JP2006217922A - 食作用を阻害する方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】食作用を阻害する方法
【解決手段】本発明は、概して、免疫複合体とFcレセプター間の相互作用から生じる疾病の治療法に関する。特に、本発明は、食作用阻害により抗体で被覆された細胞、ウィルス、もしくは可溶性抗体のクリアランスを調節する方法、及び、免疫複合体と細胞又は組織のFcレセプターの相互作用を調節する方法に関する。さらに、本発明は、抗体抗原/レセプター相互作用の結果生じるFcレセプターの活性化により媒介される免疫学的プロセスの活性化を調節する方法に関する。
【選択図】 なし

Description

本発明は概して免疫複合体とFcレセプター間の相互作用から生じる疾病の治療法に関する。特に、本発明は、食作用阻害により抗体で被覆された細胞(antibody-coated cells)、ウィルス、もしくは可溶性抗体のクリアランスを調節する方法、及び、免疫複合体と細胞又は組織のFcレセプターの相互作用を調節する方法に関する。本発明は、また、抗原-抗体複合体とFcレセプターの反応が重要な初期段階であるような免疫反応の調節に関する。
ある種の免疫学的な疾患は、単球もしくはマクロファージFc (IgG)レセプターの発現の混乱により特徴づけられる。Fcレセプター数の増加は、ガンマーインターフェロンのようなFcレセプターメディエーターのレベルの上昇、もしくは細菌性産物の感染又は遊離から生じうる。IgGを結合できるFcレセプター数の減少は機能的なレセプター(functional receptors)の実際の数の減少だけでなく、免疫複合体によるFcレセプターの飽和によっても生じうる。全身性紅斑性狼瘡のようなある種の自己免疫性疾病では、循環している免疫複合体のレベルが高くなり、そのためレセプターの飽和が生じ得る。
自己免疫性疾病では、自己自身と外来の侵入者の区別に関する身体の機構がうまく機能しない。典型的には、身体は自己のある部分に対する抗体を作り始める;これらの抗体はその後異常な抗体によって認識された組織を破壊することになる免疫システムの引き金となる。
自己免疫性疾病は、攻撃の標的(focal points)を変更させる。自己免疫性溶血性貧血は、複数の個体が、それら自身の赤血球膜抗原の1つもしくはそれ以上に対する抗体を生成する一連の疾患により代表される。異常な抗体による赤血球の被覆の後、その赤血球が脾臓のマクロファージにより循環系からクリアランスされ、引き続いて脾臓内で赤血球が破壊される。この種類の典型的な疾病としては、免疫性溶血性貧血、免疫性血小板減少性紫斑病、あるいは、自己免疫性好中球減少症があげられる。もうひとつの種類の自己免疫性疾病としては、全身性紅斑性狼瘡やリウマチ様関節炎により代表されるタイプのものがある。これらの疾病では、関節、腱、腎臓、肺、心臓そして他の器官に慢性炎症を生じる。例えば、リウマチ様関節炎では、関節の滑液中への関節軟骨の分解が、疾病の後期の段階で生じる。しかしながら、全身性紅斑性狼瘡では、軟骨もしくは骨の分解は通常見出されない。全身性紅斑性狼瘡やリウマチ様関節炎は、しばしば別のタイプの自己免疫性疾病と共にみられる。全身性紅斑性狼瘡およびリウマチ様関節炎では、組織破壊は、循環中のIgG含有複合体の有無に関連している。Fcレセプターを有する細胞による組織内でのこれらの複合体の識別は、マクロファージ、そしておそらく、これらの組織内の多形核白血球のような他の細胞による組織破壊を開始させるか、もしくは増加させると信じられている。これらのFcレセプターによる反応は、Fcレセプターを有する細胞に接近した体組織を傷つけるかもしれないある一定範囲の免疫関連反応を引き起こす。
IgG含有の免疫複合体とマクロファージのFcレセプターとの相互作用に関与する疾病は、しばしば副腎皮質ホルモンもしくは免疫抑制剤で治療される。これらの治療では、さまざまな重篤な副作用がおこりうる。本発明は、単独で用いるか、もしくは従来の薬物治療との組み合わせで用いることができる代替の治療方法を提供する。
発明の要旨
この出願は、1993年9月30日に出願された出願番号08/129,381の一部継続出願であり、その内容は引用によりこの明細書中に取り込まれている。
本発明の全般的な目的は、例えば、Fcレセプターをもつ細胞の食作用ポテンシャルを抑制することにより、抗体で被覆された細胞もしくは免疫複合体のクリアランスを調節する方法を提供することである。
本発明の具体的な目的は、哺乳動物からの免疫複合体のクリアランスを調節する方法を提供することである。加えて、本発明の具体的な目的は、膜に結合したFcレセプターへの免疫複合体の結合を阻害する(及び/またはそのような複合体の摂取を阻害する)ことにより、好ましくない組織損傷の後遺症を抑制する方法を提供することである。
本発明のさらなる目的は、上記の方法で用いるための適切な構造体および化合物を提供することである。
ひとつの態様では、本発明は、免疫複合体 (例えばIgG含有免疫複合体)の食作用、及び/または、免疫複合体と相互作用する細胞による細胞内生化学的活性産物の遊離を防止する方法に関する。この方法の例は、免疫複合体(例えばIgG含有免疫複合体)と接触している哺乳動物の食細胞内へ、細胞膜上に存在するFcレセプターを活性化する細胞に内因性キナーゼ阻害剤を導入することを包含する。
もうひとつの態様では、本発明は、哺乳動物からの免疫複合体(例えばIgG含有免疫複合体)のクリアランスを防止する方法に関する。この方法は、免疫複合体と接触している哺乳動物の造血細胞(例えば、食作用細胞)内へ、細胞膜上のFcレセプターの発現を特異的に抑制する分子を導入することを包含する。
さらに別の態様では、本発明は、哺乳動物内に存在する免疫複合体(例えばIgG含有免疫複合体)の膜結合性のFcレセプターに対する結合を阻害する方法に関する。この方法は、その哺乳動物中に、免疫複合体への結合に関して膜結合性Fcレセプターと競合する可溶性Fcレセプターを導入するを包含する。この導入は、膜結合性Fcレセプターへの免疫複合体の結合が阻害されるような条件下でなされる。
またさらに別の態様では、本発明は、Fcレセプターを有する哺乳動物細胞の食作用ポテンシャルを抑制する方法に関する。この方法は、5'末端から3'末端への転写方向で、
i) 細胞内で機能的なプロモーター、
ii) Fcレセプターをコードする内因性mRNAに相補的な配列を含む転写された鎖の、2本鎖DNAのセグメント、および、
iii)細胞内で機能的な終止配列
を具備する構造体を細胞へ導入することを包含する。この構成体は、相補鎖が転写されかつ内因性mRNAに結合することによりFcレセプターの発現を抑え、細胞の食作用のポテンシャルを抑制するような条件下で導入される。
本発明のさらなる目的または利点は、以下の記述から明らかとなるだろう。
