JP2006235514A - ハロゲン化銀カラー感光材料 - Google Patents

ハロゲン化銀カラー感光材料 Download PDF

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亮治 西村
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Abstract

【課題】 高感度で、かつ、脱銀工程の条件が劣悪化した現像処理を行なった場合においても良好な画質を維持することができるハロゲン化銀カラー感光材料を提供すること。
【解決手段】 支持体上に、それぞれ少なくとも1層のシアンカプラ−を含有する赤感光性乳剤層、マゼンタカプラ−を含有する緑感光性乳剤層、イエローカプラーを含有する青感光性乳剤層を有するハロゲン化銀カラー感光材料において、少なくとも1層の感光性乳剤層に色素が多層吸着しているハロゲン化銀粒子を含有し、かつ、該感光性乳剤層の主たる分光吸収波長域に対応する色相の残色粒状の値が1.1×10−3以下であることを特徴とする、ハロゲン化銀カラー感光材料。
【選択図】 なし

Description

本発明はハロゲン化銀カラー感光材料に関するものであり、更に詳しくは、高感度で、かつ、脱銀工程の条件が劣悪化した現像処理を行なった場合においても良好な画質が得られるハロゲン化銀カラー感光材料に関するものである。
ハロゲン化銀カラー感光材料(以後、感光材料という)に対する高品質化の要請は、近年、ますます高いものとなっている。高い感度と細かい粒状性を有する感光材料が求められている。
近年、最も広範に実用されている高感度化の手段は、ハロゲン化銀粒子表面に多量の色素を吸着させて光吸収率を稼ぎ、光吸収率の増加分に対応した感度利得を得る方法である。そのため、ハロゲン化銀粒子の形状は、単位体積当りの表面積を大きくするため、厚みの薄い平板粒子が常用されるようになった(例えば、特許文献1参照。)。しかし、厚みの薄い粒子では、形状安定性、光散乱、粒子サイズの単分散性が劣化するため、平板粒子の薄板化にも限界がある。
ハロゲン化銀粒子の表面積を増大させるのではなく、単位粒子表面積あたりの色素吸着量を増大させることにより高感度化を図る検討が行われている。従来、ハロゲン化銀粒子上には1層飽和吸着量を超える量の色素は吸着できていなかったが、色素を複数の層で吸着(以下「色素多層吸着」という)させることで、単位表面積あたりにのせる色素量を増加させようという考え方が提案されている(例えば、特許文献2参照。)。この方法では、粒子厚みを極端に薄くする必要がなくなるので、前述の形状安定性、光散乱、粒子サイズの単分散性の劣化による非効率を回避できる。
但し、色素多層吸着には、種々の問題点があり、市販の感光材料への適用が容易ではない現状がある。
問題点の1つは、処理後に残存する増感色素による色汚染(以下「残色」という)の増大である。この問題については、対策の方法を提案した特許が、近年、いくつか公開されている。(例えば、特許文献3、特許文献4、および特許文献5参照)
一方、一般ユーザー向けの感光材料に色素多層吸着を適用するためには、上記の残色への対策に加え、劣悪化した現像処理条件への耐性の付与が必要である。現在、ミニラボ等の小規模な現像処理装置が世界中に広く普及しているが、これらの中には、現像処理条件が劣悪化しているものが散見される。従って、感光材料には、劣悪化した現像処理条件であっても、良好な画質を極力維持できる性能を具備することが求められる。
しかしながら、これまで、当業界においては、色素多層吸着を適用した感光材料が、劣悪化した現像処理条件においてどのような挙動を示すのか、また、それに関わる問題点の有無とその対策について精力的に検討されていたとは言えない。このことは、色素多層吸着に関わる公知の特許および文献の中に、劣悪化した現像処理条件への耐性の付与を対象にしたものが見当たらないことから推察される。
本発明者らは、色素が多層吸着したハロゲン化銀粒子を含む感光材料の、劣悪化した現像処理条件下での挙動を調べた。その結果、該感光材料は、漂白液および定着液の劣化により脱銀工程が劣悪化した条件で現像処理すると、粒状悪化を起こしやすい問題があることが判明した。
前述した事情から、色素多層吸着を適用した感光材料には、上記の脱銀工程が劣悪化した現像処理への対応策が必要な状況となった。
米国特許第4,956,269号 特開2000−89405号 米国特許2004/0146818A1号 特開2001−75226号 特開2001−75247号
本発明の目的は、脱銀工程の条件が劣悪化した現像処理を行なった場合においても良好な画質を維持することができる、色素が多層吸着したハロゲン化銀粒子を含む感光材料を実現することである。それにより、高感度で、かつ、現像処理条件のばらつきに対して安定に良好な画質を得ることができるハロゲン化銀カラー感光材料を提供することを目的としている。
本発明の課題は鋭意研究を行なった結果、下記の(1)〜(7)により達成されることを見出した。
(1) 支持体上に、それぞれ少なくとも1層のシアンカプラ−を含有する赤感光性乳剤層、マゼンタカプラ−を含有する緑感光性乳剤層、イエローカプラーを含有する青感光性乳剤層を有するハロゲン化銀カラー感光材料において、少なくとも1層の感光性乳剤層に色素が多層吸着しているハロゲン化銀粒子を含有し、かつ、該感光性乳剤層の主たる分光吸収波長域に対応する色相の残色粒状の値が1.1×10−3以下であることを特徴とする、ハロゲン化銀カラー感光材料。
(2) 前記残色粒状の値が8×10−4以下であることを特徴とする、前記(1)に記載のハロゲン化銀カラー感光材料。
(3) 支持体上に、それぞれ少なくとも1層のシアンカプラ−を含有する赤感光性乳剤層、マゼンタカプラ−を含有する緑感光性乳剤層、イエローカプラーを含有する青感光性乳剤層を有するハロゲン化銀カラー感光材料において、少なくとも1層の感光性乳剤層に色素が多層吸着しているハロゲン化銀粒子を含有し、かつ、シアン、マゼンタ、イエローのいずれの色相においても残色粒状の値が1.1×10−3以下であることを特徴とする、ハロゲン化銀カラー感光材料。
(4) 前記残色粒状の値が、シアン、マゼンタ、イエローのいずれの色相においても8×10−4以下であることを特徴とする、前記(3)に記載のハロゲン化銀カラー感光材料。
(5) 前記の、色素が多層吸着しているハロゲン化銀粒子を含有する感光性乳剤層の色素の含有量が1.1×10−5モル/m以下であることを特徴とする、前記(1)ないし(4)のいずれかに記載のハロゲン化銀カラー感光材料。
(6) 前記の、色素が多層吸着しているハロゲン化銀粒子において、ハロゲン化銀粒子表面に直接吸着している色素のうち、ベタイン色素の占める比率が16%以下であることを特徴とする、前記(1)ないし(5)のいずれかに記載のハロゲン化銀カラー感光材料。
(7) 下記化合物(A)を含有することを特徴とする、前記(1)ないし(6)のいずれかに記載のハロゲン化銀カラー感光材料。
化合物(A):ヘテロ原子を1個以上持つ複素環化合物であり、該化合物を添加することで添加しない場合よりも感度を増大させる化合物
本発明により、高感度で、かつ、脱銀工程の条件が劣悪化した現像処理を行なった場合においても良好な画質を維持することができるハロゲン化銀カラー感光材料が得られる。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の感光材料は、色素が多層吸着したハロゲン化銀粒子を含むことに加え、残色粒状の値が前述した値以下であることを特徴とする。
従来、現像処理後の感光材料に色素が残留することで生じる残色は、その存在場所の媒質(例えばゼラチンあるいはオイル等)により多少の濃度の差異はあるものの、粒状と認識されるような濃度の偏りは生じないものとされてきた。しかし、使用する色素の化学構造あるいは使用量等の条件によっては、色素の一部が、現像処理後の感光材料中で、団塊状に残留したり、あるいはハロゲン化銀粒子に吸着していた当時の位置から殆ど移動せずに残留することにより、粒状が生じる場合がある。本発明で言う残色粒状は、このようにして生じた粒状のことを指す。
本発明者らの検討結果によれば、色素が多層吸着したハロゲン化銀粒子を含む感光材料は、色素が多層吸着したハロゲン化銀粒子を含まない感光材料に対して、上記の残色粒状が生じ易い性質がある。
一方、前述したように、色素が多層吸着したハロゲン化銀粒子を含む感光材料には、漂白液および定着液の劣化により脱銀工程が劣悪化した条件で現像処理すると、粒状悪化を起こしやすい問題がある
本発明者らは、色素が多層吸着したハロゲン化銀粒子を含む感光材料を、塗布銀量、使用する増感色素種とその量、ハロゲン化銀対ゼラチンの比率等の種々の特性値を変えて試作し、これらの特性値と前記の粒状悪化の度合いとの関係を綿密に調べた。その結果、本発明者らは、色素が多層吸着したハロゲン化銀粒子を含む感光材料においては、下記に示す評価方法により導出される残色粒状の値が小さくなるように設計することで、前記の粒状悪化を低減できることを見出した。
この知見は、色素が多層吸着したハロゲン化銀粒子を含む感光材料に対して有効であるが、前記の粒状悪化を起こしにくい、色素が多層吸着したハロゲン化銀粒子を含まない感光材料では殆ど効果が得られなかった。
本発明において、残色粒状の値が小さくなるように設計することで、前記の粒状悪化を何故低減できるのかについては、未解明である。従って、本発明で推奨する残色粒状の値については、その物理的な意味を説明することはできない。残色粒状の値の推奨範囲は、実験結果から帰納的に求められたものである。
本発明における残色粒状の値は、以下の評価方法により導出される値である。
未露光、かつ有効期限内の感光材料を、下記の方法で処理したものを残色粒状測定試料とする。
処理は第1処理と第2処理から成り、第1処理のみを経た試料を測定試料Aと呼び、第1処理を経た後に第2処理を経た試料を測定試料Bと呼び、それぞれの試料についてRMS粒状度の測定を行う。
第1処理は、富士写真フイルム(株)製のカラーネガ処理であるCN−16X処理から発色現像工程を除き、更に各処理工程の時間および温度を変更したものである。
第1処理の処理工程を以下に示す。
(処理方法)
工程 処理時間 処理温度
漂 白 3分15秒 38℃
水 洗(1) 1分05秒 38℃
定 着 3分15秒 38℃
水 洗(2) 3分15秒 38℃
安 定 1分05秒 38℃
乾 燥 4分20秒 55℃。
次に、第1処理の処理液の組成を記す。
(漂白液) (単位g)
N−(2−カルボキシフェニル)イミノ二酢酸第二鉄五水塩 25.0
1,3−ジアミノプロパン四酢酸 2.0
3−ジアミノプロパン四酢酸第二鉄アンモニウム二水塩 25.0
コハク酸 60.0
マロン酸 7.0
グルタル酸 15.0
臭化ナトリウム 40.0
硝酸ナトリウム 30.0
水酸化ナトリウム 30.0
ジエタノールアミン 20.0
水を加えて 1.0L
pH(水酸化ナトリウムと硝酸にて調整) 4.2。
(定着液) (単位g)
1,3−ジアミノプロパン四酢酸 6.0
亜硫酸アンモニウム 20.0
チオ硫酸アンモニウム水溶液(750g/L) 270.0mL
酢酸(90%) 5.0
水を加えて 1.0L
pH(アンモニア水と硝酸にて調整) 6.4。
(安定液) (単位g)
p−ノニルフェノキシポリグリシドール
(グリシドール平均重合度10) 0.2
エチレンジアミン四酢酸 0.05
1,2,4−トリアゾール 1.3
1,4−ビス(1,2,4−トリアゾール−1−イルメチル)
ピペラジン 0.75
ヒドロキシ酢酸 0.02
ヒドロキシエチルセルロース 0.1
(ダイセル化学 HEC SP−2000)
1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン 0.05
水を加えて 1.0L
pH 8.5。
尚、映画撮影用カラーネガ感光材料の残色粒状を評価する場合は、バック面のレジンバックを取り除く工程を、第1処理の前に追加する必要がある。具体的には、映画撮影用カラーネガ感光材料の標準処理である、米国イーストマン ・コダック社製ECN−2処理に用いているプレバス液(PB−2)を27℃とした浴に10秒間浸漬後、27℃の水流に数秒間晒すことによりレジンバックを取り除く工程を行った後、第1処理を行えばよい。
次に、第2処理の処理工程を以下に示す。
(処理方法)
工程 処理時間 処理温度
脱 色(1) 7分30秒 38℃
脱 色(2) 7分30秒 38℃
水 洗 7分30秒 38℃
安 定 1分05秒 38℃
乾 燥 4分20秒 55℃
さらに、第2処理の処理液について説明する。
上記の脱色(1)浴および脱色(2)浴に用いる処理液は、前述の第1処理の(定着液)1リットルに対し、スイス国チバ・スペシャルティ・ケミカルズ・ホールディング社製TINOPAL SFPを1.595gを添加・溶解することにより調製する。
上記の安定浴に用いる処理液は、前述の第1処理の(安定液)と同じである。
上記の処理により得られる測定試料Aおよび測定試料BのRMS粒状度の値を、それぞれRMS値AおよびRMS値Bとした場合、RMS値AからRMS値Bを差し引いた値が本発明でいう残色粒状の値である。
RMS粒状度の測定には、アパーチャーサイズが48μm、ディフューズ濃度測定、分光応答度がANSI/13A IT2.40−2002のステータスMに準拠した仕様の、ミクロ濃度計を使用する。
上記のステータスMの分光応答度は3つのチャンネルで形成されるが、そのうち波長が600〜700nmの間に分光応答度のピークを持つチャンネルでミクロ濃度測定した結果得られるRMS粒状度および残色粒状の値が、本発明で言う色相がシアンのRMS粒状度および残色粒状の値であり、波長が500〜600nmの間に分光応答度のピークを持つチャンネルでミクロ濃度測定した結果得られるRMS粒状度および残色粒状の値が、本発明で言う色相がマゼンタのRMS粒状度および残色粒状の値であり、波長が400〜500nmの間に分光応答度のピークを持つチャンネルでミクロ濃度測定した結果得られるRMS粒状度および残色粒状の値が、本発明で言う色相がイエローのRMS粒状度および残色粒状の値である。
測定したエリア全体の平均濃度と局所濃度の差分の標準偏差を求めることにより得られる値がRMS値であり、その詳細は、T.H.ジェームズ著 ザ セオリー オブ ザ フォトグラフィック プロセス 4thエディション(1977年 マクミラン社刊)に解説されている。
また、本発明において、感光性乳剤層の主たる分光吸収波長域に対応する色相の残色粒状の値とは、以下に説明する通りである。
赤感光性乳剤層のように、分光吸収波長域の重心が600〜700nmの間に存在する場合、対応する色相はシアンであり、分光吸収波長域に対応する色相の残色粒状の値とは、前記のシアンの残色粒状の値を指す。同様に、緑感光性乳剤層のように、分光吸収波長域の重心が500〜600nmの間に存在する場合、分光吸収波長域に対応する色相の残色粒状の値は、前記のマゼンタの残色粒状の値を指し、青感光性乳剤層のように、分光吸収波長域の重心が400〜500nmの間に存在する場合、分光吸収波長域に対応する色相の残色粒状の値は、前記のイエローの残色粒状の値を指す。
本発明においては、色素が多層吸着しているハロゲン化銀粒子を含有する感光性乳剤層の主たる分光吸収波長域に対応する色相の残色粒状の値が、1.1×10−3以下であれば有効であり、8.0×10−4以下であることが好ましく、5.0×10−4以下であることがより好ましい。
更には、シアン、マゼンタおよびイエローの各色相における残色粒状の値が全て、1.1×10−3以下であることが好ましく、8.0×10−4以下であることがより好ましい。
残色粒状の色相がシアンとマゼンタ、マゼンタとイエロー等の複数の領域にまたがる場合は、それぞれの領域に該当する残色粒状の値を求め、各領域ごとに分けて取り扱えばよい。また、残色粒状が存在する層が1層あるいは複数のどちらであっても、感光材料トータルで、シアン、マゼンタ、イエローの各領域の残色粒状の値を求めて取り扱えばよい。
次いで、本発明の感光材料において、残色粒状の値を、本発明で推奨する小さい値にするための方法について説明する。
一般に、残色粒状の色相、およびその値は、感光材料の各層で使用する色素の化学構造および使用量だけではなく、ハロゲン化銀に吸着していた際の色素の会合状態や、色素が吸着していたハロゲン化銀粒子の粒子サイズおよび形状によっても変化する。また、色素が存在する層の、オイルやカプラー等の組成物の種類および量による影響も受ける。本発明においては、色素が多層吸着したハロゲン化銀粒子を含む感光性乳剤層における色素の使用量、および色素の化学構造の選択が重要である。
先ず、色素の使用量については、色素が多層吸着したハロゲン化銀粒子を含む感光性乳剤層の色素の含有量を1.1×10−5モル/m以下にすることが推奨される。そのためには、色素が多層吸着したハロゲン化銀粒子を使用する場合は、そうでない場合に対してハロゲン化銀粒子の量を減らした低銀設計にすることが好ましい。
特に、各感色性ユニットの最上層に色素が多層吸着したハロゲン化銀粒子を使用する場合、該最上層の色素の含有量を上記推奨範囲にすることは、下層への光到達量を適正な値以上に維持する意味でも好ましい。最上層の色素含有量が多すぎて下層への光到達量が少なくなると、下層の感度を適正な水準に維持することが困難になる。
次に、色素が多層吸着したハロゲン化銀粒子に使用される色素の化学構造の選択については、色素のJ会合性と親疎水性を考慮することが重要である。
先ずJ会合性については、残色粒状の値を小さくするという観点だけで考えるとJ会合は強固でない方が好ましいが、色素多層吸着構造の安定性を実用上必要な程度まで付与するためには、比較的強固なJ会合を形成する色素であることが必要条件となる。従って、本発明において、色素が多層吸着したハロゲン化銀粒子に、J会合性が弱い色素を選択することは困難である。
一方、親疎水性に関しては、親水的であることが好ましい。親水性は色素の電荷の価数を多くすることで容易に付与することができるが、価数が多すぎるとJ会合性が弱くなるため、前記の事情により、色素が多層吸着したハロゲン化銀粒子に使用することが困難となる。
本発明者らの検討では、アニオン性の色素については、電荷の価数が1価または2価であることが好ましく、1価であることがより好ましい。カチオン性の色素については、電荷の価数が1価ないしは3価であることが好ましい。
電荷を持たないベタイン色素については、その使用比率が少ないことが好ましい。色素が多層吸着したハロゲン化銀粒子でベタイン色素を用いる際は、ハロゲン化銀粒子表面に直接吸着させる場合が多いが、本発明においては、ハロゲン化銀粒子に直接吸着している色素のうちベタイン色素の占める比率(モル比率)を16%以下にすることが好ましい。
本発明に用いる、色素多層吸着について、更に説明する。
本発明において、色素が多層吸着しているとは、ハロゲン化銀粒子表面上に色素(発色団)が1層より多く吸着(別の表現をすると、積層)していることを意味する。
具体的には、例えば、分子間力を利用することで色素をハロゲン化銀粒子表面へ1層飽和被覆量より多く吸着させたり、複数の発色団からなる化合物(いわゆる多発色団色素化合物、又は連結型色素)(該化合物において複数の発色団は共役していない方が好ましい)をハロゲン化銀粒子に吸着させる方法などが挙げられ、以下に示した特許の中に記載されている。これらの中では、多層吸着が、色素同士が共有結合以外の引力によって相互に結合することにより成立していることが好ましい。
特開平10-239789号、特開平11-133531号、特開2000-267216号、特開2000-275772号、特開2001-75222号、特開2001-75247号、特開2001-75221号、特開2001-75226号、特開2001-75223号、特開2001-255615号、特開2002-23294号、特開2002-99053号、特開2002-148767号、特開平2002-287309、特開2002-351004号、特開2002-365752号、特開2003-121956号、特開2004-184596号、特開2004-191926号、特開2004-219784号、特開2004-280062号、特開平10-171058号、特開平10-186559号、特開平10-197980号、特開2000-81678号、特開2001-5132号、特開2001-13614号、特開2001-166413号、特開2002-49113号、特開2003-177486号、特開昭64-91134号、特開平10-110107号、特開平10-226758号、特開平10-307358号、特開平10-307359号、特開平10-310715号、特開2000-231174号、特開2000-231172号、特開2000-231173号、特開2001-356442号、特開2002-55406号、特開2002-169258号、特開2003-121957号、欧州特許第985965A号、欧州特許第985964A号、欧州特許第985966A号、欧州特許第985967A号、欧州特許第1085372A号、欧州特許第1085373A号、欧州特許第1172688A号、欧州特許第1199595A号、欧州特許第887700A1号、米国特許6699652B1号、米国特許6790602B2号、米国特許6794121B2号、米国特許6787297B1号、欧州特許第1439417A1号、米国特許2004/0142288A1号、米国特許2004/0146818A1号。
更に、特開平10-239789号、特開平10-171058号、特開2001-75222号、特開平2002-287309、特開2004-184596号、特開2004-191926号に示した特許に記載されている技術と併用することが好ましい。
ハロゲン化銀粒子表面上に色素が多層吸着していることを、詳細に定義すると、該乳剤に添加される色素(発色団)のうち、ハロゲン化銀粒子表面の色素占有面積が最も小さい色素(発色団)によって到達する単位表面積あたりの飽和吸着量を1層飽和被覆量とし、この1層飽和被覆量に対して色素(発色団)の単位面積当たりの吸着量が多い状態をいう。また、吸着層数は1層飽和被覆量を基準とした時に単位粒子表面積あたりの色素(発色団)の吸着量を意味する。ここで、多発色団色素化合物の場合には、各々連結しない状態での個々の色素発色団を有する色素の色素占有面積を基準とすることができる。例えば、連結部位をアルキル基やアルキルスルホン酸基に変更した、1つの色素発色団を有する色素を挙げることができる。
色素占有面積は、遊離色素濃度と吸着色素量の関係を示す吸着等温線、および粒子表面積から求めることが出来る。吸着等温線は、例えばエー・ハーツ(A.Herz)らのアドソープション フロム アクエアス ソリューション(Adsorption from Aqueous Solution)アドバンシーズ イン ケミストリー シリーズ(Advances in Chemistry Series)No.17、173ページ(1968年)などを参考にして求めることが出来る。
色素の乳剤粒子への吸着量は、色素を吸着させた乳剤を遠心分離器にかけて乳剤粒子と上澄みのゼラチン水溶液に分離し、上澄み液の分光吸収測定から未吸着色素濃度を求めて添加色素量から差し引くことで吸着色素量を求める方法と、沈殿した乳剤粒子を乾燥し、一定質量の沈殿をハロゲン化銀可溶剤と色素可溶剤に、例えばチオ硫酸ナトリウム水溶液とメタノールの混合液に溶解し、分光吸収測定することで吸着色素量を求める方法の2つの方法を用いることが出来る。複数種の増感色素を用いている場合には高速液体クロマトグラフィーなどの手法で個々の色素について吸着量を求めることも出来る。
上澄み液中の色素量を定量することで色素吸着量を求める方法は、例えばダブリュー・ウエスト(W.West)らのジャーナル オブ フィジカル ケミストリー(Journal of Physical Chemistry)第56巻、第1054頁(1952年)などを参考にすることができる。しかし、色素添加量の多い条件では未吸着色素までも沈降することがあり、上澄み中の色素濃度を定量する方法では必ずしも正しい吸着量を得られないことがあった。
一方沈降したハロゲン化銀粒子を溶解して色素吸着量を測定する方法であれば乳剤粒子の方が圧倒的に沈降速度が速いため粒子と沈降した色素は容易に分離でき、粒子に吸着した色素量だけを正確に測定できる。この方法が色素吸着量を求める方法として最も信頼性が高い。
ハロゲン化銀粒子表面積の測定方法の一例としては、レプリカ法による透過電子顕微鏡写真を撮影して、個々の粒子の形状とサイズを求め算出する方法がある。この場合、平板状粒子において厚みはレプリカの影(シャドー)の長さから算出する。透過型電子顕微鏡写真の撮影方法としては、例えば、日本電子顕微鏡学会関東支部編「電子顕微鏡試料技術集」誠分堂新光社1970年刊、バターワーズ社(Buttwrworths)、ロンドン、1965刊、ピー・ビー・ヒルシュ(P.B.Hirsch)らのエレクトロン マイクロスコープ オブ チン クリスタル(Electron Microscopy of Thin Crystals)を参考にすることができる。
他の方法としては、例えばエイ・エム・クラギン(A.M.Kragin)らのらのジャーナル オブ フォトグラフィック サイエンス(The Journal of Photographic Science)第14巻、第185頁(1966年)、ジェイ・エフ・パディ(J.F.Paddy)のトランスアクションズ オブ ザ ファラデ− ソサイアティ(Transactions of the Faraday Society)第60巻、第1325頁(1964年)、エス・ボヤー(S.Boyer)らのジュナル デ シミフィジク エ デ フィジコシミ ビジョロジク(Journal de Chimie Physique et de Physicochimie biologique)第63巻、第1123頁(1963年)、ダブリュー・ウエスト(W.West)らのジャーナル オブ フィジカル ケミストリー(Journal of Physical Chemistry)第56巻、第1054頁(1952年)、エイチ・ソーヴエニアー(H.Sauvenier)編集、イー・クライン(E.Klein)らのインターナショナル・コロキウム(International Coloquium)、リエージュ(Liege)、1959年、「サイエンティフィック フォトグラフィー(Scientific Photography)」などを参考にすることができる。
色素占有面積は上記の方法で個々の場合について実験的に求められるが、通常用いられる増感色素の分子占有面積はほぼ0.8nm2付近であるので、簡易的にすべての色素について色素占有面積を0.8nm2としておおよその吸着層数を見積もることもできる。
色素が多層吸着しているハロゲン化銀粒子を含有する乳剤を、本発明で用いる場合、該乳剤における色素(発色団)の吸着層数は、好ましくは1.3層以上、さらに好ましくは1.5層以上である。なお、上限は特にないが、5層以下が好ましく、3層以下がさらに好ましく、特に好ましくは2層以下である。
分子間力を利用することによる色素発色団の多層吸着について説明する。該多層吸着は、ハロゲン化銀粒子表面上への色素発色団の多層吸着が共有結合以外の引力によって色素発色団同士が相互に結合することにより成立している場合を指す。
共有結合以外の引力としてはいかなるものでも良いが、例えば、ファン・デル・ワールス(van der Waals)力(さらに細かくは、永久双極子−永久双極子間に働く配向力、永久双極子−誘起双極子間に働く誘起力、一時双極子−誘起双極子間に働く分散力に分けて表現できる。)、電荷移動力(CT)、クーロン力(静電力)、疎水結合力、水素結合力、配位結合力などが挙げられる。これらの結合力は、1つだけ利用することも、また任意のものを複数組み合わせて用いることもできる。
