640号、同59−105641号、及び同59−105642号等に記載されている逆マイケル反応を利用するブロック基、特公昭54−39727号、米国特許第3,674,478号、同3,932,480号、同3,993,661号、特開昭57−135944号、同57−135945号(米国特許第4,420,554号)、同57−136640号、同61−196239号、同61−196240号(米国特許第4,702,999号)、同61−185743号、同61−124941号(米国特許第4,639,408号)、及び特開平2−280140号等に記載されている分子内電子移動によりキノンメチド又はキノンメチド類似の化合物の生成を利用するブロック基、米国特許第4,358,525号、同4,330,617号、特開昭55−53330号(米国特許第4,310,612号)、同59−121328号、同59−218439号、及び同63−318555号(欧州公開特許第0295729号)等に記載されている分子内求核置換反応を利用するブロック基、特開昭57−76541号(米国特許第4,335,200号)、同57−135949号(米国特許第4,350,752号)、同57−179842号、同59−137945号、同59−140445号、同59−219741号、同59−202459号、同60−41034号(米国特許第4,618,563号)、同62−59945号(米国特許第4,888,268号)、同62−65039号(米国特許第4,772,537号)、同62−80647号、特開平3−236047号、及び同3−238445号等に記載されている、5員又は6員環の環解裂反応を利用するブロック基、特開昭59−201057号(米国特許第4,518,685号)、同61−43739号(米国特許第4,659,651号)、同61−95346号(米国特許第4,690,885号)、同61−95347号(米国特許第4,892,811号)、特開昭64−7035号、同4−42650号(米国特許第5,066,573号)、特開平1−245255号、同2−207249号、同2−235055号(米国特許第5,118,596号)、及び同4−186344号等に記載されている共役不飽和結合への求核剤の付加反応を利用するブロック基、特開昭59−93442号、同61−32839号、同62−163051号及び特公平5−37299号等に記載されているβ−脱離反応を利用するブロック基、特開昭61−188540号に記載されているジアリールメタン類の求核置換反応を利用したブロック基、特開昭62−187850号に記載されているロッセン転位反応を利用したブロック基、特開昭62−80646、同62−144163、及び同62−147457号等に記載されているチアゾリジン−2−チオンのN−アシル体とアミン類との反応を利用したブロック基、特開平2−296240号(米国特許第5,019,492号)、同4−177243号、同4−177244号、同4−177245号、同4−177246号、同4−177247号、同4−177248号、同4−177249号、同4−179948号、同4−184337号、同4−184338号、国際公開特許92/21064号、特開平4−330438号、国際公開特許93/03419号、及び特開平5−45816号等に記載されている、2個の求電子基を有して二求核剤と反応するブロック基、特開平3−236047号及び同3−238445号を挙げることができる。
これらのブロック基のうち、特に好ましいものは特開平2−296240号(米国特許第5,019,492号)、同4−177243号、同4−177244号、同4−177245号、同4−177246号、同4−177247号、同4−177248号、同4−177249号、同4−179948号、同4−184337号、同4−184338号、国際公開特許92/21064号、特開平4−330438号、国際公開特許93/03419号、及び特開平5−45816号等に記載されている、2個の求電子基を有して二求核剤と反応するブロック基である。
式(T−1)で示される基からBLKを除いたタイミング基部分の具体例として例えば以下のものが挙げられる。下記において、*はBLKと結合する位置を表し、**は−O−CO−と結合する位置をあらわす。
Figure 2006243535
12及びR13はアルキル基及びアリール基が好ましく、R14はアリール基が好ましい。R15はブロック基が好ましく、好ましいブロック基は前記の式(T−1)で表される基中の好ましいBLKと同じである。R16、R17、及びR18は水素原子が好ましい。
本発明に用いる式(I)で表される化合物として、米国特許第5,242,783号、同4,426,441号、特開昭62−227141号、特開平5−257225号、同5−249602号、同6−43607号、及び同7−333780号に記載された化合物も好ましい。
(還元剤:一般式(II)で表される化合物)
一般式(II)中、R103、R104、R105、R106及びR107はそれぞれ独立に水素原子又は置換基を表す。R103、R104、R105、R106及びR表される好ましい置換基としては、以下のものが挙げられる。
(1)ハロゲン原子
例えば塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等。
(2)アルキル基
直鎖、分岐、環状の置換又は無置換のアルキル基。
<直鎖又は分岐の置換又は無置換のアルキル基>
好ましくは炭素数1〜30であり、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、t−ブチル基、n−オクチル基、エイコシル基、2−クロロエチル基、2−シアノエチル基、又は2−エチルヘキシル基等。
<環状の置換又は無置換のアルキル基>
シクロアルキル基(好ましくは炭素数3〜30の置換又は無置換のシクロアルキル基であり、例えばシクロヘキシル基、シクロペンチル基、4−n−ドデシルシクロヘキシル基等)。ビシクロアルキル基(好ましくは炭素数5〜30の置換又は無置換のビシクロアルキル基、即ち、炭素数5〜30のビシクロアルカンから水素原子を一個取り去った一価の基であり、例えばビシクロ[1,2,2]ヘプタン−2−イル基、ビシクロ[2,2,2]オクタン−3−イル基等)。さらに環構造が多いトリシクロ構造や、以下に説明する置換基の中のアルキル基(例えばアルキルチオ基のアルキル基等)等。
(3)アルケニル基
直鎖、分岐、環状の置換又は無置換のアルケニル基。
<直鎖又は分岐のアルケニル基>
好ましくは炭素数2〜30の置換又は無置換のアルケニル基であり、例えばビニル基、アリル基、プレニル基、ゲラニル基、又はオレイル基等。
<シクロアルケニル基>
好ましくは炭素数3〜30の置換又は無置換のシクロアルケニル基、即ち、炭素数3〜30のシクロアルケンの水素原子を一個取り去った一価の基であり、例えば2−シクロペンテン−1−イル基、又は2−シクロヘキセン−1−イル基等。
<ビシクロアルケニル基>
置換又は無置換のビシクロアルケニル基であり、好ましくは炭素数5〜30の置換又は無置換のビシクロアルケニル基、即ち二重結合を一個持つビシクロアルケンの水素原子を一個取り去った一価の基であり、例えばビシクロ[2,2,1]ヘプト−2−エン−1−イル基、ビシクロ[2,2,2]オクト−2−エン−4−イル基等)等。
(4)アルキニル基
好ましくは炭素数2〜30の置換又は無置換のアルキニル基であり、例えばエチニル基、プロパルギル基、又はトリメチルシリルエチニル基等。
(5)アリール基
好ましくは炭素数6〜30の置換又は無置換のアリール基であり、例えばフェニル基、p−トリル基、ナフチル基、m−クロロフェニル基、又はo−ヘキサデカノイルアミノフェニル基等。
(6)ヘテロ環基
好ましくは5員又は6員の置換又は無置換の芳香族もしくは非芳香族のヘテロ環化合物から一個の水素原子を取り除いた一価の基、さらに好ましくは炭素数3〜30の5又は6員の芳香族のヘテロ環基であり、例えば2−フリル基、2−チエニル基、2−ピリミジニル基、又は2−ベンゾチアゾリル基等。
(7)シアノ基、ヒドロキシ基、又はニトロ基又はカルボキシル基
(8)アルコキシ基
好ましくは炭素数1〜30の置換又は無置換のアルコキシ基であり、例えばメトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、t−ブトキシ基、n−オクチルオキシ基、又は2−メトキシエトキシ基等。
(9)アリールオキシ基
好ましくは炭素数6〜30の置換又は無置換のアリールオキシ基であり、例えばフェノキシ基、2−メチルフェノキシ基、4−t−ブチルフェノキシ基、3−ニトロフェノキシ基、又は2−テトラデカノイルアミノフェノキシ基等。
(10)シリルオキシ基
好ましくは炭素数3〜20のシリルオキシ基であり、例えばトリメチルシリルオキシ基、t−ブチルジメチルシリルオキシ基等。
(11)ヘテロ環オキシ基
好ましくは炭素数2〜30の置換又は無置換のヘテロ環オキシ基であり、例えば1−フェニルテトラゾール−5−オキシ基、2−テトラヒドロピラニルオキシ基等。
(12)アシルオキシ基
好ましくはホルミルオキシ基、炭素数2〜30の置換又は無置換のアルキルカルボニルオキシ基、炭素数6〜30の置換又は無置換のアリールカルボニルオキシ基等であり、例えばアセチルオキシ基、ピバロイルオキシ基、ステアロイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基、又はp−メトキシフェニルカルボニルオキシ基等。
(13)カルバモイルオキシ基
好ましくは炭素数1〜30の置換又は無置換のカルバモイルオキシ基であり、例えばN,N−ジメチルカルバモイルオキシ基、N,N−ジエチルカルバモイルオキシ基、モルホリノカルボニルオキシ基、N,N−ジ−n−オクチルアミノカルボニルオキシ基、又はN−n−オクチルカルバモイルオキシ基等。
(14)アルコキシカルボニルオキシ基
好ましくは炭素数2〜30の置換又は無置換のアルコキシカルボニルオキシ基であり、例えばメトキシカルボニルオキシ基、エトキシカルボニルオキシ基、t−ブトキシカルボニルオキシ基、又はn−オクチルカルボニルオキシ基等。
(15)アリールオキシカルボニルオキシ基
好ましくは炭素数7〜30の置換又は無置換のアリールオキシカルボニルオキシ基であり、例えばフェノキシカルボニルオキシ基、p−メトキシフェノキシカルボニルオキシ基、又はp−n−ヘキサデシルオキシフェノキシカルボニルオキシ基等。
(16)アミノ基
好ましくはアミノ基、炭素数1〜30の置換又は無置換のアルキルアミノ基、炭素数6〜30の置換又は無置換のアニリノ基等であり、例えばアミノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、アニリノ基、N−メチル−アニリノ基、又はジフェニルアミノ基等。
(17)アシルアミノ基
好ましくはホルミルアミノ基、炭素数1〜30の置換又は無置換のアルキルカルボニルアミノ基、炭素数6〜30の置換又は無置換のアリールカルボニルアミノ基等であり、例えばホルミルアミノ基、アセチルアミノ基、ピバロイルアミノ基、ラウロイルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、又は3,4,5−トリ−n−オクチルオキシフェニルカルボニルアミノ基等。
(18)アミノカルボニルアミノ基
好ましくは炭素数1〜30の置換又は無置換のアミノカルボニルアミノ基であり、例えばカルバモイルアミノ基、N,N−ジメチルアミノカルボニルアミノ基、N,N−ジエチルアミノカルボニルアミノ基、又はモルホリノカルボニルアミノ基等。
(19)アルコキシカルボニルアミノ基
好ましくは炭素数2〜30の置換又は無置換のアルコキシカルボニルアミノ基であり、例えばメトキシカルボニルアミノ基、エトキシカルボニルアミノ基、t−ブトキシカルボニルアミノ基、n−オクタデシルオキシカルボニルアミノ基、又はN−メチルメトキシカルボニルアミノ基等。
(20)アリールオキシカルボニルアミノ基
好ましくは炭素数7〜30の置換又は無置換のアリールオキシカルボニルアミノ基であり、例えばフェノキシカルボニルアミノ基、p−クロロフェノキシカルボニルアミノ基、又はm−n−オクチルオキシフェノキシカルボニルアミノ基等。
(21)スルファモイルアミノ基
好ましくは炭素数0〜30の置換もしくは無置換のスルファモイルアミノ基であり、例えばスルファモイルアミノ基、N,N−ジメチルアミノスルホニルアミノ基、又はN−n−オクチルアミノスルホニルアミノ基等。
(22)アルキル及びアリールスルホニルアミノ基
好ましくは炭素数1〜30の置換又は無置換のアルキルスルホニルアミノ基、炭素数6〜30の置換又は無置換のアリールスルホニルアミノ基等であり、例えばメチルスルホニルアミノ基、ブチルスルホニルアミノ基、フェニルスルホニルアミノ基、2,3,5−トリクロロフェニルスルホニルアミノ基、又はp−メチルフェニルスルホニルアミノ基等。
(23)メルカプト基
(24)アルキルチオ基
好ましくは炭素数1〜30の置換又は無置換のアルキルチオ基であり、例えばメチルチオ基、エチルチオ基、又はn−ヘキサデシルチオ基等。
(25)アリールチオ基
好ましくは炭素数6〜30の置換又は無置換のアリールチオ基、例えばフェニルチオ基、p−クロロフェニルチオ基、又はm−メトキシフェニルチオ基等。
(26)ヘテロ環チオ基
好ましくは炭素数2〜30の置換又は無置換のヘテロ環チオ基であり、例えば2−ベンゾチアゾリルチオ基、1−フェニルテトラゾール−5−イルチオ基等。
(27)スルファモイル基
好ましくは炭素数0〜30の置換又は無置換のスルファモイル基であり、例えばN−エチルスルファモイル基、N−(3−ドデシルオキシプロピル)スルファモイル基、N,N−ジメチルスルファモイル基、N−アセチルスルファモイル基、N−ベンゾイルスルファモイル、N−(N’−フェニルカルバモイル)スルファモイル基等。
(28)スルホ基
(29)アルキル及びアリールスルフィニル基
好ましくは炭素数1〜30の置換又は無置換のアルキルスルフィニル基、6〜30の置換又は無置換のアリールスルフィニル基等であり、例えばメチルスルフィニル基、エチルスルフィニル基、フェニルスルフィニル基、又はp−メチルフェニルスルフィニル基等。
(30)アルキル及びアリールスルホニル基
好ましくは炭素数1〜30の置換又は無置換のアルキルスルホニル基及び6〜30の置換又は無置換のアリールスルホニル基であり、例えばメチルスルホニル基、エチルスルホニル基、フェニルスルホニル基、又はp−メチルフェニルスルホニル基等。
(31)アシル基
好ましくはホルミル基、炭素数2〜30の置換又は無置換のアルキルカルボニル基、炭素数7〜30の置換又は無置換のアリールカルボニル基等であり、例えばアセチル基、ピバロイル基、2−クロロアセチル基、ステアロイル基、ベンゾイル基、又はp−n−オクチルオキシフェニルカルボニル基等。
(32)アルコキシカルボニル基
好ましくは炭素数2〜30の置換又は無置換アルコキシカルボニル基であり、例えばメトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、t−ブトキシカルボニル基、又はn−オクタデシルオキシカルボニル基等。
(33)アリールオキシカルボニル基
好ましくは炭素数7〜30の置換又は無置換のアリールオキシカルボニル基であり、例えばフェノキシカルボニル基、o−クロロフェノキシカルボニル基、m−ニトロフェノキシカルボニル基、又はp−t−ブチルフェノキシカルボニル基等。
(34)カルバモイル基
好ましくは炭素数1〜30の置換又は無置換のカルバモイル基であり、例えばカルバモイル基、N−メチルカルバモイル基、N,N−ジメチルカルバモイル基、N,N−ジ−n−オクチルカルバモイル基、又はN−(メチルスルホニル)カルバモイル基等。
(35)アリール及びヘテロ環アゾ基
好ましくは炭素数6〜30の置換又は無置換のアリールアゾ基、炭素数3〜30の置換又は無置換のヘテロ環アゾ基等であり、例えばフェニルアゾ基、p−クロロフェニルアゾ基、又は5−エチルチオ−1,3,4−チアジアゾール−2−イルアゾ基等。
(36)イミド基
好ましくはN−スクシニルイミド、N−フタルイミド基等)、ホスフィノ基(好ましくは炭素数2〜30の置換又は無置換のホスフィノ基であり、例えばジメチルホスフィノ基、ジフェニルホスフィノ基、又はメチルフェノキシホスフィノ基等。
(37)ホスフィニル基
好ましくは炭素数2〜30の置換又は無置換のホスフィニル基であり、例えばホスフィニル基、ジオクチルオキシホスフィニル基、又はジエトキシホスフィニル基等。
(38)ホスフィニルオキシ基
好ましくは炭素数2〜30の置換又は無置換のホスフィニルオキシ基であり、例えばジフェノキシホスフィニルオキシ基、ジオクチルオキシホスフィニルオキシ基等。
(39)ホスフィニルアミノ基
好ましくは炭素数2〜30の置換又は無置換のホスフィニルアミノ基であり、例えばジメトキシホスフィニルアミノ基、ジメチルアミノホスフィニルアミノ基等。
(40)シリル基
好ましくは炭素数3〜30の置換又は無置換のシリル基であり、例えばトリメチルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基、フェニルジメチルシリル基等)等。
これらの中で、R103、R104、R105、R106及びR107は水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、シアノ基、ヒドロキシ基、ニトロ基、カルボキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、アルキル及びアリールスルホニルアミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、スルファモイル基、スルホ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキルスルホニル基、及びアリールスルホニル基がより好ましく、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アシルアミノ基、アルキル及びアリールスルホニルアミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、スルファモイル基、スルホ基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキルスルホニル基、及びアリールスルホニル基がさらに好ましい。特に好ましくは、R103、R104、R105、R106及びR107の中で、R104又はR106のいずれか一方が水素原子である。
103、R104、R105、R106及びR107で表される基がさらに置換可能な基である場合、R103、R104、R105、R106及びR107で表される基はさらに置換基を有してもよく、その場合の好ましい置換基はR103、R104、R105、R106及びR107の欄で説明した置換基と同じでよい。2個以上の置換基で置換されている場合には、それらの置換基は同一であっても異なっていてもよい。
101及びR102はそれぞれ独立にアルキル基、アリール基、ヘテロ環基、アシル基、アルキルスルホニル基又はアリールスルホニル基を表し、これらの基の好ましい範囲については、上記のR103、R104、R105、R106及びR107で表される置換基で説明したアルキル基、アリール基、ヘテロ環基、アシル基、アルキルスルホニル基及びアリールスルホニル基と同じである。R101及びR102はアルキル基、アリール基及びヘテロ環基が好ましく、アルキル基が最も好ましい。R101及びR102で表される基がさらに置換可能な基である場合、R101及びR102で表される基はさらに置換基を有してもよく、その場合の好ましい置換基はR103、R104、R105、R106及びR107で説明した置換基と同様である。2個以上の置換基で置換されている場合には、それらの置換基は同一であっても異なっていてもよい。
101とR102、R103とR104、R105とR106、及びR107とXの少なくとも一組は互いに結合して5員、6員又は7員の環を形成してもよい。
Xはハロゲン原子、又はヘテロ原子を有する置換基(上記ヘテロ原子を介してベンゼン環に結合する)を表す。ここでヘテロ原子は炭素以外の原子であり、例えば酸素、窒素、硫黄等である。Xは好ましくは、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、ニトロ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アミノ基、アシルアミノ基、アミノカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、アルキル及びアリールスルホニルアミノ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、スルファモイル基、スルホ基、アルキル及びアリールスルフィニル基、アルキル及びアリールスルホニル基、アリール及びヘテロ環アゾ基、イミド基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスフィニルオキシ基、ホスフィニルアミノ基、シリル基等である。これらの基の好ましい範囲については、上記のR103、R104、R105、R106及びR107で表される置換基の欄で説明したハロゲン原子、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アシルアミノ基、アミノカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、アルキル及びアリールスルホニルアミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、スルファモイル基、アルキル及びアリールスルフィニル基、アルキル及びアリールスルホニル基、アリール及びヘテロ環アゾ基、イミド基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスフィニルオキシ基、ホスフィニルアミノ基、又はシリル基等と同じである。
Xはより好ましくは、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、ヘテロ環オキシ基、カルバモイルオキシ基、アミノ基、アシルアミノ基、アミノカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アルキル及びアリールスルホニルアミノ基、メルカプト基、アルキルチオ基、スルファモイル基、アルキル及びアリールスルホニル基、及びシリル基であり、さらに好ましくはハロゲン原子、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アシルアミノ基、アミノカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アルキル及びアリールスルホニルアミノ基である。
nは0〜4の整数を表す。nが2以上の場合、複数のR107は同じであっても異なっていても良く、また互いに結合して5員、6員又は7員の環を形成してもよい。
(還元剤:一般式(III)で表される化合物)
本発明の熱現像感光材料が含有する一般式(III)の化合物は可視領域には吸収をほとんど有しない化合物であるが、熱現像すると還元剤を放出して銀画像を形成するのに寄与し、放出された還元剤の酸化体が生成する。これらの酸化体がカプラー化合物と反応すると色素を生成し、銀画像に応じたイメージワイズな色素画像が得られる。本発明においては、色素供与性カプラー及び式(III)で表される化合物は感光層に含まれていても良いが、反応可能な状態であれば別層に分割して添加することもできる。
以下に、本発明の式(III)で表される化合物について詳しく説明する。R201、R202、及びR203はそれぞれ独立に水素原子又は置換基を表す。R201、R202、及びR203で表される置換基としては、ハロゲン原子、アルキル基(シクロアルキル基、ビシクロアルキル基を含む)、アルケニル基(シクロアルケニル基、ビシクロアルケニル基を含む)、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、ニトロ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ、アミノ基(アニリノ基を含む)、アシルアミノ基、アミノカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、アルキル及びアリールスルホニルアミノ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、スルファモイル基、アルキル及びアリールスルフィニル基、アルキル及びアリールスルホニル基、アシル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アリール及びヘテロ環アゾ基、イミド基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスフィニルオキシ基、ホスフィニルアミノ基、シリル基が挙げられる。更に詳しくは、ハロゲン原子(例えば、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、アルキル基〔直鎖、分岐、環状の置換もしくは無置換のアルキル基を表す。アルキル基(好ましくは炭素数1から30のアルキル基、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、t−ブチル、n−オクチル、エイコシル、2−クロロエチル、2−シアノエチル、2―エチルヘキシル)、シクロアルキル基(好ましくは、炭素数3から30の置換又は無置換のシクロアルキル基、例えば、シクロヘキシル、シクロペンチル、4−n−ドデシルシクロヘキシル)、ビシクロアルキル基(好ましくは、炭素数5から30の置換もしくは無置換のビシクロアルキル基、つまり、炭素数5から30のビシクロアルカンから水素原子を一個取り去った一価の基である。例えば、ビシクロ[1,2,2]ヘプタン−2−イル、ビシクロ[2,2,2]オクタン−3−イル)、更に環構造が多いトリシクロ構造なども包含する。以下に説明する置換基の中のアルキル基(例えばアルキルチオ基のアルキル基)もこのような概念のアルキル基を表す。]、アルケニル基[直鎖、分岐、環状の置換もしくは無置換のアルケニル基を表す。アルケニル基(好ましくは炭素数2から30の置換又は無置換のアルケニル基、例えば、ビニル、アリル、プレニル、ゲラニル、オレイル)、シクロアルケニル基(好ましくは、炭素数3から30の置換もしくは無置換のシクロアルケニル基、つまり、炭素数3から30のシクロアルケンの水素原子を一個取り去った一価の基である。