これらの開示は、Fcγレセプターの3つのクラス(FcγRI, FcγRIIおよびFcγRIII)の単離およびクローニングに関する技術で有用な教示の見地で読まれるべきであると評価されるだろう(例えば、Allen and Seed, Science 243:378 (1989);Hibbs et al, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85:2240 (1988); J. Exp. Med. 166:1668 (1987); van de Winkle et al, FASEB J., 5:A964 (1991); Brooks et al, J., Exp.Med. 170:369 (1989); Stuart et al, EMBO J. 8:3657 (1989);Qui et al, Science 248:732 (1990); Simmons and Seed, Nature 333:568 (1988)を参照のこと;Schreiber et al, Clin. Immunol. Immunopath. 62:S66 (1992)も参照のこと)。
発明の詳細な説明
本発明は、少なくとも部分的には、哺乳動物からの(例えば、哺乳動物の循環からの)抗体で被覆された細胞のクリアランスを調節する方法に関する。従って本発明は、Fcレセプター(例えば マクロファージの表層に存在するもの)と免疫複合体(例えばIgG含有免疫複合体)との相互作用により特徴づけられる自己免疫性疾病や、喘息のような免疫媒介性疾病といった免疫学的な疾患を治療する方法を提供する。本発明の方法は、結果として、Fcレセプターの発現、及び/または、機能を変化させ、IgG抗体で被覆された細胞の食作用を抑えることになる。〔紅斑性狼瘡やリウマチ様関節炎のような免疫複合体疾病(immune complex diseases)に苦しむ患者が、肝臓や脾臓内に循環している免疫複合体のクリアランスが増強され、それにより、腎臓のような組織または関節内での免疫複合体の析出を防ぐように設計された手順により恩恵をうける得ることは、当業者により評価されるだろう。この免疫複合体のクリアランスの増強は、Fcレセプターをコードする配列を導入するための手順を用いて肝臓および脾臓のマクロファージを刺激することによりもたらされる。
このFcレセプターをコードする配列を導入するための手順は、別途出願された"食作用を刺激する方法"と名付けられた、一般に認められた出願に記載されたものであり、その開示内容の全ては、引用によりこの明細書中に取り込まれる。)
より具体的には、本発明は、食細胞のシグナルトランスダクション(transduction)に際して要求されるFcレセプター構成成分のリン酸化を阻害することにより、および、免疫複合体(例えばIgG含有免疫複合体)の結合に関して膜結合性レセプターと競合する可溶性Fcレセプターを循環内に導入することにより、Fcレセプターの機能を阻害する方法を提供する。また、本発明は、レセプター生成細胞内にFcレセプターアンチセンス構成体を導入することにより、Fcレセプターの発現を阻害する方法を提供する。また、本発明は、例えばリボザイムを用いてFcレセプターRNAを分解する方法を提供する。
Fc レセプターのリン酸化の阻害
一つの態様においては、本発明は、Fcレセプターの細胞質ドメイン内のコア配列(core sequence)のリン酸化を阻害することにより、免疫複合体(例えばIgGで被覆された細胞)の摂取(例えば食作用)を防止する方法に関する。FcγRIIAの細胞質残基及びFcγRIIIAのγサブユニットのリン酸化は、食作用に関係したシグナルトランスダクションイベントに必須であることが示されている(Indik et al, Trans. Ass. Amer. Phys. 105:214 (1992); Park et al, Clin. Res. 41:324A (1993); Darby et al, Blood 79:352A (1992); Mitchell et al, Clin. Res. 41:189A (1993); Huang et al, J. Biol. Chem. 267:5467 (1992); Hunter et al, Clin. Res. 41:244A (1993); Park et al, J.Clin. Invest. in press (1993))。より具体的には、FcγRIIAの細胞質ドメイン内に存在するモチーフ E-X8-D-X2-Y-X2-L-X12-Y-X2-L及びFcRIIIAのγ及びζ鎖の細胞質ドメイン内に存在するモチーフ D/E-X2, 7-D/E-Y-X2-L-X7-Y-X2-Lに存在するチロシン残基のリン酸化は、食作用のシグナルトランスダクションに必要である(文字Xの後の数字は、その位置でのアミノ酸の数を示す;Xはいかなるアミノ酸でもよいが、Y-X2-L中のX2はFcγRIIAの細胞質ドメインあるいはFcγRIIIのγ鎖のY-X2-L配列内に存在するアミノ酸であることが望ましい)。これらのコア配列(モチーフ)の2番目のY-X2-Lが、食作用に特に重要であることは明らかである。本発明は、リン酸化を引き起こすキナーゼの阻害剤を標的細胞中に導入することを意図する。具体的な態様では、阻害剤は、少なくともチロシン含有モチーフの機能的な部分と、同一でない場合でも類似の配列を含むペプチド(例えば、先に示した一連のモチーフの下線の部分に注目のこと)であり、そのためキナーゼの拮抗的な阻害剤として有用である。一例として、阻害剤は、細胞外ドメインが欠けたFcレセプター、もしくは細胞外ドメイン及びトランスメンブレンドメインが欠けたFcレセプターの形態をとることができる。代わりに、阻害剤は、上記のモチーフ、あるいはその機能的な部分と構造的に異なっても良く、それらは、拮抗的もしくは非拮抗的にリン酸化を阻害し得る(例えば、活性ペプチドの結合部位と同様な構造的コンフォメーションを有する擬似活性ペプチドを用いることができる)。マスト(肥満)細胞では、メディエーター(例えば、ヒスタミン、サイトカインまたはロイコトリエン)の遊離に必要なFcεRIのγ鎖の配列は、このストラテジー(strategy)を用いることにより阻害され得る。
本発明のペプチド阻害剤もしくはその擬似物(mimetic)は、例えばリポソームを用いて標的細胞中に直接導入され得る(細胞の脂質膜を交差(crossing)させることが可能なように修飾されたペプチドの投与に関しては、Science 26:1877 (1993)に示されたアプローチも参照のこと)。代わりに、このペプチドが細胞内で生成されるように、ペプチド阻害剤をコードするDNA配列を、遺伝子療法の手順を用いて導入することができる。
この阻害剤もしくは阻害剤をコードする配列は、マクロファージを含む肺の細胞にエアロゾルの形態で投与され得る。阻害剤もしくは阻害剤をコードする配列は、肺のマクロファージにより貪食される粒子(例えばリポソーム、もしくは、もし阻害剤をコードする配列の場合には例えばリステリア(Listeria)のような非感染性細菌)としてエアロゾル中に存在させることも可能である。食作用の結果、阻害剤もしくは阻害剤をコードする配列は、マクロファージへ導入される。ウィルス性ベクターもまた本発明のペプチド阻害剤をコードする配列を、肺の樹状(pulmonary tree)細胞中へ導入するのに用いることができる。ベクターは、エアロゾルとして導入することもでき、複製不良のヘルペスもしくはアデノウィルスベクターの形態をとることもできる。レトロウィルスベクターも使用することができる(概略としては、バジョッキーら(Bajocchi et al), Nat. Genet. 3:229 (1993); レマーチャンドら(Lemarchand et al), Circ. Res., 72:1132 (1993); ラムら(Ram et al), Cancer Res. 53:83 (1993);クリスタル(Crystal), Am. J. Med. 92:445 (1992); ヨシムラら(Yoshimura et al), Nucl. Acids Res. 20:3233 (1992); モレッキーら(Morecki et al), Cancer Immunol. Immunother. 32:342 (1991); カルバーら(Culver et al), Hum, Gene Ther. 1:399 (1990); カルバーら(Culver et al), Transplant. proc., 23:170 (1991)を参照のこと)。
