JP2006225364A - ヒアルロン酸−マンガン含有スーパーオキシドジスムターゼ結合体およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】ヒアルロン酸の分解を防止できると共に、生体半減期が著しく延長された優れた抗炎症剤を提供すること。
【解決手段】 高分子ヒアルロン酸と、特にヒト型MnSODを化学的に結合させることによって高分子ヒアルロン酸−ヒト型MnSOD結合体を得ることができる。この高分子ヒアルロン酸−ヒト型MnSOD結合体は、活性酸素によるヒアルロン酸の分解を防ぎ、ヒアルロン酸の薬効をさらに助長することによって両剤の本来示す薬効が相乗的に発現し得る優れた抗炎症剤を提供することができる。
【選択図】 なし
【解決手段】 高分子ヒアルロン酸と、特にヒト型MnSODを化学的に結合させることによって高分子ヒアルロン酸−ヒト型MnSOD結合体を得ることができる。この高分子ヒアルロン酸−ヒト型MnSOD結合体は、活性酸素によるヒアルロン酸の分解を防ぎ、ヒアルロン酸の薬効をさらに助長することによって両剤の本来示す薬効が相乗的に発現し得る優れた抗炎症剤を提供することができる。
【選択図】 なし
Description
本発明は、高分子ヒアルロン酸にヒト型マンガン含有スーパーオキシドジスムターゼ(SOD)を結合したヒアルロン酸−マンガンSOD結合体およびその製造方法に関するものである。この発明に係るマンガンSOD−ヒアルロン酸結合体は、抗炎症作用を持つ高分子ヒアルロン酸と、活性酸素(O2 −)を消去するヒト型マンガン含有SODとを結合した結合体であるところから、変形性関節炎、慢性関節リュウマチなどの炎症治療に応用することができ極めて有用である。
ヒアルロン酸は、D−グルクロン酸とN−アセチルグルコサミンとが交互に結合した直鎖状の高分子多糖であって、哺乳動物のあらゆる結合組織に存在する分子量が数万から数百万とされている生体内多糖である。ヒアルロン酸は、関節液を構成する主成分として、関節液の粘弾性、荷重吸収作用および潤滑作用の保持に重要な働きを果たしている。このようなヒアルロン酸の特徴である高保湿性、高粘弾性、高潤滑性などの優れた性質を利用して、ヒアルロン酸は、化粧品の保湿剤として、また各種関節炎治療用薬剤や眼科手術補助剤等の医療分野においても幅広く利用されている(特許文献1、2)。
ヒアルロン酸は、軟骨の保護ならびに治癒促進を目的とした薬剤であって、その適応が膝の軟骨に障害を有する変形性膝関節症であり、炎症症状の弱い症例には効果的である。しかしながら、ヒアルロン酸は、炎症が強い疾患である慢性関節リウマチに対しては効果がなく、抗炎症効果は弱い薬剤である。
関節炎やリュウマチなどの疾患の炎症部位では、多くの白血球が侵潤集合して活性酸素(O2 −)を分泌し、ヒアルロン酸がその活性酸素により分解され組織が破壊され、潤滑液の流動性ならびに粘弾性が著しく低下している(非特許文献1)。従って、ヒアルロン酸は、慢性関節リウマチなどの強い炎症によって分解される恐れがあるところから、ヒアルロン酸のみでは慢性関節リウマチなどの炎症が強い疾患に適用するのは困難と考えられている。そこで、ヒアルロン酸を強い炎症を発症する炎症疾患に適用できるようにするには、ヒアルロン酸の分解を防止したり、または抗炎症効果を付与することが必要である。
関節炎やリュウマチなどの疾患の炎症部位では、多くの白血球が侵潤集合して活性酸素(O2 −)を分泌し、ヒアルロン酸がその活性酸素により分解され組織が破壊され、潤滑液の流動性ならびに粘弾性が著しく低下している(非特許文献1)。従って、ヒアルロン酸は、慢性関節リウマチなどの強い炎症によって分解される恐れがあるところから、ヒアルロン酸のみでは慢性関節リウマチなどの炎症が強い疾患に適用するのは困難と考えられている。そこで、ヒアルロン酸を強い炎症を発症する炎症疾患に適用できるようにするには、ヒアルロン酸の分解を防止したり、または抗炎症効果を付与することが必要である。