例えば、2−シクロペンテン−1−イル、2−シクロヘキセン−1−イル)、ビシクロアルケニル基(置換もしくは無置換のビシクロアルケニル基、好ましくは、炭素数5から30の置換もしくは無置換のビシクロアルケニル基、つまり二重結合を一個持つビシクロアルケンの水素原子を一個取り去った一価の基である。例えば、ビシクロ[2,2,1]ヘプト−2−エン−1−イル、ビシクロ[2,2,2]オクト−2−エン−4−イル)]、アルキニル基(好ましくは、炭素数2から30の置換又は無置換のアルキニル基、例えば、エチニル、プロパルギル、トリメチルシリルエチニル基、、アリール基(好ましくは炭素数6から30の置換もしくは無置換のアリール基、例えばフェニル、p−トリル、ナフチル、m−クロロフェニル、o−ヘキサデカノイルアミノフェニル)、ヘテロ環基(好ましくは5又は6員の置換もしくは無置換の、芳香族もしくは非芳香族のヘテロ環化合物から一個の水素原子を取り除いた一価の基であり、更に好ましくは、炭素数3から30の5もしくは6員の芳香族のヘテロ環基である。例えば、2−フリル、2−チエニル、2−ピリミジニル、2−ベンゾチアゾリル)、シアノ基、ニトロ基、アルコキシ基(好ましくは、炭素数1から30の置換もしくは無置換のアルコキシ基、例えば、メトキシ、エトキシ、イソプロポキシ、t−ブトキシ、n−オクチルオキシ、2−メトキシエトキシ)、アリールオキシ基(好ましくは、炭素数6から30の置換もしくは無置換のアリールオキシ基、例えば、フェノキシ、2−メチルフェノキシ、4−t−ブチルフェノキシ、3−ニトロフェノキシ、2−テトラデカノイルアミノフェノキシ)、シリルオキシ基(好ましくは、炭素数3から20のシリルオキシ基、例えば、トリメチルシリルオキシ、t−ブチルジメチルシリルオキシ)、ヘテロ環オキシ基(好ましくは、炭素数2から30の置換もしくは無置換のヘテロ環オキシ基、1−フェニルテトラゾールー5−オキシ、2−テトラヒドロピラニルオキシ)、アシルオキシ基(好ましくはホルミルオキシ基、炭素数2から30の置換もしくは無置換のアルキルカルボニルオキシ基、炭素数6から30の置換もしくは無置換のアリールカルボニルオキシ基、例えば、ホルミルオキシ、アセチルオキシ、ピバロイルオキシ、ステアロイルオキシ、ベンゾイルオキシ、p−メトキシフェニルカルボニルオキシ)、カルバモイルオキシ基(好ましくは、炭素数1から30の置換もしくは無置換のカルバモイルオキシ基、例えば、N,N−ジメチルカルバモイルオキシ、N,N−ジエチルカルバモイルオキシ、モルホリノカルボニルオキシ、N,N−ジ−n−オクチルアミノカルボニルオキシ、N−n−オクチルカルバモイルオキシ)、アルコキシカルボニルオキシ基(好ましくは、炭素数2から30の置換もしくは無置換アルコキシカルボニルオキシ基、例えばメトキシカルボニルオキシ、エトキシカルボニルオキシ、t−ブトキシカルボニルオキシ、n−オクチルカルボニルオキシ)、アリールオキシカルボニルオキシ基(好ましくは、炭素数7から30の置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニルオキシ基、例えば、フェノキシカルボニルオキシ、p−メトキシフェノキシカルボニルオキシ、p−n−ヘキサデシルオキシフェノキシカルボニルオキシ)、アミノ基(好ましくは、アミノ基、炭素数1から30の置換もしくは無置換のアルキルアミノ基、炭素数6から30の置換もしくは無置換のアニリノ基、例えば、アミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、アニリノ、N−メチル−アニリノ、ジフェニルアミノ)、アシルアミノ基(好ましくは、ホルミルアミノ基、炭素数1から30の置換もしくは無置換のアルキルカルボニルアミノ基、炭素数6から30の置換もしくは無置換のアリールカルボニルアミノ基、例えば、ホルミルアミノ、アセチルアミノ、ピバロイルアミノ、ラウロイルアミノ、ベンゾイルアミノ、3,4,5−トリ−n−オクチルオキシフェニルカルボニルアミノ)、アミノカルボニルアミノ基(好ましくは、炭素数1から30の置換もしくは無置換のアミノカルボニルアミノ、例えば、カルバモイルアミノ、N,N−ジメチルアミノカルボニルアミノ、N,N−ジエチルアミノカルボニルアミノ、モルホリノカルボニルアミノ)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2から30の置換もしくは無置換アルコキシカルボニルアミノ基、例えば、メトキシカルボニルアミノ、エトキシカルボニルアミノ、t−ブトキシカルボニルアミノ、n−オクタデシルオキシカルボニルアミノ、N−メチルーメトキシカルボニルアミノ)、
アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは、炭素数7から30の置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニルアミノ基、例えば、フェノキシカルボニルアミノ、p−クロロフェノキシカルボニルアミノ、m−n−オクチルオキシフェノキシカルボニルアミノ)、スルファモイルアミノ基(好ましくは、炭素数0から30の置換もしくは無置換のスルファモイルアミノ基、例えば、スルファモイルアミノ、N,N−ジメチルアミノスルホニルアミノ、N−n−オクチルアミノスルホニルアミノ)、アルキル及びアリールスルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1から30の置換もしくは無置換のアルキルスルホニルアミノ、炭素数6から30の置換もしくは無置換のアリールスルホニルアミノ、例えば、メチルスルホニルアミノ、ブチルスルホニルアミノ、フェニルスルホニルアミノ、2,3,5−トリクロロフェニルスルホニルアミノ、p−メチルフェニルスルホニルアミノ)、メルカプト基、アルキルチオ基(好ましくは、炭素数1から30の置換もしくは無置換のアルキルチオ基、例えばメチルチオ、エチルチオ、n−ヘキサデシルチオ)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6から30の置換もしくは無置換のアリールチオ、例えば、フェニルチオ、p−クロロフェニルチオ、m−メトキシフェニルチオ)、ヘテロ環チオ基(好ましくは炭素数2から30の置換又は無置換のヘテロ環チオ基、例えば、2−ベンゾチアゾリルチオ、1−フェニルテトラゾール−5−イルチオ)、スルファモイル基(好ましくは炭素数0から30の置換もしくは無置換のスルファモイル基、例えば、N−エチルスルファモイル、N−(3−ドデシルオキシプロピル)スルファモイル、N,N−ジメチルスルファモイル、N−アセチルスルファモイル、N−ベンゾイルスルファモイル、N−(N’−フェニルカルバモイル)スルファモイル)、アルキル及びアリールスルフィニル基(好ましくは、炭素数1から30の置換又は無置換のアルキルスルフィニル基、6から30の置換又は無置換のアリールスルフィニル基、例えば、メチルスルフィニル、エチルスルフィニル、フェニルスルフィニル、p−メチルフェニルスルフィニル)、アルキル及びアリールスルホニル基(好ましくは、炭素数1から30の置換又は無置換のアルキルスルホニル基、6から30の置換又は無置換のアリールスルホニル基、例えば、メチルスルホニル、エチルスルホニル、フェニルスルホニル、p−メチルフェニルスルホニル)、アシル基(好ましくはホルミル基、炭素数2から30の置換又は無置換のアルキルカルボニル基、、炭素数7から30の置換もしくは無置換のアリールカルボニル基、例えば、アセチル、ピバロイル、2−クロロアセチル、ステアロイル、ベンゾイル、p−n−オクチルオキシフェニルカルボニル)、
アリールオキシカルボニル基(好ましくは、炭素数7から30の置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニル基、例えば、フェノキシカルボニル、o−クロロフェノキシカルボニル、m−ニトロフェノキシカルボニル、p−t−ブチルフェノキシカルボニル)、アルコキシカルボニル基(好ましくは、炭素数2から30の置換もしくは無置換アルコキシカルボニル基、例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、t−ブトキシカルボニル、n−オクタデシルオキシカルボニル)、カルバモイル基(好ましくは、炭素数1から30の置換もしくは無置換のカルバモイル、例えば、カルバモイル、N−メチルカルバモイル、N,N−ジメチルカルバモイル、N,N−ジ−n−オクチルカルバモイル、N−(メチルスルホニル)カルバモイル)、アリール及びヘテロ環アゾ基(好ましくは炭素数6から30の置換もしくは無置換のアリールアゾ基、炭素数3から30の置換もしくは無置換のヘテロ環アゾ基、例えば、フェニルアゾ、p−クロロフェニルアゾ、5−エチルチオ−1,3,4−チアジアゾール−2−イルアゾ)、イミド基(好ましくは、N−スクシンイミド、N−フタルイミド)、ホスフィノ基(好ましくは、炭素数2から30の置換もしくは無置換のホスフィノ基、例えば、ジメチルホスフィノ、ジフェニルホスフィノ、メチルフェノキシホスフィノ)、ホスフィニル基(好ましくは、炭素数2から30の置換もしくは無置換のホスフィニル基、例えば、ホスフィニル、ジオクチルオキシホスフィニル、ジエトキシホスフィニル)、ホスフィニルオキシ基(好ましくは、炭素数2から30の置換もしくは無置換のホスフィニルオキシ基、例えば、ジフェノキシホスフィニルオキシ、ジオクチルオキシホスフィニルオキシ)、ホスフィニルアミノ基(好ましくは、炭素数2から30の置換もしくは無置換のホスフィニルアミノ基、例えば、ジメトキシホスフィニルアミノ、ジメチルアミノホスフィニルアミノ)、シリル基(好ましくは、炭素数3から30の置換もしくは無置換のシリル基、例えば、トリメチルシリル、t−ブチルジメチルシリル、フェニルジメチルシリル)が挙げられる。
201〜R203で表される基が更に置換可能な基である場合、R201〜R203で表される基は更に置換基を有してもよく、その場合の好ましい置換基はR201〜R203で説明した置換基と同じ意味の基を表す。2個以上の置換基で置換されている場合には、それらの置換基は同一であっても異なっていてもよい。
204とR205は、それぞれアルキル基、アリール基、又はヘテロ環基を表し、そのアルキル基、アリール基、及びヘテロ環基の好ましい範囲については、前記のR201〜R203で表される置換基で説明したアルキル基、アリール基、及びヘテロ環基と同じ意味の基を表す。R204又はR205で表される基が更に置換可能な基である場合、R204又はR205で表される基は更に置換基を有してもよく、その場合の好ましい置換基はR201〜R203で説明した置換基と同じ意味の基を表す。2個以上の置換基で置換されている場合には、それらの置換基は同一であっても異なっていてもよい。
201とR202、又は/及びR202とR204は互いに結合して5員、6員又は7員の、炭素環又はヘテロ環を形成してもよい。
以下に、式(III)で表される化合物の好ましい範囲について説明する。R201〜R203は水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アシルアミノ基、アルキル及びアリールスルホニルアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、シアノ基、ニトロ基、スルファモイル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、及びアシルオキシ基が好ましく、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アシルアミノ基、アルキル、及びアリールスルホニルアミノ基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、シアノ基、ニトロ基、スルファモイル基、アルキルスルホニル基、及びアリールスルホニル基が更に好ましい。特に好ましくは、R201又はR203のいずれか一方が水素原子である。R202はアルキル基又はアルコキシ基であることがより好ましい。
204はアルキル基が好ましい。
Zは隣接する窒素原子とともに1,2,3,4−テトラヒドロキノン骨格又はインドリン骨格を形成するのが好ましく、Zを構成する炭化水素の水素原子は置換基によって置換されていてもよい。
205はアルキル基又はアリール基が好ましく、下記式(IV)で表される置換フェニル基であることがさらに好ましい。
Figure 2006243535
式中、Xは、ハロゲン原子、又はヘテロ原子を介してベンゼン環に置換する基を表し、R206は水素原子又は置換基を表し、nは0〜4の整数を表す。nが2以上の場合、2個以上のR206は同じでも、異なっていてもよく、隣り合った位置に結合した基が互いに結合して5員〜7員の、炭素環又はヘテロ環を形成してもよい。
Xとしては、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、ニトロ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アミノ基、アシルアミノ基、アミノカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、アルキルスルホニルアミノ基、アリールスルホニルアミノ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、スルファモイル基、スルホ基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アリールアゾ基、ヘテロ環アゾ基、イミド基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスフィニルオキシ基、ホスフィニルアミノ基、及びシリル基が挙げられる。これらの基の好ましい範囲については、前記のR201〜R203で表される置換基で説明したものと同じである。
Xとしては、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、ヘテロ環オキシ基、カルバモイルオキシ基、アミノ基、アシルアミノ基、アミノカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アルキルスルホニルアミノ基、アリールスルホニルアミノ基、メルカプト基、アルキルチオ基、スルファモイル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、及びシリル基がより好ましく、さらに好ましくはハロゲン原子、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アシルアミノ基、アミノカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アルキルスルホニルアミノ基、及びアリールスルホニルアミノ基が挙げられる。
206は置換基を表し、R206で表される置換基は、R201〜R203で説明した置換基と同じ意味の基を表す。
206はハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アミノ基、アシルアミノ基、アミノカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アルキルスルホニルアミノ基、アリールスルホニルアミノ基、アルキルチオ基が好ましく、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アシルアミノ基がさらに好ましい。nは0〜3の整数が好ましい。
式(III)で表される化合物においては、R205−SO2−NH−CO−を水素原子に置き換えた化合物のClogP値が3.0以上であることが好ましい。ClogP値は化合物の水/オクタノール分配係数の計算値であり、本発明者らはCambridge Soft Corporation製のChem Draw Ultra Ver.5.0を用いて計算した。
以下に、本発明の一般式(I)〜(III)で表される化合物の具体的化合物例を示すが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
Figure 2006243535
Figure 2006243535
Figure 2006243535
Figure 2006243535
本発明の一般式(I)〜(III)で表される還元剤は、同一感光性層(画像形成層)中又は異なる画像形成層中に2種以上を併用してもよく、本発明以外の発色還元剤と併用してもよい。本発明以外の発色還元剤としては、ヨーロッパ公開特許1113322号、同1113323号、同1113324号、同1113325号、同1113326号、同1158358号、同1158359号、同1160621号、同1164417号、同1164418号、同1168071号、米国特許6,319,640B1号、国際公開特許01/96946号、及び同01/96954号に記載された化合物が挙げられる。具体的には、例えば、下記還元剤が挙げられる。
Figure 2006243535
Figure 2006243535
Figure 2006243535
Figure 2006243535
<還元剤の添加方法>
本発明においては、還元剤を微結晶性粒子分散物として熱現像感光材料中に含有する。
これら素材の微結晶粒子のコロイド分散体は、当該技術分野でよく知られている機械的剪断を付与するいずれの方法によっても得ることができる。その方法の例が、米国特許第2,581,414号及び同第2,855,156号並びにカナダ国特許第1,105,761号に記載されており、これら方法を使用することができる。例えば、固体粒子微粉砕法(ボールミル法、ペブルミル法、ローラーミル法、サンドミル法、ビーズミル法、ディノミル法、マサップミル法及びメディアミル法)が含まれる。さらにこれらの方法には、コロイドミル法、アトリッターによる微粉砕法、超音波エネルギーによる分散法及び高速攪拌法(Onishiらの米国特許第4,474,872号に記載されている)が含まれる。操作し易いことや、洗浄し易いこと、及び再現性がよいことから、ボールミル法、ローラーミル法、メディアミル法及びアトリッターによる微粉砕法が好ましい。
別法として、該化合物が非晶質物理状態で存在する分散体は、コロイドミル法、均質化法、高速攪拌法、音波処理法をはじめとするよく知られている方法によって調製することができる。次いで、該化合物の非晶質物理状態を、熱アニール法や化学アニール法などの方法によって微結晶物理状態へと転換することができる。熱アニール法には、非晶質化合物のガラス転移温度よりも高い温度へ循環させる温度プログラム法が含まれる。好ましい熱アニール法は、該分散体を17℃〜90℃の温度範囲にわたり循環させる工程を含む。この循環工程は、残存する非晶質物理状態から微結晶相の形成を促進する任意の温度変化順序を含むことができる。典型的には、該相形成を活性化すると同時に熟成及び衝突過程による粒子成長を最小限に抑えるよう、高温インターバルの期間を選定する。化学アニール法には、該分散体の連続相と不連続相との間の化合物と界面活性剤の分配を変更する化学剤によるインキュベーション法が含まれる。このような化学剤には、炭化水素類(ヘキサデカン等)、界面活性剤、アルコール類(ブタノール、ペンタノール、ウンデカノール等)及び高沸点有機溶剤が含まれる。これらの化学剤は、粒子形成中に、あるいは粒子形成後に分散体に添加することができる。この化学アニール法は、上記化学剤の存在下で該分散体を17℃〜90℃でインキュベーションする方法、上記化学剤の存在下で該分散体を攪拌する方法、上記化学剤を添加してからそれをダイアフィルトレーション(diafiltration)法でゆっくりと除去する方法等を含む。
水性媒体中でのコロイド分散体の形成は、界面活性剤、界面活性ポリマー及び親水性ポリマーといった分散助剤の存在を通常必要とする。このような分散助剤は、Chariらの米国特許第5,008,179号(第13〜14欄)及びBagchiとSargeantの米国特許第5,104,776号(第7〜13欄)に記載されており、これらを適宜使用することができる。
本発明において、微結晶性粒子分散物の数平均粒子サイズは、0.001μm〜5μmであることが好ましく、0.001μm〜0.5μmであることが更に好ましい。
本発明の熱現像感光材料は、支持体上、感光性ハロゲン化銀及び還元可能な銀塩と同一の面に、還元剤を有する。本発明の還元剤の添加量は広い範囲で良く、好ましくはカプラー化合物1モルに対して0.01モル〜100モルが好ましく、より好ましくは0.1モル〜10モルで、さらに好ましくは0.5モル〜3.0モルである。
本発明の還元剤は、微結晶分散物の分散安定性を高めるために、好ましくは1g/m3以下、より好ましくは10-3g/m3以下の水溶性を有する。また本発明の還元剤の融点は80℃〜300℃であるのが好ましい。
(色像形成材料)
本発明には、従来カラー写真感光材料において知られている種々の色像形成材料を用いることが出来る。代表的な色像形成材料は、例えば、T.H.James著、「The Theory of the photographic process」,fourth edition,p.335−372(1977年)に記載されている。
本発明に用いられる好ましい色像形成材料は、現像剤である還元剤の酸化生成物とカップリングして色素を形成するカプラーである。
本発明に用いるカプラー化合物は、写真業界で公知のカプラーと呼ばれる化合物であり、2当量又は4当量カプラーを使用する。写真用カプラーの例としては、古舘信生著の「コンベンショナルカラー写真用有機化合物」(有機合成化学協会誌、第41巻、439頁、1983年)に説明されている機能を有するカプラー、リサーチディスクロージャー37038(1995年2月)の80頁〜85頁、及び87頁〜89頁に詳しく記載されているカプラーを使用することができる。
イエロー色画像形成カプラーとしては、例えばピバロイルアセトアミド型、ベンゾイルアセトアミド型、マロンジエステル型、マロンジアミド型、ジベンゾイルメタン型、ベンゾチアゾリルアセトアミド型、マロンエステルモノアミド型、ベンゾオキサゾリルアセトアミド型、ベンゾイミダゾリルアセトアミド型、ベンゾチアゾリルアセトアミド型、シクロアルキルカルボニルアセトアミド型、インドリン−2−イルアセトアミド型、米国特許5,021,332号に記載のキナゾリン−4−オン−2−イルアセトアミド型、同5,021,330号に記載のベンゾ−1,2,4−チアジアジン−1,1−ジオキシド−3−イルアセトアミド型、欧州特許421221A号に記載のカプラー、米国特許5,455,149号に記載のカプラー、欧州公開特許0622673号に記載のカプラー、欧州公開特許0953871号、同0953872号、同0953873号に記載の3−インドロイルアセトアミド型カプラー等が挙げられる。
マゼンタ色画像形成カプラーとしては、例えば5−ピラゾロン型、1H−ピラゾロ[1,5−a]ベンズイミダゾール型、1H−ピラゾロ[5,1−c][1,2,4]トリアゾール型、1H−ピラゾロ[1,5−b][1,2,4]トリアゾール型、1H−イミダゾ[1,2−b]ピラゾール型、シアノアセトフェノン型、WO93/01523に記載の活性プロペン型、WO93/075342記載のエナミン型、1H−イミダゾ[1,2−b][1,2,4]トリアゾール型カプラー、米国特許第4,871,652号に記載のカプラー等が挙げられる。
シアン色画像形成カプラーとしては、例えばフェノール型、ナフトール型、欧州特許公開0249453号に記載の2,5−ジフェニルイミダゾール型、1H−ピロロ[1,2−b][1,2,4]トリアゾール型、1H−ピロロ[2,1−c][1,2,4]トリアゾール型、特開平4−188137号及び同4−190347号に記載のピロール型、特開平1−315736号に記載の3−ヒドロキシピリジン型、米国特許第5,164,289号に記載のピロロピラゾール型、特開平4−174429号に記載のピロロイミダゾール型、米国特許第4,950,585号に記載のピラゾロピリミジン型、特開平4−204730号に記載のピロロトリアジン型カプラー、米国特許4746602号に記載のカプラー、米国特許第5,104,783号に記載のカプラー、同5,162,196号に記載のカプラー、欧州特許第0556700号に記載のカプラー等が挙げられる。以下に、本発明に使用することができる代表的カプラー化合物の具体例を挙げるが、本発明はこれらの具体例によって限定されるものではない。
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上記カプラー化合物は、カプラーに関する上記の特許明細書等に記載された写真業界で公知の方法によって容易に合成することができる。
本発明に用いるカプラー化合物は、米国特許第2,322,027号記載の方法などの公知の方法により熱現像感光材料の層中に導入することができる。この場合には、米国特許第4,555,470号、同4,536,466号、同4,536,467号、同4,587,206号、同4,555,476号、同4,599,296号、特公平3−62256号などに記載のような高沸点有機溶媒を、必要に応じて沸点50℃〜160℃の低沸点有機溶媒と併用して、用いることができる。またこれら色素供与性カプラー、高沸点有機溶媒などは2種以上併用することができる。高沸点有機溶媒の量は用いられる疎水性添加剤1gに対して10g以下、好ましくは5g以下、より好ましくは1g〜0.1gである。また、バインダー1gに対して1cc以下、更には0.5cc以下、特に0.3cc以下が適当である。特公昭51−39853号、特開昭51−59943号に記載されている重合物による分散法や特開昭62−30242号等に記載されている微粒子分散物にして添加する方法も使用できる。水に実質的に不溶な化合物の場合には、前記方法以外にバインダー中に微粒子にして分散含有させることができる。疎水性化合物を親水性コロイドに分散する際には、種々の界面活性剤を用いることができる。例えば特開昭59−157636号の第(37)頁〜(38)頁、前記のリサーチ・ディスクロージャー記載の界面活性剤として挙げたものを使うことができる。また、特開平7−056267号、同7−228589号、西独公開特許第1,932,299A号記載のリン酸エステル型界面活性剤も使用できる。また、よく知られている固体分散法に従って、ボールミル、コロイドミル、サンドグラインダーミル、マントンゴーリン、マイクロフルイダイザー又は超音波によって、カプラー化合物の粉末を水の中に分散して用いる事もできる。
本発明に用いるカプラー化合物は、支持体上、感光性ハロゲン化銀および非感光性有機銀塩と同一の面であればいずれの層に添加してもよいが、ハロゲン化銀を含む層またはそれに隣接する層に添加することが好ましい。本発明に用いるカプラー化合物の添加量は、銀1モル当たり0.2〜200ミリモルが好ましく、より好ましくは0.3〜100ミリモルであり、さらに好ましくは0.5〜30ミリモルである。カプラー化合物は1種のみを用いても2種以上を併用してもよい。
また、本発明には以下のような機能性カプラーを使用しても良い。発色色素が適度な拡散性を有するカプラーとしては、US4,366,237、GB2,125,570、EP96,873B、DE3,234,533に記載のものが好ましい。発色色素の不要な吸収を補正するためのカプラーとして、EP456,257A1号に記載のイエローカラードシアンカプラー、該EPに記載のイエローカラードマゼンタカプラー、US4,833,069号に記載のマゼンタカラードシアンカプラー、US4,837,136号の(2)、WO92/11575のクレーム1の式(A)で表わされる無色のマスキングカプラー(特に36頁−45頁の例示化合物)。現像主薬酸化体と反応して写真的に有用な化合物残査を放出する化合物(カプラーを含む)としては、以下のものが挙げられる。
現像抑制剤放出化合物:EP378,236A1号の11頁に記載の式(I)〜(IV)で表わされる化合物、EP436,938A2号の7頁に記載の式(I)で表わされる化合物、EP568,037Aの式(1)で表わされる化合物、EP440,195A2の5頁〜6頁に記載の式(I),(II),(III)で表わされる化合物。
漂白促進剤放出化合物:EP310,125A2の5頁の式(I),(I’)で表わされる化合物及び特開平6−59411の請求項1の式(I)で表わされる化合物。