血液単球は、本発明のペプチド阻害剤をコードする配列を用いて生体外(ex vivo)で形質転換され、その後、阻害剤が生体内で生成されるように患者に再導入され得る。
リン酸化阻害の代わりのアプローチには、Fcレセプターリン酸化部位(例えばFcγRIIA中及び/またはFcγRIIIAのγサブユニット中)に特異的なRNA配列を認識するリボザイムおよび酵素活性部位に特異的なRNA配列の利用が含まれる。IgGで被覆されたリポソームのような担体を用いて、Fcγレセプターを有する細胞を挿入させるためのリボザイムの導入が達成される。代わりに、IgEで被覆されたリポソームは、マスト細胞もしくは好塩基細胞またはその系統の細胞であってIgE レセプター FcεRIとそれに関連したγサブユニットを有するものへ、リボザイムを導入するのに用いられる。この方法は、アレルギー性疾患の治療での利用に際し、適切なアプローチであることが当業者に評価されるだろう。IgEレセプターのγサブユニットは、マスト細胞による細胞内メディエーターの遊離を導くシグナルのトランスダクションを担っている。γ鎖RNAの破壊により、これらの生物活性産物の遊離は阻害されることが予測される。
上記のアプローチに従って、上記の通りに投与されたリボザイムは、幾つかの選ばれた配列(例えば、FcγRIIAもしくはFcγRIIIA γ鎖RNA中で特異的なRNAスプライシングまたは5'末端の非翻訳配列)に結合し、リボザイムに関係する酵素活性により、食作用のシグナルトランスダクションに必要なレセプターの機能的な配列に特異的なRNAが消化、すなわち除去される。マスト細胞に関して、メディエーター(例えばヒスタミン、サイトカインまたはロイコトリエン)の遊離に必要なFcεRIのγ鎖の配列に特異的なRNA配列は、このストラテジーを用いて除去されうる。
この方法の有利な点は、リボザイムの生体内での連続的な生産が、細胞外で構築されたパッケージング細胞(例えば Psi2様細胞;ミラーとロスマン(Miller and Rosman), Biotechnique 7:980, 1989および分子生物学における最近の手法(Current protocols in Molecular Biology), III:9.1 1992(supp. 17)を参照のこと)を用いることで達成できることである。それらの細胞中には自殺遺伝子を含ませて、リボザイムの生産を停止させることができる点が当業者に評価されるだろう。
レセプターのリン酸化を阻害するためのさらなるアプローチには、SyKをコードしている配列を標的とするアンチセンス構造体またはリボザイムの使用が含まれる。SykキナーゼファミリーのZAP-70の遺伝子産物以外のSyk遺伝子産物は、γ鎖とζ鎖の両方により媒介されたFcγRIおよびFcRIIIAの食作用を刺激することが明らかにされている。すなわち、Syk配列を標的とすることにより、Syk依存性のリン酸化の阻害を達成しうる。この方法での利用に適した構造体とリボザイムは、当業者により容易に選択されうる( Syk遺伝子配列に関しては、ヤギら(Yagi et al),Biochem. Biophys. Res. Comm. 200:28 (1994)を参照のこと)。
可溶性Fcレセプター
さらなる態様では、本発明は、免疫複合体(例えば IgG含有免疫複合体)および膜関連性Fcレセプター間の相互作用を阻害することにより、食作用によるそれらの複合体のクリアランス(代わりに、細胞内のメディエーターの遊離を引き起こすFcレセプターを介したシグナリング)を抑制する方法に関する。この方法には、免疫複合体結合に関して膜に結合した形態のFcレセプターと競合する、可溶な形態のFcレセプターを循環中に導入することが含まれる。ある可溶な形態の転写物(transcripts)が、巨大核細胞および単球/脊髄系統の細胞において同定されている(ラパポートら(Rappaport et al), Exp. Hemotol. 21:689 (1993);ワーマーダムら(Warmerdam et al), J. Exp. Med. 172:19 (1990))。これらの転写物は、トランスメンブレンレセプター領域をコードする配列を欠いているが、細胞質のドメインをコードする配列は保持している。本発明は、細胞外ドメイン単独もしくは細胞質ドメインとの組み合わせを含む可溶性Fcレセプターの生産と使用を意図する。適切なレセプターは、IgGで被覆された細胞との結合に関して膜結合性Fcレセプターと競合できる。
本発明の可溶性レセプターは、FcγRI、FcγRIIもしくはFcγRIII細胞外ドメイン単独か、それらの結合部分の形態をとることができる(代わりに、FcεRIの可溶性レセプターは、細胞外ドメイン単独かもしくはそれらの結合部分の形態をとって供される)。すでに記載したように、細胞質ドメインもしくはそれらの一部分でもよい。以下に可能な可溶性レセプターの例を示す。ここで"I"及び"IIA"はFcγRI及びFcRγIIAにそれぞれ相当する。また、αとγはFcγRIIIのα鎖およびγ鎖に相当する。初めの記号は、細胞外ドメインの起源を示しており、2番目の記号は、細胞質ドメインの起源を示している:I:I, I, IIA, IIA:IIA, I:IIA, α:γ, α, α:IIA、I:γ。
可溶性レセプターは、それらの特性に依存して、化学的にもしくは組み換え技術を応用して製造できる(ホートンら(Horton et al), Biotechniques 8:528 (1990))。可溶性レセプターは、レセプターのリン酸化阻害剤とともに、上記のように全身的にもしくは肺に投与することができる。同じのものをコードしている配列からの可溶性レセプターの合成が生体内でなされる場合、そのような配列は適切なベクター(上記参照のこと)中に挿入され、標的細胞内の機能的な調節配列に機能しうる形でリンクされる。
Fcレセプターアンチセンス構造体:
さらなる態様として、本発明は、5'末端から3'末端への転写方向で、以下に示すものからなるアンチセンス構造体を細胞中に導入することにより、哺乳類の宿主細胞中におけるFcレセプターの発現を阻害する方法に関する: i)細胞内で機能的なプロモーター、ii) 2本鎖DNAの断片、その発現が阻害されるべきFcレセプターの内因性mRNAに対して相補的な配列を含む転写された鎖、および、iii)宿主細胞内で機能的な終止配列。この本発明の態様により、多様なレセプターのクラスを生み出す細胞内において特異的なFcレセプターの発現を調節することが可能となる。この特異性は、内因性FcレセプターのmRNAに独特の配列を、DNAセグメント(上記の(ii))中に包含させるために選択することにより達成される。
