JP2006223341A - 組織破砕装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】1本のカテーテル本体内に軸方向に延びる複数のルーメンが形成されると共に、そのカテーテル本体に対し外径方向に拡張可能な2つのバルーンが軸方向に並んで配設されたカテーテルを有する。その2つのバルーン間に位置する上記カテーテル本体に対し、超音波を発生する超音波プローブを設けると共に、注入用ルーメン及び吸引用ルーメンを連通させる。
【選択図】 図1
Description
例えば、急性心筋梗塞や脳梗塞を発生させる血栓に対する治療は、カテーテルを病変近位部までアプローチさせ、そこから血栓溶解剤を注入する程度の治療方法にとどまっており、メカニカルに除去又は破砕し治療する方法は行われていないのが現状である。また、慢性の梗塞を引き起こす血管内に堆積した粥状物質に対しては、経皮的に拡張用のバルーンを挿入し押し広げる方法や、外科的にバイパスを設置する方法や、血管を開き粥状物質を剥離する方法などが行われているが、堆積した粥状物質を経皮的に且つ直接的に粉砕や剥離などを施し治療しようとする方法は少ない。
また、癌などに対する経皮的治療としては、アブレーションなど経皮的に刺した針先から放出されるマイクロ波を使って病変組織を焼き殺す術式があるが、システムの構造上の問題から使用が肝臓癌に限られる上に、正常な周辺組織も破壊される。
なお、心筋梗塞を引き起こす虚血部の改善だけでなく、体内の治療を要する体腔周辺の患部に直接かつ局所的に必要な薬物を送達させる手段がないというのが現状である。
本発明は、上記のような点に着目してなされたもので、正常な周辺組織への影響を抑えつつ、経皮的に且つ直接的に病変組織を粉砕や剥離など可能な組織破砕装置を提供することを課題としている。
本発明によれば、2つのバルーン間の閉じた局所的な閉鎖領域に存在する病変部などの組織に限定して超音波を作用させることが可能となる。
本発明によれば、閉じた閉鎖領域内で破砕(粉砕・剥離を含む。以下同様)された組織片部をルーメンを通じて吸引除去したり、閉鎖領域内に脱気した流体を注入するなど超音波を効果的に利用可能な環境としたりすることが可能となる。また、病変等に応じた所定の薬剤を予め注入して、超音波で破砕する前に病変を破砕しやすくすることなども可能となる。
なお、第1のカテーテル本体内の第2のカテーテル本体を遊挿するルーメンと当該第2のカテーテルとの間の隙間を使用して、閉鎖領域へのアプローチは可能である。
次に、請求項4に記載した発明は、請求項3に記載した構成に対し、上記第1のカテーテル本体内を軸方向に貫通且つ移動可能に遊挿される注入用カテーテルを備えることを特徴とするものである。
本発明によれば、導管を病変部などの対象とする組織近位部までアプローチし、その導管内をガイド部材を通過させることで、ガイドの先端部に設けた超音波プローブを直接若しくは間接的に対象とする組織に接触若しくは近接させ、場合によっては組織内に差し込んで対象とする組織の破砕が可能である。
超音波の周波数等を特定することで、破砕される組織を限定することが可能である。
次に、請求項7に記載した発明は、請求項6に記載した構成に対し、上記対象とする組織は、卵細胞内の細胞質であり、且つ、上記超音波の周波数は、予め実験等で取得した、対象とする卵細胞の当該卵細胞内の細胞質が高速回転する周波数帯に設定することを特徴とするものである。
本発明によれば、卵細胞中の細胞質のみを破砕することが可能となる。
図1は、本実施形態に係る組織破砕装置を説明するための側面概要図であって、可撓性の筒体からなるカテーテル本体1の先端部側に2個のバルーン2,3が所定間隔をあけて配設されている。
上記カテーテル本体1は、図2に示す断面図のように、4ルーメン構造で構成されている。その4ルーメンは、バイパス用ルーメンも兼ねて一番大きなルーメンであるガイド用ルーメン4、注入用ルーメン5、吸引用ルーメン6、及び上記2つのバルーン2,3に連通するバルーン用ルーメン7である。
また、注入用ルーメン5は、尾端部1b側で注入用ポート1dに連通し、当該尾端部1b側から、上記2つのバルーン2,3の間の位置まで延び、図1に示すように、当該2つのバルーン2,3間の位置でカテーテル本体1の外部に連通するための注入口10と連通している。
ここで、上記バルーンカテーテルとしては、例えばカテーテル本体1の断面積は、円形に換算して直径が、2mmφ以内0.5mmφ以上が好ましい。要は、静脈内に遊挿可能で有ればよいが、バイパス用ルーメンとして所要以上の開口断面積が確保されればよい。本実施形態では、0.635mmφとなっている。また、ガイド用ルーメン4,つまりバイパス用ルーメンの開口断面積は、円形に換算して直径が、1mmφ以内0.4mmφ以上が好ましい。余り小さいと所要以上の血流の確保が困難となる。