リガンド放出化合物:US4,555,478のクレーム1に記載のLIG−Xで表わされる化合物。ロイコ色素放出化合物:US4,749,641のカラム3〜8の化合物1〜6;蛍光色素放出化合物:US4,774,181のクレーム1のCOUP−DYEで表わされる化合物。
現像促進剤又はカブラセ剤放出化合物:US4,656,123のカラム3の式(1)、(2)、(3)で表わされる化合物及びEP450,637A2の75頁36行目〜38行目のExZK−2。
離脱して初めて色素となる基を放出する化合物:US4,857,447のクレーム1の式(I)で表わされる化合物、特開平5−307248号の式(1)で表わされる化合物、EP440,195A2の5頁〜6頁に記載の式(I)(II)(III)で表わされる化合物、特開平6−059411号の請求項1の式(I)で表わされる化合物−リガンド放出化合物、US4,555,478号のクレーム1に記載のLIG−Xで表わされる化合物。このような機能性カプラーは、先に述べた発色に寄与するカプラーの0.05〜10倍モル、好ましくは0.1〜5倍モル用いることが好ましい。
また、本発明に用いられるカプラーの融点は、90℃以上であることが好ましい。本発明に用いられるカプラーの融点は、後述の熱溶剤より高いことが好ましく、現像処理温度より高いことが更に好ましい。本発明に用いられるカプラーと熱溶剤の組み合わせには、相溶性があることが好ましい。
(熱溶剤)
本発明の熱現像感光材料は熱溶剤を含有しても良い。本発明で用いられる「熱溶剤」とは、周囲温度において固体であるが、使用される熱処理温度又はそれ以下の温度において他の成分と一緒になつて混合融点を示し、熱現像時に液状化し熱現像や色素の熱転写を促進する作用を有する有機材料である。熱溶剤としては、現像薬の溶媒となりうる化合物、高誘電率であり銀塩の物理現像を促進する化合物、バインダーと相溶しバインダーを膨潤させる作用のある化合物等が有用である。本発明で使用する熱溶剤の例としては、米国特許第3,347,675号、同3,667,959号、同3,438,776号、同3,666,477号、リサーチ・ディスクロージャーNo.17,643号、特開昭51−19525号、同53−24829号、同53−60223号、同58−118640号、同58−198038号、同59−229556号、同59−68730号、同59−84236号、同60−191251号、同60−232547号、同60−14241号、同61−52643号、同62−78554号、同62−42153号、同62−44737号、同63−53548号、同63−161446号、特開平1−224751号、同2−863号、同2−120739号、同2−123354号等に記載の化合物が挙げられる。具体的には、尿素誘導体(フェニルメチル尿素等)、アミド誘導体(アセトアミド、ステアリルアミド、p−トルアミド、p−プロパノイルオキシエトキシベンズアミド等)、スルホンアミド誘導体(p−トルエンスルホンアミド等)、多価アルコール類(高分子のポリエチレングリコール等)等から、微結晶分散に好ましい水溶性の低い素材を選択して用いることができる。
熱溶剤の水溶性は、微結晶分散物の分散安定性を高めるために、1g/m3以下であることが好ましく、10-3g/m3以下であることがより好ましい。また、本発明に用いられる熱溶剤の融点は、90℃以上で、且つ現像処理温度以下であることが好ましい。熱溶剤の使用量は、バインダーの塗布量の1質量%〜200質量%が好ましく、5質量%〜50質量%がより好ましい。本発明に使用することができる代表的熱溶剤の具体例と融点を以下に示すが、本発明は、これらの具体例によって限定される物ではない。
Figure 2006243535
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(非感光性有機銀塩)
1)組成
本発明に用いることのできる有機銀塩は、光に対して比較的安定であるが、露光された感光性ハロゲン化銀及び還元剤の存在下で、80℃或いはそれ以上に加熱された場合に銀イオン供給体として機能し、銀画像を形成せしめる銀塩である。有機銀塩は還元剤により還元されうる銀イオンを供給できる任意の有機物質であってよい。このような非感光性の有機銀塩については、特開平10−62899号の段落番号0048〜0049、欧州特許公開第0803764A1号の第18ページ第24行〜第19ページ第37行、欧州特許公開第0962812A1号、特開平11−349591号、特開2000−7683号、同2000−72711号等に記載されている。有機酸の銀塩、特に(炭素数が10〜30、好ましくは15〜28の)長鎖脂肪族カルボン酸の銀塩が好ましい。脂肪酸銀塩の好ましい例としては、リグノセリン酸銀、ベヘン酸銀、アラキジン酸銀、ステアリン酸銀、オレイン酸銀、ラウリン酸銀、カプロン酸銀、ミリスチン酸銀、パルミチン酸銀、エルカ酸銀およびこれらの混合物などを含む。本発明においては、これら脂肪酸銀の中でも、ベヘン酸銀含有率が好ましくは50モル%以上100モル%以下、より好ましくは85モル%以上100モル%以下、さらに好ましくは95モル%以上100モル%以下の脂肪酸銀を用いることが好ましい。更に、エルカ酸銀含有率が2モル%以下、より好ましくは1モル%以下、更に好ましくは0.1モル%以下の脂肪酸銀を用いることが好ましい。
また、ステアリン酸銀含有率が1モル%以下であることが好ましい。前記ステアリン酸銀含有率を1モル%以下とすることにより、Dminが低く、高感度で画像保存性に優れた有機酸の銀塩が得られる。前記ステアリン酸銀含有率としては、0.5モル%以下が好ましく、実質的に含まないことが特に好ましい。
さらに、有機酸の銀塩としてアラキジン酸銀を含む場合は、アラキジン酸銀含有率が6モル%以下であることが、低いDminを得ること及び画像保存性の優れた有機酸の銀塩を得る点で好ましく、3モル%以下であることが更に好ましい。
2)形状
本発明に用いることができる有機銀塩の形状としては特に制限はなく、針状、棒状、平板状、りん片状いずれでもよい。
本発明においてはりん片状の有機銀塩が好ましい。また、長軸と単軸の長さの比が5以下の短針状、直方体、立方体またはジャガイモ状の不定形粒子も好ましく用いられる。これらの有機銀粒子は長軸と単軸の長さの比が5を越える長針状粒子に比べて熱現像時のかぶりが少ないという特徴を有している。特に、長軸と単軸の比が3以下の粒子は塗布膜の機械的安定性が向上し好ましい。本明細書において、りん片状の有機銀塩とは、次のようにして定義する。有機酸銀塩を電子顕微鏡で観察し、有機酸銀塩粒子の形状を直方体と近似し、この直方体の辺を一番短かい方からa、b、cとした(cはbと同じであってもよい。)とき、短い方の数値a、bで計算し、次のようにしてxを求める。
x=b/a
このようにして200個程度の粒子についてxを求め、その平均値x(平均)としたとき、x(平均)≧1.5の関係を満たすものをりん片状とする。好ましくは30≧x(平均)≧1.5、より好ましくは15≧x(平均)≧1.5である。因みに針状とは1≦x(平均)<1.5である。
りん片状粒子において、aはbとcを辺とする面を主平面とした平板状粒子の厚さとみることができる。aの平均は0.01μm以上0.3μm以下が好ましく0.1μm以上0.23μm以下がより好ましい。c/bの平均は1以上9以下であることが好ましく、より好ましくは1以上6以下、さらに好ましくは1以上4以下、最も好ましくは1以上3以下である。
前記球相当直径を0.05μm以上1μm以下とすることにより、熱現像感光材料中で凝集を起こしにくく、画像保存性が良好となる。前記球相当直径としては、0.1μm以上1μm以下が好ましい。
本発明において、球相当直径の測定方法は、電子顕微鏡を用いて直接サンプルを撮影し、その後、ネガを画像処理することによって求められる。
前記リン片状粒子において、粒子の球相当直径/aをアスペクト比と定義する。リン片状粒子のアスペクト比としては、熱現像感光材料中で凝集を起こしにくく、画像保存性が良好となる観点から、1.1以上30以下であることが好ましく、1.1以上15以下がより好ましい。
有機銀塩の粒子サイズ分布は単分散であることが好ましい。単分散とは短軸、長軸それぞれの長さの標準偏差を短軸、長軸それぞれで割った値の100分率が好ましくは100%以下、より好ましくは80%以下、更に好ましくは50%以下である。有機銀塩の形状の測定方法としては有機銀塩分散物の透過型電子顕微鏡像より求めることができる。単分散性を測定する別の方法として、有機銀塩の体積加重平均直径の標準偏差を求める方法があり、体積加重平均直径で割った値の百分率(変動係数)が好ましくは100%以下、より好ましくは80%以下、更に好ましくは50%以下である。測定方法としては例えば液中に分散した有機銀塩にレーザー光を照射し、その散乱光のゆらぎの時間変化に対する自己相関関数を求めることにより得られた粒子サイズ(体積加重平均直径)から求めることができる。
3)調製
本発明に用いられる有機酸銀の製造及びその分散法は、公知の方法等を適用することができる。例えば上記の特開平10−62899号、欧州特許公開第0803763A1、欧州特許公開第0962812A1号、特開平11−349591号、特開2000−7683号、同2000−72711号、同2001−163889号、同2001−163890号、同2001−163827号、同2001−33907号、同2001−188313号、同2001−83652号、同2002−6442、同2002−49117号、同2002−31870号、同2002−107868号等を参考にすることができる。
なお、有機銀塩の分散時に、感光性銀塩を共存させると、かぶりが上昇し、感度が著しく低下するため、分散時には感光性銀塩を実質的に含まないことがより好ましい。本発明では、分散される水分散液中での感光性銀塩量は、その液中の有機酸銀塩1モルに対し1モル%以下であることが好ましく、より好ましくは0.1モル%以下であり、さらに好ましいのは積極的な感光性銀塩の添加を行わないものである。
本発明において有機銀塩水分散液と感光性銀塩水分散液をそれぞれ独立に調製して後に混合して熱現像感光材料を製造することが可能である。また、2種以上の有機銀塩水分散液、あるいは2種以上の感光性銀塩水分散液を混して用いることは、写真特性の調節のために好ましく用いられる方法である。
4)添加量
本発明の有機銀塩は所望の量で使用できるが、ハロゲン化銀も含めた全塗布銀量として、銀画像形成層については、0.1g/m2〜5g/m2が好ましく、より好ましくは0.3g/m2〜3g/m2、さらに好ましくは0.5g/m2〜2.0g/m2である。カラー画像形成層については、ハロゲン化銀も含めた全塗布銀量として、0.05g/m2〜3g/m2が好ましく、より好ましくは0.1g/m2〜1.8g/m2、さらに好ましくは0.2g/m2〜1.2g/m2である。
(銀画像形成のための還元剤、またはカラー画像形成のための補助的還元剤)
本発明において、銀画像形成のための還元剤、またはカラー画像形成のための補助的還元剤として、フェノール性水酸基のオルト位に置換基を有するいわゆるヒンダードフェノール系還元剤あるいはビスフェノール系還元剤が好ましく、下記一般式(R)で表される化合物がより好ましい。
Figure 2006243535
一般式(R)において、R11およびR11’は各々独立に炭素数1〜20のアルキル基を表す。R12およびR12’は各々独立に水素原子またはベンゼン環に置換可能な置換基を表す。Lは−S−基または−CHR13−基を表す。R13は水素原子または炭素数1〜20のアルキル基を表す。X1およびX1’は各々独立に水素原子またはベンゼン環に置換可能な基を表す。
一般式(R)について詳細に説明する。
1)R11およびR11
11およびR11’は各々独立に置換または無置換の炭素数1〜20のアルキル基であり、アルキル基の置換基は特に限定されることはないが、好ましくは、アリール基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、スルホニル基、ホスホリル基、アシル基、カルバモイル基、エステル基、ウレイド基、ウレタン基、及びハロゲン原子等が挙げられる。
2)R12およびR12’、X1およびX1
12およびR12’は各々独立に水素原子またはベンゼン環に置換可能な置換基であり、X1およびX1’も各々独立に水素原子またはベンゼン環に置換可能な基を表す。それぞれベンゼン環に置換可能な基としては、好ましくはアルキル基、アリール基、ハロゲン原子、アルコキシ基、及びアシルアミノ基が挙げられる。
3)L
Lは−S−基または−CHR13−基を表す。R13は水素原子または炭素数1〜20のアルキル基を表し、アルキル基は置換基を有していてもよい。R13の無置換のアルキル基の具体例はメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘプチル基、ウンデシル基、イソプロピル基、1−エチルペンチル基、2,4,4−トリメチルペンチル基、シクロヘキシル基、2,4−ジメチル−3−シクロヘキセニル基、3,5−ジメチル−3−シクロヘキセニル基などがあげられる。アルキル基の置換基の例はR11の置換基と同様で、ハロゲン原子、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、スルホニル基、ホスホリル基、オキシカルボニル基、カルバモイル基、及びスルファモイル基などが挙げられる。
4)好ましい置換基
11およびR11’として好ましくは炭素数1〜15の1級、2級または3級のアルキル基であり、具体的にはメチル基、イソプロピル基、t−ブチル基、t−アミル基、t−オクチル基、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、1−メチルシクロヘキシル基、及び1−メチルシクロプロピル基などが挙げられる。R11およびR11’としてより好ましくは炭素数1〜4のアルキル基で、その中でもメチル基、t−ブチル基、t−アミル基、又は1−メチルシクロヘキシル基が更に好ましく、メチル基、t−ブチル基が最も好ましい。
12およびR12’として好ましくは炭素数1〜20のアルキル基であり、具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソプロピル基、t−ブチル基、t−アミル基、シクロヘキシル基、1−メチルシクロヘキシル基、ベンジル基、メトキシメチル基、及びメトキシエチル基などが挙げられる。より好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、又はt−ブチル基であり、特に好ましくはメチル基、エチル基である。
1およびX1’は、好ましくは水素原子、ハロゲン原子、又はアルキル基で、より好ましくは水素原子である。
Lは好ましくは−CHR13−基である。
13として好ましくは水素原子または炭素数1〜15のアルキル基であり、該アルキル基としては鎖状のアルキル基の他、環状のアルキル基も好ましく用いられる。また、これらのアルキル基の中にC=C結合を有しているものも好ましく用いることができる。アルキル基としては例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、2,4,4−トリメチルペンチル基、シクロヘキシル基、2,4−ジメチル−3−シクロヘキセニル基、又は3,5−ジメチル−3−シクロヘキセニル基等が好ましい。R13として特に好ましいのは水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、又は2,4−ジメチル−3−シクロヘキセニル基である。
11、R11’が3級のアルキル基でR12、R12’がメチル基の場合、R13は炭素数1〜8の1級または2級のアルキル基(メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、又は2,4−ジメチル−3−シクロヘキセニル基等)が好ましい。
11、R11’が3級のアルキル基でR12、R12’がメチル基以外のアルキル基の場合、R13は水素原子が好ましい。
11、R11’が3級のアルキル基でない場合、R13は水素原子または2級のアルキル基であることが好ましく、2級のアルキル基であることが特に好ましい。R13の2級アルキル基として好ましい基はイソプロピル基、2,4−ジメチル−3−シクロヘキセニル基である。
上記還元剤はR11、R11’、R12、R12’およびR13の組み合わせにより、熱現像性、現像銀色調などが異なる。2種以上の還元剤を組み合わせることでこれらを調製することができるため、目的によっては2種以上を組み合わせて使用することが好ましい。
以下に本発明の一般式(R)で表される化合物をはじめとする銀画像形成のための還元剤、またはカラー画像形成のための補助的還元剤の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 2006243535
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本発明において銀画像形成のための還元剤、またはカラー画像形成のための補助的還元剤の添加量は0.1g/m2〜3.0g/m2であることが好ましく、より好ましくは0.2g/m2〜1.5g/m2で、さらに好ましくは0.3g/m2〜1.0g/m2である。画像形成層を有する面の銀1モルに対しては5モル%〜50モル%含まれることが好ましく、より好ましくは8モル%〜30モル%であり、10モル%〜20モル%で含まれることがさらに好ましい。銀画像形成のための還元剤、またはカラー画像形成のための補助的還元剤は画像形成層に含有させることが好ましい。
銀画像形成のための還元剤、またはカラー画像形成のための補助的還元剤は、固体粒子分散物で添加するのが好ましく、平均粒子サイズ0.01μm〜10μm、好ましくは0.05μm〜5μm、より好ましくは0.1μm〜2μmの微粒子して添加するのが好ましい。
(感光性ハロゲン化銀)
1)ハロゲン組成
本発明に用いられる感光性ハロゲン化銀は、ハロゲン組成として特に制限はなく、塩化銀、塩臭化銀、臭化銀、ヨウ臭化銀、ヨウ塩臭化銀、ヨウ化銀を用いることができる。その中でも臭化銀、ヨウ臭化銀及びヨウ化銀が好ましい。
本発明に用いられる感光性ハロゲン化銀が青色感色性層用に用いられる場合には、ヨウ化銀含有率が40モル%以上であることも好ましい。さらに好ましくはヨウ化銀含有率が80モル%以上、さらに好ましくは90モル%以上であることも好ましい。
粒子内におけるハロゲン組成の分布は均一であってもよく、ハロゲン組成がステップ状に変化したものでもよく、或いは連続的に変化したものでもよい。また、コア/シェル構造を有するハロゲン化銀粒子も好ましく用いることができる。構造として好ましいものは2〜5重構造であり、より好ましくは2〜4重構造のコア/シェル粒子を用いることができる。コア部のヨウ化銀含有率が高いコア高ヨウ化銀構造、またはシェル部のヨウ化銀含有率が高いシェル高ヨウ化銀構造も好ましく用いることができる。また、粒子の表面にエピタキシャル部分とした塩化銀や臭化銀を局在させる技術も好ましく用いることができる。
本発明の高ヨウ化銀含有率のハロゲン化銀を用いる場合には、任意のβ相およびγ相含有率を取ることができる。β相とは六方晶系のウルツアイト構造を有する高ヨウ化銀構造を指し、γ相とは立方晶系のジンクブレンド構造を有する高ヨウ化銀構造を指す。ここでいうγ相含有率とは、C.R.Berry(ベリー)により提案された手法を用いて決定されるものである。この手法は、粉末X線回折法でのヨウ化銀β相(100)、(101)、(002)とγ相(111)によるピーク比を元にして決定するもので、詳細については例えば、Physical Review,Volume 161,No.3,p.848−851(1967)を参考にすることができる。
2)粒子サイズ
感光性ハロゲン化銀の粒子サイズは、画像形成後の白濁を低く抑える目的のために小さいことが好ましく具体的には0.20μm以下、より好ましくは0.01μm以上0.15μm以下、更に好ましくは0.02μm以上0.12μm以下がよい。ここでいう粒子サイズとは、ハロゲン化銀粒子の投影面積(平板粒子の場合は主平面の投影面積)と同面積の円像に換算したときの直径をいう。
本発明に用いる感光性ハロゲン化銀が青色感色性層用に用いられる場合には、高感度を達成するのに必要な十分大きい粒子サイズを選ぶこともできる。
本発明においては、好ましくはハロゲン化銀の全投影面積の50%以上が投影面積相当直径0.3μm以上5.0μm以下であり、さらに0.35μm以上3.0μm以下であることが好ましい。ここでいう投影面積相当直径とは、ハロゲン化銀1粒子の投影面積と同じ面積の円の直径を意味する。測定方法としては、電子顕微鏡により観察した個々の投影面積から粒子面積を求め、その面積と同じ面積の円に換算することにより求めることができる。このような場合には、感光性ハロゲン化銀の粒子厚みは0.3μm以下が好ましく、より好ましくは0.2μm以下、さらに好ましくは0.15μm以下である。
3)塗布量
感光性ハロゲン化銀の添加量は、感材1m2当たりの塗布銀量で示して、0.03g/m2以上0.6g/m2以下であることが好ましく、0.05g/m2以上0.4g/m2以下であることがさらに好ましく、0.07g/m2以上0.3g/m2以下であることが最も好ましく、有機銀塩1モルに対しては、感光性ハロゲン化銀は0.01モル以上0.5モル以下が好ましく、より好ましくは0.02モル以上0.3モル以下、さらに好ましくは0.03モル以上0.2モル以下である。
本発明に用いる感光性ハロゲン化銀が青色感色性層用に用いられる場合には、ハロゲン化銀の塗布量を増やすと膜の透明度が低下し画質上好ましくないため、感度を高くしたい要求にもかかわらず、低く制限されていた。しかしながら、本発明においてヨウ化銀錯形成剤を用いた場合には、熱現像処理によって、ハロゲン化銀による膜のヘイズを減少させることができるので、より多くのハロゲン化銀を塗布することができる。
本発明においては、ハロゲン化銀の塗布量は非感光性有機銀塩の銀1モルに対して好ましくは1モル%以上100モル%以下、より好ましくは2モル%〜60モル%、特に3モル%〜45モル%の範囲が好ましい。
4)粒子形成方法
感光性ハロゲン化銀の形成方法は当業界ではよく知られており、例えば、リサーチディスクロージャー1978年6月の第17029号、および米国特許第3,700,458号に記載されている方法を用いることができるが、具体的にはゼラチンあるいは他のポリマー溶液中に銀供給化合物及びハロゲン供給化合物を添加することにより感光性ハロゲン化銀を調製し、その後で有機銀塩と混合する方法を用いる。また、特開平11−119374号公報の段落番号0217〜0224に記載されている方法、特開平11−352627号、特開2000−347335号記載の方法も好ましい。
ヨウ化銀の平板粒子の形成方法に関しては、前述の特開昭59−119350号、同59−119344号に記載の方法が好ましく用いられる。
5)粒子形状
本発明におけるハロゲン化銀粒子の形状としては立方体粒子、八面体粒子、14面体粒子、12面体粒子、平板状粒子、球状粒子、棒状粒子、ジャガイモ状粒子等を挙げることができる。好ましくは、12面体粒子、14面体粒子、および平板状粒子である。
ここで言う12面体とは、(001)、{1(−1)0}、{101}面と有する粒子であり、14面体粒子とは、(001)、{100}、{101}面を有する粒子である。ここで、{100}、{101}面は、それぞれ(100)、(101)面と等価な面指数を持つ結晶面群を表す。
ヨウ化銀の12面体、14面体、8面体に関しては、特開2002−081020号、同2003−287835号、同2003−287836号を参考にして調製することができる。本発明に用いる感光性ハロゲン化銀が青色感色性層用に用いられる場合には、好ましくは平板状粒子である。より好ましくは、アスペクト比が2以上、より好ましくは2以上100以下、さらに好ましくは5以上50以下である。
6)重金属
本発明の感光性ハロゲン化銀粒子は、周期律表(第1〜18族までを示す)の第6族〜第13族の金属または金属錯体を含有することができる。より好ましくは、第6族〜第10族の金属または金属錯体を含有することができる。周期律表の第6族〜第10族の金属または金属錯体の中心金属として好ましくは、鉄、ロジウム、ルテニウム、及びイリジウムである。これら金属錯体は1種類でもよいし、同種金属及び異種金属の錯体を2種以上併用してもよい。好ましい含有率は銀1モルに対し1×10-9モル〜1×10-3モルの範囲が好ましい。これらの重金属や金属錯体及びそれらの添加法については特開平7−225449号、特開平11−65021号段落番号0018〜0024、特開平11−119374号段落番号0227〜0240に記載されている。
本発明においては、六シアノ金属錯体を粒子最表面に存在させたハロゲン化銀粒子が好ましい。六シアノ金属錯体としては、[Fe(CN)64-、[Fe(CN)63-、[Ru(CN)64-、[Os(CN)64-、[Co(CN)63-、[Rh(CN)63-、[Ir(CN)63-、[Cr(CN)63-、[Re(CN)63-などが挙げられる。本発明においては六シアノFe錯体が好ましい。
六シアノ金属錯体は、水溶液中でイオンの形で存在するので対陽イオンは重要ではないが、水と混和しやすく、ハロゲン化銀乳剤の沈澱操作に適合しているナトリウムイオン、カリウムイオン、ルビジウムイオン、セシウムイオンおよびリチウムイオン等のアルカリ金属イオン、アンモニウムイオン、アルキルアンモニウムイオン(例えばテトラメチルアンモニウムイオン、テトラエチルアンモニウムイオン、テトラプロピルアンモニウムイオン、又はテトラ(n−ブチル)アンモニウムイオン)を用いることが好ましい。
六シアノ金属錯体は、水の他に水と混和しうる適当な有機溶媒(例えば、アルコール類、エーテル類、グリコール類、ケトン類、エステル類、アミド類等)との混合溶媒やゼラチンと混和して添加することができる。
六シアノ金属錯体の添加量は、銀1モル当たり1×10-5モル以上1×10-2モル以下が好ましく、より好ましくは1×10-4モル以上1×10-3モル以下である。
六シアノ金属錯体をハロゲン化銀粒子最表面に存在させるには、六シアノ金属錯体を、粒子形成に使用する硝酸銀水溶液を添加終了した後、硫黄増感、セレン増感およびテルル増感のカルコゲン増感や金増感等の貴金属増感を行う化学増感工程の前までの仕込工程終了前、水洗工程中、分散工程中、または化学増感工程前に直接添加する。ハロゲン化銀微粒子を成長させないためには、粒子形成後速やかに六シアノ金属錯体を添加することが好ましく、仕込工程終了前に添加することが好ましい。
尚、六シアノ金属錯体の添加は、粒子形成をするために添加する硝酸銀の総量の96質量%を添加した後から開始してもよく、98質量%添加した後から開始するのがより好ましく、99質量%添加した後が特に好ましい。
これら六シアノ金属錯体を粒子形成の完了する直前の硝酸銀水溶液を添加した後に添加すると、ハロゲン化銀粒子最表面に吸着することができ、そのほとんどが粒子表面の銀イオンと難溶性の塩を形成する。この六シアノ鉄(II)の銀塩は、AgIよりも難溶性の塩であるため、微粒子による再溶解を防ぐことができ、粒子サイズが小さいハロゲン化銀微粒子を製造することが可能となった。
さらに本発明に用いられるハロゲン化銀粒子に含有することのできる金属原子(例えば[Fe(CN)64-)、ハロゲン化銀乳剤の脱塩法や化学増感法については特開平11−84574号段落番号0046〜0050、特開平11−65021号段落番号0025〜0031、特開平11−119374号段落番号0242〜0250に記載されている。
