JP2006219457A - シリルシアノ化触媒及びシアノヒドリンシリルエーテル化合物の製法 - Google Patents

シリルシアノ化触媒及びシアノヒドリンシリルエーテル化合物の製法 Download PDF

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Abstract

【課題】 高い触媒活性を有する新規なシリルシアノ化触媒を提供する。
【解決手段】 加熱乾燥した10 mLの枝付フラスコにシリルシアノ化触媒としてLiCl (295μmol)を測りとり、テフロン(登録商標)でコートした撹拌子を加え、アルゴン雰囲気とした。ここにシリンジでTHF(10mL)を加えた後、容器を超音波洗浄器に浸し、超音波処理することにより溶液とし、さらに20℃で撹拌して触媒溶液とした。別途、加熱乾燥し、テフロンコートした撹拌子を備えた10mLの枝付フラスコに、アルゴン雰囲気下でベンズアルデヒド(9.94mmol)とシアン化トリメチルシリル(10.5mmol)を入れ、20℃で撹拌した。ここに先に調製した触媒のTHF溶液(1.00μmol)をマイクロシリンジで加え、1時間撹拌した。反応初期には、発熱が観測された。GC分析による収率は100%、単離収率は98%であった。
【選択図】 なし

Description

本発明は、新規なシリルシアノ化触媒及びこれを用いるシアノヒドリンシリルエーテル化合物の製法に関する。
シアノヒドリンシリルエーテル類はα−ヒドロキシカルボン酸類、α−ヒドロキシアルデヒド類、β−アミノアルコール類などの有用物質合成において鍵となる中間体である。その代表的な合成法の一つにアルデヒド類及びケトン類のシリルシアノ化がある。この合成法で反応剤として用いるシアン化トリメチルシリルは、容易に入手でき、蒸留により精製することができる安定な化合物である(沸点118℃)。また、毒性が強く揮発性のシアン化水素(沸点26℃)を用いるヒドロシリル化に比べて用途が広い。また、シアノヒドリンシリルエーテルは無保護のシアノヒドリンよりも安定で、さらなる変換反応にそのまま供することができる。
アルデヒド類及びケトン類のシリルシアノ化は、触媒量のルイス酸あるいは求核性化学種を加えることにより促進されることが知られている。最近ではルイス酸部とルイス塩基部を併せ持つ触媒系も開発されている。ルイス酸触媒は、1973年にEvansらによって塩化亜鉛が(非特許文献1参照)、同年にSundermeyerらによって塩化アルミニウムが発見され(非特許文献2参照)、それ以来、数多くの報告例がある。求核剤触媒は、1973年にEvansらによって開発された青酸カリウムと18−クラウン−6を組み合わせた系が最初の例である(非特許文献3)。リチウムアルコキシド類やリチウムアミド類なども高い活性を示すことが知られている。
J. Chem. Soc. Chem. Commun., 1973, p55-56 Chem. Ber., 1973, 106, p587-593 Tetrahedron Lett., 1973, p4929-4932
しかしながら、これまでに有機溶媒に可溶で比較的単純なリチウム塩等については、シリルシアノ化の触媒活性が知られていない。
本発明は、このような課題に鑑みなされたものであり、高い触媒活性を有する新規なシリルシアノ化触媒を提供することを目的とする。また、そのシリルシアノ化触媒を用いてシアノヒドリンシリルエーテル化合物を高い収率で得る製法を提供することを目的とする。