内因性FcレセプターのmRNAに相補的な配列は、長さにして少なくとも15ヌクレオチド、望ましくは少なくとも30ヌクレオチド、より望ましくは少なくとも50ヌクレオチドのものである。この配列は典型的には5000ヌクレオチド以下の長さ、望ましくは2000以下、またより望ましくは1000以下の長さのものである。この配列は、mRNAの転写された領域もしくは非転写領域に相補的でありうる(例えば、マッケンジーら(McKenzie et al), Molec. Immunol. 29:1165 (1992)を参照のこと)。アンチセンス配列の長さ及びアンチセンス配列が結合するmRNAの部位のいずれも、アンチセンス配列の特性、mRNAの部位、求められる阻害の強度に依存して変更可能である。これらのパラメーターの最適化は、不適当な実験を除けば達成可能である。
適当な調節配列やベクターが、当該技術分野で公知のものから選択可能である。例えば肺や脾臓へのアンチセンス構造体の投与は、上述の通り、生体内と生体外の両方での形質転換手順を用いて実行可能である。アンチセンス転写物自体を、当該技術分野で公知の方法を用いて標的細胞中に直接導入しうることは、当業者に評価されるだろう。
食作用を阻害する上記アプローチに加えて、本発明は、食作用のポテンシャルを有する細胞内にFcγRIIB(例えば FcγRIIB2)を導入することにより阻害を及ぼし、FcγRIIAを含むFcγレセプターの機能の阻害を可能にする方法にも関する。FcγRIIBの導入は、FcγIIBをコードする配列を包含する構造体、もしくは阻害に影響するその構造体の一部分を用いて、標的細胞をトランスフェクション/形質転換(transfecting/transforming)することにより達成される(ブルックスら(Brooks et al), J. Exp. Med. 170:1369 (1989); インデックら(Indik et al), Blood 83:2072 (1994))。適当な構造体が当業者により選択可能である。
以下の例は、本発明のある見知をさらに詳細に示すが、本発明を限定するものではない。
例I:組み換え可溶性FcγRIIIの生産
組み換え可溶性FcγRIIIのタンパク質は、以下に示すような発現ベクターを用いて生産されうる。可溶性タンパク質は、トランスメンブレンドメインが除かれたFcγRIIIに相当する。この構造体は、レセプターをコードしている配列の発現が生じるような条件下で哺乳動物細胞に導入されうる。このようにして生産された組み換えタンパク質は、細胞溶解物及びその上清の両方から単離される。
付着細胞もしくは懸濁液中の細胞のトランスフェクション:
付着細胞(例えばCHO細胞もしくはCOS細胞)、または、適切な懸濁細胞系のトランスフェクションを行うことができる。可溶な形態のFcγレセプターを発現する永続性のトランスフェクタント(permanent transfectant)は、エレクトロポレーション、リン酸カルシウム法もしくは他のすでに確立された方法により達成されうる。トランスフェクトされた細胞は48時間培養され、2mg/mlのジェネティシン(Geneticin)(Gibco BRL, Gaithersburg, Maryland )もしくは他の選択薬剤を含む培地中で選抜されうる。約12週間後、ポジティブコロニーが単離され、クローンをさらに特徴づけるために拡大される。単離されたクローンは、可溶性レセプターを最も多く発現させているトランスフェクタント細胞系を選抜するために、ELISAプレート(Dynatech, Alexandria, Virginia)を用いて酵素を固相免疫定量法(ELISA)により調べられる。付着感染体(adherent transfectants)の大量培養は、中空繊維組織培養系を用いることにより達成される。
例II:可溶性FcγRIIIの機能
可溶性FcγRIIIタンパク質の機能は、試験管内と生体内の両方で評価される。細胞膜結合性レセプターへのIgG免疫複合体の結合に及ぼす可溶性Fcレセプターの影響は、幾つかの因子に依存している。すなわち、リガンドと可溶性レセプターの局在的濃度、膜結合性レセプターの表面密度、リガンドの結合価、及び、2つの形態のレセプターのリガンドに対する相対的親和性である。可溶性FcγRIIIレセプターとリガンドおよび細胞膜との相互作用における制限因子は、入手可能なモデル系を用いて解読することができる。
試験管内でのアッセイシステムは、標識されたIgGリガンドとIgGで被覆された赤血球(EA)をめぐる可溶性レセプターと細胞膜レセプターとの競合に頼りにしている。Fcγレセプターをもたない細胞(Fcγ receptor-negative cells)は、機能的な結合能力を保持し、IgG含有免疫複合体および抗体で被覆された細胞を摂取するトランスメンブレンFcγRIII分子でトランスフェクションさせられた(ルイズとシュレイバー(Ruiz and Schreiber), J. Clin. Invest 88:149 (1991))。これらのアッセイは、可溶性レセプターの機能及び可溶性レセプターが膜レセプターによるEAおよびIgGのオリゴマー体の検出を妨げる能力を調べるために用いられる。可溶性FcγRIIIの機能を生体内においても調べる。これらの研究では、生体内で投与された可溶性FcγRIIIが抗体で被覆された細胞のクリアランスに変化をもたらすかどうかを調べるために、確立された実験動物モデルが用いられる(ルイズおよびシュレイバー(Ruiz and Schreiber), J. Clin. Invest 88:149 (1991))。可溶性FcγRIIIの免疫調整能が同様な方法で調べられる。
例III:食作用のシグナルメディエーションに必要な細胞質チロシン残基
実験の手順:
プラスミド構築と点突然変異の導入:
pSVL真核発現ベクター(Pharmacia LKB, Piscataway, NJ)が、COS-1細胞内でのFcγRIIIAの発現に用いられた。huFcγRIIIA α cDNAが、pSVLのクローニングサイトXbaIおよびBamHIにクローニングされた。同様に、muFcγRIIIA γ cDNAが、クローニングサイトXhoIおよびBamHIにクローニングされた。TCR/FcγRIIIA ζは、pSVLのクローニングサイトXbaIおよびBamHIにクローニングされた。γ鎖の細胞質チロシンのフェニルアラニンによる保存型置換は、2段階重複伸張ポリメラーゼチェインリアクション(PCR)(ホートンら(Horton et al),Biotechniques 8:528 (1990))を用いて行われた。二重チロシン置換突然変異体(double tyrosine substitution mutants)は、N末端のチロシン残基の置換に続いてC末端のチロシン残基を置換することにより、連続的に構築された。それぞれの突然変異体から6つのクローンが単離され、DNA配列決定にかけられた。さらに研究を進めるために、正しいDNA配列をもつ幾つかのクローンのうち、それぞれのチロシン置換からの2つのクローンが無作為に選択された。
