JP2006225939A - 建築物開口の開閉機構、およびそれ用のレール - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 建具2下框22には、その全長に渡る下面室内側ISおよび/または室外側OSに、同建具2で建築物開口4を閉鎖状としない位置に限って敷居43上面との間に僅かな隙間33を残すよう弾性シール材部3,3を装着する一方、同建具2で建築物開口4を閉鎖状配置としたときに各戸車25,25が位置することとなる当該レール5上側所定箇所の夫々に、前記弾性シール材部3,3下端縁を敷居43上面に当接状とするに足る深さの沈降用切除部51,51を形成してなる建築物開口の開閉機構である。
【選択図】 図1
Description
我が国で施工されている建築物の木製窓やその他の木製引戸類は、一般に建築物開口の上部に設けられた鴨居と下部に設けられた敷居との両端に縦設された左右縦枠間に、一枚もしくは複数枚の建具をスライド移動可能に装着することによって開閉可能としており、特に摺動操作性を高める目的から敷居上面にレールを敷設し、窓や引戸等の建具下框下面の左右端側となる夫々適所に、該レール上を転動可能とする戸車を装着することによって円滑な開閉操作を実現できるようにしているものが殆どである。
したがって、従前からこのような弊害について建物開口そのものに工夫を凝らすようにした提案は全くといっていい程見い出すことができず、辛うじて、例えば特開2000−170451号公報にそれに近い目的も一つの目的としているかのように思える構成の「引戸式サッシ構造」発明が開示されていて、それは、下枠体が形棒状の中空枠体であって、その室内側の側壁をやや高くし、上端面の両円弧断面軌道底部に多数の水落し口を開設し、且つ水落し口下方の下枠体の外側壁に複数の排水口を開設して、雨水が室内に進入するのを防止しようとしたものとしたものであるが、この事例に代表されるような建具内部に排水路を形成し、入ってきた雨水をそこから排出するようにしただけのものでは、敷居構造が複雑になって製造が煩雑になると共に、取扱いにも注意を要する上、何よりも風の侵入には全く対応できないという大きな欠点があり、この欠点については、精度の良い押し出し成型やプレス加工成型されるサッシにおいても対応しきれておらず、ましてや住環境や質感等を重視して汎用される木製建具に至っては、これまでのところそれら欠点を顧みられることはなかった。
この発明は、以上のようにアルミニウム等の成型性に秀れていて高精度の金属サッシや、必ずしもそうではない伝統的な木製建具について、これまでのところ、複雑な排水構造を設けて台風や大雨等による雨水を効率的に排水し室内に浸入するのを防止しようとする技術程度しか提案がなく、このような従前からの構造によるものでは、下框と敷居との間の隙間を通り抜ける隙間風は勿論のこと、それに伴って吹き込む雨水や粉雪等についても充分に阻止できるものとはなっておらず、したがって、特に寒冷地の冬期間地吹雪に曝されるような過酷な条件下の建物等においては、これまでのところ、建具を含む建物開口機構について有効な手立てがないまま等閑にされてきていたため、それら隙間風や雨雪侵入防止対策としては、結局のところ、下框と敷居との隙間をガムテープなどを使って目貼りしたり、タオルや雑巾等を当てがうという原始的な対策で推移してきたことから、こうした実情に対処して建築物開口の新たな開閉機構について実現化することはできないものかと考えるに至った。
そこで、この発明は、敷居や下框の構造をできるだけ複雑化することなく、台風等による風雨や厳冬期における強烈な地吹雪等に曝されたとしても、室内側に雨水や粉雪は固よりのこと、隙間風も極力阻止してしまうことができ、更には、室内においても幾つもの部屋が襖や障子、ガラス戸などといった引き違い戸または引き戸によって仕切られている構造による開口での音や空調の漏れを防止し得るようにした新たな開閉機構の開発、研究に逸速く着手し、長期に渡る試行錯誤と幾多の試作、実験とを繰り返してきた結果、今回、遂に新規な構造の建築物開口の開閉機構、およびそれ用の新規なレールを実現化することに成功したものであり、以下では、図面に示すこの発明を代表する実施例と共に、その構成を詳述することとする。
