JP2006230333A - フローサイトメータ、細胞の解析方法、細胞解析プログラム、蛍光検出器の感度設定方法および陽性率判定法における基準ゲート設定方法 - Google Patents

フローサイトメータ、細胞の解析方法、細胞解析プログラム、蛍光検出器の感度設定方法および陽性率判定法における基準ゲート設定方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 蛍光検出器および細胞生死判定試薬を特に使用せずに生細胞と死細胞との判別をすることができるフローサイトメータを提供することを目的とする。
【解決手段】 第1の散乱光の測定データと第2の散乱光の測定データから相関図を作成する相関図作成手段8と、相関図間の差分情報を算出する差分情報算出手段9と、差分情報を閾値と比較することによって、差分情報から大幅増加領域と大幅減少領域とを抽出する閾値比較手段15と、大幅増加領域と大幅減少領域とを分画する境界線を作成する境界線作成手段16と、境界線を相関図に重畳することによって相関図を分画し、相関図において生死細胞領域の設定を行う境界線重畳処理手段17と、生死細胞領域に含まれる細胞の測定データを抜粋する測定データ抜粋手段18、とを備えたことを特徴とするフローサイトメータ1である。
【選択図】 図1

Description

本発明は、細胞の生死判別を行うフローサイトメータ、細胞の生死判別方法を含む細胞の解析方法および細胞生死判別プログラムを含む細胞解析プログラム等に関する。
幹細胞は、自己複製能と多種類の細胞、組織への分化能(多分化能)を有する未分化な細胞であり、再生医療における3要素(幹細胞、足場材料、分化誘導因子)のうち最も重要な原料である。幹細胞は、発生段階の胚組織から作出される胚性幹細胞(ES細胞)等と、成体から分離される成体幹細胞とに大別される。
成体幹細胞は、患者本人から採取し、必要な細胞に分化させた後、本人に移植して治療を行ういわゆる自家移植型の再生医療に適用可能であり、倫理的制約の少ない幹細胞源として注目されている。成体幹細胞のうち、間葉系幹細胞(MSC:Mesenchymal Stem Cell)は、骨髄等の中にわずかに存在する接着性の幹細胞である。また、MSCは、骨、軟骨、脂肪、筋、腱、骨髄間質等、主に中胚葉系の様々な細胞、組織へ分化誘導できることが明らかにされ、応用範囲の広い成体幹細胞として注目されている。
再生医療に使用されるこれらの幹細胞は、患者の安全性確保のために、適切な品質管理がなされている。幹細胞の品質評価には、フローサイトメトリが広く採用されている。フローサイトメトリは、蛍光標識または未標識の細胞等を、大きさ、光散乱様式、蛍光等の因子について定量的に解析する方法である。
フローサイトメトリにより細胞表面マーカを解析する場合には、蛍光標識されてかつ細胞表面マーカに特異的な抗体を用いて細胞試料を染色し、蛍光検出器を備えたフローサイトメータを使用して解析する。
フローサイトメトリにより複数の細胞表面マーカを同時に解析する場合には、細胞試料を異なる蛍光波長を有する色素で標識した複数の抗体を用いて多重染色し、多色の蛍光検出器を備えたマルチカラーフローサイトメータを使用して解析する。多色同時解析に使用可能なマルチカラーフローサイトメータとしては、例えば、ベックマンコールター社のエピックスアルトラ型タイプ1や、同社のFC500型等がある。両者とも細胞の大きさの指標となる前方散乱光、細胞の密度の指標となる側方散乱光の検出器を備え、さらに、前者は4波長、後者は5波長の蛍光検出器を有する。
フローサイトメトリにより複数の細胞表面マーカを同時に解析する場合として、例えば、MSC等の成体幹細胞の品質評価を行う場合を挙げることができる。MSC等の成体幹細胞については研究途上の段階であって、細胞に特異的な細胞表面マーカが未知である場合が多い。また、試料の均一性が必ずしも保証されていないため、試料の母集団中のある細胞について評価した結果が、他の細胞についても適用できるとは限らない。そのため、現状においては、複数の細胞表面マーカを組み合わせて品質評価指標とせざるを得ない。例えば、MSCを販売するCambrex社は、MSCが発現する陽性マーカとして、CD105,CD166,CD29およびCD44の複数の細胞表面マーカを報告し、一方で、MSCが発現しない陰性マーカとして、CD34、CD45およびCD14の複数の細胞表面マーカを報告している。MSCの品質評価を行う際には、これらの細胞表面マーカを組み合わせて測定し、品質評価指標とすることができる。
ただし、このMSCのように、試料の均一性が必ずしも保証されておらず、かつ、複数の細胞表面マーカを組み合わせて品質評価指標とするときには、単に複数の細胞表面マーカを測定するだけでは充分な品質評価を行うことができない。
そこで、細胞の品質評価の精度を高めるためには、個々の細胞ごとに同時に測定する細胞表面マーカ数を多くし、さらに、細胞表面マーカ間の相関情報を評価する必要がある。
ところで、フローサイトメトリによって解析する幹細胞等の細胞試料には、調製過程または保管過程において不可避的に死細胞が混入する(一部の細胞が死滅する)ため、データの信頼性が低下する。この死細胞の混入によるデータの信頼性の低下は、当業者間では経験的に理解されているものであるが、本発明者は、実際に比較測定を行ってこの事実を確認している。その比較測定の内容は、後記する実施例における、比較例1と比較例2、あるいは、比較例3−1と比較例3−2との関係を参照することができるが、ここでの説明は省略する。なお、死細胞の混入によりデータの信頼性が低下する理由は、死細胞は、生細胞に比べ、蛍光標識抗体との非特異的結合が起こりやすいためと考えられている。
従って、フローサイトメトリによって幹細胞等の細胞試料を解析する場合には、まず、測定データにおいて生細胞と死細胞とを判別し、死細胞を含まない生細胞の集団だけを指定するゲーティングを行い、そのゲート内の細胞に限定して解析を行う場合がある。
従来、フローサイトメータを用いた細胞の生死判別方法として、PI(プロピジウムアイオダイド)や7−AAD(7−アミノアクチノマイシンD)等の2本鎖DNAに特異的に結合するインタカレータである、細胞生死判別試薬により細胞を染色してその蛍光を測定し、蛍光強度が高い細胞を死細胞、蛍光強度が低い細胞を生細胞と判別する方法が知られている(例えば、非特許文献1参照)。これらの細胞生死判別試薬の蛍光測定は、それぞれ、フローサイトメータに備わる蛍光検出器の1つを占有して行われる。
Schmid I et al., "Dead cell discrimination with 7-amino-actinomycin D in combination with dual color immunofluorescence in single laser flow cytometry." Cytometry 13, 204-208 (1992).
しかしながら、PIや7−AAD等の細胞生死判別試薬の蛍光測定を行うと、多色の蛍光検出器のうち、少なくとも1つが占有されてしまい、測定可能項目数(測定可能細胞表面マーカ数)が減少するという問題がある。これは単に作業の効率低下をもたらすのみならず、個々の細胞について細胞表面マーカ間のデータの相関関係を示す情報量が低下し、データの信頼性が低下するという問題がある。さらに、これら細胞生死判別試薬は一般に細胞毒性があるため、特に、セルソータにより目的細胞を分取した後に、培養を継続する場合には、細胞活性に対する悪影響が避けられないという問題がある。
そこで本発明は、蛍光検出器および細胞生死判別試薬を特に使用せずに生細胞と死細胞との判別を行い、死細胞によるデータの信頼性低下を回避して、高精度な結果を提供することができるフローサイトメータを提供することを目的とする。
前記目的を達成するために、本発明は、少なくとも、第1の散乱光を検出する第1の散乱光検出器と、第2の散乱光を検出する第2の散乱光検出器と、蛍光を検出する蛍光検出器とを有し、フローサイトメトリの原理に基づいて、細胞からの散乱光と蛍光を検出するフローサイトメータであって、前記第1の散乱光の測定データと前記第2の散乱光の測定データを記憶手段から取得して相関図を作成する相関図作成手段と、前記相関図作成手段によって作成された2つ以上の前記相関図間の密度の差分情報を算出する差分情報算出手段と、前記差分情報を閾値と比較することによって、前記差分情報から密度の増加領域と密度の減少領域とを抽出する閾値比較手段と、前記増加領域と前記減少領域とを分画する境界線を作成する境界線作成手段と、前記境界線を前記相関図に重畳することによって前記相関図を分画し、前記相関図において前記増加領域に対応する死細胞領域と前記減少領域に対応する生細胞領域の少なくともいずれか1つの領域の設定を行う境界線重畳処理手段と、前記生細胞領域と前記死細胞領域の少なくもいずれか1つの領域に含まれる細胞の測定データを抜粋する測定データ抜粋手段、とを備えたことを特徴とするフローサイトメータである。
このような構成とすることにより、2種類の散乱光の測定データに基づいて細胞の生死判別をすることができる。つまり、蛍光検出器および細胞生死判別試薬を特に使用せずに生細胞と死細胞との判別を行い、死細胞によるデータの信頼性低下を回避して、高精度な結果を提供することができる。細胞の生死判別のために蛍光検出器を占有しないで済むので、その分を細胞表面マーカの測定に割り当てることができ、複数の細胞表面マーカが提示されている細胞の品質管理等を、より高い精度で行うことができる。
本発明によれば、蛍光検出器および細胞生死判別試薬を特に使用せずに生細胞と死細胞との判別を行い、死細胞によるデータの信頼性低下を回避して、高精度な結果を提供することができる。従って、蛍光検出器を有効に活用し、多数の細胞表面マーカを同時に解析することができ、細胞の品質管理を高精度に行うことができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態(以下「実施形態」と言う)について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。説明において、同一の構成要素には同一番号を付し、重複する説明は省略する。
図1は、本実施形態に係るフローサイトメータの全体構成を示すブロック図である。図1に示すように、フローサイトメータ1は、測定装置2と、測定データを記録するための測定データデータベース(測定データDB)3と、測定データに基づいて細胞の生死判別を行う細胞生死判別装置4とを備えて構成される。
なお、本実施形態において、「フローサイトメータ」は、少なくともセルアナライザとしての機能(細胞分析機能)を有しているものを示す。従って、例えば、これに細胞の自動選別(ソーティング)機能を備えたセルソータも、「フローサイトメータ」に含まれる。
<測定装置2>