好ましくは、ファン・デル・ワールス力、電荷移動力、クーロン力、疎水結合力、水素結合力であり、さらに好ましくはファン・デル・ワールス力、クーロン力、水素結合力であり、特に好ましくはファン・デル・ワールス力、クーロン力である。
相互に結合しているとは、これらの引力によって色素発色団が拘束されていることを意味する。別の表現で説明すると、引力のエネルギー(すなわち吸着エネルギー(△G))として好ましくは15kJ/mol以上、さらに好ましくは20kJ/mol以上、特に好ましくは40kJ/mol以上の場合である。上限は特にないが、好ましくは5000kJ/mol以下、さらに好ましくは1000kJ/mol以下である。
具体的には、例えば、特開平10−239789号に記載されている芳香族基を持つ色素、又は芳香族基を持つカチオン性増感色素とアニオン性増感色素を併用する方法、特開平10−171058号に記載されている多価電荷を持つ色素を用いる方法、特開平10−186559号に記載されている疎水性基を持つ色素を用いる方法、特開平10−197980号に記載されている配位結合基を持つ色素を用いる方法、特開2001−5132号に記載されている3核性塩基性核を持つ色素を用いる方法、特開2001−13614号に記載されている特定の親疎水性を持つ色素を用いる方法、特開2001−75220号に記載されている特定の分子内塩基型の色素を用いる方法、特開2001−75221号に記載されているシアニン以外の特定の色素を用いる方法、特開2001−152038号に記載されている特定のpKaの酸解離性基を持つ色素を用いる方法、特開2001−166413号、特開2001−323180号,特開2001−337409号に記載されている特定の水素結合基を持つ色素を用いる方法、特開2001−209143号に記載されている特定の蛍光量子収率を持つ色素を用いる方法、特開2001−264913号に記載されている特定の消色する色素を用いる方法、特開2001−343720号に記載されているゲル状マトリックスに含まれる色素を用いる方法、特開2002−23294号に記載されている特定の赤外色素を用いる方法、特開2002−99053号に記載されている特定の電位を持つ色素を用いる方法、欧州特許第0985964号、同0985965号、同0985966号、同0985967号、同1085372号、同1085373号、同1172688号、同1199595号、米国特許6699652B1号、米国特許6790602B2号、米国特許6794121B2号、米国特許6787297B1号、欧州特許第1439417A1号、米国特許2004/0142288A1号、米国特許2004/0146818A1号に記載されている特定のカチオン性増感色素を用いる方法などを用いることができる。
ここで、本発明において特に好ましく用いられるクーロン力を利用することによる色素発色団の多層吸着について、さらに説明する。
クーロン力を利用することによる多層吸着においては、カチオン性の置換基を有する色素とアニオン性の置換基を有する色素を併用して用いる。該方法については、例えば、特開平10−171058号、特開平10−104774号、特開平2004−280062号、欧州特許出願公開第0985965A号、欧州特許出願公開第0985967A号、欧州特許出願公開第1085373A号、欧州特許出願公開第1172688A号、欧州特許出願公開第1199595A号、米国特許2004/0146818A1号に記載の色素を用いることができる。
カチオン性の置換基の例としては、アンモニオ基、ピリジニオ基、グアニジノ基、アミニジノ基などが挙げられる。これらを置換基として有する、アルキル基、アリル基、アリール基もカチオン性置換基に含まれる。具体的には、3-(トリメチルアンモニオ)プロピル、3-(4-アンモニオブチル)、3-(4-グアニジノブチル)などが挙げられる。また、アミノアルキル基のような、プロトン付加によりハロゲン化銀乳剤溶融体中で正電荷を帯びるような置換基もカチオン性置換基に含まれる。具体的には、3-(3-アミノプロピル)、3-(3-ジメチルアミノプロピル)、などのような置換基が挙げられる。
アニオン性の置換基の例としては、スルホ基、硫酸基、燐酸基、カルボキシル基、カルバモイル基、スルファモイル基などが挙げられる。好ましくはスルホ基である。これらを置換基として有するアルキル基、アリル基、アリール基もカチオン性置換基に含まれる。具体的には、3-スルホプロピル、2カルボキシエチル、4-スルホブチルなどの置換基が挙げられる。
本発明において、ハロゲン化銀粒子と直接接した1層目色素はアニオン性の置換基を有するシアニン色素が好ましい。2層目色素はカチオン性の置換基を有する色素が好ましい。2層目のカチオン性の置換基を有する色素は、シアニン色素またはメロシアニン色素であることが好ましい。2層目のカチオン性の置換基を有する色素は、1層目のアニオン性の置換基を有する色素添加量の25〜130%を添加するのが好ましく、さらに好ましくは40〜100%である。
吸着色素層の最外層にカチオン性置換基を有する色素が存在する場合には、アニオン性界面活性剤により脱着が生じることがあり、これに対する対策が必要である。有効な方策の一つが2層目のカチオン性置換基を有する色素が大サイズのJ会合体を形成することである。大サイズのJ会合体を形成するための方法として、好ましくはゼラチン水溶液中でJ会合性の高い色素を2層目色素として用いることが挙げられる、また、大サイズのJ会合体を形成するための別の方法としては、色素の吸脱着過反応を加速することが有効であり、具体的には吸着温度を上昇させる、あるいは適量の色素溶剤を共存させることが好ましい場合がある。
アニオン性の界面活性剤による2層目色素の脱着を抑制するためのより好ましい方法は、負電荷を有する化合物を最外層に吸着させることである。負電荷を有する化合物はアニオン性の置換基を有する色素であっても良く、また色素以外の化合物でもかまわない。感度向上を最優先にする場合には、アニオン性置換基を有する色素を最外層に用いるのが好ましいが、目的によっては色素以外のアニオン性化合物を最外層に吸着させることがより好ましい場合もある。最外層のアニオン性化合物の吸着量は一層目色素の吸着量に対して、好ましくは25%以上、さらに好ましくは40%以上である。吸着最外層の電荷の尺度としては、ゼータ電位を用いることができる。本発明において、多層吸着した乳剤粒子のゼータ電位は+50mVよりも負であることが好ましく、さらに好ましくは+15mVよりも負であり、特に好ましくは−20mVよりも負である。
本発明においては、カチオン性置換基を有する色素はアニオン性界面活性剤および/または有機溶媒を含有しない水系分散物の形態で添加することが推奨される。これらカチオン性置換基を有する色素の水系分散物の濃度は0.2質量%以上が好ましく、0.5質量%以上の濃度であることがより好ましい。水系分散物の形態で色素を添加することにより、多層吸着の均一性が向上するため、色素が多層吸着したハロゲン化銀乳剤を安定に製造することが可能となる。
本発明では、カチオン性置換基を有する色素を機械的に粉砕することにより、平均直径が30マイクロメーター以下、好ましくは20マイクロメーター以下、より好ましくは10マイクロメーター以下の微粒子の形にして水中に分散させた固体分散物の形態で添加する。平均直径の分布は狭く単分散である方が好ましい。水中に分散された微粒子の直径は光学顕微鏡、またはレーザー光源から発せられる光が微粒子によって回折散乱されて得られるパタ−ンから測定することができる。増感色素を水中で機械的に粉砕するには、種々の分散機が有効に用いられる。具体的には、高速攪拌機、ボールミル、サンドミル、コロイドミル、アトライター、超音波分散機などが用いられる。
この時、本発明においては後述のアニオン性界面活性剤を実質的に用いないで分散することが推奨される。実質的に用いないとは、該界面活性剤の濃度が0.1質量%以下であることを意味する。該界面活性剤の濃度は、好ましくは0.01質量%以下であり、ゼロであることが最も好ましい。
カチオン性置換基を有する色素を水に分散する温度は、好ましくは20℃から80℃の範囲であり、より好ましくは40℃から60℃の範囲である。カチオン性置換基を有する色素の分散物は、耐沈降性をもたせるために水溶性ポリマーと混合して、例えば30℃以下の温度で長期保存または冷蔵することが可能である。
1層目色素の添加後、2層目色素の添加までの間に化学増感が行われることが好ましい。また、化学増感終了後、2層目色素の添加までの間に、メルカプト基やチオカルボニル基などハロゲン化銀に強く結合する基を含む化合物を添加することが好ましい。特に好ましくはメルカプトテトラゾール類であり、具体的には例えば特開2002−139812号公報の段落[0029]〜[0033]に記載の化合物などが挙げられる。
次に複数の色素発色団からなる化合物をハロゲン化銀粒子に吸着させることによる多層吸着について説明する。該多発色団色素化合物は、複数の色素発色団を含む色素化合物である。
該化合物において、複数の色素発色団は、共有結合、又は配位結合で連結されることが可能であるが、好ましくは共有結合で連結されている場合である。(なお、配位結合については、前述の分子間力の一つとみなすこともできる。)
また、該化合物において、共有結合、又は配位結合は予め形成されていても、感光材料を作成する過程(例えばハロゲン化銀乳剤中)で形成されていても良い。後者の方法については、例えば、特開2000−81678号公報に記載の方法などを利用することができる。好ましくは結合が予め形成されている場合である。
多発色団色素化合物における、色素発色団の数は少なくとも2つあればいかなる数でも良いが、好ましくは2〜5個、さらに好ましくは2及び3個、特に好ましくは2個である。複数の色素発色団は同一でも異なってもよい。
多発色団色素化合物の例としては、例えば、特開昭64−91134号および特開平9−265144号の各公報に記載されているメチン鎖で連結された多発色団色素、特開平10−226758号公報に記載されているオキソノール染料が連結された多発色団色素、特開平10−110107号、同10−307358号、同10−307359号および同10−310715号の各公報に記載されているベンゾイミダゾール核等を持つ特定の多発色団色素、特開平9−265143号、特開2000−231172号、同2000−231173号、同2002−55406号、同2002−82403号、同2002−82404号および同2002−82405号の各公報に記載されている特定の基で連結された多発色団色素、特開2000−81678号公報に記載されている反応性基を持つ色素を用い乳剤中で生成した多発色団色素、特開2000−231174号公報に記載されている特定のベンゾオキサゾール核を持つ特定の多発色団色素、特開2001−311015号公報に記載されている特定の特性又は解離基を持つ多発色団色素、特開2001−356442号公報に記載されている特定の特性を持つ多発色団色素、特開2002−90927号公報に記載されている特定のメロシアニンを持つ多発色団色素、特開2002−90928号、同2002−90929号公報に記載されている特定の解離基を持つ多発色団色素、などが挙げられる。
以下に、本発明において、色素が多層吸着したハロゲン化銀粒子よりなる乳剤に、好ましく使用される色素の具体例を示すが、本発明はこれらの色素に限定されない。
Figure 2006235514
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Figure 2006235514
Figure 2006235514
SI-51:R=(CH2)3SO3、M=HN(C2H5)3
SII-51:R=(CH2)3N(CH3)3、M=Br
SII-52:R=(CH2)3N(CH3)2(CH2CH2OH)、M=PTS
Figure 2006235514
SI-53:R=(CH2)3SO3、M=HN(C2H5)3
SII-53:R=(CH2)3N(CH3)3、M=CH3SO3
SII-54:R=(CH2)3N(CH3)(CH2CH2OH)2、M=CH3SO3
Figure 2006235514
SI-55:R=(CH2)3SO3、M=HN(C2H5)3
SII-55:R=(CH2)4N(CH3)3、M=CH3SO3
SII-56:R=(CH2)4N(CH3)(CH2CH2OH)2、M=CH3SO3
Figure 2006235514
SI-57:R=(CH2)3SO3、M=HN(C2H5)3
SII-57:R=(CH2)4N(CH3)3、M=CH3SO3
SII-58:R=(CH2)4N(CH3)(CH2CH2OH)2、M=CH3SO3
Figure 2006235514
Figure 2006235514
Figure 2006235514
前述の色素は、エフ・エム・ハーマー(F.M.Harmer)著「ヘテロサイクリック・コンパウンズ−シアニンダイズ・アンド・リレィティド・コンパウンズ(Heterocyclic Compounds-Cyanine Dyes and Related Compounds)」、ジョン・ウィリー・アンド・サンズ(John Wiley & Sons)社−ニューヨーク、ロンドン(1964年)、デー・エム・スターマー(D.M.Sturmer) 著「ヘテロサイクリック・コンパウンズ−スペシャル・トピックス・イン・ヘテロサイクリック・ケミストリー(Heterocyclic Compounds-Special topics in heterocyclic chemistry) 」、第18章、第14節、第482から515項、ジョン・ウィリー・アンド・サンズ(John Wiley & Sons) 社−ニューヨーク、ロンドン(1977年)、「ロッズ・ケミストリー・オブ・カーボン・コンパウンズ(Rodd's Chemistry of Carbon Compounds)」、第2版、第IV巻、パートB、(1977年)、第15章、第369から422項、エルセビア・サイエンス・パブリック・カンパニー・インク(Elsevier Science Publishing Company Inc.)社刊、ニューヨーク、などに記載の方法に基づいて合成することができる。
増感色素とともに、それ自身分光増感作用を持たない色素あるいは可視光を実質的に吸収しない物質であって、強色増感を示す物質を乳剤中に含んで良い。
有用な強色増感剤(例えば、ピリミジルアミノ化合物、トリアジニルアミノ化合物、アゾリウム化合物、アミノスチリル化合物、芳香族有機酸ホルムアルデヒド縮合物、アザインデン化合物、カドミウム塩)、及び強色増感剤と増感色素の組み合わせは、例えば米国特許第3,511,664号、同3,615,613号、同3,615,632号、同3,615,641号、同4,596,767号、同4,945,038号、同4,965,182号、同4,965,182号、同2,933,390号、同3,635,721号、同3,743,510号、同3,617,295号、同3,635,721号等に記載されており、その使用法に関しても上記の特許に記載されている方法が好ましい。
本発明の感光材料では、色素多層吸着を適用した乳剤と、色素多層吸着を適用していない乳剤とを併用することができる。以下、色素多層吸着の適用の有無に関わらず、本発明の感光材料で使用するハロゲン化銀乳剤について説明する。ハロゲン化銀粒子の形状については、立方体、8面体、14面体などの正常晶粒子や不定形の双晶粒子より成るハロゲン化銀乳剤を使用することもできるが、以下に説明する平板粒子より成るハロゲン化銀乳剤を使用することが好ましい。
本発明に好ましく使用されるハロゲン化銀粒子は、その組成が沃臭化銀、臭化銀または塩沃臭化銀粒子である。塩化銀含有率は、好ましくは8モル%以下、より好ましくは3モル%以下である。沃化銀含有率については、ハロゲン化銀全粒子の円相当径の変動係数が40%以下であることが好ましいので、20モル%以下が好ましい。沃化銀含有率を低下させることにより円相当径の分布の変動係数を小さくすることが容易になる。特に平板粒子乳剤では、該変動係数の沃化銀含有率依存性が大きいので注意が必要である。更に言うと、円相当径の変動係数は25%以下であり、沃化銀含有率は10モル%以下とし場合がより好ましい。
粒子の形状は平板粒子であることが好ましく、平均粒子厚みが0.2μm以下の薄い平板粒子であることがより好ましく、平均粒子厚みが0.15μm以下であることが特に好ましい。平板粒子の粒子厚み及び円相当径は、レプリカ法による透過電子顕微鏡写真を撮影し、厚みはレプリカの影(シャドー)の長さから算出し、円相当径は粒子の投影面積から算出する方法で容易に求められる。円相当径とは、粒子の投影面積と等しい面積を有する円の直径を指す。平板粒子における、厚みに対する円相当径の比をアスペクト比と呼ぶ。
好ましい平板粒子の形状は、6角形である。6角形の形状とは平板粒子の主表面の形状が6角形であり、その隣接辺比率(最大辺長/最小辺長)が2以下の形状をなすことである。好ましくは、隣接辺比率が1.6以下、より好ましくは隣接辺比率が1.2以下である。下限は、1.0であることは言うまでもない。
高アスペクト比粒子において特に、平板粒子中に三角平板粒子が増加する。三角平板粒子は、オストワルド熟成が進みすぎた場合に出現する。実質的に6角平板粒子を得るためには、この熟成を行う時間をできるだけ短くすることが好ましい。そのためには平板粒子の比率を核形成により高める工夫をしなければならない。斎藤による特開昭63−11928号公報に記載されているように、銀イオンと臭化物イオンをダブルジェット法により反応液中に添加する際、6角平板粒子の発生確率を高めるためには、銀イオン水溶液と臭化物イオン水溶液の一方もしくは、両方の溶液がゼラチンを含むことが好ましい。
前述の6角平板粒子は、核形成・オストワルド熟成・成長工程により形成される。これらいずれの工程も粒子サイズ分布の広がりを抑える上で重要であるが、前の工程で生じたサイズ分布の広がりを後の工程で狭めることは不可能であるため、最初の核形成過程においてサイズ分布に広がりが生じないように注意しなければならない。
核形成過程において重要な点は、銀イオンと臭化物イオンをダブルジェット法により反応液中に添加し、沈殿を生じさせる核形成時間と、反応溶液の温度との関係である。斎藤による特開昭63−92942号公報には、単分散性をよくするために核形成時の反応溶液の温度は20〜45℃の領域が好ましいと記載されている。また、ゾラ等による特開平2−222940号公報には、核形成時の好ましい温度は、60℃以下であると述べられている。
アスペクト比が大きく、かつ単分散な平板粒子を得る目的で、粒子形成中にゼラチンを追添加する場合がある。この時、使用するゼラチンとしては、後述する化学修飾ゼラチンを用いるのが好ましい。アミノ基を化学修飾した際に新たにカルボキシル基が導入されたゼラチンであることが好ましく、特にフタル化ゼラチン、トリメリット化ゼラチン及びコハク化ゼラチンは好ましく用いることができる。
前述のゼラチンは、成長工程前に添加することが好ましいが、さらに好ましくは核形成直後に添加するのがよい。添加量は、粒子形成中の全分散媒の質量に対して好ましくは60%以上、より好ましくは80%以上、特に好ましくは90%以上がよい。
前述の平板粒子は沃化銀分布について粒子内で構造を有していることが好ましい。この場合、沃化銀分布の構造は2重構造、3重構造、4重構造さらにはそれ以上の構造があり得る。
本発明において、平板粒子は転位線を有することが好ましい。平板粒子の転位線は、例えばJ.F.ハミルトン(Hamilton),Phot.Sci.Eng.,11,57,(1967)やT.シオザワ(Shiozawa),J.Soc.Phot.Sci.Japan,3,5,213,(1972)に記載の、低温での透過型電子顕微鏡を用いた直接的な方法により観察することができる。すなわち乳剤から粒子に転位線が発生するほどの圧力をかけないよう注意して取り出したハロゲン化銀粒子を電子顕微鏡観察用のメッシュにのせ、電子線による損傷(プリントアウト等)を防ぐように試料を冷却した状態で透過法により観察を行う。この時粒子の厚みが厚い程、電子線が透過しにくくなるので高圧型(0.25μmの厚さの粒子に対して加速電圧200kV以上)の電子顕微鏡を用いた方がより鮮明に観察することができる。このような方法により得られた粒子の写真より、主表面に対して垂直方向から見た場合の各粒子についての転位線の位置および数を求めることができる。
本発明においては、全投影面積の50%以上の平板粒子が、1粒子当り15本以上の転位線を有することが好ましく、1粒子当り20本以上の転位線を有することがより好ましい。1粒子当りの転位線本数の平均値は、10本以上が好ましく、20本以上がより好ましい。転位線が密集して存在する場合、または転位線が互いに交わって観察される場合には、1粒子当りの転位線の数は明確には数えることができない場合がある。しかしながら、これらの場合においても、おおよそ10本、20本、30本という程度には数えることが可能であり、明らかに、数本しか存在しない場合とは区別できる。転位線の数の1粒子当りの平均数については100粒子以上について転位線の数を数えて、数平均として求める。数百に及ぶ転位線が認められる場合もある。
転位線は、例えば平板粒子の外周近傍に導入することができる。この場合転位は外周にほぼ垂直であり、平板粒子の中心から辺(外周)までの距離の長さのx%の位置から始まり外周に至るように転位線が発生している。このxの値は好ましくは10以上100未満であり、より好ましくは30以上99未満であり、最も好ましくは50以上98未満である。この時、この転位線の開始する位置を結んでつくられる形状は粒子形と相似に近いが、完全な相似形ではなく、ゆがむことがある。この型の転位数は粒子の中心領域には見られない。転位線の方向は結晶学的におおよそ(211)方向であるがしばしば蛇行しており、また互いに交わっていることもある。
また平板粒子の外周上の全域に渡ってほぼ均一に転位線を有していても、外周上の局所的な位置に転位線を有していてもよい。すなわち六角形平板ハロゲン化銀粒子を例にとると、6つの頂点の近傍のみに転位線が限定されていてもよいし、そのうちの1つの頂点近傍のみに転位線が限定されていてもよい。逆に6つの頂点近傍を除く辺のみに転位線が限定されていてもよい。
また平板粒子の平行な2つの主表面の中心を含む領域に渡って転位線が形成されていてもよい。主表面の全域に渡って転位線が形成されている場合には転位線の方向は主表面に垂直な方向から見ると結晶学的におおよそ(211)方向の場合もあるが(110)方向またはランダムに形成されている場合もあり、さらに各転位線の長さもランダムであり、主表面上に短い線として観察される場合と、長い線として辺(外周)まで到達して観察される場合がある。転位線は直線のこともあれば蛇行していることも多い。また、多くの場合互いに交わっている。
転位線の位置は以上のように外周上または主表面上または局所的な位置に限定されていてもよいし、これらが組み合わされて、形成されていてもよい。すなわち、外周上の主表面上に同時に存在していてもよい。
次に、本発明の感光材料で用いるハロゲン化銀乳剤に含まれる分散媒について説明する。
通常の場合、分散媒はゼラチンを用いることが好ましいが、その他に、ゼラチン誘導体、ゼラチンと他の高分子とのグラフトポリマー、アルブミン、カゼイン等の蛋白質;ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、セルロース硫酸エステル類等の如きセルロース誘導体、アルギン酸ソーダ、澱粉誘導体などの糖誘導体;ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコール部分アセタール、ポリ−N−ピニルピロリドン、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリビニルイミダゾール、ポリビニルピラゾール等の単一あるいは共重合体の如き多種の合成親水性高分子物質を用いることができる。
本発明の感光材料で使用するハロゲン化銀乳剤では、粒子形成時あるいは脱塩水洗後の分散時に、NH2基修飾ゼラチンを用いると好ましい場合が多い。以下、本発明において好ましく用いられるNH基修飾ゼラチンについて説明する。
ゼラチン中の−NH基としてはゼラチン分子の末端基のアミノ基、リジン基、ヒドロキシリジン基、ヒスチジン基、アルギニン基のアミノ基の他、アルギニン基がオルニチン基に変換されていれば、そのアミノ基を挙げる事ができる。更にアデニン、グアニン基等の不純物基も挙げる事ができる。NH基の化学修飾とはゼラチンに反応試薬を添加し、該−NH基と反応させ、共有結合を形成または脱アミノ化する事である。即ち、一級アミノ基(−NH)を2級アミノ基(−NH−)、3級アミノ基、または脱アミノ化体に変化させる事を指す。
具体的には、例えば酸無水物(マレイン酸無水物、o−フタル酸無水物、コハク酸無水物、イサト酸無水物、安息香酸無水物等)、酸ハロゲン化物(R−COX、R−SO2X、R−O−COX、フェニル−COCl等)、アルデヒド基を有する化合物(R−CHO等)、エポキシ基を有する化合物、脱アミノ基剤(HNO2、デアミナーゼ等)、活性エステル化合物(スルホン酸エステル、p−ニトロフェニルアセテート、イソプロペニルアセテート、メチルo−クロロベンゾエート、p−ニトロフェニルベンゾエート等)、イソシアネート化合物(アリールイソシアネート等)、活性ハロゲン化合物、例えば〔アリールハライド(ベンジルブロミド、ビフェニルハロメタン類、ベンゾイルハロメタン、フェニルベンゾイルハロメタン、1-フルオロ-2.4-ジニトロベンゼン)、β-ケトハライド、α-ハロ脂肪族酸、β-ハロニトリル、(s-トリアジン、ピリミジン、ピリダジン、ピラジン、ピリダゾン、キノキサリン、キナゾリン、フタラジン、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾイミダゾール)のクロル誘導体〕、カルバモイル化剤(シアネート、ニトロ尿素等)、アクリル型活性2重結合基を有する化合物(マレイミド、アクリルアミン、アクリルアミド、アクリロニトリル、メチルメタアクリレート、ビニルスルホン、ビニルスルホネート エステル、スルホンアミド、スチレン及びビニルピリジン、アリルアミン、ブタジエン、イソプレン、クロロプレン等)、スルトン類(ブタンスルトン、プロパンスルトン)、グアニジン化剤(o-メチルイソ尿素等)、カルボキシルアジド等を加え、反応させる事により達成する事ができる。
この場合、ゼラチンの−OH基や−COOH基とも反応し、共有結合を形成する試薬よりは主としてゼラチンの−NH2基と反応する試薬がより好ましい。主としては、60%以上、好ましくは80〜100%、より好ましくは95〜100%を指す。更には該反応生成物が、(エーテル基やケトン基の酸素がカルコゲン原子に置き代った基、例えば−S−、チオン基)を実質的に含まない態様がより好ましい。ここで実質的に含まないとは該化学修飾された基数の好ましくは10%以下、より好ましくは0〜3%を指す。従って前記の内、酸無水物、スルトン類、活性2重結合基を有する化合物、カルバモイル化剤、活性ハロゲン化合物、イソシアネート化合物、活性エステル化合物、アルデヒドを有する化合物、脱アミノ基剤がより好ましい。該化学修飾により、ゼラチン分子間で架橋が実質的にできない態様がより好ましい。ここで実質的にできないとは、該化学修飾された基の10%以下が好ましく、0〜3%が更に好ましい。