図面に示すこの発明を代表する実施例からも明確に理解されるように、この発明に包含される建築物開口の開閉機構は、基本的に次のような構成から成り立っている。
即ち、下框下面所定箇所に戸車を組み込んでなる建具が敷居上面に敷設してあるレールを軌道として水平移動可能に建て付けてある建築物開口の開閉構造であって、当該建具下框には、その全長に渡る下面室内側および/または室外側に、同建具で建築物開口を閉鎖状としない位置に限って敷居上面との間に僅かな隙間を残すよう下向き突出状として弾性シール材部を装着する一方、同建具で建築物開口を閉鎖状としたときに各戸車が位置することとなる当該レール上側所定箇所の夫々に、前記弾性シール材部下端縁を敷居上面に当接状とするに足るだけの深さに設定した沈降用切除部を形成してなるものとした構成を要旨とする建築物開口の開閉機構である。
そして、上記したこの発明の基本をなす建築物開口の開閉機構に関連し、この発明はそれ用のレールも包含しており、その基本的構成について示すと次ぎのとおりのものとなる。
即ち、上記したこの発明における建具で建築物開口を閉鎖状としたときに、当該建具下框下面所定箇所に組み込まれている戸車が位置することとなる上側所定箇所が、同建具下框下面に装着してある弾性シール材部下端縁を敷居上面に当接状とするに足るだけの深さ寸法とした沈降用切除部に形成してなる構成としたこの発明の建築物開口の開閉機構に使用するレールである。
建具は、装着の対象となる建築物開口の一部または全部を開閉可能とするものであって、一枚もしくは複数枚によって建築物開口を開閉可能とする引き違い式または引き戸式の開閉機構に限って採用されるものであり、上下框および左右縦框からなり、必要に応じて中桟あるいは組子等を設けた枠状体に板ガラス、平板、障子紙等を、気密状または水密状に嵌め込みもしくは張着、貼付け等したものとしなければならず、建築物外側に面する開口に装着される場合には、その略全面が防水機能を有するものとすべきであり、上下框および左右縦框を桧やマホガニー等の木製、あるいはアルミニウムや鉄等の金属製のものとすることが可能であり、一層のガラスを装着したものや複層ガラスを装着したもの、透明か不透明かの何れかのポリカーボネートやアクリル等の比較的硬質な合成樹脂板や金属もしくは木製等の平板を装着したもの、あるいは障子紙や透明または不透明な樹脂フィルム、またはそれらの複合シート状材を張着したもの等それら構造が限定されるものではなく、さらに複数組の建具自体を室内外側に二重配置とした二重サッシ構造としたものでも差し支えはない。
以下では、図面に示すこの発明を代表する実施例と共に、その構造について詳述することとする。
また、建具2の開閉スライド方向中、閉鎖方向の最先端に位置する戸車25が、建具2を閉鎖させたときに対応する丸甲レール5の沈降用切除部51は、図6中に示すように、建具2を開放スライド方向に移動させる際に戸車25が転動する範囲にのみ、円滑誘導用切除部52を形成したものとすることが可能である。
以上のとおりの構成からなるこの発明の建築物開口4の開閉機構1は、室外側OS(室内側IS)の建具2が、建築物開口4を開放する配置状態にあるときには、図1中に示すように、丸甲レール5の高さ寸法が、建具2下框22下面に装着された各弾性シール材部3,3の縦寸法よりも大きいので、密閉用リップ部32,32下向き端と敷居43上面との間に2mm程度の僅かな隙間33が自動的に確保され、建具2を開閉する際に弾性シール材部3,3が敷居43上面に接触するのを阻止するものとなる。