測定装置2は、フローサイトメトリの原理に従って細胞の散乱光や蛍光の信号強度を測定するために必要な作動部と、その制御部を有する。作動部は、例えば、細胞懸濁液とシース液の流路、水流生成手段、フローセル、レーザ光源、前方散乱光検出器5、側方散乱光検出器6、(複数の)蛍光検出器7等を含んで構成される。また、制御部は、入力装置(図示せず)を介した測定者による入力や記憶されているプログラムに従って、作動部の検出条件を変更したり、作動部の動作を制御したり、測定結果を測定データDB3に記録したり等、種々の演算処理を行うものであって、例えば、CPU(Central Processing Unit)とメモリによって実現することができる。
なお、本実施形態の測定装置2の構成および動作には、公知技術であるセルアナライザやセルソータの測定装置の構成および動作を適宜適用できる。
前方散乱光検出器5、側方散乱光検出器6および蛍光検出器7は、例えば、光を検出するためのフォトダイオードや光電子増倍管を含んで構成される。
前方散乱光検出器5は、レーザ光の直進方向に配設され、レーザ光が照射された細胞から散乱する光を検出する。前方散乱光検出器5により検出される前方散乱光(FS:Forward Scatter)の信号強度は、細胞の大きさを反映している。
側方散乱光検出器6は、レーザ光の直進方向に対して垂直に配設され、レーザ光が照射された細胞から散乱する光を検出する。側方散乱光検出器6により検出される側方散乱光(SS:Side Scatter)の信号強度は、細胞の内部構造を反映している。
蛍光検出器7は、レーザ光が照射された細胞に含まれ、または、それに付着した蛍光性物質がレーザ光によって励起され、さらに脱励する際に放射する所定波長の光(蛍光)を検出する。蛍光検出器7は、通常、レーザ光の直進方向に対して垂直に配設される。また、使用される蛍光検出器7の数と、それぞれの蛍光検出器7が検出する蛍光波長は、測定者の必要なデータに応じて適宜選択される。本実施形態においては、複数の蛍光検出器7を用いて、異なる波長の蛍光強度を測定する場合を説明するが、それぞれの蛍光検出器7は、蛍光検出器7に備えられたフィルタにより検出波長を変えることができ、その他の構成や動作は変わらないため、重複する説明は省略する。
ここで、前方散乱光検出器5、側方散乱光検出器6および蛍光検出器7により、それぞれ検出されたFS、SSおよび蛍光の測定データは、測定データDB3に記録される。
<測定データDB3>
測定データDB3は、測定装置2により測定されたFS、SS、蛍光等の測定データを記憶するためのものであって、例えば、ハードディスクやメモリによって実現できる。
ここで、図2を参照して、測定データDB3に記録される測定データの記録形式の一例を説明する。図2は、本実施形態における測定データの記録形式である測定データテーブルである。図2において、測定データテーブルは、細胞番号と、FSとSSと、所定波長の蛍光強度(FL1,FL2,FL3,FL4およびFL5)とを含むフィールドによって構成される。細胞番号は、照射レーザ光を通過した細胞順(測定した細胞順)に、例えば、1,2,3,4,…,nと、通し番号を付して個々の細胞データを識別するためのものである。この場合、nは、1回の測定で測定した総細胞数であって、測定条件に応じて変化する。ただし、前方散乱光の強度が所定水準以下のイベント(点)については、細胞以外の微粒子由来とみなして、あらかじめ測定対象から除外することが好ましい。
なお、本実施形態においては、1回目の測定と2回目の測定の測定データがそれぞれ記録された、測定データテーブル100と測定データテーブル200とが作成される(図1参照)。これらの2回の測定は、例えば、同一の細胞試料を異なる条件で測定したものであって、本実施形態においては、1回目の測定後、この細胞試料を4℃で2時間保管し、2回目の測定を行っている。
<細胞生死判別装置4>
図1を参照しての説明を続ける。細胞生死判別装置4は、測定データDB3からFSとSSとを読み出し、これに基づいて細胞の生死判別を行うものである。細胞生死判別装置4は、二次元散布図作成手段8と、差分規格化細胞密度分布算出手段9と、生死細胞領域設定手段14と、測定データ抜粋手段18とを含んで構成される。
なお、特許請求の範囲に記載の「相関図作成手段」は、本実施形態においては二次元散布図作成手段8であり、特許請求の範囲に記載の「差分情報算出手段」は、本実施形態においては、差分規格化細胞密度分布算出手段9である。
なお、細胞生死判別装置4に含まれる各処理手段は、本実施形態において特徴的な部分については命令処理に必要な手段を記載したが、特に記載がなくとも各処理部は適宜演算手段としてCPU、記憶手段としてメモリを備えることができ、命令処理の際にはメモリにデータやプログラムを呼び出してCPUにより演算することができるものとする。
[二次元散布図作成手段8]
二次元散布図作成手段8は、測定データDB3からFSとSSとを読み出し、二次元散布図(2パラメータヒストグラム)を作成することができる。例えば、この二次元散布図は、FSまたはSSを、それぞれ、y軸パラメータまたはx軸パラメータ(いずれも真数スケール)のどちらかに対応させて作成される。二次元散布図作成手段8によって生成された二次元散布図(適宜「元の二次元散布図」と言う)は、差分規格化細胞密度分布算出手段9に出力されるとともに、本実施形態の処理過程の間は一時的にメモリやハードディスク等に記憶されている。
ここで、図3(a)を参照して、二次元散布図作成手段8によって作成された二次元散布図の一例を説明する。図3(a)は、本実施形態の二次元散布図作成手段8によって、測定データテーブル100に記録されたFSとSSから作成された二次元散布図110であって、FSをy軸パラメータ、SSをx軸パラメータとしている。この二次元散布図において、二次元散布図上に表示される各点は個々の細胞を表しており、その座標(x,y)は、各細胞のSSとFSを表している。
また、図3(b)は、本実施形態の二次元散布図作成手段8によって、測定データテーブル200のFSとSSに基づいて作成された二次元散布図210である。
[差分規格化細胞密度分布算出手段9]
図1に示すように、差分規格化細胞密度分布算出手段9は、2つの二次元散布図110,210間の差分情報として、差分規格化細胞密度分布を算出するものである。差分規格化細胞密度分布算出手段9は、まず、2つの二次元散布図110,210を比較可能にするために、それぞれの二次元散布図に関して規格化処理を行う。そして、差分規格化細胞密度分布算出手段9は、2つの規格化処理された二次元散布図(以下「規格化細胞密度分布」と言う)の密度の差分を算出し、さらに、平滑化処理を行う。この平滑化処理を行った差分を、「差分規格化細胞密度分布」と言う。差分規格化細胞密度分布算出手段9で算出された差分規格化細胞密度分布は、生死細胞領域設定手段14に出力される。
ここで、差分規格化細胞密度分布算出手段9は、二次元散布図区画化手段10と、規格化細胞密度分布算出手段11と、差分算出手段12と、平滑化手段13とを備えている。
二次元散布図区画化手段10は、元の二次元散布図110,210を区画化し各区画に新たに区画座標Sk(x,y)を付与するものである。例えば、元の二次元散布図110,210を、x、y方向ともに、64分割した場合には、区画の総数はそれぞれ4096となる。ここで、「k」は、同一の測定に対して同一の数値が適用され、異なる測定と区別される。本実施形態においては、k=1の場合には1回目の測定を意味し、k=2の場合には2回目の測定を意味する。ここで、二次元散布図区画化手段10により区画化された二次元散布図は、規格化細胞密度分布算出手段11に出力される。
規格化細胞密度分布算出手段11は、区画化された二次元散布図において、各区画に含まれる細胞数Nk(x,y)を計数し、計数された細胞数Nk(x,y)をもとに、規格化細胞密度分布Dk(x,y)を算出するものである。
ここで、規格化細胞密度分布算出手段11が、規格化細胞密度分布Dk(x,y)を算出する手順について説明する。
まず、規格化細胞密度分布算出手段11は、各区画内に分布する細胞数Nk(x,y)の計数を行う。
そして、規格化細胞密度分布算出手段11は、区画化された二次元散布図全体に分布する総細胞数Nktの計数を行う。総細胞数Nktは、例えば、各区画内に分布する細胞数Nk(x,y)を用いて、次の(1)式によって求めることができる。
Nkt=ΣNk(x,y) …(1)
なお、(1)式は、各区画内に分布する細胞数Nk(x,y)を、全ての区画(本実施形態においては、4096区画)について累計することを意味する。
さらに、規格化細胞密度分布算出手段11は、規格化細胞密度分布Dk(x,y)を算出する。規格化細胞密度分布Dk(x,y)は、例えば、各区画内に分布する細胞数Nk(x,y)と、総細胞数Nktとを用いて、次の(2)式によって求めることができる。
Dk(x,y)=Nk(x,y)/Nkt*10,000 …(2)
この処理により、1回目の測定と2回目の測定で測定した総細胞数が異なっているとしても、D1(x,y)とD2(x,y)とを求めることによって、2つの元の二次元散布図110,210間の密度の比較が同一基準の下で可能となる。
なお、(2)式において、細胞数Nk(x,y)を総細胞数Nktで除した後に、10,000を乗じているのは、フローサイトメータの測定において、1回の測定細胞数(総細胞数Nkt)が10,000個であることが多いために採用している値であって、2つの二次元散布図110,210の規格化処理に統一して使用されれば、適切な値に変更できる。また、そのときには、後記する閾値も変更される。
ここで、規格化細胞密度分布算出手段11により算出された規格化細胞密度分布は、差分算出手段12に出力される。
差分算出手段12は、2つの規格化細胞密度分布D1(x,y),D2(x,y)間の差分zr(x,y)を算出する。
ここで、差分規格化細胞密度分布算出手段9が、2つの規格化細胞密度分布D1(x,y),D2(x,y)間の差分zr(x,y)を算出する手順について説明する。
差分算出手段12は、2つの規格化細胞密度分布D1(x,y),D2(x,y)の差分zr(x,y)を、次の(3)式によって算出する。
zr(x,y)=D2(x,y)−D1(x,y) …(3)
ここで、差分算出手段12により算出された差分zr(x,y)は、平滑化手段13に出力される。
平滑化手段13は、差分zr(x,y)の平滑化処理をおこない、差分規格化細胞密度分布z(x,y)を算出するものである。
ここで、平滑化手段13が、差分規格化細胞密度分布z(x,y)を算出する手順について説明する。
平滑化手段13は、次の(4)式により2つの規格化細胞密度分布の差分zr(x,y)の平滑化を行うことによって、差分規格化細胞密度分布z(x,y)を算出する。
Figure 2006230333
(4)式においては、算出対象である区画の規格化細胞密度分布の差分zr(x,y)と、当該区画を包囲する各区画の規格化細胞密度分布の差分zr(x,y)値とをそれぞれ10:1(周囲8区画の累計で10:8)に重みを付け、加重平均することによって、差分規格化細胞密度分布z(x,y)を算出している。このように差分zr(x,y)の平滑化を行い、差分規格化細胞密度分布z(x,y)を算出することによって、測定時のノイズ等の影響を緩和することができる。差分規格化細胞密度分布z(x,y)は各区画における細胞密度の推移を表す定量的パラメータであり、正値は細胞密度の増加、負値は減少を表している。