7)増感色素
本発明における複数の画像形成層は、互いに異なる感色性を有するごとく、少なくとも1層は適切に分光増感するのが好ましい。
互いに異なる感色性を有する方法としては、各々の画像形成層に含まれるハロゲン化銀に対して、次の方法がある。
(1)赤外感色性、赤色感色性、緑色感色性から選ばれる異なる感色性を各々付与する方法。
(2)赤外感色性、赤色感色性、緑色感色性から選ばれる感色性と、青色感色性を付与する方法。
(2)の方法の場合は、赤外感色性、赤色感色性、緑色感色性から選ばれる1つ以上の感色性のハロゲン化銀が有する固有感度に由来する青色感色性は、青色感色性が付与されたハロゲン化銀の青色感色性に対して十分小さい態様が好ましい。青色感色性が十分小さいとは、ΔlogEで0.3以上、好ましくは0.5以上、より好ましくは、1.0以上である。ここで、青色感色性とは、青色光で露光したときに、中点濃度を得るのに必要な露光量(E)の逆数の対数値のことである。本発明における中点濃度とは、かぶり濃度と最大濃度Dmaxの合計を2で除した値を言う。
(2)の別の態様としては、青色感色性層とその他の感色性層の間に、青色光吸収層を配してその他の感色性層の画像露光を該青色光吸収層を通して行う配置とすることもできる。
本発明に適用できる増感色素としてはハロゲン化銀粒子に吸着した際、所望の波長領域でハロゲン化銀粒子を分光増感できるもので、露光光源の分光特性に適した分光感度を有する増感色素を有利に選択することができる。本発明の熱現像感光材料に用いることの出来る増感色素は、シアニン色素、メロシアニン色素、複合シアニン色素、複合メロシアニン色素、ホロポーラー色素、ヘミシアニン色素、スチリル色素、ヘミオキソノール色素等の公知の分光増感色素より選択して、単独にあるいは併せて用いることができる。増感色素及び添加法については、特開平11−65021号の段落番号0103〜0109、特開平10−186572号一般式(II)で表される化合物、特開平11−119374号の一般式(I)で表される色素及び段落番号0106、米国特許第5,510,236号、同第3,871,887号実施例5に記載の色素、特開平2−96131号、特開昭59−48753号に開示されている色素、欧州特許公開第0803764A1号の第19ページ第38行〜第20ページ第35行、特開2001−272747号、特開2001−290238号、特開2002−23306号等に記載されている。
本発明における増感色素の添加量は、感度やかぶりの性能に合わせて所望の量にすることができるが、画像形成層のハロゲン化銀1モル当たり10-6モル〜1モルが好ましく、さらに好ましくは10-4モル〜10-1モルである。
本発明は分光増感効率を向上させるため、強色増感剤を用いることができる。本発明に用いる強色増感剤としては、欧州特許公開第587,338号、米国特許第3,877,943号、同第4,873,184号、特開平5−341432号、同11−109547号、同10−111543号等に記載の化合物が挙げられる。
8)ゼラチン
本発明に用いる感光性ハロゲン化銀乳剤に含有されるゼラチンとしては、種々のゼラチンが使用することができる。感光性ハロゲン化銀乳剤の有機銀塩含有塗布液中での分散状態を良好に維持するために、分子量は、500〜60,000の低分子量ゼラチンを使用することが好ましい。これらの低分子量ゼラチンは粒子形成時あるいは脱塩処理後の分散時に使用してもよいが、脱塩処理後の分散時に使用することが好ましい。
9)化学増感
本発明に用いられる感光性ハロゲン化銀は、未化学増感でもよいが、カルコゲン増感法、金増感法、還元増感法の少なくとも1つの方法で化学増感されるのが好ましい。カルコゲン増感法としては、硫黄増感法、セレン増感法およびテルル増感法が挙げられる。
硫黄増感においては、不安定硫黄化合物を用い、P.Grafkides著、Chimie et Physique Photographique(Paul Momtel社刊、1987年、第5版)、Research Disclosure誌307巻307105号などに記載されている不安定硫黄化合物を用いる事が出来る。
具体的には、チオ硫酸塩(例えばハイポ)、チオ尿素類(例えば、ジフェニルチオ尿素、トリエチルチオ尿素、NーエチルーN´ー(4ーメチルー2ーチアゾリル)チオ尿素、カルボキシメチルトリメチルチオ尿素)、チオアミド類(例えば、チオアセトアミド)、ローダニン類(例えば、ジエチルローダニン、5ーベンジリデン−N−エチルローダニン)、フォスフィンスルフィド類(例えば、トリメチルフォスフィンスルフィド)、チオヒダントイン類、4ーオキソーオキサゾリジンー2ーチオン類、ジスルフィド類またはポリスルフィド類(例えば、ジモルフォリンジスルフィド、シスチン、レンチオニン(1,2,3,5,6−ペンタチエパン))、ポリチオン酸塩、元素状硫黄などの公知の硫黄化合物および活性ゼラチンなども用いることができる。特にチオ硫酸塩、チオ尿素類とローダニン類が好ましい。
セレン増感においては、不安定セレン化合物を用い、特公昭43−13489号、同44−15748号、特開平4−25832号、同4−109340号、同4−271341号、同5−40324号、同5−11385号、特開平6−051415号、同5−230670号、同6−180478号、同6−208186号、同6−208184号、同6−317867号、同7−092599号、同7−098483号、同7−140579号などに記載されているセレン化合物を用いる事が出来る。
具体的には、コロイド状金属セレン、セレノ尿素類(例えば、N,Nージメチルセレノ尿素、トリフルオルメチルカルボニルートリメチルセレノ尿素、アセチルートリメチルセレノ尿素)、セレノアミド類(例えば、セレノアミド,N,Nージエチルフェニルセレノアミド)、フォスフィンセレニド類(例えば、トリフェニルフォスフィンセレニド、ペンタフルオロフェニルートリフェニルフォスフィンセレニド)、セレノフォスフェート類(例えば、トリーp−トリルセレノフォスフェート、トリ−n−ブチルセレノフォスフェート)、セレノケトン類(例えば、セレノベンゾフェノン)、イソセレノシアネート類、セレノカルボン酸類、セレノエステル類、ジアシルセレニド類などを用いればよい。またさらに、特公昭46ー4553号、同52ー34492号などに記載の非不安定セレン化合物、例えば亜セレン酸、セレノシアン酸塩、セレナゾール類、セレニド類なども用いる事が出来る。特に、フォスフィンセレニド類、セレノ尿素類とセレノシアン酸塩が好ましい。
テルル増感においては、不安定テルル化合物を用い、特開平4ー224595号、同4ー271341号、同4ー333043号、同5ー303157号、同6−27573号、同6−175258号、同6−180478号、同6−208186号、同6−208184号、同6−317867号、同7−140579号、同7−301879号、同7−301880号などに記載されている不安定テルル化合物を用いる事が出来る。
具体的には、フォスフィンテルリド類(例えば、ブチルージイソプロピルフォスフィンテルリド、トリブチルフォスフィンテルリド、トリブトキシフォスフィンテルリド、エトキシージフェニルフォスフィンテルリド)、ジアシル(ジ)テルリド類(例えば、ビス(ジフェニルカルバモイル)ジテルリド、ビス(N−フェニルーN−メチルカルバモイル)ジテルリド、ビス(N−フェニルーNーメチルカルバモイル)テルリド、ビス(N−フェニルーNーベンジルカルバモイル)テルリド、ビス(エトキシカルボニル)テルリド)、テルロ尿素類(例えば、N,N’ージメチルエチレンテルロ尿素、N,N’ージフェニルエチレンテルロ尿素)テルロアミド類、テルロエステル類などを用いれば良い。特に、ジアシル(ジ)テルリド類とフォスフィンテルリド類が好ましく、特に特開平11-65021号段落番号0030に記載の文献に記載の化合物、特開平5-313284号中の一般式(II),(III),(IV)で示される化合物がより好ましい。
特に本発明のカルコゲン増感においてはセレン増感とテルル増感が好ましく、特にテルル増感が好ましい。
金増感においては、P.Grafkides著、Chimie et Physique Photographique(Paul Momtel社刊、1987年、第5版)、Research Disclosure誌、307巻、307105号に記載されている金増感剤を用いることができる。具体的には、塩化金酸、カリウムクロロオーレート、カリウムオーリチオシアネート、硫化金、金セレニドなどでありこれらにくわえて、米国特許第2642361号、同5049484号、同5049485号、同5169751号、同5252455号、ベルギー特許第691857などに記載の金化合物も用いることが出来る。またP.Grafkides著、Chimie et Physique Photographique(Paul Momtel社刊、1987年、第5版)、Research Disclosure誌、307巻、307105号に記載されている金以外の、白金、パラジュウム、イリジュウムなどの貴金属塩を用いる事も出来る。
金増感は単独で用いることもできるが、前記のカルコゲン増感と組み合わせて用いることが好ましい。具体的には金硫黄増感、金セレン増感、金テルル増感、金硫黄セレン増感、金硫黄テルル増感、金セレンテルル増感、金硫黄セレンテルル増感である。
本発明においては、化学増感は粒子形成後で塗布前であればいかなる時期でも可能であり、脱塩後、(1)分光増感前、(2)分光増感と同時、(3)分光増感後、(4)塗布直前等があり得る。
本発明で用いられるカルコゲン増感剤の使用量は、使用するハロゲン化銀粒子、化学熟成条件等によって変わるが、ハロゲン化銀1モル当たり10-8モル〜10-1モル、好ましくは10-7モル〜10-2モル程度を用いる。
同様に、本発明で用いられる金増感剤の添加量は種々の条件により異なるが、目安としてはハロゲン化銀1モル当たり10-7モル〜10-2モル、より好ましくは10-6モル〜5×10-3モルである。この乳剤を化学増感する環境条件としてはいかなる条件でも選択可能ではあるが、pAgとしては8以下、好ましくは7.0以下より6.5以下、とくに6.0以下、およびpAgが1.5以上、好ましくは2.0以上、特に好ましくは2.5以上の条件であり、pHとしては3〜10、好ましくは4〜9、温度としては20〜95℃、好ましくは25℃〜80℃程度である。
本発明においてカルコゲン増感や金増感に加えて、さらに還元増感も併用することができる。とくにカルコゲン増感と併用するのが好ましい。
還元増感法の具体的な化合物としてはアスコルビン酸、二酸化チオ尿素、ジメチルアミンボランが好ましく、その他に塩化第一スズ、アミノイミノメタンスルフィン酸、ヒドラジン誘導体、ボラン化合物、シラン化合物、ポリアミン化合物等を用いることが好ましい。
還元増感剤の添加は、結晶成長から塗布直前の調製工程までの感光乳剤製造工程のどの過程でもよい。また、乳剤のpHを8以上またはpAgを4以下に保持して熟成することにより還元増感することも好ましく、粒子形成中に銀イオンのシングルアディション部分を導入することにより還元増感することも好ましい。
還元増感剤の添加量としては、同様に種々の条件により異なるが、目安としてはハロゲン化銀1モル当たり10-7モル〜10-1モル、より好ましくは10-6モル〜5×10-2モルである。
本発明で用いるハロゲン化銀乳剤には、欧州特許公開第293,917号公報に示される方法により、チオスルフォン酸化合物を添加してもよい。
本発明における感光性ハロゲン化銀粒子は、金増感、カルコゲン増感、の少なくとも1つの方法で化学増感されていることが高感度の熱現像感光材料を設計する点から好ましい。
10)1電子酸化されて生成する1電子酸化体が1電子もしくはそれ以上の電子を放出し得る化合物
本発明における熱現像感光材料は、1電子酸化されて生成する1電子酸化体が1電子もしくはそれ以上の電子を放出し得る化合物を含有することが好ましい。該化合物は、単独、あるいは前記の種々の化学増感剤と併用して用いられ、ハロゲン化銀の感度増加をもたらすことができる。
本発明の熱現像感光材料に含有される1電子酸化されて生成する1電子酸化体が1電子もしくはそれ以上の電子を放出し得る化合物とは以下のタイプ1、2から選ばれる化合物である。
(タイプ1)
1電子酸化されて生成する1電子酸化体が、引き続く結合開裂反応を伴って、さらに1電子もしくはそれ以上の電子を放出し得る化合物。
(タイプ2)
1電子酸化されて生成する1電子酸化体が、引き続く結合形成反応を経た後に、さらに1電子もしくはそれ以上の電子を放出し得る化合物。
まずタイプ1の化合物について説明する。
タイプ1の化合物で、1電子酸化されて生成する1電子酸化体が、引き続く結合開裂反応を伴って、さらに1電子を放出し得る化合物としては、特開平9−211769号(具体例:28頁〜32頁の表Eおよび表Fに記載の化合物PMT−1〜S−37)、特開平9−211774号、特開平11−95355号(具体例:化合物INV1〜36)、特表2001−500996号(具体例:化合物1〜74、80〜87、92〜122)、米国特許5,747,235号、米国特許5,747,236号、欧州特許786692A1号(具体例:化合物INV1〜35)、欧州特許893732A1号、米国特許6,054,260号、米国特許5,994,051号などの特許に記載の「1光子2電子増感剤」または「脱プロトン化電子供与増感剤」と称される化合物が挙げられる。これらの化合物の好ましい範囲は、引用されている特許明細書に記載の好ましい範囲と同じである。
またタイプ1の化合物で、1電子酸化されて生成する1電子酸化体が、引き続く結合開裂反応を伴って、さらに1電子もしくはそれ以上の電子を放出し得る化合物としては、一般式(1)(特開平2003-114487号に記載の一般式(1)と同義)、一般式(2)(特開平2003-114487号に記載の一般式(2)と同義)、一般式(3)(特開平2003-114488号に記載の一般式(1)と同義)、一般式(4)(特開平2003-114488号に記載の一般式(2)と同義)、一般式(5)(特開平2003-114488号に記載の一般式(3)と同義)、一般式(6)(特開平2003-75950号に記載の一般式(1)と同義)、一般式(7)(特開平2003-75950号に記載の一般式(2)と同義)、一般式(8)(特開2004−239943号に記載の一般式(1)と同義)、または化学反応式(1)(特開2004−245929号に記載の化学反応式(1)と同義)で表される反応を起こしうる化合物のうち一般式(9)(特開2004−245929号に記載の一般式(3)と同義)で表される化合物が挙げられる。またこれらの化合物の好ましい範囲は、引用されている特許明細書に記載の好ましい範囲と同じである。
Figure 2006243535
Figure 2006243535
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式中RED1、RED2は還元性基を表す。R1は炭素原子(C)とRED1とともに5員もしくは6員の芳香族環(芳香族複素環を含む)のテトラヒドロ体、もしくはオクタヒドロ体に相当する環状構造を形成しうる非金属原子団を表す。R2は水素原子または置換基を表す。同一分子内に複数のR2が存在する場合にはこれらは同じであっても異なっていても良い。L1は脱離基をあらわす。EDは電子供与性基をあらわす。Z1は窒素原子とベンゼン環の2つの炭素原子とともに6員環を形成しうる原子団を表す。X1は置換基を表し、m1は0〜3の整数を表す。Z2はは−CR1112−、−NR13−、または−O−を表す。R11、R12はそれぞれ独立して水素原子または置換基を表す。R13は水素原子、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基を表す。X1はアルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、またはヘテロ環アミノ基を表す。L2はカルボキシ基もしくはその塩または水素原子を表す。X2はC=Cとともに5員のヘテロ環を形成する基を表す。Y2はC=Cとともに5員または6員のアリール基またはヘテロ環基を形成する基を表す。Mはラジカル、ラジカルカチオン、またはカチオンを表す。
次にタイプ2の化合物について説明する。
タイプ2の化合物で1電子酸化されて生成する1電子酸化体が、引き続く結合形成反応を伴って、さらに1電子もしくはそれ以上の電子を放出し得る化合物としては、一般式(10)(特開平2003−140287号に記載の一般式(1)と同義)、化学反応式(1)(特開2004−245929号に記載の化学反応式(1)と同義)で表される反応を起こしうる化合物であって一般式(11)(特開2004−245929号に記載の一般式(2)と同義)で表される化合物が挙げられる。これらの化合物の好ましい範囲は、引用されている特許明細書に記載の好ましい範囲と同じである。
Figure 2006243535
Figure 2006243535
上式中、Xは1電子酸化される還元性基をあらわす。YはXが1電子酸化されて生成する1電子酸化体と反応して、新たな結合を形成しうる炭素−炭素2重結合部位、炭素−炭素3重結合部位、芳香族基部位、またはベンゾ縮環の非芳香族ヘテロ環部位を含む反応性基を表す。L2はXとYを連結する連結基を表す。R2は水素原子または置換基を表す。同一分子内に複数のR2が存在する場合にはこれらは同じであっても異なっていても良い。
2はC=Cとともに5員のヘテロ環を形成する基を表す。Y2はC=Cとともに5員または6員のアリール基またはヘテロ環基を形成する基を表す。Mはラジカル、ラジカルカチオン、またはカチオンを表す。
タイプ1、2の化合物のうち好ましくは「分子内にハロゲン化銀への吸着性基を有する化合物」であるか、または「分子内に、分光増感色素の部分構造を有する化合物」である。ハロゲン化銀への吸着性基とは特開平2003−156823号明細書の16頁右1行目〜17頁右12行目に記載の基が代表的なものである。分光増感色素の部分構造とは同明細書の17頁右34行目〜18頁左6行目に記載の構造である。
タイプ1、2の化合物として、より好ましくは「分子内にハロゲン化銀への吸着性基を少なくとも1つ有する化合物」である。さらに好ましくは「同じ分子内にハロゲン化銀への吸着性基を2つ以上有する化合物」である。吸着性基が単一分子内に2個以上存在する場合には、それらの吸着性基は同一であっても異なっても良い。
吸着性基として好ましくは、メルカプト置換含窒素ヘテロ環基(例えば2−メルカプトチアジアゾール基、3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール基、5−メルカプトテトラゾール基、2−メルカプト−1,3,4−オキサジアゾール基、2−メルカプトベンズオキサゾール基、2−メルカプトベンズチアゾール基、1,5−ジメチル−1,2,4−トリアゾリウム−3−チオレート基など)、またはイミノ銀(>NAg)を形成しうる−NH−基をヘテロ環の部分構造として有する含窒素ヘテロ環基(例えば、ベンゾトリアゾール基、ベンズイミダゾール基、インダゾール基など)である。特に好ましくは、5−メルカプトテトラゾール基、3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール基、およびベンゾトリアゾール基であり、最も好ましいのは、3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール基、および5−メルカプトテトラゾール基である。
吸着性基として、分子内に2つ以上のメルカプト基を部分構造として有する場合もまた特に好ましい。ここにメルカプト基(−SH)は、互変異性化できる場合にはチオン基となっていてもよい。2つ以上のメルカプト基を部分構造として有する吸着性基(ジメルカプト置換含窒素ヘテロ環基など)の好ましい例としては、2,4−ジメルカプトピリミジン基、2,4−ジメルカプトトリアジン基、3,5−ジメルカプト−1,2,4−トリアゾール基が挙げられる。
また窒素またはリンの4級塩構造も吸着性基として好ましく用いられる。窒素の4級塩構造としては具体的にはアンモニオ基(トリアルキルアンモニオ基、ジアルキルアリール(またはヘテロアリール)アンモニオ基、アルキルジアリール(またはヘテロアリール)アンモニオ基など)または4級化された窒素原子を含む含窒素ヘテロ環基を含む基である。リンの4級塩構造としては、フォスフォニオ基(トリアルキルフォスフォニオ基、ジアルキルアリール(またはヘテロアリール)フォスフォニオ基、アルキルジアリール(またはヘテロアリール)フォスフォニオ基、トリアリール(またはヘテロアリール)フォスフォニオ基など)が挙げられる。より好ましくは窒素の4級塩構造が用いられ、さらに好ましくは4級化された窒素原子を含む5員環あるいは6員環の含窒素芳香族ヘテロ環基が用いられる。特に好ましくはピリジニオ基、キノリニオ基、イソキノリニオ基が用いられる。これら4級化された窒素原子を含む含窒素ヘテロ環基は任意の置換基を有していてもよい。
4級塩の対アニオンの例としては、ハロゲンイオン、カルボキシレートイオン、スルホネートイオン、硫酸イオン、過塩素酸イオン、炭酸イオン、硝酸イオン、BF4 -、PF6 -、Ph4-等が挙げられる。分子内にカルボキシレート基等に負電荷を有する基が存在する場合には、それとともに分子内塩を形成していても良い。分子内にない対アニオンとしては、塩素イオン、ブロモイオンまたはメタンスルホネートイオンが特に好ましい。
吸着性基として窒素またはリンの4級塩構造有するタイプ1、2で表される化合物の好ましい構造は一般式(X)で表される。
Figure 2006243535
一般式(X)においてP、Rはそれぞれ独立して増感色素の部分構造ではない窒素またはリンの4級塩構造を表す。Q1、Q2はそれぞれ独立して連結基を表し、具体的には単結合、アルキレン基、アリーレン基、ヘテロ環基、−O−、−S−、−NRN−、−C(=O)−、−SO2−、−SO−、−P(=O)−の各基の単独、またはこれらの基の組み合わせからなる基を表す。ここにRNは水素原子、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基を表す。Sはタイプ(1)または(2)で表される化合物から原子を一つ取り除いた残基である。iとjは1以上の整数であり、i+jが2〜6になる範囲から選ばれるものである。好ましくはiが1〜3、jが1〜2の場合であり、より好ましくはiが1または2、jが1の場合であり、特に好ましくはiが1、jが1の場合である。一般式(X)で表される化合物はその総炭素数が10〜100の範囲のものが好ましい。より好ましくは10〜70、さらに好ましくは11〜60であり、特に好ましくは12〜50である。
本発明のタイプ1、タイプ2の化合物は感光性ハロゲン化銀乳剤調製時、熱現像感光材料製造工程中のいかなる場合にも使用しても良い。例えば感光性ハロゲン化銀粒子形成時、脱塩工程、化学増感時、塗布前などである。またこれらの工程中の複数回に分けて添加することも出来る。添加位置として好ましくは、感光性ハロゲン化銀粒子形成終了時から脱塩工程の前、化学増感時(化学増感開始直前から終了直後)、塗布前であり、より好ましくは化学増感時から非感光性有機銀塩と混合される前までである。
本発明のタイプ1、タイプ2の化合物は水、メタノール、エタノールなどの水可溶性溶媒またはこれらの混合溶媒に溶解して添加することが好ましい。水に溶解する場合、pHを高くまたは低くした方が溶解度が上がる化合物については、pHを高くまたは低くして溶解し、これを添加しても良い。
本発明のタイプ1、タイプ2の化合物は感光性ハロゲン化銀と非感光性有機銀塩を含有する画像形成層中に使用するのが好ましいが、感光性ハロゲン化銀と非感光性有機銀塩を含有する画像形成層と共に保護層や中間層に添加しておき、塗布時に拡散させてもよい。本発明の化合物の添加時期は増感色素の前後を問わず、それぞれ好ましくはハロゲン化銀1モル当り、1×10-9モル〜5×10-1モル、更に好ましくは1×10-8モル〜5×10-2モルの割合でハロゲン化銀乳剤層(画像形成層)に含有する。
11)吸着基と還元基を有する化合物
本発明においては、分子内にハロゲン化銀への吸着基と還元基を有する吸着性レドックス化合物を含有させることが好ましい。本吸着性レドックス化合物は下記式(Rd)で表される化合物であることが好ましい。
式(Rd) A−(W)n−B
[式(Rd)中、Aはハロゲン化銀に吸着可能な基(以後、吸着基と呼ぶ)を表し、Wは2価の連結基を表し、nは0または1を表し、Bは還元基を表す。]
式(Rd)中、Aで表される吸着基とはハロゲン化銀に直接吸着する基、またはハロゲン化銀への吸着を促進する基であり、具体的には、メルカプト基(またはその塩)、チオン基(−C(=S)−)、窒素原子、硫黄原子、セレン原子およびテルル原子から選ばれる少なくとも1つの原子を含むヘテロ環基、スルフィド基、ジスルフィド基、カチオン性基、またはエチニル基等が挙げられる。
吸着基としてメルカプト基(またはその塩)とは、メルカプト基(またはその塩)そのものを意味すると同時に、より好ましくは、少なくとも1つのメルカプト基(またはその塩)の置換したヘテロ環基またはアリール基またはアルキル基を表す。ここにヘテロ環基とは、少なくとも5員〜7員の、単環もしくは縮合環の、芳香族または非芳香族のヘテロ環基、例えばイミダゾール環基、チアゾール環基、オキサゾール環基、ベンゾイミダゾール環基、ベンゾチアゾール環基、ベンゾオキサゾール環基、トリアゾール環基、チアジアゾール環基、オキサジアゾール環基、テトラゾール環基、プリン環基、ピリジン環基、キノリン環基、イソキノリン環基、ピリミジン環基、及びトリアジン環基等が挙げられる。また4級化された窒素原子を含むヘテロ環基でもよく、この場合、置換したメルカプト基が解離してメソイオンとなっていても良い。メルカプト基が塩を形成するとき、対イオンとしてはアルカリ金属、アルカリ土類金属、重金属などのカチオン(Li+、Na+、K+、Mg2+、Ag+、Zn2+等)、アンモニウムイオン、4級化された窒素原子を含むヘテロ環基、ホスホニウムイオンなどが挙げられる。
吸着基としてのメルカプト基はさらにまた、互変異性化してチオン基となっていても良い。
吸着基としてチオン基とは、鎖状もしくは環状のチオアミド基、チオウレイド基、チオウレタン基、またはジチオカルバミン酸エステル基も含まれる。
吸着基として窒素原子、硫黄原子、セレン原子およびテルル原子から選ばれる少なくとも1つの原子を含むヘテロ環基とは、イミノ銀(>NAg)を形成しうる−NH−基をヘテロ環の部分構造として有する含窒素ヘテロ環基、または配位結合で銀イオンに配位し得る、”−S−”基または”−Se−”基または”−Te−”基または”=N−”基をヘテロ環の部分構造として有するヘテロ環基で、前者の例としてはベンゾトリアゾール基、トリアゾール基、インダゾール基、ピラゾール基、テトラゾール基、ベンゾイミダゾール基、イミダゾール基、プリン基などが、後者の例としてはチオフェン基、チアゾール基、オキサゾール基、ベンゾチオフェン基、ベンゾチアゾール基、ベンゾオキサゾール基、チアジアゾール基、オキサジアゾール基、トリアジン基、セレノアゾール基、ベンゾセレノアゾール基、テルルアゾール基、及びベンゾテルルアゾール基などが挙げられる。
吸着基としてスルフィド基またはジスルフィド基とは、”−S−”または”−S−S−”の部分構造を有する基すべてが挙げられる。