一方、スーパーオキシドジムスターゼ(SOD)は、生体内で酸素毒性を示す活性酸素を分解する酵素であって、炎症の際に活性酸素により引き起こされる損傷に対する防御作用を有すると考えられている。スーパーオキシドジムスターゼ(SOD)は、そのキレート金属分子の種類によって、Cu−ZnSOD、MnSOD、FeSODの3種類が知られている。このうち、Cu−ZnSODはヒトや動物などの真核生物の細胞質内に主に存在し、MnSODはミトコンドリアに存在している。また、バクテリアなどの原核生物の細胞にはMnSODとFeSODとが分布している(特許文献3)。
かかるSODの作用は、その成分である銅と亜鉛とが、その内因性活性酸素の毒作用から細胞を保護することから生じていると考えられている。リウマチ様関節炎は、亜鉛の欠乏が関連していることが報告されている(非特許文献2)。同様に、銅濃度の変化が関節炎の患者に観察されていて、銅ベースの化合物がリウマチ様関節炎の治療に使用されている(非特許文献2)。
かかるSODの作用は、その成分である銅と亜鉛とが、その内因性活性酸素の毒作用から細胞を保護することから生じていると考えられている。リウマチ様関節炎は、亜鉛の欠乏が関連していることが報告されている(非特許文献2)。同様に、銅濃度の変化が関節炎の患者に観察されていて、銅ベースの化合物がリウマチ様関節炎の治療に使用されている(非特許文献2)。
しかし、従来、SODとしては、ウシ肝臓や赤血球などの動物の各種組織や臓器から抽出したものが使用されてきた。しかしながら、このように調製されたSODは、人体にとって異種タンパク質であることから、当然のことながら、ヒトの疾患治療に使用することはアナフィラクシーなどの免疫上の問題を惹起する恐れがあり好ましくない。一方、免疫上の問題を避けるためにヒト細胞からSODを精製して調製しようとしても、原料となるヒト細胞を大量に集めることは不可能であり、実用的ではない。
そこで、ヒト型SODを遺伝子操作で調製する方法が報告されている(特許文献4)。この文献には、ヒト型Cu−ZnSOD(hCu−ZnSOD)の遺伝操作による製造方法が記載されている。一方、ヒト型MnSOD(hMnSOD)の遺伝子操作による製造方法も報告されている。さらに、この文献には、hMnSODは、hCu−ZnSODに比べて体内半減期が約10倍長く、またSODの代謝産物である過酸化水素に対しては、hCu−ZnSODが感受性を有しているのに対して、hMnSODは耐性であり、優れた作用効果を有していると報告されている。このように活性酸素を分解消去することが可能な酵素であるヒト型マンガンスーパーオキシドジスムターゼ(hMnSOD)が投与できれば、ヒアルロン酸の分解を防止することができる(特許文献5)。
したがって、ヒアルロン酸にSODを組み合わせると、活性酸素によるヒアルロン酸の分解を防止することができるとともに、軟骨、滑膜組織に対する親和性、体内滞留時間の延長などの性質を付与することができるとともに、かかる化合物は、生体内の酸素分子から発生した活性酸素による組織障害の治療に有用であると考えられる。かかる観点から、ヒアルロン酸で修飾したCu−Zn型スーパーオキシドジムスターゼ(Cu−ZnSOD)とを結合した結合体(特許文献6)、ヒアルロン酸等のグリコサミノグリカンで修飾されたCu−ZnSOD(特許文献7)が報告されている。これらのCu−ZnSODはいずれも体内半減期が短く、かつSODの代謝産物である過酸化水素に対して感受性を有しているものと推測できる。したがって、体内半減期が長くかつSODの代謝産物である過酸化水素に対して耐性である薬剤が要望されている。
WO99/59603号公報 WO2002/072860号公報 特開昭59−91881号公報 特開昭61−111690号公報 特許第3598322号 特開平2−231078号公報 特開平2−273176号公報 Greenwald,RA.et al.:Inflammation,10,15−30,1986 Frigo,A.,et al.:Copper and Zinc in Inflammation,Inflammation And Drug Therapy Series,Vol.IV,Kluwer Academic Publishers,pp.133−142,1989
Denko,C.W.:Ibid,pp.1−5,1989