円滑誘導用切除部52は、建具2の閉鎖方向の最先端に位置する戸車25が対応するものを、図6中に示したように、左右何れか片側のみに形成したものとすることで、製造工程を簡略化すると共に建具2を閉鎖する際に戸車25の車止めの作用を得るものとなる。
以上のような構成からなる実施例の建築物開口4の開閉機構1は、前記この発明の効果の項で記載の特徴に加え、建具2下框22下面の戸車25,25の室内側ISおよび室外側OSの夫々に密閉用リップ部32を下方室外側OSに向けて湾曲、傾斜状に突設した弾性シール材部3,3を装着したことにより、建具2を建築物開口4の閉鎖状配置としたときに、丸甲レール5を挟む室内側ISおよび室外側OSで二重の防水構造を形成するものとなり、しかも各密閉用リップ部32,32が、室外側OSからの強風を受けたときに、それらの先端がより強く敷居43の上面に押し当てられ、密閉強度を高めるものとなって高い防水効果を得ることができるので、台風や吹雪等の強風を伴う風雨雪の浸入を防ぐのに非常に有利になるという利点を得られることになる。
叙述の如く、この発明の建築物開口の開閉機構、およびそれ用のレールは、その新規な構成によって所期の目的を遍く達成可能とするものであり、しかも従来型建具のように複雑な排水構造を有する敷居を設ける必要がなく、比較的簡素な構造からなるため製造も容易で、遥かに低廉で経済的なものとすることができ、木製サッシから金属製サッシに至る様々な引戸に幅広く採用することができる上、外壁開口に留まらず室内壁開口の引戸にも防音用設備や空調用設備等として自由な応用が可能なことから、建具隙間からの風雨雪や騒音、塵埃等の浸入に悩む建築物利用者や、建築、内外装、建具業界等において高く評価され、広範に渡って利用、普及していくものになると予想される。
2 建具
21 同 上框
22 同 下框
23 同 縦框
24 同 複層ガラス
25 同 戸車
3 弾性シール材部
31 同 帯状ベース部
32 同 密閉用リップ部
33 同 僅かな隙間
4 建築物開口
41 同 鴨居
42 同 凹型レール
43 同 敷居
44 同 縦枠
45 同 外装板
5 丸甲レール(レール)
51 同 沈降用切除部
52 同 円滑誘導用切除部
IS 室内側
OS 室外側
Claims (8)
- 下框下面所定箇所に戸車を組み込んでなる建具が敷居上面に敷設してあるレールを軌道として水平移動可能に建て付けてある建築物開口の開閉構造であって、当該建具下框には、その全長に渡る下面室内側および/または室外側に、同建具で建築物開口を閉鎖状としない位置に限って敷居上面との間に僅かな隙間を残すよう下向き突出状として弾性シール材部を装着する一方、同建具で建築物開口を閉鎖状としたときに各戸車が位置することとなる当該レール上側所定箇所の夫々に、前記弾性シール材部下端縁を敷居上面に当接状とするに足るだけの深さに設定した沈降用切除部を形成してなるものとしたことを特徴とする建築物開口の開閉機構。
- 下框下面所定箇所に戸車を組み込んでなる建具が敷居上面に敷設してあるレールを軌道として水平移動可能に建て付けてある建築物開口の開閉構造であって、当該建具下框には、その全長に渡る下面室内側および/または室外側に、同建具で建築物開口を閉鎖状としない位置に限って敷居上面との間に僅かな隙間を残すよう下向き突出状として弾性シール材部を装着する一方、同建具で建築物開口を閉鎖状としたときに各戸車が位置することとなる当該レール上側所定箇所の夫々に、前記弾性シール材部下端縁を敷居上面に当接状とするに足るだけの深さに設定した沈降用切除部を形成してなるものとし、建築物開口を閉鎖状または閉鎖状に近い所定範囲内に位置する状態の建具では、同下框と敷居上面との間を弾性シール材部が閉鎖状としてしまい、それ以外に位置する状態の建具では、弾性シール材部に係らずレールを軌道とした水平移動が円滑に実施され得るようにしたことを特徴とする建築物開口の開閉機構。