ここで、平滑化手段13により算出された差分規格化細胞密度分布z(x,y)は、生死細胞領域設定手段14に出力される。
<生死細胞領域設定手段14>
生死細胞領域設定手段14は、差分規格化細胞密度分布z(x,y)を利用して境界線を生成し、この境界線を元の二次元散布図110(または210)と重畳させることによって、元の二次元散布図110(または210)において生死細胞領域を設定するものである。この生死細胞領域設定手段14によって設定された生死細胞領域は、測定データ抜粋手段18に出力される。
なお、本実施形態において、「生死細胞領域」とは、生細胞領域と死細胞領域のうち、少なくとも1つの領域を示す。また、「生(または死)細胞領域」とは、未判別の細胞集団と比較して、相対的に生(または死)細胞の比率が高い領域を示す。
ここで、生死細胞領域設定手段14は、閾値比較手段15と、境界線作成手段16と、境界線重畳処理手段17とを備えている。
閾値比較手段15は、差分規格化細胞密度分布z(x,y)を、あらかじめ設定された閾値と比較する。あるいは、測定者により、入力装置(図示せず)を介して閾値を入力するようにしてもよい。そして、閾値比較手段15は、差分規格化細胞密度分布z(x,y)が閾値を超える区画座標S’k(x,y)を抽出する。
ここで、閾値比較手段15が、閾値を超える区画座標S’k(x,y)を抽出する手順を説明する。
閾値比較手段15は、差分規格化細胞密度分布z(x,y)をあらかじめ設定された閾値(+閾値および−閾値)と比較する。+閾値を超えた場合には、その区画座標S’k(x,y)を細胞密度大幅増加区画座標として抽出する。細胞密度大幅増加区画座標とは、2回の測定を比較して、細胞密度が大幅に増加した区画を意味している。また、−閾値を下回った(以下、絶対値で解釈して「超えた」と記す)場合には、その区画座標S’k(x,y)を細胞密度大幅減少区画座標として抽出する。細胞密度大幅減少区画座標とは、2回の測定を比較して、細胞密度が大幅に減少した区画を意味している。
この手順は、図4および図5を参照して、視覚的に説明することができる。
図4は、区画座標をx−y平面に展開し、差分規格化細胞密度分布z(x,y)をz軸パラメータとして、三次元ヒストグラムで表示したものである。図4において、三次元ヒストグラム中の濃色で表示される領域は、差分規格化細胞密度分布z(x,y)が閾値(本実施形態においては、±10)を超えた領域を示している。なお、濃色で表示した領域のうち、領域aは、 z(x,y)>+10 を満たす領域であり、1回目の測定に比べて2回目の測定において細胞密度が大幅に増加した領域(大幅増加領域)である。一方で、領域bは、 z(x,y)<−10 を満たす領域であり、1回目の測定に比べて2回目の測定において細胞密度が大幅に減少した領域(大幅減少領域)である。
図5は、図4で示した濃色の領域を、x−y平面(区画座標)上に投影した図である。図5において、領域a’は、大幅増加領域が投影された区画座標を多く含む領域であり、領域b’は、大幅減少領域が投影された区画座標を多く含む領域である。それぞれの区画座標は集中的に分布し、明瞭に分離していることが示される。
ここで、閾値比較手段15により抽出された区画座標S’k(x,y)は、境界線作成手段16に出力される。
境界線作成手段16は、両区画座標が集中的に分布する領域a’,領域b’を、適切に分画する境界線を作成する。
ここで、図6を参照して、境界線作成手段16が境界線を引くアルゴリズムの一例を説明する。図6は、境界線作成手段16が境界線を引くアルゴリズムの一例を説明するための図である。図6において、細胞密度大幅増加区画座標と、細胞密度大幅減少区画座標の重心Oa',Ob'を求め、この重心Oa',Ob'を円の中心として、2つの隣接する相同の円を描き、その交点における接線を境界線としている。また、境界線を引く方法は、前記したものに限定されず、周知の境界線作成に関するアルゴリズムを適宜適用することができる。また、本実施形態においては、領域a’,b’を直線によって分画しているが、必ずしも直線である必要はない。例えば、曲線であってもよいし、多角形や円のように閉じた(無端の)図形であってもよい。また、分画するための線(図形)は複数でもよく、3つ以上の領域(例えば、生細胞領域と死細胞領域と未判別領域)に分画してもよい。
ここで、境界線作成手段16により作成された境界線情報(境界線に加え、重心Oa',Ob'等の情報も適宜含む)は、境界線重畳処理手段17に出力される。
境界線重畳処理手段17は、境界線を元の二次元散布図110(または210)に重畳する処理を行い、元の二次元散布図110(または210)において、生細胞領域と死細胞領域とを設定する。
ここで、境界線重畳処理手段17が、元の二次元散布図において、生細胞領域と死細胞領域とを設定する手順を説明する。
図7は、元の二次元散布図110に境界線情報(境界線に加え、重心Oa',Ob'等の情報も適宜含む)が重畳された図である。図7に示すように、元の二次元散布図110は、重畳された境界線によって、大きく2つの領域に分画されている。
さらに、境界線重畳処理手段17は、境界線により大きく2つに分画されたそれぞれの領域に関し、境界線と同時に重畳された重心Oa'が含まれる領域Aを死細胞領域と設定し、境界線と同時に重畳された重心Ob’が含まれる領域Bを生細胞領域と設定する。または、このとき、入力装置を介した測定者の入力により、生死細胞領域を設定してもよい。通常、境界線を境にして、FSが大きくSSが小さい領域(図7において境界線の左上側)が生細胞領域、FSが小さくSSが大きい領域(境界線の右下側)が死細胞領域である。
ここで、境界線重畳処理手段17により設定された生細胞領域と死細胞領域は、測定データ抜粋手段18に出力される(図1参照)。
<測定データ抜粋手段18>
図1に示すように、測定データ抜粋手段18は、生死細胞領域に含まれる、個々の細胞あるいは細胞集団の測定データを測定データDB3から抜粋するものである。測定データ抜粋手段18は、生死細胞領域に含まれる点の座標(x,y)を抽出し、その座標(x,y)、すなわち、SSおよびFSをキーとして、対応する測定データテーブルから蛍光データ等を抜粋する処理を行う。
なお、測定データ抜粋手段18が行う、測定データの抜粋作業は、従来のフローサイトメータに備えられたゲーティング手段を適用してもよい。
測定データ抜粋手段18により抜粋された測定データは、例えば、図示しない1パラメータヒストグラム作成手段等の他の演算処理手段や、図示しない表示手段等に出力される。
以上、本実施形態のフローサイトメータ1の構成について説明したが、フローサイトメータ1の細胞生死判別装置4は、一般的なコンピュータにプログラムを実行させ、コンピュータ内の演算装置や記憶装置を動作させることにより実現される。
<細胞の生死判別方法>
次に、図8ないし図10を参照して、本実施形態のフローサイトメータ1を用いて細胞の生死判別を行う方法(以下「密度差分法」と言う)について説明する。
図8は、密度差分法を実行する場合のフローサイトメータ1の全体動作を示すフローチャートである。
まず、フローサイトメータ1の測定装置2は、時刻1と、時刻1から所定時間経過後の時刻2における測定データを、それぞれ、測定データDB3の測定データテーブル100,200に記録する(ステップS10)。
そして、フローサイトメータ1の細胞生死判別装置4は、二次元散布図作成手段8によって、測定データテーブル100,200に記録されたFSとSSとを読み出し、二次元散布図110,210を作成する(ステップS20)。
そして、フローサイトメータ1の細胞生死判別装置4は、差分規格化細胞密度分布算出手段9によって、ステップS20で作成された二次元散布図110,210から、差分規格化細胞密度分布z(x,y)を算出する(ステップS30)。
そして、フローサイトメータ1の細胞生死判別装置4は、生死細胞領域設定手段14によって、ステップS30で算出された差分規格化細胞密度分布z(x,y)に基づいて、元の二次元散布図110(または210)に生死細胞領域を設定する(ステップS40)。
そして、フローサイトメータ1の細胞生死判別装置4は、測定データ抜粋手段18によって、ステップS40で設定された生死細胞領域に含まれる個々の細胞あるいは細胞集団の測定データを測定データテーブル100(または200)から抜粋する(ステップS50)。
以下、ステップS30の差分規格化細胞密度分布z(x,y)の算出処理と、ステップS40の生死細胞領域の設定処理について詳細に説明する。
図9は、密度差分法を実行する場合の差分規格化細胞密度分布z(x,y)の算出処理(ステップS30)を詳細に説明するためのフローチャートである。
まず、差分規格化細胞密度分布算出手段9は、二次元散布図区画化手段10によって、ステップS20で作成された二次元散布図110,210を、区画化する(ステップS31)。
そして、差分規格化細胞密度分布算出手段9は、規格化細胞密度分布算出手段11によって、ステップS31で区画化された2つの二次元散布図において、各区画に含まれる細胞数Nk(x,y)を計数する(ステップS32)。
次に、差分規格化細胞密度分布算出手段9は、規格化細胞密度分布算出手段11によって、ステップS32で計数した細胞数Nk(x,y)を全区画について累計し、二次元散布図の総細胞数Nktを算出する(ステップS33)。
さらに、差分規格化細胞密度分布算出手段9は、規格化細胞密度分布算出手段11によって、ステップS32で算出した各区画に含まれる細胞数Nk(x,y)と、ステップS33で算出した総細胞数Nktとに基づいて、二次元散布図の規格化細胞密度分布Dk(x,y)を算出する(ステップS34)。
そして、差分規格化細胞密度分布算出手段9は、差分算出手段12によって、ステップS34で算出した規格化細胞密度分布Dk(x,y)の差分zr(x,y)を算出する(ステップS35)。
そして、差分規格化細胞密度分布算出手段9は、平滑化手段13によって、ステップS35で算出した規格化細胞密度分布Dk(x,y)の差分zr(x,y)を平滑化し、差分規格化細胞密度分布z(x,y)を算出する(ステップS36)。
図10は、密度差分法を実行する場合の生死細胞領域の設定処理(ステップS40)を詳細に説明するためのフローチャートである。
まず、生死細胞領域設定手段14は、閾値比較手段15によって、ステップS36で算出された差分規格化細胞密度分布z(x,y)とあらかじめ設定された閾値とを比較し、閾値を超えた差分規格化細胞密度分布z(x,y)の区画座標S’k(x,y)を抽出する(ステップS41)。
なお、このとき、前記したように、+閾値を超えた場合には、細胞密度大幅増加区画座標として抽出し、−閾値を超えた場合には、細胞密度大幅減少区画座標として抽出する。