そこで、本発明者は、Cu−ZnSODに比べて体内半減期が長くかつSODの代謝産物である過酸化水素に対して耐性であるヒト型MnSOD(humanMn−SOD、以下hMnSODという)を用いてヒアルロン酸修飾結合体を作製し、その作用効果を検討した結果、得られた結合体は、ヒアルロン酸の組織保護作用とMnSODの抗炎症作用とが相乗的に生体内で作用することを見出して、本発明を完成するに到った。
従って、本発明の目的は、組織、特に関節の保護と正常な機能の保持に必要なヒアルロン酸とこれを分解する活性酸素を除去出来る酵素(MnSOD)を結合させることによって得られた優れた抗炎症剤を提供するものである。
前記の問題点を解決するために、本発明は、ヒアルロン酸とhMn−SODとを一定の割合で結合させたヒアルロン酸−hMn−SOD結合体を提供する。
また、この発明は、ヒアルロン酸とhMn−SODとの両者の薬剤としての特徴を併せ持ち、その特徴をさらに効果的に発揮せしめた新規な抗炎症剤を提供する。
また、この発明は、ヒアルロン酸とhMn−SODとの両者の薬剤としての特徴を併せ持ち、その特徴をさらに効果的に発揮せしめた新規な抗炎症剤を提供する。
以下、本発明について詳しく説明する。
本発明のヒアルロン酸−MnSOD結合物は、高分子の多糖類であるヒアルロン酸に遺伝子操作技術によって製造されたヒト型MnSODを化学的に結合して得られたものであり、ヒアルロン酸の示す組織保護作用とMnSODの持つ抗炎症作用とがともに相乗的に効果を示したものである。
本発明のヒアルロン酸−MnSOD結合物は、高分子の多糖類であるヒアルロン酸に遺伝子操作技術によって製造されたヒト型MnSODを化学的に結合して得られたものであり、ヒアルロン酸の示す組織保護作用とMnSODの持つ抗炎症作用とがともに相乗的に効果を示したものである。
本発明のヒアルロン酸・SOD結合物の作製に用いるヒアルロン酸としては、分子量が約50万〜300万、好ましくは約80万〜150万程度の高分子のヒアルロン酸が好ましい。また本発明に使用できるヒアルロン酸は、いずれの由来のものであってもよく、当該技術分野において公知の方法、例えば、連鎖球菌培養法、ニワトリのとさかからの抽出法などの公知の方法によって製造することができる。
一方、本発明に使用するマンガン型スーパーオキシドジムスターゼ(Mn−SOD)は、CuZnを含むCuZn−SODに比べて、活性酸素に対して耐性であると共に、体内半減期が極めて長くそれ自体として薬効的に優れている。なお、活性酸素に対する耐性という点では、Mn−SODとCuZn−SODとは類似であるけれども、Mn−SODは、SODの代謝産物である過酸化水素(H2O2)に対して耐性であるのに対して、CuZn−SODは感受性である。また、本発明に使用するMnSODとしては、ヒト型MnSODが免疫学的見地からしても特に好ましい。
本発明に使用するhMn−SODは、当該技術分野において公知の遺伝子操作技術によって大量にかつ安定的に製造することができる(例えば、特許文献5)。
本発明に使用するhMn−SODは、当該技術分野において公知の遺伝子操作技術によって大量にかつ安定的に製造することができる(例えば、特許文献5)。
本発明に係るヒアルロン酸−MnSOD結合体は、性能の異なる高分子多糖類と酵素MnSODをそれぞれの持つアミノ基、カルボキシル基あるいは水酸基などの官能基を利用して両者の活性を保持できる条件の下で結合させたものである。
本発明のヒアルロン酸−MnSOD結合体の製造方法としては、例えば、(1)高分子ヒアルロン酸のカルボキシル基をN−ヒドロキシコハク酸とジサイクロヘキシルカルボキシイミドを用いてエステルを導入し、これをSODのアミノ基に結合させることによって結合体を作製させる方法、(2)ヒアルロン酸の水酸基に塩化シアヌルを反応させた後、これをそのトリアジン環を介してMnSODのアミノ基に結合させることによって結合体を作製する方法、(3)高分子ヒアルロン酸の水酸基に無水コハク酸を用いてカルボキシル基を導入し、さらにそのカルボキシル基をN−ヒドロキシコハク酸とジサイクロヘキシルカルボジイミドとを用いてエステルを導入し、これをMn−SODのアミノ基に結合させる製造法などが使用できる。