本発明者らは鋭意研究した結果、これまでに報告例のない有機溶媒に可溶で比較的単純なリチウム塩等がアルデヒド類やケトン類のシリルシアノ化に高い触媒活性を示すことを見いだし、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明のシリルシアノ化触媒は、カルボニル化合物とシアン化トリアルキルシリル化合物とを反応させて対応するシアノヒドリンシリルエーテル化合物を製造する際に用いられる触媒であって、フッ化リチウムを除くハロゲン化リチウム、カルボン酸リチウム類、リン酸リチウム類、スルホン酸リチウム類及び有機アンモニウム塩化物類からなる群より選ばれた1種又は2種以上を主成分とするものである。
ハロゲン化リチウムとしては、塩化リチウム、臭化リチウム、ヨウ化リチウムが好ましく、塩化リチウムが特に好ましい。カルボン酸リチウム類としては、酢酸、プロピオン酸、酪酸等の低級カルボン酸及びそのパーフルオロ化物のリチウム塩、安息香酸等の芳香族カルボン酸のリチウム塩が好ましい。リン酸リチウム塩としては、例えば一般式(R6O)(R7O)P=O(OLi)(R6とR7は同じであっても異なっていてもよく、各々置換基を有していてもよい芳香族基、ヘテロ環、鎖状アルキル基、環状アルキル基、アルケニル基又はアルキニル基であり、R6とR7は互いに結合して環を形成していてもよい)で表されるものが好ましく、その代表例として1,1’-ビナフチル-2,2'-ジイルハイドロジェンリチウムホスフェートなどが挙げられる。スルホン酸リチウム塩としては、例えば一般式R8SO3Li(R8は各々置換基を有していてもよい芳香族基、ヘテロ環、鎖状アルキル基、環状アルキル基、アルケニル基又はアルキニル基)で表されるものが好ましく、その代表例としてはカンファースルホン酸リチウムやp−トルエンスルホン酸リチウム、メタンスルホン酸リチウムなどが挙げられる。有機アンモニウム塩化物としては、例えば一般式R9101112NCl(R9、R10、R11、R12は、各々置換基を有していてもよい芳香族基、ヘテロ環、鎖状アルキル基、環状アルキル基、アルケニル基、アルキニル基であり、2つ以上が互いに結合して環を形成していてもよい)で表されるものが好ましく、その代表例としては、塩化テトラブチルアンモニウム、塩化テトラオクチルアンモニウム、塩化テトラフェニルアンモニウムなどが挙げられる。なお、R6〜R12として用いることのできる芳香族基等の具体例については、後述するR1と同様であるためここではその説明を省略する。
本発明のシアノヒドリンシリルエーテル化合物の製法は、上述したシリルシアノ化触媒の存在下、カルボニル化合物とシアン化トリアルキルシリル化合物とを反応させることにより対応するシアノヒドリンシリルエーテル化合物を製造するものである。具体的には、カルボニル化合物(アルデヒド類やケトン類)とシアン化トリアルキルシリル化合物を入れた容器へ、シリルシアノ化触媒を有機溶媒に溶解して得た触媒溶液又はシリルシアノ化触媒の固形物(触媒固形物)を加えて撹拌することにより、カルボニル化合物とシアン化トリアルキルシリル化合物とを反応させる。ここで、カルボニル化合物が油状のときにはカルボニル化合物とシアン化トリアルキルシリル化合物とを入れた無溶媒の容器へ触媒溶液又は触媒固形物を加えて反応させてもよい。また、カルボニル化合物が固体のときにはカルボニル化合物とシアン化トリアルキルシリル化合物と反応溶媒とを入れた容器へ触媒溶液又は触媒固形物を加えて反応させてもよい。
シリルシアノ化触媒に対するカルボニル化合物のモル比S/C(Sは基質であるカルボニル化合物、Cは触媒)は1〜1000000が好ましく、1〜100000がより好ましい。また、カルボニル化合物に対するシアン化トリアルキルシリルのモル比は1〜3が好ましく、1〜1.3がより好ましい。このシアノシリル化反応は、アルゴンなどの不活性雰囲気下、常圧で行うのが好ましい。また、このシアノシリル化反応は、無溶媒であっても反応溶媒中であっても進行する。