そして、生死細胞領域設定手段14は、境界線作成手段16によって、S41で抽出された区画座標S’k(x,y)に基づき、細胞密度大幅増加区画座標を多く含む領域と細胞密度大幅減少区画座標を多く含む領域とを適切に分割する境界線を作成する(ステップS42)。
なお、このとき、前記したように、境界線作成の過程において、細胞密度大幅増加区画座標の重心と、細胞密度大幅減少区画座標の重心と、を利用している。
そして、生死細胞領域設定手段14は、境界線重畳処理手段17によって、ステップS42で作成された境界線と、ステップS42の過程で求められた細胞密度大幅増加区画座標の重心と、細胞密度大幅減少区画座標の重心と、を元の二次元散布図110(または210)に重畳する(ステップS43)。
そして、生死細胞領域設定手段14は、境界線重畳処理手段17によって、ステップS43で重畳された境界線を境にして、細胞密度大幅増加区画座標の重心を含む領域を死細胞領域と設定し、細胞密度大幅減少区画座標の重心を含む領域を生細胞領域と設定する。
以上によれば、本実施形態において、次のような効果を得ることができる。
同一の細胞試料を異なる条件で測定を行い、FSとSSに基づいて作成された二次元散布図の差分情報を抽出し、生死細胞領域を設定することによって、細胞の生死判別を客観的かつ適切に行うことができる。従って、細胞の生死判別に蛍光試薬、蛍光試薬の反応のための操作、蛍光試薬を検出するための蛍光検出器7等を必要としない。さらに、蛍光試薬による他のチャンネルへの蛍光漏れ込みが起きず、その補正も必要ない、という特有の効果がある。
さらに、本実施形態によれば、再生医療、すなわち細胞が持つ自然の治癒力を活用して疾病や怪我の治療を行う医療技術において使用される、移植用の細胞や組織、ならびにその主要原料である幹細胞の品質管理を適切に行うことができる。より具体的な例としては、細胞生死判別試薬を用いることなく、また蛍光検出器7を占有することなくMSC等の幹細胞集団内の生細胞を判別することができる。従って、死細胞によるデータの信頼性低下を回避でき、高精度な結果を提供できる。このことにより、MSC等の幹細胞の細胞表面マーカを適切かつ高効率、高信頼性に、しかも蛍光検出器7を割り当てることなく評価解析することができる。
さらに、細胞毒性を有する細胞生死判別試薬を使用せずに細胞の生死判別ができるため、生細胞をセルソータで分取した場合には培養を継続することができる。
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、その技術思想のおよぶ範囲で種々の変更実施を行うことができる。
本実施形態においては、2回の測定を2時間の時間間隔をあけて行っているが、2回の測定方法は、必ずしも前記したものに限定されない。細胞分布の差は必ずしも本実施例のごとく2時間の待ち時間によってのみ生じるわけではなく、例えば、より短い時間や長い時間等、他の時間条件においても生じせしめることができる。通常、時間間隔が長い方が細胞分布の差が大きい傾向がある。また、本実施形態では2つのデータの取得の間は細胞試料を4℃の冷蔵庫に保管したが、他の温度条件に維持することも可能である。通常、細胞試料の保管温度は0℃以上40℃未満が好ましく、温度が低い方が細胞分布の差が小さい傾向がある。ただし、試料が凍結するとFS,SSが一般の死細胞と異なる領域へ変化するため、0℃(凍結点)以下は好ましくない。
また、必ずしも1回目の測定に用いた細胞試料の残りを全て2回目の測定に用いる必要はない。1回目の測定に用いた細胞試料の残りを複数に分割し、一部をより厳しい保管条件に保管して2回目の測定に供し、別の一部は、より穏和な保管条件に保管して、セルソータによるソーティング等、他の目的に供してもよい。さらには、1回目の測定と2回目の測定によって生死細胞領域の設定(ゲーティング)のみを行い、3回目の測定において生細胞の蛍光データを抜粋し、解析することも可能である。この場合には、生細胞領域の細胞数が所定数になったときに測定を停止するプログラム制御を行うことによって、必要最小限の細胞の測定で十分な生細胞データが得られるという長所がある。
また、本実施形態においては、所定温度、所定時間の保管により細胞死を待って細胞分布の差を生じせしめたが、積極的に細胞を死亡させる工程を採用することも可能である。例えば、高温、高圧、低圧等の条件や、細胞活性を損なう各種薬品の添加等の方法があり、そのための専用の器具や装置を用いてもよい。その器具や装置はフローサイトメータ1装置と一体化されていてもよい。
細胞死のための装置をフローサイトメータ1に組み込み、見かけ上1回の測定のなかで、1回目の測定と、積極的に細胞を死亡させた2回目の測定を順次行い、全自動で生細胞に限定した解析を行う装置とすることもできる。
また、本実施形態では1回目と2回目の測定データから差分を求めたが、3回以上の連続した測定を行い、平均化や外挿等により、分布の変化をより高精度に求めることも可能である。
さらに、本発明の主なる技術的思想は、細胞から散乱する2種類の散乱光を測定することによって、蛍光検出器や細胞生死判別試薬を特に使用することなく細胞の生死判別を行うものであって、2つ以上の散乱光検出器によって、細胞から散乱する2種類の散乱光を測定できるものであれば、本発明の適用範囲は、個々の細胞を順次検出点へと動かすことによって測定するフローサイトメータだけに限定されない。
例えば、顕微鏡型の検出装置であるイメージサイトメータのように、細胞が収容された容器等を動かすことによって個々の細胞の散乱光を測定する装置に対しても適用される。また、レーザ光源や散乱光検出器を動かすことによって個々の細胞の散乱光を測定する装置に対しても適用される。さらには、これらの装置を用いた細胞の生死判別方法を含む細胞の解析方法、および、これらの装置が有するコンピュータを動作させる細胞生死判別プログラムを含む細胞解析プログラムに対しても適用される。
次に、本発明を用いて細胞の生死判別を行った発明例の効果について、本発明例とは別の技術により細胞の生死判別を行った比較例の効果と比較して、具体的に説明する。
なお、本実施例においては、比較例の技術として、7−AAD染色によって細胞の生死判別を行っている。
ここでは、「発明例」は、本発明の要件を満たす場合に使用される「実施例」と同義である。
<第1実施例>
第1実施例では、非特異的抗体により細胞を染色した場合における発明例の効果を、比較例の効果と比較している。
細胞は、接着性の成体幹細胞であるヒト骨髄由来の間葉系幹細胞(MSC)を使用した。この細胞はCambrex社から購入し、同社推奨プロトコルに従って培養して使用した。添付の技術資料によると、購入した細胞はインフォームドコンセントを得て健康なヒトから採取された骨髄を原料とし、密度勾配遠心分離法と、プラスチック製培養容器表面への接着性に基づく選択培養により造血系細胞を除去し、2継代目に凍結保存したものである。
これを解凍し、同社から購入した培地(商品名MSCGM、以下、培地)5mLに分散し、遠心、上清除去後、細胞を24mLの培地に再分散し、その一部を使用して細胞数と生細胞率を計測した後、残りをFalcon社のT−75型フラスコ(ポリスチレン製)2本に播種した。基本的な培養条件として、37℃、炭酸ガス濃度5%を採用し、ウォータージャケット式炭酸ガスインキュベータ中で培養した。約80%コンフルエントになるたびに継代を繰り返した。継代と継代の間において、3〜4日に1回の割合で培地交換を行った。
細胞の継代は、培地除去の後、0.05%トリプシン−EDTA含有PBS(Gibco社)を6mL注入し、約3分間37℃でインキュベートし、容器に軽く振動を与えて細胞を剥離した。直ちに培地6mLを投入して反応を停止した。遠沈管に移して遠心分離、上清除去後、適量の培地に再分散させ、細胞数を計測後、次の世代の培養のための播種を行った。播種密度は概ね5,000個/cm2とした。
細胞を測定用試料として使用する際には、継代操作の前半と同様の剥離、反応停止、上清除去操作を行った。その後、細胞をPBS5mLに再分散し、遠心、上清除去、再分散の工程からなる洗浄操作を3回繰り返し、清浄な細胞を分散したPBS液(細胞濃度約1x107個/mL)を得た。
細胞の染色は、蛍光標識された非特異的抗体(IgG1−PE:マウスIgG1、PE標識、コールターイムノテック社)により細胞を直接染色した。
ここで、細胞の染色手順を示す。チューブに蛍光標識抗体(非特異的抗体)を20μL分注後、前記細胞分散液100μL(細胞数約100万個)を分注し、4℃で45分間インキュベートした。これに2mLのPBSを加え、分散、遠心、上清除去する洗浄工程を2回繰り返した後、500μLのPBSに再分散することにより、細胞試料を調製した。
比較例の技術に基づく細胞の生死判別を行う際は、さらに、7−AADによる染色を行った。すなわち、前記の手順で調製した細胞試料500μLに対し、コールターイムノテック社製7−AAD Viability Dye溶液を10μL添加し、冷暗所で10分以上インキュベート後に測定を行った。
細胞試料の測定には、ベックマンコールター社のセルソータであるエピックスアルトラ型タイプ1をメーカの推奨条件に準拠した条件で使用した。このセルソータは、488nm、15mWのアルゴンイオンレーザを励起光源として用いFITC,PE,ECD,PC5による蛍光強度をそれぞれ525,575,610,675nmのバンドパスフィルタを備えた蛍光検出器(以下、それぞれFL1,FL2,FL3,FL4チャンネルと記す)7で測定できる。また、前方散乱光検出器5と側方散乱光検出器6も備えている。
非特異的抗体に標識されたPEの検出は、FL2チャンネルで行い、検出された蛍光強度をFL2と記載する。
7−AADの検出は、FL4チャンネルで行い、検出された蛍光強度をFL4と記載する。
従って、第1実施例において、使用した検出器は、FS,SS,FL2(PE用),FL4(7−AAD用)である。
測定の前には、未染色処理の細胞を用いて、各蛍光検出器7の感度を調節した。すなわち、4桁の範囲(対数で−1から+3)の蛍光強度を横軸とする1パラメータヒストグラムにおいて、未染色処理の細胞集団の98%が、横軸の左側1/4の領域(対数で−1から0)に概ね収まるように設定した。
なお、特定の色素の蛍光が目的以外の蛍光検出器7に対して分光干渉を及ぼすことによる誤差を補償するため、補正マトリックスを用いて補正している。
また、FSとSSが共に極めて低い細胞は、細胞の破壊断片(デブリス)とみなし、データ処理の対象から除外した。
ここで、図11を参照して、比較例の技術である7−AAD染色によって細胞の生死を判別する手順について説明する。図11は、MSCを非特異的抗体(IgG1−PE)と7−AADとで染色し、セルソータを用いてFL4チャンネルで測定した結果(すなわち、7−AADに関する測定結果)を、1パラメータヒストグラムで表示したものである。なお、図11において、横軸はFL4で検出される蛍光強度(対数スケール)を、縦軸は、それぞれの蛍光強度における細胞累計を示す。