更に言うと、−NH2基が1個修飾される毎に−COOH基が1ないし3個導入される形の化学修飾が好ましく、−NH2基が1個修飾される毎に−COOH基が1個導入される形の化学修飾がより好ましい。化学修飾に用いる試薬としては、−NH2基が1個につき−COOH基を1個導入する場合は無水コハク酸、無水フタル酸、無水マレイン酸が挙げられ、−COOH基を2個導入する場合は無水トリメリット酸、−COOH基を3導入する場合は無水ピロメリット酸が各々挙げられる。
該化学修飾剤およびゼラチンの該化学修飾法のその他の詳細に関しては、特開平4−226449、特開昭50−3329号、米国特許第2525753号、同2614928号、同2614929号、同2763639号、同2594293号、同3132945号の各公報および明細書、安孫子義弘編,にかわとゼラチン,第II章,日本にかわ・ゼラチン工業組合(1987年)、Wardら編, ザ・サイエンス・アンド・テクノロジー・オブ・ゲラチン(The Science and Technology of Gelatin)、第7章、アカデミック プレス(Academic Press)(1977)の記載を参考にする事ができる。
化学修飾ゼラチンにおける−NH基の化学修飾比率は、50%以上であることが好ましく、70%以上であることがより好ましく、90%以上であることが、特に好ましい。
NH基修飾ゼラチンの添加時期については、特に制限はない。一般的には、ハロゲン化銀粒子形成の途上、脱塩工程の直前あるいは脱塩後の再分散工程で添加されるが、脱塩工程の前に添加することが好ましい。
本発明で用いるハロゲン化銀乳剤では、脱塩のために水洗することが好ましい。水洗の温度は目的に応じて選べるが、5℃〜50℃の範囲で選ぶことが好ましい。水洗時のpHも目的に応じて選べるが2〜10の間で選ぶことが好ましく、3〜8の範囲にすることがより好ましい。水洗時のpAgも目的に応じて選べるが5〜10の間で選ぶことが好ましい。水洗の方法としては、ヌードル水洗法、半透膜を用いた透析法、遠心分離法、凝析沈降法、イオン交換法の中から選んで用いることができ、この中では凝析沈降法が好ましい。
色素が多層吸着したハロゲン化銀乳剤においては、アニオン性ポリマーを用いない凝析沈降法が好ましい。具体的な例としては、脱塩水洗前に乳剤にフタル化ゼラチンを添加しておき、凝析沈降の際に乳剤のpHを3〜4の範囲にすることで行なう方法がある。脱塩水洗前に添加するフタル化ゼラチンの量、凝析沈降時のpHの最適条件は、乳剤製造の他の要因がどのような条件であるかによって異なるため一概に言えないが、フタル化ゼラチンの添加量は、添加直後における乳剤中の全分散媒に占めるフタル化ゼラチンの比率が少なくとも5%以上になるような量とし、pHは前述の範囲で行なうと好ましい場合が多い。
本発明で用いるハロゲン化銀乳剤では、既にハロゲン化銀乳剤に有用であることが知られている通常のドーパントを用いることができる。通常のドーパントにはFe、Co、Ni、Ru、Rh、Pd、Re、Os、Ir、Pt、Au、Hg、Pb、Tlなどがある。本発明では、ヘキサシアノ鉄(II)錯体およびヘキサシアノルテニウム錯体(以下、単に「金属錯体」ともいう)が好ましく用いられる。
該金属錯体の添加量は、ハロゲン化銀1モル当たり10-7モル以上、かつ10-3モル以下であることが好ましく、ハロゲン化銀1モル当たり、1.0×10-5モル以上、かつ5×10-4モル以下であることが更に好ましい。
本発明で用いるハロゲン化銀乳剤には、適量のCaまたはMgが含有されていることが好ましい。CaまたはMgの適量の範囲は、ハロゲン化銀1モルあたり2×10-3モル以上4×10-2モル以下である。CaとMgが共存する場合は、両者の和が前記の範囲に入っていれば良い。
本発明で用いるハロゲン化銀乳剤においては、硫黄増感、セレン増感、テルル増感、金増感、パラジウム増感または貴金属増感の少なくとも1つをハロゲン化銀乳剤の製造工程における任意の工程で施すことができる。2種以上の増感法を組み合わせることは好ましい。どの工程で化学増感するかによって種々のタイプの乳剤を調製することができる。粒子の内部に化学増感核を埋め込むタイプ、粒子表面から浅い位置に埋め込むタイプ、あるいは表面に化学増感核を作るタイプがある。本発明では、目的に応じて化学増感核の場所を選択してよい。
本発明で用いるハロゲン化銀乳剤では、セレン増感およびまたは金増感が施されることが好ましい。セレン増感剤としては、従来公知の特許に開示されているセレン化合物を用いることができる。通常、不安定型セレン化合物および/または非不安定型セレン化合物は、これを添加して高温、好ましくは40℃以上で乳剤を一定時間攪拌することにより用いられる。不安定型セレン化合物としては、特公昭44−15748号、特公昭43−13489号、特開平4−25832号、特開平4−109240号などの各公報に記載の化合物を用いることが好ましい。非不安定型セレン化合物としては、例えば特公昭46−4553号、特公昭52−34492号および特公昭52−34491号の各公報に記載の化合物を挙げることができる。
使用し得るセレン増感剤の添加量は、用いるセレン増感剤の活性度、ハロゲン化銀の種類や大きさ、熟成の温度および時間などにより異なるが、好ましくは、ハロゲン化銀1モル当り2×10-6モル以上5×10-6モル以下である。セレン増感剤を用いた場合の化学増感の温度は、好ましくは40℃以上80℃以下である。
金増感の金増感剤としては、金の酸化数が+1価でも+3価でもよく、金増感剤として通常用いられる金化合物を用いることができる。代表的な例としては、塩化金酸塩、カリウムクロロオーレート、オーリックトリクロライド、カリウムオーリックチオシアネート、カリウムヨードオーレート、テトラシアノオーリックアシド、アンモニウムオーロチオシアネート、ピリジルトリクロロゴールド、硫化金、金セレナイドが挙げられる。金増感剤の添加量は種々の条件により異なるが、目安としてはハロゲン化銀1モル当たり1×10-7モル以上5×10-5モル以下が好ましい。
本発明で用いるハロゲン化銀乳剤では、化学増感において硫黄増感を併用することが望ましい。この硫黄増感は、通常、硫黄増感剤を添加して、高温、好ましくは40℃以上で乳剤を一定時間攪拌することにより行われる。
上記の硫黄増感には、硫黄増感剤として公知のものを用いることができる。例えばチオ硫酸塩、アリルチオカルバミドチオ尿素、アリルイソチアシアネート、シスチン、p−トルエンチオスルホン酸塩、ローダニンなどが挙げられる。その他、例えば米国特許第1,574,944号、同第2,410,689号、同第2,278,947号、同第2,728,668号、同第3,501,313号、同第3,656,955号、独国特許第1,422,869号、特公昭56−24937号、特開昭55−45016号の各公報および明細書に記載されている硫黄増感剤も用いることができる。硫黄増感剤の添加量は、乳剤の感度を効果的に増大させるのに十分な量でよい。この量は、pH、温度、ハロゲン化銀粒子の大きさなどの種々の条件の下で相当の範囲にわたって変化するが、ハロゲン化銀1モル当り1×10-7モル以上、5×10-5モル以下が好ましい。
本発明で用いるハロゲン化銀乳剤では、粒子形成中、粒子形成後でかつ化学増感前あるいは化学増感中、あるいは化学増感後に還元増感することもできる。
還元増感としては、ハロゲン化銀乳剤に還元増感剤を添加する方法、銀熟成と呼ばれるpAg1〜7の低pAgの雰囲気で成長または、熟成させる方法、高pH熟成と呼ばれるpH8〜11の高pHの雰囲気で成長または熟成させる方法のいずれを選ぶことができる。また2つ以上の方法を併用することもできる。還元増感剤を添加する方法は還元増感のレベルを微妙に調節できる点で好ましい方法である。
本発明で用いるハロゲン化銀乳剤の製造工程中に銀に対する酸化剤を用いることが好ましい。銀に対する酸化剤とは、金属銀に作用してこれを銀イオンに変換せしめる作用を有する化合物をいう。特にハロゲン化銀粒子の形成過程および化学増感過程において副生するきわめて微小な銀粒子を、銀イオンに変換せしめる化合物が有効である。好ましい酸化剤は、オゾン、過酸化水素およびその付加物、ハロゲン元素、チオスルフォン酸塩のような無機酸化剤及びキノン類のような有機酸化剤である。
前述の還元増感と銀に対する酸化剤を併用するのは好ましい態様である。酸化剤を用いたのち還元増感を施こす方法、その逆方法あるいは両者を同時に共存させる方法を用いることができる。これらの方法は粒子形成工程でも化学増感工程でも適用できる。
本発明に使用するハロゲン化銀乳剤は、通常メチン色素類その他によって分光増感される。色素が多層吸着したハロゲン化銀粒子よりなる乳剤については、本発明における好ましい色素の具体例を既述した。一方、それ以外の、本発明に使用する乳剤の分光増感には、シアニン色素、メロシアニン色素、複合シアニン色素、複合メロシアニン色素、ホロポーラーシアニン色素、ヘミシアニン色素、スチリル色素およびヘミオキソノール色素の範疇に属する任意の色素を用いることができる。特に有用な色素は、シアニン色素、メロシアニン色素、および複号メロシアニン色素に属する色素である。これらの色素類は、塩基性異節環核としてシアニン色素類に通常利用される核のいずれを含むものであってもよい。その様な核として、例えばピロリン核、オキサゾリン核、チアゾリン核、ピロール核、オキサゾール核、チアゾール核、セレナゾール核、イミダゾール核、テトラゾール核、ピリジン核;これらの核に脂環式炭化水素環が融合した核;及びこれらの核に芳香族炭化水素環が融合した核、即ち、インドレニン核、ベンズインドレニン核、インドール核、ベンズオキサゾール核、ナフトオキサゾール核、ベンゾチアゾール核、ナフトチアゾール核、ベンゾセレナゾール核、ベンズイミダゾール核、キノリン核を挙げることができる。これらの核は炭素原子上に置換基を有していてもよい。
メロシアニン色素または複合メロシアニン色素にはケトメチレン構造を有する核として、ピラゾリン−5−オン核、チオヒダントイン核、2−チオオキサゾリジン−2,4−ジオン核、チアゾリジン−2,4−ジオン核、ローダニン核、チオバルビツール酸核のような5〜6員異節環核を有することができる。
これらの増感色素は単独に用いてもよいが、それらの組合せを用いてもよく、増感色素の組合せは特に、強色増感の目的でしばしば用いられる。その代表例は米国特許第2,688,545号、同2,977,229号、同3,397,060号、同3,522,0523号、同3,527,641号、同3,617,293号、同3,628,964号、同3,666,480号、同3,672,898号、同3,679,4283号、同3,703,377号、同3,769,301号、同3,814,609号、同3,837,862号、同4,026,707号、英国特許第1,344,281号、同1,507,803号、特公昭43−4936号、同53−12375号、特開昭52−110618号、同52−109925号の各公報および明細書に記載されている。増感色素とともに、それ自身分光増感作用をもたない色素あるいは可視光を実質的に吸収しない物質であって、強色増感を示す物質を乳剤中に含んでもよい。
増感色素を乳剤中に添加する時期は、これまで有用であると知られている乳剤調製の如何なる段階であってもよい。もっとも普通には化学増感の完了後塗布前までの時期に行なわれるが、米国特許第3,628,969号、および同第4,225,666号の各明細書に記載されているように化学増感剤と同時期に添加し分光増感を化学増感と同時に行なうことも、特開昭58−113928号公報に記載されているように化学増感に先立って行なうことも出来、またハロゲン化銀粒子沈澱生成の完了前に添加し分光増感を開始することも出来る。更にまた米国特許第4,225,666号明細書に教示されているようにこれらの増感色素を分けて添加すること、即ちこれらの増感色素の一部を化学増感に先立って添加し、残部を化学増感の後で添加することも可能であり、米国特許第4,183,756号明細書に開示されている方法を始めとしてハロゲン化銀粒子形成中のどの時期であってもよい。
複数の増感色素を添加する場合は、それぞれを別々にポーズをおいて添加する方法や混合して添加する方法、1種の増感色素の一部を先行して添加し、残りを他の増感色素と混合して添加する方法など、選択した増感色素種および所望の分光感度によって最適のものを選択することができる。
増感色素は、ハロゲン化銀1モル当り、4×10-6〜8×10-3モルで用いることができるが、より好ましいハロゲン化銀粒子サイズ0.2〜1.2μmの場合はハロゲン化銀1モル当たり約5×10-5〜2×10-3モルがより有効である。
本発明で使用するハロゲン化銀乳剤は潜像を主として表面に形成する表面潜像型でも、粒子内部に形成する内部潜像型でも表面と内部のいずれにも潜像を有する型のいずれでもよい。内部潜像型のうち、特開昭63−264740号公報に記載のコア/シェル型内部潜像型乳剤であってもよく、この調製方法は特開昭59−133542号公報に記載されている。この乳剤のシェルの厚みは現像処理等によって異なるが、3〜40nmが好ましく、5〜20nmが特に好ましい。
本発明で使用するハロゲン化銀乳剤の製造工程で用いられる種々の添加剤については、RDNo.17643、同No.18716および同No.308119に記載されており、その該当箇所を後掲の表にまとめた。
本発明の感光材料には、感光性ハロゲン化銀乳剤の粒子サイズ、粒子サイズ分布、ハロゲン組成、粒子の形状、感度の少なくとも1つの特性の異なる2種類以上の乳剤を、同一層中に混合して使用することができる。
米国特許第4,082,553号明細書に記載の粒子表面をかぶらせたハロゲン化銀粒子、米国特許第4,626,498号明細書、特開昭59−214852号公報に記載の粒子内部をかぶらせたハロゲン化銀粒子、コロイド銀を感光性ハロゲン化銀乳剤層および/または実質的に非感光性の親水性コロイド層に適用することが好ましい。粒子内部または表面をかぶらせたハロゲン化銀粒子とは、感光材料の未露光部および露光部を問わず、一様に(非像様に)現像が可能となるハロゲン化銀粒子のことをいい、その調製法は、米国特許第4,626,498号明細書、特開昭59−214852号公報に記載されている。粒子内部がかぶらされたコア/シェル型ハロゲン化銀粒子の内部核を形成するハロゲン化銀は、ハロゲン組成が異なっていてもよい。粒子内部または表面をかぶらせたハロゲン化銀としては、塩化銀、塩臭化銀、沃臭化銀、塩沃臭化銀のいずれをも用いることができる。これらのかぶらされたハロゲン化銀粒子の平均粒子サイズとしては0.01〜0.75μm、特に0.05〜0.6μmが好ましい。また、粒子形状は規則的な粒子でもよく、多分散乳剤でもよいが、単分散性(ハロゲン化銀粒子の質量または粒子数の少なくとも95%が平均粒子径の±40%以内の粒子径を有するもの)であることが好ましい。
本発明の感光材料には、非感光性微粒子ハロゲン化銀を使用することが好ましい。非感光性微粒子ハロゲン化銀とは、色素画像を得るための像様露光時においては感光せずに、その現像処理において実質的に現像されないハロゲン化銀微粒子であり、あらかじめカブラされていないほうが好ましい。微粒子ハロゲン化銀は、臭化銀の含有率が0〜100モル%であり、必要に応じて塩化銀および/または沃化銀を含有してもよい。好ましくは沃化銀を0.5〜10モル%含有するものである。微粒子ハロゲン化銀は、平均粒径(投影面積の円相当直径の平均値)が0.01〜0.5μmが好ましく、0.02〜0.2μmがより好ましい。
微粒子ハロゲン化銀は、通常の感光性ハロゲン化銀と同様の方法で調製できる。ハロゲン化銀粒子の表面は、光学的に増感される必要はなく、また分光増感も不要である。ただし、これを塗布液に添加するのに先立ち、あらかじめトリアゾール系、アザインデン系、ベンゾチアゾリウム系、もしくはメルカプト系化合物または亜鉛化合物などの公知の安定剤を添加しておくことが好ましい。この微粒子ハロゲン化銀含有層に、コロイド銀を含有させることができる。
本発明の感光材料には、特開2000−156823号公報の本文で開示されている、1電子酸化されて生成する1電子酸化体が1電子もしくはそれ以上の電子を放出し得る化合物を含有させることが好ましい。該化合物は以下のタイプ1〜4およびタイプAから選ばれる化合物を指す。
(タイプ1)
1電子酸化されて生成する1電子酸化体が、引き続く結合開裂反応を伴って、さらに2電子以上の電子を放出し得る化合物。
(タイプ2)
1電子酸化されて生成する1電子酸化体が、引き続く結合開裂反応を伴って、さらにもう1電子を放出し得る化合物で、かつ同じ分子内にハロゲン化銀への吸着性基を2つ以上有する化合物。
(タイプ3)
1電子酸化されて生成する1電子酸化体が、引き続く結合形成過程を経た後に、さらに1電子もしくはそれ以上の電子を放出し得る化合物。
(タイプ4)
1電子酸化されて生成する1電子酸化体が、引き続く分子内の環開裂反応を経た後に、さらに1電子もしくはそれ以上の電子を放出し得る化合物。
(タイプA)
X−Yで表される化合物においてXは還元性基を、Yは脱離基を表し、Xで表される還元性基が1電子酸化されて生成する1電子酸化体が、引き続くX−Y結合の開裂反応を伴ってYを脱離してXラジカルを生成し、そこからさらにもう1電子を放出し得る化合物。
上記タイプ1,3,4およびタイプAの化合物のうち好ましいものは、「分子内にハロゲン化銀への吸着性基を有する化合物」であるか、または「分子内に、分光増感色素の部分構造を有する化合物」である。より好ましくは「分子内にハロゲン化銀への吸着性基を有する化合物」である。
上記のタイプ1〜4およびタイプAの化合物は、乳剤調製時、感材製造工程中のいかなる場合にも使用しても良い。例えば粒子形成時、脱塩工程、化学増感時、塗布前などである。またこれらの工程中の複数回に分けて添加することも出来る。添加位置として好ましくは、粒子形成終了時から脱塩工程の前、化学増感時(化学増感開始直前から終了直後)、塗布前であり、より好ましくは化学増感時、塗布前である。
上記のタイプ1〜4およびタイプAの化合物は、水、メタノール、エタノールなどの水可溶性溶媒またはこれらの混合溶媒に溶解して添加することが好ましい。水に溶解する場合、pHを高くまたは低くした方が溶解度が上がる化合物については、pHを高くまたは低くして溶解し、これを添加しても良い。
上記のタイプ1〜4およびタイプAの化合物は、乳剤層中に使用するのが好ましいが、乳剤層と共に保護層や中間層に添加しておき、塗布時に拡散させてもよい。本発明の化合物の添加時期は増感色素の前後を問わず、それぞれ好ましくはハロゲン化銀1モル当り、1×10-9〜5×10-2モル、更に好ましくは1×10-8〜2×10-3モルの割合でハロゲン化銀乳剤層に含有する。
本発明の感光材料においては、高感度化の目的で、化合物(A):ヘテロ原子を1個以上持つ複素環化合物であり、該化合物を添加することで添加しない場合よりも感度を増大させる化合物を、好ましく用いることができる。
該化合物は、現像時にハロゲン化銀粒子表面の潜像と増感色素の相互作用を弱め、通常では現像されない潜像を活性化することで高感度化効果を発現すると考えられる。現像開始点の数が増加するため、粒状性の向上効果も併せ持つ。
化合物(A)について説明する。
以下、特定の部分を「基」と称した場合には、当該部分はそれ自体が置換されていなくても、一種以上の(可能な最多数までの)置換基で置換されていても良いことを意味する。例えば、「アルキル基」とは置換または無置換のアルキル基を意味する。また、本発明における化合物に使用できる置換基は、置換の有無にかかわらず、どのような置換基でも良い。
このような置換基をWとすると、Wで示される置換基としては、いかなるものでも良く、特に制限は無いが、例えば、ハロゲン原子、アルキル基(シクロアルキル基、ビシクロアルキル基、トリシクロアルキル基を含む)、アルケニル基(シクロアルケニル基、ビシクロアルケニル基を含む)、アルキニル基、アリール基、複素環基(ヘテロ環基と言っても良い)、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、カルボキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アミノ基(アルキルアミノ基、アリールアミノ基、ヘテロ環アミノ基を含む)、アンモニオ基、アシルアミノ基、アミノカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、アルキル及びアリールスルホニルアミノ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、スルファモイル基、スルホ基、アルキル及びアリールスルフィニル基、アルキル及びアリールスルホニル基、アシル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アリール及びヘテロ環アゾ基、イミド基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスフィニルオキシ基、ホスフィニルアミノ基、ホスホノ基、シリル基、ヒドラジノ基、ウレイド基、ボロン酸基(-B(OH)2)、ホスファト基(-OPO(OH)2)、スルファト基(-OSO3H)、その他の公知の置換基、が例として挙げられる。
更に詳しくは、Wは、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、アルキル基[直鎖、分岐、環状の置換もしくは無置換のアルキル基を表す。それらは、アルキル基(好ましくは炭素数1から30のアルキル基、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、t−ブチル、n−オクチル、エイコシル、2−クロロエチル、2−シアノエチル、2−エチルヘキシル)、シクロアルキル基(好ましくは、炭素数3から30の置換または無置換のシクロアルキル基、例えば、シクロヘキシル、シクロペンチル、4−n−ドデシルシクロヘキシル)、ビシクロアルキル基(好ましくは、炭素数5から30の置換もしくは無置換のビシクロアルキル基、つまり、炭素数5から30のビシクロアルカンから水素原子を一個取り去った一価の基である。例えば、ビシクロ[1,2,2]ヘプタン−2−イル、ビシクロ[2,2,2]オクタン−3−イル)、更に環構造が多いトリシクロ構造なども包含するものである。以下に説明する置換基の中のアルキル基(例えばアルキルチオ基のアルキル基)はこのような概念のアルキル基を表すが、さらにアルケニル基、アルキニル基も含むこととする。]、アルケニル基[直鎖、分岐、環状の置換もしくは無置換のアルケニル基を表す。それらは、アルケニル基(好ましくは炭素数2から30の置換または無置換のアルケニル基、例えば、ビニル、アリル、プレニル、ゲラニル、オレイル)、シクロアルケニル基(好ましくは、炭素数3から30の置換もしくは無置換のシクロアルケニル基、つまり、炭素数3から30のシクロアルケンの水素原子を一個取り去った一価の基である。例えば、2−シクロペンテン−1−イル、2−シクロヘキセン−1−イル)、ビシクロアルケニル基(置換もしくは無置換のビシクロアルケニル基、好ましくは、炭素数5から30の置換もしくは無置換のビシクロアルケニル基、つまり二重結合を一個持つビシクロアルケンの水素原子を一個取り去った一価の基である。例えば、ビシクロ[2,2,1]ヘプト−2−エン−1−イル、ビシクロ[2,2,2]オクト−2−エン−4−イル)を包含するものである。]、アルキニル基(好ましくは、炭素数2から30の置換または無置換のアルキニル基、例えば、エチニル、プロパルギル、トリメチルシリルエチニル基)、アリール基(好ましくは炭素数6から30の置換もしくは無置換のアリール基、例えばフェニル、p−トリル、ナフチル、m−クロロフェニル、o−ヘキサデカノイルアミノフェニル)、複素環基(好ましくは5または6員の置換もしくは無置換の、芳香族もしくは非芳香族の複素環化合物から一個の水素原子を取り除いた一価の基であり、更に好ましくは、炭素数3から30の5もしくは6員の芳香族の複素環基である。例えば、2−フリル、2−チエニル、2−ピリミジニル、2−ベンゾチアゾリル、なお、1−メチル−2−ピリジニオ、1−メチル−2−キノリニオのようなカチオン性の複素環基でも良い。)