反応溶媒としては、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素溶媒、ペンタン、ヘキサンなどの脂肪族炭化水素溶媒、塩化メチレンなどのハロゲン含有炭化水素溶媒、エーテル、テトラヒドロフラン(THF)などのエーテル系溶媒、アセトニトリル、N,N−ジメチルアセトアミド(DMA)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキサイド(DMSO)などヘテロ原子を含む溶媒が挙げられる。なお、触媒溶液を調製する際に用いる溶媒も同様である。反応温度は特に限定されないが、0〜50℃が好ましく、10〜30℃がより好ましい。反応時間は基質の種類などによって異なるが、多くの場合は1分〜3時間の範囲である。反応終了後に反応混合液からシリルシアノ化エーテル化合物を取り出す方法としては、蒸留や抽出を採用すればよい。
基質であるカルボニル化合物としては、R12C=O(式中、R1は各々置換基を有していてもよい芳香族基、ヘテロ環、鎖状アルキル基、環状アルキル基、アルケニル基又はアルキニル基;R2は水素、各々置換基を有していてもよいアルキル基又は芳香族基;但しR1とR2は互いに結合して環を形成していてもよい)を用いることができる。ここで、R1につき、芳香族基としては、例えばフェニル、トリル、キシリル、ナフチル等のほか、これらに更にアルキル、アルケニル、シクロアルキル、アリール、アルコキシ、エステル、アシルオキシ、ハロゲン原子、ニトロ、シアノ等の許容される各種の置換基を有するものなどが挙げられる。ヘテロ環としては、例えばピロール、チオフェン、フラン、ピラゾール、イミダゾール、チアゾール、オキサゾール等の5員環骨格を有するものや、ピリジン、ピリミジン、ピリダジン等の6員環骨格を有するもののほか、これらに更にアルキル、アルケニル、シクロアルキル、アリール、アルコキシ、エステル、アシルオキシ、ハロゲン原子、ニトロ、シアノ等の許容される各種の置換基を有するものなどが挙げられる。鎖状アルキル基としては、例えばメチル、エチル、プロピル、n−ブチル等の分岐を有さないものや、イソプロピル、sec−ブチル等の分岐を有するものなどが挙げられる。環状アルキル基としては、シクロペンチル、シクロヘキシル等のほか、これらに更にアルキル等の置換基を有するものなどが挙げられる。アルケニル基としては、例えばエテニル基、プロペニル基、ブテニル基、プロペニル基などが挙げられ、アルキニル基としては、例えばエチニル基、プロピニル基、ブチニル基などが挙げられる。そして、R1とR2が互いに結合して環を形成する場合には、R1とR2が互いに結合して炭素鎖を形成してもよく、更にこの炭素鎖上にアルキル、アルケニル、シクロアルキル、アリール、アルコキシ、エステル、アシルオキシ、ハロゲン原子、ニトロ、シアノ等の許容される各種の置換基をもつものとしてもよい。また、R2につき、置換基を有していてもよいアルキル基としては、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチルなどのアルキル基のほか、これらに更にアリール、シクロアルキル、アルコキシ、エステル、アシルオキシ、ハロゲン原子、ニトロ、シアノ等の許容される各種の置換基をもつものなどが挙げられ、また、置換基を有していてもよい芳香族基としては、例えばフェニル、トリル、キシリル、ナフチル等のほか、これらに更にアルキル、アルケニル、シクロアルキル、アリール、アルコキシ、エステル、アシルオキシ、ハロゲン原子、ニトロ、シアノ等の許容される各種の置換基を有するものなどが挙げられる。このようなカルボニル化合物の代表例としては、ベンズアルデヒド及びその誘導体(ベンゼン環上にアルキル、アルコキシ、トリフルオロメチル、ハロゲンなどの置換基を有するもの)、アセトフェノン及びその誘導体(ベンゼン環上に置換基を有するハロゲン、トリフルオロメチル、シアノ、ニトロ、アルコキシを有するもの)などが挙げられる。