なお、2つのバルーン2,3の大きさは、同じ大きさでも、異なっていても良い。要は、拡張したときに血管Aを傷つけること無く閉鎖可能なもので有ればよい。
さらに、上記ガイド用ルーメン4内にガイドワイヤポート1cから挿入されるガイドワイヤ8がある。
ここで、図4中、符号15は、注入用ポート1dに接続される、液体を収容した容器を、符号16は吸引ポート1eに接続される吸引機を、符号17は、シリンダ装置1fをそれぞれ示す。
まず、ガイディングカテーテル(不図示)を、病変のある血管A内に挿入して留置する。
続いて、上記本発明に基づくバルーンカテーテルにガイドワイヤ8を予め組み合わせた状態で、上記ガイディングカテーテル内を通じて、血管A内へ、血流と逆行方向に挿入して、図3に示すように、2つのバルーン2,3の間に破砕対象の組織である病変部が位置するように調整する。
また、上記ガイドワイヤ8の操作と前後して各バルーン用ルーメン7に気体を圧送して各バルーン2,3を拡張して血管Aを局所的に閉鎖して両バルーン2,3間に閉鎖領域Xを形成する。
なお、注入に先立って、吸引用ルーメン6を負圧として上記閉鎖領域X内の血液等を全部又は1部分を抜き取るようにしても良い。
この状態で、超音波発生器19を作動させて上記閉鎖領域X内に存在する病変組織40を超音波にて破砕する。
これによって、2つのバルーン2,3で閉鎖された、病変を含む局所的な部分でのみ、超音波による病変の破砕が行われて、健康な組織への影響を最小限に抑えることができる。
また、脱気した気体を閉鎖領域Xに送ることで、超音波を非接触式であっても効果的に作用させることができる。
ここで、上記実施形態では、吸引と注入のルーメン5,6を別ルーメンとしているが、同一のルーメンを共有させても良い。
また、超音波の周波数及び強度は、対象とする病変組織に応じて、適宜選択して使用する。本発明者らの実験によれば、血栓などの病変組織に応じて周波数や強度を可変にすることで血栓等の病変組織を選択的に破砕することが出来ることを確認している。
なお、局所的に血管Aをバルーン2、3で閉鎖しても、当該血管A内における順行性及び逆行性血流を閉鎖領域Xを飛び越えて流通することを確保している。
本実施形態では、図5及び図8に示すように、第1のカテーテル本体20内に第2のカテーテル本体21が遊挿されて、2つのカテーテル本体20,21が入れ子状に配置されている。
上記第1のカテーテル本体20には、ルーメンとして通過ルーメン24、バルーンルーメン25及び注入用ルーメン26が設けられている。
上記通過ルーメン24は、第2のカテーテル本体21を遊挿するための一番大きなルーメンであって、第1のカテーテル本体20に沿って尾端部20bから先端部20aまで延び、当該第1のカテーテル本体20の先端部20aで開口していると共に吸引用ポート20dに連通している。
さらに、バルーン用ルーメン25は、尾端部20bにあるバルーンポート20eに連通すると共に、バルーン22の位置まで延在してバルーン22の内部に連通している。
ガイドワイヤルーメン27は、尾端部21bのガイドワイヤポート21cからガイドワイヤ8が挿入されるルーメンであって、第2のカテーテル本体21に沿って尾端部21bから先端部21aまで延び、当該第2のカテーテル本体21の先端部21aで開口している。
また、バルーンルーメン28は、尾端部21bにあるバルーンポート21dに連通すると共に、バルーン23の位置まで延在してバルーン23の内部に連通している。
なお、第2のカテーテル本体21に超音波プローブ12を設ける代わりに、第1のカテーテル本体20におけるバルーン22よりも遠位である先端部20a側に超音波プローブを設けても良い。
まず、ガイディングカテーテル(不図示)を、病変のある血管A内に挿入して留置する。
続いて、上記のように第1のカテーテル本体20内に第2のカテーテル本体21及びガイドワイヤ8を予め組み合わせた状態で、上記ガイディングカテーテル内を通じて、血管A内へ、血流と逆行方向に挿入して、さらに、第1のカテーテル本体20から第2のカテーテル本体21をバルーン23及び超音波プローブ12が露出するまで突き出した状態として、図5に示すように、2つのバルーン22,23の間に病変部組織40が位置するように調整する。
次に、注入ポートから注入用ルーメン26を通じて上記閉鎖領域Xに脱気された液体や界面活性剤を注入することで超音波が伝搬しやすい環境として、当該閉鎖領域Xに存在する病変を超音波にて非接触で破砕しやすくする。
その後、閉鎖領域X内の物質、特に破砕して遊離した病変組織を、上記通過ルーメン24と第2のカテーテル本体21との間の隙間を吸引用通路として使用して吸引する。
これによって、2つのバルーン22,23で閉鎖された、病変を含む局所的な部分でのみ超音波による病変の破砕が行われて、健康な組織への影響を最小限に抑えることができる。
その他の構成や作用効果については上記第1実施形態と同様である。