通常、7−AAD染色に従って細胞の生死を判別する場合、7−AAD添加後において染色されない細胞は生細胞であり、染色された細胞は死細胞を意味する。図11においては、信号強度の低いピークが生細胞集団(図11において、「Alive」)、信号強度の高いピークが死細胞集団(図11において、「Dead」)である。ここで、比較例1は、図11において、Alive領域に含まれる細胞集団とし、比較例2は、図11において、Dead領域に含まれる細胞集団とした。
本実施例の評価方法として、陽性率判定法と、横軸方向にヒストグラムが位置する範囲の比較による方法とを用いた。陽性率判定法は、基準ゲートを作成し、基準ゲート内の細胞含有率の変化を比較する方法である。両者ともに、フローサイトメトリにおいては、一般的な比較方法であるので、詳細な説明は省略する。
比較例1は、本発明例とは別の技術である7−AAD染色に従って判別した生細胞集団であり、比較例2は、死細胞集団である。
発明例1は、本発明によって判別した生細胞集団であり、発明例2は、死細胞集団である。なお、第1実施例における本発明による細胞の生死判別は、1回目の測定後、細胞試料を4℃で2時間保管後に2回目の測定を行った測定データに基づいている。
[比較例1]
図12は、比較例1における非特異的抗体の染色を示す、FL2(PE)のヒストグラムである。図12に示すように、陽性率判定法のために、比較例1のヒストグラムにおいてゲートCを設定した。ゲートCは、対数で約0.3以上の範囲に、その範囲に含まれる細胞の割合(陽性率)が2.0%となるように設定している。また、図12に示すように、対数で約−1〜0.5の低蛍光強度範囲にやや広いピークの裾が観測された。
[比較例2]
図13は、比較例2における非特異的抗体の染色を示す、FL2(PE)のヒストグラムである。比較例2において、比較例1で設定したゲートCに含まれる細胞の割合(陽性率)は、9.5%であった。また、図13に示すように、対数で約0付近の蛍光強度範囲にピークが観測され、また対数で約1以上、2.6付近にも信号がみられた。
[発明例1]
図14は、発明例1における非特異的抗体の染色を示す、FL2(PE)のヒストグラムである。図14に示すように、対数で約−1〜0.5の低蛍光強度範囲にやや広いピークの裾が観測された。図14に示すように、陽性率判定法のために、発明例1のヒストグラムにおいてゲートCを設定した。ゲートCは、対数で約0.3以上の範囲に、その範囲に含まれる細胞の割合(陽性率)が2.0%となるように設定した。
[発明例2]
図15は、発明例2における非特異的抗体の染色を示す、FL2(PE)のヒストグラムである。発明例2において、発明例1で設定したゲートCに含まれる細胞の割合(陽性率)は、5.9%であった。図15に示すように、対数で約0付近の蛍光強度範囲にピークが観測され、また対数で約1以上、2.6付近にも信号がみられた。
比較例1と発明例1、比較例2と発明例2とは、それぞれ同じ傾向を示す一方で、比較例1と発明例2、比較例2と発明例1とは、異なる傾向であることが示された。すなわち、第1実施例によれば、本発明による細胞生死判別は、蛍光検出器7を使用することなしに、本発明例とは別の技術である7−AAD染色による細胞生死判別と、同等の効果を奏することが示された。
なお、第1実施例で示した、非特異的抗体により染色した細胞試料は、通常、特異的抗体により染色した細胞の測定の際に、ネガティブコントロールとして使用される。例えば、死細胞が混入した状態でネガティブコントロールを用いて感度設定を行うと、蛍光強度が高い位置に境界点を設定することになるため、結果として未知試料の陽性率が見かけ上低下してしまう。
従って、本発明により判別した生細胞をネガティブコントロールとして使用することで、特異的抗体により染色した細胞の測定をより適切に行うことができる。
<第2実施例>
第2実施例では、特異的抗体により細胞を染色した場合における発明例の効果を、比較例の効果と比較している。
なお、第2実施例の測定方法は、基本的に第1実施例と同様であるため、重複する説明は省略し、第2実施例に特徴的な部分についてのみ記載する。
細胞は、第1実施例と同様、ヒトMSCを使用した。
細胞の染色は、蛍光標識された特異的抗体(CD166−FITC:抗ヒトCD166マウスモノクローナル抗体、FITC標識、RDI社)により細胞を直接染色した。前記したように、CD166は、MSCで発現されていることが報告されている特異的抗体である。
また、ネガティブコントロールとして使用する細胞に対しては、蛍光標識された非特異的抗体(IgG1−FITC:マウスIgG1、FITC標識、コールターイムノテック社)により細胞を直接染色した。
ここで、細胞の染色手順を示す。チューブに蛍光標識抗体(特異的抗体2μL、または、非特異的抗体20μL)を分注後、前記細胞分散液100μL(細胞数約100万個)を分注し、4℃で45分間インキュベートした。これに2mLのPBSを加え、分散、遠心、上清除去する洗浄工程を2回繰り返した後、500μLのPBSに再分散することにより、細胞試料を調製した。
細胞試料の測定には、第1実施例と同様に、ベックマンコールター社のセルソータであるエピックスアルトラ型タイプ1をメーカの推奨条件に準拠した条件で使用した。
特異的抗体および非特異的抗体に標識されたFITCの検出は、FL1チャンネルで行い、検出された蛍光強度をFL1と記載する。
7−AADの検出は、FL4チャンネルで行い、検出された蛍光強度をFL4と記載する。
従って、第2実施例において、使用した検出器は、FS,SS,FL1(FITC用),FL4(7−AAD用)である。
測定の前には、IgG1−FITCを用いて第1実施例と同様に染色したネガティブコントロールを用いて、各蛍光検出器7の感度を調節した。すなわち、4桁の範囲(対数で−1から+3)の蛍光強度を横軸とする1パラメータヒストグラムにおいて、ネガティブコントロールの細胞集団の98%が、横軸の左側1/4の領域(対数で−1から0)に概ね収まるように設定した。
また、第2実施例においては、陽性率判定法のために、ネガティブコントロールのヒストグラムにおいて陽性率が2.0%となるように、ゲートAを設定した。より詳細な説明は後記する[比較例3−1]、[比較例3−2]、[発明例3]の項目において、適宜記載している。
比較例3−1は、本発明例とは別の技術である7−AAD染色に従って判別した生細胞集団であり、比較例3−2は、未判別細胞集団である。
発明例3は、本発明によって判別した生細胞集団である。
[比較例3−1]
図16は、比較例3−1における特異的抗体の染色を示す、FL1(FITC)のヒストグラムである。比較例3−1のネガティブコントロールとして、IgG1−FITCで細胞を染色し、7−AAD染色により判別した生細胞集団を用いている。ゲートAは、このネガティブコントロールを使用して測定した際に、対数で約0.3以上の範囲に、その範囲に含まれる細胞の割合(陽性率)が2.0%となるように設定されたものである。
比較例3−1において、ゲートAに含まれる細胞の割合(陽性率)は89.9%であった。すなわち、細胞試料の約9割がCD166陽性と判別された。 また、図16に示すように、対数で約0〜1.4の蛍光強度範囲にピークが観測された。
[比較例3−2]
図17は、比較例3−2における特異的抗体の染色を示す、FL1(FITC)のヒストグラムである。比較例3−2のネガティブコントロールとして、IgG1−FITCで細胞を染色し、生死未判別の細胞集団を用いている。ゲートAは、このネガティブコントロールを使用して測定した際に、対数で約0.3以上の範囲に、その範囲に含まれる細胞の割合(陽性率)が2.0%となるように設定されたものである。
比較例3−2において、ゲートAに含まれる細胞の割合(陽性率)は85%であった。すなわち、CD166陽性細胞の割合は比較例3−1の場合よりも5%低いと判別された。これは、死細胞が混入した状態でネガティブコントロールを用いて感度設定を行ったため、蛍光強度が高い位置に境界点を設定してしまい、結果として、測定した細胞試料の陽性率が見かけ上低下したためと考えられる。この様に、細胞の生死を判別せずに測定を行うと、測定値に誤差が入り、結果の信頼性が低下することが理解される。
また、図17に示すように、対数で約0〜1.4の蛍光強度範囲に主なピークが観測された点は、比較例3−1(図16参照)と同様であるが、それ以外の領域のバックグラウンドが高い点が異なった。
[発明例3]
図18は、発明例3における特異的抗体の染色を示す、FL1(FITC)のヒストグラムである。発明例3のネガティブコントロールとして、IgG1−FITCで細胞を染色し、密度差分法により判別した生細胞集団を用いている。ゲートAは、このネガティブコントロールを使用して測定した際に、対数で約0.3以上の範囲に、その範囲に含まれる細胞の割合(陽性率)が2.0%となるように設定されたものである。
発明例3において、ゲートAに含まれる細胞の割合(陽性率)は88.8%であった。すなわち、CD166陽性細胞の割合は、比較例3−1(図16参照)とほぼ同等と判別された。また、図18に示すように、対数で約0〜1.4の蛍光強度範囲に主なピークが観測された点は比較例3−1(図16参照)および比較例3−2(図17参照)と同様であり、それ以外の領域のバックグラウンドが低い点は比較例3−1(図16参照)と同様である一方で、比較例3−2(図17参照)と異なった。
このように、発明例3は、比較例3−1とは同じ傾向を示す一方で、比較例3−2とは、異なる傾向であることが示された。すなわち、第2実施例によれば、本発明による細胞生死判別は、蛍光検出器7を使用することなしに、本発明例とは別の技術である7−AAD染色による細胞生死判別と、同等の効果を奏することが示され、結果の信頼性が高いことが理解される。さらに、第2実施例によれば、細胞表面マーカの解析においても、死細胞混入による測定誤差を排除し、信頼性の高い結果を得ることができることを示した。
<第3実施例>
第3実施例では、複数の抗体により細胞を多重染色した場合における発明例(発明例4)の効果を比較例(比較例4)の効果と比較した。
ここで、発明例4は、本発明を用いて判別した生細胞集団に関する解析である。
比較例4は、本発明例とは別の技術である7−AAD染色に従って判別した生細胞集団に関する解析である。
発明例4は、MSCの7種類の細胞表面マーカを同時に測定することを目的とした。測定対象であるMSCの7マーカの内、4種類は(MSCで発現するとされている)陽性マーカであり、残りの3種類は(MSCで発現しないとされている)陰性マーカである。
具体的には、MSCに対して7マーカそれぞれに対応する7種類の抗体を反応させ、これらの抗体を5種類の異なる蛍光色素により直接あるいは間接に標識することにより、MSCを多重染色して、各抗体に対応する各細胞表面マーカを同時に測定し解析した。7種類の抗体の内、4種類はMSCの陽性マーカに対する抗体であり、それぞれ異なる4種類の蛍光色素で直接あるいは間接に標識した抗体を使用した。残りの3種類の抗体はMSCの陰性マーカに対する抗体であり、第5の(同一の)蛍光色素で標識した抗体を使用した。これらの7種の抗体を用いて、5色の蛍光色素で多重染色した細胞を、5色の蛍光検出器を備えるフローサイトメータにより測定し、測定対象であるMSCの7マーカについて同時計測を行った。