シアン化トリアルキルシリル化合物としては、R345SiCN(式中、R3,R4,R5は同じであっても互いに異なっていてもよい、置換基を有してもよい炭化水素基)を用いることができる。ここで、置換基を有していてもよい炭化水素基としては、脂肪族、脂環族の飽和又は不飽和の炭化水素基、単環又は多環の芳香族もしくは芳香脂肪族の炭化水素、あるいは置換基をもつこれら炭化水素基の各種のものであってよい。たとえばアルキル、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、フェニル、トリル、キシリル、ナフチル、フェニルアルキル等の炭化水素基と、これら炭化水素基に、さらにアルキル、アルケニル、シクロアルキル、アリール、アルコキシ、エステル、アシルオキシ、ハロゲン原子、ニトロ、シアノ等の許容される各種の置換基を有するもののうちから選択してもよい。このようなシアン化トリアルキルシリル化合物の代表例としては、シアン化トリメチルシリル、シアン化ジ−t−ブチルメチルシリル、シアン化ジフェニル−t−ブチルシリルなどが挙げられる。
本発明のシリルシアノ化触媒は、カルボニル炭素のα位にヘテロ原子を有するカルボニル化合物のシリルシアノ化に特に有用である。このようなカルボニル化合物としては、特に限定されるものではないが、例えばα−クロロアセトフェノン、α−メトキシアセトフェノン、α,α−ジエトキシアセトフェノン、α,α−ジメトキシアセトンなどが挙げられる。
核磁気共鳴(NMR)装置は、JEOL JNM-EX270 (1H NMR, 270 MHz; 13C NMR, 67.8MHz)を用いて測定した。化学シフトはδをppmで表し、1H NMRは内部標準物質にテトラメチルシランを用い、そのシグナルをδ=0とした。13C NMRでは、重クロロホルムの三重線の中心のシグナルをδ=77.0とした。結合定数(J)はHzをもって表し、シグナルの分裂様式は一重線をs、二重線をd、三重線をt、多重線をmと略表記した。ガスクロマトグラフ(GC)分析は日立社製G-5000型装置およびGLサイエンス社製GC-353B型装置を用いて測定した。
塩化リチウム (LiCl) (関東化学社製、純度99%)は、市販のものをそのまま用いた。シアン化トリメチルシリル (和光純薬社製、純度97%)は、常圧蒸留により精製したものを用いた。(R)-1,1’-ビナフチル-2,2’-ジイルハイドロジェンホスフェート (Acros Organics社製、純度 99%)は、市販品をそのまま用いた。n-ブチルリチウム (関東化学社製、1.56 Mヘキサン溶液)は、市販品をそのまま用いた。無水テトラヒドロフラン (THF) (関東化学社製、純度99.5%)および重クロロホルム (CDCl3) (Merck社製、NMR分析用)は、市販のものをそのまま用いた。シリルシアノ化反応に供したアルデヒドおよびケトンは、市販品を購入あるいは実験室で合成したものを適宜蒸留あるいは再結晶した後に用いた。
[実施例1]
加熱乾燥した10 mLの枝付フラスコにLiCl (12.5mg,295μmol)を測りとり、テフロン(登録商標)でコートした撹拌子を加え、アルゴン雰囲気とした。ここにシリンジでTHF(10mL)を加えた後、容器を超音波洗浄器に浸し、超音波処理することにより溶液とし、さらに20℃で撹拌して触媒溶液とした。別途、加熱乾燥し、テフロンコートした撹拌子を備えた10mLの枝付フラスコに、アルゴン雰囲気下でベンズアルデヒド(1.05g,9.94mmol)とシアン化トリメチルシリル(1.04g,10.5mmol)を入れ、20℃で撹拌した。ここに先に調製した触媒のTHF溶液(34μL,1.00μmol)をマイクロシリンジで加え、1時間撹拌した。反応初期には、発熱が観測された。ガスクロマトグラフィー分析による収率は100%であった。簡易蒸留装置を用いて粗生成物を減圧下蒸留することにより、2-トリメチルシリルオキシベンゾニトリル(2.00g,98%)を得た。1HNMR分析により単一生成物であることを確認した。