、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、カルボキシル基、アルコキシ基(好ましくは、炭素数1から30の置換もしくは無置換のアルコキシ基、例えば、メトキシ、エトキシ、イソプロポキシ、t−ブトキシ、n−オクチルオキシ、2−メトキシエトキシ)、アリールオキシ基(好ましくは、炭素数6から30の置換もしくは無置換のアリールオキシ基、例えば、フェノキシ、2−メチルフェノキシ、4−t−ブチルフェノキシ、3−ニトロフェノキシ、2−テトラデカノイルアミノフェノキシ)、シリルオキシ基(好ましくは、炭素数3から20のシリルオキシ基、例えば、トリメチルシリルオキシ、t−ブチルジメチルシリルオキシ)、ヘテロ環オキシ基(好ましくは、炭素数2から30の置換もしくは無置換のヘテロ環オキシ基、1−フェニルテトラゾールー5−オキシ、2−テトラヒドロピラニルオキシ)、アシルオキシ基(好ましくはホルミルオキシ基、炭素数2から30の置換もしくは無置換のアルキルカルボニルオキシ基、炭素数6から30の置換もしくは無置換のアリールカルボニルオキシ基、例えば、ホルミルオキシ、アセチルオキシ、ピバロイルオキシ、ステアロイルオキシ、ベンゾイルオキシ、p−メトキシフェニルカルボニルオキシ)、カルバモイルオキシ基(好ましくは、炭素数1から30の置換もしくは無置換のカルバモイルオキシ基、例えば、N,N−ジメチルカルバモイルオキシ、N,N−ジエチルカルバモイルオキシ、モルホリノカルボニルオキシ、N,N−ジ−n−オクチルアミノカルボニルオキシ、N−n−オクチルカルバモイルオキシ)、アルコキシカルボニルオキシ基(好ましくは、炭素数2から30の置換もしくは無置換アルコキシカルボニルオキシ基、例えばメトキシカルボニルオキシ、エトキシカルボニルオキシ、t−ブトキシカルボニルオキシ、n−オクチルカルボニルオキシ)、アリールオキシカルボニルオキシ基(好ましくは、炭素数7から30の置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニルオキシ基、例えば、フェノキシカルボニルオキシ、p−メトキシフェノキシカルボニルオキシ、p−n−ヘキサデシルオキシフェノキシカルボニルオキシ)、アミノ基(好ましくは、アミノ基、炭素数1から30の置換もしくは無置換のアルキルアミノ基、炭素数6から30の置換もしくは無置換のアリールアミノ基、ヘテロ環アミノ基、例えば、アミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、アニリノ、N-メチル−アニリノ、ジフェニルアミノ、2−ピリジルアミノ)、アンモニオ基(好ましくはアンモニオ基、炭素数1から30の置換もしくは無置換のアルキル、アリール、ヘテロ環が置換したアンモニオ基、例えば、トリメチルアンモニオ、トリエチルアンモニオ、ジフェニルメチルアンモニオ)、アシルアミノ基(好ましくは、ホルミルアミノ基、炭素数1から30の置換もしくは無置換のアルキルカルボニルアミノ基、炭素数6から30の置換もしくは無置換のアリールカルボニルアミノ基、例えば、ホルミルアミノ、アセチルアミノ、ピバロイルアミノ、ラウロイルアミノ、ベンゾイルアミノ、3,4,5−トリ−n−オクチルオキシフェニルカルボニルアミノ)、アミノカルボニルアミノ基(好ましくは、炭素数1から30の置換もしくは無置換のアミノカルボニルアミノ、例えば、カルバモイルアミノ、N,N−ジメチルアミノカルボニルアミノ、N,N−ジエチルアミノカルボニルアミノ、モルホリノカルボニルアミノ)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2から30の置換もしくは無置換アルコキシカルボニルアミノ基、例えば、メトキシカルボニルアミノ、エトキシカルボニルアミノ、t−ブトキシカルボニルアミノ、n−オクタデシルオキシカルボニルアミノ、N−メチルーメトキシカルボニルアミノ)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは、炭素数7から30の置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニルアミノ基、例えば、フェノキシカルボニルアミノ、p-クロロフェノキシカルボニルアミノ、m-n−オクチルオキシフェノキシカルボニルアミノ)、スルファモイルアミノ基(好ましくは、炭素数0から30の置換もしくは無置換のスルファモイルアミノ基、例えば、スルファモイルアミノ、N,N−ジメチルアミノスルホニルアミノ、N−n−オクチルアミノスルホニルアミノ)、アルキル及びアリールスルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1から30の置換もしくは無置換のアルキルスルホニルアミノ、炭素数6から30の置換もしくは無置換のアリールスルホニルアミノ、例えば、メチルスルホニルアミノ、ブチルスルホニルアミノ、フェニルスルホニルアミノ、2,3,5−トリクロロフェニルスルホニルアミノ、p−メチルフェニルスルホニルアミノ)、メルカプト基、アルキルチオ基(好ましくは、炭素数1から30の置換もしくは無置換のアルキルチオ基、例えばメチルチオ、エチルチオ、n−ヘキサデシルチオ)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6から30の置換もしくは無置換のアリールチオ、例えば、フェニルチオ、p−クロロフェニルチオ、m−メトキシフェニルチオ)、ヘテロ環チオ基(好ましくは炭素数2から30の置換または無置換のヘテロ環チオ基、例えば、2−ベンゾチアゾリルチオ、1−フェニルテトラゾール−5−イルチオ)、スルファモイル基(好ましくは炭素数0から30の置換もしくは無置換のスルファモイル基、例えば、N−エチルスルファモイル、N−(3−ドデシルオキシプロピル)スルファモイル、N,N−ジメチルスルファモイル、N−アセチルスルファモイル、N−ベンゾイルスルファモイル、N−(N‘−フェニルカルバモイル)スルファモイル)、スルホ基、アルキル及びアリールスルフィニル基(好ましくは、炭素数1から30の置換または無置換のアルキルスルフィニル基、6から30の置換または無置換のアリールスルフィニル基、例えば、メチルスルフィニル、エチルスルフィニル、フェニルスルフィニル、p−メチルフェニルスルフィニル)、アルキル及びアリールスルホニル基(好ましくは、炭素数1から30の置換または無置換のアルキルスルホニル基、6から30の置換または無置換のアリールスルホニル基、例えば、メチルスルホニル、エチルスルホニル、フェニルスルホニル、p−メチルフェニルスルホニル)、アシル基(好ましくはホルミル基、炭素数2から30の置換または無置換のアルキルカルボニル基、炭素数7から30の置換もしくは無置換のアリールカルボニル基、炭素数4から30の置換もしくは無置換の炭素原子でカルボニル基と結合しているヘテロ環カルボニル基、例えば、アセチル、ピバロイル、2−クロロアセチル、ステアロイル、ベンゾイル、p−n−オクチルオキシフェニルカルボニル、2―ピリジルカルボニル、2―フリルカルボニル)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは、炭素数7から30の置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニル基、例えば、フェノキシカルボニル、o−クロロフェノキシカルボニル、m−ニトロフェノキシカルボニル、p−t−ブチルフェノキシカルボニル)、アルコキシカルボニル基(好ましくは、炭素数2から30の置換もしくは無置換アルコキシカルボニル基、例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、t−ブトキシカルボニル、n−オクタデシルオキシカルボニル)、カルバモイル基(好ましくは、炭素数1から30の置換もしくは無置換のカルバモイル、例えば、カルバモイル、N−メチルカルバモイル、N,N−ジメチルカルバモイル、N,N−ジ−n−オクチルカルバモイル、N−(メチルスルホニル)カルバモイル)、アリール及びヘテロ環アゾ基(好ましくは炭素数6から30の置換もしくは無置換のアリールアゾ基、炭素数3から30の置換もしくは無置換のヘテロ環アゾ基、例えば、フェニルアゾ、p−クロロフェニルアゾ、5−エチルチオ−1,3,4−チアジアゾール−2−イルアゾ)、イミド基(好ましくは、N−スクシンイミド、N−フタルイミド)、ホスフィノ基(好ましくは、炭素数2から30の置換もしくは無置換のホスフィノ基、例えば、ジメチルホスフィノ、ジフェニルホスフィノ、メチルフェノキシホスフィノ)、ホスフィニル基(好ましくは、炭素数2から30の置換もしくは無置換のホスフィニル基、例えば、ホスフィニル、ジオクチルオキシホスフィニル、ジエトキシホスフィニル)、ホスフィニルオキシ基(好ましくは、炭素数2から30の置換もしくは無置換のホスフィニルオキシ基、例えば、ジフェノキシホスフィニルオキシ、ジオクチルオキシホスフィニルオキシ)、ホスフィニルアミノ基(好ましくは、炭素数2から30の置換もしくは無置換のホスフィニルアミノ基、例えば、ジメトキシホスフィニルアミノ、ジメチルアミノホスフィニルアミノ)、ホスホノ基、シリル基(好ましくは、炭素数3から30の置換もしくは無置換のシリル基、例えば、トリメチルシリル、t−ブチルジメチルシリル、フェニルジメチルシリル)、ヒドラジノ基(好ましくは炭素数0から30の置換もしくは無置換のヒドラジノ基、例えば、トリメチルヒドラジノ)、ウレイド基(好ましくは炭素数0から30の置換もしくは無置換のウレイド基、例えばN,N−ジメチルウレイド)、を表わす。
また、2つのWが共同して環(芳香族、又は非芳香族の炭化水素環、又は複素環。これらは、さらに組み合わされて多環縮合環を形成することができる。例えばベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、フルオレン環、トリフェニレン環、ナフタセン環、ビフェニル環、ピロール環、フラン環、チオフェン環、イミダゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、インドリジン環、インドール環、ベンゾフラン環、ベンゾチオフェン環、イソベンゾフラン環、キノリジン環、キノリン環、フタラジン環、ナフチリジン環、キノキサリン環、キノキサゾリン環、イソキノリン環、カルバゾール環、フェナントリジン環、アクリジン環、フェナントロリン環、チアントレン環、クロメン環、キサンテン環、フェノキサチイン環、フェノチアジン環、フェナジン環、が挙げられる。)を形成することもできる。
上記の置換基Wの中で、水素原子を有するものは、これを取り去り更に上記の基で置換されていても良い。そのような置換基の例としては、−CONHSO2−基(スルホニルカルバモイル基、カルボニルスルファモイル基)、−CONHCO−基(カルボニルカルバモイル基)、−SO2NHSO2−基(スルフォニルスルファモイル基)、が挙げられる。
より具体的には、アルキルカルボニルアミノスルホニル基(例えば、アセチルアミノスルホニル)、アリールカルボニルアミノスルホニル基(例えば、ベンゾイルアミノスルホニル基)、アルキルスルホニルアミノカルボニル基(例えば、メチルスルホニルアミノカルボニル)、アリールスルホニルアミノカルボニル基(例えば、p−メチルフェニルスルホニルアミノカルボニル)が挙げられる。
以下、化合物(A)の詳細を説明する。本発明において好ましく用いることができるのは、ヘテロ原子を1個又は2個持つ複素環化合物の場合は、現像主薬酸化体と反応しない化合物であることが好ましく、ヘテロ原子を3個以上持つ複素環の場合は現像主薬酸化体と反応する化合物であることが好ましい。以下、各々について説明する。
先ず、化合物(A)のうち、ヘテロ原子を1個又は2個持つ複素環化合物について説明する。ヘテロ原子とは、炭素原子、又は水素原子以外の原子を意味する。複素環とはヘテロ原子を少なくとも一つ持つ環状化合物を意味する。「ヘテロ原子を1個又は2個持つ複素環」における、ヘテロ原子は複素環の環系の構成部分を形成する原子のみを意味し、環系に対して外部に位置していたり、少なくとも一つの非共役単結合により環系から分離していたり、環系のさらなる置換基の一部分であるような原子は意味しない。
多環複素環の場合、全ての環系に含まれるヘテロ原子の数が1個又は2個のもののみが含まれ、例えば1,3,4,6−テトラアザインデンのヘテロ原子の数は4個であり含まれない。
これらの要件を満たす、いかなる複素環化合物を用いても良いが、ヘテロ原子として好ましくは、窒素原子、硫黄原子、酸素原子、セレン原子、テルル原子、リン原子、ケイ素原子、及びホウ素原子であり、さらに好ましくは、窒素原子、硫黄原子、酸素原子、及びセレン原子であり、特に好ましくは、窒素原子、硫黄原子、及び酸素原子であり、最も好ましくは窒素原子、及び硫黄原子である。
複素環の環員数はいずれでも良いが、好ましくは3〜8員環であり、さらに好ましくは5〜7員環であり、特に好ましくは5、及び6員環である。
複素環としては、飽和であっても不飽和であっても良いが、好ましくは少なくとも1つの不飽和の部分を有する場合であり、さらに好ましくは少なくとも2つの不飽和の部分を有する場合である。別の言い方をすると、複素環としては、芳香族、擬似芳香族、及び非芳香族のいずれでも良いが、好ましくは芳香族複素環、及び擬似芳香族複素環である。
これらの複素環として具体的には、ピロール環、チオフェン環、フラン環、イミダゾール環、ピラゾール環、チアゾール環、イソチアゾール環、オキサゾール環、イソオキサゾール環、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、インドリジン環、及び、これらにベンゾ縮環したインドール環、ベンゾフラン環、ベンゾチオフェン環、イソベンゾフラン環、キノリジン環、キノリン環、フタラジン環、キノキサリン環、イソキノリン環、カルバゾール環、フェナントリジン環、フェナントロリン環、アクリジン環、及び、これらが一部又は全部飽和したピロリジン環、ピロリン環、イミダゾリン環等が挙げられる。
代表的な複素環の例を以下に示す。
Figure 2006235514
ベンゼン環が縮環した複素環として、例えば以下のものが挙げられる。
Figure 2006235514
一部又は全部飽和した複素環として、例えば以下のものが挙げられる。
Figure 2006235514
その他に、以下の複素環も可能である。
Figure 2006235514
これらの複素環には、「ヘテロ原子を1個又は2個持つ複素環」の定義に反しない限り、いかなる置換基が置換していても縮環していても良く、置換基としては前述のWが挙げられる。また、複素環に含まれる3級窒素原子が置換されて4級窒素となっても良い。なお、複素環の別の互変異性構造を書くことができるどのような場合も、化学的に等価である。
ヘテロ原子を1個又は2個持つ複素環において、遊離チオール基(−SH)及びチオカルボニル基(>C=S)が置換していない場合が好ましい。
上記の複素環のうち、好ましくは(aa−1)〜(aa−4)である。(aa−2)においては、ベンゼン環が縮環している(ab−25)が、さらに好ましい。
なお、ヘテロ原子を1個又は2個持つ複素環化合物は、酸化現像主薬と反応しても反応しなくても、いずれでも良いが、酸化現像主薬と反応しない複素環化合物を好ましく用いることができる。
すなわち、酸化現像主薬と直接に化学反応又はレドックス反応を顕著に生じない(5〜10%未満)ものが好ましく、さらに、カプラーではなく、かつ酸化現像主薬と反応して色素又はいずれか他の生成物を生成しないものが好ましい。
ヘテロ原子を1個又は2個持つ複素環化合物として、さらに好ましくは下記一般式(I)で表わされる化合物である。
Figure 2006235514
一般式(I)中、Zは式中の窒素原子を含むヘテロ原子を1個又は2個持つ複素環を表わす。Xは硫黄原子、酸素原子、窒素原子(N(Va)),又は炭素原子(C(Vb)(Vc))を表わす。Va,Vb,Vcは水素原子又は置換基を表わす。XはXと同義である。nは0,1,2,又は3である。nが2以上の時、Xは繰り返されるが同一である必要はない。Xは硫黄原子、酸素原子、又は窒素原子を表わす。XとXの間の結合は単結合、又は2重結合であり、それに応じて、Xはさらに置換基を有しても電荷を有していても良い。
ヘテロ原子を1個又は2個持つ複素環化合物として、特に好ましくは下記一般式(II)で表わされる化合物である。
Figure 2006235514
一般式(II)中、Z、及びXは一般式(I)と同義である。Xは硫黄原子(S(Vd))、酸素原子(O(Ve))、又は窒素原子(N(Vf)(Vg))を表わす。Vd,Ve,Vf,及びVgは水素原子、置換基、又は負電荷を表わす。V,及びVは水素原子、又は置換基を表わす。
以下、一般式(I)及び一般式(II)について詳細に説明する。
によって形成される複素環として好ましくは、前述の、[化11]〜[化14]で挙げた複素環が挙げられ同様のものが好ましい。「ヘテロ原子を1個又は2個持つ複素環」の定義に反しない限り、これらに、さらに置換基(例えば前述のW)が置換していても縮環していてもよい。
として好ましくは、硫黄原子、酸素原子、又は窒素原子であり、さらに好ましくは硫黄原子、又は窒素原子であり、特に好ましくは硫黄原子である。Va,Vb,Vcで表わされる置換基としては前述のWが挙げられ、置換基として好ましくはアルキル基、アリール基、及び複素環基である。Xとして好ましくは炭素原子である。nとして好ましくは0,1,2であり、さらに好ましくは2である。Xとして好ましくは酸素原子である。Xは、XとXの間の結合が単結合であるか2重結合であるかによって、その価数が変わる。例えば、XとXの間の結合が2重結合でXが酸素原子の場合、Xはカルボニル基を表わし、XとXの間の結合が単結合でXが酸素原子の場合、Xは例えば、ヒドロキシ基、アルコキシ基、負電荷を持つ酸素原子等を表わす。
として好ましくは酸素原子である。Vd,Ve,Vf,及びVgで表わされる置換基としては、前述のWで示したものが挙げられる。Vd,Ve,及びVfとVgのうち少なくとも一つは水素原子、又は負電荷を表わす場合が好ましい。V,及びVで表わされる置換基としては前述のWが挙げられる。V,及びVのうち少なくとも一つは、水素原子以外の置換基である場合が好ましい。
置換基として具体的には、ハロゲン原子(例えば塩素原子、臭素原子、弗素原子)、アルキル基(炭素数1〜60。例えば、メチル、エチル、プロピル、iso −ブチル、t−ブチル、t−オクチル、1−エチルヘキシル、ノニル、シクロヘキシル、ウンデシル、ペンタデシル、n−ヘキサデシル、3−デカンアミドプロピル)、アルケニル基(炭素数2〜60。例えば、ビニル、アリル、オレイル)、シクロアルキル基(炭素数5〜60。例えば、シクロペンチル、シクロヘキシル、4−t−ブチルシクロヘキシル、1−インダニル、シクロドデシル)、アリール基(炭素数6〜60。例えば、フェニル、p−トリル、ナフチル)、アシルアミノ基(炭素数2〜60。例えば、アセチルアミノ、n−ブタンアミド、オクタノイルアミノ、2−ヘキシルデカンアミド、2−(2’,4’−ジ−t−アミルフェノキシ)ブタンアミド、ベンゾイルアミノ、ニコチンアミド)、スルホンアミド基(炭素数1〜60。例えば、メタンスルホンアミド、オクタンスルホンアミド、ベンゼンスルホンアミド)、ウレイド基(炭素数2〜60。例えば、デシルアミノカルボニルアミノ、ジ−n−オクチルアミノカルボニルアミノ)、ウレタン基(炭素数2〜60。例えば、ドデシルオキシカルボニルアミノ、フェノキシカルボニルアミノ、2−エチルヘキシルオキシカルボニルアミノ)、アルコキシ基(炭素数1〜60。例えば、メトキシ、エトキシ、ブトキシ、n−オクチロキシ、ヘキサデシロキシ、メトキシエトキシ)、アリールオキシ基(炭素数6〜60。例えば、フェノキシ、2,4−ジ−t−アミルフェノキシ、4−t−オクチルフェノキシ、ナフトキシ)、アルキルチオ基(炭素数1〜60。例えば、メチルチオ、エチルチオ、ブチルチオ、ヘキサデシルチオ)、アリールチオ基(炭素数6〜60。例えば、フェニルチオ、4−トデシルオキシフェニルチオ)、アシル基(炭素数1〜60。例えば、アセチル、ベンゾイル、ブタノイル、ドデカノイル)、スルホニル基(炭素数1〜60。例えば、メタンスルホニル、ブタンスルホニル、トルエンスルホニル)、シアノ基、カルバモイル基(炭素数1〜60。例えば、N,N−ジシクロヘキシルカルバモイル)、スルファモイル基(炭素数0〜60。例えば、N,N−ジメチルスルファモイル)、ヒドロキシ基、スルホ基、カルボキシル基、ニトロ基、アルキルアミノ基(炭素数1〜60。例えば、メチルアミノ、ジエチルアミノ、オクチルアミノ、オクタデシルアミノ)、アリールアミノ基(炭素数6〜60。例えば、フェニルアミノ、ナフチルアミノ、N−メチル−N−フェニルアミノ)、複素環基(炭素数0〜60。好ましくは、環構成のヘテロ原子として窒素原子、酸素原子、イオウ原子から選択されるものであって、ヘテロ原子以外に炭素原子をも環構成原子として含むものがさらに好ましく、環員数3〜8、より好ましくは5〜6であり、例えば、前述のWで示した基)、アシルオキシ基(炭素1〜60。例えば、ホルミルオキシ、アセチルオキシ、ミリストイルオキシ、ベンゾイルオキシ)が好ましい。
上記の中でアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アシルアミノ基、ウレイド基、ウレタン基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アシル基、スルホニル基、シアノ基、カルバモイル基、スルファモイル基は置換基を有するものも含み、この置換基としては、例えばアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アシルアミノ基、ウレイド基、ウレタン基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アシル基、スルホニル基、シアノ基、カルバモイル基、スルファモイル基が挙げられる。
これらの置換基のうち、好ましくは、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基が挙げられ、より好ましくは、アルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基である。特に好ましくは、分岐のアルキル基である。
これらの置換基の炭素数の総和に特に制限はないが、好ましくは8〜60、さらに好ましくは10〜57、特に好ましくは12〜55、最も好ましくは16〜53である。
一般式(I)、及び一般式(II)で表わされる化合物は、後述の固定する方法(1)〜(7)に適した化合物である場合が好ましく、さらに好ましくは(1)、(2)、又は(3)の方法であり、特に好ましくは(1)、又は(2)の方法であり、最も好ましくは(1)と(2)の方法を同時に用いる場合に適した化合物である。すなわち、特定のpKaとバラスト基を併せもつ化合物を、最も好ましく用いることができる。
前記のヘテロ原子を1個又は2個持つ複素環化合物は、該化合物の電荷を中和するために必要なときは、必要な陽イオン又は陰イオンを必要な数含むことができる。典型的な陽イオンとしては水素イオン(H)、アルカリ金属イオン(例えばナトリウムイオン、カリウムイオン、リチウムイオン)、アルカリ土類金属イオン(例えばカルシウムイオン)などの無機陽イオン、アンモニウムイオン(例えば、アンモニウムイオン、テトラアルキルアンモニウムイオン、トリエチルアンモニウムイオン、ピリジニウムイオン、エチルピリジニウムイオン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセニウムイオン)などの有機イオンが挙げられる。陰イオンは無機陰イオンあるいは有機陰イオンのいずれであってもよく、ハロゲン陰イオン(例えばフッ素イオン、塩素イオン、ヨウ素イオン)、置換アリ−ルスルホン酸イオン(例えばp−トルエンスルホン酸イオン、p−クロルベンゼンスルホン酸イオン)、アリ−ルジスルホン酸イオン(例えば1、3−ベンゼンスルホン酸イオン、1、5−ナフタレンジスルホン酸イオン、2、6−ナフタレンジスルホン酸イオン)、アルキル硫酸イオン(例えばメチル硫酸イオン)、硫酸イオン、チオシアン酸イオン、過塩素酸イオン、テトラフルオロホウ酸イオン、ピクリン酸イオン、酢酸イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオンが挙げられる。さらに、イオン性ポリマー又は色素と逆電荷を有する他の色素を用いても良い。また、CO 、SO は、対イオンとして水素イオンを持つときはCOH、SOHと表記することも可能である。
次に、前記のヘテロ原子を1個又は2個持つ複素環化合物のうち、特に好ましい具体例を示す。もちろん、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 2006235514
Figure 2006235514
上述したように本発明のヘテロ原子を1個又は2個持つ複素環化合物は、現像主薬酸化体と反応しない方が好ましいが、反応するものとしては以下の一般式のものが挙げられる。
Figure 2006235514
一般式(III-1)〜(III-4)中、R1、R2及びR3は、それぞれ独立してハメットの置換基定数σp値が0.2以上、1.0以下の電子吸引性基を表す。R4は、水素原子又は、置換基を表す。Xは、水素原子、若しくは置換基を表す。R1、R2、R3、R4、Xは、各々、後述するR11、R12、R13、R14、X11と同様のものが挙げられ同様のものが好ましい。
次に、ヘテロ原子を1個又は2個持つ複素環化合物で現像主薬酸化体と反応する化合物のうち、特に好ましい具体例を示す。もちろん、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 2006235514
Figure 2006235514
ヘテロ原子を1個又は2個持つ複素環化合物として、エドワード・シー・テーラー(Edward C.Taylor),アーノルド・ワイスバーガー(Arnold Weissberger)編、「ザ・ケミストリー・オブ・ヘテロサイクリック・コンパウンズ(The Chemistry of Heterocyclic Compounds)−ア・シリーズ・オブ・モノグラフズ(A Series of Monographs)」第1〜59巻、ジョン・ウィリー・アンド・サンズ(John Wiley & Sons)社刊、ロバート・シー・エルダーフィールド(Robert C.Elderfield)編、「ヘテロサイクリック・コンパウンズ(Heterocyclic Compounds)」第1〜6巻、ジョン・ウィリー・アンド・サンズ(John Wiley & Sons)社刊、などに記載の化合物のうちヘテロ原子を1個又は2個持つ複素環化合物を用いることができる。また、ヘテロ原子を1個又は2個持つ複素環化合物は、これらに記載の方法に基づいて合成することができる。
合成例:(a−18)の合成
Figure 2006235514
(a)7.4g、(b)13.4g、アセトニトリル100ml、ジメチルアセトアミド10mlを氷冷下、内温10℃以下で撹拌し、トリエチルアミン6.1mlを滴下した。
さらに、室温下2時間撹拌後に、反応溶液に酢酸エチル200mlを加えて、希NaOH水溶液で洗浄分液、希塩酸で洗浄分液、さらに飽和食塩水で洗浄分液し、酢酸エチル層を硫酸マグネシウムで乾燥して溶媒を減圧下濃縮した。濃縮物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液ヘキサン:酢酸エチル=19:1)で精製し、(c)16.2gを得た。(収率96%) (c)14.8g、NaOH2.8g,エタノール50ml、水5mlを室温下2時間撹拌後に、水200mlを加えて、ヘキサンで洗浄分液しヘキサン層を除いた。水層に酢酸エチル200mlと希塩酸を加えて分液して水層を除き、さらに飽和食塩水で洗浄分液し、酢酸エチル層を硫酸マグネシウムで乾燥して溶媒が30mlになるまで減圧下濃縮した。濃縮物にヘキサンを加えて撹拌し、析出した結晶を吸引ろ過でろ別し乾燥後、無色結晶(a−18)を13.2g得た。(収率:96%)(融点:75〜77℃)
次に、化合物(A)のうち、ヘテロ原子を3個以上持つ複素環化合物について説明する。「ヘテロ原子を3個以上持つ複素環」における、ヘテロ原子は複素環の環系の構成部分を形成する原子のみを意味し、環系に対して外部に位置していたり、少なくとも一つの非共役単結合により環系から分離していたり、環系のさらなる置換基の一部分であるような原子は意味しない。
多環複素環の場合、全ての環系に含まれるヘテロ原子の数が3個以上のものは本発明に含まれ、例えば1H−ピラゾロ[1,5−b][1,2,4]トリアゾールのヘテロ原子の数は4個であり、本発明のヘテロ原子を3個以上持つ複素環に含まれる。
ヘテロ原子の数の上限は特にないが、好ましくは10個以下であり、さらに好ましくは8個以下、特に好ましくは6個以下、最も好ましくは4個以下である。
これらの要件を満たす、いかなる複素環化合物を用いても良いが、ヘテロ原子として好ましくは、窒素原子、硫黄原子、酸素原子、セレン原子、テルル原子、リン原子、ケイ素原子、及びホウ素原子であり、さらに好ましくは、窒素原子、硫黄原子、及び酸素原子であり、さらに好ましくは、窒素原子、及び硫黄原子であり、特に好ましくは、窒素原子である。
複素環の環員数はいずれでも良いが、好ましくは3〜8員環であり、さらに好ましくは5〜7員環であり、特に好ましくは5、及び6員環であり、最も好ましくは5員環である。
複素環としては、飽和であっても不飽和であっても良いが、好ましくは少なくとも1つの不飽和の部分を有する場合であり、さらに好ましくは少なくとも2つの不飽和の部分を有する場合である。別の言い方をすると、複素環としては、芳香族、擬似芳香族、及び非芳香族のいずれでも良いが、好ましくは芳香族複素環、及び擬似芳香族複素環である。
また、複素環としては縮環した多環複素環が好ましく、特に2環性の複素環が好ましい。
なお、ヘテロ原子を3個以上持つ複素環化合物は、酸化現像主薬と反応しても反応しなくても、いずれでも良いが、酸化現像主薬と反応する複素環化合物を好ましく用いることができる。
本発明のヘテロ原子を3個以上持つ複素環として特に好ましくは、下記の一般式(M)もしくは一般式(C)で表される化合物を用いる場合である。
Figure 2006235514
一般式(M)中、R101は、水素原子または、置換基を表す。Z11は、窒素原子を2から4個含む5員のアゾール環を形成するのに必要な非金属原子群を表し、該アゾール環は、置換基(縮合環を含む)を有してもよい。X11は、水素原子、若しくは置換基を表す。
一般式(C)中、Zaは、−NH−または、−CH(R3)−を表し、Zb及びZcは、それぞれ独立して−C(R14)=、または、−N=を表す。但し、Zaが−NH−の場合は、Zb及びZcのうち少なくとも一つは−N=であり、Zaが−CH(R13)−の場合は、Zb及びZcの両方とも−N=である。R11、R12及びR13は、それぞれ独立してハメットの置換基定数σp値が0.2以上、1.0以下の電子吸引性基を表す。R14は、水素原子又は、置換基を表す。ただし、式中に2つのR14が存在する場合には、それらは同じであっても異なっていてもよい。X11は、水素原子、若しくは置換基を表す。