比較例4は、測定対象であるMSCの7マーカについて分割して測定し、全てのデータを同時に計測しなかった点で、発明例4とは異なる。
なお、第3実施例の測定方法は、基本的に第1実施例および第2実施例と同様であるが、複数の抗体を多重化して用いた点が異なる。以下重複する説明は省略し、第3実施例に特徴的な部分についてのみ記載する。
細胞は、第1実施例および第2実施例と同様、ヒトMSCを使用した。
細胞の染色は、蛍光色素またはビオチンで標識された、あるいは無標識の各細胞表面マーカに対する抗体により、細胞を直接または間接に多重染色した。
ここで、細胞の染色に用いた抗体は、CD34−FITC,CD45−FITC,CD14−FITC(以上コールターイムノテック社),CD105−PE(ANCELL社),CD166−ビオチン(ANCELL社),CD29−PC5(Caltag社)およびCD44−無標識(コールターイムノテック社)であって、それぞれの抗体の詳細な説明は表1に示す。
Figure 2006230333
CD166−ビオチンに対するECDの間接標識のため、ストレプトアビジン−ECD、すなわちECD(PEとTexasRedのタンデム色素)標識のストレプトアビジンを用いた。
また、CD44の無標識抗体に対するPC7の間接標識のため、二次抗体−PC7、すなわち、抗マウスIgGのヤギ抗体のF(ab’)2断片をPC7で標識した二次抗体(Santa Cruz社)を用いた。
それぞれの間接標識用試薬の詳細な説明は表2に示す。
Figure 2006230333
前記したように、CD105,CD166,CD29およびCD44は、MSCで発現すると報告されている陽性マーカであり、またCD34,CD45およびCD14はMSCで発現しないと報告されている陰性マーカである。
また、ネガティブコントロールとして使用する細胞に対しては、前記した測定対象である7マーカの抗体にそれぞれ対応するアイソタイプの非特異的抗体を用いて、細胞を直接または間接に、対応する標識を用いて多重染色した。すなわち、表1で示した抗体にそれぞれ対応するアイソタイプの非特異的抗体であり、かつそれぞれ対応する蛍光色素またはビオチンで標識され、あるいは無標識の抗体を用い、細胞を直接または間接に多重染色した。
具体的には、ネガティブコントロールとして使用する細胞の染色に用いた抗体は、IgG1−FITC,IgG2a−FITC,IgG1−PE,IgG1−PC5,無標識のIgG1(以上コールターイムノテック社)およびIgG1−ビオチン(Ancell社)であって、それぞれの抗体の詳細な説明を、表3に示す。
IgG1−ビオチンに対するECDの間接標識のため、ストレプトアビジン−ECDを用いた。また、無標識のIgG1に対するPC7の間接標識のため、二次抗体−PC7を用いたのは前記同様である。
Figure 2006230333
ここで、細胞の染色手順を示す。チューブにメーカ推奨量の無標識の抗体(CD44−無標識)を分注後、前記細胞分散液100μL(細胞数約70万個)を分注し、4℃で30分間インキュベートした。2mLのPBSで洗浄後、ペレットに0.1mLのPBSを加えて分散した。この細胞分散液を含む(以下同様)チューブに1.4μgの二次抗体−PC7を分注し、4℃で30分間インキュベートした。2mLのPBSで2回洗浄後、ペレットに0.1mLのマウス血清を加えて分散し、室温で15分間インキュベートして二次抗体をブロッキングした。このチューブにメーカ推奨量の蛍光標識抗体(CD34−FITC,CD45−FITC,CD14−FITC,CD105−PE,CD29−PC5)並びにビオチン標識抗体(CD166−ビオチン)を分注し、4℃で30分間インキュベートした。2mLのPBSで2回洗浄後、ペレットに0.1mLのPBSを加えて分散した。このチューブに10μLのストレプトアビジン−ECDを分注し、4℃で30分間インキュベートした。さらに2mLのPBSで2回洗浄後、500μLのPBSに再分散することにより、細胞試料を調製した。
以上は測定対象である7種類のマーカに関する染色法を例示したが、ネガティブコントロールとして使用する細胞についても前記したとおり、それぞれ対応するアイソタイプと標識の非特異的抗体を用いた点以外は同様の手順により細胞を染色した。
細胞試料の測定には、ベックマンコールター社のセルアナライザであるFC500型をメーカの推奨条件に準拠した条件で使用した。
このセルアナライザは、488nm、15mWのアルゴンイオンレーザを励起光源として用いFITC,PE,ECD,PC5,PC7による蛍光強度をそれぞれ525,575,610,675nmのバンドパスフィルタ並びに750nmのロングパスフィルタを備えた蛍光検出器(以下、それぞれFL1,FL2,FL3,FL4,FL5チャンネルと記す)7で測定できる。また、前方散乱光検出器5と側方散乱光検出器6も備えている。
FITC,PE,ECD,PC5,PC7の検出は、それぞれFL1,FL2,FL3,FL4,FL5チャンネルで行い、検出された蛍光強度をそれぞれFL1,FL2,FL3,FL4,FL5と記載する。
従って、第3実施例の発明例4において、FS,SS,FL1(FITC用),FL2(PE用),FL3(ECD用),FL4(PC5用),FL5(PC7用)の検出器を全て同時に使用した。比較例4では、FL4を7−AAD用に用いた。
測定の前には、ネガティブコントロールを用いて、対応する各蛍光検出器7の感度を調節した。このネガティブコントロールは、細胞を非特異的抗体により染色した点は第2実施例と同様であるが、複数の非特異的抗体を多重化して用いた点が異なる。発明例4においては密度差分法によって、比較例4においては7−AAD染色によって、判別した生細胞集団を計測した。
次に、以下の手順により蛍光検出器の混色補正(分光干渉の補正)を行った。すなわち、MSCと散乱特性の近い標準細胞(本実施例ではHeLa細胞)を別途用意した。この細胞が強発現する細胞表面マーカ(CD166)に対するビオチン化抗体と、MSCの染色に用いたものと同じ5種の蛍光色素(FITC,PE,ECD,PC5,PC7)で標識したストレプトアビジンとを用いた間接標識により、5種類の蛍光色素でそれぞれ単独に染色した単染色試料を5種調製し、混色補正用試料とした。これらを前記セルアナライザにより測定し、定法に従い、検出器間の蛍光の漏れ込みを補正する補正マトリクス(以下、補正係数)を作成した。以降のデータ解析は、この補正係数を用いて蛍光の漏れ込み補正(混色補正)を行ったデータに基づいて行った。
[発明例4]
図19は、発明例4におけるMSCの細胞表面マーカに対する抗体の染色の結果の一例を示すヒストグラムであって、(a)はFL1(FITC)、(b)はFL2(PE)、(c)はFL3(ECD)、(d)はFL4(PC5)、(e)はFL5(PC7)の蛍光強度(対数)を横軸、細胞数(頻度)を縦軸に表示したヒストグラムである。図19(a)〜(e)において、ピークSは、MSCの細胞表面マーカに対する抗体の染色を示すピークであって、ピークNは、ネガティブコントロールのピークである。また、ゲートA〜Eは、陽性率判定のために、ネガティブコントロールのヒストグラムにおいて陽性率が約2%となるように、それぞれ設定した。
なお、第3実施例において設定したゲートは、第1実施例および第2実施例において設定したゲートと符号が同じであっても、同一のものとは限らない。
前記したように、図19(a)〜(e)に示すこれらの細胞表面マーカ(陽性マーカ4種および陰性マーカ3種)に関する測定結果は、同一の細胞試料を多重染色して得た測定試料について、本発明のフローサイトメータを用い、同時に計測値を取得したものである。
図19における、ゲートA,B,C,D,Eに含まれる細胞の割合(陽性率)はそれぞれ2.55%,99.83%,99.50%,99.90%,99.85%であった。すなわち、MSCで陽性とされるCD105,CD166,CD29,CD44に関して、ほとんどの細胞が陽性を示した(それぞれ、図19(b),(c),(d),(e)を参照)。その一方で、ゲートAの陽性率、すなわち、CD34,CD45,CD14の少なくとも何れかが陽性な細胞の割合は2.55%であったことから、残りの97.45%の細胞は、MSCで陰性とされるCD34,CD45,CD14の3種の細胞表面マーカに関して、いずれも陰性であることを示した(図19(a)参照)。以上の各マーカ毎の陽性率の結果は、多重染色を行わずに各マーカを単独で染色して評価した場合(単染色法)における陽性率(図示省略)と同等であったことから、発明例4による多重染色は細胞表面マーカの発現強度を高い信頼性で評価解析できる。3種の陰性マーカを同一の色素で標識した抗体を用いて同一の検出器でまとめて測定しても陽性率を高精度に評価できるため、検出器を効率的に活用できる、という効果がある。
なお、前記した結果はMSCの7種のマーカの同時計測のための条件を以下のごとく検討し、信頼性の高い結果をもたらす方法を探索しそれを見出した後に初めて得られた結果である。代案としては、CD44検出のための抗体として市販のFITC標識品、またCD166についてはビオチン化抗体を用いてPC7で間接標識、さらにCD34,CD45,CD14については市販のECD標識品を用いる方法がある。この代案による検討結果によると、陰性マーカであるCD34,CD45,CD14の陽性率が約7%程度となる場合が多く、極端なケースでは60%を越す場合もあった。この代案による陽性率は単染色法の結果から大きく乖離しており、測定法に基づく誤差があることが示された。この原因を追究した結果、混色補正に原因があることが明らかになった。すなわち、代案における陰性マーカに対応するECD計測のためのFL3検出器にはPEやFITCなどの異なる色素からの蛍光の漏れ込み(分光干渉、混色)が多い。分光干渉を補正するための補正係数(値が大きいほど影響が大きい)は、FL3検出器に対して、FITC,PE,PC5,PC7の各色素についてそれぞれ11,73,0.8,0.1であった(いずれも典型値、以下同様)。代案はMSCで発現しているCD105やCD44の標識としてPEやFITCを使用しており、これらの色素は強い蛍光信号を発する。前記したとおり、これらの色素のECDに対する補正係数も大きいため、補正係数を誤って少なめに算定すると、CD105やCD44に基づく強い信号がECDの計測値に対して大きな正の誤差要因となることが判明した。