一過性トランスフェクション:
FcγRIIIAイソ型、FcγRIIIA -γγ、FcγRIIIA-ζζは、αのcDNAと同様にγもしくはζのcDNAをもつCOS-1細胞への同時トランスフェクションにより得られた。cDNAのトランスフェクションは、修飾DEAE-デキストラン法を用いて行われた。簡単に言えば、300,000個のCOS-1細胞が、トランスフェクションの24時間前に35 mm ウエルプレートに接種された。70-80%コンフルエンス(confluence)しているプレートは、二度洗浄され、トランスフェクションに先だってダルベッコ改良イーグル培地 (DMEM, Gibco BRL, Grand Island, NY)を用いて30分間インキュベートされた。4μgのプラスミドDNA(0.5 μg/μl)が、Nu培地(10%のNu血清[Collaborative Biomedical, Two oak Park, Bedford, MA]、1 mg/mlのDEAE-デキストランと100μMのクロロキンを加えたDMEM)を含む1 mlのトランスフェクション緩衝液にゆっくりと加えられた。このDNAを含むトランスフェクション緩衝液がCOS-1細胞に加えられ、37℃で4時間インキュベートされた。その後、細胞はリン酸緩衝液(PBS)中で10% DMSOにより2分間ショックを与えられ、DMEMで2度洗浄され、Nu血清が補われたDMEM中で増殖させられた。細胞はトランスフェクション後48時間で調べられた。
免疫蛍光染色とフロー細胞蛍光測定法:
トランスフェクトされた細胞は、転移ピペットを用いて染色緩衝液(0.02%のアジ化ナトリウムおよび0.1% のBSAを含むPBS)中に回収された。細胞は遠心分離され、60μlの染色緩衝液中に再懸濁され、抗-FcγRIIIA mAb, 3G8(アンケレスら(Unkeless et al), Annu. Rev. Immunol. 6:251 (1988))、もしくはイソ型コントロールのいずれか一方とともに4℃で30分間インキュベートされた。細胞は洗浄され、フルオレセイン接合ヤギ抗マウス IgG (Tago Inc. Burlingame, CA)を用いて染色された。染色された細胞は、ファックスター(FACstar)フローサイトメーター(Becton Dickinson Co., Mountain View, CA)を使用して測定された。
IgG感作RBCs(EA)の結合および食作用:
カルシウムおよびマグネシウムを含まないPBS中の無菌ヒツジ赤血球細胞(10/ml)は、亜凝集力価について等量のウサギ抗ヒツジRBS抗体(Cappel Laboratories, Cochranville, PA)とともにインキュベートすることにより、抗原に対し感作させられた。IgG感作RBCs(EA)は、PBSで二度洗浄され、トランスフェクトされたCOS-1細胞を覆うために、最終濃度10/mlになるよう再懸濁された。細胞は、既述のように、ロゼット形成(rosetting)(COS-1細胞あたり > 10 EA)および食作用について調べられた(インディックら(Indik et al), J. Clin. Invest.88:A66 (1991))。食作用のアッセイのために、EAと結合したCOS-1細胞(3回洗浄後)は、表面に結合したEAを除くために、低浸透圧性PBSを用いた短時間の低浸透圧ショック(35秒)を与えられた。その後、細胞はライト−ギムザ染色溶液で染色され、食作用(摂取されたEA)が光学顕微鏡にて測定された。得られた結果は、スチューデントT-検定により解析された。
試験管内でのキナーゼ分析:
トランスフェクトされた細胞(2 x 10細胞)は、PBSで一度洗浄され、各5μg/mlの抗- FcγRIIIA mAbおよびヤギ抗マウス IgGとともに、10分間氷上で連続してインキュベートされた。細胞はPBSで一度洗浄され、フォスファターゼとプロテアーゼの阻害剤を含む溶菌緩衝液(150 mM NaCl、25 mM ヘペス[pH 7.4]と1% ポリオキシエチレン 10 オレイルエーテル [BRIJ-96; Sigma, St.Louis MO])を1.5 ml添加する前に、室温で3分間インキューベートされた。フォスファターゼとプロテアーゼの阻害剤(1mM EGTA, 1mM オルトバナジン酸ナトリウム, 1mM PMSF, 10μg/mlのアプロチニン、50 μg/ml ロイペプチンと100 μg/ml の大豆トリプシン阻害剤)が溶菌緩衝液に新たに加えられた。氷上で15分間溶菌させた後、細胞溶解物は清浄化するために4℃で30分間遠心分離された。FcγRIIIA-γ鎖は、溶菌緩衝液中で抗ヒトγ抗血清(ジーン-ピエール キネット(Jean-Pierre Kinet)提供, NIAID-NIH, Rockville, MD)とプロテインA-セファロース CL4B(Sigma, St. Louis, MO)を用いて免疫沈降させられた。ペレットは溶菌緩衝液中で三度洗浄され、低塩緩衝液(100 mM NaCl, 25mM ヘペス, pH7.4,5mM MnCl)中で一度洗浄された。ペレットは、25 mM へぺス, pH 7.4, 5mM MnCl, 5mM p-ニトロフェニルリン酸, 1μM 冷ATP(Boehringer Mannheim, Indianapolis, IN)と5μCiγ-[32p]ATP(6000 Ci もしくは222 TBq/mmol; Dupont NEN, Boston, MA)を含む30μlの混合物とともにインキュベート(20℃、10分間)された。還元SDS-PAGE 試料緩衝液を添加することにより、反応は停止させられ、標識されたタンパク質は12.5%の還元SDS-PAGEゲルで分離された。そのゲルは、メタノール/酢酸溶液中で固定され、ホスホセリンとスレオニンを除くために1 N KOHで処理され(55℃で2時間)、乾燥され、4日間オートラジオグラフィーにかけられた。
[Ca2+]iの可動化:
カバーグラスにのせられたCOS-1細胞は、2μM Fura-2/AM(Calbiochem. San Diego, CA)とともに30分間インキュベートされ、二度洗浄された。その後、そのカバーグラスは[Ca2+]iの単一細胞多重測定(multiple single-cell measurements)のためレイデムセルチャンバー(Leidem cell chamber)(Medical Systems, Greenville, NY)に移された。FcγRIIIAレセプターは、ビオチニル化された抗-FcγRIIIと架橋させられた後、ストレプトアビジンを添加するか、または、抗-FcγRIII mAB 3G8 全IgGと架橋された。ポジティブコントロールとして、10μMのエピネフリンが、COS細胞上で発現したエピネフリンレセプターを架橋するために添加された。カルシウムの映像化は、イメージ1 AT定量蛍光システム(Universal Imaging, West Chester, PA)を用い、ニコン ダイアフォト マイクロスコープ(Nikon Diaphot microscope)上で40 x 蛍光対物レンズを使用して行われた。像は励起340nmもしくは380nm(発光=510nm)のいずれかで得られた。340/380比の像は1画素x1画素を基準にして計算され、それぞれの細胞内での平均340/380比が各時間ごとに決定された。340/380比は、遊離Fura-2酸を用いた溶液補正に基づき[Ca2+]iに転換された。