吸着基としてカチオン性基とは、4級化された窒素原子を含む基を意味し、具体的にはアンモニオ基または4級化された窒素原子を含む含窒素ヘテロ環基を含む基である。4級化された窒素原子を含む含窒素ヘテロ環基とは、例えばピリジニオ基、キノリニオ基、イソキノリニオ基、及びイミダゾリオ基などが挙げられる。
吸着基としてエチニル基とは、−C≡CH基を意味し、該水素原子は置換されていてもよい。
上記の吸着基は任意の置換基を有していてもよい。
さらに吸着基の具体例としては、さらに特開平11−95355号の明細書p4〜p7に記載されているものが挙げられる。
式(Rd)中、Aで表される吸着基として好ましいものは、メルカプト置換ヘテロ環基(例えば2−メルカプトチアジアゾール基、2−メルカプト−5−アミノチアジアゾール基、3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール基、5−メルカプトテトラゾール基、2−メルカプト−1,3,4−オキサジアゾール基、2−メルカプトベンズイミダゾール基、1,5−ジメチル−1,2,4−トリアゾリウム−3−チオレート基、2,4−ジメルカプトピリミジン基、2,4−ジメルカプトトリアジン基、3,5−ジメルカプト−1,2,4−トリアゾール基、2,5−ジメルカプト−1,3−チアゾール基など)、またはイミノ銀(>NAg)を形成しうる−NH−基をヘテロ環の部分構造として有する含窒素ヘテロ環基(例えばベンゾトリアゾール基、ベンズイミダゾール基、インダゾール基など)であり、さらに好ましい吸着基は2−メルカプトベンズイミダゾール基、3,5−ジメルカプト−1,2,4−トリアゾール基である。
式(Rd)中、Wは2価の連結基を表す。該連結基は写真性に悪影響を与えないものであればどのようなものでも構わない。例えば炭素原子、水素原子、酸素原子、窒素原子、硫黄原子から構成される2価の連結基が利用できる。具体的には炭素数1〜20のアルキレン基(例えばメチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ヘキサメチレン基等)、炭素数2〜20のアルケニレン基、炭素数2〜20のアルキニレン基、炭素数6〜20のアリーレン基(例えばフェニレン基、ナフチレン基等)、−CO−、−SO2−、−O−、−S−、−NR1−、これらの連結基の組み合わせ等があげられる。ここでR1は水素原子、アルキル基、ヘテロ環基、又はアリール基を表わす。
Wで表される連結基は任意の置換基を有していてもよい。
式(Rd)中、Bで表される還元基とは銀イオンを還元可能な基を表し、例えばホルミル基、アミノ基、アセチレン基やプロパルギル基などの3重結合基、メルカプト基、ヒドロキシルアミン類、ヒドロキサム酸類、ヒドロキシウレア類、ヒドロキシウレタン類、ヒドロキシセミカルバジド類、レダクトン類(レダクトン誘導体を含む)、アニリン類、フェノール類(クロマン−6−オール類、2,3−ジヒドロベンゾフラン−5−オール類、アミノフェノール類、スルホンアミドフェノール類、およびハイドロキノン類、カテコール類、レゾルシノール類、ベンゼントリオール類、ビスフェノール類のようなポリフェノール類を含む)、アシルヒドラジン類、カルバモイルヒドラジン類、3−ピラゾリドン類等から水素原子を1つ除去した残基が挙げられる。もちろん、これらは任意の置換基を有していても良い。
式(Rd)中、Bで表される還元基はその酸化電位を、藤嶋昭著「電気化学測定法」(150頁−208頁、技報堂出版)や日本化学会編著「実験化学講座」第4版(9巻282頁−344頁、丸善)に記載の測定法を用いて測定することができる。例えば回転ディスクボルタンメトリーの技法で、具体的には試料をメタノール:pH6.5、ブリトン−ロビンソン緩衝液(Britton−Robinson buffer)=10%:90%(容量%)の溶液に溶解し、10分間窒素ガスを通気した後、グラッシーカーボン製の回転ディスク電極(RDE)を作用電極に用い、白金線を対極に用い、飽和カロメル電極を参照電極に用いて、25℃、1000回転/分、20mV/秒のスイープ速度で測定できる。得られたボルタモグラムから半波電位(E1/2)を求めることができる。
本発明のBで表される還元基は上記測定法で測定した場合、その酸化電位が約−0.3V〜約1.0Vの範囲にあることが好ましい。より好ましくは約−0.1V〜約0.8Vの範囲であり、特に好ましくは約0V〜約0.7Vの範囲である。
式(Rd)中、Bで表される還元基は好ましくはヒドロキシルアミン類、ヒドロキサム酸類、ヒドロキシウレア類、ヒドロキシセミカルバジド類、レダクトン類、フェノール類、アシルヒドラジン類、カルバモイルヒドラジン類、3−ピラゾリドン類から水素原子を1つ除去した残基である。
本発明の式(Rd)の化合物は、その中にカプラー等の不動性写真用添加剤において常用されているバラスト基またはポリマー鎖が組み込まれているものでもよい。またポリマーとしては、例えば特開平1−100530号に記載のものが挙げられる。
本発明の式(Rd)の化合物はビス体、トリス体であっても良い。本発明の式(I)の化合物の分子量は好ましくは100〜10000の間であり、より好ましくは120〜1000の間であり、特に好ましくは150〜500の間である。
以下に本発明の式(Rd)の化合物を例示するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 2006243535
さらに欧州特許1308776A2号明細書p73〜p87に記載の具体的化合物1〜30、1”−1〜1”−77も本発明の吸着基と還元性基を有する化合物の好ましい例として挙げられる。
本発明の化合物は公知の方法にならって容易に合成することが出来る。本発明の式(Rd)の化合物は、一種類の化合物を単独で用いてもよいが、同時に2種以上の化合物を用いることも好ましい。2種類以上の化合物を用いる場合、それらは同一層に添加しても、別層に添加してもよく、またそれぞれ添加方法が異なっていてもよい。
本発明の式(Rd)の化合物は、ハロゲン化銀乳剤層(画像形成層)に添加されることが好ましく、乳剤調製時に添加することがより好ましい。乳剤調製時に添加する場合、その工程中のいかなる場合に添加することも可能であり、その例を挙げると、ハロゲン化銀の粒子形成工程、脱塩工程の開始前、脱塩工程、化学熟成の開始前、化学熟成の工程、完成乳剤調製前の工程などを挙げることができる。またこれらの工程中の複数回にわけて添加することもできる。また画像形成層に使用するのが好ましいが、画像形成層とともに隣接する保護層や中間層に添加しておき、塗布時に拡散させてもよい。
好ましい添加量は、上述した添加法や添加する化合物種に大きく依存するが、一般には感光性ハロゲン化銀1モル当たり、1×10-6モル〜1モル、好ましくは1×10-5モル〜5×10-1モルさらに好ましくは1×10-4モル〜1×10-1モルである。
本発明の式(Rd)の化合物は、水、メタノール、エタノールなどの水可溶性溶媒またはこれらの混合溶媒に溶解して添加することができる。この際、酸または塩基によってpHを適当に調整してもよく、また界面活性剤を共存させてもよい。さらに乳化分散物として高沸点有機溶媒に溶解させて添加することもできる。また、固体分散物として添加することもできる。
12)ハロゲン化銀の併用
本発明に用いられる熱現像感光材料中の感光性ハロゲン化銀乳剤は、一種だけでもよいし、二種以上(例えば、平均粒子サイズの異なるもの、ハロゲン組成の異なるもの、晶癖の異なるもの、化学増感の条件の異なるもの)併用してもよい。感度の異なる感光性ハロゲン化銀を複数種用いることで階調を調節することができる。これらに関する技術としては特開昭57−119341号、同53−106125号、同47−3929号、同48−55730号、同46−5187号、同50−73627号、同57−150841号などが挙げられる。感度差としてはそれぞれの乳剤で0.2logE以上の差を持たせることが好ましい。
13)ハロゲン化銀と有機銀塩の混合
本発明の感光性ハロゲン化銀の粒子は、非感光性有機銀塩の存在しないところで形成され、化学増感されることが特に好ましい。有機銀塩に対してハロゲン化剤を添加することによってハロゲン化銀を形成する方法では十分な感度が達成できない場合があるからである。
ハロゲン化銀と有機銀塩を混合する方法としては、別々に調製した感光性ハロゲン化銀と有機銀塩を高速撹拌機やボールミル、サンドミル、コロイドミル、振動ミル、ホモジナイザー等で混合する方法や、あるいは有機銀塩の調製中のいずれかのタイミングで調製終了した感光性ハロゲン化銀を混合して有機銀塩を調製する方法等があげられる。いずれの方法でも本発明の効果を好ましく得ることができる。
14)ハロゲン化銀の塗布液への混合
本発明のハロゲン化銀の画像形成層塗布液中への好ましい添加時期は、塗布する180分前から直前、好ましくは60分前から10秒前であるが、混合方法及び混合条件については本発明の効果が十分に現れる限りにおいては特に制限はない。具体的な混合方法としては添加流量とコーターへの送液量から計算した平均滞留時間を所望の時間となるようにしたタンクでの混合する方法やN.Harnby、M.F.Edwards、A.W.Nienow著、高橋幸司訳「液体混合技術」(日刊工業新聞社刊、1989年)の第8章等に記載されているスタチックミキサーなどを使用する方法がある。
(現像促進剤の説明)
本発明の熱現像感光材料では、現像促進剤として特開2000−267222号明細書や特開2000−330234号明細書等に記載の一般式(A)で表されるスルホンアミドフェノール系の化合物、特開平2001−92075記載の一般式(II)で表されるヒンダードフェノール系の化合物、特開平10−62895号明細書や特開平11−15116号明細書等に記載の一般式(I)、特開2002−156727号の一般式(D)や特開2002−278017号明細書に記載の一般式(1)で表されるヒドラジン系の化合物、特開2001−264929号明細書に記載されている一般式(2)で表されるフェノール系またはナフトール系の化合物が好ましく用いられる。これらの現像促進剤は還元剤に対して0.1モル%〜20モル%の範囲で使用され、好ましくは0.5モル%〜10モル%の範囲で、より好ましくは1モル%〜5モル%の範囲である。感材への導入方法は還元剤同様の方法があげられるが、特に固体分散物または乳化分散物として添加することが好ましい。乳化分散物として添加する場合、常温で固体である高沸点溶剤と低沸点の補助溶剤を使用して分散した乳化分散物として添加するか、もしくは高沸点溶剤を使用しない所謂オイルレス乳化分散物として添加することが好ましい。
本発明においては上記現像促進剤の中でも、特開2002−156727号明細書に記載の一般式(D)で表されるヒドラジン系の化合物および特開2001−264929号明細書に記載されている一般式(2)で表されるフェノール系またはナフトール系の化合物がより好ましい。
本発明の特に好ましい現像促進剤は下記一般式(A−1)および(A−2)で表される化合物である。
一般式(A−1)
1−NHNH−Q2
(式中、Q1は炭素原子で−NHNH−Q2と結合する芳香族基、またはヘテロ環基を表し、Q2はカルバモイル基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、スルホニル基、またはスルファモイル基を表す。)
一般式(A−1)において、Q1で表される芳香族基またはヘテロ環基としては5〜7員の不飽和環が好ましい。好ましい例としては、ベンゼン環、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、1,2,4−トリアジン環、1,3,5−トリアジン環、ピロール環、イミダゾール環、ピラゾール環、1,2,3−トリアゾール環、1,2,4−トリアゾール環、テトラゾール環、1,3,4−チアジアゾール環、1,2,4−チアジアゾール環、1,2,5−チアジアゾール環、1,3,4−オキサジアゾール環、1,2,4−オキサジアゾール環、1,2,5−オキサジアゾール環、チアゾール環、オキサゾール環、イソチアゾール環、イソオキサゾール環、又はチオフェン環などが好ましく、さらにこれらの環が互いに縮合した縮合環も好ましい。
これらの環は置換基を有していてもよく、2個以上の置換基を有する場合には、それらの置換基は同一であっても異なっていてもよい。置換基の例としては、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、カルボンアミド基、アルキルスルホンアミド基、アリールスルホンアミド基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、カルバモイル基、スルファモイル基、シアノ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、およびアシル基を挙げることができる。これらの置換基が置換可能な基である場合、さらに置換基を有してもよく、好ましい置換基の例としては、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、カルボンアミド基、アルキルスルホンアミド基、アリールスルホンアミド基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、シアノ基、スルファモイル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、およびアシルオキシ基を挙げることができる。
2で表されるカルバモイル基は、好ましくは炭素数1〜50、より好ましくは炭素数6〜40のカルバモイル基であり、例えば、無置換カルバモイル、メチルカルバモイル、N−エチルカルバモイル、N−プロピルカルバモイル、N−sec−ブチルカルバモイル、N−オクチルカルバモイル、N−シクロヘキシルカルバモイル、N−tert−ブチルカルバモイル、N−ドデシルカルバモイル、N−(3−ドデシルオキシプロピル)カルバモイル、N−オクタデシルカルバモイル、N−{3−(2,4−tert−ペンチルフェノキシ)プロピル}カルバモイル、N−(2−ヘキシルデシル)カルバモイル、N−フェニルカルバモイル、N−(4−ドデシルオキシフェニル)カルバモイル、N−(2−クロロ−5−ドデシルオキシカルボニルフェニル)カルバモイル、N−ナフチルカルバモイル、N−3−ピリジルカルバモイル、及びN−ベンジルカルバモイルが挙げられる。
2で表されるアシル基は、好ましくは炭素数1〜50、より好ましくは炭素数6〜40のアシル基であり、例えば、ホルミル、アセチル、2−メチルプロパノイル、シクロヘキシルカルボニル、オクタノイル、2−ヘキシルデカノイル、ドデカノイル、クロロアセチル、トリフルオロアセチル、ベンゾイル、4−ドデシルオキシベンゾイル、2−ヒドロキシメチルベンゾイルが挙げられる。Q2で表されるアルコキシカルボニル基は、好ましくは炭素数2〜50、より好ましくは炭素数6〜40のアルコキシカルボニル基であり、例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、イソブチルオキシカルボニル、シクロヘキシルオキシカルボニル、ドデシルオキシカルボニル、及びベンジルオキシカルボニルが挙げられる。
2で表されるアリールオキシカルボニル基は、好ましくは炭素数7〜50、より好ましくは炭素数7〜40のアリールオキシカルボニル基で、例えば、フェノキシカルボニル、4−オクチルオキシフェノキシカルボニル、2−ヒドロキシメチルフェノキシカルボニル、4−ドデシルオキシフェノキシカルボニルが挙げられる。Q2で表されるスルホニル基は、好ましくは炭素数1〜50、より好ましくは炭素数6〜40のスルホニル基で、例えば、メチルスルホニル、ブチルスルホニル、オクチルスルホニル、2−ヘキサデシルスルホニル、3−ドデシルオキシプロピルスルホニル、2−オクチルオキシ−5−tert−オクチルフェニルスルホニル、4−ドデシルオキシフェニルスルホニルが挙げられる。
2で表されるスルファモイル基は、好ましくは炭素数0〜50、より好ましくは炭素数6〜40のスルファモイル基で、例えば、無置換スルファモイル、N−エチルスルファモイル基、N−(2−エチルヘキシル)スルファモイル、N−デシルスルファモイル、N−ヘキサデシルスルファモイル、N−{3−(2−エチルヘキシルオキシ)プロピル}スルファモイル、N−(2−クロロ−5−ドデシルオキシカルボニルフェニル)スルファモイル、N−(2−テトラデシルオキシフェニル)スルファモイルが挙げられる。Q2で表される基は、さらに、置換可能な位置に前記のQ1で表される5員〜7員の不飽和環の置換基の例として挙げた基を有していてもよく、2個以上の置換基を有する場合には、それ等の置換基は同一であっても異なっていてもよい。
次に、式(A−1)で表される化合物の好ましい範囲について述べる。Q1としては5員〜6員の不飽和環が好ましく、ベンゼン環、ピリミジン環、1,2,3−トリアゾール環、1,2,4−トリアゾール環、テトラゾール環、1,3,4−チアジアゾール環、1,2,4−チアジアゾール環、1,3,4−オキサジアゾール環、1,2,4−オキサジアゾール環、チアゾール環、オキサゾール環、イソチアゾール環、イソオキサゾール環、およびこれらの環がベンゼン環もしくは不飽和ヘテロ環と縮合した環が更に好ましい。また、Q2はカルバモイル基が好ましく、特に窒素原子上に水素原子を有するカルバモイル基が好ましい。
Figure 2006243535
一般式(A−2)においてR1はアルキル基、アシル基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、アルコキシカルボニル基、又はカルバモイル基を表す。R2は水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アシルオキシ基、又は炭酸エステル基を表す。R3、R4はそれぞれ一般式(A−1)の置換基例で挙げたベンゼン環に置換可能な基を表す。R3とR4は互いに連結して縮合環を形成してもよい。
1は好ましくは炭素数1〜20のアルキル基(例えばメチル基、エチル基、イソプロピル基、ブチル基、tert−オクチル基、シクロヘキシル基など)、アシルアミノ基(例えばアセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、メチルウレイド基、4−シアノフェニルウレイド基など)、カルバモイル基(n−ブチルカルバモイル基、N,N−ジエチルカルバモイル基、フェニルカルバモイル基、2−クロロフェニルカルバモイル基、2,4−ジクロロフェニルカルバモイル基など)でアシルアミノ基(ウレイド基、ウレタン基を含む)がより好ましい。R2は好ましくはハロゲン原子(より好ましくは塩素原子、臭素原子)、アルコキシ基(例えばメトキシ基、ブトキシ基、n−ヘキシルオキシ基、n−デシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、ベンジルオキシ基など)、アリールオキシ基(フェノキシ基、ナフトキシ基など)である。
3は好ましくは水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20のアルキル基であり、ハロゲン原子がもっとも好ましい。R4は水素原子、アルキル基、アシルアミノ基が好ましく、アルキル基またはアシルアミノ基がより好ましい。これらの好ましい置換基の例はR1と同様である。R4がアシルアミノ基である場合R4はR3と連結してカルボスチリル環を形成することも好ましい。
一般式(A−2)においてR3とR4が互いに連結して縮合環を形成する場合、縮合環としてはナフタレン環が特に好ましい。ナフタレン環には一般式(A−1)で挙げた置換基例と同じ置換基が結合していてもよい。一般式(A−2)がナフトール系の化合物であるとき、R1はカルバモイル基であることが好ましい。その中でもベンゾイル基であることが特に好ましい。R2はアルコキシ基、アリールオキシ基であることが好ましく、アルコキシ基であることが特に好ましい。
以下、本発明の現像促進剤の好ましい具体例を挙げる。本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 2006243535
(水素結合性化合物の説明)
本発明における還元剤が芳香族性の水酸基(−OH)またはアミノ基(−NHR、Rは水素原子またはアルキル基)を有する場合、特に前述のビスフェノール類の場合には、これらの基と水素結合を形成することが可能な基を有する非還元性の化合物を併用することが好ましい。
水酸基またはアミノ基と水素結合を形成する基としては、ホスホリル基、スルホキシド基、スルホニル基、カルボニル基、アミド基、エステル基、ウレタン基、ウレイド基、3級アミノ基、含窒素芳香族基などが挙げられる。その中でも好ましいのはホスホリル基、スルホキシド基、アミド基(但し、>N−H基を持たず、>N−Ra(RaはH以外の置換基)のようにブロックされている。)、ウレタン基(但し、>N−H基を持たず、>N−Ra(RaはH以外の置換基)のようにブロックされている。)、ウレイド基(但し、>N−H基を持たず、>N−Ra(RaはH以外の置換基)のようにブロックされている。)を有する化合物である。
本発明で、特に好ましい水素結合性の化合物は下記一般式(D)で表される化合物である。
Figure 2006243535
一般式(D)においてR21ないしR23は各々独立にアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アミノ基またはヘテロ環基を表し、これらの基は無置換であっても置換基を有していてもよい。
21ないしR23が置換基を有する場合の置換基としてはハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アミノ基、アシル基、アシルアミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、スルホンアミド基、アシルオキシ基、オキシカルボニル基、カルバモイル基、スルファモイル基、スルホニル基、及びホスホリル基などが挙げられ、置換基として好ましいのはアルキル基またはアリール基でたとえばメチル基、エチル基、イソプロピル基、t−ブチル基、t−オクチル基、フェニル基、4−アルコキシフェニル基、及び4−アシルオキシフェニル基などが挙げられる。
21ないしR23のアルキル基としては具体的にはメチル基、エチル基、ブチル基、オクチル基、ドデシル基、イソプロピル基、t−ブチル基、t−アミル基、t−オクチル基、シクロヘキシル基、1−メチルシクロヘキシル基、ベンジル基、フェネチル基、及び2−フェノキシプロピル基などが挙げられる。
アリール基としてはフェニル基、クレジル基、キシリル基、ナフチル基、4−t−ブチルフェニル基、4−t−オクチルフェニル基、4−アニシジル基、及び3,5−ジクロロフェニル基などが挙げられる。
アルコキシ基としてはメトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基、オクチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、3,5,5−トリメチルヘキシルオキシ基、ドデシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、4−メチルシクロヘキシルオキシ基、及びベンジルオキシ基等が挙げられる。
アリールオキシ基としてはフェノキシ基、クレジルオキシ基、イソプロピルフェノキシ基、4−t−ブチルフェノキシ基、ナフトキシ基、及びビフェニルオキシ基等が挙げられる。
アミノ基としてはジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジブチルアミノ基、ジオクチルアミノ基、N−メチル−N−ヘキシルアミノ基、ジシクロヘキシルアミノ基、ジフェニルアミノ基、及びN−メチル−N−フェニルアミノ基等が挙げられる。
21ないしR23としてはアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基が好ましい。本発明の効果の点ではR21ないしR23のうち少なくとも一つ以上がアルキル基またはアリール基であることが好ましく、二つ以上がアルキル基またはアリール基であることがより好ましい。また、安価に入手する事ができるという点ではR21ないしR23が同一の基である場合が好ましい。
以下に本発明における一般式(D)の化合物をはじめとする水素結合性化合物の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 2006243535
水素結合性化合物の具体例は上述の他に欧州特許1096310号明細書、特開2002−156727号、特開2002−318431号に記載のものがあげられる。
本発明の一般式(D)の化合物は、還元剤と同様に溶液形態、乳化分散形態、固体分散微粒子分散物形態で塗布液に含有せしめ、熱現像感光材料中で使用することができるが、固体分散物として使用することが好ましい。本発明の化合物は、溶液状態でフェノール性水酸基、アミノ基を有する化合物と水素結合性の錯体を形成しており、還元剤と本発明の一般式(D)の化合物との組み合わせによっては錯体として結晶状態で単離することができる。
このようにして単離した結晶粉体を固体分散微粒子分散物として使用することは安定した性能を得る上で特に好ましい。また、還元剤と本発明の一般式(D)の化合物を粉体で混合し、適当な分散剤を使って、サンドグラインダーミル等で分散時に錯形成させる方法も好ましく用いることができる。
本発明の一般式(D)の化合物は還元剤に対して、1モル%〜200モル%の範囲で使用することが好ましく、より好ましくは10モル%〜150モル%の範囲で、さらに好ましくは20モル%〜100モル%の範囲である。
(バインダーの説明)
本発明の画像形成層のバインダーはいかなるポリマーであってもよく、好適なバインダーは透明又は半透明で、一般に無色であり、天然樹脂やポリマー及びコポリマー、合成樹脂やポリマー及びコポリマー、その他フィルムを形成する媒体、例えば、ゼラチン類、ゴム類、ポリ(ビニルアルコール)類、ヒドロキシエチルセルロース類、セルロースアセテート類、セルロースアセテートブチレート類、ポリ(ビニルピロリドン)類、カゼイン、デンプン、ポリ(アクリル酸)類、ポリ(メチルメタクリル酸)類、ポリ(塩化ビニル)類、ポリ(メタクリル酸)類、スチレン−無水マレイン酸共重合体類、スチレン−アクリロニトリル共重合体類、スチレン−ブタジエン共重合体類、ポリ(ビニルアセタール)類(例えば、ポリ(ビニルホルマール)及びポリ(ビニルブチラール))、ポリ(エステル)類、ポリ(ウレタン)類、フェノキシ樹脂、ポリ(塩化ビニリデン)類、ポリ(エポキシド)類、ポリ(カーボネート)類、ポリ(酢酸ビニル)類、ポリ(オレフィン)類、セルロースエステル類、およびポリ(アミド)類がある。バインダーは水又は有機溶媒またはエマルションから被覆形成してもよい。
本発明では、有機銀塩を含有する層のバインダーのガラス転移温度は10℃以上80℃以下であることが好ましく、20℃〜70℃であることがより好ましく、23℃以上65℃以下であることが更に好ましい。
なお、本明細書においてTgは下記の式で計算される。
1/Tg=Σ(Xi/Tgi)
ここでは、ポリマーはi=1からnまでのn個のモノマー成分が共重合しているとする。Xiはi番目のモノマーの質量分率(ΣXi=1)、Tgiはi番目のモノマーの単独重合体のガラス転移温度(絶対温度)である。ただしΣはi=1からnまでの和をとる。
尚、各モノマーの単独重合体ガラスの転移温度の値(Tgi)はPolymer Handbook(3rd Edition)(J.Brandrup,E.H.Immergut著(Wiley−Interscience、1989))の値を採用した。