GC(カラム、TC-5(GL-サイエンス社製、95%ジメチルポリシロキサン-5%ジフェニルポリシロキサン)、膜厚1.5mm、内径0.53mm、長さ15m:キャリアーガス窒素(10kPa)、カラム温度100℃(1min)の後昇温(10℃/min)し、150℃(3min)、インジェクション温度220℃、ディテクション温度200℃、スプリット比16:1:保持時間2-フェニル-2-トリメチルシリルオキシアセトニトリル6.90min(100%)、ベンズアルデヒド2.25min(0%))。1HNMR(270MHz,CDCl3)δ0.23(s,9,Si(CH3)3),5.50(s,1,CHCN),7.37-7.50(m,5,ベンゼン環の水素)。
[実施例2−6,比較例1−4]
実施例1の操作に準じて、実施例2−6、比較例1−4を表1に示す条件下で実験を行い(反応時間は1時間)、その結果を同じく表1にまとめた。表1からわかるように、塩化リチウム、臭化リチウム、ヨウ化リチウムはシリルシアノ化触媒として高い活性を示し、テトラ−n−ブチルアンモニウムクロリドは中程度の活性を示したのに対して、フッ化リチウム、次亜塩素酸リチウム、塩化ナトリウム、塩化カリウムはほとんど活性がなかった。なお、表1のうち、方法が「A」で反応溶媒が「無添加」となっているものは、実際には触媒を溶解するために用いた微量のTHFを含むが、本明細書では触媒を溶解するために用いた溶媒を反応溶媒とみなさないものとする。
Figure 2006219457
[実施例7]
加熱乾燥し、テフロンコートした撹拌子を備えた10mLの枝付フラスコに(R)-1,1’-ビナフチル-2,2'-ジイルハイドロジェンホスフェート(BNPPA,13.9mg,40μmol)を測りとり、アルゴン雰囲気とした。ここにシリンジでTHF(10mL)を加えた後、容器を超音波洗浄器に浸し、超音波処理することにより溶液とした。この溶液にn-ブチルリチウム(1.56Mヘキサン溶液、25μL,40μmol)を22℃で撹拌しながらマイクロシリンジで加えることにより触媒溶液を調製した。別途、加熱乾燥し、テフロンコートした撹拌子を備えた25mLの枝付フラスコに、アルゴン雰囲気下でベンズアルデヒド(2.12g,20mmol)とシアン化トリメチルシリル(1.98g,20mmol)を入れ、22℃で撹拌した。ここに先に調製した触媒のTHF溶液(50μL,0.2μmol)をマイクロシリンジで加えた。触媒投入後直ちに激しく発熱し、90秒で反応は完結した。GC分析による2-フェニル-2-トリメチルシリルオキシアセトニトリルの収率は100%であった。
GC(カラム、TC-5(GL-サイエンス社製、95%ジメチルポリシロキサン-5%ジフェニルポリシロキサン)、膜厚1.5mm、内径0.53mm、長さ15m:キャリアーガス窒素(10kPa)、カラム温度100℃(1min)の後昇温(10℃/min)し、150℃(3min)、インジェクション温度220℃、ディテクション温度200℃、スプリット比16:1:保持時間2-フェニル-2-トリメチルシリルオキシアセトニトリル6.90min(100%)、ベンズアルデヒド2.25min(0%))。
[実施例8−11]
実施例7の操作に準じて、実施例8−11を表2に示す条件下で実験を行い、その結果を同じく表2にまとめた。表2からわかるように、リン酸リチウム塩(実施例7,8)スルホン酸リチウム塩(実施例9)、カルボン酸リチウム塩(実施例10,11)のいずれもシリルシアノ化触媒として高い活性を示した。