以下、本化合物について詳細に説明する。式(M)で表される骨格のうち好ましい骨格は、1H-ピラゾロ[1,5-b][1,2,4]トリアゾール、1H−ピラゾロ[5,1−c][1,2,4]トリアゾールであり、それぞれ式(M−1)及び式(M−2)で表される。
Figure 2006235514
式中、R15、R16は、置換基を表し、X11は、水素原子若しくは、置換基を表す。
式(M−1)若しくは(M−2)における置換基R15、R16、X11について詳しく説明する。
15は、ハロゲン原子(例えば塩素原子、臭素原子、弗素原子)、アルキル基(炭素数1〜60。例えば、メチル、エチル、プロピル、iso −ブチル、t−ブチル、t−オクチル、1−エチルヘキシル、ノニル、シクロヘキシル、ウンデシル、ペンタデシル、n−ヘキサデシル、3−デカンアミドプロピル)、アルケニル基(炭素数2〜60。例えば、ビニル、アリル、オレイル)、シクロアルキル基(炭素数5〜60。例えば、シクロペンチル、シクロヘキシル、4−t−ブチルシクロヘキシル、1−インダニル、シクロドデシル)、アリール基(炭素数6〜60。例えば、フェニル、p−トリル、ナフチル)、アシルアミノ基(炭素数2〜60。例えば、アセチルアミノ、n−ブタンアミド、オクタノイルアミノ、2−ヘキシルデカンアミド、2−(2’,4’−ジ−t−アミルフェノキシ)ブタンアミド、ベンゾイルアミノ、ニコチンアミド)、スルホンアミド基(炭素数1〜60。例えば、メタンスルホンアミド、オクタンスルホンアミド、ベンゼンスルホンアミド)、ウレイド基(炭素数2〜60。例えば、デシルアミノカルボニルアミノ、ジ−n−オクチルアミノカルボニルアミノ)、ウレタン基(炭素数2〜60。例えば、ドデシルオキシカルボニルアミノ、フェノキシカルボニルアミノ、2−エチルヘキシルオキシカルボニルアミノ)、アルコキシ基(炭素数1〜60。例えば、メトキシ、エトキシ、ブトキシ、n−オクチロキシ、ヘキサデシロキシ、メトキシエトキシ)、アリールオキシ基(炭素数6〜60。例えば、フェノキシ、2,4−ジ−t−アミルフェノキシ、4−t−オクチルフェノキシ、ナフトキシ)、アルキルチオ基(炭素数1〜60。例えば、メチルチオ、エチルチオ、ブチルチオ、ヘキサデシルチオ)、アリールチオ基(炭素数6〜60。例えば、フェニルチオ、4−トデシルオキシフェニルチオ)、アシル基(炭素数1〜60。例えば、アセチル、ベンゾイル、ブタノイル、ドデカノイル)、スルホニル基(炭素数1〜60。例えば、メタンスルホニル、ブタンスルホニル、トルエンスルホニル)、シアノ基、カルバモイル基(炭素数1〜60。例えば、N,N−ジシクロヘキシルカルバモイル)、スルファモイル基(炭素数0〜60。例えば、N,N−ジメチルスルファモイル)、ヒドロキシ基、スルホ基、カルボキシル基、ニトロ基、アルキルアミノ基(炭素数1〜60。例えば、メチルアミノ、ジエチルアミノ、オクチルアミノ、オクタデシルアミノ)、アリールアミノ基(炭素数6〜60。例えば、フェニルアミノ、ナフチルアミノ、N−メチル−N−フェニルアミノ)、複素環基(炭素数0〜60。好ましくは、環構成のヘテロ原子として窒素原子、酸素原子、イオウ原子から選択されるものであって、ヘテロ原子以外に炭素原子をも環構成原子として含むものがさらに好ましく、環員数3〜8、より好ましくは5〜6であり、例えば、後述するXの項で例示した基)、アシルオキシ基(炭素1〜60。例えば、ホルミルオキシ、アセチルオキシ、ミリストイルオキシ、ベンゾイルオキシ)が好ましい。
上記の中でアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アシルアミノ基、ウレイド基、ウレタン基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アシル基、スルホニル基、シアノ基、カルバモイル基、スルファモイル基は置換基を有するものも含み、この置換基としては、例えばアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アシルアミノ基、ウレイド基、ウレタン基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アシル基、スルホニル基、シアノ基、カルバモイル基、スルファモイル基が挙げられる。
これらの置換基のうち、好ましいR15としては、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基が挙げられ、より好ましくは、アルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基である。特に好ましくは、分岐のアルキル基である。
16は、R12について例示した置換基が好ましく、さらに好ましい置換基として、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシ基、アリールオキシ基である。
より好ましくは、アルキル基、置換アリール基であり、もっとも好ましい基は、置換アリール基であり、一般式(M−3)、(M−4)で表される化合物が好ましい。
一般式(M)中のR101、X11、及びZ11を含むアゾール環上の置換基の炭素数の総和に特に制限はないが、乳剤粒子への吸着性を高め、感度/粒状比の改良効果を高める上で13以上60以下が好ましく、20以上50以下がさらに好ましい。
Figure 2006235514
式中、R15、X11は、一般式(M-1)、(M−2)と同義であり、R17は、置換基を表す。R17の置換基としては、R15の例として先に列挙した置換基が好ましい挙げられる。置換基としてさらに好ましくは、置換アリール基、置換もしくは無置換のアルキル基が挙げられる。この場合の置換基としては、R15の例として先に列挙した置換基が好ましい。
11は、水素原子若しくは置換基を表し、置換基としては、R15の例として先に列挙した置換基が好ましい。X11の置換基としてより好ましくは、アルキル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基若しくは、現像主薬の酸化体との反応で離脱する基を表し、該基としては、ハロゲン原子(フッ素、塩素、臭素等)、アルコキシ基(エトキシ、メトキシカルボニルメトキシ、カルボキシプロピルオキシ、メタンスルホニルエトキシ、パーフルオロプロポキシ等)、アリールオキシ基(4−カルボキシフェノキシ、4−(4−ヒドロキシフェニルスルホニル)フェノキシ、4−メタンスルホニル−3−カルボキシフェノキシ、2−メタンスルホニル−4−アセチルスルファモイルフェノキシ等)、アシルオキシ基(アセトキシ、ベンゾイルオキシ等)、スルホニルオキシ基(メタンスルホニルオキシ、ベンゼンスルホニルオキシ等)、アシルアミノ基(ヘプタフルオロブチリルアミノ等)、スルホンアミド基(メタンスルホンアミド等)、アルコキシカルボニルオキシ基(エトキシカルボニルオキシ等)、カルバモイルオキシ基(ジエチルカルバモイルオキシ、ピペリジノカルボニルオキシ、モルホリノカルボニルオキシ等)、アルキルチオ基(2−カルボキシエチルチオ等)、アリールチオ基(2−オクチルオキシ−5−t−オクチルフェニルチオ、2−(2,4−ジ−t−アミルフェノキシ)ブチリルアミノフェニルチオ等)、複素環チオ基(1−フェニルテトラゾリルチオ、2−ベンズイミダゾリルチオ等)、複素環オキシ基(2−ピリジルオキシ、5−ニトロ−2−ピリジルオキシ等)、5員もしくは6員の含窒素複素環基(1−トリアゾリル、1−イミダゾリル、1−ピラゾリル、5−クロロ−1−テトラゾリル、1−ベンゾトリアゾリル、2−フェニルカルバモイル−1−イミダゾリル、5,5−ジメチルヒダントイン−3−イル、1−ベンジルヒダントイン−3−イル、5,5−ジメチルオキサゾリジン−2,4−ジオン−3−イル、プリン等)、アゾ基(4−メトキシフェニルアゾ、4−ピバロイルアミノフェニルアゾ等)等を挙げることができる。
11の置換基として特に好ましくは、アルキル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、ハロゲン原子、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルもしくは、アリールチオ基、カップリング活性に窒素原子で結合する5員若しくは、6員の含窒素ヘテロ環基であり、特に好ましくは、アルキル基、カルバモイル基、ハロゲン原子、置換アリールオキシ基、置換アリールチオ基、アルキルチオ基または、1−ピラゾリル基である。
前記一般式(M−1)、(M−2)で表される、本発明に好ましく使用される化合物は、R11、R12を介して二量体以上の多量体を形成してもよく、また、高分子鎖に結合していてもよい。本発明において、好ましくは、一般式(M-1)であり、更に一般式(M−3)がより好ましい。
次に、一般式(C)について説明する。本発明の一般式(C)において具体的には、下記一般式(bc−3)〜(bc−6)で表わされる。
Figure 2006235514
式中、R11〜R14、及びX11は、一般式(C)におけるそれぞれと同義である。
本発明において、一般式(bc−3)、(bc−4)で表される化合物が好ましく、特に(bc−3)で表される化合物が好ましい。
一般式(C)において、R11、R12及びR13で表わされる置換基は、ハメットの置換基定数σp値が、0.20以上1.0以下の電子吸引性基である。好ましくは、σp値が、0.2以上0.8以下の電子吸引性基である。ハメット則は、ベンゼン誘導体の反応又は平衡に及ぼす置換基の影響を定量的に論ずるために1935年にL.P.Hammetにより提唱された経験則であるが、これは今日広く妥当性が認められている。ハメット則により求められた置換基定数にはσp値とσm値があり、これらの値は多くの一般的な成書に記載あるが、例えば、J.A.Dean編「Lange’s Handbook of Chemistry」第12版、1979年(McGaw-Hill)や「化学の領域増刊」、122号、96〜103頁、1979年(南江堂) Chemical Review,91巻、165頁〜195頁、1991年に詳しい。
本発明においてR11、R12及びR13は、ハメットの置換基定数値によって規定されるが、これらの成書に記載の文献既知の値がある置換基にのみ限定されるという意味ではなくその値が文献未知であってもハメット則に基づいて測定した場合にその範囲に含まれる限り包含される事は勿論である。
σp値が0.2以上1.0以下の電子吸引性基である具体例として、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、シアノ基、ニトロ基、ジアルキルホスホノ基、ジアリールホスホノ基、ジアリールホスフィニル基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、等が挙げられる。これらの置換基のうち更に置換基を有する事が可能な基は、後述するR4で挙げるような置換基を更に有していてもよい。
11、R12及びR13として好ましくは、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、シアノ基,スルホニル基であり、より好ましくは、シアノ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基である。
11とR12の組み合わせとして好ましくは、R11がシアノ基で、R12がアルコキシカルボニル基の時である。
14は、水素原子もしくは置換基を表し、置換基としては、上記のR15に列挙した置換基が挙げられる。
14の好ましい置換基としては、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルアミノ基、が挙げられ、より好ましくは、アルキル基、置換アリール基であり、もっとも好ましい基は、置換アリール基である。この場合の置換基として、上記に挙げた置換基が挙げられる。
11は、一般式(M)と同じである。
以下に本発明に好ましく使用されるカプラーの具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 2006235514
Figure 2006235514
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Figure 2006235514
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Figure 2006235514
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Figure 2006235514
Figure 2006235514
Figure 2006235514
Figure 2006235514
上記のヘテロ原子を3個以上持つ複素環化合物は、例えば、特開昭61−65245号、特開昭61−65246号、特開昭61−147254号、特開平8−122984号等に記載の合成方法に準じて容易に合成出来る。
前述したように、本発明におけるヘテロ原子を3個以上持つ複素環化合物は、酸化現像主薬と反応する場合が好ましいが、酸化現像主薬と反応しない複素環化合物を用いることも可能である。これらについて、以下で説明する。
これらの複素環として具体的には、トリアゾール環、オキサジアゾール環、チアジアゾール環、ベンゾトリアゾール環、テトラアザインデン環、ペンタアザインデン環、プリン環、テトラゾール環、ピラゾロトリアゾール環等が挙げられる。
代表的な複素環の例を以下に示す。
本発明に使用できる6/5二環複素環化合物の例として、テトラアザインデン環、ペンタアザインデン環、及びヘキサアザインデン環がある。
Figure 2006235514
上記の構造に準じて窒素原子の位置を番号付けすると、テトラアザインデン環として(1,3,4,6)及び(1,3,5,7)(以上、プリン類として知られている)、(1,3,5,6)、(1,2,3a,5),(1,2,3a,6),(1,2,3a,7),(1,3,3a,7),(1,2,4,6),(1,2,4,7),(1,2,5,6)及び(1,2,5,7)などを用いることができる。これらの化合物は、イミダゾー、ピラゾロー、若しくはトリアゾローピリミジン環、ピリダジン環、又はピラジン環の誘導体として表現することもできる。ペンタアザインデン環として、(1,2,3a,4,7),(1,2,3a,5,7),(1,3,3a,5,7)などを用いることができる。ヘキサアザインデン環として、(1,2,3a,4,6,7)などを用いることができる。さらに好ましくは1,3,4,6―テトラアザインデン環、1,2,5,7―テトラアザインデン環、1,2,4,6―テトラアザインデン環、1,2,3a,7―テトラアザインデン環、及び1,3,3a,7―テトラアザインデン環である。
下記に好ましい例を具体的に示す。
Figure 2006235514
これらのテトラアザインデン環、ペンタアザインデン環、及びヘキサアザインデン環の場合、イオン化可能な置換基、例えば、ヒドロキシ基、チオール基、1級アミノ基、又は2級アミノ基が、環原子に環窒素への共役を生じて複素環の互変異性体を形成できるように結合されていない場合が好ましい。
その他に、下記の複素環が挙げられる。
Figure 2006235514
上記の複素環の一部又は全部が飽和した複素環を用いても良いが、前述したように、好ましくは飽和していない場合である。
これらの複素環には、「ヘテロ原子を3個以上持つ複素環」の定義に反しない限り、いかなる置換基が置換していても縮環していても良く、置換基としては前述のWが挙げられる。また、複素環に含まれる3級窒素原子が置換されて4級窒素となっても良い。なお、複素環の別の互変異性構造を書くことができるどのような場合も、化学的に等価である。
上記の複素環において、遊離チオール基(−SH)及びチオカルボニル基(>C=S)が置換していない場合が好ましい。
上記の複素環のうち、好ましくは(ca−1)〜(ca−11)である。
なお、ここで述べた複素環化合物は酸化現像主薬と反応しない化合物である。すなわち、酸化現像主薬と直接に化学反応又はレドックス反応を顕著に生じない(5〜10%未満)ものが好ましく、さらに、カプラーではなく、かつ酸化現像主薬と反応して色素又はいずれか他の生成物を生成しないものが好ましい。
次に、ヘテロ原子を3個以上持つ複素環化合物で酸化現像主薬と反応しないものの具体例を示す。もちろん、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 2006235514
Figure 2006235514
Figure 2006235514
Figure 2006235514
Figure 2006235514
化合物(A)としては、上記の具体例以外に、特開2000−194085号公報の具体例に記載された、前述の化合物(A)の要件に該当する化合物を好ましく用いることができる。
また、上記以外の化合物(A)の具体例として、エドワード・シー・テーラー(Edward C.Taylor),アーノルド・ワイスバーガー(Arnold Weissberger)編、「ザ・ケミストリー・オブ・ヘテロサイクリック・コンパウンズ(The Chemistry of Heterocyclic Compounds)−ア・シリーズ・オブ・モノグラフズ(A Series of Monographs)」第1〜59巻、ジョン・ウィリー・アンド・サンズ(John Wiley & Sons)社刊、ロバート・シー・エルダーフィールド(Robert C.Elderfield)編、「ヘテロサイクリック・コンパウンズ(Heterocyclic Compounds)」第1〜6巻、ジョン・ウィリー・アンド・サンズ(John Wiley & Sons)社刊、などに記載の化合物のうち、前述の化合物(A)の要件に該当する化合物を用いることができる。また、これらの化合物は、上記の文献に記載の方法に基づいて合成することができる。
以上で述べた、化合物(A)の置換基としては、当業者が使用する特定用途の所望の写真特性を得るためのいかなる置換基を選定することも可能である。それらは、例えば、疎水性基(バラスト基)、可溶化基、ブロッキング基、放出又は放出可能性基が含まれる。一般的に、これらの基は炭素数として好ましくは1〜60、さらに好ましくは1〜50である。
化合物(A)の感材中での移動を制御するため、分子中に高分子量の疎水性基もしくはバラスト基を含んだりポリマー主鎖を含んでもよい。
代表的なバラスト基における炭素数は、好ましくは8〜60、さらに好ましくは10〜57、特に好ましくは12〜55、最も好ましくは16〜53である。これらの置換基としては、置換又は未置換の炭素数8〜60、好ましくは10〜57、さらに好ましくは13〜55、特に好ましくは16〜53、最も好ましくは20〜50のアルキル、アリール基、又は複素環基が挙げられる。また、これらは分岐を含んでいる場合が好ましい。代表的な、それらの基上の置換基には、アルキル、アリール、アルコキシ、アリールオキシ、アルキルチオ、ヒドロキシ、ハロゲン、アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、カルボキシ、アシル、アシルオキシ、アミノ、アニリノ、カルボンアミド、カルバモイル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、スルホンアミド、及びスルファモイル基が含まれ、それらの置換基は一般的に炭素数1〜42である。例えば、前述のWが挙げられる。また、このような置換基は、さらに置換されていてもよい。
バラスト基について、さらに詳細に説明する。具体的には、アルキル基(炭素数1〜60。例えば、メチル、エチル、プロピル、iso −ブチル、t−ブチル、t−オクチル、1−エチルヘキシル、ノニル、シクロヘキシル、ウンデシル、ペンタデシル、n−ヘキサデシル、3−デカンアミドプロピル)、アルケニル基(炭素数2〜60。例えば、ビニル、アリル、オレイル)、シクロアルキル基(炭素数5〜60。例えば、シクロペンチル、シクロヘキシル、4−t−ブチルシクロヘキシル、1−インダニル、シクロドデシル)、アリール基(炭素数6〜60。例えば、フェニル、p−トリル、ナフチル)、アシルアミノ基(炭素数2〜60。例えば、アセチルアミノ、n−ブタンアミド、オクタノイルアミノ、2−ヘキシルデカンアミド、2−(2’,4’−ジ−t−アミルフェノキシ)ブタンアミド、ベンゾイルアミノ、ニコチンアミド)、スルホンアミド基(炭素数1〜60。例えば、メタンスルホンアミド、オクタンスルホンアミド、ベンゼンスルホンアミド)、ウレイド基(炭素数2〜60。例えば、デシルアミノカルボニルアミノ、ジ−n−オクチルアミノカルボニルアミノ)、ウレタン基(炭素数2〜60。例えば、ドデシルオキシカルボニルアミノ、フェノキシカルボニルアミノ、2−エチルヘキシルオキシカルボニルアミノ)、アルコキシ基(炭素数1〜60。例えば、メトキシ、エトキシ、ブトキシ、n−オクチロキシ、ヘキサデシロキシ、メトキシエトキシ)、アリールオキシ基(炭素数6〜60。例えば、フェノキシ、2,4−ジ−t−アミルフェノキシ、4−t−オクチルフェノキシ、ナフトキシ)、アルキルチオ基(炭素数1〜60。例えば、メチルチオ、エチルチオ、ブチルチオ、ヘキサデシルチオ)、アリールチオ基(炭素数6〜60。例えば、フェニルチオ、4−トデシルオキシフェニルチオ)、アシル基(炭素数1〜60。例えば、アセチル、ベンゾイル、ブタノイル、ドデカノイル)、スルホニル基(炭素数1〜60。例えば、メタンスルホニル、ブタンスルホニル、トルエンスルホニル)、シアノ基、カルバモイル基(炭素数1〜60。例えば、N,N−ジシクロヘキシルカルバモイル)、スルファモイル基(炭素数0〜60。例えば、N,N−ジメチルスルファモイル)、ヒドロキシ基、スルホ基、カルボキシル基、ニトロ基、アルキルアミノ基(炭素数1〜60。例えば、メチルアミノ、ジエチルアミノ、オクチルアミノ、オクタデシルアミノ)、アリールアミノ基(炭素数6〜60。例えば、フェニルアミノ、ナフチルアミノ、N−メチル−N−フェニルアミノ)、複素環基(炭素数0〜60。好ましくは、環構成のヘテロ原子として窒素原子、酸素原子、イオウ原子から選択されるものであって、ヘテロ原子以外に炭素原子をも環構成原子として含むものがさらに好ましく、環員数3〜8、より好ましくは5〜6であり、例えば、前述のWで示した基)、アシルオキシ基(炭素1〜60。例えば、ホルミルオキシ、アセチルオキシ、ミリストイルオキシ、ベンゾイルオキシ)が好ましい。
上記の中でアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アシルアミノ基、ウレイド基、ウレタン基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アシル基、スルホニル基、シアノ基、カルバモイル基、スルファモイル基は置換基を有するものも含み、この置換基としては、例えばアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アシルアミノ基、ウレイド基、ウレタン基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アシル基、スルホニル基、シアノ基、カルバモイル基、スルファモイル基、ハロゲン原子が挙げられる。
これらの置換基のうち、好ましくは、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基が挙げられ、より好ましくは、アルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基である。特に好ましくは、分岐のアルキル基である。
これらの置換基の炭素数の総和に特に制限はないが、好ましくは8〜60、さらに好ましくは10〜57、特に好ましくは12〜55、最も好ましくは16〜53である。
ハロゲン化銀写真感光材料中に、化合物(A)を含有させる場合、好ましくは、保存時は特定の層に固定可能であり、写真処理の適当な時期(好ましくは現像処理時)に拡散する化合物を用いる場合である。保存時に本発明の化合物の拡散を防いで固定するために、いかなる化合物・方法を用いても良いが、好ましくは、以下の化合物・方法が挙げられる。
(1)特定のpKaを持つ化合物を、後述する高沸点有機溶媒等とともに乳化分散して添加することにより、現像時にのみ化合物(A)を解離させてオイルから溶出させる方法。
本発明の化合物のpKaは、好ましくは5.5以上の場合であり、さらに好ましくは6.0以上10.0以下、特に好ましくは6.5以上8.4以下、最も好ましくは6.9以上8.3以下の場合である。
解離基としては、いかなるものでも良いが、好ましくは、カルボキシル基、−CONHSO2−基(スルホニルカルバモイル基、カルボニルスルファモイル基)、−CONHCO−基(カルボニルカルバモイル基)、−SO2NHSO2−基(スルフォニルスルファモイル基)、スルホンアミド基、スルファモイル基、フェノール性水酸基が挙げられ、さらに好ましくはカルボキシル基、−CONHSO2−基、−CONHCO−基、−SO2NHSO2−基であり、特に好ましくはカルボキシル基、−CONHSO2−基である。
(2)化合物(A)にバラスト基を入れて耐拡散性にする方法。
(3)ブロッキング基を用いる方法。写真処理過程の求核反応、求電子反応、酸化反応、還元反応等の化学反応により性質の変化(例えば拡散性となる)化合物を用いることができ、これらに関する化学、及び写真分野で公知のいかなる方法を利用することもできる。
一例として、求核反応について詳しく説明する。求核反応は、いかなる条件で起こることも可能であるが、塩基、又は加熱により促進され、特に塩基の存在下で促進される。塩基としては、いかなるものでも良いが無機塩基および有機塩基からた選ぶことができ、例えば、トリエチルアミンなどの3級アミン、ピリジンなどの芳香族複素環アミン、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのOHアニオンを持つ塩基などが挙げられる。特に、本発明においては、写真処理のうち、現像液のような高pHの写真処理により、求核反応が促進されるため、好ましく用いることができる。
ここでいう求核剤とは、求核剤の攻撃を受けて脱離する基を形成する原子群中に含まれるカルボニル炭素などの電子密度の低い原子を攻撃して、電子を与えるか共有する性質を有する化学種を表す。求核剤はいかなる構造を有していてもよいが、好ましい例としては水酸化物イオンを与える試薬(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム)、亜硫酸イオンを与える試薬(例えば、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム)、ヒドロキシルアミドイオンを与える試薬(例えばヒドロキシアミン)、ヒドラジドイオンを与える試薬(例えば、抱水ヒドラジン、ジアルキルヒドラジン類)、ヘキサシアノ鉄(II)酸イオンを与える試薬(例えば、黄血塩)、シアン化物イオン、スズ(II)イオン、アンモニア、アルコキシイオンを与える試薬(例えば、ナトリウムメトキシド)などが挙げられる。求核剤の攻撃を受けて脱離する基としては、Can.J.Chem.44巻2315頁(1966年)、特開昭59−137,945、特開昭60−41,034などに記載された逆マイケル型反応を利用する基、Chem.Lett.585頁(1988年)、特開昭59−218,439、特公平5−78,025などに記載された求核反応を利用する基、エステル結合あるいはアミド結合の加水分解反応を利用する基などを挙げることができる。