そこで補正係数の算定誤差の影響を低減すべく工夫したのが本発明第3実施例の発明例4である。すなわち、陰性マーカを計測する検出器として、混色の影響が最も少ないFITC用のFL1を使用した。ちなみにFL1に対する補正係数は、PE,ECD,PC5,PC7についてそれぞれ1,0.5,0.3,0であった。これらの平均値は約0.45であり、前記代案におけるFL3に対する多色素の補正係数の平均値約21.2と比較すると、約1/47と極めて小さく、混色の影響が極めて少ない。同様に算出したFL2,FL4,FL5に関する他の4色素の補正係数の平均値はそれぞれ、6.3,23.3,19.6である。従って、本発明で使用したフローサイトメータの光学系と色素の組合せや感度設定などの条件下においては、目的色素以外の他色素からの混色の影響が最も少ない検出器はFL1であり、その程度は他の検出器を用いる場合と比較して1/14〜1/52である。従ってFL1に対応するFITCを用いて陰性マーカに対する抗体を標識し、FL1を用いて陰性マーカを計測することにより、信号が微弱な陰性マーカの陽性率の計測誤差を劇的に低減でき、陽性率の計測精度を劇的に改善できる、という効果があることが判明した。
一方、4種の陽性マーカの信号強度に注目すると、それらは必ずしも一定ではなく、やや強弱があることが理解される(図19(b)〜(e)参照)。この例では、図19(d)と(e)に示したCD29とCD44の信号が他の2マーカよりやや高い。発明例4は、陰性マーカに割り当てた検出器(FL1)における補正係数が小さい検出器(発明例4の例ではFL5とFL4)を用いて、これらの信号強度がやや高いマーカを計測するように、それらの標識を割り当てた(発明例4の例ではFL5に対応するPC7をCD44に、またFL4に対応するPC5をCD29に割り当てた)。この構成により、信号強度が高い陽性マーカからの混色の影響を最小限にとどめ、陰性マーカの計測精度を改善できる、という効果が得られた。
以上の検討結果に基づいて、発明例4は、陰性マーカであるCD34,CD45,CD14の標識として混色の影響の最も少ない検出器であるFL1に対応するFITCを採用した。また陽性マーカであるCD105,CD166、CD29,CD44の標識にはFL2〜5に対応するPE,ECD,PC5,PC7を採用し、そのうち特に信号強度が高めのCD29とCD44については、陰性マーカの検出器であるFL1に対する補正係数が小さいFL4,FL5に対応するPC5,PC7を採用した。この構成により、陰性マーカの陽性率を高精度に計測できる、という効果が得られた。
前記した方法は現状容易に入手できる試薬、装置を前提に最適化した結果であるが、本発明の基本的な考え方を他の実施形態に適用することも可能である。例えば、発明例4はCD44の無標識抗体を二次抗体−PC7を用いてPC7標識し、またCD166のビオチン化抗体をECD標識のストレプトアビジンを用いてECD標識したが、例えば、あらかじめPC7で標識されたCD44抗体、ECDで標識されたCD166抗体を入手して、それを用いて直接標識による染色を行えば、染色工程を大幅に簡略化できる。発明例4では最短波長の検出器であるFL1に対する他色素からの混色が最も少なかったため、FL1に対する補正係数の平均値が最小であり、陰性マーカをFL1に対応するFITCで標識することが高精度化に有効であった。また発明例4では陰性マーカの検出器の波長から遠い長波長側の検出器に対応する色素を、信号強度が高い陽性マーカに割り当てることが高精度化に有効であった。しかし装置と標識色素の組合せ、感度設定によっては最短波長の検出器に対する補正係数の平均値が必ずしも最小とはならない可能性もあり、また最短波長の検出器に対して長波長側の検出器に対応する色素の補正係数が必ずしも最小とはならない可能性もある。一般には、他の色素からの補正係数の平均値を各検出器について求め、補正係数の平均値が最小となる検出器を陰性マーカ測定用の検出器として選択し、またその陰性マーカの検出器に対する補正係数が小さな色素を発現強度が高い陽性マーカ用の標識として選択することにより、前記したものと同様に高精度化の効果が得られる。
以上に示したように、本実施例は混色の影響の最も少ない検出器に対応する標識を用いて陰性マーカに対する抗体を標識し、またそれ以外の検出器に対応する標識を用いて陽性マーカに対する抗体を標識し、特にその陰性マーカの検出器に対する補正係数が小さな色素を用いて発現強度が高い陽性マーカに対する抗体を標識し、それらを用いて細胞試料を多重染色して測定試料を調製し、測定試料を多色同時に検出することにより、陰性マーカの陽性率等の計測において、混色による誤差を劇的に低減し、信頼性の高い結果を提供できる、という特有の効果がある。
発明例4においては、これらの個々の細胞について同時に多重計測した表面マーカの陽性率の解析に基づいて、さらに、以下のマーカ間の相関関係に関する解析を行うことができた。
4種の陽性マーカ全てが陽性であった細胞は全体の99.45%であった。この値は各陽性マーカを単独で評価した場合におけるそれぞれの陽性率(前記したように、CD105,CD166,CD29,CD44についてそれぞれ99.83%,99.50%,99.90%,99.85%)と比較して概ね低いばかりでなく、単独における陽性率の最小値である99.50%よりも低いことから、4種の陽性マーカ全てが陽性である細胞(以下「陽性合致細胞」という)の集団は、これらのマーカを単独で独立に計測して得られる細胞分画のいずれとも異なる分画であることが理解できる。換言すると、陽性合致細胞分画は4種の陽性マーカを個別に単染色したのでは評価できず、多重染色により4種同時に計測することによって初めて評価可能である。このことは、特に陽性合致細胞分画だけをセルソータなどで分取する場合や、細胞の純度を精密に評価する場合などにおいて重要な意味をもつ。
単独で最も陽性率が低いCD166についてさらに詳細に解析を行った。CD166陽性の細胞の割合は、陽性マーカが4種とも陽性である細胞の割合に近く、換言するとCD166陽性の細胞は他の3種の陽性マーカも陽性である場合が多かった。特にCD166陽性の細胞は、全てCD29も陽性であった。例外的にCD166陽性なものの他の陽性マーカが陰性だった細胞の割合は、CD105陰性が0.025%、CD44陰性が0.025%(細胞数はそれぞれ2個)であった。これらの2種の例外的細胞は重複しておらず、換言するとCD166陽性細胞は3つの分画に分けられ、それぞれの構成比率は以下の通りであった(+は陽性、−は陰性を示し、構成比率はCD166陽性細胞に対する割合を示す)。
分画1:CD166+,CD29+,CD105+,CD44+ 構成比率:99.95%
分画2:CD166+,CD29+,CD105+,CD44− 構成比率:0.025%
分画3:CD166+,CD29+,CD105−,CD44+ 構成比率:0.025%
(それ以外のCD166+,CD29+,CD105−,CD44−分画や、CD166+,CD29−分画は検出されなかった)
もっとも、CD166が陰性でも他の陽性マーカ3種が陽性となる細胞も全体の0.3%強あったことから、真のMSC分画を評価するためには、CD166だけではなく、複数の陽性マーカを個々の細胞について同時に計測して解析する必要がある。発明例4はこの複数マーカの同時計測機能を提供するため、各マーカの発現パターンに応じて分類した細胞分画を詳細に評価解析が行える、という効果がある。
3種の陰性マーカのいずれかが陽性であった細胞は全体の2.55%(図19(a)参照)であったことから、3種の陰性マーカの全てが陰性であった細胞(以下「陰性合致細胞」という)は全体の97.45%であることが理解される。このうち、さらに陽性合致細胞の条件も満たす、すなわち、全マーカについてMSCについて提唱されている細胞表面マーカ発現パターンを示す細胞(以下完全合致細胞)の割合は、全体の96.90%であった。残り0.55%は4種の陽性細胞のいずれかが陰性、すなわちMSCについて提唱されている細胞表面マーカの発現パターンから一部逸脱した細胞である可能性がある。完全合致細胞の割合は、陰性マーカ条件を満たす細胞の割合(97.45%)や、陽性マーカ条件を単独で満たす細胞の割合(99.50%〜99.90%)よりも有意に低い。従って、MSCの7種のマーカを多重染色して同時に計測することにより、この完全合致細胞の分画を、初めて評価解析可能となる、という効果がある。
発明例4により実現される複数マーカの多重計測は、前記したように、ほぼ純粋なMSCの純度評価においてばかりでなく、多様なマーカ発現パターンを示す様々な系統や分化段階の細胞が混在した細胞集団の分画、評価解析やソーティングなどにおいても、有効な手段を提供できるという効果がある。
このように、発明例4によれば、個々の細胞について複数の細胞表面マーカを同時に測定することにより、単に母集団中の個々の細胞表面マーカの陽性率を単独で解析できるばかりでなく、細胞表面マーカ間の相関情報を取得し、高精度の解析を行うことができることを示した。
また、発明例4によれば、母集団が例え不均一であっても、細胞を個々の細胞表面マーカの発現強度の組合せに応じたサブグループに分割してサブポピュレーションを解析したり、細胞表面マーカ間の相関解析を行えるため、高精度の評価解析結果を提供でき、細胞の品質管理を高度化できることを示した。
さらに、発明例4によれば、多重染色における陰性マーカ計測に際し、混色による誤差を回避し、高精度な解析を行えることを示した。
[比較例4]
ここで、図示はしないが、複数の抗体により細胞を同時に染色した場合における比較例4の効果を検証する。前記したように、比較例4は、本発明例とは別の技術である7−AAD染色に従って判別した生細胞集団に関する解析である。
比較例4は、発明例4と類似する測定手順であるが、FL4が7−AADの測定に占有されてしまう点で、発明例4とは大きく異なる。従って、比較例4において、発明例4で用いたものと同じ数(5つ)の蛍光検出器を有するセルアナライザを用いて測定を行うときには、1つの細胞表面マーカ(FL4に対応するCD29)の測定を、他の細胞表面マーカの測定と同時に行うことができない。そこで、前記7種の細胞表面マーカを測定するために、細胞試料を試料1と試料2とに分割して調製し、それぞれの試料に関して以下の組み合わせで染色し、2回に分割して測定を行った。
ここで、試料1はCD34−FITC,CD45−FITC,CD14−FITC,CD105−PE,CD166−ECD,7−AADおよびCD44−PC7による染色の組み合わせであって、試料2はCD29−PEおよび7−AADによる染色の組合せである。
比較例4によれば、測定を2回に分割したため、細胞の必要量や、染色工程や蛍光測定の手間が発明例4の2倍必要であった。さらに、測定を2回に分割したことにより、CD29と、他の細胞表面マーカとについて、同一の細胞について同時に測定値を得ることが不可能であった。従って、比較例4では、CD29と他の細胞表面マーカの相関関係を評価することが不可能であった。
具体的には、比較例4においては、4種の陽性マーカ全てが陽性であった細胞の割合や、4種の陽性マーカ全てが陽性であり、かつ、3種の陰性マーカが陰性であった細胞(完全合致細胞)の割合や、単独で最も陽性率が低いCD166陽性の細胞が全て他の3種の陽性マーカも陽性であるかどうかの考察や、陰性マーカ3種が陰性だった細胞の内の完全合致細胞の割合や、それから逸脱した細胞の割合等に関する解析や考察を行うことができなかった。