FcγRIIIAα並びに結合されたγおよびζ鎖により媒介された食作用:
FcγRIIIAの野生型γcDNAおよびζcDNAは、FcγRIIIA-α鎖によりCOS-1細胞に同時トランスフェクションされ、EA(感作RBC)の食作用を誘導する能力が測定された。FcγRIIIAの表面発現(surface expression)は、フロー血球計算により求められ、γまたはζのいずれか一方との同時トランスフェクションについて等しく効果があった(表1)。抗FcγRIII mAB で染色された、同時トランスフェクトされた細胞についての平均蛍光強度(FMI)は、IgG イソ型コントロールで染色された細胞、または、抗FcγRIII mABで染色された模擬トランスフェクトされた細胞に比べて15倍増加した(表1)。トランスフェクタントは、IgG感作RBC(EA)を結合および貪食する能力について測定された。約50%のCOS-1トランスフェクタントがEAをむさぼるように結合した(表1)。野生型γでトランスフェクトされたCOS-1細胞の顕微鏡試験は、試験された細胞の20±5%によりEAが摂取されることを一貫して示した(p<0.02)。すなわち、EAの貪食は、EAを結合したCOS-1細胞トランスフェクタントの約40%において検出された。対照的に、ζ鎖を含むコトランスフェクタントは、3.8%の細胞がEAを摂取することを示した(p<0.02)(表1)。さらに、食作用を証明するζを含有する細胞において、一つの細胞当たりの摂取されたEAの平均数は、γを用いて観察されたもののレベルの半分未満にまで減少した。3つのcDNA、α、γ、ζの全てでトランスフェクトされたCOS-1細胞は、16%の細胞がEAを摂取することを示し、一貫して食作用を減衰させることを示した(表1)。対照的に、EAによる模擬のトランスフェクタントまたはE(非感作RBC)によるトランスフェクタントは、いずれも何も結合も貪食もしなかった。
Figure 2006217922
トランスフェクションの効率は、フロー血球計算により決定した。平均蛍光強度(FMI)は、3つの別々の実験のうちの1つについて同様の結果を示した。内在化されたRBCsを、顕微鏡で計数した(1000 x )。結果は、EAの食作用および結合(ロゼット形成)について平均±SEMで示した。少なくとも3つの別々の実験が、各クローンについて行われた。1500細胞が、5つの手当たり次第に選択された部分で計数された。*平均蛍光強度。§PI(食作用指数):100個のCOS-1細胞あたりの内在化されたRBCsの数。
食作用に必要なγ鎖の2つの細胞質チロシン:
食作用を媒介するFcγRIIIA上の2つの保存γ鎖チロシンの効果を調べるために、N末端に近接した(クローンM1AおよびM1B)チロシンまたはC末端に近接した(クローンM2AおよびM2B)チロシンは、フェニルアラニンに別々に置換された。二重チロシン置換による突然変異体について、両方のチロシンをフェニルアラニンで置換した(DMAおよびDMB)(図1)。
フロー細胞蛍光測定法により測定されたMFIおよびロゼット形成について陽性の細胞のパーセント(%)は、γ突然変異体および野生型γを生産する全てのトランスフェクタント中のレセプター複合体が同様の表面発現を起こすことを証明した(表2)。これらの発現の共通点のレベルは、γ鎖の細胞質内の尾部中のチロシン残基が、表面発現に必要なFcγRIIIAレセプター複合体の形成に必要がないことを示している。表1に要約された結果は次の通りである:M1γ変異体は、食作用強度(PI)で表わされたように、食作用活性について99%より以上の減少が認められた(摂取されたEAを有するトランスフェクタントが≦ 1% であり、貪食する細胞あたりの摂取されEAが最低である)(P<0.02)。;M2およびDMγ突然変異体は、食作用を実質的に行わなかった(試験された細胞5000個のうち1つ)(表2、図2)。表2の解説については表1参照をされたい。
Figure 2006217922
チロフォスチン 23 による食作用の阻害
チロシン残基のリン酸化に必要な食作用、FcγRIIIA -αにより同時トランスフェクトされたCOS-1細胞および野生型γを、チロフォスチン(tyrophostin)23 (tyr 23)およびチロシンキナーゼの阻害剤(Yaish et al, Science 242:933(1988))の濃度を高くしながら、インキュベートした。Tyr 23は、方法に左右される投与量で食作用を減少させ、25 μMでは50%阻害、200〜400 μMでは完全に阻害した(p<0.01)(表3)。対照的に、tyr 23 は、EA を結合しなかった。食作用の阻害は、tyr 23 (400μM)により前処理され、次いで洗浄されたトランスフェクタントは、部分的(3時間洗浄、表3)または完全(一晩洗浄、データは示さない)に食作用活性を回復するので、生存度の減少と関係がなかった。
Figure 2006217922
試験管内でリン酸化されたγサブユニットのチロシン残基:
ζ鎖のチロシン残基をリン酸化する能力は、試験管内でのCOS-1トランスフェクタントを用いたキナーゼアッセイにより試験した。図4に示す結果は、野生型γ鎖のチロシン残基が試験管内でリン酸化されることを証明する。対照的に、突然変異γ鎖トランスフェクタントおよび模擬トランスフェクタントは、検出可能なリン酸化を示さなかった。チロシン置換突然変異体(M1A および M2A)は、残っているチロシン残基のリン酸化を行わないので、2つのチロシン残基のうちいずれか一つのリン酸化が、損なわれていないその他のチロシン残基を必要とするらしい(図3)。これらのリン酸化データは、チロシン残基のいずれか一つの置換が食作用を十分に排除するため、γ鎖の食作用のシグナルを誘導する能力と完全に関連する(表2、図2)。
試験管内でのキナーゼアッセイは、模擬トランスフェクタントを除く全てのレーンに存在する約40kDaのはっきりとしたバンドを示した。このバンドは、γと共沈殿する、連結されたリン酸タンパク質を表している。
Ca 2+ の可動化に必要なγの細胞質チロシン
γ鎖チロシンがカルシウムの可動化に必要かどうかを調べるために、FcγRIIIAの架橋に続くカルシウム応答(calcium response)を、個々のトランスフェクトされた細胞(WT,M1A,M2AまたはDMA)をデジタルビデオ顕微鏡を用いて測定した(図4)。COS細胞でCa2+シグナルを誘起するエピネフリンを、全ての実験においてポジティブコントロールとして使用した。ビオチニル化した抗FcγRIIIで架橋した後にストレプタビジンを付加するか、または、抗FcγRIII完全IgGで架橋した後に、典型的な一過性のカルシウムを示す、WTレセプター複合体によるトランスフェクタントが生じる。5つの連続した実験(169細胞)、細胞の58%は、10μMのエピネフリンにより誘導された場合の少なくとも50%で、カルシウムシグナルを有する抗FcγRIIIと応答した。対照的に、4つの実験のうち一つでは、著しいカルシウムの可動化が、M1AトランスフェクションCOS-1細胞内で誘起されたが、M1A,M2AまたはDMAのいずれか一つでトランスフェクトされたCOS-1細胞は、著しく減少された、抗FcγRIIIに対するカルシウム応答を示した。