バインダーとなるポリマーは単独種で用いてもよいし、必要に応じて2種以上を併用しても良い。また、ガラス転移温度が20℃以上のものとガラス転移温度が20℃未満のものを組み合わせて用いてもよい。Tgの異なるポリマーを2種以上ブレンドして使用する場合には、その質量平均Tgが上記の範囲に入ることが好ましい。
本発明においては、画像形成層が溶媒の30質量%以上が水である塗布液を用いて塗布し、乾燥して形成される場合に、さらに画像形成層のバインダーが水系溶媒(水溶媒)に可溶または分散可能である場合に、特に25℃60%RHでの平衡含水率が2質量%以下のポリマーのラテックスからなる場合に性能が向上する。
最も好ましい形態は、イオン伝導度が2.5mS/cm以下になるように調製されたものであり、このような調製法としてポリマー合成後分離機能膜を用いて精製処理する方法が挙げられる。
ここでいう前記ポリマーが可溶または分散可能である水系溶媒とは、水または水に70質量%以下の水混和性の有機溶媒を混合したものである。
水混和性の有機溶媒としては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール等のアルコール系、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ等のセロソルブ系、酢酸エチル、ジメチルホルミアミドなどを挙げることができる。
また「25℃60%RHにおける平衡含水率」とは、25℃60%RHの雰囲気下で調湿平衡にあるポリマーの質量W1と25℃で絶乾状態にあるポリマーの質量W0を用いて以下のように表すことができる。25℃60%RHにおける平衡含水率=[(W1−W0)/W0]×100(質量%)含水率の定義と測定法については、例えば高分子工学講座14、高分子材料試験法(高分子学会編、地人書館)を参考にすることができる。
本発明のバインダーポリマーの25℃60%RHにおける平衡含水率は2質量%以下であることが好ましいが、より好ましくは0.01質量%以上1.5質量%以下、さらに好ましくは0.02質量%以上1質量%以下が望ましい。
本発明のバインダーは水系溶媒に分散可能なポリマーが特に好ましい。分散状態の例としては、水不溶な疎水性ポリマーの微粒子が分散しているラテックスやポリマー分子が分子状態またはミセルを形成して分散しているものなどがあるが、いずれも好ましい。分散粒子の平均粒径は1nm〜50000nm、より好ましくは5nm〜1000nm程度の範囲が好ましい。分散粒子の粒径分布に関しては特に制限は無く、広い粒径分布を持つものでも単分散の粒径分布を持つものでもよい。
本発明において水系溶媒に分散可能なポリマーの好ましい態様としては、アクリル系ポリマー、ポリ(エステル)類、ゴム類(例えばSBR樹脂)、ポリ(ウレタン)類、ポリ(塩化ビニル)類、ポリ(酢酸ビニル)類、ポリ(塩化ビニリデン)類、ポリ(オレフィン)類等の疎水性ポリマーを好ましく用いることができる。これらポリマーとしては直鎖のポリマーでも枝分かれしたポリマーでもまた架橋されたポリマーでもよいし、単一のモノマーが重合したいわゆるホモポリマーでもよいし、2種類以上のモノマーが重合したコポリマーでもよい。コポリマーの場合はランダムコポリマーでも、ブロックコポリマーでもよい。
これらポリマーの分子量は数平均分子量で5000〜1000000、好ましくは10000〜200000がよい。分子量が小さすぎるものは画像形成層の力学強度が不十分であり、大きすぎるものは成膜性が悪く好ましくない。
好ましいポリマーラテックスの具体例としては以下のものを挙げることができる。以下では原料モノマーを用いて表し、括弧内の数値は質量%、分子量は数平均分子量である。多官能モノマーを使用した場合は架橋構造を作るため分子量の概念が適用できないので架橋性と記載し、分子量の記載を省略した。Tgはガラス転移温度を表す。
P−1;−MMA(70)−EA(27)−MAA(3)−のラテックス(分子量37000、Tg61℃)
P−2;−MMA(70)−2EHA(20)−St(5)−AA(5)−のラテックス(分子量40000、Tg59℃)
P−3;−St(50)−Bu(47)−MAA(3)−のラテックス(架橋性、Tg−17℃)
P−4;−St(68)−Bu(29)−AA(3)−のラテックス(架橋性、Tg17℃)
P−5;−St(71)−Bu(26)−AA(3)−のラテックス(架橋性,Tg24℃)
P−6;−St(70)−Bu(27)−IA(3)−のラテックス(架橋性)
P−7;−St(75)−Bu(24)−AA(1)−のラテックス(架橋性、Tg29℃)
P−8;−St(60)−Bu(35)−DVB(3)−MAA(2)−のラテックス(架橋性)
P−9;−St(70)−Bu(25)−DVB(2)−AA(3)−のラテックス(架橋性)
P−10;−VC(50)−MMA(20)−EA(20)−AN(5)−AA(5)−のラテックス(分子量80000)
P−11;−VDC(85)−MMA(5)−EA(5)−MAA(5)−のラテックス(分子量67000)
P−12;−Et(90)−MAA(10)−のラテックス(分子量12000)
P−13;−St(70)−2EHA(27)−AA(3)のラテックス(分子量130000、Tg43℃)
P−14;−MMA(63)−EA(35)− AA(2)のラテックス(分子量33000、Tg47℃)
P−15;−St(70.5)−Bu(26.5)−AA(3)−のラテックス(架橋性,Tg23℃)
P−16;−St(69.5)−Bu(27.5)−AA(3)−のラテックス(架橋性,Tg20.5℃)
P−17;−St(61.3)−イソプレン(35.5)−AA(3)−のラテックス(架橋性,Tg17℃)
P−18;−St(67)−イソプレン(28)−Bu(2)−AA(3)−のラテックス(架橋性,Tg27℃)
上記構造の略号は以下のモノマーを表す。MMA;メチルメタクリレート、EA;エチルアクリレート、MAA;メタクリル酸、2EHA;2−エチルヘキシルアクリレート、St;スチレン、Bu;ブタジエン、AA;アクリル酸、DVB;ジビニルベンゼン、VC;塩化ビニル、AN;アクリロニトリル、VDC;塩化ビニリデン、Et;エチレン、IA;イタコン酸。
以上に記載したポリマーラテックスは市販もされていて、以下のようなポリマーが利用できる。アクリル系ポリマーの例としては、セビアンA−4635,4718,4601(以上ダイセル化学工業(株)製)、Nipol Lx811、814、821、820、857(以上日本ゼオン(株)製)など、ポリ(エステル)類の例としては、FINETEX ES650、611、675、850(以上大日本インキ化学(株)製)、WD−size、WMS(以上イーストマンケミカル製)など、ポリ(ウレタン)類の例としては、HYDRAN AP10、20、30、40(以上大日本インキ化学(株)製)など、ゴム類の例としては、LACSTAR 7310K、3307B、4700H、7132C(以上大日本インキ化学(株)製)、Nipol Lx416、410、438C、2507(以上日本ゼオン(株)製)など、ポリ(塩化ビニル)類の例としては、G351、G576(以上日本ゼオン(株)製)など、ポリ(塩化ビニリデン)類の例としては、L502、L513(以上旭化成工業(株)製)など、ポリ(オレフィン)類の例としては、ケミパールS120、SA100(以上三井石油化学(株)製)などを挙げることができる。これらのポリマーラテックスは単独で用いてもよいし、必要に応じて2種以上ブレンドしてもよい。
本発明に用いられるポリマーラテックスとしては、特に、スチレン−ブタジエン共重合体のもしくはスチレン−イソプレン共重合体ラテックスが好ましい。スチレン−ブタジエン共重合体におけるスチレンのモノマー単位とブタジエンのモノマー単位との質量比は40:60〜95:5であることが好ましい。また、スチレンのモノマー単位とブタジエンのモノマー単位との共重合体に占める割合は60質量%〜99質量%であることが好ましい。
また、本発明におけるポリマーラッテクスは、アクリル酸又はメタクリル酸をスチレンとブタジエンの和に対して1質量%〜6質量%含有することが好ましく、より好ましくは2質量%〜5質量%含有する。本発明におけるポリマーラテックスは、アクリル酸を含有することが好ましい。好ましいモノマー含量の範囲は前記と同様である。また、スチレン−イソプレン共重合体における共重合体比などはスチレン−ブタジエン共重合体の場合と同じである。
本発明に用いることが好ましいスチレン−ブタジエン酸共重合体のラテックスとしては、前記のP−3〜P−9,15、市販品であるLACSTAR−3307B、7132C、Nipol Lx416等が挙げられる。また、スチレン−イソプレン共重合体の例としては前記のP−16、17が挙げられる。
本発明の熱現像感光材料の画像形成層には必要に応じてゼラチン、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースなどの親水性ポリマーを添加してもよい。
これらの親水性ポリマーの添加量は画像形成層の全バインダーの30質量%以下、より好ましくは20質量%以下が好ましい。
本発明の画像形成層は、ポリマーラテックスをバインダーに用いて形成されたものが好ましい。画像形成層のバインダーの量は、全バインダー/有機銀塩の質量比が1/10〜10/1、更には1/5〜4/1の範囲が好ましい。
また、全バインダー/ハロゲン化銀の質量比は400〜5、より好ましくは200〜10の範囲が好ましい。
本発明の画像形成層の全バインダー量は0.2g/m2〜30g/m2、より好ましくは1g/m2〜15g/m2の範囲が好ましい。本発明の画像形成層には架橋のための架橋剤、塗布性改良のための界面活性剤などを添加してもよい。
本発明において熱現像感光材料の画像形成層塗布液の溶媒(ここでは簡単のため、溶媒と分散媒をあわせて溶媒と表す。)は、水を30質量%以上含む水系溶媒が好ましい。水以外の成分としてはメチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ジメチルホルムアミド、酢酸エチルなど任意の水混和性有機溶媒を用いてよい。溶媒の水含有率は50質量%以上がより好ましく、さらに好ましくは70質量%以上が良い。
好ましい溶媒組成の具体例を挙げると、水100の他、水/メチルアルコール=90/10、水/メチルアルコール=70/30、水/メチルアルコール/ジメチルホルムアミド=80/15/5、水/メチルアルコール/エチルセロソルブ=85/10/5、水/メチルアルコール/イソプロピルアルコール=85/10/5などがある(数値は質量%)。
(かぶり防止剤)
1)有機ポリハロゲン化合物
以下、本発明で用いることができる好ましい有機ポリハロゲン化合物について具体的に説明する。本発明の好ましいポリハロゲン化合物は下記一般式(H)で表される化合物である。
一般式(H)
Q−(Y)n−C(Z1)(Z2)X
一般式(H)において、Qはアルキル基、アリール基またはヘテロ環基を表し、Yは2価の連結基を表し、nは0〜1を表し、Z1およびZ2はハロゲン原子を表し、Xは水素原子または電子求引性基を表す。
一般式(H)においてQは好ましくは炭素数1〜6のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基または窒素原子を少なくとも一つ含むヘテロ環基(ピリジン、キノリン基等)である。
一般式(H)において、Qがアリール基である場合、Qは好ましくはハメットの置換基定数σpが正の値をとる電子求引性基で置換されたフェニル基を表す。ハメットの置換基定数に関しては、Journal of Medicinal Chemistry,1973,Vol.16,No.11,p.1207−1216等を参考にすることができる。このような電子求引性基としては、例えばハロゲン原子、電子求引性基で置換されたアルキル基、電子求引性基で置換されたアリール基、ヘテロ環基、アルキルまたはアリールスルホニル基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、スルファモイル基等があげられる。電子求引性基として特に好ましいのは、ハロゲン原子、カルバモイル基、アリールスルホニル基であり、特にカルバモイル基が好ましい。
Xは好ましくは電子求引性基である。好ましい電子求引性基は、ハロゲン原子、脂肪族・アリールもしくは複素環スルホニル基、脂肪族・アリールもしくは複素環アシル基、脂肪族・アリールもしくは複素環オキシカルボニル基、カルバモイル基、スルファモイル基であり、さらに好ましくはハロゲン原子、カルバモイル基であり、特に好ましくは臭素原子である。
1およびZ2は好ましくは臭素原子、ヨウ素原子であり、更に好ましくは臭素原子である。
Yは好ましくは−C(=O)−、−SO−、−SO2−、−C(=O)N(R)−、−SO2N(R)−を表し、より好ましくは−C(=O)−、−SO2−、−C(=O)N(R)−であり、特に好ましくは−SO2−、−C(=O)N(R)−である。ここでいうRとは水素原子、アリール基またはアルキル基を表し、より好ましくは水素原子またはアルキル基であり、特に好ましくは水素原子である。
nは、0または1を表し、好ましくは1である。
一般式(H)において、Qがアルキル基の場合、好ましいYは−C(=O)N(R)−であり、Qがアリール基またはヘテロ環基の場合、好ましいYは−SO2−である。
一般式(H)において、該化合物から水素原子を取り去った残基が互いに結合した形態(一般にビス型、トリス型、テトラキス型と呼ぶ)も好ましく用いることが出来る。
一般式(H)において、解離性基(例えばCOOH基またはその塩、SO3H基またはその塩、PO3H基またはその塩等)、4級窒素カチオンを含む基(例えばアンモニウム基、ピリジニウム基等)、ポリエチレンオキシ基、水酸基等を置換基に有するものも好ましい形態である。
以下に本発明の一般式(H)の化合物の具体例を示す。
Figure 2006243535
Figure 2006243535
上記以外の本発明に用いることが出来るポリハロゲン化合物としては、US3874946号、US4756999号、US5340712号、US5369000号、US5464737号、US6506548号、特開昭50−137126号、同50−89020号、同50−119624号、同59−57234号、特開平7−2781号、同7−5621号、同9−160164号、同9−244177号、同9−244178号、同9−160167号、同9−319022号、同9−258367号、同9−265150号、同9−319022号、同10−197988号、同10−197989号、同11−242304号、特開2000−2963、特開2000−112070、特開2000−284410、特開2000−284412、特開2001−33911、特開2001−31644、特開2001−312027号、特開2003−50441号明細書の中で当該発明の例示化合物として挙げられている化合物が好ましく用いられるが、特に特開平7−2781号、特開2001−33911、特開2001−312027号に具体的に例示されている化合物が好ましい。
本発明の一般式(H)で表される化合物は画像形成層の非感光性銀塩1モルあたり、10-4モル〜1モルの範囲で使用することが好ましく、より好ましくは10-3モル〜0.5モルの範囲で、さらに好ましくは1×10-2モル〜0.2モルの範囲で使用することが好ましい。
本発明において、かぶり防止剤を熱現像感光材料に含有せしめる方法としては、前記還元剤の含有方法に記載の方法が挙げられ、有機ポリハロゲン化合物についても固体微粒子分散物で添加することが好ましい。
2)その他のかぶり防止剤
その他のかぶり防止剤としては特開平11−65021号段落番号0113の水銀(II)塩、同号段落番号0114の安息香酸類、特開2000−206642号のサリチル酸誘導体、特開2000−221634号の式(S)で表されるホルマリンスカベンジャー化合物、特開平11−352624号の請求項9に係るトリアジン化合物、特開平6−11791号の一般式(III)で表される化合物、4−ヒドロキシ−6−メチル−1,3,3a,7−テトラザインデン等が挙げられる。
本発明における熱現像感光材料はかぶり防止を目的としてアゾリウム塩を含有しても良い。アゾリウム塩としては、特開昭59−193447号記載の一般式(XI)で表される化合物、特公昭55−12581号記載の化合物、特開昭60−153039号記載の一般式(II)で表される化合物が挙げられる。アゾリウム塩は熱現像感光材料のいかなる部位に添加しても良いが、添加層としては画像形成層を有する面の層に添加することが好ましく、画像形成層に添加することがさらに好ましい。アゾリウム塩の添加時期としては塗布液調製のいかなる工程で行っても良く、画像形成層に加する場合は有機銀塩調製時から塗布液調製時のいかなる工程でも良いが有機銀塩調製後から塗布直前が好ましい。アゾリウム塩の添加法としては粉末、溶液、微粒子分散物などいかなる方法で行っても良い。
また、増感色素、還元剤、色調剤など他の添加物と混合した溶液として添加しても良い。
本発明においてアゾリウム塩の添加量としてはいかなる量でも良いが、銀1モル当たり1×10-6モル以上2モル以下が好ましく、1×10-3モル以上0.5モル以下がさらに好ましい。
(その他の添加剤)
1)メルカプト、ジスルフィド、およびチオン類
本発明には現像を抑制あるいは促進させ現像を制御するため、分光増感効率を向上させるため、現像前後の保存性を向上させるためなどにメルカプト化合物、ジスルフィド化合物、チオン化合物を含有させることができ、特開平10−62899号の段落番号0067〜0069、特開平10−186572号の一般式(I)で表される化合物及びその具体例として段落番号0033〜0052、欧州特許公開第0803764A1号の第20ページ第36〜56行に記載されている。その中でも特開平9−297367号、特開平9−304875号、特開2001−100358号、特開2002−303954号、特開2002−303951等に記載されているメルカプト置換複素芳香族化合物が好ましい。
2)色調剤
本発明の熱現像感光材料では色調剤の添加が好ましく、色調剤については、特開平10−62899号の段落番号0054〜0055、欧州特許公開第0803764A1号の第21ページ第23〜48行、特開2000−356317号や特開2000−187298号に記載されており、特に、フタラジノン類(フタラジノン、フタラジノン誘導体もしくは金属塩;例えば4−(1−ナフチル)フタラジノン、6−クロロフタラジノン、5,7−ジメトキシフタラジノンおよび2,3−ジヒドロ−1,4−フタラジンジオン);フタラジノン類とフタル酸類(例えば、フタル酸、4−メチルフタル酸、4−ニトロフタル酸、フタル酸二アンモニウム、フタル酸ナトリウム、フタル酸カリウムおよびテトラクロロ無水フタル酸)との組合せ;フタラジン類(フタラジン、フタラジン誘導体もしくは金属塩;例えば4−(1−ナフチル)フタラジン、6−イソプロピルフタラジン、6−t−ブチルフラタジン、6−クロロフタラジン、5,7−ジメトキシフタラジンおよび2,3−ジヒドロフタラジン);フタラジン類とフタル酸類との組合せが好ましく、特にフタラジン類とフタル酸類の組合せが好ましい。そのなかでも特に好ましい組み合わせは6−イソプロピルフタラジンとフタル酸または4メチルフタル酸との組み合わせである。
3)可塑剤、潤滑剤
本発明の画像形成層に用いることのできる可塑剤および潤滑剤については特開平11−65021号段落番号0117に記載されている。滑り剤については特開平11−84573号段落番号0061〜0064や特願平11−106881号段落番号0049〜0062記載されている。
(層構成および構成成分)
本発明の熱現像感光材料は、銀画像形成層とカラー画像形成層を含む少なくとも2つの画像形成層を有する。各画像形成層のハロゲン化銀乳剤層(画像形成層)の感色性が互いに異なる。各層が取り得る感色性として、赤外光感色性、赤感色性、緑感色性、青感色性、紫外光感色性など従来、ハロゲン化銀感光材料で知れられている種々の感色性の中から選ぶことができ、組合せも特に制限が無く自由である。
画像形成層の配列は、支持体の同一の面側に全ての画像形成層を配しても良い。あるいは、支持体の両面に画像形成層を分散させて配しても良い。好ましくは、支持体の同一面に全ての画像形成層を配する。
銀画像形成層とカラー画像形成層は、それぞれ、1層であっても複数の層より構成されてもよい。複数の層より構成される場合、低感度ハロゲン化銀乳剤を含有する層と高感度ハロゲン化銀乳剤を含有する層、あるいは階調の異なる層より形成するのが好ましい。
本発明では、画像形成層の他に、非感光性層を有しても良い。非感光性層としては、画像形成層の表面を保護する表面保護層、画像形成層と支持体の間の下塗り層やU層、画像形成層間の中間層、あるいは画像形成層が一方の面にのみ配している場合は、他方の面にバック層などが挙げられる。非感光性層として、画像形成層の感度を調整、あるいは複数の画像形成層の相対的感度を調整する目的で染料または顔料を含有するフィルター層を設けてもよい。
本発明においては、感光性ハロゲン化銀とカプラー及び発色現像主薬(又はその前駆体)は同一層に含まれていても良いが、反応可能な状態であれば別層に分割して添加することもできる。例えば発色現像主薬を含む層とハロゲン化銀を含む層とを別層にすると感材の生保存性の向上がはかれる。
熱現像感光材料には、種々の目的で硬膜剤、界面活性剤、写真安定剤、帯電防止剤、滑り剤、マット剤、ラッテクス、ホルマリンスカベンジャー、染料、UV吸収剤等を用いることができる。これらの具体例は、前記のリサーチ・ディスクロージャー及び特開平9−204031号等に記載されている。
(画像形成方法)
医療診断画像として、例えば腫瘍をPETによる検査を行う場合、解剖学的位置の特定と併せて行う必要がある。そのためにはCTやMRI画像との重ね合わせ表示が重要である。従来、それぞれから得られた画像情報をデジタル化し、位置情報を照合して位置合わせし、その時の変換パラメータ(平行移動および回転)を用いて、重ね合わせ画像をデイスプレー上に表示することが行われてきた。位置合わせのためには、特定のマーカーの利用などが行われた。
図1は、PET画像情報とX線CT情報の融合画像の作製手順の一例を示すダイアグラムである。
トランスミッション画像とDICOMを通して送信されたX線CT画像との合成画像が作製される。この過程はいずれも形態情報の合成過程であって、マーキングがなくとも形態の照合でも可能であるが、数点の適当なマーキングをすることによってコンピューター上自動的に行うことができる。一方、別に撮影されたPET画像は、トレーサーが特定部位に蓄積されることを利用して、腫瘍悪性度診断、癌の浸潤範囲や転移病巣の検出などを行うものでって、機能情報である。PET画像の位置情報とトランスミッション画像とX線CT画像の位置情報との照合から位置変換パラメータを得て、それに基づき、PET画像にX線CT画像を融合した画像がデイスプレイ上に表示される。
一方、それぞれの画像情報に位置変換情報が付加されたPET画像がレーザーAによって熱現像感光材料に走査露光され、同様にX線CT画像がレーザーBによって同一の熱現像感光材料に走査露光される。レーザーAによる潜像記録とレーザーBによる潜像記録はそれぞれの波長に対応した感光性を有する別々の画像形成層になされる。露光後に熱現像を行うと各層は、銀像による黒白画像とカラー画像、または異なったカラー画像に画像を形成する。
以上、PET−CT融合画像について説明したが、他のいかなる融合画像形成についてもその形成手順は同様である。
可能な融合画像としては、下記の組合せが挙げられる。
・PET/MRI
・SPECT/CT
・SPECT/MRI
1)露光
本発明の熱現像感光材料は、いかなる手段によって画像露光しても良いが、少なくとも2つの画像情報が互いに異なる波長の光で露光される。また、露光のモードもレーザー光線による走査露光であっても、カメラによるワンショット撮影であってもよい。好ましくは、全て走査露光により画像情報を露光する方法である。
銀画像形成層とカラー画像形成層のいずれか一方の露光を行った後に他方の露光を行っても、一方の露光が終了しない内に他方の露光を逐次行ってももよく、あるいは同時に行っても良い。
本発明において用いることの出来るレーザー光源として、赤〜赤外発光のHe−Neレーザー、赤色半導体レーザー、あるいは青〜緑発光のAr+,He−Ne,He−Cdレーザー、青色半導体レーザーが挙げられる。好ましくは、半導体レーザーであり、赤色半導体レーザー、赤外半導体レーザー、および青色半導体レーザーである。
本発明において好ましい組合せは、赤色半導体レーザーと青色半導体レーザー、赤外半導体レーザーと青色半導体レーザー、あるいは赤色半導体レーザーと赤外半導体レーザーであり、どちらを銀画像形成層あるいはカラー画像形成層としても良い。
好ましくは、銀画像形成のための1本の半導体レーザーとカラー画像形成のための別の波長域の半導体レーザーを用いられる。カラー画像形成層が2層以上の異なる感色性の層よりなる場合は、それぞれに対応した波長域の半導体レーザーが用いられる。例えば、銀画像形成用に赤外半導体レーザー、カラー画像形成用に赤色、緑色、あるいは青色半導体レーザーを用いることが出来る。
レーザー光は、高周波重畳などの方法によって縦マルチに発振していることも好ましく用いられる。
2)熱現像
本発明の熱現像感光材料はいかなる方法で現像されても良いが、通常イメージワイズに露光した熱現像感光材料を昇温して現像される。好ましい現像温度としては80℃〜250℃であり、好ましくは100℃〜140℃、さらに好ましくは110℃〜130℃である。現像時間としては1秒〜60秒が好ましく、より好ましくは3秒〜30秒、さらに好ましくは5秒〜25秒である。
熱現像の方式としてはドラム型ヒーター、プレート型ヒーターのいずれを使用してもよいが、プレート型ヒーター方式がより好ましい。プレート型ヒーター方式による熱現像方式とは特開平11−133572号に記載の方法が好ましく、潜像を形成した熱現像感光材料を熱現像部にて加熱手段に接触させることにより可視像を得る熱現像装置であって、前記加熱手段がプレートヒーターからなり、かつ前記プレートヒーターの一方の面に沿って複数個の押えローラが対向配設され、前記押えローラと前記プレートヒーターとの間に前記熱現像感光材料を通過させて熱現像を行うことを特徴とする熱現像装置である。プレートヒーターを2段〜6段に分けて先端部については1℃〜10℃程度温度を下げることが好ましい。例えば、独立に温度制御できる4組のプレートヒーターを使用し、それぞれ112℃、119℃、121℃、120℃になるように制御する例が挙げられる。このような方法は特開昭54−30032号にも記載されており、熱現像感光材料に含有している水分や有機溶媒を系外に除外させることができ、また、急激に熱現像感光材料が加熱されることでの熱現像感光材料の支持体形状の変化を抑えることもできる。
熱現像機の小型化および熱現像時間の短縮のためには、より安定なヒーター制御ができることが好ましく、また、1枚のシート感材を先頭部から露光開始し、後端部まで露光が終わらないうちに熱現像を開始することが望ましい。
本発明に好ましい迅速処理ができるイメージャーは例えば特開2002−289804号および同−287668号に記載されている。
(本発明の用途)
本発明の熱現像感光材料を用いた画像形成方法は、医療画像記録方法として融合画像記録に使用されることが好ましい。
以下、本発明を実施例によって具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例1.