Figure 2006219457
[実施例12−25]
実施例1の操作に準じて、実施例12−25を表3に示す条件下で実験を行い、その結果を同じく表3にまとめた。表3のケトン1a〜1nの化学式は化1に示した。表3からわかるように、各種のベンズアルデヒド誘導体(実施例12−17)やα、β−不飽和アルデヒド(実施例19,20)、各種のアルキルアルデヒド(実施例21−23)、各種のケトン(実施例24,25)のいずれも高収率でシアンシリルエーテル化合物に変換することができた。また、実施例19では共役付加生成物は見られず、(E)-2-トリメチルシリルオキシ-3-ノネンニトリルが単一生成物として得られた。なお、単一生成物であることは1HNMR分析により単一生成物であることを確認した。1H NMR分析による収率は99%、減圧蒸留による単離収率は98%であった。スペクトルデータは以下のとおり。1HNMR(270MHz,CDCl3)δ0.21(s,9,Si(CH3)3),0.89(t,3,J=6.6Hz,CH2CH 3 ),1.20-1.50(m,6,(CH 2 )3CH3),2.08(dt,2,J=6.9Hz and 6.9Hz,CH 2 CH=CH),4.89(d,1,J=6.3Hz,CHCN),5.53(dd,1,J=6.3Hz and 15.3Hz,CH2CH=CH),5.96(dt,1,J=15.3Hz and 6.6Hz,CH2CH=CH)。実施例19でも同様に、共役付加生成物は見られなかった。
Figure 2006219457
Figure 2006219457
[実施例26]
加熱乾燥した30mLの枝付フラスコにLiCl(63mg,1.5mmol)を測りとり、テフロンコートした撹拌子を加え、アルゴン雰囲気とした。ここにシリンジでTHF(30mL)を加えた後、容器を超音波洗浄器に浸し、超音波処理することにより溶液とし、さらに22℃で撹拌して触媒溶液とした。別途、加熱乾燥し、テフロンコートした撹拌子を加えた10mLの枝付フラスコに、アルゴン雰囲気下で2-クロロアセトフェノン(0.77g,5.0mmol)をTHF(0.5mL)に溶解後、シアン化トリメチルシリル(0.66g,6.7mmol)を入れ、22℃で撹拌した。ここに先に調製した触媒のTHF溶液(10μL,0.5μmol)をマイクロシリンジで加え、1時間撹拌した。反応初期には、発熱が観測された。ガスクロマトグラフィー分析による収率は100%であった。簡易蒸留装置を用いて粗生成物を減圧下蒸留することにより、3-クロロ-2-フェニル-2-トリメチルシリルオキシプロピオニトリル(1.25g,98%)を得た。1H NMR分析により単一生成物であることを確認した。
GC(カラム、TC-5(GL-サイエンス社製、95%ジメチルポリシロキサン-5%ジフェニルポリシロキサン)、膜厚1.5mm、内径0.53mm、長さ15m:キャリアーガス窒素(10kPa)、カラム温度130℃(3min)の後昇温(10℃/min)し、200℃(1min)、インジェクション温度220℃、ディテクション温度200℃、スプリット比0.8:1:保持時間3-クロロ-2-フェニル-2-トリメチルシリルオキシプロピオニトリル9.60min(100%)、2-クロロアセトフェノン5.60min(0%))。1HNMR(270MHz,CDCl3)δ0.18(s,9,Si(CH3)3),3.67(d,1,J=11.2Hz,CHHCl),3.76(d,1,J=11.2Hz,CHHCl),7.39-7.50(m,3,ベンゼン環のメタ位およびパラ位の水素),7.52-7.62(m,2,ベンゼン環のオルト位の水素)。13CNMR(67.8MHz,CDCl3)δ1.3,53.1,76.3,119.3,126.0,129.3,130.2,138.3。