Figure 2006217922
例IV:タンパク質キナーゼ活性化を誘発するマクロファージFcγRIIIAシグナル
細胞内FcγRIIIγサブユニット内の特定のチロシン残基は、キメラ若しくは突然変異レセプターでトランスフェクトされた、NK細胞およびリンパ球または繊維芽細胞を用いた、シグナルトランスダクションおよびその後のエフェクターファンクションズ(effector functions)に必要であることが証明された(Darby et al, Blood 79:352A Nov. (1992))。生理学的に適当な蛋白質チロシンキナーゼ(PTK)および基質を含むホスホチロシンの研究のために、肺マクロファージまたは培養された単球(M)の上の自然なままのFcγRIIIを、マクロファージシグナルトランスダクションの最中に試験した。Fab 抗体を用いたFcγRIIIの架橋の後数秒以内に、ウエスタンブロット分析が、ホスホチロシン基質の特徴的なパターンを示した。この応答は一過性で、ほとんどの基質が5分で最高限度を迎え、10〜20分後に衰えた。ホスホチロシンのパターンは、新しいマクロファージおよび培養された単球において区別できなかった。このことから、培養された単球は、有用な試験管内モデルとして証明された。P62,すなわち、GAP自体ではないがp120rasGAPと結合した蛋白質は、特定の免疫沈降により、これらのホスホチロシン基質の一つとして同定された。2番目の基質は、p95vav,すなわち、TCR, slgおよびFcεR1活性化の後リン酸化されたチロシンと同等の造血発癌遺伝子産物であることがわかった。ここまでは、B細胞slgおよびマスト細胞FcεR1シグナルについてのみ同定されたが、キナーゼ PTK72/Sykは、同様に、マクロファージFcγRIII活性化後のホスホチロシン基質の大部分である。抗Syk免疫複合体の試験管内キナーゼアッセイは、レセプターライゲーション後5〜3分で、Syk自己リン酸化での3〜4倍の減少を示した。Sykは、同様に、γ鎖FcγRIIIAの免疫沈殿物中に存在することもわかった。これは、Sykがリン酸化されたγ鎖と結合していることを示唆する。
以上で引用したすべての文献は、参照によりこの明細書に含められる。
本発明は、最も現実かつ好ましい態様であると目下考えられるものと関連して記載されているが、本発明を開示された態様に限定するものではないが、反対に、添付されたクレームの精神および見解の範囲内に含まれる、多様な変形例および等価な変更がカバーされる傾向にあると理解されるべきである。
また、本発明の一つの態様において、免疫複合体と接触する哺乳動物の食作用の細胞に、前記細胞の膜に存在するFcレセプターを活性化する、前記細胞に対する内因性キナーゼの阻害剤を導入し、前記導入が前記食作用のポテンシャルが阻害されるような条件下で達成されることを具備する哺乳動物の免疫複合体の食作用を防止する方法が提供される。
該免疫複合体は、IgGを含有する免疫複合体であることが好ましい。また、該阻害剤はペプチドまたは模擬体であることが好ましい。該ペプチドは直接細胞に導入されていることが好ましい。また、該ペプチドは、先立って細胞に導入されたリソゾームに取り込まれていることが好ましい。
さらに、ペプチドをコードするDNA配列を、前記DNA配列が発現され、前記ペプチドが製造される条件下で前記細胞に導入されることが好ましい。また、該ペプチドが、細胞質ドメインFcγRIIAチロシンまたはFcγRIIIAもしくはFcεRIのγ鎖を含有するモチーフに対応する配列を含有することが好ましい。また、ペプチドが配列Y-X2-L(X2はいずれかの2つのアミノ酸である)を含有することが好ましい。
前記X2は、FcγRIIAの細胞質ドメインまたはFcγRIIIAまたはFcεRIのγ鎖のY-X2-L配列のアミノ酸であることが好ましい。前記阻害は、単球または好中球の活性化の結果起こる局所的組織損傷を減少または防止することが好ましい。
図1は、FcγRIIIA γ野生型および突然変異体の概略図を示す。シグナル配列(S)、外来ペプチド(E),トランスメンブレンドメイン(TM)、及び細胞質ドメイン(CY)をγ鎖の概略図の上に記す。図1中の拡大された領域は、保存されたモチーフを含むγ鎖のヌクレオチド配列の領域を示す。この図には、ネズミγ鎖が示されている。γ鎖及びζ鎖遺伝子の遺伝子ファミリーの保存されているアミノ酸配列は、ヌクレオチド配列の下に示されている。ヌクレオチド 235-237のTACコドンによりコードされているN末端に近接したチロシン(Ra et al, J. Biol. Chem. 264:15323 (1989))は、TTCによりコードされたフェニルアラニンで保存的に置換された(クローンM1A及びクローンM1B)。同様に、TAT(168-270)によりコードされているC末端に近接したチロシンは、TTTによりコードされたフェニルアラニンで置換された(クローンM2A及びクローンM2B)。チロシン二重置換変異体については、N末端側及びC末端側の両方のチロシンがフェニルアラニンで置換された(クローンDMA及びクローンDMB)。変異体の太線は、野生型γ遺伝子の配列と同一の配列を示す。 図2Aおよび図2Bは、トランスフェクトされたCOS-1細胞によりIgG感受性化されたRBCs(EA)の結合および食作用を示す。トランスフェクトされたCOS-1細胞によるEAの結合(左図;A, C, E及びG)。トランスフェクトされたCOS-1細胞によるEAの食作用(右図;B, D, F, 及びH)。(A)及び(B):FcγRIIIAα及び野生型γにトランスフェクトされたCOS-1細胞の結合及び食作用。 野生型γを用いて示された3つの貪食されたRBCs(phagocytosed RBCs)を、図(B), (C), 及び(D)中で矢印により示した:α及びγを含有するトランスフェクタント(transfectants)(MIA)。 (E)及び(F) :α及びγを含有するトランスフェクタント(M2A)。 (G)び(H) :α及びγ含有するトランスフェクタント(DMA)。EAの食作用はD,F及びHでは見られない。写真は1000倍の拡大像を示す。 図3は、試験管内でのキナーゼアッセイによる野生型および変異体γ鎖のチロシンのリン酸化を示す。このγ鎖を、COS-1トランスフェクタントの溶解物由来の抗-γ抗血清を用いて免疫沈降させた。試験管内でリン酸化された試料を、12.5%還元化(reducing)SDS-PAGEゲルで泳動させた。このゲルは、ホスホセリンおよびスレオニンを除去するために、1 NのKOHで処理され、乾燥され、4日後にオートラジオグラムが検査された。レーン1:FcγRIIIA-αとγcDNAを挿入していないpSVLベクターを用いた擬似トランスフェクタント(Sham transfectants)。レーン2:FcγRIIIA α+野生型ヒトγ。レーン3:FcγRIIIA α+野生型マウスγ。レーン4:FcγRIIIAα+M1A。レーン5: FcγRIIIA α+M2A。レーン6:FcγRIIIA α+DMA。