上記の機能を付与するため、本発明の化合物は、写真処理過程で本発明の化合物を放出するブロック基で置換されていても良い。ブロック基としては公知のものが使用できる。例えば、特公昭48-9968号、特開昭52-8828号、同57-82834号、米国特許第3,311,476号及び特公昭47-44805号(米国特許第3,615,617号)等に記載されているアシル基、スルホニル基等のブロック基、特公昭55-17369号(米国特許第3,888,677号)、同55-9696号(米国特許第3,791,830号)、同55-34927号(米国特許第4,009,029号)、特開昭56-77842号(米国特許第4,307,175号)、同59-105640号、同59-105641号及び同59-105642号等に記載されている逆マイケル反応を利用するブロック基、特公昭54-39727号、米国特許第3,674,478号、同3,932,480号、同3,993,661号、特開昭57-135944号、同57-135945号(米国特許第4,420,554号)、同57-136640号、同61-196239号、同61-196240号(米国特許第4,702,999号)、同61-185743号、同61-124941号(米国特許第4,639,408号)及び特開平2-280140号等に記載されている分子内電子移動によりキノンメチド又はキノンメチド類似の化合物の生成を利用するブロック基、米国特許第4,358,525号、同4,330,617号、特開昭55-53330号 (米国特許第4,310,612号)、同59-121328号、同59-218439号及び同63-318555号(欧州公開特許第0295729号)等に記載されている分子内求核置換反応を利用するブロック基、特開昭57-76541号(米国特許第4,335,200、同57-135949号(米国特許第4,350,752号)、同57-179842号、同59-137945号、同59-140445号、同59-219741号、同59-202459号、同60-41034号(米国特許第4,618,563号)、同62-59945号(米国特許第4,888,268号)、同62-65039号(米国特許第4,772,537号)、同62-80647 号、特開平3-236047号及び同3-238445号等に記載されている5員又は6員環の環解裂反応を利用するブロック基、特開昭59-201057号(米国特許第4,518,685号)、同61-43739号(米国特許第4,659,651号)、同61-95346号(米国特許第4,690,885号)、同61-95347号(米国特許第4,892,811号)、特開昭64-7035号、同4-42650号(米国特許第5,066,573号)、特開平1-245255号、同2-207249号、同2-235055号(米国特許第5,118,596号)及び同4-186344号等に記載されている共役不飽和結合への求核剤の付加反応を利用するブロック基、特開昭59-93442号、同61-32839号、同62-163051号及び特公平5-37299号等に記載されているβ-脱離反応を利用するブロック基、特開昭61-188540号に記載されているジアリールメタン類の求核置換反応を利用したブロック基、特開昭62-187850号に記載されているロッセン転位反応を利用したブロック基、特開昭62-80646、同62-144163及び同62-147457号等に記載されているチアゾリジン-2-チオンのN-アシル体とアミン類との反応を利用したブロック基、特開平2-296240号(米国特許第5,019,492号)、同4-177243号、同4-177244号、同4-177245号、同4-177246号、同4-177247号、同4-177248号、同4-177249号、同4-179948号、同4-184337号、同4-184338号、WO92/21064号、特開平4-330438号、WO93/03419号及び特開平5-45816号等に記載されている2個の求電子基を有して二求核剤と反応するブロック基、特開平3-236047号及び同3-238445号を挙げることができる。これらのブロック基のうち、特に好ましいものは特開平2-296240号(米国特許第5,019,492号)、同4-177243号、同4-177244号、同4-177245号、同4-177246号、同4-177247号、同4-177248号、同4-177249号、同4-179948号、同4-184337号、同4-184338号、WO92/21064号、特開平4-330438号、WO93/03419号及び特開平5-45816号等に記載されている2個の求電子基を有して二求核剤と反応するブロック基である。また、これらのブロック基は、米国特許第4,409,323号又は同4,421,845号に記載された電子移動反応を利用して開裂反応を起こさせるタイミング基を含む基であっても良く、この場合、タイミング基の電子移動反応を引き起こす末端がブロックされているのが好ましい。
(4)化合物(A)の部分構造を含む2量体、又は3量体以上のポリマー化合物を用いる方法。
(5)化合物(A)の中で水に不溶性のものの固体分散物を用いて固定する方法。(1)で述べたのと同様に、化合物(A)が特定のpKaを持つ場合が、現像時にのみ本発明の化合物が溶解するので好ましい。水に不溶性の染料固体(固体分散物)を用いた例が、特開昭56−12639号、同55−155350号、同55−155351号、同63−27838号、同63−197943号、欧州特許第15,601号等に開示されている。固体分散する詳細な方法については後述する。
(6)化合物(A)と反対の電荷を持つポリマーを媒染剤として共存させ、本発明の化合物を固定する方法。染料を固定した例が、米国特許2,548,564号、同4,124,386号、同3,625,694号等に開示されている。
(7)化合物(A)を、ハロゲン化銀などの金属塩に吸着させて固定する方法。染料を固定した例が、米国特許第2,719,088号、同2,496,841号、同2,496,843号、特開昭60−45237号等に開示されている。
化合物(A)に用いることができるハロゲン化銀への吸着基としては、特開平2003-156823号明細書の16頁右1行目〜17頁右12行目に記載の基が代表的なものである。
吸着性基として好ましくは、メルカプト置換含窒素ヘテロ環基(例えば2−メルカプトチアジアゾール基、3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール基、5−メルカプトテトラゾール基、2−メルカプト−1,3,4−オキサジアゾール基、2−メルカプトベンズオキサゾール基、2−メルカプトベンズチアゾール基、1,5−ジメチル−1,2,4−トリアゾリウム−3−チオレート基など)、またはイミノ銀(>NAg)を形成しうる−NH−基をヘテロ環の部分構造として有する含窒素ヘテロ環基(例えば、ベンゾトリアゾール基、ベンズイミダゾール基、インダゾール基など)である。特に好ましくは、5−メルカプトテトラゾール基、3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール基、およびベンゾトリアゾール基であり、最も好ましいのは、3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール基、および5−メルカプトテトラゾール基である。
吸着性基として、分子内に2つ以上のメルカプト基を部分構造として有する場合もまた特に好ましい。ここにメルカプト基(−SH)は、互変異性化できる場合にはチオン基となっていてもよい。2つ以上のメルカプト基を部分構造として有する吸着性基(ジメルカプト置換含窒素テロ環基など)の好ましい例としては、2,4−ジメルカプトピリミジン基、2,4−ジメルカプトトリアジン基、3,5−ジメルカプト−1,2,4−トリアゾール基が挙げられる。
また、窒素またはリンの4級塩構造も吸着性基として好ましく用いられる。窒素の4級塩構造としては具体的にはアンモニオ基(トリアルキルアンモニオ基、ジアルキルアリール(またはヘテロアリール)アンモニオ基、アルキルジアリール(またはヘテロアリール)アンモニオ基など)または4級化された窒素原子を含む含窒素ヘテロ環基を含む基である。リンの4級塩構造としては、フォスフォニオ基(トリアルキルフォスフォニオ基、ジアルキルアリール(またはヘテロアリール)フォスフォニオ基、アルキルジアリール(またはヘテロアリール)フォスフォニオ基、トリアリール(またはヘテロアリール)フォスフォニオ基など)が挙げられる。より好ましくは窒素の4級塩構造が用いられ、さらに好ましくは4級化された窒素原子を含む5員環あるいは6員環の含窒素芳香族ヘテロ環基が用いられる。特に好ましくはピリジニオ基、キノリニオ基、イソキノリニオ基が用いられる。これら4級化された窒素原子を含む含窒素ヘテロ環基は任意の置換基を有していてもよい。
4級塩の対アニオンの例としては、ハロゲンイオン、カルボキシレートイオン、スルホネートイオン、硫酸イオン、過塩素酸イオン、炭酸イオン、硝酸イオン、BF4 、PF6 、Ph4B等が挙げられる。分子内にカルボキシレート基等に負電荷を有する基が存在する場合には、それとともに分子内塩を形成していても良い。分子内にない対アニオンとしては、塩素イオン、ブロモイオンまたはメタンスルホネートイオンが特に好ましい。
以上のうち、化合物(A)を固定する方法として好ましくは、(1)特定のpKaを持つ化合物を用いる方法、(2)バラスト基を持つ化合物を用いる方法、(3)ブロッキング基を持つ化合物を用いる方法、(5)固体分散物を用いる方法であり、これらに適した化合物を用いることが好ましい。さらに好ましくは(1)、(2)、又は(3)の方法・化合物であり、特に好ましくは(1)、又は(2)の方法・化合物である。最も好ましくは(1)と(2)の方法を同時に用いる場合であり、すなわち、特定のpKaとバラスト基を併せもつ本発明の化合物を最も好ましく用いることができる。
化合物(A)は、該化合物の電荷を中和するために必要なときは、必要な陽イオン又は陰イオンを必要な数含むことができる。典型的な陽イオンとしては水素イオン(H)、アルカリ金属イオン(例えばナトリウムイオン、カリウムイオン、リチウムイオン)、アルカリ土類金属イオン(例えばカルシウムイオン)などの無機陽イオン、アンモニウムイオン(例えば、アンモニウムイオン、テトラアルキルアンモニウムイオン、トリエチルアンモニウムイオン、ピリジニウムイオン、エチルピリジニウムイオン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセニウムイオン)などの有機イオンが挙げられる。陰イオンは無機陰イオンあるいは有機陰イオンのいずれであってもよく、ハロゲン陰イオン(例えばフッ素イオン、塩素イオン、ヨウ素イオン)、置換アリ−ルスルホン酸イオン(例えばp−トルエンスルホン酸イオン、p−クロルベンゼンスルホン酸イオン)、アリ−ルジスルホン酸イオン(例えば1、3−ベンゼンスルホン酸イオン、1、5−ナフタレンジスルホン酸イオン、2、6−ナフタレンジスルホン酸イオン)、アルキル硫酸イオン(例えばメチル硫酸イオン)、硫酸イオン、チオシアン酸イオン、過塩素酸イオン、テトラフルオロホウ酸イオン、ピクリン酸イオン、酢酸イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオンが挙げられる。さらに、イオン性ポリマー又は色素と逆電荷を有する他の色素を用いても良い。また、CO 、SO は、対イオンとして水素イオンを持つときはCOH、SOHと表記することも可能である。
なお、化合物(A)が分子内に不斉炭素を複数個有する場合、同一構造に対して複数の立体異性体が存在するが、本明細書では可能性のある全ての立体異性体を示しており、本発明においては複数の立体異性のうち1つだけを使用することも、あるいはそのうちの数種を混合物として使用することもできる。
化合物(A)は1種を用いても複数を併用しても良く、用いる化合物の数と種類は任意に選ぶことができる。
また、化合物(A)に、さらに特開2000−194085号公報、特開2003−156823号公報に記載されたヘテロ原子を最低3個有する化合物を併用しても良い。
化合物(A)は1つのまたは複数の任意の高感度化効果を有する方法や高感度化効果を有する化合物と併用することもできる。このときも用いる方法や含有させる化合物の数と種類は任意に選ぶことができる。
本発明では、化合物(A)をハロゲン化銀写真感光材料(好ましくはハロゲン化銀カラー写真感光材料)に作用させることができればよく、その添加場所等に制限はなく、ハロゲン化銀感光性層、非感光性層のいずれに用いてもよい。
ハロゲン化銀感光性層に用いる場合、感光性層が感度の異なる複数の層に分かれている場合、どの感度の層に用いてもよいが、最も高感度の層に用いることが好ましい。
非感光性層に用いる場合には赤感性層と緑感性層又は緑感性層と青感性層の間に位置する非感光性層に用いることが好ましい。非感光性層とはハロゲン化銀乳剤層以外の全ての層を示し、ハレーション防止層、中間層、イエローフィルター層、保護層などが挙げられる。
化合物(A)を感光材料中に添加する方法に特に規定はないが、高沸点有機溶媒等とともに乳化分散して添加する方法、固体分散して添加する方法、溶液形態で塗布液に添加する方法(例えば、水又はメタノールなどの有機溶媒、もしくは混合溶媒に溶解して添加)、ハロゲン化銀乳剤の調製時に添加する方法などがあるが、乳化分散、及び固体分散により感材に導入することが好ましく、さらに好ましくは乳化分散により感材に導入する場合である。
乳化分散法としては、高沸点有機溶媒(低沸点有機溶媒の併用も可)に溶解し、ゼラチン水溶液に乳化分散してハロゲン化銀乳剤に添加する水中油滴分散法が用いられる。
水中油滴分散法に用いられる高沸点有機溶媒の例は米国特許第2,322,027号等に記載されている。また、ポリマー分散法の1つとしてラテックス分散法の具体例が米国特許第4,199,363号、西独特許(OLS)第2,541,274号、特公昭53−41091号、欧州特許出願公開第0,727,703号、同第0,727,704号等の各明細書に記載されている。さらに、有機溶媒可溶性ポリマーによる分散法が国際公開第WO88/723号パンフレットに記載されている。
水中油滴分散法に用いることのできる高沸点有機溶媒としては、フタル酸エステル類(例えば、フタル酸ジブチル、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジ−2−エチルヘキシル等)、リン酸またはホスホン酸エステル類(例えば、リン酸トリフェニル、リン酸トリクレジル、リン酸トリ−2−エチルヘキシル等)、脂肪酸エステル類(例えば、コハク酸ジ−2−エチルヘキシル、クエン酸トリブチル等)、安息香酸エステル類(例えば、安息香酸2−エチルヘキシル、安息香酸ドデシル等)、アミド類(例えば、N,N−ジエチルドデカンアミド、N,N−ジメチルオレインアミド等)、アルコールまたはフェノール類(例えば、イソステアリルアルコール、2,4−ジ−tert−アミルフェノール等)、アニリン類(例えば、N,N−ジブチル−2−ブトキシ−5−tert−オクチルアニリン等)、塩素化パラフィン類、炭化水素類(例えば、ドデシルベンゼン、ジイソプロピルナフタレン等)、カルボン酸類(例えば、2−(2,4−ジ−tert−アミルフェノキシ)酪酸等)などが挙げられる。また、補助溶媒として沸点が30℃以上160℃以下の有機溶媒(例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルセロソルブアセテート、ジメチルホルムアミド等)を併用してもよい。高沸点有機溶媒は本発明の化合物に対して、質量比で0〜10倍量、好ましくは0〜4倍量、用いるのが好ましい。
また、乳化分散物状態での保存時の経時安定性改良、乳剤と混合した塗布用最終組成物での写真性能変化抑制・経時安定性改良等の観点から必要に応じて乳化分散物から、減圧蒸留、ヌードル水洗あるいは限外ろ過などの方法により補助溶媒の全て又は一部を除去することができる。
この様にして得られる親油性微粒子分散物の平均粒子サイズは、0.04〜0.50μmが好ましく、更に好ましくは0.05〜0.30μmであり、最も好ましくは0.08〜0.20μmである。平均粒子サイズは、コールターサブミクロン粒子アナライザーmodelN4(商品名、コールターエレクトロニクス社)等を用いて測定できる。
また、固体微粒子分散法としては、本発明の化合物の粉末を水等の適当な溶媒中にボールミル、コロイドミル、振動ボールミル、サンドミル、ジェットミル、ローラーミルあるいは超音波によって分散し、固体分散物を作製する方法が挙げられる。尚、その際に保護コロイド(例えば、ポリビニルアルコール)、界面活性剤(例えば、トリイソプロピルナフタレンスルホン酸ナトリウム(3つのイソプロピル基の置換位置が異なるものの混合物)などのアニオン性界面活性剤)を用いてもよい。上記ミル類では分散媒体としてジルコニア等のビーズが使われるのが普通であり、これらのビーズから溶出するZr等が分散物中に混入することがある。分散条件にもよるが通常は1〜1000ppmの範囲である。感光材料中のZrの含有量が銀1g当り0.5mg以下であれば実用上差し支えない。水分散物には防腐剤(例えばベンゾイソチアゾリノンナトリウム塩)を含有させることができる。
本発明では、高S/Nで、粒子サイズが小さく、凝集のない固体分散物を得る目的で、水分散液を高速流に変換した後、圧力降下させる分散法を用いることができる。このような分散法を実施するのに用いられる固体分散装置およびその技術については、例えば『分散系レオロジーと分散化技術』(梶内俊夫、薄井洋基著、1991、信山社出版(株)、p.357〜p403)、『化学工学の進歩 第24集』(社団法人 化学工学会東海支部 編、1990、槙書店、p.184〜p185)等に詳しい。
化合物(A)の添加量は0.1〜1000mg/m2が好ましく、1〜500mg/m2がより好ましく、5〜100mg/m2が特に好ましい。感光性ハロゲン化銀乳剤層に用いる場合は、同一層中の銀1モル当たり1×10-5〜1モルが好ましく、1×10-4〜1×10-1モルがさらに好ましく、1×10-3〜5×10-2モルが特に好ましい。本発明の化合物は2種以上を併用して用いてもよい。この場合、それらの化合物は、同一層に添加しても別層に添加してもよい。
化合物(A)のpKaは以下の方法によって求めたものである。0.01ミリモルの本発明の化合物を溶解したテトラヒドロフラン/水の6:4(質量比)の溶液100ミリリットル(以下、ミリリットルを「mL」とも表記する。)に1Nの塩化ナトリウム0.5mLを加え、窒素ガス雰囲気下で攪拌しながら、0.5Nの水酸化カリウム水溶液で滴定する。横軸を水酸化カリウム水溶液の滴下量、縦軸をpH値とする滴定曲線の変曲点の中央の位置のpHをpKaとした。なお、複数の解離サイトを有する化合物の場合には、複数の変曲点が存在し、複数のpKaを求めることができる。また、紫外・可視吸収スペクトルをモニターし、吸収の変化を調べることで変曲点を判定することもできる。
一般的に写真感度はハロゲン化銀乳剤粒子のサイズによって決まる。乳剤粒子が大きいほどより写真感度が増加する。しかし、粒状性はハロゲン化銀粒子のサイズの増加とともに悪化するため、感度と粒状性はトレードオフの関係となる。
上記のハロゲン化銀乳剤粒子のサイズを増大させることに加え、カプラ−を高活性化する、現像抑制剤放出カプラ−(DIRカプラ−)の量を低下させるなどの方法により感度を増加させることが可能であるが、これらの手法により感度を増加させた場合、同時に粒状性が悪化することになる。これらの、乳剤粒子のサイズ変更、カプラ−の活性調節、DIRカプラ−量の調節などの手法は感度と粒状性のトレードオフの関係において、感度を増加しながら、粒状性を悪化させるための、または感度を低下させながら粒状性を良化させるための「調節手段」に過ぎない。
化合物(A)による感度増加は、感度増加に見合う粒状悪化を伴う感度増加とは異なる。
化合物(A)による感度増加方法は、粒状悪化を伴わない感度の増加方法、または粒状性の悪化に比較して感度の増加が大きい感度の増加方法を提供する。本発明においては、感度の増加と粒状性の悪化が同時に起こる場合には、上記の「調節手段」を用いて粒状性を合わせた上で感度を比較し、実質的な感度増加が見られる。
実質的な感度増加とは、連続ウェッジを通して感光材料を露光し、最低濃度+0.15を与える露光量の逆数の対数値で感度を比較した場合、その感度差が0.02以上であることと定義する。
多層ハロゲン化銀カラー写真感光材料においては、一般に単位感光性層の配列が、支持体側から順に赤感色性層、緑感色性層、青感色性の順に設置される。しかし、目的に応じて上記設置順が逆であっても、また同一感色性層中に異なる感光性層が挟まれたような設置順をもとり得る。上記のハロゲン化銀感光性層の間および最上層、最下層には非感光性層を設けてもよい。これらには、後述のカプラー、DIR化合物、混色防止剤等が含まれていてもよい。各単位感光性層を構成する複数のハロゲン化銀乳剤層は、独国特許第 1,121,470号明細書あるいは英国特許第 923,045号明細書に記載されているように高感度乳剤層、低感度乳剤層の2層を、支持体に向かって順次感光度が低くなる様に配列するのが好ましい。また、特開昭57−112751号、同62−200350号、同62−206541号、同62−206543号の各公報に記載されているように支持体より離れた側に低感度乳剤層、支持体に近い側に高感度乳剤層を設置してもよい。
具体例として支持体から最も遠い側から、低感度青感光性層(BL)/高感度青感光性層(BH)/高感度緑感光性層(GH)/低感度緑感光性層(GL)/高感度赤感光性層(RH)/低感度赤感光性層(RL)の順、またはBH/BL/GL/GH/RH/RLの順、またはBH/BL/GH/GL/RL/RHの順等に設置することができる。
また特公昭55−34932号公報に記載されているように、支持体から最も遠い側から青感光性層/GH/RH/GL/RLの順に配列することもできる。また特開昭56−25738号、同62−63936号の各公報に記載されているように、支持体から最も遠い側から青感光性層/GL/RL/GH/RHの順に配列することもできる。
また特公昭49−15495号公報に記載されているように上層を最も感光度の高いハロゲン化銀乳剤層、中層をそれよりも低い感光度のハロゲン化銀乳剤層、下層を中層よりも更に感光度の低いハロゲン化銀乳剤層を配置し、支持体に向かって感光度が順次低められた感光度の異なる3層から構成される配列が挙げられる。このような感光度の異なる3層から構成される場合でも、特開昭59−202464号公報に記載されているように、同一感色性層中において支持体より離れた側から中感度乳剤層/高感度乳剤層/低感度乳剤層の順に配置されてもよい。
その他、高感度乳剤層/低感度乳剤層/中感度乳剤層、あるいは低感度乳剤層/中感度乳剤層/高感度乳剤層の順に配置されていてもよい。
また、4層以上の場合にも、上記の如く配列を変えてよい。
色再現性を改善するための手段として層間抑制効果を利用することが好ましい。
赤感層に重層効果を与える層に用いられるハロゲン化銀粒子は、例えば、そのサイズ、形状について特に限定されないが、アスペクト比の高いいわゆる平板状粒子や粒子サイズのそろった単分散乳剤、ヨードの層状構造を有する沃臭化銀粒子が好ましく用いられる。また、露光ラチチュードを拡大するために、粒子サイズの異なる2種以上の乳剤を混合することが好ましい。
赤感層に重層効果を与えるドナー層は、支持体上のどの位置に塗設してもよいが、青感層より支持体に近く赤感性層より支持体から遠い位置に塗設することが好ましい。またイエローフィルター層より支持体に近い側にあるのが更に好ましい。
赤感層に重層効果を与えるドナー層は、緑感性層よりも支持体に近く、赤感性層よりも支持体から遠い側にあることがさらに好ましく、緑感性層の支持体に近い側に隣接して位置することが最も好ましい。この場合「隣接する」とは中間層などを間に介さないことを言う。
赤感層に重層効果を与える層は複数の層から成ってもよい。その場合、それらの位置はお互いに隣接していても離れていてもよい。
本発明には、特開平11−305396号公報に記載の固体分散染料を用いることができる。
本技術に関する感光材料には、前記の種々の添加剤が用いられるが、それ以外にも目的に応じて種々の添加剤を用いることができる。
これらの添加剤は、より詳しくはリサーチディスクロージャー Item 17643(1978年12月)、同 Item 18716(1979年11月)および同 Item 308119(1989年12月)に記載されており、その該当個所を後掲の表にまとめて示した。
添加剤種類 RD17643 RD18716 RD308119
1 化学増感剤 23頁 648頁右欄 996頁
2 感度上昇剤 同 上
3 分光増感剤、 23〜24頁 648頁右欄〜 996右〜 998右
強色増感剤 649頁右欄
4 増 白 剤 24頁 998右
5 カブリ防止剤 24〜25頁 649頁右欄 998右〜1000右
および安定剤
6 光吸収剤、 25〜26頁 649頁右欄〜 1003左〜1003右
フィルター染料 650頁左欄
紫外線吸収剤
7 ステイン防止剤 25頁右欄 650左〜右欄 1002右
8 色素画像安定剤 25頁 1002右
9 硬 膜 剤 26頁 651頁左欄 1004右〜1005左
10 バインダー 26頁 同 上 1003右〜1004右
11 可塑剤、潤滑剤 27頁 650頁右欄 1006左〜1006右
12 塗布助剤、 26〜27頁 同 上 1005左〜1006左
表面活性剤
13 スタチック 27頁 同 上 1006右〜1007左
防止剤
14 マット剤 1008左〜1009左。
本発明の感光材料に使用することができる層配列等の技術、ハロゲン化銀乳剤、色素形成カプラー、DIRカプラー等の機能性カプラー、各種の添加剤等、及び現像処理については、欧州特許出願公開第0565096A1号明細書(1993年10月13日公開)及びこれに引用された特許に記載されている。以下に各項目とこれに対応する記載個所を列記する。
1.層構成:61頁23〜35行、61頁41行〜62頁14行
2.中間層:61頁36〜40行、
3.重層効果付与層:62頁15〜18行、
4.ハロゲン化銀ハロゲン組成:62頁21〜25行、
5.ハロゲン化銀粒子晶癖:62頁26〜30行、
6.ハロゲン化銀粒子サイズ:62頁31〜34行、
7.乳剤製造法:62頁35〜40行、
8.ハロゲン化銀粒子サイズ分布:62頁41〜42行、
9.平板粒子:62頁43〜46行、
10.粒子の内部構造:62頁47行〜53行、
11.乳剤の潜像形成タイプ:62頁54行〜63頁5行、
12.乳剤の物理熟成・化学増感:63頁6〜9行、
13.乳剤の混合使用:63頁10〜13行、
14.かぶらせ乳剤:63頁14〜31行、
15.非感光性乳剤:63頁32〜43行、
16.塗布銀量:63頁49〜50行、
17.ホルムアルデヒドスカベンジャー:64頁54〜57行、
18.メルカプト系カブリ防止剤:65頁1〜2行、
19.かぶらせ剤等放出剤:65頁3〜7行、
20.色素:65頁7〜10行、
21.カラーカプラー全般:65頁11〜13行、
22.イエロー、マゼンタ及びシアンカプラー:65頁14〜25行、
23.ポリマーカプラー:65頁26〜28行、
24.拡散性色素形成カプラー:65頁29〜31行、
25.カラードカプラー:65頁32〜38行、
26.機能性カプラー全般:65頁39〜44行、
27.漂白促進剤放出カプラー:65頁45〜48行、