本発明のヒアルロン酸−MnSOD結合体の製造方法としては、例えば、(1)高分子ヒアルロン酸のカルボキシル基をN−ヒドロキシコハク酸とジサイクロヘキシルカルボキシイミドを用いてエステルを導入し、これをSODのアミノ基に結合させることによって結合体を作製させる方法、(2)ヒアルロン酸の水酸基に塩化シアヌルを反応させた後、これをそのトリアジン環を介してMnSODのアミノ基に結合させることによって結合体を作製する方法、(3)高分子ヒアルロン酸の水酸基に無水コハク酸を用いてカルボキシル基を導入し、さらにそのカルボキシル基をN−ヒドロキシコハク酸とジサイクロヘキシルカルボジイミドとを用いてエステルを導入し、これをMn−SODのアミノ基に結合させる製造法などが使用できる。
本発明のヒアルロン酸−MnSOD結合体についてヒアルロン酸とMnSODの重量比を各種検討したところ、ヒアルロン酸とMnSODの重量比は、約1000:1〜1000:100(ヒアルロン酸:MnSOD)の範囲が適当であり、適用疾患によって最適剤型を選択することが好ましい。
以下、本発明を実施例をもって説明する。なお、これらの実施例は、本発明を例示するためだけのものであって、本発明の範囲を限定するものではない。
本発明の実施例中で示したMnSODの活性測定は、McCordとFridovich(J,B,C,1983)に従って実施した。
本発明の実施例中で示したMnSODの活性測定は、McCordとFridovich(J,B,C,1983)に従って実施した。
高分子量(50万から100万)のヒアルロン酸500mgを10mlの水溶液に溶解した。この溶液に塩化シアヌル液を0.1Nの水酸化ナトリウムを用いてpH8〜10に保ちながら、10〜20分間で滴下した後、0.05N塩酸を滴下してpHを3以下に下げた後、その10倍容量のアセトンを加えて沈澱を濾過分取した。この沈澱をアセトンで洗浄後、約400mgのヒアルロン酸の活性化を行った。このようにして得られた活性化ヒアルロン酸100mgと遺伝子操作によって製造されヒト型MnSOD10mgとをそれぞれ2mlの0.1Mホウ酸バッファー(pH9.2)に溶解後、両者を混合して、4〜6℃で極めておだやかに混合撹拌した(約10時間)。その後、水に対して2、3度透析し遠心分離した後、最終的に凍結乾燥品とした。この条件下で作製されたヒアルロン酸には1〜2分子のMnSODが結合しており、SOD酵素活性は70〜80%を保持していた。
高分子ヒアルロン酸とMnSODの体内半減期をラットを用いて検討した。実施例1で作製したヒアルロン酸−MnSOD結合体をラットに静注後経時的にMnSODの活性を指標として半減期を求めたところ、MnSOD単独の半減期が約12時間であったのに対して、実施例1のヒアルロン酸−MnSOD結合体の半減期は、約40〜60時間であり大幅な半減期の延長が認められた。従って、実施例1のヒアルロン酸−MnSOD結合体は、MnSOD単独の場合より、4〜5倍もの持続性が観察された。
高分子ヒアルロン酸は、炎症部位においては浸潤してきた多数の白血球より放出される活性酸素(O2 −)によって分解され低分子化することが知られている。本発明によって創製されたヒアルロン酸−MnSOD結合体は、高分子ヒアルロン酸の低分子化を防御することが判明した。即ち、本発明のヒアルロン酸−MnSOD結合体は、ヒアルロン酸あるいはMnSOD単独に比して有意にヒアルロン酸の特徴である粘性を保持することが判明した。他方、ヒアルロン酸は、活性酸素により分解され低分子化するので粘性が低下していることを示している。(図2)。
炎症部位(例えば関節炎)では、高分子ヒアルロン酸が活性酸素によって分解されてしまうことは一般に知られている事実である。そこで、本発明では、invitroでのヒアルロン酸の分解の程度をその溶液の粘性の変化によって比較検討した。高分子ヒアルロン酸、約2mg/mlをヒポキサンチン存在下で前溶解し、一定時間内にキサンチンオキシターゼを添加してヒアルロン酸の分解をその粘度を測定することによって判定した。
炎症部位(例えば関節炎)では、高分子ヒアルロン酸が活性酸素によって分解されてしまうことは一般に知られている事実である。そこで、本発明では、invitroでのヒアルロン酸の分解の程度をその溶液の粘性の変化によって比較検討した。高分子ヒアルロン酸、約2mg/mlをヒポキサンチン存在下で前溶解し、一定時間内にキサンチンオキシターゼを添加してヒアルロン酸の分解をその粘度を測定することによって判定した。