さらに、前記した発明例4と比較例4とを比較し、発明例4に特有の効果を以下に示す。
すなわち、発明例4は、細胞の必要量が少なく、染色工程や蛍光測定の手間が少なく、MSCの評価パラメータである7種類の細胞表面マーカを同時に測定でき、細胞表面マーカ間の関連情報を取得でき、細胞表面マーカ間の相関解析を行え、細胞表面マーカの発現の組合せに応じたサブグループに分割してサブポピュレーションを解析できるものである。
第3実施例の結果によれば、本発明を用いることによって、高精度の細胞の測定結果を提供でき、高度な細胞の品質管理を行うことができることを示した。
本発明の精神は前記した実施例の範疇に留まらず、広くフローサイトメトリを用いる幹細胞等を含む細胞の評価解析手法、装置一般に適用される。
本実施形態のフローサイトメータの構成を示すブロック図である。 本実施形態における測定データの記録形式である測定データテーブルである。 二次元散布図作成手段によって作成された二次元散布図であって、(a)は1回目の測定に基づく二次元散布図であって、(b)は2回目の測定に基づく二次元散布図である。 差分規格化細胞密度分布z(x,y)を三次元ヒストグラムで表示した図である。 図4において濃色で示した領域を、x−y平面(区画座標)上に投影した図である。 境界線作成手段が境界線を引くアルゴリズムの一例を説明するための図である。 元の二次元散布図に境界線情報が重畳された図である。 密度差分法を実行する場合のフローサイトメータ1の全体動作を示すフローチャートである。 密度差分法を実行する場合の差分規格化細胞密度分布z(x,y)の算出処理(ステップS30)を詳細に説明するためのフローチャートである。 密度差分法を実行する場合の生死細胞領域の設定処理(ステップS40)を詳細に説明するためのフローチャートである。 MSCを非特異的抗体(IgG1−PE)と7−AADとで染色し、セルソータを用いてFL4チャンネルで測定した結果を、1パラメータヒストグラムで表示したものである。 比較例1における非特異的抗体の染色を示す、FL2(PE)のヒストグラムである。 比較例2における非特異的抗体の染色を示す、FL2(PE)のヒストグラムである。 発明例1における非特異的抗体の染色を示す、FL2(PE)のヒストグラムである。 発明例2における非特異的抗体の染色を示す、FL2(PE)のヒストグラムである。 比較例3−1における特異的抗体の染色を示す、FL1(FITC)のヒストグラムである。 比較例3−2における特異的抗体の染色を示す、FL1(FITC)のヒストグラムである。 発明例3における特異的抗体の染色を示す、FL1(FITC)のヒストグラムである。 発明例4におけるMSCの細胞表面マーカに対する抗体の染色を示すヒストグラムであって、(a)はFL1(FITC)、(b)はFL2(PE)、(c)はFL3(ECD)、(d)はFL4(PC5)、(e)はFL5(PC7)に関するヒストグラムである。
符号の説明
1 フローサイトメータ
2 測定装置
3 測定データDB(記憶手段)
4 細胞生死判別装置
5 前方散乱光検出器(第1の散乱光検出器)
6 側方散乱光検出器(第2の散乱光検出器)
7 蛍光検出器
8 二次元散布図作成手段(相関図作成手段)
9 差分規格化細胞密度分布算出手段(差分情報算出手段)
10 二次元散布図区画化手段
11 規格化細胞密度分布算出手段
12 差分算出手段
13 平滑化手段
14 生死細胞領域設定手段
15 閾値比較手段
16 境界線作成手段
17 境界線重畳処理手段
18 測定データ抜粋手段
100,200 測定データテーブル
110,210 二次元散布図(相関図)

Claims (15)

  1. 少なくとも、第1の散乱光を検出する第1の散乱光検出器と、第2の散乱光を検出する第2の散乱光検出器と、蛍光を検出する蛍光検出器とを有し、フローサイトメトリの原理に基づいて、細胞からの散乱光と蛍光を検出するフローサイトメータであって、
    前記第1の散乱光の測定データと前記第2の散乱光の測定データを記憶手段から取得して相関図を作成する相関図作成手段と、
    前記相関図作成手段によって作成された2つ以上の前記相関図間の密度の差分情報を算出する差分情報算出手段と、
    前記差分情報を閾値と比較することによって、前記差分情報から密度の増加領域と密度の減少領域とを抽出する閾値比較手段と、
    前記増加領域と前記減少領域とを分画する境界線を作成する境界線作成手段と、
    前記境界線を前記相関図に重畳することによって前記相関図を分画し、前記相関図において前記増加領域に対応する死細胞領域と前記減少領域に対応する生細胞領域の少なくともいずれか1つの領域の設定を行う境界線重畳処理手段と、
    前記生細胞領域と前記死細胞領域の少なくともいずれか1つの領域に含まれる細胞の測定データを抜粋する測定データ抜粋手段、
    とを備えたことを特徴とするフローサイトメータ。
  2. 前記測定データ抜粋手段により抜粋される細胞の測定データは、蛍光の測定データであることを特徴とする請求項1に記載のフローサイトメータ。
  3. 前記第1の散乱光および前記第2の散乱光は、前方散乱光および側方散乱光であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のフローサイトメータ。
  4. 前記相関図は、二次元散布図であることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載のフローサイトメータ。
  5. 少なくとも、第1の散乱光を検出する第1の散乱光検出器と、第2の散乱光を検出する第2の散乱光検出器と、蛍光を検出する蛍光検出器とを有し、フローサイトメトリの原理に基づいて、前記細胞からの散乱光と蛍光を検出するフローサイトメータを用いた細胞の解析方法であって、
    1回目の測定に基づく前記第1の散乱光の測定データと前記第2の散乱光の測定データを記憶手段から取得して第1の相関図を作成するステップと、
    2回目の測定に基づく前記第1の散乱光の測定データと前記第2の散乱光の測定データを記憶手段から取得して第2の相関図を作成するステップと、
    前記第1の相関図と前記第2の相関図間の密度の差分情報を算出するステップと、
    前記差分情報を閾値と比較することによって、前記差分情報から密度の増加領域と密度の減少領域とを抽出するステップと、
    前記増加領域と前記減少領域とを分画する境界線を作成するステップと、
    前記境界線を前記相関図に重畳することによって前記相関図を分画し、前記相関図において前記増加領域に対応する死細胞領域と前記減少領域に対応する生細胞領域の少なくともいずれか1つの領域の設定を行うステップと、
    前記生細胞領域と前記死細胞領域の少なくともいずれか1つの領域に含まれる細胞の測定データを抜粋するステップと、
    を含むことを特徴とするフローサイトメータを用いた細胞の解析方法。
  6. 前記測定データ抜粋手段により抜粋される細胞の測定データは、蛍光の測定データであることを特徴とする請求項5に記載のフローサイトメータを用いた細胞の解析方法。
  7. 前記第1の散乱光および前記第2の散乱光は、前方散乱光および側方散乱光であることを特徴とする請求項5または請求項6に記載のフローサイトメータを用いた細胞の解析方法。
  8. 前記相関図は、二次元散布図であることを特徴とする請求項5ないし請求項7のいずれか1項に記載のフローサイトメータを用いた細胞の解析方法。
  9. 前記蛍光は前記細胞のマーカに特異的な抗体と、蛍光体とを含む複合体からの蛍光であり、
    前記抗体と前記蛍光体の組み合わせを複数用いて、
    前記蛍光の測定は、複数の前記マーカに対応する複数の前記蛍光を、複数の前記蛍光検出器を用いて同時に測定するものであり、
    前記細胞における発現量が少ない前記マーカを、分光干渉が平均で最も少ない前記蛍光検出器に対応する前記蛍光体で標識した前記抗体を用いて計測すること
    を特徴とする請求項5ないし請求項8のいずれか1項に記載のフローサイトメータを用いた細胞の解析方法。
  10. 少なくとも、第1の散乱光を検出する第1の散乱光検出器と、第2の散乱光を検出する第2の散乱光検出器と、蛍光を検出する蛍光検出器と、コンピュータとを有し、フローサイトメトリの原理に基づいて、前記細胞からの散乱光と蛍光を検出するフローサイトメータによって測定された測定データに基づいて、細胞の解析を行うプログラムであって、前記コンピュータを、
    前記第1の散乱光の測定データと前記第2の散乱光の測定データとを記憶手段から読み出して相関図を作成する相関図作成手段と、
    前記相関図作成手段によって作成された2つ以上の前記相関図間の密度の差分情報を算出する差分情報算出手段と、
    前記差分情報を閾値と比較することによって、前記差分情報から密度の増加領域と密度の減少領域とを抽出する閾値比較手段と、
    前記増加領域と前記減少領域とを分画する境界線を作成する境界線作成手段と、
    前記境界線を前記相関図に重畳することによって前記相関図を分画し、前記相関図において前記増加領域に対応する死細胞領域と前記減少領域に対応する生細胞領域の少なくともいずれか1つの領域の設定を行う境界線重畳処理手段と、
    前記生細胞領域と前記死細胞領域の少なくともいずれか1つの領域に含まれる細胞の測定データを抜粋する測定データ抜粋手段、
    として機能させることを特徴とする細胞解析プログラム。
  11. 前記測定データ抜粋手段により抜粋される細胞の測定データは、蛍光の測定データであることを特徴とする請求項10に記載の細胞解析プログラム。
  12. 前記第1の散乱光および前記第2の散乱光は、前方散乱光および側方散乱光であることを特徴とする請求項10または請求項11に記載の細胞解析プログラム。
  13. 前記相関図は、二次元散布図であることを特徴とする請求項10ないし請求項12のいずれか1項に記載の細胞解析プログラム。
  14. 請求項2ないし請求項4のいずれか1項に記載のフローサイトメータにおいて、当該フローサイトメータが備える蛍光検出器の感度設定方法であって、
    前記細胞は、蛍光標識された非特異的抗体により染色されてなり、
    前記測定データ抜粋手段により抜粋される生細胞領域に含まれる前記細胞の蛍光データに基づいて行うことを特徴とする蛍光検出器の感度設定方法。
  15. 請求項2ないし請求項4のいずれか1項に記載のフローサイトメータにおいて、当該フローサイトメータを用いた陽性率判定法における基準ゲートの設定方法であって、
    前記細胞は、蛍光標識された非特異的抗体により染色されてなり、
    前記測定データ抜粋手段により抜粋される生細胞領域に含まれる前記細胞の蛍光データに基づいて行うことを特徴とする陽性率判定法における基準ゲートの設定方法。
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