1.PET支持体の作製
(1)製膜
テレフタル酸とエチレングリコ−ルを用い、常法に従い固有粘度IV=0.66(フェノ−ル/テトラクロルエタン=6/4(質量比)中25℃で測定)のPETを得た。これをペレット化した後130℃で4時間乾燥し、300℃で溶融後T型ダイから押し出して急冷し、未延伸フィルムを作製した。
これを、周速の異なるロ−ルを用い3.3倍に縦延伸、ついでテンタ−で4.5倍に横延伸を実施した。この時の温度はそれぞれ、110℃、130℃であった。この後、240℃で20秒間熱固定後これと同じ温度で横方向に4%緩和した。この後テンタ−のチャック部をスリットした後、両端にナ−ル加工を行い、4kg/cm2で巻き取り、厚み175μmのロ−ルを得た。
(2)表面コロナ放電処理
ピラー社製ソリッドステートコロナ放電処理機6KVAモデルを用い、支持体の両面を室温下において20m/分で処理した。この時の電流、電圧の読み取り値から、支持体には0.375kV・A・分/m2の処理がなされていることがわかった。この時の処理周波数は9.6kHz、電極と誘電体ロ−ルのギャップクリアランスは1.6mmであった。
(3)下塗り
1)下塗層塗布液の作製
処方(1)(感光層側下塗り層用)
高松油脂(株)製ペスレジンA−520(30質量%溶液) 59g
ポリエチレングリコールモノノニルフェニルエーテル
(平均エチレンオキシド数=8.5)10質量%溶液 5.4g
綜研化学(株)製MP−1000(ポリマー微粒子、平均粒径0.4μm)
0.91g
蒸留水 935ml
処方(2)(バック面第1層用)
スチレン−ブタジエン共重合体ラテックス 158g
(固形分40質量%、スチレン/ブタジエン質量比=68/32)
2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシ−S−トリアジンナトリウム塩(8質量%水溶液)
20g
ラウリルベンゼンスルホン酸ナトリウムの1質量%水溶液 10ml
蒸留水 854ml
処方(3)(バック面側第2層用)
SnO2/SbO(9/1質量比、平均粒径0.038μm、17質量%分散物)
84g
ゼラチン(10質量%水溶液) 89.2g
信越化学(株)製メトローズTC−5(2質量%水溶液) 8.6g
綜研化学(株)製MP−1000 0.01g
ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムの1質量%水溶液 10ml
NaOH(1質量%) 6ml
プロキセル(ICI社製) 1ml
蒸留水 805ml
2)下塗り
上記厚さ175μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレート支持体の両面それぞれに、上記コロナ放電処理を施した後、片面(画像形成層面)に上記下塗り塗布液処方(1)をワイヤーバーでウエット塗布量が6.6ml/m2(片面当たり)になるように塗布して180℃で5分間乾燥し、ついでこの裏面(バック面)に上記下塗り塗布液処方(2)をワイヤーバーでウエット塗布量が5.7ml/m2になるように塗布して180℃で5分間乾燥し、更に裏面(バック面)に上記下塗り塗布液処方(3)をワイヤーバーでウエット塗布量が7.7ml/m2になるように塗布して180℃で6分間乾燥して下塗り支持体を作製した。
2.バック層
1)バック層塗布液の調製
《塩基プレカーサーの固体微粒子分散液(a)の調製》
塩基プレカーサー化合物1を、2.5kg、及び界面活性剤(商品名:デモールN、花王(株)製)300g、ジフェニルスルホン800g、ベンゾイソチアゾリノンナトリウム塩1.0g及び蒸留水を加えて総量を8.0kgに合わせて混合し、混合液を横型サンドミル(UVM−2:アイメックス(株)製)を用いてビーズ分散した。分散方法は、混合液をを平均直径0.5mmのジルコニアビーズを充填したUVM−2にダイアフラムポンプで送液し、内圧50hPa以上の状態で、所望の平均粒径が得られるまで分散した。
分散物は、分光吸収測定を行って該分散物の分光吸収における450nmにおける吸光度と650nmにおける吸光度の比(D450/D650)が3.0まで分散した。得られた分散物は、塩基プレカーサーの濃度で25質量%となるように蒸留水で希釈し、ごみ取りのためにろ過(平均細孔径:3μmのポリプロピレン製フィルター)を行って実用に供した。
《染料固体微粒子分散液の調製》
シアニン染料化合物−1を6.0kg及びp−ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム3.0kg、花王(株)製界面活性剤デモールSNB0.6kg、及び消泡剤(商品名:サーフィノール104E、日信化学(株)製)0.15kgを蒸留水と混合して、総液量を60kgとした。混合液を横型サンドミル(UVM−2:アイメックス(株)製)を用いて、0.5mmのジルコニアビーズで分散した。
分散物は、分光吸収測定を行って該分散物の分光吸収における650nmにおける吸光度と750nmにおける吸光度の比(D650/D750)が5.0以上であるところまで分散した。得られた分散物は、シアニン染料の濃度で、6質量%となるように蒸留水で希釈し、ごみ取りのためにフィルターろ過(平均細孔径:1μm)を行って実用に供した。
《ハレーション防止層塗布液の調製》
容器を40℃に保温し、等電点6.6のゼラチン(ニッピ(株)製ABAゼラチン)37g、ベンゾイソチアゾリノン0.1g、水を加えてゼラチンを溶解させた。さらに上記染料固体微粒子分散液36g、上記塩基プレカーサーの固体微粒子分散液(a)を73g、紫外光吸収剤−1を1.5g、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム3質量%水溶液43ml、SBRラテックス(スチレン/ブタジエン/アクリル酸共重合体;質量比68.3/28.7/3.0)10質量%液82gを混合し、完成液量773mlのハレーション防止層塗布液とした。完成液のpH値は、6.3であった。
《バック面保護層塗布液の調製》
容器を40℃に保温し、等電点4.8のゼラチン(宮城化学工業(株)製PZゼラチン)43g、ベンゾイソチアゾリノン0.21g、水を加えてゼラチンを溶解させた。さらに1mol/lの酢酸ナトリウム水溶液8.1ml、単分散ポリ(エチレングリコールジメタクリレート−コ−メチルメタクリレート)微粒子(平均粒子サイズ7.7μm、粒径標準偏差0.3μm)0.93g、流動パラフィンの10質量%乳化物を5g、ヘキサイソステアリン酸ジペンタエリスリットの10質量%乳化物を10g、スルホコハク酸ジ(2−エチルヘキシル)ナトリウム塩5質量%水溶液10ml、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム3質量%水溶液17ml、フッ素系界面活性剤(F−1)2質量%溶液を2.4ml、フッ素系界面活性剤(F−2)2質量%溶液を2.4ml、エチルアクリレート/アクリル酸共重合体(共重合質量比96.4/3.6)ラテックス20質量%液30mlを混合した。塗布直前にN,N−エチレンビス(ビニルスルホンアセトアミド)4質量%水溶液50mlを混合し、完成液量855mlのバック面保護層塗布液とした。完成液のpH値は6.2であった。
2)バック層の塗布
上記下塗り支持体のバック面側に、ハレーション防止層塗布液をゼラチン塗布量が0.54g/m2となるように、またバック面保護層塗布液をゼラチン塗布量が1.85g/m2となるように同時重層塗布し、乾燥し、バック層を作製した。
Figure 2006243535
Figure 2006243535
2.画像形成層、中間層、および表面保護層
2−1.塗布用材料の準備
1)ハロゲン化銀乳剤
(ハロゲン化銀乳剤1の調製−青感性乳剤の調製−)
−ホスト粒子の調製−
蒸留水1421mlに1質量%ヨウ化カリウム溶液4.3mlを加え、さらに0.5モル/L硫酸を3.5ml、フタル化ゼラチン36.5g、2,2’−(エチレンジチオ)ジエタノールの5質量%メタノ−ル溶液160mlを添加した溶液を、ステンレス製反応壷中で撹拌しながら75℃に液温を保ち、硝酸銀22.22gに蒸留水を加え218mlに希釈した溶液Aとヨウ化カリウム36.6gを蒸留水にて366mlに希釈した溶液Bを、溶液Aは一定流量で16分かけて全量添加し、溶液BはpAgを10.2に維持しながらコントロールダブルジェット法で添加した。その後、3.5質量%の過酸化水素水溶液を10ml添加し、さらにベンゾイミダゾールの10質量%水溶液を10.8ml添加した。さらに、硝酸銀51.86gに蒸留水を加えて508.2mlに希釈した溶液Cとヨウ化カリウム63.9gを蒸留水にて639mlに希釈した溶液Dを、溶液Cは一定流量で80分かけて全量添加し、溶液DはpAgを10.2に維持しながらコントロールダブルジェット法で添加した。銀1モル当たり1×10-4モルになるよう六塩化イリジウム(III)酸カリウム塩を溶液Cおよび溶液Dを添加しはじめてから10分後に全量添加した。また、溶液Cの添加終了の5秒後に六シアン化鉄(II)カリウム水溶液を銀1モル当たり3×10-4モル全量添加した。0.5mol/L濃度の硫酸を用いてpHを3.8に調整し、攪拌を止め、沈降/脱塩/水洗工程をおこなった。1mol/L濃度の水酸化ナトリウムを用いてpH5.9に調整し、pAg11.0のハロゲン化銀分散物を作製した。
得られた粒子は、純ヨウ化銀乳剤であり、平均投影面積直径0.93μm、平均投影面積直径の変動係数17.7%、平均厚み0.057μm、平均アスペクト比16.3の平板状粒子が全投影面積の80%以上を占めていた。球相当直径は0.42μmであった。
X線粉末回折分析による解析の結果、ヨウ化銀の30%がγ相で存在していた。
−エピタキシャル接合の形成−
ホスト平板状乳剤1モルを反応容器に入れた。pAgは38℃で測定して10.2であった。次いで、ダブルジェット添加により、0.5モル/LのKBr溶液及び0.5モル/LのAgNO3溶液を10ml/分で20分間にわたって添加し、実質的に10モル%臭化銀をAgIホスト乳剤上にエピタキシャル状に沈殿させた。操作中、pAgは10.2に維持した。さらに、0.5mol/L濃度の硫酸を用いてpHを3.8に調製し、撹拌を止め、沈降/脱塩/水洗工程をおこなった。1mol/L濃度の水酸化ナトリウムを用いてpH5.9に調整し、pAg11.0のハロゲン化銀分散物を作製した。
−化学増感−
上記ハロゲン化銀分散物を攪拌しながら38℃に維持して、0.34質量%の1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オンのメタノール溶液を5ml加え、40分後に47℃に昇温した。昇温の20分後にベンゼンチオスルホン酸ナトリウムをメタノール溶液で銀1モルに対して7.6×10-5モル加え、さらに5分後にテルル増感剤Cをメタノール溶液で銀1モル当たり2.9×10-5モル加えて91分間熟成した。その後、N,N’−ジヒドロキシ−N”−ジエチルメラミンの0.8質量%メタノール溶液1.3mlを加え、さらに4分後に、5−メチル−2−メルカプトベンゾイミダゾールをメタノール溶液で銀1モル当たり4.8×10-3モル、1−フェニル−2−ヘプチル−5−メルカプト−1,3,4−トリアゾールをメタノール溶液で銀1モルに対して5.4×10-3モルおよび1−(3−メチルウレイドフェニル)−5−メルカプトテトラゾールを水溶液で銀1モルに対して8.5×10-3モル添加して、ハロゲン化銀乳剤1を作製した。
−塗布液用混合乳剤1の調製−
得られたハロゲン化銀乳剤に、ベンゾチアゾリウムヨーダイドを1質量%水溶液にて銀1モル当たり7×10-3モル添加した。さらに1電子酸化されて生成する1電子酸化体が1電子もしくはそれ以上の電子を放出し得る化合物化合物1と2と3をそれぞれハロゲン化銀の銀1モル当たり2×10-3モルになる量を添加した。また吸着基と還元基を有する化合物1と2をそれぞれハロゲン化銀1モルあたり8×10-3モルになる量を添加した。さらに塗布液用混合乳剤1Lあたりハロゲン化銀の含有量が銀として15.6gとなるように加水した。
(ハロゲン化銀乳剤2の調製−赤感性乳剤の調製−)
《ハロゲン化銀乳剤Aの調製》
蒸留水1421mlに1質量%臭化カリウム溶液3.1mlを加え、さらに0.5mol/L濃度の硫酸を3.5ml、フタル化ゼラチン31.7gを添加した液をステンレス製反応壺中で攪拌しながら、30℃に液温を保ち、硝酸銀22.22gに蒸留水を加え95.4mlに希釈した溶液Aと臭化カリウム15.3gとヨウ化カリウム0.8gを蒸留水にて容量97.4mlに希釈した溶液Bを一定流量で45秒間かけて全量添加した。その後、3.5質量%の過酸化水素水溶液を10ml添加し、さらにベンゾイミダゾールの10質量%水溶液を10.8ml添加した。さらに、硝酸銀51.86gに蒸留水を加えて317.5mlに希釈した溶液Cと臭化カリウム44.2gとヨウ化カリウム2.2gを蒸留水にて容量400mlに希釈した溶液Dを、溶液Cは一定流量で20分間かけて全量添加し、溶液DはpAgを8.1に維持しながらコントロールドダブルジェット法で添加した。銀1モル当たり1×10-4モルになるよう六塩化イリジウム(III)酸カリウム塩を溶液C及び溶液Dを添加しはじめてから10分後に全量添加した。また、溶液Cの添加終了の5秒後に六シアン化鉄(II)カリウム水溶液を銀1モル当たり3×10-4モル全量添加した。0.5mol/L濃度の硫酸を用いてpHを3.8に調整し、攪拌を止め、沈降/脱塩/水洗工程をおこなった。1mol/L濃度の水酸化ナトリウムを用いてpH5.9に調整し、pAg8.0のハロゲン化銀分散物を作製した。
上記ハロゲン化銀分散物を攪拌しながら38℃に維持して、0.34質量%の1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オンのメタノール溶液を5ml加え、40分後に47℃に昇温した。昇温の20分後にベンゼンチオスルホン酸ナトリウムをメタノール溶液で銀1モルに対して7.6×10-5モル加え、さらに5分後にテルル増感剤Cをメタノール溶液で銀1モル当たり2.9×10-4モル加えて91分間熟成した。その後、分光増感色素Aと増感色素Bのモル比で3:1のメタノール溶液を銀1モル当たり増感色素AとBの合計として1.2×10-3モル加え、1分後にN,N’−ジヒドロキシ−N”−ジエチルメラミンの0.8質量%メタノール溶液1.3mlを加え、さらに4分後に、5−メチル−2−メルカプトベンゾイミダゾールをメタノール溶液で銀1モル当たり4.8×10-3モル、1−フェニル−2−ヘプチル−5−メルカプト−1,3,4−トリアゾールをメタノール溶液で銀1モルに対して5.4×10-3モル及び1−(3−メチルウレイドフェニル)−5−メルカプトテトラゾールを水溶液で銀1モルに対して8.5×10-3モル添加した。
調製できたハロゲン化銀乳剤中の粒子は、平均球相当径0.042μm、球相当径の変動係数20%のヨウドを均一に3.5モル%含むヨウ臭化銀粒子であった。粒子サイズ等は、電子顕微鏡を用い1000個の粒子の平均から求めた。この粒子の{100}面比率は、クベルカムンク法を用いて80%と求められた。
《ハロゲン化銀乳剤Bの調製》
ハロゲン化銀乳剤Aの調製において、粒子形成時の液温30℃を47℃に変更し、溶液Bは臭化カリウム15.9gを蒸留水にて容量97.4mlに希釈することに変更し、溶液Dは臭化カリウム45.8gを蒸留水にて容量400mlに希釈することに変更し、溶液Cの添加時間を30分にして、六シアノ鉄(II)カリウムを除去した以外は同様にして、ハロゲン化銀乳剤Bの調製を行った。ハロゲン化銀乳剤Aと同様に沈殿/脱塩/水洗/分散を行った。更に、テルル増感剤Cの添加量を銀1モル当たり1.1×10-4モル、分光増感色素Aと分光増感色素Bのモル比で3:1のメタノール溶液の添加量を銀1モル当たり増感色素Aと増感色素Bの合計として7.0×10-4モル、1−フェニル−2−ヘプチル−5−メルカプト−1,3,4−トリアゾールを銀1モルに対して3.3×10-3モル及び1−(3−メチルウレイドフェニル)−5−メルカプトテトラゾールを銀1モルに対して4.7×10-3モル添加に変えた以外は乳剤1と同様にして分光増感、化学増感及び5−メチル−2−メルカプトベンゾイミダゾール、1−フェニル−2−ヘプチル−5−メルカプト−1,3,4−トリアゾールの添加を行った。
ハロゲン化銀乳剤Bの乳剤粒子は、平均球相当径0.080μm、球相当径の変動係数20%の純臭化銀立方体粒子であった。
《ハロゲン化銀乳剤Cの調製》
ハロゲン化銀乳剤Aの調製において、粒子形成時の液温30℃を27℃に変更する以外は同様にして、ハロゲン化銀乳剤Cの調製を行った。また、ハロゲン化銀乳剤Aと同様に沈殿/脱塩/水洗/分散を行った。分光増感色素Aと分光増感色素Bのモル比で1:1を固体分散物(ゼラチン水溶液)として添加量を銀1モル当たり増感色素Aと増感色素Bの合計として6×10-3モル、テルル増感剤Cの添加量を銀1モル当たり5.2×10-4モルに変え、テルル増感剤の添加3分後に臭化金酸を銀1モル当たり5×10-4モルとチオシアン酸カリウムを銀1モルあたり2×10-3モルを添加したこと以外は乳剤Aと同様にして、ハロゲン化銀乳剤Cを得た。ハロゲン化銀乳剤3の乳剤粒子は、平均球相当径0.034μm、球相当径の変動係数20%のヨウドを均一に3.5モル%含むヨウ臭化銀粒子であった。
−塗布液用混合乳剤2の調製−
ハロゲン化銀乳剤Aを70質量%、ハロゲン化銀乳剤Bを15質量%、ハロゲン化銀乳剤Cを15質量%溶解し、ベンゾチアゾリウムヨーダイドを1質量%水溶液にて銀1モル当たり7×10-3モル添加した。
さらに1電子酸化されて生成する1電子酸化体が1電子若しくはそれ以上の電子を放出し得る化合物1,2,3をそれぞれハロゲン化銀の銀1モル当たり2×10-3モルになる量を添加した。
吸着基と還元基を有する吸着性レドックス化合物1,2をそれぞれハロゲン化銀1モルあたり5×10-3モルになる量を添加した。
さらに塗布液用混合乳剤1kgあたりハロゲン化銀の含有量が銀として38.2gとなるように加水した。塗布液用混合乳剤1kgあたり0.34gとなるように1−(3−メチルウレイドフェニル)−5−メルカプトテトラゾールを添加した。
Figure 2006243535
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Figure 2006243535
2)脂肪酸銀分散物の調製
<再結晶ベヘン酸の調製>
ヘンケル社製ベヘン酸(製品名Edenor C22−85R)100kgを、1200kgのイソプロピルアルコールにまぜ、50℃で溶解し、10μmのフィルターで濾過した後、30℃まで、冷却し、再結晶を行った。再結晶をする際の、冷却スピードは、3℃/時間にコントロールした。得られた結晶を遠心濾過し、100kgのイソプルピルアルコールでかけ洗いを実施した後、乾燥を行った。得られた結晶をエステル化してGC−FID測定をしたところ、ベヘン酸含有率は96モル%、それ以外にリグノセリン酸が2モル%、アラキジン酸が2モル%、エルカ酸0.001モル%含まれていた。
<脂肪酸銀分散物の調製>
再結晶ベヘン酸88kg、蒸留水422L、5mol/L濃度のNaOH水溶液49.2L、t−ブチルアルコール120Lを混合し、75℃にて1時間攪拌し反応させ、ベヘン酸ナトリウム溶液Bを得た。別に、硝酸銀40.4kgの水溶液206.2L(pH4.0)を用意し、10℃にて保温した。635Lの蒸留水と30Lのt−ブチルアルコールを入れた反応容器を30℃に保温し、十分に撹拌しながら先のベヘン酸ナトリウム溶液の全量と硝酸銀水溶液の全量を流量一定でそれぞれ93分15秒と90分かけて添加した。
このとき、硝酸銀水溶液添加開始後11分間は硝酸銀水溶液のみが添加されるようにし、そのあとベヘン酸ナトリウム溶液を添加開始し、硝酸銀水溶液の添加終了後14分15秒間はベヘン酸ナトリウム溶液のみが添加されるようにした。このとき、反応容器内の温度は30℃とし、液温度が一定になるように外温コントロールした。また、ベヘン酸ナトリウム溶液の添加系の配管は、2重管の外側に温水を循環させる事により保温し、添加ノズル先端の出口の液温度が75℃になるよう調製した。また、硝酸銀水溶液の添加系の配管は、2重管の外側に冷水を循環させることにより保温した。ベヘン酸ナトリウム溶液の添加位置と硝酸銀水溶液の添加位置は撹拌軸を中心として対称的な配置とし、また反応液に接触しないような高さに調製した。
ベヘン酸ナトリウム溶液を添加終了後、そのままの温度で20分間撹拌放置し、30分かけて35℃に昇温し、その後210分熟成を行った。熟成終了後直ちに、遠心濾過で固形分を濾別し、固形分を濾過水の伝導度が30μS/cmになるまで水洗した。こうして脂肪酸銀塩を得た。得られた固形分は、乾燥させないでウエットケーキとして保管した。
得られたベヘン酸銀粒子の形態を電子顕微鏡撮影により評価したところ、平均値でa=0.21μm、b=0.4μm、c=0.4μm、平均アスペクト比2.1、球相当径の変動係数11%の結晶であった(a、b、cは本文の規定)。
乾燥固形分260kg相当のウエットケーキに対し、ポリビニルアルコール(商品名:PVA−217)19.3kgおよび水を添加し、全体量を1000kgとしてからディゾルバー羽根でスラリー化し、更にパイプラインミキサー(みづほ工業製:PM−10型)で予備分散した。
次に予備分散済みの原液を分散機(商品名:マイクロフルイダイザーM−610、マイクロフルイデックス・インターナショナル・コーポレーション製、Z型インタラクションチャンバー使用)の圧力を1150kg/cm2に調節して、三回処理し、ベヘン酸銀分散物を得た。冷却操作は蛇管式熱交換器をインタラクションチャンバーの前後に各々装着し、冷媒の温度を調節することで18℃の分散温度に設定した。
3)還元剤分散物の調製
《還元剤−1分散物の調製》
還元剤−1(2,2’−メチレンビス−(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール))10kgと変性ポリビニルアルコール(クラレ(株)製、ポバールMP203)の10質量%水溶液16kgに、水10kgを添加して、良く混合してスラリーとした。このスラリーをダイアフラムポンプで送液し、平均直径0.5mmのジルコニアビーズを充填した横型サンドミル(UVM−2:アイメックス(株)製)にて3時間分散したのち、ベンゾイソチアゾリノンナトリウム塩0.2gと水を加えて還元剤の濃度が25質量%になるように調製した。この分散液を60℃で5時間加熱処理し、還元剤−1分散物を得た。こうして得た還元剤分散物に含まれる還元剤粒子はメジアン径0.40μm、最大粒子径1.4μm以下であった。得られた還元剤分散物は孔径3.0μmのポリプロピレン製フィルターにてろ過を行い、ゴミ等の異物を除去して収納した。
《還元剤−2分散物の調製》
還元剤−2(6,6’−ジ−t−ブチル−4,4’−ジメチル−2,2’−ブチリデンジフェノール)10kgと変性ポリビニルアルコール(クラレ(株)製、ポバールMP203)の10質量%水溶液16kgに、水10kgを添加して、良く混合してスラリーとした。このスラリーをダイアフラムポンプで送液し、平均直径0.5mmのジルコニアビーズを充填した横型サンドミル(UVM−2:アイメックス(株)製)にて3時間30分分散したのち、ベンゾイソチアゾリノンナトリウム塩0.2gと水を加えて還元剤の濃度が25質量%になるように調製した。この分散液を40℃で1時間加熱した後、引き続いてさらに80℃で1時間加熱処理し、還元剤−2分散物を得た。こうして得た還元剤分散物に含まれる還元剤粒子はメジアン径0.50μm、最大粒子径1.6μm以下であった。
得られた還元剤分散物は孔径3.0μmのポリプロピレン製フィルターにてろ過を行い、ゴミ等の異物を除去して収納した。
<還元剤−3分散物の調製>
還元剤−3(1,1−ビス(2−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−3,5,5−トリメチルヘキサン)10kgと変性ポリビニルアルコール(クラレ(株)製、ポバールMP203)の10質量%水溶液16kgに、水10kgを添加して、良く混合してスラリーとした。このスラリーをダイアフラムポンプで送液し、平均直径0.5mmのジルコニアビーズを充填した横型サンドミル(UVM−2:アイメックス(株)製)にて3時間分散したのち、ベンゾイソチアゾリノンナトリウム塩0.2gと水を加えて還元剤の濃度が25質量%になるように調製した。この分散液を60℃で5時間加熱処理し、還元剤−3分散物を得た。
こうして得た還元剤分散物に含まれる還元剤粒子はメジアン径0.40μm、最大粒子径1.4μm以下であった。得られた還元剤分散物は孔径3.0μmのポリプロピレン製フィルターにてろ過を行い、ゴミ等の異物を除去して収納した。
<一般式(I)の還元剤分散物の調製>
還元剤−3分散物と同様にして、下記一般式(I)の還元剤(23)の分散物を調製した。
Figure 2006243535
4)カプラー分散物の調製
補助還元剤−1分散物と同様にして、下記のシアンカプラーの分散物を調製した。
Figure 2006243535
5)水素結合性化合物分散物の調製
<水素結合性化合物−1分散物の調製>
水素結合性化合物−1(トリ(4−t−ブチルフェニル)ホスフィンオキシド)10kgと変性ポリビニルアルコール(クラレ(株)製、ポバール<P−203)の10質量%水溶液16kgに、水10kgを添加して、良く混合してスラリーとした。このスラリーをダイアフラムポンプで送液し、平均直径0.5mmのジルコニアビーズを充填した横型サンドミル(UVM−2:アイメックス(株)製)にて4時間分散したのち、ベンゾイソチアゾリノンナトリウム塩0.2gと水を加えて水素結合性化合物の濃度が25質量%になるように調製した。この分散液を40℃で1時間加熱した後、引き続いてさらに80℃で1時間加温し、水素結合性化合物−1分散物を得た。こうして得た水素結合性化合物分散物に含まれる水素結合性化合物粒子はメジアン径0.45μm、最大粒子径1.3μm以下であった。得られた水素結合性化合物分散物は孔径3.0μmのポリプロピレン製フィルターにてろ過を行い、ゴミ等の異物を除去して収納した。
6)現像促進剤分散物、色調調整剤分散物の調製
<現像促進剤−1分散物の調製>
現像促進剤−1を10kgと変性ポリビニルアルコール(クラレ(株)製、ポバールMP−203)の10質量%水溶液20kgに、水10kgを添加して、良く混合してスラリーとした。このスラリーをダイアフラムポンプで送液し、平均直径0.5mmのジルコニアビーズを充填した横型サンドミル(UVM−2:アイメックス(株)製)にて3時間30分分散したのち、ベンゾイソチアゾリノンナトリウム塩0.2gと水を加えて現像促進剤の濃度が20質量%になるように調製し、現像促進剤−1分散物を得た。こうして得た現像促進剤分散物に含まれる現像促進剤粒子はメジアン径0.48μm、最大粒子径1.4μm以下であった。得られた現像促進剤分散物は孔径3.0μmのポリプロピレン製フィルターにてろ過を行い、ゴミ等の異物を除去して収納した。
現像促進剤−2および色調調整剤−1の固体分散物についても現像促進剤−1と同様の方法により分散し、それぞれ20質量%、15質量%の分散液を得た。
7)ポリハロゲン化合物分散物の調製
<有機ポリハロゲン化合物−1分散物の調製>
有機ポリハロゲン化合物−1(トリブロモメタンスルホニルベンゼン)10kgと変性ポリビニルアルコール(クラレ(株)製ポバールMP−203)の20質量%水溶液10kgと、トリイソプロピルナフタレンスルホン酸ナトリウムの20質量%水溶液0.4kgと、水14kgを添加して、良く混合してスラリーとした。このスラリーをダイアフラムポンプで送液し、平均直径0.5mmのジルコニアビーズを充填した横型サンドミル(UVM−2:アイメックス(株)製)にて5時間分散したのち、ベンゾイソチアゾリノンナトリウム塩0.2gと水を加えて有機ポリハロゲン化合物の濃度が30質量%になるように調製し、有機ポリハロゲン化合物−1分散物を得た。こうして得たポリハロゲン化合物分散物に含まれる有機ポリハロゲン化合物粒子はメジアン径0.41μm、最大粒子径2.0μm以下であった。得られた有機ポリハロゲン化合物分散物は孔径10.0μmのポリプロピレン製フィルターにてろ過を行い、ゴミ等の異物を除去して収納した。