28.現像促進剤放出カプラー:65頁49〜53行、
29.その他のDIRカプラー:65頁54行〜66頁4行、
30.カプラー分散方法:66頁5〜28行、
31.防腐剤・防かび剤:66頁29〜33行、
32.感材の種類:66頁34〜36行、
33.感光層膜厚と膨潤速度:66頁40行〜67頁1行、
34.バック層:67頁3〜8行、
35.現像処理全般:67頁9〜11行、
36.現像液と現像薬:67頁12〜30行、
37.現像液添加剤:67頁31〜44行、
38.反転処理:67頁45〜56行、
39.処理液開口率:67頁57行〜68頁12行、
40.現像時間:68頁13〜15行、
41.漂白定着、漂白、定着:68頁16行〜69頁31行、
42.自動現像機:69頁32〜40行、
43.水洗、リンス、安定化:69頁41行〜70頁18行、
44.処理液補充、再使用:70頁19〜23行、
45.現像薬内蔵感材:70頁24〜33行、
46.現像処理温度:70頁34〜38行、
47.レンズ付フィルムへの利用:70頁39〜41行
また、欧州特許第602600号明細書に記載の、2−ピリジンカルボン酸または2,6−ピリジンジカルボン酸と硝酸第二鉄のごとき第二鉄塩、及び過硫酸塩を含有した漂白液も好ましく使用できる。この漂白液の使用においては、発色現像工程と漂白工程との間に、停止工程と水洗工程を介在させることが好ましく、停止液には酢酸、コハク酸、マレイン酸などの有機酸を使用することが好ましい。さらに、この漂白液には、pH調整や漂白カブリの目的に、酢酸、コハク酸、マレイン酸、グルタル酸、アジピン酸などの有機酸を0.1〜2モル/リットル(以下、リットルを「L」と表記する。また、mLを「mL」とも表記する。)の範囲で含有させることが好ましい。
次に、本発明の感光材料で好ましく用いられる磁気記録層について説明する。該磁気記録層とは、磁性体粒子をバインダー中に分散した水性もしくは有機溶媒系塗布液を支持体上に塗設したものである。
本発明の感光材料において、磁性体粒子は、γFe2O3などの強磁性酸化鉄、Co被着γFe2O3、Co被着マグネタイト、Co含有マグネタイト、強磁性二酸化クロム、強磁性金属、強磁性合金、六方晶系のBaフェライト、Srフェライト、Pbフェライト、Caフェライトなどが使用できる。Co被着γFe2O3などのCo被着強磁性酸化鉄が好ましい。形状としては針状、米粒状、球状、立方体状、板状等いずれでもよい。比表面積はSBETで20m2/g以上が好ましく、30m2/g以上が特に好ましい。
強磁性体の飽和磁化(σs)は、好ましくは3.0×104〜3.0×105A/mであり、特に好ましくは4.0×104〜2.5×105A/mである。強磁性体粒子に、シリカおよび/またはアルミナや有機素材による表面処理を施してもよい。さらに、磁性体粒子は特開平6−161032号公報に記載された如くその表面にシランカップリング剤又はチタンカップリング剤で処理されてもよい。又特開平4−259911号、同5−81652号の各公報に記載の表面に無機、有機物を被覆した磁性体粒子も使用できる。
磁性体粒子に用いられるバインダーとしては、特開平4−219569号公報に記載の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、放射線硬化性樹脂、反応型樹脂、酸、アルカリ又は生分解性ポリマー、天然物重合体(セルロース誘導体,糖誘導体など)およびそれらの混合物を使用することができる。上記の樹脂のTgは-40℃〜300℃、重量平均分子量は0.2万〜100万であることが好ましい。バインダーとしては、例えばビニル系共重合体、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、セルローストリプロピオネートなどのセルロース誘導体、アクリル樹脂、ポリビニルアセタール樹脂を挙げることができ、ゼラチンも好ましい。特にセルロースジ(トリ)アセテートが好ましい。バインダーは、エポキシ系、アジリジン系、イソシアネート系の架橋剤を添加して硬化処理することができる。イソシアネート系の架橋剤としては、トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、などのイソシアネート類、これらのイソシアネート類とポリアルコールとの反応生成物(例えば、トリレンジイソシアナート3molとトリメチロールプロパン1molの反応生成物)、及びこれらのイソシアネート類の縮合により生成したポリイソシアネートなどがあげられ、例えば特開平6−59357号公報に記載されている。
前述の磁性体を上記バインダー中に分散する方法は、特開平6−35092号公報に記載されている方法のように、ニーダー、ピン型ミル、アニュラー型ミルなどが好ましく併用も好ましい。特開平5−088283号公報に記載の分散剤や、その他の公知の分散剤が使用できる。磁気記録層の厚みは好ましくは0.1μm〜10μm、より好ましくは0.2μm〜5μm、さらに好ましくは0.3μm〜3μmである。磁性体粒子とバインダーの質量比は好ましくは 0.5:100〜60:100からなり、より好ましくは1:100〜30:100である。磁性体粒子の塗布量は0.005〜3g/m2、好ましくは0.01〜2g/m2、さらに好ましくは0.02〜0.5g/m2である。磁気記録層の透過イエロー濃度は、0.01〜0.50が好ましく、0.03〜0.20がより好ましく、0.04〜0.15が特に好ましい。磁気記録層は、写真用支持体の裏面に塗布又は印刷によって全面またはストライプ状に設けることができる。磁気記録層を塗布する方法としてはエアードクター、ブレード、エアナイフ、スクイズ、含浸、リバースロール、トランスファーロール、グラビヤ、キス、キャスト、スプレイ、ディップ、バー、エクストリュージョン等が利用でき、特開平5−341436号公報等に記載の塗布液が好ましい。
磁気記録層に、潤滑性向上、カール調節、帯電防止、接着防止、ヘッド研磨などの機能を合せ持たせてもよいし、別の機能性層を設けて、これらの機能を付与させてもよく、粒子の少なくとも1種以上がモース硬度が5以上の非球形無機粒子の研磨剤であることが好ましい。非球形無機粒子の組成としては、酸化アルミニウム、酸化クロム、二酸化珪素、二酸化チタン、シリコンカーバイト等の酸化物、炭化珪素、炭化チタン等の炭化物、ダイアモンド等の微粉末が好ましい。これらの研磨剤は、その表面をシランカップリング剤又はチタンカップリング剤で処理されてもよい。これらの粒子は磁気記録層に添加してもよく、また磁気記録層上にオーバーコート(例えば保護層、潤滑剤層など)してもよい。この時使用するバインダーは前述のものが使用でき、好ましくは磁気記録層のバインダーと同じものがよい。磁気記録層を有する感材については、米国特許第 5,336,589号、同5,250,404号、同 5,229,259号、同 5,215,874号、欧州特許第 466,130号の各明細書に記載されている。
次に本発明の感光材料に好ましく用いられるポリエステル支持体について記すが、感材、処理、カートリッジ及び実施例なども含め詳細については、公開技報、公技番号94-6023(発明協会;1994.3.15.)に記載されている。本発明に用いられるポリエステルはジオールと芳香族ジカルボン酸を必須成分として形成され、芳香族ジカルボン酸として2,6−、1,5−、1,4−、及び2,7−ナフタレンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ジオールとしてジエチレングリコール、トリエチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールA、ビスフェノールが挙げられる。この重合ポリマーとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリシクロヘキサンジメタノールテレフタレート等のホモポリマーを挙げることができる。特に好ましいのは2,6−ナフタレンジカルボン酸を50モル%〜100モル%含むポリエステルである。中でも特に好ましいのはポリエチレン−2,6−ナフタレートである。重量平均分子量の範囲は約5,000ないし200,000である。本発明のポリエステルのTgは好ましくは50℃以上であり、さらに90℃以上が好ましい。
次に、ポリエステル支持体は、巻き癖をつきにくくするために熱処理温度は好ましくは40℃以上Tg未満、より好ましくはTg−20℃以上Tg未満で熱処理を行う。熱処理はこの温度範囲内の一定温度で実施してもよく、冷却しながら熱処理してもよい。この熱処理時間は、好ましくは0.1時間以上1500時間以下、さらに好ましくは0.5時間以上200時間以下である。支持体の熱処理は、ロ−ル状で実施してもよく、またウェブ状で搬送しながら実施してもよい。表面に凹凸を付与し(例えばSnO2やSb2O5等の導電性無機微粒子を塗布する)、面状改良を図ってもよい。又端部にロ−レットを付与し端部のみ少し高くすることで巻芯部の切り口写りを防止するなどの工夫を行うことが望ましい。これらの熱処理は支持体製膜後、表面処理後、バック層塗布後(帯電防止剤、滑り剤等)、下塗り塗布後のどこの段階で実施してもよい。好ましいのは帯電防止剤塗布後である。
このポリエステルには紫外線吸収剤を練り込んでもよい。又ライトパイピング防止のため、三菱化成製のDiaresin、日本化薬製のKayaset等ポリエステル用として市販されている染料または顔料を練り込むことにより目的を達成することが可能である。
次に、本発明の感光材料製造時には、支持体と感材構成層を接着させるために、支持体を表面処理することが好ましい。薬品処理、機械的処理、コロナ放電処理、火焔処理、紫外線処理、高周波処理、グロー放電処理、活性プラズマ処理、レーザー処理、混酸処理、オゾン酸化処理、などの表面活性化処理が挙げられる。表面処理の中でも好ましいのは、紫外線照射処理、火焔処理、コロナ処理、グロー処理である。
次に、下塗法について述べると、単層でもよく2層以上でもよい。下塗層用バインダーとしては、塩化ビニル、塩化ビニリデン、ブタジエン、メタクリル酸、アクリル酸、イタコン酸、無水マレイン酸などの中から選ばれた単量体を出発原料とする共重合体を始めとして、ポリエチレンイミン、エポキシ樹脂、グラフト化ゼラチン、ニトロセルロース、ゼラチンが挙げられる。支持体を膨潤させる化合物としてレゾルシンとp−クロルフェノールがある。下塗層にはゼラチン硬化剤としてはクロム塩(クロム明ばんなど)、アルデヒド類(ホルムアルデヒド、グルタールアルデヒドなど)、イソシアネート類、活性ハロゲン化合物(2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシ−S−トリアジンなど)、エピクロルヒドリン樹脂、活性ビニルスルホン化合物などを挙げることができる。SiO2、TiO2、無機物微粒子又はポリメチルメタクリレート共重合体微粒子(0.01〜10μm)をマット剤として含有させてもよい。
また、本発明の感光材料においては、帯電防止剤が好ましく用いられる。それらの帯電防止剤としては、カルボン酸及びカルボン酸塩、スルホン酸塩を含む高分子、カチオン性高分子、イオン性界面活性剤化合物を挙げることができる。
帯電防止剤として最も好ましいものは、ZnO、TiO2、SnO2、Al2O3、In2O3、SiO2、MgO、BaO、MoO3、V2O5の中から選ばれた少なくとも1種の体積抵抗率が107Ω・cm以下、より好ましくは105Ω・cm以下である粒子サイズ0.001〜1.0μm結晶性の金属酸化物あるいはこれらの複合酸化物(Sb,P,B,In,S,Si,Cなど)の微粒子、更にはゾル状の金属酸化物あるいはこれらの複合酸化物の微粒子である。
感光材料への含有量としては、5〜500mg/m2が好ましく特に好ましくは10〜350mg/m2である。導電性の結晶性酸化物又はその複合酸化物とバインダーの量の比は1/300〜100/1が好ましく、より好ましくは1/100〜100/5である。
本発明のハロゲン化銀感光材料には滑り性がある事が好ましい。滑り剤含有層は感光層面、バック面ともに用いることが好ましい。好ましい滑り性としては動摩擦係数で0.25以下0.01以上である。この時の測定は直径5mmのステンレス球に対し、60cm/分で搬送した時の値を表す(25℃、60%RH)。この評価において相手材として感光層面に置き換えてももほぼ同レベルの値となる。
本発明のハロゲン化銀感光材料に使用可能な滑り剤としては、ポリオルガノシロキサン、高級脂肪酸アミド、高級脂肪酸金属塩、高級脂肪酸と高級アルコールのエステル等であり、ポリオルガノシロキサンとしては、ポリジメチルシロキサン、ポリジエチルシロキサン、ポリスチリルメチルシロキサン、ポリメチルフェニルシロキサン等を用いることができる。添加層としては乳剤層の最外層やバック層が好ましい。特にポリジメチルシロキサンや長鎖アルキル基を有するエステルが好ましい。
本発明の感光材料にはマット剤が有る事が好ましい。マット剤としては乳剤面、バック面とどちらでもよいが、乳剤側の最外層に添加するのが特に好ましい。マット剤は処理液可溶性でも処理液不溶性でもよく、好ましくは両者を併用することである。例えばポリメチルメタクリレート、ポリ(メチルメタクリレート/メタクリル酸=9/1又は5/5(モル比))、ポリスチレン粒子などが好ましい。粒径としては0.8〜10μmが好ましく、その粒径分布も狭いほうが好ましく、平均粒径の0.9〜1.1倍の間に全粒子数の90%以上が含有されることが好ましい。また、マット性を高めるために0.8μm以下の微粒子を同時に添加することも好ましく例えばポリメチルメタクリレート(0.2μm)、ポリ(メチルメタクリレート/メタクリル酸=9/1(モル比)、0.3μm))、ポリスチレン粒子(0.25μm)、コロイダルシリカ(0.03μm)が挙げられる。
本発明の技術は、特定写真感度が800以上のカラー感光材料に好ましく適用することができ、特定写真感度が1600以上の高感度のカラー感光材料により好ましく適用することができ、特定写真感度が3200以上の超高感度のカラー感光材料に特に好ましく適用することができる。尚、該特定写真感度は、一般的に国際規格であるISO感度が用いられているが、ISO感度では感光材料を露光後5日目に現像処理し、かつその現像処理は各社指定によると規定されている。
本発明の感光材料に関わる特定写真感度の評価にあたっては、露光後現像処理までに時間を短縮し、かつ一定の現像処理を行うようにするために、特開昭63−236035号公報に記載される方法を使用する。この測定方法は、JIS K 7614−1981に準じたものであり、異なる点は現像処理をセンシトメトリ用露光後30分以上6時間以内に完了させる点、及び現像処理がフジカラー標準処理処方CN−16による点にある。その他は実質的にJIS記載の測定方法と同一である。
以下に本発明の実施例を示す。但し、本発明はこの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
下塗りを施した三酢酸セルロースフィルム支持体上に、下記に示すような組成の各層を重層塗布して、特定写真感度ISO3200を有する多層カラー感光材料である(試料101)を作製した。尚、特定写真感度は、発明の詳細な説明において前述した方法により求めた。
(感光層の組成)
各成分に対応する数字は、g/m2単位で表した塗布量を示し、ハロゲン化銀については銀換算の塗布量を示す。但し、増感色素については、モル/m2単位で表した塗布量を示す。
(試料101)
第1層(第1ハレーション防止層)
黒色コロイド銀 銀 0.108
ヨウ臭化銀乳剤粒子 銀 0.011
(平均粒径0.07μm、沃化銀含有率2モル%)
ゼラチン 0.900
ExM−1 0.040
ExC−1 0.002
ExC−3 0.002
Cpd−2 0.001
F−8 0.001
HBS−1 0.050
HBS−2 0.002。
第2層(第2ハレーション防止層)
黒色コロイド銀 銀 0.058
ゼラチン 0.440
ExY−1 0.040
ExF−1 0.003
F−8 0.001
固体分散染料 ExF−7 0.130
HBS−1 0.080。
第3層(中間層)
ExC−2 0.045
Cpd−1 0.092
Cpd−8 0.015
ポリエチルアクリレートラテックス 0.220
HBS−1 0.120
ゼラチン 0.740。
第4層(低感度赤感乳剤層)
Em−C 銀 0.380
Em−D 銀 0.270
Em−E 銀 0.170
増感色素1 6.36×10−6
増感色素2 2.56×10−6
増感色素3 8.00×10−8
ExC−1 0.188
ExC−2 0.012
ExC−3 0.077
ExC−4 0.123
ExC−5 0.012
ExC−6 0.008
ExC−8 0.053
ExC−9 0.020
ExY−3 0.009
Cpd−2 0.025
Cpd−4 0.023
Cpd−7 0.015
UV−2 0.050
UV−3 0.080
UV−4 0.020
HBS−1 0.250
HBS−5 0.038
ゼラチン 2.100。
第5層(中感度赤感乳剤層)
Em−B 銀 0.332
Em−C 銀 0.332
増感色素1 4.61×10−6
増感色素2 2.00×10−6
増感色素3 6.00×10−8
ExC−1 0.140
ExC−2 0.080
ExC−3 0.028
ExC−4 0.110
ExC−5 0.018
ExC−6 0.012
ExC−8 0.019
ExC−9 0.004
ExY−3 0.007
Cpd−2 0.036
Cpd−4 0.028
Cpd−7 0.020
HBS−1 0.120
ゼラチン 1.290。
第6層(高感度赤感乳剤層)
Em−A1 銀 0.860
増感色素1 2.77×10−6
増感色素2 4.37×10−6
増感色素3 1.25×10−7
ExC−1 0.240
ExC−3 0.030
ExC−6 0.022
ExC−8 0.110
ExC−9 0.024
ExM−6 0.090
ExY−3 0.014
Cpd−2 0.060
Cpd−4 0.079
Cpd−7 0.030
Cpd−9 0.110
HBS−1 0.290
HBS−2 0.060
ゼラチン 1.920。
第7層(中間層)
Cpd−1 0.090
Cpd−6 0.372
Cpd−8 0.048
固体分散染料ExF−4 0.032
HBS−1 0.052
ポリエチルアクリレートラテックス 0.090
ゼラチン 0.900。
第8層(赤感層へ重層効果を与える層)
Em−F 銀 0.230
Em−G 銀 0.120
増感色素7 2.19×10−6
増感色素8 7.87×10−7
Cpd−4 0.030
ExM−2 0.140
ExM−3 0.016
ExM−4 0.010
ExY−1 0.017
ExY−3 0.005
ExY−4 0.041
ExC−7 0.010
ExC−10 0.007
HBS−1 0.222
HBS−3 0.003
HBS−5 0.030
ゼラチン 0.850。
第9層(低感度緑感乳剤層)
Em−J 銀 0.463
Em−K 銀 0.310
Em−L 銀 0.150
増感色素4 4.14×10−6
増感色素5 5.50×10−7
増感色素6 1.80×10−7
増感色素8 2.90×10−7
増感色素13 3.00×10−7
ExM−2 0.245
ExM−3 0.050
ExM−4 0.120
ExY−1 0.010
ExY−3 0.006
ExC−7 0.004
ExC−10 0.002
HBS−1 0.330
HBS−3 0.008
HBS−4 0.200
HBS−5 0.050
Cpd−5 0.020
Cpd−7 0.020
ゼラチン 1.840。
第10層(中感度緑感乳剤層)
Em−I 銀 0.350
Em−J 銀 0.170
増感色素4 2.57×10−6
増感色素5 1.16×10−6
増感色素6 3.00×10−7
増感色素8 2.05×10−6
ExM−2 0.057
ExM−3 0.022
ExM−4 0.005
ExM−5 0.005
ExY−3 0.006
ExC−6 0.014
ExC−7 0.050
ExC−8 0.010
ExC−10 0.020
HBS−1 0.060
HBS−3 0.002
HBS−4 0.020
HBS−5 0.020
Cpd−5 0.020
Cpd−7 0.010
ゼラチン 0.650。
第11層(高感度緑感乳剤層)
Em−H1 銀 0.820
増感色素13 1.44×10−6
増感色素6 1.12×10−6
増感色素8 5.03×10−6
ExC−6 0.003
ExC−8 0.014
ExM−1 0.017
ExM−2 0.025
ExM−3 0.020
ExM−4 0.005
ExM−5 0.005
ExM−6 0.090
ExY−3 0.008
ExY−4 0.005
Cpd−3 0.005
Cpd−4 0.007
Cpd−5 0.020
Cpd−7 0.020
Cpd−9 0.110
HBS−1 0.149
HBS−3 0.003
HBS−4 0.020
HBS−5 0.037
ポリエチルアクリレートラテックス 0.090
ゼラチン 1.200。
第12層(イエローフィルター層)
Cpd−1 0.090
Cpd−8 0.045
固体分散染料ExF−2 0.067
固体分散染料ExF−5 0.008
油溶性染料ExF−6 0.008
HBS−1 0.040
ゼラチン 0.615。
第13層(低感度青感乳剤層)
Em−O 銀 0.300
Em−P 銀 0.100
Em−Q 銀 0.007
増感色素9 1.80×10−7
増感色素12 1.80×10−7
増感色素15 3.52×10−7
ExC−1 0.022
ExC−7 0.006
ExC−10 0.003
ExY−1 0.003
ExY−2 0.350
ExY−3 0.007
ExY−4 0.050
ExY−5 0.410
Cpd−2 0.100
Cpd−3 0.004
HBS−1 0.220
HBS−5 0.070
ゼラチン 1.750。
第14層(中感度青感乳剤層)
Em−N 銀 0.450
増感色素16 3.00×10−6
ExY−2 0.041
ExY−3 0.006
ExY−4 0.040
ExY−5 0.050
Cpd−2 0.035
Cpd−3 0.001
Cpd−7 0.016
HBS−1 0.060
ゼラチン 0.350。
第15層(高感度青感乳剤層)
Em−M1 銀 0.680
増感色素16 5.99×10−6
ExY−2 0.041
ExY−3 0.002
ExY−4 0.030
ExY−5 0.050
Cpd−2 0.035
Cpd−3 0.001
Cpd−7 0.016
Cpd−9 0.100
HBS−1 0.060
ゼラチン 0.540。
第16層(第1保護層)
ヨウ臭化銀乳剤粒子 銀 0.323
(平均粒径0.07μm、沃化銀含有率2モル%)
UV−1 0.210
UV−2 0.127
UV−3 0.190
UV−4 0.020
UV−5 0.204
ExF−8 0.001
ExF−9 0.001
ExF−10 0.002
ExF−11 0.001
F−11 0.009
S−1 0.086
HBS−1 0.170
HBS−4 0.052
ゼラチン 2.150。
第17層(第2保護層)
H−1 0.400
B−1(直径1.7μm) 0.050
B−2(直径1.7μm) 0.150
B−3 0.050
S−1 0.200
ゼラチン 0.700。
更に、各層に適宜、保存性、処理性、圧力耐性、防黴・防菌性、帯電防止性及び塗布性をよくするために、W−1ないしW−13、B−4ないしB−6、F−1ないしF−20及び、鉛塩、白金塩、イリジウム塩、ロジウム塩が含有されている。
有機固体分散染料の分散物の調製
第12層の固体分散染料ExF−2を次の方法で分散した。
ExF−2のウエットケーキ
(17.6質量%の水を含む) 1.210kg
W−11 0.400kg
F−15 0.006kg
水 8.384kg
計 10.000kg
(NaOHでpH=7.2に調整)。
上記組成のスラリーをディゾルバーで攪拌して粗分散した後、アジテータミルLMK−4を用い、周速10m/s、吐出量0.6kg/min、0.3mm径のジルコニアビーズ充填率80%で分散し、固体微粒子分散物を得た。染料微粒子の平均粒径は0.15μmであった。
同様にして、ExF−4およびExF−7の固体分散物を得た。染料微粒子の平均粒径はそれぞれ、0.28μm、0.49μmであった。ExF−5は欧州特許出願公開第549,489A号明細書の実施例1に記載の微小析出(Microprecipitation)分散方法により分散した。平均粒径は0.06μmであった。
本発明の実施例で用いる乳剤の特性を表4〜表7に示す。
Figure 2006235514
Figure 2006235514
Figure 2006235514
Figure 2006235514
乳剤Em-A1、H1は、特開2002-268162号の実施例に記載の乳剤1−Hの製法を参照して調製した。
但し、脱塩水洗については、脱塩水洗工程の直前にフタル化ゼラチンを添加し、凝析沈降の際の乳剤のpHを3.5〜3.9の範囲にすることにより、アニオン性ポリマーを用いない条件でハロゲン化銀粒子を凝析沈降させる方法で行なった。
その際添加したフタル化ゼラチンは、牛骨を原料とする通常のアルカリ処理オセインゼラチン(平均分子量100000)の水溶液に、50℃、pH9.0の条件下で無水フタル酸を加えて化学反応させた後、残留するフタル酸を除去することにより調製した。該フタル化ゼラチン中の、−NH2基が化学修飾された数の割合は95%である。また、該フタル化ゼラチンには、陰陽イオン交換樹脂による脱イオン処理が施した。
該フタル化ゼラチンの添加量は、添加直前の乳剤中の全ゼラチン量の30%に相当する量とした。
乳剤Em−B〜C、G、I〜J、Nは、特開2002−268162号の実施例に記載の乳剤1−Fの製法を参照して調製した。
乳剤Em-F、K〜L、O〜Pは、特開2002-268162号の実施例に記載の乳剤1-Dの製法を参照して調製した。
乳剤Em−D〜Eは、特開2002-278007号の実施例に記載の乳剤の製法を参照して調製した。
乳剤Em−M1は、特開2004-37936号の実施例 Em−A4、Em−A5に記載の製法を参照して調製した。
但し、脱塩水洗については、脱塩水洗工程の直前にフタル化ゼラチンを添加し、凝析沈降の際の乳剤のpHを3.4〜4.0の範囲にすることにより、アニオン性ポリマーを用いない条件でハロゲン化銀粒子を凝析沈降させる方法で行なった。
その際添加したフタル化ゼラチンは、牛骨を原料とする通常のアルカリ処理オセインゼラチン(平均分子量100000)の水溶液に、50℃、pH9.0の条件下で無水フタル酸を加えて化学反応させた後、残留するフタル酸を除去することにより調製した。該フタル化ゼラチン中の、−NH2基が化学修飾された数の割合は95%である。また、該フタル化ゼラチンには、陰陽イオン交換樹脂による脱イオン処理が施した。
該フタル化ゼラチンの添加量は、添加直前の乳剤中の全ゼラチン量の50%に相当する量とした。
乳剤Em−Qは、特開2002−72429号の実施例1に記載の乳剤Em−Nの製法を参照して調製した。
乳剤Em−M1、N〜Qは、粒子調製時に還元増感されている。
乳剤Em−A1、H1、M1、Nは、米国特許第6686140号の実施例に記載の化合物11が添加されている。
乳剤Em−A1、B〜G、H1、I〜L、M1、N〜Qは、表4記載の色素を最適量添加され、最適に金増感、硫黄増感、セレン増感されている。
乳剤Em−A1、B〜G、H1、I〜L、M1、N〜Qにおいて、ハロゲン化銀粒子上への色素の吸着量は1層飽和被覆量未満であり、色素が多層吸着しているハロゲン化銀粒子を含有しない。
本発明の実施例で用いた色素を以下に示す。
Figure 2006235514