- 下框下面左右端側付近2箇所の夫々に戸車を組み込んでなる建具が敷居上面に敷設してある凸条レールを軌道として水平移動可能に建て付けてある建築物開口の開閉構造であって、当該建具下框には、その全長に渡る下面室内側および/または室外側に、同建具で建築物開口を閉鎖状としない位置に限って敷居上面との間に僅かな隙間を残すよう下向き突出状として弾性シール材部を装着する一方、同建具で建築物開口を閉鎖状としたときに各戸車が位置することとなる当該凸条レール上側2箇所の夫々に、前記弾性シール材部下端縁を敷居上面に当接状とするに足るだけの深さに設定した沈降用切除部を形成してなるものとしたことを特徴とする建築物開口の開閉機構。
- 沈降用切除部は、建具で建築物開口を閉鎖状配置としたときに各戸車が位置することとなる当該レール上側所定箇所の夫々に、前記弾性シール材部下端縁を敷居上面に当接状とするに足るだけの深さに設定した上、その所定箇所からスライド方向左右の所定巾範囲に渡り、段差を設けずに当該所定箇所から遠ざかるに従って漸次浅くなる滑らかな連続面とした円滑誘導用切除部に形成してなるものとした、請求項1ないし3何れか一項記載の建築物開口の開閉機構。
- 沈降用切除部は、建具で建築物開口を閉鎖状配置としたときに各戸車が位置することとなる当該レール上側所定箇所の夫々に、前記弾性シール材部下端縁を敷居上面に当接状とするに足るだけの深さに設定した上、建具開閉の際に当該所定箇所から戸車通過範囲に相当する部分は、そのスライド方向左右双方の所定巾範囲に、また、建具閉鎖移動方向の最先端配置となる戸車に対応する部分だけは、戸車の走行範囲に相当する左右何れか一方だけの所定巾範囲に、夫々段差を設けずに当該所定箇所から遠ざかるに従って漸次浅くなる滑らかな連続面とした円滑誘導用切除部に形成してなるものとした、請求項1ないし3何れか一項記載の建築物開口の開閉機構。
- 上記請求項何れかにおける建具で建築物開口を閉鎖状としたときに、当該建具下框下面所定箇所に組み込まれている戸車が位置することとなる上側所定箇所が、同建具下框下面に装着してある弾性シール材部下端縁を敷居上面に当接状とするに足るだけの深さ寸法とした沈降用切除部に形成してなるものとした、請求項1ないし5何れか一項記載の建築物開口の開閉機構に使用するレール。
- 上記請求項何れかにおける建具で建築物開口を閉鎖状としたときに、当該建具下框下面所定箇所に組み込まれている戸車が位置することとなる上側所定箇所が、同建具下框下面に装着してある弾性シール材部下端縁を敷居上面に当接状とするに足るだけの深さ寸法とした沈降用切除部に形成した上、その所定箇所からスライド方向左右の所定巾範囲に渡り、段差を設けずに当該所定箇所から遠ざかるに従って漸次浅くなる滑らかな連続面とした円滑誘導用切除部に形成してなるものとした、請求項1ないし5何れか一項記載の建築物開口の開閉機構に使用するレール。
- 上記請求項何れかにおける建具で建築物開口を閉鎖状配置としたときに、当該建具下框下面所定箇所に組み込まれている戸車が位置することとなる上側所定箇所が、同建具下框下面に装着してある弾性シール材部下端縁を敷居上面に当接状とするに足るだけの深さ寸法とした沈降用切除部に形成した上、建具開閉の際に当該所定箇所から戸車通過範囲に相当する部分は、そのスライド方向左右双方の所定巾範囲に、また、建具閉鎖移動方向の最先端配置となる戸車に対応する部分だけは、戸車の走行範囲に相当する左右何れか一方だけの所定巾範囲に、夫々段差を設けずに当該所定箇所から遠ざかるに従って漸次浅くなる滑らかな連続面とした円滑誘導用切除部に形成したものとしてなる、請求項1ないし5何れか一項記載の建築物開口の開閉機構に使用するレール。
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