ここで、上記説明では、注入用ルーメン26によって直接、流体の注入を行っているが、これに限定されない。例えば、図9に示すように、注入用ルーメン26内に注入用の細径の注入用チューブ29を挿入して、その注入用チューブ29を使用して注入を行うようにしても良い。この場合には、第1のカテーテル本体20の先端部から注入用チューブ29を突出させて注入することなる。
本実施形態では、図10に示すように、導管を構成するガイド用カテーテル30と、そのガイド用カテーテル30内に形成した通過用ルーメン31に挿入される線状のガイド部材32とを備える。
そして、上記ガイド用カテーテル30を、病変のある血管A内に挿入し、その先端部が病変近傍にアプローチするまで挿入する。
この状態で、超音波発生器19を作動させて、直接、超音波で血栓34を破砕する。
ここで、上記説明では、導管としてカテーテルを例示しているが、針であっても良い。この場合には、図12に示すように、中空の針40を病巣部内部まで突き刺し、経皮的に挿入させ、その針内を通じて上記ガイド部材32の先端部を病巣内部50に配置し、その状態で超音波を発生して、周囲の病変組織を破壊する。肝癌、乳癌などに好適な方法となる。
実験としては、図13に示すように、超音波源となる圧電素子50(PZT)に、基端部が直径1mmの断面円形のガラス棒51を接続する。該ガラス棒51の先端部の寸法は直径50〜60μmである。このガラス棒51の先端を卵細胞52の表皮に接触させ、該卵細胞52に超音波を伝達可能状態とする。ここで、実験に使用した卵細胞はウシ卵細胞で直径が50〜100μmのものを使用した。
そして、上記圧電素子50に周波数≒196kHzの交流を与え、電圧(超音波の強度)を徐々に上昇させていくと、卵細胞52内の細胞質が回転を始め、上記電圧が5V以上になると、上記細胞質が高速で回転し、ばらつきがあるが、電圧が8V〜10V以上で当該細胞質のみが破裂した。
このことから、不妊処理など、卵細胞52中の核だけを選択的に破砕することが可能であることが分かる。
A 血管
1 カテーテル本体
2、3 バルーン
4 ガイド用ルーメン
5 注入用ルーメン
6 吸引用ルーメン
7 バルーン用ルーメン
8 ガイドワイヤ
9 バイパス用開口部
10 注入口
11 吸引口
12 超音波プローブ
19 超音波発生器
20 第1のカテーテル本体
21 第2のカテーテル本体
22 バルーン(第1のバルーン)
23 バルーン(第2のバルーン)
24 通過ルーメン
25 バルーンルーメン
26 注入用ルーメン
27 ガイドワイヤルーメン
28 バルーンルーメン
29 注入用チューブ
30 ガイド用カテーテル
31 通過用ルーメン
32 ガイド部材
33 超音波プローブ
34 血栓
35 血管狭窄部
40 病変組織
50 圧電素子
52 卵細胞
Claims (7)
- 1本のカテーテル本体内に軸方向に延びる複数のルーメンが形成されると共に、そのカテーテル本体に対し外径方向に拡張可能な2つのバルーンが軸方向に並んで配設されたカテーテルに対し、
上記2つのバルーン間に位置する上記カテーテル本体の部分に、超音波を発生する超音波プローブを設けたことを特徴とする組織破砕装置。 - 上記複数のルーメンのうちの少なくとも一つは、上記2つのバルーン間の位置でカテーテル本体の外側と連通していることを特徴とする請求項1に記載した組織破砕装置。
- 第1のカテーテル本体と、その第1のカテーテル本体内を軸方向に貫通且つ移動可能に遊挿される第2のカテーテル本体と、上記第1のカテーテル本体に対し外径方向に拡張可能に配設された第1のバルーンと、第2のカテーテル本体に対し外径方向に拡張可能に配設された第2のバルーンと、上記第2のカテーテル本体における第2のバルーン位置よりも尾端側の近位の位置、若しくは第1のカテーテル本体における第1のバルーン位置よりも先端側の遠位の位置に設けられて超音波を発生する超音波プローブとを備えることを特徴とする組織破砕装置。
- 上記第1のカテーテル本体内を軸方向に貫通且つ移動可能に遊挿される注入用カテーテルを備えることを特徴とする請求項3に記載した組織破砕装置。
- カテーテル又は中空の針からなる導管と、その導管内を軸方向に貫通且つ移動可能に遊挿され且つその先端部に対し超音波を発生する超音波プローブを備えたガイド部材とを備えることを特徴とする組織破砕装置。
- 上記超音波プローブから発生する超音波の周波数は、対象とする組織を破砕又は剥離可能な周波数であることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載した組織破砕装置。
- 上記対象とする組織は、卵細胞内の細胞質であり、且つ、上記超音波の周波数は、予め実験等で取得した、対象とする卵細胞の当該卵細胞内の細胞質が高速回転する周波数帯に設定することを特徴とする請求項6に記載した組織破砕装置。
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