リン酸化されたγ鎖を矢印により示す(右下側に示す)。星印を付けた矢印(右上部に示す)は、約40KDaの特異的なチロシン リンタンパク質のバンドを示している。 図4A-4Bは、FcγRIIIA 刺激に引き続いて起こるCa2+の可動化(mobilization)を示す。それぞれの細胞内での [Ca2+]iの計測は、FcγRIIIAの架橋(crosslinking)の間に行われた。抗FcγRIII mAb、エピネフリン(ポジティブコントロール)及びカルシウムイオノフォアが添加された時点は、それぞれの図中に矢印により示されている。像は340nmもしくは380nm励起のいずれかで得られた(発光(emisson)=510 nm)。340/380比は、Fura-2を用いた補正に基き、[Ca2+]iに転換された。M1A、M2A及びDMAトランスフェクタントの反応は、WTトランスフェクタントと比較して大きく低下した。 図4C-4Dは、FcγRIIIA 刺激に引き続いて起こるCa2+の可動化(mobilization)を示す。それぞれの細胞内での [Ca2+]iの計測は、FcγRIIIAの架橋(crosslinking)の間に行われた。抗FcγRIII mAb、エピネフリン(ポジティブコントロール)及びカルシウムイオノフォアが添加された時点は、それぞれの図中に矢印により示されている。像は340nmもしくは380nm励起のいずれかで得られた(発光(emisson)=510 nm)。340/380比は、Fura-2を用いた補正に基き、[Ca2+]iに転換された。M1A、M2A及びDMAトランスフェクタントの反応は、WTトランスフェクタントと比較して大きく低下した。

Claims (28)

  1. 免疫複合体と接触する哺乳動物の食作用の細胞において、哺乳動物からの免疫複合体のクリアランスを防止するための、前記細胞の膜に存在するFcレセプターをコードする転写物を特異的に分解する分子。
  2. 前記免疫複合体が、IgGを含有する免疫複合体である請求項1に記載の分子。
  3. 前記分子がリボゾームである請求項1に記載の分子。
  4. 哺乳動物において、免疫複合体への結合に関して膜結合性のFcレセプターと競合する可溶なFcレセプターであって、前記膜結合性のFcレセプターへの免疫複合体の結合が阻害されることによって、哺乳動物に存在する免疫複合体が膜に結合するFcレセプターに結合するのを防止する可溶性Fcレセプター。
  5. 前記免疫複合体が、IgGを含有する免疫複合体である請求項4に記載の可溶性Fcレセプター。
  6. 前記可溶性のFcレセプターが、実質的にFcγレセプターの細胞外ドメインまたはその結合部位からなる請求項4に記載の可溶性Fcレセプター。
  7. 前記可溶性のFcレセプターが、Fcγレセプター型またはFcεレセプター型からの細胞外ドメイン、および、第1および第2レセプター型の少なくとも1つがFcγRIまたはFcγRIIIのα鎖もしくはγ鎖である第2Fcγレセプター型からの細胞質ドメインを含有する請求項4に記載の可溶性Fcレセプター。
  8. Fcレセプターを発現する哺乳動物の細胞の食作用ポテンシャルを抑制するための組成物であって、5’末端から3’末端への転写方向で、
    i) 前記細胞内で機能的なプロモーター、
    ii) Fcレセプターをコードする内因性mRNAに相補的な配列を含む転写された鎖の、2本鎖DNAのセグメント、および、
    iii) 細胞内で機能的な終止配列
    を具備する構造物を含有し、前記細胞内において、前記相補的な鎖が転写されて前記内因性mRNAに結合することによって、Fcレセプターの発現を減少させ、前記細胞の食作用ポテンシャルを抑制する組成物。
  9. 前記内因性mRNAに相補的な配列が前記mRNAの非翻訳領域に相補的である請求項8に記載の組成物。
  10. Fcレセプターを発現する哺乳動物細胞の食作用ポテンシャルを抑制するための組成物であって、Fcレセプターをコードする内因性mRNAに相補的な核酸を含有し、前記細胞内において、前記核酸が前記mRNAに結合し、これにより前記mRNAのFcレセプターへの転写を阻害する組成物。
  11. 前記核酸がRNA分子である請求項10に記載の組成物。
  12. 前記核酸が前記mRNAの非翻訳領域に相補的である請求項10に記載の組成物。
  13. マスト細胞IgEレセプターFcεRIのγサブユニットのシグナルトランスダクションを阻害するための組成物であって、レセプターを有するマスト細胞においてFcεRIレセプターまたはそのγサブユニットのシグナルトランスダクションを活性化する、前記細胞に対する内因性キナーゼの阻害剤を含有し、前記シグナルトランスダクションを阻害する組成物。
  14. 前記阻害剤がペプチドまたは模擬体である請求項13に記載の組成物。
  15. 前記ペプチドが配列Y-X2-L(X2はいずれかの2つのアミノ酸である)を含有する請求項14に記載の組成物。
  16. 前記X2が、γ鎖FcεRIの細胞質ドメインのY-X2-L配列のアミノ酸である請求項15に記載の組成物。
  17. 5’末端から3’末端への転写方向で、
    i) プロモーター、
    ii)FcレセプターmRNAに相補的な配列を含む転写された鎖の、2本鎖DNAのセグメント、および、
    iii)終止配列
    を具備し、
    前記プロモーター、前記2本鎖DNAおよび終止配列が実施可能に架橋している構造体。
  18. 請求項17に記載の構造体を含み、プロモーターおよび終止配列が前記細胞内で機能的である細胞。
  19. 実質的にFcγもしくはFcεレセプターまたはそれらの結合部位の細胞外ドメインからなる可溶性Fcレセプター。
  20. 第1Fcγレセプター型からの細胞外ドメインおよび第2Fcγレセプター型からの細胞質ドメインを含有し、前記第1および第2レセプター型の少なくとも一つが、FcγRIまたはFcγRIIIのα鎖もしくはγ鎖である可溶性Fcγレセプター。
  21. 請求項19に記載の可溶性FcレセプターをコードするDNA分子。
  22. 請求項20に記載の可溶性FcレセプターをコードするDNA分子。
  23. 実質的にFcγRIIAの細胞質ドメインまたはFcγRIIIAもしくはFcεRIのγ鎖あるいはそれらの機能的な部分の、チロシンを含有するモチーフからなるペプチド。
  24. 請求項23に記載のペプチドをコードするDNA分子。
  25. 請求項23に記載のペプチドを含有する細胞。
  26. Y-X2-L配列(X2は、FcγRIIの細胞質ドメインまたはFcγRIIIAもしくはFcεRIのγ鎖のY-X2-L配列の2つのアミノ酸を表す)のない、FcγRIIの細胞質ドメインの一部またはFcγRIIIAもしくはFcεRIのγ鎖の一部を含有し、
    食作用またはマスト細胞から遊離されるメディエーターを阻害するペプチド。
  27. 細胞中に存在するSykをコードする配列を標的にするアンチセンス構造体またはリボゾームを含有し、細胞中でSykを生成する細胞の食作用ポテンシャルを抑制する組成物。
  28. 細胞の食作用ポテンシャルを抑制するための、FcγRIIBを含有する組成物。
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