[実施例27−43]
実施例26の操作に準じて、実施例27−43を表4に示す条件下で実験を行い、その結果を同じく表4にまとめた。表4のケトン1aa〜1ppの化学式は化2に示した。表4からわかるように、各種のアセトフェノン誘導体(実施例26−36,41,42)やヘテロ環を有するケトン(実施例37)、α、β−不飽和ケトン(実施例38,39)、α位にヘテロ原子を有するケトン(実施例40ー42)、環状ケトン(実施例43)のいずれも高収率でシアンシリルエーテル化合物に変換することができた。
Figure 2006219457
Figure 2006219457
本発明は、主に薬品化学産業に利用可能であり、例えばα−ヒドロキシカルボン酸類、α−ヒドロキシアルデヒド類、β−アミノアルコール類などの中間体として利用されるシアノヒドリンシリルエーテル類を製造する際に利用することができる。

Claims (10)

  1. カルボニル化合物とシアン化トリアルキルシリル化合物とを反応させて対応するシアノヒドリンシリルエーテル化合物を製造する際に用いられるシリルシアノ化触媒であって、
    フッ化リチウムを除くハロゲン化リチウム、カルボン酸リチウム類、リン酸リチウム類、スルホン酸リチウム類及び有機アンモニウム塩化物類からなる群より選ばれた1種又は2種以上を主成分とする、シリルシアノ化触媒。
  2. 前記ハロゲン化リチウムは塩化リチウム、臭化リチウム又はヨウ化リチウムである、
    請求項1に記載のシリルシアノ化触媒。
  3. 請求項1又は2に記載のシリルシアノ化触媒の存在下、カルボニル化合物とシアン化トリアルキルシリル化合物とを反応させることにより対応するシアノヒドリンシリルエーテル化合物を製造する、シアノヒドリンシリルエーテル化合物の製法。
  4. 前記カルボニル化合物と前記シアン化トリアルキルシリル化合物を入れた容器へ、前記シリルシアノ化触媒を有機溶媒に溶解して得た触媒溶液又は前記シリルシアノ化触媒の固形物(触媒固形物)を加えて撹拌することにより、前記カルボニル化合物と前記シアン化トリアルキルシリル化合物とを反応させる、請求項3に記載のシアノヒドリンシリルエーテル化合物の製法。
  5. 前記カルボニル化合物が油状のときには前記カルボニル化合物と前記シアン化トリアルキルシリル化合物とを入れた無溶媒の容器へ前記触媒溶液又は前記触媒固形物を加える、請求項4に記載のシアノヒドリンシリルエーテル化合物の製法。
  6. 前記カルボニル化合物が固体のときには前記カルボニル化合物と前記シアン化トリアルキルシリル化合物と反応溶媒とを入れた容器へ前記触媒溶液又は前記触媒固形物を加える、請求項4に記載のシアノヒドリンシリルエーテル化合物の製法。
  7. 前記シリルシアノ化触媒に対する前記カルボニル化合物のモル比S/Cは、1〜100000である、請求項3〜6のいずれかに記載のシアノヒドリンシリルエーテル化合物の製法。
  8. 反応温度は0〜50℃である、請求項3〜7のいずれかに記載のシアノヒドリンシリルエーテル化合物の製法。
  9. 前記カルボニル化合物は、
    12C=O
    (式中、R1は各々置換基を有していてもよい芳香族基、ヘテロ環、鎖状アルキル基、環状アルキル基、アルケニル基又はアルキニル基;R2は水素、各々置換基を有していてもよいアルキル基又は芳香族基;但しR1とR2は互いに結合して環を形成していてもよい)
    である、請求項3〜8のいずれかに記載のシアノヒドリンシリルエーテル化合物の製法。
  10. 前記カルボニル化合物は、α位にヘテロ原子を有するものである、請求項3〜9のいずれかに記載のシアノヒドリンシリルエーテル化合物の製法。
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