整形外科の領域では、変形性関節炎に対してヒアルロン酸の投与が症状の寛解をもたらすことが良く知られている。これはヒアルロン酸が疼痛を和らげ滑膜の修復などを誘発するためである。ところが、慢性関節リュウマチ炎ではヒアルロン酸の薬効はほとんど示され得ない。
この原因として推測されるのが、多量に侵潤集積した好中球がその活性酸素の分泌によってヒアルロン酸を分解していることが考えられている。そこで、本発明の高分子ヒアルロン酸とMnSODの結合体が慢性関節リュウマチ炎の動物モデルであるアジュバンド関節炎に対する薬効をヒアルロン酸単独投与をコントロールとして調べた。
つまり、各6匹のラットを用いて、アジュバンド関節炎に対してヒアルロン酸(1.5mg/0.1ml)(▲黒四角▼)と、ヒアルロン酸−MnSOD結合体(1.5mgHA+30USOD/0.1ml)(▲)と、コントロール(薬剤なし)(0.1M NaCl/0.1ml)(◆)を投与して、各容積の変化を径時的に測定した。なお、(×)はラット後足の自然成長容積を示す。
その結果、本発明の高分子ヒアルロン酸−MnSOD結合体においてのみ有効性が示された(図3)。
この原因として推測されるのが、多量に侵潤集積した好中球がその活性酸素の分泌によってヒアルロン酸を分解していることが考えられている。そこで、本発明の高分子ヒアルロン酸とMnSODの結合体が慢性関節リュウマチ炎の動物モデルであるアジュバンド関節炎に対する薬効をヒアルロン酸単独投与をコントロールとして調べた。
つまり、各6匹のラットを用いて、アジュバンド関節炎に対してヒアルロン酸(1.5mg/0.1ml)(▲黒四角▼)と、ヒアルロン酸−MnSOD結合体(1.5mgHA+30USOD/0.1ml)(▲)と、コントロール(薬剤なし)(0.1M NaCl/0.1ml)(◆)を投与して、各容積の変化を径時的に測定した。なお、(×)はラット後足の自然成長容積を示す。
その結果、本発明の高分子ヒアルロン酸−MnSOD結合体においてのみ有効性が示された(図3)。
ラットを用いたブラジキニンによる実験的関節疼痛に対する本発明のヒアルロン酸−MnSOD結合体の抑制効果はヒアルロン酸単独の投与より2、3倍と良効であった。これは本発明のヒアルロン酸−MnSOD結合体が関節内の滑膜や軟骨に対しその組織を被覆し、発痛物質の作用を抑制する作用がヒアルロン酸単独の場合よりも優れていることを示している。この事実は、本発明のヒアルロン酸−MnSOD結合体が慢性関節リュウマチ患者の痛みを和らげながら関節組織の改善をもたらし得ることを示している。
Claims (6)
- ヒアルロン酸とヒト型マンガン・スーパーオキシドジスムターゼとが化学的に結合していることを特徴とするヒアルロン酸−ヒト型マンガン・スーパーオキシドジスムターゼ結合体
- 請求項1に記載のヒアルロン酸−ヒト型マンガン・スーパーオキシドジスムターゼ結合体において、該ヒアルロン酸の分子量が50万〜300万であることを特徴とするヒアルロン酸−ヒト型マンガン・スーパーオキシドジスムターゼ結合体。
- 請求項1または2に記載のヒアルロン酸−ヒト型マンガン・スーパーオキシドジスムターゼ結合体において、該ヒアルロン酸の分子量が80万〜150万であることを特徴とするヒアルロン酸−ヒト型マンガン・スーパーオキシドジスムターゼ結合体。
- ヒアルロン酸とヒト型マンガン・スーパーオキシドジスムターゼとを化学的に結合させてヒアルロン酸−ヒト型マンガン・スーパーオキシドジスムターゼ結合体を得ることを特徴とするヒアルロン酸−ヒト型マンガン・スーパーオキシドジスムターゼ結合体の製造方法。
- 請求項4に記載のヒアルロン酸−ヒト型マンガン・スーパーオキシドジスムターゼ結合体の製造方法において、該ヒアルロン酸の分子量が50万〜300万であることを特徴とするヒアルロン酸−ヒト型マンガン・スーパーオキシドジスムターゼ結合体の製造方法。
- 請求項4または5に記載のヒアルロン酸−ヒト型マンガン・スーパーオキシドジスムターゼ結合体の製造方法において、該ヒアルロン酸の分子量が80万〜150万であることを特徴とするヒアルロン酸−ヒト型マンガン・スーパーオキシドジスムターゼ結合体の製造方法。
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