<有機ポリハロゲン化合物−2分散物の調製>
有機ポリハロゲン化合物−2(N−ブチル−3−トリブロモメタンスルホニルベンゾアミド)10kgと変性ポリビニルアルコール(クラレ(株)製ポバールMP203)の10質量%水溶液20kgと、トリイソプロピルナフタレンスルホン酸ナトリウムの20質量%水溶液0.4kgを添加して、良く混合してスラリーとした。このスラリーをダイアフラムポンプで送液し、平均直径0.5mmのジルコニアビーズを充填した横型サンドミル(UVM−2:アイメックス(株)製)にて5時間分散したのち、ベンゾイソチアゾリノンナトリウム塩0.2gと水を加えて有機ポリハロゲン化合物の濃度が30質量%になるように調製した。この分散液を40℃で5時間加温し、有機ポリハロゲン化合物−2分散物を得た。こうして得たポリハロゲン化合物分散物に含まれる有機ポリハロゲン化合物粒子はメジアン径0.40μm、最大粒子径1.3μm以下であった。得られた有機ポリハロゲン化合物分散物は孔径3.0μmのポリプロピレン製フィルターにてろ過を行い、ゴミ等の異物を除去して収納した。
8)フタラジン化合物−1溶液の調製
8kgのクラレ(株)製変性ポリビニルアルコールMP−203を水174.57kgに溶解し、次いでトリイソプロピルナフタレンスルホン酸ナトリウムの20質量%水溶液3.15kgと6−イソプロピルフタラジンの70質量%水溶液14.28kgを添加し、フタラジン化合物−1の5質量%溶液を調製した。
8)添加剤溶液の調製
<メルカプト化合物−1水溶液の調製>
メルカプト化合物−1(1−(3−スルホフェニル)−5−メルカプトテトラゾールナトリウム塩)7gを水993gに溶解し、0.7質量%の水溶液とした。
<メルカプト化合物−2水溶液の調製>
メルカプト化合物−2(1−(3−メチルウレイドフェニル)−5−メルカプトテトラゾール)20gを水980gに溶解し、2.0質量%の水溶液とした。
<フタル酸水溶液の調製>
フタル酸二アンモニウム塩の20質量%水溶液を調製した。
9)ラテックスバインダーの調製
《SBRラテックス液(TP−1)の調製》
ガスモノマー反応装置(耐圧硝子工業(株)製TAS−2J型)の重合釜に、蒸留水287g、界面活性剤(パイオニンA−43−S(竹本油脂(株)製):固形分48.5質量%)7.73g、1mol/L、NaOH14.06ml、エチレンジアミン4酢酸4ナトリウム塩0.15g、スチレン255g、アクリル酸11.25g、tert−ドデシルメルカプタン3.0gを入れ、反応容器を密閉し撹拌速度200rpmで撹拌した。真空ポンプで脱気し窒素ガス置換を数回繰返した後に、1,3−ブタジエン108.75gを圧入して内温60℃まで昇温した。ここに過硫酸アンモニウム1.875gを水50mlに溶解した液を添加し、そのまま5時間撹拌した。さらに90℃に昇温して3時間撹拌し、反応終了後内温が室温になるまで下げた後、1mol/LのNaOHとNH4OHを用いてNa+イオン:NH4 +イオン=1:5.3(モル比)になるように添加処理し、pH8.4に調整した。その後、孔径1.0μmのポリプロピレン製フィルターにてろ過を行い、ゴミ等の異物を除去して収納し、SBRラテックスを774.7g得た。イオンクロマトグラフィーによりハロゲンイオンを測定したところ、塩化物イオン濃度3ppmであった。高速液体クロマトグラフィーによりキレート剤の濃度を測定した結果、145ppmであった。
上記ラテックスは平均粒径90nm、Tg=17℃、固形分濃度44質量%、25℃60%RHHにおける平衡含水率0.6質量%、イオン伝導度4.80mS/cm(イオン伝導度の測定は東亜電波工業(株)製伝導度計CM−30Sを使用し、ラテックス原液(44質量%)を25℃にて測定)、pH8.4。
《イソプレンラテックス液(TP−2)の調製》
ガスモノマー反応装置(耐圧硝子工業(株)製TAS−2J型)の重合釜に蒸留水1500g添加し、90℃で3時間加熱し、重合釜のステンレス表面やステンレス製撹拌装置の部材に不動態皮膜を形成させる。この処理を行った重合釜に、窒素ガスを1時間バブリングした蒸留水582.28g、界面活性剤(パイオニンA−43−S(竹本油脂(株)製))9.49g、1mol/LのNaOHを19.56g、エチレンジアミン4酢酸4ナトリウム塩0.20g、スチレン314.99g、イソプレン190.87g、アクリル酸10.43g、tert−ドデシルメルカプタン2.09gを入れ、反応容器を密閉し撹拌速度225rpmで撹拌し、内温65℃まで昇温した。ここに過硫酸アンモニウム2.61gを水40mlに溶解した液を添加し、そのまま6時間撹拌した。この時点でのは重合転化率は固形分測定から90%であった。ここで、アクリル酸5.22gを水46.98gに溶解した液を添加し、続いて水10gを添加し、過硫酸アンモニウム1.30gを水50.7mlに溶解した液をさらに添加した。添加後、90℃に昇温して3時間撹拌し、反応終了後、内温が室温になるまで下げた後、1mol/LのNaOHとNH4OHを用いてNa+イオン:NH4 +イオン=1:5.3(モル比)になるように添加処理し、pH8.4に調整した。その後、孔径1.0μmのポリプロピレン製フィルターにてろ過を行い、ゴミ等の異物を除去して収納し、イソプレンラテックスTP−2を1248g得た。イオンクロマトグラフィーによりハロゲンイオンを測定したところ、塩化物イオン濃度3ppmであった。高速液体クロマトグラフィーによりキレート剤の濃度を測定した結果、142ppmであった。
上記ラテックスは平均粒径113nm、Tg=15℃、固形分濃度41.3質量%、25℃60%RHにおける平衡含水率0.4質量%、イオン伝導度5.23mS/cm(イオン伝導度の測定は東亜電波工業(株)製伝導度計CM−30S使用し25℃にて測定)であった。
2−2.塗布液の調製
1)画像形成層塗布液の調製
《銀画像形成層塗布液》
上記で得た脂肪酸銀分散物1000gに、水、有機ポリハロゲン化合物−1分散物、有機ポリハロゲン化合物−2分散物、フタラジン化合物−1、SBRラテックス(Tg=17℃)液、還元剤−1分散物、還元剤−2分散物、水素結合性化合物−1分散物、現像促進剤−1分散物、現像促進剤−2分散物、色調調整剤−1分散物、メルカプト化合物−1水溶液、メルカプト化合物−2水溶液を順次添加し、塗布直前に塗布液混合用乳剤2を添加して良く混合した。
《カラー画像形成層塗布液》
上記で得た脂肪酸銀分散物1000gに、水、有機ポリハロゲン化合物−1分散物、有機ポリハロゲン化合物−2分散物、SBRラテックス(Tg=17℃)液、還元剤−3分散物、一般式(I)の還元剤分散物、シアンカプラー分散物、水素結合性化合物−1分散物、現像促進剤−1分散物、現像促進剤−2分散物、色調調整剤−1分散物、フタラジン化合物−1溶液、メルカプト化合物−1水溶液、メルカプト化合物−2水溶液を順次添加し、塗布直前に塗布液混合用乳剤1を添加して良く混合した。
2)中間層塗布液の調製
ポリビニルアルコールPVA−205(クラレ(株)製)1000g、顔料−1分散物272g、メチルメタクリレート/スチレン/ブチルアクリレート/ヒドロキシエチルメタクリレート/アクリル酸共重合体(共重合質量比64/9/20/5/2)ラテックス19質量%液4200mlにエアロゾールOT(アメリカンサイアナミド社製)の5質量%水溶液を27ml、フタル酸二アンモニウム塩の20質量%水溶液を135ml、総量10000gになるように水を加え、pHが7.5になるようにNaOHで調整して中間層塗布液とし、9.1ml/m2になるようにコーティングダイへ送液した。
塗布液の粘度はB型粘度計40℃(No.1ローター、60rpm)で58[mPa・s]であった。
3)表面保護層第1層塗布液の調製
イナートゼラチン64gを水に溶解し、メチルメタクリレート/スチレン/ブチルアクリレート/ヒドロキシエチルメタクリレート/アクリル酸共重合体(共重合質量比64/9/20/5/2)ラテックス19.0質量%液112g、フタル酸の15質量%メタノール溶液を30ml、4−メチルフタル酸の10質量%水溶液23ml、0.5mol/L濃度の硫酸を28ml、エアロゾールOT(アメリカンサイアナミド社製)の5質量%水溶液を5ml、フェノキシエタノール0.5g、ベンゾイソチアゾリノン0.1gを加え、総量750gになるように水を加えて塗布液とし、4質量%のクロムみょうばん26mlを塗布直前にスタチックミキサーで混合したものを18.6ml/m2になるようにコーティングダイへ送液した。
塗布液の粘度はB型粘度計40℃(No.1ローター、60rpm)で20[mPa・s]であった。
4)表面保護層第2層塗布液の調製
イナートゼラチン80gを水に溶解し、メチルメタクリレート/スチレン/ブチルアクリレート/ヒドロキシエチルメタクリレート/アクリル酸共重合体(共重合質量比64/9/20/5/2)ラテックス27.5質量%液102g、フッ素系界面活性剤(F−1)の2質量%溶液を5.4ml、フッ素系界面活性剤(F−2)の2質量%水溶液を5.4ml、エアロゾールOT(アメリカンサイアナミド社製)の5質量%溶液を23ml、ポリメチルメタクリレート微粒子(平均粒径0.7μm、体積加重平均の分布30%)4g、ポリメチルメタクリレート微粒子(平均粒径3.6μm、体積加重平均の分布60%)21g、4−メチルフタル酸1.6g、フタル酸4.8g、0.5mol/L濃度の硫酸44ml、ベンゾイソチアゾリノン10mgに総量650gとなるよう水を添加して、4質量%のクロムみょうばんと0.67質量%のフタル酸を含有する水溶液445mlを塗布直前にスタチックミキサーで混合したものを表面保護層塗布液とし、8.3ml/m2になるようにコーティングダイへ送液した。
塗布液の粘度はB型粘度計40℃(No.1ローター,60rpm)で19[mPa・s]であった。
2−3.熱現像感光材料1の作製
支持体のバック面と反対の面に、順に、カラー画像形成層、銀画像形成層、中間層、表面保護層第1層、表面保護層第2層の順番でスライドビード塗布方式にて同時重層塗布し、熱現像感光材料の試料を作製した。このとき、画像形成層と中間層は31℃に、表面保護層第1層は36℃に、表面保護層第2層は37℃に温度調整した。
画像形成層の各化合物の塗布量(g/m2)は以下の通りである。
《銀画像形成層》
脂肪酸銀 3.51
ポリハロゲン化合物−1 0.06
ポリハロゲン化合物−2 0.09
フタラジン化合物−1 0.12
SBRラテックス 6.29
還元剤−1 0.26
還元剤−2 0.26
水素結合性化合物−1 0.19
現像促進剤−1 0.016
現像促進剤−2 0.013
色調調整剤−1 0.005
メルカプト化合物−1 0.001
メルカプト化合物−2 0.004
ハロゲン化銀乳剤−2(Agとして) 0.09
《カラー画像形成層》
脂肪酸銀 2.22
ポリハロゲン化合物−1 0.05
ポリハロゲン化合物−2 0.13
フタラジン化合物−1 0.61
SBRラテックス 2.77
イソプレンラテックス 4.16
還元剤−3 0.04
一般式(I)の還元剤(23) 0.79
シアンカプラー(C−1) 0.124
シアンカプラー(C−3) 0.108
水素結合性化合物−1 0.20
現像促進剤−1 0.027
現像促進剤−2 0.013
色調調整剤−1 0.003
メルカプト化合物−1 0.001
メルカプト化合物−2 0.004
ハロゲン化銀乳剤−1(Agとして) 0.23
塗布乾燥条件は以下のとおりである。
支持体は塗布前にイオン風にて除電し、塗布はスピード160m/minで行った。塗布乾燥条件は各試料に対して以下の範囲で調整し、もっとも安定した面状が得られる条件に設定した。
コーティングダイ先端と支持体との間隙を0.10mm〜0.30mm。
減圧室の圧力を大気圧に対して196Pa〜882Pa低く設定。
引き続くチリングゾーンにて、乾球温度10℃〜20℃の風にて塗布液を冷却。
無接触型搬送して、つるまき式無接触型乾燥装置にて、乾球温度23℃〜45℃、湿球温度15℃〜21℃の乾燥風で乾燥。
乾燥後、25℃で湿度40%RH〜60%RHで調湿。
引き続き、膜面を70℃〜90℃になるように加熱し、加熱後、膜面を25℃まで冷却した。
作製された熱現像感光材料のマット度はベック平滑度で画像形成層面側が550秒、バック面が130秒であった。また、感光層面側の膜面のpHを測定したところ6.0であった。
以下に本発明の実施例で用いた化合物の化学構造を示す。
Figure 2006243535
Figure 2006243535
3.性能評価
1)画像露光、および熱現像
《露光》
試料は富士フイルムメディカル(株)ドライレーザーイメージャーDRYPIX7000(最大50mW(IIIB)出力の660nmの赤色半導体レーザー搭載)の露光部に、青色半導体レーザー光源として日亜化学工業のNLHV3000E半導体レーザーを追加して実装し、ビーム径を100μmに絞った。
青色半導体レーザーと赤色半導体レーザーは別々に制御され、青色半導体レーザーによりPETの機能画像を出力し、赤色半導体レーザーによりCTの形態画像を出力し、フイルムを搬送しながら同時に露光した。
《熱現像》
露光した試料は富士フイルムメディカル(株)ドライレーザーイメージャーDRYPIX7000の熱現像部を用いて、3枚のパネルヒーターを107℃−121℃−121℃に設定し、合計14秒になるように現像した。
2)性能の評価
得られた融合画像のハードコピーをシャーカステンにかけて透過画像として観察し、高精細(5メガピクセル)の医療用専用液晶画面に出力された融合画像と比較した。その結果、本発明の熱現像感光材料は、医療用専用液晶画面に出力された融合画像に対して、高精細、高濃度であり同等以上の診断能を有していることがわかった。
実施例2
1.感光性ハロゲン化銀の調製
(ハロゲン化銀乳剤3の調製−赤外感色性乳剤の調製−)
ハロゲン化銀乳剤2の調製において、増感色素AとBの代わりに下記の赤外増感色素を用いて、その他は同様にしてハロゲン化銀乳剤3を調製した。赤外増感色素は増感効率が最大になる添加量で用いた。
Figure 2006243535
(ハロゲン化銀乳剤4の調製−緑感性乳剤の調製−)
ハロゲン化銀乳剤2の調製において、増感色素AとBの代わりに下記のオルソ増感色素を用いて、その他は同様にしてハロゲン化銀乳剤3を調製した。増感色素−1,−2,−3はモル比で1:1:10の比率で混合し、増感効率が最大になる添加量で用いた。
Figure 2006243535
2.画像形成層塗布液の調製
《銀画像形成層塗布液》
実施例1の銀画像形成層塗布液において、ハロゲン化銀乳剤2の代わりにハロゲン化銀乳剤3を用いて、その他は同様にして調製した。
《カラー画像形成層塗布液Aの調製−シアン発色層−》
実施例1のカラー発色層塗布液において、ハロゲン化銀乳剤1の代わりにハロゲン化銀乳剤2を用いて、その他は同様にして調製した。
《カラー画像形成層塗布液Bの調製−マゼンタ発色層−》
実施例1のカラー発色層塗布液において、ハロゲン化銀乳剤1の代わりにハロゲン化銀乳剤4を用いて、カプラー(C−1),(C−3)の代わりにカプラー(M−1),(M−4),および(M−7)を用いて、その他は同様にして調製した。
Figure 2006243535
3.塗布試料の作製
支持体のバック面と反対の面にカラー画像形成層A、カラー画像形成層A、銀画像形成層、中間層、表面保護層第1層、表面保護層第2層の順番でスライドビード塗布方式にて同時重層塗布し、熱現像感光材料の試料を作製した。このとき、画像形成層と中間層は31℃に、表面保護層第1層は36℃に、表面保護層第2層は37℃に温度調整した。
画像形成層の各化合物の塗布量(g/m2)は以下の通りである。
《銀画像形成層》
脂肪酸銀 3.51
ポリハロゲン化合物−1 0.06
ポリハロゲン化合物−2 0.09
フタラジン化合物−1 0.12
SBRラテックス 6.29
補助還元剤−1 0.51
水素結合性化合物−1 0.19
現像促進剤−1 0.016
現像促進剤−2 0.013
色調調整剤−1 0.005
メルカプト化合物−1 0.001
メルカプト化合物−2 0.004
ハロゲン化銀乳剤−3(Agとして) 0.09
《カラー画像形成層A》
脂肪酸銀 1.67
ポリハロゲン化合物−1 0.04
ポリハロゲン化合物−2 0.10
フタラジン化合物−1 0.46
SBRラテックス 2.08
イソプレンラテックス 3.12
補助還元剤−1 0.05
一般式(I)の還元剤(23) 0.59
シアンカプラー(C−1) 0.093
シアンカプラー(C−3) 0.081
水素結合性化合物−1 0.15
現像促進剤−1 0.020
現像促進剤−2 0.009
色調調整剤−1 0.002
メルカプト化合物−1 0.001
メルカプト化合物−2 0.003
ハロゲン化銀乳剤−2(Agとして) 0.04
《カラー画像形成層B》
脂肪酸銀 1.67
ポリハロゲン化合物−1 0.04
ポリハロゲン化合物−2 0.10
フタラジン化合物−1 0.46
SBRラテックス 2.08
イソプレンラテックス 3.12
補助還元剤−1 0.05
一般式(I)の還元剤(23) 0.59
マゼンタカプラー(M−1) 0.042
マゼンタカプラー(M−4) 0.056
マゼンタカプラー(M−7) 0.074
水素結合性化合物−1 0.15
現像促進剤−1 0.020
現像促進剤−2 0.009
色調調整剤−1 0.002
メルカプト化合物−1 0.001
メルカプト化合物−2 0.003
ハロゲン化銀乳剤−4(Agとして) 0.04
《露光》
試料は富士フイルムメディカル(株)ドライレーザーイメージャーDRYPIX7000(最大50mW(IIIB)出力の660nmの赤色半導体レーザー搭載)の露光部に、赤外光半導体レーザーおよび緑色発振のレーザーを追加して実装し、ビーム径を100μmに絞った。
赤外半導体レーザーとしては、GaAlAs(発振波長808.5nm)を使用し、緑色発振レーザーとしては、半導体レーザGaAlAs(発振波長808.5nm)を励起光源にして、YVO4固体レーザー結晶を励起し、発振させた1064nmの発振波長をSHG結晶であるKTPにより波長変換(波長を半分)して取り出した532nmのレーザー252を使用する。
赤色半導体レーザーと赤外光半導体レーザーと緑色発振レーザーは別々に制御され、赤色半導体レーザーおよび緑色発振レーザーによりSPECTの機能画像とその強度分布を2色出力し、赤外光半導体レーザーによりMRIの形態画像を出力し、フイルムを搬送しながら同時に露光した。
《熱現像》
露光した試料は富士フイルムメディカル(株)ドライレーザーイメージャーDRYPIX7000の熱現像部を用いて、3枚のパネルヒーターを107℃−121℃−121℃に設定し、合計14秒になるように現像した。
2)性能の評価
得られた融合画像のハードコピーをシャーカステンにかけて透過画像として観察し、高精細(5メガピクセル)の医療用専用液晶画面に出力された融合画像と比較した。その結果、本発明の熱現像感光材料は、医療用専用液晶画面に出力された融合画像に対して、高精細、高濃度であり同等以上の診断能を有していることがわかった。
図1は本発明による熱現像感光材料を用いた融合画像形成方法の一例を示す簡略なブロックダイアグラムである。

Claims (16)

  1. 支持体上に、少なくとも感光性ハロゲン化銀、非感光性有機銀塩、銀イオンのための還元剤、およびバインダーを有する熱現像感光材料を用いた画像形成方法であって、前記熱現像感光材料が少なくとも2層の互いに異なる感色性を有する画像形成層を配してなり、前記画像形成層の感光波長に対応した少なくとも2つの波長の異なるレーザーによって画像露光し、熱現像することにより2つ以上の画像情報の融合画像を形成することを特徴とする画像形成方法。
  2. 前記画像情報の少なくとも1つが医療形態情報であり、他の少なくとも1つが医療機能情報である融合画像を形成することを特徴とする請求項1に記載の画像形成方法。
  3. 前記医療形態情報がCT(Computed Tomography)情報またはMRI(Magnetic Resonannce Imaging)情報であることを特徴とする請求項2に記載の画像形成方法。
  4. 前記医療機能情報がPET(Positron Emission Tomography)情報またはSPECT(Single Photon Emission Computed Tomography)情報であることを特徴とする請求項2または請求項3に記載の画像形成方法。
  5. 前記画像形成層の少なくとも1層が実質的に銀画像よりなる画像を形成し得る画像形成層であって、前記画像形成層の少なくとも他の1層が色像形成材料を含有するカラー画像を形成し得る画像形成層であることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の画像形成方法。
  6. 前記画像形成層の少なくとも2層が互いに異なる色相のカラー画像を形成することを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の画像形成方法。
  7. 前記カラー画像を形成し得る画像形成層の還元剤が下記一般式(I)で表される化合物であることを特徴とする請求項5または請求項6に記載の画像形成方法:
    Figure 2006243535
    (式中、R1、R2、R3及びR4はそれぞれ独立に水素原子又は置換基を表し、R5及びR6はそれぞれ独立に、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、アシル基、又はスルホニル基を表し、R1とR2、R3とR4、R5とR6、R2とR5、又は/及びR4とR6とが互いに結合して5員、6員又は7員の環を形成してもよい。R7はR11−O−CO−、R12−CO−CO−、R13−NH−CO−、R14−SO2−、R15−W−C(R16)(R17)(R18)−、R19−SO2NHCO−、R20−CONHCO−、R21−SO2NHSO2−、R22−CONHSO2−又は(M)1/nOSO2−を表し、R11、R12、R13、R14、R19、R20、R21及びR22はアルキル基、アリール基、又はヘテロ環基を表し、R15は水素原子又はブロック基を表し、Wは酸素原子、イオウ原子又は>N−R18を表し、R16、R17、及びR18は水素原子又はアルキル基を表し、Mはn価のカチオンを表す。)。
  8. 前記一般式(I)におけるR7がR11−O−CO−またはR19−SO2NHCO−で表される化合物であることを特徴とする請求項7に記載の画像形成方法。
  9. 前記カラー画像を形成し得る画像形成層の還元剤が、下記一般式(II)で表される化合物であることを特徴とする請求項7または請求項8に記載の画像形成方法:
    Figure 2006243535
    (式中、R101及びR102はそれぞれ独立に、置換又は無置換のアルキル基、アリール基、ヘテロ環基、アシル基、アルキルスルホニル基、又はアリールスルホニル基を表し、R103、R104、R105、R106及びR107はそれぞれ独立に水素原子又は置換基を表す。R101とR102、R103とR104、R105とR106、及びR107とXの少なくとも一組は互いに結合して5員、6員又は7員の環を形成してもよい。Xはハロゲン原子、又はヘテロ原子を有する置換基(前記ヘテロ原子を介してベンゼン環に結合する)を表す。nは0〜4の整数を表す。nが2以の場合、R107は同じであっても異なっていても良く、また互いに結合して5員、6員又は7員の環を形成してもよい。)。
  10. 前記カラー画像を形成し得る画像形成層の還元剤が、下記一般式(III)で表される化合物であることを特徴とする請求項7または請求項8に記載の画像形成方法:
    Figure 2006243535
    (式中、R201、R202、及びR203はそれぞれ独立に水素原子又は置換基を表し、R204はアルキル基、アリール基、又はヘテロ環基を表し、R201とR202、又は/及びR202とR204は互いに結合して5員、6員又は7員の環を形成してもよい。Zは窒素原子及びベンゼン環中の2個の炭素原子とともに5員、6員又は7員の環を形成する非金属原子群を表す。R205はアルキル基、アリール基、又はヘテロ環基を表す。ただし、R201〜R204の各にヒドロキシル基、カルボキシル基、スルホ基のいずれをも含まない。)。
  11. 前記一般式(III)におけるR205が下記一般式(IV)で表される基であることを特徴とする請求項10に記載の画像形成方法:
    Figure 2006243535
    (式中、Xは、ハロゲン原子、又はヘテロ原子を介してベンゼン環に置換する基を表し、R206は置換基を表し、nは0〜4の整数を表す。nが2以上の場合、2個以上のR206は同じでも、異なっていてもよく、隣り合った位置に結合した基が互いに結合して5員〜7員の、炭素環又はヘテロ環を形成してもよい。)。
  12. 前記色像形成材料が前記還元剤の酸化体と反応して色素を形成し得るカプラーであることを特徴とする請求項5〜請求項11のいずれか1項に記載の画像形成方法。
  13. 前記カプラーが下記一般式(C−1)、(C−2)、(C−3)、(M−1)、(M−2)、(M−3)、(Y−1)、(Y−2)および(Y−3)よりなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を含有することを特徴とする請求項12に記載の画像形成方法:
    Figure 2006243535
    (式中、X1は水素原子または離脱基を表し、Y1およびY2は電子求引性の置換基を表し、R1はアルキル基、アリール基またはヘテロ環基を表す。);
    Figure 2006243535
    (式中、X2は水素原子または離脱基を表し、R2はアシルアミノ基、ウレイド基またはウレタン基を表し、R3は水素原子、アルキル基またはアシルアミノ基を表し、R4は水素原子、または置換基を表す。R3とR4が互いに連結して環を形成してもよい。);
    Figure 2006243535
    (式中、X3は水素原子または離脱基を表し、R5はカルバモイル基またはスルファモイル基を表し、R6は水素原子または置換基を表す。);
    Figure 2006243535
    (式中、X4は水素原子または離脱基を表し、R7はアルキル基、アリール基またはヘテロ環基を表し、R8は置換基を表す。);
    Figure 2006243535
    (式中、X5は水素原子または離脱基を表し、R9はアルキル基、アリール基またはヘテロ環基を表し、R10は置換基を表す。);
    Figure 2006243535
    (式中、X6は水素原子または離脱基を表し、R11はアルキル基、アリール基、アシルアミノ基またはアニリノ基を表し、R10はアルキル基、アリール基またはヘテロ環基を表す。);
    Figure 2006243535
    (式中、X7は水素原子または離脱基を表し、R13はアルキル基、アリール基、インドレニル基を表し、R14はアリール基またはヘテロ環基を表す。);
    Figure 2006243535
    (式中、X8は水素原子または離脱基を表し、Zは5員ないし7員の環を形成するのに必要な2価の基を表し、R15はアリール基またはヘテロ環基を表す。);
    Figure 2006243535
    (式中、X9は水素原子または離脱基を表し、R16、R17およびR18はそれぞれ置換基を表し、nは0ないし4の、mは0ないし5のいずれかの整数を表す。nまたはmが2以上のとき、複数のR16およびR17はそれぞれ同一の基であってもよいし、別々の基であってもよい。)。
  14. 前記バインダーがポリマーラテックスであることを特徴とする請求項1〜請求項13のいずれか1項に記載の画像形成方法。
  15. 前記銀画像よりなる画像を形成し得る画像形成層を前記支持体の一方の面に配して、前記カラー画像を形成し得る画像形成層を他方の面に配してなることを特徴とする請求項5〜請求項14のいずれか1項に記載の画像形成方法。
  16. 前記銀画像よりなる画像を形成し得る画像形成層と前記カラー画像を形成し得る画像形成層を前記支持体の同一面に配してなることを特徴とする請求項5〜請求項14のいずれか1項に記載の画像形成方法。
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