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以下、本発明の実施例で用いた他の化合物を示す。
Figure 2006235514
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Figure 2006235514
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上記の試料101の第6層、第11層、および第15層の乳剤を、以下の条件で色素を吸着させたものに変更すること、更には各層のハロゲン化銀の量を変更することにより、試料101〜117を作成した。前記の第6層、第11層、および第15層に用いるハロゲン化銀乳剤、銀換算の塗布量、および色素の種類と量を後掲の表8に示す。
(Em-A1の色素吸着条件)
乳剤Em−A1においては、粒子形成および脱塩水洗後で、かつ化学増感の直前に、温度58℃で色素を添加した。その後、熟成を20分間行い、化学増感工程に移行した。
色素の添加量は、増感色素1がハロゲン化銀1モル当り3.47×10−4モル、増感色素2がハロゲン化銀1モル当り5.48×10−4モル、増感色素3がハロゲン化銀1モル当り1.57×10−5モルであった。各色素はゼラチン水溶液中に共分散した形態で、同時に添加した。
乳剤Em−A1のハロゲン化銀粒子においては、1層飽和被覆量の80%に相当する色素が吸着していた。
(Em-A2の色素吸着条件)
乳剤Em−A2においては、乳剤Em−A1と同じ条件で増感色素1,2,および3をハロゲン化銀粒子上に吸着させ、化学増感を完了させた後に、温度を40℃にして、前述の表2および表3の色素であるSII−29およびSI−34を順次ハロゲン化銀粒子上に吸着させた。色素の添加量は、SII−29がハロゲン化銀1モル当り4.10×10−4モル、SI−34がハロゲン化銀1モル当り4.10×10−4モルであった。2つの色素は各々別々のゼラチン水溶液中に分散させた形態で、時間間隔を5分間あけて添加した。SI−34の添加後に30分間熟成を行なった。
乳剤Em−A2のハロゲン化銀粒子は、1層飽和被覆量の151%に相当する色素が吸着している、色素多層吸着粒子であった。
(Em-A3の色素吸着条件)
乳剤Em−A3においては、乳剤Em−A2の条件から色素SII−29およびSI−34の添加量を、SII−29がハロゲン化銀1モル当り3.46×10−4モル、SI−34がハロゲン化銀1モル当り3.46×10−4モルに変更した以外は、乳剤Em−A2と同じ条件でハロゲン化銀粒子上に色素を吸着させた。
乳剤Em−A3のハロゲン化銀粒子は、1層飽和被覆量の140%に相当する色素が吸着している、色素多層吸着粒子であった。
(Em-H1の色素吸着条件)
乳剤Em−H1においては、粒子形成および脱塩水洗後で、かつ化学増感の直前に、温度58℃で色素を添加した。その後、熟成を20分間行い、化学増感工程に移行した。
色素の添加量は、増感色素13がハロゲン化銀1モル当り1.89×10−4モル、増感色素6がハロゲン化銀1モル当り1.47×10−4モル、増感色素8がハロゲン化銀1モル当り6.62×10−4モルであった。各色素はゼラチン水溶液中に共分散した形態で、同時に添加した。
乳剤Em−H1のハロゲン化銀粒子においては、1層飽和被覆量の82%に相当する色素が吸着していた。
(Em-H2の色素吸着条件)
乳剤Em−H2においては、乳剤Em−H1の条件から、色素の種類および添加量を、増感色素13がハロゲン化銀1モル当り1.55×10−4モル、増感色素6がハロゲン化銀1モル当り3.42×10−5モル、増感色素6がハロゲン化銀1モル当り1.47×10-4モル、増感色素8がハロゲン化銀1モル当り6.62×10−4モルに変更した以外は乳剤Em−H1と同じ条件でハロゲン化銀粒子上に色素を吸着させた。各色素はゼラチン水溶液中に共分散した形態で、同時に添加した。
乳剤Em−H2のハロゲン化銀粒子においては、1層飽和被覆量の82%に相当する色素が吸着していた。
(Em-H3の色素吸着条件)
乳剤Em−H3においては、乳剤Em−H1の条件から、色素の種類および添加量を、増感色素5がハロゲン化銀1モル当り1.89×10−4モル、増感色素6がハロゲン化銀1モル当り1.47×10−4モル、増感色素8がハロゲン化銀1モル当り6.62×10−4モルに変更した以外は乳剤Em−H1と同じ条件でハロゲン化銀粒子上に色素を吸着させた。各色素はゼラチン水溶液中に共分散した形態で、同時に添加した。
乳剤Em−H3のハロゲン化銀粒子においては、1層飽和被覆量の82%に相当する色素が吸着していた。
(Em-H4の色素吸着条件)
乳剤Em−H4においては、乳剤Em−H1と同じ条件で増感色素13,6,および8をハロゲン化銀粒子上に吸着させ、化学増感を完了させた後に、温度を40℃にして、前述の表2および表3の色素であるSII−14およびSI−15を順次ハロゲン化銀粒子上に吸着させた。色素の添加量は、SII−14がハロゲン化銀1モル当り4.54×10−4モル、SI−15がハロゲン化銀1モル当り4.54×10−4モルであった。2つの色素は各々別々のゼラチン水溶液中に分散させた形態で、時間間隔を5分間あけて添加した。SI−15の添加後に60分間熟成を行なった。
乳剤Em−H4のハロゲン化銀粒子は、1層飽和被覆量の153%に相当する色素が吸着している、色素多層吸着粒子であった。
(Em-H5の色素吸着条件)
乳剤Em−H5においては、乳剤Em−H2と同じ条件で増感色素13,5,6,および8をハロゲン化銀粒子上に吸着させ、化学増感を完了させた後に、温度を40℃にして、前述の表2および表3の色素であるSII−14およびSI−15を順次ハロゲン化銀粒子上に吸着させた。色素の添加量は、SII−14がハロゲン化銀1モル当り4.54×10−4モル、SI−15がハロゲン化銀1モル当り4.54×10−4モルであった。2つの色素は各々別々のゼラチン水溶液中に分散させた形態で、時間間隔を5分間あけて添加した。SI−15の添加後に60分間熟成を行なった。
乳剤Em−H5のハロゲン化銀粒子は、1層飽和被覆量の154%に相当する色素が吸着している、色素多層吸着粒子であった。
(Em-H6の色素吸着条件)
乳剤Em−H6においては、乳剤Em−H3と同じ条件で増感色素5,6,および8をハロゲン化銀粒子上に吸着させ、化学増感を完了させた後に、温度を40℃にして、前述の表2および表3の色素であるSII−14およびSI−15を順次ハロゲン化銀粒子上に吸着させた。色素の添加量は、SII−14がハロゲン化銀1モル当り4.54×10−4モル、SI−15がハロゲン化銀1モル当り4.54×10−4モルであった。2つの色素は各々別々のゼラチン水溶液中に分散させた形態で、時間間隔を5分間あけて添加した。SI−15の添加後に60分間熟成を行なった。
乳剤Em−H6のハロゲン化銀粒子は、1層飽和被覆量の157%に相当する色素が吸着している、色素多層吸着粒子であった。
(Em-H7の色素吸着条件)
乳剤Em−H7においては、乳剤Em−H1と同じ条件で増感色素13,6,および8をハロゲン化銀粒子上に吸着させ、化学増感を完了させた後に、温度を40℃にして、前述の化5の色素であるSII−54をハロゲン化銀粒子上に吸着させた。SII−54の添加量は、ハロゲン化銀1モル当り9.08×10−4モルであった。SII−54はゼラチン水溶液中に分散させた形態で添加し、その後に60分間熟成を行なった。
乳剤Em−H7のハロゲン化銀粒子は、1層飽和被覆量の144%に相当する色素が吸着している、色素多層吸着粒子であった。
(Em-H8の色素吸着条件)
乳剤Em−H8においては、乳剤Em−H2と同じ条件で増感色素13,5,6,および8をハロゲン化銀粒子上に吸着させ、化学増感を完了させた後に、温度を40℃にして、前述の化5の色素であるSII−54をハロゲン化銀粒子上に吸着させた。SII−54の添加量は、ハロゲン化銀1モル当り9.08×10−4モルであった。SII−54はゼラチン水溶液中に分散させた形態で添加し、その後に60分間熟成を行なった。
乳剤Em−H8のハロゲン化銀粒子は、1層飽和被覆量の145%に相当する色素が吸着している、色素多層吸着粒子であった。
(Em-H9の色素吸着条件)
乳剤Em−H9においては、乳剤Em−H3と同じ条件で増感色素5,6,および8をハロゲン化銀粒子上に吸着させ、化学増感を完了させた後に、温度を40℃にして、前述の化5の色素であるSII−54をハロゲン化銀粒子上に吸着させた。SII−54の添加量は、ハロゲン化銀1モル当り9.08×10−4モルであった。SII−54はゼラチン水溶液中に分散させた形態で添加し、その後に60分間熟成を行なった。
乳剤Em−H9のハロゲン化銀粒子は、1層飽和被覆量の149%に相当する色素が吸着している、色素多層吸着粒子であった。
(Em-M1の色素吸着条件)
乳剤Em−M1においては、ハロゲン化銀粒子形成工程のエピタキシャル接合部形成直前に、温度50℃で色素を添加した。その後、熟成を20分間行い、エピタキシャル接合部形成に移行した。
色素の添加量は、増感色素16がハロゲン化銀1モル当り9.50×10−4モルであった。増感色素16はゼラチン水溶液中に共分散した形態で添加した。
乳剤Em−M1のハロゲン化銀粒子においては、1層飽和被覆量の79%に相当する色素が吸着していた。
(Em-M2の色素吸着条件)
乳剤Em−M2においては、乳剤Em−M1と同じ条件で増感色素16をハロゲン化銀粒子上に吸着させ、ハロゲン化銀粒子形成、脱塩水洗および化学増感を完了させた後に、温度を40℃にして、前述の表2および表3の色素であるSII−1およびSI−2を順次ハロゲン化銀粒子上に吸着させた。色素の添加量は、SII−1がハロゲン化銀1モル当り5.24×10−4モル、SI−2がハロゲン化銀1モル当り5.24×10−4モルであった。2つの色素は各々別々のゼラチン水溶液中に分散させた形態で、時間間隔を5分間あけて添加した。SI−2の添加後に30分間熟成を行なった。
乳剤Em−M2のハロゲン化銀粒子は、1層飽和被覆量の161%に相当する色素が吸着している、色素多層吸着粒子であった。
(Em-M3色素吸着条件)
乳剤Em−M3においては、乳剤Em−M2の条件から、色素SI−2を、増感色素16に変更した以外は、乳剤Em−M2と同じ条件でハロゲン化銀粒子上に色素を吸着させた。
乳剤Em−M3のハロゲン化銀粒子は、1層飽和被覆量の158%に相当する色素が吸着している、色素多層吸着粒子であった。
Figure 2006235514
Figure 2006235514
Figure 2006235514
上記の試料101〜117の残色粒状の値を、発明の詳細な説明において前述した評価方法により求めた。その値は、後掲の表9に示した通りである。
作製した試料の性能の評価を、以下の様に行なった。
露光の光源は、色温度2856Kのタングステンランプの光を、色温度変換フィルターにて色温度4800Kに調整し、更に富士写真フイルム(株)製ゼラチンフィルターSC−39にて紫外光をカットしたものを用いた。
各試料のシアン、マゼンタおよびイエロー発色層の足感度を、露光時間1/100秒で連続ウエッジを介して白色露光を行った場合のlogE対発色濃度曲線から求めた。
各発色層の足感度は、Dmin+0.15の濃度を与える露光量の逆数の相対値で評価した。
露光後の試料を以下に記載の方法で処理した。
(処理方法)
工程 処理時間 処理温度
発色現像 3分15秒 38℃
漂 白 3分00秒 38℃
水 洗 30秒 24℃
定 着 3分00秒 38℃
水 洗(1) 30秒 24℃
水 洗(2) 30秒 24℃
安 定 30秒 38℃
乾 燥 4分20秒 55℃。
次に、処理液の組成を記す。
(発色現像液) (単位g)
ジエチレントリアミン五酢酸 1.0
1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸 2.0
亜硫酸ナトリウム 4.0
炭酸カリウム 30.0
臭化カリウム 1.4
ヨウ化カリウム 1.5mg
ヒドロキシルアミン硫酸塩 2.4
4−[N−エチル−N−(β−ヒドロキシエチル)アミノ]−
2−メチルアニリン硫酸塩 4.5
水を加えて 1.0L
pH(水酸化カリウムと硫酸にて調整) 10.05。
(漂白液) (単位g)
N−(2−カルボキシフェニル)イミノ二酢酸第二鉄五水塩 25.0
1,3−ジアミノプロパン四酢酸 2.0
3−ジアミノプロパン四酢酸第二鉄アンモニウム二水塩 25.0
コハク酸 60.0
マロン酸 7.0
グルタル酸 15.0
臭化ナトリウム 40.0
硝酸ナトリウム 30.0
水酸化ナトリウム 30.0
ジエタノールアミン 20.0
水を加えて 1.0L
pH(水酸化ナトリウムと硝酸にて調整) 4.2。
(定着液) (単位g)
1,3−ジアミノプロパン四酢酸 6.0
亜硫酸アンモニウム 20.0
チオ硫酸アンモニウム水溶液(750g/L) 270.0mL
酢酸(90%) 5.0
水を加えて 1.0L
pH(アンモニア水と硝酸にて調整) 6.4。
(安定液) (単位g)
p−ノニルフェノキシポリグリシドール
(グリシドール平均重合度10) 0.2
エチレンジアミン四酢酸 0.05
1,2,4−トリアゾール 1.3
1,4−ビス(1,2,4−トリアゾール−1−イルメチル)
ピペラジン 0.75
ヒドロキシ酢酸 0.02
ヒドロキシエチルセルロース 0.1
(ダイセル化学 HEC SP−2000)
1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン 0.05
水を加えて 1.0L
pH 8.5。
一方、本発明は、脱銀工程の条件が劣悪化した現像処理を行なった場合においても良好な画質を維持する感光材料の提供を目的としているので、脱銀工程の条件が劣悪化することによる粒状の変動を、以下の方法で評価した。
各試料を、前述の光源の光を、濃度が8段階の階段状光学ウェッジを通したもので、1/100秒間露光した。該階段状光学ウェッジの各濃度段階の間のグレー濃度差は0.28であった。
露光後の試料は、2通りの条件で現像処理を行なった。1つは、前述した条件の処理(以下、標準処理と称す)であり、もう1つは以下に説明する劣悪処理である。
該劣悪処理は、以下の様に、標準処理の漂白浴および定着浴を劣化させた条件の現像処理である。
先ず、劣悪処理の漂白浴は、前述の標準処理に用いる(漂白液)700mLに対して水300mLを加えることにより希釈した漂白液を使用し、更に、漂白浴の時間を、前述の標準処理の3分間から2分20秒間に短縮した。
一方、劣悪処理の定着浴は、前述の標準処理に用いる(定着液)700mLに対して水300mLを加えることにより希釈した定着液を使用し、更に、定着浴の時間を、前述の標準処理の3分間から2分20秒間に短縮した。
尚、その他の浴の条件については、前述の標準処理と同じである。
現像処理を行なった後、各試料における、シアン、マゼンタ、イエローの各色相のRMS粒状度を、アパーチャーサイズが48μm、ディフューズ濃度測定、分光応答度がANSI/13A IT2.40−2002のステータスMに準拠した仕様の、ミクロ濃度計を使用して測定した。
上記で得られるデータは、前記の露光で使用した階段状光学ウェッジの8段階の濃度に対応した露光量で露光された場合のRMS粒状度であるが、このデータを濃度対RMS粒状度のグラフにプロットし、グラフの各データ点間を直線で内挿することにより、Dmin+0.15の濃度におけるRMS粒状度を算出した。
上記で得られたRMS粒状度のデータより、各試料において、脱銀工程の条件が劣悪化したことによる粒状の悪化率を、下式を用いて、算出した。
劣悪脱銀条件による粒状の悪化率=(劣悪処理時のRMS粒状度−標準処理時のRMS粒状度)÷標準処理時のRMS粒状度
上記の粒状の悪化率が小さいほど、脱銀工程の条件が劣悪化した場合においても良好な画質を維持できる点で好ましい。
前述した、各試料の残色粒状の値、足感度、および劣悪脱銀条件による粒状の悪化率を表9に示す。
Figure 2006235514
表9より、色素が多層吸着しているハロゲン化銀粒子を含有する感光材料においては、残色粒状の値を本発明の推奨範囲とすることにより、劣悪脱銀条件による粒状悪化の度合を小さくでき、好ましいことが判る。
一方、色素が多層吸着しているハロゲン化銀粒子を含有しない感光材料では、劣悪脱銀条件による粒状悪化の度合が元々小さく、残色粒状の値を本発明の推奨範囲にする必要性は殆ど生じない。その反面、感光材料の足感度は、色素が多層吸着しているハロゲン化銀粒子を含有する感光材料に対して低く、高感度の感光材料を提供するという本発明の目的の達成は困難となる。
尚、第11層の乳剤の比較結果から、色素を多層吸着させる際に、ハロゲン化銀粒子表面に直接吸着する1層目のベタイン色素の使用比率を小さくすると、残色粒状の値を本発明の推奨値にし易くなり、本発明の効果も好ましく発現することが判る。
(実施例2)
実施例1の試料101、103、104、116および117から、本発明における化合物(A)に相当する化合物である、ExM−6、Cpd−8、Cpd−9およびF−20を除去した試料201、203、204、216および217を作製し、実施例1と同じ評価を行なった。
各試料の第6層、第11層、および第15層に用いるハロゲン化銀乳剤、銀換算の塗布量、色素の種類と量、およびExM−6、Cpd−8、Cpd−9、F−20の有無を後掲の表10に示し、各試料の残色粒状の値、足感度、および劣悪脱銀条件による粒状の悪化率を、後掲の表11に示す。表11の結果より、本発明において、化合物(A)は、感度向上の効果だけではなく、残色粒状の値を本発明の推奨値にし易くし、本発明の効果を好ましく発現させる効果を併せ持つことが判る。
Figure 2006235514
Figure 2006235514
Figure 2006235514
(実施例3)
以下に示す支持体に変更したこと以外は、実施例1および2に記載の試料と同様に多層カラー感光材料を作製し、実施例1および2と同様の評価を行なった。その結果、以下の支持体の変更を行なった場合も、実施例1および2とほぼ同様に本発明の効果が発現することを確認した。
1)第1層及び下塗り層
厚さ90μmのポリエチレンナフタレート支持体について、その各々の両面に、処理雰囲気圧力2.66×10Pa、雰囲気気体中のH2O分圧75%、放電周波数30kHz、出力2500W、処理強度0.5kV・A・分/m2でグロー放電処理を施した。この支持体上に、第1層として下記組成の塗布液を特公昭58−4589号公報に記載のバー塗布法を用いて、5mL/m2の塗布量で塗布した。
導電性微粒子分散液(SnO2/Sb25粒子濃度 50 質量部
10%の水分散液.1次粒子径0.005μmの
2次凝集体でその平均粒径が0.05μm)
ゼラチン 0.5 質量部
水 49 質量部
ポリグリセロールポリグリシジルエーテル 0.16 質量部
ポリ(重合度20)オキシエチレン 0.1 質量部
ソルビタンモノラウレート。
さらに、第1層を塗設後、直径20cmのステンレス巻芯に巻付けて、110℃(PEN支持体のTg:119℃)で48時間加熱処理し熱履歴させてアニール処理をした後、支持体をはさみ第1層側と反対側に乳剤用の下塗り層として下記組成の塗布液をバー塗布法を用いて、10mL/m2の塗布量で塗布した。
ゼラチン 1.01 質量部
サリチル酸 0.30 質量部
レゾルシン 0.40 質量部
ポリ(重合度10)オキシエチレンノニルフェニルエーテル 0.11 質量部
水 3.53 質量部
メタノール 84.57 質量部
n−プロパノール 10.08 質量部。
さらに、後述する第2、第3層を第1層の上に順に塗設し、最後に、後述する組成のカラーネガ感光材料を支持体に対して反対側に重層塗布することによりハロゲン化銀乳剤層付き透明磁気記録媒体を作製した。
2)第2層(透明磁気記録層)
(i)磁性体の分散
Co被着γ−Fe23磁性体(平均長軸長:0.25μm、SBET:39m2/g、Hc:6.56×104A/m、σS :77.1Am2/kg、σr :37.4Am2/kg)1100質量部、水220質量部及びシランカップリング剤〔3−(ポリ(重合度10)オキシエチニル)オキシプロピル トリメトキシシラン〕165質量部を添加して、オープンニーダーで3時間良く混練した。この粗分散した粘性のある液を70℃で1昼夜乾燥し水を除去した後、110℃で1時間加熱処理し、表面処理をした磁気粒子を作製した。
さらに以下の処方で、再びオープンニーダーにて4時間混練した。
上記表面処理済み磁気粒子 855 g
ジアセチルセルロース 25.3 g
メチルエチルケトン 136.3 g
シクロヘキサノン 136.3 g。
さらに、以下の処方で、サンドミル(1/4Gのサンドミル)にて2000rpm、4時間微細分散した。メディアは1mmφのガラスビーズを用いた。
上記混練液 45 g
ジアセチルセルロース 23.7 g
メチルエチルケトン 127.7 g
シクロヘキサノン 127.7 g。
さらに、以下の処方で、磁性体含有中間液を作製した。
(ii)磁性体含有中間液の作製
上記磁性体微細分散液 674 g
ジアセチルセルロース溶液 24280 g
(固形分4.34%、溶媒:メチルエチルケトン/シクロヘキサノン=1/1)
シクロヘキサノン 46 g
これらを混合した後、ディスパ−にて撹拌し、「磁性体含有中間液」を作製した。
以下の処方で本発明のα−アルミナ研磨材分散液を作製した。
(a)スミコランダムAA−1.5(平均1次粒子径1.5μm, 比表面積1.3m2/g)
粒子分散液の作製
スミコランダムAA−1.5 152g
シランカップリング剤KBM903(信越シリコーン社製) 0.48g
ジアセチルセルロース溶液 227.52g
(固形分4.5%、溶媒:メチルエチルケトン/シクロヘキサノン=1/1)
上記処方にて、セラミックコートしたサンドミル(1/4Gのサンドミル)を用いて800rpm、4時間微細分散した。メディアは1mmφのジルコニアビーズを用いた。
(b)コロイダルシリカ粒子分散液(微小粒子)
日産化学(株)製の「MEK−ST」を使用した。
これは、メチルエチルケトンを分散媒とした、平均1次粒子径0.015μmのコロイダルシリカの分散液であり、固形分は30%である。
(iii)第2層塗布液の作製
上記磁性体含有中間液 19053 g
ジアセチルセルロース溶液 264 g
(固形分4.5%、溶媒:メチルエチルケトン/シクロヘキサノン=1/1)
コロイダルシリカ分散液「MEK−ST」[分散液b] 128 g
(固形分30%)
AA−1.5分散液[分散液a] 12 g
ミリオネートMR−400(日本ポリウレタン(株)製) 希釈液 203 g
(固形分20%、希釈溶剤:メチルエチルケトン/シクロヘキサノン=1/1)
メチルエチルケトン 170 g
シクロヘキサノン 170 g。
上記を混合・撹拌した塗布液をワイヤーバーにて、塗布量29.3mL/m2になるように塗布した。乾燥は110℃で行った。乾燥後の磁性層としての厚みは1.0μmだった。
3)第3層(高級脂肪酸エステル滑り剤含有層)
(i)滑り剤の分散原液の作製
下記のア液を100℃加温溶解し、イ液に添加後、高圧ホモジナイザーで分散し、滑り剤の分散原液を作製した。
ア液
下記化合物 399 質量部
613CH(OH)(CH210COOC50101
下記化合物 171 質量部
n−C50101O(CH2CH2O)16
シクロヘキサノン 830 質量部
イ液
シクロヘキサノン 8600 質量部
(ii)球状無機粒子分散液の作製
以下の処方にて、球状無機粒子分散液[c1]を作製した。
イソプロピルアルコール 93.54 質量部
シランカップリング剤KBM903(信越シリコーン社製)
化合物1−1:(CH3O)3Si−(CH23−NH2
5.53 質量部
化合物1 2.93 質量部
Figure 2006235514
シーホスタKEP50 88.00 質量部
(非晶質球状シリカ、平均粒子径0.5μm、日本触媒(株)製)
上記処方にて10分間撹拌後、更に以下を追添する。
ジアセトンアルコール 252.93 質量部
上記液を氷冷・攪拌しながら、超音波ホモジナイザー「SONIFIER450(BRANSON(株)製)」を用いて3時間分散し、球状無機粒子分散液c1を完成させた。
(iii)球状有機高分子粒子分散液の作製
以下の処方にて、球状有機高分子粒子分散液[c2]を作製した。
XC99-A8808(東芝シリコーン(株)製、球状架橋ポリシロキサン粒子、平均粒径0.9μm)
60 質量部
メチルエチルケトン 120 質量部
シクロヘキサノン 120 質量部
(固形分20%、溶媒:メチルエチルケトン/シクロヘキサノン=1/1)
氷冷・攪拌しながら、超音波ホモジナイザー「SONIFIER450(BRANSON(株)製))を用いて2時間分散し球状有機高分子粒子分散液c2を完成させた。
(iv)第3層塗布液の作製
前述、滑り剤分散原液542gに下記を加え第3層塗布液とした。
ジアセトンアルコール 5950 g
シクロヘキサノン 176 g
酢酸エチル 1700 g
上記シーホスタKEP50分散液[c1] 53.1 g
上記球状有機高分子粒子分散液[c2] 300 g
FC431 2.65 g
(3M(株)製、固形分50%、溶剤:酢酸エチル)
BYK310 5.3 g
(BYKケミジャパン(株)製、固形分含量25%)
上記第3層塗布液を第2層の上に10.35mL/m2の塗布量で塗布し、110℃で乾燥後、更に97℃で3分間後乾燥した。

Claims (7)

  1. 支持体上に、それぞれ少なくとも1層のシアンカプラ−を含有する赤感光性乳剤層、マゼンタカプラ−を含有する緑感光性乳剤層、イエローカプラーを含有する青感光性乳剤層を有するハロゲン化銀カラー感光材料において、少なくとも1層の感光性乳剤層に色素が多層吸着しているハロゲン化銀粒子を含有し、かつ、該感光性乳剤層の主たる分光吸収波長域に対応する色相の残色粒状の値が1.1×10−3以下であることを特徴とする、ハロゲン化銀カラー感光材料。
  2. 前記残色粒状の値が8×10−4以下であることを特徴とする、請求項1に記載のハロゲン化銀カラー感光材料。
  3. 支持体上に、それぞれ少なくとも1層のシアンカプラ−を含有する赤感光性乳剤層、マゼンタカプラ−を含有する緑感光性乳剤層、イエローカプラーを含有する青感光性乳剤層を有するハロゲン化銀カラー感光材料において、少なくとも1層の感光性乳剤層に色素が多層吸着しているハロゲン化銀粒子を含有し、かつ、シアン、マゼンタ、イエローのいずれの色相においても残色粒状の値が1.1×10−3以下であることを特徴とする、ハロゲン化銀カラー感光材料。
  4. 前記残色粒状の値が、シアン、マゼンタ、イエローのいずれの色相においても8×10−4以下であることを特徴とする、請求項3に記載のハロゲン化銀カラー感光材料。
  5. 前記の、色素が多層吸着しているハロゲン化銀粒子を含有する感光性乳剤層の色素の含有量が1.1×10−5モル/m以下であることを特徴とする、請求項1ないし4のいずれかに記載のハロゲン化銀カラー感光材料。
  6. 前記の、色素が多層吸着しているハロゲン化銀粒子において、ハロゲン化銀粒子表面に直接吸着している色素のうち、ベタイン色素の占めるモル比率が16%以下であることを特徴とする、請求項1ないし5のいずれかに記載のハロゲン化銀カラー感光材料。
  7. 下記化合物(A)を含有することを特徴とする、請求項1ないし6のいずれかに記載のハロゲン化銀カラー感光材料。
    化合物(A):ヘテロ原子を1個以上持つ複素環化合物であり、該化合物を添加することで添加しない場合よりも感度を増大させる化合物
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